説明

画像読取装置

【課題】 読み取り画像の解像度の劣化を低減した画像読取装置を提供する。
【解決手段】 画像読取装置10であって、主走査方向Xに平行に配置された複数の画素列130を有し、複数の画素列130の光蓄積タイミングを独立して変更可能であり、原稿の画像を主走査方向にライン状に読み取るカラーラインセンサ126と、原稿の画像に光を照射し、反射光をカラーラインセンサに結像させる光学系123と、カラーラインセンサにより原稿の画像を主走査方向に直交する副走査方向Yに読み取るために、原稿と光学系とを副走査方向に相対移動させる移動手段127、100と、副走査方向の色ずれを補正するための補正パラメータを記憶する記憶手段209と、記憶手段に記憶された補正パラメータに従ってカラーラインセンサの光蓄積タイミングを色毎に変更することによって副走査方向の色ずれを補正する色ずれ補正手段208を有する画像読取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3本のラインセンサを備えたデジタル複写機、ファクシミリ、スキャナなどのカラー画像読取装置が従来知られている。これらの装置では、3本のラインセンサでそれぞれ赤(R)、緑(G)、及び青(B)の色情報を読み取るために、カラーフィルタをラインセンサまでの光路上に配置して色情報を認識させる。
このような構成の場合、ラインセンサが色毎に離れて配置されているため、原稿上の同じ位置を読み取った場合でも副走査方向に色ずれが発生し、かつ設計値に対してばらつきを持つ場合がある事が知られている。その原因は、画像読取装置内に使われるレンズの色収差、原稿搬送時のモータ速度ムラ、ラインセンサ、ミラーなどの読み取りユニットの原稿搬送時の振動、搬送ぶれなどが考えられる。
【0003】
このような色ずれに対し、特許文献1では、副走査方向への移動速度ムラを検出するために光学系の移動位置を検出するロータリーエンコーダを用い、ロータリーエンコーダによって検出された読取位置ずれを信号処理により補間する。
特許文献2では、ラインセンサの副走査方向の走査速度の変化による位置ずれを、ライン単位の整数の位置ずれを補正する整数処理部と、1ライン未満の小数単位の位置ずれを補間演算にて補正する小数部補正部とを用いて補正する。
特許文献3では、ラインセンサの蓄積時間を色成分毎に変化させることによって生ずる読取位置ずれを補間演算によって補正する。
特許文献4では、ラインセンサの副走査方向の走査速度の変化による位置ずれを、相互相関関数演算手段を用いて補正する。相互相関関数演算手段は、リサンプリング手段の任意の1色の補間された画像情報と他色の補間された画像情報との相関関数を演算し、求められた相関関数のピーク値、ピーク位置及び合計値を演算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−227370号公報
【特許文献2】特開2000−224417号公報
【特許文献3】特開2000−004367号公報
【特許文献4】特開平8−139949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3の発明では、読取位置ずれの補正は、補間演算処理によって行われている。この補間演算処理において、例えば、単純な線形補間処理で行った場合を想定すると、以下の問題が生じる。
今、Aというラインに対して+0.5画素の位置ずれがあった場合に、−0.5画素の位置ずれをAラインに対し行うと、A’=A×0.5+(A−1)×0.5という演算を行う事となる。ここで、A’は、位置ずれ補正後のAラインの画像情報であり、A−1はAラインの1ライン前のデータである。
この演算を行った場合、例えばAラインが255(白)、A−1ラインが0(黒)というデータであれば、A’=127.5(グレー)となり、読取解像度が劣化(画像がぼける)してしまうことがある。
また、特許文献4では、正確な補間処理が可能となるが、処理が複雑となり回路規模が増大し装置のコストアップを招く問題点があった。
本発明は、読み取り画像の解像度の劣化を低減した画像読取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するに、本発明の画像読取装置は、主走査方向に平行に配置された複数の画素列を有し、前記複数の画素列の光蓄積タイミングを独立して変更可能であり、原稿の画像を前記主走査方向にライン状に読み取るカラーラインセンサと、該原稿の該画像に光を照射し、反射光を前記カラーラインセンサに結像させる光学系と、前記カラーラインセンサにより該原稿の該画像を前記主走査方向に直交する副走査方向に読み取るために、該原稿と前記光学系とを前記副走査方向に相対移動させる移動手段と、前記副走査方向の色ずれを補正するための補正パラメータを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記補正パラメータに従って前記カラーラインセンサの光蓄積タイミングを色毎に変更することによって前記副走査方向の該色ずれを補正する色ずれ補正手段を有する。
【発明の効果】
【0007】
画像読取装置内に使われるレンズの色収差や原稿搬送時のモータ速度ムラや、ラインセンサ、ミラーなどの読取ユニットの原稿搬送時の振動、搬送ぶれなどによる副走査方向の色ずれを補正することが可能となる。これにより、複雑な補間演算処理を行わないため回路規模の増大を招くことがない。また、カラーラインセンサの光蓄積タイミングを変更することで副走査方向の色ずれを補正するため、読み取り画像の解像度が劣化することのない補正が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】自動原稿給送装置を有する画像読取装置を示す図である。
