病理学的浸透性の変化を調節する抗分泌性因子ペプチド
【課題】ヒトを含めた動物の病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するのに有効な、抗分泌因子と称される組換え蛋白質(rAF)及びこれらの相同体若しくはフラグメントを提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を有する組換え蛋白質又はこれらの相同体若しくはフラグメント、これらに特異的な抗体、これらをコードする核酸、該核酸を含有するベクター及び宿主。該蛋白質(rAF)並びにこれらの相同体及びフラグメントは、免疫検出に有用であり、成長している動物用の食餌添加剤として、抗下痢薬及び浮腫、脱水及び/又は炎症を含めた疾患に対する医薬として有効である。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を有する組換え蛋白質又はこれらの相同体若しくはフラグメント、これらに特異的な抗体、これらをコードする核酸、該核酸を含有するベクター及び宿主。該蛋白質(rAF)並びにこれらの相同体及びフラグメントは、免疫検出に有用であり、成長している動物用の食餌添加剤として、抗下痢薬及び浮腫、脱水及び/又は炎症を含めた疾患に対する医薬として有効である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体輸送及び/又は炎症反応を調節する性質、並びに多核性調節特性を有する新規な抗分泌性因子、及びこれらをコードするポリ核酸、及びこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
身体の全ての細胞及び組織は、十分な血液供給と共同して一定で正常な液体環境に非常に依存している。これらの支持システムの1つ又は両方が混乱すると、すぐに致命的になる。液体のアンバランスを考慮すると、以下の2つの基本的に異なったシステムが存在する。
【0003】
A.浮腫。これは細胞内組織空間又は体腔での液体の異常な蓄積によって特徴づけられる。
【0004】
B.脱水。これは厳格な意味で、水のみの喪失を意味するが、実際には、水及びイオンを合わせて喪失することを説明するのに一般に使用される。
【0005】
浮腫又は脱水の最も一般的な形態は以下のものである。下痢、炎症性腸疾患、脳浮腫、喘息、鼻炎、結膜炎、関節炎、緑内障、病理学的頭蓋内圧(増加又は減少)の種々の形態、メニエール病(Mobus Meniere)のような中耳の圧力変化、皮膚炎、皮膚及び皮膚に隣接する腺の化学的又は物理的混乱、例えば乳腺炎、内分泌障害の種々の形態、例えば尿崩症。コン症候群、クッシング症候群及びアジソン病(Morbus Addison)、腎盂腎炎及び糸球体腎炎のような腎臓疾患、粘液水腫及び急性間欠性ポルフィリン症のような代謝疾患、抗糖尿病薬、三環性抗鬱薬、細胞性腸抑制剤、バルビツール酸塩、麻薬及び麻薬類似体のような種々の医薬での治療の間の副作用。
【0006】
下痢は、電解質及び水に対する消化管での透過性の変化によって起こる。この障害は、しばしば、Escerixhia col、Campylobacter jejuni、Vibrio cholerae、Shigella dysenteriae及びClostridium difficileにより引き起こされるもののような細菌性エンテロトキシンにより起こる。この障害は、腸の炎症によっても起こる。水の取り込みは電解質及び栄養素の取り込みと対をなしているので、頻繁に下痢をする動物は栄養不良にかかり、成長期の動物では一日の体重の増加の遅れを起こす。体は、腸粘膜で介在ニューロンからソマトスタチン及びオピエートペプチドを放出するような神経ホルモンメカニズムによりこれらの反応をうち消す。これらのポリペプチドは、液体の分泌及び下痢を回復することができる。
【0007】
最近開示された抗分泌因子(AF)は、ブタ下垂体から部分的に生成され、種々のエンテロトキシンによって誘導される病理学的分泌を回復することが示された。雌ブタの乳中の高レベルのAFは、新生児の下痢に対して子豚を保護する。
【0008】
抗菌薬は、ヒト及び獣医薬の両方で下痢の治療に広く使用されている。これらはまた、ブタ、子牛及び鶏の食物添加剤として使用されている。しかし、消化管内の耐性バクテリアの迅速な発達により、腸炎に対する抗生物質の使用はヒト医薬では一般に受け入れられておらず、これらの使用はまた獣医薬で縮小されている。
【0009】
他の抗下痢薬は、腸粘膜での分泌を妨げる。これらの医薬は、宿主動物に向けられているので医薬に対する耐性が進行するようには思われない。これらのタイプの医薬には、フェノチアジン及びチオキサンチンのような神経活性薬が含まれる。幾つかの重篤な副作用のために、これらのタイプの医薬は、ほとんどの国で下痢の治療には受け入れられていない。他の医薬は、コデイン及びロペルアミドのような麻薬の誘導体である。これらの医薬は主に腸の動きを抑制することによって作用するので、これらはまた、消化管から病原性バクテリアのクリアランスを阻害し、明らかに赤痢菌又は寄生虫に対して推奨されるべきではない。ソマトスタチンの誘導体が最近導入されているが、この医薬の投与の困難性及び成長の内分泌調節との相互作用の可能性のためにこれまで使用が制限されている。
【0010】
抗分泌因子(AF)は、この蛋白質の純粋な調製物を得ることに関連した困難性により、下痢又は栄養障害の治療には直接に使用されていなかった。しかし、特別な食餌を与えた家畜に同様な蛋白質を誘導することができた(SE特許第9000028−2)。この食餌を与えら得たブタは、高レベルのAF様蛋白質を生じ、同等の対照に比べ一日の成長速度が十分に増加した。C. difficileから得たトキシンAで刺激されたラット内のAFは腸の分泌だけでなく消化管での炎症及び出血に対して保護をする。
【特許文献1】SE特許第9000028−2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主目的は、病理学的な液体輸送を正常化するのに使用される新規な組換え蛋白質並びにこれらの相同体及びフラグメント(ペプチド)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの蛋白質及びペプチドは、ひとまとめにして抗分泌因子(AF)と呼ばれる。AFの使用はまた、種々の病因の炎症反応の発達を部分的に制限するか、又はこれらを全体的に排除する。正常な状態(液体輸送又は炎症)に回復させることは、蛋白質又はペプチドの使用によって得られる。更に、AF蛋白質又はペプチドは、(静脈内投与に比べて)強さを失うことなく種々の粘液膜を介して効果的に吸収される。従って、多数の治療計画が存在し、正しく投与された蛋白質又はペプチドは、混乱した液体(水又はイオン)のバランス、炎症反応、又はこれら双方を迅速に再構築することができる。
【0013】
まとめとして、組換えAF(rAF)並びにこれらの相同体及びフラグメントは、免疫検出に、成長している動物の食餌添加物として、及び抗下痢薬及び浮腫、脱水及び又は炎症を含めた疾患に対する医薬として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の目的は、以下の通りである。
【0015】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列、又はこれらの相同体若しくはフラグメントを本質的に有する組換え蛋白質。
【0016】
配列認識番号1に示される組換え蛋白質のフラグメントであって、フラグメントが、配列認識番号1に示されるアミノ酸配列の
a)アミノ酸番号35〜42
b)アミノ酸番号35〜46
c)アミノ酸番号36〜51
d)アミノ酸番号36〜80
e)アミノ酸番号1〜80
を包含する群から選択されるもの。
【0017】
配列認識番号1に示される組換え蛋白質のアミノ酸番号35〜42を含有するフラグメントに対応するX1VCX2X3KX4R(但し、XはI又はなしであり、X2はH、R又はKであり、X3は、S、L又は他の中性アミノ酸であり、X4はT又はAである。)。
【0018】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントに対する抗体。
【0019】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントに特異的な抗体に結合する蛋白質。
【0020】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントの効果的な量を活性成分として含有する病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するための組成物。
【0021】
病理学的な液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するための組成物を製造するための、配列識別番号1に示されるアミノ酸配列を有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントの使用。
【0022】
脊椎動物において病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するための食餌であって、配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメント、或いはこのような蛋白質又はこれらの相同体若しくはフラグメントを産生することができる生物を活性薬として含有する食餌。
【0023】
脊椎動物における病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化する方法であって、配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメント、或いは前記蛋白質又は相同体又はフラグメントを産生する生物の効果的な量を該脊椎動物に投与することを具備した方法。
【0024】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントに対する特異的抗体の、生物内の前記蛋白質又はフラグメントを検出するための使用。
【0025】
配列認識番号1に示される配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸。
【0026】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸の、対応する蛋白質又は相同体又はフラグメントを産生するための使用。
【0027】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸から誘導されるプローブ又はプライマーの、生物内の核酸の存在を検出するための使用。
【0028】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸を含有するベクター。
【0029】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸を含有するベクターを含有するヒト以外の宿主。
【0030】
配列認識番号1に示されるアミノ酸を本質的に有する蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントを産生することができるヒト以外の生物の系統。
【0031】
組換え蛋白質を産生することができる生物として、異なったタイプの、組換えバクテリアのような生物、及び酵母、植物及びヒト以外の脊椎動物のような真核生物を使用することができる。
【0032】
従来の生化学的技術によりAFを生成するための10年間の試みにもかかわらず、均一の形態でAFを得ることはできなかった。しかし、免疫化のための半精製AFを調製し、免疫組織化学的方法により抗血清を選別する新たな手順で、適切な抗血清を選択した。この抗血清を用いて、E. Coli中でAFを発現する組換えヒトcDNAをクローニングすることができる。
【0033】
新規なcDNAの配列が決定され、唯一のものであることが示された。この配列の情報により、ヒト及びブタ下垂体RNAとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを構築した。約1400塩基対のこのRNAのサイズは1309の塩基対プラスポリ(A)テールを含有する配列されたcDNAのサイズを包含する。ラット下垂体からの部分的cDNA配列が、異なった種からのAF遺伝子に保持された偏在する構造を反映したヒトのそれと同一であることが示された。この類似性により、異なった種からのAFをコードするRNA及びDNAを同定するための同じオリゴヌクレオチドプローブを使用することが可能になる。
【0034】
更に、生物学的に活性な形態でrAFを発現することができる。グルタチオンS−トランスフェラーゼとの融合蛋白質の形態でAF蛋白質は、大量のE. Coliに発現され、アフィニティークロマトグラフィーで均質に精製される。トロンビンで融合蛋白質を開裂した後、組換えAF(rAF)は非常に強力であった。これは44ng(10−12mol)でラット腸管でこれら毒素を誘導する液体分泌物を半最大阻害を示す。
【0035】
遺伝子技術により、rAFのより小さなフラグメントを産生した。活性が、7から8アミノ酸よりなる小さな配列で存在した。これは化学的固相合成の助けを借りて確認された。この合成技術により、オクタペプチドを製造し、これはモル基準でrAFとほぼ同程度の生物学的強さを示した。部位特異的誘発合成により、活性部位内の種々の配列を構築し、特定のアミノ酸の置換が、生物学的活性を完全に破壊することなく可能であることが示された。
【0036】
液体の分泌は、腸管ループモデルで測定した。即ち、小腸の切片(ループ)を2つの結紮糸により結紮し、ループ中に特定量のエンテロトキシンを注射した。抗分泌薬を試験する際、これらを、毒素を導入する1時間前と2時間後の間に注射した。この注射は、3つの異なった経路、即ち静脈内、腸管内及び鼻腔内で行われる。液体は、毒素の導入後5時間でループに蓄積している。分泌は、1cmの腸管あたりに蓄積された液体の重量から計算される。
【0037】
蛋白質の配列は、アミノ酸シーケンシングにより直接に、及びcDNAからの推測により間接的に決定された。
【0038】
組換えAFは、明白な毒性反応が半最大阻害を起こす投与量よりも100倍高い投与量をラットに与えた場合にも全く認められなかったので、非常に小さな毒性、又は全身性の影響を有するようである。小腸に導入される場合、これは効果的であるので、これを傾向で投与することができる。
【0039】
