説明

画像表示装置

【課題】電子源から放射される電子の一部が隔壁に帯電することに起因する電子軌道への影響を回避して蛍光体層の励起不足を防止する。
【解決手段】走査信号配線s(s1,s2,s3,・・・sm)から給電電極ELCを介して電流が供給される電子源ELSを有するとともに、走査信号配線の上で且つこの走査信号配線に沿って設置した隔壁SPCを有し、この隔壁SPCを次の走査で選択される電子源ELSに近接して配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光型フラットパネル型画像表示装置に係わり、特に薄膜型電子源をマトリクス状に配列した画像表示装置に関し、詳細には隔壁の配置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マトリクス状に配置した電子源を有する自発光型フラットパネルディスプレイ(FPD)の一つとして、微少で集積可能な冷陰極を利用する電界放出型画像表示装置や電子放出型画像表示装置が知られている。これらの冷陰極には、スピント型電子源、表面伝導型電子源、カーボンナノチューブ型電子源、金属―絶縁体―金属を積層したMIM(Metal−Insulator−Metal)型、金属―絶縁体―半導体を積層したMIS(Metal−Insulator−Semiconductor)型または金属―絶縁体―半導体−金属型等の薄膜型電子源などがある。
【0003】
自発光型FPDは、上記電子源を備えた背面パネルと、蛍光体層及びこの蛍光体層に電子源から放出される電子を射突させるための加速電圧が印加される陽極を備えた前面パネルと、両パネルの対向する内部空間を所定の真空状態に封止する封止枠とで構成される表示パネルを有している。背面パネルは、背面基板上に形成された上記電子源を有し、前面パネルは、前面基板上に形成された蛍光体層と電子源から放出された電子を蛍光体層に射突させる電界を形成するための加速電圧が印加される陽極を有している。この表示パネルに駆動回路を組み合わせて自発光型FPDが構成される。
【0004】
個々の電子源は対応する蛍光体層と対になって単位画素を構成する。通常は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の単位画素で一つの画素(カラー画素、ピクセル)が構成される。なお、カラー画素の場合、単位画素は副画素(サブピクセル)とも呼ばれる。
【0005】
背面パネルと前面パネルとの間の間隔は隔壁と称する部材で所定間隔に保持される。この隔壁はガラスやセラミックスなどの絶縁材あるいはある程度の導電性を有する部材で形成した板状体からなり、通常、複数の画素毎に画素の動作を妨げない位置に設置される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背面パネルは、絶縁材の背面基板を有し、この背面基板上には、一方向に延在し該一方向と直交する他方向に並設されて当該他方向に走査信号が順次印加される複数の走査信号配線が形成されている。また、この背面基板上には、他方向に延在し走査信号配線に交差するように一方向に並設された複数の画像信号配線が形成されている。走査信号配線と画像信号配線との各交差部付近に上記電子源が設けられ、走査信号配線と電子源とは給電電極で接続され、走査信号配線から電子源に電流が供給される。
【0007】
背面基板上に複数の走査信号配線を一方向(横方向、水平方向)に延在させ、一方向と直交する他方向(縦方向、垂直方向)に並設した走査信号配線の上面、かつ当該走査信号配線の延在方向に隔壁を設置した背面パネルで構成した自発光型FPDの場合、並設した走査信号配線に垂直走査信号を他方向に順次印加したとき、次に図20及び図21で説明するような現象が生じる。
【0008】
図20は、自発光型FPDの背面パネルの構成を示す模式図である。図示しない背面基板の上に複数の画像信号配線d1,d2,・・・dnがy方向に延在し、x方向に並設されている。そして、この画像信号配線と交差させて複数の走査信号配線(垂直走査配線)s1,s2,s3,・・・smがx方向に延在し、y方向に並設されている。各走査信号配線s1,s2,s3,・・・smに対して1行の電子源ELSが接続され、垂直走査方向VSへの順次走査で選択された走査信号配線に接続する電子源ELSに画像信号配線から画像信号が印加される。各走査信号配線s1,s2,s3,・・・smへの走査信号は走査信号線駆動回路(走査ドライバ)SDRから供給され、各画像信号配線d1,d2,d3,・・・dnへの画像信号は画像信号線駆動回路(データドライバ)DDRから供給される。
【0009】
