説明

画像読取装置、画像形成装置及び調整用原稿

【課題】調整用原稿からパラメータを適切に読み取れない場合でも少なくとも一部の画像調整処理を実行する。
【解決手段】調整用原稿には、主走査方向に同じ色味を示すライン状の画像が副走査方向に並列して付され、余白領域内の主走査方向にそれぞれ離間して予め定められた複数箇所にライン状の画像が読み取られたデータを用いて画像調整処理を行う場合に用いるパラメータを示すパラメータ画像が付され、更に余白領域のパラメータ画像を付すに足りない領域内の予め定められた箇所にパラメータを用いた画像調整処理の少なくとも一部の処理を実行させる副パラメータを示す副パラメータ画像が付され、パラメータ画像が読み取られたデータが互いに全て一致しない場合、副パラメータ画像が読み取られたデータの示す副パラメータを用いて前記少なくとも一部の画像調整処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置により画像調整に用いる調整用原稿を読み取る際の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スキャナ等の画像読取装置が原稿を読み取ることで生成した原稿の画像データを処理する画像形成装置が用いられており、例えば、スキャナ自身や、スキャナによって読み取られた原稿の画像データを処理する複写機、ファクシミリ及びこれらの複合機等が用いられている。
【0003】
ここで、原稿の画像データは、画像読取装置の読み取り特性により、必ずしも原稿に現われていた本来の画像そのものを示すものとは限らないため、例えば、所定枚数読み取り後や所定時間経過後等の定期的に、或いは、出力される画像データに著しい異常が見られた場合等に、所定の画像濃度を再現すべく画像濃度を調整する入力γ調整や、所定の色彩を再現すべくYMCK各色の濃度等を調整するMTF(Modulation Transfer Function)/マトリクス調整等の画像調整が行われる。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、予め測定された色度値を表すバーコードが付された基準白色基準板が原稿台ガラス上に貼り付けられ、当該白色基準板を読み取って得た出力信号が当該バーコードにて表された色度値とほぼ等しくなるように、光源の光量及び原稿の読み取り時の出力信号のレベル調整を行う技術が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、複数の階調パッチと各パッチに対応する濃度基準値を記録したバーコードとを含む基準チャートを読み取って、当該読み取った階調パッチの読取濃度値とバーコードが示す濃度基準値とから、複数の階調パッチの各々に対する補正比率を算出し、当該算出した補正比率を用いて作成された階調テーブルを利用して読取特性の補正を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−273954号公報
【特許文献2】特開2010−200284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来では、上記特許文献1に記載された白色基準板や、上記特許文献2に記載された基準チャートを読み取った場合に、原稿台の汚れや白色基準板及び基準チャート自体の汚れに起因してバーコードの読み取りに失敗する虞があり、バーコードが示す、色度値や濃度基準値等の画像調整処理で用いられるパラメータを取得することができずに適切に画像調整処理が行えない虞があった。
【0008】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、画像調整用原稿に付された画像調整処理で用いられるパラメータを適切に読み取ることができない場合であっても、当該画像調整用原稿を用いた画像調整処理のうち、少なくとも一部の処理を実行することができる画像読取装置、画像形成装置及び調整用原稿を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、 原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に載置された原稿に対して相対的に副走査方向に移動しながら当該原稿を読み取る画像読取処理を行う画像読取部と、
前記画像読取処理によって画像調整用の原稿である調整用原稿が読み取られたデータを用いて画像調整処理を行う画像調整部と、
前記画像調整処理の実行指示を受け付ける指示受付部と、
前記指示受付部によって前記画像調整処理の実行指示が受け付けられると、前記調整用原稿を読み取る前記画像読取処理を前記画像読取部に実行させ、当該画像読取処理によって生成されたデータを用いて前記画像調整処理を前記画像調整部に実行させる実行制御部と、
を備え、
前記調整用原稿には、主走査方向に同じ色味を示すライン状の画像が副走査方向に並列して付され、更に、前記ライン状の画像が付されていない余白領域内において主走査方向にそれぞれ離間して予め定められた複数箇所に、前記ライン状の画像が前記画像読取処理によって読み取られたデータを用いて前記画像調整処理を行う場合に用いるパラメータを示すパラメータ画像が付され、更に、前記余白領域内の前記パラメータ画像が付されていない余白領域における前記パラメータ画像を付すに足りない領域内の予め定められた箇所に、前記パラメータを用いた前記画像調整処理のうちの少なくとも一部の処理を実行させる副パラメータを示す副パラメータ画像が付され、
