説明

画像記録方法、および画像記録システム

【課題】製品の歩留りを向上させることができる画像記録方法、および画像記録システムを提供する。
【解決手段】描画パターンが形成される被描画体の露光面の凹凸形状を形状測定器で測定する。これにより得られた凹凸形状の変位データを波形鈍化処理部81で補正して、プリズムペアによる光ビームの焦点調節が可能となるようにする。波形鈍化処理部81を経た変位データと、元の変位データとの差分を差分算出部82で算出する。差分算出部82で得られた差分の最大値と閾値とを露光可否判定部83で比較し、この比較結果に基づいて、露光可否を判定する。露光可能であると判定された場合、波形鈍化処理部81を経た変位データに応じて、プリズムペアの駆動を制御する。露光不可であると判定された場合は、露光記録は行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルデータで表される所定の描画パターンを、光ビームを用いて被描画体に直接描画する画像記録方法、および画像記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルデータで表される所定の描画パターンを、被描画体に直接描画する画像記録システムが開発されている。画像記録システムとしては、例えば、表面に感光材料が塗布または貼着されたプリント配線基板やフラットパネルディスプレイ用ガラス基板などの被描画体の露光面に、描画パターンに応じて変調された光ビームを照射することにより、マスクレスで露光記録を行うデジタル露光システムが知られている。
【0003】
デジタル露光システムは、描画パターンの設計、被描画体の作製から、露光済みの被描画体の検査、梱包、出荷に至る一連のプロセスを統合した一大製造システムに組み込まれており、そのうちの描画パターンの露光という役割を担っている。描画パターンの設計は、例えば、CAD(Computer Aided Design)で行われ、デジタル露光システムには、CADで設計した描画パターンをCAM(Computer Aided Manufacturing)で編集したベクトルデータ(またはガーバーデータ)が与えられる。デジタル露光システムでは、与えられたベクトルデータをラスターイメージプロセッサ(Raster Image Processor;RIP)でラスタライズし、これにより生成されたラスターデータ(画素毎に露光記録の有無を“0”または“1”の二値で表したもの)に基づいて、DMD(Digital Micromirror Device、登録商標)などの空間光変調素子を駆動制御することで、露光記録を行っている。
【0004】
デジタル露光システムでは、扱う製品の性質上、被描画体の露光面の正規の位置に、如何にして正確に描画パターンを露光するかが重要な課題となっている。描画パターンの露光位置がずれると、製品の性能が著しく低下するばかりか、場合によっては不良品となって歩留りが悪くなるおそれがあるからである。
【0005】
ところが、被描画体には、デジタル露光システムに至る前の工程でプレス処理を施した際の熱膨張など、製造条件や周囲の環境に起因して厚み方向に多少の凹凸が生じる。このため、従来、被描画体の露光面の凹凸形状を測定し、この測定結果に応じて光ビームの焦点調節を行っている。具体的には、光ビームの出射端に配したプリズムペアなどの光学部材を、被描画体の厚み方向に沿って機械的に移動させている。
【0006】
被描画体には、デジタル露光システムに導入した際に位置決めを行うためのアラインメントマークや、各種電子部品を装着するためのランド孔が設けられている。従来のデジタル露光システムでは、製造条件や周囲の環境に起因する凹凸と、アラインメントマークやランド孔などの人工的な形成物とを区別して、人工的な形成物を無視して焦点調節を行っている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−047958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
プリズムペアなどの光学部材を用いた機械的な焦点調節では、光学部材が移動可能な範囲が制限されるため、焦点調節が可能な範囲も自ずと限られる。また、露光は等速移動する被描画体に対して行うため、光学部材の移動が被描画体の移動に追いつけないことがあり、光学部材の移動で追従可能な速度にも限界がある。したがって、被描画体の一部が反り上がっていたりして、露光面の凹凸形状が大きく変化していたり、急激に変化していたときには、焦点調節を行うことができない場合がある。この場合は、その被描画体への露光を断念せざるを得ず、当該被描画体は廃棄されるため、製品の歩留りが悪くなるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、製品の歩留りを向上させることができる画像記録方法、および画像記録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、デジタルデータで表される所定の描画パターンを、光ビームを用いて被描画体に直接描画する画像記録システムにおいて、前記描画パターンが形成される前記被描画体の描画面の凹凸形状を測定する形状測定手段と、前記形状測定手段による前記凹凸形状の変位データに基づいて、前記描画面に前記光ビームが合焦するように前記光ビームの焦点調節を機械的に行う焦点調節手段と、前記焦点調節が可能となるように、前記変位データを補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
