説明

画像読取装置及びイメージスキャナ装置

【課題】大容量のイメージスキャナにおいて、読取画質を維持しながら読取を高速化するとともに、原稿上面高さを検出する高さ検知センサの誤検出の影響を抑制する。
【解決手段】原稿トレイ上の原稿を1枚ずつ繰り込んでいき、原稿の上面高さが低下して高さ検知センサがOFFになると、読取速度により異なった制御を行う。高速読取でない第1制御モードでは、高さ検知センサがONになってから更に所定の距離だけ高い目標高さに前記上面高さが到達するまで、原稿の1枚繰込ごとに、繰込間タイミングで原稿トレイを小刻みに上昇させる(S109〜S116)。高速読取を行う第2制御モードでは、高さ検知センサがOFFになった時点での高さから所定の距離だけ高い高さに前記上面高さが到達するまで、原稿の1枚繰込ごとに、前記繰込間タイミングで原稿トレイを小刻みに上昇させる(S117〜S121)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量の原稿を一度にセットして読み取るのに好適な画像読取装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、原稿トレイ(原稿給紙トレイ)に原稿を複数枚重ねてセット可能とするとともに、最上位原稿を検知する上限位置検知センサを備える複写機を開示する。この特許文献1の複写機において、原稿トレイ上の原稿が給送されるにつれて原稿枚数が減っていくと、前記上限位置検知センサの検知結果に応じて制御装置がトレイ駆動機構を制御し、最上位原稿を常にピックアップローラに対して同一の位置に位置づける。これにより、最上位に位置する原稿は常に原稿給送可能位置に位置づけられる。
【特許文献1】特開2006−16093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のような大容量向けの画像読取装置では、大量の文書の複写等を短時間で行うニーズの高まりに伴い、読取画質を維持しつつ高速読取を行う要請が強くなっている。
【0004】
この点、特許文献1では、トレイ駆動機構を制御して原稿トレイを昇降するタイミングについて言及されていない。従って、特許文献1では、原稿読取中に原稿トレイを上昇させると、搬送中の原稿が原稿トレイの上昇につられて動いて読取画質が低下するおそれがある。
【0005】
また特許文献1の構成では、原稿の読取を高速化していくと原稿搬送時の振動等が相当なものになり、上限位置検知センサの検知結果に相当のバラツキが出ることになる。従って、最上位原稿の精度良い位置決めが困難になり、原稿の繰込ミス等が頻発してしまう。
【0006】
本発明は以上の事情にされてされたものであり、その目的は、読取画質の低下を防止するとともに、高速読取に好適な原稿トレイの上昇制御を実現することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の画像読取装置が提供される。即ち、複数の原稿を重ねてセット可能な原稿トレイと、前記原稿を読み取る画像読取部と、前記原稿トレイ上の原稿を前記画像読取部へ向けて1枚ずつ繰り込む繰込部と、前記原稿トレイを昇降する昇降装置と、前記原稿トレイ上に重ねられた原稿の上面高さを検知する高さ検知センサと、前記昇降装置を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、第1制御モードと、この第1制御モードのときよりも前記繰込部の繰込速度が速い場合の第2制御モードと、を切り換えて前記昇降装置を制御することが可能に構成されている。前記繰込部の原稿の繰込によって前記上面高さが所定高さを下回ったことを前記高さ検知センサが検知したときは、前記制御部は、前記第1制御モードにおいては、前記上面高さが所定高さ以上になったことを前記高さ検知センサが検知してから更に所定の距離だけ高い目標高さに前記上面高さが到達するまで、原稿を1枚繰り込むごとに、原稿の繰込を完了した後次の原稿の繰込を開始する前の繰込間タイミングで、前記原稿トレイを所定ピッチずつ上昇させる。前記第2制御モードにおいては、前記上面高さが所定高さを下回ったことを前記高さ検知センサが検知した時点の高さから所定の距離だけ高い高さに前記上面高さが到達するまで、原稿を1枚繰り込むごとに前記繰込間タイミングで前記原稿トレイを所定ピッチずつ上昇させる。
【0009】
これにより、前記第1制御モード、第2制御モードのいずれにおいても、原稿トレイが上昇されるのは1枚1枚の原稿の繰込の合間となる。従って、画像読取部による画像の読取時に原稿トレイが静止していることが確保され、原稿の搬送ブレによる読取画質の低下が防止される。また、前記第1制御モード、第2制御モードのいずれにおいても一度に原稿トレイを上昇させるのではなく、比較的短い所定ピッチずつ(小刻みに)原稿トレイを上昇させていくので、原稿繰込を中断させることなく、短い繰込間タイミングを使って無理なく原稿トレイを上昇させることができる。更に、原稿読取速度が速い第2制御モードにおいては、原稿トレイの上昇途中での高さ検知センサの状態にかかわらず所定の距離だけ原稿トレイを上昇させるので、高速読取に伴う振動等による高さ検知センサの誤検出の影響を受けることなく、原稿の上面高さをピックアップに好適な高さまで安定して上昇させることができる。
【0010】
前記の画像読取装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御部は、前記第1制御モードのときよりも前記繰込部の繰込速度が遅い場合の第3制御モードで前記昇降装置を制御することが可能に構成されている。前記繰込部の原稿の繰込によって前記上面高さが所定高さを下回ったことを前記高さ検知センサが検知したときは、前記第3制御モードにおいては、前記繰込間タイミングで、前記原稿の上面高さが前記目標高さに到達するまで前記原稿トレイを上昇させる。
