説明

画像表示装置

【課題】紙文書の取り扱いを日常的な動作で実現し、かつ閲覧状況に応じて見かけ上の表示領域を変更することができる画像表示装置を提案する。
【解決手段】本発明の表示装置Aは、少なくとも2つ以上の、この場合に、第1及び第2表示デバイス(液晶ディスプレイ等の表示デバイス、もしくは電子ペーパー)1及び2が設置可能な構成となっている。さらには、第1及び第2表示デバイス1及び2に表示する文書や画像の記憶を行うROM及び表示のための一時的な記憶を行うRAMにより構成されるメモリ4、表示のためのドライバ3、複数の表示デバイスの相対的な位置を検出し、かつこの位置の変化から、移動可能な表示デバイスに加えられた動作を検出する動作検出手段7及び全体の動作を制御するCPU6、さらには、それらの動作に必要な電力を供給する電源5を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ブックや携帯情報装置に用いられる画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ブックとよばれる情報機器が製品化されている。電子ブックは紙を束ねた旧来の本の形態では物理的に困難な膨大な情報の蓄積と表示を可能にしている。
電子ブックは液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイを用いた表示部と情報の保持部を備えた形態が一般的であるが、1つのディスプレイ上で多くの頁情報を扱うという制限があるため、情報機器としての使い勝手の向上や新たなインターフェースの開発が試みられている。
【0003】
情報機器のディスプレイ部に接触させた指の接触圧力や接触面積、接触位置などを検出して頁を更新する機能を付加したユーザインターフェイスが提案されている(例えば、特許文献1乃至4参照)。
特許文献1には、液晶ディスプレイなどの表示部に触れた指の接触と移動方向から、頁めくり入力の有無を判断し、頁めくり入力がなされたと判断された場合に、現在表示部に出力されている頁の画像情報をその前後いずれかの頁の画像情報に更新する情報機器が開示されている。
一方、上記電子ブックを旧来の紙の感覚で実現しようとする新たなデバイスとして現在注目されているのがフレキシブルな電子ペーパーである。
【0004】
特許文献2には、表示部に加えられた曲がりの方向、曲がりの量及び曲がりの継続時間などを検出し、検出された量から頁めくり入力の有無を判断し、頁めくりを行うものが提案されている。この方法は、屈曲性のあるフレキシブル表示デバイスに限定され、屈曲性がない、もしくは低い表示デバイスには使用できない。
特許文献3には、加速度センサを利用して、上下左右の急な動きを検出し頁めくりを行うユーザインターフェイスの技術が提案されている。しかし、ユーザが紙文書を取り扱う時に行う日常動作と大きく異なるため、誤操作をし易いといった問題がある。
特許文献4には、ジャイロスコープを利用した方法も提案されている。この方法では前後の頁を見るためには電子ブックを左又は右回転させ裏返す必要があり、連続的に頁めくりを行うための動作が大きく操作に問題があった。
【特許文献1】特開2000−163193公報
【特許文献2】特開2004−318123公報
【特許文献3】特開2002−287729公報
【特許文献4】特開2003−216300公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年製品化されている電子ブックや携帯情報端末には、液晶などの表示デバイスを使用した比較的屈曲性のない表示デバイスや、電子ペーパーと呼ばれる屈曲性の高い表示デバイスなどが存在する。
いずれの表示デバイスにおいても、ユーザが日常的な感覚で操作できることが好ましく、そうしたユーザインターフェイスを実現することが、こうした表示装置を普及させる上で非常に重要である。
とくに、電子ブックと称せられる情報表示装置においては、名前のとおり、紙により作成された書籍を取り扱う時と同等の操作性で、操作できることが好ましい。しかし、一口に紙書類といってもその形態によって要求される操作性が異なる場合がある。
【0006】
例えば、製本された書籍、例えば、文庫本のようなものを取り扱う時と、コピーされた会議資料のように、書類の束として重ねられた文書を取り扱う時では、使い方が異なっている。
つまり、前者は順次ページ送りをしていけばよく、その場合には、特許文献1及び2が実現しようとしているような、指によりページの端を摘むのに似た動作が近いと言える。
しかし、後者の場合は、前者同様の読み方の他に、書類の束を多少の重なりをもって広げ、見えている部分に書かれている情報から、興味のある目的のページを引き出すような動作を行うこともある。
【0007】
