説明

痛みの治療用のベンゾイソインドール誘導体

式(I):


[式中:R、R、R、XおよびYは、明細書の記載と同意義である]
で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体;かかる化合物の製造方法;かかる化合物を含む医薬組成物;および医薬におけるかかる化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナフタレン誘導体、それらの製造方法、それらを含む医薬組成物および医薬におけるそれらの使用に関する。
本発明の化合物はEP受容体アゴニストである。
【背景技術】
【0002】
多くの文献が、プロスタノイド受容体の特徴および治療的関連性、ならびに最も一般に使用されている選択的アゴニストおよびアンタゴニスト:エイコサノイドを記載している;Biotechnology to Therapeutic Applications, Folco, Samuelsson, Maclouf, and Velo eds, Plenum Press, New York, 1996, chap. 14, 137-154 およびJournal of Lipid Mediators and 細胞 Signalling, 1996, 14, 83-87 およびProstanoid Receptors, Structure, Properties and Function, S Narumiya et al, Physiological Reviews 1999, 79(4), 1193-126。
【0003】
EP受容体は7回膜貫通型受容体であり、その天然リガンドはプロスタグランジンPGEである。また、PGEは他のEP受容体(EP、EPおよびEP型)にアフィニティを有する。プロスタノイドEP受容体は、細胞内の環状アデノシン一リン酸(cAMP)レベルの上昇に普遍的に関与する受容体の一群に属する。EP受容体は、平滑筋弛緩、眼圧、痛み(特に炎症性の痛み、神経性の痛みおよび内臓痛)、炎症、神経防護、リンパ球分化、骨代謝プロセス、アレルギー活性、眠りの促進、腎臓調節、胃腸粘液分泌、十二指腸分泌に関連する。EP受容体は、動脈環の閉鎖、血管抑制、炎症および骨再形成において重要な役割を担う(Narumiya, Prostaglandins & Other Lipid Mediators 2002, 68-69 557-73)。
【0004】
多くの刊行物が、EP受容体サブタイプおよびEPアゴニスト単独を介して作用するPGEは、炎症刺激後の炎症性サイトカインをレギュレートすることができることを示している。Journal of Biological Chemistry 2002, 277(46), 44147-54において、Takayamaらは、PGEが、マクロファージ由来のケモカイン産生を、EP受容体を介して抑制することにより、炎症性疾患の間の炎症をモジュレートすることを示した。Bioorganic & Medicinal Chemistry 2002, 10(7), 2103-2110, Maruyamaらは、選択的EP受容体アゴニスト(ONO−AE1−437)が、IL−10のレベルを増加させる一方、ヒト全血中のLPS誘発TNF−αを抑制することを示した。Anesthesiology, 2002, 97,170-176 の記事は、選択的EP受容体アゴニスト(ONO−AE1−329)が、力学的および熱性痛覚過敏および急性および慢性単関節炎における炎症反応を、効果的に阻害することを示唆している。
【0005】
Sakuma et al, Journal of Bone and Mineral Research 2000, 15(2), 218-227およびMiyaura et al, Journal of Biological Chemistry 2000, 275(26), 19819-23の2つの別個の記事は、EP受容体ノックアウトマウスで培養した細胞における破骨細胞形成の低下を報告している。Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2002, 99(7), 4580-4585において、Yoshidaらは、個々のPGE受容体EPサブタイプが欠損しているマウスの使用により、PGE投与に応答して骨形成を媒介する受容体としてEPを同定している。また、これらは、選択的EP受容体アゴニスト(ONO−4819)が、常に、野生型マウスの骨形成を誘発することを示した。加えて、Bone 2005, 37(4), 555-562において、Teraiらは、rhBMP−2の骨誘導能力を増強する選択的EP受容体アゴニスト(ONO−4819)、骨形成を誘発することができる治療サイトカインの存在を示している。
【0006】
Larsenらのさらなる研究により、ヒト十二指腸の第2部分における分泌に対するPGEの作用は、EP受容体により介在されることが示されている(Acta. Physiol. Scand. 2005, 185, 133-140)。また、選択的EP受容体アゴニスト(ONO−AE1−329)は、ラットにおいて結腸炎から保護することができることを示した(Nitta et al, Scandinavian Journal of Immunology 2002, 56(1), 66-75)。
【0007】
European Journal of Neuroscience 2005, 22(9), 2199-206において、Doreらは、PGEが、EPおよびEP受容体に作用することにより、アミロイドベータペプチド毒性から神経を保護することができることを示した。さらに、Brain Research 2005, 1066(1-2), 71-77において、Doreは、EP受容体アゴニスト(ONO−AE1−329)が、脳の興奮毒性の急性モデルにおいて神経毒性から保護することを示している。
【0008】
Journal of Lipid Mediators 1993, 6(1-3), 545-53においてWoodwardらは、眼圧を選択的プロスタノイドアゴニストを用いて低下させることができることを見出した。Investigative Ophthalmology & Visual Scienceの2つの記事は、プロスタノイドEP受容体が、ヒト水晶体上皮細胞において発現されることを示し(Mukhopadhyay et al 1999, 40(1), 105-12)、眼の小柱網での流れのモジュレーションにおけるプロスタノイドEP受容体の生理学的役割を示唆している(Hoyng et al 1999, 40(11), 2622-6)。
【0009】
EP受容体結合活性を示す化合物およびそれらの使用は、WO98/55468、WO00/18744、WO00/03980、WO00/15608、WO00/16760、WO00/21532、WO01010426、EP0855389、EP0985663、WO02/047669、WO02/50031、WO02/50032、WO02/50033、WO02/064564、WO03/103604、WO03/077910、WO03/086371、WO04/037813、WO04/067524、WO04/085430、US04/142969、WO05/021508、WO05/105733、WO05/105732、WO05/080367、WO05/037812、WO05/116010およびWO06/122403に記載されている。
【0010】
インドプロフェンの誘導体、例えば[4−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)フェニル]−2−プロピオン酸、ナトリウム塩が、Rufer et. al., Eur. J. Med. Chem. ‐ Chimica Therapeutica, 1978, 13, 193に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
およびRは、独立して、C1−4アルキルまたはジフルオロメチルである:ただし、RおよびRの少なくとも1個はジフルオロメチルであり;
は、H、F、ClまたはBrであり;
XおよびYは、独立して、C=OまたはCHである:ただし、XおよびYの少なくとも1つはC=Oである]
で示される化合物および/またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一の具体例において、RおよびRの一方はC1−4アルキルであり、他方はジフルオロメチルである。本発明の一の具体例において、RおよびRの一方はメチルであり、他方はジフルオロメチルである。本発明の一の具体例において、RおよびRの一方はエチルであり、他方はジフルオロメチルである。本発明の一の具体例において、RおよびRの一方はn−プロピルであり、他方はジフルオロメチルである。本発明の一の具体例において、RおよびRの一方はイソ−プロピルであり、他方はジフルオロメチルである。本発明の他の具体例において、RおよびRは、両方ジフルオロメチルである。
【0013】
本発明の一の具体例において、RはFである。本発明の他の具体例において、RはClである。本発明の他の具体例において、RはHである。本発明の他の具体例において、RはH、FまたはClである。本発明の他の具体例において、RはFまたはClである。
【0014】
本発明の一の具体例において、XはCHであり、YがC=Oである。本発明の他の具体例において、XはC=Oであり、YはCHである。本発明の他の具体例において、XおよびYは、両方C=Oである。
【0015】
本発明の他の具体例において、式(I):
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−2−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−2−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(メチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{3−クロロ−4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−2−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−9−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{3−クロロ−4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−9−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−9−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−2−フルオロフェニル}酢酸;
(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸;
(3−クロロ−4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−2−フルオロフェニル)酢酸;
{3−クロロ−4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{3−クロロ−4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−2−フルオロフェニル}酢酸;
4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−2−フルオロフェニル}酢酸;
{3−クロロ−4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−9−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−4−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−9−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−4−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−2−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−9−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−2−フルオロフェニル}酢酸;
(3−クロロ−4−{9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−[(1−メチルエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(3−クロロ−4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−[(1−メチルエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−[(1−メチルエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−2−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−2−フルオロフェニル)酢酸;
