説明

疾病に特異的な結合分子および標的を提供する方法

天然内因性タンパク質から派生するが、異型において、および/または、それらの正常な生理学的状況から患者の体内に蔓延している、疾病関連タンパク質のネオエピトープを認識する、新規の特異的結合分子、特に、ヒト抗体、ならびに、そのフラグメント、誘導体、および変異体を提供する。加えて、このような結合分子、その抗体および模倣体を含む医薬組成物、ならびに、アルツハイマー病等の神経疾患の治療における抗体および標的である場合も、またはそうでない場合もある、新規の結合分子に対するスクリーニングの方法を記載する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患関連タンパク質特異的結合分子を単離する方法であって、
(a) 症状はないが、疾患に罹患する、または疾患を発症する危険性がある患者、または異常に安定な疾病経過がある患者から得たサンプルを、所定の臨床特性の病理的に変化した細胞もしくは組織の標本に供するステップと、
(b) 前記標本に結合するが、健康な対象の対応する細胞または組織に結合しない結合分子を同定し、任意に単離するステップと、を含む、方法。

【請求項2】
前記サンプルは、体液または細胞サンプルを含有する、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記体液は、脳脊髄液、血漿、または尿である、請求項2に記載の方法。

【請求項4】
前記結合分子は、抗体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
前記サンプルは、B細胞または記憶B細胞を含む、またはそれらから派生する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
前記患者および対象は、それぞれ、ヒトである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。

【請求項7】
前記患者は、代理マーカーの存否により、まだ明確でない疾患に罹患しているかまたは前記疾患を発症する危険性があると判定されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。

【請求項8】
前記代理マーカーは、老齢期、脳アミロイド負荷、アポE遺伝子型、APP遺伝子型、PS1遺伝子型、アミロイドβペプチド、イソプラスタン、タウ(Tau)、およびホスホタウ(phospho−Tau)の体液におけるレベルからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。

【請求項9】
前記疾患は、神経疾患、自己免疫疾患、および腫瘍からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。

【請求項10】
前記疾患は、アルツハイマー病である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。

【請求項11】
前記サンプルは、以下の基準:
(i) 65歳以上であること、
(ii) 十分な認知能力および良好な健康状態を有すること、
(iii) 認知症の臨床的兆候がないこと、または
(iv) アルツハイマー病であり得る確立された臨床診断の存在にもかかわらず、疾病の進行が異常に遅いこと、を満たす患者から採取される、請求項10に記載の方法。


【請求項12】
(i) 結合分子、例えば、前記標本に結合するが、健康な対象の対応する細胞または組織に結合しない抗体を含むことが確認されているサンプルからB細胞またはB記憶細胞を精製するステップと、
(ii) 前記B細胞またはB記憶細胞から前記抗体に対する免疫グロブリン遺伝子レパートリーを取得するステップと、
(iii) 前記レパートリーを使用して、前記抗体を発現するステップと、
をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。

【請求項13】
ステップ(ii)は、
(iv) 前記B細胞または記憶B細胞からmRNAを取得するステップと、
(v) ステップ(iv)の前記mRNAからcDNAを取得するステップと、
(vi) プライマー伸長反応を使用して、前記cDNAから前記抗体の重鎖(HC)およびκ軽鎖(LC)に対応するフラグメントを増幅するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。

【請求項14】
疾患関連タンパク質ネオエピトープを選択的に認識することが可能である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法により取得可能な結合分子。

【請求項15】
前記タンパク質をその非疾患関連型において実質的には認識しない、請求項14に記載の結合分子。

【請求項16】
抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項14または15に記載の結合分子。

【請求項17】
ヒト抗体である、請求項16に記載の抗体。

【請求項18】
前記疾患は、神経疾患である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の結合分子。

【請求項19】
前記疾患は、脳の疾患である、請求項14〜18のいずれか1項に記載の結合分子。

【請求項20】
病理学的事象の部位で血液脳関門を横断することが可能である、請求項14〜19のいずれか1項に記載の結合分子。

【請求項21】
ベータアミロイド斑、脳血管アミロイド、拡散性アミロイドβ沈着、神経原線維変化、過リン酸化タウ、アルファシヌクレイン陽性レヴィー小体またはジストロフィー性軸索に関連したタンパク質凝集体に結合することが可能である、請求項14〜20のいずれか1項に記載の結合分子。

