画像評価方法、描画条件選択方法、画像評価プログラム、描画条件選択プログラム
【課題】マスク上に描画されたマスクパターンをより高い精度でかつ容易に評価可能な画像評価方法及び画像評価プログラムを提供する。また、所望の図形を描画可能な描画条件を算出する描画条件選択方法及び描画条件選択プログラムを提供する。
【解決手段】画像評価方法及び画像評価プログラムは、基準図形と描画図形の面積が同一又は略同一であるか否かを判定し、両図形の輪郭線から算出された点列を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分との長さの比である基準図形長短比と描画図形長短比を用いて両図形の概形が類似であるか否かを判定し、基準図形及び描画図形の概形が類似であり、かつ、その面積が同一であると判定した場合に、基準図形及び描画図形が一致すると判定するものとした。
【解決手段】画像評価方法及び画像評価プログラムは、基準図形と描画図形の面積が同一又は略同一であるか否かを判定し、両図形の輪郭線から算出された点列を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分との長さの比である基準図形長短比と描画図形長短比を用いて両図形の概形が類似であるか否かを判定し、基準図形及び描画図形の概形が類似であり、かつ、その面積が同一であると判定した場合に、基準図形及び描画図形が一致すると判定するものとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像評価方法、描画条件選択方法、画像評価プログラム、描画条件選択プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マスク上に電子線等で描画されマスクパターンのSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)画像を用いて、マスクパターンが所望の形状に作成されているか否かを評価するための各種評価方法が知られている。
例えば、測長の対象となるマスクパターンの図形が、所定の幅を有するライン状等の図形のように輪郭線に平行線部分を有する図形である場合には、その平行線部分のライン幅を測長することによって画像を評価することが可能である。このようなライン幅の測定の場合には、所定の間隔おきに数十〜数百箇所のライン幅を測定し、その平均値をとって評価するという方法がある。例えば、測長の対象となるマスクパターンの図形が、所定の幅を有するライン状等の図形のように輪郭線に平行線部分を有する図形である場合には、その平行線部分のライン幅を測長することによって画像を評価することが可能である。SEM画像には、本来望ましくないノイズが多く載っていることが一般的であり、ひとつの断面に沿ったライン幅の測長結果だけでは、このノイズに左右されて不安定な値を示すので、信頼性が低い。上記のような平行線のライン幅の測定の場合には、所定の間隔おきに数十〜数百箇所のライン幅を測定し、その平均値をとって評価することによって、ノイズの影響を低減するという方法がある。
【0003】
しかし、近年の高集積化に伴う配線等の微細化により、マスクパターンの図形形状はより微細化している。そのため、マスクパターンの角部の丸まりが大きくなり、その丸まった部分の影響が相対的に大きくなり、上記方法を適用可能な平行線部分が小さくなる。また、場合によっては、マスクパターンが略円形状となり、径の最長部分が1箇所しかなく、上記測定方法を適用できない場合がある。
さらに、素子や配線の微細化に伴い、光近接補正(OPC)技術を用いて回路パターンを形成するようになったため、マスクパターンの角部の丸まりは、より大きくなっている。
【0004】
また、マスクパターンとして所望の図形が描画されているか否かを評価する手法の1つとして、図形の面積や、長径と短径の比等を指標値とし、マスクパターンのSEM画像の評価対象の図形と設計データでの図形とを、この指標値を用いて比較して評価する評価方法がある(例えば、特許文献1)。
しかし、このような評価方法を用いた場合、マスクパターンの図形の形状が設計図形に比べて大幅に変形したとしても、面積や長径と短径の比等が一致しているときには、その違いが検出されることがなく、好ましい形状が描画されているとして評価されてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4593236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、マスク上に描画されたマスクパターンをより高い精度でかつ容易に評価可能な画像評価方法及び画像評価プログラムを提供することである。
また、本発明のもう1つの課題は、所望の図形を描画可能な描画条件を容易に選択する描画条件選択方法及び描画条件選択プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、フォトマスク(40)上に描画された描画図形(1b)と、前記描画図形の比較基準である基準図形(1a)とを比較する画像評価方法であって、前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線(2a)を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比(RA)とに関するデータを記憶する基準図形データ記憶工程(S11)と、前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の面積を算出する描画図形面積算出工程(S121〜S123)と、前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の輪郭線を主成分分析して第1主成分及び第2主成分を算出し、前記描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出工程(S124〜A126)と、前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出工程で算出した前記描画図形の面積とを比較して同一又は略同一であるか否かを判定する面積比較工程(S131)と、前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定工程(S132)と、前記面積比較工程及び前記概形類似判定工程の結果に基づいて前記基準図形及び前記描画図形が一致するか否かを判定する図形判定工程(S13)とを備え、前記図形判定工程は、前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、及び、前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定すること、を特徴とする画像評価方法である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像評価方法において、前記基準図形データ記憶工程(S11)で記憶した前記基準図形(1a)の第1主成分の軸の向きと、前記描画図形長短比算出工程(S124〜S126)で算出した前記描画図形(1b)の第1主成分の軸の向きとを比較して、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致するか否かを判定する傾き判定工程(S134)を有し、前記図形判定工程(S13)は、前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合、かつ、前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記傾き判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致すると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合、前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、前記傾き判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致しないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定すること、を特徴とする画像評価方法である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の画像評価方法において、前記基準図形(1a)及び前記描画図形(1b)が円形であるか否かを判定する傾き判定要否判定工程(S133)を有し、前記傾き判定要否判定工程で前記基準図形及び前記描画図形がいずれも円形ではないと判定された場合には前記傾き判定工程(S134)を行い、前記判定要否判定工程で前記基準図形及び前記描画図形のいずれかが円形であると判定された場合には前記傾き判定工程を行わないこと、を特徴とする画像評価方法である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像評価方法において、前記基準図形(1a)は、前記比較基準として、予めフォトマスク(40)上に描画された描画図形を撮像した撮像データ上の図形であること、を特徴とする画像評価方法である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像評価方法において、前記基準図形(1a)は、前記比較基準として、設計データを用いてフォトマスク上に描画するシミュレーションによって得られた図形であること、を特徴とする画像評価方法である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像評価方法において、前記描画図形長短比算出工程(S124〜S126)は、前記描画図形(1b)の輪郭線(2b)を構成する点列(3b)を算出する点列算出工程(S124)と、前記点列算出工程で算出された点列を主成分分析して共分散行列を算出し、この共分散行列を固有値分解して得られる互いに直交する前記描画図形の第1主成分及び第2主成分のそれぞれの固有値λ1,λ2(ただし、λ1≧λ2)を算出し、2つの前記固有値λ1,λ2の比λ1/λ2の平方根(λ1/λ2)1/2を前記描画図形長短比として算出する固有値比算出工程(S125,S126)と、を備えること、を特徴とする画像評価方法である。
【0010】
請求項7の発明は、フォトマスク上に描画された描画図形(1b)と、前記描画図形の比較基準である基準図形(1b)とを比較する画像評価プログラムであって、コンピュータを、前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータを記憶する基準図形データ記憶手段と、前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の面積を算出する描画図形面積算出手段と、前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の輪郭線を主成分分析して第1主成分及び第2主成分を算出し、前記描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出手段と、前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出手段が算出した前記描画図形の面積とを比較して同一であるか否かを判定する面積比較手段と、前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出手段が算出した前記描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定手段と、前記基準図形及び前記描画図形が一致するか否かを判定する図形判定手段として機能させ、前記図形判定手段を、前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、及び前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定するように機能させること、を特徴とする画像評価プログラムである。
【0011】
請求項8の発明は、請求項7に記載の画像評価プログラムにおいて、前記コンピュータを、前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形(1a)の第1主成分の軸の向きと、前記描画図形長短比算出手段が算出した前記描画図形(1b)の第1主成分の軸の向きとを比較して、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致するか否かを判定する傾き判定手段として機能させ、前記図形判定手段を、前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致すると判定した場合、かつ、前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致しないと判定した場合、及び前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定するように機能させること、を特徴とする画像評価プログラムである。
請求項9の発明は、請求項8に記載の画像評価プログラムにおいて、前記コンピュータを、前記基準図形(1a)及び前記描画図形(1b)がいずれも円形であるか否かを判定する傾き判定要否判定手段として機能させ、前記傾き判定要否判定手段を、前記基準図形及び前記描画図形がいずれも円形又は略円形ではないと判定した場合には、前記傾き判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似か否かを判定し、前記基準図形及び前記描画図形のいずれかが円形又は略円形であると判定した場合には、前記傾き判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致するか否かの判定を行わないように機能させること、を特徴とする画像評価プログラムである。
【0012】
請求項10の発明は、請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の画像評価プログラムにおいて、前記描画図形長短比算出手段を、前記描画図形の輪郭線を構成する点列を算出する点列算出手段と、前記点列算出手段が算出した点列を主成分分析して共分散行列を算出し、この共分散行列を固有値分解して得られる互いに直交する前記描画図形の第1主成分及び第2主成分のそれぞれの固有値λ1,λ2(ただし、λ1≧λ2)を算出し、2つの前記固有値λ1,λ2の比λ1/λ2の平方根(λ1/λ2)1/2を前記描画図形長短比として算出する固有値比算出手段として機能させること、を特徴とする画像評価プログラムである。
【0013】
請求項11の発明は、基準図形(1a)に等しい描画図形(1b)をフォトマスク(40)上に描画する場合の条件のうち、前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似であるかに影響する条件である概形類似条件と、前記基準図形との概形の類似を維持して前記描画図形の面積に影響する面積条件とを選択する描画条件選択方法であって、前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータを記憶する基準図形データ記憶工程(S41)と、複数の前記概形類似条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の輪郭線を主成分分析してそれぞれの第1主成分及び第2主成分を算出し、前記複数の描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である前記複数の描画図形の描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出工程(S42)と、前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記複数の描画図形の描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記複数の描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定工程(S43)と、前記描画図形長短比算出工程と前記概形類似判定工程により、複数の前記概形類似条件の中から最も前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似である条件を選択する概形類似条件選択工程(S44)と、前記概形類似条件選択工程で選択した前記概形類似条件を設定し、複数の前記面積条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の面積を算出する描画図形面積算出工程(S45)と、前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出工程で算出した前記複数の描画図形の面積とを比較して同一であるか否かを判定する面積比較工程(S46)と、前記描画図形面積算出工程と前記面積比較工程とを行うことにより、最も前記描画図形の面積が前記基準図形の面積に近い条件を選択する面積条件選択工程(S47)と、前記概形類似条件選択工程で選択した前記概形類似条件と、前記面積条件選択工程で選択した前記面積条件との組み合わせを最適条件として選択する描画条件選択工程(S48)と、を備えること、を特徴とする描画条件選択方法である。
【0014】
請求項12の発明は、請求項11に記載の描画条件選択方法において、前記概形類似条件として、後方散乱パラメータ量を選択すること、を特徴とする描画条件選択方法である。
請求項13の発明は、請求項11又は請求項12に記載の描画条件選択方法において、前記面積条件として、ドーズ量を選択すること、を特徴とする描画条件選択方法である。
請求項14の発明は、請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載の描画条件選択方法において、前記概形類似条件選択工程は、前記概形類似判定工程の後に、前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の第1主成分の軸の向きと、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記複数の描画図形の第1主成分の軸の向きとを比較して、前記基準図形及び前記複数の描画図形の傾きが一致するか否かを判定する傾き判定工程を行い、前記概形類似判定工程、及び前記傾き判定工程の結果に基づき、前記複数の概形類似条件の中から最も前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似である条件を選択すること、を特徴とする描画条件選択方法である。
【0015】
請求項15の発明は、基準図形(1a)に等しい描画図形(1b)をフォトマスク(40)上に描画する場合の条件のうち、前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似であるかに影響する条件である概形類似条件と、前記基準図形との概形の類似を維持して前記描画図形の面積に影響する面積条件とを選択する描画条件選択プログラムであって、コンピュータを、前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータと記憶する基準図形データ記憶手段と、複数の前記概形類似条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の輪郭線を主成分分析してそれぞれの第1主成分及び第2主成分を算出し、前記複数の描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である前記複数の描画図形の描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出手段と、前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出手段が算出した前記複数の描画図形の描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記複数の描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定手段と、前記描画図形長短比算出手段と前記概形類似判定手段とを行うことにより、前記複数の概形類似条件の中から最も前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似である条件を選択する概形類似条件選択手段と、前記概形類似条件選択手段が選択した前記概形類似条件を設定し、複数の前記面積条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の面積を算出する描画図形面積算出手段と、前記基準図形データ記憶手段で記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出手段が出した前記複数の描画図形の面積とを比較して同一であるか否かを判定する面積比較手段と、前記描画図形面積算出手段と前記面積比較手段とを行うことにより、最も前記描画図形の面積が前記基準図形の面積に近い条件を選択する面積条件選択手段と、前記概形類似条件選択手段が選択した前記概形類似条件と、前記面積条件選択手段が選択した前記面積条件との組み合わせを最適条件として選択する描画条件選択手段として機能させること、を特徴とする描画条件選択プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
本発明によれば、マスク上に描画されたマスクパターンをより高い精度でかつ容易に評価可能な画像評価方法及び画像評価プログラムを提供できる。
また、本発明によれば、所望の図形を描画可能な描画条件を算出する描画条件選択方法及び描画条件選択プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の画像評価システム1の構成を説明する図である。
【図2】描画図形の評価方法を説明する図である。
【図3】第1実施形態の描画図形の評価方法のフローチャートである。
【図4】基準図形及び描画図形の各種情報を記憶する工程を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態の図形判定工程のフローチャートである。
【図6】基準図形1a及び描画図形1bの例を示す図である。
【図7】基準図形1a及び描画図形1bの例を示す図である。
【図8】第2実施形態の図形判定工程のフローチャートである。
【図9】段付けデータ200を説明する図である。
【図10】第3実施形態の画像評価システム3を説明する図である。
【図11】第3実施形態の描画条件選択方法のフローチャートである。
【図12】描画条件(条件A)で描画された基準図形(20個)と概形類似条件が異なる各描画条件(B1−1,B2−1,B3−1)で描画された描画図形(各描画条件につき20個)とを比較する図である。
【図13】描画条件(条件A)で描画された基準図形(20個)と面積条件が異なる描画条件(B1−1,B1−2,B1−3)で描画された描画図形(各描画条件につき20個)とを比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の画像評価システム1の構成を説明する図である。
本実施形態の画像評価システム1は、描画装置10、撮像装置20、評価装置30等を備える。描画装置10、撮像装置20、評価装置30は、互いにLANやインターネット等の通信網を介して接続され、互いに情報を送受信可能である。この画像評価システム1は、評価の基準となる基準図形データの基準図形と、フォトマスク40上に描画装置10により描画されたマスクパターン50を撮像したSEM画像データ(描画データ)の描画図形とを評価することができ、所望の形状が描画されているか否かを評価することができる。
【0020】
描画装置10は、フォトマスク40上にマスクパターンを描画する電子線描画装置である。この描画装置10は、入力された不図示の設計データに基づいて、マスクパターン50を描画する。
撮像装置20は、フォトマスク40上に描画されたマスクパターン50を撮像する走査型電子顕微鏡(SEM)である。この撮像装置20は、フォトマスク40上の所定の位置のマスクパターン50を撮像可能である。
【0021】
評価装置30は、撮像装置20が撮像した画像(SEM画像)と、基準となる図形(基準図形)との形状や大きさを比較して評価する装置である。この評価装置30は、評価装置操作部31、評価装置表示部32、評価装置送受信部33、評価装置記憶部34、評価装置制御部35等を備えている。
なお、本発明において、コンピュータとは、記憶装置、制御装置等を備えた情報処理装置をいう。評価装置30は、評価装置記憶部34及び評価装置制御部35を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0022】
評価装置操作部31は、ユーザが評価装置30を操作するためのキーボードやマウス等の操作装置、入力装置である。
評価装置表示部32は、SEM画像(描画図形)や、基準図形と描画図形との比較結果を表示するモニタである。
評価装置送受信部33は、描画装置10、撮像装置20等との間で情報を送受信する部分であり、例えば、描画装置10に入力された設計データや撮像装置20が撮像したマスクパターンのSEM画像データを、通信網を介して受信して取得したり、評価結果等を適宜外部の装置に評価結果を出力したりする。
【0023】
評価装置記憶部34は、評価装置30の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
評価装置記憶部34は、評価プログラム34a、基準図形情報記憶部34b、描画図形情報記憶部34cを備えている。
