説明

画像通信システム及び画像処理プログラム

【課題】 画像通信システムにおいて、個人毎に隠蔽方法を容易に、かつ、詳細に設定できるシステムの提供を可能とする。
【解決手段】 単一又は連続する画像を撮影する撮影装置10と、画像の一部を他の画像に置換する画像置換装置30と、取得した画像を他の地点に送信する画像送信装置50と、を備え、撮影装置10は、撮影した画像の中から人物の領域を認識する人物領域認識手段101と、人物領域認識手段101により認識された領域の画像を抽出する人物領域切り抜き手段102と、を有し、画像置換装置30は、人物領域切り抜き手段102により抽出された画像を他の画像に置換し、画像送信装置50は、画像置換装置30により置換された後の画像を送信する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ電話やテレビ会議等に使用される画像通信システムに関し、より詳しくは、任意の人物画像を隠蔽して相手側に送信することができる画像通信システム及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信回線のブロードバンド化に伴い、インターネット等を介して動画像を送受信する機会が大幅に増大しており、このような動画送信の機能を利用してテレビ電話・テレビ会議システム等が実施されることがある。
例えば、複数の拠点にて開発を行うようなプロジェクトにおいて、各拠点の会議室や休憩室,談話室等に撮影装置を備えたコンピュータ等を設置することでテレビ会議が可能となり、複数の拠点にいる人物間での円滑なコミュニケーションを図ることができ、複数拠点で実施されるような大規模なプロジェクト等を支援するシステムとして有効なものとなる。
【0003】
ところが、このような動画を含めた画像の通信が行われると、人物の顔や容姿といった個人の属性に係る情報がやり取りされることから、個人情報保護の見地から画像情報の取り扱いを制限することが必要となる場合がある。
すなわち、撮影装置で撮影されたすべての情報を常に送信することは、プライバシーやセキュリティの関係上好ましくなく、状況に応じて画像情報のある程度の隠蔽処理等が必要となることがある。
そこで、従来は、撮影される人物のプライバシーを守りつつ、ユーザが隠したい部分だけを簡単な操作によって隠ぺいすることができる画像処理方法や画像処理装置,画像通信装置等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−056488号公報(第1−2頁、第17図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来提案されているに画像処理方法等においては、画像内に複数の人物が存在する場合、利用者がその画像を見て判断する以外には個々の人物を特定することができなかった。
このため、個人ごとに隠蔽方法を詳細に設定することは困難で、また、隠蔽領域を設定するためには、利用者が画面を見ながら手動でその領域範囲を設定しなければならないため、操作の困難性や煩わしさ等の問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、テレビ電話やテレビ会議システム等で利用される撮影画像中の人物画像について、任意の個々人毎にその表示方法等を容易勝つ詳細に設定することができる画像通信システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の画像通信システムは、請求項1に記載するように、送信画像を撮影する撮影装置と、送信画像の一部を他の画像に置換する画像置換装置と、送信画像を他の装置に送信する画像送信装置と、を備え、前記撮影装置は、撮影した送信画像の中から人物の領域を認識する人物領域認識手段と、前記人物領域認識手段により認識された領域の画像を抽出する人物領域切り抜き手段と、を備え、前記画像置換装置が、前記人物領域切り抜き手段により抽出された画像を所定の置換画像に置換する人物領域置換手段を備え、前記画像送信装置が、前記画像置換装置の人物領域置換手段により置換処理された画像を送信する構成としてある。
【0008】
このような構成からなる本発明の画像通信システムによれば、テレビ電話・テレビ会議等で送受信される送信画像として、撮影された送信画像の中から人物の画像のみを認識し、抽出することができる。
また、撮影された送信画像の中に複数の人物がいる場合には、個々にその人物の画像を認識し、抽出することができる。
【0009】
これによって、テレビ会議の性質や状況等に応じて、人物画像の隠蔽の要否や隠蔽に係る置換画像の選択といった人物の表示方法に係る判断を、個人毎に設定することが可能となる。
このため、撮影画像を送信する前に、その画像に含まれる一人一人に対してそれぞれ異なる画像処理を施すことができ、人物の表示方法や隠蔽方法に様々なバリエーションをもつ画像通信システムの構築及び提供が可能となる。