また、紙文書がそうであるように、電子ブックもいろいろな環境において文章を読むことが想定される。例えば、混雑した電車の中で通勤客が新聞を折り畳んで読むような環境では、よりコンパクトな表示形態である電子ペーパーが要求され、逆に机の上では、ゆったりと新聞を広げて読むように、一度に多くの情報を閲覧したいという要求もある。こうした、要求を1つの表示デバイスで実現できるのであれば、表示装置として非常に好適な形態といえる。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、上述のような紙文書の取り扱いを日常的な動作で実現し、かつ閲覧状況に応じて見かけ上の表示領域を変更することができる画像表示装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の表示デバイスからなる画像表示装置において、前記表示デバイスの少なくとも1つはスライド自在の構成を有することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記表示デバイスの位置及び移動を検知するための位置検出手段と、前記位置検出手段による検出結果に基づき表示内容を制御する制御手段を有することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、複数の表示デバイスの重なり量を検出する重なり量検出手段を備え、前記制御手段は検出された重なり量に応じて表示範囲を制御する請求項1又は2記載の画像表示装置を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記位置検出手段が往復スライド動作を検出した時、表示内容の更新を行う請求項1又は2記載の画像表示装置を特徴とする。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、前記制御手段が、往復スライド動作における前記表示デバイスの移動速度及び/又は移動幅に応じて表示内容の更新を制御する請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像表示装置を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、特定の表示デバイスの情報のみを更新するモードと複数の表示デバイスの内容を更新するモードを少なくとも有し、前記モードを切り換えるモード切り換え手段を備える請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像表示装置を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記スライド動作の移動方向により表示内容を異ならせる請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像表示装置を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記制御手段は、互いにスライド可能な複数の表示デバイスの相対的な位置関係とスライド動作に応じて表示内容を制御する請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像表示装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の表示デバイスにより構成された画像表示装置において、表示デバイスをスライド可能としているので、必要に応じて閲覧可能な表示領域を調整することができる。つまり、閲覧するために画像表示装置を広げるのに十分なスペースが確保できない場合(例えば、混雑した電車の中で閲覧するような場合)には、表示領域を狭くして使用し、そうでない場合には、表示デバイスをスライドにより引き出し、表示領域を広くして使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明に関わる画像表示装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。図1に示す本発明の表示装置Aは、少なくとも2つ以上の、この場合に、第1及び第2表示デバイス(液晶ディスプレイ等の表示デバイス、もしくは電子ペーパー)1及び2が設置可能な構成となっている。
さらには、第1及び第2表示デバイス1及び2に表示する文書や画像の記憶を行うROM及び表示のための一時的な記憶を行うRAMにより構成されるメモリ4、表示のためのドライバ3、複数の表示デバイスの相対的な位置を検出し、かつこの位置の変化から、移動可能な表示デバイスに加えられた動作を検出する動作検出手段7及び全体の動作を制御するCPU6、さらには、それらの動作に必要な電力を供給する電源5を有している。