【図2】CCDラインセンサの構成を示す図である。
【図3】画像読取装置の制御部の構成を示す図である。
【図4】整数ライン数分の位置ずれ(色ずれ)を補正する際の模式図である。
【図5】タイミングジェネレータ回路の構成を示す図である。
【図6】色ずれ現象の具体例を示す図である。
【図7】電子シャッタ信号のタイミングを示す図である。
【図8】整数ライン数分の色ずれ補正後の読取値を示す図である。
【図9】色ずれ測定値を求める検査方法を示すフローチャートである。
【図10】色ずれ測定値に従って副走査方向の色ずれを補正する画像読取方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、自動原稿給送装置100を有する画像読取装置10を示す図である。
【0010】
自動原稿給送装置(移動手段)100は、原稿102を積載する原稿トレイ101を有する。原稿トレイ101の原稿給送方向の下流側に、給紙ローラ103が設けられている。給紙ローラ103は、分離搬送ローラ104と同じ駆動源に接続され、その回転に連れて回転し、原稿を給送する。
【0011】
給紙ローラ103は、原稿のセット作業を阻害しないように、通常は、ホームポジションである上方の位置に退避している。給紙動作が開始されると、給紙ローラ103は、下降して原稿102の上面に当接する。給紙ローラ103は、アーム(不図示)に軸支されており、アームが揺動することにより上下に移動する。
【0012】
分離搬送従動ローラ105は、分離搬送ローラ104に対向して配置されている。分離搬送従動ローラ105は、分離搬送ローラ104に対して押圧されて分離部を形成している。分離搬送従動ローラ105は、分離搬送ローラ104より僅かに摩擦が少ないゴム材等から形成されており、分離搬送ローラ104と協働して、給紙ローラ103によって給送される原稿102を捌いて1枚ずつ分離し搬送する。
【0013】
レジストローラ106及びレジスト従動ローラ107は、分離部で分離された原稿の先端を揃える。静止したレジストローラ対106及び107のニップ部に向けて分離した原稿の先端を突き当て、原稿にループを生じさせて、原稿の先端を揃える。そして、リードローラ108およびリード従動ローラ109は、原稿を流し読みガラス116へ向けて搬送する。白色のプラテンガイド110は、流し読みガラス116に対向して配置されている。
【0014】
固体撮像素子としてのCCDラインセンサ126(カラーラインセンサ)は、流し読みガラス116上を通過する原稿102の表面の画像を赤(R),緑(G),青(B)の3色で読み取る。CCDラインセンサ126の詳細構成については後述する。流し読みガラス116に隣接して配置されたジャンプ台115は、流し読みガラス116から原稿102をすくい上げる。リード排出ローラ111およびリード排出従動ローラ112は、原稿を排出ローラ113へ向けて搬送する。CCDラインセンサ126による原稿102の画像読取が終了すると、排出ローラ113は、原稿を排紙トレイ114上へ排出する。
自動原稿給送装置100は、CCDラインセンサ126により原稿102の画像を主走査方向に直交する副走査方向Yに読み取るために、原稿102と光学系(後述する第1ミラー台123)とを副走査方向Yに相対移動させる移動手段である。
【0015】
画像読取装置10の本体117は、原稿の表面(読取面)に対して光を照射するランプ(光源)119、および原稿102からの反射光をレンズ125およびCCDラインセンサ126へ導くミラー120、121、122を有する。ランプ119およびミラー120は、第1ミラー台123に取り付けられている。また、ミラー121、122は、第2ミラー台124に取り付けられている。
【0016】
第1ミラー台(光学系)123及び第2ミラー台124は、ワイヤ(不図示)によって駆動モータ(移動手段)127と結合され、駆動モータ127の回転駆動により原稿台ガラス118と平行に移動する。駆動モータ127は、CCDラインセンサ126により原稿102の画像を主走査方向に直交する副走査方向Yに読み取るために、原稿102と光学系(第1ミラー台123)とを副走査方向Yに相対移動させる移動手段である。
原稿102からの反射光は、ミラー120、121、122を介してレンズ125に導かれ、レンズ125によってCCDラインセンサ126の赤(R)、緑(G)、及び青(B)の画素列(受光部)に結像される。CCDラインセンサ126は、結像した反射光を赤(R)、緑(G)、及び青(B)の画素列の受光素子で光電変換し、入射光量に応じた電気信号(画像情報)を赤(R)、緑(G)、及び青(B)の出力端子からそれぞれ出力する。
【0017】
画像読取装置10は、2つのモードで原稿102の画像を読み取ることができる。1つのモードは、原稿102を原稿台ガラス118上に載置し、第1ミラー台123および第2ミラー台124を移動させながら原稿102の画像を読み取る原稿固定読取モードである。もう1つのモードは、第1ミラー台123および第2ミラー台124を停止させた状態で、自動原稿給送装置100によって原稿102を給送させながら、流し読みガラス116の位置で原稿の画像を読み取るモード(以下、「流し読みモード」という。)である。
【0018】
次に、図2を用いて、CCDラインセンサ126について説明する。図2は、CCDラインセンサの構成を示す図である。