【請求項22】
正常な挙動に実質的に修復することができる、請求項14〜21のいずれか1項に記載の結合分子。

【請求項23】
一本鎖Fvフラグメント(scFv)、F(ab’)フラグメント、F(ab)フラグメント、およびF(ab’)フラグメントからなる群から選択される、請求項14〜22のいずれか1項に記載の結合分子。

【請求項24】
表4に示される、少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)をその可変領域に含む、抗体またはその結合フラグメントである、請求項14〜23のいずれか1項に記載の結合分子。

【請求項25】
表2および3に示される、Vおよび/またはV領域のアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の抗体または結合フラグメント。

【請求項26】
請求項14〜25のいずれか1項に記載の結合分子により認識される抗原。

【請求項27】
前述の請求項のいずれか1項に定義される、疾患関連タンパク質の少なくとも一部である、請求項26に記載の抗原。

【請求項28】
請求項14〜25のいずれか1項に記載の結合分子、または請求項26もしくは27に記載の抗原をコードするポリヌクレオチド。

【請求項29】
請求項24もしくは25に記載の抗体または結合フラグメントの免疫グロブリン鎖の少なくとも可変領域をコードする請求項28に記載のポリヌクレオチド。

【請求項30】
任意に、前記抗体の他の免疫グロブリン鎖の可変領域をコードする請求項29に記載のポリヌクレオチドと組み合わせて、請求項28に記載のポリヌクレオチドもしくは請求項29に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。

【請求項31】
請求項28もしくは29に記載のポリヌクレオチド、または請求項30に記載のベクターを含む、宿主細胞。

【請求項32】
疾患関連タンパク質特異的結合分子、抗体、もしくはその結合フラグメント、または免疫グロブリン鎖を調製する方法であって、前記方法は、
(a) 請求項31に記載の細胞を培養するステップと、
(b) 前記培養物から、前記結合分子、その抗体、もしくは結合フラグメント、または免疫グロブリン鎖を単離するステップと、を含む、方法。

【請求項33】
請求項28もしくは29に記載のポリヌクレオチドによりコードされる、または請求項32に記載の方法により取得可能である、結合分子、その抗体、免疫グロブリン鎖、または結合フラグメント。

【請求項34】
検出可能に標識化される、請求項14〜25、もしくは33のいずれか1項に記載の結合分子、抗体、または結合フラグメント。

【請求項35】
前記検出可能な標識は、酵素、放射性同位体、フルオロフォア、および重金属からなる群から選択される、請求項34に記載の結合分子、抗体、または結合フラグメント。

【請求項36】
薬剤に結合される、請求項14〜25、もしくは33〜35のいずれか1項に記載の結合分子、抗体、または結合フラグメント。

【請求項37】
請求項14〜25、もしくは33〜36のいずれか1項に記載の結合分子、抗体、もしくは結合フラグメント、請求項26もしくは27に記載の抗原、請求項28もしくは29に記載のポリヌクレオチド、請求項30に記載のベクター、または請求項31に記載の細胞を含む、組成物。

【請求項38】
医薬組成物であり、医薬的に許容可能な担体をさらに含む、請求項37に記載の組成物。

【請求項39】
アルツハイマー病を治療するために有用な、有機小分子、抗アミロイドβ抗体、およびその組み合わせからなる群から選択される、追加剤をさらに含む、請求項38に記載の医薬組成物。