【0010】
また、本発明の画像通信システムは、請求項2に記載するように、個人の属性情報を保有し、照合することによって人物を特定する人物認識装置を備え、当該人物認識装置は、前記撮影装置の撮影範囲の中から個々の人物を認識し、特定する個人特定手段を有し、前記画像置換装置は、前記個人特定手段により特定された個人の属性情報に応じて画像を置換する構成としてある。
【0011】
このような構成からなる本発明の画像通信システムによれば、人物認識装置により、人物を特定するための個人の属性情報を保有することにより、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)や顔認識等、種々な人物認識の方式を用いることで、撮影範囲にいる人物を特定した上で、その個人ごとに隠蔽の要否や隠蔽に用いる置換画像の選択等の設定を行うことができる。
これにより、人物の表示方法についての判断を、より容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0012】
さらに、本発明の画像通信システムは、請求項3に記載するように、送信画像として撮影される人物を含む画像を上方から撮影することに人物の位置を認識する位置認識カメラを備え、前記位置認識カメラは、当該位置認識カメラが撮影した画像から人物の領域を認識する人物領域認識手段と、前記人物領域認識手段により認識された領域の画像を抽出する人物領域切り抜き手段と、前記人物領域切り抜き手段により抽出された領域の位置を認識し、所定の位置情報に変換する人物位置認識手段と、を有し、前記撮影装置は、当該撮影装置により抽出された領域に、前記位置認識カメラにより抽出された領域及び/又は位置情報を対応付ける複数画像間人物領域対応付け手段を有し、前記画像置換装置は、前記人物位置認識手段により得られた位置情報に応じて画像を置換する構成としてある。
【0013】
このような構成からなる本発明の画像通信システムによれば、送信画像を撮影する撮影装置によって撮影された画像中の人物の位置を、位置認識カメラによって特定・認識することが可能となる。
従って、個人ごとの隠蔽の要否、隠蔽にかかる置換画像の選択といった人物の表示方法に係る判断を、その人物の位置に応じて行うことが可能となる。
また、上記判断を、位置情報のデータ値に応じて自動的に制御することも可能であり、これによって、より利便性の優れた画像通信システムの構築及び提供が可能となる。
【0014】
また、本発明の画像通信システムは、請求項4に記載するように、前記撮影装置は、前記複数画像間人物領域対応付け手段が、前記人物認識装置において保有している各個人の属性情報を、当該撮影装置によって抽出された人物領域に対応付ける構成としてある。
【0015】
また、本発明の画像通信システムは、請求項5に記載するように、前記撮影装置は、前記複数画像間人物領域対応付け手段が、前記人物認識装置において保持している各個人の属性情報を、前記位置認識カメラによって抽出された人物領域及び/又は位置情報に対応付ける構成としてある。
【0016】
このような構成からなる本発明の画像通信システムによれば、撮影装置によって撮影された画像から抽出された人物領域に、その人物の属性情報及び位置情報を一体的に表示させることが可能となる。
これにより、利用者は一つの画面を見ただけでこれらの情報を確認でき、その情報を基に隠蔽の要否や隠蔽に係る置換画像の選択といった人物表示に係る判断を容易に行うことができる。
さらに、上記判断を、個人の属性情報を構成するデータの範囲や値に応じて、自動的に制御することも可能であり、更に利便性に優れた画像通信システムの構築及び提供が可能となる。
【0017】
また、本発明の画像通信システムは、請求項6に記載するように、前記撮影装置及び/又は前記位置認識カメラは、連続する画像を撮影する場合において、撮影した一の画像の中から抽出した人物領域とその後に撮影した一の画像の中から抽出した人物領域の重なりを検出する重なり検出手段を備える構成としてある。
【0018】
このような構成からなる本発明の画像通信システムによれば、撮影装置で撮影された送信画像の中の人物領域の重なりを検出することによって、人物の移動を追跡することができる。
これにより、動画を撮影する場合でも人物の領域を常に認識し、抽出することが可能となる。
従って、送信画像として静止画,動画を問わず幅広く本発明の画像通信システムの対象とすることができ、利便性や汎用性,拡張性に優れたテレビ会議システム等を実現することができる。
【0019】