【0011】
これにより、原稿読取速度が低い場合は、高さ検知センサの検知結果を手掛かりに、原稿の上面高さを好適な高さまで精度良く上昇させることができる。また、繰込間タイミングを利用して一度に原稿トレイを上昇させるので、原稿の読取を中断させる必要がなく、読取効率が向上される。
【0012】
前記の画像読取装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記繰込部の原稿の繰込によって前記上面高さが所定高さを下回ったことを前記高さ検知センサが検知したときは、前記制御部は、前記第1制御モードにおいては、前記上面高さが所定高さ以上になったことを前記高さ検知センサが検知するまで、原稿を1枚繰り込むごとに、前記繰込間タイミングで前記原稿トレイを所定ピッチずつ上昇させる。前記上面高さが所定高さ以上になったことを前記高さ検知センサが検知すると、所定の目標上昇距離だけ更に前記上面高さが上昇するまで、原稿を1枚繰り込むごとに前記繰込間タイミングで前記原稿トレイを所定ピッチずつ上昇させる。前記上面高さが前記目標上昇距離だけ上昇したか否かの判断においては、原稿繰込による前記上面高さの減少分を加味して判断する。
【0013】
これにより、第1制御モードで前記上面高さが目標上昇距離だけ上昇したか否かの判断においては、原稿繰込による上面高さの減少分が加味されるので、原稿トレイを原稿の繰込ごとに小刻みに上昇させても、原稿の最上層を適切な高さへ実質的に上昇させることができる。
【0014】
前記の画像読取装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記繰込部の原稿の繰込によって前記上面高さが所定高さを下回ったことを前記高さ検知センサが検知したときは、前記制御部は、前記第2制御モードにおいては、所定の必要上昇距離だけ前記上面高さが上昇するまで、原稿を1枚繰り込むごとに前記繰込間タイミングで前記原稿トレイを所定ピッチずつ上昇させる。前記上面高さが前記必要上昇距離だけ上昇したか否かの判断においては、原稿繰込による前記上面高さの減少分を加味して判断する。
【0015】
これにより、第2制御モードで前記上面高さが必要上昇距離だけ上昇したか否かの判断において、原稿繰込による上面高さの減少分が加味されるので、原稿トレイを原稿の繰込ごとに小刻みに上昇させても、原稿の最上層を適切な高さへ実質的に上昇させることができる。
【0016】
前記の画像読取装置においては、前記第1制御モード及び前記第2制御モードの少なくとも何れかにおける前記所定ピッチは、前記繰込部による原稿の繰込速度が速くなるのに応じて短くなるように定められることが好ましい。
【0017】
これにより、原稿の読取速度が速くなって繰込間タイミングが短くなっても、それに応じて前記所定ピッチも短くなるので、繰込と繰込の間で無理なく原稿トレイを小刻みに上昇させることができる。
【0018】
前記の画像読取装置においては、前記昇降装置の駆動源は、前記原稿を前記画像読取部へ搬送するための原稿搬送装置の駆動源と共通であることが好ましい。
【0019】
これにより、構成を簡素化でき、イメージスキャナ装置の低コスト化、軽量化、コンパクト化が実現される。また、原稿トレイの上昇は繰込間タイミングに行われる構成であるから、1つの駆動源の動力伝達先を原稿の繰込時と原稿トレイの上昇時で切り換えることで、原稿の搬送と原稿トレイの上昇を適切に両立させることができる。
【0020】
本発明の他の観点によれば、前記の画像読取装置としてのイメージスキャナ装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るイメージスキャナ装置の全体構成を示す側面断面図、図2はイメージスキャナ装置の電気的構成の一部を示すブロック図である。図3は、繰込部が駆動され、最上層の1枚の原稿が原稿搬送路へ繰り込まれる様子を示す側面断面拡大図である。図4は、最上層の原稿の繰込完了直前に、ピックアップローラが上昇退避される様子を示す側面断面拡大図である。図5は、繰込が完了し、ピックアップローラが再び下降された状態を示す側面断面拡大図である。図6は原稿トレイを上昇させる様子を示す側面断面拡大図である。図7及び図8は原稿トレイの上昇制御を示すフローチャート図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の画像読取装置としてのイメージスキャナ装置10は、原稿14をセットするための大容量の原稿トレイ11を本体下部に備え、読取後の原稿14をストックする排出トレイ20を本体上部に備える。
【0023】
また、イメージスキャナ装置10は、前記原稿トレイ11の原稿14を本体内部に供給するための原稿供給口41と、本体内部で画像を読み取られた後の原稿14を前記排出トレイ20へ排出するための原稿排出口42と、を備える。
【0024】
イメージスキャナ装置10の本体の内部には、原稿供給口41と原稿排出口42を繋ぐ湾曲状の原稿搬送路21が形成され、この原稿搬送路21に沿って複数の搬送ローラ25,26,27,28,29が設置されている。また、原稿搬送路21の中途部には2つのイメージセンサ51,52が原稿の表裏に対応するよう配置され、原稿搬送路21を通過する原稿14の表面及び裏面をイメージセンサ51,52によって読み取るように構成されている。また、イメージスキャナ装置10本体上部には操作パネル50が備えられており、装置に対して原稿読取モード(高解像度モード/中解像度モード/低解像度モード)や、原稿読取速度や、画像読取の開始/中止等を指示することができるようになっている。
