画像表示装置
【課題】観視者の要求目的に沿って求められる表示輝度に経時的に追従する画像表示装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の画像表示装置は、外部からの映像信号を受ける映像信号入力部10と、映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量を演算する映像特徴量演算部20と、映像特徴量に基づいて、映像信号の表示輝度レベルの最大値及び時間的変化を制御する表示輝度制御部30と、表示輝度制御部30で制御された表示輝度レベルに応じて映像を表示する表示部70と、を備える。
【解決手段】本発明の画像表示装置は、外部からの映像信号を受ける映像信号入力部10と、映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量を演算する映像特徴量演算部20と、映像特徴量に基づいて、映像信号の表示輝度レベルの最大値及び時間的変化を制御する表示輝度制御部30と、表示輝度制御部30で制御された表示輝度レベルに応じて映像を表示する表示部70と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号に応じて表示輝度の最大値と時間的変化を制御する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭で使用されるテレビ受像機等の画像表示装置は、ブラウン管ディスプレイに代わって、液晶画像表示装置やプラズマ画像表示装置等のフラットパネルディスプレイ(FPD)が普及している。そして、FPDはデバイス性能の向上により高輝度化が進んでいる。
【0003】
しかし、画像表示装置が高輝度化することによって視認性は高まるものの、まぶしさ感による疲労や目の疲れを生じさせる要因となっている。
【0004】
また、消費電力を削減するという観点からも、発光量を必要以上に上げることのないように表示輝度を制御する必要がある。
【0005】
そのため、明るさを測定する受光素子を画像表示装置に搭載し、周辺の明るさ環境に合わせて画面の表示輝度を調整する方法が一般的に行われている。すなわち、周辺が暗い場合は表示輝度を低く調整し、明るい場合は表示輝度を高く調整する。これにより、明るい環境では視認性を確保し、暗い環境ではまぶしさ感を抑えている。
【0006】
ところで、まぶしさ感は表示輝度だけに起因するのではない。同一の表示輝度であっても、表示面積と表示輝度から求められる発光量によっては、まぶしさを感じる場合もあれば、暗さを感じる場合もある。そのため、周辺の明るさ環境だけではなく、映像の表示面積を変える等、映像信号によって表示輝度を調整する機能が製品化されている。
【0007】
さらに、ユーザが画像表示装置を適切な明るさであると感じるためには、部屋の照度や画像表示装置からの発光量等といった観視条件に順応する必要がある。ただし、順応は時間的な変化をするため、一定の環境においても観視者がディスプレイから受ける光の量によって変化する。
【0008】
従来の画像表示装置では、観視者が画像表示装置に対して年齢を入力し、あるいはカメラ画像等により観視者条件設定を行うことにより、見る人の年齢や周辺の環境、表示面積、画像の平均輝度レベルに合わせて表示輝度の調整を行い、明るさ感に対する視覚機能の差を自動で補償する技術が提供されている(特許文献1)。
【0009】
【特許文献1】特開2007−279405
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の画像表示装置は、入力される映像信号の平均輝度レベル(APL:Average Picture Level)に対して、人の視覚特性(順応特性)を基にして平均の表示輝度(液晶画像表示装置の場合はバックライト)を制御するものである。平均輝度レベルに対する表示輝度特性としては、平均輝度レベルが高くなるとまぶしさをやわらげるために表示輝度を下げる輝度制御を行う。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載されている画像表示装置における輝度制御では、周辺の明るさ環境と映像信号の平均輝度レベルにより表示輝度を制御するものであり、観視者が画像表示装置から受ける光の時間的な影響が考慮されていない。
【0012】
例えば、ある一定の明るさの映像をしばらく見ていると、その明るさに目が順応してまぶしさが軽減されたり、見えなかった部分が見え始めたりする。
【0013】
図11は、映像を見るときに、観視者が許容できる表示輝度を観視者自身が調整した場合の輝度変化特性を示した図である。横軸が時間、縦軸は許容下限輝度を表している。観視者が画像を見ながら「省エネを考慮した場合に、許容できる明るさ」を許容下限輝度として調整を経時的に行うと、時間の経過と共に表示輝度の許容限界値は初期の表示輝度から低下していき、観視開始から数分後には安定する。
【0014】
一方、図12は、観視者が見やすいと感じる表示輝度を観視者自身が調整した場合の輝度変化特性を示した図である。横軸が時間、縦軸は見やすい輝度を表している。観視者が画像を見ながら、最も見やすいと感じる輝度を経時的に調整していくと、時間の経過と共に最適な表示輝度は増加していき、観視開始から数分後に安定する。
【0015】
すなわち、観視者に最適な表示輝度(明るさ)は、観視者が高画質で観視したい映像なのか画質よりも省エネを考慮するのか等、観視する対象や目的によって時間とともに異なるといえる。
【0016】
従来における表示輝度設定は、観視者が眩しくならない輝度であることを目的に、照度、画像の平均輝度レベルなどから調整されてきたが、前述の通り観視者の要求目的により要求輝度は経時的に変化するために、要求輝度からずれが生じるといった問題があった。
【0017】
そこで、本発明は上述の問題点に鑑み、表示輝度の最大値と時間変化を制御することにより、観視者の順応特性に基づいて輝度制御を行う画像表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の画像表示装置は、外部からの映像信号を受ける映像信号入力部と、映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量を演算する映像特徴量演算部と、映像特徴量に基づいて、表示輝度レベルの最大値及び時間的変化を制御する表示輝度制御部と、表示輝度制御部で制御された表示輝度レベルに応じて映像を表示する表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明の画像表示装置は、映像特徴量に基づいて、表示輝度レベルの最大値及び時間的変化を制御する表示輝度制御部を備えることにより、観視者の順応特性に基づいて輝度制御を行う事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施の形態1)
<構成>
図1は、実施の形態1に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。実施の形態1に係る画像表示装置は、映像信号入力部10、映像処理部11、映像特徴量演算部20、表示輝度制御部30、表示デバイス駆動部40、観視照明環境検出部50、観視者情報入力部60、表示部70を備えている。
【0021】
映像特徴量演算部20は、平均輝度レベル演算部21と平均輝度変化検出部22を備えている。表示輝度制御部30は、平均輝度レベルピーク輝度演算部31と照度ピーク輝度演算部32と時間変化ピーク輝度演算部33を備えている。
【0022】
映像信号入力部10は、外部からの映像信号を受信して映像特徴量演算部20に入力するものであり、例えばチューナやデコーダ等である。映像処理部11は、映像信号入力部10から入力された映像信号に対し画像処理を施して表示デバイス駆動部40に入力する。
【0023】
映像特徴量演算部20において、平均輝度レベル演算部21は映像信号入力部10から映像信号を受け、映像信号の平均輝度レベルYaveを演算する。平均輝度変化検出部22は、平均輝度レベル演算部21から平均輝度レベルYaveを受け、Yaveの変化及び変化の度合いを検出し、検出結果を時間変化ピーク輝度演算部33に入力する。
【0024】
観視者情報入力部60は、観視者に関する所定の情報である観視者情報を取得する。ここで観視者情報とは、観視者の視力に関する情報(視力情報)や、観視者の人数あるいは観視者の有無増減を示す情報や、観視者の所望する表示画面の明るさに関する画質の情報等を含んでも良い。観視者の視力に関する情報は、例えば観視者の年齢や観視距離などから推定しても良いし、あるいは視力そのものを直接入力しても良い。観視者情報を得るために必要な種々の情報は、例えば外部より観視者によるリモコン操作によって取得する。あるいは、カメラ等を用いて観視者を撮影し、撮影画像から取得することとしても良い。
【0025】
観視照明環境検出部50は、表示部70近傍に設けられた照度センサなどの明るさを測定するデバイスであって、外部の照度を測定し、これを照度ピーク輝度演算部32に入力する。
【0026】
表示輝度制御部30において、ピーク輝度演算部31では、平均輝度レベル演算部21から平均輝度レベルYaveを受け、観視者情報入力部60から受ける観視者の視力情報に基づいて、平均輝度レベルYaveに対応する面内最大輝度表示値Lmaxを決定する。
【0027】
照度ピーク輝度演算部32は、ピーク輝度演算部31から面内最大輝度表示値Lmaxを受け、これを観視照明環境検出部50から受ける外部の照度に応じて補正する。