評価プログラム34aは、基準図形画像データの基準図形の形状及び大きさと、描画図形画像データの描画図形の形状及び大きさとを比較するためのプログラムである。評価プログラム34aは、描画図形の評価に用いる各種数値等が記憶された評価テーブルを有している。
基準図形情報記憶部34bは、描画図形を評価する基準となる基準図形の基準図形画像データ及び基準図形に関する情報を記憶する記憶領域である。
描画図形情報記憶部34cは、撮像装置20が撮像したマスクパターン50の描画図形画像データ及び描画図形に関する情報を記憶する記憶領域である。
【0024】
評価装置制御部35は、評価装置30を統括的に制御するための制御部であり、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)から構成される。評価装置制御部35は、評価装置記憶部34に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウエアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
評価装置制御部35は、画像処理部36、図形判定部37等を備える。
【0025】
画像処理部36は、基準図形及び描画図形の画像データ(フォトマスク40上に描画されたマスクパターンのSEM画像データ等)について各種画像処理を行う部分である。
画像処理部36は、輪郭線抽出部36a、面積算出部36b、点列算出部36c、主成分分析部36d、長短比算出部36e、角度算出部36fを備えている。
輪郭線抽出部36aは、基準図形及び描画図形の画像データを画像処理し、基準図形及び描画図形の輪郭線を抽出する部分である。
面積算出部36bは、基準図形及び描画図形の輪郭線内の面積を所定の方法で算出する部分である。
点列算出部36cは、輪郭線抽出部36aが抽出した基準図形及び描画図形の輪郭線を、xy座標上の点の集合(点列)として算出する部分である。
【0026】
主成分分析部36dは、点列算出部36cが算出した基準図形及び描画図形の輪郭線を構成する点列を、主成分分析してその第1主成分及び第2主成分を算出する部分である。
長短比算出部36eは、基準図形及び描画図形について、それぞれ、輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である長短比(基準図形長短比,描画図形長短比)を算出する部分である。
角度算出部36fは、基準図形及び描画図形の第1主成分の固有ベクトルとx軸とがなす角度を算出する部分である。
【0027】
図形判定部37は、面積比較部37a、概形類似判定部37b、傾き判定要否判定部37c、傾き判定部37dとを備えている。図形判定部37は、基準図形及び描画図形が一致するか否かを判定する部分である。
面積比較部37aは、面積算出部36bが算出した基準図形の面積と描画図形の面積とを比較して、これらが同一(略同一であり、同一とみなせる場合も含む)であるか否かを判定する部分である。
【0028】
概形類似判定部37bは、長短比算出部36eが算出した基準図形長短比と描画図形長短比との比に基づいて、基準図形及び描画図形の形状(概形)が類似であるか否かを判定する部分である。
傾き判定要否判定部37cは、基準図形及び描画図形が円形(略円形であり、円形とみなせる場合も含む)であるか否かに基づいて、傾き判定部37dによる傾き判定工程を行うか否かを判定する部分である。
傾き判定部37dは、基準図形の第1主成分の軸の向きと、描画図形の第1主成分の軸の向きとを、角度算出部36fの算出した角度を比較して、基準図形及び描画図形の傾きが一致するか否かを判定する部分である。
【0029】
この図形判定部37では、概形類似判定部37bの概形類似判定の結果及び面積比較部37aの面積比較の結果に基づいて、基準図形及び描画図形が一致するか否かを判定する。なお、傾き判定工程を行った場合には、図形判定部37は、概形類似判定部37bの概形類似判定の結果及び面積比較部37aの面積比較の結果、傾き判定部37dの傾き判定工程の結果に基づいて基準図形及び描画図形が一致するか否かを判定する。
【0030】
評価装置30は、以下に示すように、基準図形及び描画図形を比較し、描画図形の形状及び大きさを評価する。
図2は、描画図形の評価方法を説明する図である。
図3は、第1実施形態の描画図形の評価方法のフローチャートである。
図2(a),(b)は、基準図形及び描画図形のぞれぞれの画像を示し、図2(c),(d)は、基準図形及び描画図形のぞれぞれの点列及び主成分軸等を示している。
基準図形画像データDAは、図形の評価の基準となる基準図形の画像データである。基準図形画像データDAとしては、予めフォトマスク40上に描画され、その形状や大きさ等が良好であると評価されたマスクパターン50のSEM画像データ等の撮像データを用いてもよいし、設計データ等を基に不図示のコンピュータ等のシミュレーションソフトにより描画のシミュレーションを行って得られたマスクパターンのシミュレーション画像データ等を用いてもよい。
描画図形画像データDBは、評価の対象となる描画図形の画像データである。描画図形画像データDBとしては、描画装置10がフォトマスク40上に設計データ等に基づいて描画したマスクパターン50を撮像装置20が撮像したSEM画像データ等である。
【0031】
評価装置30は、基準図形画像データDAの基準図形1aと描画図形画像データDBの描画図形1bとが一致するか否かを判断する。この評価装置30によって基準図形画像データDAの基準図形1aと描画図形画像データDBの描画図形1bとが一致すると判断されるとき、描画装置10は、フォトマスク上に好ましいマスクパターン50を描画したと判断される。
以下、図3に示すS10〜S14に沿って、図2(a)の基準図形1aを基準とし、図2(b)の描画図形1bを評価する例を挙げて説明する。
ユーザは、まず、S10において、評価装置操作部31を操作して、評価装置30の評価プログラム34aを起動させる。
【0032】
(基準図形データ記憶工程)
S11では、評価装置30は、基準図形画像データDAを画像処理し、基準図形1aに関する情報を記憶する基準図形データ記憶工程を行う。
図4は、基準図形及び描画図形の各種情報を記憶する工程を示すフローチャートである。
S111において、評価装置30は、通信網を介して評価装置送受信部33から基準図形画像データDAを受信する。
そして、画像処理部36は、評価装置送受信部33が受信した基準図形画像データDAの所定の領域から基準図形1aを選択し、その基準図形1aについて以下に示すような処理を行う。
まず、S112において、輪郭線抽出部36aは、基準図形画像データDAの基準図形1aから、図2(a)に示すように、その輪郭線2aを抽出する。輪郭線抽出部36aは、例えば、基準図形1aのSEM画像の白帯部分の尾根となる線(輝度の最も高くなる部分を繋いだ線)を抽出し、この尾根線を輪郭線2aとして抽出している。なお、この例に限らず、基準図形1aの輪郭線2aとして、基準図形1aの画像の白帯部分の内側や外側の境界線を抽出してもよい。
このような輪郭線の抽出方法としては、例えば、特許第4417763号公報や、特開2009−205224号公報に記載の方法等を適宜選択して用いることができる。
【0033】
次に、S113において、面積算出部36bは、基準図形1aの輪郭線2aの内の面積を算出する。
次に、S114において、点列算出部36cは、基準図形1aの輪郭線2aから、この輪郭線2aを構成するxy座標上の点列3aを算出する(図2(c)参照)。
次に、S115において、主成分分析部36dは、この点列3aを主成分分析し、点列3aの第1主成分及び第2主成分を算出する。具体的には、主成分分析部36dは、点列3aを主成分分析してこの点列3aの共分散行列CAを算出し、この共分散行列CAを固有値分解して得られる第1主成分及び第2主成分のそれぞれの固有値λA1,λA2(ただし、λA1≧λA2)を算出する。この第1主成分及び第2主成分は、図2(c)に示すようにその軸(第1主成分軸41a,第2主成分軸42a)の方向が互いに直交する。
【0034】
次に、S116において、長短比算出部36eは、主成分分析部36dが点列3aを主成分分析して得られた点列3aの第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比RAを算出する。即ち、長短比算出部36eは、前述の2つの固有値λA1,λA2の比λA1/λA2の平方根(λA1/λA2)1/2を、基準図形長短比RAとして算出する。この基準図形長短比RAは、基準図形1aの形状の「伸び(扁平の度合い)」を示すものである。なお、この「伸び」とは、図形として特定の方向への伸びであり、例えば、基準図形が円形の場合、比RA=1となる。
【0035】
また、S117において、角度算出部36fは、主成分分析部36dの主成分分析により得られた点列3aの第1主成分の向きを算出する。即ち、点列3aの第1主成分の固有ベクトルvAがx座標軸と成す角度θA(図2(c)参照)を算出する。この角度θAは、基準図形1aの形状の「傾き」(即ち、上述の「伸び」の方向)を示すものである。
【0036】
S118において、画像処理部36の各処理によって得られた基準図形1aの面積や、2つの固有値λA1,λA2、基準図形長短比RA、角度θA等の基準図形1aの情報は、評価装置記憶部34の基準図形情報記憶部34bに記憶され、基準図形データ記憶工程を終了し、S12へ進む。
【0037】
なお、本実施形態では、評価装置30の評価装置制御部35が、基準図形画像データDAから、基準図形1aの面積や2つの固有値λA1,λA2、基準図形長短比RA等を算出し、基準図形情報記憶部34bに記憶する例を挙げて説明したが、これに限らず、予め別のコンピュータ等によって基準図形1aの面積や2つの固有値λA1,λA2、基準図形長短比RA、角度θA等を算出し、その情報が評価装置送受信部33から入力され、基準図形情報記憶部34bに記憶される形態としてもよい。また、基準図形1aに対する画像処理部36の各種処理と後述する描画図形1bに対する画像処理部36の各種処理とを同時に行ってもよい。
【0038】
次に、S12において、画像処理部36が、撮像装置20から転送された描画図形のSEM画像データを取得し、評価対象となる描画図形1bが含まれる領域を検出し、各種処理工程を行う。
描画図形の各種処理工程に関しても、前述の基準図形データ記憶工程と同様に、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、S121において、画像処理部36が、撮像装置20から転送された描画図形データを取得する。
(描画図形面積算出工程)
次に、S122において、輪郭線抽出部36aが、描画図形1bが含まれる領域を検出し、その輪郭線2bを抽出する。このとき、輪郭線抽出部36aは、前述の基準図形1aの輪郭線2aの抽出方法と同様に、例えば、描画図形1bの画像の白帯部分の尾根線(図2(b)上に破線で示す)を輪郭線2bとして抽出する。
次に、S123において、面積算出部36bが、輪郭線抽出部36aが抽出した描画図形1bの輪郭線2b内の面積を算出する。この算出方法は、基準図形1aの面積の算出方法と同じである。
【0039】
(描画図形長短比算出工程)
次に、S124において、点列算出部36cが、描画図形1bの輪郭線2bから、輪郭線2bを構成するxy座標上の点列3bを算出する(図2(d)参照)。
次に、S125において、主成分分析部36dが、この点列3bを主成分分析し、点列3bの第1主成分及び第2主成分を算出する。
次に、S126において、長短比算出部36eが、点列3bの第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である描画図形長短比RBを算出する。具体的には、点列3bの共分散行列CBを固有値分解して得られる第1の主成分及び第2の主成分のそれぞれの固有値λB1,λB2(ただし、λB1≧λB2)を算出し、固有値λB1,λB2の比λB1/λB2の平方根(λB1/λB2)1/2を、描画図形長短比RBとして算出する。これらの第1主成分軸41b及び第2主成分軸42bは、図2(d)に示すように互いに直交する。この描画図形長短比RBは、描画図形1bの形状の「伸び(扁平の度合い)」を示すものである。この「伸び」とは、図形として特定の方向への伸びであり、例えば、描画図形が円形の場合、比RB=1となる。
【0040】
また、S127において、角度算出部36fは、点列3bの第1主成分の向きを算出する。即ち、点列3bの第1主成分の固有ベクトルvBがx軸と成す角度θBを算出する。この角度θBは、描画図形1bの形状の「傾き」(即ち、「伸び」の方向)を示すものである。
そして、S128において、画像処理部36により算出された描画図形1bの面積、2つの固有値λB1,λB2、描画図形長短比RB、角度θB等の描画図形1bの情報は、描画図形情報記憶部34cに記憶され、描画図形1bに関する画像処理工程を終了し、SS13へ進む。
【0041】
S13は、基準図形及び描画図形が一致するか否かを、その面積や形状から判定する図形判定工程である。この図形判定工程は、面積比較工程、概形類似判定工程、傾き判定工程等を有している。
図5は、第1実施形態の図形判定工程のフローチャートである。
(面積比較工程)
まず、S131では、面積比較部37aが、基準図形情報記憶部34bに記憶された基準図形1aの面積と、描画図形情報記憶部34cに記憶された描画図形1bの面積とを呼び出して比較し、これらが同一(略同一である場合を含む)であるか否かを判定する面積比較工程を行う。
面積比較部37aが、基準図形1a及び描画図形1bの面積が同一(略同一である場合も含む)と判断した場合(S131:YES)は、この判定結果が評価装置記憶部34の描画図形情報記憶部34cに記憶され、S132へ進む。なお、基準図形1aの面積及び描画図形1bの面積が略同一である場合とは、基準図形の面積と描画図形の面積の差が、予め評価プログラム34aの評価テーブル内に記憶された許容範囲内であり、同一とみなせる程度に差が小さい場合である。
また、面積比較部37aが、基準図形1a及び描画図形1bの面積が同一(略同一である場合も含む)ではないと判断した場合(S132:NO)は、その判定結果が描画図形情報記憶部34cに記憶され、S136へ進む。
【0042】
(概形類似判定工程)
S132では、概形類似判定部37bが、基準図形長短比RAと描画図形長短比RBとの比に基づいて、基準図形1a及び描画図形1bの概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定工程を行う。
具体的には、概形類似判定部37bは、基準図形情報記憶部34bに記憶されている基準図形長短比RAと、描画図形情報記憶部34cに記憶されている描画図形長短比RBとを呼び出し、これらの比RB/RAを算出し、この比RB/RAを値SABとする(RB/RA=SAB)。
予め、評価プログラム34aの評価テーブルには、値SAB(即ち、基準図形長短比RA及び描画図形長短比RBの比RB/RA)において、基準図形1a及び描画図形1bの形状の概形(図形の伸び)が類似であるといえる許容値S0が設定され、記憶されている。この許容値S0は、1≦S0<2という範囲を満たす値であり、この許容値S0の値が小さい程、概形類似の判定精度が高くなる。例えば、S0=1.05とすれば、基準図形1aと描画図形1bの長短比の比RB/RA(値SAB)が5%以内であるものを概形が類似であると判定する。この許容値S0は、ユーザによって、評価装置操作部31からの入力等によって適宜変更可能である。
【0043】
S132において、概形類似判定部37bは、値SABが、
1/S0≦SAB≦S0 ・・・(式1)
を満たすか否かを判定する。
値SABがこの(式1)を満たすとき(S132:YES)、概形類似判定部37bは、基準図形1aと描画図形1bとは概形が類似であると判定し、この判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶し、S133へ進む。
一方、値SABがこの(式1)を満たさないとき(S132:NO)、概形類似判定部37bは、基準図形1aと描画図形1bとは概形が類似ではないと判定し、その判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶し、S136に進む。
【0044】
(傾き判定要否判定工程)
S133では、傾き判定要否判定部37cが、基準図形1a及び描画図形1bが円形(顕著な伸び等がない略円形であり、円形とみなせる形状も含む)ではないか否かを、両図形の長短比RA,RBが円形とみなせる許容値R0より大きいか、許容値R0以下であるかにより判定する傾き判定要否判定工程を行う。
この許容値R0は、1<R0≦2の範囲内で適宜設定でき、予め、評価プログラム34aの評価テーブルに記憶されている。許容値R0の値を1に近い値とするほど、この許容値R0を満たす長短比RA,RBを有する両図形は円形に近い形状となる。両図形の長短比RA,RBがこの許容値R0以下である場合、両図形は、円形(略円形を含む)とみなせる。
【0045】
S133において、傾き判定要否判定部37cは、基準図形情報記憶部34bに記憶されている基準図形長短比RA、描画図形情報記憶部34cに記憶されている描画図形長短比RBを参照する。
そして、基準図形長短比RA及び描画図形長短比RBがいずれも許容値R0より大きく、RA>R0かつRB>R0である場合(S133:YES)には、傾き判定要否判定部37cは、基準図形1a及び描画図形1bがいずれも円形(又は略円形)ではない、即ち、略楕円形状等であると判定し、S134へ進む。
また、基準図形長短比RA,描画図形長短比RBのいずれか1つが許容値R0以下である場合(S133:NO)、即ち、RA≦R0かつRB≦R0、RA≦R0かつRB>R0、RA>R0かつRB≦R0のいずれかの場合には、傾き判定要否判定部37cは、基準図形1a及び描画図形1bの少なくとも一方が、傾きを判定する必要が生じるほどの「伸び」を有していない円形(略円形も含む)であると判定する。
【0046】
このS133の傾き判定要否判定工程を行う段階では、その前のS132の概形類似判定工程において、値SABが(式1)を満たすか否かを判定し、基準図形1a及び描画図形1bの概形が類似であると判定されている。また、RA及びRBの値は非常に近い。従って、RA≦R0かつRB>R0である場合や、RA>R0かつRB≦R0である場合でも、基準図形1a及び描画図形1bは、円形(略円形を含む)とみなせるものであり、その概形が類似であるといえる。そのため、基準図形1a及び描画図形1bが円形(略円形も含む)である場合(S133:NO)、傾きが一致しているとみなすことができ、傾きの判定は不要である。よって、傾き判定要否判定部37cは、この判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶し、S135へ進む。
【0047】
(傾き判定工程)
S134では、傾き判定部37dが、基準図形1a及び描画図形1bの形状の傾き(各第1主成分の向き)を比較する傾き判定工程を行う。
具体的には、傾き判定部37dが、基準図形情報記憶部34bに記憶されている基準図形1aの点列3aの第1主成分の固有ベクトルvAがx軸となす角度θA、及び、描画図形情報記憶部34cに記憶されている描画図形1bの点列3bの第1主成分の固有ベクトルvBがx軸となす角度θBを参照し、この角度θA,θBの差|θA−θB|を算出し、これを値tABとする(tAB=|θA−θB|)。
【0048】
予め、評価装置記憶部34の評価テーブルには、この値tABの許容値t0(ただし、t0≧0°)が設定され、記憶されている。この許容値t0は、基準図形1a及び描画図形1bの傾きが一致しているとみなせる値tABの最大値である。そして、このt0が小さいほど、両図形の傾きの差が小さく、両図形の傾きが一致していると判定する。なお、この許容値t0に関しては、ユーザが評価装置操作部31から入力する等により、10°、30°等適宜その値を設定できる。
値tABは、
0°≦tAB<t0 ・・・(式2)
を満たす場合、基準図形1a及び描画図形1bの傾きがの差が、許容範囲内であり、基準図形1a及び描画図形1bの傾きが一致(略一致も含む)しているといえる。
【0049】
S134において、傾き判定部37dは、値tABが0°≦tAB<t0を満たしているか否かを判定する。値tABが0°≦tAB<t0を満たしている場合(S134:YES)、傾き判定部37dは、基準図形1a及び描画図形1bは傾きが一致していると判定して、その判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶し、S135へ進む。
一方、S134において、値tABが0°≦tAB<t0を満たしていない(tAB≧t0)場合(S134:NO)には、傾き判定部37dは、基準図形1a及び描画図形1bは傾きが一致しないと判定し、その判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶し、S136へ進む。
【0050】
ここで、S133の傾き判定要否判定工程及びS134の傾き判定工程を行う利点を説明する。
図6は、基準図形1a及び描画図形1bの例を示す図である。図6では、基準図形1a及び描画図形1bは、いずれもxy座標上の点列3a,3bで示し、その第1主成分軸41a,41b及び第2主成分軸42a,42b等も示している。
S134の傾き判定工程を行う段階では、その前のS132の概形類似判定工程において、値SABが(式1)を満たすか否かを判定し、基準図形1a及び描画図形1bの概形が類似であると判定されている。
【0051】
しかし、図6(a)に示すように、仮に、基準図形1a及び描画図形1bがいずれも円形又は略円形ではない略楕円形状であった場合、両図形の面積が一致しており、値SABが(式1)を満たしていたとしても、その形状の傾き(角度θA,θB)が異なっている場合、両図形は一致しない。
その一方で、図6(b)に示すように、基準図形1a及び描画図形1bがいずれも円形(略円形も含む)であるとき、両図形の面積が一致しており、値SABが(式1)を満たしているならば、両図形の第1主成分の軸の向きが異なっていたとしても、両図形は一致する。
【0052】
従って、基準図形1a及び描画図形1bの形状に応じて、その傾きが一致するか否かを判定することによって形状が一致するか否かの判定精度を高めることができる。また、傾き判定要否判定工程において、傾き判定要否判定部37cが、両図形がいずれも「伸び」が許容範囲内であり、円形(略円形も含む)であると判定した場合には、S134の傾き判定工程を省略することができ、評価工程を短縮することができる。
【0053】
以上の図形判定工程を行い、S135に進んだ場合、S131〜S134までの各判定において、
判定(1)面積比較部37aが基準図形1aの面積及び描画図形1bの面積が同一又は略同一であると判定(S131:YES)
判定(2)概形類似判定部37bが基準図形1a及び描画図形1bの概形が類似であると判定(S132:YES)
判定(3)傾き判定要否判定部37cが基準図形1aの面積及び描画図形1bが円形(略円形を含む)であると判定(傾き判定要否判定部37cが基準図形1aの面積及び描画図形1bの傾き判定不要と判定)(S133:NO)、又は、傾き判定部37dが基準図形1aの面積及び描画図形1bの傾きが一致していると判定(S134:YES)
これらの判定(1)〜(3)を全て満たしている。
従って、S135において、図形判定部37は、基準図形1a及び描画図形1bが一致すると判定し、その判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶する。また、このとき、評価装置制御部35は、評価装置表示部32に、この判定結果を表示する。そして、S137へ進んで図形判定工程を終了した後、S14へ進んで、一連の描画図形の画像評価を終了する。
【0054】
一方、図形判定工程のS131〜S134の各判定において、上記判定(1)〜(3)のいずれか1つでも満たされていない場合には(即ち、S131:NO、S132:NO,S134:NO)、S136に進む。
S136において、図形判定部37は、基準図形1a及び描画図形1bが一致しないと判定し、その判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶する。また、このとき、評価装置制御部35は、評価装置表示部32に、この判定結果を表示する。そして、S137へ進んで図形判定工程を終了した後、S14へ進んで、一連の描画図形の画像評価を終了する。
【0055】
基準図形1a及び描画図形1bが一致する場合、描画装置10は、基準図形1aに等しい、所望する形状の描画図形1b(マスクパターン50)をフォトマスク40上に描画できたと評価できる。
また、基準図形1a及び描画図形1bが一致しない場合、描画装置10は、所望する形状の描画図形1b(マスクパターン50)をフォトマスク40上に描画できていないと評価できる。
【0056】
ここで、図2(a)に示す基準図形1a及び描画図形1bを、上述の画像評価システムを用いて評価した。各限界値及び許容値等は、一例として、S0=1.05、t0=30°、R0=1.05とした。
実際に評価を行うと、この基準図形1a及び描画図形1bは、(式1)及び(式2)を満たしており、一致すると判定された。
【0057】
なお、これらの各許容値及び限界値S0,R0,t0の最適値は、パターンサイズ、撮像装置20(SEM)の機種、撮像された画像(SEM像)の倍率等に依存する。従って、上記の値は一例であり、状況に応じてので、適宜その値を調整すべきものである。
例えば、S0>1,R0>1,t0>0°を満たしながら、それぞれ小さな値に設定すればするほど基準図形及び描画図形の両図形間のより細かな検出が可能になる。しかしながら、両図形の形状の違いが、描画パターンによってではなく、撮像装置20のコンディション(ノイズや画像のゆがみ)に起因して生る場合がある。この場合、上記パラメータをあまり厳しく設定すると、本来ならば類似していると判定されるべきケースが類似していないと判定されることが頻繁に起きてくる。この現象は「擬似欠陥」と呼ばれる。このような擬似欠陥が大量に生じた場合には、上記パラメータの値を緩めるべきである。