CCDラインセンサ126は、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色のそれぞれについて、7500画素が矢印Xで示す主走査方向に平行に直線状に配列された画素列130(130R、130G、及び130B)を有する。1画素の間隔は10μmである。赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色の画素列130R、130G、及び130Bの矢印Yで示す副走査方向の間隔は、20μmである。これにより、A4原稿(主走査方向の幅は、7016画素である。)をカラー600dpiの解像度で読み取るようにレンズ125の光学倍率が設定されている。
なお、上記画素数は一例である。副走査方向Yは、主走査方向Xに直交している。
【0019】
CCDラインセンサ126は、1ラインの先頭を示す信号であるTRG信号を入力するTRG信号入力端子128を有する。また、CCDラインセンサ126は、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の画素列130R、130G、及び130Bの1ライン分の蓄積時間をそれぞれ制御するために、電子シャッタ信号入力端子129R、129G、及び129Bを有する。「蓄積時間」とは、光によって発生した電荷を蓄積する時間のことである。蓄積される電荷量は蓄積時間に比例する。
電子シャッタ信号入力端子129R、129G、及び129Bへ入力される電子シャッタ信号R、G、及びBは、画素列130R、130G、及び130Bのそれぞれの蓄積時間の開始及び停止を制御する。ここで、光蓄積タイミングは、複数の画素列130R、130G、及び130Bのそれぞれの光蓄積(蓄積時間)を開始するタイミングである。
CCDラインセンサ126は、主走査方向Xに平行に配置された複数の画素列130を有し、複数の画素列130の光蓄積タイミングを独立して変更可能であり、原稿102の画像を主走査方向Xにライン状に読み取るカラーラインセンサである。
【0020】
図3は、画像読取装置10の制御部200の構成を示す図である。制御部200は、画像読取コントローラ206を有する。画像読取コントローラ206は、タイミングジェネレータ回路208、シェーディング補正回路202(202R、202G、202B)、及びラインメモリ203(203R、203G、203B)に電気的に接続されている。
【0021】
タイミングジェネレータ回路(色ずれ補正手段)208は、CCDラインセンサ126のTRG信号入力端子128へTRG信号(制御信号)を出力する。また、タイミングジェネレータ回路208は、CCDラインセンサ126の電子シャッタ信号入力端子129R、129G、及び129Bへ電子シャッタ信号(制御信号)R、G、及びBをそれぞれ出力する。タイミングジェネレータ回路208の詳細は、後述する。
A/Dコンバータ回路201(201R、201G、201B)は、CCDラインセンサ126に電気的に接続されている。A/Dコンバータ回路201は、CCDラインセンサ126により読み取られたアナログ画像情報を、デジタル画像情報に変換する。
シェーディング補正回路202R、202G、及び202Bは、それぞれのA/Dコンバータ回路201R、201G、及び201Bに電気的に接続されている。
シェーディング補正回路202は、A/Dコンバータ回路201により変換されたデジタル画像情報を、シェーディング補正する。シェーディング補正回路202では、ランプ119の光量のばらつき及びCCDラインセンサ126の感度のばらつきを補正するために、CCDラインセンサ126の画素毎にゲイン設定及びオフセット補正を行うことができる。
これによって、シェーディング補正回路202は、主走査方向の全域に渡り読取特性が均一になるように、デジタル画像情報を補正する。
【0022】
ラインメモリ(遅延記憶装置)203R、203G、203Bは、それぞれのシェーディング補正回路202R、202G、及び202Bに電気的に接続されている。ラインメモリ203のそれぞれは、4ライン分のデジタル画像情報を保持することができる。ラインメモリ203は、画像読取コントローラ206からの指示に従って、情報転送ライン205へ指定されたライン数分の時間だけ遅延させた画像情報を転送することができる。
これによって、ラインメモリ203は、CCDラインセンサ126の赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色の画素列の整数ライン数分の位置ずれ(色ずれ)を補正することができる。
すなわち、ラインメモリ203は、CCDラインセンサ126の赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色の画素列の副走査方向Yの間隔(本実施例では、2ライン分の間隔)に起因する副走査方向の色ずれを補正する間隔補正手段である。
本実施例において、ラインメモリ203は、画素列の副走査方向Yの間隔が整数ライン数であるとして、整数ライン数分の時間だけ遅延させて画像情報を転送するように構成されている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。画素列の副走査方向Yの間隔は、かならずしも整数ライン数単位である必要はない。したがって、ラインメモリ203は、複数の画素列の間隔に対応する時間だけ遅延させて画像情報を出力するように構成されていればよい。