からなる群から選択される化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0016】
本発明は、本明細書に記載の具体的および好ましい具体例のすべての組み合わせを包含する。
【0017】
本明細書で用いられる場合、「C1−4アルキル」なる用語は、1〜4個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、ブチルおよびイソ−ブチルを含む。「C1−6アルキル」なる用語は、適宜解釈することができる。
【0018】
本明細書で用いられる場合、ジフルオロメチルなる用語は−CHFである。
本明細書で用いられる場合、Fはフルオロを、Clはクロロを、Brはブロモを意味する。
【0019】
医薬上許容される誘導体は、式(I)で示される化合物のいずれもの医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはエステル、またはかかるエステルの塩もしくは溶媒和物、あるいは、受容者に投与した場合に、式(I)で示される化合物またはその活性代謝物もしくは残基を(直接的にまたは間接的に)提供できるいずれもの他の化合物を含む。本発明の一の具体例において、医薬上許容される誘導体は、塩、溶媒和物もしくはエステル、またはかかるエステルの塩もしくは溶媒和物を意味する。本発明の他の具体例において、医薬上許容される誘導体は、塩もしくはエステル、またはかかるエステルの塩を意味する。
【0020】
医薬的用途において、上に言及した塩は、医薬上許容される塩であるが、他の塩は式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される塩の調製において用いることができることは明らかだろう。
【0021】
医薬上許容される塩は、Berge, Bighley and Monkhouse, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19により記載のものを含む。「医薬上許容される塩」なる用語は、無機塩基および有機塩基を含む医薬上許容される塩基から調製される塩を意味する。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウム、亜鉛等を含む。医薬上許容される有機塩基から誘導される塩は、第一級、第二級および第三級アミンアミン;天然の置換アミンを含む置換アミン;および環状アミンの塩を含む。具体的な医薬上許容される有機塩基は、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等を含む。また、塩は、塩基性イオン交換樹脂、例えばポリアミン樹脂から調製することもできる。
【0022】
式(I)で示される化合物は、適当なプロドラッグの代謝によりインビボで産生されうることは明らかだろう。かかるプロドラッグは、例えば、一般式(I)で示される化合物の生理学的に許容される代謝的に不安定なエステルであってもよい。これらは、一般式(I)で示される親化合物中のカルボン酸をエステル化すること(適宜、分子内に存在する他の活性基を保護し、ついで、必要に応じて脱保護する)により形成することができる。かかる代謝的に不安定なエステルの例としては、C1−4アルキルエステル、例えばメチルエチルまたはt−ブチルエステル、C3−6アルケニルエステル、例えばアリル置換または非置換アミノアルキルエステル(例えば、アミノエチル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、または2−(4−モルホリノ)エチルエステルまたはアシルオキシアルキルエステル、例えばアシルオキシメチルまたは1−アシルオキシエチル、例えばピバモイルオキシメチル、1−ピバモイルオキシエチル、アセトキシメチル、1−アセトキシエチル、1−(1−メトキシ−1−メチル)エチルカルボニルオキシエチル、1−ベンゾイルオキシエチル、イソプロポキシカルボニルオキシメチル、1−イソプロポキシカルボニルオキシエチル、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチルエステル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−シクロヘキシルオキシカルボニルオキシエチル、1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチルまたは1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチルが挙げられる。
【0023】
すべての幾何異性体、互変異性体ならびに光学異性体およびそれらの混合物(例えば、ラセミ体)を含む、式(I)で示される化合物およびそれらの医薬上許容される誘導体のすべての異性体は本発明に包含されると理解するべきである。
【0024】
本発明の化合物、特に式(I)で示される化合物は医薬組成物においての使用を目的とするので、これらは各々、実質的に純粋な形態、例えば少なくとも50%の純度、より適当には少なくとも75%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度(%はwt/wtに基づく)で提供されることは理解されるだろう。式(I)で示される化合物の純粋でない調製物は、医薬組成物において用いられるより純粋な形態の調製に用いることができる。本発明の中間体化合物の純度に関しては重要性が低いが、実質的に純粋な形態が、式(I)で示される化合物にとって好ましいことは容易に理解されるだろう。好ましくは、可能な限り、本発明の化合物は結晶形態で得る。
【0025】
本発明のいくつかの化合物が、溶媒から結晶化または再結晶することができる場合、結晶化溶媒は、結晶生成物中に存在してもよい。本発明は、かかる溶媒和物を範囲内に包含する。同様に本発明のいくつかの化合物は、水を含む溶媒から結晶化または再結晶される。この場合、水和水が形成されてもよい。本発明は、化学量論的水和物、ならびに例えば凍結乾燥のような工程により生産されうる種々の水を含有する化合物をその範囲内に包含する。加えて、異なる結晶化条件は、結晶生成物の異なる多形体をもたらし得る。本発明は、式(I)で示されるすべての多形体をその範囲内に包含する。
【0026】
本発明はまた、すべての式(I)で示される同位体標識化合物を範囲内に包含する。かかる化合物は、分子内の1個またはそれ以上の原子を、通常天然で見られる原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子により置換されていること以外は、式(I)で示される化合物と同一である。式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体に組み入れることができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素および塩素、例えばH、H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、18Fおよび36Clが挙げられる。
【0027】
本発明の同位体標識化合物、例えば放射性同位体、例えばH、14Cを組み込んだ化合物は、薬剤および/または物質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわちHおよび炭素−14、すなわち14C同位体は、調製および検出性が容易であることが特に好ましい。11Cおよび18F同位体は、PET(陽電子放出断層撮影)において特に有用であり、脳イメージングにおいて有用である。さらに、より重い同位体、例えばジュウテリウム、すなわちHでの置換により、代謝安定性の増大、例えばインビボ半減期の長期化または必要用量の減少をもたらす、ある種の治療的利点を提供することができ、したがって、ある場合において好ましい。式(I)で示される同位体標識化合物は、非同位体標識試薬の代わりに容易に入手できる同位体標識化試薬を用いることにより、下記スキームおよび/または実施例に記載の合成法で調製することができる。
【0028】
本発明の化合物はEP受容体アゴニストであり、したがって、EP受容体介在疾患の治療に有用であり得る。
特に、式(I)で示される化合物は、痛み、例えば、修飾疾患の特性および関節構造保護を含む、慢性関節痛(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎および若年性関節炎);筋骨格系疼痛;腰背部および頸痛;捻挫および張り;神経障害性の痛み;交感神経依存性疼痛;筋炎;癌に付随する痛みおよび線維筋痛;片頭痛に付随する痛み;インフルエンザまたは他のウイルス性感染症、例えば普通感冒に付随する痛み;リウマチ性熱病;機能性腸障害、例えば非潰瘍消化不良、非心臓性胸痛および過敏性腸症候群に付随する痛み;心筋虚血に付随する痛み;術後の痛み;頭痛;歯痛;および月経困難症の治療に有用であり得る。
【0029】
式(I)で示される化合物は、特に神経障害性の痛みおよびそれに関連する兆候の治療において有用であり得る。神経因性の痛み症候群としては:糖尿病性ニューロパシー;坐骨神経痛;非特異性腰痛;多発性硬化症疼痛;線維筋痛;HIV関連ニューロパシー;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛;および物理的外傷、切断、癌、毒素または慢性炎症症状に起因する痛みが挙げられる。神経因性の痛みの徴候は、自然発生的な激痛および電撃痛、または継続している灼熱痛として描写される。さらに、「しびれの直りかけのピリピリ感(pin and needles)」のような通常の無痛性感覚に関連する痛み(知覚異常および感覚不全)、接触に対する感受性増大(知覚過敏症)、非侵害性刺激後の有痛性感覚(動的、静的または熱的異痛症)、侵害刺激に対する感受性増大(熱的、寒冷的、機械的痛覚過敏)、刺激除去後の痛覚の継続(痛覚過敏)または選択的感覚経路の不在もしくは該経路における欠損(痛覚鈍麻)を含む。
【0030】
式(I)で示される化合物はまた炎症の治療、例えば、皮膚症状(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、乾癬);眼病、例えば、緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎および眼組織に対する急性傷害(例えば、結膜炎);肺障害(例えば、喘息、気管支炎、気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸困難症候群、鳩飼病、農夫肺、COPD);胃腸管障害(例えば、アフタ性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎、痘瘡状胃炎(gastritis varialoforme)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性大腸症候群、炎症性腸疾患、胃食道逆流症、下痢、便秘);臓器移植;炎症要素を伴う他の症状、例えば、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症(sclerodoma)、重症筋無力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性エリテマトーデス、腱炎、滑液包炎、およびシェーグレン症候群の治療においても有用でありうる。
【0031】
式(I)で示される化合物はまた、免疫疾患、例えば自己免疫疾患、免疫不全疾患または臓器移植の治療に有用であり得る。式(I)で示される化合物はまた、HIV感染症の潜伏期間を増加させるのに効果的にあり得る。
式(I)で示される化合物はまた、過度のまたは望ましくない血小板活性化の疾患、例えば間欠性跛行、不安定アンギナ、卒中、および急性冠症候群(例えば、脳底動脈閉塞症)の治療に有用であり得る。
式(I)で示される化合物はまた、利尿作用を有する薬剤として有用であり、過活動膀胱症候群の治療において有用であり得る。
式(I)で示される化合物はまた、インポテンスまたは勃起不全の治療において有用であり得る。
【0032】
式(I)で示される化合物はまた、異常な骨代謝または再吸収により特徴付けられる骨疾患、例えば骨粗鬆症(具体的には、閉経語骨粗鬆症)、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、ぺージェット骨疾患、骨溶解、骨転移を伴う、または伴わない悪性腫瘍の高カルシウム血症、関節リウマチ、歯周炎、変形性関節症、骨痛、骨減少症、結石症、結石症(具体的には、尿石症)、疼痛および強直性脊椎炎、腱炎および滑液包炎の治療に有用であり得る。
【0033】
式(I)で示される化合物はまた、骨再形成および/または骨生成の促進および/または骨折治癒において有用であり得る。
