説明

画像読取装置

【課題】 原稿の表裏両面における画像を読み取るにあたり、原稿の一方の面と反対側の面における画像の読取倍率が原稿搬送方向において変化するのを簡単に抑制する。
【解決手段】 原稿1を搬送させる第1〜第3搬送ローラ11〜13のローラ径D1〜D3を原稿搬送方向下流側に向かって大きくし、第1〜第3搬送ローラを1つの回転装置16によって回転させ、第1搬送ローラと第2搬送ローラとの間の第1画像読取手段14によって原稿の一方の面1aの画像を、第2搬送ローラと第3搬送ローラとの間の第2画像読取手段15によって原稿の反対側の面1bの画像を読み取るにあたり、原稿が第1搬送ローラから第2搬送ローラに、第2搬送ローラから第3搬送ローラに導かれた場合に、回転制御装置17により第1〜第3搬送ローラの回転速度を減速させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の表裏両面における画像を読み取る画像読取装置に関するものである。特に、原稿を搬送させる第1搬送ローラと第2搬送ローラと第3搬送ローラとを原稿搬送方向上流側から順々に設け、第1搬送ローラと第2搬送ローラとの間に原稿の一方の面における画像を読み取る第1画像読取手段を設けると共に、第2搬送ローラと第3搬送ローラとの間に原稿の反対側の面における画像を読み取る第2画像読取手段を設け、第1搬送ローラのローラ径D1と第2搬送ローラのローラ径D2と第3搬送ローラのローラ径D3とがD1<D2<D3の条件を満たすようにし、第1〜第3搬送ローラを1つの回転装置によって回転駆動させる画像読取装置において、上記の第1画像読取手段や第2画像読取手段によって読み取る画像の読取倍率が原稿搬送方向において変動したり、第1画像読取手段と第2画像読取手段とにおける画像の読取倍率が変化したりするのを簡単に抑制できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機等の画像形成装置においては、特許文献1,特許文献2等に示されるように、原稿を原稿搬送方向上流側から順々に設けられた第1搬送ローラと第2搬送ローラと第3搬送ローラとによって搬送させ、第1搬送ローラと第2搬送ローラとの間に設けられた第1画像読取手段によって原稿の一方の面における画像を読み取り、その後、第2搬送ローラと第3搬送ローラとの間に設けられた第2画像読取手段によって原稿の反対側の面における画像を読み取るようにした画像読取装置が用いられている。
【0003】
ここで、上記の特許文献1,特許文献2に示される画像読取装置においては、上記の第1搬送ローラと第2搬送ローラと第3搬送ローラとの回転速度をそれぞれ別個に制御し、原稿搬送方向上流側における第1搬送ローラから下流側における第2搬送ローラ、第3搬送ローラの順に回転速度を速くして、原稿の搬送速度を原稿搬送方向下流側に向かうに連れて速め、搬送される原稿に弛みが生じるのを防止するようしている。
【0004】
しかし、このように原稿の搬送速度を原稿搬送方向下流側に向かうに連れて速くすると、上記の第1画像読取手段や第2画像読取手段によって読み取る原稿における画像の読取倍率が原稿搬送方向において変化すると共に、第1画像読取手段によって読み取る原稿の片面における画像の読取倍率と、第2画像読取手段によって読み取る原稿の反対側の面における画像の読取倍率とが異なるようになる。
【0005】
このため、従来においては、原稿の搬送速度の差に対応させて、補正手段により、第1画像読取手段や第2画像読取手段における読取倍率の変動を補正し、各画像読取手段によって読み取られた画像の倍率を一定化させるようにしている。
【0006】
しかし、上記のように第1搬送ローラと第2搬送ローラと第3搬送ローラとの回転速度をそれぞれ別個に制御するためには、複数の回転装置が必要になってコストが高くつくと共に、装置が大型化するという問題があった。
【0007】
また、上記のように原稿の搬送速度の差に対応させて、補正手段により第1画像読取手段や第2画像読取手段における読取倍率の変動を補正するためには、それぞれの読取位置における原稿の搬送速度に対応させた複雑な制御が必要になり、コストが高くつくと共に、原稿の搬送速度の変動によって大きな誤差が生じたりして、各画像読取手段によって読み取られた画像の倍率を適切に一定化させることが困難になるという問題があった。
