説明

画像読取システム及び画像読取制御方法

【課題】原稿を読み取って得た画像データに対し印刷等の処理を施す場合に、原稿自体の属性を考慮した処理を可能とする。
【解決手段】原稿属性読取部106は、画像読取部102が原稿を読み取る際に得られた情報から、原稿のサイズや、原稿束の中の何枚目なのか、表なのか、裏なのか、といった各ページ或いは原稿束全体の属性を求める。属性決定部108は、操作部/表示部104に対してユーザが指定した両面読取の有無や地色除去の有無などといった読取属性と、原稿属性読取部106が求めた原稿属性との競合の有無をチェックし、実際に採用される属性項目の値を求め、それら属性項目からなる属性データを生成する。画像データ/属性対応付け部110は、読取画像データと属性データとを対応づけて画像蓄積部120に蓄積する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取って画像データを作成するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、紙で受け取った納品書や発注依頼書を保存する場合、紙のまま保存すると場所をとるので、スキャナで読み取って電子的なデータの形で保存するケースも増えている。近年、いわゆるe文書法(電子文書法)の施行に伴って、これまで紙媒体で保存を義務づけられていた文書を電子データとして保存することができるようになったため、このような傾向は更に強くなると考えられる。
【0003】
このように電子的な画像データとして保存した文書を、再度印刷して利用する場合もある。このような場合、印刷結果の紙文書として原本にできるだけ近いものが得られた方が一般的に好ましい。例えば、発注依頼書が両面印刷されたものであれば、それを読み取って得た画像データを再印刷する場合は、両面印刷の印刷結果が得られることが好ましい。また、両面印刷のシートと片面印刷のシートが混在するような一綴りの原本を読み取って得た画像ファイルを印刷する場合には、元が両面印刷されていたページは両面印刷で、元が片面印刷されていたページは片面印刷で出力することが望ましい。
【0004】
また、印刷装置は、ユーザが明示的に用紙サイズを指定すると、印刷する画像を自動的に拡大又は縮小して印刷する機能を備えるものがある。このような機能が選択された場合、画像データが原本と異なるサイズで印刷されてしまう場合がある。
【0005】
また、同じ原稿を読み取った場合でも、スキャナが例えば地色除去(地肌除去)処理のような画質調整処理を実行する場合とそうでない場合とで、生成される画像データの画質はかなり変化する。したがって、例えばスキャナで生成した画像データに対してOCR(光学文字認識)処理を行う場合、例えば地色除去をしていない画像を前提とする(従ってOCRで地色除去を行う)OCRに、スキャナで地肌除去済みの画像データを入力すると、OCRでも地色除去を行うことになってしまい、処理が無駄になるだけでなく、二重のOCR処理により画質が変化するので、認識精度に悪影響をもたらす可能性もある。
【0006】
特許文献1には、デジタルカメラが生成するDPOF(Digital Printing Order Format)データについて示される。DPOFは、デジタルカメラ用の記録フォーマットの一つであり、撮影した画像を、プリントサービスや家庭のプリンタで自動的にプリントするための情報を記述するものである。DPOFによれば、記録媒体内の各画像ファイルのうちユーザの印刷したいものの指定、画像のサイズ、タイトル、トリミング設定、機器情報、日付と時刻、ユーザ名、住所、電話番号などの情報を記録することができる。DPOFデータを含んだ記録媒体を対応プリンタに読み取らせれば、そのプリンタはDPOFデータに従ってその媒体内の画像を印刷する。
【0007】
しかし、DPOFは、デジタルカメラで撮影した画像のファイルに対する属性データを規定するものに過ぎず、上述した文書をスキャンした画像の再印刷やOCR処理等についての問題に十分に応えるものではない。例えば、デジタルカメラでは被写体に両面、片面の区別はなく、また被写体のサイズという概念もない。DPOFでは、印刷サイズや部数、紙種等をユーザが指定できるが、原稿或いは被写体とは基本的に無関係である。
【0008】