逆に、上記パラメータの値が大きすぎると、両図形間の類似性の判定基準が甘くなり、本来欠陥として検出されるべき図形が見逃されることになる。このような場合、上記パラメータの値を下げて、判定基準を厳しくするべきである。
従って、判定結果をみて、それを各許容値及び限界値の調整へと適宜フィードバックし、判定精度を向上させるようにしてもよい。
【0058】
また、上述の画像評価方法及び画像評価プログラムを備える画像評価システムを用いて描画図形を評価する他の例を以下に挙げて説明する。なお、各許容値や限界値は、S0=1.05、t0=30°、R0=1.05とする。
図7は、基準図形1a及び描画図形1bの例を示す図である。
例えば、図7(a)に示す基準図形及び描画図形は、概形が類似である(1/S0≦SAB≦S0、かつ、0°≦tAB≦t0)が、その面積が異なっている。従って、この場合、S131の面積評価工程において、面積比較部37aは、基準図形1a及び描画図形1bの面積が不一致と判定し(S131:NO)、図形判定部37は、基準図形及び描画図形が不一致と判定する。
【0059】
また、図7(b)に示す基準図形1a及び描画図形1bは、面積が等しく、第一主成分の向きも近しい(tAB≦t0)が、その長短比が異なっており、値SABが(式1)を満たしていない(SAB>S0)。従って、S132の概形類似判定工程において、概形類似判定部37bにより、基準図形1a及び描画図形1bは、概形が類似ではないと判定され(S132:NO)、図形判定部37は、基準図形1a及び描画図形1bが不一致であると判定する。
【0060】
さらに、図7(c)に示す基準図形1a及び描画図形1bは、面積が等しく、その長短比が(式1)を満たしているが(1/S0≦SAB≦S0)、その第1主成分の向きである値tABが、(式2)を満たしていない(tAB>t0)。従って、S134の傾き判定工程において、傾き判定部37dが、基準図形1a及び描画図形1bの傾きが一致しないと判定し(S134:NO)、図形判定部37は、基準図形1a及び描画図形1bが一致しないと判定する。
【0061】
上述のように、本実施形態の評価方法及び評価プログラムを用いることにより、様々な形状の基準図形1a及び描画図形1bが一致しているか否かを精度よく、かつ、簡単に判定することができる。例えば、描画図形1bが円形の場合等のように、従来の一般的な寸法測定において測定を行う断面ラインを垂直方向に僅かに移動させるだけで寸法自体が大きく変化してしまうような図形である場合の評価工程を簡単にでき、評価時間等の効率を向上できる。また、面積のみを画像評価の判定基準とした場合には、基準図形1aの形状と描画図形1bの形状とが大きく違っていても面積が一致していれば、基準図形1aと描画図形1bが一致していると判定されるおそれがあるが、本実施形態によれば、描画図形1bの面積に加えて、描画図形1bの長短比を判定基準に取り入れるので、そのようなおそれがなく、さらに、面積のみで判定した場合に比べて判定精度を向上できる。
【0062】
また、本実施形態によれば、基準図形1a及び描画図形1bが一致しているか否かを、両図形の面積に加えて、その両図形の伸びや傾き表す値SAB,tABを用いて判定しているので、数学的な手法により一律に判定でき、かつ、評価の精度を上げることができる。
さらに、本実施形態によれば、傾き判定要否判定工程を備えているので、基準図形1a及び描画図形1bの形状に応じて描画図形1bの傾き及び基準図形1aの傾きが一致するか否かの判定を行わないので、その評価工程を簡単にすることができる。
さらにまた、本実施形態によれば、基準図形1aは、比較基準として予めフォトマスク上に描画された描画図形を撮像した撮像データ上の図形を用いることができるので、実際にフォトマスク上に描画され、その形状が所望の形状となった描画図形を基準図形1aとして用いることができる。また、基準図形1aは、比較基準として、設計データを用いてフォトマスク上に描画するシミュレーションによって得られた図形を用いることができるので、シミュレーションで得られた所望の形状を基準図形1aとすることができる。
【0063】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の図形判定工程のフローチャートである。
前述の第1実施形態では、傾き判定部37dが、傾き判定工程において、基準図形及び描画図形の傾きを示す値tAB=|θA−θB|を用いて、基準図形1a及び描画図形1bの傾きが一致するか否かを判定する例を示した。第2実施形態では、この値tABを用いず、傾き判定部37dが、行列ノルムを使用した以下の式2で示される値UABを用いて基準図形1a及び描画図形1bの傾きを判定している点が異なる。
よって、第2実施形態おいて、前述の第1実施形態と同様の機能を果たす部分には同一部符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0064】
【数1】
(式3)において、右辺の分子は、2×2正方行列同士の通常の積を表し、得られる値も、2×2行列となる。右辺の分母は、正の実数同士の通常の積を表す。
値UABは、その行列ノルムが、一例として、上記(式3)に示すようなベクトルのユークリッドノルムからの誘導ノルムである例を挙げて説明する。なお、本実施形態では、誘導ノルムを用いる例を挙げて説明するが、これに限らず、他のノルムを用いてもよい。
この誘導ノルムは、作用素ノルムとも呼ばれ、任意の行列Mに対して、
【0065】
【数2】
という関係を満たす。このとき、上記の式の右辺の分子及び分母は、ベクトルのノルムであり、ユークリッドノルムとする。
【0066】
行列のノルムとして、上述のものを選択した場合、任意の行列Mのノルムの値は、最大特異値として得ることができる。即ち、
【0067】
【数3】
という式で得られる。ただし、M*は、行列Mの随伴行列(共役転置行列)を表し、λは固有値を示し、λmaxは、その中で最大のものを示す。
【0068】
上述のように選択された行列ノルムに対して、劣乗法性が成り立つ。即ち、任意の行列に対して、
【0069】
【数4】
という関係が成り立つ。
従って、上述の値uABは、(式3)で表されるので、
0≦UAB≦1 ・・・(式7)
となる。この値UABは、両図形が楕円形状等のように伸びを有している場合には、その値が1に近いほど、より傾きが一致している度合いが高いということを示し、かつ、両図形が円形(略円形である場合を含む)である場合には、その角度θA及び角度θBに関わらず、1に近い値を示す。
【0070】
図8に示すように、第2実施形態の図形判定工程では、第1実施形態に示したS133の傾き判定要否判定工程及びS134の傾き判定工程に代えて、S333の傾き判定工程を行う。第2実施形態の図形判定部37は、傾き判定要否判定部を備えておらず、このS333の傾き判定工程は、後述するように値UABを用いた判定により、両図形の傾きが一致しているか否かを判定する。
本実施形態では、予め、この値UABの限界値U0を設定し、評価プログラム34aの評価テーブルに記憶させておく。この限界値U0は、0.6≦U0≦1の範囲内で設定することが好ましく、評価装置操作部31によってユーザが適宜設定可能とする。
【0071】
本実施形態の図形判定工程では、S132の概形類似判定工程において、基準図形1aと描画図形1bとの概形が類似であると判定された場合(S132:YES)、S333へ進む。そして、S333の傾き判定工程において、傾き判定部37dは、値UABを算出し、この値UABが、
U0≦UAB≦1 ・・・(式7)
を満たすか否かを判定する。
値UABが(式7)を満たすとき、傾き判定部37dは、基準図形1a及び描画図形1bの傾きが一致する(略一致も含む)と判定し、この判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶させ、S135へ進む。なお、値UAB=1の場合は、両図形が円形であるので、傾きは一致しているものとみなせる。
また、値UABが(式8)を満たさないとき、傾き判定部37dは、基準図形1a及びび描画図形1bの傾きが不一致であると判定し、S136へ進む。
【0072】
上述の値UABを用いることにより、基準図形1a及び描画図形1bが共に円形である場合を例外とすることなく、同一工程においてその傾きを判定できる。従って、前述の第1実施形態や第2実施形態に示したようなS133の傾き判定要否判定工程及びS238の円形判定工程が不要となる。しかも、評価の精度を落とすことはなく、図形判定工程が容易になり、かつ、その工程も短縮されるという利点がある。
よって、本実施形態によれば、判定精度を高く維持しながら、描画図形1bの評価工程を簡単にすることができ、効率よく判定処理を行える。
【0073】
(第3実施形態)
第3実施形態は、前述の画像評価方法を用いた描画条件選択方法を説明する。
本実施形態の描画条件選択方法は、描画装置10が基準図形1aと同一形状の描画図形1bを描画するために好ましい描画条件(描画に関する条件)を算出する方法であり、描画装置10は、設計データ100から算出された下記のような段付けデータ200に基づいて描画を行うものとする。
図9は、段付けデータ200を説明する図である。
一般的に、まず、設計者が、図9(a)に示すような設計データ100を作成する。設計データ100は、実際に半導体ウエハ上に形成する所望の配線パターンの形状を、作成したものである。この設計データ100は、CAD等の不図示の設計装置を利用して作成される。
次に、図9(b)に示すように、設計者は、設計データ100に基づいて、マスクデータ100A(描画予定パターン)を作成する。マスクデータ100Aは、OPC(光近接効果補正)等の技術を利用して作成された多角形状のデータである。マスクデータ100Aは、CAD等の不図示の設計装置を利用して作成してもよく、専用の設計装置を利用して作成してもよい。
【0074】
そして、図9(c−1)に示すように、マスクデータ100Aから、さらに段付データ200(ショット形状配列描画データに対応)を作成する。なお、図9(c−1)は、図9(b)のマスクデータ100Aの破線内の形状に対応する段付データ200を、拡大して示している。
段付データ200は、マスクデータ100Aに基づいて複数の矩形300を配置したものである。各矩形300は、電子線を描画するときのショット形状に対応している。段付データ200は、複数の矩形300が重複するように配置されている。
段付データ200は、CAD等の設計装置を利用して作成してもよく、専用の設計装置を利用して作成してもよい。
【0075】
次に、図9(d)に示すように、段付データ200を利用してフォトマスク40上に、描画装置10でマスクパターン50を描画する。描画装置10は、各矩形300に対応した形状のアパーチャを利用して、矩形300ごとに所定量の電子線を照射して描画する。
そして、このフォトマスク40を用いて、ステッパ等の露光装置で不図示の半導体ウエハ上に転写して、半導体ウエハ上に配線パターンを形成することができる。
【0076】
上記の工程において段付データ200を利用して形成されるマスクパターン50の形状は、従来から行われてきたように、設計データ100に基づいて異なる形状の矩形を組み合わせた描画用データ102を作成し(図9(c−2)参照)、描画用データ102に基づいてフォトマスクに描画したマスクパターンの形状と同様のものを得ることができる。この理由は、以下の通りである。
段付データ200を利用する場合には、矩形300の外コーナ300aは、照射される電子線の量が先端になる程少なくなるために、マスクパターン50の輪郭が内側に細くなって、輪郭線が曲線になる。また内側コーナ部300bは、矩形300が重複しているため、ショットごとに電子線が照射され、ドーズ量が増大し、マスクパターン50の輪郭が外側に膨らんで輪郭線が曲線になる。このため、図9(d)に示すように、フォトマスク40には、コーナ部が曲線でなだらかに繋げたような形状のマスクパターン50が描画される。
【0077】
この段付データ200は、従来の描画用データ102と比べると、矩形300の数が少ないので、データの作成が簡単である。さらに、フォトマスク40上にマスクパターン50を描画する場合には、ショット数を従来よりも格段に少なくできる。このため、フォトマスク40の作成時間を大幅に削減でき、また高価な描画装置10の稼動時間を削減できるので、フォトマスク40のコスト削減をすることができる。
【0078】
本実施形態の描画装置10は、上述の段付けデータ200によりフォトマスク40上にマスクパターン50を描画するため、ユーザが設定可能な描画に関する幾つかの条件(描画条件)を有する。その描画条件として、例えば、ドーズ量や、後方散乱パラメータ量等が挙げられる。これらを適宜設定することによって、フォトマスク40上に所望のマスクパターン50を描画可能である。
一般的なフラクチャ方式の描画用データ102(図9(c−2)参照)の場合、マスクデータ100Aの図形をさらに細かい矩形状の図形に分解して、その矩形状の図形ごとに描画を行う。従って、描画に必要な条件は、その露光量のみであり、設定が必要な描画条件は1つである。しかし、上述のような段付けデータ200(図9(c−1)参照)を用いて描画する場合、設定が必要な描画条件は、上述のように複数存在する。従って、段付けデータ200を用いて描画する場合、描画条件を1つ定めただけでは、好ましい描画図形が得られない。しかも、描画条件は、最適なものを設定しないと、描画図形と基準図形との形状や面積のずれが大きくなり、基準図形と描画図形が一致しないものとなる。
【0079】
また、描画条件は、フォトマスクのレジストの特性、描画装置の特性等によって、その値を適宜変更する必要がある。例えば、同じ規格の描画装置であっても別の描画装置に変えた場合には好ましい描画条件が異なってしまう場合がある。このとき、上述のように描画条件が複数である場合には、何通りもの組み合わせが生じることとなり、描画条件の設定が困難である。また、従来のフラクチャ方式の描画用データ102を用いて描画されたマスクパターンと同じマスクパターンを、上述のような段付けデータ200を用いて描画する場合についても、好ましい描画条件について、ユーザが値を設定することは困難である。
【0080】
本実施形態では、最適な描画条件の選択する方法を説明する。
なお、以下の説明において、基準図形1aに等しい描画図形1bをフォトマスク40上に描画可能とする描画条件のうち、描画図形1bの形状(伸び、傾き)が基準図形1aの形状に類似であるか否かに影響する描画条件を概形類似条件といい、描画図形1bの面積(大きさ)に影響する描画条件を面積条件する。本実施形態では、概形類似条件として、後方散乱パラメータ量の最適値を決定し、面積条件としてドーズ(DOSE)量の最適値を決定する例を挙げて説明する。ただし、形状(概形)の類似や面積に影響を与える各種パラメータを概形類似条件、面積条件として適宜選択してもよい。
【0081】
図10は、第3実施形態の画像評価システム3を説明する図である。
図11は、第3実施形態の描画条件選択方法を説明するフローチャートである。
本実施形態の画像評価システム3は、評価装置30の評価装置記憶部34に最適条件選択プログラム34dが記憶され、評価装置制御部35の図形判定部37が、描画条件選択部37eを備えている点が異なる以外は、前述の第1実施形態の評価システムと略同様の形態である。従って、前述の第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、適宜重複する説明を省略する。
まず、S40において、ユーザが、評価装置操作部31を操作して、最適条件選択プログラム34dを起動させ、S41の基準図形データ記憶工程へ進む。
【0082】
(基準図形データ記憶工程)
S41において、画像処理部36は、評価装置送受信部33から取得した基準図形画像データDAを画像処理して、基準図形1aの各種情報(即ち、基準図形1aの面積や基準図形長短比RA、角度θA等)を算出して記憶する基準図形データ記憶工程を行う。
まず、輪郭線抽出部36aが、基準図形画像データDAの基準図形1aを選択してその輪郭線2aを抽出する。そして、面積算出部36bが、輪郭線2a内の面積を算出し、点列算出部36cが、輪郭線2aからを構成する点列3aをxy座標上に算出する。本実施形態では、基準図形画像データDAから、1個又は複数の円形のマスクパターンを選択し、基準図形1aとする。この基準図形1aは、描画条件Aによって描画されものであるとする。
【0083】
次に、主成分分析部36dが、各点列3aの共分散行列CAを主成分分析する。そして、長短比算出部36eが、基準図形1aの基準図形長短比RAを算出し、角度算出部36fが、各基準図形1aの第1主成分の固有ベクトルvAとx軸とがなす角度θAを算出する。画像処理部36によって得られたこれらの基準図形1aに関する情報は、基準図形情報記憶部34bに記憶される。
そして、上述の基準図形データ記憶工程を行ったのち、S42へ進む。
【0084】
(概形類似条件選択工程)
次に、S42〜S44において、概形類似条件選択工程を行う。
この概形類似条件選択工程は、複数の概形類似条件の中から基準図形に対する概形類似性が高い描画図形を描画可能な概形類似条件を備える描画条件を選択する工程である。本実施形態の概形類似条件選択工程では、描画条件のうち他の条件は全て同じであるが、概形類似条件(後方散乱パラメータ量)のみが異なる値で設定され、描画装置10によりフォトマスク40上に描画された描画図形1b(マスクパターン50)の中から、基準図形1aとの概形の類似の度合いが最も高い描画図形1bを決定する例を挙げて説明する。なお、この工程では、基準図形1a及び描画図形1bの面積の違いは考慮しない。なお、概形類似条件は、ユーザが適宜設定可能である。
後方散乱パラメータ量を概形類似条件として選択した理由は、本実施形態の描画装置10のような重なりを有する段付けデータ200を用いて描画する方式の場合、後方散乱パラメータ量が描画図形の形状に大きく影響を与えるからである。
【0085】
まず、S42において、概形類似条件のみが異なる各描画条件で描画装置10がフォトマスク上に描画した描画図形1bを、撮像装置20が撮像し、その画像データ(描画図形データ)を評価装置送受信部33を介して評価装置30へ転送する。
次に、画像処理部36が、評価装置送受信部33から受信した描画図形画像データDBの所定の領域から、上述の基準図形1aに対応するパターンを描画した描画図形1bをそれぞれ選択し、各種画像処理を行う。
輪郭線抽出部36aは、各描画図形画像データDBを画像処理して、各描画図形1bの輪郭線2bを抽出する。
点列算出部36cは、各描画図形1bの輪郭線2bを構成する点列3bをxy座標上に算出する。
【0086】
次に、主成分分析部36dが、各描画図形1bの点列3bを主成分分析して共分散行列CBを算出し、各描画図形1bの第1主成分及び第2主成分を算出する。
次に、長短比算出部36eが、各描画図形1bの第1主成分及び第2主成分の固有値を算出し、各描画図形1bの描画図形長短比RBを算出する。
また、角度算出部36fが、各描画図形1bの第1主成分の固有ベクトルvBがx軸となす角度θBを算出する。
画像処理部35aが算出した描画図形1bの長短比RB、角度θB等の情報は、描画図形情報記憶部34cに記憶される。
【0087】
そして、S43において、図形判定部37は、各基準図形1a及び各描画図形1bの概形が類似であるか否かを判定する。
具体的には、図形判定部37の概形類似判定部37bが、各基準図形長短比RAと、概形類似条件のみが異なる各描画条件(例えば、図12に示す描画条件B1−1,B2−1,B3−1)で描画された各描画図形の描画図形長短比RBとの大きさの差に基づいて、基準図形1a及び各描画図形1bの概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定工程を行う。
S43において、概形類似判定部37bは、基準図形長短比RAと描画図形長短比RBから値SABを算出し、この値SABが、(式1)である1/S0≦SAB≦S0を満たすか否かを判定する。判定結果は、描画図形情報記憶部34cに記憶される。
【0088】
なお、本実施形態では基準図形1aをいずれも円形としたため、基準図形1a及び描画図形1bの傾きが一致するか否かを判定する傾き判定工程や、この傾き判定工程の要否を判定する傾き判定要否判定工程、円形判定工程等を行っていない。しかし、これに限らず、基準図形1aが円形(略円形も含む)以外である場合には、上述の概形類似判定工程の後に、傾き判定要否判定工程や円形判定工程、傾き判定工程を行ない、基準図形1aと描画図形1bの概形の類似性に加えてその傾きが一致するか否か等も判定する形態とする方が、より高い精度で形状が一致する描画条件を選択できる。
【0089】
次に、S44において、描画条件選択部37eは、S43の概形類似判定工程の結果を描画図形情報記憶部34cから呼び出し、各描画条件で描画された描画図形のうち、最も基準図形1aと概形の類似性が高いものを選択し、その描画図形1bを描画した描画条件の概形類似条件を、最も基準図形1aと概形が類似である描画図形を描画できる最適な概形類似条件であるとして選択する。
ここで、描画条件選択部37eは、描画図形及び基準図形から得られる値SABから、評価対象となる描画図形全てにわたるlog(SAB)の絶対値の平均値を各描画条件について算出する。そして、このlog(SAB)の絶対値の平均値が最小となる描画条件を最も基準図形1aと概形が類似である描画図形を描画できる最適な概形類似条件であるとして選択する。
【0090】
また、他の方法として、例えば、描画条件選択部37eは、各描画条件で描画された描画図形1bが複数ある場合(例えば、1つの描画条件につき10個等)には、基準図形1aと概形が類似である個数が最も多いものを選択し、その描画図形1bを描画した描画条件の概形類似条件を、最も基準図形1aと概形が類似である描画図形を描画できる最適な概形類似条件であるとして選択してもよい。なお、各描画条件で描画された描画図形が1つである場合は、各描画図形のうち値SABの値が最も1に近いものを、最も概形の類似性が高い描画図形として選択し、その概形類似条件を最適な概形類似条件であるとして選択してもよい。
これにより、複数の概形類似条件の中から最も描画図形の概形が基準図形の概形に類似である条件が選択される。選択された概形類似条件は、描画図形情報記憶部34cに記憶され、次のS45へ進む。
【0091】
(面積条件選択工程)
次に、S45〜47において面積条件選択工程を行う。この面積条件選択工程は、複数の面積条件の中から最も描画図形1bの面積が、基準図形1aの面積と一致する(略一致する場合も含む)条件を選択する工程である。
まず、S45において、概形類似条件選択工程で選択した概形類似条件(本実施形態では、後方散乱パラメータ量)を、評価装置送受信部33を介して描画装置10へ転送する。ユーザは、概形類似条件及び他の描画条件は一定であるが、面積条件(本実施形態では、ドーズ量)のみが異なる複数の描画条件(例えば、図13に示す描画条件B1−1、B1−2、B1−3)を設定し、描画装置10により、フォトマスク40上に描画図形(マスクパターン50)を描画し、これらの描画図形1bを撮像装置20によって撮像する。
面積条件であるドーズ量は、本実施形態のように重なりを含む段付きデータ200を用いてマスクパターン50を描画する方式の場合、描画図形1bの面積(大きさ)に大きく影響を与える。従って、本実施形態ではドーズ量を面積条件とした。
【0092】
次に、画像処理部36が、各描画条件の描画図形画像データDBの所定の領域から描画図形1bを選択し、それぞれの描画図形1bについて、各種画像処理を行う。
まず、輪郭線抽出部36aは、各描画図形1bが含まれる領域を検出し、撮像データ(描画図形データ)を画像処理して、描画図形1bの輪郭線2bを抽出する。面積算出部36bは、各描画図形1bの輪郭線2b内の面積を算出する。得られた各描画図形1bの面積は、描画図形情報記憶部34cに記憶される。
【0093】
次に、S46では、面積比較部37aが、基準図形情報記憶部34bに記憶された各基準図形1aの面積と、描画図形情報記憶部34cに記憶された各描画条件の描画図形1bの面積とを比較して同一(略同一も含む)であるか否かをそれぞれ判定する。この判定結果は、描画図形情報記憶部34cに記憶される。
【0094】
次に、S47において、描画条件選択部37eが、S46の面積比較工程の結果を描画図形情報記憶部34cから呼び出し、各描画条件で描画された描画図形1bのうち、最も基準図形1aと面積が一致するものを選択し、その描画図形1bを描画した描画条件の面積条件を、最も基準図形1aと面積が一致する描画図形を描画できる最適な面積条件であるとして選択する。
描画条件選択部37eは、各描画条件の描画図形の面積、長短比(伸び)、傾きの3つの判定項目の基準図形に対する差異を、評価対象となる全ての描画図形において算出する。これにより、各描画条件で描画された描画図形と基準図形と間のずれを示す3つの値が、各描画条件について得られる。ここで、この「差異」とは、面積については、例えば、それぞれの面積の差、長短比については、例えば、値SAB、角度については、例えば、それぞれの角度の差(ただし、0°以上180°未満になる側)を指標として用いることができるが、これに限定されない。
描画条件選択部37eは、この3つの項目における差異において、長短比(伸び)と傾きに関する差異が、ともに所定の一定値以内となっている描画条件のなかから、面積に関する差異が最小となっている描画条件を、最も基準図形1aと面積が一致する描画図形として選択し、その面積条件を最適な面積条件であるとして選択する。
なお、この3つの項目の差異に関して、どれを優先的に考慮するかは、ユーザが適宜設定でき、前述の概形類似条件選択工程に用いることも可能である。
【0095】