前記実行制御部は、前記調整用原稿を読み取る前記画像読取処理を前記画像読取部に実行させ、前記パラメータ画像が読み取られたデータが互いに全て一致しないと判断すると、前記副パラメータ画像が読み取られたデータの示す前記副パラメータを用いて、前記パラメータを用いた前記画像調整処理のうちの少なくとも一部の処理を前記画像調整部に実行させる画像読取装置である。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、原稿が載置される原稿台と、前記原稿台に載置された原稿に対して相対的に副走査方向に移動しながら当該原稿を読み取る画像読取処理を行う画像読取部と、前記画像読取処理によって画像調整用の原稿である調整用原稿が読み取られたデータを用いて画像調整処理を行う画像調整部と、前記画像調整処理の実行指示を受け付ける指示受付部と、前記指示受付部によって前記画像調整処理の実行指示が受け付けられると、前記調整用原稿を読み取る前記画像読取処理を前記画像読取部に実行させ、当該画像読取処理によって生成されたデータを用いて前記画像調整処理を前記画像調整部に実行させる実行制御部と、を備え、前記実行制御部は、前記調整用原稿を読み取る前記画像読取処理を前記画像読取部に実行させ、前記調整用原稿の予め定められた複数箇所に付されたパラメータ画像が読み取られたデータが互いに全て一致しないと判断すると、前記調整用原稿に付された副パラメータ画像が読み取られたデータの示す副パラメータを用いて、前記調整用原稿に付されたライン状の画像が読み取られたデータを用いた前記画像調整処理のうちの少なくとも一部の処理を前記画像調整部に実行させる画像読取装置における前記画像調整処理で用いる前記調整用原稿であって、
主走査方向に同じ色味を示す前記ライン状の画像が副走査方向に並列して付され、更に、前記ライン状の画像が付されていない余白領域内の主走査方向においてそれぞれ離間して前記予め定められた複数箇所に、前記ライン状の画像が前記画像読取処理によって読み取られたデータを用いて前記画像調整処理を行う場合に用いるパラメータを示す前記パラメータ画像が付され、更に、前記余白領域内の前記パラメータ画像が付されていない余白領域における前記パラメータ画像を付すに足りない領域内の予め定められた箇所に、前記パラメータを用いた前記画像調整処理のうちの前記少なくとも一部の処理を実行させる前記副パラメータを示す前記副パラメータ画像が付されている調整用原稿である。
【0011】
これらの発明では、調整用原稿のライン状の画像が付されていない余白領域内において主走査方向にそれぞれ離間して予め定められた複数箇所に付されたパラメータ画像を全て適切に読み取ることができない場合であって、調整用原稿のライン状の画像が付されていない余白領域に、既に付されているパラメータ画像とは異なるパラメータ画像を更に付す領域が存在していないときでも、前記余白領域内のパラメータ画像が付されていない余白領域における予め定められた箇所に、副パラメータを示す副パラメータ画像が付されているため、当該副パラメータ画像を読み取ったデータの示す副パラメータを用いて、パラメータ画像が示すパラメータを用いた画像調整処理のうちの少なくとも一部の処理を実行することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像読取装置であって、前記パラメータを記憶するパラメータ記憶部を更に備え、
前記実行制御部は、前記パラメータ画像が読み取られたデータが互いに全て一致しないと判断すると、前記副パラメータ画像が読み取られたデータの示す前記副パラメータが、前記パラメータ記憶部に記憶されている前記パラメータが示す要素の少なくとも一部に一致するか否かを判断し、当該一致するものと判断したときは、前記パラメータ記憶部に記憶されている前記パラメータを用いて前記画像調整処理を前記画像調整部に実行させる。
【0013】
この発明では、パラメータ画像を全て適切に読み取ることができない場合であっても、副パラメータ画像が読み取られたデータの示す副パラメータが、パラメータ記憶部に記憶されているパラメータが示す要素の少なくとも一部に一致するときには、パラメータ記憶部に記憶されている当該パラメータを用いて、画像調整処理を少なくとも一部の処理に制限することなく実行することができる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、外部機器との間で各種のデータを通信する通信部を更に備え、
前記実行制御部は、前記パラメータ画像が読み取られたデータが互いに全て一致しないと判断すると、前記通信部を介して前記外部機器から前記パラメータを受信して、前記副パラメータ画像が読み取られたデータの示す前記副パラメータが、当該受信した前記パラメータが示す要素の少なくとも一部に一致するか否かを判断し、当該一致するものと判断したときは、当該受信した前記パラメータを用いて前記画像調整処理を前記画像調整部に実行させる。
【0015】
この発明では、パラメータ画像を全て適切に読み取ることができない場合であっても、副パラメータ画像が読み取られたデータの示す副パラメータが、通信部を介して外部機器から受信したパラメータが示す要素の少なくとも一部に一致するときには、当該受信したパラメータを用いて、画像調整処理を少なくとも一部の処理に制限することなく実行することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れかに記載の画像読取装置と、
前記画像読取部によって画像形成対象の原稿が読み取られたデータを用いて、当該データが示す画像を記録媒体に形成する記録部と、
を備えた画像形成装置である。
【0017】
この発明によれば、画像読取部によって画像形成対象の原稿が読み取られたデータが示す、適宜画像調整処理が行われた画像を記録媒体に形成することができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置であって、前記ライン状の画像、前記パラメータ画像、及び前記副パラメータ画像を記録媒体に形成するための調整用データを記憶する記憶部を備え、
前記記録部は、前記記憶部から読み出した前記調整用データを用いて、前記ライン状の画像、前記パラメータ画像、及び前記副パラメータ画像を記録媒体に形成して前記調整用原稿を生成する。
【0019】
この発明によれば、請求項4に記載の発明における効果を奏することができるとともに、適宜画像調整処理が行われたライン状の画像及びパラメータ画像を記録媒体に形成して調整用原稿を生成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像調整用原稿に付された画像調整処理で用いられるパラメータを適切に読み取ることができない場合であっても、当該画像調整用原稿を用いた画像調整処理のうち、少なくとも一部の処理を実行することができる画像読取装置、画像形成装置及び調整用原稿を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例としての複合機の概略構成図。