【0012】
図2は本発明に関わる画像表示装置の第2の実施の形態を示すブロック図である。図2では、第1及び第2表示デバイス1及び2に加える移動動作と組み合わせて使用することで新たな機能を発現させるための、例えば、ボタンなどの入力手段8を構成要素として加えている。
【0013】
図3は本発明に関わる画像表示装置の第3の実施の形態を示すブロック図である。図3では、図1及び図2とは異なり、膨大なページ情報を記憶したメモリ9を外部装置として分離し、画像表示装置本体とは無線通信手段(例えば、赤外線、ブルートゥース(Bluetooth)などの通信手段)により表示データの通信を行う送受信機10及び11を備えている。
また、表示デバイス側装置には、表示を書き換えるためのデータを一時記憶する書き換え用メモリ8aが設けられている。さらに、膨大なページ情報を記憶したメモリ9を制御するCPU6aが加えられている。
【0014】
図3の構成とすることにより、表示するための膨大なページ情報を記憶する記憶装置としてハードディスクなどの大容量記憶デバイスを使用しても、操作者が書類を閲覧するために直接保持する表示部分のサイズを大きくせずに済ませることができる。
とくに、カラー画像をこの画像表示装置Aで使用する場合には、情報量が増えるので、図1及び図2で示した構成では、記憶装置が大きくなるため、装置の小型化が困難となるが、図3の構成であれば、そうした問題を回避することができる。図1乃至図3に示した画像表示装置Aの構成は個々の図でとくに示した構成を除いて図1に示した構成と同じであるので、図1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0015】
図4は本発明の画像表示装置の第1の実施の形態の構成と表示例を示す概略図である。図5は図4に示した画像表示装置の表示デバイス支持部を示す概略断面図である。図6は表示デバイスの1部分を示す概略断面である。
図4乃至図6を参照して、この画像表示装置Aは、第1表示デバイス1及び第2表示デバイス2の2つの表示デバイスにより構成されている。図4では、第1表示デバイス1には、Page(ページ)5の内容が表示され、第2表示デバイス2にはpage(ページ)6の内容が表示されている。
【0016】
第1表示デバイス1右端は、新たな機能を発現させるためのボタンなどの入力手段8を下方に備えて表示デバイス支持体12に固定されており、第2表示デバイス2は、スライド(摺動)的に移動可能なように構成されている。
つまり、第1及び第2表示デバイス1と2を重ねて第1表示デバイス1のみが見える状態から、第2表示デバイス2をスライドさせて2つの表示デバイス1と2をほぼ並置した状態で2画面を見ることも可能としている。
当然のことながら、第2表示デバイス2が半分隠れたような(図示したような状態)状態での使用も可能である。つまり、本発明の画像表示装置Aは、実質的な表示サイズを変更することが可能な画像表示装置となっている。
【0017】
これにより、混雑した電車の中で新聞を折り畳んで読むのと同様に、書類を閲覧するスペースが十分に確保できない状態では、表示エリアを第1表示デバイス1のみか、又は必要に応じて第2表示デバイス2を若干引き出す程度の状態で書類を閲覧し、机の上のようにスペースが十分に確保できる環境では、第2表示デバイス2を全て引き出した状態で閲覧するといった使用が可能となる。
さらに、画像表示装置Aの機械的な構成について説明する。図5は、図4に示した画像表示装置の表示デバイス支持部12の断面を示したものである。この表示デバイス支持部12には、第1及び第2表示デバイス1及び2を取り付けるための取り付け溝12a、12bが設けられている。
【0018】
図5の右側の取り付け溝12bは第1表示デバイス1を設置するための溝であり、図示しない固定具により固定されている。ただし、前記表示デバイス支持部12には表示デバイスの書き換えのための電子的な接続を行う接点13が設けられており、この接点13を通して表示デバイスの書き換えが行われる。
図5の左側に位置するT字状の取り付け溝12aは、図4に示す第2表示デバイス2をスライド可能な状態で設置するための溝である。T字状の取り付け溝12aに図6に示すような表示デバイス(この場合に第2表示デバイス2)を嵌め込むことにより、スライド動作を可能としている。
図5のT字状溝部12aには板ばね14が設けられており、第2表示デバイス2(図6)を図面下方向へ押し付ける圧力を発生させている。T字状の取り付け溝12a及び図6の第2表示デバイス2には書き換えのための電子的な接続を行う接点15及び16が設けられており、これらを確実に接触させることができるようになっている。
【0019】