【0028】
時間変化ピーク輝度演算部33は、ピーク輝度演算部32で補正された面内最大輝度表示値Lmaxを受け、観視者情報入力部60からの観視者情報に応じて表示輝度の時間的変化を制御し、表示デバイス駆動部40に出力する。
【0029】
表示デバイス駆動部40は映像処理部11で画像処理された映像信号を受け、時間変化ピーク輝度演算部33から入力された表示輝度Lで表示部70に映像を表示させる。
【0030】
すなわち、実施の形態1に係る画像表示装置は、外部からの映像信号を受ける映像信号入力部10と、映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量を演算する映像特徴量演算部20と、映像特徴量に基づいて、表示輝度レベルの最大値及び時間的変化を制御する表示輝度制御部30と、表示輝度制御部30で制御された表示輝度レベルに応じて映像を表示する表示部70と、を備えた。表示輝度レベルの最大値と時間的変化を制御することにより、観視者の順応特性に基づいた輝度制御が可能となる。
【0031】
さらに、映像特徴量演算部20は映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量として映像信号の平均輝度レベルYaveを測定する。これにより、観視者の順応特性に基づいた輝度制御が可能となる。
【0032】
又、実施の形態1に係る画像表示装置は、観視者に関する所定の情報である観視者情報を取得する観視者情報入力部60をさらに備え、表示輝度制御部30は観視者情報にも基づいて表示輝度レベルの制御を行う。これにより、観視者に応じた表示輝度の制御が可能となる。
【0033】
又、実施の形態1に係る画像表示装置は、表示部70近傍の照度を測定する観視照明環境検出部50をさらに備え、表示輝度制御部30は照度にも基づいて表示輝度レベルの制御を行う。これにより、周辺環境の明るさに合わせて輝度を制御できる。
【0034】
さらに、表示輝度制御部30は、平均輝度レベルから表示輝度レベルの最大値を決定するピーク輝度演算部31と、照度に応じてピーク輝度演算部31で決定した輝度レベルの最大値を補正する照度ピーク輝度演算部32と、観視者情報を基に、表示輝度レベルの時間的変化を制御する時間変化ピーク輝度演算部33と、を備える。周辺環境の明るさに合わせた輝度の制御を行うことに加え、輝度レベルの最大値と時間的変化を制御することにより、観視者に最適な輝度調整が可能である。
【0035】
<動作>
次に、表示輝度制御部30の各構成要素の動作について説明する。
【0036】
ピーク輝度演算部31は、観視者情報入力部60から入力された観視者の視力情報に基づき、平均輝度レベルYaveから面内最大輝度表示値Lmaxを求める。具体的には、図2に示すような、平均輝度演算部21から入力される平均輝度レベルYaveに対する面内最大輝度表示値Lmaxを決定するテーブル(図2ではグラフとして図示)から、観視者の視力情報を基にテーブルを選択する。図2では視力情報に応じてTable1〜Table3まで3種類のテーブルを示している。ここでテーブル数は例示であり、いくつあっても良い。そして、選択したテーブルから、平均輝度レベルYaveに対する面内最大輝度表示値Lmaxを決定し、照度ピーク輝度演算部32に出力する。なお、テーブルの代わりに、平均輝度レベルYaveと面内最大表示輝度値Lmaxの関係式を用いてLmaxを演算しても良い。
【0037】
ピーク輝度演算部31で演算された面内最大輝度表示値Lmaxは照度ピーク輝度演算部32で補正される。照度ピーク輝度演算部32は観視照明環境検出部50から外部の照度を示す観視照明環境情報を受け、図3に示すようなテーブル(グラフとして図示)を用いて照度に対応する補正係数として最大表示輝度比CLIを求める。図3では視力情報に応じてTable1〜Table3まで3種類のテーブルを示しており、観視者情報入力部60から受ける観視者の視力情報に基づいてテーブルを選択する。ここでテーブル数は例示であり、いくつあっても良い。又、テーブルの代わりに、照度とCLIの関係式を用いてCLIを演算しても良い。求めたCLIを例えばLmaxに積算することによって、Lmaxを補正する。
【0038】
すなわち、ピーク輝度演算部31は、観視者情報としての視力情報を基に表示輝度レベルの最大値としての面内最大輝度表示値Lmaxを決定し、照度ピーク輝度演算部32は、観視者情報としての視力情報を基に表示輝度レベルの最大値としての面内最大輝度表示値Lmaxを補正する。これにより、観視者に応じた輝度制御が可能となる。
【0039】
次に、時間変化ピーク輝度演算部33で輝度変化係数CLTが演算され、これが上記補正されたLmaxに積算されて、表示輝度Lの時間変化制御がなされる。時間変化ピーク輝度演算部33は観視者が選択する画質設定を観視者情報として観視者情報入力部60から受け、これに基づいてCLTを決定する。
【0040】
すなわち、時間変化ピーク輝度演算部33は、観視者情報として観視者が所望する画質設定に応じて表示輝度レベルの時間的変化を制御する。これにより、観視者の要求する画質に沿った輝度制御が可能となる。
【0041】
図4(a)〜図4(c)は、輝度変化係数CLTの時間変化を示す図である。図4(a)は、消費電力をなるべく抑えた場合のCLTを示した図である。このCLTをLmaxに積算したものを表示輝度Lとすれば、表示輝度は経過時間と共に所定の輝度値まで下がって一定になる。ここで、所定の輝度値として、観視者が暗さを感じないものとして予め定められた最低表示輝度まで下がることとしても良い。
【0042】
すなわち、時間変化ピーク輝度演算部33は、前記表示輝度レベルが表示開始から一定期間下降した後、第1の所定値としての所定の輝度値を保持するように制御を行う。これにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させながら、順応特性を考慮した最適な表示品質を保つことが出来る。
【0043】
又、第1の所定値は、観視者が暗さを感じないものとして予め定められた表示輝度レベルの最小値とすることにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させながら、順応特性を考慮した最適な表示品質を保つことが出来る。
【0044】
このとき、表示輝度を下げる勾配は、観視者が輝度変化に気づかない勾配とする。例えば、人間が暗い環境下で暗さに慣れる特性を示す暗順応曲線に従って制御すれば、輝度変化を目立たなくすることが出来る。暗順応曲線は錐体の順応と杆体の順応の2段変化からなるが、初期に順応する錐体の順応カーブに近づける。
【0045】
ただし、暗順応曲線よりも大きく輝度変化させることにより、観視者が輝度変化を認識するように輝度を制御しても良い。消費電力を低下させる制御を行っていることが観視者に認識されるため、低消費電力機能の効果を見せる使い方として利用することが可能である。
【0046】
図4(b)は、高輝度になるように輝度を制御する場合のCLTを示した図である。このCLTをLmaxに積算したものを表示輝度Lとすれば、表示輝度Lは経過時間と共に上昇し、所定の最大表示輝度まで上昇した後一定になる。
【0047】
すなわち、時間変化ピーク輝度演算部53は、輝度レベルが表示開始から一定期間上昇した後、表示輝度レベルの最大値を保持するように制御を行う。これにより、観視者が高画質な映像を楽しみたい場合に、観視者の順応特性を考慮した最適な表示品質が実現できる。
【0048】
このとき、表示輝度が上昇する勾配は、観視者が輝度変化に気づかない勾配とする。例えば、人間が暗い環境下から明るい環境下に移動したときに、明るさに慣れる特性を示す明順応曲線に従って制御すれば、輝度変化を目立たなくすることが出来る。
【0049】
ただし、明順応曲線よりも急激に輝度変化させることにより、高輝度になったことを観視者に認識させても良い。
【0050】
図4(c)は、高輝度で且つ消費電力を抑えた場合のCLTの時間変化を示した図である。このCLTをLmaxに積算したものを表示輝度Lとすれば、電源を入れたときや機能を入れた初期の段階では、表示輝度Lが上昇するために観視者は明るさ感の向上を感じ、その後所定期間最大表示輝度を保つため明るさに順応し、その後所定の輝度値まで観視者が気づかないように表示輝度が下がり、消費電力が抑えられる。ここで、所定の表示輝度を観視者が暗さを感じないものとして予め定められた最低輝度としても良い。
【0051】
すなわち、時間変化ピーク輝度演算部53は、表示輝度レベルが表示開始から一定期間上昇し、その後一定期間表示輝度レベルの最大値としての最大表示輝度を保持し、その後一定期間下降し、その後第2の所定値としての所定の輝度値を保持するように制御を行う。これにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させ、且つ高画質を楽しみたい場合に、順応特性を考慮した最適な表示品質が実現できる。
【0052】
又、第2の所定値を観視者が暗さを感じないものとして予め定められた表示輝度レベルの最小値とすることにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させ、且つ高画質を楽しみたい場合に、順応特性を考慮した最適な表示品質が実現できる。
【0053】
この制御では、輝度を上げるときは、観視者に認識できる勾配で輝度変化を行い、輝度を下げるときは、観視者に認識できない勾配で輝度変化させることにより、観視者に効果的に明るさ感を感じさせながら消費電力を下げることができる。