【特許文献1】特開2003−011465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題点の少なくとも1つを解決する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの側面では、画像読取部に原稿の画像を光学的に読み取らせ、得られた画像のデータを出力する画像読取システムであって、画像読取部が検知した原稿の原稿属性を取得する属性取得部と、取得した原稿属性と、読取により得られる画像データとを対応づけて出力する画像出力部と、を備える画像読取システム、を提供する。
【0011】
好適な態様では、前記原稿属性には、原稿がカラーか白黒かを示すカラーモード、原稿のサイズ、両面原稿又は片面原稿の種別、両面の表面又は裏面の種別、複数枚の原稿束のうちの何枚目であるかを示す情報、のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0012】
本発明の別の側面では、画像読取部に原稿の画像を光学的に読み取らせ、得られた画像から画像データを生成する画像読取システムであって、原稿の読取属性を決定する読取属性決定部と、決定された読取属性に従って画像読取部に原稿を読み取らせ、その結果得られる画像を取得して画像データを生成する読取制御部と、指定された読取属性と、画像データとを対応づけて出力する画像出力部と、を備える画像読取システム、を提供する。
【0013】
好適な態様では、前記読取属性には、原稿サイズ、片面読取か両面読取かの読取種別、両面読取の場合の原稿の綴じ方向、読取解像度、読取結果に対し地色除去を行うか否かの区別、シャープネス値、読取において裏写り防止処理を行うか否かの区別、のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0014】
更に別の好適な態様では、前記原稿属性又は前記読取属性をページごとに求め、ページごとの画像データに対応づけて出力する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下「実施形態」と呼ぶ)について説明する。
【0016】
まず、図1を参照して、本実施形態の方式を実装した複合機100の構成例を説明する。
【0017】
複合機100において、画像読取部102は、原稿表面の画像を光学的に読み取る装置である。
【0018】
操作部/表示部104は、複合機100のユーザインタフェース機構であり、複合機100の操作画面や各種情報画面を表示したり、画面表示された情報に基づきユーザが入力する指示やパラメータを取得する。例えば、操作部/表示部104は、例えば、液晶タッチパネルとこれを用いて表示及び入力受付処理を行うプログラム、及びスタートボタンや数字キーなどのボタンやキーなどを備える。
【0019】
周知のように、複合機100は、画像読取の指示を受ける際、ユーザから読取処理に関する各種の属性(パラメータ)の入力を受けることができる。例えば、このようにユーザが指定する読取属性のことを「ユーザ指定属性」と呼ぶことにする。ユーザ指定属性には、例えば読取対象の原稿の用紙サイズ(原稿サイズ)、片面読取か両面読取かの読取種別、両面読取の場合の原稿の綴じ方向、読取解像度、読取結果に対し地色除去を行うか否かの区別、シャープネス値、読取において裏写り防止処理を行うか否かの区別、などがある。ユーザ指定属性は、操作部/表示部104から入力される。
【0020】
原稿属性読取部106は、画像読取部102の原稿読取動作により判明する原稿の属性(以下、「原稿属性」と呼ぶ)を画像読取部102から取得する。原稿属性には、例えば原稿がカラーであるか白黒であるかの区別、原稿サイズ、両面原稿/片面原稿の種別、両面の表面/裏面の種別、複数枚の原稿束のうちの何枚目であるかを示す情報、などがある。原稿属性読取部106は、画像読取部102が出力する読取画像データからそれら原稿属性を検知してもよい。
【0021】
画像読取部102は、操作部/表示部104から入力されたユーザ指定属性に従って原稿読取を実行する。また、画像読取部102の読取動作を、原稿属性読取部106が読み取った原稿属性に応じて制御する場合もある。また、複合機100は、画像読取部102が出力した生の読取画像データに対し各種の画像処理を施すが、その画像処理はユーザ指定属性や原稿属性に従って制御される。
【0022】