前記補正手段で補正した前記変位データと、前記補正手段で補正していない元の前記変位データとの差分を算出する差分算出手段と、前記差分算出手段で算出された前記差分の最大値と閾値とを比較し、この比較結果に基づいて、前記描画の可否を判定する描画可否判定手段とを備えることが好ましい。
【0012】
この場合、前記描画可否判定手段は、前記差分の最大値が前記閾値以下である場合、前記描画が可能であると判定し、前記差分の最大値が前記閾値よりも大きい場合、前記描画が不可であると判定する。
【0013】
また、前記焦点調節手段は、前記描画可否判定手段で前記描画が可能であると判定された場合、前記補正手段で補正された前記変位データに基づいて駆動制御される。

前記閾値を入力させるための操作入力手段を備えることが好ましい。前記閾値は、少なくとも前記描画パターンの精細度に応じて設定されることが好ましい。
【0014】
前記補正手段は、前記変位データで表される前記凹凸形状の波形を鈍化させる波形鈍化処理を施すことで、補正を行うことが好ましい。
【0015】
前記変位データを解析して、前記焦点調節の可否を判定する焦点調節可否判定手段を備え、前記補正手段は、前記焦点調節可否判定手段で前記焦点調節が不可であると判定された前記変位データに対して補正を行うことが好ましい。
【0016】
この場合、前記補正手段は、前記焦点調節可否判定手段で前記焦点調節が可能であると判定されるまで、前記変位データに対して補正を繰り返し行う。
【0017】
前記焦点調節手段は、前記光ビームの出射端に配される楔形状の複数の光学部材を有することが好ましい。また、前記デジタルデータに基づいて前記光ビームを変調する空間光変調素子を有する露光ヘッドを備えることが好ましい。
【0018】
請求項12に記載の発明は、デジタルデータで表される所定の描画パターンを、光ビームを用いて被描画体に直接描画する画像記録方法において、前記描画パターンが形成される前記被描画体の描画面の凹凸形状を測定する形状測定工程と、前記形状測定工程で得られた前記凹凸形状の変位データに基づいて、前記描画面に前記光ビームが合焦するように前記光ビームの焦点調節を機械的に行う焦点調節工程と、前記焦点調節が可能となるように、前記変位データを補正する補正工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の画像記録方法、および画像記録システムによれば、描画パターンが形成される被描画体の描画面の凹凸形状の変位データを補正して、光ビームの焦点調節が可能となるようにするので、描画面に焦点調節が不可能なほどの凹凸がある場合でも、描画を行うことができる。したがって、従来は描画が不可であるとして廃棄していた被描画体も、廃棄されることなく製品として組み入れることができ、製品の歩留りを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】デジタル露光システムの概略構成を示す斜視図である。
【図2】露光ヘッドの概略構成を示す説明図である。
【図3】DMDの概略構成を示す斜視図である。
【図4】露光ヘッドと形状測定器との配置関係を説明するための図である。
【図5】デジタル露光システムの内部構成を示すブロック図である。
【図6】制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図7】形状測定器の測定結果の例を示すグラフである。
【図8】波形鈍化処理部の処理例を示すグラフである。
【図9】差分算出部の処理例を示すグラフである。
【図10】デジタル露光システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図11】形状測定器の測定結果を受けて、制御装置で行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1において、デジタル露光システム2は、デジタル露光機10、光源ユニット11、画像処理ユニット12、および制御装置13から構成される。デジタル露光システム2は、CAD(Computer Aided Design)で設計した所定の描画パターン(例えば、プリント配線パターンなど)をCAM(Computer Aided Manufacturing)で編集したベクトルデータ(またはガーバーデータ)を画像処理ユニット12でラスタライズし、これにより生成されたラスターデータ(画素毎に露光記録の有無を“0”または“1”の二値で表したもの)を元に、デジタル露光機10および光源ユニット11を用いて被描画体14を露光することで、マスクレスで被描画体14に所望の画像を形成するものである。
【0022】
被描画体14は、例えば、露光面14aに感光材料が塗布または貼着されたプリント配線基板や、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板からなる。露光面14aには、露光位置の基準を示すアラインメントマーク15が設けられている。アラインメントマーク15は、例えば、薄膜の凹凸によって形成され、露光面14aの四隅にそれぞれ一つずつ、計四個配されている。
【0023】
