説明

癌および線維性疾患を治療する化合物、組成物、および方法

本発明は、ENDO180ポリペプチドに特異的に結合し、それによって内部移行される抗体またはその抗原結合断片と、該分子を含むコンジュゲートと、該抗体およびコンジュゲートを含む組成物と、細胞増殖性の疾病または疾患、および線維症を治療するため、ならびに腫瘍の進行を制御(調節)するために、細胞の表面上でENDO180ポリペプチドを発現する細胞に治療薬を送達するためにそれらを使用する方法と、を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年3月23日に出願された米国仮特許出願番号第61/162348号の優先権を主張するものであり、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ENDO180ポリペプチドを標的とし、それによって内部移行される分子と、該分子を含むコンジュゲートと、該分子およびコンジュゲートを含む組成物と、細胞増殖性の疾病または疾患、および線維症を治療するため、ならびに腫瘍の進行を制御(調節)するために、細胞の表面上でENDO180ポリペプチドを発現する細胞に治療薬を送達するためにそれらを使用する方法と、に関する。

【背景技術】
【0003】
ENDO180受容体
CD280、uPARAP(ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体関連タンパク質)、およびマンノース受容体C2型(MRC2)としても知られるENDO180は、結合リガンドをエンドソームにおける分解へと誘導する、リサイクルされるエンドサイトーシス受容体である。それは、ウロキナーゼ型プラスミン活性化因子(uPA)およびウロキナーゼ型プラスミン活性化因子受容体(uPAR)との三重複合体の一部であるため、プラスミノーゲンからのプラスミンの産生に関与している。また、プラスミンは、細胞外マトリックス(ECM)の代謝回転、および潜在性TGF−βの活性形態へのタンパク質分解性転換の両方において、役割を果たすことが分かっている。
【0004】
プラスミンの産生における役割に加えて、三重複合体は、フィブリンに作用していくつかのコラーゲンに結合するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)プロ酵素の活性化、および細胞外マトリックスの全般的な代謝回転に関与することが明らかになった。この複合体はまた、細胞接着および信号伝達にも関与している(Bherendt el al,2000.JBC 275:1993−2002)。
【0005】
ENDO180は、細胞遊走、および細胞内分解のためのコラーゲンの取り込みを促進することによって、細胞運動性および細胞外マトリックスの再構築において機能する、リサイクルされるエンドサイトーシス受容体である(Niels.2004 Biol Chem.385(2):103−36;Kjoller et al,2004 Exp Cell Res.293(1):106−16;Wienke et al.,2007 Cancer Res.67(21):10230−40)。ENDO180は、マクロファージマンノース受容体ファミリーであるマンノース受容体、ホスホリパーゼA、およびDEC−205/MR6と相同性を共有する(Isacke et al.,1990 Mol. Cell.Biol.10:2606−2618;Sheikh et al.,2000,J.Cell.Sci.113:1021−1032;Behrendt et al.,2000,J.Biol.Chem.275:1993−2002)。このファミリーの分類は、システインに富むドメイン、フィブロネクチンII型ドメイン(FNII)、および8個または10個のC型レクチン様ドメイン(CTLD)が後に続くN末端シグナル配列を含む、大きな細胞外ドメイン、ならびに小さな膜貫通ドメインおよび細胞内ドメイン(全部で約66個のアミノ酸)といった、全体的な構造の保存に基づくものである。ファミリーとして、これらの受容体は、2つの顕著な特徴を有する:第1に、これらは大きなC型レクチンスーパーファミリーに属しているにもかかわらず、単一のポリペプチド骨格内に複数のCTLDを独自に含有する(Taylor M.E.,1997 Glycobiology 7:v−vii、McKay et al,1998,Eur.J.Immunol.28:4071−4083、Howard and Isacke,2002、上掲)。第2に、これらは、細胞の原形質膜と細胞間区画との間でリサイクルされる能力を共有する(Isacke et al,1990、上掲、Zvaritch et al.,1996,J.Biol.Chem.271:250−257)。ENDO180は、原形質膜から、後期エンドソーム/リソソーム区画までではなく、リサイクルエンドソームまで標的とされるという点で、マンノース受容体ファミリーの中でも特殊である(Howard and Isacke,2002、上掲)。
【0006】
ENDO180は、細胞表面上のクラスリンで覆われたピット(Isacke et al.,1990 Mol.Cell.Biol.10:2606−2618;Sheikh et al.,2000,J.Cell.Sci.113:1021−1032)、およびエンドソームにおいて局在化する。線維芽細胞、内皮細胞、およびマクロファージにおいて主に発現される。インサイツハイブリダイゼーションにより、高度に血管新生化された器官において、その発現が示された。ENDO180はまた、マウス胚の骨形成領域(Wu et al.,1996,J.Biol.Chem.271:21323−21330)、ならびに発達中の内軟骨性骨化および髄内骨化の部位の骨芽細胞および骨細胞(Engelholm et al.,2001,Trends Cardiovasc.Med.11:7−13)においても見出されている。
【0007】
以下の特許出版物もまた、ENDO180受容体に関する:米国特許第6,117,977号、米国特許第7,399,468号、第WO97/40154号、および第WO00/58473号。本発明の出願人に対するPCT特許出願公開番号第WO2004/100759号ならびに米国特許出願公開番号第2007/0072244号および第2009/0202566号(参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる)は、ヒトENDO180受容体の活性を調節することが可能な化合物を同定する方法に関する。
【0008】
抗体療法
癌および他の疾患を治療するための新しい治療法の探索は、受容体機能を阻害することが可能なヒトおよびヒト化抗体の開発をもたらした。国際特許出願公開第WO2006/023491号は、細胞を融合タンパク質−二重鎖RNA複合体と接触させることを含むRNA干渉の方法を提供しており、上記複合体は、対象となる二重鎖RNAを含有する二重鎖RNAセグメントと、抗体Fab断片−プロタミン融合タンパク質である融合タンパク質とを含む。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、細胞表面上のENDO180ポリペプチドに特異的に結合する単離された分子の同定に部分的に基づいている。いくつかの実施形態において、分子は、ENDO180ポリペプチドの細胞外ドメインに結合し、該ポリペプチドによって細胞に内部移行され、それによって、ENDO180ポリペプチドを発現する細胞への治療用および診断用カーゴの送達に有用なビヒクルを提供する。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、ENDO180ポリペプチドに特異的に結合する分子と、細胞内への治療薬の送達に有用な治療薬とを含むコンジュゲートを提供する。いくつかの実施形態において、ENDO180ポリペプチドは、配列番号1に記載される核酸配列と実質的に同一なポリヌクレオチドによってコードされる配列番号2に記載されるアミノ酸配列と実質的に同一である。
【0010】
一態様において、本発明は、細胞表面上のENDO180受容体に結合する、E3−8D8と命名されたハイブリドーマ細胞株(BCCM受託番号LMBP 7203CB)によって産生される抗ENDO180抗体、または該抗体の断片を提供する。いくつかの実施形態において、受容体に対する抗体の結合は、抗体の細胞への内部移行をもたらす。また、E3−8D8ハイブリドーマ細胞株も提供される。
【0011】
いくつかの実施形態において、抗体およびその断片は、ヒト化もしくはキメラ抗体、またはその断片である。
【0012】
本発明は、E3−8D8ハイブリドーマまたはそのヒト化分子、キメラ抗体またはその断片によって産生される、少なくとも1つの抗ENDO180抗体またはその断片と、担体とをともに含む組成物を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態において、単離された抗体は、完全長IgG、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、それらの重鎖および/または軽鎖の可変部分、Fabミニ抗体、ならびにscFvからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗体は、ENDO180に特異的に結合する能力を保持する、配列番号7に記載されるアミノ酸配列またはその変異体を有する重鎖CDR3ドメインを含む組換えポリペプチドである。いくつかの実施形態において、抗体は、ENDO180に特異的に結合する能力を保持する、配列番号8に記載されるアミノ酸配列またはその変異体を有する軽鎖CDR3ドメインをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、抗体は、ENDO180に特異的に結合する能力を保持する、配列番号6に記載されるアミノ酸配列またはその変異体を含むscFv組換えポリペプチドである。特定の実施形態において、ENDO180受容体に対する結合親和性を示し、配列番号7および8に記載されるCDR3ドメインを含む抗体は、該抗体が受容体に接触すると、受容体によってENDO180を発現する細胞に内部移行される。
【0015】
本発明は、上記の少なくとも1つの抗ENDO180抗体またはその断片と、放射性同位体、治療薬、細胞傷害性剤、または検出可能な標識を含む部分とを含む組成物をさらに提供する。いくつかの実施形態において、部分は、リンカーもしくは化学結合によって共有結合的に、または、イオン結合、ファンデルワールス結合、静電結合、もしくは水素結合によって非共有結合的に、抗体に付着している(または連結している、またはコンジュゲートしている)。
【0016】
いくつかの実施形態において、
a)ハイブリドーマ細胞株E3−8D8(BCCM受託番号LMBP 7203CB)によって産生されるモノクローナル抗体、
b)(a)の抗体と同じエピトープに結合する抗体またはその断片、
c)(a)または(b)のヒト化抗体、
d)配列番号6と実質的に同様であるポリペプチドを含む抗体の断片、および
e)配列番号7および8に記載されるアミノ酸配列と実質的に同様であるアミノ酸配列を有するCDR3を含む組換えポリペプチド、
から選択される、抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片が提供される。
【0017】
さらに、
a)ハイブリドーマ細胞株E3−8D8(BCCM受託番号LMBP 7203CB)によって産生されるモノクローナル抗体、
b)(a)の抗体と同じエピトープに結合する抗体またはその断片、
c)(a)または(b)のヒト化抗体、
d)配列番号6と実質的に同様であるポリペプチドを含む抗体の断片、および
e)配列番号7および8に記載されるアミノ酸配列と実質的に同様であるアミノ酸配列を有するCDR3を含む組換えポリペプチド、
から選択される、抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片を含む組成物が提供される
【0018】
いくつかの実施形態において、組成物は、放射性同位体、治療薬、細胞傷害性剤、または検出可能な標識を含む部分をさらに含む。
【0019】
また本発明は、
a)ハイブリドーマ細胞株E3−8D8(BCCM受託番号LMBP 7203CB)によって産生されるモノクローナル抗体、
b)(a)の抗体と同じエピトープに結合する抗体またはその断片、
c)(a)または(b)のヒト化抗体、
d)配列番号6と実質的に同様であるポリペプチドを含む抗体の断片、および
e)配列番号7および8に記載されるアミノ酸配列と実質的に同様であるアミノ酸配列を有するCDRを含む組換えポリペプチド、
から選択される、抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片を含む組成物を対象に投与することを含む、増殖性疾患に罹患する対象を治療する方法も提供する。
【0020】
いくつかの実施形態において、増殖性疾患は、固形腫瘍、造血器腫瘍、腫瘍転移、線維症、およびマクロファージ関連疾患から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態において、腫瘍は、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、造骨性/骨細胞癌、前立腺癌、頭頸部癌、白血病、腎細胞癌、または移行上皮癌である。
【0022】
いくつかの実施形態において、線維症は、肝線維症、骨髄線維症、任意の理由による腎線維症(末期腎疾患(ESRD)を含むCKD)、肺線維症(間質性肺線維症(ILF)を含む)、全ての可能な種類の偶発性および医原性(手術)の皮膚損傷と関連する異常瘢痕(ケロイド)、強皮症、心臓線維症、緑内障濾過手術の失敗、腸管癒着である。