属性決定部108は、操作部/表示部104から入力されたユーザ指定属性と、原稿属性読取部106が取得した原稿属性との競合の有無をチェックする。例えば原稿サイズは、ユーザ指定属性と原稿属性の両方に含まれるので、競合が生じる可能性がある。このチェックの結果、競合する属性項目があると判明した場合には、属性決定部108は、どちらを優先するかを規定した規則(属性項目ごとに定められる)に従って、いずれか一方を選択する。この競合判定の結果選択された属性項目を用いて画像読取部102や読取画像データの画像処理を制御する場合もある。
【0023】
画像データ/属性対応付け部110は、読取画像データ(ただし、最終的に決定された属性に従って画像処理を施されたもの)と、属性決定部108が判定した属性データとを相互に対応づけて、複合機100内の記憶装置、又はネットワーク上に設けられた画像蓄積部120に登録する。
【0024】
図2は、本実施形態の複合機100の実行する処理の手順を示す。この手順では、まず複合機100は、ユーザの指示に応じて画像読取部102にて原稿を読み取る(S1)。その指示の際に既にユーザ指定属性は取得されており、読取の際に原稿属性が取得される。複合機100は、読み取った画像データに対し、ユーザ指定属性や原稿属性によって決まる所定の画像処理(例えば地色除去、カラー原稿用の階調補正、白黒原稿用の画像処理など)を施し、得られた画像データに画像圧縮を施す(S2)。画像圧縮では、カラーモード(カラー/白黒の種別)や原稿種別ごとに適切な方法で圧縮を行う。例えば、フルカラー原稿やグレースケール原稿の場合はJPEG圧縮を行い、白黒2階調の原稿の場合はMMR圧縮を行う。カラー/グレースケール/白黒二値といった原稿種別は、読取画像データの解析により判定できる。このように圧縮された画像データは、例えば、PDFやTIFFなどと言った所定のファイル形式のファイルに格納される。
【0025】
次に複合機100は、属性付加モードが選択されているか否かを判定する(S3)。属性付加モードは、読み取った画像データのファイルに対して、属性データを対応づけて保存するモードである。複合機100は、この属性付加モードを選択するかしないかを指定するユーザインタフェースを備え、それに対してユーザが選択/非選択を指定できる。
【0026】
属性付加モードが選択されている場合、属性決定部108が原稿属性及びユーザ指定属性を取得し(S4,S5)、競合判定をして各属性項目の値を決定し(S6)、決定された各属性項目の値の組をジョブチケットに変換する(S7)。ジョブチケットは、印刷属性を記述する一種のファイルであり、例えば特開平9−179833号公報や特開平11−134134号公報等に説明がある。ただし、ジョブチケットはあくまで一例に過ぎない。ステップS7で作成するデータは、印刷属性を記述する他の形式のファイルやデータであってもよい。更に言えば、印刷に限らず広くジョブ一般の処理属性を規定するデータ形式のファイルやデータであってもよい。いずれにしても、保存した画像データのファイルを処理する装置として想定している後段の装置(例えばプリンタやOCRソフト)が解釈可能な形式のデータであれば、どのようなものでもよい。
【0027】
なお、ステップS6では、属性の値を読み取ったページごとに決定することができる。例えば、読み取ったページが1枚の原稿の表面なのか裏面なのかという属性は、ページごとに決定される。また、表面がカラーで印刷され裏面が白黒で印刷さているような原稿も考えられ、そのような原稿の場合、ページごとにカラー/白黒の種別が異なる。原稿属性の方は、このように原稿のページごとに値が異なる場合も少なくない。一方、ユーザ指定属性の方は、1つのジョブ(ADFにセットされた原稿束)内の全てのページに共通することが多いが、このような共通の属性についても、ページごとに持たせてもよい(もちろん、共通属性とページごとの属性とを別々にジョブチケット乃至その他の属性データに記述してもよい)。
【0028】
そして、画像データ/属性対応付け部110は、ステップS2で作成された画像データのファイルと、ステップS7で作成されたジョブチケットとを対応付けを行い(S8)、複合機100のローカルの記憶装置に保存したり、ネットワーク上にある画像蓄積部120に転送して登録したりする(S9)。
【0029】
ここで、画像データとジョブチケット(処理属性データ)との対応付けは、例えば、それら両方にお互いの識別情報を持たせたり、いずれか一方に他方の識別情報を持たせることで実現できる。ここで、画像データやジョブチケットの識別情報は、この複合機100と、これが作成した画像データを利用する印刷装置やその他の装置とからなるシステムの中で一意なものであればよい。例えば、複合機100の識別番号と、複合機100内で生成した一意な番号との組合せを画像データ等の識別情報として用いてもよい。
