説明

異方性導電材料及び接続構造体

【課題】低温で硬化させることができ、貯蔵安定性に優れており、かつ絶縁信頼性が高い接続構造体を得ることができる異方性導電材料を提供する。
【解決手段】エポキシ化合物と、導電性粒子5と、下記式(1)で表される第1の化合物と、下記式(1)で表される化合物とは異なり、かつ熱により酸を発生する第2の化合物とを含む。


上記式(1)中、X1は、ハロゲン原子又はアルキル硫酸を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の導電性粒子を含む異方性導電材料に関し、例えば、フレキシブルプリント基板、ガラス基板、ガラスエポキシ基板及び半導体チップなどの様々な接続対象部材の電極間を電気的に接続するために用いることができる異方性導電材料、並びに該異方性導電材料を用いた接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースト状又はフィルム状の異方性導電材料が広く知られている。該異方性導電材料では、バインダー樹脂に複数の導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、各種の接続構造体を得るために、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に使用されている。
【0004】
上記異方性導電材料により、例えば、半導体チップの電極とガラス基板の電極とを電気的に接続する際には、ガラス基板上に、導電性粒子を含む異方性導電材料を配置する。次に、半導体チップを積層して、加熱及び加圧する。これにより、異方性導電材料を硬化させて、導電性粒子を介して電極間を電気的に接続して接続構造体を得る。
【0005】
上記異方性導電材料の一例として、下記の特許文献1には、(A)脂環式エポキシ化合物と、(B)カチオン発生剤と、(C1)上記脂環式エポキシ化合物よりもカチオン重合性が低い第2のカチオン重合性化合物と、導電性粒子とを含む異方性導電材料が開示されている。特許文献1では、上記(B)カチオン発生剤としては、リン酸塩及びホウ酸塩が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−111557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
エポキシ化合物と、加熱により酸を発生する化合物であるカチオン発生剤とを含む特許文献1に記載のような従来の異方性導電材料は、比較的低温で硬化可能である。しかし、エポキシ化合物と、加熱により酸を発生する化合物とを含む異方性導電材料では、貯蔵安定性が低いという問題がある。
【0008】
さらに、エポキシ化合物と、加熱により酸を発生する化合物とを含む従来の異方性導電材料を用いて上記接続構造体を得ると、得られる接続構造体の絶縁信頼性が低くなるという問題がある。特に、接続構造体の高温及び高湿下での絶縁信頼性が低くなりやすい。
【0009】
本発明の目的は、低温で硬化させることができ、貯蔵安定性に優れており、かつ絶縁信頼性が高い接続構造体を得ることができる異方性導電材料、並びに該異方性導電材料を用いた接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の広い局面によれば、エポキシ化合物と、導電性粒子と、下記式(1)で表される第1の化合物と、下記式(1)で表される化合物とは異なり、かつ加熱により酸を発生する第2の化合物とを含む、異方性導電材料が提供される。
【0011】
【化1】

【0012】
上記式(1)中、R1〜R5はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アセチル基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基又はベンジルオキシカルボニル基を表し、R6及びR7はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X1は、ハロゲン原子又はアルキル硫酸を表す。
【0013】
本発明に係る異方性導電材料のある特定の局面では、上記第1の化合物は、下記式(1−1)で表される化合物である。
【0014】
【化2】

【0015】
上記式(1−1)中、R6及びR7はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X1は、ハロゲン原子又はアルキル硫酸を表す。
【0016】
本発明に係る異方性導電材料のある特定の局面では、上記第1の化合物は、下記式(1A)で表される化合物である。
【0017】
【化3】

【0018】
上記式(1A)中のX1は、ハロゲン原子又はアルキル硫酸を表す。
【0019】
本発明に係る異方性導電材料の他の特定の局面では、上記第1の化合物におけるX1はメチル硫酸である。
【0020】
本発明に係る異方性導電材料のさらに他の特定の局面では、上記第2の化合物は、下記式(2)で表される化合物である。
【0021】
【化4】