式(I)で示される化合物はまた、NSAIDおよびCOX−2阻害剤の血行性の副作用の緩和に有用であり得る。
式(I)で示される化合物はまた、心血管疾患、高血圧または心筋虚血;機能または臓器静脈不全;静脈瘤;痔核;および動脈圧の著しい低下に付随するショック状態(例えば、敗血性ショック)の治療に有用であり得る。
【0034】
式(I)で示される化合物はまた、神経変性疾患、例えば認知症、特に変性認知症(老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病およびクロイツフェルト−ヤコブ病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患を包含);血管性認知症(多発梗塞性認知症を包含);ならびに頭蓋内空間占有性病変に関連した認知症;外傷;感染および関連症状(HIV感染を包含);代謝;毒素;無酸素症およびビタミン欠乏症;および加齢に関連した軽度認知障害、特に、年齢関連記憶障害の治療においても有用である。
【0035】
式(I)で示される化合物はまた神経障害の治療に有用であり、神経保護剤として有用であり得る。本発明の化合物はまた、卒中後の神経変性、心不全、肺バイパス、外傷性脳損傷、脊髄損傷等の治療に有用であり得る。
【0036】
式(I)で示される化合物はまた、1型糖尿病の合併症(例えば、糖尿病性細小血管症、糖尿病性網膜症、糖尿病性ネフロパシー、黄斑変性症、緑内障)、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、ブドウ膜炎、カワサキ病およびサルコイドーシスの治療に有用であり得る。
【0037】
式(I)で示される化合物はまた、腎不全(腎炎、特に、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、腎炎症候群)、肝不全(肝炎、肝硬変)および胃腸障害(下痢)の治療に有用であり得る。
【0038】
治療なる語は、確立した兆候の治療および予防的治療の両方を含むことは理解されるだろう。
【0039】
本発明のさらなる具体例により、ヒトまたは獣医用医薬に用いるための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0040】
本発明の他の具体例により、EP受容体とPGEの作用、または作用の喪失により介在される症状の治療において用いるための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
本発明のさらなる具体例により、EP受容体とPGEの作用、または作用の喪失により介在される症状を患っているヒトまたは動物対象の治療方法であって、該対象に有効量の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む方法を提供する。
【0041】
本発明のさらなる具体例により、痛み、または炎症性疾患、免疫学的または骨疾患、神経変性疾患または腎機能不全を患っているヒトまたは動物対象の治療方法であって、該対象に、有効量の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む方法を提供する。
【0042】
本発明の他の具体例により、EP受容体とPGEの作用により介在される症状の治療用の医薬の製造における、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用を提供する。
【0043】
本発明の他の具体例により、痛み、または炎症性疾患、免疫学的または骨疾患、神経変性疾患または腎機能不全のような症状の治療または予防用の医薬の製造における式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用を提供する。
【0044】
式(I)で示される化合物およびそれらの医薬上許容される誘導体塩は、有利には、医薬組成物の形態で投与される。かかる組成物は、1個またはそれ以上の生理学的に許容される担体または賦形剤と混合して、慣用的な方法で用いるために提供され得る。
【0045】
かくして、本発明の他の態様において、ヒトまたは獣医用医薬での使用に適した、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む医薬組成物を提供する。
【0046】
式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体は、生化合物として投与することができるが、医薬処方として提供されることが好ましい。本発明の処方は、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を、1個またはそれ以上の許容される担体または希釈剤、および任意に他の治療成分と一緒に含む。担体(複数でも可)は、処方の他の成分と適合し、受容者に有害でないという意味で「許容」されなければならない。
【0047】
処方は、経口、非経口(例えば注射による、またはデポー錠剤による皮下、皮内、くも膜下、例えばデポーによる筋肉内、および静脈内注射を含む)、直腸および局所(皮膚、口腔および舌下)投与に適したものを含むが、最も適当な経路は、例えば受容者の症状および障害に依存しうる。処方は、有利には、単位剤形で提供することができ、製薬の分野でよく知られた方法で提供することができる(例えば、「Remington- The Science and Practice of Pharmacy」, 21st Edition, Lippincott, Williams & Wilkins, USA, 2005に記載の方法(出典明示により本明細書に組み入れる))。すべての方法は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体(「活性成分」)を、1個またはそれ以上の補助的な成分を構成する担体と一緒に混ぜ合わせる工程を含む。一般的には、処方は、活性成分と液体担体または微粉化固体担体あるいはその両方とを均一かつ密に混ぜ合わせ、ついで、要すれば、所望の処方に生成物を成型する。
【0048】
経口投与に適した本発明の処方は、個々の単位として、例えば、それぞれ粉末または顆粒として;水性流体または非水性流体中の溶液または懸濁液として;または水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンとして予備計量した活性成分を含む、カプセル、サッシェまたは錠剤(例えば、特に小児投与用のチュアブル錠剤)として提供されうる。また、活性成分は、ボーラス、舐剤またはペーストとして提供することもできる。
【0049】
錠剤は、所望により1個またはそれ以上の補助的な成分と一緒に圧搾または形成により製造することができる。圧搾錠剤は、活性成分を、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、滑沢剤、界面活性剤または分散剤と一緒に混合したフリーフロー形態、例えば粉末または顆粒形態で、適当な機械で圧搾することにより製造することができる。成型錠剤は、不活性流体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を、適当な機械で成型することにより製造することができる。錠剤は、所望によりコートしてもよく、あるいは分割してもよく、活性成分の徐放性または制御放出を与えるために処方してもよい。
【0050】
非経口投与用の処方は、抗酸化剤、緩衝液、精菌剤および処方を意図する受容者の血液と等張性にするための溶質を含有していてもよい水性および非水性滅菌注射溶液;懸濁化剤および増粘剤を含んでいてもよい水性および非水性滅菌懸濁液を含む。処方は、単位剤形または複数回投与コンテナ、例えばシールしたアンプルおよびバイアルで提供してもよく、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存してもよい。即時注射溶液および懸濁液は、上記したような滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0051】
直腸投与用処方は、通常の担体、例えばココアバター、硬化油またはポリエチレングリコールを含む坐剤として提供することができる。
【0052】
口への局所投与用処方、例えば口腔または舌下投与用処方は、シュークロースおよびアカシアのようなフレーバー基剤またはトラガカント中に活性成分を含むロゼンジ、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはシュークロースおよびアカシアのような基剤中に活性成分を含むトローチを含む。
【0053】
本発明の化合物はまた、デポー製剤として処方することができる。かかる長期作用処方は、埋めこみ(例えば、皮下または筋肉注射)または筋肉内注射により投与することができる。かくして、例えば、本発明の化合物は、適当なポリマーまたは疎水性物質(例えば、許容される油中のエマルジョン)またはイオン交換樹脂と処方することができるか、あるいは、わずかに可溶性の誘導体、例えばわずかに可溶性の塩として処方することができる。
上記した成分に加えて、処方は、目的の処方の型に応じて、当該分野で慣用的に用いられる他の薬剤を含むことができ、例えば、経口投与に適したものは、フレーバー剤を含有していてもよい。
【0054】
本発明において用いられるEP受容体化合物は、他の治療剤、例えばCOX−2阻害剤、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブまたはパレコキシブ;5−リポキシゲナーゼ阻害剤;鎮痛剤、例えばパラセタモール;NSAID、例えばジクロフェナク、ナブメトン、ナプロキセンまたはイブプロフェン;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;DMARD、例えばメトトレキサート;ナトリウムチャンネル遮断剤、例えばラモトリジン;N−型カルシウムチャンネルアンタゴニスト;NMDA受容体モジュレーター、例えばグリシン受容体アンタゴニスト;ガバペンチン、プレガバリンおよび関連化合物;三環式抗鬱剤、例えばアミトリプチリン;ニューロン安定化抗癲癇剤;モノ−アミン作動性再取り込み阻害剤、例えばペンラファクシン;オピオイド鎮痛剤;局所麻酔剤;5HTアゴニスト、例えばトリプタン、例えばスマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタンまたはリザトリプタン;EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EP1アンタゴニスト;EPアンタゴニストおよびEPアンタゴニスト;カンナビノイド受容体アゴニスト;VR1アンタゴニストと組み合わせて用いることができる。化合物が他の治療剤と組み合わせて用いられる場合、化合物は、いずれもの有利な経路で、別個に、または同時に投与することができる。
【0055】
かくして、本発明は、さらなる具体例において、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体とさらなる治療剤を一緒に含む組み合わせを提供する。
【0056】
上記の組み合わせは、有利には、医薬処方の形態で用いるために提供することができ、かくして、上記した組み合わせと医薬上許容される担体または賦形剤を一緒に含む医薬組成物は、本発明のさらなる態様に含まれる。かかる組み合わせの個々の成分は、別個に連続してまたは同時に投与することができ、あるいは医薬処方に組み合わせてもよい。
【0057】
式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体が、同じ疾患に活性な第2の治療剤と組み合わせて用いられる場合、個々の化合物の投与量は、化合物を単独で用いる場合と異なっていてもよい。適当な投与量は、当業者により容易に明らかにされるだろう。
【0058】
ヒトの治療に関して、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の推奨される1日あたりの投与量は、遊離酸として計算して、0.001〜30mg/kg体重/日、より具体的には0.1〜3mg/kg体重/日であり、これは一回で、または1日1〜4回にわけて投与することもできる。成人のヒトの投与量の範囲は、遊離酸として計算して、一般的に、0.1〜1000mg/日、例えば10〜800mg/日、好ましくは10〜200mg/日である。
【0059】
ホスト、特にヒト患者に投与される式(I)で示される化合物の正確な量は、主治医の責務となるであろう。しかしながら、適用量は、患者の年齢および性別、治療する正確な症状およびその重症度、投与経路、および為されうる可能性ある組み合わせ療法に依存するだろう。
【0060】
本発明はまた、式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体の製造方法を提供する。
【0061】
かくして、本発明の一の具体例において、XおよびYの一方がC=Oであり、他方がCHであり、R、RおよびRが式(I)の記載と同意義である式(I)で示される化合物の製造方法であって、式(II):
【化2】