【0030】
また、例えば、画像データとジョブチケットとの対応関係を示すデータベースを複合機100内又は画像蓄積部120に構築し、生成した画像データとジョブチケットの対応関係をそのデータベースに登録してもよい。この場合、データベースには、例えば画像データの識別情報と、これに対応するジョブチケットの識別情報とが登録される。画像データ又はジョブチケットを利用する側の装置は、このデータベースにアクセスすることで、それに対応するジョブチケット又は画像データを特定することができる。
【0031】
また、画像データとジョブチケットとを、同時に、或いは1つの通信セッションの中で順番に相手側の装置に送信することも、「対応付け」の一態様である。
【0032】
また、ジョブチケットではなく、画像データのファイルの中に、メタデータや属性データとして、その処理属性のデータを組み込んでもよい。これも「対応付け」の一態様である。
【0033】
なお、ステップS3で属性付加モードが選択されていないと判定した場合、複合機100はステップS2で生成された画像データのファイルを、ローカルの記憶装置や画像蓄積部120に単に保存する。
【0034】
このような対応付けがなされていることで、画像データを利用する側の装置は、画像データとそれに対応するジョブチケット(処理属性データ)とを正しく入手し、そのジョブチケットに従って画像データを処理することができる。
【0035】
ここで、複写機100で取得できる属性の一つとして、両面原稿、片面原稿の種別を用いた処理制御の例を、図3〜図5を用いて説明する。
【0036】
例えば、元原稿として、図3に示すような4枚からなる原稿があったとする。この元原稿は、1枚目は両面、2,3枚目は片面、4枚目は両面である。このような元原稿を複写機100で両面モードで読み取ることを考える。ここで、複写機100は、白紙検知機能を有しているとする。白紙検知機能は、例えば読み取った用紙一面の画像の像密度(平均値)を求め、その像密度が所定の閾値以下の場合にその面を白紙と判定する。或いは、用紙一面の各部分の像密度を求め、それら各部分の像密度が全て所定の閾値以下の場合にその面を白紙と判定する。そして、白紙と判定した面の画像データは、削除する。これが一般的な白紙検知機能の概要である。
【0037】
このような白紙検知機能を持つ複写機100に図3に例示したような元原稿を両面モードで読み取らせた場合、4枚の用紙のうち2枚は裏面が白紙なので、図4に示すように、6ページのページ画像が得られる。そして、各ページ画像には、それぞれ「1枚目の表」、「1枚目の裏」、「2枚目の表」などといった属性が対応づけられる。この属性は、読取動作において求めることができる情報である。2枚目の裏面は白紙なので、「2枚目の裏」という属性を持つページ画像は存在しない。本実施形態の複合機100は、このように、複数のページ画像を含んだ画像ファイルと、それら各ページ画像がそれぞれ何枚目の表か裏かを示す属性データとを対応づけて出力する。
【0038】
この画像ファイルと属性データとを受け取った印刷装置は、属性データを解釈することで、画像ファイル内の各ページ画像が何枚目のどちらの面なのかを判別できる。したがって、例えば画像ファイル中の最初の2ページはそれぞれ1枚目の用紙の表と裏に両面印刷し、3ページ目は2枚目の表に、4ページ目は3枚目の用紙の表に印刷するといった制御が可能になる。これにより、図3の元原稿と同じページ配置の印刷結果を得ることができる。ページ配置が重要な文書をスキャンして保存する場合、再印刷時にそのようにページ配置が再現できると非常に有益である。
【0039】
なお、仮に、各ページの属性を画像データに対応づけない従来装置の場合、元原稿を読み取って得られる6ページの画像を単に両面印刷すれば、図5に示すように3枚の用紙に印刷されることになり、元原稿のページ配置が再現されない。また、片面印刷した場合も、同様に元原稿と異なったページ配置となる。
【0040】
複合機100が互いに対応づけて出力した画像データと属性データを受け取って印刷する印刷装置(複合機やデジタル複写機でもよい)の処理手順の例を、図6を参照して説明する。
【0041】