また、本発明の画像処理プログラムは、請求項7に記載するように、送信画像を撮影する撮影装置と、送信画像の一部を他の画像に置換する画像置換装置と、送信画像を他の装置に送信する画像送信装置と、を画像通信システムとして機能させるための画像処理プログラムであって、前記撮影装置を構成するコンピュータを、撮影した画像の中から人物の領域を認識する人物領域認識手段、前記人物領域認識手段により認識された領域の画像を抽出する人物領域切り抜き手段、として機能させ、前記画像置換装置を構成するコンピュータを、前記人物領域切り抜き手段により抽出された画像を他の画像に置換する人物領域置き換え手段として機能させるとともに、前記画像送信装置を構成するコンピュータを、前記人物領域置き換え手段により置換された後の画像を送信する手段、として機能させるためのプログラムとしてある。
【0020】
このように本発明はプログラムとしても提供することができる。
これにより、撮影機能及び通信機能を備えた装置、例えば、携帯情報端末やテレビ電話機,テレビ会議装置,パーソナルコンピュータ等にプログラムをインストールすることによって本発明を実現することができ、汎用性,拡張性に優れた画像処理プログラムとして提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画像通信システムによれば、テレビ電話やテレビ会議システム等で利用される撮影画像中の人物画像について、任意の個々人毎にその表示方法等を容易勝つ詳細に設定することができる。
これにより、人物画像の隠蔽の要否や隠蔽に係る置換画像の選択等を個人毎に設定することができ、個人情報の不用意な漏洩等を容易かつ確実に防止して、利便性に利便性に優れたテレビ会議システム等を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
ここで、以下に示す本発明の画像通信システムは、プログラム(ソフトウェア)の命令によりコンピュータで実行される処理,手段,機能によって実現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、以下に示すような所定の処理・機能を行わせる。すなわち、本実施形態の画像通信システムにおける各処理・手段は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現される。
なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
【0023】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る画像通信システムの概略を示すブロック図である。
本実施形態の画像通信システム1は、例えば、複数の拠点にて開発を行うようなプロジェクトにおいて、各拠点の会議室や休憩室,談話室等に設置されて各拠点相互間でテレビ電話・テレビ会議を行うための画像通信システムである。
具体的には、本実施形態の画像通信システム1は、撮影装置10、位置認識カメラ20、画像置換装置30、動画像圧縮装置40、画像送信装置50、表示方法設定記憶装置60、アバター情報格納装置70、表示方法入力装置80及び人物認識装置90から構成され、これらの構成がテレビ会議等を行う各拠点毎に設置されるようになっている。
【0024】
撮影装置10は、相手側に送信する送信画像の基となる画像を撮影する撮影手段である。
位置認識カメラ20は、天井など人物の上方に複数設置し、人間の頭頂部を撮影し、人物位置認識手段203により人物の位置を認識するための認識手段である。
画像置換装置30は、撮影装置10で撮影された画像の一部とアバター情報格納装置70に格納されてある他の画像(アバター情報)とを置き換える画像置換処理を手段である。
【0025】
動画像圧縮装置40は、撮影装置10によって撮影され、画像置換装置30によって置換された画像の画像データを圧縮する手段であり、これによって効率の良いデータ送信が行えるようになっている。
画像送信装置50は、動画像圧縮装置40で圧縮された画像データを予め指定された他の地点に送信する送信手段である。
表示方法入力装置80は、利用者が表示方法を入力・設定するための入力手段であり、タッチパネル等で構成される。
画像置換により隠蔽処理を行う場合、利用者はアバター情報格納装置70からその置換に用いる画像を検索し、選択することができる。
【0026】
アバター情報格納装置70は、上記置換に用いる画像を格納し、所定の設定に応じ、必要な画像(アバター情報)を提供するものであり、メモリやハードディスクなどの記憶媒体によって構成されている。
アバター情報は、例えば人物の漫画や背景など、様々な画像を格納させておくことによりバリエーションに富んだ隠蔽処理を施すことが可能となる。
なお、上記表示方法の設定は、表示方法設定記憶装置60に記憶される。
人物認識装置90は、RFIDや顔認識などの種々の方式により人物を認識し、特定する手段である。
この人物認識装置90は、予め個人の属性情報を自己のメモリやハードディスクなどの記憶媒体に格納しており、人物特定の際に利用される。
【0027】