【0023】
いくつかの実施形態において、マクロファージ関連疾患は、炎症または粥状動脈硬化である。
【0024】
一態様において、本発明は、
a)細胞表面上のENDO180ポリペプチドの細胞外ドメインに特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分と、
b)放射性同位体、治療薬、細胞傷害性剤、または検出可能な標識を含む部分と、
c)任意選択で、a)をb)に連結させる連結部分と、
を含む、コンジュゲートを提供する。
【0025】
いくつかの実施形態において、部分は、オリゴヌクレオチド剤および非オリゴヌクレオチド剤から選択される治療薬である。いくつかの実施形態において、治療薬は、阻害性オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド治療薬である。したがって、種々の実施形態において、治療薬は、アンチセンス化合物、化学修飾siRNA化合物、未修飾siRNA化合物、化学修飾shRNA化合物、未修飾shRNA化合物、化学修飾miRNA化合物、および未修飾miRNA化合物から選択される。種々の好ましい実施形態において、治療薬は化学修飾siRNAである。いくつかの実施形態において、化学修飾siRNA化合物は、癌、線維症、またはマクロファージ関連疾患と関連する標的遺伝子の発現を阻害する。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、後述する表Aに記載される標的遺伝子のうちのいずれか1つから選択される。
【0026】
特定の実施形態において、治療薬は、ヌクレオチド連結部分または非ヌクレオチド連結部分を介して抗体に付着する。
【0027】
さらに別の態様において、本発明は、本発明のコンジュゲートを含む医薬組成物を提供する。
【0028】
さらに別の態様において、本発明は、ENDO180ポリペプチドに特異的に結合し、該ENDO180ポリペプチドによって内部移行される抗体の治療上の有効量を対象に投与することを含み、該抗体は、共有結合的または非共有結合的に治療薬と結合している、増殖性疾患に罹患する対象を治療する方法を提供する。
【0029】
いくつかの実施形態において、増殖性疾患は、悪性および良性の増殖性疾患から選択される。いくつかの実施形態において、増殖性疾患は癌である。他の実施形態において、増殖性疾患は線維症である。本発明の使用のための疾患および障害の非限定例は以下を含む:
1.腫瘍および腫瘍間質細胞にENDO180が発現される軟部肉腫(マクロファージ−単球系の活性化された筋線維芽細胞、新血管細胞、および浸潤細胞)、
2.腫瘍間質細胞にENDO180が発現される細胞癌(マクロファージ−単球系の活性化された筋線維芽細胞、新血管細胞、および浸潤細胞)
3.ENDO180を発現し、上皮間葉転換を経たために高転移能を獲得している、細胞癌
4.例えば、マクロファージ−単球系からENDO180を発現する白血病
5.例えば、活性化された筋線維芽細胞を伴う腎臓、肺、および肝臓の線維性疾患
6.粥状動脈硬化および慢性炎症を含む、マクロファージと関連する疾患および障害。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による種々の化合物のポリヌクレオチドおよびアミノ酸配列を提供する。
【図1A】ヒトENDO180 mRNA(配列番号1)
【図1B】ヒトENDO180ポリペプチド(配列番号2)
【図1C】FLAG配列を有するヒトENDO180(アミノ酸1〜522)の細胞外ドメインの配列番号3ポリヌクレオチド配列(FLAGドメインを下線表示)(pcDNA3−5’hendo180−FLAGコンストラクト、配列番号3)
【図1D】配列番号3のポリペプチド配列(配列番号4)
【図1E】scFvクローンG7Vのポリヌクレオチド配列(配列番号5)
【図1F】scFvクローンG7Vのポリペプチド
【図1G】G7Vの重鎖CDR3(配列番号7)配列(配列番号6)
【図1H】G7Vの軽鎖CDR3(配列番号8)
【図1J】ヒトENDO180の細胞外ドメインのポリペプチド1〜522
【図2A】CypHer5Eフルオロフォア標識抗ENDO180 mAbのENDO180を発現する細胞への内部移行。
【図2B】同上
【図2C】同上
【図2D】同上
【図2E】同上
【図2F】同上
【図2G】同上
【図2H】同上
【図3】ビオチン標識抗ENDO180 mAbの片側尿管閉塞腎臓を有するマウスへの内部移行。
【図4A】CypHer5Eフルオロフォアにコンジュゲートされた抗ENDO180 mAbの、ENDO180を発現する骨髄単球性ヒト白血病MonoMac細胞株への内部移行。
【図4B】CypHer5Eフルオロフォアにコンジュゲートされた抗ENDO180 mAbの、ENDO180を発現する骨髄単球性ヒト白血病MonoMac細胞株への内部移行。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義
便宜上、本明細書、実施例、および特許請求の範囲で用いられる特定の用語を、本明細書において説明する。
【0032】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明示しない限り、複数形を含むことに留意されたい。
【0033】
本発明の態様または実施形態が、マーカッシュ群または他の代替の群に関して記載される場合、当業者は、本発明が、それによって、任意の個々の要素または群の要素の亜群に関しても記載されていることを認識するであろう。
【0034】
「阻害剤」は、遺伝子の発現またはそのような遺伝子の産物の活性を、所望の生物学的または生理学的効果を達成するのに十分な程度まで(部分的または完全に)減少させることが可能な化合物である。本明細書で使用される用語「阻害剤」は、siRNA、shRNA、合成shRNA、miRNA、アンチセンスRNAおよびDNA、ならびにリボザイムを含む、オリゴヌクレオチド阻害剤のうちの1つ以上を含む。「阻害性オリゴヌクレオチド」は、アンチセンス化合物、化学修飾siRNA化合物、未修飾siRNA化合物、化学修飾shRNA化合物、未修飾shRNA化合物、化学修飾miRNA化合物、および未修飾miRNA化合物を含む。
【0035】
「siRNA阻害剤」は、遺伝子の発現またはそのような遺伝子の産物の活性を、所望の生物学的または生理学的効果を達成するのに十分な程度まで減少させることが可能な化合物である。本明細書で使用される用語「siRNA阻害剤」は、siRNA、shRNA、合成shRNA、およびmiRNAのうちの1つ以上を指す。阻害は、下方制御、またはRNAiについてはサイレンシング、と称されてもよい。
【0036】
本明細書で使用される用語「阻害する」は、遺伝子の発現またはそのような遺伝子の産物の活性を、所望の生物学的または生理学的効果を達成するのに十分な程度まで減少させることを指す。阻害は、完全であるかまたは部分的であってもよい。本明細書で使用される場合、用語「ENDO180遺伝子」は、配列番号1のアミノ酸コード領域に対して、好ましくは90%の相同性、より好ましくは95%の相同性、さらにより好ましくは98%の相同性を有するENDO180遺伝子の任意の相同体として、または、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下においてENDO180遺伝子と結合する核酸配列として定義され、これらは当該技術分野において周知である(例えば、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1988),updated in 1995 and 1998を参照のこと)。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「ENDO180」または「ENDO180ポリペプチド」または「ENDO180受容体」は、配列番号2に対して好ましくは少なくとも90%の相同性、より好ましくは少なくとも95%の相同性、およびさらにより好ましくは少なくとも98%の相同性、または100%の同一性を有するENDO180ポリペプチドの任意の相同体として、その全長または断片またはドメインのいずれかとして、スプライスされた変異体核酸配列によってコードされる突然変異体またはポリペプチドとして、他のポリペプチドとのキメラとして定義されるが、但し、上記のうちのいずれもが、ENDO180受容体と同じかまたは実質的に同じ生物学的機能を有するものとする。ENDO180ポリペプチドまたはENDO180ポリペプチド相同体は、可溶性タンパク質、膜結合型(精製された膜調製物もしくは細胞表面上のいずれか)、ビーズ結合型、あるいはENDO180タンパク質またはそれに由来する断片およびポリペプチドを表す任意の他の形態を含むが、これらに限定されない、異なる形態で存在してもよい。本明細書で使用される用語「阻害」は、遺伝子の発現またはそのような遺伝子の産物の活性を、所望の生物学的または生理学的効果を達成するのに十分な程度まで減少させることを指す。阻害は、完全であるかまたは部分的であるかのいずれかである。
【0038】
用語「mRNAポリヌクレオチド配列」、「mRNA配列」、および「mRNA」は、交換可能に使用される。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、交換可能に使用されてもよく、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)を含むヌクレオチド配列を指す。この用語は、ヌクレオチドの類似体から作られるRNAまたはDNAのいずれかの類似体を均等物として含むことを理解されたい。本出願全体を通して、mRNA配列は、対応する遺伝子を表すものとして記載される。
【0040】
「オリゴヌクレオチド」または「オリゴマー」は、約2〜約50個のヌクレオチドのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列を指す。各DNAまたはRNAヌクレオチドは、独立して、天然もしくは合成、および/または修飾もしくは未修飾であってもよい。修飾は、糖部分、塩基部分、および/またはオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチド間の連結に対する変更を含む。本発明の化合物は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、およびそれらの組み合わせを含む分子を包含する。
【0041】
実質的に相補性であるとは、別の配列に対する約84%を超える相補性を指す。例えば、19塩基対からなる重複領域において、1つのミスマッチは94.7%の相補性をもたらし、2つのミスマッチは約89.5%の相補性をもたらし、3つのミスマッチは約84.2%の相同性をもたらし、該重複領域を実質的に相補性にする。したがって、実質的に同一であるとは、別の配列に対する約84%を超える同一性を指す。
【0042】
本発明のコンジュゲートは、a)細胞表面上のENDO180ポリペプチドに特異的に結合する抗体またはその断片と、b)アンチセンス化合物、化学修飾siRNA化合物、未修飾siRN化合物、化学修飾shRNA化合物、未修飾shRNA化合物、化学修飾miRNA化合物、および未修飾miRNA化合物から選択される、ヌクレオチドベースの治療薬と、c)(a)を(b)に連結させる連結部分と、を含み、ヌクレオチドベースの治療薬は、細胞内の標的遺伝子の発現を阻害する。
【0043】
本発明による「リンカー」は、抗体を治療分子に連結させるヌクレオチド部分または非ヌクレオチド部分である。いくつかの実施形態において、リンカーは、切断可能な部分である。好ましい切断可能な基は、ジスフィルド結合、アミド結合、チオアミド結合、エステル結合、チオエステル結合、隣接ジオール結合、またはヘミアセタールを含む。他の切断可能な結合は、ペプチド結合(ペプチダーゼによって切断される)、リン酸結合(ホスファターゼによって切断される)、核酸結合(エンドヌクレアーゼによって切断される)、および糖結合(グリコシダーゼによって切断される)等の、酵素的に切断可能な結合を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、リンカーは、ペプチドリンカーを含む非ヌクレオチドリンカーである。ペプチド配列の選択は、コンジュゲートの成功のために非常に重要である。いくつかの実施形態において、リンカーは、血清プロテアーゼに対しては安定しているが、標的細胞中のリソソーム酵素により切断される。非限定例において、リンカーは、米国特許第5574142号に記載されるリンカー、プロタミン、プロタミンの断片、(Arg)9、ビオチン−アビジン、ビオチン−ストレプトアビジン、およびアンテナペディアペプチドから選択されるペプチドである。例えば、ペプチドリンカーは、抗体をヌクレオチド治療薬に連結させるために使用される。他の非ヌクレオチドリンカーは、約5〜約100個の原子のアルキルまたはアリール鎖を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、リンカーは、ヌクレオチドリンカーである。特定の実施形態において、核酸リンカーは、2〜100、好ましくは2〜50または2〜30ヌクレオチドの範囲の長さを有する。
【0046】
オリゴヌクレオチドの化学修飾