【0022】
上記式(2)中、R11〜R15はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アセチル基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基又はベンジルオキシカルボニル基を表し、R16及びR17はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す。
【0023】
本発明に係る異方性導電材料のある特定の局面では、上記第2の化合物は、下記式(2−1)で表される化合物である。
【0024】
【化5】

【0025】
上記式(2−1)中、R16及びR17はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す。
【0026】
本発明に係る異方性導電材料のある特定の局面では、上記第2の化合物は、下記式(2A)で表される化合物である。
【0027】
【化6】

【0028】
上記式(2A)中、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す。
【0029】
上記第1の化合物におけるアニオン部分が上記第2の化合物におけるアニオン部分に変換された化合物の熱分解温度が150℃以上であることが好ましい。本発明に係る異方性導電材料では、上記第2の化合物100重量部に対して、上記第1の化合物の含有量が0.5重量部以上、10重量部以下であることが好ましい。本発明に係る異方性導電材料では、上記導電性粒子100重量部に対して、上記第1の化合物と上記第2の化合物との合計の含有量が300重量部以下であることが好ましい。
【0030】
本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、該接続部が、上述した異方性導電材料により形成されている。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る異方性導電材料は、エポキシ化合物と、導電性粒子と、式(1)で表される第1の化合物と、式(1)で表される化合物とは異なり、かつ加熱により酸を発生する第2の化合物とを含むので、低温で硬化可能であり、かつ貯蔵安定性に優れている。さらに、本発明に係る異方性導電材料を用いて上記接続構造体を得ると、得られる接続構造体の絶縁信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る異方性導電材料を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0034】
本発明に係る異方性導電材料は、エポキシ化合物と、導電性粒子と、式(1)で表される第1の化合物と、式(1)で表される化合物とは異なり、かつ加熱により酸を発生する第2の化合物とを含む。
【0035】
本発明に係る異方性導電材料は、上記組成を有するので、特にエポキシ化合物を加熱により酸を発生する第2の化合物により熱硬化させるので、低温で硬化可能である。
【0036】
さらに、本発明に係る異方性導電材料は、上記組成を有するので、特に式(1)で表される第1の化合物が加熱により酸を発生する第2の化合物とともに用いられているので、貯蔵安定性が十分に高くなる。
【0037】
さらに、上記組成の採用によって、本発明に係る異方性導電材料を用いた接続構造体の絶縁信頼性を高めることができる。特に、接続構造体における接続されるべき上下の電極間を、異方性導電材料に含まれている導電性粒子により接続したときに、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の絶縁信頼性を高めることができる。さらに、特に接続構造体が高温及び高湿下に晒されても、高い絶縁信頼性を十分に確保できる。本発明に係る異方性導電材料では、電極及び導電性粒子のマイグレーションの発生が抑制される結果、絶縁信頼性が高くなる。
【0038】
以下、先ず、本発明に係る異方性導電材料に含まれている各成分、及び含まれることが好ましい各成分を詳細に説明する。
【0039】
(エポキシ化合物)
本発明に係る異方性導電材料に含まれているエポキシ化合物は特に限定されない。該エポキシ化合物として、従来公知のエポキシ化合物を使用可能である。上記エポキシ化合物は、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物をいう。上記エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0040】
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、レゾルシン型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物等が挙げられる。
【0041】
上記エポキシ化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化させることができるので好ましい。
【0042】
(式(1)で表される第1の化合物)
本発明に係る異方性導電材料は、下記式(1)で表される第1の化合物を含む。該第1の化合物は、異方性導電材料の貯蔵安定性の向上に大きく寄与する。上記第1の化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
【化7】