また、例えば、別の方法として、描画条件選択部37eは、各描画条件で描画された描画図形1bが複数ある場合(例えば、1つの描画条件につき10個等)には、基準図形1aと面積が同一と判定された描画図形1bの数が最も多い描画条件を選択し、その描画条件の面積条件を、基準図形1aと面積が一致する描画図形1bを描画できる最適な面積条件として選択してもよい。また、各描画条件で描画された描画図形1bが1つである場合は、各描画図形1bのうち、基準図形1aと面積の差が最も小さいものを、最も基準図形1aと面積が一致する描画図形として選択し、その面積条件を最適な面積条件であるとして選択してもよい。
【0096】
なお、各描画条件について描画図形が複数ある場合には、個々の図形について基準図形との類似性や面積の一致等を判定せず、その描画条件の複数の描画図形を1つのグループとし、そのグループにおける総合的な伸びの類似度、総合的な傾きの類似度、面積の類似度を評価し、そのグループを1つの図形のように扱い、基準図形との類似度を判定し、概形類似条件や面積条件を選出する形態としてよい。
【0097】
これにより、複数の面積条件の中から最も描画図形1bの面積と基準図形1aの面積とが一致又は略一致する面積条件が選択される。この面積条件は、描画図形情報記憶部34cに記憶され、S48へ進む。
【0098】
(描画条件選択工程)
S48において、描画条件選択部37eは、上述のS42〜S44の概形類似条件設定工程で選択した概形類似条件(後方散乱パラメータ量)と、S45〜47の面積条件設定工程で選択した面積条件(ドーズ量)を、描画図形情報記憶部34cから呼び出し、この概形類似条件と面積条件との組み合わせを、基準図形1aと一致する描画図形1bを描画できる最適な描画条件として選択する。また、評価装置制御部35は、選択された各条件を評価装置表示部32に表示し、S49へ進み、描画条件選択プログラムを終了する。
以上の工程を行うことにより、基準図形1aと一致する描画図形1bを描画できる最適な概形類似条件及び面積条件を有する描画条件を容易に選択することができる。
【0099】
図12は、描画条件(条件A)で描画された基準図形(20個)と概形類似条件が異なる各描画条件(B1−1,B2−1,B3−1)で描画された描画図形(各描画条件につき20個)とを比較する図である。
ここでは、概形類似条件が異なる描画条件を描画条件B1−1,B2−1,B3−1の3つとしているが、概形類似条件が異なる描画条件の数は限定されるものではなく、適宜選択してよい。また、基準図形を20個とし、描画図形については、各描画条件につき、基準図形の数と同じく20個としている。各描画図形は、各基準図形に対応している。
【0100】
図12(a)は、各基準図形及び各描画条件で描画された各描画図形の面積を示している。図12(b)は、各基準図形及び各描画条件で描画された各描画図形の長短比RA,RBを示し、図12(c)は、各基準図形及び各描画条件で描画された各描画図形の角度θA,θBを示している。基準図形1aは、いずれも円形である。
図12(a)では、基準図形1a及び描画図形1bの面積を比較するパラメータとして、基準図形1a及び描画図形1bの輪郭線2a,2b内の面積から算出された直径(面積直径換算値)を用いている。図12(a)に示すように、面積(面積直径換算値)のみで基準図形と概形類似条件が異なる各描画条件で描画された描画図形とを評価した場合には、描画条件B2−1で描画した描画図形1bが、最も基準図形1a(条件A)に近いものと判定できる。
【0101】
しかし、図12(b)に示すように、基準図形1a及び各描画図形1bの長短比を比較すると、概形類似条件が異なる各描画条件のうち、条件B1−1で描画された描画図形は、最も基準図形(条件A)に近く、これに対して、条件B2−1、条件B3−1で描画された描画図形は、条件B1−1で描画された描画図形に比べて基準図形の長短比との差が大きく、所定の方向に伸びた形となっている。
また、角度θBに関しても、図12(c)に示すように、概形類似条件が異なる各描画条件のうち、条件B1−1で描画された描画図形は、最も基準図形(条件A)に近く、これに対して、条件B2−1、条件B3−1で描画された描画図形は、条件B1−1で描画された描画図形に比べて基準図形の角度θAとの差が大きくなっている。
従って、条件B1−1が、概形類似条件として最も相応しいものとして選択される
【0102】
つまり、条件Aに最も近い条件を条件B1−1、B2−1、B3−1の3条件の中から選択しようとするとき、図12(a)に示すように図形の面積のみを用いて比較すると、条件B2−1が最適と判定される。しかし、図12(b)及び(c)に示すように、図形の「伸び」と「傾き」(即ち、概形の類似性)も判定基準として考慮に入れると、条件B2−1は、「伸び」において条件B1−1よりも劣ることや、「傾き」において−90°に近い方向を向いている傾向があることが読み取れる。
従って、条件B2−1は、描画した図形の面積は条件Aに近いが、図形が伸縦方向に伸びる傾向がみられるため、描画条件Aに近い描画条件として採用するには不適当であることが分かる。これは、「面積」だけでなく「伸び」や「傾き」(概形の類似性)を判定基準として採用して最適条件を求めることによる効果の1つである。
【0103】
図12(a)〜(c)に示すように、上記3条件(条件B1−1、B2−1、B3−1)の中には、「面積」の基準と、「伸び」及び「傾き」の基準を両立させるような最適条件がない。従って、そのような最適な描画条件を見つけるためには、描画条件を別のディメンジョン(最初の描画パラメータとは独立して変化させることのできる第2の描画パラメータ)に変化させる必要が生じる。
【0104】
図13は、描画条件(条件A)で描画された基準図形(20個)と面積条件が異なる描画条件(B1−1,B1−2,B1−3)で描画された描画図形(各描画条件につき20個)とを比較する図である。
ここでは、概形類似条件は共通しており最適なものが選択されているが、面積条件が異なる3つの描画条件の中から最適な面積条件を選択する例を挙げて説明したが、比較する面積条件の数は、適宜選択してよい。また、各描画条件(面積条件のみが異なる描画条件B1−1,B1−2,B1−3)につき、描画図形を20個を選択し、これらと基準図形とを比較している。
【0105】
図13(a)は、基準図形及び各描画条件で描画された描画図形の面積を示している。図13(b)は、基準図形及び各描画条件で描画された描画図形の長短比を示し、図13(c)は、基準図形と各描画条件で描画された描画図形の角度を示している。図13(a)では、図12(a)と同様に、面積を示す指標として面積から算出される直径(面積直径換算値)を使用している。
図13(a)に示すように、面積の上下動の傾向は、面積条件の異なる描画条件B1−1〜B1−3で描かれたいずれの描画図形であって基準図形に近い傾向を示している。
条件B1−1で描画された描画図形は、基準図形に比べて面積が大きくなる傾向にある。一方、条件B1−2及び条件B1−3で描画した描画図形は、その面積が、基準図形の面積に近いものが多く、特に、条件B1−3で描画したものは、基準図形に近いものが最も多い。
【0106】
このとき、図13(b),(c)に示すように、条件B1−1〜条件B1−3で描画された描画図形は、概形の類似性が高い描画図形を描画可能な概形類似条件が選択されているので、その伸びや傾き(長短比及び角度)は、いずれも基準図形に近いものとなっている。
従って、総合的に判断して、描画条件B1−3で描画された描画図形が、最も基準図形に一致する度合いが高いものであり、描画条件B1−3は、基準図形に対して形状の類似性及び面積も一致する度合いが最も高く、最適な描画条件であるといえる。
【0107】
よって、本実施形態によれば、好ましい描画条件を、面積の大きさ近さという基準だけでなく、概形の伸びと傾きという基準も考慮した上で、容易にかつ高い精度で選択することができる。
【0108】
(変形形態)
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)第1実施形態において、傾き判定要否判定部及び傾き判定要否判定工程を備える例を示したが、傾き判定要否判定部及び傾き判定要否判定工程は、基準図形が円形(略円形を含む)でない場合には、省略した形態としてもよい。
【0109】
(2)第1実施形態及び第2実施形態において、面積比較工程を先に行い、その後に概形類似判定工程及び傾き判定工程等を行う例を示したが、これに限らず概形類似判定工程及び傾き判定工程等を先に行い、その後に面積比較工程を行ってもよい。
【0110】
(3)第3実施形態において、概形類似条件として後方散乱パラメータ量、面積条件としてドーズ量を設定する例を示したが、これに限らず、他のパラメータ条件を用いてもよい。
【0111】
(4)各実施形態において、評価装置30は、描画装置10や撮像装置20とは別体であり、各種情報を通信可能である例を示したが、これに限らず、例えば、描画装置10又は撮像装置20に内蔵される形態としてもよい。
【0112】
(5)第3実施形態において、先に概形類似条件を選択し、次に面積条件を選択する例を挙げて説明したが、これに限らず、先に面積条件を選択し、次に概形類似条件を選択する形態としてもよい。
【0113】
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0114】
1 画像評価システム
10 描画装置
20 撮像装置
30 評価装置
35 評価装置制御部
36 画像処理部
37 図形判定部
40 フォトマスク
50 マスクパターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像評価方法、描画条件選択方法、画像評価プログラム、描画条件選択プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マスク上に電子線等で描画されマスクパターンのSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)画像を用いて、マスクパターンが所望の形状に作成されているか否かを評価するための各種評価方法が知られている。
例えば、測長の対象となるマスクパターンの図形が、所定の幅を有するライン状等の図形のように輪郭線に平行線部分を有する図形である場合には、その平行線部分のライン幅を測長することによって画像を評価することが可能である。このようなライン幅の測定の場合には、所定の間隔おきに数十〜数百箇所のライン幅を測定し、その平均値をとって評価するという方法がある。例えば、測長の対象となるマスクパターンの図形が、所定の幅を有するライン状等の図形のように輪郭線に平行線部分を有する図形である場合には、その平行線部分のライン幅を測長することによって画像を評価することが可能である。SEM画像には、本来望ましくないノイズが多く載っていることが一般的であり、ひとつの断面に沿ったライン幅の測長結果だけでは、このノイズに左右されて不安定な値を示すので、信頼性が低い。上記のような平行線のライン幅の測定の場合には、所定の間隔おきに数十〜数百箇所のライン幅を測定し、その平均値をとって評価することによって、ノイズの影響を低減するという方法がある。
【0003】
しかし、近年の高集積化に伴う配線等の微細化により、マスクパターンの図形形状はより微細化している。そのため、マスクパターンの角部の丸まりが大きくなり、その丸まった部分の影響が相対的に大きくなり、上記方法を適用可能な平行線部分が小さくなる。また、場合によっては、マスクパターンが略円形状となり、径の最長部分が1箇所しかなく、上記測定方法を適用できない場合がある。
さらに、素子や配線の微細化に伴い、光近接補正(OPC)技術を用いて回路パターンを形成するようになったため、マスクパターンの角部の丸まりは、より大きくなっている。
【0004】
また、マスクパターンとして所望の図形が描画されているか否かを評価する手法の1つとして、図形の面積や、長径と短径の比等を指標値とし、マスクパターンのSEM画像の評価対象の図形と設計データでの図形とを、この指標値を用いて比較して評価する評価方法がある(例えば、特許文献1)。
しかし、このような評価方法を用いた場合、マスクパターンの図形の形状が設計図形に比べて大幅に変形したとしても、面積や長径と短径の比等が一致しているときには、その違いが検出されることがなく、好ましい形状が描画されているとして評価されてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4593236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、マスク上に描画されたマスクパターンをより高い精度でかつ容易に評価可能な画像評価方法及び画像評価プログラムを提供することである。
また、本発明のもう1つの課題は、所望の図形を描画可能な描画条件を容易に選択する描画条件選択方法及び描画条件選択プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、フォトマスク(40)上に描画された描画図形(1b)と、前記描画図形の比較基準である基準図形(1a)とを比較する画像評価方法であって、前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線(2a)を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比(RA)とに関するデータを記憶する基準図形データ記憶工程(S11)と、前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の面積を算出する描画図形面積算出工程(S121〜S123)と、前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の輪郭線を主成分分析して第1主成分及び第2主成分を算出し、前記描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出工程(S124〜A126)と、前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出工程で算出した前記描画図形の面積とを比較して同一又は略同一であるか否かを判定する面積比較工程(S131)と、前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定工程(S132)と、前記面積比較工程及び前記概形類似判定工程の結果に基づいて前記基準図形及び前記描画図形が一致するか否かを判定する図形判定工程(S13)とを備え、前記図形判定工程は、前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、及び、前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定すること、を特徴とする画像評価方法である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像評価方法において、前記基準図形データ記憶工程(S11)で記憶した前記基準図形(1a)の第1主成分の軸の向きと、前記描画図形長短比算出工程(S124〜S126)で算出した前記描画図形(1b)の第1主成分の軸の向きとを比較して、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致するか否かを判定する傾き判定工程(S134)を有し、前記図形判定工程(S13)は、前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合、かつ、前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記傾き判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致すると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合、前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、前記傾き判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致しないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定すること、を特徴とする画像評価方法である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の画像評価方法において、前記基準図形(1a)及び前記描画図形(1b)が円形であるか否かを判定する傾き判定要否判定工程(S133)を有し、前記傾き判定要否判定工程で前記基準図形及び前記描画図形がいずれも円形ではないと判定された場合には前記傾き判定工程(S134)を行い、前記判定要否判定工程で前記基準図形及び前記描画図形のいずれかが円形であると判定された場合には前記傾き判定工程を行わないこと、を特徴とする画像評価方法である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像評価方法において、前記基準図形(1a)は、前記比較基準として、予めフォトマスク(40)上に描画された描画図形を撮像した撮像データ上の図形であること、を特徴とする画像評価方法である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像評価方法において、前記基準図形(1a)は、前記比較基準として、設計データを用いてフォトマスク上に描画するシミュレーションによって得られた図形であること、を特徴とする画像評価方法である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像評価方法において、前記描画図形長短比算出工程(S124〜S126)は、前記描画図形(1b)の輪郭線(2b)を構成する点列(3b)を算出する点列算出工程(S124)と、前記点列算出工程で算出された点列を主成分分析して共分散行列を算出し、この共分散行列を固有値分解して得られる互いに直交する前記描画図形の第1主成分及び第2主成分のそれぞれの固有値λ1,λ2(ただし、λ1≧λ2)を算出し、2つの前記固有値λ1,λ2の比λ1/λ2の平方根(λ1/λ2)1/2を前記描画図形長短比として算出する固有値比算出工程(S125,S126)と、を備えること、を特徴とする画像評価方法である。
【0010】
請求項7の発明は、フォトマスク上に描画された描画図形(1b)と、前記描画図形の比較基準である基準図形(1b)とを比較する画像評価プログラムであって、コンピュータを、前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータを記憶する基準図形データ記憶手段と、前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の面積を算出する描画図形面積算出手段と、前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の輪郭線を主成分分析して第1主成分及び第2主成分を算出し、前記描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出手段と、前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出手段が算出した前記描画図形の面積とを比較して同一であるか否かを判定する面積比較手段と、前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出手段が算出した前記描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定手段と、前記基準図形及び前記描画図形が一致するか否かを判定する図形判定手段として機能させ、前記図形判定手段を、前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、及び前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定するように機能させること、を特徴とする画像評価プログラムである。
【0011】
請求項8の発明は、請求項7に記載の画像評価プログラムにおいて、前記コンピュータを、前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形(1a)の第1主成分の軸の向きと、前記描画図形長短比算出手段が算出した前記描画図形(1b)の第1主成分の軸の向きとを比較して、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致するか否かを判定する傾き判定手段として機能させ、前記図形判定手段を、前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致すると判定した場合、かつ、前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致しないと判定した場合、及び前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定するように機能させること、を特徴とする画像評価プログラムである。
請求項9の発明は、請求項8に記載の画像評価プログラムにおいて、前記コンピュータを、前記基準図形(1a)及び前記描画図形(1b)がいずれも円形であるか否かを判定する傾き判定要否判定手段として機能させ、前記傾き判定要否判定手段を、前記基準図形及び前記描画図形がいずれも円形又は略円形ではないと判定した場合には、前記傾き判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似か否かを判定し、前記基準図形及び前記描画図形のいずれかが円形又は略円形であると判定した場合には、前記傾き判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致するか否かの判定を行わないように機能させること、を特徴とする画像評価プログラムである。
【0012】
請求項10の発明は、請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の画像評価プログラムにおいて、前記描画図形長短比算出手段を、前記描画図形の輪郭線を構成する点列を算出する点列算出手段と、前記点列算出手段が算出した点列を主成分分析して共分散行列を算出し、この共分散行列を固有値分解して得られる互いに直交する前記描画図形の第1主成分及び第2主成分のそれぞれの固有値λ1,λ2(ただし、λ1≧λ2)を算出し、2つの前記固有値λ1,λ2の比λ1/λ2の平方根(λ1/λ2)1/2を前記描画図形長短比として算出する固有値比算出手段として機能させること、を特徴とする画像評価プログラムである。
【0013】
請求項11の発明は、基準図形(1a)に等しい描画図形(1b)をフォトマスク(40)上に描画する場合の条件のうち、前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似であるかに影響する条件である概形類似条件と、前記基準図形との概形の類似を維持して前記描画図形の面積に影響する面積条件とを選択する描画条件選択方法であって、前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータを記憶する基準図形データ記憶工程(S41)と、複数の前記概形類似条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の輪郭線を主成分分析してそれぞれの第1主成分及び第2主成分を算出し、前記複数の描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である前記複数の描画図形の描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出工程(S42)と、前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記複数の描画図形の描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記複数の描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定工程(S43)と、前記描画図形長短比算出工程と前記概形類似判定工程により、複数の前記概形類似条件の中から最も前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似である条件を選択する概形類似条件選択工程(S44)と、前記概形類似条件選択工程で選択した前記概形類似条件を設定し、複数の前記面積条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の面積を算出する描画図形面積算出工程(S45)と、前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出工程で算出した前記複数の描画図形の面積とを比較して同一であるか否かを判定する面積比較工程(S46)と、前記描画図形面積算出工程と前記面積比較工程とを行うことにより、最も前記描画図形の面積が前記基準図形の面積に近い条件を選択する面積条件選択工程(S47)と、前記概形類似条件選択工程で選択した前記概形類似条件と、前記面積条件選択工程で選択した前記面積条件との組み合わせを最適条件として選択する描画条件選択工程(S48)と、を備えること、を特徴とする描画条件選択方法である。
【0014】
請求項12の発明は、請求項11に記載の描画条件選択方法において、前記概形類似条件として、後方散乱パラメータ量を選択すること、を特徴とする描画条件選択方法である。
請求項13の発明は、請求項11又は請求項12に記載の描画条件選択方法において、前記面積条件として、ドーズ量を選択すること、を特徴とする描画条件選択方法である。