「ヌクレオチド」は、天然もしくは合成、および/または修飾もしくは未修飾であり得る、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを包含することを意味する。修飾は、糖部分、塩基部分、および/またはオリゴヌクレオチドにおけるリボヌクレオチド間の連結に対する変更を含む。本明細書で使用される場合、用語「リボヌクレオチド」は、天然および合成の、未修飾および修飾リボヌクレオチドを包含する。修飾は、糖部分、塩基部分、および/またはオリゴヌクレオチドにおけるリボヌクレオチド間の連結に対する変更を含む。
【0047】
治療薬を調製するのに有用なヌクレオチドは、自然に発生するまたは合成の修飾塩基を含む。自然に発生する塩基は、アデニン、グアニン、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルを含む。ヌクレオチドの修飾塩基は、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチル、2−プロピル、および他のアルキルアデニン、5−ハロウラシル、5−ハロシトシン、6−アザシトシンおよび6−アザチミン、シュードウラシル、4−チオウラシル、8−ハロアデニン、8−アミノアデニン、8−チオールアデニン、8−チオールアルキルアデニン、8−ヒドロキシルアデニン、および他の8−置換アデニン、8−ハログアニン、8−アミノグアニン、8−チオールグアニン、8−チオアルキルグアニン、8−ヒドロキシグアニン、および他の置換グアニン、他のアザおよびデアザアデニン、他のアザおよびデアザグアニン、5−トリフルオロメチルウラシル、ならびに5−トリフルオロシトシンを含む。いくつかの実施形態において、オリゴマーにおける1つ以上のヌクレオチドは、イノシンで置換される。
【0048】
いくつかの実施形態によると、本発明は、未修飾および修飾ヌクレオチドならびに/または非慣用部分を含む阻害性オリゴヌクレオチド化合物を提供する。特定の実施形態において、治療薬は、オリゴヌクレオチドである。種々の好ましい実施形態において、治療薬は、二重鎖オリゴヌクレオチドであり、好ましくはsiRNAである。
【0049】
既知の遺伝子に対応するsiRNAの選択および合成が広く報告されている(例えば、Ui−Tei et al.,2006.J Biomed Biotechnol.;2006:65052;Chalk et al.,2004.BBRC.319(1):264−74;Sioud&Leirdal,2004.Met.Mol Biol;252:457−69;Levenkova et al.,2004,Bioinform.20(3):430−2;Ui−Tei et al.,2004.NAR32(3):936−48を参照のこと)。
【0050】
修飾siRNAの使用および産生の例については、例えば、Braasch et al.,2003.Biochem.,42(26):7967−75、Chiu et al.,2003,RNA,9(9):1034−48、PCT出願公開第WO2004/015107(atugen AG)号、および第WO02/44321(Tuschl et al)号を参照のこと。米国特許番号第5,898,031号および第6,107,094号は、化学修飾オリゴマーについて教示している。米国特許第7,452,987号は、未修飾および2’糖修飾リボヌクレオチドを交互に有するオリゴマー化合物に関する。米国特許公開番号第2005/0042647号は、化学修飾ヌクレオシド間の結合を有するdsRNA化合物について記載している。
【0051】
Amarzguoui et al.(2003,NAR,31(2):589−595)は、siRNAの活性が2’−O−メチル修飾の位置に依存することを示した。Holen et al(2003,NAR,31(9):2401−2407)は、少数の2’−O−メチル修飾ヌクレオシドを有するsiRNAは、野生型と比較して良好な活性を示したが、2’−O−メチル修飾ヌクレオシドの数が減少するにつれて活性が減少したと報告している。ChiuおよびRana(2003,RNA,9:1034−1048)は、各々、センスまたはアンチセンス鎖(完全に修飾された鎖)への2’−O−メチル修飾ヌクレオシドの取り込みは、未修飾siRNAと比較してsiRNA活性を著しく減少させたと報告している。アンチセンスの3’末端およびセンス鎖の両端での置換は許容されたが、アンチセンス鎖の5’末端での2’−O−メチル基の置換は、活性を著しく制限したと報告されている(Czauderna et al,2003,NAR,31(11),2705−2716)。
【0052】
本発明の出願人に譲渡され、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる、PCT特許出願番号第PCT/IL2008/000248号および第PCT/IL2008/001197号は、化学修飾siRNA化合物の調製において有用なモチーフを開示している。PCT特許出願公開番号第WO2008/020435号は、本明細書に記載される標的遺伝子に対するいくつかのsiRNA化合物を含む阻害剤を開示している。
【0053】
化合物は、糖修飾、塩基修飾、およびヌクレオチド間結合修飾からなる群から選択される少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み、DNAと、LNA(ロックド核酸)、ENA(エチレン−架橋核酸)、PNA(ペプチド核酸)、アラビノシド、ホスホノカルボキシレートもしくはホスフィノカルボキシレートヌクレオチド(PACEヌクレオチド)、鏡像体ヌクレオチド、または6炭糖を有するヌクレオチド等の修飾ヌクレオチドと、を含有してもよい。
【0054】
ヌクレオチド/オリゴヌクレオチドの全ての類似体または修飾体は、本発明とともに用いられるが、但し、上記類似体または修飾体は、ヌクレオチド/オリゴヌクレオチドの機能に対して実質的に有害な影響を及ぼさないものとする。許容可能な修飾は、糖部分の修飾、塩基部分の修飾、ヌクレオチド間結合における修飾、およびそれらの組み合わせを含む。
【0055】
糖修飾は、糖残基の2’部分の修飾を含み、とりわけ、欧州特許第EP0 586 520 B1号または第EP0 618 925 B1号に記載されるように、アミノ、フルオロ、アルコキシ、例えば、メトキシ、アルキル、アミノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、CN、CF、イミダゾール、カルボキシレート、チオエート、C−C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリールもしくはアラルキル、OCF、OCN、O−、S−、もしくはN−アルキル;O−、S−、もしくはN−アルケニル;SOCH;SOCH;ONO;NO、N;ヘテロシクロアルキル(heterozycloalkyl);ヘテロシクロアルカリル(heterozycloalkaryl);アミノアルキルアミノ;ポリアルキルアミノ、または置換シリルを包含する。
【0056】
一実施形態において、siRNA化合物は、糖部分の2’修飾(「2’糖修飾」)を含む、少なくとも1つのリボヌクレオチドを含む。特定の実施形態において、化合物は、2’O−アルキルもしくは2’−フルオロもしくは2’O−アリルまたは任意の他の2’修飾を、任意選択で代替の位置に含む。他の安定化修飾(例えば、末端修飾)もまた可能である。いくつかの実施形態において、好ましい2’O−アルキルは、2’O−メチル(メトキシ)糖修飾である。
【0057】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの骨格は修飾され、リン酸−D−リボース体を含むが、チオリン酸−D−リボース体、トリエステル、チオエート、2’−5’架橋骨格(また5’−2’と称されてもよい)、PACE等も含有することができる。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「非対合ヌクレオチド類似体」は、6デスアミノアデノシン(ネブラリン)、4−Me−インドール、3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、Ds、Pa、N3−MeリボU、N3−MeリボT、N3−Me dC、N3−Me−dT、N1−Me−dG、N1−Me−dA、N3−ethyl−dC、N3−Me dCを含むが、これらに限定されない非塩基対部分を含むヌクレオチド類似体を意味する。いくつかの実施形態において、非塩基対合ヌクレオチド類似体は、リボヌクレオチドである。他の実施形態において、それは、デオキシリボヌクレオチドである。また、ポリヌクレオチドの類似体は調製されてもよく、1つ以上のヌクレオチドの構造が根本的に改変され、治療試薬または実験試薬としてより好適である。ヌクレオチド類似体の例は、DNA(またはRNA)のデオキシリボース(またはリボース)リン酸骨格が、ペプチドに見出されるものと同様のポリアミド骨格で置換されたペプチド核酸(PNA)である。PNA類似体は、酵素分解に対する耐性を有し、インビボおよびインビトロにおいて拡張した安定性を有することが分かっている。オリゴヌクレオチドに対して行われ得る他の修飾は、ポリマー骨格、環状骨格、非環状骨格、チオリン酸−D−リボース骨格、トリエステル骨格、チオエート骨格、2’−5’架橋骨格、人工核酸、モルホリノ核酸、グリコール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、アラビノシド、および鏡像体ヌクレオシド(例えば、β−D−デオキシリボヌクレオシドに代わるβ−L−デオキシリボヌクレオシド)を含む。LNAヌクレオチドを含むsiRNA化合物の例は、Elmen et al.,(NAR 2005,33(1):439−447)に開示される。
【0059】
本発明の化合物は、1つ以上の反転ヌクレオチド、例えば、反転チミジンまたは反転アデニンを使用して合成することができる(例えば、Takei, et al.,2002,JBC 277(26):23800−06を参照)。
【0060】
他の修飾は、キャップ部分としても知られるオリゴヌクレオチドの5’および/または3’部分の末端修飾を含む。そのような末端修飾は、ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、脂質、ペプチド、糖、および反転脱塩基部分から選択される。
【0061】
本発明において、時折、「脱塩基ヌクレオチド」または「脱塩基ヌクレオチド類似体」と称されるものは、より適切には、擬似ヌクレオチドまたは非慣用部分と称される。ヌクレオチドは、リボースまたはデオキシリボース糖、リン酸、および塩基(DNA中のアデニン、グアニン、チミン、またはシトシン、RNA中のアデニン、グアニン、ウラシル、またはシトシン)からなる、核酸の単量体単位である。修飾ヌクレオチドは、糖、リン酸、およびまたは塩基のうちの1つ以上における修飾を含む。脱塩基擬似ヌクレオチドは塩基が欠落しており、したがって、厳密にはヌクレオチドではない。
【0062】
いくつかの実施形態において、siRNA治療薬は、キャップ部分を含む。本明細書で使用される用語「キャップ部分」は、2’Oアルキル修飾を含む脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、修飾体の脱塩基リボース、および脱塩基デオキシリボース部分;反転脱塩基リボースおよび脱塩基デオキシリボース部分ならびにその修飾体;C6−イミノ−Pi;L−DNAおよびL−RNAを含む鏡像体ヌクレオチド;5−Meヌクレオチド;ならびに4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(β−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;5’−アミノ−アルキルリン酸;l,3−ジアミノ−2−プロピルリン酸,3−アミノプロピルリン酸;6−アミノヘキシルリン酸;12−アミノドデシル;ヒドロキシプロピルリン酸;1,5−無水へキシトールヌクレオチド;α−ヌクレオチド;スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環状3’,4’−セコヌクレオチド;3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5’−5’−反転脱塩基部分;1,4−ブタンジオールリン酸;5’−アミノ;架橋または非架橋メチルホスホネート、および5’−メルカプト部分を含む、ヌクレオチド類似体を含む。
【0063】
特定の好ましいキャップ部分は、脱塩基リボースまたは脱塩基デオキシリボース部分;反転脱塩基リボースまたは脱塩基デオキシリボース;C6−アミノ−Pi;L−DNAおよびL−RNAを含む鏡像体ヌクレオチドである。
【0064】
いくつかの実施形態において、治療用siRNAは、ヌクレオチド以外の部分を含む。用語「非慣用部分」は、本明細書で使用される場合、脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、デオキシリボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、鏡像体ヌクレオチド、非塩基対合ヌクレオチド類似体、および2’〜5’ヌクレオチド間のリン酸結合によって隣接するヌクレオチドと結合しているヌクレオチド;LNAおよびエチレン架橋核酸を含む架橋核酸を指す。
【0065】
脱塩基デオキシリボース部分は、例えば、脱塩基デオキシリボース−3’−リン酸、1,2−ジデオキシ−D−リボフラノース−3−リン酸、1,4−無水−2−デオキシ−D−リビトール−3−リン酸を含む。反転脱塩基デオキシリボース部分は、反転デオキシリボ脱塩基、3’,5’反転デオキシ脱塩基5’−リン酸を含む。
【0066】