【0054】
なお、観視者が認識しないように表示輝度を変化させる方法としては、映像信号の輝度レベルの大きい変化に合わせて表示輝度を変化させることが出来る。時間変化ピーク輝度演算部33は、平均輝度変化検出部22を通して映像信号の平均輝度レベルYaveの変化を知る。そして、Yaveの変化が大きい場合に、その変化に合わせて表示輝度Lが増加または減少するように、最大表示輝度経時変化係数CLTを設定する。
【0055】
例えば、図4(a)や図4(c)のように表示輝度を下げる場合は、図5に示すような輝度制御を行う。すなわち、映像信号の平均輝度レベルYaveの変化が生じるまでは最大表示輝度経時変化係数CLTを一定にし、Yaveが大きく変化した時に、その変化に合わせて階段状にCLTを減少させる。この際、表示輝度の減少量は暗順応曲線に合わせる。図4(b)において表示輝度を増加させる場合は、明順応曲線に合わせてCLTを増加させる。
【0056】
すなわち、映像特徴量演算部20は、映像信号の平均輝度レベルを算出する平均輝度レベル演算部21と、平均輝度レベルの変化を検出する平均輝度変化検出部22と、を備え、時間変化ピーク輝度演算部33は、平均輝度レベルの変化が所定値より大きい場合に、当該変化に合わせて表示輝度レベルを変化させる。これにより、観視者に認識されないように輝度制御を行う事が出来る。
【0057】
なお、最大表示輝度経時変化係数CLTは、年齢や観視距離等、視力に関する観視者情報に合わせて変化させても良い。図6はその例を示しており、観視者が高齢者か若齢者かによってCLTの勾配、最大値、最小値を変化させている。
【0058】
<効果>
実施の形態1に係る画像表示装置は、外部からの映像信号を受ける映像信号入力部10と、映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量を演算する映像特徴量演算部20と、映像特徴量に基づいて、表示輝度レベルの最大値及び時間的変化を制御する表示輝度制御部30と、表示輝度制御部30で制御された表示輝度レベルに応じて映像を表示する表示部70と、を備えた。表示輝度レベルの最大値と時間的変化を制御することにより、観視者の順応特性に基づいた輝度制御が可能となる。
【0059】
さらに、映像特徴量演算部20は映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量として映像信号の平均輝度レベルYaveを測定する。これにより、観視者の順応特性に基づいた輝度制御が可能となる。
【0060】
又、実施の形態1に係る画像表示装置は、観視者に関する所定の情報である観視者情報を取得する観視者情報入力部60をさらに備え、表示輝度制御部30は観視者情報にも基づいて表示輝度レベルの制御を行う。これにより、観視者に応じた表示輝度の制御が可能となる。
【0061】
又、実施の形態1に係る画像表示装置は、表示部70近傍の照度を測定する観視照明環境検出部50をさらに備え、表示輝度制御部30は照度にも基づいて表示輝度レベルの制御を行う。これにより、周辺環境の明るさに合わせて輝度を制御できる。
【0062】
さらに、表示輝度制御部30は、平均輝度レベルから表示輝度レベルの最大値を決定するピーク輝度演算部31と、照度に応じてピーク輝度演算部31で決定した表示輝度レベルの最大値を補正する照度ピーク輝度演算部32と、観視者情報を基に、表示輝度レベルの時間的変化を制御する時間変化ピーク輝度演算部33と、を備える。周辺環境の明るさに合わせた表示輝度の制御を行うことに加え、表示輝度レベルの最大値と時間的変化を制御することにより、観視者に最適な輝度調整が可能である。
【0063】
又、時間変化ピーク輝度演算部33は、観視者情報として観視者が所望する画質設定に応じて表示輝度レベルの時間的変化を制御する。これにより、観視者の要求する画質に沿った輝度制御が可能となる。
【0064】
さらに、ピーク輝度演算部31は、観視者情報としての視力情報を基に表示輝度レベルの最大値としての面内最大輝度表示値Lmaxを決定し、照度ピーク輝度演算部32は、観視者情報としての視力情報を基に表示輝度レベルの最大値としての面内最大輝度表示値Lmaxを補正する。これにより、観視者に応じた輝度制御が可能となる。
【0065】
又、時間変化ピーク輝度演算部33は、前記表示輝度レベルが表示開始から一定期間下降した後、第1の所定値としての所定の輝度値を保持するように制御を行う。これにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させながら、順応特性を考慮した最適な表示品質を保つことが出来る。
【0066】
さらに、第1の所定値は、観視者が暗さを感じないものとして予め定められた表示輝度レベルの最小値とすることにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させながら、順応特性を考慮した最適な表示品質を保つことが出来る。
【0067】
すなわち、時間変化ピーク輝度演算部53は、表示輝度レベルが表示開始から一定期間上昇した後、表示輝度レベルの最大値を保持するように制御を行う。これにより、観視者が高画質な映像を楽しみたい場合に、観視者の順応特性を考慮した最適な表示品質が実現できる。
【0068】
又、時間変化ピーク輝度演算部53は、表示輝度レベルが表示開始から一定期間上昇し、その後一定期間表示輝度レベルの最大値を保持し、その後一定期間下降し、その後第2の所定値としての所定の輝度値を保持するように制御を行う。これにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させ、且つ高画質を楽しみたい場合に、順応特性を考慮した最適な表示品質が実現できる。
【0069】
さらに、第2の所定値を観視者が暗さを感じないものとして予め定められた表示輝度レベルの最小値とすることにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させ、且つ高画質を楽しみたい場合に、順応特性を考慮した最適な表示品質が実現できる。
【0070】
又、映像特徴量演算部20は、映像信号の平均輝度レベルを算出する平均輝度レベル演算部21と、平均輝度レベルの変化を検出する平均輝度変化検出部22と、を備え、時間変化ピーク輝度演算部33は、平均輝度レベルの変化が所定値より大きい場合に、表示輝度レベルの変化を所定値より小さくするように表示輝度レベルを制御する。これにより、観視者に認識されないように輝度制御を行う事が出来る。
【0071】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2に係る画像表示装置の構成を示したブロック図である。実施の形態2に係る画像表示装置の構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。但し、時間変化ピーク輝度演算部については、その動作が実施の形態1と異なるため、時間変化ピーク輝度演算部33bとしている。
【0072】
実施の形態2に係る画像表示装置の動作は、時間変化ピーク輝度演算部33bの動作のみが実施の形態1と異なるため、これ以外の部分の動作は説明を省略する。図7を用いて時間変化ピーク輝度演算部33bの動作を説明すると、時間変化ピーク輝度演算部33bは、実施の形態1で説明した動作に加え、観視者が変更したことを検知すると、新たに表示輝度の時間的変化を制御する。
【0073】
図8は、実施の形態2の画像表示装置の動作の一例を示した図である。最大表示輝度経時変化係数CLTの時間変化の一例を示している。
【0074】
画像表示装置を省エネルギーで駆動させ、且つ高画質を楽しむ場合は、図4(c)で説明したように視聴開始と共に表示輝度を上昇させ、その後最大表示輝度を保持し、その後所定の低輝度まで減少した後一定値を保つ。観視者に変更がなければこのまま一定値を保って実施の形態1と同様の動作であるが、時間変化ピーク輝度演算部33は観視者情報入力部60を通して、席を外していた観視者が戻ってきたことや、新たに観視者が増えたことを検知すると、再び表示輝度を最大表示輝度(2回目)まで上昇させる。その後最大表示輝度で一定値を保った後、低輝度(2回目)まで減少した後一定値を保つ。以後、観視者のある度に上記の動作を繰り返す。
【0075】
ここで、2回目の最大表示輝度は1回目の最大表示輝度と同じであっても良いが、図8で示したように、低くしても良い。同様にして、3回目の最大表示輝度は2回目の表示輝度より低くしても良い。又、低輝度値も、1回目より2回目、2回目より3回目を低くしても良い。これにより、消費電力を抑制することが出来る。
【0076】
すなわち、観視者情報入力部6は、観視者が変更した場合に新たな観視者情報を取得し、当該新たな観視者情報によって、ピーク輝度演算部31及び照度ピーク輝度演算部32及び時間変化ピーク輝度演算部31は表示輝度レベルを制御する。これにより、観視者が新たに加わったり、席を立った観視者が戻ってきた場合にも、最適な輝度制御を行う事が出来る。
【0077】
<効果>
実施の形態2に係る画像表示装置において、観視者情報入力部6は、観視者が変更した場合に新たな観視者情報を取得し、当該新たな観視者情報によって、ピーク輝度演算部31及び照度ピーク輝度演算部32及び時間変化ピーク輝度演算部31は表示輝度レベルを制御する。これにより、観視者が新たに加わったり、席を立った観視者が戻ってきた場合にも、最適な輝度制御を行う事が出来る。