【0044】
上記式(1)中、R1〜R5はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アセチル基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基又はベンジルオキシカルボニル基を表し、R6及びR7はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X1は、ハロゲン原子又はアルキル硫酸を表す。
【0045】
異方性導電材料の貯蔵安定性をより一層高める観点からは、上記式(1)中のR1〜R5はそれぞれ水素原子を表し、R6及びR7はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X1は、ハロゲン原子又はアルキル硫酸を表すことが好ましい。すなわち、上記第1の化合物は、下記式(1−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0046】
【化8】

【0047】
上記式(1−1)中、R6及びR7はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X1は、ハロゲン原子又はアルキル硫酸を表す。
【0048】
上記式(1)中、R1〜R5はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アセチル基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基又はベンジルオキシカルボニル基を表し、R6及びR7はそれぞれメチル基を表し、X1は、ハロゲン原子又はアルキル硫酸を表す第1の化合物を用いてもよい。また、異方性導電材料の貯蔵安定性をより一層高める観点からは、上記式(1)中のR1〜R5はそれぞれ水素原子を表し、R6及びR7はそれぞれメチル基を表すことが好ましい。すなわち、上記第1の化合物は、下記式(1A)で表される化合物であることが好ましい。
【0049】
【化9】

【0050】
上記式(1A)中のX1は、ハロゲン原子又はアルキル硫酸を表す。
【0051】
異方性導電材料の貯蔵安定性をより一層高める観点からは、上記第1の化合物におけるX1はアルキル硫酸であることが好ましい。アルキル硫酸は、RSOで表される。従って、X1がアルキル硫酸である場合に、X1はRSOで表される。アルキル硫酸におけるアルキル基の炭素数は、好ましくは5以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1である。
【0052】
異方性導電材料の貯蔵安定性をより一層高める観点からは、アルキル硫酸は、メチル硫酸又はエチル硫酸であることが好ましく、メチル硫酸であることがより好ましい。メチル硫酸は、CHSOで表される。従って、X1がメチル硫酸である場合に、X1はCHSOで表される。
【0053】
異方性導電材料の貯蔵安定性をより一層高める観点からは、上記第1の化合物は、下記式(1X)で表される化合物であることが好ましく、下記式(1X−1)で表される化合物であることがより好ましく、下記式(1AX)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0054】
【化10】

【0055】
上記式(1X)中、R1〜R5はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アセチル基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基又はベンジルオキシカルボニル基を表し、R6及びR7はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表す。
【0056】
【化11】

【0057】
上記式(1X−1)中、R6及びR7はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表す。
【0058】
【化12】

【0059】
上記第2の化合物100重量部に対して、上記第1の化合物の含有量は好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは0.5重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは50重量部以下、更に好ましくは10重量部以下である。上記第1の化合物の含有量が上記下限以上であると、異方性導電材料の貯蔵安定性がより一層高くなる。上記第1の化合物の含有量が上記上限以下であると、異方性導電材料の貯蔵安定性を高めるために上記第1の化合物が過剰でなくなり、更に異方性導電材料の低温硬化性がより一層良好になる。
【0060】
異方性導電材料の貯蔵安定性を効果的に高める観点からは、上記第2の化合物100重量部に対して、上記第1の化合物の含有量は0.5重量部以上、10重量部以下であることが特に好ましい。
【0061】
(加熱により酸を発生する第2の化合物)
本発明に係る異方性導電材料に含まれている第2の化合物は、加熱により酸を発生する。該第2の化合物は、上記式(1)で表される化合物とは異なる。該第2の化合物は、上記式(1)で表される化合物に相当しない。従って、上記第2の化合物は、上記第1の化合物に相当しない。上記第2の化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
異方性導電材料をより一層低温で硬化可能にし、かつ異方性導電材料の貯蔵安定性及び接続構造体の絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の化合物は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0063】
【化13】

【0064】
上記式(2)中、R11〜R15はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アセチル基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基又はベンジルオキシカルボニル基を表し、R16及びR17はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す。六フッ化アンチモンは、SbFで表される。従って、X11が六フッ化アンチモンである場合に、X11はSbFで表される。テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素は、B(Cで表される。従って、X11がテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素である場合に、X11はB(Cで表され、具体的には下記式(Xa)で表される。
【0065】
【化14】