「鏡像体」ヌクレオチドは、自然に発生するかまたは一般に用いられるヌクレオチドに対して逆の鏡像異性を有するヌクレオチド、すなわち、自然に発生する(D−ヌクレオチド)の鏡像(L−ヌクレオチド)であり、また、鏡像体リボヌクレオチドの場合はL−RNA、および「スピーゲルマー(spiegelmer)」とも称される。ヌクレオチドは、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドであり得、少なくとも1つの糖、塩基、および/または骨格の修飾をさらに含んでもよい。米国特許番号第6,586,238号を参照のこと。また、米国特許番号第6,602,858は、少なくとも1つのL−ヌクレオチド置換を含む核酸触媒を開示している。鏡像体ヌクレオチドは、例えば、L−DNA(L−デオキシリボアデノシン−3’−リン酸(鏡像体dA);L−デオキシリボシチジン−3’−リン酸(鏡像体dC);L−デオキシリボグアノシン−3’−リン酸(鏡像体dG);L−デオキシリボチミジン−3’−リン酸(鏡像体dT))およびL−RNA(L−リボアデノシン−3’−リン酸(鏡像体rA);L−リボシチジン−3’−リン酸(鏡像体rC);L−リボグアノシン−3’−リン酸(鏡像体rG);L−リボウラシル−3’−リン酸(鏡像体dU)を含む。
【0067】
修飾デオキシリボヌクレオチドは、例えば、5’末端位置(位置番号1)のヌクレオチドとして有用であり得る5’OMe DNA(5−メチル−デオキシリボグアノシン−3’−リン酸);PACE(デオキシリボアデニン3’ホスホノアセテート、デオキシリボシチジン3’ホスホノアセテート、デオキシリボグアノシン3’ホスホノアセテート、デオキシリボチミジン3’ホスホノアセテートを含む。
【0068】
架橋核酸は、LNA(2’−O,4’−C−メチレン架橋核酸アデノシン3’一リン酸、2’−O,4’−C−メチレン架橋核酸5−メチル−シチジン3’一リン酸、2’−O,4’−C−メチレン架橋核酸グアノシン3’一リン酸、5−メチル−ウリジン(またはチミジン)3’一リン酸);およびENA(2’−O,4’−C−エチレン架橋核酸アデノシン3’一リン酸、2’−O,4’−C−エチレン架橋核酸5−メチル−シチジン3’一リン酸、2’−O,4’−C−エチレン架橋核酸グアノシン3’一リン酸、5−メチル−ウリジン(またはチミジン)3’一リン酸)を含む。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態において、好ましい非慣用部分は、脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、デオキシリボヌクレオチド、鏡像体ヌクレオチド、およびヌクレオチド間リン酸結合によって隣接するヌクレオチドと結合しているヌクレオチドである。
【0070】
一態様によると、本発明は、未修飾および修飾ヌクレオチドを含む阻害性オリゴヌクレオチド化合物を提供する。化合物は、糖修飾、塩基修飾、およびヌクレオチド間結合修飾からなる群から選択される少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み、DNAと、ENA(エチレン−架橋核酸)を含むLNA(ロックド核酸);PNA(ペプチド核酸);アラビノシド;PACE(ホスホノアセテートおよびその誘導体)、鏡像体ヌクレオチド、または6炭糖を有するヌクレオチド等の修飾ヌクレオチドを含有してもよい。いくつかの実施形態において、本発明は、インビボでの標的遺伝子の発現を阻害するための方法および組成物を提供する。一般的に、方法は、送達薬−治療薬のコンジュゲートを投与することを含む。具体的な実施形態において、mRNAを標的とする低分子干渉RNA(ずなわち、siRNA)が、RNA干渉機構によって標的遺伝子の発現を下方制御する(mRNAを減少させる、タンパク質レベルを減少させる)のに十分な量で標的遺伝子から転写された。具体的には、主題方法は、疾患の治療のために標的遺伝子の発現を阻害するように使用することができる。本発明に従って、標的遺伝子のsiRNA分子または阻害剤は、種々の病態を治療する薬物として使用される。
【0071】
本発明に記載される核酸の合成は、当業者の技術の範囲内である。そのような合成は、とりわけ、Beaucage SL and Iyer RP,1992 Tetrahedron;48:2223−2311、Beaucage S.and Iyer RP,1993 Tetrahedron;49:6123−6194、およびCaruthers MH et.al,1987 Methods EnzymoL;154:287−313に記載され、チオエートの合成は、とりわけ、Eckstein F.,1985 Annu.Rev.Biochem.;54:367−402に記載され、RNA分子の合成は、Sproat B.,Humana Press 2005 Edited by Herdewijn P.; Kap. 2:17−31に記載され、それぞれの下流プロセスは、とりわけ、Pingoud A.et.al.,in IRL Press 1989 Edited by Oliver R.W.A.;Kap.7:183−208およびSproat B.,in Humana Press 2005 Edited by Herdewijn P.;Kap.2:17−31(上掲)に記載される。
【0072】
標的遺伝子のうちのいずれか1つに対するsiRNAは、標的遺伝子mRNAの既知の配列に基づいて、上記の当該技術分野において既知の方法を使用して合成され、本明細書に記載される種々の修飾によって血清および/または細胞ヌクレアーゼに対して安定化される。
【0073】
標的遺伝子
本発明によるコンジュゲートは、増殖性疾患、転移性疾患、および線維症から選択される疾患または障害と関連する遺伝子の発現を阻害するために有用である。
【0074】
標的遺伝子は、抗アポトーシス遺伝子、基本的な細胞分裂装置と関連する遺伝子、,細胞周期制御/細胞増殖と関連する遺伝子、律速代謝(ヌクレオチド/核酸合成、タンパク質合成、エネルギー代謝)と関連する遺伝子、タンパク質輸送(例えば、分泌)と関連する遺伝子、炎症誘発性遺伝子、サイトカイン、ケモカイン、NFkB、成長因子/受容体(TGFβ1および2、CTGF、IGF1、PDGF1、PDGF2、VEGF、EGFR、HER2等)を含む。
【0075】
標的遺伝子の非限定的なリストを、以下の表Aに記載する。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0076】
siRNAの合成において有用なセンスおよびアンチセンス配列は、所有権ならびに公的に入手可能な方法およびアルゴリズムに従って選択される。
上で提供した化学修飾は、とりわけ、血清安定性、活性、免疫応答の低下、標的以外の効果の低下を示すヌクレオチド治療薬を合成するのに有用である
【0077】
抗体
用語「抗体」は、とりわけ、IgG、IgM、IgD、IgA、およびIgE抗体を指す。その定義は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を含む。この用語は、全抗体または抗原結合ドメインを含む抗体の断片、例えば、Fc部を含まない抗体、単鎖抗体、ミニ抗体、本質的にその抗体の可変の抗原結合ドメインからなる断片を指す。用語「抗体」はまた、cDNAワクチン接種によって得られる、ポリヌクレオチド配列に対する抗体も指すことができる。該用語はまた、それらの抗原または受容体に選択的に結合する能力を保持し、とりわけ、以下のように例示される抗体断片を包含する。
(1)Fab:抗体分子の一価の抗原結合断片を含有する断片であり、全抗体を酵素パパインで消化し、軽鎖および重鎖の一部を生じさせることによって産生することができる。
(2)(Fab’)2:全抗体を酵素ペプシンで処理し、その後に還元を行わないで得ることができる抗体の断片である。F(ab’2)は、2つのジスルフィド結合によってともに維持された2つのFab断片の二量体である。
(3)Fv:2本の鎖として発現される軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含有する遺伝子操作された断片として定義される。
(4)単鎖抗体(SCA):遺伝子的に融合させた単鎖分子として、好適なポリペプチドリンカーによって連結された軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含有する、遺伝子操作した分子として定義される(scFvを含む)。
【0078】
CDR移植は、親和性または特異性を含む抗体分子の特定の特性を改変するために行われてもよい。CDR移植の非限定例は、米国特許番号第5,225,539号に開示される。
【0079】
単一ドメイン抗体は、ラクダおよびラマを含む免疫したラクダ科の固有の重鎖抗体から単離される。小さい抗体は非常に強固であり、単量体の状態で、高親和性で抗原に結合する。米国特許第6838254号は、ラクダ科の重鎖免疫グロブリンに由来する抗体またはその断片の産生について記載している。
【0080】
モノクローナル抗体(mAb)は、特異的な抗原に対する実質的に同種の抗体集団である。モノクローナル抗体(mAb)は、当業者に既知の方法によって得られる。例えば、Kohler et al(1975);米国特許第4,376,110号、Ausubel et al(1987−1999)、Harlow et al(1988)、およびColligan et al(1993)を参照のこと(それらの内容は、参照により全体的に本明細書に組み込まれる)。本発明のmAbは、IgG、IgM、IgE、IgA、およびそれらの任意のサブクラスを含む、任意の免疫グロブリンクラスのmAbであり得る。mAbを産生するハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで培養されてもよい。例えば、プリスティンで予備刺激したBalb/cマウスに、個々のハイブリドーマ由来の細胞を腹腔内注射して高濃度の所望のmAbを含有する腹水を産生させることにより、インビボで高力価のmAbが得られる。アイソタイプIgMまたはIgGのmAbは、当業者に周知であるカラムクロマトグラフィー法を使用して、そのような腹水から、または培養上清から精製されてもよい。
【0081】
「特異的な結合親和性」とは、抗体が、同様の条件下で別のポリペプチドに結合するよりも大きな親和性で、ENDO180ポリペプチドまたはその断片に結合することを意味する。
【0082】
用語「エピトープ」は、抗体によって結合されることが可能であり、その抗体によって認識もされ得る、分子の一部を指すことが意図される。「抗原」は、抗体によって結合されることが可能であり、その抗原のエピトープに結合することが可能な抗原を産生するように動物を誘発することがさらに可能である、分子または分子の一部である。抗原は、1つまたは1つより多くのエピトープを有してもよい。上述した特異的な反応は、抗原が、他の抗原によって誘発され得る多数の他の抗体とではなく、その対応する抗体と、高度に選択的な様式で反応することを意味することが意図される。
【0083】
エピトープまたは抗原決定基は、通常、アミノ酸または糖側鎖等の化学的に活性な表面分子群からなり、特定の3次元構造の特徴および特定の荷電特性を有する。
【0084】
一実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。一実施形態において、モノクローナル抗体は、IgG、IgM、IgD、IgA、またはIgEモノクローナル抗体である。またIgGサブクラスもまた、当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、モノクローナル抗体は、およびIgGモノクローナル抗体である。一実施形態において、モノクローナル抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。一実施形態において、抗体の一部は、抗体のFab断片である。一実施形態において、抗体の一部は、抗体の可変ドメインを含む。一実施形態において、抗体の一部は、抗体のCDR部分を含む。他の実施形態において、抗体は、scFv分子である。本発明の抗体は、組換えによって産生されてもよく(Marshak et al.,1996 "Strategies for Protein Purification and Characterization.A laboratory course manual."Plainview,N.Y.:Cold Spring Harbor Laboratory Press,1996を一般的に参照のこと)、類似体は、翻訳後プロセシングによって産生されてもよい。グリコシル化における差異により、ポリペプチド類似体を提供することができる。
【0085】
抗体は、ヒト抗体または非ヒト抗体であり得る。非ヒト抗体は、人間におけるその免疫原性を減少させるための組換え法によってヒト化されてもよい。抗体をヒト化するための方法は、当業者に周知である。
【0086】
本出願は、上記抗体のヒト化形態を提供する。本明細書で使用される場合、「ヒト化」とは、CDR領域外のいくつか、ほとんど、または全てのアミノ酸が、ヒト免疫グロブリン分子に由来する対応するアミノ酸で置換された抗体を表す(例えば、ヒトフレームワーク領域が、非ヒト領域を置換する)。抗体のヒト化形態の一実施形態において、CDR領域外のいくつか、ほとんど、または全てのアミノ酸は、ヒト免疫グロブリン分子からのアミノ酸で置換されているが、1つ以上のCDR領域内のいくつか、ほとんど、または全てのアミノ酸は未変化のままである。抗原ENDO180に結合する能力を無効にしない限り、アミノ酸の小さな付加、欠失、挿入、置換、または修飾は許容される。
【0087】