[式中、XおよびYの一方がC=Oであり、他方がCHであり;R、RおよびRは式(I)の記載と同意義であり;RはC1−6アルキルである]
で示される化合物を、適当な塩基、例えば水酸化ナトリウムと反応させること;
その後、任意に、形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成すること、および/または他の式(I)で示される化合物に変換すること;
を含む方法を提供する。
【0062】
他の具体例において、式(II)で示される化合物を含む上記反応を、適当な溶媒、例えばエタノール中、還流温度下で行う。
【0063】
本発明の他の具体例において、XおよびYがC=Oであり、R、RおよびRが式(I)の記載と同意義である式(I)で示される化合物の製造方法であって、式(III):
【化3】

[式中、R、RおよびRは式(I)の記載と同意義であり;RはC1−6アルキルである]
で示される化合物を、適当な酸またはその混合物、例えば氷酢酸に加え、その後、任意に、形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成すること、および/または他の式(I)で示される化合物に変換すること;
を含む方法を提供する。
【0064】
一の具体例において、式(III)で示される化合物を含む上記反応を、約50〜110℃の温度範囲で、約2〜70時間で行う。一の具体例において、反応混合物中の酸、例えば塩酸に対する氷酢酸のモル比は、1:1である。
【0065】
式(II)および(III)で示される化合物は、下記スキーム1に従って調製することができる:
【化4】

【0066】
(i)R’−Br、KCO、(CHCO;(ii)R’’−Br、KCO、(CHCO;(iii)NaOH、EtOH/HO;(iv)CHCOH;(v)Pd/C、H、EtOHまたはBBr、CHCl;(vi)CClFCONa、NaCO、DMF;またはCHClF、KCO、KI、DMF;(vii)NaOH、EtOHまたはHCl、CHCOH;(viii)NaBH、MeOHまたはEtOH、ついで、TFA、EtSiH;(ここに、R’およびR’’が同じであっても異なっていてもよく、適当な保護基、例えば−CHPhを意味するか、あるいはR’およびR’’の一方は適当な保護基を意味し、他方はRまたはRを意味する)。
【0067】
化合物(1)は、国際特許出願公開番号WO02/064564に記載の方法に従って調製することができる。
【0068】
がFであり、Rが式(II)および(III)の記載と同意義である式(4)で示される化合物は、下記スキーム2および3に従って調製することができる:
【化5】

(i)NaH、乾燥DMF;(ii)NHCOH、EtOH、Pd/C。
【化6】

(i)NaOH、乾燥DMF;(ii)NHCOH、EtOH、Pd/C;(iii)NaOH、HO、EtOH。
【0069】
がBrまたはClであり、Rが式(II)および(III)の記載と同意義である式(4)で示される化合物は、下記スキーム4の方法に従って調製することができる:
【化7】

(i)N−クロロスクシニミドまたはN−ブロモスクシニミド。
【0070】
式(A)で示される化合物は、市販されているか、当該分野で公知の方法に従って調製することができる(例えば、3,4−ジフルオロニトロベンゼンは、Sigma−Aldrich Co.Ltd.から販売されている)。
式(B)で示される化合物は、市販されているか、当該分野で公知の方法に従って調製することができる(例えば、ベンジル エチル マロネートは、Sigma−Aldrich Co.Ltd.から販売されている)。
式(D)で示される化合物は、市販されているか、当該分野で公知の方法に従って調製することができる(例えば、ジエチルクロロマロネートはSigma−Aldrich Co.Ltdから販売されている)。
式(E)で示される化合物は、市販されているか、当該分野で公知の方法に従って調製することができる(例えば、4−アミノフェニル酢酸エチルは、Avocado Researchから販売されている)。
【0071】
本発明の他の具体例において、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の製造方法であって、式(IV):
【化8】