【0066】
異方性導電材料をより一層低温で硬化可能にし、かつ異方性導電材料の貯蔵安定性及び接続構造体の絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の化合物は、上記式(2)中、R11〜R15はそれぞれ水素原子を表し、R16及びR17はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表すことが好ましい。すなわち、上記第2の化合物は、下記式(2−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0067】
【化15】

【0068】
上記式(2−1)中、R16及びR17はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す。
【0069】
上記式(2)中、R11〜R15はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アセチル基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基又はベンジルオキシカルボニル基を表し、R16は、ナフチルメチル基を表し、R17は、メチル基を表し、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す第2の化合物を用いてもよい。また、異方性導電材料をより一層低温で硬化可能にし、かつ異方性導電材料の貯蔵安定性及び接続構造体の絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の化合物は、下記式(2A)で表される化合物であることが好ましい。
【0070】
【化16】

【0071】
上記式(2A)中、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す。
【0072】
上記第1の化合物におけるアニオン部分が上記第2の化合物におけるアニオン部分に変換された化合物(以下、化合物Cと記載することがある)の熱分解温度は、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは220℃以下である。上記化合物C熱分解温度が上記下限以上であると、異方性導電材料の熱硬化が良好になり、更に異方性導電材料の貯蔵安定性がより一層高くなる。上記化合物Cの熱分解温度が上記上限以下であると、異方性導電材料をより一層低温で硬化可能である。上記化合物Cの上記熱分解温度は、150℃以上であることがより好ましい。
【0073】
なお、上記式(1)又は上記式(1X)で表される第1の化合物と上記式(2)、上記式(2−1)又は上記式(2A)で表される第2の化合物とを用いた場合には、上記化合物Cは下記式(11)で表される。
【0074】
【化17】

【0075】
上記式(11)中、R1〜R5はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アセチル基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基又はベンジルオキシカルボニル基を表し、R6及びR7はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す。
【0076】
なお、上記式(1−1)又は上記式(1X−1)で表される第1の化合物と上記式(2)、上記式(2−1)又は上記式(2A)で表される第2の化合物とを用いた場合には、上記化合物Cは下記式(11−1)で表される。
【0077】
【化18】

【0078】
上記式(11−1)中、R6及びR7はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す。
【0079】
上記式(1A)又は上記式(1AX)で表される第1の化合物と上記式(2)、上記式(2−1)又又は上記式(2A)で表される第2の化合物とを用いた場合には、上記化合物Cは下記式(11X)で表される。
【0080】
【化19】