デジタル露光機10は、平板状の基台16を有している。基台16は、四本の脚部17に支持され、水平面に対して平行に配置されている。基台16の上面には、Y方向(基台16の長手方向に平行な方向)に平行な二本のガイドレール18が並べて設けられている。ガイドレール18には、被描画体14を吸着保持する移動ステージ19が、Y方向にスライド自在となるように取り付けられている。移動ステージ19は、リニアモータなどの駆動源を含むステージ駆動部73(図5参照)によってY方向に往復移動される。また、図示はしていないが、移動ステージ19には、Z方向(水平面と直交する方向)の位置を調整するための機構が取り付けられている。
【0024】
基台16のY方向に関する中央部には、露光部20が配置されている。露光部20は、ガイドレール18を跨ぐように立設された門型の第一ゲート21に固定されている。露光部20には、X方向(水平面上でY方向と直交する方向)に四個ずつ二列に配列された計八個の円筒状の露光ヘッド22が設けられている。
【0025】
露光ヘッド22には、光源ユニット11から引き出された光ファイバー23と、画像処理ユニット12から引き出された信号ケーブル24とが接続されている。露光ヘッド22は、信号ケーブル24を介して画像処理ユニット12から入力されるフレームデータ(ラスターデータを露光ヘッド22毎に分割したもの)に基づいて、光ファイバー23を介して光源ユニット11から入力されるレーザービーム(以下、LBと略す)を変調する。そして、変調したLBを、移動ステージ19のY方向の移動に伴って直下を通過する被描画体14に照射し、露光を行う。
【0026】
露光ヘッド22は、第一列目と第二列目とで互いに隙間なく配置されている。露光ヘッド22は、第一列目と第二列目とでX方向に1/2ピッチ分(半径分)ずらして配列されている(図4も参照)。これにより、第一列目の露光ヘッド22で露光できない部分が第二列目の露光ヘッド22で露光され、被描画体14をX方向に隙間無く露光することができる。なお、露光ヘッド22の個数や配列の仕方は、被描画体14の仕様に応じて適宜変更することが可能である。
【0027】
図2において、露光ヘッド22は、入射光学系30、光変調部31、第一出射光学系32、マイクロレンズアレイ33、アパーチャアレイ34、および第二出射光学系35を有する。入射光学系30は、光ファイバー23の出射端部と対面して配置される。入射光学系30は、集光レンズ36と、オプティカルインテグレーター37と、結像レンズ38と、ミラー39とからなる。
【0028】
集光レンズ36は、光ファイバー23から出射されたLB(矢印で示す)をオプティカルインテグレーター37に向けて集光する。オプティカルインテグレーター37は、集光レンズ36を通過したLBの光路上に配置されており、例えば、入射端面および出射端面に反射防止膜がコーティングされた四角柱状の透光性ロッドからなる。オプティカルインテグレーター37は、その内部を全反射しながら進行するLBを、ビーム断面内強度が均一化された略平行光とする。オプティカルインテグレーター37で略平行光とされたLBは、結像レンズ38によってミラー39に導かれ、ミラー39によって光変調部31に入射される。
【0029】
光変調部31は、空間光変調素子であるデジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device、以下、DMDと略す)40と、DMD40の動作を制御するDMDドライバ41と、ミラー39を介して入射したLBをDMD40に向けて反射させる全反射プリズム42とを備えている。
【0030】
図3において、DMD40は、SRAMセルアレイ60を構成する各SRAMセル上に、マイクロミラー61が支柱により傾斜自在に支持されてなる。マイクロミラー61は、例えば、600個×800個の二次元正方格子状に配列されている。
【0031】
各SRAMセルには、DMDドライバ41を介してフレームデータが書き込まれる。SRAMセルは、フリップフロップ回路によって構成されており、書き込まれるフレームデータ(“0”または“1”)によって電荷状態が切り替わる。マイクロミラー61は、SRAMセルの電荷状態に応じた静電気力によって傾斜角度が変化し、これによりLBの反射方向も変化する。例えば、フレームデータ“0”が書き込まれたSRAMセルのマイクロミラー61は、LBが第一出射光学系32に入射するように傾斜する。反対に“1”が書き込まれた場合は、LBが光吸収体(図示せず)に入射するように傾斜する。光吸収体に入射したLBは、光吸収体に吸収されて露光には寄与しない。なお、DMD40は、各露光ヘッド22による走査軌跡のX方向における間隔を狭めて露光の解像度を高めるために、その短辺がY方向に対して僅かに傾斜(例えば、0.1°〜0.5°)して配置されている(図4参照)。
【0032】
図2に戻って、第一出射光学系32は、レンズ43、44を備え、光変調部31からのLBを所定の倍率に拡大してマイクロレンズアレイ33上に入射させる。マイクロレンズアレイ33は、透光性を有する材料、例えば、石英ガラスからなり、平凸レンズ状の複数のマイクロレンズ45が一体的に形成されてなる。マイクロレンズ45は、マイクロミラー61に一対一で対応し、入射したLBの光軸上に位置している。このマイクロレンズ45の作用により、入射したLBが鮮鋭化されてアパーチャアレイ34に入射される。
【0033】
アパーチャアレイ34は、マイクロミラー61に対応して二次元正方格子状に配列された複数のアパーチャ46を有している。アパーチャアレイ34は、例えば、石英ガラス板にクロムなどの遮光膜を蒸着し、遮光膜にアパーチャ46となる孔を形成してなる。マイクロレンズアレイ33から入射したLBは、アパーチャ46の位置で焦点を結び、第二出射光学系35へと導かれる。このアパーチャアレイ34によって、マイクロミラー61のチャタリングに起因する不要光の通過が防止され、LBの鮮鋭度がさらに増す。