請求項14の発明は、請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載の描画条件選択方法において、前記概形類似条件選択工程は、前記概形類似判定工程の後に、前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の第1主成分の軸の向きと、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記複数の描画図形の第1主成分の軸の向きとを比較して、前記基準図形及び前記複数の描画図形の傾きが一致するか否かを判定する傾き判定工程を行い、前記概形類似判定工程、及び前記傾き判定工程の結果に基づき、前記複数の概形類似条件の中から最も前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似である条件を選択すること、を特徴とする描画条件選択方法である。
【0015】
請求項15の発明は、基準図形(1a)に等しい描画図形(1b)をフォトマスク(40)上に描画する場合の条件のうち、前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似であるかに影響する条件である概形類似条件と、前記基準図形との概形の類似を維持して前記描画図形の面積に影響する面積条件とを選択する描画条件選択プログラムであって、コンピュータを、前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータと記憶する基準図形データ記憶手段と、複数の前記概形類似条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の輪郭線を主成分分析してそれぞれの第1主成分及び第2主成分を算出し、前記複数の描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である前記複数の描画図形の描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出手段と、前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出手段が算出した前記複数の描画図形の描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記複数の描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定手段と、前記描画図形長短比算出手段と前記概形類似判定手段とを行うことにより、前記複数の概形類似条件の中から最も前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似である条件を選択する概形類似条件選択手段と、前記概形類似条件選択手段が選択した前記概形類似条件を設定し、複数の前記面積条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の面積を算出する描画図形面積算出手段と、前記基準図形データ記憶手段で記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出手段が出した前記複数の描画図形の面積とを比較して同一であるか否かを判定する面積比較手段と、前記描画図形面積算出手段と前記面積比較手段とを行うことにより、最も前記描画図形の面積が前記基準図形の面積に近い条件を選択する面積条件選択手段と、前記概形類似条件選択手段が選択した前記概形類似条件と、前記面積条件選択手段が選択した前記面積条件との組み合わせを最適条件として選択する描画条件選択手段として機能させること、を特徴とする描画条件選択プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
本発明によれば、マスク上に描画されたマスクパターンをより高い精度でかつ容易に評価可能な画像評価方法及び画像評価プログラムを提供できる。
また、本発明によれば、所望の図形を描画可能な描画条件を算出する描画条件選択方法及び描画条件選択プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の画像評価システム1の構成を説明する図である。
【図2】描画図形の評価方法を説明する図である。
【図3】第1実施形態の描画図形の評価方法のフローチャートである。
【図4】基準図形及び描画図形の各種情報を記憶する工程を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態の図形判定工程のフローチャートである。
【図6】基準図形1a及び描画図形1bの例を示す図である。
【図7】基準図形1a及び描画図形1bの例を示す図である。
【図8】第2実施形態の図形判定工程のフローチャートである。
【図9】段付けデータ200を説明する図である。
【図10】第3実施形態の画像評価システム3を説明する図である。
【図11】第3実施形態の描画条件選択方法のフローチャートである。
【図12】描画条件(条件A)で描画された基準図形(20個)と概形類似条件が異なる各描画条件(B1−1,B2−1,B3−1)で描画された描画図形(各描画条件につき20個)とを比較する図である。
【図13】描画条件(条件A)で描画された基準図形(20個)と面積条件が異なる描画条件(B1−1,B1−2,B1−3)で描画された描画図形(各描画条件につき20個)とを比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の画像評価システム1の構成を説明する図である。
本実施形態の画像評価システム1は、描画装置10、撮像装置20、評価装置30等を備える。描画装置10、撮像装置20、評価装置30は、互いにLANやインターネット等の通信網を介して接続され、互いに情報を送受信可能である。この画像評価システム1は、評価の基準となる基準図形データの基準図形と、フォトマスク40上に描画装置10により描画されたマスクパターン50を撮像したSEM画像データ(描画データ)の描画図形とを評価することができ、所望の形状が描画されているか否かを評価することができる。
【0020】
描画装置10は、フォトマスク40上にマスクパターンを描画する電子線描画装置である。この描画装置10は、入力された不図示の設計データに基づいて、マスクパターン50を描画する。
撮像装置20は、フォトマスク40上に描画されたマスクパターン50を撮像する走査型電子顕微鏡(SEM)である。この撮像装置20は、フォトマスク40上の所定の位置のマスクパターン50を撮像可能である。
【0021】
評価装置30は、撮像装置20が撮像した画像(SEM画像)と、基準となる図形(基準図形)との形状や大きさを比較して評価する装置である。この評価装置30は、評価装置操作部31、評価装置表示部32、評価装置送受信部33、評価装置記憶部34、評価装置制御部35等を備えている。
なお、本発明において、コンピュータとは、記憶装置、制御装置等を備えた情報処理装置をいう。評価装置30は、評価装置記憶部34及び評価装置制御部35を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0022】
評価装置操作部31は、ユーザが評価装置30を操作するためのキーボードやマウス等の操作装置、入力装置である。
評価装置表示部32は、SEM画像(描画図形)や、基準図形と描画図形との比較結果を表示するモニタである。
評価装置送受信部33は、描画装置10、撮像装置20等との間で情報を送受信する部分であり、例えば、描画装置10に入力された設計データや撮像装置20が撮像したマスクパターンのSEM画像データを、通信網を介して受信して取得したり、評価結果等を適宜外部の装置に評価結果を出力したりする。
【0023】
評価装置記憶部34は、評価装置30の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
評価装置記憶部34は、評価プログラム34a、基準図形情報記憶部34b、描画図形情報記憶部34cを備えている。
評価プログラム34aは、基準図形画像データの基準図形の形状及び大きさと、描画図形画像データの描画図形の形状及び大きさとを比較するためのプログラムである。評価プログラム34aは、描画図形の評価に用いる各種数値等が記憶された評価テーブルを有している。
基準図形情報記憶部34bは、描画図形を評価する基準となる基準図形の基準図形画像データ及び基準図形に関する情報を記憶する記憶領域である。
描画図形情報記憶部34cは、撮像装置20が撮像したマスクパターン50の描画図形画像データ及び描画図形に関する情報を記憶する記憶領域である。
【0024】
評価装置制御部35は、評価装置30を統括的に制御するための制御部であり、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)から構成される。評価装置制御部35は、評価装置記憶部34に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウエアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
評価装置制御部35は、画像処理部36、図形判定部37等を備える。
【0025】
画像処理部36は、基準図形及び描画図形の画像データ(フォトマスク40上に描画されたマスクパターンのSEM画像データ等)について各種画像処理を行う部分である。
画像処理部36は、輪郭線抽出部36a、面積算出部36b、点列算出部36c、主成分分析部36d、長短比算出部36e、角度算出部36fを備えている。
輪郭線抽出部36aは、基準図形及び描画図形の画像データを画像処理し、基準図形及び描画図形の輪郭線を抽出する部分である。
面積算出部36bは、基準図形及び描画図形の輪郭線内の面積を所定の方法で算出する部分である。
点列算出部36cは、輪郭線抽出部36aが抽出した基準図形及び描画図形の輪郭線を、xy座標上の点の集合(点列)として算出する部分である。
【0026】
主成分分析部36dは、点列算出部36cが算出した基準図形及び描画図形の輪郭線を構成する点列を、主成分分析してその第1主成分及び第2主成分を算出する部分である。
長短比算出部36eは、基準図形及び描画図形について、それぞれ、輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である長短比(基準図形長短比,描画図形長短比)を算出する部分である。
角度算出部36fは、基準図形及び描画図形の第1主成分の固有ベクトルとx軸とがなす角度を算出する部分である。
【0027】
図形判定部37は、面積比較部37a、概形類似判定部37b、傾き判定要否判定部37c、傾き判定部37dとを備えている。図形判定部37は、基準図形及び描画図形が一致するか否かを判定する部分である。
面積比較部37aは、面積算出部36bが算出した基準図形の面積と描画図形の面積とを比較して、これらが同一(略同一であり、同一とみなせる場合も含む)であるか否かを判定する部分である。
【0028】
概形類似判定部37bは、長短比算出部36eが算出した基準図形長短比と描画図形長短比との比に基づいて、基準図形及び描画図形の形状(概形)が類似であるか否かを判定する部分である。
傾き判定要否判定部37cは、基準図形及び描画図形が円形(略円形であり、円形とみなせる場合も含む)であるか否かに基づいて、傾き判定部37dによる傾き判定工程を行うか否かを判定する部分である。
傾き判定部37dは、基準図形の第1主成分の軸の向きと、描画図形の第1主成分の軸の向きとを、角度算出部36fの算出した角度を比較して、基準図形及び描画図形の傾きが一致するか否かを判定する部分である。
【0029】
この図形判定部37では、概形類似判定部37bの概形類似判定の結果及び面積比較部37aの面積比較の結果に基づいて、基準図形及び描画図形が一致するか否かを判定する。なお、傾き判定工程を行った場合には、図形判定部37は、概形類似判定部37bの概形類似判定の結果及び面積比較部37aの面積比較の結果、傾き判定部37dの傾き判定工程の結果に基づいて基準図形及び描画図形が一致するか否かを判定する。
【0030】
評価装置30は、以下に示すように、基準図形及び描画図形を比較し、描画図形の形状及び大きさを評価する。
図2は、描画図形の評価方法を説明する図である。
図3は、第1実施形態の描画図形の評価方法のフローチャートである。
図2(a),(b)は、基準図形及び描画図形のぞれぞれの画像を示し、図2(c),(d)は、基準図形及び描画図形のぞれぞれの点列及び主成分軸等を示している。
基準図形画像データDAは、図形の評価の基準となる基準図形の画像データである。基準図形画像データDAとしては、予めフォトマスク40上に描画され、その形状や大きさ等が良好であると評価されたマスクパターン50のSEM画像データ等の撮像データを用いてもよいし、設計データ等を基に不図示のコンピュータ等のシミュレーションソフトにより描画のシミュレーションを行って得られたマスクパターンのシミュレーション画像データ等を用いてもよい。
描画図形画像データDBは、評価の対象となる描画図形の画像データである。描画図形画像データDBとしては、描画装置10がフォトマスク40上に設計データ等に基づいて描画したマスクパターン50を撮像装置20が撮像したSEM画像データ等である。
【0031】
評価装置30は、基準図形画像データDAの基準図形1aと描画図形画像データDBの描画図形1bとが一致するか否かを判断する。この評価装置30によって基準図形画像データDAの基準図形1aと描画図形画像データDBの描画図形1bとが一致すると判断されるとき、描画装置10は、フォトマスク上に好ましいマスクパターン50を描画したと判断される。
以下、図3に示すS10〜S14に沿って、図2(a)の基準図形1aを基準とし、図2(b)の描画図形1bを評価する例を挙げて説明する。
ユーザは、まず、S10において、評価装置操作部31を操作して、評価装置30の評価プログラム34aを起動させる。
【0032】
(基準図形データ記憶工程)
S11では、評価装置30は、基準図形画像データDAを画像処理し、基準図形1aに関する情報を記憶する基準図形データ記憶工程を行う。
図4は、基準図形及び描画図形の各種情報を記憶する工程を示すフローチャートである。
S111において、評価装置30は、通信網を介して評価装置送受信部33から基準図形画像データDAを受信する。
そして、画像処理部36は、評価装置送受信部33が受信した基準図形画像データDAの所定の領域から基準図形1aを選択し、その基準図形1aについて以下に示すような処理を行う。
まず、S112において、輪郭線抽出部36aは、基準図形画像データDAの基準図形1aから、図2(a)に示すように、その輪郭線2aを抽出する。輪郭線抽出部36aは、例えば、基準図形1aのSEM画像の白帯部分の尾根となる線(輝度の最も高くなる部分を繋いだ線)を抽出し、この尾根線を輪郭線2aとして抽出している。なお、この例に限らず、基準図形1aの輪郭線2aとして、基準図形1aの画像の白帯部分の内側や外側の境界線を抽出してもよい。
このような輪郭線の抽出方法としては、例えば、特許第4417763号公報や、特開2009−205224号公報に記載の方法等を適宜選択して用いることができる。
【0033】
次に、S113において、面積算出部36bは、基準図形1aの輪郭線2aの内の面積を算出する。
次に、S114において、点列算出部36cは、基準図形1aの輪郭線2aから、この輪郭線2aを構成するxy座標上の点列3aを算出する(図2(c)参照)。
次に、S115において、主成分分析部36dは、この点列3aを主成分分析し、点列3aの第1主成分及び第2主成分を算出する。具体的には、主成分分析部36dは、点列3aを主成分分析してこの点列3aの共分散行列CAを算出し、この共分散行列CAを固有値分解して得られる第1主成分及び第2主成分のそれぞれの固有値λA1,λA2(ただし、λA1≧λA2)を算出する。この第1主成分及び第2主成分は、図2(c)に示すようにその軸(第1主成分軸41a,第2主成分軸42a)の方向が互いに直交する。
【0034】
次に、S116において、長短比算出部36eは、主成分分析部36dが点列3aを主成分分析して得られた点列3aの第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比RAを算出する。即ち、長短比算出部36eは、前述の2つの固有値λA1,λA2の比λA1/λA2の平方根(λA1/λA2)1/2を、基準図形長短比RAとして算出する。この基準図形長短比RAは、基準図形1aの形状の「伸び(扁平の度合い)」を示すものである。なお、この「伸び」とは、図形として特定の方向への伸びであり、例えば、基準図形が円形の場合、比RA=1となる。
【0035】
また、S117において、角度算出部36fは、主成分分析部36dの主成分分析により得られた点列3aの第1主成分の向きを算出する。即ち、点列3aの第1主成分の固有ベクトルvAがx座標軸と成す角度θA(図2(c)参照)を算出する。この角度θAは、基準図形1aの形状の「傾き」(即ち、上述の「伸び」の方向)を示すものである。
【0036】
S118において、画像処理部36の各処理によって得られた基準図形1aの面積や、2つの固有値λA1,λA2、基準図形長短比RA、角度θA等の基準図形1aの情報は、評価装置記憶部34の基準図形情報記憶部34bに記憶され、基準図形データ記憶工程を終了し、S12へ進む。
【0037】
なお、本実施形態では、評価装置30の評価装置制御部35が、基準図形画像データDAから、基準図形1aの面積や2つの固有値λA1,λA2、基準図形長短比RA等を算出し、基準図形情報記憶部34bに記憶する例を挙げて説明したが、これに限らず、予め別のコンピュータ等によって基準図形1aの面積や2つの固有値λA1,λA2、基準図形長短比RA、角度θA等を算出し、その情報が評価装置送受信部33から入力され、基準図形情報記憶部34bに記憶される形態としてもよい。また、基準図形1aに対する画像処理部36の各種処理と後述する描画図形1bに対する画像処理部36の各種処理とを同時に行ってもよい。
【0038】
次に、S12において、画像処理部36が、撮像装置20から転送された描画図形のSEM画像データを取得し、評価対象となる描画図形1bが含まれる領域を検出し、各種処理工程を行う。
描画図形の各種処理工程に関しても、前述の基準図形データ記憶工程と同様に、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、S121において、画像処理部36が、撮像装置20から転送された描画図形データを取得する。
(描画図形面積算出工程)
次に、S122において、輪郭線抽出部36aが、描画図形1bが含まれる領域を検出し、その輪郭線2bを抽出する。このとき、輪郭線抽出部36aは、前述の基準図形1aの輪郭線2aの抽出方法と同様に、例えば、描画図形1bの画像の白帯部分の尾根線(図2(b)上に破線で示す)を輪郭線2bとして抽出する。
次に、S123において、面積算出部36bが、輪郭線抽出部36aが抽出した描画図形1bの輪郭線2b内の面積を算出する。この算出方法は、基準図形1aの面積の算出方法と同じである。
【0039】
(描画図形長短比算出工程)
次に、S124において、点列算出部36cが、描画図形1bの輪郭線2bから、輪郭線2bを構成するxy座標上の点列3bを算出する(図2(d)参照)。
次に、S125において、主成分分析部36dが、この点列3bを主成分分析し、点列3bの第1主成分及び第2主成分を算出する。
次に、S126において、長短比算出部36eが、点列3bの第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である描画図形長短比RBを算出する。具体的には、点列3bの共分散行列CBを固有値分解して得られる第1の主成分及び第2の主成分のそれぞれの固有値λB1,λB2(ただし、λB1≧λB2)を算出し、固有値λB1,λB2の比λB1/λB2の平方根(λB1/λB2)1/2を、描画図形長短比RBとして算出する。これらの第1主成分軸41b及び第2主成分軸42bは、図2(d)に示すように互いに直交する。この描画図形長短比RBは、描画図形1bの形状の「伸び(扁平の度合い)」を示すものである。この「伸び」とは、図形として特定の方向への伸びであり、例えば、描画図形が円形の場合、比RB=1となる。
【0040】
また、S127において、角度算出部36fは、点列3bの第1主成分の向きを算出する。即ち、点列3bの第1主成分の固有ベクトルvBがx軸と成す角度θBを算出する。この角度θBは、描画図形1bの形状の「傾き」(即ち、「伸び」の方向)を示すものである。
そして、S128において、画像処理部36により算出された描画図形1bの面積、2つの固有値λB1,λB2、描画図形長短比RB、角度θB等の描画図形1bの情報は、描画図形情報記憶部34cに記憶され、描画図形1bに関する画像処理工程を終了し、SS13へ進む。
【0041】
S13は、基準図形及び描画図形が一致するか否かを、その面積や形状から判定する図形判定工程である。この図形判定工程は、面積比較工程、概形類似判定工程、傾き判定工程等を有している。
図5は、第1実施形態の図形判定工程のフローチャートである。
(面積比較工程)
まず、S131では、面積比較部37aが、基準図形情報記憶部34bに記憶された基準図形1aの面積と、描画図形情報記憶部34cに記憶された描画図形1bの面積とを呼び出して比較し、これらが同一(略同一である場合を含む)であるか否かを判定する面積比較工程を行う。
面積比較部37aが、基準図形1a及び描画図形1bの面積が同一(略同一である場合も含む)と判断した場合(S131:YES)は、この判定結果が評価装置記憶部34の描画図形情報記憶部34cに記憶され、S132へ進む。なお、基準図形1aの面積及び描画図形1bの面積が略同一である場合とは、基準図形の面積と描画図形の面積の差が、予め評価プログラム34aの評価テーブル内に記憶された許容範囲内であり、同一とみなせる程度に差が小さい場合である。
また、面積比較部37aが、基準図形1a及び描画図形1bの面積が同一(略同一である場合も含む)ではないと判断した場合(S132:NO)は、その判定結果が描画図形情報記憶部34cに記憶され、S136へ進む。
【0042】
(概形類似判定工程)
S132では、概形類似判定部37bが、基準図形長短比RAと描画図形長短比RBとの比に基づいて、基準図形1a及び描画図形1bの概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定工程を行う。
具体的には、概形類似判定部37bは、基準図形情報記憶部34bに記憶されている基準図形長短比RAと、描画図形情報記憶部34cに記憶されている描画図形長短比RBとを呼び出し、これらの比RB/RAを算出し、この比RB/RAを値SABとする(RB/RA=SAB)。
予め、評価プログラム34aの評価テーブルには、値SAB(即ち、基準図形長短比RA及び描画図形長短比RBの比RB/RA)において、基準図形1a及び描画図形1bの形状の概形(図形の伸び)が類似であるといえる許容値S0が設定され、記憶されている。この許容値S0は、1≦S0<2という範囲を満たす値であり、この許容値S0の値が小さい程、概形類似の判定精度が高くなる。例えば、S0=1.05とすれば、基準図形1aと描画図形1bの長短比の比RB/RA(値SAB)が5%以内であるものを概形が類似であると判定する。この許容値S0は、ユーザによって、評価装置操作部31からの入力等によって適宜変更可能である。
【0043】
S132において、概形類似判定部37bは、値SABが、
1/S0≦SAB≦S0 ・・・(式1)
を満たすか否かを判定する。
値SABがこの(式1)を満たすとき(S132:YES)、概形類似判定部37bは、基準図形1aと描画図形1bとは概形が類似であると判定し、この判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶し、S133へ進む。
一方、値SABがこの(式1)を満たさないとき(S132:NO)、概形類似判定部37bは、基準図形1aと描画図形1bとは概形が類似ではないと判定し、その判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶し、S136に進む。
【0044】
(傾き判定要否判定工程)
S133では、傾き判定要否判定部37cが、基準図形1a及び描画図形1bが円形(顕著な伸び等がない略円形であり、円形とみなせる形状も含む)ではないか否かを、両図形の長短比RA,RBが円形とみなせる許容値R0より大きいか、許容値R0以下であるかにより判定する傾き判定要否判定工程を行う。
この許容値R0は、1<R0≦2の範囲内で適宜設定でき、予め、評価プログラム34aの評価テーブルに記憶されている。許容値R0の値を1に近い値とするほど、この許容値R0を満たす長短比RA,RBを有する両図形は円形に近い形状となる。両図形の長短比RA,RBがこの許容値R0以下である場合、両図形は、円形(略円形を含む)とみなせる。
【0045】
S133において、傾き判定要否判定部37cは、基準図形情報記憶部34bに記憶されている基準図形長短比RA、描画図形情報記憶部34cに記憶されている描画図形長短比RBを参照する。
そして、基準図形長短比RA及び描画図形長短比RBがいずれも許容値R0より大きく、RA>R0かつRB>R0である場合(S133:YES)には、傾き判定要否判定部37cは、基準図形1a及び描画図形1bがいずれも円形(又は略円形)ではない、即ち、略楕円形状等であると判定し、S134へ進む。
また、基準図形長短比RA,描画図形長短比RBのいずれか1つが許容値R0以下である場合(S133:NO)、即ち、RA≦R0かつRB≦R0、RA≦R0かつRB>R0、RA>R0かつRB≦R0のいずれかの場合には、傾き判定要否判定部37cは、基準図形1a及び描画図形1bの少なくとも一方が、傾きを判定する必要が生じるほどの「伸び」を有していない円形(略円形も含む)であると判定する。
【0046】