【図2】複合機の電気的な構成を示すブロック図。
【図3】調整用原稿の一例を示す説明図。
【図4】画像調整処理が実行される際の動作の一例を示すフローチャート。
【図5】画像調整処理が実行される際の動作の別の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る画像読取装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態では、本発明に係る画像読取装置及び画像形成装置の一例を、カラーコピー、スキャナ、ファクシミリ、プリンタ等の機能を備えた複合機に集約した形態を例に説明する。
【0023】
図1に示すように、複合機1は、画像読取装置20と装置本体30とを備えている。画像読取装置20は、原稿搬送部21と画像読取部22と図略の画像処理部23を備えている。
【0024】
原稿搬送部21は、ADF(Automatic Document Feeder:自動給紙装置)を実現するものであり、原稿載置台241、給紙ローラ232、搬送ドラム233、排紙ローラ234及び排紙トレイ235を備えている。
【0025】
原稿載置台241は、原稿が載置される場所であり、原稿載置台241に載置された原稿は1枚ずつ給紙ローラ232によって取り込まれて搬送ドラム233へ搬送される。搬送ドラム233を経由した原稿は排紙ローラ234によって排紙トレイ235へ排出される。
【0026】
画像読取部22は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成し、図略の画像処理部23に出力する。画像読取部22は、装置本体3に設けられている。画像読取部22は、本発明に係る原稿台の一例としてのコンタクトガラス221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、CCD(Charge Coupled Device)229を備えている。尚、光源222及び第1ミラー223は、第1キャリッジ226によって支持され、第2ミラー224及び第3ミラー225は第2キャリッジ227によって支持されている。
【0027】
画像読取部22は、光源222として例えば白色LED等の白色蛍光ランプが用いられ、上記第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227及び結像レンズ228により、光源222から原稿に向けて光が照射された際に、原稿から反射される反射光をCCD229に導くものである。
【0028】
CIS231は、画像読取部22よりも原稿搬送方向下流側に設けられている。CIS231は、原稿搬送路において、画像読取部22によって読み取られる原稿面とは反対側の面を読取可能な位置に設けられている。
【0029】
画像読取装置20の原稿読取方法としては、コンタクトガラス221上に載置された原稿を画像読取部22が読み取るフラットベッド読取モードと、原稿をADFによって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードがある。
【0030】
フラットベッド読取モードでは、光源222がコンタクトガラス221上に載置された原稿を照射し、主走査方向1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光は、CCD229の受光面で結像される。
【0031】
尚、CCD229は、一次元のイメージセンサであり、原稿の主走査方向1ライン分の反射光を受光すると、当該受光した反射光を光電変換して原稿の主走査方向1ライン分の画像データを出力する。
【0032】
このようにして、原稿の主走査方向1ライン分の読み取りが終了すると、主走査方向と直交する方向(副走査方向、矢印Y方向)に第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227が移動され、次のラインの読み取りが行われる。
【0033】
ADF読取モードでは、原稿載置台241に載置された原稿が給紙ローラ232によって1枚ずつ取り込まれ、搬送ドラム233から排紙トレイ235への搬送経路に設けられた読取位置230上を原稿が通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査方向1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。続いて、原稿は原稿搬送部21によって副走査方向に搬送され、次のラインが読み取られる。
【0034】
このように、画像読取部22は、フラットベッド読取モード又はADF読取モードによって、コンタクトガラス221に載置された原稿に対して相対的に副走査方向に移動しながら当該原稿を読み取る画像読取処理を行う。尚、以下の説明において、特に記載のないものについては、フラットベッド読取モードによって原稿の読み取りを行うことを前提に説明を行う。
【0035】
画像処理部23(図略)は、画像読取部22で原稿が読み取られて生成された画像データ(読み取られたデータ)に対して、シェーディング補正や、レベル補正、ガンマ補正等の補正処理、画像データの圧縮又は伸長処理、拡大又は縮小処理などの画像補正処理を行う。当該処理後の画像データは、後述する記録部40で画像形成する際に用いられる。
【0036】
装置本体30は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から用紙(記録媒体)を1枚ずつ繰り出して記録部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた用紙に画像を形成する記録部40と、左方に配設されたスタックトレイ60と、を備える。
【0037】
装置本体30は、更に、手差しトレイ471を備え、この手差しトレイ471からは何れの給紙カセットにも収納されていないサイズの用紙や、既に一方の面に画像形成がなされている用紙(裏紙)、OHPシートのような任意の記録媒体が載置可能であり、給紙ローラ472によって1枚ずつ装置本体30内に給紙される。