【0025】
イメージスキャナ装置10は、原稿14を読み取る画像読取部46と、原稿14を搬送する原稿搬送装置47と、を備える。前記原稿搬送装置47は、搬送ローラ25,26,27,28,29と、これらを駆動するための図略の電動モータ(駆動源)を備えている。この原稿搬送装置47は、原稿トレイ11上の原稿14を原稿供給口41から前記画像読取部46へ搬送するとともに、画像読取部46を通過した後の原稿14を原稿排出口42から排出トレイ20へ向けて排出するように構成されている。
【0026】
イメージスキャナ装置10は、前記原稿トレイ11と、原稿14を繰り込んで1枚ずつ分離して原稿供給口41から搬送可能な繰込部48と、を備える。この繰込部48は、原稿トレイ11上に積層された原稿14の最上層の上面に接触して原稿供給口41へ繰り込むピックアップローラ22と、このピックアップローラ22より原稿搬送方向下流側に配置される分離ローラ23と、この分離ローラ23と対向して配置されるリタードローラ24と、を備えている。
【0027】
前記イメージスキャナ装置10の適宜位置には図略のガイドレールが垂直方向に設置されており、このガイドレールに沿って昇降自在に昇降フレーム35が設けられている。そして、この昇降フレーム35に前記原稿トレイ11が取り付けられている。従って、原稿トレイ11は昇降フレーム35とともに上下方向に移動可能になっている。
【0028】
そして、前記原稿トレイ11の昇降ストロークの下限位置(図1で示す位置)は、原稿を原稿トレイ11にセットするための原稿セット位置とされている。一方、前記原稿セット位置より上方であって、原稿14の最上層が前記ピックアップローラ22に接触可能な位置(図3で示す位置)は、繰込部48によって原稿14を1枚ずつ分離して前記原稿搬送路21へ向けて供給可能な分離位置とされている。
【0029】
図1等に示すように、前記原稿搬送装置47は、原稿トレイ11を昇降可能な昇降装置49を備える。この昇降装置49は、電動モータからなるトレイ昇降モータ(駆動手段)15と、このトレイ昇降モータ15によって駆動されるピニオン(歯車)13と、このピニオン13に噛合するラック12と、を備える。このトレイ昇降モータ15はステッピングモータとして構成されている。
【0030】
前記ラック12は前記昇降フレーム35に固定されており、昇降フレーム35及び原稿トレイ11とともに垂直方向に移動するように構成されている。
【0031】
ピックアップローラ22は前記原稿トレイ11に上方で対面する位置に設けられており、昇降自在に支持されている。また、ピックアップローラ22は図略のバネによって下方へ付勢されており、ピックアップローラ22を原稿14の上面に対して押圧できるように構成されている。
【0032】
更に、繰込部48には、前記ピックアップローラ22の高さを検出するための高さ検知センサ31が設けられている。この構成で、積層された原稿14の最上層にピックアップローラ22を接触させた状態で、ピックアップローラ22の高さを高さ検知センサ31で検出することにより、積層された原稿14の上面の高さ(上面高さ)を検出することができる。
【0033】
前記高さ検知センサ31は例えばフォトセンサで構成され、ピックアップローラ22の高さ(原稿14の上面高さ)が所定高さ以上になるとONし、所定高さ未満だとOFFするように構成されている。この所定高さは、ピックアップローラ22が原稿14の上面によって少量持ち上げられたときの高さに設定されている。図2に示すように、高さ検知センサ31は後述の制御部60に電気的に接続されており、ON/OFF状態の信号を制御部60に送信することができる。
【0034】
また、図1に示すように前記ピックアップローラ22には退避ソレノイド33が連結されており、適宜のタイミングでピックアップローラ22を上昇退避させて、原稿上面からピックアップローラ22を強制的に離間できるように構成されている。図2に示すように、この退避ソレノイド33は前記制御部60に接続されている。
【0035】
更に、前記ピックアップローラ22、分離ローラ23及びリタードローラ24は、前記原稿搬送装置47の駆動源としての電動モータに電磁クラッチ34を介して連結されている。この電磁クラッチ34は制御部60に電気的に接続されている。
【0036】
図1に示すように、前記分離ローラ23より原稿搬送方向下流側の位置には、例えばフォトセンサからなる原稿通過検知センサ32が設置されている。この原稿通過検知センサ32は、分離ローラ23とリタードローラ24のニップ位置を通過した直後の原稿を検知してONし、それ以外のときはOFFするように構成されている。図2に示すように、この原稿通過検知センサ32は制御部60に電気的に接続されている。
【0037】
前記イメージスキャナ装置10はマイクロコンピュータ式の制御部60を備え、この制御部60には、図2に示すように、前記トレイ昇降モータ15、操作パネル50等が電気的に接続されている。
【0038】
この構成で、原稿トレイ11を前記原稿セット位置とした上で作業者が原稿14を図1のように重ねてセットして、操作パネル50(あるいは、上位のパーソナルコンピュータ)により読取開始を指示すると、読取開始信号が制御部60に送信される。
【0039】
この信号を受信した制御部60は、退避ソレノイド33をOFFしてピックアップローラ22を下降させた上で、トレイ昇降モータ15の駆動を開始する。これにより、トレイ昇降モータ15が駆動してピニオン13が回転し、このピニオン13に噛合するラック12に押上げ力が作用する。この結果、前記原稿トレイ11は前記原稿セット位置から前記ガイドレールに沿って上昇する。