[式中、RおよびRは式(I)の記載と同意義である]
で示される化合物を、式(V):
【化9】

[式中、Rは式(I)の記載と同意義であり、R’はHまたはC1−6アルキルである]
で示される化合物と反応させ、その後、任意に、形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成すること、および/または他の式(I)で示される化合物に変換すること;
を含む方法を提供する。
【0072】
本発明の他の具体例において、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の製造方法であって、式(VI):
【化10】

[式中、RおよびRは式(I)の記載と同意義である]
で示される化合物を、式(V):
【化11】

[式中、Rは式(I)の記載と同意義であり、R’はHまたはC1−6アルキルである]
で示される化合物と反応させ、その後、任意に、形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成すること、および/または他の式(I)で示される化合物に変換すること;
を含む方法を提供する。
【0073】
式(IV)、(V)および(VI)で示される化合物は、市販されているか、あるいは、当該分野で公知の方法に従って調製することができる。
【0074】
以下の記載例および実施例で、本発明の化合物の製造方法を説明する。記載例は、中間体化合物を示す。
【0075】
略語
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOH エタノール
LC/MS 液体クロマトグラフィー/質量分析
MDAP 質量指向自動精製
MeOH メタノール
TFA トリフルオロ酢酸
【0076】
分析方法
LC/MS
カラム
Waters Atlantis(4.6mm×50mm)、固定相粒度3μm
溶媒
A:水性溶媒=水+0.05%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.05%ギ酸
方法

・ 流速、3ml/分
・ 注入容量、5μl
・ カラム温度、30℃
・ UV検出範囲、220〜330nm
すべての保持時間は、分で測定した。
【0077】
NMR
H NMRスペクトルは、Bruker AVANCE400 NMRスペクトロメーターまたはBruker DPX250 NMRスペクトロメーターで記録した。化学シフトは、百万分の一単位で表す(ppm、δユニット)。カップリング定数(J)は、ヘルツ(Hz)の単位で表す。分裂パターンは、見かけの多重度で記載し、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、dd(ダブルダブレット)、ddd(ダブル、ダブルダブレット)、dt(ダブルトリプレット)、m(マルチプレット)、br(ブロード)として記載する。
【0078】
精製方法
実施例の精製は、慣用的な方法、例えばクロマトグラフィー法および/または適当な溶媒を用いる再結晶法で行うことができる。クロマトグラフィー法は、カラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、SFC(超臨界流体クロマトグラフィー)、およびMDAP(質量指向自動精製)を含む。
本明細書で用いられる場合、「Biotage」なる語は、市販のプレパックシリカゲルカードリッジを意味する。
【0079】
質量指向自動精製(MDAP)
カラム
Waters Atlantis:19mm×100mm(小規模);および30mm×100mm(大規模)
固定相粒度、5μm
溶媒
A:水性溶媒=水+0.1%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.1%ギ酸
メイクアップ溶媒=メタノール:水 80:20
針洗浄溶媒=メタノール
方法
5つの方法を、目的の化合物の分析保持時間に応じて用いた:
(1)大/小規模1.0〜1.5=5〜30%B
(2)大/小規模1.5〜2.2=15〜55%B
(3)大/小規模2.2〜2.9=30〜85%B
(4)大/小規模2.9〜3.6=50〜99%B
ランタイム、13.5分:10分勾配、ついで、3.5分カラムフラッシュおよび再平衡工程を含む。
(5)大/小規模3.6〜5.0=80〜99%B
ランタイム、13.5分:6分勾配、ついで、7.5分カラムフラッシュおよび再平衡工程を含む。
流速
20ml/分(小規模)または40ml/分(大規模)
【0080】
HPLC精製システムの仕様:
カラム:Supelco LCABZ++、100mm×20mmID、粒度5μm
流速:20ml/分
注入量:0.5ml
温度:室温
溶媒:A−水性溶媒=水+0.1%ギ酸;B−有機溶媒=MeCN/水95:5+0.05%ギ酸
ランタイム:9分勾配、ついで、5分カラム洗浄および再平衡
勾配:30〜80%B
【0081】
SFC(超臨界流体クロマトグラフィー)
カラム:Chiralcel OD−HS.F.C.(250mm×21.2mm ID;5ミクロン粒度)または
エチル−ピリジンカラム(150mm長×21.2mm ID;6ミクロン粒度)または
Chiralpak AD(355および438)(250mm長×21.2mm ID;10ミクロン粒度)
移動相:A=二酸化炭素(超臨界)
B=メタノール
A:B(70:30〜85:15w/w定組成)
流速:39.4g/分(=約50mL/分)
温度:40℃
背圧:100bar
検出:215nmでのU.V.吸光度
ランタイム:25分または20分
試料濃度:ジメチルホルムアミド中100mg/mL
注入量:可変
【0082】
HPLC精製1
固定相:Chiralcel OD(250mm長×21.2mm ID;10ミクロン粒度)
移動相:ヘプタン:エタノール(50:50v/v定組成〜90:10v/v定組成の範囲)
320=50:50v/v
353=70:30v/v
354=90:10v/v
356=70:30v/v
流速:17mL/分
温度:室温
検出:215nmでのU.V.吸光度
注入量:0.9mL
【0083】
HPLC精製2
カラム:Phenomenex Luna C18(2)(50mm×21.2mm ID;10ミクロン粒度)
移動相:A=アセトニトリル+0.1%v/vトリフルオロ酢酸
B=水+0.1%v/vトリフルオロ酢酸
(勾配および定組成法)
流速:約20mL/分
温度:室温
検出:215nmでのU.V.吸光度(0nmバンド幅)
試料濃度:ジメチルホルムアミド中100mg/mL
注入量:可変
ID=内径
【0084】
記載例1
1,4−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル
【化12】

臭化ベンジル(2.95ml、24.7mmol)を、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル(3g、9.87mmol)および炭酸カリウム(3.40g、24.7mmol)のアセトン(100ml)中撹拌溶液に加えた。反応混合物を18時間アルゴン雰囲気下で還流した。得られた混合物を蒸発させ、反応混合物を水でトリチュレートした。得られた黄褐色固体を濾過により回収し、水で洗浄し、ついで、減圧下で乾燥して、標題化合物を得た(5.23g、10.8mmol)。LC/MS:Rt=4.13、[MH]485
【0085】
記載例2
1,4−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸
【化13】

1,4−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル(4.78g、9.88mmol)、エタノール(75ml)、および2N水酸化ナトリウム水溶液(75ml)の混合物を2時間還流した。反応混合物を冷却し、蒸発させた。これをHCl(2N)で酸性化し、残ったクリーム色固体を濾過により回収し、水で洗浄した。これを減圧下で乾燥して、標題化合物を得た(3.79g、8.86mmol)。LC/MS:Rt=3.15、[MH]427
【0086】
記載例3
エチル フェニルメチル (2−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパンジオアート
【化14】

水素化ナトリウム(504mg、12.6mmol)を、ベンジル エチル マロナート(2.9g、12.6mmol)の乾燥DMF(20ml)中氷浴冷却溶液に部分的に加え、10分間撹拌した。室温にて3,4−ジフルオロニトロベンゼン(2g、12.6mmol)を加え、アルゴン雰囲気下で撹拌した。100℃で20時間加熱した。反応混合物を冷却し、2N塩酸(75ml)および酢酸エチル(75ml)間で分配した。水層を酢酸エチル(2×75ml)で抽出し、合した有機物を蒸発させて黄色油を得た。酢酸エチル/ヘキサン(1:4)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を黄色油として得た(3.86g、10.6mmol)。LC/MS:Rt=3.40、[MH]362。
【0087】
適当な出発物質を用いて、エチル フェニルメチル (2−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパンジオアートと同様の方法で下記化合物を調製した。
【表1】

【0088】
記載例4
(4−アミノ−2−フルオロフェニル)酢酸エチル
【化15】

エタノール中に溶解したエチル フェニルメチル (2−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパンジオアート(3.86g、10.6mmol)を、ギ酸アンモニウム(6.7g、10.6mmol)で処理し、炭素担持パラジウム10%ペースト(380mg)を、アルゴン雰囲気下で加えた。反応混合物を3時間還流し、冷却し、濾過した。蒸発させ、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を黄色油として得た(1.26g)。LC/MS:Rt=2.10、[MH]198
【0089】
適当な出発物質を用いて、(4−アミノ−2−フルオロフェニル)酢酸エチルと同様の方法で下記化合物を調製した。
【表2】

