説明

画像表示装置

【課題】部品数の増加及びコストの増加を招くことなく画面光と環境光の両方を測定することのできる画像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像表示装置は、表示パネルと、前記表示パネルを囲むベゼルと、前記ベゼルの一部に設けられた、光を測定可能な測光ユニットと、を有し、前記測光ユニットは、装置の外側を向き、環境光を測定する第1の状態と、前記表示パネルと対向し、画面光を測定する第2の状態との間で回動可能に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置を始めとするディスプレイ装置(画像表示装置)は様々な用途に利用されている。印刷業や医療等で利用される画像表示装置は、色再現性が要求されているため、画像表示面からの光(画面光)の輝度(バックライトの光量)や色度を補正する。例えば、画面光の輝度や色度は、画像表示装置の使用温度や経時劣化により変化する。そのため、画面光が測定され、測定結果に基づいて画面光の輝度や色度が補正(キャリブレーション)される。従来は、画像表示装置とは別体の測光センサーを画像表示面に近づけて手動で測光及びキャリブレーションしたり、画像表示面の一部を覆うように固定されたセンサーを用いて測光及びキャリブレーションすることが多かった。
【0003】
また、画面光の輝度や色度は、室内の照明や屋外からの太陽光等の環境光により、変化して見える。環境光の輝度が高い場合は、画面光の輝度も高い方が望ましく、環境光の輝度が低い場合は、画面光の輝度も低いほうが望ましい。一方、環境光の色度により画面光の色度は影響を受けるため、環境光の色度に基づいて画面光の色度を調整することが望ましい。そのため、画像表示装置には、その正面に環境光の輝度や色度等が測定可能な外光センサーを搭載し、環境光の輝度や色度に基づいて、画面光の輝度や色度を制御するものがある。
【0004】
特許文献1には、通常使用時はベゼルに隠れており、キャリブレーション実行時に画像表示面前面に移動する可動式測光センサーを有する画像表示装置が開示されている。
図17は、特許文献1に開示の画像表示装置の構成図である。四角形の液晶面とその周囲を覆うベゼル400からなる液晶表示装置100の4隅の内の少なくとも1隅に移動可能に測光装置300が配置されている。測光装置300は(画面光の)測光時に液晶表示装置正面に移動され、測光が終われば測光装置は液晶面の角部を中心とした円を描き、図中に示されている矢印方向に回転移動し、ベゼル400の中に格納される。この可動により、画面光の測光時以外では、ベゼル400内に測光装置300は隠れ、液晶表示部200の邪魔とならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−208548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、画像表示装置の画面光をキャリブレーションする際には、照明や太陽光等の環境光による影響も考慮することが望ましい。具体的には、環境光の輝度や色度を測定し、画面光をキャリブレーションする際に該測定結果を更に用いることが望ましい。
【0007】
しかしながら、図17に示される従来技術では、測光装置300(測光センサー)は液晶表示部200の画面光の輝度を測定するために、表示面側を向いている。環境光を測定するには、画像表示装置の外側を向いた環境光用の測光センサー(環境光を測定するための測光センサー)を別途配置する必要がある。環境光用の測光センサーは画面光用の測光センサー(画面光を測定する測定センサー)と同様、光の輝度や色度を測定するセンサーである。つまり、従来技術で画面光と環境光の両方を測定するためには、画面光用と環境
光用の2つのセンサーを実装する必要がある。そのため、コストの増加や部品数の増加を招いてしまう。
【0008】
本発明は、部品数の増加及びコストの増加を招くことなく画面光と環境光の両方を測定することのできる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像表示装置は、表示パネルと、前記表示パネルを囲むベゼルと、前記ベゼルの一部に設けられた、光を測定可能な測光ユニットと、を有し、前記測光ユニットは、装置の外側を向き、環境光を測定する第1の状態と、前記表示パネルと対向し、画面光を測定する第2の状態との間で回動可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像表示装置によれば、部品数の増加及びコストの増加を招くことなく画面光と環境光の両方を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1に係る画像表示装置の環境光測定時の正面図。