このS133の傾き判定要否判定工程を行う段階では、その前のS132の概形類似判定工程において、値SABが(式1)を満たすか否かを判定し、基準図形1a及び描画図形1bの概形が類似であると判定されている。また、RA及びRBの値は非常に近い。従って、RA≦R0かつRB>R0である場合や、RA>R0かつRB≦R0である場合でも、基準図形1a及び描画図形1bは、円形(略円形を含む)とみなせるものであり、その概形が類似であるといえる。そのため、基準図形1a及び描画図形1bが円形(略円形も含む)である場合(S133:NO)、傾きが一致しているとみなすことができ、傾きの判定は不要である。よって、傾き判定要否判定部37cは、この判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶し、S135へ進む。
【0047】
(傾き判定工程)
S134では、傾き判定部37dが、基準図形1a及び描画図形1bの形状の傾き(各第1主成分の向き)を比較する傾き判定工程を行う。
具体的には、傾き判定部37dが、基準図形情報記憶部34bに記憶されている基準図形1aの点列3aの第1主成分の固有ベクトルvAがx軸となす角度θA、及び、描画図形情報記憶部34cに記憶されている描画図形1bの点列3bの第1主成分の固有ベクトルvBがx軸となす角度θBを参照し、この角度θA,θBの差|θA−θB|を算出し、これを値tABとする(tAB=|θA−θB|)。
【0048】
予め、評価装置記憶部34の評価テーブルには、この値tABの許容値t0(ただし、t0≧0°)が設定され、記憶されている。この許容値t0は、基準図形1a及び描画図形1bの傾きが一致しているとみなせる値tABの最大値である。そして、このt0が小さいほど、両図形の傾きの差が小さく、両図形の傾きが一致していると判定する。なお、この許容値t0に関しては、ユーザが評価装置操作部31から入力する等により、10°、30°等適宜その値を設定できる。
値tABは、
0°≦tAB<t0 ・・・(式2)
を満たす場合、基準図形1a及び描画図形1bの傾きがの差が、許容範囲内であり、基準図形1a及び描画図形1bの傾きが一致(略一致も含む)しているといえる。
【0049】
S134において、傾き判定部37dは、値tABが0°≦tAB<t0を満たしているか否かを判定する。値tABが0°≦tAB<t0を満たしている場合(S134:YES)、傾き判定部37dは、基準図形1a及び描画図形1bは傾きが一致していると判定して、その判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶し、S135へ進む。
一方、S134において、値tABが0°≦tAB<t0を満たしていない(tAB≧t0)場合(S134:NO)には、傾き判定部37dは、基準図形1a及び描画図形1bは傾きが一致しないと判定し、その判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶し、S136へ進む。
【0050】
ここで、S133の傾き判定要否判定工程及びS134の傾き判定工程を行う利点を説明する。
図6は、基準図形1a及び描画図形1bの例を示す図である。図6では、基準図形1a及び描画図形1bは、いずれもxy座標上の点列3a,3bで示し、その第1主成分軸41a,41b及び第2主成分軸42a,42b等も示している。
S134の傾き判定工程を行う段階では、その前のS132の概形類似判定工程において、値SABが(式1)を満たすか否かを判定し、基準図形1a及び描画図形1bの概形が類似であると判定されている。
【0051】
しかし、図6(a)に示すように、仮に、基準図形1a及び描画図形1bがいずれも円形又は略円形ではない略楕円形状であった場合、両図形の面積が一致しており、値SABが(式1)を満たしていたとしても、その形状の傾き(角度θA,θB)が異なっている場合、両図形は一致しない。
その一方で、図6(b)に示すように、基準図形1a及び描画図形1bがいずれも円形(略円形も含む)であるとき、両図形の面積が一致しており、値SABが(式1)を満たしているならば、両図形の第1主成分の軸の向きが異なっていたとしても、両図形は一致する。
【0052】
従って、基準図形1a及び描画図形1bの形状に応じて、その傾きが一致するか否かを判定することによって形状が一致するか否かの判定精度を高めることができる。また、傾き判定要否判定工程において、傾き判定要否判定部37cが、両図形がいずれも「伸び」が許容範囲内であり、円形(略円形も含む)であると判定した場合には、S134の傾き判定工程を省略することができ、評価工程を短縮することができる。
【0053】
以上の図形判定工程を行い、S135に進んだ場合、S131〜S134までの各判定において、
判定(1)面積比較部37aが基準図形1aの面積及び描画図形1bの面積が同一又は略同一であると判定(S131:YES)
判定(2)概形類似判定部37bが基準図形1a及び描画図形1bの概形が類似であると判定(S132:YES)
判定(3)傾き判定要否判定部37cが基準図形1aの面積及び描画図形1bが円形(略円形を含む)であると判定(傾き判定要否判定部37cが基準図形1aの面積及び描画図形1bの傾き判定不要と判定)(S133:NO)、又は、傾き判定部37dが基準図形1aの面積及び描画図形1bの傾きが一致していると判定(S134:YES)
これらの判定(1)〜(3)を全て満たしている。
従って、S135において、図形判定部37は、基準図形1a及び描画図形1bが一致すると判定し、その判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶する。また、このとき、評価装置制御部35は、評価装置表示部32に、この判定結果を表示する。そして、S137へ進んで図形判定工程を終了した後、S14へ進んで、一連の描画図形の画像評価を終了する。
【0054】
一方、図形判定工程のS131〜S134の各判定において、上記判定(1)〜(3)のいずれか1つでも満たされていない場合には(即ち、S131:NO、S132:NO,S134:NO)、S136に進む。
S136において、図形判定部37は、基準図形1a及び描画図形1bが一致しないと判定し、その判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶する。また、このとき、評価装置制御部35は、評価装置表示部32に、この判定結果を表示する。そして、S137へ進んで図形判定工程を終了した後、S14へ進んで、一連の描画図形の画像評価を終了する。
【0055】
基準図形1a及び描画図形1bが一致する場合、描画装置10は、基準図形1aに等しい、所望する形状の描画図形1b(マスクパターン50)をフォトマスク40上に描画できたと評価できる。
また、基準図形1a及び描画図形1bが一致しない場合、描画装置10は、所望する形状の描画図形1b(マスクパターン50)をフォトマスク40上に描画できていないと評価できる。
【0056】
ここで、図2(a)に示す基準図形1a及び描画図形1bを、上述の画像評価システムを用いて評価した。各限界値及び許容値等は、一例として、S0=1.05、t0=30°、R0=1.05とした。
実際に評価を行うと、この基準図形1a及び描画図形1bは、(式1)及び(式2)を満たしており、一致すると判定された。
【0057】
なお、これらの各許容値及び限界値S0,R0,t0の最適値は、パターンサイズ、撮像装置20(SEM)の機種、撮像された画像(SEM像)の倍率等に依存する。従って、上記の値は一例であり、状況に応じてので、適宜その値を調整すべきものである。
例えば、S0>1,R0>1,t0>0°を満たしながら、それぞれ小さな値に設定すればするほど基準図形及び描画図形の両図形間のより細かな検出が可能になる。しかしながら、両図形の形状の違いが、描画パターンによってではなく、撮像装置20のコンディション(ノイズや画像のゆがみ)に起因して生る場合がある。この場合、上記パラメータをあまり厳しく設定すると、本来ならば類似していると判定されるべきケースが類似していないと判定されることが頻繁に起きてくる。この現象は「擬似欠陥」と呼ばれる。このような擬似欠陥が大量に生じた場合には、上記パラメータの値を緩めるべきである。
逆に、上記パラメータの値が大きすぎると、両図形間の類似性の判定基準が甘くなり、本来欠陥として検出されるべき図形が見逃されることになる。このような場合、上記パラメータの値を下げて、判定基準を厳しくするべきである。
従って、判定結果をみて、それを各許容値及び限界値の調整へと適宜フィードバックし、判定精度を向上させるようにしてもよい。
【0058】
また、上述の画像評価方法及び画像評価プログラムを備える画像評価システムを用いて描画図形を評価する他の例を以下に挙げて説明する。なお、各許容値や限界値は、S0=1.05、t0=30°、R0=1.05とする。
図7は、基準図形1a及び描画図形1bの例を示す図である。
例えば、図7(a)に示す基準図形及び描画図形は、概形が類似である(1/S0≦SAB≦S0、かつ、0°≦tAB≦t0)が、その面積が異なっている。従って、この場合、S131の面積評価工程において、面積比較部37aは、基準図形1a及び描画図形1bの面積が不一致と判定し(S131:NO)、図形判定部37は、基準図形及び描画図形が不一致と判定する。
【0059】
また、図7(b)に示す基準図形1a及び描画図形1bは、面積が等しく、第一主成分の向きも近しい(tAB≦t0)が、その長短比が異なっており、値SABが(式1)を満たしていない(SAB>S0)。従って、S132の概形類似判定工程において、概形類似判定部37bにより、基準図形1a及び描画図形1bは、概形が類似ではないと判定され(S132:NO)、図形判定部37は、基準図形1a及び描画図形1bが不一致であると判定する。
【0060】
さらに、図7(c)に示す基準図形1a及び描画図形1bは、面積が等しく、その長短比が(式1)を満たしているが(1/S0≦SAB≦S0)、その第1主成分の向きである値tABが、(式2)を満たしていない(tAB>t0)。従って、S134の傾き判定工程において、傾き判定部37dが、基準図形1a及び描画図形1bの傾きが一致しないと判定し(S134:NO)、図形判定部37は、基準図形1a及び描画図形1bが一致しないと判定する。
【0061】
上述のように、本実施形態の評価方法及び評価プログラムを用いることにより、様々な形状の基準図形1a及び描画図形1bが一致しているか否かを精度よく、かつ、簡単に判定することができる。例えば、描画図形1bが円形の場合等のように、従来の一般的な寸法測定において測定を行う断面ラインを垂直方向に僅かに移動させるだけで寸法自体が大きく変化してしまうような図形である場合の評価工程を簡単にでき、評価時間等の効率を向上できる。また、面積のみを画像評価の判定基準とした場合には、基準図形1aの形状と描画図形1bの形状とが大きく違っていても面積が一致していれば、基準図形1aと描画図形1bが一致していると判定されるおそれがあるが、本実施形態によれば、描画図形1bの面積に加えて、描画図形1bの長短比を判定基準に取り入れるので、そのようなおそれがなく、さらに、面積のみで判定した場合に比べて判定精度を向上できる。
【0062】
また、本実施形態によれば、基準図形1a及び描画図形1bが一致しているか否かを、両図形の面積に加えて、その両図形の伸びや傾き表す値SAB,tABを用いて判定しているので、数学的な手法により一律に判定でき、かつ、評価の精度を上げることができる。
さらに、本実施形態によれば、傾き判定要否判定工程を備えているので、基準図形1a及び描画図形1bの形状に応じて描画図形1bの傾き及び基準図形1aの傾きが一致するか否かの判定を行わないので、その評価工程を簡単にすることができる。
さらにまた、本実施形態によれば、基準図形1aは、比較基準として予めフォトマスク上に描画された描画図形を撮像した撮像データ上の図形を用いることができるので、実際にフォトマスク上に描画され、その形状が所望の形状となった描画図形を基準図形1aとして用いることができる。また、基準図形1aは、比較基準として、設計データを用いてフォトマスク上に描画するシミュレーションによって得られた図形を用いることができるので、シミュレーションで得られた所望の形状を基準図形1aとすることができる。
【0063】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の図形判定工程のフローチャートである。
前述の第1実施形態では、傾き判定部37dが、傾き判定工程において、基準図形及び描画図形の傾きを示す値tAB=|θA−θB|を用いて、基準図形1a及び描画図形1bの傾きが一致するか否かを判定する例を示した。第2実施形態では、この値tABを用いず、傾き判定部37dが、行列ノルムを使用した以下の式2で示される値UABを用いて基準図形1a及び描画図形1bの傾きを判定している点が異なる。
よって、第2実施形態おいて、前述の第1実施形態と同様の機能を果たす部分には同一部符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0064】
【数1】
(式3)において、右辺の分子は、2×2正方行列同士の通常の積を表し、得られる値も、2×2行列となる。右辺の分母は、正の実数同士の通常の積を表す。
値UABは、その行列ノルムが、一例として、上記(式3)に示すようなベクトルのユークリッドノルムからの誘導ノルムである例を挙げて説明する。なお、本実施形態では、誘導ノルムを用いる例を挙げて説明するが、これに限らず、他のノルムを用いてもよい。
この誘導ノルムは、作用素ノルムとも呼ばれ、任意の行列Mに対して、
【0065】
【数2】
という関係を満たす。このとき、上記の式の右辺の分子及び分母は、ベクトルのノルムであり、ユークリッドノルムとする。
【0066】
行列のノルムとして、上述のものを選択した場合、任意の行列Mのノルムの値は、最大特異値として得ることができる。即ち、
【0067】
【数3】
という式で得られる。ただし、M*は、行列Mの随伴行列(共役転置行列)を表し、λは固有値を示し、λmaxは、その中で最大のものを示す。
【0068】
上述のように選択された行列ノルムに対して、劣乗法性が成り立つ。即ち、任意の行列に対して、
【0069】
【数4】
という関係が成り立つ。
従って、上述の値uABは、(式3)で表されるので、
0≦UAB≦1 ・・・(式7)
となる。この値UABは、両図形が楕円形状等のように伸びを有している場合には、その値が1に近いほど、より傾きが一致している度合いが高いということを示し、かつ、両図形が円形(略円形である場合を含む)である場合には、その角度θA及び角度θBに関わらず、1に近い値を示す。
【0070】
図8に示すように、第2実施形態の図形判定工程では、第1実施形態に示したS133の傾き判定要否判定工程及びS134の傾き判定工程に代えて、S333の傾き判定工程を行う。第2実施形態の図形判定部37は、傾き判定要否判定部を備えておらず、このS333の傾き判定工程は、後述するように値UABを用いた判定により、両図形の傾きが一致しているか否かを判定する。
本実施形態では、予め、この値UABの限界値U0を設定し、評価プログラム34aの評価テーブルに記憶させておく。この限界値U0は、0.6≦U0≦1の範囲内で設定することが好ましく、評価装置操作部31によってユーザが適宜設定可能とする。
【0071】
本実施形態の図形判定工程では、S132の概形類似判定工程において、基準図形1aと描画図形1bとの概形が類似であると判定された場合(S132:YES)、S333へ進む。そして、S333の傾き判定工程において、傾き判定部37dは、値UABを算出し、この値UABが、
U0≦UAB≦1 ・・・(式7)
を満たすか否かを判定する。
値UABが(式7)を満たすとき、傾き判定部37dは、基準図形1a及び描画図形1bの傾きが一致する(略一致も含む)と判定し、この判定結果を描画図形情報記憶部34cに記憶させ、S135へ進む。なお、値UAB=1の場合は、両図形が円形であるので、傾きは一致しているものとみなせる。
また、値UABが(式8)を満たさないとき、傾き判定部37dは、基準図形1a及びび描画図形1bの傾きが不一致であると判定し、S136へ進む。
【0072】
上述の値UABを用いることにより、基準図形1a及び描画図形1bが共に円形である場合を例外とすることなく、同一工程においてその傾きを判定できる。従って、前述の第1実施形態や第2実施形態に示したようなS133の傾き判定要否判定工程及びS238の円形判定工程が不要となる。しかも、評価の精度を落とすことはなく、図形判定工程が容易になり、かつ、その工程も短縮されるという利点がある。
よって、本実施形態によれば、判定精度を高く維持しながら、描画図形1bの評価工程を簡単にすることができ、効率よく判定処理を行える。
【0073】
(第3実施形態)
第3実施形態は、前述の画像評価方法を用いた描画条件選択方法を説明する。
本実施形態の描画条件選択方法は、描画装置10が基準図形1aと同一形状の描画図形1bを描画するために好ましい描画条件(描画に関する条件)を算出する方法であり、描画装置10は、設計データ100から算出された下記のような段付けデータ200に基づいて描画を行うものとする。
図9は、段付けデータ200を説明する図である。
一般的に、まず、設計者が、図9(a)に示すような設計データ100を作成する。設計データ100は、実際に半導体ウエハ上に形成する所望の配線パターンの形状を、作成したものである。この設計データ100は、CAD等の不図示の設計装置を利用して作成される。
次に、図9(b)に示すように、設計者は、設計データ100に基づいて、マスクデータ100A(描画予定パターン)を作成する。マスクデータ100Aは、OPC(光近接効果補正)等の技術を利用して作成された多角形状のデータである。マスクデータ100Aは、CAD等の不図示の設計装置を利用して作成してもよく、専用の設計装置を利用して作成してもよい。
【0074】
そして、図9(c−1)に示すように、マスクデータ100Aから、さらに段付データ200(ショット形状配列描画データに対応)を作成する。なお、図9(c−1)は、図9(b)のマスクデータ100Aの破線内の形状に対応する段付データ200を、拡大して示している。
段付データ200は、マスクデータ100Aに基づいて複数の矩形300を配置したものである。各矩形300は、電子線を描画するときのショット形状に対応している。段付データ200は、複数の矩形300が重複するように配置されている。
段付データ200は、CAD等の設計装置を利用して作成してもよく、専用の設計装置を利用して作成してもよい。
【0075】
次に、図9(d)に示すように、段付データ200を利用してフォトマスク40上に、描画装置10でマスクパターン50を描画する。描画装置10は、各矩形300に対応した形状のアパーチャを利用して、矩形300ごとに所定量の電子線を照射して描画する。
そして、このフォトマスク40を用いて、ステッパ等の露光装置で不図示の半導体ウエハ上に転写して、半導体ウエハ上に配線パターンを形成することができる。
【0076】
上記の工程において段付データ200を利用して形成されるマスクパターン50の形状は、従来から行われてきたように、設計データ100に基づいて異なる形状の矩形を組み合わせた描画用データ102を作成し(図9(c−2)参照)、描画用データ102に基づいてフォトマスクに描画したマスクパターンの形状と同様のものを得ることができる。この理由は、以下の通りである。
段付データ200を利用する場合には、矩形300の外コーナ300aは、照射される電子線の量が先端になる程少なくなるために、マスクパターン50の輪郭が内側に細くなって、輪郭線が曲線になる。また内側コーナ部300bは、矩形300が重複しているため、ショットごとに電子線が照射され、ドーズ量が増大し、マスクパターン50の輪郭が外側に膨らんで輪郭線が曲線になる。このため、図9(d)に示すように、フォトマスク40には、コーナ部が曲線でなだらかに繋げたような形状のマスクパターン50が描画される。
【0077】
この段付データ200は、従来の描画用データ102と比べると、矩形300の数が少ないので、データの作成が簡単である。さらに、フォトマスク40上にマスクパターン50を描画する場合には、ショット数を従来よりも格段に少なくできる。このため、フォトマスク40の作成時間を大幅に削減でき、また高価な描画装置10の稼動時間を削減できるので、フォトマスク40のコスト削減をすることができる。
【0078】
本実施形態の描画装置10は、上述の段付けデータ200によりフォトマスク40上にマスクパターン50を描画するため、ユーザが設定可能な描画に関する幾つかの条件(描画条件)を有する。その描画条件として、例えば、ドーズ量や、後方散乱パラメータ量等が挙げられる。これらを適宜設定することによって、フォトマスク40上に所望のマスクパターン50を描画可能である。
一般的なフラクチャ方式の描画用データ102(図9(c−2)参照)の場合、マスクデータ100Aの図形をさらに細かい矩形状の図形に分解して、その矩形状の図形ごとに描画を行う。従って、描画に必要な条件は、その露光量のみであり、設定が必要な描画条件は1つである。しかし、上述のような段付けデータ200(図9(c−1)参照)を用いて描画する場合、設定が必要な描画条件は、上述のように複数存在する。従って、段付けデータ200を用いて描画する場合、描画条件を1つ定めただけでは、好ましい描画図形が得られない。しかも、描画条件は、最適なものを設定しないと、描画図形と基準図形との形状や面積のずれが大きくなり、基準図形と描画図形が一致しないものとなる。
【0079】
また、描画条件は、フォトマスクのレジストの特性、描画装置の特性等によって、その値を適宜変更する必要がある。例えば、同じ規格の描画装置であっても別の描画装置に変えた場合には好ましい描画条件が異なってしまう場合がある。このとき、上述のように描画条件が複数である場合には、何通りもの組み合わせが生じることとなり、描画条件の設定が困難である。また、従来のフラクチャ方式の描画用データ102を用いて描画されたマスクパターンと同じマスクパターンを、上述のような段付けデータ200を用いて描画する場合についても、好ましい描画条件について、ユーザが値を設定することは困難である。
【0080】
本実施形態では、最適な描画条件の選択する方法を説明する。
なお、以下の説明において、基準図形1aに等しい描画図形1bをフォトマスク40上に描画可能とする描画条件のうち、描画図形1bの形状(伸び、傾き)が基準図形1aの形状に類似であるか否かに影響する描画条件を概形類似条件といい、描画図形1bの面積(大きさ)に影響する描画条件を面積条件する。本実施形態では、概形類似条件として、後方散乱パラメータ量の最適値を決定し、面積条件としてドーズ(DOSE)量の最適値を決定する例を挙げて説明する。ただし、形状(概形)の類似や面積に影響を与える各種パラメータを概形類似条件、面積条件として適宜選択してもよい。
【0081】
図10は、第3実施形態の画像評価システム3を説明する図である。
図11は、第3実施形態の描画条件選択方法を説明するフローチャートである。
本実施形態の画像評価システム3は、評価装置30の評価装置記憶部34に最適条件選択プログラム34dが記憶され、評価装置制御部35の図形判定部37が、描画条件選択部37eを備えている点が異なる以外は、前述の第1実施形態の評価システムと略同様の形態である。従って、前述の第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、適宜重複する説明を省略する。
まず、S40において、ユーザが、評価装置操作部31を操作して、最適条件選択プログラム34dを起動させ、S41の基準図形データ記憶工程へ進む。
【0082】
(基準図形データ記憶工程)
S41において、画像処理部36は、評価装置送受信部33から取得した基準図形画像データDAを画像処理して、基準図形1aの各種情報(即ち、基準図形1aの面積や基準図形長短比RA、角度θA等)を算出して記憶する基準図形データ記憶工程を行う。
まず、輪郭線抽出部36aが、基準図形画像データDAの基準図形1aを選択してその輪郭線2aを抽出する。そして、面積算出部36bが、輪郭線2a内の面積を算出し、点列算出部36cが、輪郭線2aからを構成する点列3aをxy座標上に算出する。本実施形態では、基準図形画像データDAから、1個又は複数の円形のマスクパターンを選択し、基準図形1aとする。この基準図形1aは、描画条件Aによって描画されものであるとする。
【0083】
次に、主成分分析部36dが、各点列3aの共分散行列CAを主成分分析する。そして、長短比算出部36eが、基準図形1aの基準図形長短比RAを算出し、角度算出部36fが、各基準図形1aの第1主成分の固有ベクトルvAとx軸とがなす角度θAを算出する。画像処理部36によって得られたこれらの基準図形1aに関する情報は、基準図形情報記憶部34bに記憶される。
そして、上述の基準図形データ記憶工程を行ったのち、S42へ進む。
【0084】
(概形類似条件選択工程)
次に、S42〜S44において、概形類似条件選択工程を行う。
この概形類似条件選択工程は、複数の概形類似条件の中から基準図形に対する概形類似性が高い描画図形を描画可能な概形類似条件を備える描画条件を選択する工程である。本実施形態の概形類似条件選択工程では、描画条件のうち他の条件は全て同じであるが、概形類似条件(後方散乱パラメータ量)のみが異なる値で設定され、描画装置10によりフォトマスク40上に描画された描画図形1b(マスクパターン50)の中から、基準図形1aとの概形の類似の度合いが最も高い描画図形1bを決定する例を挙げて説明する。なお、この工程では、基準図形1a及び描画図形1bの面積の違いは考慮しない。なお、概形類似条件は、ユーザが適宜設定可能である。
後方散乱パラメータ量を概形類似条件として選択した理由は、本実施形態の描画装置10のような重なりを有する段付けデータ200を用いて描画する方式の場合、後方散乱パラメータ量が描画図形の形状に大きく影響を与えるからである。
【0085】
まず、S42において、概形類似条件のみが異なる各描画条件で描画装置10がフォトマスク上に描画した描画図形1bを、撮像装置20が撮像し、その画像データ(描画図形データ)を評価装置送受信部33を介して評価装置30へ転送する。
