説明

画像診断装置及び画像処理プログラム

【課題】画像診断装置において、再印刷を明示的に表示したり、簡便に行うための技術を提供すること。
【解決手段】被検体の画像を収集する手段と、前記収集された画像を印刷する手段と、前記収集された画像を表示する第1の領域と、前記印刷手段に印刷指示された画像を表示する第2の領域を有する表示手段10と、前記印刷指示された画像を一時保管する手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像の印刷・保存の技術に関し、特に画像診断装置に適用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置においては、画面上で確認したものを印刷するが、画面上の表示と、印刷物とでは差があるため、画面上の表示ではちょうどよい場合でも、印刷物では見にくくなる場合がある。再印刷するには、印刷物の確認を終了するまでそのまま待つ必要があった。
【0003】
この場合において、一般的に、印刷には時間がかかるため、印刷のたびに検査をとめることになる。このため、検査時間が長くなるという問題がある。また、印刷済みの画像を一度記憶装置に保存をしておいて後から確認する方法もあるが、保存する画像は、印刷だけではないため、保存された画像から印刷した画像を検索するのに時間がかかるという問題がある。
【0004】
更に、ルーチン検査では検査する部位により印刷する箇所や印刷枚数は決まっているが、検査・印刷するものをすべて終了したかを知るためには、印刷物を数えるしかない。このため、印刷の終了確認は、印刷が完了するまで待つ必要があった。
【0005】
上記のように、検査中に印刷する作業が発生するが、印刷処理に時間がかかるため、印刷物を確認してから次に進める場合、検査のリズムを乱し、また検査時間も長くなる。このため、スループットが低下する。一方、印刷指示だけ行っておいて検査を先に進めた場合には、事後に印刷物を確認することになる。このため、印刷のやり直しが発生した場合には、検査もやり直す必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、画像診断装置において、再印刷を明示的に表示したり、簡便に行うための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の局面に係る画像診断装置は、被検体の画像を収集する手段と、前記収集された画像を印刷する手段と、前記収集された画像を表示する第1の領域と、前記印刷手段に印刷指示された画像を表示する第2の領域を有する表示手段と、前記印刷指示された画像を一時保管する手段と、を具備することを特徴とする。本発明は、装置に限らず、装置で実現される方法やプログラムの発明としても成立する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検査のリズムを乱すことなく印刷のやり直しができ、検査のスループットをあげることができる。また、印刷画像をサムネイル表示することで、検査部位が決まっているルーチン検査での検査漏れをなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る医用画像の表示例を示す図である。図1では、画像診断装置の画像として、超音波診断装置で得られた画像と印刷結果の表示例を示している。なお、画像診断装置としては、その他、X線診断装置やMRI診断装置などがあるが、それらは従来のものを使用するので、図示及び説明は省略する。
【0010】
図1に示すように、医用画像を表示する場合において、表示部10には、医用画像を表示する画像表示領域12以外に、画面の一部に印刷の指示を行った画像のサムネイル17を表示するサムネイル表示領域15を設けている。例えば、表示されている画像の印刷を開始する(すなわち、印刷の指示を行う)と、この領域に当該印刷された画像のサムネイルが表示され、印刷が終了すると、例えば、該サムネイル表示領域15に表示された当該医用画像に対応するサムネイルに印刷済みの印(例えば、チェックマーク等)を付加するようになっている。これにより、印刷中の画像と、印刷済みの画像が、一目で確認できる。なお、この場合において、サムネイル表示領域15には、現在印刷中の画像がある場合には、例えば、「△枚目印刷中」、「△枚印刷済み」或いは「△/□」(△は印刷中の枚数、□は全印刷枚数)といった表示を行うことにより、印刷の進行状況を確認することができる。
【0011】
なお、図1において、印刷済み(或いは印刷中)画像のサムネイル17を矢印方向に2列に表示しているが、表示方法は、これに限らず、1列でも良いし、3列以上としても良い。また、サムネイルがサムネイル表示領域15内にすべて表示できない場合には、例えば、矢印などでサムネイルがスクロールする旨の表示をすることにより、サムネイルを切り替えて表示するようにしても良い。
【0012】
上記のように、印刷済みの画像に対して、例えば、絵が暗いので、明るく補正(調整)して再印刷したいとか、コピーを作るために再印刷をしたいといった場合がある。この場合には、本実施形態では、再印刷を希望する画像のサムネイル17をクリックすると、図2に示すような、印刷ダイアログ18が表示されるようになっている。この印刷ダイアログ18には、図示しない、例えば「再印刷ボタン」や「画質調整ボタン」が用意されており、必要に応じて「画質調整ボタン」による画像の画質調整(明度、彩度、色相などの調整)や、「再印刷ボタン」による再印刷を行うことができるようになっている。
【0013】
上記のような構成において、図3を参照して、処理の流れを説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
印刷操作を行うと(ステップS1)、プリントキューに印刷データが蓄積される。このとき、印刷指示をした画像(以下、「印刷データ」と称する)をテンポラリファイル(画像診断装置内の一時保存用のファイル或いは領域、例えば、ハードディスクなど)に保存し、サムネイルを表示する。また、印刷の済んだものは、チェックをつける(ステップS2)。なお、このテンポラリファイルへは、印刷指示した画像が蓄積保存される。そして、検査がさらに続けられる(ステップS3)。
【0014】
印刷物を確認して、再印刷したい場合には(ステップS4のYES)、再印刷したいサムネイルをクリックする(ステップS5)。これにより、図2に示すような印刷ダイアログが表示されるので、必要に応じて、画質調整を行う(ステップS6)。そして、再印刷を指示することにより、再印刷を行う(ステップS7)。
【0015】
再印刷を行わない場合には(ステップS4のNO)、1日の検査が終了するまで、ステップS1からステップS3までの処理を繰り返す。1日の検査が終了したら、テンポラリファイルに一時的に保存した印刷データを削除する(ステップS9)。なお、このテンポラリファイルに保存された印刷データの削除は、1日の検査の終了時以外に、例えば、ユーザの指定によって、削除しても良いし、翌日に画像診断装置を起動したときに削除するようにしても良く。任意に設定可能である。
【0016】
図4を参照して、他の例を示す。図4は、サムネイル表示領域15における他のサムネイル表示の例を示す図である。
図2と同様に、表示部10に、画像表示領域12とサムネイル表示領域15を設けている。この場合において、印刷済みのサムネイルには、図2と同様にチェックをつけるようにしているが(図4(a))、本実施形態では、サムネイルに、印刷と共通のユニークなID19を付すようにしている(図4(b))。これにより、印刷物との対応がすぐにとれるので、印刷の抜けなどのチェックが容易になる。また、印刷の完了したもののサムネイルにチェックをつけても良いが、図4(c)に示すように、輝度や色彩や彩度を変更することによって、印刷が完了したことを明示しても良いし、印刷中は該サムネイルを点滅させて、印刷が完了した時点でチェックマークを付けるようにしても良い。
【0017】
上記のように、本実施形態では、印刷指示した画像を一時保管場所に保存し、かつ画面上にサムネイル表示するようにしている。ここで、印刷物をチェックした結果、画質調整して再印刷したい場合は、画面に表示されたサムネイルをクリックすることで印刷ダイアログを表示し、画質調整して再印刷することができる。また、印刷物およびサムネイルにユニークな番号をつけることで、印刷物からサムネイルを探したり、その逆がすぐにできる。更に、印刷枚数を表示することで、すべての検査部位を検査したかどうかを簡便に見分けることができる。
【0018】
上記の実施形態では、印刷について説明したが、検査データを光ディスクや光磁気ディスクなどの外部の記憶装置や、サーバーなどに転送する場合にも適用可能である。すなわち、医用画像診断装置内に一時的に記憶された医用画像について、印刷の場合と同様に、取得した画像データのサムネイルを表示させておき、該画像データが、外部記憶装置等に転送された時点で、チェックマークやその他の表示をサムネイルに対して付するようにすればよい。なお、この外部記憶装置へのデータ転送の有無については、上記の実施形態における、印刷に適用されるサムネイル表示と併用しても良い。この場合には、サムネイルに印刷用とデータ転送用の2つのチェック欄を設けて、印刷済み或いは転送済み表示を行っても良いし、その他に、印刷中や印刷済み、或いは転送済み表示を、他の方法で明示しても良い。
【0019】
本発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。例えば、上記では、装置について説明したが、上記の機能を達成するためのプログラム、或いは方法の発明であっても良い。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【0020】
また、例えば各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る医用画像の表示例を示す図である。
【図2】サムネイルを選択した場合における、印刷ダイアログ表示の例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】サムネイル表示領域における他のサムネイル表示の例を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
10…表示部
12…画像表示領域
15…サムネイル表示領域
17…サムネイル
18…印刷ダイアログ
19…ID