【0038】
記録部40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を帯電させる帯電装置422と、画像読取部22で取得され、画像処理部23で補正された画像データに基づいて、レーザ光を出力して感光体ドラム43表面を露光し、感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、上記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44C、44M、44Y、44Kと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像が転写されて重ね合わせされる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。
【0039】
尚、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色に対するトナーの供給は、不図示のトナー供給容器(トナーカートリッジ)から行われる。また、記録部40を通過した用紙をスタックトレイ60又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463及び464等が設けられている。
【0040】
装置本体30の前方には、操作部50が備えられている。操作部50は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部51と、操作者から操作指示が入力される操作キー部52を備える。
【0041】
操作キー部52は、テンキー、スタートキー、及び機能切換キー部等を備える。尚、スタートキーは、コピー動作やスキャン動作等の各動作を開始させる指示を操作者から受け付けるキーである。テンキーは、コピー部数を指定する指示等を操作者から受け付けるキーである。機能切換キー部は、スキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能及び後述する画像調整機能等を相互に切り替える機能切換指示を操作者から受け付けるキーである。
【0042】
表示部51は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり、タッチパネル機能を組み合わせたタッチパネルユニット等を備えている。表示部51は、種々の操作画面を表示するとともに、操作者が表示面(表示されている操作キー)をタッチすることで種々の機能の実行指令を入力することが可能とされている。
【0043】
次に、複合機1の電気的構成の一例について説明する。図2に示すように、複合機1は、上記の原稿搬送部21と画像読取部22と記録部40と操作部50と画像処理部23と、通信部30と、制御部10と、を備えている。
【0044】
通信部30は、各種のデータをパーソナルコンピュータなどの所定の外部機器(図示せず)との間で通信を行うものである。
【0045】
制御部10は、データを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有するRAM(Random Access Memory)、プログラムを予め記憶するフラッシュメモリ、及び、前記プログラム等をフラッシュメモリから読み出して実行するCPUを備えて構成されており、CPUとRAM及びフラッシュメモリとはデータバスを介してデータの授受を行うように構成されている。CPUは、フラッシュメモリに格納されているプログラムを適宜実行することで、そのプログラムの内容に応じた処理を実行する。
【0046】
制御部10は、画像調整部12と、指示受付部14と、実行制御部16と、パラメータ記憶部18として機能する。
【0047】
画像調整部12は、画像読取処理によって画像調整用の原稿である調整用原稿が読み取られたデータを用いて画像調整処理を行うものである。画像調整部12は、画像読取部22で読み取られたデータが画像読取部22の読み取り特性により、必ずしも原稿に現われていた本来の画像そのものを示すものとは限らないため、例えば、所定枚数読み取り後や所定時間経過後等の定期的に、或いは、出力されるデータに著しい異常が見られた場合等に、所定の画像濃度を再現すべく画像濃度を調整する入力γ調整や、所定の色彩を再現すべくYMCK各色の濃度等を調整するMTF(Modulation Transfer Function)/マトリクス調整等の画像調整処理を行う。
【0048】
例えば、図3に示すように、画像調整用の調整用原稿には、主走査方向に同じ色味を示すライン状の画像が副走査方向に並列して付され、更に、ライン状の画像が付されていない余白領域内において主走査方向にそれぞれ離間して予め定められた複数箇所に、本発明に係るパラメータ画像としての二次元バーコードD1〜D4が付されている。
【0049】
ここで、二次元バーコードD1〜D4は、濃度測定器等によって予めライン状の画像が全ライン分読み取られたデータのうちの、例えば、それぞれの二次元バーコードが付されている主走査方向の位置R1〜R4に対応するデータを示すように構成されている。
【0050】
図3に示す調整用原稿を利用した画像調整処理の一例として、画像調整部12は、当該調整用原稿のライン状の画像が画像読取部22で読み取られたデータのうちの主走査方向の位置R1〜R4に対応するデータと、二次元バーコードD1〜D4が画像読取部22で読み取られたデータが示す主走査方向の位置R1〜R4に対応するデータと、を比較して、そのずれ量から、画像読取部22で読み取られたデータを画像処理部23で補正処理する際の補正値を演算する処理を行う。
【0051】
つまり、二次元バーコードD1〜D4が示す主走査方向の位置R1〜R4に対応するデータは、調整用原稿を利用した画像調整処理を行う場合における目標値(パラメータ)を示すものとして用いられる。
【0052】
ここで、本発明に係るパラメータ画像は、上記の二次元バーコードに限定する趣旨ではなく、例えば、一次元バーコードとして調整用原稿に付される、又は、各データがそのまま文字列として調整用原稿に付される等、調整用原稿に付される表現形態を適宜変更してもよい。尚、画像読取部22で読み取られたパラメータ画像の画像データから、パラメータ画像が示すデータであるパラメータを取得するためのパラメータ画像の表現形態に応じた機構が設けられていることは言うまでもない。