次に、画像処理部36が、評価装置送受信部33から受信した描画図形画像データDBの所定の領域から、上述の基準図形1aに対応するパターンを描画した描画図形1bをそれぞれ選択し、各種画像処理を行う。
輪郭線抽出部36aは、各描画図形画像データDBを画像処理して、各描画図形1bの輪郭線2bを抽出する。
点列算出部36cは、各描画図形1bの輪郭線2bを構成する点列3bをxy座標上に算出する。
【0086】
次に、主成分分析部36dが、各描画図形1bの点列3bを主成分分析して共分散行列CBを算出し、各描画図形1bの第1主成分及び第2主成分を算出する。
次に、長短比算出部36eが、各描画図形1bの第1主成分及び第2主成分の固有値を算出し、各描画図形1bの描画図形長短比RBを算出する。
また、角度算出部36fが、各描画図形1bの第1主成分の固有ベクトルvBがx軸となす角度θBを算出する。
画像処理部35aが算出した描画図形1bの長短比RB、角度θB等の情報は、描画図形情報記憶部34cに記憶される。
【0087】
そして、S43において、図形判定部37は、各基準図形1a及び各描画図形1bの概形が類似であるか否かを判定する。
具体的には、図形判定部37の概形類似判定部37bが、各基準図形長短比RAと、概形類似条件のみが異なる各描画条件(例えば、図12に示す描画条件B1−1,B2−1,B3−1)で描画された各描画図形の描画図形長短比RBとの大きさの差に基づいて、基準図形1a及び各描画図形1bの概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定工程を行う。
S43において、概形類似判定部37bは、基準図形長短比RAと描画図形長短比RBから値SABを算出し、この値SABが、(式1)である1/S0≦SAB≦S0を満たすか否かを判定する。判定結果は、描画図形情報記憶部34cに記憶される。
【0088】
なお、本実施形態では基準図形1aをいずれも円形としたため、基準図形1a及び描画図形1bの傾きが一致するか否かを判定する傾き判定工程や、この傾き判定工程の要否を判定する傾き判定要否判定工程、円形判定工程等を行っていない。しかし、これに限らず、基準図形1aが円形(略円形も含む)以外である場合には、上述の概形類似判定工程の後に、傾き判定要否判定工程や円形判定工程、傾き判定工程を行ない、基準図形1aと描画図形1bの概形の類似性に加えてその傾きが一致するか否か等も判定する形態とする方が、より高い精度で形状が一致する描画条件を選択できる。
【0089】
次に、S44において、描画条件選択部37eは、S43の概形類似判定工程の結果を描画図形情報記憶部34cから呼び出し、各描画条件で描画された描画図形のうち、最も基準図形1aと概形の類似性が高いものを選択し、その描画図形1bを描画した描画条件の概形類似条件を、最も基準図形1aと概形が類似である描画図形を描画できる最適な概形類似条件であるとして選択する。
ここで、描画条件選択部37eは、描画図形及び基準図形から得られる値SABから、評価対象となる描画図形全てにわたるlog(SAB)の絶対値の平均値を各描画条件について算出する。そして、このlog(SAB)の絶対値の平均値が最小となる描画条件を最も基準図形1aと概形が類似である描画図形を描画できる最適な概形類似条件であるとして選択する。
【0090】
また、他の方法として、例えば、描画条件選択部37eは、各描画条件で描画された描画図形1bが複数ある場合(例えば、1つの描画条件につき10個等)には、基準図形1aと概形が類似である個数が最も多いものを選択し、その描画図形1bを描画した描画条件の概形類似条件を、最も基準図形1aと概形が類似である描画図形を描画できる最適な概形類似条件であるとして選択してもよい。なお、各描画条件で描画された描画図形が1つである場合は、各描画図形のうち値SABの値が最も1に近いものを、最も概形の類似性が高い描画図形として選択し、その概形類似条件を最適な概形類似条件であるとして選択してもよい。
これにより、複数の概形類似条件の中から最も描画図形の概形が基準図形の概形に類似である条件が選択される。選択された概形類似条件は、描画図形情報記憶部34cに記憶され、次のS45へ進む。
【0091】
(面積条件選択工程)
次に、S45〜47において面積条件選択工程を行う。この面積条件選択工程は、複数の面積条件の中から最も描画図形1bの面積が、基準図形1aの面積と一致する(略一致する場合も含む)条件を選択する工程である。
まず、S45において、概形類似条件選択工程で選択した概形類似条件(本実施形態では、後方散乱パラメータ量)を、評価装置送受信部33を介して描画装置10へ転送する。ユーザは、概形類似条件及び他の描画条件は一定であるが、面積条件(本実施形態では、ドーズ量)のみが異なる複数の描画条件(例えば、図13に示す描画条件B1−1、B1−2、B1−3)を設定し、描画装置10により、フォトマスク40上に描画図形(マスクパターン50)を描画し、これらの描画図形1bを撮像装置20によって撮像する。
面積条件であるドーズ量は、本実施形態のように重なりを含む段付きデータ200を用いてマスクパターン50を描画する方式の場合、描画図形1bの面積(大きさ)に大きく影響を与える。従って、本実施形態ではドーズ量を面積条件とした。
【0092】
次に、画像処理部36が、各描画条件の描画図形画像データDBの所定の領域から描画図形1bを選択し、それぞれの描画図形1bについて、各種画像処理を行う。
まず、輪郭線抽出部36aは、各描画図形1bが含まれる領域を検出し、撮像データ(描画図形データ)を画像処理して、描画図形1bの輪郭線2bを抽出する。面積算出部36bは、各描画図形1bの輪郭線2b内の面積を算出する。得られた各描画図形1bの面積は、描画図形情報記憶部34cに記憶される。
【0093】
次に、S46では、面積比較部37aが、基準図形情報記憶部34bに記憶された各基準図形1aの面積と、描画図形情報記憶部34cに記憶された各描画条件の描画図形1bの面積とを比較して同一(略同一も含む)であるか否かをそれぞれ判定する。この判定結果は、描画図形情報記憶部34cに記憶される。
【0094】
次に、S47において、描画条件選択部37eが、S46の面積比較工程の結果を描画図形情報記憶部34cから呼び出し、各描画条件で描画された描画図形1bのうち、最も基準図形1aと面積が一致するものを選択し、その描画図形1bを描画した描画条件の面積条件を、最も基準図形1aと面積が一致する描画図形を描画できる最適な面積条件であるとして選択する。
描画条件選択部37eは、各描画条件の描画図形の面積、長短比(伸び)、傾きの3つの判定項目の基準図形に対する差異を、評価対象となる全ての描画図形において算出する。これにより、各描画条件で描画された描画図形と基準図形と間のずれを示す3つの値が、各描画条件について得られる。ここで、この「差異」とは、面積については、例えば、それぞれの面積の差、長短比については、例えば、値SAB、角度については、例えば、それぞれの角度の差(ただし、0°以上180°未満になる側)を指標として用いることができるが、これに限定されない。
描画条件選択部37eは、この3つの項目における差異において、長短比(伸び)と傾きに関する差異が、ともに所定の一定値以内となっている描画条件のなかから、面積に関する差異が最小となっている描画条件を、最も基準図形1aと面積が一致する描画図形として選択し、その面積条件を最適な面積条件であるとして選択する。
なお、この3つの項目の差異に関して、どれを優先的に考慮するかは、ユーザが適宜設定でき、前述の概形類似条件選択工程に用いることも可能である。
【0095】
また、例えば、別の方法として、描画条件選択部37eは、各描画条件で描画された描画図形1bが複数ある場合(例えば、1つの描画条件につき10個等)には、基準図形1aと面積が同一と判定された描画図形1bの数が最も多い描画条件を選択し、その描画条件の面積条件を、基準図形1aと面積が一致する描画図形1bを描画できる最適な面積条件として選択してもよい。また、各描画条件で描画された描画図形1bが1つである場合は、各描画図形1bのうち、基準図形1aと面積の差が最も小さいものを、最も基準図形1aと面積が一致する描画図形として選択し、その面積条件を最適な面積条件であるとして選択してもよい。
【0096】
なお、各描画条件について描画図形が複数ある場合には、個々の図形について基準図形との類似性や面積の一致等を判定せず、その描画条件の複数の描画図形を1つのグループとし、そのグループにおける総合的な伸びの類似度、総合的な傾きの類似度、面積の類似度を評価し、そのグループを1つの図形のように扱い、基準図形との類似度を判定し、概形類似条件や面積条件を選出する形態としてよい。
【0097】
これにより、複数の面積条件の中から最も描画図形1bの面積と基準図形1aの面積とが一致又は略一致する面積条件が選択される。この面積条件は、描画図形情報記憶部34cに記憶され、S48へ進む。
【0098】
(描画条件選択工程)
S48において、描画条件選択部37eは、上述のS42〜S44の概形類似条件設定工程で選択した概形類似条件(後方散乱パラメータ量)と、S45〜47の面積条件設定工程で選択した面積条件(ドーズ量)を、描画図形情報記憶部34cから呼び出し、この概形類似条件と面積条件との組み合わせを、基準図形1aと一致する描画図形1bを描画できる最適な描画条件として選択する。また、評価装置制御部35は、選択された各条件を評価装置表示部32に表示し、S49へ進み、描画条件選択プログラムを終了する。
以上の工程を行うことにより、基準図形1aと一致する描画図形1bを描画できる最適な概形類似条件及び面積条件を有する描画条件を容易に選択することができる。
【0099】
図12は、描画条件(条件A)で描画された基準図形(20個)と概形類似条件が異なる各描画条件(B1−1,B2−1,B3−1)で描画された描画図形(各描画条件につき20個)とを比較する図である。
ここでは、概形類似条件が異なる描画条件を描画条件B1−1,B2−1,B3−1の3つとしているが、概形類似条件が異なる描画条件の数は限定されるものではなく、適宜選択してよい。また、基準図形を20個とし、描画図形については、各描画条件につき、基準図形の数と同じく20個としている。各描画図形は、各基準図形に対応している。
【0100】
図12(a)は、各基準図形及び各描画条件で描画された各描画図形の面積を示している。図12(b)は、各基準図形及び各描画条件で描画された各描画図形の長短比RA,RBを示し、図12(c)は、各基準図形及び各描画条件で描画された各描画図形の角度θA,θBを示している。基準図形1aは、いずれも円形である。
図12(a)では、基準図形1a及び描画図形1bの面積を比較するパラメータとして、基準図形1a及び描画図形1bの輪郭線2a,2b内の面積から算出された直径(面積直径換算値)を用いている。図12(a)に示すように、面積(面積直径換算値)のみで基準図形と概形類似条件が異なる各描画条件で描画された描画図形とを評価した場合には、描画条件B2−1で描画した描画図形1bが、最も基準図形1a(条件A)に近いものと判定できる。
【0101】
しかし、図12(b)に示すように、基準図形1a及び各描画図形1bの長短比を比較すると、概形類似条件が異なる各描画条件のうち、条件B1−1で描画された描画図形は、最も基準図形(条件A)に近く、これに対して、条件B2−1、条件B3−1で描画された描画図形は、条件B1−1で描画された描画図形に比べて基準図形の長短比との差が大きく、所定の方向に伸びた形となっている。
また、角度θBに関しても、図12(c)に示すように、概形類似条件が異なる各描画条件のうち、条件B1−1で描画された描画図形は、最も基準図形(条件A)に近く、これに対して、条件B2−1、条件B3−1で描画された描画図形は、条件B1−1で描画された描画図形に比べて基準図形の角度θAとの差が大きくなっている。
従って、条件B1−1が、概形類似条件として最も相応しいものとして選択される
【0102】
つまり、条件Aに最も近い条件を条件B1−1、B2−1、B3−1の3条件の中から選択しようとするとき、図12(a)に示すように図形の面積のみを用いて比較すると、条件B2−1が最適と判定される。しかし、図12(b)及び(c)に示すように、図形の「伸び」と「傾き」(即ち、概形の類似性)も判定基準として考慮に入れると、条件B2−1は、「伸び」において条件B1−1よりも劣ることや、「傾き」において−90°に近い方向を向いている傾向があることが読み取れる。
従って、条件B2−1は、描画した図形の面積は条件Aに近いが、図形が伸縦方向に伸びる傾向がみられるため、描画条件Aに近い描画条件として採用するには不適当であることが分かる。これは、「面積」だけでなく「伸び」や「傾き」(概形の類似性)を判定基準として採用して最適条件を求めることによる効果の1つである。
【0103】
図12(a)〜(c)に示すように、上記3条件(条件B1−1、B2−1、B3−1)の中には、「面積」の基準と、「伸び」及び「傾き」の基準を両立させるような最適条件がない。従って、そのような最適な描画条件を見つけるためには、描画条件を別のディメンジョン(最初の描画パラメータとは独立して変化させることのできる第2の描画パラメータ)に変化させる必要が生じる。
【0104】
図13は、描画条件(条件A)で描画された基準図形(20個)と面積条件が異なる描画条件(B1−1,B1−2,B1−3)で描画された描画図形(各描画条件につき20個)とを比較する図である。
ここでは、概形類似条件は共通しており最適なものが選択されているが、面積条件が異なる3つの描画条件の中から最適な面積条件を選択する例を挙げて説明したが、比較する面積条件の数は、適宜選択してよい。また、各描画条件(面積条件のみが異なる描画条件B1−1,B1−2,B1−3)につき、描画図形を20個を選択し、これらと基準図形とを比較している。
【0105】
図13(a)は、基準図形及び各描画条件で描画された描画図形の面積を示している。図13(b)は、基準図形及び各描画条件で描画された描画図形の長短比を示し、図13(c)は、基準図形と各描画条件で描画された描画図形の角度を示している。図13(a)では、図12(a)と同様に、面積を示す指標として面積から算出される直径(面積直径換算値)を使用している。
図13(a)に示すように、面積の上下動の傾向は、面積条件の異なる描画条件B1−1〜B1−3で描かれたいずれの描画図形であって基準図形に近い傾向を示している。
条件B1−1で描画された描画図形は、基準図形に比べて面積が大きくなる傾向にある。一方、条件B1−2及び条件B1−3で描画した描画図形は、その面積が、基準図形の面積に近いものが多く、特に、条件B1−3で描画したものは、基準図形に近いものが最も多い。
【0106】
このとき、図13(b),(c)に示すように、条件B1−1〜条件B1−3で描画された描画図形は、概形の類似性が高い描画図形を描画可能な概形類似条件が選択されているので、その伸びや傾き(長短比及び角度)は、いずれも基準図形に近いものとなっている。
従って、総合的に判断して、描画条件B1−3で描画された描画図形が、最も基準図形に一致する度合いが高いものであり、描画条件B1−3は、基準図形に対して形状の類似性及び面積も一致する度合いが最も高く、最適な描画条件であるといえる。
【0107】
よって、本実施形態によれば、好ましい描画条件を、面積の大きさ近さという基準だけでなく、概形の伸びと傾きという基準も考慮した上で、容易にかつ高い精度で選択することができる。
【0108】
(変形形態)
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)第1実施形態において、傾き判定要否判定部及び傾き判定要否判定工程を備える例を示したが、傾き判定要否判定部及び傾き判定要否判定工程は、基準図形が円形(略円形を含む)でない場合には、省略した形態としてもよい。
【0109】
(2)第1実施形態及び第2実施形態において、面積比較工程を先に行い、その後に概形類似判定工程及び傾き判定工程等を行う例を示したが、これに限らず概形類似判定工程及び傾き判定工程等を先に行い、その後に面積比較工程を行ってもよい。
【0110】
(3)第3実施形態において、概形類似条件として後方散乱パラメータ量、面積条件としてドーズ量を設定する例を示したが、これに限らず、他のパラメータ条件を用いてもよい。
【0111】
(4)各実施形態において、評価装置30は、描画装置10や撮像装置20とは別体であり、各種情報を通信可能である例を示したが、これに限らず、例えば、描画装置10又は撮像装置20に内蔵される形態としてもよい。
【0112】
(5)第3実施形態において、先に概形類似条件を選択し、次に面積条件を選択する例を挙げて説明したが、これに限らず、先に面積条件を選択し、次に概形類似条件を選択する形態としてもよい。
【0113】
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0114】
1 画像評価システム
10 描画装置
20 撮像装置
30 評価装置
35 評価装置制御部
36 画像処理部
37 図形判定部
40 フォトマスク
50 マスクパターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトマスク上に描画された描画図形と、前記描画図形の比較基準である基準図形とを比較する画像評価方法であって、
前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータを記憶する基準図形データ記憶工程と、
前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の面積を算出する描画図形面積算出工程と、
前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の輪郭線を主成分分析して第1主成分及び第2主成分を算出し、前記描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出工程と、
前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出工程で算出した前記描画図形の面積とを比較して同一又は略同一であるか否かを判定する面積比較工程と、
前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定工程と、
前記面積比較工程及び前記概形類似判定工程の結果に基づいて前記基準図形及び前記描画図形が一致するか否かを判定する図形判定工程とを備え、
前記図形判定工程は、
前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一又は略同一であると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、
前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形が概形類似ではないと判定した場合、及び、前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一又は略同一ではないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定すること、
を特徴とする画像評価方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像評価方法において、
前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の第1主成分の軸の向きと、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記描画図形の第1主成分の軸の向きとを比較して、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致するか否かを判定する傾き判定工程を有し、
前記図形判定工程は、
前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合、かつ、前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記傾き判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致すると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、
前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合、前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、前記傾き判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致しないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定すること、
を特徴とする画像評価方法。
【請求項3】
請求項2に記載の画像評価方法において、
前記基準図形及び前記描画図形が円形であるか否かを判定する傾き判定要否判定工程を有し、
前記傾き判定要否判定工程で前記基準図形及び前記描画図形がいずれも円形ではないと判定された場合には前記傾き判定工程を行い、
前記判定要否判定工程で前記基準図形及び前記描画図形のいずれかが円形であると判定された場合には前記傾き判定工程を行わないこと、
を特徴とする画像評価方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像評価方法において、
前記基準図形は、前記比較基準として、予めフォトマスク上に描画された描画図形を撮像した撮像データ上の図形であること、
を特徴とする画像評価方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像評価方法において、
前記基準図形は、前記比較基準として、設計データを用いてフォトマスク上に描画するシミュレーションによって得られた図形であること、
を特徴とする画像評価方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像評価方法において、
前記描画図形長短比算出工程は、
前記描画図形の輪郭線を構成する点列を算出する点列算出工程と、
前記点列算出工程で算出された点列を主成分分析して共分散行列を算出し、この共分散行列を固有値分解して得られる互いに直交する前記描画図形の第1主成分及び第2主成分のそれぞれの固有値λ1,λ2(ただし、λ1≧λ2)を算出し、2つの前記固有値λ1,λ2の比λ1/λ2の平方根(λ1/λ2)1/2を前記描画図形長短比として算出する固有値比算出工程と、
を備えること、
を特徴とする画像評価方法。
【請求項7】
フォトマスク上に描画された描画図形と、前記描画図形の比較基準である基準図形とを比較する画像評価プログラムであって、
コンピュータを、
前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータを記憶する基準図形データ記憶手段と、
前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の面積を算出する描画図形面積算出手段と、
前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の輪郭線を主成分分析して第1主成分及び第2主成分を算出し、前記描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出手段と、
前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出手段が算出した前記描画図形の面積とを比較して同一であるか否かを判定する面積比較手段と、
前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出手段が算出した前記描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定手段と、
前記基準図形及び前記描画図形が一致するか否かを判定する図形判定手段として機能させ、
前記図形判定手段を、
前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、
前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、及び前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定するように機能させること、
を特徴とする画像評価プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の画像評価プログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形の第1主成分の軸の向きと、前記描画図形長短比算出手段が算出した前記描画図形の第1主成分の軸の向きとを比較して、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致するか否かを判定する傾き判定手段として機能させ、
前記図形判定手段を、
前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致すると判定した場合、かつ、前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、
前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致しないと判定した場合、及び前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定するように機能させること、