【図2】実施例1に係る画像表示装置の環境光測定時の斜視図。
【図3】実施例1に係る画像表示装置の分解斜視図。
【図4】実施例1に係る画像表示装置の背面斜視図。
【図5】実施例1に係る画像表示装置の画面光測定時の正面図。
【図6】実施例1に係る画像表示装置の画面光測定時の斜視図。
【図7】実施例1に係る測光ユニットの構造を示す分解斜視図。
【図8】実施例1に係る測光ユニットの動作を説明するための断面図。
【図9】キャリブレーションを自動で開始するための構成を説明するための断面図。
【図10】実施例1に係る画像表示装置の機能構成を示すブロック図。
【図11】実施例1に係るキャリブレーション処理の手順を示すフローチャート。
【図12】実施例2に係る画像表示装置の背面図。
【図13】実施例2に係るモーター部の分解斜視図。
【図14】実施例2に係る測光ユニットの動作を説明するための断面図。
【図15】実施例2に係る画像表示装置の構成を示すブロック図。
【図16】実施例2に係るキャリブレーション処理の手順を示すフローチャート。
【図17】従来の画像表示装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る画像表示装置について図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下で説明する構成は一例であり、これに限るものではない。
【0013】
<実施例1>
図1は、実施例1に係る画像表示装置の環境光測定時の正面図である。図2は、実施例1に係る画像表示装置の環境光測定時の拡大斜視図である。
【0014】
まず、図1の正面図について説明する。画像表示装置1は画像表示パネル(表示パネル)である液晶パネル2を有する。なお、画像表示パネルは液晶パネルに限らず、電子放出素子、プラズマ素子、蛍光表示管、有機EL(Electro Luminescence)素子等を有する画像表示パネルであってもよい。また、画像表示装置1は液晶パネル2を囲むベゼル4を有する。換言すれば、ベゼル4は、液晶パネル2の画像表示面21の周囲に設けられている(ベゼル4の正面には開口が設けられており、該開口によって液晶パネル2の画像表示面21が露出されている)。ベゼル4は、例えば、樹脂等で成型され
ている。ベゼル4の一部(図中、右下の部分)には、測光可能(光を測定可能)な測光ユニット3が設けられている。また、画像表示装置1には、画像表示装置1を支持するスタンド6が設けられている。
【0015】
次に、図2の斜視図について説明する。測光ユニット3の一部には測光できるように導光板5が設けられている。導光板5は光を透過させるために、透明もしくは乳白色の樹脂等で成型されるのが望ましい。図2では、測光ユニット3は画像表示面21の正面方向(画像表示装置1の外側)を向いているため、照明等の環境光を測定することができる。以後、測光ユニット3の図2に示す状態(画像表示装置1の外側を向き、環境光を測定する状態)を第1の状態とよぶ。
【0016】
図3は、実施例1に係る画像表示装置の分解斜視図である。図4は、実施例1に係る画像表示装置のリアカバー取り外し時の背面斜視図である。
ベゼル4は、液晶パネル2の縁部分を覆うように固定される。また、液晶パネル2の背面にはシャーシ8が固定される。シャーシ8の背面には電気回路基板10がネジ(図4の符号12)により固定されている。また、シャーシ8には、測光ユニット3を固定したり稼動させたりするヒンジユニット9が固定されている。画像表示装置1の背面はリアカバー7により覆われ、リアカバーはネジ(図示せず)によりシャーシ8へ固定される。図4に示すように、電気回路基板10は画像処理等を行うシステム基板111と外部からの電源を画像表示装置本体へ供給する電源基板112から構成されている。システム基板111と電源基板112は、FFC(Flexible Flat Cable)113により電気的に接続される。測光ユニット3とシステム基板111はFPC(Flexible
Printed Circuits)11により電気的に接続される。このような構成(配線)により、測光ユニット3で測定される輝度や色度は電気信号としてシステム基板111へ送信される。
【0017】
図5は、実施例1に係る画像表示装置の画面光(表示パネルからの光)測定時の正面図である。図6は、実施例1に係る画像表示装置の画面光測定時の拡大斜視図である。図7は、実施例1に係る測光ユニットの分解斜視図である。