【0078】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る画像表示装置は、映像信号を切り替えた際に、改めて表示輝度の制御を行う。
【0079】
図9は、実施の形態3に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。実施の形態1と比較して、映像信号の切り替えを行う映像信号切り替え部80が追加された点のみが異なる。但し、時間変化ピーク輝度演算部については、その動作が実施の形態1と異なるため、時間変化ピーク輝度演算部33cとしている。
【0080】
映像信号切り替え部80は、観視者の番組切り替え操作や、番組視聴から設定画面に切り替える等の操作に応じて、映像信号入力部10で受信する映像信号を切り替える。さらに、映像信号を切り替えたことを示す情報を時間変化ピーク輝度演算部33cに伝える。時間変化ピーク輝度演算部33cは、映像信号を切り替えたことを示す情報を映像信号切り替え部80から受ける度に、表示輝度の時間変化制御を行う。
【0081】
図10は、実施の形態3における最大表示輝度経時変化係数CLTの時間変化の一例を示した図である。
【0082】
画像表示装置を省エネルギーで駆動させ、且つ高画質を楽しむ場合は、図4(c)で説明したように視聴開始と共に表示輝度を上昇させ、その後最大表示輝度を保持し、その後所定の低輝度まで減少した後一定値を保つ。映像信号に切り替えがなければこのまま一定値を保って実施の形態1と同様の動作であるが、時間変化ピーク輝度演算部33cは映像信号切り替え部80から映像信号を切り替えたことを示す情報を受けると、再び表示輝度を最大表示輝度(2回目)まで上昇させる。その後最大表示輝度で一定値を保った後、低輝度(2回目)まで減少した後一定値を保つ。以後、映像信号切り替え部80から映像信号を切り替えたことを示す情報を受ける度に上記の動作を繰り返す。
【0083】
すなわち、実施の形態3に係る画像表示装置は、映像信号を切り替えたことを示す信号を出力する映像信号切り替え部80をさらに備え、前記信号を受ける度に、ピーク輝度演算部31及び照度ピーク輝度演算部32及び時間変化ピーク輝度演算部33は輝度レベルを制御する。これにより、番組の選択や画質を設定するために生じる画面の切り替わりに応じて、最適な輝度制御を行う事が出来る。
【0084】
ここで、2回目の最大表示輝度は1回目の最大表示輝度と同じであっても良いが、図8で示したように、低くしても良い。同様にして、3回目の最大表示輝度は2回目の表示輝度より低くしても良い。又、低輝度値も、1回目より2回目、2回目より3回目を低くしても良い。これにより、消費電力を抑制することが出来る。
【0085】
<効果>
実施の形態3に係る画像表示装置は、映像信号を切り替えたことを示す信号を出力する映像信号切り替え部80をさらに備え、前記信号を受ける度に、ピーク輝度演算部31及び照度ピーク輝度演算部32及び時間変化ピーク輝度演算部33は表示輝度レベルを制御する。これにより、番組の切り替えや調整操作に応じて最適な輝度制御を行う事が出来る。
【0086】
ここで、2回目の最大表示輝度は1回目の最大表示輝度と同じであっても良いが、図8で示したように、低くしても良い。同様にして、3回目の最大表示輝度は2回目の表示輝度より低くしても良い。又、低輝度値も、1回目より2回目、2回目より3回目を低くしても良い。これにより、消費電力を抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施の形態1に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】平均輝度レベルと最大表示輝度値の変換テーブルを示した図である。
【図3】照度と最大表示輝度比の変換テーブルを示した図である。
【図4】時間変化ピーク輝度演算部の動作を説明する図である。
【図5】時間変化ピーク輝度演算部の動作を説明する図である。
【図6】時間変化ピーク輝度演算部の動作を説明する図である。
【図7】実施の形態2に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態2の時間変化ピーク輝度演算部の動作を説明する図である。
【図9】実施の形態3に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態3の時間変化ピーク輝度演算部の動作を説明する図である。
【図11】観視者が許容できる輝度の時間特性を示した図である。
【図12】観視者が見やすいと感じる輝度の時間特性を示した図である。
【符号の説明】
【0088】
10 映像信号入力部、20 映像特徴量演算部、21 平均輝度レベル演算部、22 平均輝度変化検出部、30 表示輝度制御部、31 ピーク輝度演算部、32 照度ピーク輝度演算部、33 時間変化ピーク輝度演算部、50 観視照明環境検出部、60 観視者情報入力部、70 表示部、80 映像信号切り替え部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号に応じて表示輝度の最大値と時間的変化を制御する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭で使用されるテレビ受像機等の画像表示装置は、ブラウン管ディスプレイに代わって、液晶画像表示装置やプラズマ画像表示装置等のフラットパネルディスプレイ(FPD)が普及している。そして、FPDはデバイス性能の向上により高輝度化が進んでいる。
【0003】
しかし、画像表示装置が高輝度化することによって視認性は高まるものの、まぶしさ感による疲労や目の疲れを生じさせる要因となっている。
【0004】
また、消費電力を削減するという観点からも、発光量を必要以上に上げることのないように表示輝度を制御する必要がある。
【0005】
そのため、明るさを測定する受光素子を画像表示装置に搭載し、周辺の明るさ環境に合わせて画面の表示輝度を調整する方法が一般的に行われている。すなわち、周辺が暗い場合は表示輝度を低く調整し、明るい場合は表示輝度を高く調整する。これにより、明るい環境では視認性を確保し、暗い環境ではまぶしさ感を抑えている。
【0006】
ところで、まぶしさ感は表示輝度だけに起因するのではない。同一の表示輝度であっても、表示面積と表示輝度から求められる発光量によっては、まぶしさを感じる場合もあれば、暗さを感じる場合もある。そのため、周辺の明るさ環境だけではなく、映像の表示面積を変える等、映像信号によって表示輝度を調整する機能が製品化されている。
【0007】
さらに、ユーザが画像表示装置を適切な明るさであると感じるためには、部屋の照度や画像表示装置からの発光量等といった観視条件に順応する必要がある。ただし、順応は時間的な変化をするため、一定の環境においても観視者がディスプレイから受ける光の量によって変化する。
【0008】
従来の画像表示装置では、観視者が画像表示装置に対して年齢を入力し、あるいはカメラ画像等により観視者条件設定を行うことにより、見る人の年齢や周辺の環境、表示面積、画像の平均輝度レベルに合わせて表示輝度の調整を行い、明るさ感に対する視覚機能の差を自動で補償する技術が提供されている(特許文献1)。
【0009】
【特許文献1】特開2007−279405
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の画像表示装置は、入力される映像信号の平均輝度レベル(APL:Average Picture Level)に対して、人の視覚特性(順応特性)を基にして平均の表示輝度(液晶画像表示装置の場合はバックライト)を制御するものである。平均輝度レベルに対する表示輝度特性としては、平均輝度レベルが高くなるとまぶしさをやわらげるために表示輝度を下げる輝度制御を行う。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載されている画像表示装置における輝度制御では、周辺の明るさ環境と映像信号の平均輝度レベルにより表示輝度を制御するものであり、観視者が画像表示装置から受ける光の時間的な影響が考慮されていない。
【0012】
例えば、ある一定の明るさの映像をしばらく見ていると、その明るさに目が順応してまぶしさが軽減されたり、見えなかった部分が見え始めたりする。
【0013】
図11は、映像を見るときに、観視者が許容できる表示輝度を観視者自身が調整した場合の輝度変化特性を示した図である。横軸が時間、縦軸は許容下限輝度を表している。観視者が画像を見ながら「省エネを考慮した場合に、許容できる明るさ」を許容下限輝度として調整を経時的に行うと、時間の経過と共に表示輝度の許容限界値は初期の表示輝度から低下していき、観視開始から数分後には安定する。
【0014】
一方、図12は、観視者が見やすいと感じる表示輝度を観視者自身が調整した場合の輝度変化特性を示した図である。横軸が時間、縦軸は見やすい輝度を表している。観視者が画像を見ながら、最も見やすいと感じる輝度を経時的に調整していくと、時間の経過と共に最適な表示輝度は増加していき、観視開始から数分後に安定する。
【0015】
すなわち、観視者に最適な表示輝度(明るさ)は、観視者が高画質で観視したい映像なのか画質よりも省エネを考慮するのか等、観視する対象や目的によって時間とともに異なるといえる。
【0016】
従来における表示輝度設定は、観視者が眩しくならない輝度であることを目的に、照度、画像の平均輝度レベルなどから調整されてきたが、前述の通り観視者の要求目的により要求輝度は経時的に変化するために、要求輝度からずれが生じるといった問題があった。