走査信号配線の上には、その延在方向(x方向)に隔壁SPCが前面パネル方向すなわちz方向に植立して設置されている。隔壁SPCは全ての走査信号配線の上に設置することも考えられるが、実際には複数の走査信号配線ごとに設置される。また、この隔壁SPCは走査信号配線に沿って一本でなく、幾つかに分割して設置することが製造の容易性から好ましい。図20では、隔壁SPCは走査信号配線s2の上に2分割して設置されているものとして示した。
【0010】
図21は、図20のy方向で切断した概略側面図あって隔壁の植立状態と電子源から放出される電子の振る舞いを説明する図である。なお、図21には背面パネルPNL1と共に前面パネルPNL2も示している。背面パネルPNL1の内面には、画像信号配線d(d1,d2,d3,・・・dn)が形成され、その上に絶縁膜(図示しない)を介して走査信号配線s(s1,s2,s3,・・・sm)が交差して形成されている。図21では、走査信号配線s2の上に隔壁SPCを有し、この隔壁SPCに対し垂直走査方向VSの上流側に電子源ELS(ELS2)が設けられ、この電子源ELS2は、接続電極ELC(ELC2)で走査信号配線s2から給電される。
【0011】
前面パネルPNL2の内面には、陽極電極ADが設けられており、電子源ELS(ELS1,ELS2,ELS3,・・・)から放射される電子eを加速して対応する副画素を構成する蛍光体層PH(PH1,PH2,PH3,・・・)に射突させる。これにより、この蛍光体層PH(PH1,PH2,PH3,・・・)が所定の色光で発光し、他の副画素の蛍光体の発光色と混合されて所定の色のカラー画素を構成する。
【0012】
このような隔壁SPCの配置において、垂直走査方向VSから見て、隔壁SPCの直前に配置された電子源ELS2から放射された電子eの一部はこの隔壁SPCに帯電する。この帯電は、隔壁SPCに対し垂直走査方向VSの下流に位置する電子源ELS3から放射する電子eの軌道を歪ませ、蛍光体層PH3に十分な電子eを射突させることができず、励起不十分となる場合がある。その結果、輝度不足が生じ、色再現性が劣化する。図21には隔壁SPCが負に帯電した場合を記してあるが、正に帯電した場合も同様であることは言うまでもない。
【0013】
したがって、本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電子源から放射される電子の一部が隔壁に帯電することに起因する電子軌道への影響を回避し、蛍光体層の励起不足による輝度不足を防止して、色再現性を向上させた画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために本発明による画像表示装置は、走査信号配線から給電電極を介して電流が供給される電子源を有するとともに、該走査信号配線の上で且つ該走査信号配線に沿って設置され、背面パネルと前面パネルとの間隔を保持する隔壁を有する画像表示装置において、隔壁は第1の電子源と次の走査で選択される第2の電子源との間で第2の電子源側に近接して配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第2の電子源から放出された電子が隔壁に帯電した場合にこの帯電で電子の軌道が影響を受ける第1の電子源は1垂直走査期間(1フレーム期間)後となるので、この帯電は1フレームの間に徐々に放電され、第1の電子源から放射される電子の軌道への影響が極めて小さくなり、蛍光体層の輝度不足を軽減し、色再現性が向上した高輝度且つ高信頼性の画像表示装置を実現できるという極めて優れた効果が得られる。
【0016】
また、本発明によれば、隔壁の帯電が電子軌道に与える影響を最小限に留めることができると同時に走査信号配線を分割駆動したときに生じる画像の不連続及び輝度の不均一を抑制することができるという極めて優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明による画像表示装置の実施例1の構成を説明する模式平面図である。図1において、背面パネルを構成する背面基板SUB1の内面上には画像信号配線d(d1,d2,d3,・・・dn)が形成され、その上に絶縁膜(図示しない)を介して走査信号配線s(s1,s2,s3,・・・sm)が交差して形成されている。図1では、走査信号配線s1の上に隔壁SPCを有し、この隔壁SPCに対し垂直走査方向VSの下流側に電子源ELSが設けられ、接続電極ELCで走査信号配線s(s1,s2,s3,・・・sm)から給電される。この場合、隔壁SPCは、次に走査される垂直走査方向VSの電子源ELSに近接して配置される構造となっている。
【0019】