【0081】
上記式(11X)中、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す。
【0082】
上記導電性粒子100重量部に対して、上記第1の化合物と上記第2の化合物との合計の含有量は、好ましくは10重量部以上、より好ましくは50重量部以上、更に好ましくは100重量部以上、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは500重量部以下、更に好ましくは300重量部以下である。上記第1,第2の化合物の合計の含有量が上記下限以上であると、異方性導電材料の低温硬化性がより一層良好になる。上記第1,第2の化合物の合計の含有量が上記上限以下であると、接続構造体の絶縁信頼性がより一層良好になる。
【0083】
接続構造体の絶縁信頼性を効果的に高める観点からは、上記導電性粒子100重量部に対して、上記第1,第2の化合物の合計の含有量は300重量部以下であることが特に好ましい。
【0084】
(導電性粒子)
上記異方性導電材料に含まれている導電性粒子は、第1,第2の接続対象部材の電極間を電気的に接続する。上記導電性粒子は、導電性を有する粒子であれば特に限定されない。導電性粒子の導電層の表面が絶縁層により被覆されていてもよい。導電性粒子の導電層の表面が、絶縁性粒子により被覆されていてもよい。これらの場合には、接続対象部材の接続時に、導電層と電極との間の絶縁層又は絶縁性粒子が排除される。上記導電性粒子としては、例えば、有機粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子もしくは金属粒子等の表面を金属層(導電層)で被覆した導電性粒子、並びに実質的に金属のみで構成される金属粒子等が挙げられる。上記金属層は特に限定されない。上記金属層としては、金層、銀層、銅層、ニッケル層、パラジウム層及び錫を含有する金属層等が挙げられる。
【0085】
電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有することが好ましい。上記導電性粒子は、導電層の少なくとも外側の表面層が、はんだ層である導電性粒子であってもよい。
【0086】
上記はんだ層を構成する材料は特に限定されないが、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだ層の組成としては、例えば亜鉛、金、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。なかでも低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、はんだ層は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ層、又は錫とビスマスとを含むはんだ層であることが好ましい。
【0087】
上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下、最も好ましくは5μm未満である。
【0088】
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
【0089】
上記エポキシ化合物100重量部に対して、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上、特に好ましくは2重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡をより一層防止できる。
【0090】
(他の成分)
上記異方性導電材料は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーの使用により、異方性導電材料の硬化物の熱線膨張率を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム、アルミナ、ガラス、窒化ボロン、窒化ケイ素、シリコーン、カーボン、グラファイト、グラフェン及びタルク等が挙げられる。上記フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱伝導率が高いフィラーを用いると、本硬化時間が短くなる。
【0091】
上記異方性導電材料は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、異方性導電材料の粘度を容易に調整できる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
【0092】
(異方性導電材料の詳細及び用途)
本発明に係る異方性導電材料は、ペースト状又はフィルム状の異方性導電材料であり、ペースト状の異方性導電材料であることが好ましい。ペースト状の異方性導電材料は、異方性導電ペーストである。フィルム状の異方性導電材料は、異方性導電フィルムである。異方性導電材料が異方性導電フィルムである場合、該導電性粒子を含む異方性導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されてもよい。
【0093】
上記異方性導電ペーストの25℃での粘度は、好ましくは20Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上、好ましくは700Pa・s以下、より好ましくは500Pa・s以下である。上記粘度が上記下限以上であると、異方性導電ペースト中での導電性粒子の沈降を抑制できる。上記粘度が上記上限以下であると、導電性粒子の分散性がより一層高くなる。塗布前の上記異方性導電ペーストの上記粘度が上記範囲内であれば、第1の接続対象部材上に異方性導電ペーストを塗布した後に、硬化前の異方性導電ペーストの流動がより一層生じ難くなり、更にボイドがより一層生じ難くなる。
【0094】
本発明に係る異方性導電材料は、様々な接続対象部材を接着するために使用できる。上記異方性導電材料は、第1,第2の接続対象部材が電気的に接続されている接続構造体を得るために好適に用いられる。
【0095】
図1に、本発明の一実施形態に係る異方性導電材料を用いた接続構造体の一例を模式的に断面図で示す。
【0096】
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材4と、第1,第2の接続対象部材2,4を電気的に接続している接続部3とを備える。接続部3は、硬化物層であり、導電性粒子5を含む異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。
【0097】
第1の接続対象部材2は上面2a(表面)に、複数の第1の電極2bを有する。第2の接続対象部材4は下面4a(表面)に、複数の第2の電極4bを有する。第1の電極2bと第2の電極4bとが、1つ又は複数の導電性粒子5により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材2,4が導電性粒子5により電気的に接続されている。
【0098】
第1,第2の電極2b,4b間の接続は、通常、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材4とを異方性導電材料を介して第1,第2の電極2b,4b同士が対向するように重ね合わせた後に、異方性導電材料を硬化させる際に、加圧することにより行われる。加圧により、一般に導電性粒子5は圧縮される。