また、図6に示した第2表示デバイス2の側面には、この第2表示デバイス2の位置を検出するために使用される位置検出用マーク17が形成されている。この位置検出用マーク17は光学的な検出を行うためのマーク(例えば、ラダーパターン)が形成されているか、もしくは磁気的な検出を行うための磁気パターンであってもよい。
図5のT字状溝12a部分には、前記光学もしくは磁気的な位置検出用マーク17を検出するための位置検出器18が設けられている。位置検出を行うための位置検出器はリニアエンコーダで一般的に用いられている技術であり、本発明はスライド動作を検出するための検出方法を特定するものではないので、検出方法に関わる詳細は省略する。
【0020】
また、スライド動作を検出する前述の方法とは異なる方法として、特許文献3で用いられている加速度センサを使用してもよい。ただし、特許文献3とは異なり、第1表示デバイス1と第2表示デバイス2それぞれに加速度センサを設け、相対的な加速度の差を検出する。
つまり、第1表示デバイス1を基準に他の表示デバイスの加速度変化を検出し、検出された相対的な加速度の方向変化から往復スライド動作であったか否かが判断され、また加速度の大きさと、往復に掛かった時間から、ページめくり動作か否かを判別する。
【0021】
上記方法によれば、検出する加速度変化は基準表示デバイスとの相対的な加速度の変化であるから、画像表示装置全体が振動しているような状態であっても、誤動作することなく、後述するページめくり動作を実施することができる。いずれにしても、スライド動作による表示デバイスの位置とスライド動作の速度及びその移動方向はセンサ出力を基に、図1乃至図3の動作検出手段7において算出される。
表示デバイスの位置及びスライド移動を検出するための位置検出手段18を設け、表示デバイスの移動により表示を制御しているので、表示デバイスの移動により表示のオン/オフを制御することができ、前面の表示デバイスに隠れて見えない、表示デバイスにまで表示を行うことを回避できるので、表示装置が消費する電力を省力化することができる。
【0022】
図7は本発明の画像表示装置の第2の実施の形態の構成と表示例を示す概略図である。図8は図7に示した画像表示装置の表示デバイス支持部を示す概略断面図である。
図8は、図7の画像表示装置の表示デバイス支持部12の断面を示したものであり、この表示デバイス支持部12には、第1及び第2表示デバイス1及び2がスライド可能であるようにT字状の溝12a、12cが設けられている。詳細な構成は図5で示したT字状の溝12aと同じであるので説明は省略する。
図9は本発明の画像表示装置の第3の実施の形態の構成例を示す概略図である。図10は本発明の画像表示装置の第4の実施の形態の構成例を示す概略図である。図9及び図10は、図4及び図7で示した画像表示装置とは異なる装置構成の例を示している。
つまり、図9及び図10ともに、第1表示デバイス1は、その他の表示デバイス(図中では第2及び第3表示デバイス2及び21)を格納する格納部19、20と一体に構成されていることが特徴となっている。
【0023】
図9の格納部19はハードケースにより構成されている例であり、図10の格納部20はフレキシブルな素地により構成されている例を示したものである。しかしながら、格納部19、20の素材、屈曲性については本発明を限定するものではない。図9、図10に示すように、格納部19、20を設けることによって、表示デバイスが外力を受けてスライド手段から外れてしまうといった事態を避けることができる。
【0024】
図11は本発明による画像表示装置の表示方法に関して説明する概略図である。上述した本発明による種々の画像表示装置の表示方法について説明する。図11は、第1表示デバイス1の後ろに、第2表示デバイス2の一部が隠れている状態を示している。
図中の点線で囲んだ部分は、各表示デバイス上に情報が表示されている領域を表している。つまり、第2表示デバイス2は、第1表示デバイス1との重なっている領域を位置検出器18(図5及び図8)により検知し、隠れている領域には画像の書き込みを行わない。
また、第2表示デバイス2が引き出された場合には、引き出された領域部分に対して追加書き込みを行い、一度表示された領域を押し込む場合には、表示内容に変更は加えない。
【0025】
これにより、全ての領域を書き換える場合よりも消費電力を押さえることが可能となる。また、この時、好適には第1および第2表示デバイス1と2に情報が表示された領域が、若干の重なりを持つように第2表示デバイス2の表示領域を決定する。
これにより、手のぶれにより第2表示デバイス2が若干引き出された場合にも、引き出された幅に対応する追加書き込み領域は、第1表示デバイス1に隠れた部分で行われるので、書き換えに伴う部分的なチラツキを操作者に知覚させないので、操作感を向上させることができる。