前面パネルを構成する前面基板SUB2の内面上には陽極電極ADが設けられており、この陽極電極ADの上に蛍光体層PH(PH(R)、PH(G)、PH(B))が形成されている。この構成では、蛍光体PH(PH(R)、PH(G)、PH(B))が遮光層(ブラックマトリクス)BMで区画されている。なお、陽極電極ADはベタ電極として示されてあるが、走査信号配線s(s1,s2,s3,・・・sm)と交差して画素列ごとに分割されたストライプ状電極とすることもできる。電子源ELSから放射される電子を加速して対応する副画素を構成する蛍光体層PH(PH(R)、PH(G)、PH(B))に射突させる。これにより、該蛍光体層PHが所定の色光で発光し、他の副画素の蛍光体の発光色と混合されて所定の色のカラー画素を形成する。
【0020】
図2は、実施例1におけるFEDの背面パネルの構成を示す模式図である。図示しない背面基板の上に複数の画像信号配線d1,d2,d3,・・・dnがy方向に延在し、x方向に並設されている。そして、この画像信号配線と交差させて複数の走査信号配線(垂直走査配線)s1,s2,s3,・・・smがx方向に延在し、y方向に並設されている。各走査信号配線s1,s2,s3,・・・smに対して1行の電子源ELSが接続され、垂直走査方向VSへの順次走査で選択された走査信号配線に接続する電子源ELSに画像信号配線から画像信号が印加される。各走査信号配線s1,s2,s3,・・・smへの走査信号は走査信号線駆動回路(走査ドライバ)SDRから供給され、各画像信号配線d1,d2,d3,・・・dnへの画像信号は画像信号線駆動回路(データドライバ)DDRから供給される。
【0021】
走査信号配線s2の上には、その延在方向(x方向)に隔壁SPCが前面パネル方向すなわちz方向に植立して設置されている。隔壁SPCは全ての走査信号配線の上に設置することも考えられるが、実際には複数の走査信号配線ごとに設置される。また、この隔壁SPCは走査信号配線に沿って一つでなく、幾つかに分割して設置するのが製造の容易性から好ましい。図2では、隔壁SPCは走査信号配線s2の上に2分割して設置されているものとして示した。
【0022】
図3は、走査信号配線に供給される垂直走査信号のタイミングを説明する図である。垂直走査信号は、走査信号配線s1,s2,s3,・・・smに対して図2の走査方向VSに順次印加され、1フレーム期間内に一巡する。
【0023】
図4は、図2のy方向で切断した概略側面図あって隔壁の植立状態と電子源から放出される電子の振る舞いを説明する図である。なお、図4には背面パネルPNL1と共に前面パネルPNL2も示している。背面パネルPNL1の内面には、画像信号配線d(d1,d2,d3,・・・dn)が形成され、その上に絶縁膜(図示しない)を介して走査信号配線s(s1,s2,s3,・・・sm)が交差して形成されている。図4では、走査信号配線s2の上に隔壁SPCが設置され、この隔壁SPCに対し垂直走査方向VSの上流側に電子源ELS1が設けられ、接続電極ELC1で走査信号配線s1から給電され、また、垂直走査方向VSの下流側に電子源ELS2が設けられ、接続電極ELC2で走査信号配線s2から給電される。
【0024】
この隔壁SPCは、電子源ELS1の中心から隔壁SPCの中心までの垂直走査方向VSの距離をL1とし、隔壁SPCの中心から電子源ELS2までの垂直走査方向VSの距離をL2としたとき、L1>L2の関係を有して配設されている。つまり、ある電子源ELS1と次の走査で選択される電子源ELS2の間の隔壁SPCが次の走査で選択される電子源ELS2の近傍に設置されている。なお、この隔壁SPCは、セラミックス材またはガラス材の成型体等により形成されている。
【0025】
なお、この隔壁SPCの寸法は、基板寸法、封止枠の高さ、基板素材、隔壁SPCの配置間隔、隔壁の素材等により設定されるが、一般的には高さは封止枠と略同一寸法、厚さは数十μm〜数mm以下、長さは20mm乃至200mm程度、好ましくは80mm乃至120mm程度が実用的な値となる。また、このスペーサ13は、抵抗値が10〜1010Ω・cm程度の電導性を有している。
【0026】
前面パネルPNL2の内面には陽極電極ADが設けられており、電子源ELS(ELS1,ELS2,ELS3,・・・)から放射される電子eを加速して対応する副画素を構成する蛍光体層PH(PH1,PH2,PH3・・・)に射突させる。これにより、該蛍光体層PH(PH1,PH2,PH3・・・)が所定の色光で発光し、他の副画素の蛍光体の発光色と混合されて所定の色のカラー画素を構成する。
【0027】
このような隔壁SPCの配置において、垂直走査方向VSから見て、図示したように隔壁SPCから距離L1が長い電子源ELS1から放射された電子eは、その一部が隔壁SPCに当たって帯電し難くなり、蛍光体層PH1に向かって放射される。また、図5に示すように次の走査で選択された電子源ELS2から放射された電子eは、隔壁SPCからの距離L2が短いので、その一部が隔壁SPCに当たって帯電し、隔壁SPCに対し垂直走査方向VSの上流に位置する電子源ELS1から放射する電子の軌道に影響を及ぼす可能性がある。