【0034】
第二出射光学系35は、レンズ47、48、およびプリズムペア(楔形状の複数の光学部材に相当)49を備えている。レンズ47、48は、アパーチャアレイ34からのLBを所定の倍率に拡大するか、あるいは等倍率のままでプリズムペア49に入射させる。プリズムペア49は、ステッピングモータなどの駆動源を含むフォーカス制御部74(図5参照)によってZ方向に移動可能に設けられており、Z方向に移動することによって、露光面14aにLBが合焦するように、LBの焦点調節を行う。
【0035】
図1に戻って、光源ユニット11には、350nm〜450nmの範囲(例えば、405nm)の発振波長のLBを発するGaN系半導体レーザーが複数設けられている。GaN系半導体レーザーは、マルチモードの場合には100mW、シングルモードの場合には50mW程度の最大出力を有する。GaN系半導体レーザーの各々から発せられたLBは、そのまま、あるいは数個ずつ合波されて光ファイバー23の入射端部に導かれる。なお、GaN系半導体レーザーの代わりに、他の種類の半導体レーザーや発光ダイオード(LED)を用いてもよい。
【0036】
基台16には、さらに、ガイドレール18を跨ぐように門型の第二ゲート25が立設されている。また、基台16のY方向の一端部には、一対の測長器26が取り付けられている。第二ゲート25には、移動ステージ19のY方向の移動に伴って直下を通過する被描画体14をZ方向上方から撮影する三台のカメラ27が設置されている。カメラ27は、CCDイメージセンサなどの固体撮像素子を内蔵しており、固体撮像素子で得られた撮像信号を位置検出部75(図5参照)に出力する。
【0037】
カメラ27が設けられた第二ゲート25の他方の側面には、形状測定器28が取り付けられている。形状測定器28には、例えば、露光面14aにレーザー光を照射し、その反射光を受光するタイミングによって、露光面14aの凹凸形状を測定するレーザー干渉式の変位計が採用されている。形状測定器28の分解能は、およそ0.1μm〜1μmである。
【0038】
図4に示すように、形状測定器28は、露光ヘッド22と同数の八個設けられており、露光ヘッド22の中心を通るY方向に平行な直線上に配置されている。つまり、形状測定器28は、露光ヘッド22の走査範囲の中心に位置する露光面14aの凹凸形状を測定する。形状測定器28は、制御装置13に接続されており(図5参照)、測定結果を制御装置13に出力する。なお、形状測定器28から発せられるレーザー光は、被描画体14を露光しない発振波長に設定されている。
【0039】
測長器26には、形状測定器28と同様に、移動ステージ19の側端面にレーザー光を照射して、移動ステージ19のY方向における位置を測定するレーザー変位計が用いられている。測長器26は、制御装置13に接続されており(図5参照)、測長結果を制御装置13に出力する。なお、形状測定器、測長器としては、超音波送受信機やステレオカメラで構成されるものを用いてもよい。
【0040】
図5において、制御装置13は、デジタル露光システム2の全体の動作を統括的に制御する。制御装置13には、前述の制御を行うためのプログラムやデータが、HDDやROMなどの記憶部(図示せず)に予め記憶されている。制御装置13は、記憶部から必要なプログラムやデータを読み出してRAMなどの作業用メモリに展開し、読み出したプログラムを逐次処理する。
【0041】
制御装置13には、前述の光源ユニット11の他に、画像処理ユニット12のメモリ70、ラスターイメージプロセッサ(Raster Image Processor、以下、RIPと略す)71、およびフレームデータ生成部72、並びにデジタル露光機10のDMDドライバ41、ステージ駆動部73、フォーカス制御部74、位置検出部75、測長器26、および形状測定器28が接続されている。
【0042】
メモリ70は、CAMなどの外部機器から送信されるベクトルデータを一時的に記憶する。RIP71は、メモリ70からベクトルデータを読み出し、ベクトルデータをラスタライズしてラスターデータを生成する。RIP71は、生成したラスターデータをフレームデータ生成部72に出力する。
【0043】
フレームデータ生成部72は、マイクロミラー61および露光ヘッド22の配置によって決まる被描画体14への各露光ヘッド22の露光位置に基づいて、RIP71からのラスターデータを露光ヘッド22毎に分割したフレームデータを生成する。また、フレームデータ生成部72は、位置検出部75で検出される移動ステージ19上の基準位置に対する被描画体14のずれ量に応じて、ずれが生じていない場合と同一の位置に露光がなされるように、フレームデータを補正する。フレームデータ生成部72は、生成したフレームデータを該当する露光ヘッド22のDMDドライバ41に出力する。DMDドライバ41は、前述のように、フレームデータ生成部72からのフレームデータをSRAMセルに書き込む。
【0044】
位置検出部75は、カメラ27からの撮像信号を、周知の信号処理によってデジタルの画像データに変換する。位置検出部75は、変換した画像データ、カメラ27のX方向における位置、およびその撮影タイミング(位置、撮影タイミングともに既知)を元に、移動ステージ19上の被描画体14のアラインメントマーク15の位置を検出する。位置検出部75は、位置の検出結果を制御装置13に出力する。