「ヒト化」抗体は、元の抗原と同様の抗原特異性、すなわち、ENDO180、特にヒトENDO 180受容体に結合する能力を保持し、受容体によって同様に内部移行される。
【0088】
当業者は、主題発明のヒト化抗体の産生方法を知っているであろう。種々の刊行物(そのうちのいくつかは、参照によって本出願に組み込まれる)が、ヒト化抗体の作成方法について記載している。
【0089】
例えば、米国特許番号第4,816,567号および第6,331,415号に記載される方法は、1つの抗体の可変領域および別の抗体の定常領域を有するキメラ抗体の産生を含む。
【0090】
米国特許番号第5,225,539;6,548,640号および第6,982,321号は、ヒト化抗体が標的抗原を認識するが免疫応答を妨げないように、免疫グロブリンのCDRが異なる特異性を持つ免疫グロブリン由来のCDRで置換される、ヒト化抗体を産生するための組換えDNA技術の使用について記載している。具体的には、フレームワーク領域上にCDRを導入するために、部位特異的な突然変異誘発が使用される。
【0091】
抗体をヒト化するための他の手法は、第WO90/07861号ならびに米国特許番号第5,585,089号、5,693,761号、6,180,370号および第7,022,500号を含む対応する特許に記載される。これらの特許は、マウスモノクローナル抗体のCDRと、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域および接触領域とを組み合わせることによって、所望の抗原に対する抗体の親和性を増加させる方法について記載している。ヒトフレームワーク領域は、マウス配列との相同性を最大化するように選択することができる。コンピュータモデルを使用して、CDRまたは特異的抗原と相互作用する可能性のあるフレームワーク領域内のアミノ酸を同定することができ、次いで、これらの位置で、マウスアミノ酸を使用してヒト化抗体を作成することができる。
【0092】
上記方法は、当業者がヒト化抗体を作製するために利用することができる方法のうちのいくつかの例示に過ぎない。
【0093】
モノクローナル抗体E3−8D8は、本発明の方法における使用に好適な抗ENDO180抗体を表す。ハイブリドーマ細胞E3−8D8を、ブダペスト条約の規約の下にBelgian Co−ordinated Collections of Micro−Organisms(BCCM)に寄託し、受託番号LMBP7203CBが付与された。
【0094】
エピトープマッピング
エピトープマッピング試験により、抗体の結合にとって重要な残基が同定される。エピトープマッピングのための種々の方法が当該技術分野において既知であり、当業者によって容易に実行される。特定の方法は、参照により本明細書に組み込まれるEpitope Mapping:A Practical Approach (O.M.R.Westwood,F.C.Hay;Oxford University Press,2000)に記載されている。
【0095】
エピトープマッピング技術の一例は、それぞれが、タンパク質抗原の線形配列の小さな区分(すなわち、ENDO180の細胞外ドメイン)に対応する1組の重複合成ペプチドを合成して固相上に配列させる、合成標識ペプチドによるエピトープマッピングである。次いで、ペプチドのパネルを試験抗体でプローブし、酵素で標識した二次抗体を使用して、結合した抗体を検出する。
【0096】
他の技術は、タンパク質抗原の断片化または切断およびゲル分離、膜への輸送、試験抗体によるプロービングを含み、酵素で標識した二次抗体を使用して、結合した抗体を検出する。
【0097】
抗体医薬品の開発
一般に、モノクローナル抗体は、結合特性(選択性、内部移行等)を保存し、受け手の免疫応答を低下させるように設計される必要がある。特に、ハイブリドーマ3E−8D8から分泌されるモノクローナル抗体は、当業者に既知であるいくつかの方法のうちの1つによって、ヒト治療薬として最適化することができる。一方法において、モノクローナル抗体の可変重鎖(V)および可変軽鎖(V)が配列決定される。一旦、アミノ酸配列が分かったら、相補性決定領域(CDR)、重鎖および軽鎖CDR3を同定し、縮重オリゴヌクレオチドを使用して合成CDR3をベクター内にクローン化し、組換えベクターまたはコンストラクトを産生する。コンストラクトは、例えば、Fab断片、F(ab’)2断片、Fv断片、単鎖断片、または完全長IgG分子であり得る。コンストラクト(複数可)が発現され、ポリペプチドが単離される。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、元のCDR3に対して実質的に同一性を有するCDR3ドメインを作製するように、部位特異的な突然変異誘発によって最適化された突然変異誘発によってさらに最適化されてもよい。
【0098】
治療薬
本発明による治療薬または活性剤は、アンチセンス(AS)、miRNA、ならびに未修飾および化学修飾siRNA化合物等のオリゴヌクレオチドを含む、ヌクレオチドおよび非ヌクレオチド剤を含む。好ましい治療薬は、siRNA化合物である。
【0099】
いくつかの実施形態において、siRNAは、標的遺伝子を標的とし、RNA干渉によってその発現を低下させる。
【0100】
本発明の治療用オリゴヌクレオチドは、当該技術分野において既知である任意の方法によって、リボ核酸またはデオキシリボ核酸のヌクレオチド用に合成される。例えば、市販のポリヌクレオチド合成機(例えば、Applied Biosystems社製380B DNA合成機)が使用されてもよい。断片が使用される場合は、本発明における使用のために、2つ以上のそのような配列を合成して、連結させてもよい。siRNAは本発明による好ましい治療薬ではあるが、本発明は、治療薬が、アルキル化剤(チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド等);アルキルスルホネート(ブスルファン、イムプロスルファンおよびピポスルファン等);アリジリン(ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、およびウレドパ等);アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミン(trimethylolmelamine)を含むエチレンイミンおよびメチルメラミン(methyl amelamines);アセトゲニン(特に、ブラタシンおよびブタタシノン);δ−9−テトラヒドロカナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));βラパコンラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトセシン(合成類似体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標)を含む)、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトセシン、スコポレクチン、および9−アミノカンプトセシン);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、およびバイゼレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);クリプトフィシン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW−2189およびCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロライド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスター;ニトロスレアス(カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン等);エネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンγ1IおよびカリケアマイシンωI1)等の抗生物質(例えば、Agnew,Chem Intl.Ed.Engl,1994.33:183−186を参照);ダイネミシンAを含むダイネミシン;エスペラマイシン;ならびにネオカルチノスタチン発光団および関連色素タンパクエネジイン抗生物質発光団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、ドキソルビシンHC1リポソーム注射(DOXIL(登録商標))、およびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マセロマイシン、マイトマイシン(マイトマイシンC等)、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬(メトトレキサート、ゲンシタビン(GEMZAR(登録商標))、テガフール(UFTORAL(登録商標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、エポチロン、および5−フルオロウラシル(5−FU)等);葉酸類似体(デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、およびトリメトレキセート等);プリン類似体(フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等);ピリミジン類似体(アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン等);アンドロゲン(カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等);抗副腎剤(アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン);葉酸リプレニッシャー(フロリン酸等);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド(メイタンシンおよびアンサミトシン);ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2"−tトリクロロエチレンアミン;トリコテセン(特にT−2毒素、ベラクリンA、ロリジンA、およびロリジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド(例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(ABRAXANE.TM.)、およびドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標)));クロラムブシル;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体類似体(シスプラチンおよびカルボプラチン);ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボリン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイド(レチノイン酸等);上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体;ならびに、上記のうちの2つ以上の組み合わせ(CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの併用療法の略称)、およびFOLFOX(5−FUおよびロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標))を用いる治療計画の略称)から選択されるコンジュゲートまたは混合物を包含する。
【0101】
また、この定義には、癌の増殖を促進し得るホルモンの効果を制御、低減、遮断、または阻害するように作用し、全身性または全身治療薬として投与されることが多い、抗ホルモン剤が含まれる。それらは、ホルモン自体であってもよい。その例は、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン(EVISTA(登録商標))、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストーン、およびトレミフェン(FARESTON(登録商標))を含む、抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM);抗プロゲステロン;エストロゲン受容体下方制御因子(ERD);卵巣を抑制または閉鎖するように機能する物質、例えば、酢酸ロイプロリド(LUPRON(登録商標)およびELIGARD(登録商標)等の黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリン、およびトリプトレリン;フルタミド、ニルタミド、およびビカルタミド等の他の抗アンドロゲン;ならびに、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(MEGASE(登録商標))、エキセメスタン(AROMASIN(登録商標))、フォルメスタニー、ファドロゾール、ボロゾール(RIVISOR(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))、およびアナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))等のアロマターゼ阻害剤を含む。さらに、クロドロネート等のビスホスホネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE−58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、またはリセドロネート(ACTONEL(登録商標));ならびにトロキサシタビン(1,3−デオキシリボヌクレオシドシトシン類似体);siRNA、リボザイムおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常細胞の増殖に関与するシグナル伝達経路において遺伝子の発現を阻害するもの;THERATOPE(登録商標)ワクチンおよび遺伝子療法ワクチン等のワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、およびVAXID(登録商標)ワクチン;トポイソメラーゼ1阻害剤(例えば、LURTOTECAN(登録商標));rmRH(例えば、ABARELIX(登録商標));トシル酸ラパチニブ(GW572016としても知られるErbB−2およびEGFR二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤);セレコキシブ(CELEBREX(登録商標)等のCOX−2阻害剤;4−(5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラぞール−1−イル)ベンゼンスルホンアミド;ならびに、上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体。