【0017】
そこで、本発明は上述の問題点に鑑み、表示輝度の最大値と時間変化を制御することにより、観視者の順応特性に基づいて輝度制御を行う画像表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の画像表示装置は、外部からの映像信号を受ける映像信号入力部と、映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量を演算する映像特徴量演算部と、映像特徴量に基づいて、表示輝度レベルの最大値及び時間的変化を制御する表示輝度制御部と、表示輝度制御部で制御された表示輝度レベルに応じて映像を表示する表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明の画像表示装置は、映像特徴量に基づいて、表示輝度レベルの最大値及び時間的変化を制御する表示輝度制御部を備えることにより、観視者の順応特性に基づいて輝度制御を行う事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施の形態1)
<構成>
図1は、実施の形態1に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。実施の形態1に係る画像表示装置は、映像信号入力部10、映像処理部11、映像特徴量演算部20、表示輝度制御部30、表示デバイス駆動部40、観視照明環境検出部50、観視者情報入力部60、表示部70を備えている。
【0021】
映像特徴量演算部20は、平均輝度レベル演算部21と平均輝度変化検出部22を備えている。表示輝度制御部30は、平均輝度レベルピーク輝度演算部31と照度ピーク輝度演算部32と時間変化ピーク輝度演算部33を備えている。
【0022】
映像信号入力部10は、外部からの映像信号を受信して映像特徴量演算部20に入力するものであり、例えばチューナやデコーダ等である。映像処理部11は、映像信号入力部10から入力された映像信号に対し画像処理を施して表示デバイス駆動部40に入力する。
【0023】
映像特徴量演算部20において、平均輝度レベル演算部21は映像信号入力部10から映像信号を受け、映像信号の平均輝度レベルYaveを演算する。平均輝度変化検出部22は、平均輝度レベル演算部21から平均輝度レベルYaveを受け、Yaveの変化及び変化の度合いを検出し、検出結果を時間変化ピーク輝度演算部33に入力する。
【0024】
観視者情報入力部60は、観視者に関する所定の情報である観視者情報を取得する。ここで観視者情報とは、観視者の視力に関する情報(視力情報)や、観視者の人数あるいは観視者の有無増減を示す情報や、観視者の所望する表示画面の明るさに関する画質の情報等を含んでも良い。観視者の視力に関する情報は、例えば観視者の年齢や観視距離などから推定しても良いし、あるいは視力そのものを直接入力しても良い。観視者情報を得るために必要な種々の情報は、例えば外部より観視者によるリモコン操作によって取得する。あるいは、カメラ等を用いて観視者を撮影し、撮影画像から取得することとしても良い。
【0025】
観視照明環境検出部50は、表示部70近傍に設けられた照度センサなどの明るさを測定するデバイスであって、外部の照度を測定し、これを照度ピーク輝度演算部32に入力する。
【0026】
表示輝度制御部30において、ピーク輝度演算部31では、平均輝度レベル演算部21から平均輝度レベルYaveを受け、観視者情報入力部60から受ける観視者の視力情報に基づいて、平均輝度レベルYaveに対応する面内最大輝度表示値Lmaxを決定する。
【0027】
照度ピーク輝度演算部32は、ピーク輝度演算部31から面内最大輝度表示値Lmaxを受け、これを観視照明環境検出部50から受ける外部の照度に応じて補正する。
【0028】
時間変化ピーク輝度演算部33は、ピーク輝度演算部32で補正された面内最大輝度表示値Lmaxを受け、観視者情報入力部60からの観視者情報に応じて表示輝度の時間的変化を制御し、表示デバイス駆動部40に出力する。
【0029】
表示デバイス駆動部40は映像処理部11で画像処理された映像信号を受け、時間変化ピーク輝度演算部33から入力された表示輝度Lで表示部70に映像を表示させる。
【0030】
すなわち、実施の形態1に係る画像表示装置は、外部からの映像信号を受ける映像信号入力部10と、映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量を演算する映像特徴量演算部20と、映像特徴量に基づいて、表示輝度レベルの最大値及び時間的変化を制御する表示輝度制御部30と、表示輝度制御部30で制御された表示輝度レベルに応じて映像を表示する表示部70と、を備えた。表示輝度レベルの最大値と時間的変化を制御することにより、観視者の順応特性に基づいた輝度制御が可能となる。
【0031】
さらに、映像特徴量演算部20は映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量として映像信号の平均輝度レベルYaveを測定する。これにより、観視者の順応特性に基づいた輝度制御が可能となる。
【0032】
又、実施の形態1に係る画像表示装置は、観視者に関する所定の情報である観視者情報を取得する観視者情報入力部60をさらに備え、表示輝度制御部30は観視者情報にも基づいて表示輝度レベルの制御を行う。これにより、観視者に応じた表示輝度の制御が可能となる。
【0033】
又、実施の形態1に係る画像表示装置は、表示部70近傍の照度を測定する観視照明環境検出部50をさらに備え、表示輝度制御部30は照度にも基づいて表示輝度レベルの制御を行う。これにより、周辺環境の明るさに合わせて輝度を制御できる。
【0034】
さらに、表示輝度制御部30は、平均輝度レベルから表示輝度レベルの最大値を決定するピーク輝度演算部31と、照度に応じてピーク輝度演算部31で決定した輝度レベルの最大値を補正する照度ピーク輝度演算部32と、観視者情報を基に、表示輝度レベルの時間的変化を制御する時間変化ピーク輝度演算部33と、を備える。周辺環境の明るさに合わせた輝度の制御を行うことに加え、輝度レベルの最大値と時間的変化を制御することにより、観視者に最適な輝度調整が可能である。
【0035】
<動作>
次に、表示輝度制御部30の各構成要素の動作について説明する。
【0036】
ピーク輝度演算部31は、観視者情報入力部60から入力された観視者の視力情報に基づき、平均輝度レベルYaveから面内最大輝度表示値Lmaxを求める。具体的には、図2に示すような、平均輝度演算部21から入力される平均輝度レベルYaveに対する面内最大輝度表示値Lmaxを決定するテーブル(図2ではグラフとして図示)から、観視者の視力情報を基にテーブルを選択する。図2では視力情報に応じてTable1〜Table3まで3種類のテーブルを示している。ここでテーブル数は例示であり、いくつあっても良い。そして、選択したテーブルから、平均輝度レベルYaveに対する面内最大輝度表示値Lmaxを決定し、照度ピーク輝度演算部32に出力する。なお、テーブルの代わりに、平均輝度レベルYaveと面内最大表示輝度値Lmaxの関係式を用いてLmaxを演算しても良い。
【0037】
ピーク輝度演算部31で演算された面内最大輝度表示値Lmaxは照度ピーク輝度演算部32で補正される。照度ピーク輝度演算部32は観視照明環境検出部50から外部の照度を示す観視照明環境情報を受け、図3に示すようなテーブル(グラフとして図示)を用いて照度に対応する補正係数として最大表示輝度比CLIを求める。図3では視力情報に応じてTable1〜Table3まで3種類のテーブルを示しており、観視者情報入力部60から受ける観視者の視力情報に基づいてテーブルを選択する。ここでテーブル数は例示であり、いくつあっても良い。又、テーブルの代わりに、照度とCLIの関係式を用いてCLIを演算しても良い。求めたCLIを例えばLmaxに積算することによって、Lmaxを補正する。
【0038】
すなわち、ピーク輝度演算部31は、観視者情報としての視力情報を基に表示輝度レベルの最大値としての面内最大輝度表示値Lmaxを決定し、照度ピーク輝度演算部32は、観視者情報としての視力情報を基に表示輝度レベルの最大値としての面内最大輝度表示値Lmaxを補正する。これにより、観視者に応じた輝度制御が可能となる。
【0039】
次に、時間変化ピーク輝度演算部33で輝度変化係数CLTが演算され、これが上記補正されたLmaxに積算されて、表示輝度Lの時間変化制御がなされる。時間変化ピーク輝度演算部33は観視者が選択する画質設定を観視者情報として観視者情報入力部60から受け、これに基づいてCLTを決定する。
【0040】
すなわち、時間変化ピーク輝度演算部33は、観視者情報として観視者が所望する画質設定に応じて表示輝度レベルの時間的変化を制御する。これにより、観視者の要求する画質に沿った輝度制御が可能となる。
【0041】
図4(a)〜図4(c)は、輝度変化係数CLTの時間変化を示す図である。図4(a)は、消費電力をなるべく抑えた場合のCLTを示した図である。このCLTをLmaxに積算したものを表示輝度Lとすれば、表示輝度は経過時間と共に所定の輝度値まで下がって一定になる。ここで、所定の輝度値として、観視者が暗さを感じないものとして予め定められた最低表示輝度まで下がることとしても良い。
【0042】