組換えAFは、毒素の導入前に注射された場合にのみ効果があるように思われる、試験された天然のAFの調製物とは対照的に、毒素の導入後に注射した場合でも分泌を抑制する。従って、rAFは、予防及び治療の両方に使用することができる。
【0040】
更に、rAF及びそのペプチドフラグメントは、Clostridium difficileからのトキシンAにより引き起こされる消化管内での細胞毒性反応及び炎症を阻害することが示された。色素浸透性試験によりrAF及びそのフラグメントは、腸粘膜のみならず脳の液体圧を調節する脈絡叢においてもこれら毒素により誘導される病理学的浸透性の変化を回復することが示された。
【0041】
rAFに対する抗血清は、ウサギで誘導され、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)に使用される。このアッセイは、体液又は食餌中のAFを測定するのに使用されうる。
【0042】
rAFを結合させたアガロースを有するカラムのアフィニティークロマトグラフィーによるAF(天然又は組換え体)に対する抗体を精製する方法は、以下に報告する。
【0043】
抗体はまた、免疫組織化学的技術による組織部分でのAFの検出、及びウェスタン−ブロットでのAFの検出に効果的であることが示された。
【0044】
本発明を、添付した図面と共に、以下の制限を意味しない例により更に説明する。
【実施例】
【0045】
例1.cDNAのクローニングで産生されるAFに対する抗体
抗分泌因子をアガロースのアフィニティークロマトグラフ及び等電点電気泳動法によりブタ血液から調製した。1リットルのブタ血液(抗凝固物質を含む)に、1gのチオ硫酸ナトリウム及び1mgのフッ化フェニルメチルスルホニウムを加えた。血液細胞を遠心で分離し、透明な血漿をセファロース6Bを用いたカラム(ファルマシアLKBバイオテクノロジー、ストックホルム)から溶出した。ゲルの容積は溶液の約10%容積に対応する。床の容積の3倍のリン酸緩衝食塩水(PBS=0.15MNaCl、0.05Mリン酸ナトリウム、pH7.2)で洗浄した後、カラムを床の2倍の容積の、PBSに溶解した1Mα−メチル−D−グルコシドでカラムを溶出した。溶出物を濃縮し、「オメガ・10k・フロー・スルー」ウルトラフィルター(フィルトロンテクノロジー社(Filtron Technology Corp.))で水に対して透析した。引き続き画分を、400mlの等電点電気泳動カラム(LKB、スウェーデン)で、アンホリン(ファルマシア)グラジェントpH4〜6の等電点電気泳動により分別した。4.7と4.9の間の等電点を有する画分を集め、PBSに対して透析した。このようにして、部分的に精製されたAFを少量のありコートに分割し、先に説明した方法に従ってウサギでの抗血清の産生に使用した。
【0046】
ウサギを免役し、血清をヒト下垂体の切片で細胞内物質を染色するこれらの能力に対して試験した(例6で説明する。)。血清の1つのみが、細胞外マトリックス蛋白質を染色することなく、特異的及び明確な細胞内染色を示した。この抗血清をE. coli中で蛋白質を発現するヒト下垂体から得たcDNA/ラムダファージGT11ライブラリーのスクリーニング用に選別した。
【0047】
例2.ヒトかウシ体及び脳から得たcDNAライブラリーの選別
9人の白色人種のプール(pool)から得られる組織から誘導される正常ヒト下垂体から得た5’−ストレッチcDNAライブラリーをクロンテックラボラトリーズ(Clontech Laboratories)から購入した。ライブラリーのスクリーニング用に、ファージを150mmの皿あたり3×104のプラーク形成ユニットで、E. coli Y1090上に置いた。先に説明したブタAFに対するウサギ抗血清を0.5容積のE. coli Y1090溶解物に23℃で4時間吸着させ、1:400の割合に希釈し、スクリーニングをYoung及びDavis(1)に従って行った。アルカリ性ホスファターゼで複合体形成させたヤギ抗−ウサギ抗−抗体を二次抗体として使用した(Jackson)。陽性のプラークを分け、ファージ懸濁培地[20mMトリス−HCl(pH7.5)、100mMNaCl、10mMMgSO4、2%グルタチオン]に溶出し、置換し、試験された全てのプラークが陽性となるまでスクリーニングした。
【0048】
cDNAの再クローニング− AF組換え体から得たファージDNAをウィザード・ラムダ・プレップ(Wizard Lambda Prep)(プロメガ)で単離し、EcoR1で消化した。挿入物を、セファグラス・ボンドプレップ・キット(Shephaglas BandPreo Kits)(ファルマシア)で精製し、製造者により説明されたpGex-1ラムダTベクター(ファルマシア)に再クローニングし、エピクリアン・コリー(Epicurian Coli)XL1−ブルー、トップ(Top)1細胞又はBL21細胞(三種類全てストラタジーンから得た。)にトランスフェクションした。特に説明しない場合は、rAF又はrペプチドをBL21細胞中で調製した(2)。
【0049】
PCRによるcDNAの増幅− 5’−末端のないcDNAを得るためにRACE(rapid amplification of cDNA ends)と称されるPCRに基づいた方法を行った。ヒト脳cDNA分子の3’−末端に結紮されたアンカーオリゴヌクレオチドを有する5’−RACE−レディーcDNAを生じる修飾されたRACE法をクロンテック・ラボラトリーズから購入した。5’−末端を、アンカーに相補的な5’プライマー及び2つの重ねられた遺伝子特異的3’−PCRプライマーA及びB(A=塩基429〜411、及びB=塩基376〜359;図1a)を用いて、2つの増幅ステップで、5’−RACE−レディーcDNAに部分から増幅した。対応するペプチドを発現するために、RACEフラグメントの種々のより小さな部分を更に修飾し、これらの生物学的特性を試験した。これらのオリゴヌクレオチドフラグメント及びこれらの対応するペプチドの開始及び末端における塩基及びアミノ酸の位置を表1に示した。ブタ及び子牛cDNA(クロンテック・ラボラトリー)を、表1のN3に対応するフラグメントを増幅するためのテンプレートとして使用した。配列のバリエーションも、部位特異的突然変異誘発により人工的に導入した。この方法では、168〜193の位置に対応する種々のオリゴヌクレオチドを、アミノ酸35−42(配列認識番号1に示される位置)を一つずつ置き換えるために合成した。増幅したDNAフラグメントを、アンカー及び遺伝子特異的プライマーに組み立てたEcoR1部位を用いてpGex-1ラムダTベクターにクローニングした。RACE法で得られた配列を確認するために、ヒト下垂体及び脳から得た二本鎖cDNAを特別なEcoR1開裂部位を含有するプライマー対C/D(図1b)で増幅した。このプライマーは、全オープンリードフレーム(ORF)が増幅されるようにデザインした。期待したサイズの下垂体及び脳のPCR産物をEcoR1で消化し、単離し、プラスミドpGex-1ラムダTベクターにクローニングした。
【0050】
DNA配列及びオリゴヌクレオチド− プラスミドpGex-1ラムダTから得たDNAをシーケナーゼバージョン2.0キット(U.S.バイオケミカル社)を用いて、ジデオキシ−連鎖停止法(15)による挿入物のシーケンシングのためのテンプレートとして使用した。挿入されたDNAのすぐ上流及び下流で、pGex-1ラムダTの領域をコピーする最初の順向及び逆向プライマーをファルマシアから得た。次のプライマーを、得られた配列情報を基にして合成した(スカンジナビアン・ジーン・シンセシスAB)。3つの異なったPCRクローンを、5’−RACE法でTaqポリメラーゼによる塩基交換を防ぐためにシーケンシングした。ヌクレオチド配列及び推論した蛋白質配列データを集め、マックベクター(MacVector)4.1(イーストマンケミカル社(Eastman Chemical Co.))を用いて分析した。cDNA挿入物の対応するアミノ酸配列を予言するために、異なったリードフレームのコドンの使用量を比較し、1つの大きなオープンリードフレームを得た。DNA及び蛋白質配列データのインターロゲーション(interrogation)を、エントレツ(Entrez)DC−ROM(バイオテクノロジーインフォメーションのための国立センター、ベテスダ、USA)を使用して行った。
【0051】
cDNAの分子クローニング及び配列分析− ブタから得たAF蛋白質に対する多価抗血清を、ヒト下垂体から得たcDNAをスクリーニングするために使用した。免疫反応性のAFを発現する2種類のクローンを単離し、ラムダファージから取り出し、ファルマシアから供給されたキットで、説明したようにpGex1ラムダTベクターのEcoR1部位に再クローニングした。制限分析で1100及び900bpの挿入サイズをそれぞれ得た。2種類のクローンのDNAシーケンシングで1の置換以外完全な相同性を示した(図1、Cが1011の位置でTに置換している。)。クローン2の5’−末端の上流の配列をRACE法によって得た。このフラグメントは、全長376bp(5’−末端での合成ヌクレオチドアームを含まない。)を有する。全再構築cDNAは、1309塩基対、続いてポリAテールを含有し、これはポリAシグナルを先に有する(図1、1289〜1295の位置)。1146bpのオープンリードフレーム(ORF)(63〜1208)を同定した。
【0052】
例3.組換えプラスミドからの哺乳動物AF蛋白質の発現
融合蛋白質の構築及び精製− 免疫学的スクリーニング及び全cDNAのPCR増幅により得られるcDNAクローンをpGex-1ラムダTに結紮した。このベクターは、Schistosoma japonicum26kDaのグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)のC−末端に融合するE. coliでの外来蛋白質の発現を可能にする。これは、ファルマシアから供給されれるキットによって非変性条件下で親和性精製される。手短に言うと、組換えpGex-1ラムダTプラスミドで形質転換されたE. coliの一夜培養物を、新鮮な培地で希釈し、更に3時間37℃で成長させた。蛋白質の発現を0.1mMIPTG(イソプロピル−ベータ−D−チオガラクトピラノシド)で誘導し、更に4時間30℃で成長させた後、細胞をペレット化し、PBSに再懸濁した。細胞を超音波で溶解し、1%トリトンX-100で処理し、12000Xgで10分間遠心した。発現された融合蛋白質を含有する上清を、グルタチオンアガロース(ファルマシア)に該溶解物を通すことによって精製した。融合蛋白質を、遊離のグルタチオンとの競争により溶出するか、又は10Uのウシトロンビンで一夜開裂させ、GSTアフィニティーテールからAF蛋白質を除去した。pGexプラスミドを用い、組換え蛋白質又はペプチドを精製する全方法を、ファルマシアから供給されるキットによって行った。
【0053】
組換えAFタンパク質の配列及びサイズ− コード配列を確認するために、全長転写物を下垂体及び脳cDNAのPCR増幅を用いて単離した。プライマー対C/Dを用いて、クローン−4の配列と同一の1215bp(図1)を単離した。オープンリードフレームは、41.14kDaの計算された分子量及び4.9の計算されたpIを有する382のアミノ酸をコードする。
【0054】
AFクローン−1、2及び3、並びにオリゴヌクレオチドN1−N5(図1及び表1)をpGEX-1ラムダTに結紮し、この結果、ORFがグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)タンパク質を有するフレーム中に存在する。構築物をE. coliに導入し、融合タンパク質の発現をIPTGで誘導した。精製された融合タンパク質及びトロンビンで開裂されたAFタンパク質若しくはペプチドを、ブタ抗分泌因子に対する抗血清を用いて、SDS−PAGE及びウェスタンブロットにかけた(図2)。タンパク質のクーマッシーブリリアントブルー染色は、より小さな成分に分解されたことを示すGST-AF-1以外の各タンパク質に対する明白なバンドを示した。
【0055】
固相ペプチド合成− より小さなペプチド(表1のP7からP18)をアップライドバイオシステムズペプチド合成機の固相に製造した(K. J. Ross-Petersen AS)。各ペプチドの純度は、水/アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸の直線勾配を用いて、デルタパック(Deltapak)C18、300Aの逆相HPLCで評価した。
【0056】
アミノ酸配列− タンパク質の配列分析を行い、同定したORFを更に確認した。純粋なAFタンパク質を10%マクロスラブゲル(macro-slab gel)SDS−PAGE(14)を通し、タンパク質をエレクトロブロッティング(バイオ−ラッド)によりプロブロット(Problot)膜(アップライド・バイオシステムズ)に移した。ポンソーS染色により視覚化したスポットをブロットから削り取り、タンパク質の最初の20アミノ酸を、自動シーケンサー(アップライド・バイオシステムズ)で自動エドマン分解により配列決定した。
【0057】
クローン2及びクローン3のN−末端配列を決定し、これらが予想された配列(図1)の63〜75及び130〜140のアミノ酸にそれぞれ完全に一致することが示された。
【0058】
ジーンバンクから利用可能な他のタンパク質配列との比較は、rAFの配列(図1)が全てのそのパーツで唯一であり、同様の配列が報告されていないことが示された。
【0059】
タンパク質の最初の10残基は、Kyte-Doolittle(22)に従って分析した場合、相対的に親水性であるようであり、タンパク質のエキソサイトーシスに先立って開裂除外されるシグナルペプチドを構成しうる。この解釈は、組換えタンパク質が下垂体から抽出されたタンパク質よりわずかに高い分子量を有するように思われるウェスタンブロット分析(図3)により支持される。しかし、幾つかのこの差はまた、融合タンパク質のトロンビン開裂部位を構成する組換えタンパク質中の追加の5つのアミノ酸に起因する。
【0060】
例4.rAFに対する抗血清の産生及び試験