【0028】
しかし、図6に示すように電子源ELS1と電子源ELS3とから放射される電子eには、スペーサSPCからの距離が長いので、電子源ELS1及び電子源ELS3から放射される電子の軌道への影響は極めて小さくなる。最も影響を与える電子源ELS2から放射される電子eについては、その電子源ELS2は1フレーム後に選択されるので、この1フレームの間に隔壁SPCに帯電した電荷が徐々に放電されるように隔壁SPCの表面に導電性被膜等を適宜形成しておくことにより、電子の軌道への影響は極めて小さくなり、輝度不足を軽減し、色再現性が向上した画像表示装置を実現できる。
【実施例2】
【0029】
図7は、本発明による画像表示装置の実施例2の構成を説明する表示パネルの要部拡大断面図であり、前述した図と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図7において、図4と異なる点は、隔壁SPC1は、垂直走査方向VSの上流側の側壁面の傾斜角度がその下流側の側壁面の傾斜角度よりも小さく形成されている。すなわち、図8に要部拡大断面図に示すように隔壁SPC1の上流側の側壁の傾斜角度をθ1とし、下流側の傾斜角度をθ2としたとき、θ1<θ2(直角)の関係を有して形成されている。
【0030】
このような構成においては、隔壁SPC1の垂直走査方向VSの上流側に配置された電子源ELS1から放射された電子eが隔壁SPC1の側壁に帯電し難くなり、1フレーム後の隔壁SPC1の除電が不要となるので、隔壁SPC1の表面への導電性被膜の形成も不要となる。これによって電子eの軌道への影響は極めて小さくなり、輝度不足を軽減し色再現性が向上した画像表示装置を実現できる。
【実施例3】
【0031】
図9は、本発明による画像表示装置の実施例3の構成を説明する隔壁の要部拡大断面図であり、前述した図と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図9において、図8と異なる点は、隔壁SPC2は、垂直走査方向VSの下流側の側壁面の傾斜角度がその下流側の側壁面の傾斜角度よりも大きく形成されている。すなわち、図示したように隔壁SPC2の上流側の側壁の傾斜角度をθ1とし、下流側の傾斜角度をθ2としたとき、θ1<θ2の関係を有して形成されている。具体的には、隔壁SPC2の下流側の傾斜角度θ2が約90°以下で形成されている。
【0032】
このような構成においては、隔壁SPC1の垂直走査方向VSの下流側に配置された電子源ELS2から放射された電子eが隔壁SPC2の側壁に帯電し難くなるので、実施例2と同様に1フレーム後の隔壁SPC2の除電が不要となり、隔壁SPC2の表面への導電性被膜の形成も不要となる。これによって電子eの軌道への影響は極めて小さくなり、輝度不足を軽減し色再現性が向上した画像表示装置を実現できる。
【0033】
図10乃至図12は、本発明による画像表示装置の駆動方法を説明する表示パネルの模式平面図であり、前述した図と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図10に示す画像表示装置においては、表示パネルの画像表示領域ARを略中央部分で分割線Cを設定して上下方向に2分割し、上部側表示領域の各走査信号配線sを垂直走査方向VSUに走査し、下部側走査領域の各走査信号配線sを垂直走査方向VSLに走査する同時駆動することにより、各画像信号配線dを短縮化させ、配線の低抵抗化に特に有効である。また、図11は図10とは逆の上下分割駆動例を示している。
【0034】
また、図12は、表示領域ARの上部側表示領域の各走査信号配線sを垂直走査方向VSUに走査し、下部側表示領域の各走査信号配線sを垂直走査方向VSLに走査する同時駆動することにより、各画像信号配線dを短縮化させ、配線の低抵抗化に特に有効である。また、図13は図12とは逆の上下分割駆動例を示している。
【0035】
ここで、上部表示領域と下部表示領域のブロック垂直走査方向VSLが図10及び図11に示す方向であると、中央部の走査のタイミングにずれが生じて画像の不均一や輝度斑が生じて恐れがある場合には図12及び図13に示す垂直走査方向VLSに走査すれば、画像の不均一及び輝度斑を確実に対策することができる。
【0036】