すなわち、時間変化ピーク輝度演算部33は、前記表示輝度レベルが表示開始から一定期間下降した後、第1の所定値としての所定の輝度値を保持するように制御を行う。これにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させながら、順応特性を考慮した最適な表示品質を保つことが出来る。
【0043】
又、第1の所定値は、観視者が暗さを感じないものとして予め定められた表示輝度レベルの最小値とすることにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させながら、順応特性を考慮した最適な表示品質を保つことが出来る。
【0044】
このとき、表示輝度を下げる勾配は、観視者が輝度変化に気づかない勾配とする。例えば、人間が暗い環境下で暗さに慣れる特性を示す暗順応曲線に従って制御すれば、輝度変化を目立たなくすることが出来る。暗順応曲線は錐体の順応と杆体の順応の2段変化からなるが、初期に順応する錐体の順応カーブに近づける。
【0045】
ただし、暗順応曲線よりも大きく輝度変化させることにより、観視者が輝度変化を認識するように輝度を制御しても良い。消費電力を低下させる制御を行っていることが観視者に認識されるため、低消費電力機能の効果を見せる使い方として利用することが可能である。
【0046】
図4(b)は、高輝度になるように輝度を制御する場合のCLTを示した図である。このCLTをLmaxに積算したものを表示輝度Lとすれば、表示輝度Lは経過時間と共に上昇し、所定の最大表示輝度まで上昇した後一定になる。
【0047】
すなわち、時間変化ピーク輝度演算部53は、輝度レベルが表示開始から一定期間上昇した後、表示輝度レベルの最大値を保持するように制御を行う。これにより、観視者が高画質な映像を楽しみたい場合に、観視者の順応特性を考慮した最適な表示品質が実現できる。
【0048】
このとき、表示輝度が上昇する勾配は、観視者が輝度変化に気づかない勾配とする。例えば、人間が暗い環境下から明るい環境下に移動したときに、明るさに慣れる特性を示す明順応曲線に従って制御すれば、輝度変化を目立たなくすることが出来る。
【0049】
ただし、明順応曲線よりも急激に輝度変化させることにより、高輝度になったことを観視者に認識させても良い。
【0050】
図4(c)は、高輝度で且つ消費電力を抑えた場合のCLTの時間変化を示した図である。このCLTをLmaxに積算したものを表示輝度Lとすれば、電源を入れたときや機能を入れた初期の段階では、表示輝度Lが上昇するために観視者は明るさ感の向上を感じ、その後所定期間最大表示輝度を保つため明るさに順応し、その後所定の輝度値まで観視者が気づかないように表示輝度が下がり、消費電力が抑えられる。ここで、所定の表示輝度を観視者が暗さを感じないものとして予め定められた最低輝度としても良い。
【0051】
すなわち、時間変化ピーク輝度演算部53は、表示輝度レベルが表示開始から一定期間上昇し、その後一定期間表示輝度レベルの最大値としての最大表示輝度を保持し、その後一定期間下降し、その後第2の所定値としての所定の輝度値を保持するように制御を行う。これにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させ、且つ高画質を楽しみたい場合に、順応特性を考慮した最適な表示品質が実現できる。
【0052】
又、第2の所定値を観視者が暗さを感じないものとして予め定められた表示輝度レベルの最小値とすることにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させ、且つ高画質を楽しみたい場合に、順応特性を考慮した最適な表示品質が実現できる。
【0053】
この制御では、輝度を上げるときは、観視者に認識できる勾配で輝度変化を行い、輝度を下げるときは、観視者に認識できない勾配で輝度変化させることにより、観視者に効果的に明るさ感を感じさせながら消費電力を下げることができる。
【0054】
なお、観視者が認識しないように表示輝度を変化させる方法としては、映像信号の輝度レベルの大きい変化に合わせて表示輝度を変化させることが出来る。時間変化ピーク輝度演算部33は、平均輝度変化検出部22を通して映像信号の平均輝度レベルYaveの変化を知る。そして、Yaveの変化が大きい場合に、その変化に合わせて表示輝度Lが増加または減少するように、最大表示輝度経時変化係数CLTを設定する。
【0055】
例えば、図4(a)や図4(c)のように表示輝度を下げる場合は、図5に示すような輝度制御を行う。すなわち、映像信号の平均輝度レベルYaveの変化が生じるまでは最大表示輝度経時変化係数CLTを一定にし、Yaveが大きく変化した時に、その変化に合わせて階段状にCLTを減少させる。この際、表示輝度の減少量は暗順応曲線に合わせる。図4(b)において表示輝度を増加させる場合は、明順応曲線に合わせてCLTを増加させる。
【0056】
すなわち、映像特徴量演算部20は、映像信号の平均輝度レベルを算出する平均輝度レベル演算部21と、平均輝度レベルの変化を検出する平均輝度変化検出部22と、を備え、時間変化ピーク輝度演算部33は、平均輝度レベルの変化が所定値より大きい場合に、当該変化に合わせて表示輝度レベルを変化させる。これにより、観視者に認識されないように輝度制御を行う事が出来る。
【0057】
なお、最大表示輝度経時変化係数CLTは、年齢や観視距離等、視力に関する観視者情報に合わせて変化させても良い。図6はその例を示しており、観視者が高齢者か若齢者かによってCLTの勾配、最大値、最小値を変化させている。
【0058】
<効果>
実施の形態1に係る画像表示装置は、外部からの映像信号を受ける映像信号入力部10と、映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量を演算する映像特徴量演算部20と、映像特徴量に基づいて、表示輝度レベルの最大値及び時間的変化を制御する表示輝度制御部30と、表示輝度制御部30で制御された表示輝度レベルに応じて映像を表示する表示部70と、を備えた。表示輝度レベルの最大値と時間的変化を制御することにより、観視者の順応特性に基づいた輝度制御が可能となる。
【0059】
さらに、映像特徴量演算部20は映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量として映像信号の平均輝度レベルYaveを測定する。これにより、観視者の順応特性に基づいた輝度制御が可能となる。
【0060】
又、実施の形態1に係る画像表示装置は、観視者に関する所定の情報である観視者情報を取得する観視者情報入力部60をさらに備え、表示輝度制御部30は観視者情報にも基づいて表示輝度レベルの制御を行う。これにより、観視者に応じた表示輝度の制御が可能となる。
【0061】
又、実施の形態1に係る画像表示装置は、表示部70近傍の照度を測定する観視照明環境検出部50をさらに備え、表示輝度制御部30は照度にも基づいて表示輝度レベルの制御を行う。これにより、周辺環境の明るさに合わせて輝度を制御できる。
【0062】
さらに、表示輝度制御部30は、平均輝度レベルから表示輝度レベルの最大値を決定するピーク輝度演算部31と、照度に応じてピーク輝度演算部31で決定した表示輝度レベルの最大値を補正する照度ピーク輝度演算部32と、観視者情報を基に、表示輝度レベルの時間的変化を制御する時間変化ピーク輝度演算部33と、を備える。周辺環境の明るさに合わせた表示輝度の制御を行うことに加え、表示輝度レベルの最大値と時間的変化を制御することにより、観視者に最適な輝度調整が可能である。
【0063】
又、時間変化ピーク輝度演算部33は、観視者情報として観視者が所望する画質設定に応じて表示輝度レベルの時間的変化を制御する。これにより、観視者の要求する画質に沿った輝度制御が可能となる。
【0064】
さらに、ピーク輝度演算部31は、観視者情報としての視力情報を基に表示輝度レベルの最大値としての面内最大輝度表示値Lmaxを決定し、照度ピーク輝度演算部32は、観視者情報としての視力情報を基に表示輝度レベルの最大値としての面内最大輝度表示値Lmaxを補正する。これにより、観視者に応じた輝度制御が可能となる。
【0065】
又、時間変化ピーク輝度演算部33は、前記表示輝度レベルが表示開始から一定期間下降した後、第1の所定値としての所定の輝度値を保持するように制御を行う。これにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させながら、順応特性を考慮した最適な表示品質を保つことが出来る。
【0066】
さらに、第1の所定値は、観視者が暗さを感じないものとして予め定められた表示輝度レベルの最小値とすることにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させながら、順応特性を考慮した最適な表示品質を保つことが出来る。
【0067】
すなわち、時間変化ピーク輝度演算部53は、表示輝度レベルが表示開始から一定期間上昇した後、表示輝度レベルの最大値を保持するように制御を行う。これにより、観視者が高画質な映像を楽しみたい場合に、観視者の順応特性を考慮した最適な表示品質が実現できる。
【0068】
又、時間変化ピーク輝度演算部53は、表示輝度レベルが表示開始から一定期間上昇し、その後一定期間表示輝度レベルの最大値を保持し、その後一定期間下降し、その後第2の所定値としての所定の輝度値を保持するように制御を行う。これにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させ、且つ高画質を楽しみたい場合に、順応特性を考慮した最適な表示品質が実現できる。