【0040】
制御部60は、上記のトレイ昇降モータ15の駆動中に高さ検知センサ31の状態を監視する。そして制御部60は、原稿トレイ11とともに上昇する原稿14の上面がピックアップローラ22に接触し、持ち上げられるピックアップローラ22が所定高さに達して高さ検知センサ31がONするまでトレイ昇降モータ15に駆動パルスを送信し、原稿トレイ11を上昇させる。そして、高さ検知センサ31がONになってからも、制御部60は更に原稿トレイ11が所定高さだけ上昇するまでトレイ昇降モータ15を駆動させる。この所定高さの上昇制御は、ステッピングモータとしてのトレイ昇降モータ15に制御部60が所定数の駆動パルスを送信することで実現される。
【0041】
こうして図3に示す分離位置に原稿トレイ11を上昇させた後、トレイ昇降モータ15が停止され、直ちに繰込部48の駆動が開始される。具体的には、制御部60は前記電磁クラッチ34(図2)を接続してピックアップローラ22、分離ローラ23及びリタードローラ24の駆動を開始し、図3に示すようにピックアップローラ22によって最上層の原稿14を繰り込み、分離ローラ23及びリタードローラ24によって1枚ずつ分離しながら、原稿供給口41を通じて原稿搬送路21へ供給する。
【0042】
この原稿供給時において、制御部60は原稿通過検知センサ32の状態を監視する。そして、分離ローラ23とリタードローラ24とによって下流側へ送られた最上層の原稿14を原稿通過検知センサ32が検出すると、制御部60は退避ソレノイド33をONし、図4に示すようにピックアップローラ22を上方へ退避させる。これにより、次の原稿14が前の原稿14に連続して不規則に繰り込まれてしまうことを防止できる。
【0043】
原稿14は搬送ローラ25〜29(図1)によって原稿搬送路21を搬送され、前記イメージセンサ51,52で原稿の表面と裏面とが走査される。この走査により得られたデータは、適宜の変換処理が行われ、イメージスキャナ装置10に接続されている上位装置としてのパーソナルコンピュータ等に、図略の通信ケーブルを介して送信される。走査された原稿14は、原稿搬送路21に沿って排出トレイ20に送り出される。
【0044】
制御部60は、原稿通過検知センサ32が原稿14を検知してONした時点から、図略のタイマ回路を用いて経過時間を計測する。そして、予め設定した所定時間が経過すれば、原稿14は分離ローラ23とリタードローラ24との間のニップ部を抜け、下流側の搬送ローラ25等によって原稿14が保持されているとみなせるので、制御部60は前記電磁クラッチ34の接続を解除し、図5に示すように、ピックアップローラ22、分離ローラ23及びリタードローラ24の駆動を停止する。また、その直後に、前記退避ソレノイド33をOFFし、ピックアップローラ22を下降させて原稿14の最上層に再び接触させる。
【0045】
その後、制御部60は原稿通過検知センサ32の状態を監視する。そして、繰り込まれた原稿14が原稿通過検知センサ32を抜けて当該原稿通過検知センサ32がOFFした時点から所定時間が経過したときには、制御部60は図3に示すように再び電磁クラッチ34を接続させ、次の原稿14をピックアップローラ22で繰り込む。以上の動作(図3〜図5)を反復することにより、原稿14とそれに後続する原稿14との間に一定の間隔を確保しながら、原稿14が無くなるまで1枚ずつ原稿搬送路21へ供給し、画像読取部46で読み取ることができる。
【0046】
なお、原稿トレイ11上の原稿14を繰込部48によって前記のように次々と送り出していくと、原稿14の残量が徐々に少なくなり、これに伴って原稿14の上面高さが下がっていくことになる。この点、本実施形態では、以下に説明するようなトレイ上昇制御を行うことにより、ピックアップローラ22で原稿14を繰込可能な状態を原稿14の残量の多少にかかわらず維持し、大量にセットされた原稿14が無くなるまで原稿14を次々と搬送できるように構成している。
【0047】
次に、図7及び図8を参照して、原稿トレイ11の上昇制御を詳細に説明する。図7のフローチャートで示すように、原稿の読取が開始されると、前述のように原稿トレイ11が分離位置へ上昇し、原稿14を1枚繰り込む(S101)。この繰込動作は、図3から図5までを参照して説明したとおりである。そして、1枚繰り込むごとに、原稿の繰込を完了した後次の原稿の繰込を開始する前のタイミング(以下、「繰込間タイミング」という。)で、図5の状態で、高さ検知センサ31の状態を調べる(図7のS102)。高さ検知センサ31がONだった場合は、原稿14の上面高さがそれほど低くなっていないので、S101に戻り、原稿14の1枚ずつの繰込を反復する。
【0048】
高さ検知センサ31がOFFだった場合は、S103で、イメージスキャナ装置10に指示されている読取速度が調べられる。この読取速度は、操作パネル50等で指示された読取モードに対応して定められ、高解像度モードの場合は遅い速度となり、中解像度モードの場合は中間の速度となり、低解像度モードの場合は速い速度となるように定められている。
【0049】
高解像度モードの場合(読取速度が低速だった場合)は、図5の状態から直ちにトレイ昇降モータ15を駆動し、原稿トレイ11の上昇を開始する(図7のS104)。そして、OFF状態だった高さ検知センサ31がONになるまで原稿トレイ11を上昇させる(S105)とともに、高さ検知センサ31がONになった後も、図6に示すように、更に所定距離(所定パルス数分)だけ高くなるまで原稿トレイ11を上昇させる(図7のS106)。上記高さに原稿トレイ11が到達すると、トレイ昇降モータ15を停止して原稿トレイ11を停止させ(S107)、S101に戻って次の原稿14の繰込を開始する。