図14は、図10乃至図13におけるFEDの背面パネルの構成を示す模式図である。図示しない背面基板の上に上部及び下部に亘って複数の画像信号配線d1,d2,・・・dnがy方向に延在し、x方向に並設されている。そして、これらの画像信号配線と交差させて上部に複数の走査信号配線(垂直走査配線)s11,s12,s13,・・・s1m及び下部に走査信号配線s21,s22,s23,・・・s2mがx方向に延在し、y方向に上部及び下部に分割されて並設されている。各走査信号配線s11,s12,s13,・・・s1m及び各走査信号配線s21,s22,s23,・・・s2mに対して1行の電子源ELSが接続され、垂直走査方向VSへの順次走査で選択された走査信号配線に接続する電子源ELSに画像信号配線から画像信号が印加される。
【0037】
各走査信号配線s11,s12,s13,・・・s1mへの走査信号は、上部走査信号線駆動回路(走査ドライバ)SDRUから供給され、各走査信号配線s21,s22,s23,・・・s2mへの走査信号は、下部走査信号線駆動回路(走査ドライバ)SDRLから供給される。上部の画像信号配線d1,d2,・・・dnへの画像信号は上部画像信号線駆動回路(データドライバ)DDRUから供給され、下部の画像信号配線d1,d2,・・・dnへの画像信号は下部画像信号線駆動回路(データドライバ)DDRLから供給される。
【0038】
図15は、上部走査信号配線s11,s12,s13,・・・s1m及び下部走査信号配線s21,s22,s23,・・・s2mに供給される垂直走査信号のタイミングを説明する図である。垂直走査信号は、上部走査信号配線s11,s12,s13,・・・s1m及び下部走査信号配線s21,s22,s23,・・・s2mに対して図10乃至図13の垂直走査方向VSU,VSLに順次印加され、1フレーム期間内に一巡する。
【0039】
このような構成においては、スペーサSPCへの帯電が電子軌道に与える影響を最小限に留めることができるとともに、走査信号配線を上下部に分割駆動したときに生じる画像の不連続及び輝度の不均一を抑制することができる。
【0040】
図16は、実施例1における1カラー画素を構成する電子源ELSの一例を説明する図であり、図16(a)は平面図、図16(b)は図5(a)のA−A’線に沿う断面図、図16(c)は図16(a)のB−B’線に沿う断面図である。この電子源ELSはMIM電子源である。
【0041】
この電子源ELSの構造を、その製造工程で説明する。先ず、背面基板SUB1上に下部電極DED(上記の各実施例における画像信号電極7),保護絶縁層INS1及び絶縁層INS2を順次形成する。次に、層間膜INS3と、上部電極AEDへの給電線となる上部バス電極AED(上記の各実施例における走査信号電極9)と、隔壁SPCを配置するためのスペーサ電極となる金属膜とを例えば、スパッタリング法等により成膜する。層間膜INS3としては、例えば、シリコン酸化物,シリコン窒化物またはシリコン等を用いることができる。ここでは、シリコン窒化物を用い、膜厚は約100nmとした。この層間膜INS3は、陽極酸化で形成する保護絶縁層INS1にピンホールがあった場合、その欠陥を埋め、下部電極DEDと走査信号配線となる上部バス電極(金属膜下層MDLと金属膜上層MALとの間に金属膜中間層MMLとして銅(Cu)を挟んだ3層の積層膜)間の絶縁を保つ役割を果たす。
【0042】
なお、走査信号配線となる上部バス電極は、上記の3層積層膜とは限らず、それ以上またはそれ以下の層数とすることもできる。例えば、金属膜下層MDL、金属膜上層MALとしてアルミニウム(Al)やクロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等の耐酸化性の高い金属材料またはそれらを含む合金やそれらの積層膜を用いることができる。なお、ここでは金属膜下層MDL、金属膜上層MALとしてアルミニウムとネオジム(Al−Nd)の合金を用いた。この他に金属膜下層MDLとしてAl合金とCr、W、Mo等の積層膜を用い、金属膜上層MALとしてCr、W、Mo等とAl合金の積層膜を用いて金属膜中間層MMLのCuに接する膜を高融点金属とした5層膜を用いることで、画像表示装置の製造プロセスにおける加熱工程の際に高融点金属がバリア膜となってAlとCuの合金化を抑制できるので、配線の低抵抗化に特に有効である。
【0043】
上部バス電極としてAl−Nd合金を用いる場合の当該Al−Nd合金の膜厚は、金属膜下層MDLより金属膜上層MALを厚くし、金属膜中間層MMLのCuは配線抵抗を低減するため、できるだけ厚くしておく。ここでは、金属膜下層MDLを約300nm、金属膜中間層MMLを約4μm、金属膜上層MALを約450nmの膜厚とした。なお、金属膜中間層MMLのCuはスパッタ以外に電気めっきなどにより形成することも可能である。
【0044】
高融点金属を用いる上記5層膜の場合は、Cuと同様に特に燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でのウェットエッチングが可能なMoでCuを挟んだ積層膜を金属膜中間層MMLとして用いることが特に有効である。この場合、Cuを挟むMoの膜厚は約50nmとし、この金属膜中間層を挟む金属膜下層MDLのAl合金は約300nm、金属膜上層MALのAl合金は約450nmの膜厚とする。