図5では、測光ユニット3が画像表示面21に向いている(表示パネルと対向している)。そのため、測光ユニット3では画像表示面21からの光(画面光)を測定することができる。以後、測光ユニット3の図5に示す状態(表示パネルと対向し、画面光を測定する状態)を第2の状態とよぶ。
図6に示すように、測光ユニット3は環境光測定時はベゼル4の一部に設けられた段差部41(凹部)に収納されている。そして、測光ユニット3は、画面光測定時には回転して画像表示面21を向く。即ち、本実施例では、測光ユニット3は、第1の状態と第2の状態との間で回動可能に設けられている。
【0018】
図7を用いて、測光ユニット3の構造を詳細に説明する。図7(a)は正面斜視図、図7(b)は背面斜視図である。前カバー311に導光板5とセンサー基板321が固定されている。センサー基板321には測光センサー322が実装されている。測光センサー322は例えば、照度センサーや色センサー等の輝度や色度が測定可能なものである。センサー基板321の裏面にはスイッチ323が実装され、ボタン392が後カバー39に設けられている。後カバー39の背面には前スライダー33が配置されている。前スライダー33の背面には後スライダー34が配置されている。後カバー39のボス391は前スライダー33の溝332に嵌合している。後スライダー34のボス341は前スライダー33の溝331に嵌合している。それにより、測光ユニット3(具体的には、前スライダー33と後カバー39)は前スライダー33の溝方向にスライド可能となる。後スライダー34は、後スライダー34と縦スライダー35をシャフト38が貫通することにより、縦スライダー35に対してシャフト38を軸として回転可能に設けられている。縦スラ
イダー35はスライドブラケット92に対してスライド可能に設けられている。スライドブラケット92はシャーシブラケット91に固定されている。
【0019】
図8は、実施例1に係る測光ユニットの動作を説明する、シャフト38を含み且つシャフト38の軸方向に垂直な面によって得られる画像表示装置の要部断面図である。
図8(a)は環境光測定時の断面図であり、図8(b)は画面光測定時の断面図である。環境光測定時は、測光ユニット3は、バネ36が圧縮されている状態で収納されており、正面方向を向いている(第1の状態)。そのため、測光センサー322には環境光が導入される。画面光測定時は、バネ36が伸び、縦スライダー35は溝351の方向にスライドする(溝351とスライドブラケット92の凸部921は嵌合しているため、縦スライダー35は溝351の方向にスライドする)。この時、バネ37の付勢する力によりシャフト38を中心に後スライダー34が回転し、前スライダー33と後カバー39がスライド動作し、センサー基板321を含む前カバー311が画像表示面21に向けられる(第2の状態)。それにより、測光センサー322には画面光が導入されるようになる。
【0020】
図9を用いて、画面光の輝度や色度のキャリブレーションを自動で開始するための構成について説明する。
図9(a)は環境光測定時、図9(b)は画面光測定時における、スイッチ323を含み且つ(不図示の)シャフト38の軸方向に垂直な面によって得られる画像表示装置の断面図である。環境光測定時(測光ユニット3の状態が第1の状態のとき)には、スイッチ323は、ボタン392が前スライダー33によって押圧されることにより、押圧される。即ち、環境光測定時には、スイッチ323はオン状態になっている。画面光測定時(測光ユニット3の状態が第2の状態のとき)には、ボタン392は開放されるため、スイッチ323は押圧されない(オフ状態となる)。これにより、測光ユニット3の状態が第1の状態なのか第2の状態なのかを自動で検出(判定)することができる。そして、判定結果に応じて、キャリブレーション(画面光の輝度や色度の補正)を自動で開始することが可能となる。
【0021】
図10は、実施例1に係る画像表示装置の機能構成を示すブロック図である。
図10において、符号101は映像信号入力部、符号102は輝度フィードバック制御部、符号103はバックライト駆動部、符号104は液晶駆動部、符号105は制御部、符号106はキャリブレーション部、符号107は輝度値/色度値記憶部である。