組換えGST−AF融合タンパク質に対する抗血清− ELISA、ウェスタンブロット及び免疫組織科学的研究に使用するための、精製された融合タンパク質GST−AF−1、GST−AF−2及びトロンビンで開裂された純粋なAF−1タンパク質(=rAF)に対する抗体をウサギ内で産生させた。各ウサギに、1mlのPBS中の100μgの抗原を、等容積のフレンズ完全アジュバントと混合して与えた。各免疫化は、8から10回に分けて皮内的に背中に注射した50μgの抗原を用いる2回のブースター投与量を3及び5週に注射したが、最後の1回はフレンズ完全アジュバントを使用しなかった。最後のブースターの後6日にウサギから血液を採り、血清を調製し、−20℃で保存した。抗血清の感度はドットブロットアッセイで試験した。GST−AF−2を、1/5希釈でECLニトロセルロース膜に塗布し、抗血清を1:1000に希釈した。膜を、PBS中の1%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックし、次いで1:800希釈のウサギ抗−GST−AF又はブタAF抗血清で1.5時間インキュベートした。ブロットをアルカリ性ホスファターゼと複合体形成させたヤギ抗−ウサギ免疫グロブリンで展開し、次いで5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート及びP−ニトロブルーテトラゾリウム(ベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim))で展開した。抗原検出に対する評価限界は、この試験で約1ngであった。
【0061】
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及び免疫ブロッティング− ヒト及びブタ下垂体抽出物及び純粋なAF−タンパクシルのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を、10%アクリルアミドミニスラブゲルで行った。これは本質的にLaemmli(4)によって開示されたものであり、交差結合剤としてのビス−アクリルアミドを対応する質量を有するN,N’−ジアリル酒石酸ジアミドに置き換える修飾を伴う。ピロニンY(シグマ)を電気泳動フロントのマーカーとして使用した。前染色された分子量基準をBDHから購入した。次に、タンパク質をクーマッシーブリリアントブルーで染色するか、又は電気泳動により、免疫ブロッティング用の0.45mmの孔サイズのECLニトロセルロース(アマーシャム(Amersham))に移した。引き続きのBSA、複合体形成した抗−IgG及びアルカリ性ホスファターセ基質とのインキュベーションを先に開示したドットブロットと同様に行った。
【0062】
上述のように、クーマッシーブリリアントブルー染色で、GST−AF−1タンパク質に対する分離したバンドは現れなかった。これはおそらく、より小さな成分に蛋白質分解で分解されたことによる。しかし、ウェスタンブロット分析で、全長タンパク質は、分解された蛋白質よりも非常に強いシグナルを与えた(図2b)。ブタAFに対する抗血清との強い反応は、組換えタンパク質がAFと同じ免疫反応性を実際に有することを指示する。全長タンパク質の分子量は、約60kDaであると思われ、これはアミノ酸組成物から評価された41139Daの真のmol. wtよりも高かった。更に、タンパク質はまた、免疫ブロットされ、GST−AF2(これはトロンビンで開裂されたタンパク質に結合する(図3)。)に対して生じさせた抗血清で調査した。
【0063】
組換えGST−AF−2に対する抗血清は、天然に存在する見かけの分子量60kDaのAFタンパク質と、及び幾つかのより小さな成分、おそらく酵素分解生成物と反応した(図3a)。
【0064】
AF−濃縮物の決定のためのELISA− ELISAアッセイを、抗−AF−1及び抗−AF−2を用いて、先に開示した方法(5)に従って行った。図3bに示されるように、粗製抗血清を用いた試験の感度は、1〜10μgの間であるが、アフィニティー精製した抗体での試験は5から50ngタンパク質の間の感度を有していた。
【0065】
例5.下垂体から得たRNAのノーザンブロット分析
ノーザンブロット分析− ヒト下垂体を、サルグレンスカ病院(Sahlgrenska Hospital)から死後に得た(スウェーデン衛生福祉庁;2§トランスプランテーションズラーゲン(transplantationslagen)、1975:190により認可を受けた)。RNAを得るために、下垂体を、Chomczynski及びSacchi(6)に従ってグアニジニウムチオシアネートRNAで抽出した。ポリアデニル化RNAをオリゴdT−セルロースを用いるカラムを使用して、市販のキット(ファルマシア)により選別した。加えて、107の個体から得たヒト下垂体mRNAのプールをクロンテックから購入して使用した。5μgのポリ(A+)RNAの各サンプルをグリオキサール処理し、1.2%Aがロースゲルで電気泳動にかけた(7)。0.05MNaOH中で3時間、ハイボンドN+ナイロン膜(アマーシャム)へ毛細管アルカリ性移動した後、前ハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションを各42℃で24時間行った。ハイブリダイゼーション溶液は、50%ホルムアミド、5xSSPE、10Xデンハーズ溶液を、250μg/mlの変性低分子量DNA及び50μg/mlポリアデニル酸と共に含む。ブロットを、配列の、132〜105(プライマーE)、297〜270(プライマーF)、748〜721(プライマーG)及び833〜806(プライマーH)部位を含有する4種類の異なった28bpのアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて調査した。プローブを、ターミナルトランスフェラーゼ(ベーリンガー・マンハイム)プラス[α32P]ddATP(アマーシャム)で3’−末端標識し、ニックカラム(Nick columus)(ファルマシア)で精製した。5XSSPE/0.1%SDS−0.5XSSPE/0.1%SDS中で5回の後洗浄を、最終洗浄を繰り返して、各回42℃で30分行った。ハイパーフィルムMP(アマーシャム)に7日間さらした。
【0066】
下垂体内での発現− クローン化したcDNAに沿って異なった配列とハイブリダイズする4種類のオリゴヌクレオチドプローブの混合物で、ノーザンブロット分析を行った(図4)。プローブは、下垂体から分離したmRNA中の約1400bpの単一バンドとハイブリダイズした。最も強いシグナルは、ヒト物質で得られたが、ブタ物質も交差反応した。
【0067】
例6.下垂体の切片中のAFの分布
種及び組織− ヒト下垂体を、」サルグレンスカ病院(Sahlgrenska Hospital)から死後に得た(スウェーデン衛生福祉庁;§2トランスプランテーションズラーゲン(transplantationslagen)、1975:190により認可を受けた)。下垂体を、組織学的に使用するもの(これはリン酸緩衝食塩水(PBS=0.15MNaCl、0.05Mリン酸ナトリウム、pH7.2)に溶解された4%ホルムアルデヒド中で24時間固定化され、この後、PBS中の7.5%蔗糖に移された。)以外、−70℃で冷凍保存した。屠殺場から得た5〜7月齢のブタからの下垂体を、移動の間ドライアイス中に置き、使用するまで−70℃で冷凍保存した。2〜3月齢のスプラーク−ドーリーラットをB&KユニバーサルAB、ソレンツナ(Sollentuna)、スウェーデンからバイオアッセイ用に得た。免疫化のためのウサギ(ニュージーランド・ホワイト(New Zealand White))を、リッドケーピング・カニンファーム(Lidkoping Kaninfarm)、スウェーデン)から得た。
【0068】
免疫組織化学− 固定化した下垂体を液体窒素で凍結し、7μmの厚さの冷凍断片を調製した。各サンプルから下垂体の異なった部分を含有する5〜10の切片を顕微鏡スライドに固定した。切片を5%の脂肪を含まない乾燥ミルクでブロックし、1:4000〜1:8000に希釈された一次ウサギ抗血清(抗−GST−AF−2融合タンパク質)を用いて、4℃で湿気のあるチャンバー内において一夜インキュベートした。バッファー中で洗浄した後、試料を、1:50に希釈したアルカリ性ホスファターゼと複合体形成させたブタ抗−ウサギ免疫グロブリン(Dako A/S)を用いて23℃で1時間インキュベートした。免疫反応を、他で説明した(8)ホスファターゼ基質で視覚化した。対照の切片を、過剰のGST−AF−2タンパク質で又は一次抗体以外の全てのインキュベーションステップで吸収された免疫血清を用いてインキュベートした。
【0069】
下垂体の切片中のAFの分布− ヒト下垂体の切片でのAFの分布を免疫組織学的技術で研究した(図5)。調査した全ての試料で、腺下垂体中の中程度の量の細胞が染色された。免疫染色された物質は細胞質内の顆粒球に局在化しているように思われる。過剰のGST−AF−2タンパク質との免疫血清の前吸着は、シグナルを完全に破壊する。後方部分(神経下垂体)では染色は全く観測されなかった。
【0070】
下垂体中の免疫反応性物質の分布は、単に、前方ローブ(腺下垂体)の切片細胞内におけるAFの細胞内分布を示す。このローブから放出されるタンパク質には、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、プロラクチン、及び黄体形成ホルモンが含まれる。細胞内局在化から血管系へのこれらのホルモンの通過は、視床下部内の神経ホルモン細胞によって産生される因子を放出することが引き金となる。
【0071】
例7.rAFの生物学的活性
抗分泌活性− 抗分泌活性を、先に説明したラット腸管ループモデル(9)で測定した。空腸ループに、3μgのコレラ毒素を導入した。異なった投与量の精製されたAF−1−蛋白質又はPBS(対照)の何れかを、コレラ毒素を導入する前後に注射した。腸管ループに蓄積された液体の重量(mg/cm)を5時間後に記録した。各AF調製物を少なくとも6匹のラットで試験した。フィッシャーのPLSDをデータの統計分析に使用した。
【0072】
rAF蛋白質の生物活性− E. coliで産生されるクローン−1の純粋なrAF蛋白質の生物学的活性をラットモデルで試験した。コレラ毒素を腸管に導入する前、20〜30秒静脈内で注射した場合に、腸管の液体分泌を阻害するrAFの能力を図6に示した。バッファーのみを注射した対照動物では、コレラ毒素は腸管1cmあたり412±9mgの液体の明白な分泌を起こした。純粋なrAFは、バッファーの応答と十分に異なる(p<0.01、n=6)コレラ分泌の投与量依存性の阻害を起こした。9ngのクローン−1蛋白質は、34%まで応答を減少するのに十分であったが、44ng(10−12mol)及び220ngではそれぞれ46%及び78%まで応答が低下した。組換えAFの生物学的活性は、我々の知っている何れのエンテロトキシンの生物学的活性よりも大きく、水及び電解質輸送を修飾する何れかの腸管ホルモン又は神経ペプチドの生物学的活性よりも大きかった。更に、ラットでのヒトrAFの活性のレベルは驚くほど高く、これはおそらく、異なった種から得たrAF分子に維持される偏在構造を反映している。この仮説は、ウェスタンブロット及びノーザンブロット分析で得られるヒト及びブタ物質間の交差反応から支持される。
【0073】
コレラ毒素の導入の20〜30秒前及び90分後に静脈内で導入された場合に、腸管分泌を阻害する0.5μgのrAFの能力を比較した(図7)。両投与量は、対照動物に比較して十分な阻害を示した(p<0.01、n=6)。このように、天然のAFとは対照的に、組換え蛋白質はまた、毒素を導入した後に与えられた場合でも十分であり、rAFは下痢の治療に有効である。3μgのrAFを、コレラ毒素を導入したループの極隣接した場所に位置する8〜10cmの長いループに注射した。rAFは、毒素の導入の20〜30秒前又は90分後の何れかに導入した。図8には、両試験グループが対照と比較して、液体分泌の十分な減少を得たことを示す(p<0.01、n=6)。2つの試験グループで違いは観測されなかった。この実験は、rAFが経口投与の後に活性であり、仮に重篤な副作用がないとしたならば、動物の食餌の添加物として使用しうることを示唆する。
【0074】
上記の実験で、rAFを、エピクリアンコリー(Epicurian Coli)XL-1細胞に産生した。コレラの細胞では、多くの産生されたrAFをより小さなペプチドに分解した。rAFをBL21細胞中に産生させた場合、rAFの小さな部分のみが分解されたが、トップ1細胞では分解は全く観測されなかった。驚くことに、生物学的活性は、分解の程度に比例した。即ち、分解が進むにつれて活性がより高くなる。従って、種々のより短いフラグメントをこれらの可能な生物学的活性を試験するために調製した。
【0075】
表1に示されるように、これらのフラグメントを、完全なrAFに対して先に説明したのと同様の方法でコレラ毒素を静脈内で導入する前に試験した。クローン2及び3で発現されたペプチドを、0.1、1及び10μgの量で試験したが、毒性応答に変化はなかった。対照的に、RACEフラグメント(クローン4)で発現された1μgのペプチドは明白な効果を有していた。多くのより短い構築物をRACEフラグメントから作成し、pGex-1-ラムダ中で発現させた。表1に示されるように、活性部位はアミノ酸残基35から51の間に位置していることが見出された。より厳密に活性物を決定するために、3種類の小さなペプチドを固相ペブチド合成により作成した。これらの2つ、ペプチド35〜46(P3)及びペプチド35〜42(P1)は活性であった。後者のオクタペプチドIVCHSKTR(P1)は、1ng以下の投与量で活性合った。これは完全なrAFと、質量基準でほぼ同様の活性である。対照的に、より短いヘキサペプチドVCHSKT(P2)は、1ngから10μgの間の投与量で試験した場合、効果を全く発揮しなかった。
【0076】
ヒトフラグメントP1に対応するが、幾つかの変化及び/又は欠失を伴ったペプチドX1VCX2X3KX4Rも、部位特異的突然変異誘導により調製し、生物学的活性を試験した。ウシ及びブタcDNAからの配列との比較も行った。これらの研究から、以下の変化及び/又は欠失が示唆された。
【0077】
X1がI又はなしである。
【0078】
X2がH、R又はKである。
【0079】
X3がS、L又は他の中性アミノ酸である。
【0080】
X4がT又はAである。
【表1】
【0081】
腸管粘膜内の炎症に関するrAFの効果もラット腸管ループモデルで試験した。例えば、20匹のラットに、Clostridium difficileから得た0.5μgのトキシンA(10)を導入し、炎症及び液体分泌を2.5及び5時間後にそれぞれ測定した(10+10ラット)。各グループの半分のラットに、導入の30秒前に静脈内で100ngのrAFを与え、他の半分に対照としてPBSバッファーを与えた。ラットを殺した後、ループを切開して取り出し、ループの中心の2〜3cmの部分をドライアイスで凍結した。次に、凍結した試料を、レイカ(Leica)クリオスタットを用いて8μmの厚さの切片に切断した。この切片を、酵素組織化学によりアルカリ性ホスファターゼを明らかにするために染色した。アルカリ性ホスファターゼは、腸管上皮細胞によって発現され、染色は腸管上皮の評価及び完全性を可能にする。
【0082】