【0102】
本明細書で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、ポリペプチドに加えて、ペプチドおよび完全なタンパク質を指し、単離および組換えポリペプチドを含む。本明細書で使用される場合、「生物学的機能」は、分子の生物学的特性を指し、この文脈においては、自然に発生するポリペプチドまたは核酸分子によって直接的または間接的に行われるインビボエフェクターまたは抗原機能もしくは活性を意味する。生物学的機能は、受容体結合、任意の酵素活性または酵素調節活性、任意の担体結合活性、任意のホルモン活性、内部移行する分子またはある区画から別の区画への転位における任意の活性、細胞外マトリックスまたは細胞表面分子に対する細胞の付着を促進または阻害する任意の活性、あるいは任意の構造的役割、ならびに機能性タンパク質をコードする核酸配列を有することおよび発現可能であることを含むが、これらに限定されない。抗原機能とは、本質的に、自然に発生するタンパク質に対して生じる抗体と交差反応することが可能なエピトープまたは抗原部位の保有を意味する。生物学的に活性な類似体は、(その必要はないが)さらに抗原機能を保有することができる天然ポリペプチドのエフェクター機能を共有する。
【0103】
ENDO180ポリペプチドのレベルの測定は、免疫組織化学、ウエスタンブロット法、ELISA、抗体マイクロアレイハイブリダイゼーション、および標的分子の撮像からなる群から選択される方法によって決定されてもよい。例えば、免疫組織化学、ウエスタンブロット法、抗体マイクロアレイハイブリダイゼーション、および標的分子の撮像等の、そのような方法は、当該技術分野において周知である。
【0104】
ENDO180ポリヌクレオチドのレベルの測定は、例えば、RT−PCR分析、インサイツハイブリダイゼーション、ポリヌクレオチドマイクロアレイ、およびノーザンブロット法から選択される方法によって決定されてもよい。そのような方法は、当該技術分野において周知である。
【0105】
アンチセンス分子
いくつかの実施形態において、治療薬は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。「アンチセンス」(AS)または「アンチセンス断片」という用語は、阻害性のアンチセンス活性を有するポリヌクレオチド断片(デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、または両方の混合物のいずれかを含む)を意味し、上記活性は、対応する遺伝子の内因性ゲノムのコピーの発現における低下をもたらす。ASポリヌクレオチドは、標的遺伝子に対するASのハイブリダイゼーションを許容するよう、該遺伝子の配列内に存在する配列に対して十分な長さおよび相同性の配列を有する連続的なヌクレオチドを含むポリヌクレオチドである。多くの総説が、アンチセンス(AS)技術の主な態様およびその治療可能性について記述している(Aboul−Fadl T.,Curr Med Chem. 2005,12(19):2193−214;Crooke ST,Curr MoI Med.2004,4(5):465−87;Crooke ST,Ann Rev Med.2004,55:61−95;Vacek M et al,Cell MoI Life Sci.2003,60(5):825−33;Cho−Chung YS,Arch Pharm Res.2003,26(3):183−91。AS技術の化学的態様(Crooke et al.,Hematol Pathol.1995,9(2):59−72)、細胞についての態様(Wagner,Nature.1994,372(6504):333−5)、および治療上の態様(Scanlon, et al,FASEB J.1995,9(13):1288−96)に関するさらなる総説が存在する。特異的な遺伝子の発現におけるアンチセンス介在は、修飾ASオリゴヌクレオチド配列の使用によって達成することができる(最近の報告については、Lefebvre−d’Hellencourt et al,1995;Agrawal,1996;LevLehman et al,1997を参照のこと)。
【0106】
ASオリゴヌクレオチド配列は、DNAの短い配列であってもよく、通常、15−30merであるが、7−mer程度と小さくてもよく(Wagner et al,Nat.Biotech.1996,14(7):840−4)、対象となる標的mRNAを補完し、RNA:AS二本鎖を形成するように設計される。この二重鎖の形成は、関連するmRNAのプロセシング、スプライシング、輸送、または翻訳を阻止することができる。
【0107】
さらに、特定のASヌクレオチド配列は、それらの標的mRNAとハイブリダイズするときに細胞のRNase H活性を誘発することができ、mRNAの分解を引き起こす(Calabretta et al,Semin Oncol.1996,23(1):78−87)。その場合、RNase Hは、二重鎖のRNAコンポーネントを切断し、標的RNAの付加的な分子とさらにハイブリダイズするように潜在的にASを放出する。さらなる作用様式は、ASとゲノムDNAとの相互作用から生じ、転写的に不活性であり得る三重らせんを形成する。
【0108】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列標的セグメントは、配列が、それらの相補的な鋳型とのオリゴヌクレオチド二重鎖形成にとって重要な好適なエネルギー関連特性を呈し、自己二量体形成または自己相補性に低い潜在性を示すように選択される(Anazodo et al,1996,BBRC.229:305−309)。例えば、コンピュータプログラムOLIGO(Primer Analysis Software、Version 3.4)を使用して、アンチセンス配列の融解温度、自由エネルギー特性を決定し、潜在的な自己二量体形成および自己相補性特性を推定することができる。該プログラムは、これらの2つのパラメータ(潜在的な自己二量体形成および自己相補性)の定性的評価の決定を可能にし、「可能性なし」または「いくらかの可能性」または「本質的に完全な可能性」という指標を提供する。このプログラムを使用して、これらのパラメータにおいて可能性なしの評価を有する標的セグメントが一般的に選択される。しかしながら、カテゴリーの1つにおいて「いくらかの可能性」を有するセグメントが使用されてもよい。パラメータのバランスは、当該技術分野において既知であるように、選択において使用される。さらに、オリゴヌクレオチドもまた、類似体置換が実質的に機能に影響を及ぼさないよう、必要に応じて選択される。
【0109】
ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドは、通常、動物において効果的であり、十分な薬力学的な半減期を示す濃度では、有意な毒性を示さず(Agrawal, et al.,PNAS USA.1997,94(6):2620−5)、ヌクレアーゼ耐性である。分裂促進性および血管新生の特性を有する塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)のアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害は、飽和的および特異的な様式で神経膠腫細胞の成長を80%抑制した(Morrison,J Biol Chem.1991 266(2):728−34)。疎水性であることにより、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リン脂質膜と良好に相互作用する(Akhter et al.,NAR.1991,19:5551−5559)。それらは、細胞の原形質膜との相互作用に続いて、特異的な受容体に関与することが予測される飽和性の機構において(Yakubov et al.,PNAS,1989 86(17):6454−58)、能動的に(または受動的に)生細胞内に輸送される(Loke et al.,PNAS 1989,86(10):3474−8)。
【0110】
リボザイム
「リボザイム」は、RNA触媒能力を保有するRNA分子であり(総説についてはCechを参照のこと)、標的RNAの特異的部位を切断する。本発明に従って、mRNAを切断するリボザイムが治療薬として用いられてもよい。これは、化学量論的な考察からアンチセンス療法が制限される場合に必要であり得る(Sarver et al.,1990,Gene Regulation and Aids,pp.305−325)。次いで、骨髄疾患と関連する遺伝子を標的とするリボザイムが使用されてもよい。リボザイムによって切断されるRNA分子の数は、化学量論によって予測される数より大きい(Hampel and Tritz, Biochem.1989,28(12):4929−33;Uhlenbeck,Nature.1987.328(6131):596−600)。リボザイムは、RNAのリン酸ジエステル結合切断を触媒する。グループIのニトロン、RNase P、肝炎デルタウイルスリボザイム、ハンマーヘッドリボザイム、および元々はタバコリングスポットウイルスのサテライトRNA(sTRSV)の陰性鎖に由来するヘアピンリボザイムを含む、いくつかのリボザイム構造ファミリーが同定されている(米国特許第5,225,347号)。後者2つのファミリーは、リボザイムが、ローリングサークル複製の間に作製されたオリゴマーからモノマーを分離すると考えられる、ウイロイドおよびウイルソイドに由来する(Symons,1989および1992)。ハンマーヘッドおよびヘアピンリボザイムモチーフは、遺伝子療法のためのmRNAsのトランス切断に最も一般に適合する(Sullivan,1994)。一般に、リボザイムは、約30〜100ヌクレオチドの長さを有する。リボザイムの送達は、AS断片および/またはsiRNA分子の送達と同様である。
【0111】
siRNAおよびRNA干渉
RNA干渉(RNAi)は、二重鎖(ds)RNAに依存する遺伝子特異的な転写後のサイレンシングに関与する現象である。この現象を研究しようとする、および実験的に哺乳動物の細胞を操作しようとする初期の試みは、長いdsRNA分子に応答して活性化された、活性で非特異的な抗ウイルス性の防御機構により失敗に終わった(Gil et al.,Apoptosis,2000.5:107−114)。後に、21ヌクレオチドRNAの合成二重鎖が、一般的な抗ウイルス性の防御機構を刺激することなく、哺乳動物の細胞において遺伝子特異的なRNAiを媒介できることが発見された(Elbashir et al.Nature 2001,411:494−498およびCaplen et al.PNAS 2001,98:9742−9747)。結果として、短い二重鎖RNAである低分子干渉RNA(siRNA)が、遺伝子発現を阻害し、遺伝子の機能を理解するために広く使用されてきた。
【0112】
RNA干渉は、(RNAi)は、低分子干渉RNA(siRNA)(Fire et al, Nature 1998,391:806)またはマイクロRNA(miRNA)(Ambros V.Nature 2004,431:350−355)、およびBartel DP.Cell.2004 116(2):281−97)によって媒介される。対応するプロセスは、植物において観察される場合には特異的な転写後の遺伝子サイレンシング、また、真菌において観察される場合にはクエリングと一般的に称される。
【0113】