このように、スライド動作検出手段7が有する表示デバイス位置検出手段18により、表示デバイス間の重なり領域を検出し、表側の表示デバイス(図11では第1表示デバイス1)に隠れた部分には表示を行わないように制御する構成であるので、スライド移動により任意の重なりを持って並置された表示デバイスに対し、情報の読み取りが可能な領域のみに表示を行うことができるので、消費電力の省力化と操作性確保が図れる。
【0026】
ページめくり方法の第1の実施の形態として、図4の画像表示装置におけるページめくり動作について、以下に説明する。本発明においてページめくりは、表示デバイスの往復スライド動作により実施する。
つまり、図4の第2表示デバイス2をいったん引き出し、再び戻すという往復スライド動作を画像表示装置Aが検出すると、ページめくりの指示と判断し、新たな表示内容をメモリ4(例えば、図1)から読み出し、第1表示デバイス1及び2の書き換えを実施する。
【0027】
この時、往復スライド動作における動作速度及び/又はスライド幅に基づき、ページめくり指示か否かの判定を行う。これにより、手ぶれなどにより、勝手にページがめくられるといった誤動作を回避することができる。
つまり、ゆっくりと表示デバイスを往復動作させてもページめくりは実施されないし、当然、一方向に引き出す、もしくは押し込むといった動作ではページめくりは実行されない。また、ページを進める場合と戻す場合を、スライドさせる方向により分離することができる。
【0028】
図12はページを進める場合の動作の第1の実施の形態を示す概略図である。図13はページを戻す場合の動作の第1の実施の形態を示す概略図である。図12及び図13では第1表示デバイス1と、第2表示デバイス2が記載されている。
図4、図12および図13を参照して、2つの表示デバイスの位置関係が図4に示すようにあった場合、例えば、第2の表示デバイス2をいったん右方向に引き出し、再び戻す。この往復スライド動作(右→左)が検出された場合には、ページを次ページに進める(図12)。逆に、第2の表示デバイス2を左方向に押し込み、再び戻す往復スライド動作(左→右)が検出された場合には、ページを戻す(図13)。
【0029】
本発明におけるページめくり動作は、操作者が第1表示デバイス1を左手で保持し、右手で第2表示デバイス2を保持した状態から、ページめくりをするようにしているので、ボタンの探索、又は表示部の一部の屈曲を行うために画像表示装置を保持している手をそれから離すことなくページめくりを実施することができる。
従来のボタンなどによりページめくりを行う場合には、表示媒体の持ち替えやボタンを押す動作が必要となるので、書類の内容に向けていた集中が途切れてしまっていたが、本発明によれば、画像表示装置を持ち替えたり、ボタンを探すといった動作が必要ないので、読書に集中していた状態を切らすことなく、ページめくりを実施することができる。
また、スライドさせるという動作は、書類の束から1ページを引き出す日常的動作と基本的に同じであり、操作者に対し、紙文書を扱う時と同等の操作感を与えることができる。
【0030】
上述したように、スライド動作検出手段7を設け、このスライド動作検出手段7が往復スライド動作と判断した場合にページめくりを実施させているので、画像表示装置を、本を持つ時と同様に両手で保持した状態から、手を離すことなく、ページめくりを実行することが可能となるので、表示情報に向けていた集中状態を切ることなく、ページめくりを実行することができる。
【0031】
図14はページめくり方法の第1の実施の形態の処理の流れを説明するフローチャートである。図15は図14のページ送り動作が選択された場合の処理を説明するフローチャートである。
図1、図14及び図15を参照して、本発明の画像表示装置Aでは、図1に記載した動作検出手段7が常に表示デバイスが移動したか否かの検出を行い(S1)、移動を検出した場合には、その移動が往復動作であったか否かを判断する(S2)。往復動作ではない場合にはステップ(S1)へ戻って移動の検出を継続する。
往復動作である場合には、移動動作における移動速度、移動幅、移動方向を動作検出手段7から取得(S3)し、移動速度が閾値以上であるか(S4)、移動幅が閾値以上であるか(S5)を判定する。ステップ(S4、S5)において閾値以下である場合には、ページめくり動作ではないと判断し、ステップ(S1)へ戻る。
次に、移動方向は右から左への往復であったか(S6)を判定し、判定結果に基づきページ送り動作(S8)、もしくはページ戻しの動作(S7)を選択する。
【0032】
図15は図14でページ送り動作(S8)が選択された場合の処理を説明するものである。ページ送り動作(S8)が選択されると、図1に示すように、画像表示装置Aに設置されている表示デバイスの数を検出し、その数をメモリ4上にセットする(表示デバイス数が固定の場合には、検出の必要はない)。
