説明

異常対処システム対応装置および装置異常対処システム

【課題】 装置に異常が生じたときに、取扱説明書を調べたりサービスセンターに電話したりするのは煩わしい等の問題がある。
【解決手段】 ユーザーが使用している装置13に異常が起きたときに、ユーザーによる装置上でのレスキューボタン14の操作に応じて、装置内の制御手段19が装置のインターフェース12に接続された携帯電話等の無線通信端末10を通じて装置異常の内容を含む情報をサーバ17に送信する。サーバでは、受信した装置異常の内容に対応する対処法のデータをデータベース20内から検索し、検索したデータを電子メール形式等でユーザー側の無線通信端末10に返信する。ユーザーは返信された対処法データを参照しながら装置の異常に対処し、正常な状態に回復させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撮像装置等の装置に異常が発生した場合に、ユーザーがその対処法を無線通信端末を利用して取得できるようにした異常対処システム対応装置および装置異常対処システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】撮像装置等の装置に異常が起きた場合、通常は取扱説明書でその対処法を調べたり、メーカーのサービスセンター等に問い合わしたりする。
【0003】携帯型のパーソナルコンピュータ等、装置内に異常発生時の対処法を示すデータ(ヘルプ)が記憶されていれば、そのデータを比較的手軽にモニタ等に表示させて参照することが可能であるが、そのような対処法データを保有していない装置では、取扱説明書かサービスセンター等に頼るしかない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いちいち取扱説明書を調べるのは手間がかかり煩わしいと感じるユーザーが少なくない。また、旅行等の外出先に取扱説明書を持っていくユーザーはさらに少ない。さらに、取扱説明書自体を紛失してしまっている場合も多い。
【0005】また、サービスセンター等に直接聞こうとしても、営業時間外であったり、なかなか電話がつながらなかったり、電話での会話ではお互いに問題点や対処法がよく理解できなかったりする場合が多い。
【0006】そこで、本発明は、措置異常が発生した場合に、いつでも簡単にその対処法に関する情報を取得できるようにした異常対処システム対応装置および装置異常対処システムを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本願第1の発明の異常対処システム対応装置は、無線通信端末を接続可能なインターフェースと、装置異常の発生を検出する検出手段と、この検出手段により検出された装置異常の内容を判定するとともに上記インターフェースに接続された無線通信端末に対して、判定した装置異常の内容を含む情報を伝達する制御手段とを有する。
【0008】また、本願第2の発明の装置異常対処システムは、上記異常対処システム対応装置の異常に対応する対処法データを複数保有するデータベースと、異常対処システム対応装置に接続された無線通信端末から送信された装置異常の内容を含む情報を受信したときに、該装置異常の内容に対応した対処法データをデータベース内から検索して無線通信端末に送信するサーバとを有する。
【0009】これら発明において、ユーザーが使用している装置に異常が起きたときに、例えばユーザーによる装置上でのレスキュー操作に応じて、装置内の制御手段が装置のインターフェースに接続された携帯電話等の無線通信端末を通じて装置異常の内容を含む情報をサーバに送信する。
【0010】サーバでは、受信した装置異常の内容に対応する対処法のデータをデータベース内から検索し、検索したデータを電子メール形式等でユーザー側の無線通信端末に返信する。ユーザーは返信された対処法データを参照しながら装置の異常に対処し、正常な状態に回復させる。
【0011】このように本願第1および第2の発明を用いることにより、装置のユーザーは異常発生時に取扱説明書を調べたり外出時にまで持ち歩いたりする等の煩わしさから開放され、またサービスセンター等との連絡がとれない、電話による会話では問題点や対処法がお互いによく理解できない等の不都合を解消することが可能となる。したがって、ユーザーは装置異常の発生時に迅速かつ簡単に装置を正常状態に回復させることが可能となる。
【0012】なお、これら第1および第2の発明は、インターフェースに接続された無線通信端末を介して以外に無線基地局との無線通信機能を持たず、かつ異常発生時の対処法を示すデータを保有していない装置、例えば撮像装置に特に好適である。
【0013】一方、システムの運用側では、ユーザーの利用に対して課金することも可能であり、有料サービスとして運用することも可能となる。
【0014】なお、上記異常対処システム対応装置において、検出手段により装置異常の発生が検出されたことを使用者に対して表示する表示手段を設け、この表示を見たユーザーに上記レスキュー操作を行わせるようにしてもよい。
【0015】また、異常対処システム対応装置に、該装置の型式その他の識別情報を記憶させておき、異常発生時に異常内容と識別情報とをサーバに送信させ、サーバに受信した識別情報に対応する装置型式等に応じた対処法データを検索送信させるようにしてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1には、撮像装置に適用される装置異常対処システムの全体構成を示している。
【0017】ビデオカメラやデジタルカメラ等の撮像装置(異常対処システム対応装置)13には、この撮像装置13の制御を司る制御回路19と、撮像装置13が動作しなくなる等の異常が発生した場合にその異常内容を示す情報を記憶しておく不揮発性メモリ18と、ユーザーが異常に対する対処法を知りたいときに操作するレスキューボタン(操作部材)14とが設けられている。