【0050】
即ち、読取速度が遅い高解像度モードでは、原稿14の繰込が終わった後、後続の原稿14を繰り込む前にある程度のまとまった時間を確保できる。これにより、制御部60はS104〜S107の制御で、1回の繰込間タイミングのうちに、原稿トレイ11を必要な高さまで一気に上昇させる制御を行うこととしている。
【0051】
一方、S103の判断で高解像度モードでないと判断された場合(読取速度が低速でない場合)は、更に、読取モードが低解像度モード(高速での読取モード)か否かが調べられる(図8のS108)。このS108の判断で低解像度モードでないと判断された場合は、読取モードが中解像度モード(中間速度での読取モード)であることを意味し、制御部60はS109以後の処理に移行する。
【0052】
中解像度モード(中間の読取速度)では、まず図5の状態から直ちにトレイ昇降モータ15を駆動するのであるが、その上昇距離は原稿トレイ11の位置に関係なく、トレイ昇降モータ15の所定のパルス数分の距離である(S109)。なお、以下、この上昇距離のことを「上昇ピッチ」と称する。
【0053】
この上昇ピッチは、S104〜S107で説明した制御で1度に上昇させる距離よりは小さいが、原稿14の1枚分の厚みよりは大きい値となるように定められる。また、前記上昇ピッチは、中解像度モードの中でも特に高速読取が指示されている場合は短く、そうでない場合は比較的長くなるように定められる。
【0054】
S109の処理で原稿トレイ11を前記上昇ピッチだけ上昇させて停止させた後、S110の処理で、繰込部48によって原稿を1枚繰り込む。なお、S109での原稿トレイ11の上昇量は前記上昇ピッチだけであるので、中間速度での読取時において原稿14を繰り込んでから更に後続の原稿14を繰り込むまでの短い繰込間タイミングにおいても、原稿トレイ11の上昇及び停止を確実に行うことができる。従って、原稿トレイ11を完全に停止させた状態で後続の原稿14を繰り込むことができるから(S110)、原稿14の走査時の搬送ブレを回避でき、読取画質の低下を防止できる。
【0055】
S110で原稿14を1枚繰り込んだ後は、高さ検知センサ31の状態が調べられる(S111)。そして、高さ検知センサ31がOFFの場合はS109に戻り、原稿トレイ11の前記上昇ピッチだけの上昇と原稿繰込が反復される(S109,S110)。
【0056】
前述のとおり、原稿14の繰込(S109〜S111)が1回行われると、原稿14の積層高さは原稿1枚分の厚みだけ減少するが、原稿トレイ11はそれより大きい前記上昇ピッチだけ上昇する。従って、原稿14の繰込が繰り返されると、原稿14の上面高さは結局は徐々に上昇していく。そして、上記に伴ってピックアップローラ22が上昇して高さ検知センサ31がONになると、S109〜S111のループを抜け、S112以後の処理に移行する。
【0057】
S112では、高さ検知センサ31がONになった時点から原稿トレイ11を追加的に上昇させるべき距離(追加上昇距離)を先ず設定し、この追加上昇距離をメモリ(記憶手段)に記憶しておく。なお、この追加上昇距離の当初の設定値は、高さ検知センサ31がONになった時点から原稿14の上面高さを更に上昇させるべき距離(目標上昇距離)と等しいものである。また、この追加上昇距離は、低速読取時におけるS106の制御で原稿トレイ11を上昇させる所定距離と等しく設定される。
【0058】
次に、トレイ昇降モータ15を駆動して原稿トレイ11を前記上昇ピッチだけ上昇し、停止させる(S113)。この原稿トレイ11の上昇及び停止は、S109と同様に、中間速度での読取時において原稿14を繰り込んでから更に後続の原稿14を繰り込むまでの短い繰込間タイミングに行われる。また、この上昇ピッチは、前述のS109で説明したものと同じ距離である。
【0059】
そして、S112の時点から原稿トレイ11を上昇させた合計距離を計算し、得られた合計距離が前記追加上昇距離に達しているか否かを調べる(S114)。もし追加上昇距離に達していない場合は、後続の原稿14を1枚繰り込む(S115)。そして、前記追加上昇距離に、原稿14の1枚分の厚みに相当する距離を加算してメモリに再記憶し(S116)、S113の処理に戻る。
【0060】
以上のS113〜S116のループにより、原稿14の1枚の繰込ごとに、原稿トレイ11を前記上昇ピッチだけ上昇させ、追加上昇距離も原稿1枚分の厚みだけ加算していくことになる。これは、原稿14の繰込による上面高さの減少分を加味して、原稿トレイ11の追加上昇距離を再計算することに相当する。こうして、原稿の繰込及び原稿トレイの上昇ごとに追加上昇距離の再計算を行いながら、原稿トレイ11の合計上昇距離が前記追加上昇距離に達しているかを判断する(S114)。そして、S114で合計上昇距離が追加上昇距離に達したと判断されると、原稿14の上面高さを前記目標上昇距離だけ実質的に上昇させ得たことになるので、ループを抜けて図7のS101の処理へ戻り、原稿トレイ11を停止させた状態で再び原稿14を繰り込んでいく。
【0061】
一方、前記S108の判断で読取モードが低解像度モード(高速読取モード)であると判断された場合は、制御部60はS117以後の処理に移行する。図8に示すように、低解像度モードにおいては、最初に原稿トレイ11の必要上昇距離を設定してメモリに記憶する(S117)。
【0062】