【0099】
上記第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記異方性導電材料は、電子部品の接続に用いられる異方性導電材料であることが好ましい。上記異方性導電材料は、異方性導電ペーストであって、かつペーストの状態で接続対象部材の上面に塗工される異方性導電材料であることが好ましい。
【0100】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0101】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0102】
実施例、比較例及び参考例では、以下の材料を用いた。
【0103】
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物1(DIC社製「EXA4850−150」)
エポキシ化合物2(ADEKA社製「EP−4000S」)
【0104】
(第1の化合物)
第1の化合物1(上記式(1AX)で表される化合物)
第1の化合物2(上記式(1)で表され、R1〜R5がそれぞれ水素原子、R6がナフチルメチル基、R7がメチル基、X1がメチル硫酸である化合物)
第1の化合物3(上記式(1)で表され、R1〜R5がそれぞれ水素原子、R6及びR7がメチル基、X1が塩素原子である化合物)
【0105】
(第2の化合物)
第2の化合物1(上記式(2A)で表され、X11がテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素である化合物)
第2の化合物2(上記式(2A)で表され、X11が六フッ化アンチモンである化合物)
第2の化合物3(上記式(2)で表され、R11〜R15がそれぞれ水素原子、R16及びR17がベンジルメチル基、X11がテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素である化合物)
【0106】
(導電性粒子)
導電性粒子1(平均粒子径10μm、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子)
導電性粒子2(平均粒子径10μm、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子)
【0107】
(実施例1〜18及び比較例1,2)
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合して、異方性導電ペーストを得た。
【0108】
(評価)
(1)熱分解温度
上記第1の化合物におけるアニオン部分が上記第2の化合物におけるアニオン部分に変換された化合物Cの熱分解温度を評価した。DSC装置(TA Instuments社製「Q100」)を用いて、熱分解温度を測定した。熱分解温度を下記の基準で判定した。
【0109】
[熱分解温度の判定基準]
○:熱分解温度が150℃以上、250℃以下
×:熱分解温度が150℃未満
【0110】
(2)低温硬化性と導通性評価
L/Sが200μm/200μmの金電極パターンを上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板)を用意した。また、L/Sが200μm/200μmの金電極パターンを上面に有するフレキシブル基板を用意した。
【0111】
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の異方性導電材料を厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電材料層を形成した。次に、異方性導電材料層の上面に上記フレキシブル基板を、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電材料層の温度が170℃又は190℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、フレキシブル基板の上面に加圧加熱ヘッドを載せ、2.0MPaの圧力をかけて異方性導電材料層を170℃又は190℃で10秒間硬化させ、接続構造体を得た。
【0112】
得られた接続構造体について、異方性導電ペーストの硬化状態と接続構造体における抵抗値から、低温硬化性を下記の基準で判定した。
【0113】
[低温硬化性の判定基準]
○:170℃及び190℃の双方でペーストが硬化しており、抵抗値が2.0Ω以下
△:190℃の場合のみペーストが硬化しており、抵抗値が2.0Ω以下
×:170℃及び190℃の双方でペーストが硬化しておらず、基板同士が接続できていない
【0114】
(3)貯蔵安定性
粘度計(東機産業社製「TV−22」)を用いて、25℃及び5rpmの条件で、作製直後の異方性導電材料の粘度η1を測定した。異方性導電材料を作製した後、25℃で72時間保管した。粘度η1と同様の条件で、保管後の異方性導電材料の粘度η2を測定した。貯蔵安定性を下記の基準で判定した。
【0115】
[貯蔵安定性の判定基準]
○○:粘度η2が粘度η1の120%以下
○:粘度η2が粘度η1の120%を超え、130%以下
△:粘度η2が粘度η1の130%を超え、140%以下
×:粘度η2が粘度η1の140%を超える
【0116】
(4)絶縁信頼性
L/Sが80μm/80μmのくし型銅電極パターンを上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板)を用意した。
【0117】
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の異方性導電材料を厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電材料層を形成した。次に、ガラスを積層し、異方性導電材料層の温度が190℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、ガラスの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、2.0MPaの圧力をかけて異方性導電材料層を190℃で10秒間硬化させ、接続構造体を得た。
【0118】
得られた接続構造体の互いに絶縁された測定用端子間に20Vの電圧を印加した状態で85℃85%RHの雰囲気下にて500時間暴露した(絶縁信頼性試験)。この間、測定用端子間の抵抗値変化を測定した。抵抗値が10Ω以下となった場合を絶縁不良と判断した。絶縁信頼性を下記基準で判定した。
【0119】
[絶縁信頼性の判定基準]
○:10個の接続構造体のうち、500時間暴露中に抵抗値が10Ω未満になる接続構造体がない
△:10個の接続構造体のうち、500時間暴露中に抵抗値が10Ω未満になる接続構造体があるものの、10Ω未満になる接続構造体はない
×:10個の接続構造体のうち、500時間暴露中に抵抗値が10Ω未満になる接続構造体1個以上がある
【0120】
結果を下記の表1に示す。なお、下記の表1において、「−」は評価していないことを示す。
【0121】
【表1】