【0008】
また、従来においては、上記の第1搬送ローラと第2搬送ローラと第3搬送ローラとを1つの回転装置によって同じ回転速度で回転させる一方、原稿搬送方向上流側から順々に設けられた第1搬送ローラと第2搬送ローラと第3搬送ローラにおけるローラ径を順々に大きくして、原稿の搬送速度を原稿搬送方向下流側に向かうに連れて速め、搬送される原稿に弛みが生じるのを防止するようしたものも存在している。
【0009】
しかし、この場合においても、原稿の搬送速度の差に対応して、第1画像読取手段や第2画像読取手段によって読み取る原稿における画像の読取倍率が原稿搬送方向において変化すると共に、第1画像読取手段によって読み取る原稿の片面における画像の読取倍率と、第2画像読取手段によって読み取る原稿の反対側の面における画像の読取倍率とが異なるため、原稿の搬送速度の差に対応させて、補正手段により第1画像読取手段や第2画像読取手段における読取倍率の変動を補正し、各画像読取手段によって読み取られた画像の倍率を一定化させることが必要になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−229515号公報
【特許文献2】特開2006−270819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、原稿を搬送させる第1搬送ローラと第2搬送ローラと第3搬送ローラとが原稿搬送方向上流側から順々に設けられ、第1搬送ローラと第2搬送ローラとの間に設けられた第1画像読取手段によって原稿の一方の面における画像を読み取ると共に、第2搬送ローラと第3搬送ローラとの間に設けられた第2画像読取手段によって原稿の反対側の面における画像を読み取るようにした画像読取装置における上記のような様々な問題を解決することを課題とするものである。
【0012】
特に、本発明においては、原稿搬送方向上流側から順々に設けられた第1搬送ローラと第2搬送ローラと第3搬送ローラにおけるローラ径を順々に大きくすると共に、第1〜第3搬送ローラを1つの回転装置によって同じ回転速度で回転させるようにした画像読取装置において、上記の第1画像読取手段や第2画像読取手段によって読み取る画像の読取倍率が原稿搬送方向において変動したり、第1画像読取手段と第2画像読取手段とにおける画像の読取倍率が変化したりするのを簡単に抑制できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明においては、上記のような課題を解決するため、原稿を搬送させる第1搬送ローラと第2搬送ローラと第3搬送ローラとが原稿搬送方向上流側から順々に設けられ、第1搬送ローラと第2搬送ローラとの間に原稿の一方の面における画像を読み取る第1画像読取手段が設けられると共に、第2搬送ローラと第3搬送ローラとの間に原稿の反対側の面における画像を読み取る第2画像読取手段が設けられてなり、上記の第1搬送ローラのローラ径D1と第2搬送ローラのローラ径D2と第3搬送ローラのローラ径D3とがD1<D2<D3の条件を満たし、第1〜第3搬送ローラが1つの回転装置によって回転駆動される画像読取装置において、上記の回転装置によって回転駆動される上記の第1〜第3搬送ローラの回転速度を制御する回転制御装置を設け、上記の第1搬送ローラによって搬送された原稿が第2搬送ローラに導かれたことを検知した場合に、上記の回転制御装置により第1〜第3搬送ローラの回転速度を減速させるようにしたのである。
【0014】
ここで、上記のように第1搬送ローラのローラ径D1と第2搬送ローラのローラ径D2と第3搬送ローラのローラ径D3とがD1<D2<D3の条件を満たし、第1〜第3搬送ローラを1つの回転装置によって回転駆動させるようにすると、原稿の搬送速度が原稿搬送方向下流側に向かうに連れて速くなり、搬送される原稿に弛みが生じるのが防止される。
【0015】