【0053】
また、調整用原稿には、更に、余白領域内の二次元バーコードD1〜D4が付されていない余白領域において、既に付されている二次元バーコードD1〜D4とは異なる主走査方向の領域に対応するパラメータを示す、二次元バーコードD1〜D4と同様の二次元バーコードを更に付すことができない領域内の予め定められた箇所に、本発明に係る副パラメータ画像としての二次元バーコードB1,B2が付されている。
【0054】
ここで、二次元バーコードB1,B2は、濃度測定器等によって調整用原稿に付された全てのライン状の画像のうち、予め定められた少なくとも一部のライン分(例えば、全ライン数のうちの8割のライン分)だけ読み取られたデータであって、それぞれの二次元バーコードB1,B2が付されている主走査方向の位置R5,R6に対応するデータを示すように構成されている。
【0055】
尚、調整用原稿の構成は、図3に示したものに限定する趣旨ではなく、例えば、二次元バーコードD1〜D4及び二次元バーコードB1,B2がそれぞれ異なる副走査方向の位置に付され、当該二次元バーコードD1〜D4及び二次元バーコードB1,B2のそれぞれが付されている副走査方向の位置に、ライン状の画像が形成されていない構成であってもよい。
【0056】
当該二次元バーコードB1,B2を利用した画像調整処理の一例として、画像調整部12は、当該調整用原稿が画像読取部22で読み取られたデータのうちの主走査方向の位置R5,R6に対応する予め定められたライン分のデータと、二次元バーコードB1,B2が画像読取部22で読み取られたデータが示す主走査方向の位置R5、R6に対応する当該予め定められたライン分のデータと、を比較して、当該予め定められたライン分のデータのずれ量から、画像読取部22で読み取られたデータのうち、当該予め定められたラインが示す色味についてのみ画像処理部23で補正処理する際の補正値を演算する処理を行う。
【0057】
つまり、二次元バーコードB1,B2が読み取られたデータは、二次元バーコードD1〜D4が読み取られたデータが示すパラメータを利用した画像調整処理のうちの少なくとも一部の処理を実行させるための、当該パラメータが示す要素の少なくとも一部の目標値(副パラメータ)を示している。
【0058】
尚、本発明に係る副パラメータ画像は、本発明に係るパラメータ画像と同様に、上記の二次元バーコードに限定する趣旨ではなく、例えば、一次元バーコードとして調整用原稿に付される、又は、各データがそのまま文字列として調整用原稿に付される等、調整用原稿に付される表現形態を適宜変更してもよい。尚、画像読取部22で読み取られた副パラメータ画像の画像データから、副パラメータ画像が示すデータである副パラメータを取得するための副パラメータ画像の表現形態に応じた機構が設けられていることは言うまでもない。
【0059】
このように、調整用原稿には、ライン状の画像及び二次元バーコードD1〜D4が付されていない余白領域に、更に、既に付されている二次元バーコードD1〜D4とは異なる主走査方向の領域に対応するパラメータを示す、二次元バーコードD1〜D4と同様の二次元バーコードを付す領域が存在しない場合であっても、当該余白領域には、更に二次元バーコードD1〜D4と同じ表現形態により副パラメータを示すに足りる大きさで二次元バーコードB1,B2が付されている。
【0060】
また、二次元バーコードD1〜D4、及び、二次元バーコードB1,B2が付される複数箇所を示す情報は、予めフラッシュメモリに記憶されている。同様に、二次元バーコードB1,B2が読み取られたデータが、二次元バーコードD1〜D4が読み取られたデータが対象とする全ラインのうちの少なくとも一部のラインを示す、上記の予め定められたラインを示す情報も、予めフラッシュメモリに記憶されている。
【0061】
指示受付部14は、画像調整部12による画像調整処理の実行指示を受け付けるものである。例えば、指示受付部14は、ユーザによる操作キー部52に備えられた機能切替キーの押下等により、画像調整処理に利用する調整用原稿の原稿識別情報ID等、画像調整処理の実行条件の入力を受け付ける。
【0062】
実行制御部16は、指示受付部14によって画像調整処理の実行指示が受け付けられると、調整用原稿を読み取る画像読取処理を実行する指示を画像読取部22に送出した後、当該画像読取処理によって読み取られたデータを用いて画像調整処理を行う指示を画像調整部12に送出する。
【0063】
このように、原稿台としてのコンタクトガラス221と、画像読取部22と、制御部10とを備えて、本発明に係る画像読取装置20の一例が構成されている。尚、パラメータ記憶部18については、後述する。
【0064】
以下では、画像調整処理が実行される際の動作について説明する。図4に示すように、指示受付部14で画像調整処理の実行指示が受け付けられると(S1)、実行制御部16は、調整用原稿を読み取る画像読取処理を実行する指示を画像読取部22に送出する(S2)。
【0065】
画像読取部22は、実行制御部16からの指示に従って、コンタクトガラス221に載置された調整用原稿を主走査方向1ライン分ずつ順次読み取り、当該読み取ったデータをRAMに記憶する処理(S3)を、画像読取部22による調整用原稿に付された全ライン分のライン状の画像の読み取りが完了するまで繰り返す(S4)。
【0066】
次に、実行制御部16は、調整用原稿に付された全ライン分のライン状の画像の読み取りを完了すると(S4;YES)、フラッシュメモリから読み出した予め定められた複数箇所に付されたパラメータ画像を読み取る指示を画像読取部22に送出する(S5)。
【0067】
そして、実行制御部16は、パラメータ画像がそれぞれ読み取られたデータのうち、互いに一致するデータが存在しないことを以て、全てのデータが一致しないと判断すると(S6;YES)、フラッシュメモリから読み出した予め定められた複数箇所に付された副パラメータ画像を読み取る指示を画像読取部22に送出し(S7)、当該副パラメータ画像が読み取られたデータの示す副パラメータを用いて、パラメータ画像が読み取られたデータの示すパラメータを利用した画像調整処理のうちの少なくとも一部の処理を実行する指示を画像調整部12に送出する(S8)。そして、画像調整部12は、実行制御部16からの当該指示に従って画像調整処理を実行する(S9)。