【符号の説明】
【0122】
1…接続構造体
2…第1の接続対象部材
2a…上面
2b…第1の電極
3…接続部
4…第2の接続対象部材
4a…下面
4b…第2の電極
5…導電性粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ化合物と、
導電性粒子と、
下記式(1)で表される第1の化合物と、
下記式(1)で表される化合物とは異なり、かつ加熱により酸を発生する第2の化合物とを含む、異方性導電材料。
【化1】

前記式(1)中、R1〜R5はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アセチル基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基又はベンジルオキシカルボニル基を表し、R6及びR7はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X1は、ハロゲン原子又はアルキル硫酸を表す。
【請求項2】
前記第1の化合物が、下記式(1−1)で表される化合物である、請求項1に記載の異方性導電材料。
【化2】

前記式(1−1)中、R6及びR7はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X1は、ハロゲン原子又はアルキル硫酸を表す。
【請求項3】
前記第1の化合物が、下記式(1A)で表される化合物である、請求項2に記載の異方性導電材料。
【化3】

前記式(1A)中のX1は、ハロゲン原子又はアルキル硫酸を表す。
【請求項4】
前記第1の化合物におけるX1がメチル硫酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の異方性導電材料。
【請求項5】
前記第2の化合物が、下記式(2)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の異方性導電材料。
【化4】

前記式(2)中、R11〜R15はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アセチル基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基又はベンジルオキシカルボニル基を表し、R16及びR17はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す。
【請求項6】
前記第2の化合物が、下記式(2−1)で表される化合物である、請求項5に記載の異方性導電材料。
【化5】

前記式(2−1)中、R16及びR17はそれぞれ、アルキル基、ベンジル基、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基又はナフチルメチル基を表し、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す。
【請求項7】
前記第2の化合物が、下記式(2A)で表される化合物である、請求項6に記載の異方性導電材料。
【化6】

前記式(2A)中、X11は、六フッ化アンチモン又はテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を表す。
【請求項8】
前記第1の化合物におけるアニオン部分が前記第2の化合物におけるアニオン部分に変換された化合物の熱分解温度が150℃以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の異方性導電材料。
【請求項9】
前記第2の化合物100重量部に対して、前記第1の化合物の含有量が0.5重量部以上、10重量部以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の異方性導電材料。
【請求項10】
前記導電性粒子100重量部に対して、前記第1の化合物と前記第2の化合物との合計の含有量が300重量部以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の異方性導電材料。
【請求項11】
第1の接続対象部材と、
第2の接続対象部材と、
前記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、
前記接続部が、請求項1〜10のいずれか1項に記載の異方性導電材料により形成されている、接続構造体。

【図1】
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【公開番号】特開2013−93315(P2013−93315A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−211052(P2012−211052)
【出願日】平成24年9月25日(2012.9.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】