図4は、整数ライン数分の位置ずれ(色ずれ)を補正する際の模式図である。整数ライン数分の位置ずれ(色ずれ)は、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色の画素列の間隔に起因するものである。図4の上側は、整数ライン数分の位置ずれを補正する前の読み取りラインの位置ずれを示している。図4の下側は、整数ライン数分の位置ずれを補正した後に読み取りラインが整合している様子を示している。
図2に示したように、CCDラインセンサ126の赤(R)、緑(G)、及び青(B)の画素列は、副走査方向Yに2画素(2ライン)の間隔で配置されている。図4の上側に示すように、CCDラインセンサ126の青(B)の画素列がB1ラインの画像情報を読み取っているときに、緑(G)の画素列は、2ライン前のG−1ラインの画像情報を読み取っている。また、赤(R)の画素列は、4ライン前のR−3ラインの画像情報を読み取っている。
このような整数ライン数分の画像情報の位置ずれを補正するために、図4の下側に示すように、ラインメモリ203Bは、4ライン数分に対応する時間の遅延の後にB1ラインの画像情報を出力する。ラインメモリ203Gは、2ライン数分に対応する時間の遅延の後にG1ラインの画像情報を出力する。このように整数ライン数分の位置ずれが補正された画像情報は、ラインメモリ203から情報転送ライン205を介してプリンタなどの出力機器へ出力される。
【0023】
画像読取コントローラ206は、上述の素子を制御するメインCPUである。画像読取コントローラ206は、各素子と制御用I/Oインターフェイスを介して接続されており、画像読取動作の全体を制御する。
【0024】
不揮発性RAM(記憶装置)209は、画像読取コントローラ206に電気的に接続されている。不揮発性RAM209は、画像読取装置10の固有の情報をバックアップする目的で使用される。不揮発性RAM209は、装置の出荷前に工場などで検査された際の色ずれの情報(副走査方向の色ずれを補正するための補正パラメータ)を記憶している。
画像読取時に、画像読取コントローラ206は、不揮発性RAM209に記憶された情報を読み出し、各構成部品への制御パラメータを変更することができる。また、操作部207からのユーザー指示によって画像読取コントローラ206は、画像読取装置10を制御して画像を読み取る。
画像読取コントローラ206は、画像読取装置10の自動原稿給送装置100の給紙ローラ103、リードローラ108、リード排出ローラ111、及び排出ローラ113、及び本体117のランプ119及び駆動モータ127を制御する。
【0025】
画像読取装置10で原稿固定読取モードを行う際の色ずれ発生メカニズムについて説明する。A4原稿を1秒で読み取る際の駆動モータ127の駆動速度は、光学系(第1ミラー台123)の副走査方向Yへの移動速度が以下のようになるように設定される。即ち、A4原稿の副走査方向Yの長さは210ミリメートルであるから、光学系の副走査方向Yへの移動速度は、210ミリメートル/1秒=210mm/secである。
また、CCDラインセンサ126の1ライン当たりの時間は、以下のように設定される。即ち、解像度が600dpiの場合、1画素当たりの長さは42.333マイクロメートル(μm)であるから、A4原稿の副走査方向Yの画素数は210mm/42.333μm=4960画素である。よって、CCDラインセンサ126の1ライン当たりの時間は、1秒/4960≒201.613マイクロ秒(μsec)となる。
よって、画像読取コントローラ206は、タイミングジェネレータ回路208を制御してCCDラインセンサ126のTRG信号入力端子128へ201.613μsec(1ライン当たりの時間)の間隔でTRG信号を入力する制御を行う。
【0026】
図5は、タイミングジェネレータ回路208の構成を示す図である。図5を参照して、タイミングジェネレータ回路(色ずれ補正手段)208について説明する。タイミングジェネレータ回路208は、画像読取コントローラ206からTRG信号周期設定、及び電子シャッタ信号R、G、及びBのそれぞれの開始及び終了位置設定の指示を受ける。
カウンタ502は、発振器501からのクロック信号をカウントする。カウンタ502のカウント値が画像読取コントローラ206からのTRG信号周期設定と一致した際にTRG信号をCCDラインセンサ126へ出力する。このようにして、上記1ライン当たりの時間をカウントしている。
また、デコーダ503、504、及び505は、カウンタ502のカウント値と電子シャッタ信号の開始及び終了位置設定とのコンペアマッチを発生させ、電子シャッタ信号R、G、およびBをCCDラインセンサ126へ出力する。このようにして、CCDラインセンサ126は、A4原稿を600dpiの解像度で読み取る。
【0027】
CCDラインセンサ126には、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色の画素列130R、130G、及び130Bが副走査方向Yに2ライン(2画素)の間隔をもって配置されている。したがって、CCDラインセンサ126は、原稿上の同一ラインの赤(R)、緑(G)、及び青(B)の画像情報を、副走査方向Yに2ライン(2画素)分の時間間隔をもって読み取る。
A4原稿の画像を600dpiの解像度で読み取る場合、原稿上での1画素の長さは、42.333μmである。レンズ125は、原稿上の長さ42.333μmの1画素を、CCDラインセンサ126上の長さ10μmの1画素上に、結像させる倍率に設定されている。赤(R)、緑(G)、及び青(B)の画素列130R、130G、及び130Bは、理想的に2ライン間隔となるように、CCDラインセンサ126上に副走査方向Yに20μmの間隔で配置されている。