結果は、対照のラットが腸管粘膜の広範囲のダメージを進行させたことを示した(図9)。即ち、2.5時間後に、基底細胞からの上皮細胞の脱落が、壊死組織と共に観測されたが、広範囲の出血は5時間後に観測された。対照的に、rAFで処理した動物は、脱落、壊死又は出血を全く進展しなかった。トキシンAで誘導される液体分泌はまた、2.5時間後には199±4から137±5mg/cmまで(p<0.01)阻害され、6時間後には421±3から203±6mg/cmまで(5ラット/グループ、p<0.01)阻害された。
【0083】
同様の実験を、rAF蛋白質に代えて0.5μgのペプチドIVCHSKTR(=P1)を用いて行った。図9に示されるように、オクタペプチドは、トキシンAで誘導される腸管の炎症及び液体分泌に関して同様の効果を達成した。
【0084】
毒性− rAFの毒性を試験するために、これを、1ラットあたり50μgの高投与量で注射した。1週間の観測期間中に明確な毒性反応は記録されなかった。
【0085】
例8.腸管浸透性に関するrAFの生物学的活性
血液に溶解された有機物質の浸透性に関してrAFの影響を試験するために、エバンスブルー色素を用いて、先に開示した方法(11)に従って試験を行った。実験は、まず、例7及び図5で先に説明したように、コレラ毒素を導入する前にrAFを静脈内注射することで行った。しかし、毒素の導入後90分にエバンスブルー色素(1mlの1.5%PBS溶液)を静脈内で注射したが、液体分泌は全く観測されなかった。色素は5分の長期間循環させた。この後、ラットを、200mlの4℃のPBS/オルシーバー液(1/1比)溶液を用いて、エーテル麻酔下で行なわれる、約150秒間左心室−右心房を経る、心臓を横切る形態の灌流にかけた(ペリスタティックポンプ[コール・パーマー・インスツルメンツ(Cole Parmer Instruments)、シカゴ、Ill.、USA]を使用)。この手順で、心臓系に存在する全てのEBを除去し、色素のホルムアルデヒド抽出により検出される腸管組織内のEBのみを残すことが保証される。
【0086】
表2の結果は、CTの導入(p<0.001)が約43%で腸管組織から抽出されうるEBの量を十分に増加するが、コレラ毒素の導入前の、1BrTの静脈内注射はこの増加を阻害すること、即ちグループ1(対照)の組織から抽出されたEBの量は、グループ3(1rAF+CT)のそれと違わないことを示す。
【表2】
【0087】
図10及び11に示される結果は、ラットをP1(IVCHSKTR)で前処理した場合としない場合で、小腸、及びコレラ毒素を腸管に導入した後の側脳室から得た対応する脈絡叢中でアゾ色素エバンスブルーの管外溢出を示す。
【0088】
実験は、以下の方法で行った。重さ350gのメススプラーク−ドーリーラットを実験手順の前18時間、自由に過剰の水を与えた以外絶食させた。このラットを、6匹ずつのグループに使用した。ペプチドP1、コレラ毒素(CT)、及びPBSを表3に従って投与した。
【表3】
【0089】
P1(0.5μg)又はPBSのi.v.注射を、100μgのCT又はPBSを経口で導入する前10〜15秒、経口導入後60分に行った。ラットをエーテルで麻酔にかけ、エバンスブルーをiv.で注射した。色素を更に30分間平衡化し、この後、ラットをさいどエーテルで麻酔にかけ、血管系に存在する全ての色素を除去するために250mlのオルシーバー液/PBS=50/50で左心室を介して心臓内で灌流させた。約2〜3分間行ったこの灌流処理の後、記録された蛍光は糸の外側にのみ存在する色素を表すであろう。
【0090】
脳及び小腸の部分をサンプリングし、ドライアイスで凍結し、8μmのクリオスタット切片を調製した。この切片を空気乾燥し、キシレンを含有する取り付け媒体中に据え付けた。この切片を、ローダミンで放出される蛍光にたいして使用されるのと同様のフィルターの組み合わせを用いて、ゼイス(Zeiss)蛍光顕微鏡で視覚化した。
【0091】
図10及び11の結果は、蛍光強度(白色)が、グループA(P1 iv + CT po)及びC(PBS iv + PBS po)において、小腸(図10)及び脈絡叢(図11)の両方で同じ強さであることを示した。グループB(PBS iv + CT po)における小腸並びに脈絡叢の高い蛍光強度と比較して、結果は、毒素の導入より前にオクタペプチドを注射すると、CTで誘導されるエバンスブルーの血管外浸出を阻害することを示す。この結果は、これが小腸の血管系だけでなく脳の側脳室の脈絡叢でもあてはまることを示唆する。
【0092】
結果として、静脈内でオクタペプチドIVCHSKTRを投与することによる効果は、小腸並びに中枢神経系の脈絡叢において、コレラ毒素で誘導されるエバンスブルーの血管外浸出を阻害する。従って、rAF及びそのペプチド誘導体の作用は、小腸のみに限られず、中枢神経系の血管の浸透性にも影響する。これらの知見は、rAF及びそのペプチド誘導体が病理学的頭蓋内圧、中耳の圧力変化、及び血管の浸透性変化の種々の形態の回復に使用され得ることを示す。
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1a】図1a及び続きの図1b。新規なヒト蛋白質の核酸配列及び推定アミノ酸配列。確認されたアミノ酸配列に下線を付した。
【図1b】図1a及び続きの図1b。新規なヒト蛋白質の核酸配列及び推定アミノ酸配列。確認されたアミノ酸配列に下線を付した。
【図1c】図1c。クローニングしたcDNA及びオリゴヌクレオチドプライマーの水平マップ。
【図2】図2。クーマッシーブリリアントブルー染色したSDS−ポリアクリルアミドミニゲル(A)、及びブタAFに対する抗血清で調査した免疫ブロット(B)。ダッシュをつけていない番号のレーンは、グルタチオン−アガロースで精製したGST−AF融合蛋白質、AF−1、AF−2及びAF−3を含有し、一方ダッシュを付した番号のレーンは、トロンビンで開裂された融合蛋白質を含有する。分子量基準(R)、(BDH)は、左側に示されている。GST−AF−1融合蛋白質は高度に分解されているが、免疫ブロット分析は、全長蛋白質及び自発的トロンビン開裂生成物の検出のみを示した。GST−AF−3蛋白質に26kDaの生成物があり、これはおそらく独立に発現されるグルタチオンS−トランスフェラーゼ−テールである。
【図3a】図3aは、組換え蛋白質AF−2に対する抗血清を使用したウェスタンブロット。左側には、ブタ(P)及び3つのヒト(H1、H2、H3)下垂体を、右側には3つの組換え蛋白質AF−1、AF−2及びAF−3(図2参照)を、中央部には分子量標準(R)を塗布した。
【図3b】図3b。ウサギに生じさせた粗製抗血清及びアフィニティ精製した抗体を用いたrAFの酵素結合免疫検定法(ELISA)。
【図4】図4。ヒト及びブタ下垂体から得たRNAのノーザンブロットのオートラジオグラム(p=プール及びi=個々の物質)。5μgの精製したmRNAを各流域に塗布した。3’−末端を32Pで標識したオリゴヌクレオチドプローブを使用し7日後にオートラジオグラムを現像した。
【図5】図5。腺下垂体の凍結切片を組換え蛋白質GST−AF−2に対する抗血清で染色した。A.切片を免疫血清でインキュベートし、これは陽性免疫反応性の程度を変化したまばらな細胞を示した。多くの細胞は完全に染色を欠いていた(白抜き矢印)。B.Aに対する連続した切片を、過剰の組換え蛋白質GST−AF−2を予め吸収させた免疫血清とインキュベートした。細胞の特徴的な染色はなかった。C.及びD.内分泌細胞の細胞質染色を示す更に大きな倍率の免疫陽性細胞。n=核、c=細胞質。
【図6】図6.コレラ毒素で誘導される液体分泌の阻害を試験した組換え蛋白質AF−1の生物学的活性。徐々に変化させた投与量の蛋白質をラットの鼻腔内に注入した。3μgのコレラ毒素を腸管ループに注入し、5時間後、該ループ内での液体の蓄積を測定した。各値は6匹の動物のグループの平均±S.A.E.を表す。
【図7】図7。静脈内に注射されたrAF−1の生物学的活性。0.5μgのrAFを、ラット腸管ループに3μgのコレラ毒素を導入する20〜30秒前、又は90分後に投与した。
【図8】図8。管腔内に注射されたrAF−1の生物学的活性。3μgのrAFを、ラット腸管ループに3μgのコレラ毒素を導入する20〜30秒前、又は90分後に投与した。rAFを、該毒素が注射されたループに最も近い約5cmに注射した。
【図9】図9。A(×2.5)は対照(PBS)ループであり、細胞の残骸が腸管腔(L)に見られるが、残りの粘膜は染色されなかった。これは上皮内層の全破壊を示唆する。B(毒素の導入の前、0.5μlのP1)は、柔突起を形成する上皮内層を明確に示した。これは維持された腸管粘膜及び正常な腸管粘膜を示唆する。L=腸管腔、バー=500μm。C(×10)は、PBS処理した対照グループの破壊された粘膜を示す。Dは、実験(P1−処理した)グループの対応する粘膜を示す。黒矢印は、上皮内層を示す。LP=基底膜、mm=筋層粘膜。白抜き矢印は陰窩細胞(crypt cell)を示す。バー=100μm。E(×25)は、対照グループ(PBS−処理したもの)における破壊された粘膜を示す。Fは、毒性の導入前にP1処理にかけたラットから得た対応する拡大写真を示す。バー=50μm。
【図10】図10。コレラ毒素(CT)又は対照バッファー(PBS)で処理したラットの3つのグループから得た空腸試料のエバンスブルーの蛍光。抗分泌ペプチドP1又は対照バッファー(PBS)で前処理した。LP=基底膜。黒矢印は、上皮細胞内層を示す。白抜き矢印の先は、陰窩細胞を示す。バー=100μm。
【図11】図11。図10に示されるラットから得た脈絡叢試料のエバンスブルーの蛍光。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体輸送及び/又は炎症反応を調節する性質、並びに多核性調節特性を有する新規な抗分泌性因子、及びこれらをコードするポリ核酸、及びこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
身体の全ての細胞及び組織は、十分な血液供給と共同して一定で正常な液体環境に非常に依存している。これらの支持システムの1つ又は両方が混乱すると、すぐに致命的になる。液体のアンバランスを考慮すると、以下の2つの基本的に異なったシステムが存在する。
【0003】
A.浮腫。これは細胞内組織空間又は体腔での液体の異常な蓄積によって特徴づけられる。
【0004】
B.脱水。これは厳格な意味で、水のみの喪失を意味するが、実際には、水及びイオンを合わせて喪失することを説明するのに一般に使用される。
【0005】
浮腫又は脱水の最も一般的な形態は以下のものである。下痢、炎症性腸疾患、脳浮腫、喘息、鼻炎、結膜炎、関節炎、緑内障、病理学的頭蓋内圧(増加又は減少)の種々の形態、メニエール病(Mobus Meniere)のような中耳の圧力変化、皮膚炎、皮膚及び皮膚に隣接する腺の化学的又は物理的混乱、例えば乳腺炎、内分泌障害の種々の形態、例えば尿崩症。コン症候群、クッシング症候群及びアジソン病(Morbus Addison)、腎盂腎炎及び糸球体腎炎のような腎臓疾患、粘液水腫及び急性間欠性ポルフィリン症のような代謝疾患、抗糖尿病薬、三環性抗鬱薬、細胞性腸抑制剤、バルビツール酸塩、麻薬及び麻薬類似体のような種々の医薬での治療の間の副作用。
【0006】
下痢は、電解質及び水に対する消化管での透過性の変化によって起こる。この障害は、しばしば、Escerixhia col、Campylobacter jejuni、Vibrio cholerae、Shigella dysenteriae及びClostridium difficileにより引き起こされるもののような細菌性エンテロトキシンにより起こる。この障害は、腸の炎症によっても起こる。水の取り込みは電解質及び栄養素の取り込みと対をなしているので、頻繁に下痢をする動物は栄養不良にかかり、成長期の動物では一日の体重の増加の遅れを起こす。体は、腸粘膜で介在ニューロンからソマトスタチン及びオピエートペプチドを放出するような神経ホルモンメカニズムによりこれらの反応をうち消す。これらのポリペプチドは、液体の分泌及び下痢を回復することができる。
【0007】
最近開示された抗分泌因子(AF)は、ブタ下垂体から部分的に生成され、種々のエンテロトキシンによって誘導される病理学的分泌を回復することが示された。雌ブタの乳中の高レベルのAFは、新生児の下痢に対して子豚を保護する。
【0008】
抗菌薬は、ヒト及び獣医薬の両方で下痢の治療に広く使用されている。これらはまた、ブタ、子牛及び鶏の食物添加剤として使用されている。しかし、消化管内の耐性バクテリアの迅速な発達により、腸炎に対する抗生物質の使用はヒト医薬では一般に受け入れられておらず、これらの使用はまた獣医薬で縮小されている。
【0009】
他の抗下痢薬は、腸粘膜での分泌を妨げる。これらの医薬は、宿主動物に向けられているので医薬に対する耐性が進行するようには思われない。これらのタイプの医薬には、フェノチアジン及びチオキサンチンのような神経活性薬が含まれる。幾つかの重篤な副作用のために、これらのタイプの医薬は、ほとんどの国で下痢の治療には受け入れられていない。他の医薬は、コデイン及びロペルアミドのような麻薬の誘導体である。これらの医薬は主に腸の動きを抑制することによって作用するので、これらはまた、消化管から病原性バクテリアのクリアランスを阻害し、明らかに赤痢菌又は寄生虫に対して推奨されるべきではない。ソマトスタチンの誘導体が最近導入されているが、この医薬の投与の困難性及び成長の内分泌調節との相互作用の可能性のためにこれまで使用が制限されている。
【0010】
抗分泌因子(AF)は、この蛋白質の純粋な調製物を得ることに関連した困難性により、下痢又は栄養障害の治療には直接に使用されていなかった。しかし、特別な食餌を与えた家畜に同様な蛋白質を誘導することができた(SE特許第9000028−2)。この食餌を与えら得たブタは、高レベルのAF様蛋白質を生じ、同等の対照に比べ一日の成長速度が十分に増加した。C. difficileから得たトキシンAで刺激されたラット内のAFは腸の分泌だけでなく消化管での炎症及び出血に対して保護をする。
【特許文献1】SE特許第9000028−2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主目的は、病理学的な液体輸送を正常化するのに使用される新規な組換え蛋白質並びにこれらの相同体及びフラグメント(ペプチド)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの蛋白質及びペプチドは、ひとまとめにして抗分泌因子(AF)と呼ばれる。AFの使用はまた、種々の病因の炎症反応の発達を部分的に制限するか、又はこれらを全体的に排除する。正常な状態(液体輸送又は炎症)に回復させることは、蛋白質又はペプチドの使用によって得られる。更に、AF蛋白質又はペプチドは、(静脈内投与に比べて)強さを失うことなく種々の粘液膜を介して効果的に吸収される。従って、多数の治療計画が存在し、正しく投与された蛋白質又はペプチドは、混乱した液体(水又はイオン)のバランス、炎症反応、又はこれら双方を迅速に再構築することができる。