次に、以上のような構成からなる第一実施形態の画像通信システムにおける全体の動作について図1〜図4を参照しつつ説明する。
まず、本システムでは、撮影装置10により、相手側に実際に送信する送信画像の基となる画像を撮影する。
また、位置認識カメラ20により、天井など人物の上方に複数設置され、人間の頭頂部を撮影する。
なお、位置認識カメラ20で撮影した画像は、人物の実世界での位置検出に使用するほか、同一人物の追跡も兼ねているため、オクルージョン(情報の欠落)が発生しないようになるべく高い位置に設置する。
【0028】
次いで、人物領域認識手段101及び201により、撮影した画像中の人物領域を認識する。
具体的には、撮影装置10及び位置認識カメラ20で撮影した画像から背景差分処理(画像から背景画像のみを差し引くことで人物画像のみを抜き出す処理)を行ったあと、膨張・収縮処理等でノイズ除去を行う。
画像とは画素の集合であり、各画素は輝度と色差や赤緑青等の値となる。このため、通常の加減算を行うことができる。人物が存在しない状態の画像を「背景画像」、人物が存在する状態の画像を「人物+背景画像」とすると、以下の式1に示すように、「人物+背景画像」から「背景画像」を引き絶対値を取ると「人物領域」が得られる。
式1: |「人物+背景画像」−「背景画像」|=「人物領域」
【0029】
次に、ラベリング処理(前記背景差分処理によって抜き出した人物画像の各画素について、各々どの人物の領域に属するかをグループ分けして番号付けする処理)を実行し、画像上の人物領域を2値画像として保持する。
画素上は「人物領域」は0以外の部分と定義しても、どの画素がどの人物の画素かは判定できない。そこで、0以外の画素に番号を振りなおすことにより、各画素がどの人物領域に属する画素かを判定することができる。
通常は、ある人物領域の1画素を決定し、その近傍にある0以外の画素に同一の番号を連番で振りなおしていくことで実行できる。
【0030】
具体的には、人物の領域の画素を1、背景領域の画素を0(ゼロ)とする。
その後、人物領域切り抜き手段102及び202により、撮影した画像から人物領域を抽出する。
そして、人物領域認識手段101及び201で作成した2値画像情報において、1の部分のみを抜き出した画像を作成する。
【0031】
次に、人物位置認識手段203によって、位置認識カメラ20で撮影された人物の位置を認識する。
具体的には、人物領域切り抜き手段202で抽出した人物領域の画像上の重心位置を、ステレオ視差を利用して実世界の位置情報へと変換し、その人物の位置情報を算出する。
2台以上のカメラを利用して同一の物体を撮影した場合、それぞれのカメラから得られる画像上の物体の位置と、各カメラの実際の位置(現実世界での三次元位置)の関係から撮影した物体の画像上の位置がわかれば、実際の位置を算出することができる。これがステレオ視差を利用した位置情報取得である。
なお、撮影した物体の三次元位置(X,Y,Z)のうち、一つが既知である場合(例えば床面の高さは固定)、2台のカメラを必要とせず、1台のカメラで撮影した画像上の位置から、撮影した物体の実際の位置を算出することができる。これは単眼視による位置情報取得となる。
【0032】
そして、複数画像間人物領域対応付け手段103により、撮影装置10で撮影した画像と位置認識カメラ20で撮影した画像及び前記算出した位置情報を対応づける。
具体的には、図2に示すように、人物領域切り抜き手段102で抽出された人物領域に、人物領域切り抜き手段202で抽出した人物領域を射影変換を使用して対応付けする。
射影変換によれば、上述したステレオ視差と同様の原理により、1台のカメラで撮影した画像上での物体が、2台目のカメラで撮影した画像上のどこに投影されているかを知ることができ、この原理を利用すると、1つの画像上で人物を特定すると、2つ目以降の画像上の人物領域が、どの人物領域かを知ることができるようになる。
【0033】
なお、前記位置情報とともに、あるいは前記位置情報に代えて、人物認識装置90で特定した人物の氏名等の属性情報を対応付けることも可能である。
以上のように、撮影装置10及び位置認識カメラ20によって撮影された画像から人物領域を認識・抽出し、これらの領域を相互に対応させ、さらにその人物領域に対応する位置情報や属性情報を割り当てるようにしている。
【0034】
また、動画像中における人物の移動に対応するために、本実施形態では、図3に示すように、フレーム画像間(図3に示すnフレームとn+1フレーム間)での人物領域の重なりを検出することによって、その人物の移動を追跡するようにしてある。
これにより、動画を撮影する場合でも人物の領域を正確に認識し、抽出することが可能となる。従って、本システムでは、送信画像として静止画,動画を問わず対象とすることが可能となる。
【0035】
次に、画像置換装置30は、表示方法入力装置80による入力を介して、表示方法設定記憶装置60の設定をもとに、撮影装置10で撮影された画像の一部と、アバター情報格納装置70に格納してあるアバター情報を置換して描画を行う。