【0018】このレスキューボタン14は、専用に設けられていてもよいし、通常は撮像装置13の他の機能をオンオフ等するためのボタンを異常発生時にのみレスキューボタンとしての役割を果たすようにしたものでもよい。
【0019】なお、撮像装置13は、インターフェース12を有することを除けば一般的に使用されているものであり、インターフェース12に接続された無線通信端末10を介して以外には基地局15との無線通信機能を持たず、かつパーソナルコンピュータのように異常発生時の対処法を示すデータを保有していない。したがって、異常発生時には、従来のように取扱説明書を調べたりサービスセンター等に問い合わせたりするか、本実施形態で以下説明するように、無線通信端末10を介して装置異常対処システムのサーバ17にアクセスし、異常対処法を返信してもらうことが必要となる。
【0020】携帯電話やPHS等の無線通信端末10は、撮像装置13に設けられた無線通信端末用インターフェース12を介して撮像装置13に接続可能となっている。
【0021】レスキューボタン14がオンされると、制御回路19は不揮発性メモリ18に記憶されている異常内容を示す情報とこの撮像装置13の型式等の識別情報をインターフェース12を介して無線通信端末10に伝達する。
【0022】無線通信端末10は、撮像装置13から上記情報が伝達されると、この情報を所定の電話番号先に送信する。なお、この所定の電話番号は、撮像装置13の不揮発性メモリ18に予め記憶させておき、無線通信端末10に伝達するようにしてもよいし、ユーザーが予めこの所定の電話番号を無線通信端末10に登録しておいてもよい。
【0023】無線通信端末10から送信されたデータは、無線通信端末10からの情報を受信可能な基地局15と電話回線16とを介して所定の電話番号先として割り当てられているサーバ17に送信される。
【0024】サーバ17には、種々の型式の撮像装置に生じ得る異常とその対処法を示すデータが多数記憶されているデータベース20が接続されている。サーバ17は、無線通信端末10から(つまりは撮像装置13から)送信されてきた識別情報に応じた型式等に対応する異常対処法データのうち送信されてきた異常内容に対応する対処法データをデータベース20内から検索し、該当する対処法データを電話回線16および基地局15を介して無線で無線通信端末10に返信する。
【0025】このとき、返信は電子メール形式で行われ、ユーザーはサーバ17から返信されてきた対処法データを無線通信端末10に設けられた表示部11において見ることができる。
【0026】次に、このように構成された撮像装置13および装置異常対処システムの動作について図2および図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0027】まず、撮像装置13の電源スイッチがオンされると、制御回路19が動作を開始し、制御回路19内に設けられた異常検出部(図示せず)が撮像装置13内にの異常(いずれかの機能が動作しなくなる等)を監視し始める。また、装置異常対処システムのサーバ17は24時間常に運用されている。
【0028】ステップ(図ではSと略す)31で、異常検出部が異常の発生を検出すると、ステップ32において、制御回路19内に設けられた異常判定部(図示せず)においてその異常の内容を判定するとともに、判定した異常の内容を不揮発性メモリ18に書き込む。また、表示部11又は別途設けられたLEDを点灯させるなどしてユーザーに異常が発生したことを表示する。
【0029】次に、制御回路19内に設けられた通信制御部は、ステップ33においてインターフェース12に無線通信端末10が接続されているか否かを判定し、接続されていない場合にはステップ34に進んで、表示部11に無線通信端末10の接続を促す警告表示を行い、ステップ35に進む。この警告を見たユーザーは無線通信端末10をインターフェース12に接続する。また、無線通信端末10が既に接続されているときは、ステップ35に進み、レスキューボタン14がオンされるまで待つ。
【0030】そして、レスキューボタン14がオンされると、ステップ36に進み、上記通信制御部は無線通信端末10にサーバ17に割り当てられている上記所定の電話番号を呼び出させる。こうしてサーバ17との通信回線が接続されると(ステップ37)、ステップ38に進み、通信制御部は不揮発性メモリ18に記憶されている識別情報と異常内容を示す情報とを無線通信端末10を通じてサーバ17に送信する。この際、無線通信端末10からは自己の電話番号の情報も送信される。
【0031】情報の送信が終了すると、通信制御部は、ステップ39において一旦回線を切断する。
【0032】一方、ステップ40において、サーバ17が無線通信端末10からの情報を受信すると、サーバ17は、受信した識別情報、異常内容情報およびアクセスのあった無線通信端末10の電話番号を内部メモリに記憶する。
【0033】そして、ステップ41では、サーバ17は、受信情報に基づいてデータベース20内のデータから受信した識別情報と異常内容とに基づいて的確な異常時対処法のデータを検索する。
【0034】こうして対処法データを検索すると、ステップ42において、サーバ17は内部メモリに記憶されている電話番号を呼び出す。回線が接続されると、撮像装置13の問題点とその対処法が記載された電子メールを自動的に送信する。
【0035】電子メールの内容としては、例えば「電池室に問題があります。電池を抜いて5秒たってから入れ直してください。」というものである。
【0036】次に、ステップ43において無線通信端末10が上記電子メールを受信すると、無線通信端末10はステップ44においてユーザーのメール確認操作に応じて表示部11に上記メールを表示する。ユーザーはこのメールの内容を読んで対処法を確認する。
【0037】こうして対処法を確認したユーザーは、それに沿って撮像装置13を直す。対処法が上記メール例である場合には、電池室から電池を取り出し、5秒経過後に再び電池を装填するという作業を行う。これにより撮像装置13は正常な状態に回復し、再び利用可能となる。