【0013】
まとめとして、組換えAF(rAF)並びにこれらの相同体及びフラグメントは、免疫検出に、成長している動物の食餌添加物として、及び抗下痢薬及び浮腫、脱水及び又は炎症を含めた疾患に対する医薬として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の目的は、以下の通りである。
【0015】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列、又はこれらの相同体若しくはフラグメントを本質的に有する組換え蛋白質。
【0016】
配列認識番号1に示される組換え蛋白質のフラグメントであって、フラグメントが、配列認識番号1に示されるアミノ酸配列の
a)アミノ酸番号35〜42
b)アミノ酸番号35〜46
c)アミノ酸番号36〜51
d)アミノ酸番号36〜80
e)アミノ酸番号1〜80
を包含する群から選択されるもの。
【0017】
配列認識番号1に示される組換え蛋白質のアミノ酸番号35〜42を含有するフラグメントに対応するX1VCX2X3KX4R(但し、XはI又はなしであり、X2はH、R又はKであり、X3は、S、L又は他の中性アミノ酸であり、X4はT又はAである。)。
【0018】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントに対する抗体。
【0019】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントに特異的な抗体に結合する蛋白質。
【0020】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントの効果的な量を活性成分として含有する病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するための組成物。
【0021】
病理学的な液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するための組成物を製造するための、配列識別番号1に示されるアミノ酸配列を有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントの使用。
【0022】
脊椎動物において病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するための食餌であって、配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメント、或いはこのような蛋白質又はこれらの相同体若しくはフラグメントを産生することができる生物を活性薬として含有する食餌。
【0023】
脊椎動物における病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化する方法であって、配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメント、或いは前記蛋白質又は相同体又はフラグメントを産生する生物の効果的な量を該脊椎動物に投与することを具備した方法。
【0024】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントに対する特異的抗体の、生物内の前記蛋白質又はフラグメントを検出するための使用。
【0025】
配列認識番号1に示される配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸。
【0026】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸の、対応する蛋白質又は相同体又はフラグメントを産生するための使用。
【0027】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸から誘導されるプローブ又はプライマーの、生物内の核酸の存在を検出するための使用。
【0028】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸を含有するベクター。
【0029】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸を含有するベクターを含有するヒト以外の宿主。
【0030】
配列認識番号1に示されるアミノ酸を本質的に有する蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントを産生することができるヒト以外の生物の系統。
【0031】
組換え蛋白質を産生することができる生物として、異なったタイプの、組換えバクテリアのような生物、及び酵母、植物及びヒト以外の脊椎動物のような真核生物を使用することができる。
【0032】
従来の生化学的技術によりAFを生成するための10年間の試みにもかかわらず、均一の形態でAFを得ることはできなかった。しかし、免疫化のための半精製AFを調製し、免疫組織化学的方法により抗血清を選別する新たな手順で、適切な抗血清を選択した。この抗血清を用いて、E. Coli中でAFを発現する組換えヒトcDNAをクローニングすることができる。
【0033】
新規なcDNAの配列が決定され、唯一のものであることが示された。この配列の情報により、ヒト及びブタ下垂体RNAとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを構築した。約1400塩基対のこのRNAのサイズは1309の塩基対プラスポリ(A)テールを含有する配列されたcDNAのサイズを包含する。ラット下垂体からの部分的cDNA配列が、異なった種からのAF遺伝子に保持された偏在する構造を反映したヒトのそれと同一であることが示された。この類似性により、異なった種からのAFをコードするRNA及びDNAを同定するための同じオリゴヌクレオチドプローブを使用することが可能になる。
【0034】
更に、生物学的に活性な形態でrAFを発現することができる。グルタチオンS−トランスフェラーゼとの融合蛋白質の形態でAF蛋白質は、大量のE. Coliに発現され、アフィニティークロマトグラフィーで均質に精製される。トロンビンで融合蛋白質を開裂した後、組換えAF(rAF)は非常に強力であった。これは44ng(10−12mol)でラット腸管でこれら毒素を誘導する液体分泌物を半最大阻害を示す。
【0035】
遺伝子技術により、rAFのより小さなフラグメントを産生した。活性が、7から8アミノ酸よりなる小さな配列で存在した。これは化学的固相合成の助けを借りて確認された。この合成技術により、オクタペプチドを製造し、これはモル基準でrAFとほぼ同程度の生物学的強さを示した。部位特異的誘発合成により、活性部位内の種々の配列を構築し、特定のアミノ酸の置換が、生物学的活性を完全に破壊することなく可能であることが示された。
【0036】
液体の分泌は、腸管ループモデルで測定した。即ち、小腸の切片(ループ)を2つの結紮糸により結紮し、ループ中に特定量のエンテロトキシンを注射した。抗分泌薬を試験する際、これらを、毒素を導入する1時間前と2時間後の間に注射した。この注射は、3つの異なった経路、即ち静脈内、腸管内及び鼻腔内で行われる。液体は、毒素の導入後5時間でループに蓄積している。分泌は、1cmの腸管あたりに蓄積された液体の重量から計算される。
【0037】
蛋白質の配列は、アミノ酸シーケンシングにより直接に、及びcDNAからの推測により間接的に決定された。
【0038】
組換えAFは、明白な毒性反応が半最大阻害を起こす投与量よりも100倍高い投与量をラットに与えた場合にも全く認められなかったので、非常に小さな毒性、又は全身性の影響を有するようである。小腸に導入される場合、これは効果的であるので、これを傾向で投与することができる。
【0039】
組換えAFは、毒素の導入前に注射された場合にのみ効果があるように思われる、試験された天然のAFの調製物とは対照的に、毒素の導入後に注射した場合でも分泌を抑制する。従って、rAFは、予防及び治療の両方に使用することができる。
【0040】
更に、rAF及びそのペプチドフラグメントは、Clostridium difficileからのトキシンAにより引き起こされる消化管内での細胞毒性反応及び炎症を阻害することが示された。色素浸透性試験によりrAF及びそのフラグメントは、腸粘膜のみならず脳の液体圧を調節する脈絡叢においてもこれら毒素により誘導される病理学的浸透性の変化を回復することが示された。
【0041】
rAFに対する抗血清は、ウサギで誘導され、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)に使用される。このアッセイは、体液又は食餌中のAFを測定するのに使用されうる。
【0042】
rAFを結合させたアガロースを有するカラムのアフィニティークロマトグラフィーによるAF(天然又は組換え体)に対する抗体を精製する方法は、以下に報告する。
【0043】
抗体はまた、免疫組織化学的技術による組織部分でのAFの検出、及びウェスタン−ブロットでのAFの検出に効果的であることが示された。
【0044】
本発明を、添付した図面と共に、以下の制限を意味しない例により更に説明する。
【実施例】
【0045】
例1.cDNAのクローニングで産生されるAFに対する抗体
抗分泌因子をアガロースのアフィニティークロマトグラフ及び等電点電気泳動法によりブタ血液から調製した。1リットルのブタ血液(抗凝固物質を含む)に、1gのチオ硫酸ナトリウム及び1mgのフッ化フェニルメチルスルホニウムを加えた。血液細胞を遠心で分離し、透明な血漿をセファロース6Bを用いたカラム(ファルマシアLKBバイオテクノロジー、ストックホルム)から溶出した。ゲルの容積は溶液の約10%容積に対応する。床の容積の3倍のリン酸緩衝食塩水(PBS=0.15MNaCl、0.05Mリン酸ナトリウム、pH7.2)で洗浄した後、カラムを床の2倍の容積の、PBSに溶解した1Mα−メチル−D−グルコシドでカラムを溶出した。溶出物を濃縮し、「オメガ・10k・フロー・スルー」ウルトラフィルター(フィルトロンテクノロジー社(Filtron Technology Corp.))で水に対して透析した。引き続き画分を、400mlの等電点電気泳動カラム(LKB、スウェーデン)で、アンホリン(ファルマシア)グラジェントpH4〜6の等電点電気泳動により分別した。4.7と4.9の間の等電点を有する画分を集め、PBSに対して透析した。このようにして、部分的に精製されたAFを少量のありコートに分割し、先に説明した方法に従ってウサギでの抗血清の産生に使用した。
【0046】
ウサギを免役し、血清をヒト下垂体の切片で細胞内物質を染色するこれらの能力に対して試験した(例6で説明する。)。血清の1つのみが、細胞外マトリックス蛋白質を染色することなく、特異的及び明確な細胞内染色を示した。この抗血清をE. coli中で蛋白質を発現するヒト下垂体から得たcDNA/ラムダファージGT11ライブラリーのスクリーニング用に選別した。
【0047】
例2.ヒトかウシ体及び脳から得たcDNAライブラリーの選別
9人の白色人種のプール(pool)から得られる組織から誘導される正常ヒト下垂体から得た5’−ストレッチcDNAライブラリーをクロンテックラボラトリーズ(Clontech Laboratories)から購入した。ライブラリーのスクリーニング用に、ファージを150mmの皿あたり3×104のプラーク形成ユニットで、E. coli Y1090上に置いた。先に説明したブタAFに対するウサギ抗血清を0.5容積のE. coli Y1090溶解物に23℃で4時間吸着させ、1:400の割合に希釈し、スクリーニングをYoung及びDavis(1)に従って行った。アルカリ性ホスファターゼで複合体形成させたヤギ抗−ウサギ抗−抗体を二次抗体として使用した(Jackson)。陽性のプラークを分け、ファージ懸濁培地[20mMトリス−HCl(pH7.5)、100mMNaCl、10mMMgSO4、2%グルタチオン]に溶出し、置換し、試験された全てのプラークが陽性となるまでスクリーニングした。
【0048】
cDNAの再クローニング− AF組換え体から得たファージDNAをウィザード・ラムダ・プレップ(Wizard Lambda Prep)(プロメガ)で単離し、EcoR1で消化した。挿入物を、セファグラス・ボンドプレップ・キット(Shephaglas BandPreo Kits)(ファルマシア)で精製し、製造者により説明されたpGex-1ラムダTベクター(ファルマシア)に再クローニングし、エピクリアン・コリー(Epicurian Coli)XL1−ブルー、トップ(Top)1細胞又はBL21細胞(三種類全てストラタジーンから得た。)にトランスフェクションした。特に説明しない場合は、rAF又はrペプチドをBL21細胞中で調製した(2)。
【0049】
PCRによるcDNAの増幅− 5’−末端のないcDNAを得るためにRACE(rapid amplification of cDNA ends)と称されるPCRに基づいた方法を行った。ヒト脳cDNA分子の3’−末端に結紮されたアンカーオリゴヌクレオチドを有する5’−RACE−レディーcDNAを生じる修飾されたRACE法をクロンテック・ラボラトリーズから購入した。5’−末端を、アンカーに相補的な5’プライマー及び2つの重ねられた遺伝子特異的3’−PCRプライマーA及びB(A=塩基429〜411、及びB=塩基376〜359;図1a)を用いて、2つの増幅ステップで、5’−RACE−レディーcDNAに部分から増幅した。対応するペプチドを発現するために、RACEフラグメントの種々のより小さな部分を更に修飾し、これらの生物学的特性を試験した。これらのオリゴヌクレオチドフラグメント及びこれらの対応するペプチドの開始及び末端における塩基及びアミノ酸の位置を表1に示した。ブタ及び子牛cDNA(クロンテック・ラボラトリー)を、表1のN3に対応するフラグメントを増幅するためのテンプレートとして使用した。配列のバリエーションも、部位特異的突然変異誘発により人工的に導入した。この方法では、168〜193の位置に対応する種々のオリゴヌクレオチドを、アミノ酸35−42(配列認識番号1に示される位置)を一つずつ置き換えるために合成した。増幅したDNAフラグメントを、アンカー及び遺伝子特異的プライマーに組み立てたEcoR1部位を用いてpGex-1ラムダTベクターにクローニングした。RACE法で得られた配列を確認するために、ヒト下垂体及び脳から得た二本鎖cDNAを特別なEcoR1開裂部位を含有するプライマー対C/D(図1b)で増幅した。このプライマーは、全オープンリードフレーム(ORF)が増幅されるようにデザインした。期待したサイズの下垂体及び脳のPCR産物をEcoR1で消化し、単離し、プラスミドpGex-1ラムダTベクターにクローニングした。