【0045】
制御装置13は、位置検出部75からの検出結果を受けて、移動ステージ19上の基準位置に対する被描画体14のX方向、Y方向、およびθ方向(Z方向を軸とした回転方向、図1参照)のずれ量を算出する。制御装置13は、算出したずれ量から、フレームデータの補正量を算出し、この情報をフレームデータ生成部72に出力する。また、制御装置13は、測長器26からの出力を受けて、移動ステージ19のY方向における位置を検出する。
【0046】
図6において、制御装置13には、焦点調節可否判定部80が設けられている。焦点調節可否判定部80は、形状測定器28からの出力、すなわち、露光面14aの凹凸形状を表す波形のデータ(以下、変位データという)を解析して、露光面14aの凹凸形状が、プリズムペア49による焦点調節が可能な程度であるか否かを判定する。
【0047】
ここで、プリズムペア49による焦点調節は、プリズムペア49をZ方向に移動させて行う機械的なものであるため、焦点調節が可能な範囲は自ずと限られ、被描画体14の移動に追従可能な速度にも限界がある。したがって、被描画体14の一部が反り上がっていたりして、露光面14aの凹凸形状が大きく変化していたり、急激に変化していたときには、焦点調節を行うことができない場合がある。
【0048】
そこで、焦点調節可否判定部80は、変位データから、凹凸の変化量(例えば、最大値と最小値の差、あるいは平均値との差)、およびその傾きを求める。そして、求めた変化量、および傾きがプリズムペア49の焦点調節が可能な範囲、および追従可能な速度の範囲内にあるか否かを見極めることで、焦点調節の可否を判定する。
【0049】
波形鈍化処理部81は、焦点調節可否判定部80で焦点調節が不可であると判定された変位データに対して、適当なフィルタリング処理を施し、大きく、あるいは急激に変化している波形の部分を鈍化させる。波形鈍化処理部81は、処理後の変位データを再度焦点調節可否判定部80にフィードバックし、焦点調節可否判定部80で焦点調節が可能であると判定されるまで、波形鈍化処理を繰り返す。なお、フィルタリング処理の例としては、データを平滑化する処理として広く行われている移動平均が挙げられる。波形鈍化処理を繰り返し行う場合には、移動平均を施す範囲(マスクサイズ)を徐々に広げていき、少しずつ波形を鈍化させる。また、言う迄もないが、波形鈍化処理部81は、焦点調節可否判定部80による一回目の判定で焦点調節が可能であると判定された変位データに対しては、当然ながら波形鈍化処理を施さない。一回目の判定で焦点調節が可能であると判定された変位データは、そのままフォーカス制御信号生成部84に出力される。
【0050】
差分算出部82は、焦点調節可否判定部80で焦点調節が不可であると判定され、波形鈍化処理部81を通さずに焦点調節可否判定部80から入力された変位データ(以下、元データという)と、焦点調節可否判定部80で焦点調節が可能であると判定されるまで、波形鈍化処理部81で波形鈍化処理が施された変位データ(以下、処理済みデータという)との差分をとり、その算出結果を露光可否判定部83に出力する。
【0051】
露光可否判定部83は、差分算出部82からの元データと処理済みデータとの差分の最大値と、閾値とを比較する。露光可否判定部83は、元データと処理済みデータとの差分の最大値が閾値以下であった場合、露光可能であると判定する。逆に、最大値が閾値よりも大きかった場合、露光不可であると判定する。露光可否判定部83は、露光可否の判定結果をフォーカス制御信号生成部84に出力する。
【0052】
元データと処理済みデータとの差分の最大値とは、露光面14aの実際の凹凸形状(元データ)から、波形鈍化処理で補正した凹凸形状(処理済みデータ)がどれだけ乖離しているかという度合いを示すものである。また、露光可否を判定する際の基準となる上記閾値は、描画パターンの精細度や露光記録の要求精度によって決まるもので、キーボードやマウスなどからなる操作部85をオペレーターが操作することで入力される。閾値は、処理済みデータを元にフォーカス制御を行った場合に、描画パターンの精細度や露光記録の要求精度を満たす限度の値(実際の凹凸形状との乖離の度合いの許容範囲)が設定される。したがって、描画パターンの精細度や露光記録の要求精度が高い(低い)場合には、閾値が低く(高く)設定され、露光可否判定部83で可能であると判定される範囲が狭め(広げ)られる。
【0053】
フォーカス制御信号生成部84は、プリズムペア49による焦点調節によって露光面14aにLBが合焦するように、プリズムペア49のZ方向の移動を制御するためのフォーカス制御信号を生成する。焦点調節可否判定部80による一回目の判定で焦点調節が可能であると判定された場合、フォーカス制御信号生成部84は、波形鈍化処理部81などを経ずにそのままの形で入力された変位データに応じたフォーカス制御信号を生成する。
【0054】
一方、焦点調節可否判定部80で焦点調節が不可であると判定され、波形鈍化処理部81を経て焦点調節が可能であると判定された変位データ、すなわち処理済みデータが存在し、且つ当該処理済みデータに関して露光可否判定部83で露光可能であると判定された場合、フォーカス制御信号生成部84は、当該処理済みデータに応じたフォーカス制御信号を生成する。露光可否判定部83で露光不可であると判定された場合は、フォーカス制御信号生成部84はフォーカス制御信号を生成せず、したがって露光記録自体も行われない。なお、ここでは、焦点調節可否判定部80などの各部が一つずつしか描かれていないが、実際には、露光ヘッド22、および形状測定器28の個数(八個)分設けられている。勿論、八個の露光ヘッド22、および形状測定器28に対して、各部を一つずつ設け、八個分の処理を一つの処理部に担わせてもよい。