【0045】
続いて、スクリーン印刷によるレジストのパターニングとエッチング加工とにより金属膜上層MALを下部電極DEDと交差するストライプ形状に加工する。このエッチング加工では、例えば燐酸、酢酸の混合水溶液でのウェットエッチングを用いる。エッチング液に硝酸を加えないことにより、CuをエッチングせずにAl−Nd合金のみを選択的にエッチングすることが可能となる。
【0046】
Moを用いた5層膜の場合も、エッチング液に硝酸を加えないことにより、MoとCuとをエッチングせずに、Al−Nd合金のみ選択的にエッチング加工することが可能である。ここでは、金属膜上層MALを1ピクセルあたり1本形成したが、2本形成することも可能である。
【0047】
続いて、同じレジスト膜をそのまま用いるか、金属膜上層MALのAl−Nd合金をマスクとして金属膜中間層MMLのCuを例えば燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でウェットエッチングする。燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液のエッチング液中でのCuのエッチング速度はAl−Nd合金に比べて十分に速いため、金属膜中間層MMLのCuのみを選択的にエッチングすることが可能である。Moを用いた5層膜の場合も、MoとCuのエッチング速度はAl−Nd合金に比べて十分に速く、MoとCuの3層の積層膜のみを選択的にエッチングすることが可能である。Cuのエッチングにはその他過硫酸アンモニウム水溶液や過硫酸ナトリウム水溶液も有効である。
【0048】
続いて、スクリーン印刷法によるレジストのパターニングとエッチング加工法により金属膜下層MDLを、下部電極DEDと交差するストライプ形状に加工する。このエッチング加工は燐酸、酢酸の混合水溶液でのウェットエッチングで行う。その際、印刷するレジスト膜を金属膜上層MALのストライプ電極の位置からずらすことにより、金属膜下層MDLの一方の片側端部EG1を金属膜上層MALより張り出させて、後の工程で上部電極AEDとの接続を確保するコンタクト部とする。また、金属膜下層MDLの上記一方の片側端部EG1とは反対側の他方の片側端部EG2では、金属膜上層MALと金属膜中間層MMLとをマスクとしてオーバーエッチング加工がなされ、金属膜中間層MMLに庇を形成する如く後退した部分が形成される。
【0049】
この金属膜中間層MMLの庇により、後の工程で成膜される上部電極AEDが分離される。この際、金属膜上層MALは金属膜下層MDLの膜厚より厚くしてあるので、金属膜下層MDLのエッチングが終了しても、金属膜上層MALを金属膜中間層MMLのCu上に残すことができる。これによりCuの表面を保護することが可能となるので、Cuを用いても耐酸化性があり、かつ上部電極AEDを自己整合的に分離し、かつ給電を行う走査信号配線となる上部バス電極を形成することができる。また、CuをMoで挟んだ5層膜の金属膜中間層MMLとした場合には、金属膜上層MALのAl合金が薄くても、MoがCuの酸化を抑制してくれるので、金属膜上層MALを金属膜下層MDLの膜厚より厚くする必要は必ずしもない。
【0050】
続いて、層間膜INS3を加工して電子放出部を開口する。電子放出部はピクセル内の1本の下部電極DEDと、下部電極DEDと交差する2本の上部バス電極(金属膜下層MDL、金属膜中間層MML、金属膜上層MALの積層膜と図示しない隣接画素の金属膜下層MDL、金属膜中間層MML、金属膜上層MALの積層膜)に挟まれた空間の交差部の一部に形成する。このエッチング加工は、例えばCFやSFを主成分とするエッチングガスを用いたドライエッチング法によって行うことができる。
【0051】
最後に上部電極AEDの成膜を行う。この成膜にはスパッタ法を用いる。上部電極AEDとしては、例えばイリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)の積層膜を用い、その膜厚は、例えば約6nmとした。この時、上部電極AEDは、上部バス電極(金属膜下層MDL、金属膜中間層MML、金属膜上層MALの積層膜)の一方の端部(図16(c)の右側)では、金属膜中間層MMLと金属膜上層MALの庇構造による金属膜下層MDLの後退部(EG2)により切断される。そして、上部バス電極の他方の端部(図16(c)の左側)では、上部電極AEDは、上部バス電極(金属膜下層MDL、金属膜中間層MML、金属膜上層MALの積層膜)とは金属膜下層MDLのコンタクト部(EG1)により断線を起こさずに成膜接続されて、電子放出部へ給電される構造となる。