この必要上昇距離は、高さ検知センサ31がOFFになった時点から原稿14の上面高さを前記目標高さまで到達させるために原稿トレイ11を上昇させるべき距離として設定される。なお、この必要上昇距離の当初の設定値は、高解像度モードでの読取時に、図7のS104〜S107の処理において原稿トレイ11が上昇した合計距離に等しくなる。
【0063】
次に、繰込間タイミングにおいて、トレイ昇降モータ15を駆動して原稿トレイ11を前記上昇ピッチだけ上昇し、停止させる(S118)。
【0064】
そして、S117の時点から原稿トレイ11を上昇させた合計距離を計算し、得られた合計距離が前記必要上昇距離に達しているか否かを調べる(S119)。もし必要上昇距離に達していない場合は、後続の原稿14を1枚繰り込む(S120)。そして、前記追加上昇距離に、原稿14の1枚分の厚みに相当する距離を加算してメモリに再記憶し(S121)、S118の処理に戻る。
【0065】
以上のS118〜S121のループにより、原稿14の1枚の繰込ごとに、原稿トレイ11を前記上昇ピッチだけ上昇させ、必要上昇距離も原稿1枚分の厚みだけ加算していくことになる。これは、S113〜S116のループと同様に、原稿14の繰込による上面高さの減少分を加味して、原稿トレイ11の必要上昇距離を再計算することに相当する。
【0066】
そして、S119で合計上昇距離が必要上昇距離に達したと判断されると、原稿14の上面高さを前記目標高さまで実質的に上昇させ得たことになるので、ループを抜けて図7のS101の処理へ戻り、原稿トレイ11を停止させた状態で再び原稿14を繰り込んでいく。
【0067】
即ち、読取速度が速い低解像度モードでは、原稿14の高速搬送等に伴う振動も相当なものになり、ピックアップローラ22の振動やバタツキを高さ検知センサ31が拾って、原稿14の上面高さを誤検知してしまうおそれがある。この点、本実施形態では、低解像度モードでの処理(S118〜S121)では、前記高さ検知センサ31の状態と無関係に、所定の必要上昇距離だけ原稿トレイ11(原稿14の上面高さ)を上昇させた時点で原稿トレイ11の上昇を完了させるように制御する。従って、ピックアップローラ22の振動やバタツキの影響を受けることなく、原稿14の上面高さを適度な高さまで安定して上昇させることができる。
【0068】
以上に示すように、本実施形態のイメージスキャナ装置10は、複数の原稿14を重ねてセット可能な原稿トレイ11と、前記原稿14を読み取る画像読取部46と、前記原稿トレイ11上の原稿14を前記画像読取部46へ向けて1枚ずつ繰り込む繰込部48と、前記原稿トレイ11を昇降する昇降装置49と、前記原稿トレイ11上に重ねられた原稿14の上面高さを検知する高さ検知センサ31と、前記昇降装置49を制御する制御部60と、を備える。
【0069】
そして、前記制御部60は、原稿読取速度が中間速度の場合(中解像度モード)の第1制御モードと、原稿読取速度が速い場合(低解像度モード)の第2制御モードと、を切り換えて昇降装置49を制御することが可能に構成されている。
【0070】
そして、前記繰込部48による原稿14の繰込によって原稿14の前記上面高さが下がり、前記高さ検知センサ31がOFFになったときは、前記制御部60は、前記第1制御モードか、第2制御モードかで異なる処理を行う(図8のS108)。
【0071】
具体的には、中間速度での読取時(中解像度モード、第1制御モード)では、前記高さ検知センサ31がONしてから更に所定の距離だけ高い目標高さに前記上面高さが到達するまで、原稿14を1枚繰り込むごとに、前記繰込間タイミングで、原稿トレイ11を所定の上昇ピッチずつ上昇させる(S109〜S116)。
【0072】
一方、高速読取時(低解像度モード、第2制御モード)では、前記高さ検知センサ31がOFFになった時点での上面高さから所定の距離だけ高い高さに前記上面高さが到達するまで、原稿14を1枚繰り込むごとに前記繰込間タイミングで前記原稿トレイ11を所定の上昇ピッチずつ上昇させる(S117〜S121)。
【0073】
これにより、原稿読取速度が中間速度の場合(第1制御モード)、高速の場合(第2制御モード)のいずれにおいても、原稿トレイ11が上昇されるのは1枚1枚の原稿14の繰込の合間となる。従って、画像読取部46による画像の読取時に原稿トレイ11が静止していることが確保され、原稿14の搬送ブレによる読取画質の低下が防止される。また、第1制御モード、第2制御モードの何れにおいても、一度に原稿トレイ11を上昇させるのではなく、比較的短い所定の上昇ピッチずつ(小刻みに)原稿トレイ11を上昇させていくので、原稿繰込を中断させることなく、短い繰込間タイミングを使って無理なく原稿トレイ11を上昇させることができる。更に、原稿読取速度が速い第2制御モードにおいては、原稿トレイ11の上昇途中での高さ検知センサ31の状態にかかわらず所定の距離だけ原稿トレイ11を上昇させるので、高速読取に伴う振動等による高さ検知センサ31の誤検出の影響を受けることなく、原稿14の上面高さをピックアップに好適な高さまで安定して上昇させることができる。
【0074】
また、本実施形態において制御部60は、原稿読取速度が遅い場合(高解像度モード)の第3制御モードで昇降装置49を制御することが可能に構成されている。そして、この低速読取時(高解像度モード、第3制御モード)において高さ検知センサ31がOFFになったときは、前記繰込間タイミングで、前記上面高さが、前記高さ検知センサ31がONになる高さから更に所定の距離だけ高い高さ(目標高さ)になるまで、前記原稿トレイ11を一度に上昇させる(S104〜S107)。
【0075】