【0068】
尚、ステップS8、S9において、複数箇所に付された副パラメータ画像が読み取られたデータの示す副パラメータのうち、何れの副パラメータを用いるかについては、限定する趣旨ではなく、例えば、全ての副パラメータを用いてもよいし、互いに一致する副パラメータのうちの何れかのみを用いてもよい。
【0069】
例えば、図3に示す調整用原稿を用いて画像調整処理を行う場合、実行制御部16は、二次元バーコードD1〜D4が読み取られたデータのうち、全てのデータが一致しないと判断すると(S6;YES)、二次元バーコードB1,B2を読み取る指示を画像読取部22に送出し(S7)、二次元バーコードB1,B2が読み取られたデータの示す副パラメータを用いて、予め定められたラインが示す色味についてのみ画像処理部23で補正処理する際の補正値を演算する処理、つまり、二次元バーコードD1〜D4が読み取られたデータの示すパラメータを利用した画像調整処理の少なくとも一部の処理を実行する指示を画像調整部12に送出する(S8)。
【0070】
そして、画像調整部12は、実行制御部16からの当該指示に従って、予め定められたラインをフラッシュメモリから読み出した後、ステップS3でRAMに記憶されたデータのうち、主走査方向の位置R5,R6に対応する当該予め定められたライン分のデータと、二次元バーコードB1,B2が読み取られたデータが示す、主走査方向の位置R5、R6に対応する当該予め定められたライン分のデータと、を比較して、当該予め定められたラインにおけるデータのずれ量から、画像読取部22で読み取られたデータのうち、当該予め定められたラインが示す色味についてのみ画像処理部23で補正処理する際の補正値を演算する処理を行う(S9)。
【0071】
一方、実行制御部16は、ステップS6において、パラメータ画像がそれぞれ読み取られたデータのうち、少なくとも2つ以上のデータが互いに一致することを以て、一致するデータが存在するものと判断すると(S6;NO)、一致するものと判断したデータの何れかが示すパラメータを用いて画像調整処理を実行する指示を画像調整部12に送出する(S10)。そして、画像調整部12は、実行制御部16からの当該指示に従って画像調整処理を実行する(S9)。
【0072】
例えば、図3に示す調整用原稿を用いて画像調整処理を行う場合、実行制御部16は、二次元バーコードD1〜D4が読み取られたデータのうち、一致するデータが存在するものと判断すると(S6;NO)、一致するものと判断した、例えば二次元バーコードD1,D3が読み取られたデータのうち、二次元バーコードD1が読み取られたデータが示すパラメータを利用して、画像調整処理を実行する指示を画像調整部12に送出する(S10)。
【0073】
そして、画像調整部12は、実行制御部16からの当該指示に従って、ステップS3でRAMに記憶されたデータのうち、主走査方向の位置R1に対応する全ライン分のデータと、二次元バーコードD1が読み取られたデータが示す、主走査方向の位置R1に対応する全ライン分のデータと、を比較して、そのずれ量から、画像読取部22で読み取られたデータを画像処理部23で補正処理する際の補正値を演算する処理を行う(S9)。
【0074】
このように、本構成によれば、調整用原稿のライン状の画像が付されていない余白領域内において主走査方向にそれぞれ離間して予め定められた複数箇所に付されたパラメータ画像を全て適切に読み取ることができない場合であって、調整用原稿のライン状の画像が付されていない余白領域に、既に付されているパラメータ画像とは異なるパラメータ画像を更に付す領域が存在していないときでも、前記余白領域内のパラメータ画像が付されていない余白領域における予め定められた箇所に、副パラメータを示す副パラメータ画像がパラメータ画像と同じ表現形態により当該副パラメータを示すに足りる大きさで付されているため、当該副パラメータ画像を読み取ったデータの示す副パラメータを用いて、パラメータ画像が示すパラメータを用いた画像調整処理のうちの少なくとも一部の処理を実行することができる。
【0075】
また、記録部40によって、画像読取部22によって画像形成対象の原稿が読み取られたデータが示す、適宜画像調整処理が行われた画像を用紙に形成することができる。
【0076】
また、制御部10は、パラメータを記憶するパラメータ記憶部18(図2の点線部)として機能してもよい。尚、パラメータ記憶部18には、例えば、実行制御部16が、上記のステップS6(図4)の際に、一致するデータが存在するものと判断したデータの何れかが示すパラメータをパラメータ記憶部18に記憶する、或いは、外部機器から通信部30を介して受信したパラメータをパラメータ記憶部18に記憶する等の方法で、パラメータが記憶される。
【0077】
これに合わせて、実行制御部16は、パラメータ画像がそれぞれ読み取られたデータが全て一致しないと判断すると、副パラメータ画像が読み取られたデータがパラメータ記憶部18に記憶されているパラメータが示す要素の少なくとも一部に一致するか否かを判断し、当該一致するものと判断したときは、パラメータ記憶部18に記憶されているパラメータを用いて画像調整処理を実行する指示を画像調整部12に送出するように構成してもよい。
【0078】
本構成において画像調整処理が実行される際の動作について図5を用いて説明する。尚、図5において、図4に示すものと同記号で示されるステップについては、特筆しない限り、図4に示すステップと同一の処理であるものとして説明を省略する。
【0079】
実行制御部16は、ステップS5に続き、ステップS6において、ステップS5でパラメータ画像がそれぞれ読み取られたデータのうち、少なくとも2つ以上のデータが互いに一致することを以て、一致するデータが存在するものと判断すると(S6;NO)、一致するものと判断したパラメータ画像が読み取られたデータの何れかが示すパラメータをパラメータ記憶部18に記憶する(S11)。
【0080】