そして、上記のように第1搬送ローラによって搬送された原稿が第2搬送ローラに導かれたことを検知した場合に、回転制御装置により第1〜第3搬送ローラの回転速度を減速させると、第2搬送ローラによって搬送される原稿の搬送速度が減速され、第1搬送ローラと第2搬送ローラとの間に設けられた第1画像読取手段の位置において原稿の搬送速度が増加するのが抑制される。このため、上記の第1画像読取手段によって読み取る画像の読取倍率が変化するのが防止されると共に、この第1画像読取手段によって読み取る原稿の一方の面における画像の読取倍率と、第2搬送ローラと第3搬送ローラとの間に設けられた第2画像読取手段によって読み取る原稿の反対側の面における画像の読取倍率とが大きく変化するのも防止される。
【0016】
また、本発明の画像読取装置において、上記の第2搬送ローラによって搬送された原稿が第3搬送ローラに導かれたことを検知した場合に、上記の回転制御装置により第1〜第3搬送ローラの回転速度を減速させると、第3搬送ローラによって搬送される原稿の搬送速度が減速されて、第1搬送ローラと第2搬送ローラとの間に設けられた第1画像読取手段の位置や、第2搬送ローラと第3搬送ローラとの間に設けられた第2画像読取手段の位置において原稿の搬送速度が増加するのが抑制される。このため、第1画像読取手段や第2画像読取手段によって読み取る画像の読取倍率が変化するのが防止される。
【0017】
ここで、上記のように第1搬送ローラによって搬送された原稿が第2搬送ローラに導かれたことを検知した場合に、回転制御装置により第1〜第3搬送ローラの回転速度を減速させるにあたり、上記の第1搬送ローラのローラ径D1に対して、第2搬送ローラのローラ径D2の比(D2/D1)をa(但し、a>1である。)とした場合、原稿が第2搬送ローラに導かれる前の回転速度r1に対して、原稿が第2搬送ローラに導かれて減速された後の回転速度r2の比(r2/r1)が1/aになるようにすると、減速後の第2搬送ローラによって搬送される原稿の搬送速度が、減速前における第1搬送ローラによって搬送される原稿の搬送速度と同じになって、第1搬送ローラ及び第2搬送ローラによって原稿が一定した搬送速度で搬送されるようになる。このため、第1画像読取手段によって読み取る画像の読取倍率が変化するのが防止されると共に、第1画像読取手段と第2画像読取手段によって読み取る画像の読取倍率も一定するようになる。
【0018】
さらに、第2搬送ローラによって搬送された原稿が第3搬送ローラに導かれたことを検知した場合に、回転制御装置により第1〜第3搬送ローラの回転速度を減速させるにあたり、第2搬送ローラのローラ径D2に対して、第3搬送ローラのローラ径D3の比(D3/D2)をaとした場合に、原稿が第3搬送ローラに導かれる前の回転速度r2に対して、原稿が第3搬送ローラに導かれて減速された後の回転速度r3の比(r3/r2)が1/aになるようにすると、減速後の第3搬送ローラによって搬送される原稿の搬送速度が、減速前における第2搬送ローラによって搬送される原稿の搬送速度と同じになって、第1搬送ローラ、第2搬送ローラ及び第3搬送ローラによって原稿が一定した搬送速度で搬送されるようになる。このため、第1画像読取手段や第2画像読取手段によって読み取る画像の読取倍率が変化するのが防止されると共に、第1画像読取手段と第2画像読取手段によって読み取る画像の読取倍率も一定するようになる。
【0019】
また、本発明の画像読取装置において、上記の第1搬送ローラから第1画像読取手段までの距離と、第2搬送ローラから第2画像読取手段までの距離を同じにすると、第1搬送ローラによって搬送された原稿が第2搬送ローラに導かれたことを検知した後や、第2搬送ローラによって搬送された原稿が第3搬送ローラに導かれたことを検知した後、回転制御装置によって第1〜第3搬送ローラの回転速度を減速させるまでの間に、原稿の搬送速度が一時的に速くなって、上記の第1画像読取手段や第2画像読取手段における原稿の読取倍率が一時的に変化しても、読取倍率が変化した部分が上記の第1画像読取手段と第2画像読取手段とおいて一致するようになり、第1画像読取手段と第2画像読取手段における読取倍率の変化が目立たないようなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の画像読取装置においては、第1搬送ローラのローラ径D1と第2搬送ローラのローラ径D2と第3搬送ローラのローラ径D3とがD1<D2<D3の条件を満たし、第1〜第3搬送ローラを1つの回転装置によって回転駆動させるようにしたため、原稿の搬送速度が原稿搬送方向下流側に向かうに連れて速くなり、搬送される原稿に弛みが生じるのが防止される。