【0028】
ここで、駆動モータ(駆動源)127の製造上のばらつきなどによって、光学系(第1ミラー台123)の副走査方向Yへの移動速度が+1%変動した場合を考える。
この場合、副走査方向Yへの移動速度は、212.1mm/secとなる。210mmの長さを読み取る時間は、(210mm/sec)/(212.1mm/sec)=0.99secとなる。よって、本来であれば、1ライン当たりの時間201.613μsecも1%だけ短くする必要がある。しかし、1ライン当たりの時間を短くせず、且つ、駆動モータ127の移動速度の調整が行えない場合には、読み取った画像情報の副走査方向Yの倍率が縮小されたように見える結果となる。
つまり、A4原稿の副走査方向Yの長さは、本来、210mmの長さとして読み取られなければならないのであるが、210mm×0.99=207.9mmの長さとして読み取られてしまうこととなる。
【0029】
CCDラインセンサ126は、3色の画素列130R、130G、及び130Bが副走査方向Yに2ラインの間隔をもって配置されている。駆動モータ127の製造上のばらつきなどによって、光学系の副走査方向Yへの移動速度が変動すると、原稿の長さが1%だけ縮小されて読み取られたのと同様に、この2ラインの間隔も、1%だけ縮小される。よって、本来であれば2ラインの間隔であるはずの赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色の画素列のライン間隔が1.98ラインとなる。
【0030】
ここで、図4に示したように、青(B)を4ライン分、緑(G)を2ライン分遅延させることによって、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色の画素列の2ライン間隔に起因する整数ライン分の位置ずれを補正した例を考える。上記のように、駆動モータ127の移動速度の変動により2ライン間隔が1.98ライン間隔になってしまった場合、整数ライン数分(2ライン)の補正を行っても、2ラインと1.98ラインの差である0.02ライン数分の位置ずれを生じる。上記差の小数部の端数により、画像上に色ずれ現象が発生する。
【0031】
図6は、色ずれ現象の具体例を説明するための図である。図6(a)は、原稿に描かれた3ライン間隔の黒線を示す図である。図6(b)は、記録媒体に形成された画像の副走査方向Yの色ずれを示す図である。読み取った画像情報に、ラインの小数単位分だけ副走査方向Yの位置ずれがある場合、ラインメモリ203(203R、203G、203B)によって画素列の整数ライン数分の位置ずれを補正しても、図6(b)に示すように、色ずれした画像が形成される。
ここでは、現象をわかりやすくするために、緑(G)と青(B)の間の間隔、及び青(B)と赤(R)の間の間隔が、それぞれ0.25ライン(0.25画素)分の位置ずれがある場合における画像の色ずれを示している。副走査方向Yにラインの小数単位分だけ位置ずれが発生したことにより、図6(b)に示すように、本来の原稿になかった疑色(色ずれ)が発生してしまう。
【0032】
また、副走査方向Yの色ずれは、上で説明したような駆動モータ127による副走査方向Yへの移動速度のばらつきだけに起因するものではない。画像読取装置10の光学部品、レンズ125による色収差、レンズ125の寸法誤差、CCDラインセンサ126とレンズ125との配置位置のばらつき、ミラー120〜122の配置位置のばらつきなどによっても設計理想値との誤差が発生し色ずれが発生する。これは、上述の先行技術によっても知られている。
【0033】
ここまで、原稿固定読取モードを行う際の色ずれ発生メカニズムについて述べたが、色ずれは自動原稿給送装置100によって給送される原稿102を読み取る流し読みモードにおいても発生する。即ち、駆動モータ127による副走査方向Yの移動速度のばらつきと同様の現象が自動原稿給送装置100によって給送される原稿102の給送速度(副走査方向Yの移動速度)のばらつきによって発生する。また、副走査方向Yの移動速度以外の画像読取装置10の光学部品による副走査方向Yの色ずれは、原稿固定読取モードと同様に、流し読みモードでも発生する。
【0034】
<実施例1>
本発明の特徴であるCCDラインセンサ126の赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色の画素列130R、130G、及び130Bの光蓄積タイミングをそれぞれ独立して制御することによる副走査方向Yの小数単位の色ずれ補正の原理について説明する。これまで説明してきた色ずれの発生メカニズムは、CCDラインセンサ126の赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色の画素列130R、130G、及び130Bの光蓄積タイミングが同じであることを前提としている。本実施例の光蓄積タイミングの詳細について以下に説明する。
【0035】
図7は、電子シャッタ信号のタイミングを示す図である。画像読取コントローラ206により制御されるタイミングジェネレータ回路208から出力された電子シャッタ信号R、G、及びBは、CCDラインセンサ126の電子シャッタ信号入力端子129R,129G,129Bへそれぞれ入力される。
図7(a)に、CCDラインセンサ126の赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色の光蓄積タイミングが同じ場合の1ラインの先頭を示すTRG信号と、各色の1ラインの蓄積時間を制御するための電子シャッタ信号R、G、及びBとの関係を示す。