この例では、印刷装置は、ユーザの印刷指示に従い、印刷対象の画像データと、これに対応する属性データ(ジョブチケット)とを取得する(S101)。ここでは、例えば、ユーザが画像蓄積部120にアクセスし、自分の印刷したい画像データとそれに対応する属性データとを取得し、それを印刷装置に渡して印刷を指示してもよい。また、画像蓄積部120内のユーザが印刷したい画像データ又は属性データのURLを印刷装置に送信して印刷指示を行い、これに応じ印刷装置が画像データと属性データのペアをダウンロードしてもよい。また、ユーザが画像データ又は属性データ(ジョブチケット)を持っている場合、それを印刷装置に送って印刷指示を行い、これに応じ印刷装置が画像蓄積部120にアクセスし、それに対応する属性データ又は画像データをダウンロードするようにしてもよい。
【0042】
次に印刷装置は、属性データ(ジョブチケット)を解釈し、その画像データを印刷する際の印刷パラメータ(印刷属性)を設定する(S102)。属性データは印刷装置が解釈可能な物であるため、このようなパラメータ設定が可能である。前述の例で言えば、画像の1,2ページ目は1枚目の用紙の表裏にそれぞれ印刷し、3ページ目は2枚目の表、4ページ目は3枚目の表に印刷する、と言ったパラメータを設定する。
【0043】
そして、印刷装置は、設定された印刷パラメータに従って動作することで、その画像データの各ページを用紙に印刷する(S103)。
【0044】
このように、印刷装置は、原稿の属性やその原稿を読み取った時の読取(読取後の画像処理も含む)の属性に応じて印刷処理を制御するので、原稿の性質や読取処理の性質に応じて適切な印刷制御を実現することができる。
【0045】
以上の例は、属性データに従って自動的に印刷パラメータを設定し、画像データを印刷する場合の例であった。別の例として、ユーザが印刷装置に対して画像データに対する印刷パラメータを指定することがある場合の処理手順を、図7を参照して説明する。
【0046】
この例では、ユーザからの印刷指示には印刷パラメータ(属性)の指定が含まれる場合がある。この指示を受けた印刷装置は、画像蓄積部120から印刷対象の画像データと属性データを取得すると(S11)、印刷指示にユーザ(印刷指示者)が指定した印刷パラメータの指定が含まれるか否かを判定する(S12)。含まれていなければ、属性データを解釈して印刷パラメータを設定する(S18)。含まれていれば、印刷指示者が指定した印刷パラメータと、属性データが示す印刷パラメータとの間で競合する項目の有無を判定する(S13,S14)。競合するパラメータ項目がなければ、印刷指示者が指定したパラメータ項目と、属性データが示すパラメータ項目の値を印刷パラメータに設定する(S17)。競合するパラメータ項目があれば、印刷装置は、その項目について、印刷指示者自身が指定した値と属性データに示された値のいずれを選択するかを印刷指示者に問い合わせる(S15)。この問合せでは、例えば印刷指示された画像データに属性データがあることを示すメッセージを印刷装置のユーザインタフェース画面に表示(リモートのPCからの印刷指示の場合は、メッセージをPCに送信)し、いずれを選択するかを印刷指示者に問い合わせる。競合するパラメータ項目については印刷指示者の選択した値を採用し、競合しない項目についてはユーザ指定及び属性データのそれぞれの値を採用することで印刷パラメータを決定する(S16)。
【0047】
以上のようにして印刷パラメータが設定されると、印刷装置はそれに従って画像データを印刷する。
【0048】
次に、属性データのOCR処理への利用の例を、図8を参照して説明する。図8の手順は、PCやワークステーションやサーバにインストールされたOCRプログラムが実行する手順である。
【0049】
この手順では、まずOCRプログラムは、ユーザが指示したOCR対象の画像データと、これに対応する属性データとを画像蓄積部120から取得する(S21)。次にOCRプログラムは、属性データを調べ、地色除去済みの属性項目が含まれているか否かを判定する(S22)。地色除去済みの属性があれば、その画像データに対して、地色除去済みであることを考慮したOCR処理を施す(S23)。一方、地色除去属性が地色除去無しであれば、OCRプログラムが画像データに対して地色除去を施し、その地色除去の結果に対してOCR処理を施す(S24)。
【0050】
このような処理手順によれば、画像データが地色除去されているか否かに応じて、適切なOCR処理を施すことができる。
【0051】