【0069】
さらに、第2の所定値を観視者が暗さを感じないものとして予め定められた表示輝度レベルの最小値とすることにより、画像表示装置を省エネルギーで駆動させ、且つ高画質を楽しみたい場合に、順応特性を考慮した最適な表示品質が実現できる。
【0070】
又、映像特徴量演算部20は、映像信号の平均輝度レベルを算出する平均輝度レベル演算部21と、平均輝度レベルの変化を検出する平均輝度変化検出部22と、を備え、時間変化ピーク輝度演算部33は、平均輝度レベルの変化が所定値より大きい場合に、表示輝度レベルの変化を所定値より小さくするように表示輝度レベルを制御する。これにより、観視者に認識されないように輝度制御を行う事が出来る。
【0071】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2に係る画像表示装置の構成を示したブロック図である。実施の形態2に係る画像表示装置の構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。但し、時間変化ピーク輝度演算部については、その動作が実施の形態1と異なるため、時間変化ピーク輝度演算部33bとしている。
【0072】
実施の形態2に係る画像表示装置の動作は、時間変化ピーク輝度演算部33bの動作のみが実施の形態1と異なるため、これ以外の部分の動作は説明を省略する。図7を用いて時間変化ピーク輝度演算部33bの動作を説明すると、時間変化ピーク輝度演算部33bは、実施の形態1で説明した動作に加え、観視者が変更したことを検知すると、新たに表示輝度の時間的変化を制御する。
【0073】
図8は、実施の形態2の画像表示装置の動作の一例を示した図である。最大表示輝度経時変化係数CLTの時間変化の一例を示している。
【0074】
画像表示装置を省エネルギーで駆動させ、且つ高画質を楽しむ場合は、図4(c)で説明したように視聴開始と共に表示輝度を上昇させ、その後最大表示輝度を保持し、その後所定の低輝度まで減少した後一定値を保つ。観視者に変更がなければこのまま一定値を保って実施の形態1と同様の動作であるが、時間変化ピーク輝度演算部33は観視者情報入力部60を通して、席を外していた観視者が戻ってきたことや、新たに観視者が増えたことを検知すると、再び表示輝度を最大表示輝度(2回目)まで上昇させる。その後最大表示輝度で一定値を保った後、低輝度(2回目)まで減少した後一定値を保つ。以後、観視者のある度に上記の動作を繰り返す。
【0075】
ここで、2回目の最大表示輝度は1回目の最大表示輝度と同じであっても良いが、図8で示したように、低くしても良い。同様にして、3回目の最大表示輝度は2回目の表示輝度より低くしても良い。又、低輝度値も、1回目より2回目、2回目より3回目を低くしても良い。これにより、消費電力を抑制することが出来る。
【0076】
すなわち、観視者情報入力部6は、観視者が変更した場合に新たな観視者情報を取得し、当該新たな観視者情報によって、ピーク輝度演算部31及び照度ピーク輝度演算部32及び時間変化ピーク輝度演算部31は表示輝度レベルを制御する。これにより、観視者が新たに加わったり、席を立った観視者が戻ってきた場合にも、最適な輝度制御を行う事が出来る。
【0077】
<効果>
実施の形態2に係る画像表示装置において、観視者情報入力部6は、観視者が変更した場合に新たな観視者情報を取得し、当該新たな観視者情報によって、ピーク輝度演算部31及び照度ピーク輝度演算部32及び時間変化ピーク輝度演算部31は表示輝度レベルを制御する。これにより、観視者が新たに加わったり、席を立った観視者が戻ってきた場合にも、最適な輝度制御を行う事が出来る。
【0078】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る画像表示装置は、映像信号を切り替えた際に、改めて表示輝度の制御を行う。
【0079】
図9は、実施の形態3に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。実施の形態1と比較して、映像信号の切り替えを行う映像信号切り替え部80が追加された点のみが異なる。但し、時間変化ピーク輝度演算部については、その動作が実施の形態1と異なるため、時間変化ピーク輝度演算部33cとしている。
【0080】
映像信号切り替え部80は、観視者の番組切り替え操作や、番組視聴から設定画面に切り替える等の操作に応じて、映像信号入力部10で受信する映像信号を切り替える。さらに、映像信号を切り替えたことを示す情報を時間変化ピーク輝度演算部33cに伝える。時間変化ピーク輝度演算部33cは、映像信号を切り替えたことを示す情報を映像信号切り替え部80から受ける度に、表示輝度の時間変化制御を行う。
【0081】
図10は、実施の形態3における最大表示輝度経時変化係数CLTの時間変化の一例を示した図である。
【0082】
画像表示装置を省エネルギーで駆動させ、且つ高画質を楽しむ場合は、図4(c)で説明したように視聴開始と共に表示輝度を上昇させ、その後最大表示輝度を保持し、その後所定の低輝度まで減少した後一定値を保つ。映像信号に切り替えがなければこのまま一定値を保って実施の形態1と同様の動作であるが、時間変化ピーク輝度演算部33cは映像信号切り替え部80から映像信号を切り替えたことを示す情報を受けると、再び表示輝度を最大表示輝度(2回目)まで上昇させる。その後最大表示輝度で一定値を保った後、低輝度(2回目)まで減少した後一定値を保つ。以後、映像信号切り替え部80から映像信号を切り替えたことを示す情報を受ける度に上記の動作を繰り返す。
【0083】
すなわち、実施の形態3に係る画像表示装置は、映像信号を切り替えたことを示す信号を出力する映像信号切り替え部80をさらに備え、前記信号を受ける度に、ピーク輝度演算部31及び照度ピーク輝度演算部32及び時間変化ピーク輝度演算部33は輝度レベルを制御する。これにより、番組の選択や画質を設定するために生じる画面の切り替わりに応じて、最適な輝度制御を行う事が出来る。
【0084】
ここで、2回目の最大表示輝度は1回目の最大表示輝度と同じであっても良いが、図8で示したように、低くしても良い。同様にして、3回目の最大表示輝度は2回目の表示輝度より低くしても良い。又、低輝度値も、1回目より2回目、2回目より3回目を低くしても良い。これにより、消費電力を抑制することが出来る。
【0085】
<効果>
実施の形態3に係る画像表示装置は、映像信号を切り替えたことを示す信号を出力する映像信号切り替え部80をさらに備え、前記信号を受ける度に、ピーク輝度演算部31及び照度ピーク輝度演算部32及び時間変化ピーク輝度演算部33は表示輝度レベルを制御する。これにより、番組の切り替えや調整操作に応じて最適な輝度制御を行う事が出来る。
【0086】
ここで、2回目の最大表示輝度は1回目の最大表示輝度と同じであっても良いが、図8で示したように、低くしても良い。同様にして、3回目の最大表示輝度は2回目の表示輝度より低くしても良い。又、低輝度値も、1回目より2回目、2回目より3回目を低くしても良い。これにより、消費電力を抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施の形態1に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】平均輝度レベルと最大表示輝度値の変換テーブルを示した図である。
【図3】照度と最大表示輝度比の変換テーブルを示した図である。
【図4】時間変化ピーク輝度演算部の動作を説明する図である。
【図5】時間変化ピーク輝度演算部の動作を説明する図である。
【図6】時間変化ピーク輝度演算部の動作を説明する図である。
【図7】実施の形態2に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態2の時間変化ピーク輝度演算部の動作を説明する図である。
【図9】実施の形態3に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態3の時間変化ピーク輝度演算部の動作を説明する図である。
【図11】観視者が許容できる輝度の時間特性を示した図である。
【図12】観視者が見やすいと感じる輝度の時間特性を示した図である。
【符号の説明】
【0088】
10 映像信号入力部、20 映像特徴量演算部、21 平均輝度レベル演算部、22 平均輝度変化検出部、30 表示輝度制御部、31 ピーク輝度演算部、32 照度ピーク輝度演算部、33 時間変化ピーク輝度演算部、50 観視照明環境検出部、60 観視者情報入力部、70 表示部、80 映像信号切り替え部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの映像信号を受ける映像信号入力部と、
前記映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量を演算する映像特徴量演算部と、
前記映像特徴量に基づいて、表示輝度レベルの最大値及び時間的変化を制御する表示輝度制御部と、
前記表示輝度制御部で制御された前記表示輝度レベルに応じて映像を表示する表示部と、を備えた画像表示装置。
【請求項2】
前記映像特徴量は前記映像信号の平均輝度レベルである、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
観視者に関する所定の情報である観視者情報を取得する観視者情報入力部をさらに備え、