【0055】
以下、上記各部の動作を、具体例を挙げて説明する。まず、八個の形状測定器28による露光面14aの凹凸形状の波形が、図7のようであったとする。すなわち、被描画体14の一端部が移動ステージ19上から浮いており、太線で示す一つの波形AのZ方向変位が、Y方向位置の端で大きく、且つ急激に変化(点線で囲む部分)していた場合を考える。そして、波形Aを表す変位データのみが、焦点調節可否判定部80で焦点調節が不可であると判定されたとする。
【0056】
波形Aを表す変位データは、焦点調節可否判定部80で焦点調節が可能であると判定されるまで、波形鈍化処理部81で波形鈍化処理が施され、図8に点線で示す波形A’のように、大きく、急激に変化している点線で囲む部分が鈍化される。
【0057】
次いで、図9に示すように、差分算出部82で波形AとA’で表される変位データ、すなわち元データと処理済みデータとの差分Δがとられる。差分Δは、例えば、Y方向位置に関して規定の間隔毎に算出される。
【0058】
そして、露光可否判定部83で、差分の最大値Δmaxと閾値とが比較されて、露光可否が判定される。露光可能であると判定された場合は、波形A’で表される処理済みデータを元に、フォーカス制御信号が生成される。露光不可であると判定された場合は、露光記録は行われない。
【0059】
一方、焦点調節可否判定部80で焦点調節が可能であると判定され、波形鈍化処理部81を経なかった波形A以外の波形(図7で細線で示す)を表す変位データは、そのままフォーカス制御信号生成部84に出力され、これを元にフォーカス制御信号が生成される。
【0060】
次に、上記構成によるデジタル露光システム2の動作手順について、図10、および図11のフローチャートを参照して説明する。まず、S10において、露光記録に先立ち、CAMなどの外部機器から、メモリ70にベクトルデータが送信され、メモリ70にベクトルデータが記憶される。
【0061】
メモリ70に記憶されたベクトルデータは、RIP71に読み出される。S11において、RIP71では、ベクトルデータがラスタライズされてラスターデータが生成される。
【0062】
ラスターデータの生成後、被描画体14への露光記録が指示されると、S12において、図1に示す位置にある移動ステージ19上に被描画体14がセットされる。そして、S13において、制御装置13によってステージ駆動部73が駆動され、移動ステージ19が第二ゲート25に向けてY方向に等速度で移動される。
【0063】
移動ステージ19はY方向に移動され、第二ゲート25の直下を通過する。このとき、S14において、カメラ27で移動ステージ19上の被描画体14が撮影される。カメラ27で得られた撮像信号は、位置検出部75に出力される。また、形状測定器28によって、露光面14aの凹凸形状が測定される。形状測定器28の測定結果は、制御装置13に出力される。
【0064】
図11において、制御装置13では、形状測定器28の測定結果を受けて、S30に示すように、焦点調節可否判定部80によって変位データが解析され、焦点調節の可否が判定される。一回目の判定で焦点調節が可能であると判定された場合(S31、32でともにyes)、S33に示すように、フォーカス制御信号生成部84にて、その変位データに応じたフォーカス制御信号が生成される。
【0065】
焦点調節が不可であると判定された場合(S31でno)、その変位データは波形鈍化処理部81に出力され、S34において、波形鈍化処理部81で波形鈍化処理が施される。波形鈍化処理が施された変位データは、焦点調節可否判定部80にフィードバックされ、焦点調節可否判定部80にて再度焦点調節の可否が判定される(S30に戻る)。
【0066】
波形鈍化処理部81で波形鈍化処理が施され、再度の判定で焦点調節が可能と判定された場合(S31でyes、S32でno)、S35に示すように、差分算出部82で元データと処理済みデータとの差分が算出される。差分算出部82の算出結果は、露光可否判定部83に出力される。
【0067】
S36において、露光可否判定部83では、差分算出部82からの元データと処理済みデータとの差分の最大値と、操作部85から入力された閾値とが比較される。そして、元データと処理済みデータとの差分の最大値が閾値以下であった場合、露光可能であると判定される(S37でyes)。逆に、最大値が閾値よりも大きかった場合、露光不可であると判定される(S37でno)。露光可否判定部83の判定結果は、フォーカス制御信号生成部84に出力される。
【0068】
露光可能であると判定された場合、S38に示すように、フォーカス制御信号生成部84にて、処理済みデータに応じたフォーカス制御信号が生成される。なお、S38とS33とは、処理の項目としては同じであるが、フォーカス制御信号を生成する元となる変位データの種類が異なることに注意を要する。フォーカス制御信号の生成後は、図10のS18に処理が移行する。一方、露光可否判定部83で露光不可と判定された場合は、フォーカス制御信号の生成は行われず、図10のS20に処理が移行する。
【0069】