【0021】
そして、このような画像読取装置において、第1搬送ローラによって搬送された原稿が第2搬送ローラに導かれたことを検知した場合や、第2搬送ローラによって搬送された原稿が第3搬送ローラに導かれたことを検知した場合において、回転制御装置により第1〜第3搬送ローラの回転速度を減速させるようにしたため、第1搬送ローラと第2搬送ローラとの間に設けられた第1画像読取手段の位置や、第2搬送ローラと第3搬送ローラとの間に設けられた第2画像読取手段の位置において、原稿の搬送速度が増加するのが抑制され、第1画像読取手段や第2画像読取手段によって読み取る画像の読取倍率が原稿搬送方向において変動したり、第1画像読取手段と第2画像読取手段とにおける画像の読取倍率が変化したりするのが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の構成を示した概略説明図である。
【図2】上記の画像読取装置において、第1〜第3搬送ローラの回転速度を回転制御装置によって制御せずに一定の回転速度rで回転させた場合に、原稿搬送速度が第1搬送ローラの位置と、第2搬送ローラの位置と、第3搬送ローラの位置とで変化する状態、及び第1画像読取手段や第2画像読取手段によって読み取る原稿における画像の読取倍率が変化する状態を示した図である。
【図3】上記の実施形態に係る画像読取装置において、第1〜第3搬送ローラの回転速度を回転制御装置により制御して、第1〜第3搬送ローラによって搬送される原稿の搬送速度を一定化させる状態を示した図である。
【図4】上記の実施形態に係る画像読取装置において、第1画像読取手段及び第2画像読取手段により原稿の第1面及び第2面における画像を読み取った場合に、これらの読取倍率が一定化される状態を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、この発明の実施形態に係る画像読取装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る画像読取装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0024】
この実施形態に係る画像読取装置においては、図1に示すように、回転して原稿1を搬送させる第1搬送ローラ11と第2搬送ローラ12と第3搬送ローラ13とを原稿搬送方向上流側から順々に設けると共に、上記の第1搬送ローラ11と第2搬送ローラ12との間に原稿1の一方の面(第1面)1aにおける画像を読み取る第1画像読取手段14を設けると共に、第2搬送ローラ12と第3搬送ローラ13との間に原稿1の反対側の面(第2面)1bにおける画像を読み取る第2画像読取手段15を設けている。
【0025】
そして、この実施形態に係る画像読取装置においては、上記の第1搬送ローラ11のローラ径D1と第2搬送ローラ12のローラ径D2と第3搬送ローラ13のローラ径D3とがD1<D2<D3の条件を満たすようにし、上記の第1搬送ローラ11と第2搬送ローラ12と第3搬送ローラ13とを1つの回転装置16によって同じ回転速度で回転させるようにすると共に、この回転装置16によって回転駆動させる上記の第1〜第3搬送ローラ11〜13の回転速度を回転制御装置17によって制御するようにしている。
【0026】
ここで、上記の画像読取装置において、上記の回転装置16によって回転駆動させる第1〜第3搬送ローラ11〜13の回転速度を回転制御装置17によって制御せずに、図2(A)に示すように、第1〜第3搬送ローラ11〜13を一定の回転速度rで回転させると、第1搬送ローラ11のローラ径D1と第2搬送ローラ12のローラ径D2と第3搬送ローラ13のローラ径D3とがD1<D2<D3になっているため、第1搬送ローラ11による搬送速度v1と、第2搬送ローラ12による搬送速度v2と、第3搬送ローラ13による搬送速度v3とがv1<v2<v3になり、図2(B)に示すように、原稿1が第2搬送ローラ12に導かれた時点及び原稿1が第3搬送ローラ12に導かれた時点で、それぞれ原稿1の搬送速度がローラ径の増加に対応して増加するようになる。
【0027】
