説明

異なる感度の出力を有する測定装置

圧電センサ(10)と、異なる増幅度設定と各々の出力(A1、A2、及びAi)を備えた2個以上の電荷増幅器(20、21、22)と、センサ(10)と増幅器(20、21、22)との間に配置した信号スプリッタ(40)とを含む測定システムが開示される。圧電センサ(10)により受信された電荷信号(Q)は測定時に信号スプリッタ(40)上で2つ以上の部分信号(Q1、Q2、及びQi)に分割され、前記2つ以上の部分信号(Q1、Q2、Qi)は電荷増幅器(20、21、22)の1つに送られ、ここで処理され、最後に出力(A1、A2及びAi)に送られる。信号スプリッタ(40)は2個以上のコンデンサ(C1、C2、及びCi)を包含することが望ましい。圧電センサ(10)を含む本発明の測定システムは中でも力、圧力、伸長/膨張、慣性、または加速度を測定するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電センサと2個以上の増幅器を含む異なる分解能レベルの2つ以上の出力を有する物理値を測定するための測定設定に関係する。
【背景技術】
【0002】
測定の仕組みは、信号を検出し変換するセンサと、出力に送信する前に信号を増幅する増幅器とを基本的に含む。応用例に応じて、測定信号の異なる増幅度または変換係数が必要となる。通常、必要に応じて増幅器が調節可能である:高感度を選択して、分解能は非常に高いが全測定範囲は非常に狭い、または低感度を選択して、分解能は非常に低いが全測定範囲は非常に広範囲である、かである。
【0003】
しかしながら、ある種の応用例は異なった時に異なる分解能を必要とする。例えば、射出成型またはダイキャスト機の力の分布を監視する際、射出と冷却操作用に型を締める時には非常に大きな力が測定される。反対に、閉鎖操作時には、型間の空間は空であり、すなわち特に除去すべき部品も捕捉できず閉鎖時に型を損傷する。このため、力信号の分解能は閉鎖状態の信号のそれより約50から100倍まで高くする必要となる。
【0004】
高分解能の微弱信号を測定しかつ非常に強力な信号を監視評価する必要性の他の応用例は、射撃特性の分野である。
【0005】
それ故、振幅に対して大体同一の分解能で高低両方の振幅を監視する必要が有る。
【0006】
従来技術によると、例えば、個別に設定可能なセンサと増幅器を各々が有する2個の測定チェーンがこの目的に使用された。測定チェーンの一方は低範囲の低い力を高分解能で再生するのに適しているが、他方の測定チェーンは高振幅低分解能で大きな力を再生するのに適している。第1の測定チェーンは力が増大すると飽和する。
【0007】
この型式の設定の欠点は、2個のセンサの空間の必要性、2つの設備の必要性及び2つの完全な測定チェーンのコストである。
【0008】
他の可能性は1つの測定チェーンのみを使用し、ここで増幅器は適当な時に新たな所要感度に切換えられなければならない。この設定の欠点は、測定の流れの中断と共に、切換えの適正な時間を見出すことの困難性にある。
【0009】
CH681755号に既に記載されているように、電気信号に重ね合せた部分信号を評価することも可能である。しかしながら、部分信号は基本信号と同じ零点に関係していないため、この処理は本明細書で記載する応用例や要件には不適切である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、異なる感度の2つ以上の出力を有する上述の型式の測定チェーンを示唆することである。
【0011】
本発明の他の目的は、異なる感度の2つ以上の出力を有する力、圧力、伸長、慣性または加速度の測定用の装置を示唆することである。
【0012】
この目的は特許請求項第1項及び第8項の特徴により達成された。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による測定の構成は、圧電センサと、各々が端子を有する異なる増幅設定の2個以上の電荷増幅器と、と共にセンサと増幅器との間に配置された信号スプリッタとを含む。測定時に、圧電センサにより検出された電荷信号は2つ以上の部分信号に分割され、その各々が電荷増幅器の1つに送信され処理されて、最終的に端子に送信される。信号スプリッタは2個以上のコンデンサを含むことが望ましい。圧電センサを有する測定設定は主に力、圧力、伸長、慣性または加速度の測定に使用される。
【実施例】
【0014】
図1は、互いに独立し並列に配置した従来技術による2個の測定チェーンを図示し、各測定チェーンはセンサ10と11と増幅器20と21から構成され、増幅器は異なる感度を有していて、センサ10と11で、例えばこれに作用する力により検出された電荷信号Q1とQ2は増幅器20と21の各々の出力A1とA2で異なる信号量と感度を有する。
【0015】
これらの測定チェーンには2つの完全な構成が必要であり、特に2個のセンサ10と11を設置しなければならない。この解決法は非常にコスト高となるが、これが使用されていた。
【0016】
図2は従来技術による測定チェーンの他の構成を示す。この測定チェーンは1個のセンサ10のみと、増幅器20、21用の設定装置30付の増幅器20、21を含み、これにより設定に依存して1個の端子Aのみが図1の第1センサ20または第2センサ21の感度に応対可能である。この配置は、特定の時間に電荷信号Qが高感度または低感度によってのみ増幅可能であり、切換えの時を決定する指示装置が必要であるという欠点を有する。
【0017】
図3は本発明による測定チェーンの構成を概略的に表示する。測定の仕組みは圧電センサ10を含み、主に力、圧力、伸長、慣性または加速度の測定に使用される。さらに、測定の仕組みは、各々が出力端子A1とA2を有する異なる増幅度の2個の電荷増幅器20と21と共に、センサ10と増幅器20と21との間に配置した信号スプリッタ40とを含む。測定時に、圧電センサ10から送信された電荷信号Qは信号スプリッタ40により2つの部分信号Q1とQ2とに分割され、その各々が電荷増幅器20と21の一方に送信され処理されて最後に出力A1とA2に送られる。圧電センサからの電荷信号Qは非常に高インピーダンスの信号であるため、信号スプリッタ40は2個の適切に配置したコンデンサC1とC2とを含むことが望ましい。コンデンサC1とC2の容量値は線およびセンサの組合せ容量より少なくとも10倍よりも高くすべきことが望ましい。