画像読取部102とその後段の画像処理部(図示省略)は、OCR以外にも、裏写り防止(両面原稿を読み取った画像から、薄く現れている裏面側の画像を除去する処理)など、各種の画像調整のための処理を行う場合がある。したがって、そのような各種の画像調整処理を行ったか否かの情報を属性データに組み込むようにすれば、画像データに対してOCR処理を施す際、その画像データがすでに受けている画像処理の内容をOCRプログラムが把握できるので、その画像データの画質に適したOCR処理を施すことができる。
【0052】
また、以上では、画像データに対する処理としてOCRを例にとったが、OCR以外の処理についても、画像データがすでに受けている画像処理の内容が分かると、処理の効率や精度の向上が期待できるものがあり、本実施形態の方式はそのような各種処理に適用可能である。
【0053】
以上に説明したように、本実施形態によれば、原稿の属性や読取(読取後の画像処理も含む)の属性のデータを読み取った画像データに対して対応づけて出力するので、その画像データを処理する印刷装置や画像処理ソフトウエアなどの各種処理装置は、原稿の性質や読取処理の性質に応じて適切な処理を実行することができる。
【0054】
以上では、画像データ中の各ページ画像が原稿束の何枚目か及び表か裏かという属性と、地色除去の有無の属性とについて、その利用の仕方を説明した。しかし、このほかの属性も画像データの処理に利用できる。
【0055】
例えば、原稿サイズは、ユーザ指定属性又は原稿属性として得ることができるが、この原稿サイズを属性データに含めておけば、印刷時に原稿と同じサイズの用紙に印刷することができる。
【0056】
また、カラーモード(原稿がカラーか白黒二値かグレースケールか)を属性データに組み込めば、画像データをそのカラーモードに応じて印刷したり、そのカラーモードに応じた適切な画像処理(例えば圧縮処理など)を施すことができる。
【0057】
また、複合機100の中には、両面読取において原稿の綴じ方向をユーザが指定できるものがある。綴じ方向は、両面原稿を上下開きで読むのか、左右開きで読むのかを示す属性である。上下開きと左右開きとでは、表面の画像と裏面の画像の相対的な向きが異なる。綴じ方向の指定を受けた場合、複合機100は、その綴じ方向に従い、必要に応じて裏面の画像を上下反転させることで、読み取った各面の画像が同じ向きになるようにする。このようにして生成した画像データに綴じ方向の属性データを対応づけておけば、印刷装置がその画像データを再印刷する際に、オリジナルの原稿と同じ綴じ方向になるように必要に応じてページの画像を回転させて印刷することができる。
【0058】
また、両面読取か片面読取かの属性を画像データに対応づけておけば、印刷装置は両面読取の場合は各ページの画像を両面印刷し、片面読取の場合は片面印刷することができる。
【0059】
また、ユーザに指定された読取解像度を属性データとして画像データに対応づけておけば、印刷装置がその画像データを印刷する際に、その読取解像度に適した印刷解像度やハーフトーンスクリーンを用いて印刷することができる。例えば、印刷解像度が読取解像度の整数倍であるなど、印刷解像度が読取解像度に対して所定の関係となる場合、モアレなどの画質劣化が生じやすくなる。そこで、読取解像度に対してそのような関係にならない印刷解像度を選択することで、印刷時の画質劣化を抑えることができる。ハーフトーンスクリーンの場合も、線数と読取解像度との関係によってはモアレ等の画質劣化が生じやすくなるので、印刷装置は読取解像度に対してそのような関係とならないスクリーンを選択する。
【0060】
また、ユーザが指定したシャープネス値(画像のエッジの鮮鋭度)を属性データとして画像データに対応づければ、印刷装置でその画像データを印刷又は処理する場合、そのシャープネス値に適した画像処理を施した上で印刷することができる。画像データに対して画像処理装置やソフトウエアで画像処理を施す場合も、シャープネス値に応じた処理を施すことができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の装置は、原稿を読み取る際に得られる原稿属性や読取(及びその際の画像処理)処理の属性を属性データとして画像データに対応づけて出力するので、その画像データを処理する印刷装置等の装置は、属性データを参照することで、原稿自体の性質や読取(及び画像処理)の内容に応じた処理を行うことができる。
【0062】
なお、従来技術であるDPOFは、印刷側で用いる用紙のサイズや印刷枚数などを属性データとしてデジタルカメラ側で指定できるが、原稿(デジタルカメラで言えば被写体)に関する属性や読取(及び読取画像に対する画像処理)の属性を取り込むことはできない。