これにより、原稿読取速度が低い場合は、高さ検知センサ31の状態を手掛かりに、原稿14の上面高さを好適な高さまで精度良く上昇させることができる。また、繰込間タイミングを利用して一度に原稿トレイ11を上昇させるので、原稿14の読取を中断させる必要がなく、読取効率が向上される。
【0076】
また、中間速度での原稿読取時(中解像度モード、第1制御モード)において、制御部60は、前記高さ検知センサ31がOFFになると、当該高さ検知センサがONになるまで、原稿14を1枚繰り込むごとに、前記繰込間タイミングで前記原稿トレイ11を所定の上昇ピッチずつ上昇させる(S109〜S111)。そして、前記高さ検知センサ31がONになると、所定の距離(目標上昇距離)だけ更に前記上面高さが上昇するまで、原稿14を1枚繰り込むごとに前記繰込間タイミングで前記原稿トレイ11を前記上昇ピッチだけ上昇させる(S113)。そして、原稿トレイ11の前記上昇ピッチずつの上昇を終了すべきか否かの判断(S114)においては、単に原稿トレイ11が当該目標上昇距離だけ上昇したか否かで判断するのではなく、原稿繰込による前記上面高さの減少分(S116)を見込んだ上で、前記上面高さが目標上昇距離だけ実質的に上昇したか否かを判断するように構成している。
【0077】
これにより、中解像度モードにおいて原稿トレイ11を原稿14の繰込ごとに小刻みに上昇させた場合であっても、原稿繰込による上面高さの減少分も考慮しつつ、原稿14の最上層を前記目標高さへ実質的に上昇させることができる。この結果、ピックアップローラ22で原稿14をスムーズに繰り込むことができる。
【0078】
また、高速読取時(低解像度モード、第2制御モード)において前記高さ検知センサ31がOFFになると、制御部60は、所定の必要上昇距離だけ前記上面高さが上昇するまで、原稿14を1枚繰り込むごとに前記繰込間タイミングで前記原稿トレイ11を所定ピッチずつ上昇させる。そして、前記上面高さが前記必要上昇距離だけ上昇したか否かの判断においては、単に原稿トレイ11が当該必要上昇距離だけ上昇したか否かで判断するのではなく、原稿繰込による前記上面高さの減少分を見込んだ上で、前記上面高さが必要上昇距離だけ実質的に上昇したか否かを判断するように構成している。
【0079】
これにより、低解像度モードにおいて原稿トレイ11を原稿14の繰込ごとに小刻みに上昇させた場合であっても、原稿繰込による上面高さの減少分も考慮しつつ、原稿14の最上層を前記必要上昇距離の分だけ実質的に上昇させることができる。この結果、ピックアップローラ22で原稿14をスムーズに繰り込むことができる。
【0080】
また、中解像度モードにおけるS109及びS113の処理、並びに低解像度モードにおけるS118の処理において、原稿トレイ11の上昇ピッチは、原稿14の読取速度が速くなるのに応じて短くなるように定められる。
【0081】
これにより、原稿14の読取速度が速くなって繰込間タイミングが短くなっても、それに応じて前記上昇ピッチも短くなるので、無理なく原稿トレイ11を小刻みに上昇させることができる。
【0082】
なお、本実施形態では、昇降装置49の駆動源であるトレイ昇降モータ15は、前記原稿搬送装置47の駆動源とは別個に設けられている。しかしながら、トレイ昇降モータを、原稿搬送装置47の駆動源の電動モータと共通に構成しても良い。この構成としては、例えば原稿搬送装置47の電動モータと、前記ピニオン13とを、公知のクラッチ手段(例えば電磁クラッチ)で接続することが考えられる。
【0083】
この場合、構成を簡素化でき、イメージスキャナ装置の低コスト化、軽量化、コンパクト化が実現される。また、原稿トレイ11の上昇は繰込間タイミングに行われる構成であるから、1つの電動モータの動力伝達先を原稿14の繰込時と原稿トレイ11の上昇時で切り換えることで、原稿14の搬送と原稿トレイ11の上昇を適切に両立させることができる。
【0084】
以上に本発明の好適な実施形態とその変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0085】
前記実施形態では、フローチャート(図8)のS116の処理において、原稿1枚分の厚みに相当する距離を追加上昇距離に加算して再設定しているが、これに代えて、原稿を1枚繰り込むごとに、原稿トレイ11の合計上昇距離から原稿1枚分の厚みに相当する距離を減算するようにしても良い。同様に、S121の処理に代えて、原稿トレイ11の合計上昇距離から所定距離を減算するようにしても良い。
【0086】
高さ検知センサ31は、ピックアップローラ22が所定高さ以上であればONとなる構成のセンサに限らず、所定高さ以上であればOFFとなる構成に変更することができる。
【0087】
高さ検知センサ31としては、ピックアップローラ22の高さを検出することで原稿14の上面高さを間接的に検出することに代えて、原稿14の上面高さを直接的に検出する構成に変更することができる。
【0088】
トレイ昇降モータ15は、ステッピングモータに限定されず、例えばサーボモータに構成することができる。
【0089】
原稿トレイを上昇させる構成は、図1のように原稿搬送路21が湾曲状(C字状)に形成されているイメージスキャナ装置に限定されず、例えば水平な原稿搬送路を有し、装置の一側から原稿を供給して反対側に排出するイメージスキャナ装置に適用することができる。また、本発明はイメージスキャナ装置に限らず、例えば大容量の原稿トレイを備えるオートドキュメントフィーダ型のコピー機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の一実施形態に係るイメージスキャナ装置の全体構成を示す側面断面図。