まず、パーソナルコンピューター(以下PC)等から出力される映像信号が映像信号入力部101に入力される。次に、入力された映像信号は液晶駆動部104に送出され、液晶パネルである表示部23で画像として表示される。また、測光センサー322で環境光が測定されると、その測定値は制御部105に送出され、輝度値/色度値記憶部107に記憶される。そして、スイッチ323からの信号を基に、制御部105は、測光センサー322の状態が第1の状態か第2の状態かを判定し、第2の状態であると判定した場合にキャリブレーションを開始する。即ち、制御部105が、本発明の状態判定手段と校正手段を実現する。キャリブレーション実行時は測光センサー322は画像表示面21を向いているため、環境光は測定できない。そのため、輝度値/色度値記憶部107に記憶されている環境光の輝度値や色度値がキャリブレーションに用いられる。具体的には、制御部105は、測光センサー322により測定される画面光の値(輝度値、色度値、または、その両方)と輝度値/色度値記憶部107に保存された環境光の値(輝度値、色度値、または、その両方)を用いて、適正なバックライトの輝度値を算出する。即ち、第1の状態で測定された環境光の値と第2の状態で測定された画面光の値とを用いてキャリブレーションが実行される。次に、制御部105が輝度フィードバック制御部102およびバックライト駆動部103を通じて、液晶パネル2のバックライト部22に、算出した輝度値をフィードバックする。それにより、バックライト部22から発せられる光の輝度値がフィードバックされた(算出された)輝度値に補正され、表示画像の輝度や色度が補正される。
【0022】
図11は、本実施例に係るキャリブレーション処理の手順を示すフローチャートである。以下では、第1の状態を初期状態として説明する。
まず、ステップS101で、測光センサー322により環境光の輝度値および色度値が測定される。
次に、ステップS102で、制御部105が、ステップS101で測定された輝度値および色度値を輝度値/色度値記憶部107に記憶する。
そして、ステップS103で、制御部105が、スイッチ323の状態から、キャリブレーションを実行するか否かを判定する。具体的には、スイッチ323がオン状態の場合は、制御部105が測光ユニットの状態が第1の状態であると判定し、環境光の輝度値および色度値が引き続き測定される(ステップS101へ戻る)。スイッチ323がオフ状態の場合は、制御部105が測光ユニットの状態が第2の状態であると判定し、キャリブレーションが開始される(ステップS104へ進む)。
ステップS104では、制御部105が、画像表示面21にキャリブレーションパターンを表示する制御を行う。パターンは、例えば、最高輝度や最低輝度の表示、または、ガンマカーブやDICOMカーブ等に則った表示である。
次に、ステップS105で、測光センサー322により、画面光の輝度や色度が測定される。このとき、環境光の輝度値および色度値は測定できないため、制御部105は、ステップS102で輝度値/色度値記憶部107に記憶された環境光の輝度値および色度値を読み出す(ステップS106)。
そして、ステップS107で、制御部105が、ステップS105で測定された画面光の輝度値や色度値、及び、ステップS106で読み出された環境光の輝度値や色度値を基に、画面光の望ましい輝度値および色度値を算出し、画面光へ反映する。本実施例では、バックライトの望ましい輝度値および色度値が算出され、バックライトへ反映される。
【0023】
以上述べたように、本実施例によれば、測光ユニット3を第1の状態と第2の状態との間で回動可能とすることで、1つの測光ユニット3で環境光と画面光の両方を測定することができる。また、複数の測光ユニット(複数の測光センサ)を用いないため、取付箇所も一箇所で済み、部品数の増加及びコストの増加を招くことなく画面光と環境光の両方を測定することができる。
また、本実施例では、第1の状態か第2の状態かを判定し、第2の状態になった時に自動でキャリブレーションが実行されるため、利便性が向上される。
【0024】
なお、本実施例では、スイッチのオン/オフによって第1の状態か第2の状態かを判定するものとしたが、判定方法はこれに限らない。例えば、測光センサの測定値をもとに第1の状態か第2の状態かを判定してもよい。
なお、本実施例では、バックライトが複数色(例えば、Red,Green,Blue)のLEDで構成されており、バックライトからの光の輝度値、色度値を制御する例について説明したが、これ限らない。バックライトとしてCCFL(冷陰極管)や白色LED(発光ダイオード)を用い、バックライトからの光の輝度値を制御する構成であってもよい。
なお、本実施例では、バックライトの発する光を制御することで画面光の輝度や色度をキャリブレーションする構成としたが、これに限らない。例えば、液晶素子の透過率を制御する構成であってもよい。有機EL素子のような自発光型の素子を用いた画像表示装置の場合には、その発光強度を制御すればよい。