【0063】
以上では、本発明を複合機に適用した場合の例を示したが、当業者ならば容易に理解できるように、スキャナなどの画像読取装置一般に本発明は適用可能である。また、本発明は、スキャナとこれを制御するPCやワークステーションとの組合せとして実装することもできる。この場合、スキャナが図1の構成における画像読取部102に相当し、その他の部分がPC上のソフトウエアに相当する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施形態の複合機の機能構成を示すブロック図である。
【図2】複合機の実行する処理手順を示すフローチャートである。
【図3】両面と片面の原稿が混在した原稿束を例示した図である。
【図4】図3の原稿束を読み取った時に得られる属性付きの画像データを模式的に示す図である。
【図5】属性を対応づけて保存しない従来装置で、図3のような読取結果を印刷した場合に得られるページ配置を説明するための図である。
【図6】実施形態の複合機が生成した画像データと属性データとを利用する印刷装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】画像データと属性データとを利用する印刷装置の動作の別の一例を示すフローチャートである。
【図8】属性データをOCR処理に利用する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
102 画像読取部、104 操作部/表示部、106 原稿属性読取部、108 属性決定部、110 画像データ/属性対応付け部、120 画像蓄積部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取部に原稿の画像を光学的に読み取らせ、得られた画像のデータを出力する画像読取システムであって、
画像読取部が検知した原稿の原稿属性を取得する属性取得部と、
取得した原稿属性と、読取により得られる画像データとを対応づけて出力する画像出力部と、
を備える画像読取システム。
【請求項2】
請求項1記載の画像読取システムであって、
前記原稿属性には、原稿がカラーか白黒かを示すカラーモード、原稿のサイズ、両面原稿又は片面原稿の種別、両面の表面又は裏面の種別、複数枚の原稿束のうちの何枚目であるかを示す情報、のうちの少なくとも1つが含まれる、
画像読取システム。
【請求項3】
画像読取部に原稿の画像を光学的に読み取らせ、得られた画像から画像データを生成する画像読取システムであって、
原稿の読取属性を決定する読取属性決定部と、
決定された読取属性に従って画像読取部に原稿を読み取らせ、その結果得られる画像を取得して画像データを生成する読取制御部と、
指定された読取属性と、画像データとを対応づけて出力する画像出力部と、
を備える画像読取システム。
【請求項4】
請求項3記載の画像読取システムであって、
前記読取属性には、原稿サイズ、片面読取か両面読取かの読取種別、両面読取の場合の原稿の綴じ方向、読取解像度、読取結果に対し地色除去を行うか否かの区別、シャープネス値、読取において裏写り防止処理を行うか否かの区別、のうちの少なくとも1つが含まれる、
画像読取システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像読取システムであって、
前記原稿属性又は前記読取属性をページごとに求め、ページごとの画像データに対応づけて出力することを特徴とする画像読取システム。
【請求項6】
画像読取部に原稿の画像を光学的に読み取らせ、
画像読取部が検知した原稿の原稿属性を取得し、
取得した原稿属性と、読取により得られる画像データとを対応づけて出力する、
画像読取制御方法。
【請求項7】
原稿の読取属性を決定し、
決定された読取属性に従って画像読取部に原稿を読み取らせ、
その結果得られる画像を取得して画像データを生成し、
指定された読取属性と、画像データとを対応づけて出力する、
画像読取制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−174601(P2007−174601A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373198(P2005−373198)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】