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の画像を収集する手段と、
前記収集された画像を印刷する手段と、
前記収集された画像を表示する第1の領域と、前記印刷手段に印刷指示された画像を表示する第2の領域を有する表示手段と、
前記印刷指示された画像を一時保管する手段と、を具備することを特徴とする画像診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像診断装置において、前記印刷指示された画像は、印刷指示毎にサムネイルで表示されていることを特徴とする画像診断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像診断装置において、前記サムネイル表示された画像の1つを選択することにより、再印刷用の表示を行うことを特徴とする画像診断装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像診断装置において、前記再印刷用の表示により、画像の画質調整ができることを特徴とする画像診断装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像診断装置において、前記サムネイルには、印刷待ち、印刷中又は印刷完了を含む印刷状況を示す記号が付加されていることを特徴とする画像診断装置。
【請求項6】
請求項2に記載の画像診断装置において、前記サムネイルには、印刷物と対応するユニークな番号が付されていることを特徴とする画像診断装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の画像診断装置において、前記第2の領域には、印刷指示した枚数、実際に印刷された枚数、及び印刷の残りの枚数の少なくとも1つを表示することを特徴とする画像診断装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像診断装置において、前記一時保管された画像は、所定の操作により消去されることを特徴とする画像診断装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像診断装置において、前記第2の領域には、外部記憶装置やサーバーに転送した画像やその状況も表示されることを特徴とする画像診断装置。
【請求項10】
被検体の画像を収集して、該画像を印刷装置に印刷したり、表示装置に表示したりする機能を備えた画像装置に適用される画像処理プログラムにおいて、
前記表示装置の第1の領域に前記収集された画像を表示し、第2の領域に前記印刷手段に印刷指示された画像を表示する手段と、
前記印刷指示された画像を一時保管する手段と、を具備することを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−104630(P2008−104630A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289924(P2006−289924)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】