図7(a)のTRG信号は、1ライン当たりの時間201.613μsecを示すパルスである。また、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の画素列130R、130G、及び130Bは、電子シャッタ信号R、G、及びBがそれぞれLowレベルの際に、それぞれの色の光を蓄積する。そして、次の1ラインの先頭を示すTRG信号を受けたときに、それぞれの出力端子に各色の蓄積された光読み取り画像情報を7500画素分出力する。よって、図7(a)に示す例では、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の全てが同じタイミングで光を蓄積している。
【0036】
ここで、副走査方向Yに赤(R)、緑(G)、及び青(B)の読取位置がずれているというのは、各色の光を受光するタイミング(原稿画像を取り込むタイミング;蓄積時間)がずれているのと等しいということがわかる。副走査方向Yに所定の移動速度で原稿の画像を読み取っているため、位置がずれていることは仮想的には読み取り開始タイミングがずれていることに相当する。
【0037】
本実施例では、この原理を利用し、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の光蓄積タイミングを1ライン以内の小数ライン単位で位置ずれしている分だけずらすことで、小数ライン単位の色ずれを補正する制御を行う。つまり、本実施例では、タイミングジェネレータ回路208は、ラインメモリ203により補正される副走査方向Yの色ずれを除いた副走査方向Yの色ずれを補正する。
【0038】
ラインメモリ203R、203G、及び203Bによって整数ライン分の位置ずれを補正した後に残る画像の色ずれが、例えば、緑(G)を基準とした際に、青(B)が+0.1画素ずれており、赤(R)が−0.1画素ずれている場合を想定する。この場合、201.613μsecが1画素に相当するので、0.1画素ずらすためには電子シャッタ信号を201.613μsec×0.1=20.1613μsecだけずらせば良い。
図7(a)は、光蓄積タイミングを変更する前のタイミングチャートである。図7(b)は、光蓄積タイミングを変更した後のタイミングチャートである。図7(b)(タイミング変更後のタイミングチャート)に示すように、緑(G)を基準として、青(B)を+20.1613μsecずらし、赤(R)を−20.1613μsecずらしている。
【0039】
電子シャッタ信号R、G、及びBのタイミング(光蓄積タイミング)を画素列130毎に独立して変更することにより、1ライン当たりの時間内における光蓄積時間の“重心”のタイミングを色毎に色ずれ量に合わせた分だけ変更することができる。よって、小数ライン単位の色ずれ補正が可能となる。
【0040】
次に、上記構成を用いて、色ずれを補正する際の動作について説明する。色ずれ量は、上述したように装置毎の製造上のばらつきによって変わるため、工場出荷時に装置毎の固有値を検査で確認する。製造上のばらつきによって色ずれが0.1画素、0.2画素、あるいは0.05画素の装置もあるため、装置毎に補正の最適値が異なる。よって、工場出荷時に各装置の色ずれの確認を行うことを想定している。
【0041】
工場出荷時に色ずれ量を検出して、その検出された色ずれ量を色ずれ測定値(補正パラメータ)として不揮発性RAM209にバックアップしておく。色ずれ測定値は、レンズ(光学系)の色収差や原稿搬送時のモータ(移動手段)の速度ムラや、ラインセンサ、ミラーなどの読取ユニット(光学系)の原稿搬送時の振動、搬送ぶれに起因する副走査方向Yの色ずれに対応する値である。
画像読取コントローラ206は、画像読取開始前に不揮発性RAM209にバックアップされた色ずれ測定値を読み込む。画像読取コントローラ206は、色ずれ測定値に基づいて、タイミングジェネレータ回路208を制御して、CCDラインセンサ126への電子シャッタ信号R、G、及びBの開始タイミングを設定する。これによって、電子シャッタ信号R、G、及びBの開始タイミングは、各装置に合った最適設定値に設定される。電子シャッタ信号R、G、及びBの開始タイミングは、光蓄積時間の重心のタイミングの差に基づいて決定することができる。
【0042】
工場出荷時の色ずれ量の測定には、図6に示すような複数の黒線が印字された検査チャートを読み込み、各色の読取値の重心のずれを検出することで行う。ラインメモリ203R、203G、及び203Bによって整数ライン数分の色ずれを補正した後に残る各色の読取値の重心のずれを検出する。
図8は、整数ライン数分の色ずれ補正後の読取値を示す図である。各黒線における各色の重心位置のずれの平均値を色ずれ測定値(黒線の数が多ければ多いほど色ずれ測定値の信頼性が上がる)として不揮発性RAM209にバックアップする。色ずれ測定値は、複数の画素列130のそれぞれの光蓄積時間の重心のタイミングの差(重心位置のずれ)に従って決定される値である。
【0043】
各色の重心位置のずれの平均値(色ずれ測定値)の測定は、情報転送ライン205に接続された検査装置によって行われる。検査装置によって測定された色ずれ測定値(補正パラメータ)は、操作部207によって入力され、不揮発性RAM209にバックアップされる。
【0044】
原稿固定読取モード及び流し読みモードのそれぞれについて色ずれ測定値の測定を行ない、原稿固定読取モードの色ずれ測定値及び流し読みモードの色ずれ測定値を不揮発性RAM209にバックアップする。図9は、色ずれ測定値を求める検査方法を示すフローチャートである。図9を用いて、色ずれ測定値を求める検査方法を説明する。