【請求項40】
診断組成物であり、免疫または核酸ベースの診断方法に通常使用される、試薬をさらに含む、請求項37に記載の組成物。

【請求項41】
アルツハイマー病を治療する、またはその進行を予防するため、アルツハイマー病に関連する症状の改善のため、アルツハイマー病の存在について対象を診断またはスクリーニングするため、もしくは対象のアルツハイマー病に発症する危険性を決定するための医薬または診断組成物を調製するための、請求項14〜25もしくは33〜36のいずれか1項に記載の結合分子、抗体、もしくは結合フラグメント、またはそれらのいずれか1項に記載のものと実質的に同一の結合特異性を有する抗体、請求項26もしくは27に記載の抗原、請求項28もしくは29に記載のポリヌクレオチド、請求項30に記載のベクター、もしくは請求項31に記載の細胞の使用。

【請求項42】
前記医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、鼻腔内、非経口、またはエアロゾルとして投与される、請求項41に記載の使用。

【請求項43】
中枢神経系におけるタンパク質の異常蓄積および/または沈着を特徴とする神経疾患を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の、請求項14〜25もしくは33〜36のいずれか1項に記載の結合分子、請求項26または27に記載の抗原、請求項28もしくは29に記載のポリヌクレオチド、請求項30に記載のベクター、または請求項31に記載の細胞を投与するステップを含む、方法。

【請求項44】
前記疾患は、アルツハイマー病、ダウン症、軽度認識障害、脳アミロイド血管症、血管性認知症、多発脳梗塞性認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、嚢胞性線維症、またはゴーシェ病からなる群から選択される、請求項43に記載の方法。

【請求項45】
投与は、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、鼻腔内、非経口、またはエアロゾルとして行われる、請求項43または44に記載の方法。

【請求項46】
アルツハイマー病およびアミロイドβ沈着のそれぞれに関連する疾患を診断するおよび/または治療する方法であって、対象に、請求項24もしくは25に記載の抗体もしくは結合フラグメント、または対応する抗イディオタイプ抗体の少なくとも1つのCDRを含む、治療上有効な量のリガンドアミロイドβ結合分子を投与するステップを含む、方法。

【請求項47】
請求されるペプチドのいずれか1つに定義される疾患関連タンパク質の存在を伴う疾患の診断用のキットであって、前記キットは、請求項14〜25もしくは33〜36のいずれか1項に記載の結合分子、抗体もしくは結合フラグメント、請求項26もしくは27に記載の抗原、請求項28もしくは29に記載のポリヌクレオチド、請求項30に記載のベクター、または請求項31に記載の細胞を、任意に、試薬および/または使用説明書と共に含む、キット。

【請求項48】
脳内の疾患関連タンパク質の生体内検出、もしくは疾患関連タンパク質への治療薬および/または診断用薬の標的化、対象における病理学タンパク質凝集体もしくは構造の検出、それらの形成の抑制、もしくはそれらの低減、または認知の改善、もしくは疾病に関連する認識衰退の緩徐化または回復、または病理的化合物または体液からのそれらの前駆物質の体外への抽出のための、請求項14〜25もしくは33〜36のいずれか1項に記載の、結合分子、その抗体、もしくは結合フラグメントの使用。

【請求項49】
NI−101.10、NI−101.11、NI−101.12、NI−101.13、NI−101.12F6A、NI−101.13A、およびNI−101.13Bからなる群から選択される参照抗体と同一の、疾患関連タンパク質ネオエピトープに特異的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合フラグメント。

【請求項50】
前記抗体は、NI−101.10、NI−101.11、NI−101.12、NI−101.13、NI−101.12F6A、NI−101.13A、およびNI−101.13Bからなる群から選択される参照抗体が疾患関連ネオエピトープへ結合するのを競合的に阻害する、単離された抗体またはその抗原結合フラグメント。

【請求項51】
前記抗体は、NI−101.10、NI−101.11、NI−101.12、NI−101.13、NI−101.12F6A、NI−101.13A、およびNI−101.13Bからなる群から選択される抗体の抗原結合ドメインと同一の抗原結合ドメインを含む、単離された抗体またはその抗原結合フラグメント。

【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−514454(P2010−514454A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544399(P2009−544399)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000053
【国際公開番号】WO2008/081008
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(507324681)ユニバーシティ・オブ・チューリッヒ (7)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF ZURICH
【Fターム(参考)】