また、後段で表示内容を書き換える表示デバイス番号を指定するためのパラメータiをi=1として初期値をセットする(S10)。次に、ステップ(S11)において、i=i+1とカウントアップし、表示デバイスiの内容を用いて、表示デバイス(i−1)を書き換える。ステップ(S11)の処理をi=Nとなるまで繰り返す(S12)。
【0033】
表示デバイス番号Nに現在表示されているページ番号Pを検出(S13)し、ページ番号P+1のデータをメモリ4から読み出す(S14)。読み出したP+1ページの画像情報を用いて表示デバイスNを書き換える(S15)。以上のステップにより全ての表示デバイスの内容が1ページ分送られる。ページ戻し動作は、ページ送り動作と基本的に同等なので説明は省略する。
このように、スライド動作検出手段7を設け、検出した往復スライド動作における、スライドによる移動速度及び/又は移動幅によりページめくり動作の指示か否かを判別したうえでページめくりを実施するので、表示デバイスを保持していたユーザの手ブレなどにより誤ってページめくりが実行されるといった事態を回避することができる。
【0034】
図16はページを進める場合の動作の第2の実施の形態を示す概略図である。図17は第2の実施の形態における組み合わせ例を概略図である。図16及び図17では第1表示デバイス1と、第2表示デバイス2が記載されている。
図7及び図16は、図4、図12及び図13で説明したページめくり方法とは異なる方法を説明するためのものである。図7の実施の形態は、図4の実施の形態とは異なり、第1表示デバイス1も第2表示デバイス2同様に、表示デバイス支持体12に対しスライド可能に構成されている。
従って、第2表示デバイス2は、図4に示すように、第1表示デバイス1の右側に配置された状態から、図7に示すような第1表示デバイス1の左側に配置変換することが可能となっている。
【0035】
図7で示す画像表示装置Aでは、第2表示デバイス2を第1表示デバイス1の右側から左側へ移動させることにより、表示ページの切り換えを行うことができる。
図4では、第1表示デバイス1にPage5、第2表示デバイス2にPage6が表示されており、これを図7に示す状態に、各表示デバイス1、2をスライド移動させることで、第2表示デバイス2の表示内容を、Page6からPage(ページ)4へ書き換えている。
図16は、上記説明に加え、ページを戻す操作を繰り返し行う場合には、第2表示デバイス2が第1表示デバイス1の左側にある状態で、往復スライド動作させることでページを戻す様子を示している。
この実施の形態では、第1の実施の形態で行ったような、往復スライド動作を行う時のスライド方向の検出を行う必要はなく、第1及び第2表示デバイス1と2の相対的な位置関係を求めておくことで、ページを進めるのか戻すのかの切り換えを行うことができる。
【0036】
図17は、ページめくりの第2の実施の形態における組み合わせ例を示したものである。これにより、紙の書類を閲覧している時、他のページを抜き出し、そこに記載された内容(例えば、図表)を参考にするといった日常的な閲覧動作を、本発明の画像表示装置でも実現することができる。
図18はページめくり方法の第2の実施の形態におけるページめくり処理を説明するフローチャートである。ステップ(S20)乃至(S24)は、図15のステップ(S1)乃至(S5)と同等であるので説明は省略する。
ステップ(S25)において、移動した表示デバイスが第1表示デバイス1(説明上、第1表示デバイス1を基準とする)の左側にあるのか、右側にあるのかを判定する。判定結果に基づいて、ページ送り動作(S27)もしくはページ戻し動作(S26)かを選択する。
【0037】
図19はボタンを押しながらのページの切り換わりの様子を示す概略図である。図20はページめくり第1の実施の形態のページを戻す動作と組み合わせた例を示す概略図である。
次に、ページめくり方法の第3の実施の形態について説明する。図4及び図7の表示デバイス支持体12には、ボタン8を備えている。このボタン8は、ページめくり方法の第1及び第2の実施の形態で説明したスライド動作と組み合わせることにより、以下に説明するページめくり動作を可能にするためのものである。
図19には、ボタン8を押しながら、第2表示デバイス2をいったん右側に引き出し、再び戻すスライド動作(右→左)を行った場合の、ページの切り換わりの様子を示している。
つまり、ボタン8を押しながらスライド動作を行った場合には、第1表示デバイス1の表示内容を変更しない。これは、図示したようなボタンに限定するものではなく、スイッチであってもよく、上記動作を行わせるために、スライド動作と組み合わせる方法は限定しない。
【0038】