なお、本実施例では、縦スライダー、前スライダー、横スライダー、シャフトを用いた回動機構を説明したが、回動機構はこれに限らない。例えば、ピニオンギヤを組み合わせて測光ユニットが回動する構成であってもよい。
【0025】
<実施例2>
実施例1では測光ユニットを手動で回転させるのに対し、実施例2では測光ユニットを自動で回転させる。
図12は、実施例2に係る画像表示装置のリアカバー取外し時の要部拡大図(背面図)である。図13は、実施例2に係るモーター部の分解斜視図である。
【0026】
図12は、測光ユニットの裏面部分を拡大して示したものである。ベゼル4に、モーター13が実装された基板14が固定されている。また、基板14にはスライダー15が配置されている。図13を用いて、その部分(モーター部)について詳細に説明する。基板14上にはモーター13が設けられている。基板14上のボス141はスライダー15の溝152に嵌合している。また、スライダー15の端部にはラックギヤ151が設けられており、モーター13の先端にあるピニオンギヤ131と互いに噛みあっている。それらの近傍には測光ユニットの可動部分である、縦スライダー235、スライドブラケット92及びシャーシブラケット91が配置されている。
【0027】
図14は、実施例2に係る測光ユニットの動作を説明する画像表示装置の要部断面図(測光ユニットの回転軸であるシャフトを含み且つシャフトの軸方向に垂直な面によって得られる断面図)である。
図14(a)は環境光測定時の断面図、図14(b)はキャリブレーションが開始される時(第1の状態から第2の状態へ移行する時)の断面図、図14(c)はキャリブレーション実行時(画面光測定時)の断面図である。
図14(a)に示すように、環境光測定時は、縦スライダー235の溝236にスライダー15が挟まっており、測光ユニット3が(画像表示装置の)正面方向を向いた状態でロックされている。キャリブレーションを開始する時には、図14(b)に示すように、モーター13が動作し、ピニオンギヤ131が回転する。そして、ピニオンギヤ131に連動しラックギヤ151が動き、スライダー15が溝236から抜ける。すると、図14(c)に示すように、圧縮されたバネ36が伸び、縦スライダー235が画像表示面21の鉛直方向(ばねの伸び方向)に移動する。そして、測光ユニット3が、回転しながら画像表示面21上までスライドし、画像表示面21を向く。即ち、本実施例では、モーター13を用いることによって測光ユニットが自動的に回動される(回動手段)。
【0028】
図15は、実施例2に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
図15の符号101から符号107までは、図10に示す機能と同じ機能である。符号10は画像表示装置、符号13はモーター、符号206はキャリブレーション部である。以降、実施例1とは異なる部分について説明する。
キャリブレーション部206にはモーター13が実装されている。制御部105は、ユーザーからの指示に応じてキャリブレーションを実行するか否かを判定する(実行判定手段)。そして、キャリブレーションを実行すると判定された場合(外部スイッチやPCからキャリブレーション実行の指示があった場合)は、制御部105は、キャリブレーションを開始するために、モーター13を動作させる指示を行う。それにより、モーター13が動作し、測光ユニット3が第1の状態から第2の状態へ回動される。モーター13の動作が完了すると、制御部105に当該完了を表す情報が通知される。モーター13の動作が完了したか否かは、例えば、モーター13の動作時間から判断することができる。また、測光ユニット3の状態が第2の状態になったときはモーター13の動作を停止してもよいため、スイッチ323からの信号から判断することもできる。そのため、モーター13の動作が完了したことを表す情報としては、上記動作時間、スイッチ323からの信号(スイッチ323の状態を表す信号)などを利用することができる。但し、情報はこれに限らず、モーター13の動作が完了したことを表していればどのような情報であってもよい。例えば、モーター13を、所定時間(所定回転数)だけ回転した後に自動的に停止し、停止した後に停止したことを表す信号を出力する構成としてもよい。
【0029】
図16は実施例2に係るキャリブレーション処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS201で、測光センサー322により環境光の輝度値および色度値が測定される。