【0050】
DNA配列及びオリゴヌクレオチド− プラスミドpGex-1ラムダTから得たDNAをシーケナーゼバージョン2.0キット(U.S.バイオケミカル社)を用いて、ジデオキシ−連鎖停止法(15)による挿入物のシーケンシングのためのテンプレートとして使用した。挿入されたDNAのすぐ上流及び下流で、pGex-1ラムダTの領域をコピーする最初の順向及び逆向プライマーをファルマシアから得た。次のプライマーを、得られた配列情報を基にして合成した(スカンジナビアン・ジーン・シンセシスAB)。3つの異なったPCRクローンを、5’−RACE法でTaqポリメラーゼによる塩基交換を防ぐためにシーケンシングした。ヌクレオチド配列及び推論した蛋白質配列データを集め、マックベクター(MacVector)4.1(イーストマンケミカル社(Eastman Chemical Co.))を用いて分析した。cDNA挿入物の対応するアミノ酸配列を予言するために、異なったリードフレームのコドンの使用量を比較し、1つの大きなオープンリードフレームを得た。DNA及び蛋白質配列データのインターロゲーション(interrogation)を、エントレツ(Entrez)DC−ROM(バイオテクノロジーインフォメーションのための国立センター、ベテスダ、USA)を使用して行った。
【0051】
cDNAの分子クローニング及び配列分析− ブタから得たAF蛋白質に対する多価抗血清を、ヒト下垂体から得たcDNAをスクリーニングするために使用した。免疫反応性のAFを発現する2種類のクローンを単離し、ラムダファージから取り出し、ファルマシアから供給されたキットで、説明したようにpGex1ラムダTベクターのEcoR1部位に再クローニングした。制限分析で1100及び900bpの挿入サイズをそれぞれ得た。2種類のクローンのDNAシーケンシングで1の置換以外完全な相同性を示した(図1、Cが1011の位置でTに置換している。)。クローン2の5’−末端の上流の配列をRACE法によって得た。このフラグメントは、全長376bp(5’−末端での合成ヌクレオチドアームを含まない。)を有する。全再構築cDNAは、1309塩基対、続いてポリAテールを含有し、これはポリAシグナルを先に有する(図1、1289〜1295の位置)。1146bpのオープンリードフレーム(ORF)(63〜1208)を同定した。
【0052】
例3.組換えプラスミドからの哺乳動物AF蛋白質の発現
融合蛋白質の構築及び精製− 免疫学的スクリーニング及び全cDNAのPCR増幅により得られるcDNAクローンをpGex-1ラムダTに結紮した。このベクターは、Schistosoma japonicum26kDaのグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)のC−末端に融合するE. coliでの外来蛋白質の発現を可能にする。これは、ファルマシアから供給されれるキットによって非変性条件下で親和性精製される。手短に言うと、組換えpGex-1ラムダTプラスミドで形質転換されたE. coliの一夜培養物を、新鮮な培地で希釈し、更に3時間37℃で成長させた。蛋白質の発現を0.1mMIPTG(イソプロピル−ベータ−D−チオガラクトピラノシド)で誘導し、更に4時間30℃で成長させた後、細胞をペレット化し、PBSに再懸濁した。細胞を超音波で溶解し、1%トリトンX-100で処理し、12000Xgで10分間遠心した。発現された融合蛋白質を含有する上清を、グルタチオンアガロース(ファルマシア)に該溶解物を通すことによって精製した。融合蛋白質を、遊離のグルタチオンとの競争により溶出するか、又は10Uのウシトロンビンで一夜開裂させ、GSTアフィニティーテールからAF蛋白質を除去した。pGexプラスミドを用い、組換え蛋白質又はペプチドを精製する全方法を、ファルマシアから供給されるキットによって行った。
【0053】
組換えAFタンパク質の配列及びサイズ− コード配列を確認するために、全長転写物を下垂体及び脳cDNAのPCR増幅を用いて単離した。プライマー対C/Dを用いて、クローン−4の配列と同一の1215bp(図1)を単離した。オープンリードフレームは、41.14kDaの計算された分子量及び4.9の計算されたpIを有する382のアミノ酸をコードする。
【0054】
AFクローン−1、2及び3、並びにオリゴヌクレオチドN1−N5(図1及び表1)をpGEX-1ラムダTに結紮し、この結果、ORFがグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)タンパク質を有するフレーム中に存在する。構築物をE. coliに導入し、融合タンパク質の発現をIPTGで誘導した。精製された融合タンパク質及びトロンビンで開裂されたAFタンパク質若しくはペプチドを、ブタ抗分泌因子に対する抗血清を用いて、SDS−PAGE及びウェスタンブロットにかけた(図2)。タンパク質のクーマッシーブリリアントブルー染色は、より小さな成分に分解されたことを示すGST-AF-1以外の各タンパク質に対する明白なバンドを示した。
【0055】
固相ペプチド合成− より小さなペプチド(表1のP7からP18)をアップライドバイオシステムズペプチド合成機の固相に製造した(K. J. Ross-Petersen AS)。各ペプチドの純度は、水/アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸の直線勾配を用いて、デルタパック(Deltapak)C18、300Aの逆相HPLCで評価した。
【0056】
アミノ酸配列− タンパク質の配列分析を行い、同定したORFを更に確認した。純粋なAFタンパク質を10%マクロスラブゲル(macro-slab gel)SDS−PAGE(14)を通し、タンパク質をエレクトロブロッティング(バイオ−ラッド)によりプロブロット(Problot)膜(アップライド・バイオシステムズ)に移した。ポンソーS染色により視覚化したスポットをブロットから削り取り、タンパク質の最初の20アミノ酸を、自動シーケンサー(アップライド・バイオシステムズ)で自動エドマン分解により配列決定した。
【0057】
クローン2及びクローン3のN−末端配列を決定し、これらが予想された配列(図1)の63〜75及び130〜140のアミノ酸にそれぞれ完全に一致することが示された。
【0058】
ジーンバンクから利用可能な他のタンパク質配列との比較は、rAFの配列(図1)が全てのそのパーツで唯一であり、同様の配列が報告されていないことが示された。
【0059】
タンパク質の最初の10残基は、Kyte-Doolittle(22)に従って分析した場合、相対的に親水性であるようであり、タンパク質のエキソサイトーシスに先立って開裂除外されるシグナルペプチドを構成しうる。この解釈は、組換えタンパク質が下垂体から抽出されたタンパク質よりわずかに高い分子量を有するように思われるウェスタンブロット分析(図3)により支持される。しかし、幾つかのこの差はまた、融合タンパク質のトロンビン開裂部位を構成する組換えタンパク質中の追加の5つのアミノ酸に起因する。
【0060】
例4.rAFに対する抗血清の産生及び試験
組換えGST−AF融合タンパク質に対する抗血清− ELISA、ウェスタンブロット及び免疫組織科学的研究に使用するための、精製された融合タンパク質GST−AF−1、GST−AF−2及びトロンビンで開裂された純粋なAF−1タンパク質(=rAF)に対する抗体をウサギ内で産生させた。各ウサギに、1mlのPBS中の100μgの抗原を、等容積のフレンズ完全アジュバントと混合して与えた。各免疫化は、8から10回に分けて皮内的に背中に注射した50μgの抗原を用いる2回のブースター投与量を3及び5週に注射したが、最後の1回はフレンズ完全アジュバントを使用しなかった。最後のブースターの後6日にウサギから血液を採り、血清を調製し、−20℃で保存した。抗血清の感度はドットブロットアッセイで試験した。GST−AF−2を、1/5希釈でECLニトロセルロース膜に塗布し、抗血清を1:1000に希釈した。膜を、PBS中の1%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックし、次いで1:800希釈のウサギ抗−GST−AF又はブタAF抗血清で1.5時間インキュベートした。ブロットをアルカリ性ホスファターゼと複合体形成させたヤギ抗−ウサギ免疫グロブリンで展開し、次いで5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート及びP−ニトロブルーテトラゾリウム(ベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim))で展開した。抗原検出に対する評価限界は、この試験で約1ngであった。
【0061】
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及び免疫ブロッティング− ヒト及びブタ下垂体抽出物及び純粋なAF−タンパクシルのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を、10%アクリルアミドミニスラブゲルで行った。これは本質的にLaemmli(4)によって開示されたものであり、交差結合剤としてのビス−アクリルアミドを対応する質量を有するN,N’−ジアリル酒石酸ジアミドに置き換える修飾を伴う。ピロニンY(シグマ)を電気泳動フロントのマーカーとして使用した。前染色された分子量基準をBDHから購入した。次に、タンパク質をクーマッシーブリリアントブルーで染色するか、又は電気泳動により、免疫ブロッティング用の0.45mmの孔サイズのECLニトロセルロース(アマーシャム(Amersham))に移した。引き続きのBSA、複合体形成した抗−IgG及びアルカリ性ホスファターセ基質とのインキュベーションを先に開示したドットブロットと同様に行った。
【0062】
上述のように、クーマッシーブリリアントブルー染色で、GST−AF−1タンパク質に対する分離したバンドは現れなかった。これはおそらく、より小さな成分に蛋白質分解で分解されたことによる。しかし、ウェスタンブロット分析で、全長タンパク質は、分解された蛋白質よりも非常に強いシグナルを与えた(図2b)。ブタAFに対する抗血清との強い反応は、組換えタンパク質がAFと同じ免疫反応性を実際に有することを指示する。全長タンパク質の分子量は、約60kDaであると思われ、これはアミノ酸組成物から評価された41139Daの真のmol. wtよりも高かった。更に、タンパク質はまた、免疫ブロットされ、GST−AF2(これはトロンビンで開裂されたタンパク質に結合する(図3)。)に対して生じさせた抗血清で調査した。
【0063】
組換えGST−AF−2に対する抗血清は、天然に存在する見かけの分子量60kDaのAFタンパク質と、及び幾つかのより小さな成分、おそらく酵素分解生成物と反応した(図3a)。
【0064】
AF−濃縮物の決定のためのELISA− ELISAアッセイを、抗−AF−1及び抗−AF−2を用いて、先に開示した方法(5)に従って行った。図3bに示されるように、粗製抗血清を用いた試験の感度は、1〜10μgの間であるが、アフィニティー精製した抗体での試験は5から50ngタンパク質の間の感度を有していた。
【0065】
例5.下垂体から得たRNAのノーザンブロット分析
ノーザンブロット分析− ヒト下垂体を、サルグレンスカ病院(Sahlgrenska Hospital)から死後に得た(スウェーデン衛生福祉庁;2§トランスプランテーションズラーゲン(transplantationslagen)、1975:190により認可を受けた)。RNAを得るために、下垂体を、Chomczynski及びSacchi(6)に従ってグアニジニウムチオシアネートRNAで抽出した。ポリアデニル化RNAをオリゴdT−セルロースを用いるカラムを使用して、市販のキット(ファルマシア)により選別した。加えて、107の個体から得たヒト下垂体mRNAのプールをクロンテックから購入して使用した。5μgのポリ(A+)RNAの各サンプルをグリオキサール処理し、1.2%Aがロースゲルで電気泳動にかけた(7)。0.05MNaOH中で3時間、ハイボンドN+ナイロン膜(アマーシャム)へ毛細管アルカリ性移動した後、前ハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションを各42℃で24時間行った。ハイブリダイゼーション溶液は、50%ホルムアミド、5xSSPE、10Xデンハーズ溶液を、250μg/mlの変性低分子量DNA及び50μg/mlポリアデニル酸と共に含む。ブロットを、配列の、132〜105(プライマーE)、297〜270(プライマーF)、748〜721(プライマーG)及び833〜806(プライマーH)部位を含有する4種類の異なった28bpのアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて調査した。プローブを、ターミナルトランスフェラーゼ(ベーリンガー・マンハイム)プラス[α32P]ddATP(アマーシャム)で3’−末端標識し、ニックカラム(Nick columus)(ファルマシア)で精製した。5XSSPE/0.1%SDS−0.5XSSPE/0.1%SDS中で5回の後洗浄を、最終洗浄を繰り返して、各回42℃で30分行った。ハイパーフィルムMP(アマーシャム)に7日間さらした。
【0066】
下垂体内での発現− クローン化したcDNAに沿って異なった配列とハイブリダイズする4種類のオリゴヌクレオチドプローブの混合物で、ノーザンブロット分析を行った(図4)。プローブは、下垂体から分離したmRNA中の約1400bpの単一バンドとハイブリダイズした。最も強いシグナルは、ヒト物質で得られたが、ブタ物質も交差反応した。
【0067】
例6.下垂体の切片中のAFの分布
種及び組織− ヒト下垂体を、」サルグレンスカ病院(Sahlgrenska Hospital)から死後に得た(スウェーデン衛生福祉庁;§2トランスプランテーションズラーゲン(transplantationslagen)、1975:190により認可を受けた)。下垂体を、組織学的に使用するもの(これはリン酸緩衝食塩水(PBS=0.15MNaCl、0.05Mリン酸ナトリウム、pH7.2)に溶解された4%ホルムアルデヒド中で24時間固定化され、この後、PBS中の7.5%蔗糖に移された。)以外、−70℃で冷凍保存した。屠殺場から得た5〜7月齢のブタからの下垂体を、移動の間ドライアイス中に置き、使用するまで−70℃で冷凍保存した。2〜3月齢のスプラーク−ドーリーラットをB&KユニバーサルAB、ソレンツナ(Sollentuna)、スウェーデンからバイオアッセイ用に得た。免疫化のためのウサギ(ニュージーランド・ホワイト(New Zealand White))を、リッドケーピング・カニンファーム(Lidkoping Kaninfarm)、スウェーデン)から得た。