前記表示輝度制御部は前記観視者情報にも基づいて前記表示輝度レベルの制御を行う、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記表示部近傍の照度を測定する観視照明環境検出部をさらに備え、
前記表示輝度制御部は前記照度にも基づいて前記表示輝度レベルの制御を行う、請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記表示輝度制御部は、
前記平均輝度レベルから前記表示輝度レベルの最大値を決定するピーク輝度演算部と、
前記照度に応じて、前記ピーク輝度演算部で決定した前記表示輝度レベルの最大値を補正する照度ピーク輝度演算部と、
前記観視者情報を基に、前記表示輝度レベルの時間的変化を制御する時間変化ピーク輝度演算部と、を備えた、請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記時間変化ピーク輝度演算部は、前記観視者情報として観視者が所望する画質設定に応じて前記表示輝度レベルの時間的変化を制御する、請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記ピーク輝度演算部は、前記観視者情報としての視力情報を基に前記表示輝度レベルの最大値を決定し、
前記照度ピーク輝度演算部は、前記観視者情報としての視力情報を基に前記表示輝度レベルの最大値を補正する、請求項5又は6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記時間変化ピーク輝度演算部は、前記表示輝度レベルが表示開始から一定期間下降した後、第1の所定値を保持するように制御を行う、請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記第1の所定値は、観視者が暗さを感じないものとして予め定められた前記表示輝度レベルの最小値である、請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記時間変化ピーク輝度演算部は、前記表示輝度レベルが表示開始から一定期間上昇した後前記表示輝度レベルの最大値を保持するように制御を行う、請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記時間変化ピーク輝度演算部は、前記表示輝度レベルが表示開始から一定期間上昇し、その後一定期間前記表示輝度レベルの最大値を保持し、その後一定期間下降し、その後第2の所定値を保持するように制御を行う、請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記第2の所定値は、観視者が暗さを感じないものとして予め定められた前記表示輝度レベルの最小値である、請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記映像特徴量演算部は、前記映像信号の平均輝度レベルを算出する平均輝度レベル演算部と、
前記平均輝度レベルの変化を検出する平均輝度変化検出部と、を備え、
前記時間変化ピーク輝度演算部は、前記平均輝度レベルの変化が所定値より大きい場合に、当該変化に合わせて前記表示輝度レベルを変化させる、請求項3〜12のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記観視者情報入力部は、観視者が変更した場合に新たな観視者情報を取得し、当該新たな観視者情報によって、前記ピーク輝度演算部及び前記照度ピーク輝度演算部及び前記時間変化ピーク輝度演算部は前記表示輝度レベルを制御する、請求項5〜13のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項15】
映像信号を切り替えたことを示す信号を出力する映像信号切り替え部をさらに備え、前記信号を受ける度に、前記ピーク輝度演算部及び前記照度ピーク輝度演算部及び前記時間変化ピーク輝度演算部は前記表示輝度レベルを制御する、請求項5〜13のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項1】
外部からの映像信号を受ける映像信号入力部と、
前記映像信号の明るさの特徴を示す映像特徴量を演算する映像特徴量演算部と、
前記映像特徴量に基づいて、表示輝度レベルの最大値及び時間的変化を制御する表示輝度制御部と、
前記表示輝度制御部で制御された前記表示輝度レベルに応じて映像を表示する表示部と、を備えた画像表示装置。
【請求項2】
前記映像特徴量は前記映像信号の平均輝度レベルである、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
観視者に関する所定の情報である観視者情報を取得する観視者情報入力部をさらに備え、
前記表示輝度制御部は前記観視者情報にも基づいて前記表示輝度レベルの制御を行う、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記表示部近傍の照度を測定する観視照明環境検出部をさらに備え、
前記表示輝度制御部は前記照度にも基づいて前記表示輝度レベルの制御を行う、請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記表示輝度制御部は、
前記平均輝度レベルから前記表示輝度レベルの最大値を決定するピーク輝度演算部と、
前記照度に応じて、前記ピーク輝度演算部で決定した前記表示輝度レベルの最大値を補正する照度ピーク輝度演算部と、
前記観視者情報を基に、前記表示輝度レベルの時間的変化を制御する時間変化ピーク輝度演算部と、を備えた、請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記時間変化ピーク輝度演算部は、前記観視者情報として観視者が所望する画質設定に応じて前記表示輝度レベルの時間的変化を制御する、請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記ピーク輝度演算部は、前記観視者情報としての視力情報を基に前記表示輝度レベルの最大値を決定し、
前記照度ピーク輝度演算部は、前記観視者情報としての視力情報を基に前記表示輝度レベルの最大値を補正する、請求項5又は6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記時間変化ピーク輝度演算部は、前記表示輝度レベルが表示開始から一定期間下降した後、第1の所定値を保持するように制御を行う、請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記第1の所定値は、観視者が暗さを感じないものとして予め定められた前記表示輝度レベルの最小値である、請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記時間変化ピーク輝度演算部は、前記表示輝度レベルが表示開始から一定期間上昇した後前記表示輝度レベルの最大値を保持するように制御を行う、請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記時間変化ピーク輝度演算部は、前記表示輝度レベルが表示開始から一定期間上昇し、その後一定期間前記表示輝度レベルの最大値を保持し、その後一定期間下降し、その後第2の所定値を保持するように制御を行う、請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記第2の所定値は、観視者が暗さを感じないものとして予め定められた前記表示輝度レベルの最小値である、請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記映像特徴量演算部は、前記映像信号の平均輝度レベルを算出する平均輝度レベル演算部と、
前記平均輝度レベルの変化を検出する平均輝度変化検出部と、を備え、
前記時間変化ピーク輝度演算部は、前記平均輝度レベルの変化が所定値より大きい場合に、当該変化に合わせて前記表示輝度レベルを変化させる、請求項3〜12のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記観視者情報入力部は、観視者が変更した場合に新たな観視者情報を取得し、当該新たな観視者情報によって、前記ピーク輝度演算部及び前記照度ピーク輝度演算部及び前記時間変化ピーク輝度演算部は前記表示輝度レベルを制御する、請求項5〜13のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項15】
映像信号を切り替えたことを示す信号を出力する映像信号切り替え部をさらに備え、前記信号を受ける度に、前記ピーク輝度演算部及び前記照度ピーク輝度演算部及び前記時間変化ピーク輝度演算部は前記表示輝度レベルを制御する、請求項5〜13のいずれかに記載の画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−128408(P2010−128408A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305867(P2008−305867)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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