siRNAは、内因性または外因性の遺伝子/mRNAの発現を下方制御またはサイレンシングする(すなわち、完全にまたは部分的に阻害する)二重鎖RNAである。RNA干渉は、特異的なタンパク質複合体に進入する特定のdsRNA種の能力に基づいており、次いで、それらは相補的な細胞のRNA(すなわち、mRNA)を標的とし、特異的に分解または切断する。よって、RNA干渉応答は、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な配列を有する一本鎖RNAの切断を媒介する、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と一般的に称されるsiRNAを含有する、エンドヌクレアーゼ複合体を特徴とする。標的RNAの切断は、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な領域の中央で起こり得る(Elbashir,et al.,Genes Dev.,2001,15:188)。より詳細には、より長いdsRNAが、III型のRNAseにより、短い(17〜29bp)dsRNA断片(短い阻害性RNAまたは「siRNA」とも称される)へと消化される(DICER、DROSHA等(Bernstein et al.,Nature,2001,409:363−6およびLee et al.,Nature,2003,425:415−9を参照のこと)。RISCタンパク質複合体は、これらの断片および相補的なmRNAを認識する。全プロセスは、標的mRNAのエンドヌクレアーゼ切断によって終結する(McManus and Sharp,Nature Rev Genet,2002,3:737−47、Paddison and Hannon,Curr Opin Mol Ther.2003,5(3):217−24)。(これらの用語および提案された機構に関するさらなる情報については、例えば、Bernstein,et al.,RNA.2001,7(11):1509−21、Nishikura,Cell.2001,107(4):415−8およびPCT公開番号第WO01/36646号を参照のこと)。
【0114】
研究により、siRNAは、ヒトを含む哺乳動物においてインビボで有効であり得ることが明らかになった。具体的には、Bitko et al.が、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ヌクレオカプシドN遺伝子を標的とする特異的なsiRNAが経鼻的に投与されると、マウスの治療に有効であることを示した(Nat.Med.2005,11(1):50−55)。siRNAの治療上の適用の総説については、例えば、Barik(Mol.Med 2005,83:764−773)およびChakraborty(Current Drug Targets 2007 8(3):469−82)を参照のこと。また、加齢関連の黄斑変性(AMD)を治療するために、VEGFR1受容体を標的とする短いsiRNAを用いる臨床研究がヒト患者において行われた(Kaiser,Am J Ophthalmol.2006 142(4):660−8)。治療薬としてのsiRNAの使用に関するさらなる情報は、Durcan,2008.Mol.Pharma.5(4):559−566、Kim and Rossi,2008.BioTechniques 44:613−616、Grimm and Kay,2007,JCI,117(12):3633−41に見出すことができる。
【0115】
本発明によるsiRNAは、未修飾であるか、組換えられているか、または化学修飾されている。siRNAの合成において有用な化学修飾の例は、本発明の出願人に譲渡され、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる、PCT特許出願公開番号第WO2009/044392号に開示される。
【0116】
医薬組成物
本発明は、上記化合物のうちのいずれか1つと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、
a)ハイブリドーマ細胞株E3−8D8(BCCM受託番号LMBP 7203CB)によって産生されるモノクローナル抗体
b)(a)の抗体と同じエピトープに結合する抗体またはその断片、
c)(a)または(b)のヒト化抗体、
d)配列番号6に記載されるアミノ酸配列またはその変異体を含む組換えポリペプチド、および
e)配列番号7および8に記載されるアミノ酸配列またはその変異体を有するCDR3を含む組換えポリペプチド、
f)部分にコンジュゲートされた上記(a)〜(e)のうちのいずれか1つのコンジュゲート
から選択される、抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片であって、
ENDO180を発現する細胞と接触すると、抗体またはその抗原結合断片が細胞に内部移行される、抗体またはその抗原結合断片と、
薬学的に許容されるビヒクルまたは担体と、を含む。
【0117】
いくつかの実施形態において、担体は、脂質粒子または脂質付加されたグリコサミノグリカンを含む。
【0118】
本発明の別の態様は、a)抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片、b)検出可能な標識、細胞傷害性剤、または治療薬から選択される部分、およびc)ナノ担体を含む化合物を提供する。
【0119】
種々の実施形態において、ナノ担体は、多糖ベースのナノ粒子である。種々の実施形態において、本発明の三分子化合物は、

A−X−Y
X−A−Y、または
X Y Aのうちの1つによって表すことができ、
式中、Aは、検出可能な標識、細胞傷害性剤、または治療薬を表し、
Xは、ナノ担体を表し、
Yは、抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片を表す。
【0120】
開示される化合物は、検出可能な標識、細胞傷害性剤、または治療薬が、より効果的かつ高い特異性で所望の細胞に送達されるように、ENDO180ポリペプチドを発現する特定の細胞または組織を標的とするように設計される。例えば、本開示の一実施形態は、癌性細胞および/または組織を標的とする化合物を含む。
【0121】
そのようなことから、これらの化合物の特定の例は、正常細胞よりも高い濃度で癌細胞上に存在するENDO180受容体に結合する抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片を含む。開示される化合物の実施形態は、そのような細胞に治療薬を選択的に送達するために、病変細胞および組織におけるENDO180受容体発現の上方制御を利用する。
【0122】
種々の実施形態において、ナノ担体は、多糖ベースのナノ粒子である。特定の実施形態において、多糖は、グリコサミノグリカンまたはムコ多糖である。種々の実施形態において、グリコサミノグリカンは、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、およびそれらの組み合わせからなるが、これらに限定されない群から選択される。
【0123】
特定の実施形態において、ナノ担体は、効率的に多価である種を提供する自己組織化ナノ粒子を形成するように自己組織化する有機ポリマーを非制限的に含む有機ポリマーを含む。そのような実施形態において、自己組織化ナノ粒子は、同じかまたは異なる化合物を含むことができる。例えば、自己組織化ナノ粒子は、抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片と、検出可能な標識、細胞傷害性剤、または治療薬から選択される部分と、ナノ担体成分と、を有する化合物を含む。
【0124】
開示される化合物の実施形態は、複数の治療薬、細胞傷害性剤の検出可能な標識を含む。そのような実施形態において、化合物は、異なる治療薬、造影剤、および細胞傷害性剤を含む。特定の実施形態において、2つ以上の治療薬を有する化合物は、多価効果による増大した治療効果を有する。
【0125】
本発明はさらに、対象に投与するために処方された、開示される化合物およびコンジュゲートを含む医薬組成物を提供する。本発明のさらなる態様は、開示される化合物を使用して、癌、転移性疾患、および線維症を含む増殖性疾患を有する対象を治療する方法を提供し、したがって、医薬組成物は、この目的のために本明細書において提供される。
【0126】
好ましい実施形態において、治療薬は、表Aに記載される標的遺伝子の発現を阻害する化学修飾siRNA化合物である。
【0127】
いくつかの実施形態において、組成物は、単一の遺伝子または複数の遺伝子を標的とする2つ以上のsiRNAを含む、2つ以上の異なる治療薬の混合物を含む。
【0128】
本発明はさらに、標的遺伝子の発現または活性を阻害するのに有効な量で、本発明の1つ以上の化合物に共有結合的または非共有結合的に結合する少なくとも1つの本発明の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する.
【0129】
本明細書における目的のための薬学的な「有効量」は、したがって、当該技術分野において既知であるそのような考慮事項によって決定される。量は、生存率の改善もしくはより迅速な回復、または症状の改善もしくは排除、および当業者によって適切な尺度として選択される他の指標の向上を含むが、これらに限定されない改良を達成するために有効でなければならない。本発明の化合物は、従来の投与経路のうちのいずれによっても投与することができる。化合物は、化合物もしくは薬学的に許容される塩として投与されてもよく、単独で、または薬学的に許容される担体、溶媒、希釈剤、賦形剤、アジュバント、およびビヒクルと組み合わせて活性成分として、投与されてもよいことに留意されたい。化合物は、経口的、皮下的、または非経口的に投与することができ、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、および鼻腔内投与、ならびに髄腔内および注射手技を含む。また、化合物の移植片も有用である。液体形状は、注射用に調製されてもよく、該用語は、皮下、経皮、静脈内、筋肉内、髄腔内、および他の非経口投与経路を含む。液体組成物は、有機共溶媒を含むかまたは含まない水溶液、水性または油性の懸濁液、食用油を含む乳剤、および同様の薬学的ビヒクルを含む。また、特定の状況下において、本発明の新規治療において使用するための組成物は、鼻腔内等の投与のためのエアロゾルとして形成されてもよい。治療される患者は、温血動物であり、特に、人類を含む哺乳動物である。薬学的に許容される担体、溶媒、希釈剤、賦形剤、アジュバント、およびビヒクル、ならびに移植担体は、本発明の活性成分と反応しない不活性、非毒性の固体もしくは液体のフィルタ、希釈剤、または封入物質を一般的に指し、それらは、リポソーム、脂質付加されたグリコサミノグリカン、およびミクロスフェアを含む。本発明において有用である送達系の例は、米国特許番号第5,225,182号、第5,169,383号、第5,167,616号、第4,959,217号、第4,925,678号、第4,487,603号、第4,486,194号、第4,447,233号、第4,447,224号、第4,439,196号、および第4,475,196号を含む。多くの他のそのような移植片、送達系、およびモジュールは、当業者に周知である。
【0130】
一般に、ヒト用の化合物の活性用量は、1〜2週間またはそれ以上、好ましくは24〜48時間の期間にわたる、1日当り1回、または1日当り2回もしくは3回もしくはそれ以上の回数の処方計画において、あるいは1〜2週間またはそれ以上の期間中の持続注入により、1日体重1kg当たり1ngから約20〜100mg、好ましくは、1日体重1kg当たり約0.01mgから約2〜10mgの範囲内である。
【0131】
さらに、本発明は、本発明の遺伝子のmRNA転写物を本発明の化合物の1つ以上と接触させることを含む、本発明の遺伝子の発現を対照と比較して少なくとも50%阻害する方法を提供する。
【0132】
一実施形態において、治療薬は標的遺伝子を阻害し、該阻害は、遺伝子機能の阻害、ポリペプチドの阻害、およびmRNA発現の阻害からなる群から選択される。
【0133】
医薬組成物は、単回投与または複数回投与を提供するように処方される。
【0134】
種々の実施形態において、本発明のコンジュゲートまたは混合物を含む医薬組成物は、静脈内、筋肉内、局所的、または皮下的にに対象に投与される。
【0135】
本発明による医薬組成物はまた、本明細書に開示される疾患を予防および/または治療するための方法において使用することもでき、該方法は、本明細書に記載される疾患のうちのいずれかのために、本発明によるコンジュゲート、本発明による混合物、または本発明による医薬組成物もしくは薬物の投与することを含む。
【0136】
診断
本発明の化合物は、生物試料においてENDO180を発現する細胞を診断するのに有用である。
【0137】
送達
いくつかの実施形態において、本発明の抗体、抗原結合断片、および/またはコンジュゲートは、担体または希釈剤を用いて調製した裸分子(naked molecule)の直接的な適用によって標的組織に送達される。
【0138】
用語「裸分子」は、ウイルス配列、ウイルス粒子、脂質粒子、リポソーム製剤、リポフェクチン、または沈殿剤等を含む、細胞への進入を補助、促進、または容易にするよう作用する任意の送達ビヒクルを含まない、抗体、抗原結合断片、またはコンジュゲートを指す。例えば、PBS中のsiRNAは「裸のsiRNA」である。しかしながら、いくつかの実施形態において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはコンジュゲートは、脂質粒子、多糖粒子、もしくはそれらの組み合わせ、リポソーム製剤、またはリポフェクチン製剤等とともに送達され、当業者に周知の方法によって調製され得る。そのような方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,593,972号、第5,589,466号、および第5,580,859号に記載される。
【0139】