次に、ステップS202で、制御部105が、ステップS201で測定された輝度値および色度値を輝度値/色度値記憶部107に記憶する。
そして、ステップS203で、制御部105が、外部スイッチやPCからキャリブレーション実行の指示を受けたか否かを判定する。キャリブレーション実行の指示を受けた場合、ステップS204で、制御部105がモーター13を動作させる。キャリブレーション実行の指示を受けていない場合は、引き続き環境光が測定される(ステップS201へ戻る)。
ステップS204の次に、ステップS205で、制御部105が、モーターの動作が完了したか否かを判定する。動作が完了しない場合(モーター13の動作が完了したことを表す情報が通知されていない場合)は、制御部105は、測光ユニット3の状態が第1の状態であると判定し、モーター13を動作し続ける(ステップS204へ戻る)。モーターの動作が完了した場合は、制御部105は、測光ユニット3の状態が第2の状態であると判定し、ステップS206で、画像表示面21にキャリブレーションパターンを表示する制御を行う。
ステップS206の次に、ステップS207で、測光センサー322により画面光の輝度値および色度値が測定される。そして、ステップS208で、制御部105が、ステップS202で輝度値/色度値記憶部107に記憶された環境光の輝度値および色度値を読み出す。
そして、ステップS209で、制御部105が、ステップS207で測定された画面光の輝度値や色度値、及び、ステップS208で読み出された環境光の輝度値や色度値を基に、画面光の望ましい輝度値および色度値を算出し、画面光へ反映する。
【0030】
以上述べたように、本実施例によれば実施例1と同様に、部品数の増加及びコストの増加を招くことなく画面光と環境光の両方を測定することができる。
また、本実施例では、測光ユニットが自動的に回動するため、利便性が向上される。
また、本実施例では、ユーザーからキャリブレーションの実行の指示があった場合に測光ユニットが回動するため、利便性が更に向上される。
なお、本実施例では、ラックギヤとピニオンギヤを噛み合わせ、それらをモーターで駆動させることにより測光ユニットを自動的に回動させるものとしたが、回動機構はこれに限らない。例えば、複数のピニオンギヤを噛み合わせ、それらをモーターで駆動させることにより測光ユニットを自動的に回動させる構成であってもよい。測光ユニットを自動的に回動させることができればよく、測光ユニットの構成に応じて適宜設計すればよい。ピニオンギヤ同士で駆動させてもよく、その他自動で回動させる構造としても良い。
【符号の説明】
【0031】
1 画像表示装置
2 液晶パネル
3 測光ユニット
4 ベゼル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルを囲むベゼルと、
前記ベゼルの一部に設けられた、光を測定可能な測光ユニットと、
を有し、
前記測光ユニットは、装置の外側を向き、環境光を測定する第1の状態と、前記表示パネルと対向し、画面光を測定する第2の状態との間で回動可能に設けられている
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記測光ユニットの状態が第1の状態なのか第2の状態なのかを判定する状態判定手段と、
前記画面光の輝度または色度のキャリブレーションを実行する校正手段と、
を更に有し、
前記校正手段は、前記状態判定手段で前記測光ユニットの状態が第2の状態であると判定された場合に、前記第1の状態で測定された環境光の値と前記第2の状態で測定された画面光の値とを用いて前記キャリブレーションを実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記測光ユニットを自動的に回動する回動手段を更に有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
ユーザーからの指示に応じて前記キャリブレーションを実行するか否かを判定する実行判定手段を更に有し、
前記実行判定手段で前記キャリブレーションを実行すると判定された場合に、前記回動手段は、前記測光ユニットを前記第1の状態から前記第2の状態へ回動させる
ことを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−150213(P2012−150213A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7799(P2011−7799)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】