【0090】
記載例5
(4−アミノ−3−クロロフェニル)酢酸エチル
【化16】

4−アミノフェニル酢酸エチル(20g、112mmol)をクロロホルム(300ml)に溶解し、N−クロロスクシニミド(14.92g、112mmol)で処理し、15分間、室温、アルゴン雰囲気下で撹拌した。反応混合物を水、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。蒸発させて、褐色油を得、これを、ヘキサン中酢酸エチル(0〜45%)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を橙色油として得た(10.12g、47.4mmol)。LC/MS:Rt=2.59、[MH]214
【0091】
記載例6
(4−{1,3−ジオキソ−4,9−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル
【化17】

1,4−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸(2.0g、4.67mmol)および(4−アミノフェニル)酢酸エチル(1.67g、9.35mmol)の混合物を、120℃に、酢酸(30ml)中で、2時間加熱した。混合物を室温にて一晩静置して固体化した。水を加え、固体を濾過により回収し、水で洗浄した。これを減圧下で乾燥して、標題化合物を得た(2.65g、4.64mmol)。LC/MS:Rt=4.24、[MH]572
【0092】
適当な出発物質を用いて、(4−{1,3−ジオキソ−4,9−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチルと同様の方法で下記化合物を調製した。
【表3】

【0093】
記載例7
[4−(4,9−ジヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチル
【化18】

10%炭素担持パラジウム(0.265g)をエタノール(250ml)中に懸濁し、これに(4−{1,3−ジオキソ−4,9−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(2.65g、4.64mmol)を加えた。反応物を、室温にて水素雰囲気下、3時間撹拌した。これを、アルゴン雰囲気下、セライトのパッドで濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を蒸発させて、黄褐色固体を得た(1.52g、3.89mmol)。LC/MS:Rt=3.25、[MH]392
【0094】
適当な出発物質を用いて、[4−(4,9−ジヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチルと同様の方法で下記化合物を調製した。
【表4】

【0095】
記載例8
[3−クロロ−4−(4,9−ジヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチル
【化19】

(3−クロロ−4−{1,3−ジオキソ−4,9−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(0.505g、0.84mmol)のDCM(30ml)中の−78℃に冷却した溶液に、アルゴン雰囲気下で、三臭化ホウ素(0.24ml、2.50mmol)を滴下した。−78℃で25分間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、室温で加温した。これを疎水性フリットを用いるDCMで2回抽出した。有機相を蒸発させて、橙色固体を得た。DCMで熱トリチュレートして黄色固体を得、これを濾過により回収した(0.189g、0.44mmol)。濾液を、ヘキサン中酢酸エチル(0〜70%)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を黄色固体として得た(0.035g、0.082mmol)。LC/MS:Rt=3.22、[MH]426
【0096】
記載例9
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル
【化20】

[4−(4,9−ジヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチル(0.200g、0.51mmol)のジメチルホルムアミド(7ml)中の溶液に、炭酸ナトリウム(0.163g、1.53mmol)、ついで、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム(0.233g、1.53mmol)を加えた。混合物を100℃に2.5時間加熱した。さらに炭酸ナトリウム(0.054g、0.51mmol)およびクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(0.078g、0.51mmol)を加え、1時間加熱を続け、同量を再び加え、さらに30分間加熱を続けた。混合物を室温に冷却し、水を加えた。得られた褐色固体を濾過により回収し、水で洗浄した。これを、ヘキサン中酢酸エチル(0〜30%)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を白色固体として得た(0.032g、0.065mmol)。LC/MS:Rt=3.61、[MH]492
【0097】
適当な出発物質を用いて、(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチルと同様の方法で下記化合物を調製した。
【表5】

【0098】
実施例1
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸
【化21】

(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(0.03g、0.061mmol)を、酢酸:2N塩酸(4ml)の1:1混合物中、100℃に2時間加熱した。反応物を室温に冷却した。水を添加し、得られた白色固体を濾過により回収し、水で洗浄した。これをMDAPにより精製して、所望の生成物を得た(0.017g、0.037mmol)。LC/MS:Rt=3.28、[MH]464
【0099】
適当な出発物質を用いて、(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸と同様の方法で下記化合物を調製した。
【表6】

【0100】
記載例10
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸
【化22】

(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸(0.041g、0.085mmol)のエタノール(2ml)およびテトラヒドロフラン(4ml)中溶液に、ボロヒドリドナトリウム(0.019g、0.51mmol)を加えた。これを0℃で5分間撹拌した。混合物を蒸発させ、ついで、飽和塩化アンモニウム溶液で、混合物がpH7になるまでクエンチした。これを酢酸エチルで2回抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させて、粗生成物を得た(0.035g、0.072mmol)。LC/MS:Rt=2.88、[MH]484
【0101】
適当な出発物質を用いて、(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸と同様の方法で下記化合物を調製した。
【表7】

【0102】
実施例5
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸
【化23】

(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸(0.035g、0.072mmol)のトリフルオロ酢酸(2ml)中の0℃に冷却した溶液に、トリエチルシラン(0.019ml、0.110mmol)を加えた。0℃で5分間撹拌を続け、ついで、混合物を蒸発させた。粗混合物をMDAPを用いて精製した。透明なフラクションを蒸発させて、標題化合物を得た(0.015g、0.033mmol)。LC/MS:Rt=3.15、[MH]468
【0103】
適当な出発物質を用いて、(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸と同様の方法で下記化合物を調製した。
【表8】

【0104】
記載例11
1−(エチルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル
【化24】

ブロモエタン(0.359g、3.29mmol)を、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル(1g、3.29mmol)および炭酸カリウム(0.454g、3.29mmol)のアセトン(25ml)中撹拌溶液に加えた。反応混合物を、24時間アルゴン雰囲気下で還流した。得られた混合物を蒸発させ、残渣を酢酸エチルおよび水間で2回分配した。合した有機物を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。橙色油を、ヘキサン中酢酸エチル(0〜10%)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して標題化合物を透明油として得た(0.661g、1.99mmol)。LC/MS:Rt=3.63、[MH]331
【0105】
適当な出発物質を用いて、1−(エチルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチルと同様の方法で下記化合物を調製した。
【表9】

【0106】
記載例12
1−(エチルオキシ)−4−[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル
【化25】

臭化ベンジル(1.32ml、11.1mmol)を、1−(エチルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル(2.45g、7.38mmol)および炭酸カリウム(1.53g、11.1mmol)のアセトン(50ml)中の撹拌溶液に加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間還流した。得られた混合物を蒸発させ、残渣を酢酸エチルおよびブライン間で2回分配した。合した有機物を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。透明な油を、ヘキサン中酢酸エチル(0〜40%)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を透明油として得た(3.05g、7.23mmol)。LC/MS:Rt=3.77、[MH]423
【0107】
適当な出発物質を用いて、1−(エチルオキシ)−4−[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチルと同様の方法で下記化合物を調製した。
【表10】

【0108】
記載例13
1−(エチルオキシ)−4−[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸
【化26】

1−(エチルオキシ)−4−[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル(3.05g、7.23mmol)、エタノール(30ml)、および2N水酸化ナトリウム水溶液(35ml)の混合物を3時間還流した。反応混合物を冷却し、蒸発させた。これをHCl(2N)で酸性化し、酢酸エチルで2回抽出した。合した有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させて、標題化合物を白色固体として得た(2.55g、6.97mmol)。LC/MS:Rt=2.76、[MH]365
【0109】
適当な出発物質を用いて、1−(エチルオキシ)−4−[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸と同様の方法で下記化合物を調製した。
【表11】

【0110】
記載例14
(4−{4−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−9−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル
【化27】