を特徴とする画像評価プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の画像評価プログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記基準図形及び前記描画図形がいずれも円形であるか否かを判定する傾き判定要否判定手段として機能させ、
前記傾き判定要否判定手段を、
前記基準図形及び前記描画図形がいずれも円形又は略円形ではないと判定した場合には、前記傾き判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似か否かを判定し、
前記基準図形及び前記描画図形のいずれかが円形又は略円形であると判定した場合には、前記傾き判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致するか否かの判定を行わないように機能させること、
を特徴とする画像評価プログラム。
【請求項10】
請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の画像評価プログラムにおいて、
前記描画図形長短比算出手段を、
前記描画図形の輪郭線を構成する点列を算出する点列算出手段と、
前記点列算出手段が算出した点列を主成分分析して共分散行列を算出し、この共分散行列を固有値分解して得られる互いに直交する前記描画図形の第1主成分及び第2主成分のそれぞれの固有値λ1,λ2(ただし、λ1≧λ2)を算出し、2つの前記固有値λ1,λ2の比λ1/λ2の平方根(λ1/λ2)1/2を前記描画図形長短比として算出する固有値比算出手段として機能させること、
を特徴とする画像評価プログラム。
【請求項11】
基準図形に等しい描画図形をフォトマスク上に描画する場合の条件のうち、前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似であるかに影響する条件である概形類似条件と、前記基準図形との概形の類似を維持して前記描画図形の面積に影響する面積条件とを選択する描画条件選択方法であって、
前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータを記憶する基準図形データ記憶工程と、
複数の前記概形類似条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の輪郭線を主成分分析してそれぞれの第1主成分及び第2主成分を算出し、前記複数の描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である前記複数の描画図形の描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出工程と、
前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記複数の描画図形の描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記複数の描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定工程と、
前記描画図形長短比算出工程と前記概形類似判定工程により、複数の前記概形類似条件の中から最も前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似である条件を選択する概形類似条件選択工程と、
前記概形類似条件選択工程で選択した前記概形類似条件を設定し、複数の前記面積条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の面積を算出する描画図形面積算出工程と、
前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出工程で算出した前記複数の描画図形の面積とを比較して同一であるか否かを判定する面積比較工程と、
前記描画図形面積算出工程と前記面積比較工程とを行うことにより、最も前記描画図形の面積が前記基準図形の面積に近い条件を選択する面積条件選択工程と、
前記概形類似条件選択工程で選択した前記概形類似条件と、前記面積条件選択工程で選択した前記面積条件との組み合わせを最適条件として選択する描画条件選択工程と、
を備えること、
を特徴とする描画条件選択方法。
【請求項12】
請求項11に記載の描画条件選択方法において、
前記概形類似条件として、後方散乱パラメータ量を選択すること、
を特徴とする描画条件選択方法。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の描画条件選択方法において、
前記面積条件として、ドーズ量を選択すること、
を特徴とする描画条件選択方法。
【請求項14】
請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載の描画条件選択方法において、
前記概形類似条件選択工程は、
前記概形類似判定工程の後に、前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の第1主成分の軸の向きと、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記複数の描画図形の第1主成分の軸の向きとを比較して、前記基準図形及び前記複数の描画図形の傾きが一致するか否かを判定する傾き判定工程を行い、
前記概形類似判定工程、及び前記傾き判定工程の結果に基づき、前記複数の概形類似条件の中から最も前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似である条件を選択すること、
を特徴とする描画条件選択方法。
【請求項15】
基準図形に等しい描画図形をフォトマスク上に描画する場合の条件のうち、前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似であるかに影響する条件である概形類似条件と、前記基準図形との概形の類似を維持して前記描画図形の面積に影響する面積条件とを選択する描画条件選択プログラムであって、
コンピュータを、
前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータと記憶する基準図形データ記憶手段と、
複数の前記概形類似条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の輪郭線を主成分分析してそれぞれの第1主成分及び第2主成分を算出し、前記複数の描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である前記複数の描画図形の描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出手段と、
前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出手段が算出した前記複数の描画図形の描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記複数の描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定手段と、
前記描画図形長短比算出手段と前記概形類似判定手段とを行うことにより、前記複数の概形類似条件の中から最も前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似である条件を選択する概形類似条件選択手段と、
前記概形類似条件選択手段が選択した前記概形類似条件を設定し、複数の前記面積条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の面積を算出する描画図形面積算出手段と、
前記基準図形データ記憶手段で記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出手段が出した前記複数の描画図形の面積とを比較して同一であるか否かを判定する面積比較手段と、
前記描画図形面積算出手段と前記面積比較手段とを行うことにより、最も前記描画図形の面積が前記基準図形の面積に近い条件を選択する面積条件選択手段と、
前記概形類似条件選択手段が選択した前記概形類似条件と、前記面積条件選択手段が選択した前記面積条件との組み合わせを最適条件として選択する描画条件選択手段として機能させること、
を特徴とする描画条件選択プログラム。
【請求項1】
フォトマスク上に描画された描画図形と、前記描画図形の比較基準である基準図形とを比較する画像評価方法であって、
前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータを記憶する基準図形データ記憶工程と、
前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の面積を算出する描画図形面積算出工程と、
前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の輪郭線を主成分分析して第1主成分及び第2主成分を算出し、前記描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出工程と、
前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出工程で算出した前記描画図形の面積とを比較して同一又は略同一であるか否かを判定する面積比較工程と、
前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定工程と、
前記面積比較工程及び前記概形類似判定工程の結果に基づいて前記基準図形及び前記描画図形が一致するか否かを判定する図形判定工程とを備え、
前記図形判定工程は、
前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一又は略同一であると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、
前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形が概形類似ではないと判定した場合、及び、前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一又は略同一ではないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定すること、
を特徴とする画像評価方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像評価方法において、
前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の第1主成分の軸の向きと、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記描画図形の第1主成分の軸の向きとを比較して、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致するか否かを判定する傾き判定工程を有し、
前記図形判定工程は、
前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合、かつ、前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記傾き判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致すると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、
前記面積比較工程で前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合、前記概形類似判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、前記傾き判定工程で前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致しないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定すること、
を特徴とする画像評価方法。
【請求項3】
請求項2に記載の画像評価方法において、
前記基準図形及び前記描画図形が円形であるか否かを判定する傾き判定要否判定工程を有し、
前記傾き判定要否判定工程で前記基準図形及び前記描画図形がいずれも円形ではないと判定された場合には前記傾き判定工程を行い、
前記判定要否判定工程で前記基準図形及び前記描画図形のいずれかが円形であると判定された場合には前記傾き判定工程を行わないこと、
を特徴とする画像評価方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像評価方法において、
前記基準図形は、前記比較基準として、予めフォトマスク上に描画された描画図形を撮像した撮像データ上の図形であること、
を特徴とする画像評価方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像評価方法において、
前記基準図形は、前記比較基準として、設計データを用いてフォトマスク上に描画するシミュレーションによって得られた図形であること、
を特徴とする画像評価方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像評価方法において、
前記描画図形長短比算出工程は、
前記描画図形の輪郭線を構成する点列を算出する点列算出工程と、
前記点列算出工程で算出された点列を主成分分析して共分散行列を算出し、この共分散行列を固有値分解して得られる互いに直交する前記描画図形の第1主成分及び第2主成分のそれぞれの固有値λ1,λ2(ただし、λ1≧λ2)を算出し、2つの前記固有値λ1,λ2の比λ1/λ2の平方根(λ1/λ2)1/2を前記描画図形長短比として算出する固有値比算出工程と、
を備えること、
を特徴とする画像評価方法。
【請求項7】
フォトマスク上に描画された描画図形と、前記描画図形の比較基準である基準図形とを比較する画像評価プログラムであって、
コンピュータを、
前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータを記憶する基準図形データ記憶手段と、
前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の面積を算出する描画図形面積算出手段と、
前記描画図形の撮像データを画像処理して、前記描画図形の輪郭線を主成分分析して第1主成分及び第2主成分を算出し、前記描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出手段と、
前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出手段が算出した前記描画図形の面積とを比較して同一であるか否かを判定する面積比較手段と、
前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出手段が算出した前記描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定手段と、
前記基準図形及び前記描画図形が一致するか否かを判定する図形判定手段として機能させ、
前記図形判定手段を、
前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、
前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、及び前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定するように機能させること、
を特徴とする画像評価プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の画像評価プログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形の第1主成分の軸の向きと、前記描画図形長短比算出手段が算出した前記描画図形の第1主成分の軸の向きとを比較して、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致するか否かを判定する傾き判定手段として機能させ、
前記図形判定手段を、
前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似であると判定した場合、かつ、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致すると判定した場合、かつ、前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一であると判定した場合に、前記基準図形及び前記描画図形が一致すると判定し、
前記概形類似判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似ではないと判定した場合、前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致しないと判定した場合、及び前記面積比較手段が前記基準図形の面積及び前記描画図形の面積が同一ではないと判定した場合の少なくとも1つの場合には、前記基準図形及び前記描画図形が不一致であると判定するように機能させること、
を特徴とする画像評価プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の画像評価プログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記基準図形及び前記描画図形がいずれも円形であるか否かを判定する傾き判定要否判定手段として機能させ、
前記傾き判定要否判定手段を、
前記基準図形及び前記描画図形がいずれも円形又は略円形ではないと判定した場合には、前記傾き判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の概形が類似か否かを判定し、
前記基準図形及び前記描画図形のいずれかが円形又は略円形であると判定した場合には、前記傾き判定手段が前記基準図形及び前記描画図形の向きが一致するか否かの判定を行わないように機能させること、
を特徴とする画像評価プログラム。
【請求項10】
請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の画像評価プログラムにおいて、
前記描画図形長短比算出手段を、
前記描画図形の輪郭線を構成する点列を算出する点列算出手段と、
前記点列算出手段が算出した点列を主成分分析して共分散行列を算出し、この共分散行列を固有値分解して得られる互いに直交する前記描画図形の第1主成分及び第2主成分のそれぞれの固有値λ1,λ2(ただし、λ1≧λ2)を算出し、2つの前記固有値λ1,λ2の比λ1/λ2の平方根(λ1/λ2)1/2を前記描画図形長短比として算出する固有値比算出手段として機能させること、
を特徴とする画像評価プログラム。
【請求項11】
基準図形に等しい描画図形をフォトマスク上に描画する場合の条件のうち、前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似であるかに影響する条件である概形類似条件と、前記基準図形との概形の類似を維持して前記描画図形の面積に影響する面積条件とを選択する描画条件選択方法であって、
前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータを記憶する基準図形データ記憶工程と、
複数の前記概形類似条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の輪郭線を主成分分析してそれぞれの第1主成分及び第2主成分を算出し、前記複数の描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である前記複数の描画図形の描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出工程と、
前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記複数の描画図形の描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記複数の描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定工程と、
前記描画図形長短比算出工程と前記概形類似判定工程により、複数の前記概形類似条件の中から最も前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似である条件を選択する概形類似条件選択工程と、
前記概形類似条件選択工程で選択した前記概形類似条件を設定し、複数の前記面積条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の面積を算出する描画図形面積算出工程と、
前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出工程で算出した前記複数の描画図形の面積とを比較して同一であるか否かを判定する面積比較工程と、
前記描画図形面積算出工程と前記面積比較工程とを行うことにより、最も前記描画図形の面積が前記基準図形の面積に近い条件を選択する面積条件選択工程と、
前記概形類似条件選択工程で選択した前記概形類似条件と、前記面積条件選択工程で選択した前記面積条件との組み合わせを最適条件として選択する描画条件選択工程と、
を備えること、
を特徴とする描画条件選択方法。
【請求項12】
請求項11に記載の描画条件選択方法において、
前記概形類似条件として、後方散乱パラメータ量を選択すること、
を特徴とする描画条件選択方法。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の描画条件選択方法において、
前記面積条件として、ドーズ量を選択すること、
を特徴とする描画条件選択方法。
【請求項14】
請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載の描画条件選択方法において、
前記概形類似条件選択工程は、
前記概形類似判定工程の後に、前記基準図形データ記憶工程で記憶した前記基準図形の第1主成分の軸の向きと、前記描画図形長短比算出工程で算出した前記複数の描画図形の第1主成分の軸の向きとを比較して、前記基準図形及び前記複数の描画図形の傾きが一致するか否かを判定する傾き判定工程を行い、
前記概形類似判定工程、及び前記傾き判定工程の結果に基づき、前記複数の概形類似条件の中から最も前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似である条件を選択すること、
を特徴とする描画条件選択方法。
【請求項15】
基準図形に等しい描画図形をフォトマスク上に描画する場合の条件のうち、前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似であるかに影響する条件である概形類似条件と、前記基準図形との概形の類似を維持して前記描画図形の面積に影響する面積条件とを選択する描画条件選択プログラムであって、
コンピュータを、
前記基準図形の面積と、前記基準図形の輪郭線を主成分分析して得られる第1主成分及び第2主成分と、前記基準図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である基準図形長短比とに関するデータと記憶する基準図形データ記憶手段と、
複数の前記概形類似条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の輪郭線を主成分分析してそれぞれの第1主成分及び第2主成分を算出し、前記複数の描画図形の輪郭線の第1主成分の長さ及び第2主成分の長さの比である前記複数の描画図形の描画図形長短比を算出する描画図形長短比算出手段と、
前記基準図形データ記憶手段が記憶した前記基準図形長短比と、前記描画図形長短比算出手段が算出した前記複数の描画図形の描画図形長短比との比に基づいて、前記基準図形及び前記複数の描画図形の概形が類似であるか否かを判定する概形類似判定手段と、
前記描画図形長短比算出手段と前記概形類似判定手段とを行うことにより、前記複数の概形類似条件の中から最も前記描画図形の概形が前記基準図形の概形に類似である条件を選択する概形類似条件選択手段と、
前記概形類似条件選択手段が選択した前記概形類似条件を設定し、複数の前記面積条件を設定して複数の描画図形を描画し、前記複数の描画図形の撮像データを画像処理して、前記複数の描画図形の面積を算出する描画図形面積算出手段と、
前記基準図形データ記憶手段で記憶した前記基準図形の面積と、前記描画図形面積算出手段が出した前記複数の描画図形の面積とを比較して同一であるか否かを判定する面積比較手段と、
前記描画図形面積算出手段と前記面積比較手段とを行うことにより、最も前記描画図形の面積が前記基準図形の面積に近い条件を選択する面積条件選択手段と、
前記概形類似条件選択手段が選択した前記概形類似条件と、前記面積条件選択手段が選択した前記面積条件との組み合わせを最適条件として選択する描画条件選択手段として機能させること、
を特徴とする描画条件選択プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−45372(P2013−45372A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184177(P2011−184177)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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