例えば、図3に示す調整用原稿を用いて画像調整処理を行う場合、実行制御部16は、ステップS11において、ステップS5で二次元バーコードD1〜D4がそれぞれ読み取られたデータのうち、一致するものと判断した二次元バーコードD1〜D4が読み取られたデータの何れかが示すパラメータを、パラメータ記憶部18に記憶する。
【0081】
一方、実行制御部16は、ステップS6において、ステップS5でパラメータ画像がそれぞれ読み取られたデータのうち、互いに一致するデータが存在しないことを以て、全てのデータが一致しないと判断した後(S6;YES)、副パラメータ画像を読み取る指示を画像読取部22に送出すると(S7)、パラメータがパラメータ記憶部18に記憶されているか否かを判断する(S12)。
【0082】
そして、実行制御部16は、パラメータがパラメータ記憶部18に記憶されていると判断すると(S12;YES)、パラメータ記憶部18からパラメータを読み出して取得する(S13)。
【0083】
次に、実行制御部16は、ステップS7で副パラメータ画像が読み取られたデータが、ステップS13で取得したパラメータが示す要素の少なくとも一部に一致するものと判断すると(S14;YES)、ステップS13で取得したパラメータを用いた画像調整処理を実行する指示を画像調整部12に送出する(S10)。
【0084】
具体的には、上記のステップS11の説明で利用した例に基づいて説明すると、実行制御部16は、予め定められたラインをフラッシュメモリから読み出して、ステップS7で二次元バーコードB1,B2の何れかが読み取られた当該予め定められたライン分のデータが、ステップS13で取得したパラメータ、つまり、ステップS6で一致するものと判断された二次元バーコードD1〜D4の何れかが読み取られた全ライン分のデータのうちの当該予め定められたライン分に一致するものと判断すると(S14;YES)、ステップS13で取得したパラメータを用いて画像調整処理を実行する指示を画像調整部12に送出する(S10)。
【0085】
尚、ステップS14において、複数箇所に付された副パラメータ画像が読み取られたデータの示す副パラメータのうち、何れの副パラメータを用いるかについては、限定する趣旨ではなく、例えば、全ての副パラメータがステップS13で取得したパラメータが示す要素の少なくとも一部に一致する場合にのみ、ステップS10を実行するように構成してもよいし、互いに一致する副パラメータのうちの何れかがステップS13で取得したパラメータが示す要素の少なくとも一部に一致する場合にのみ、ステップS10を実行するように構成してもよい。
【0086】
一方、実行制御部16は、ステップS7で副パラメータ画像が読み取られたデータが、ステップS13で取得したパラメータが示す要素の少なくとも一部に一致しないものと判断すると(S14;NO)、当該調整用原稿画像のパラメータ画像及び副パラメータ画像を適切に読み取ることができなかったものとして、例えば、別の調整用原稿による画像調整処理の実行を促す警告等を表示部51に表示し(S15)、画像調整処理を終了する指示を画像調整部12に送出する。
【0087】
尚、実行制御部16は、ステップS12において、パラメータがパラメータ記憶部18に記憶されていないものと判断した場合は(S12;NO)、上記と同様に、ステップS7で副パラメータ画像が読み取られたデータの示す副パラメータを利用した画像調整処理のうちの一部の処理を実行する指示を画像調整部12に送出する(S8)。
【0088】
このように、本構成によれば、パラメータ画像を全て適切に読み取ることができない場合であっても、副パラメータ画像が読み取られたデータの示す副パラメータが、パラメータ記憶部18に記憶されているパラメータが示す要素の少なくとも一部に一致するときには、パラメータ記憶部18に記憶されている当該パラメータを用いて、画像調整処理を少なくとも一部の処理に制限することなく実行することができる。
【0089】
又は、本構成におけるステップS12とステップS13に代えて、又は、ステップS12においてパラメータがパラメータ記憶部18に記憶されていないものと判断した場合に、実行制御部16は、通信部30を介して外部機器からパラメータを受信するように構成してもよい。
【0090】
この場合、パラメータ画像を全て適切に読み取ることができない場合であっても、副パラメータ画像が読み取られたデータの示す副パラメータが、通信部30を介して外部機器から受信したパラメータが示す要素の少なくとも一部に一致するときには、当該受信したパラメータを用いて、画像調整処理を少なくとも一部の処理に制限することなく実行することができる。
【0091】
尚、上記実施形態において、本発明に係る画像形成装置の一例として複合機を例に説明したが、これに限定する趣旨ではなく、本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る画像読取装置を備えたプリンタ、コピー機、スキャナ、又はFAX等の画像形成装置であってもよい。
【0092】
また、本発明に係る画像読取装置を備え、更に、ライン状の画像、パラメータ画像、及び副パラメータ画像を形成するためのデータ(調整用データ)がHDD(ハードディスクドライブ)等の記憶領域に記憶され、当該記憶された調整用データを用いて、長期間画質を維持可能な高価なトナー等でライン状の画像、パラメータ画像及び、副パラメータ画像を形成して調整用原稿を出力することが可能に構成された、上記の記録部40に相当する記録部を備えた画像形成装置であってもよい。
【0093】
また、本発明は、上述の実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。前記図1乃至図5に示した構成及び処理は、本発明に係る実施形態の例示に過ぎず、本発明を前記実施形態に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0094】
1 複合機(画像形成装置)
10 制御部
12 画像調整部
14 指示受付部
16 実行制御部
18 パラメータ記憶部
20 画像読取装置
22 画像読取部
23 画像処理部
30 通信部
40 記録部
221 コンタクトガラス(原稿台)
B1、B2 二次元バーコード(副パラメータ画像)