図10に戻って、S15において、位置検出部75では、S14でカメラ27から入力された撮像信号が、デジタルの画像データに変換され、画像データ、カメラ27のX方向における位置、およびその撮影タイミングを元に、移動ステージ19上の被描画体14のアラインメントマーク15の位置が検出される。位置検出部75の検出結果は、制御装置13に出力される。
【0070】
制御装置13では、位置検出部75からのアラインメントマーク15の検出結果が解析され、移動ステージ19上の基準位置に対する、被描画体14のX方向、Y方向、およびθ方向のずれ量が算出される。次いで、S16に示すように、算出したずれ量から、フレームデータの補正量が算出される。算出されたフレームデータの補正量は、フレームデータ生成部72に出力される。
【0071】
次いで、S17に示すように、フレームデータ生成部72にて、各露光ヘッド22に応じたフレームデータが生成される。このとき、制御装置13からの補正量に応じて、ずれが生じていない場合と同一の位置に露光がなされるように、フレームデータが補正される。生成されたフレームデータは、該当する露光ヘッド22のDMDドライバ41に出力される。フレームデータの生成、および図11のS33またはS38におけるフォーカス制御信号の生成が終わると、S18に示すように、最初の方向とは逆に、元の位置に向けて移動ステージ19が等速度で移動され、S19において、制御装置13により光源ユニット11が駆動され、露光部20による露光記録が開始される。
【0072】
DMDドライバ41に出力されたフレームデータは、測長器26で測定される移動ステージ19のY方向における位置に応じて、順次SRAMセルに書き込まれる。これにより、書き込まれるフレームデータによってSRAMセルの電荷状態が切り替わり、ひいてはマイクロミラー61の傾斜角度が変化して、光ファイバー23、入射光学系30を介して与えられる光源ユニット11からのLBの反射方向も変化される。つまり、光源ユニット11からのLBが、DMD40などから構成される光変調部31によって、フレームデータに応じて光変調される。
【0073】
光変調部31で変調されたLBは、第一出射光学系32で所定の倍率に拡大され、マイクロレンズ45によって鮮鋭化されてアパーチャアレイ34に入射される。そして、アパーチャアレイ34によってさらに鮮鋭化され、マイクロミラー61のチャタリングに起因する不要光の通過が防止される。
【0074】
アパーチャアレイ34を通過したLBは、第二出射光学系35で所定の倍率に拡大されるか、あるいは等倍率のままでプリズムペア49に入射され、プリズムペア49で焦点調節がなされる。このとき、S33またはS38で生成されたフォーカス制御信号に基づいて、フォーカス制御部74によってプリズムペア49のZ方向の移動が制御される。プリズムペア49で焦点調節されたLBは、移動ステージ19上の被描画体14に照射され、これにより所望の画像が被描画体14に露光記録される。
【0075】
一つの被描画体14への露光記録終了後、あるいは露光可否判定部83で露光不可であると判定され、次の被描画体14がある場合(S20でyes)は、S21に示すように、露光記録が終了した、あるいは露光不可と判定された被描画体14が移動ステージ19上から回収されるとともに、S12に戻って、次の被描画体14が移動ステージ19上にセットされ、以下の工程が繰り返される。
【0076】
一方、次の被描画体14がなく(S20でno)、ベクトルデータの入れ替えが指示された場合(S22でyes)は、入れ替えられたベクトルデータに適合する被描画体14が用意され、S10に戻って、ラスタライズなどの以下の工程が繰り返される。ベクトルデータの入れ替えが指示されなかった場合(S22でno)は、処理が終了される。
【0077】
以上説明したように、露光面14aの凹凸形状が、焦点調節が不可であると判定された場合に、波形鈍化処理を施して焦点調節が可能となるようにするので、露光面14aの凹凸形状が多少規格から外れていても、露光記録を行うことができる。つまり、被描画体14の品質の許容範囲が広がる。換言すれば、露光面14aの凹凸形状の大きな、あるいは急激な変化を無くすために、被描画体14の製造条件や周囲の環境を厳密に管理する必要がなくなる。すなわち、被描画体14の製造条件や周囲の環境による外乱や設計誤差など、同定が困難な不確定要因に関わらず、安定した制御を維持する(デジタル露光システム2のロバスト性を向上させる)ことができる。
【0078】
元データと処理済みデータとの差分を算出し、その最大値と閾値の比較結果から、最終的な露光記録の可否を判定するので、要求される最低限の品質を確保することができる。
【0079】
上記実施形態では、焦点調節可否判定部80で焦点調節可否を判定したうえで、焦点調節が不可であると判定された変位データに対して、波形鈍化処理部81で波形鈍化処理を施しているが、最初に無条件で全ての変位データに対して波形鈍化処理を施した後に、焦点調節可否を判定してもよい。また、波形鈍化処理の繰り返し回数に制限を設けておき、波形鈍化処理を何回か繰り返しても焦点調節が不可であると判定された場合に、露光不可であると判定してもよい。
【0080】
上記実施形態では、閾値を操作部85から入力する例を挙げて説明したが、閾値は少なくとも描画パターンの精細度に応じて設定されればよく、描画パターンの精細度に対する閾値を予め制御装置13の記憶部に記憶しておき、これを露光可否判定部83に読み出す構成としてもよい。また、ラスターデータの解像度に応じて閾値を設定してもよい。あるいは、焦点がずれたときに描画パターンの線幅がどれだけずれるかを予備実験で測定しておき、このデータを参照して閾値を設定してもよい。要するに、最低限の品質を確保できる値に閾値が設定されていればよい。