ここで、本実施形態に係る画像通信システムは、たとえば、前記位置情報に応じて自動的に表示方法を設定する制御を行うことも可能である。
また、オクルージョンが発生した場合は、より制限が強い人物で描画の設定がされるようにすることも可能である。
【0036】
具体的には、図4に示すように、人物Aは、アバター設定となっているため、他の画像に置換され表示される。
また人物Bは、非表示設定のため、表示されないか、もしくは背景画を用いることにより透明で表示される。
ここで、人物Cは、表示設定となっているが、人物Aとオクルージョンが発生しているため、制限の強いアバター表示、即ち、所定の置換画像により表示するように予め設定しておくことも可能である。
また人物Dは、非表示設定となっているが、撮影装置10の直前にいるため素画像を表示するなど、人物の位置に応じて表示方法を自動制御することも可能である。
そして、以上の過程を経て得られた画像は、動画像圧縮装置40で圧縮され、画像送信システム50によって目的の地点(相手側システム)へ送信され、テレビ電話やテレビ会議が行われることとなる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の画像通信システムに1よれば、撮影装置10で撮影した画像の中から人物の画像のみを認識し、抽出するようにしてある。
また、撮影した画像の中に複数の人物がいる場合でも、個々にその人物の画像を認識し、抽出するようにしてある。
このため、人物ごとに隠蔽を施すか否かを判断し、また隠蔽を施す場合にはどのような画像に置き換えるかを設定することが可能となる。
【0038】
また、上記置換画像の設定は、人物認識装置90により撮影範囲にいる人物を特定したうえで、その個人ごとに行うことも可能である。
さらに、上記置換画像の設定は、位置認識カメラ20により取得した人物の位置情報に基づいて行うことが出来る。
従って、撮影した画像を送信する前に、その画像に含まれる一人一人に対して、それぞれ異なる画像処理を施すことができ、人物の表示方法や隠蔽方法に様々なバリエーションをもつ画像通信システムの構築及び提供が可能となる。
【0039】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る画像通信システムについて図5を参照しつつ説明する。
図5は、本発明の第二実施形態に係る画像通信システムの概略を示すブロック図である。
本実施形態は、前述の第一実施形態と異なり、人物認識装置90を含まない構成となっている。従って、人物の表示方法の判断には、個人の画面からの距離等の位置情報を利用する。
【0040】
例えば、所定の基準点から一定の距離以上離れている人物は非表示とし、所定の距離範囲にいる人物はアバター表示とし、基準点から一定の距離範囲内にいる人物は素描画で表示する、といった設定を行うことにより、自動制御を行うことが可能である。
このように、本発明の第二実施形態の画像通信システムによれば、第一実施形態と同様の効果が発揮されるだけでなく、人物認識装置90を含まない構成としてあるので、比較的簡易なシステムを構築することができ、また、安価なシステムを提供することが可能となる。
【0041】
以上、本発明の画像通信システムについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像通信システムは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本発明の画像通信システムは、各種手段が撮影装置10又は位置認識カメラ20に組み込まれているが、これらの手段を外部の画像処理装置等に組み込み相互に接続し、協働する仕組みであってもよい。
また、本実施形態では人物を対象とし、それを隠蔽して送信する画像通信システムとして説明したが、物を対象にする事でその応用範囲をさらに広げることが可能である。
例えば、氏名、住所などの個人情報、国家機密や企業秘密にかかるもの等を対象とすることによりシステムの応用範囲がさらに広がる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、通信機能を備えた撮影装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第一実施形態に係る画像通信システムの概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態における複数画像間の対応付けを示す図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る人物領域追跡手法に関しその原理を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る人物表示方法及びその設定に関する図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る画像通信システムの概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