D1〜D4 二次元バーコード(パラメータ画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に載置された原稿に対して相対的に副走査方向に移動しながら当該原稿を読み取る画像読取処理を行う画像読取部と、
前記画像読取処理によって画像調整用の原稿である調整用原稿が読み取られたデータを用いて画像調整処理を行う画像調整部と、
前記画像調整処理の実行指示を受け付ける指示受付部と、
前記指示受付部によって前記画像調整処理の実行指示が受け付けられると、前記調整用原稿を読み取る前記画像読取処理を前記画像読取部に実行させ、当該画像読取処理によって生成されたデータを用いて前記画像調整処理を前記画像調整部に実行させる実行制御部と、
を備え、
前記調整用原稿には、主走査方向に同じ色味を示すライン状の画像が副走査方向に並列して付され、更に、前記ライン状の画像が付されていない余白領域内において主走査方向にそれぞれ離間して予め定められた複数箇所に、前記ライン状の画像が前記画像読取処理によって読み取られたデータを用いて前記画像調整処理を行う場合に用いるパラメータを示すパラメータ画像が付され、更に、前記余白領域内の前記パラメータ画像が付されていない余白領域における前記パラメータ画像を付すに足りない領域内の予め定められた箇所に、前記パラメータを用いた前記画像調整処理のうちの少なくとも一部の処理を実行させる副パラメータを示す副パラメータ画像が付され、
前記実行制御部は、前記調整用原稿を読み取る前記画像読取処理を前記画像読取部に実行させ、前記パラメータ画像が読み取られたデータが互いに全て一致しないと判断すると、前記副パラメータ画像が読み取られたデータの示す前記副パラメータを用いて、前記パラメータを用いた前記画像調整処理のうちの少なくとも一部の処理を前記画像調整部に実行させる画像読取装置。
【請求項2】
前記パラメータを記憶するパラメータ記憶部を更に備え、
前記実行制御部は、前記パラメータ画像が読み取られたデータが互いに全て一致しないと判断すると、前記副パラメータ画像が読み取られたデータの示す前記副パラメータが、前記パラメータ記憶部に記憶されている前記パラメータが示す要素の少なくとも一部に一致するか否かを判断し、当該一致するものと判断したときは、前記パラメータ記憶部に記憶されている前記パラメータを用いて前記画像調整処理を前記画像調整部に実行させる請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
外部機器との間で各種のデータを通信する通信部を更に備え、
前記実行制御部は、前記パラメータ画像が読み取られたデータが互いに全て一致しないと判断すると、前記通信部を介して前記外部機器から前記パラメータを受信して、前記副パラメータ画像が読み取られたデータの示す前記副パラメータが、当該受信した前記パラメータが示す要素の少なくとも一部に一致するか否かを判断し、当該一致するものと判断したときは、当該受信した前記パラメータを用いて前記画像調整処理を前記画像調整部に実行させる請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の画像読取装置と、
前記画像読取部によって画像形成対象の原稿が読み取られたデータを用いて、当該データが示す画像を記録媒体に形成する記録部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項5】
前記ライン状の画像、前記パラメータ画像、及び前記副パラメータ画像を記録媒体に形成するための調整用データを記憶する記憶部を備え、
前記記録部は、前記記憶部から読み出した前記調整用データを用いて、前記ライン状の画像、前記パラメータ画像、及び前記副パラメータ画像を記録媒体に形成して前記調整用原稿を生成する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
原稿が載置される原稿台と、前記原稿台に載置された原稿に対して相対的に副走査方向に移動しながら当該原稿を読み取る画像読取処理を行う画像読取部と、前記画像読取処理によって画像調整用の原稿である調整用原稿が読み取られたデータを用いて画像調整処理を行う画像調整部と、前記画像調整処理の実行指示を受け付ける指示受付部と、前記指示受付部によって前記画像調整処理の実行指示が受け付けられると、前記調整用原稿を読み取る前記画像読取処理を前記画像読取部に実行させ、当該画像読取処理によって生成されたデータを用いて前記画像調整処理を前記画像調整部に実行させる実行制御部と、を備え、前記実行制御部は、前記調整用原稿を読み取る前記画像読取処理を前記画像読取部に実行させ、前記調整用原稿の予め定められた複数箇所に付されたパラメータ画像が読み取られたデータが互いに全て一致しないと判断すると、前記調整用原稿に付された副パラメータ画像が読み取られたデータの示す副パラメータを用いて、前記調整用原稿に付されたライン状の画像が読み取られたデータを用いた前記画像調整処理のうちの少なくとも一部の処理を前記画像調整部に実行させる画像読取装置における前記画像調整処理で用いる前記調整用原稿であって、
主走査方向に同じ色味を示す前記ライン状の画像が副走査方向に並列して付され、更に、前記ライン状の画像が付されていない余白領域内の主走査方向においてそれぞれ離間して前記予め定められた複数箇所に、前記ライン状の画像が前記画像読取処理によって読み取られたデータを用いて前記画像調整処理を行う場合に用いるパラメータを示す前記パラメータ画像が付され、更に、前記余白領域内の前記パラメータ画像が付されていない余白領域における前記パラメータ画像を付すに足りない領域内の予め定められた箇所に、前記パラメータを用いた前記画像調整処理のうちの前記少なくとも一部の処理を実行させる前記副パラメータを示す前記副パラメータ画像が付されている調整用原稿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−119861(P2012−119861A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266807(P2010−266807)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】