この結果、図2(C)に示すように、第1搬送ローラ11と第2搬送ローラ12との間に設けられた第1画像読取手段14によって読み取る原稿1の第1面1aにおける画像の読取倍率が3段階に変化すると共に、第2搬送ローラ12と第3搬送ローラ13との間に設けられた第2画像読取手段15によって読み取る原稿1の第2面1bにおける画像の読取倍率が2段階に変化し、また第1画像読取手段14によって読み取る原稿1の第1面1aにおける画像の読取倍率と、第2画像読取手段15によって読み取る原稿1の第2面1bにおける画像の読取倍率とが一致しない部分が生じるようになる。
【0028】
これに対して、この実施形態に係る画像読取装置においては、図3(A)〜(C)に示すように、上記のように第1搬送ローラ11のローラ径D1と第2搬送ローラ12のローラ径D2と第3搬送ローラ13のローラ径D3とがD1<D2<D3になるようした場合に、原稿1が第1搬送ローラ11から第2搬送ローラ12に導かれて第2搬送ローラ12による搬送が開始されるまでの第1段階における第1〜第3搬送ローラ11〜13の回転速度r1に対して、原稿1が第2搬送ローラ12から第3搬送ローラ12に導かれて第3搬送ローラ13による搬送が開始されるまでの第2段階における第1〜第3搬送ローラ11〜13の回転速度r2を減速させ、さらに原稿1が第3搬送ローラ13によって搬送される第3段階における第1〜第3搬送ローラ11〜13の回転速度r3を減速させるようにしている。
【0029】
そして、この実施形態に係る画像読取装置においては、図3(A)に示すように、上記の第1搬送ローラ11のローラ径D1に対して第2搬送ローラ12のローラ径D2がD2=a×D1(但し、a>1である。)、第2搬送ローラ12のローラ径D2に対して第3搬送ローラ13のローラ径D3がD3=a×D2(=a×D1)になるようにすると共に、図3(B)に示すように、上記の第1段階における第1〜第3搬送ローラ11〜13の回転速度r1に対して上記の第2段階における第1〜第3搬送ローラ11〜13の回転速度r2がr2=r1/a、第2段階における第1〜第3搬送ローラ11〜13の回転速度r2に対して第3段階における第1〜第3搬送ローラ11〜13の回転速度r3がr3=r2/a(=r1/a)になるようにした。
【0030】
このようにすると、図3(C)に示すように、上記の第2搬送ローラ12によって原稿1の搬送が開始される時期と上記の第2段階において第1〜第3搬送ローラ11〜13の回転速度r2をr2=r1/aに減速させる時期との間のタイムラグ、及び上記の第3搬送ローラ13によって原稿1の搬送が開始される時期と上記の第3段階において第1〜第3搬送ローラ11〜13の回転速度r3をr3=r2/a(=r1/a)に減速させる時期との間のタイムラグの部分において、原稿1の搬送速度が一時的に速くなるが、それ以外は原稿1が一定の搬送速度vで搬送されるようになる。
【0031】
この結果、図4に示すように、上記のタイムラグの期間において読取倍率が少し変動するが、それ以外の期間において、第1搬送ローラ11と第2搬送ローラ12との間に設けられた第1画像読取手段14によって読み取る原稿1の第1面1aにおける画像の読取倍率や、第2搬送ローラ12と第3搬送ローラ13との間に設けられた第2画像読取手段15によって読み取る原稿1の第2面1bにおける画像の読取倍率が変化するということがなく、また第1画像読取手段14によって読み取る原稿1の第1面1aにおける画像の読取倍率と、第2画像読取手段15によって読み取る原稿1の第2面1bにおける画像の読取倍率とが一致するようになる。
【0032】
また、この実施形態に係る画像読取装置において、上記の第1搬送ローラ11から第1画像読取手段14までの距離L1と、第2搬送ローラ12から第2画像読取手段15までの距離L2とを同じにする(L1=L2)と、上記のタイムラグによって第1画像読取手段14による読取倍率が変動する時期と、第2画像読取手段15による読取倍率が変動する時期とが一致するようになり、第1画像読取手段14と第2画像読取手段15における読取倍率の変化が目立たないようなる。
【0033】
また、この実施形態に係る画像読取装置において、上記のように原稿1が第2搬送ローラ12に導かれたり、原稿1が第3搬送ローラ13に導かれたりした場合に、第2搬送ローラ12や第3搬送ローラ13に加わるトルクが上昇するため、このようなトルクの上昇を検知して、上記の回転制御装置17により速やかに第1〜第3搬送ローラ11〜13の回転速度を上記のように制御すると、上記のタイムラグの発生が抑制され、タイムラグによる画像の読取倍率の変動も抑制されるようになる。