1−(エチルオキシ)−4−[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸(2.55g、6.97mmol)および(4−アミノフェニル)酢酸エチル(2.49g、13.9mmol)の混合物を、酢酸(20ml)中120℃で18時間加熱した。反応混合物をブラインで希釈し、酢酸エチルで2回抽出した。合した有機物を水で洗浄し、ついで、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させて、褐色油を得た。これを、ヘキサン中酢酸エチル(0〜30%)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を桃色固体として得た(2.63g、5.17mmol)。LC/MS:Rt=3.95、[MH]510
【0111】
適当な出発物質を用い、ある場合にはMDAPを用いて(*で示す)、(4−{4−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−9−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチルと同様の方法で下記化合物を調製した
【表12−1】

【表12−2】

【表12−3】

【0112】
記載例15
(4−{4−ヒドロキシ−9−[メチルエトキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル
【化28】

10%炭素担持パラジウム(0.365g)をエタノール(500ml)中に懸濁させ、これに、(4−{4−[メチルエトキシ]−1,3−ジオキソ−9−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(3.65g、6.98mmol)を加えた。反応物を、水素雰囲気下室温にて3時間撹拌した。これを、アルゴン雰囲気下、セライトのベッドで濾過し、エタノールおよびジクロロメタンで洗浄した。濾液を蒸発させて、橙色固体を得た(3.05g、7.04mmol)。LC/MS:Rt=3.72、[MH]434
【0113】
適当な出発物質を用いて、(4−{4−ヒドロキシ−9−[メチルエトキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチルと同様の方法で下記化合物を調製した。
【表13−1】

【表13−2】

【0114】
記載例16
{3−クロロ−4−[4−(エチルオキシ)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2イル]フェニル}酢酸エチル
【化29】

(3−クロロ−4−{4−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−9−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(1.75g、3.22mmol)のDCM(40ml)の−78℃に冷却した溶液に、アルゴン雰囲気下、三臭化ホウ素(0.31ml、3.22mmol)を滴下した。−78℃で12分間撹拌した。さらに三臭化ホウ素(0.31ml、3.22mmol)を滴下した。反応混合物を水でクエンチし、室温に加温した。これを、疎水性フリットを用いるDCMで2回抽出した。有機相を蒸発させて、黄色固体を得た。これを、ヘキサン中酢酸エチル(0〜60%)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を橙色油状固体として得た(0.920g、2.03mmol)。LC/MS:Rt=3.65、[MH]454
【0115】
適当な出発物質を用いて、{3−クロロ−4−[4−(エチルオキシ)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチルと同様の方法で下記化合物を調製した。
【表14】

【0116】
記載例17
(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[メチルエトキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル
【化30】

(4−{4−ヒドロキシ−9−[メチルエトキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(0.25g、0.577mmol)のジメチルホルムアミド(10ml)中の溶液に、炭酸カリウム(0.120g、0.866mmol)、ついで、ヨウ化カリウム(0.048g、0.289mmol)を加えた。クロロ(ジフルオロ)メタンを、80℃で2時間溶液に通気した。通気を止め、25時間加熱し続けた。冷却した混合物を酢酸エチルおよびブライン間で2回分配し、合した有機物を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて、黄色油を得た。これを、ヘキサン中の酢酸エチル(0〜30%)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を白色固体として得た(0.142g、0.294mmol)。LC/MS:Rt=3.82、[MH]484
【0117】
記載例18
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(メチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル
【化31】

{4−[4−ヒドロキシ−9−(メチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(0.700g、1.73mmol)のジメチルホルムアミド(25ml)中の溶液に、炭酸ナトリウム(0.220g、2.07mmol)、ついで、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム(0.315g、2.07mmol)を加えた。混合物を100℃に1.5時間加熱した。さらに、炭酸ナトリウム(0.220g、2.07mmol)およびクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(0.315g、2.07mmol)を加え、2時間加熱を続け、同量を再び加えた。混合物を室温に冷却し、水を加えた。得られたベージュの固体を濾過により回収し、水で洗浄した。これを減圧下で乾燥した(0.680g、1.49mmol)。LC/MS:Rt=3.62、[MH]456
【0118】
適当な出発物質を用いて、{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(メチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチルと同様の方法を用いて下記化合物を調製した。
【表15−1】


【表15−2】

【表15−3】

【0119】
実施例8
(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸
【化32】

(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(0.14g、0.289mmol)を、酢酸:2N塩酸(8ml)の1:1混合物中100℃で1時間加熱した。反応溶液を室温に冷却した。水を添加し、得られた白色固体を濾過により回収し、水で洗浄した。これを減圧下で乾燥して、標題化合物を得た(0.120g、0.026mmol)。LC/MS:Rt=3.36、[MH]456
【0120】
適当な出発物質を用いて、(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸と同様の方法で下記化合物を調製した。
【表16−1】

【表16−2】

【表16−3】

【0121】
記載例19
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−ヒドロキシ−9−(メチルオキシ)−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチルおよび{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−3−ヒドロキシ−9−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル
【化33】

{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(メチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(0.455g、1.00mmol)のエタノール(4ml)およびテトラヒドロフラン(8ml)中の溶液に、ボロヒドリドナトリウム(0.114g、3.0mmol)を部分的に加えた。反応溶液を1時間撹拌し、さらに、ボロヒドリドナトリウム(0.114g、3.0mmol)を加え、室温にて1時間撹拌を続けた。混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、ついで、蒸発させた。これを酢酸エチルで2回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させて、粗生成物を得た(0.515g、1.13mmol)。LC/MS:Rt=3.21&3.26、[MH]457.97
【0122】
適当な出発物質を用いて、{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−ヒドロキシ−9−(メチルオキシ)−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチルおよび{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−3−ヒドロキシ−9−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチルと同様の方法で下記化合物を調製した。
【表17−1】

【表17−2】

【表17−3】

【表17−4】

【0123】
記載例20
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチルおよび{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル
【化34】

{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−3−ヒドロキシ−9−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチルおよび{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−ヒドロキシ−9−(メチルオキシ)−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(0.457g、1.00mmol)のトリフルオロ酢酸(5ml)中の0℃に冷却した溶液に、トリエチルシラン(0.089ml、0.561mmol)を加えた。0℃で15分間撹拌し続け、ついで、混合物を蒸発させた。粗混合物を、ヘキサン中酢酸エチル(0〜30%)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。ついで、異性体を超臨界流体クロマトグラフィーを用いて分割した。
【0124】
{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(0.036g、0.082mmol)。LC/MS:Rt=3.75、[MH]442
【化35】

【0125】
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(0.036g、0.082mmol)。LC/MS:Rt=3.60、[MH]442
【化36】

【0126】
適当な出発物質を用い、異性体を高速液体クロマトグラフィーまたは超臨界流体クロマトグラフィーにより分割して、{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチルおよび{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチルと同様の方法で下記化合物を調製した。
【表18−1】

【表18−2】

【表18−3】

【0127】
実施例20
{3−クロロ−4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸
【化37】

{3−クロロ−4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(0.141g、0.288mmol)を、2N水酸化ナトリウム:エタノール(6ml)の1:1混合物中で1.5時間加熱還流した。反応溶液を室温に冷却した。エタノールを蒸発させ、混合物を2Nの塩酸で酸性化した。得られた白色固体を濾過により回収し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して、標題化合物を得た(0.125g、0.271mmol)。LC/MS:Rt=3.19、[MH]462
【0128】
適当な出発物質を用いて、{3−クロロ−4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸と同様の方法で下記化合物を調製した。いくつかの化合物は、酢酸エチル抽出、ついで、MDAPによる精製(*により示す)、またはジエチルエーテルでのトリチュレーションによる精製(#により示す)で、別に水溶液を処理した。
【表19−1】

【表19−2】

【表19−3】

【表19−4】


【表19−5】

【0129】
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸[実施例25]は、また、有利には、下記の位置選択的方法を用いて調製できる。
【0130】
記載例21
{4−[9−(エチルオキシ)−4−ヒドロキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル
【化38】