【図2】イメージスキャナ装置の電気的構成の一部を示すブロック図。
【図3】繰込部が駆動され、最上層の1枚の原稿が原稿搬送路へ繰り込まれる様子を示す側面断面拡大図。
【図4】最上層の原稿の繰込完了直前に、ピックアップローラが上昇退避される様子を示す側面断面拡大図。
【図5】繰込が完了し、ピックアップローラが再び下降された状態を示す側面断面拡大図。
【図6】原稿トレイを上昇させる様子を示す側面断面拡大図。
【図7】原稿トレイの上昇制御(高解像度モード)を示すフローチャート図。
【図8】原稿トレイの上昇制御(中解像度モード/低解像度モード)を示すフローチャート図。
【符号の説明】
【0091】
11 原稿トレイ
14 原稿
15 トレイ昇降モータ(昇降装置の駆動源)
31 高さ検知センサ
46 画像読取部
47 原稿搬送装置
48 繰込部
49 昇降装置
60 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原稿を重ねてセット可能な原稿トレイと、
前記原稿を読み取る画像読取部と、
前記原稿トレイ上の原稿を前記画像読取部へ向けて1枚ずつ繰り込む繰込部と、
前記原稿トレイを昇降する昇降装置と、
前記原稿トレイ上に重ねられた原稿の上面高さを検知する高さ検知センサと、
前記昇降装置を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、第1制御モードと、この第1制御モードのときよりも原稿読取速度が速い場合の第2制御モードと、を切り換えて前記昇降装置を制御することが可能に構成されており、
前記繰込部の原稿の繰込によって前記上面高さが所定高さを下回ったことを前記高さ検知センサが検知したときは、前記制御部は、
前記第1制御モードにおいては、前記上面高さが所定高さ以上になったことを前記高さ検知センサが検知してから更に所定の距離だけ高い目標高さに前記上面高さが到達するまで、原稿を1枚繰り込むごとに、原稿の繰込を完了した後次の原稿の繰込を開始する前の繰込間タイミングで、前記原稿トレイを所定ピッチずつ上昇させ、
前記第2制御モードにおいては、前記上面高さが所定高さを下回ったことを前記高さ検知センサが検知した時点の高さから所定の距離だけ高い高さに前記上面高さが到達するまで、原稿を1枚繰り込むごとに前記繰込間タイミングで前記原稿トレイを所定ピッチずつ上昇させることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記制御部は、前記第1制御モードのときよりも原稿読取速度が遅い場合の第3制御モードで前記昇降装置を制御することが可能に構成されており、
前記繰込部の原稿の繰込によって前記上面高さが所定高さを下回ったことを前記高さ検知センサが検知したときは、
前記第3制御モードにおいては、前記繰込間タイミングで、前記原稿の上面高さが前記目標高さに到達するまで前記原稿トレイを上昇させることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像読取装置であって、
前記繰込部の原稿の繰込によって前記上面高さが所定高さを下回ったことを前記高さ検知センサが検知したときは、
前記制御部は、前記第1制御モードにおいては、
前記上面高さが所定高さ以上になったことを前記高さ検知センサが検知するまで、原稿を1枚繰り込むごとに、前記繰込間タイミングで前記原稿トレイを所定ピッチずつ上昇させ、
前記上面高さが所定高さ以上になったことを前記高さ検知センサが検知すると、所定の目標上昇距離だけ更に前記上面高さが上昇するまで、原稿を1枚繰り込むごとに前記繰込間タイミングで前記原稿トレイを所定ピッチずつ上昇させ、
前記上面高さが前記目標上昇距離だけ上昇したか否かの判断においては、原稿繰込による前記上面高さの減少分を加味して判断することを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の画像読取装置であって、
前記繰込部の原稿の繰込によって前記上面高さが所定高さを下回ったことを前記高さ検知センサが検知したときは、
前記制御部は、前記第2制御モードにおいては、
所定の必要上昇距離だけ前記上面高さが上昇するまで、原稿を1枚繰り込むごとに前記繰込間タイミングで前記原稿トレイを所定ピッチずつ上昇させ、
前記上面高さが前記必要上昇距離だけ上昇したか否かの判断においては、原稿繰込による前記上面高さの減少分を加味して判断することを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の画像読取装置であって、
前記第1制御モード及び前記第2制御モードの少なくとも何れかにおける前記所定ピッチは、前記繰込部による原稿の繰込速度が速くなるのに応じて短くなるように定められることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の画像読取装置であって、
前記昇降装置の駆動源は、前記原稿を前記画像読取部へ搬送するための原稿搬送装置の駆動源と共通であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の画像読取装置としてのイメージスキャナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−228218(P2008−228218A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67346(P2007−67346)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】