【0018】
本発明の構成により、2個以上の電荷増幅器20、21をまさしく1個のセンサ10と接続可能である。電荷増幅器20、21は入力に直接接続できない。本発明による測定の構成は、電荷増幅器入力の仮想零点により信号スプリッタ40を形成する適切に配置したコンデンサC1とC2により達成される。しかしながら、この信号スプリッタ40は入力リード線とセンサの容量により乱される。信号スプリッタ40を適切な大きさにすることにより、誤差を小さくする、または平衡させて、高低信号が同時に測定可能となるように電荷増幅器20、21に電荷を分布可能である。同一のコンデンサC1、C2が設けられた場合、同量の誤差が両チャネルで得られる。
【0019】
それ故、コンデンサC1、C2の容量値は同じオーダーであり、互いに最大10の係数だけ異なることが望ましい。容量に従って、電荷信号Q1とQ2もまた同一または同様である。
【0020】
例えば、電荷増幅器20、21の増幅度は100の係数まで異なる。このようにして、端子A1の感度は例えば端子A2のものより1000倍とし、一方電荷増幅器の範囲は同じ係数だけ電荷増幅器20の範囲より広い。しかし、係数100の範囲の感度の差は標準である。
【0021】
図4は図3と同様に本発明による同じ構成を図示し、ここで信号スプリッタ40はいくつかのコンデンサC1、C2、Ciにより元の電荷信号Qをいくつかの部分電荷信号Q1、Q2、Qiに分割する。従って、この測定チェーンはいくつかの電荷増幅器20、21、22といくつかの出力A1、A2、Aiを含む。
【0022】
図5はセンサを統合した2つの出力A1とA2を有する図3による全体測定の構成を含む装置50を表示する。従って、装置50はまた図4による測定の構成も収容可能であり、いくつかの出力Aを有することが出来る。
【0023】
測定チェーンとしてまたは装置50として使用されるに係わらず、本配置の利点は、増幅器装置の切換えが不要であり、出力A1、A2、及びA3の全ての信号を同時に読取り可能である点である。本発明による本測定チェーンまたは本発明による本装置の他の利点は、これが1個のセンサのみを必要とし、これにより測定のコストと労力が低く保持できる点である。
【0024】
さらに、本発明の測定の構成をCH681755号と組合せる可能性もある。これにより、任意の範囲で付加的なズーム機能を可能とし、この場合の零点は関係ない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下の図面を参照して本発明を説明する。
【図1】従来技術による測定の構成の概略説明図。
【図2】従来技術による他の測定の構成の概略説明図。
【図3】本発明による測定の構成の概略説明図。
【図4】本発明による他の測定の構成の概略説明図。
【図5】本発明による装置の概略説明図。
【符号の説明】
【0026】
10 圧電センサ
11 第2圧電センサ
20 第1電荷増幅器
21 第2電荷増幅器
22 別の電荷増幅器
30 増幅器装置の切替え装置
30 信号スプリッタ
A 出力
C コンデンサ
Q 電荷信号
F 力
ε 歪
P 圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる感度レベルの2つ以上の出力(A1、A2、Ai)を有する物理値を測定する測定装置において、圧電センサ(10)と異なる増幅度設定の2個以上の電荷増幅器(20、21、22)とを含み、センサ(10)と電荷増幅器(20、21、22)との間に、測定時にそのセンサ(10)からの電荷信号(Q)を、各々が電荷増幅器(20、21)の内の1つで処理可能な部分信号(Q1、Q2、Qi)に分割可能な信号スプリッタ(40)を配置した、前記測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の測定装置において、センサ(10)は力、圧力、伸長、慣性または加速度を測定可能な、前記測定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の測定装置において、信号スプリッタ(40)には、各電荷増幅器(20、21)の前にコンデンサ(C1、C2)が配置されている、前記測定装置。
【請求項4】
請求項3記載の測定装置において、コンデンサ(C1、C2)の容量値は同じオーダーであり、互いに最大10の因子だけ異なっていることが望ましい、前記測定装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の測定装置において、電荷増幅器(20、21)の増幅度設定は10から100倍の係数だけ異なっている、前記測定装置。
【請求項6】
請求項1及至5いずれか記載の測定装置において、出力(A1、A2)の感度は1000までの係数だけ異なる、測定装置。
【請求項7】
請求項1及6いずれか記載の測定装置を含む装置(50)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−536531(P2007−536531A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511824(P2007−511824)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000238
【国際公開番号】WO2005/108929
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(502281471)キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト (45)
【Fターム(参考)】