【0068】
免疫組織化学− 固定化した下垂体を液体窒素で凍結し、7μmの厚さの冷凍断片を調製した。各サンプルから下垂体の異なった部分を含有する5〜10の切片を顕微鏡スライドに固定した。切片を5%の脂肪を含まない乾燥ミルクでブロックし、1:4000〜1:8000に希釈された一次ウサギ抗血清(抗−GST−AF−2融合タンパク質)を用いて、4℃で湿気のあるチャンバー内において一夜インキュベートした。バッファー中で洗浄した後、試料を、1:50に希釈したアルカリ性ホスファターゼと複合体形成させたブタ抗−ウサギ免疫グロブリン(Dako A/S)を用いて23℃で1時間インキュベートした。免疫反応を、他で説明した(8)ホスファターゼ基質で視覚化した。対照の切片を、過剰のGST−AF−2タンパク質で又は一次抗体以外の全てのインキュベーションステップで吸収された免疫血清を用いてインキュベートした。
【0069】
下垂体の切片中のAFの分布− ヒト下垂体の切片でのAFの分布を免疫組織学的技術で研究した(図5)。調査した全ての試料で、腺下垂体中の中程度の量の細胞が染色された。免疫染色された物質は細胞質内の顆粒球に局在化しているように思われる。過剰のGST−AF−2タンパク質との免疫血清の前吸着は、シグナルを完全に破壊する。後方部分(神経下垂体)では染色は全く観測されなかった。
【0070】
下垂体中の免疫反応性物質の分布は、単に、前方ローブ(腺下垂体)の切片細胞内におけるAFの細胞内分布を示す。このローブから放出されるタンパク質には、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、プロラクチン、及び黄体形成ホルモンが含まれる。細胞内局在化から血管系へのこれらのホルモンの通過は、視床下部内の神経ホルモン細胞によって産生される因子を放出することが引き金となる。
【0071】
例7.rAFの生物学的活性
抗分泌活性− 抗分泌活性を、先に説明したラット腸管ループモデル(9)で測定した。空腸ループに、3μgのコレラ毒素を導入した。異なった投与量の精製されたAF−1−蛋白質又はPBS(対照)の何れかを、コレラ毒素を導入する前後に注射した。腸管ループに蓄積された液体の重量(mg/cm)を5時間後に記録した。各AF調製物を少なくとも6匹のラットで試験した。フィッシャーのPLSDをデータの統計分析に使用した。
【0072】
rAF蛋白質の生物活性− E. coliで産生されるクローン−1の純粋なrAF蛋白質の生物学的活性をラットモデルで試験した。コレラ毒素を腸管に導入する前、20〜30秒静脈内で注射した場合に、腸管の液体分泌を阻害するrAFの能力を図6に示した。バッファーのみを注射した対照動物では、コレラ毒素は腸管1cmあたり412±9mgの液体の明白な分泌を起こした。純粋なrAFは、バッファーの応答と十分に異なる(p<0.01、n=6)コレラ分泌の投与量依存性の阻害を起こした。9ngのクローン−1蛋白質は、34%まで応答を減少するのに十分であったが、44ng(10−12mol)及び220ngではそれぞれ46%及び78%まで応答が低下した。組換えAFの生物学的活性は、我々の知っている何れのエンテロトキシンの生物学的活性よりも大きく、水及び電解質輸送を修飾する何れかの腸管ホルモン又は神経ペプチドの生物学的活性よりも大きかった。更に、ラットでのヒトrAFの活性のレベルは驚くほど高く、これはおそらく、異なった種から得たrAF分子に維持される偏在構造を反映している。この仮説は、ウェスタンブロット及びノーザンブロット分析で得られるヒト及びブタ物質間の交差反応から支持される。
【0073】
コレラ毒素の導入の20〜30秒前及び90分後に静脈内で導入された場合に、腸管分泌を阻害する0.5μgのrAFの能力を比較した(図7)。両投与量は、対照動物に比較して十分な阻害を示した(p<0.01、n=6)。このように、天然のAFとは対照的に、組換え蛋白質はまた、毒素を導入した後に与えられた場合でも十分であり、rAFは下痢の治療に有効である。3μgのrAFを、コレラ毒素を導入したループの極隣接した場所に位置する8〜10cmの長いループに注射した。rAFは、毒素の導入の20〜30秒前又は90分後の何れかに導入した。図8には、両試験グループが対照と比較して、液体分泌の十分な減少を得たことを示す(p<0.01、n=6)。2つの試験グループで違いは観測されなかった。この実験は、rAFが経口投与の後に活性であり、仮に重篤な副作用がないとしたならば、動物の食餌の添加物として使用しうることを示唆する。
【0074】
上記の実験で、rAFを、エピクリアンコリー(Epicurian Coli)XL-1細胞に産生した。コレラの細胞では、多くの産生されたrAFをより小さなペプチドに分解した。rAFをBL21細胞中に産生させた場合、rAFの小さな部分のみが分解されたが、トップ1細胞では分解は全く観測されなかった。驚くことに、生物学的活性は、分解の程度に比例した。即ち、分解が進むにつれて活性がより高くなる。従って、種々のより短いフラグメントをこれらの可能な生物学的活性を試験するために調製した。
【0075】
表1に示されるように、これらのフラグメントを、完全なrAFに対して先に説明したのと同様の方法でコレラ毒素を静脈内で導入する前に試験した。クローン2及び3で発現されたペプチドを、0.1、1及び10μgの量で試験したが、毒性応答に変化はなかった。対照的に、RACEフラグメント(クローン4)で発現された1μgのペプチドは明白な効果を有していた。多くのより短い構築物をRACEフラグメントから作成し、pGex-1-ラムダ中で発現させた。表1に示されるように、活性部位はアミノ酸残基35から51の間に位置していることが見出された。より厳密に活性物を決定するために、3種類の小さなペプチドを固相ペブチド合成により作成した。これらの2つ、ペプチド35〜46(P3)及びペプチド35〜42(P1)は活性であった。後者のオクタペプチドIVCHSKTR(P1)は、1ng以下の投与量で活性合った。これは完全なrAFと、質量基準でほぼ同様の活性である。対照的に、より短いヘキサペプチドVCHSKT(P2)は、1ngから10μgの間の投与量で試験した場合、効果を全く発揮しなかった。
【0076】
ヒトフラグメントP1に対応するが、幾つかの変化及び/又は欠失を伴ったペプチドX1VCX2X3KX4Rも、部位特異的突然変異誘導により調製し、生物学的活性を試験した。ウシ及びブタcDNAからの配列との比較も行った。これらの研究から、以下の変化及び/又は欠失が示唆された。
【0077】
X1がI又はなしである。
【0078】
X2がH、R又はKである。
【0079】
X3がS、L又は他の中性アミノ酸である。
【0080】
X4がT又はAである。
【表1】
【0081】
腸管粘膜内の炎症に関するrAFの効果もラット腸管ループモデルで試験した。例えば、20匹のラットに、Clostridium difficileから得た0.5μgのトキシンA(10)を導入し、炎症及び液体分泌を2.5及び5時間後にそれぞれ測定した(10+10ラット)。各グループの半分のラットに、導入の30秒前に静脈内で100ngのrAFを与え、他の半分に対照としてPBSバッファーを与えた。ラットを殺した後、ループを切開して取り出し、ループの中心の2〜3cmの部分をドライアイスで凍結した。次に、凍結した試料を、レイカ(Leica)クリオスタットを用いて8μmの厚さの切片に切断した。この切片を、酵素組織化学によりアルカリ性ホスファターゼを明らかにするために染色した。アルカリ性ホスファターゼは、腸管上皮細胞によって発現され、染色は腸管上皮の評価及び完全性を可能にする。
【0082】
結果は、対照のラットが腸管粘膜の広範囲のダメージを進行させたことを示した(図9)。即ち、2.5時間後に、基底細胞からの上皮細胞の脱落が、壊死組織と共に観測されたが、広範囲の出血は5時間後に観測された。対照的に、rAFで処理した動物は、脱落、壊死又は出血を全く進展しなかった。トキシンAで誘導される液体分泌はまた、2.5時間後には199±4から137±5mg/cmまで(p<0.01)阻害され、6時間後には421±3から203±6mg/cmまで(5ラット/グループ、p<0.01)阻害された。
【0083】
同様の実験を、rAF蛋白質に代えて0.5μgのペプチドIVCHSKTR(=P1)を用いて行った。図9に示されるように、オクタペプチドは、トキシンAで誘導される腸管の炎症及び液体分泌に関して同様の効果を達成した。
【0084】
毒性− rAFの毒性を試験するために、これを、1ラットあたり50μgの高投与量で注射した。1週間の観測期間中に明確な毒性反応は記録されなかった。
【0085】
例8.腸管浸透性に関するrAFの生物学的活性
血液に溶解された有機物質の浸透性に関してrAFの影響を試験するために、エバンスブルー色素を用いて、先に開示した方法(11)に従って試験を行った。実験は、まず、例7及び図5で先に説明したように、コレラ毒素を導入する前にrAFを静脈内注射することで行った。しかし、毒素の導入後90分にエバンスブルー色素(1mlの1.5%PBS溶液)を静脈内で注射したが、液体分泌は全く観測されなかった。色素は5分の長期間循環させた。この後、ラットを、200mlの4℃のPBS/オルシーバー液(1/1比)溶液を用いて、エーテル麻酔下で行なわれる、約150秒間左心室−右心房を経る、心臓を横切る形態の灌流にかけた(ペリスタティックポンプ[コール・パーマー・インスツルメンツ(Cole Parmer Instruments)、シカゴ、Ill.、USA]を使用)。この手順で、心臓系に存在する全てのEBを除去し、色素のホルムアルデヒド抽出により検出される腸管組織内のEBのみを残すことが保証される。
【0086】
表2の結果は、CTの導入(p<0.001)が約43%で腸管組織から抽出されうるEBの量を十分に増加するが、コレラ毒素の導入前の、1BrTの静脈内注射はこの増加を阻害すること、即ちグループ1(対照)の組織から抽出されたEBの量は、グループ3(1rAF+CT)のそれと違わないことを示す。
【表2】
【0087】
図10及び11に示される結果は、ラットをP1(IVCHSKTR)で前処理した場合としない場合で、小腸、及びコレラ毒素を腸管に導入した後の側脳室から得た対応する脈絡叢中でアゾ色素エバンスブルーの管外溢出を示す。
【0088】
実験は、以下の方法で行った。重さ350gのメススプラーク−ドーリーラットを実験手順の前18時間、自由に過剰の水を与えた以外絶食させた。このラットを、6匹ずつのグループに使用した。ペプチドP1、コレラ毒素(CT)、及びPBSを表3に従って投与した。
【表3】
【0089】
P1(0.5μg)又はPBSのi.v.注射を、100μgのCT又はPBSを経口で導入する前10〜15秒、経口導入後60分に行った。ラットをエーテルで麻酔にかけ、エバンスブルーをiv.で注射した。色素を更に30分間平衡化し、この後、ラットをさいどエーテルで麻酔にかけ、血管系に存在する全ての色素を除去するために250mlのオルシーバー液/PBS=50/50で左心室を介して心臓内で灌流させた。約2〜3分間行ったこの灌流処理の後、記録された蛍光は糸の外側にのみ存在する色素を表すであろう。
【0090】
脳及び小腸の部分をサンプリングし、ドライアイスで凍結し、8μmのクリオスタット切片を調製した。この切片を空気乾燥し、キシレンを含有する取り付け媒体中に据え付けた。この切片を、ローダミンで放出される蛍光にたいして使用されるのと同様のフィルターの組み合わせを用いて、ゼイス(Zeiss)蛍光顕微鏡で視覚化した。
【0091】
図10及び11の結果は、蛍光強度(白色)が、グループA(P1 iv + CT po)及びC(PBS iv + PBS po)において、小腸(図10)及び脈絡叢(図11)の両方で同じ強さであることを示した。グループB(PBS iv + CT po)における小腸並びに脈絡叢の高い蛍光強度と比較して、結果は、毒素の導入より前にオクタペプチドを注射すると、CTで誘導されるエバンスブルーの血管外浸出を阻害することを示す。この結果は、これが小腸の血管系だけでなく脳の側脳室の脈絡叢でもあてはまることを示唆する。
【0092】
結果として、静脈内でオクタペプチドIVCHSKTRを投与することによる効果は、小腸並びに中枢神経系の脈絡叢において、コレラ毒素で誘導されるエバンスブルーの血管外浸出を阻害する。従って、rAF及びそのペプチド誘導体の作用は、小腸のみに限られず、中枢神経系の血管の浸透性にも影響する。これらの知見は、rAF及びそのペプチド誘導体が病理学的頭蓋内圧、中耳の圧力変化、及び血管の浸透性変化の種々の形態の回復に使用され得ることを示す。
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1a】図1a及び続きの図1b。新規なヒト蛋白質の核酸配列及び推定アミノ酸配列。確認されたアミノ酸配列に下線を付した。
【図1b】図1a及び続きの図1b。新規なヒト蛋白質の核酸配列及び推定アミノ酸配列。確認されたアミノ酸配列に下線を付した。
【図1c】図1c。クローニングしたcDNA及びオリゴヌクレオチドプライマーの水平マップ。
【図2】図2。クーマッシーブリリアントブルー染色したSDS−ポリアクリルアミドミニゲル(A)、及びブタAFに対する抗血清で調査した免疫ブロット(B)。ダッシュをつけていない番号のレーンは、グルタチオン−アガロースで精製したGST−AF融合蛋白質、AF−1、AF−2及びAF−3を含有し、一方ダッシュを付した番号のレーンは、トロンビンで開裂された融合蛋白質を含有する。分子量基準(R)、(BDH)は、左側に示されている。GST−AF−1融合蛋白質は高度に分解されているが、免疫ブロット分析は、全長蛋白質及び自発的トロンビン開裂生成物の検出のみを示した。GST−AF−3蛋白質に26kDaの生成物があり、これはおそらく独立に発現されるグルタチオンS−トランスフェラーゼ−テールである。
【図3a】図3aは、組換え蛋白質AF−2に対する抗血清を使用したウェスタンブロット。左側には、ブタ(P)及び3つのヒト(H1、H2、H3)下垂体を、右側には3つの組換え蛋白質AF−1、AF−2及びAF−3(図2参照)を、中央部には分子量標準(R)を塗布した。
【図3b】図3b。ウサギに生じさせた粗製抗血清及びアフィニティ精製した抗体を用いたrAFの酵素結合免疫検定法(ELISA)。