図20には、ページめくり方法の第1の実施の形態のページを戻す動作と組み合わせた例示している。これにより、紙の書類を閲覧している時、他のページを抜き出し、そこに記載された内容(たとえば、図表)を参考にするといった日常的な閲覧動作を、本発明の画像表示装置でも実現することができる。
なお、ボタン押下状態でページめくりを行った後、ボタン8を押さない状態でページめくりを行った場合には、第1及び第2の実施の形態で説明したページめくり動作が実施され、第1表示デバイス1を基準とした連続的なページが表示される。
従来の表示装置では、このような表示方法を行うためには複数のボタン操作により指定する必要があり、操作が複雑になるとともに、紙書類の取り扱いとは大きく異なる動作であるため、ボタンの押し間違いなどを発生させる原因ともなっており、操作性を低下させていた。
【0039】
本発明の第3の実施の形態によれば、現在閲覧中の表示ページは固定して(変えずに)、他の表示デバイスに表示されているページ内容のみを切り換える表示を、1ボタンのみの押下と書類を束から引き出す日常的な動作と類似したスライド動作により実現することができ、操作性の高い表示装置を提供することができる。
また、特定の表示デバイスのみの表示情報を切り換えるモードと複数の表示デバイスの表示情報を切り換えるモードを持つようにしたので、連続したページを順次ページめくりを行う、製本された書籍のページをめくるのに相当した使用方法のほか、大きくページ番号の異なるページ情報を並置して見比べる、束になった書類から興味のあるページを抜き出して閲覧する使用法が可能となり、画像表示装置の操作性を紙文書の操作性に近づけることができ、操作性の向上を図ることができる。
【0040】
図21はページ送り動作が選択された場合の処理の流れを説明するフローチャートである。ページめくり方法の第3の実施の形態におけるページめくり処理を説明する。
ページめくり方法の第3の実施の形態は図14のページ送り動作(S8)もしくはページ戻し動作(S7)を選択するまでは、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同等であるので説明は省略する。
図21を参照して、ページ送り動作が選択された場合の処理の流れを説明する。ページ送り動作が選択された時、ステップ(S30)においてボタン8(図4)が押されているか否かを判断する。ボタン8が押されていない場合は、図15で説明したページめくり動作のステップ(S10)乃至(S15)と同等である。
【0041】
ボタン8が押された場合には、スライド動作した表示デバイスの番号iを検出し(S31)、表示デバイスiに表示されているページ番号Pを検出する(S32)。メモリ4(図1)からページ番号P+1の画像情報を読み出し(S33)、表示デバイスiの内容を読み出したページ番号P+1の情報内容で書き換えを行う(S34)。
このように、スライド動作検出手段7を設け、往復スライド動作においてスライドさせる方向により、ページを送るのか戻すのか選択させているので、書類の束から書類を引き出すのと類似した日常動作により、ページ送り、戻しを自在に操作することが可能となり、操作性の向上を図ることができる。
【0042】
また、互いにスライド可能な複数の表示デバイスの相対的な位置関係とスライド動作により表示内容を異ならせるようにしたので、例えば、基準表示デバイスに対して、他の表示デバイスが右側にある状態で行う往復スライド動作と、左側にある時の往復スライド動作に対する意味(ページを送るか又はページを戻す)を異ならすことができる。
これは、紙文書をページ順に並べる場合に、左側から順に並べるのと感覚的に類似しているため、上述したスライドの方向によりページめくり動作を異ならせるよりも分かり易いので、操作性の高い画像表示装置を構成できる。
【0043】
本発明の構成の形態の例を図4、図7、図9、及び図10を用いて説明したが、本発明が提案するところは、これに限定するものではない。図4、図7、図9、及び図10の構成では、スライドを行うための機構を備えた形態となっているが、この機構は必ずしも必要ではなく、各表示デバイスに書き換え機能を有し、少なくとも1つの表示デバイスに他の表示デバイスとの相対的な位置及びその変化を検出する機能を備えてもよい。
これにより、独立した表示デバイスを、あたかも1枚の紙文書のように取り扱うのと同様な日常的動作により、膨大な文書情報を少数の表示デバイスにより表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に関わる画像表示装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に関わる画像表示装置の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】本発明に関わる画像表示装置の第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図4】本発明の画像表示装置の第1の実施の形態の構成と表示例を示す概略図である。