【0081】
なお、露光可否判定部83で露光不可であると判定された場合に、その旨をモニタに表示する、あるいはスピーカーから警告音を鳴らすなどして、オペレーターに報せてもよい。また、その際に、形状測定器28による波形を表示するなどして、露光面14aのどの部分が変形しているかをオペレーターが知得できるようにしてもよい。
【0082】
製品の歩留りを向上させるための他の方法としては、変位データを解析して、露光面14aのZ方向の変位量の出現頻度を示すヒストグラムを作成し、最も頻度が高い変位量でLBが合焦するように、フォーカス制御信号を生成する方法が挙げられる。もしくは、露光ヘッド22を構成する各種光学系の被写界深度を深くして、焦点調節そのものを不要とすることも考えられる。さらには、移動ステージ19による被描画体14への吸着力を上げるなどして、焦点調節が可能となる程度に露光面14aが平らになるように矯正してもよい。
【0083】
なお、上記実施形態では、空間光変調素子としてDMD40を示したが、空間光変調素子は、これに限ることなく、例えば、SLM(Special Light Modulator)や液晶光シャッタ、及びPLZT(Piezo-electric Lanthanum-modified lead Zirconate Titanate)素子などを用いてもよい。また、上記実施形態では、露光対象として感光材料が塗布または貼着された被描画体14を示したが、例えば、写真フイルムや印画紙などであってもよい。さらに、上記実施形態では、デジタル露光システム2に本発明を適用した例を示したが、例えば、ポリゴンミラーで光ビームを偏向反射させて露光を行うシステムに適用してもよい。
【符号の説明】
【0084】
2 デジタル露光システム
10 デジタル露光機
11 光源ユニット
12 画像処理ユニット
13 制御装置
14 被描画体
14a 露光面
20 露光部
22 露光ヘッド
28 形状測定器
40 DMD
49 プリズムペア
74 フォーカス制御部
80 焦点調節可否判定部
81 波形鈍化処理部
82 差分算出部
83 露光可否判定部
85 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルデータで表される所定の描画パターンを、光ビームを用いて被描画体に直接描画する画像記録システムにおいて、
前記描画パターンが形成される前記被描画体の描画面の凹凸形状を測定する形状測定手段と、
前記形状測定手段による前記凹凸形状の変位データに基づいて、前記描画面に前記光ビームが合焦するように前記光ビームの焦点調節を機械的に行う焦点調節手段と、
前記焦点調節が可能となるように、前記変位データを補正する補正手段と、
前記変位データを解析して、前記焦点調節の可否を判定する焦点調節可否判定手段とを備え、
前記補正手段は、前記焦点調節可否判定手段で前記焦点調節が不可であると判定された前記変位データに対して補正を行うことを特徴とする画像記録システム。
【請求項2】
前記補正手段は、前記変位データで表される前記凹凸形状の波形を鈍化させる波形鈍化処理を施すことで、補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像記録システム。
【請求項3】
前記補正手段は、前記焦点調節可否判定手段で前記焦点調節が可能であると判定されるまで、前記変位データに対して補正を繰り返し行うことを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録システム。
【請求項4】
前記焦点調節手段は、前記光ビームの出射端に配される楔形状の複数の光学部材を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像記録システム。
【請求項5】
前記デジタルデータに基づいて前記光ビームを変調する空間光変調素子を有する露光ヘッドを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像記録システム。
【請求項6】
デジタルデータで表される所定の描画パターンを、光ビームを用いて被描画体に直接描画する画像記録方法において、
前記描画パターンが形成される前記被描画体の描画面の凹凸形状を測定する形状測定工程と、
前記形状測定工程で得られた前記凹凸形状の変位データに基づいて、前記描画面に前記光ビームが合焦するように前記光ビームの焦点調節を機械的に行う焦点調節工程と、
前記焦点調節が可能となるように、前記変位データを補正する補正工程と、
前記変位データを解析して、前記焦点調節の可否を判定する焦点調節可否判定工程とを備え、
前記補正工程では、前記焦点調節可否判定工程で前記焦点調節が不可であると判定された前記変位データに対して補正を行うことを特徴とする画像記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−199553(P2012−199553A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−84787(P2012−84787)
【出願日】平成24年4月3日(2012.4.3)
【分割の表示】特願2007−243723(P2007−243723)の分割
【原出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】