【0045】
画像読取コントローラ206は、検査チャートを原稿台ガラス118上に載置するように促すメッセージを、操作部207の表示部に出力(視覚表示、音声表示)する(ステップS901)。工場検査者は、検査チャートを原稿台ガラス118上に載置したことを操作部207から入力する(ステップS902)。検査チャートが原稿台ガラス118上に載置されると(ステップS902のYES)、画像読取コントローラ206は、原稿固定読取モードにて検査チャートを読み込む制御を行う(ステップS903)。情報転送ライン205に接続された検査装置により、色ずれ測定値を算出する(ステップS904)。
工場検査者は、検査装置からの色ずれ測定値を、操作部207から入力する(ステップS905)。画像読取コントローラ206は、色ずれ測定値の入力が終了したかどうかを判断する(ステップS906)。色ずれ測定値の入力が終了したら(ステップS906のYES)、入力された色ずれ測定値を原稿固定読取モード用色ずれ測定値として不揮発性RAM209にバックアップする(ステップS907)。
【0046】
次に、画像読取コントローラ206は、検査チャートを原稿トレイ101上に載置するように促すメッセージを、操作部207の表示部に出力(視覚表示、音声表示)する(ステップS908)。工場検査者は、検査チャートを原稿トレイ101上に載置したことを操作部207から入力する(ステップS909)。検査チャートが原稿トレイ101上に載置されると(ステップ909のYES)、画像読取コントローラ206は、流し読みモードにて検査チャートを読み込む制御を行う(ステップS910)。情報転送ライン205に接続された検査装置により、色ずれ測定値を算出する(ステップS911)。
工場検査者は、検査装置からの色ずれ測定値を、操作部207から入力する(ステップS912)。画像読取コントローラ206は、色ずれ測定値の入力が終了したかどうかを判断する(ステップS913)。色ずれ測定値の入力が終了したら(ステップS914のYES)、入力された色ずれ測定値を流し読みモード用色ずれ測定値として不揮発性RAM209にバックアップする(ステップS914)。
【0047】
次に、このようにして検査された色ずれ測定値に従って副走査方向の色ずれを補正する画像読取方法を説明する。
図10は、色ずれ測定値に従って副走査方向の色ずれを補正する画像読取方法を示すフローチャートである。画像読取コントローラ206は、操作部207により原稿固定読取モード又は流し読みモードのいずれが指定されたかを検出し、指定された読取モードにて画像読取動作を開始する(ステップS1001)。
【0048】
ステップS1001で原稿固定読取モードを指定された場合に、画像読取コントローラ206は、不揮発性RAM209から原稿固定読取モード用色ずれ測定値を読み出す(ステップS1002)。画像読取コントローラ206は、不揮発性RAM209から読み出した原稿固定読取モード用色ずれ測定値に従って、ラインメモリ203R、203G、及び203B、及びタイミングジェネレータ回路208を制御する(ステップS1003)。画像読取コントローラ206は、ラインメモリ203R、203G、及び203Bを制御して、整数ライン数分の色ずれ補正に必要な設定を行う。
また、画像読取コントローラ206は、原稿固定読取モード用色ずれ測定値に従って、タイミングジェネレータ回路208から出力される電子シャッタ信号R、G、及びBの出力タイミングを変更することにより、小数単位分の色ずれ補正に必要な設定を行う。次に、画像読取コントローラ206は、駆動モータ127、ランプ119、A/Dコンバータ回路201、シェーディング補正回路202を制御して、原稿台ガラス118上に載置された原稿の画像を読み取る制御を行う(ステップS1004)。
【0049】
一方、ステップS1001で流し読みモードを指定された場合に、画像読取コントローラ206は、不揮発性RAM209から流し読みモード用色ずれ測定値を読み出す(ステップS1005)。画像読取コントローラ206は、不揮発性RAM209から読み出した流し読みモード用色ずれ測定値に従って、ラインメモリ203R、203G、及び203B、及びタイミングジェネレータ回路208を制御する(ステップS1006)。画像読取コントローラ206は、ラインメモリ203R、203G、及び203Bを制御して、整数ライン数分の色ずれ補正に必要な設定を行う。
また、画像読取コントローラ206は、流し読みモード用色ずれ測定値に従って、タイミングジェネレータ回路208から出力される電子シャッタ信号R、G、及びBの出力タイミングを変更することにより、小数単位分の色ずれ補正に必要な設定を行う。次に、画像読取コントローラ206は、給紙ローラ103、リードローラ108、リード排出ローラ111、排出ローラ113、ランプ119、A/Dコンバータ回路201、及びシェーディング補正回路202を制御する。これにより、原稿トレイ101上の原稿102を流し読みガラス116へ搬送し、流し読みガラス116の位置(読取位置)で原稿102の画像を読み取る制御を行う(ステップS1007)。
【0050】
このようにして、線形補間等の解像度が落ちるような処理を行わずに、簡単な構成で小数単位の副走査方向の色ずれを補正した画像読取が可能となる。
【0051】
<実施例2>