【0052】
図17は本発明の構成を適用した画像表示装置の等価回路例の説明図である。図17中に破線で示した領域は表示領域ARであり、この表示領域ARに画像信号配線d(d1,d2,d3,d4,d5,d6,d7・・・dn)と走査信号配線s(s1,s2,s3,s4,・・・sm)が互いに交差して配置されて、n×mのマトリクスに配列された画素が形成されている。マトリクスの各交差部は副画素を構成し、図中の“R”,“G”,“B”の1グループでカラー1画素を構成する。なお、電子源の構成は図示を省いた。画像信号配線dは画像信号線駆動回路DDRに接続され、走査信号配線sは走査信号線駆動回路SDRに接続されている。画像信号線駆動回路DDRには外部信号源から画像信号DSが入力され、走査信号線駆動回路SDRには同様に走査信号SSが入力される。
【0053】
これにより、順次選択される走査信号配線sに接続された副画素に画像信号配線dから画像信号を供給することにより、二次元のフルカラー画像を表示することができる。本構成例の画像表示装置により、比較的低電圧で高効率のフラットパネル型の画像表示装置が実現される。
【0054】
図18は、平板型画像表示装置を構成する表示パネルの全体の構造を示す斜視図、図19はその断面図を示す。背面パネルPNL1は前記した実施例で説明したように背面基板SUB1の内面に画像信号配線d1,d2,d3,・・・・・dnと、走査信号配線s1,s2,s3,・・・smとのマトリクスで構成された電子源構造を有する。一方、前面パネルPNL2は、前面基板SUB2として透明ガラス基板を用い、その内面に陽極ADと蛍光体層PHとが成膜されている。陽極ADはアルミニウム層を用いた。
【0055】
この前面パネルPNL2と背面パネルPNL1とを対向させ、対向間を所定の間隔に保つために幅約80μm,高さ約2.5mmのリブ状の隔壁SPCを走査信号配線の上で且つ走査信号配線の延在方向に沿って次の走査で選択される電子源に近接してフリットガラスを介在させて固定した。この際、両パネルの周辺部にはガラスからなる封止枠MFLを設置し、両パネルに挟まれた内部空間が外部と隔絶された構造となるように図示しないフリットガラスを用いて両パネルと封止枠とを固定した。
【0056】
フリットガラスを用いた隔壁の固着の際には、約400℃での加熱を行なった。その後、装置内部を約1μPaまで排気管EXCを通して排気した後に排気管EXCを封じ切った。動作の際には、前面パネルPNL2上の陽極ADに約10kVの電圧を印加した。
【0057】
以上の実施例では、電子源にMIM型を用いた構造を例としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、前述した各種の電子源を用いた自発光型FPDに対しても同様に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による画像表示装置の実施例1の構成を説明する模式平面図である。
【図2】実施例1における自発光型FPDの背面パネルの構成を示す模式図である。
【図3】走査信号配線に供給される垂直走査信号のタイミングを説明する図である。
【図4】図2のy方向で切断して隔壁の植立状態と電子源から放出される電子の振る舞いを説明する断面図である。
【図5】図2のy方向で切断した概略側面図であって隔壁の植立状態と電子源から放出される電子の振る舞いを説明する断面図である。
【図6】図2のy方向で切断した概略側面図であって隔壁の植立状態と電子源から放出される電子の振る舞いを説明する断面図である。
【図7】本発明による画像表示装置の実施例2の構成を説明する隔壁の植立状態と電子源から放出される電子の振る舞いを説明する断面図である。
【図8】図7の隔壁の構成の詳細を示す要部拡大断面図である。
【図9】本発明による画像表示装置の実施例3の構成を説明する隔壁の構成の詳細を示す要部拡大断面図である。
【図10】本発明による画像表示装置の駆動方法を説明する表示パネルの模式平面図である。
【図11】本発明による画像表示装置の駆動方法を説明する表示パネルの模式平面図である。
【図12】本発明による画像表示装置の駆動方法を説明する表示パネルの模式平面図である。
【図13】本発明による画像表示装置の駆動方法を説明する表示パネルの模式平面図である。
【図14】図10乃至図13における画像表示装置の背面パネルの構成を示す模式図である。
【図15】走査信号配線に供給される垂直走査信号のタイミングを説明する図である。
【図16】実施例1における1カラー画素を構成する電子源の一例を説明する図である。
【図17】本発明の構成を適用した画像表示装置の等価回路例の説明図である。
【図18】平板型画像表示装置を構成する表示パネルの全体の構造を示す斜視図である。