【0034】
また、上記の実施形態に係る画像読取装置において、上記の第1〜第3搬送ローラ11〜13によって原稿1を搬送させるにあたり、厚紙等の原稿1を適切に搬送させるためには、上記の第1搬送ローラ11における搬送力F1と、第2搬送ローラ12における搬送力F2と、第3搬送ローラ13における搬送力F3を適切に制御することが好ましく、F1>F2+F3、F2>F3の条件を満たすようにすることが好ましい。
【符号の説明】
【0035】
1 原稿
1a 第1面
1b 第2面
11 第1搬送ローラ
12 第2搬送ローラ
13 第3搬送ローラ
14 第1画像読取手段
15 第2画像読取手段
16 回転装置
17 回転制御装置
D1 第1搬送ローラのローラ径
D2 第2搬送ローラのローラ径
D3 第3搬送ローラのローラ径
r1 第1段階における第1〜第3搬送ローラの回転速度
r2 第2段階における第1〜第3搬送ローラの回転速度
r3 第3段階における第1〜第3搬送ローラの回転速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送させる第1搬送ローラと第2搬送ローラと第3搬送ローラとが原稿搬送方向上流側から順々に設けられ、第1搬送ローラと第2搬送ローラとの間に原稿の一方の面における画像を読み取る第1画像読取手段が設けられると共に、第2搬送ローラと第3搬送ローラとの間に原稿の反対側の面における画像を読み取る第2画像読取手段が設けられてなり、上記の第1搬送ローラのローラ径D1と第2搬送ローラのローラ径D2と第3搬送ローラのローラ径D3とがD1<D2<D3の条件を満たし、第1〜第3搬送ローラが1つの回転装置によって回転駆動される画像読取装置において、上記の回転装置によって回転駆動される上記の第1〜第3搬送ローラの回転速度を制御する回転制御装置を設け、上記の第1搬送ローラによって搬送された原稿が第2搬送ローラに導かれたことを検知した場合に、上記の回転制御装置により第1〜第3搬送ローラの回転速度を減速させることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載した画像読取装置において、上記の第2搬送ローラによって搬送された原稿が第3搬送ローラに導かれたことを検知した場合に、上記の回転制御装置により第1〜第3搬送ローラの回転速度を減速させることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した画像読取装置において、上記の第1搬送ローラのローラ径D1に対して、第2搬送ローラのローラ径D2の比(D2/D1)をa(但し、a>1である。)とした場合、原稿が第2搬送ローラに導かれる前の回転速度r1に対して、原稿が第2搬送ローラに導かれて減速された後の回転速度r2の比(r2/r1)を1/aにしたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3に記載した画像読取装置において、上記の第2搬送ローラのローラ径D2に対して、第3搬送ローラのローラ径D3の比(D3/D2)をaとした場合、原稿が第3搬送ローラに導かれる前の回転速度r2に対して、原稿が第3搬送ローラに導かれて減速された後の回転速度r3の比(r3/r2)を1/aにしたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4に記載した画像読取装置において、上記の第1搬送ローラから第1画像読取手段までの距離と、第2搬送ローラから第2画像読取手段までの距離を同じにしたことを特徴とする画像読取装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−60273(P2012−60273A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199444(P2010−199444)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】