実施例1では、色ずれ量は装置毎の製造ばらつきによって変わるため、工場出荷時に装置毎の固有値を検査で確認する。工場出荷時に測定した色ずれ測定値は、不揮発性RAM209にバックアップされる。画像読取コントローラ206は、画像読取開始前に、色ずれ測定値に従って、タイミングジェネレータ回路208を制御して、CCDラインセンサ126への電子シャッタ信号R、G、及びBの開始タイミングを各装置にあった最適設定値に設定する。
しかし、画像読取装置の製造コストを低減するために、工場出荷時に装置毎の固有値を検査する検査工程を省略する場合にも、本発明は適応可能である。
【0052】
本実施例では、工場出荷時に個々の画像読取装置10の色ずれ測定値を検査するのではなく、画像読取装置10の設計段階で、色ずれのばらつきの中心値を測定する。この色ずれ中心値(補正パラメータ)を不揮発性RAM209にバックアップする。色ずれ中心値は、レンズ(光学系)の色収差や原稿搬送時のモータ(移動手段)の速度ムラや、ラインセンサ、ミラーなどの読取ユニット(光学系)の原稿搬送時の振動、搬送ぶれに起因する副走査方向Yの色ずれに対応する値である。
画像読取コントローラ206は、画像読取開始前に、不揮発性RAM209から色ずれ中心値を読み込む。画像読取コントローラ206は、色ずれ中心値に従ってタイミングジェネレータ回路208を制御して、CCDラインセンサ126への電子シャッタ信号R、G、及びBの開始タイミングを設定する。色ずれ中心値は、複数の画素列130のそれぞれの光蓄積時間の重心のタイミングの差(重心位置のずれ)に従って決定される値である。
【0053】
また、本発明においては、情報転送ライン205からの実際の出力画像をユーザーに視認してもらい、ユーザーにより操作部207から色ずれ量(補正パラメータ)を入力してもらってもよい。ユーザーが入力した色ずれ量は、不揮発性RAM209にバックアップされる。このような構成によれば、工場出荷後の使用劣化等による色ずれ量の変化に対しても対応可能となる。
【0054】
<その他の実施例>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0055】
10 画像読取装置
100 自動原稿給送装置(移動手段)
123 第1ミラー台(光学系)
126 CCDラインセンサ(カラーラインセンサ)
127 駆動モータ(移動手段)
130R 赤(R)の画素列
130G 緑(G)の画素列
130B 青(B)の画素列
203 ラインメモリ
206 画像読取コントローラ
208 タイミングジェネレータ回路(色ずれ補正手段)
209 不揮発性RAM(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に平行に配置された複数の画素列を有し、前記複数の画素列の光蓄積タイミングを独立して変更可能であり、原稿の画像を前記主走査方向にライン状に読み取るカラーラインセンサと、
該原稿の該画像に光を照射し、反射光を前記カラーラインセンサに結像させる光学系と、
前記カラーラインセンサにより該原稿の該画像を前記主走査方向に直交する副走査方向に読み取るために、該原稿と前記光学系とを前記副走査方向に相対移動させる移動手段と、
前記副走査方向の色ずれを補正するための補正パラメータを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記補正パラメータに従って前記カラーラインセンサの光蓄積タイミングを色毎に変更することによって前記副走査方向の該色ずれを補正する色ずれ補正手段を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
さらに、前記カラーラインセンサの前記複数の画素列の前記副走査方向の間隔に起因する前記副走査方向の該色ずれを補正する間隔補正手段を有し、
前記色ずれ補正手段は、前記間隔補正手段により補正される前記副走査方向の該色ずれを除いた前記副走査方向の該色ずれを補正することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記間隔補正手段は、前記カラーラインセンサからの画像情報を保持し、前記複数の画素列の前記間隔に対応する時間だけ遅延させて前記画像情報を出力する遅延記憶装置であることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記補正パラメータは、前記光学系および前記移動手段に起因する前記副走査方向の該色ずれに対応する値であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記補正パラメータは、前記複数の画素列のそれぞれの光蓄積時間の重心のタイミングに従って決定される値であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記光蓄積タイミングは、前記複数の画素列のそれぞれの光蓄積を開始するタイミングであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記移動手段は、該原稿を前記副走査方向に給送する自動原稿給送装置、又は、前記光学系の光源を前記副走査方向に移動させる駆動モータであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−60493(P2012−60493A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202891(P2010−202891)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】