【図5】図5は図4に示した画像表示装置の表示デバイス支持部を示す概略断面図である。
【図6】表示デバイスの1部分を示す概略断面図である。
【図7】本発明の画像表示装置の第2の実施の形態の構成と表示例を示す概略図である。
【図8】図7に示した画像表示装置の表示デバイス支持部を示す概略断面図である。
【図9】本発明の画像表示装置の第3の実施の形態の構成例を示す概略図である。
【図10】本発明の画像表示装置の第4の実施の形態の構成例を示す概略図である。
【図11】本発明による画像表示装置の表示方法に関して説明する概略図である。
【図12】ページを進める場合の動作の第1の実施の形態を示す概略図である。
【図13】ページを戻す場合の動作の第1の実施の形態を示す概略図である。
【図14】ページめくり方法の第1の実施の形態の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図15】図14のページ送り動作が選択された場合の処理を説明するフローチャートである。
【図16】ページを進める場合の動作の第2の実施の形態を示す概略図である。
【図17】第2の実施の形態における組み合わせ例を概略図である。
【図18】ページめくり方法の第2の実施の形態におけるページめくり処理を説明するフローチャートである。
【図19】ボタンを押しながらのページの切り換わりの様子を示す概略図である。
【図20】ページめくり第1の実施の形態のページを戻す動作と組み合わせた例を示す概略図である。
【図21】ページ送り動作が選択された場合の処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
A 画像表示装置
1 第1表示デバイス
2 第2表示デバイス
4 メモリ
6 制御手段(CPU)
7 動作検出手段(重なり量検出手段)
8 入力手段(ボタン、モード切り換え手段)
8a 書き換え用メモリ
9 メモリ
12 表示デバイス支持体
12a 取り付け溝
12b 取り付け溝
13 接点
15 接点
16 表示デバイス側接点
17 位置検出用マーク
18 位置検出手段(位置検出器)
19 格納部
20 フレキシブルな格納部
21 第3表示デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示デバイスからなる画像表示装置において、前記表示デバイスの少なくとも1つはスライド自在の構成を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記表示デバイスの位置及び移動を検知するための位置検出手段と、前記位置検出手段による検出結果に基づき表示内容を制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
複数の表示デバイスの重なり量を検出する重なり量検出手段を備え、前記制御手段は検出された重なり量に応じて表示範囲を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記位置検出手段が往復スライド動作を検出した時、表示内容の更新を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、往復スライド動作における前記表示デバイスの移動速度及び/又は移動幅に応じて表示内容の更新を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項6】
特定の表示デバイスの情報のみを更新するモードと複数の表示デバイスの内容を更新するモードを少なくとも有し、前記モードを切り換えるモード切り換え手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記スライド動作の移動方向により表示内容を異ならせることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記制御手段は、互いにスライド可能な複数の表示デバイスの相対的な位置関係とスライド動作に応じて表示内容を制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−3521(P2008−3521A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175919(P2006−175919)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】