1 画像通信システム
10 撮影装置
101 人物領域認識手段
102 人物領域切り抜き手段
103 複数画像間人物領域対応付け手段
20 位置認識装置
201 人物領域認識手段
202 人物領域切り抜き手段
203 人物位置認識手段
30 画像置換装置
40 動画像圧縮装置
50 画像送信装置
60 表示方法設定記憶装置
70 アバター情報格納装置
80 表示方法入力装置
90 人物認識装置
901 個人特定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信画像を撮影する撮影装置と、送信画像の一部を他の画像に置換する画像置換装置と、送信画像を他の装置に送信する画像送信装置と、を備え、
前記撮影装置は、
撮影した送信画像の中から人物の領域を認識する人物領域認識手段と、
前記人物領域認識手段により認識された領域の画像を抽出する人物領域切り抜き手段と、を備え、
前記画像置換装置が、前記人物領域切り抜き手段により抽出された画像を所定の置換画像に置換する人物領域置換手段を備え、
前記画像送信装置が、前記画像置換装置の人物領域置換手段により置換処理された画像を送信することを特徴とする画像通信システム。
【請求項2】
個人の属性情報を保有し、照合することによって人物を特定する人物認識装置を備え、
この人物認識装置は、
前記撮影装置の撮影範囲の中から個々の人物を認識し、特定する個人特定手段を備え、
前記画像置換装置が、前記個人特定手段により特定された個人の属性情報に応じて画像を置換することを特徴とする請求項1記載の画像通信システム。
【請求項3】
送信画像として撮影される人物を含む画像を上方から撮影することに人物の位置を認識する位置認識カメラを備え、
前記位置認識カメラは、
撮影した画像から人物の領域を認識する人物領域認識手段と、
前記人物領域認識手段により認識された領域の画像を抽出する人物領域切り抜き手段と、
前記人物領域切り抜き手段により抽出された領域の位置を認識し、所定の位置情報に変換する人物位置認識手段と、を備え、
前記撮影装置は、
当該撮影装置により抽出された領域に、前記位置認識カメラにより抽出された領域及び/又は位置情報を対応付ける複数画像間人物領域対応付け手段を備え、
前記画像置換装置が、前記人物位置認識手段により得られた位置情報に応じて画像を置換することを特徴とする請求項1又は2記載の画像通信システム。
【請求項4】
前記撮影装置は、
前記複数画像間人物領域対応付け手段が、前記人物認識装置において保有している各個人の属性情報を、当該撮影装置によって抽出された人物領域に対応付けることを特徴とする請求項3記載の画像通信システム。
【請求項5】
前記撮影装置は、
前記複数画像間人物領域対応付け手段が、前記人物認識装置において保持している各個人の属性情報を、前記位置認識カメラによって抽出された人物領域及び/又は位置情報に対応付けることを特徴とする請求項3又は4記載の画像通信システム。
【請求項6】
前記撮影装置及び/又は前記位置認識カメラは、
連続する画像を撮影する場合において、撮影した一の画像の中から抽出した人物領域とその後に撮影した一の画像の中から抽出した人物領域の重なりを検出する重なり検出手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像通信システム。
【請求項7】
送信画像を撮影する撮影装置と、送信画像の一部を他の画像に置換する画像置換装置と、送信画像を他の装置に送信する画像送信装置と、を画像通信システムとして機能させるための画像処理プログラムであって、
前記撮影装置を構成するコンピュータを、
撮影した画像の中から人物の領域を認識する人物領域認識手段、前記人物領域認識手段により認識された領域の画像を抽出する人物領域切り抜き手段、として機能させるとともに、
前記画像置換装置を構成するコンピュータを、前記人物領域切り抜き手段により抽出された画像を他の画像に置換する人物領域置換手段として機能させ、
前記画像送信装置を構成するコンピュータを、前記人物領域置き換え手段により置換処理された画像を送信する手段として機能させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−19671(P2007−19671A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196867(P2005−196867)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】