【図4】図4。ヒト及びブタ下垂体から得たRNAのノーザンブロットのオートラジオグラム(p=プール及びi=個々の物質)。5μgの精製したmRNAを各流域に塗布した。3’−末端を32Pで標識したオリゴヌクレオチドプローブを使用し7日後にオートラジオグラムを現像した。
【図5】図5。腺下垂体の凍結切片を組換え蛋白質GST−AF−2に対する抗血清で染色した。A.切片を免疫血清でインキュベートし、これは陽性免疫反応性の程度を変化したまばらな細胞を示した。多くの細胞は完全に染色を欠いていた(白抜き矢印)。B.Aに対する連続した切片を、過剰の組換え蛋白質GST−AF−2を予め吸収させた免疫血清とインキュベートした。細胞の特徴的な染色はなかった。C.及びD.内分泌細胞の細胞質染色を示す更に大きな倍率の免疫陽性細胞。n=核、c=細胞質。
【図6】図6.コレラ毒素で誘導される液体分泌の阻害を試験した組換え蛋白質AF−1の生物学的活性。徐々に変化させた投与量の蛋白質をラットの鼻腔内に注入した。3μgのコレラ毒素を腸管ループに注入し、5時間後、該ループ内での液体の蓄積を測定した。各値は6匹の動物のグループの平均±S.A.E.を表す。
【図7】図7。静脈内に注射されたrAF−1の生物学的活性。0.5μgのrAFを、ラット腸管ループに3μgのコレラ毒素を導入する20〜30秒前、又は90分後に投与した。
【図8】図8。管腔内に注射されたrAF−1の生物学的活性。3μgのrAFを、ラット腸管ループに3μgのコレラ毒素を導入する20〜30秒前、又は90分後に投与した。rAFを、該毒素が注射されたループに最も近い約5cmに注射した。
【図9】図9。A(×2.5)は対照(PBS)ループであり、細胞の残骸が腸管腔(L)に見られるが、残りの粘膜は染色されなかった。これは上皮内層の全破壊を示唆する。B(毒素の導入の前、0.5μlのP1)は、柔突起を形成する上皮内層を明確に示した。これは維持された腸管粘膜及び正常な腸管粘膜を示唆する。L=腸管腔、バー=500μm。C(×10)は、PBS処理した対照グループの破壊された粘膜を示す。Dは、実験(P1−処理した)グループの対応する粘膜を示す。黒矢印は、上皮内層を示す。LP=基底膜、mm=筋層粘膜。白抜き矢印は陰窩細胞(crypt cell)を示す。バー=100μm。E(×25)は、対照グループ(PBS−処理したもの)における破壊された粘膜を示す。Fは、毒性の導入前にP1処理にかけたラットから得た対応する拡大写真を示す。バー=50μm。
【図10】図10。コレラ毒素(CT)又は対照バッファー(PBS)で処理したラットの3つのグループから得た空腸試料のエバンスブルーの蛍光。抗分泌ペプチドP1又は対照バッファー(PBS)で前処理した。LP=基底膜。黒矢印は、上皮細胞内層を示す。白抜き矢印の先は、陰窩細胞を示す。バー=100μm。
【図11】図11。図10に示されるラットから得た脈絡叢試料のエバンスブルーの蛍光。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメント。
【請求項2】
配列認識番号1に示される組換え蛋白質のフラグメントであって、フラグメントが、配列認識番号1に示されるアミノ酸配列の
a)アミノ酸番号35〜42
b)アミノ酸番号35〜46
c)アミノ酸番号36〜51
d)アミノ酸番号36〜80
e)アミノ酸番号1〜80
を包含する群から選択されるもの。
【請求項3】
配列認識番号1に示される組換え蛋白質のアミノ酸番号35〜42を含有するフラグメントに対応するX1VCX2X3KX4R(但し、XはI又はなしであり、X2はH、R又はKであり、X3は、S、L又は他の中性アミノ酸であり、X4はT又はAである。)。
【請求項4】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントに特異的な抗体。
【請求項5】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントに特異的な抗体に結合する蛋白質。
【請求項6】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列、又は同じ活性を有するこれらの相同体若しくはフラグメントの効果的な量を活性成分として含有するヒトを含めた動物の病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するための組成物。
【請求項7】
請求の範囲第6項に記載の医薬であって、該フラグメントが配列認識番号1に示されるアミノ酸配列の
a)アミノ酸番号35〜42
b)アミノ酸番号35〜46
c)アミノ酸番号36〜51
d)アミノ酸番号36〜80
e)アミノ酸番号1〜80
を包含する群から選択される医薬。
【請求項8】
ヒトを含めた動物の病理学的な液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するための組成物を製造するための、配列識別番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントの使用。
【請求項9】
脊椎動物において病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するための食餌であって、配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又は同じ活性を有するこれらの相同体若しくはフラグメント、或いは前記蛋白質又はこれらの相同体若しくはフラグメントを産生することができる生物を活性薬として含有する食餌。
【請求項10】
ヒトを含めた動物における病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化する方法であって、配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又は同じ活性を有するこれらの相同体若しくはフラグメント、或いは前記蛋白質又は相同体又はフラグメントを産生する生物の効果的な量を該動物に投与することを具備した方法。
【請求項11】
請求の範囲第10項に記載の方法であって、該フラグメントが配列認識番号1に示されるアミノ酸配列の
a)アミノ酸番号35〜42
b)アミノ酸番号35〜46
c)アミノ酸番号36〜51
d)アミノ酸番号36〜80
e)アミノ酸番号1〜80
を包含する群から選択される方法。
【請求項12】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントに対する特異的抗体の、生物内の前記蛋白質又はこれらの相同体若しくはフラグメントを検出するための使用。
【請求項13】
配列認識番号1に示される配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸。
【請求項14】
請求の範囲第13項に記載の核酸であって、該コードされるフラグメントが配列認識番号1に示されるアミノ酸配列の
a)アミノ酸番号35〜42
b)アミノ酸番号35〜46
c)アミノ酸番号36〜51
d)アミノ酸番号36〜80
e)アミノ酸番号1〜80
を包含する群から選択される核酸。
【請求項15】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸の、対応する蛋白質又は相同体又はフラグメントを産生するための使用。
【請求項16】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸から誘導されるプローブ又はプライマーの、生物内の核酸の存在を検出するための使用。
【請求項17】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸を含有するベクター。
【請求項18】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸を含有するベクターを含有するヒト以外の宿主。
【請求項19】
配列認識番号1に示されるアミノ酸を本質的に有する蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントを産生することができるヒト以外の生物の系統。
【請求項1】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメント。
【請求項2】
配列認識番号1に示される組換え蛋白質のフラグメントであって、フラグメントが、配列認識番号1に示されるアミノ酸配列の
a)アミノ酸番号35〜42
b)アミノ酸番号35〜46
c)アミノ酸番号36〜51
d)アミノ酸番号36〜80
e)アミノ酸番号1〜80
を包含する群から選択されるもの。
【請求項3】
配列認識番号1に示される組換え蛋白質のアミノ酸番号35〜42を含有するフラグメントに対応するX1VCX2X3KX4R(但し、XはI又はなしであり、X2はH、R又はKであり、X3は、S、L又は他の中性アミノ酸であり、X4はT又はAである。)。
【請求項4】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントに特異的な抗体。
【請求項5】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントに特異的な抗体に結合する蛋白質。
【請求項6】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列、又は同じ活性を有するこれらの相同体若しくはフラグメントの効果的な量を活性成分として含有するヒトを含めた動物の病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するための組成物。
【請求項7】
請求の範囲第6項に記載の医薬であって、該フラグメントが配列認識番号1に示されるアミノ酸配列の
a)アミノ酸番号35〜42
b)アミノ酸番号35〜46
c)アミノ酸番号36〜51
d)アミノ酸番号36〜80
e)アミノ酸番号1〜80
を包含する群から選択される医薬。
【請求項8】
ヒトを含めた動物の病理学的な液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するための組成物を製造するための、配列識別番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントの使用。
【請求項9】
脊椎動物において病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化するための食餌であって、配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又は同じ活性を有するこれらの相同体若しくはフラグメント、或いは前記蛋白質又はこれらの相同体若しくはフラグメントを産生することができる生物を活性薬として含有する食餌。
【請求項10】
ヒトを含めた動物における病理学的液体輸送及び/又は炎症反応を正常化する方法であって、配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又は同じ活性を有するこれらの相同体若しくはフラグメント、或いは前記蛋白質又は相同体又はフラグメントを産生する生物の効果的な量を該動物に投与することを具備した方法。
【請求項11】
請求の範囲第10項に記載の方法であって、該フラグメントが配列認識番号1に示されるアミノ酸配列の
a)アミノ酸番号35〜42
b)アミノ酸番号35〜46
c)アミノ酸番号36〜51
d)アミノ酸番号36〜80
e)アミノ酸番号1〜80
を包含する群から選択される方法。
【請求項12】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントに対する特異的抗体の、生物内の前記蛋白質又はこれらの相同体若しくはフラグメントを検出するための使用。
【請求項13】
配列認識番号1に示される配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸。
【請求項14】
請求の範囲第13項に記載の核酸であって、該コードされるフラグメントが配列認識番号1に示されるアミノ酸配列の
a)アミノ酸番号35〜42
b)アミノ酸番号35〜46
c)アミノ酸番号36〜51
d)アミノ酸番号36〜80
e)アミノ酸番号1〜80
を包含する群から選択される核酸。
【請求項15】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸の、対応する蛋白質又は相同体又はフラグメントを産生するための使用。
【請求項16】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸から誘導されるプローブ又はプライマーの、生物内の核酸の存在を検出するための使用。
【請求項17】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸を含有するベクター。
【請求項18】
配列認識番号1に示されるアミノ酸配列を本質的に有する組換え蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントをコードする核酸を含有するベクターを含有するヒト以外の宿主。
【請求項19】
配列認識番号1に示されるアミノ酸を本質的に有する蛋白質、又はこれらの相同体若しくはフラグメントを産生することができるヒト以外の生物の系統。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−43331(P2008−43331A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−193054(P2007−193054)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【分割の表示】特願平9−510185の分割
【原出願日】平成8年8月23日(1996.8.23)
【出願人】(507213798)ルーラル・パテント・スベンスカ・エービー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193054(P2007−193054)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【分割の表示】特願平9−510185の分割
【原出願日】平成8年8月23日(1996.8.23)
【出願人】(507213798)ルーラル・パテント・スベンスカ・エービー (1)
【Fターム(参考)】
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