【0038】なお、本実施形態では、撮像装置13のインターフェース12に直接、無線通信端末10を接続する場合について説明したが、撮像装置13とパーソナルコンピュータとを接続し、このパーソナルコンピュータと無線通信端末10とを接続するようにし、パーソナルコンピュータおよび無線通信端末10を全体として無線通信端末として用いるようにしてもよい。また、パーソナルコンピュータにPHS機能内蔵のモバイルカード等を接続して無線通信端末として使用することも可能である。
【0039】また、本実施形態では、携帯可能な撮像装置に対応した装置異常対処システムについて説明したが、本発明は、撮像装置以外の各種装置や携帯型ではなく設置型の装置にも適用することができる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本願第1および第2の発明によれば、装置のユーザーを、異常発生時に取扱説明書を調べたり外出時にまで取扱説明書を持ち歩いたりする等の煩わしさから開放することができる。また、サービスセンター等との連絡がとれない、電話による会話では問題点や対処法がお互いによく理解できない等の不都合を解消することもできる。したがって、ユーザーは装置異常の発生時に迅速かつ簡単に装置を正常状態に回復させることができる。
【0041】また、システムの運用側では、ユーザーの利用に対して課金することもできるので、有料サービスとして運用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である撮像装置と装置異常対処システムの構成を示す概略図である。
【図2】上記撮像装置と装置異常対処システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】上記撮像装置と装置異常対処システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 無線通信端末
11 表示部
12 無線通信用インターフェース
13 撮像装置
14 レスキューボタン
15 基地局
16 電話回線
17 サーバ
18 不揮発性メモリ
19 制御回路
20 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】 無線通信端末を接続可能なインターフェースと、装置異常の発生を検出する検出手段と、この検出手段により検出された装置異常の内容を判定するとともに前記インターフェースに接続された無線通信端末に対して判定した装置異常の内容を含む情報を伝達する制御手段とを有することを特徴とする異常対処システム対応装置。
【請求項2】 前記制御手段は、判定した装置異常の内容を記憶する記憶部を備え、この記憶部に記憶した装置異常の内容を含む情報を前記インターフェースに接続された無線通信端末に伝達することを特徴とする請求項1に記載の異常対処システム対応装置。
【請求項3】 前記検出手段により装置異常の発生が検出されたことを使用者に対して表示する表示手段と、使用者により操作され、前記制御手段に装置異常の内容を含む情報を前記インターフェースに接続された無線通信端末に伝達させる操作手段とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の異常対処システム対応装置。
【請求項4】 前記記憶部に、該装置の型式その他の識別情報が記憶されており、前記制御手段は、前記記憶部に記憶された装置異常の内容を示す情報と前記固有情報とを前記インターフェースに接続された無線通信端末に伝達することを特徴とする請求項2に記載の異常対処システム対応装置。
【請求項5】 前記インターフェースに接続された無線通信端末を介して以外に無線基地局との無線通信機能を持たず、かつ異常発生時の対処法を示すデータを保有していないことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の異常対処システム対応装置。
【請求項6】 画像の取得するための撮像装置であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の異常対処システム対応装置。
【請求項7】 請求項1から6のいずれかに記載の異常対処システム対応装置の異常に対応する対処法データを複数保有するデータベースと、前記異常対処システム対応装置に接続された無線通信端末から送信された装置異常の内容を含む情報を受信したときに、該装置異常の内容に対応した対処法データを前記データベース内から検索して前記無線通信端末に送信するサーバとを有することを特徴とする装置異常対処システム。
【請求項8】 前記データベースは、異常対処システム対応装置の異常に対応する対処法データを該装置の型式その他の識別情報ごとに複数保有しており、前記サーバは、前記異常対処システム対応装置に接続された無線通信端末から送信された装置異常の内容と前記識別情報とを含む情報を受信したときに、該識別情報と装置異常の内容に対応した対処法データを前記データベース内から検索して前記無線通信端末に送信することを特徴とする請求項7に記載の装置異常対処システム。
【請求項9】 前記サーバは、前記対処法データを電子メール形式で前記無線通信端末に送信することを特徴とする請求項7又は8に記載の装置異常対処システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2003−143317(P2003−143317A)
【公開日】平成15年5月16日(2003.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−339739(P2001−339739)
【出願日】平成13年11月5日(2001.11.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】