{4−[4−(エチルオキシ)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル(2.50g、5.72mmol)のTHF(50ml)中溶液に、アルゴン雰囲気下、ボロヒドリドナトリウム(0.217g、5.72mmol)、ついで、ボラン−THF複合体溶液(THF中1.0M、5.72ml、5.72mmol)を加えた。これを室温にて2時間撹拌した。さらに、5.72mmolのボロヒドリドナトリウムおよびボラン−THF複合体を反応混合物に加え、撹拌を2時間続けた。最後に、さらに、2.86mmolボロヒドリドナトリウムおよびボラン−THF複合体を加え、反応が完了するまで1.5時間撹拌を続けた。これを酢酸エチル(100ml)およびメタノール(3ml)でクエンチし、ついで、2NのHCl(100ml)で洗浄した。水層を酢酸エチル(200ml)で再び抽出した。合した有機物をブライン(200ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、標題化合物を淡黄色固体として得た(2.45g、5.79mmol)。
LC/MS:Rt=3.04、[MH]424
【0131】
記載例22
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル
【化39】

{4−[9−(エチルオキシ)−4−ヒドロキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル(2.40g、5.67mmol)のDMF(30ml)中溶液に、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム(1.72g、11.34mmol)および炭酸ナトリウム(1.20g、11.34mmol)を加えた。混合物を100℃に3時間加熱した。さらに、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム(1.72g、11.34mmol)を加え、1.5時間加熱を続け、同量を再び加え、加熱を30分間続けた。混合物を室温に冷却し、酢酸エチルおよび水間で分配した。合した有機物を水×3およびブラインで洗浄した。これを硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、褐色油を得た。これを、ヘキサン中酢酸エチル(5〜40%)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を黄色固体として得た(0.60g、1.27mmol)。
LC/MS:Rt=3.49、[MH]474
【0132】
実施例25
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸
【化40】

{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル(0.60g、1.27mmol)を、酢酸:2N塩酸(20ml)の1:1混合物中、100℃で50分間加熱した。反応液を室温に冷却した。水を加え、得られた白色固体を濾過により回収し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して、標題化合物を得た(0.516g、1.09mmol)。
LC/MS:Rt=3.13、[MH]446
H−NMR(DMSO)δ8.42(1H,ddd,J=8.4,1.1,0.6Hz),δ8.12(1H,d,J=8.5Hz),δ7.84(1H,ddd,J=8.2,6.9,1.3Hz),δ7.74(1H,ddd,J=8.4,6.8,1.2Hz),δ7.63(1H,t,J=8.1Hz),δ7.32(1H,dd,11.5,1.9Hz),δ7.22(1H,dd,8.1,1.8Hz),δ7.30(1H,t,73.6Hz),δ5.06(2H,s),δ4.50(2H,q,J=7.0Hz),δ3.67(2H,s),δ1.44(3H,t,7.0Hz)
【0133】
生物学的データ
試験を、組み換えヒトプロスタノイドEP受容体(HEK−EP細胞)を発現するHEK−293(T)細胞を用いて行った。細胞を、glutamax II(Gibco)を含有し、10%ウシ胎児血清および0.4mg/mlのG418を補足したDMEM−F12/F12中の単層培養として増殖させた。HEK−EP細胞を、処理の24時間30分前に10μMのインドメタシンで予備処理し、10μMのインドメタシンを含有するヴェルセン(Versene)を用いて採取した。細胞を、アッセイ緩衝液(DMEM:F12、10μMのインドメタシンおよび200μMのIBMX)に、1×10細胞/mlで再懸濁し、20分間、37℃でインキュベートした。その後、50μlの細胞を50ulアゴニスト(式(I)で示される化合物)に加え、37℃で4分間インキュベートし、ついで、100μlの1%トリトンX−100で反応を停止した。細胞溶解物中のcAMPを、競合結合アッセイを用いて測定した。このアッセイにおいて、細胞溶解物の、蛋白質キナーゼAの結合サブユニットへの3H−cAMP(Amersham)の結合を阻害する能力を測定し、cAMPレベルを標準曲線から計算した。個々の化合物に関するデータは、10nMの最大濃度の標準アゴニストPGE2に対する応答の%ととして表した。個々の化合物に関して、化合物の最大応答およびその最大応答の50%を引き起こす濃度を計算した。固有活性は、PGE2に対する最大応答と比較して表す。特記しない限り、試薬はSigmaから市販品を購入した。
【0134】
本発明の実施例を上記したアッセイで試験し、これらは6.1またはそれ以上のpEC50値を示した。かる種の化合物は7またはそれ以上のpEC50を示し、50%またはそれ以上の固有活性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
およびRは、独立して、C1−4アルキルまたはジフルオロメチルである:ただし、RおよびRの少なくとも1個はジフルオロメチルであり;
は、H、F、ClまたはBrであり;
XおよびYは、独立して、C=OまたはCHである:ただし、XおよびYの少なくとも1つはC=Oである]
で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項2】
およびRの一方がC1−4アルキルであり、他方がジフルオロメチルである、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項3】
およびRの両方がジフルオロメチルである、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項4】
XおよびYの両方がC=Oである、請求項1〜3いずれか1項記載の式(I)で示される化合物。
【請求項5】
がH、FまたはClである、請求項1〜4いずれか1項記載の式(I)で示される化合物。
【請求項6】
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−2−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−2−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(メチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{3−クロロ−4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−2−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−9−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{3−クロロ−4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−9−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−9−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−2−フルオロフェニル}酢酸;
(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸;
(3−クロロ−4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−2−フルオロフェニル)酢酸;
{3−クロロ−4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{3−クロロ−4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(メチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−2−フルオロフェニル}酢酸;
4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−2−フルオロフェニル}酢酸;
{3−クロロ−4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−9−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−4−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−9−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−4−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−2−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−1−オキソ−9−(プロピルオキシ)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−2−フルオロフェニル}酢酸;
(3−クロロ−4−{9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−[(1−メチルエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(3−クロロ−4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−[(1−メチルエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{9−[(ジフルオロメチル)オキシ]−4−[(1−メチルエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−2−フルオロフェニル)酢酸;
(4−{4−[(ジフルオロメチル)オキシ]−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−2−フルオロフェニル)酢酸;
からなる群から選択される請求項1記載の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項7】
XおよびYの一方がC=Oであり、他方がCHであり、R、RおよびRが、請求項1の記載と同意義である請求項1記載の式(I)で示される化合物の製造方法であって、式(II):
【化2】

[式中、XおよびYの一方はC=Oであり、他方はCHであり;
、RおよびRは、上記請求項1の記載と同意義であり;
はC1−6アルキルである]
で示される化合物を、適当な塩基と反応させ、ついで、任意に、形成された化合物の医薬上許容される塩を形成すること、および/または他の式(I)で示される化合物に変換することを含む方法。
【請求項8】
XおよびYがC=Oであり、R、RおよびRが請求項1の記載と同意義である請求項1記載の式(I)で示される化合物の製造方法であって、式(III):
【化3】

[式中、R、RおよびRは、上記請求項1の記載と同意義であり;
はC1−6アルキルである]
で示される化合物を、適当な酸または酸の混合物に加え、その後、任意に、形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成すること、および/または他の式(I)で示される化合物に変換することを含む方法。
【請求項9】
ヒトまたは獣医用医薬において用いるための、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項10】
EP受容体とPGEの作用、または作用の喪失により介在される症状の治療において用いるための、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項11】
EP受容体とPGEの作用、または作用の喪失により介在される症状を患っているヒトまたは動物対象の治療方法であって、該対象に、有効量の請求項1記載の式(I)で示される化合物を投与することを含む方法。
【請求項12】
EP受容体とPGEの作用により介在される症状の治療用の医薬の製造における、請求項1記載の式(I)で示される化合物の使用。
【請求項13】
請求項1記載の式(I)で示される化合物および1個またはそれ以上の許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項14】
さらに1個またはそれ以上の治療剤を含む、請求項13記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2010−517925(P2010−517925A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552808(P2008−552808)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050991
【国際公開番号】WO2007/088189
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】