【図19】図18の断面図である。
【図20】自発光型FPDの背面パネルの構成を示す模式図である。
【図21】図20のy方向で切断して隔壁の植立状態と電子源から放出される電子の振る舞いを説明する断面図である。
【符号の説明】
【0059】
SUB1・・・背面基板、SUB2・・・前面基板、s(s1,s2,・・・sm,s11,s12,・・・s1m,s21,s22,・・・s2m)・・・走査信号配線、d(d1,d2,d3,・・・dn)・・・画像信号配線、ELS・・・電子源、ELC・・・接続電極、AD・・・陽極、BM・・・ブラックマトリクス、PH(PH(R),PH(G),PH(B))・・・蛍光体層、SDR・・・走査信号線駆動回路、DDR・・・画像信号線駆動回路、AR・・・画像表示領域、SPC・・・隔壁、SPC1・・・隔壁、SPC2・・・隔壁。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面パネルと、前面パネルと、前記背面パネルと前記前面パネルの周縁に介在して当該背面パネルと前面パネルが所定間隔をもって対向する内部空間を所定の真空状態に封止する封止枠を備えた表示パネルで構成した画像表示装置であって、
前記背面パネルは、一方向に延在し該一方向と直交する他方向に並設されて前記他方向に走査信号が順次印加される複数の走査信号配線と、前記他方向に延在し前記走査信号配線に交差する如く前記一方向に並設された複数の画像信号配線と、前記走査信号配線と前記画像信号配線の各交差部近傍に設けられた電子源と、前記走査信号配線に接続して前記電子源に電流を供給する給電電極とを形成した背面基板を有し、
前記前面パネルは、前記電子源のそれぞれに対応して設けられた蛍光体層と、前記給電電極と前記画像信号配線との間の電位差に応じて前記電子源から放出される電子を前記蛍光体層に指向する如く加速するための加速電極とを形成した前面基板を有し、
前記走査信号配線の一部の上面で且つ当該走査信号配線の延在方向に沿って前記背面パネルと前面パネルとの間隔を保持する隔壁が設けられ、当該隔壁は第1の電子源と次の走査で選択される第2の電子源との間で当該第2の電子源側に近接して配置されたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記電子源は、下部電極と上部電極及び前記下部電極と前記上部電極の間に挟持される電子加速層を有し、前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加することで該上部電極より電子を放出する薄膜型電子放出素子であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記隔壁は、前記走査信号配線の上に複数に分割して設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記隔壁は、前記背面パネル側から前記前面パネル側に向かって壁幅を徐々に小さくしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記隔壁は、前記第2の電子源側の壁面傾斜角度が前記第1の電子源側の壁面傾斜角度よりも大きくしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記隔壁は、前記走査信号配線上に複数に分割して設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記隔壁は、10〜10Ω・cmの抵抗値を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記前面パネルに有する蛍光体層は、赤、緑、青の3色から構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記前面パネルに有する蛍光体層は赤、緑、青の3色から構成され、各蛍光体層は遮光層で区画されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記複数の走査信号配線を表示領域内で複数ブロックに分割し、分割された各走査信号配線を同時駆動させることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れかに記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−103024(P2007−103024A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287419(P2005−287419)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】