他の実施形態において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはコンジュゲートは、送達粒子に付着されるかまたはその中に封入される。いくつかの実施形態において、コンジュゲート分子のENDO180結合ドメインは、送達粒子の外部表面に曝露される。いくつかの実施形態において、送達粒子は、リポソームである。特定の好ましい実施形態において、送達粒子は、脂質付加されたグリコサミノグリカン粒子である。そのような粒子は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願番号第10/487,022号(出願番号第20040241248号)、米国特許出願番号第11/718,485(出願公開番号第20080248092号)、米国特許出願番号第11/632,647号(出願番号第20090022656)に記載される。理論に拘束されることを望むものではないが、抗体またはその抗原結合断片は、送達粒子の表面上に曝露され、その表面上でENDO180ポリペプチドを発現する標的細胞に向かって進む、つまり標的とする。
【0140】
薬学的に許容される担体、溶媒、希釈剤、賦形剤、アジュバント、およびビヒクル、ならびに移植担体は、本発明の活性成分と反応しない不活性、非毒性の固体もしくは液体のフィルタ、希釈剤、または封入物質を一般的に指し、それらは、リポソームおよびミクロスフェアを含む。本発明において有用である送達系の例は、米国特許番号第5,225,182号、第5,169,383号、第5,167,616号、第4,959,217号、第4,925,678号、第4,487,603号、第4,486,194号、第4,447,233号、第4,447,224号、第4,439,196号、および第4,475,196号を含む。多くの他のそのような移植片、送達系、およびモジュールは、当業者に周知である。本発明の1つの特定の実施形態において、局所性および経皮性の製剤が選択されてもよい。本発明のsiRNAまたは医薬組成物は、個々の患者の臨床状態、治療される疾患、投与の部位および方法、投与のスケジュール、患者の年齢、性別、体重、ならびに医療従事者に既知である他の要因を考慮に入れ、医療実施基準に従って投与および投薬される。
【0141】
本明細書における目的のための「治療上の有効量」は、したがって、当該技術分野において既知であるそのような考慮事項によって決定される。用量は、生存率の改善もしくはより迅速な回復、または症状の改善もしくは排除、および当業者によって適切な尺度として選択される他の指標の向上を含むが、これらに限定されない改良を達成するために有効でなければならない。
【0142】
一般に、ヒト用の化合物の活性用量は、1〜4週間またはそれ以上の期間にわたる、1日当り1回、または1日当り2回もしくは3回もしくはそれ以上の回数の処方計画において、1日体重1kg当たり1ngから約20〜100mg、好ましくは、1日体重1kg当たり約0.01mgから約2〜10mgの範囲内である。
【0143】
本発明の化合物は、従来の投与経路のうちのいずれによっても投与することができる。本化合物は、化合物もしくは薬学的に許容される塩として投与されてもよく、単独で、または薬学的に許容される担体、溶媒、希釈剤、賦形剤、アジュバント、およびビヒクルと組み合わせて活性成分として、投与されてもよいことに留意されたい。化合物は、経口的、皮下的、または非経口的に投与することができ、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、および鼻腔内、吸引、経鼓膜投与、ならびに髄腔内および注射手技を含む。また、化合物の移植片も有用である。液体形状は、注射用に調製されてもよく、該用語は、皮下、経皮、静脈内、筋肉内、髄腔内、経鼓膜、経鼻、および他の非経口投与経路を含む。液体組成物は、有機共溶媒を含むかまたは含まない水溶液、水性または油性の懸濁液、食用油を含む乳剤、および同様の薬学的ビヒクルを含む。特定の実施形態において、投与は、静脈内投与を含む。別の実施形態において、投与は、局所または局部投与を含む。また、特定の実施形態において、本発明の新規治療における使用のための組成物は、例えば、鼻腔内投与用に、エアロゾルとして形成されてもよい。
【0144】
特定の実施形態において、口腔粘膜炎の治療のための口内洗浄液に好適な経口組成物等の経口組成物(錠剤、懸濁液、溶液等)は、口腔への局部送達に有効であり得る。
【0145】
液体形態は、ドロップ剤または噴霧剤用に調製される。液体組成物は、有機共溶媒を含むかまたは含まない水溶液、水性または油性の懸濁液、油を含む乳剤、および同様の薬学的ビヒクルを含む。いくつかの実施形態において、投与は、局所または局部投与を含む。
【0146】
これらの化合物は、例えば、噴霧剤またはドロップ剤を用いて眼への任意の好適な投与経路によって、および軟膏、懸濁剤、またはドロップ剤を用いて局所的に、治療のためにヒトおよび他の動物に投与される。
【0147】
好ましい実施形態において、治療される対象は、温血動物であり、具体的には、ヒトを含む哺乳動物である。
【0148】
本発明の化合物の送達に好適な方法は、とりわけ、全身性送達、トランスフェクション、リポフェクション、およびエレクトロポレーションを含む。さらなる態様において、本発明は、本発明による送達分子−治療薬コンジュゲートまたは抗ENDO180抗体または抗ENDO180抗体−治療薬混合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤、もしくはアジュバント、または他のビヒクル(複数可)を含む医薬組成物に関する。
【0149】
好ましくは、そのような担体、希釈剤、アジュバント、およびビヒクルは、不活性で非毒性である。医薬組成物は、その種々の実施形態において、種々の様式の投与に適応する。そのような投与は、全身および局所投与、ならびに経口、皮下、非経口、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、髄腔内、経鼓膜、および眼内を含む。
【0150】
いくつかの実施形態において、ビヒクルは、脂質粒子、多糖粒子、またはそれらの組み合わせ、および脂質付加されたグリコサミノグリカン粒子(ギャゴマー(gagomer))から選択される。種々の実施形態において、送達分子−治療薬コンジュゲートまたは抗体−治療薬混合物は、脂質粒子または脂質付加されたグリコサミノグリカン粒子の外部表面に、少なくとも部分的に曝露される。
【0151】
当業者は、医薬組成物および各々のsiRNAの量は、個々の患者の臨床状態、投与の部位および方法、投与のスケジュール、患者の年齢、性別、体重、ならびに医療従事者に既知である他の要因に依存することを認識するであろう。予防および/または治療の目的のための薬学的な有効量は、したがって、当該技術分野において既知であるそのような考慮事項によって決定される。好ましくは、量は、病態を改善すること、または、症状および医療分野における当業者によって適切な尺度として選択される他の指標のより迅速な回復、改善、もしくは排除を提供することを含むが、これに限定されない改善を達成するために有効である。
【0152】
併用療法
種々の実施形態において、本発明は併用療法に関する。一実施形態において、2つ以上の治療薬の同時投与は、相乗効果、すなわち、その組み合わせの個々の成分の治療効果の合計よりも高い治療効果を達成する。別の実施形態において、2つ以上の治療薬の同時投与は、付加的な効果を達成する。
【0153】
併用療法を成す活性成分は、単一剤形によって一緒に投与されてもよいか、または各活性剤の別個の投与によって投与されてもよい。特定の実施形態において、第1および第2の治療薬は、単一剤形で投与される。薬剤は、非経口投与等のために、単一の錠剤、ピル剤、カプセル剤、または溶液に処方されてもよい。代替として、第1の治療薬および第2の治療薬は、別個の組成物として投与されてもよい。第1の活性剤は、第2の活性剤と同時に投与されてもよいか、または第1の活性剤は、第2の活性剤とともに間欠的に投与されてもよい。第1の治療薬および第2の治療薬の投与間の時間の長さは、所望の治療効果を達成するように調節することができる。例えば、第2の治療薬は、第1の治療薬の投与後、わずか数分(例えば、1、2、5、10、30、もしくは60分)または数時間(例えば、2、4、6、10、12、24、もしくは36時間)で投与されてもよい。特定の実施形態において、第2の治療薬の投与間に、治療薬のうちの1つを1回以上投与することが有利であるかもしれない。例えば、第2の治療薬は、第1の治療薬の投与後2時間で、次いで再び10時間で投与されてもよい。代替として、特定の実施形態において、第2の治療薬の投与間に、第1の治療薬を1回以上投与することが有利であるかもしれない。重要なのは、併用療法の全体的な治療効果が、その併用療法の複合効果または相乗効果にある程度起因するように、各活性成分の治療効果が、各治療薬の期間の少なくとも一部の間重複することが望ましいということである。
【0154】
本発明は、本発明の遺伝子の発現を下方制御する化合物および化合物の使用に関し、特に、低子干渉RNA(siRNA)を含むコンジュゲートに関する。標的遺伝子の阻害に有用な方法、分子、および組成物は、本明細書において詳述され、上記分子および/または組成物のうちのいずれもが、増殖性または線維性疾患に罹患する対象の治療において有益に用いることができる。
【0155】
治療方法
本発明のさらなる態様は、癌、転移性疾患、および線維症を含む増殖性疾患を治療する方法を提供する。制御不能な病的細胞成長と関連する疾患または障害(例えば、癌、乾癬、自己免疫疾患)の治療のための方法、とりわけ、虚血および適切な血流の欠乏と関連する疾患(例えば、心筋梗塞(MI)および脳卒中)の治療のための方法が提供される。具体的には、本発明の化合物および組成物は、病変細胞および/または組織の少なくとも一部においてENDO180が発現される増殖性疾患の治療において有用である。
【0156】
「癌」または「腫瘍」は、細胞の異常な増殖を指す。これらの用語は、良性または悪性であり得る原発性腫瘍、および身体の他の部位に広がった二次性腫瘍または転移の両方を含む。増殖性疾患の例は、とりわけ、細胞腫(例えば、乳房、結腸、および肺)、B細胞白血病等の白血病、B細胞リンパ腫等のリンパ腫、神経芽細胞腫等の芽細胞腫、ならびに黒色腫および肉腫を含む。本発明による医薬組成物は、血管新生を含む望ましくない血管の発達または成長を伴う任意の疾患、ならびに本明細書に記載される疾患および状態のうちのいずれかのために使用することができることを認識されたい。
【0157】
本発明は、癌細胞がENDO180ポリペプチドを発現する癌性の増殖性疾患(例えば、肺癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、胃癌、腎癌、白血病、肝癌、リンパ腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、皮膚癌、精巣癌、および子宮癌)に罹患する患者を治療するための方法および組成物を提供する。1つの特定の実施形態において、癌は、RCCおよびTCCを含む腎癌である。
【0158】
「癌」および「癌性疾患」は、交換可能に使用され、不適切に高いレベルの細胞分裂、不適切に低いレベルのアポトーシス、またはその両方によって引き起こされるか、あるいはそれらを生じさせる疾患を指す。癌性疾患の例は、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、ならびに肉腫および癌腫等の固形腫瘍(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、ヘパトーム、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫(oligodenroglioma)、シュワン腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫)を含むが、これらに限定されない。原発性癌の転移が含まれる。いくつかの好ましい実施形態において、本発明の化合物は、腎癌、乳癌、卵巣癌、および肺および骨を含む種々の器官におけるそれらの転移を治療するのに有用である。
【0159】
本明細書において使用される場合、用語「増殖性疾患」は、悪性または良性のいずれかである細胞増殖がその病態に寄与する任意の疾患を指す。そのような望ましくない増殖は、癌および多くの慢性炎症性疾患の特徴であり、よって、「増殖性疾患」の例は、上に列挙した癌、ならびに乾癬、炎症性腸疾患、および関節リウマチ等の慢性炎症性増殖性疾患;再狭窄等の増殖性循環器疾患;糖尿病性網膜症等の増殖性眼障害;そして血管腫等の良性の過増殖性疾患を含む。
【0160】
線維性疾患
線維性疾患は、組織構造における異常な変化に寄与して正常な器官の機能を妨げる、細胞外マトリックスと呼ばれる線維性物質の過剰な産生によって特徴付けられる、慢性疾患群である。世界中の何百万という人々が、しばしば生命を脅かすこれらの慢性疾患に罹患している。残念ながら、線維症は、広く蔓延しており、衰弱性であり生命を脅かすことが多いにも関わらず、現在のところ、利用可能な効果的な治療法は存在しない。
【0161】
ヒトの体は、瘢痕による外傷および損傷に応答する。過剰な瘢痕化によって特徴付けられる疾患の一種である線維症は、正常な創傷治癒応答が妨げられたときに起こる。線維症の間、創傷治癒応答は、コラーゲンの過剰な産生および沈殿を起こし続ける。
【0162】
線維性障害は急性または慢性であり得るが、該障害は、正常組織が瘢痕組織で置き換えられたときに、過剰なコラーゲンの蓄積および関連した機能喪失という、共通の特徴を共有する。
【0163】
線維症は多様な原因から生じ、種々の器官において確認され得る。肝硬変、肺性線維症、サルコイドーシス、ケロイド、高血圧症、および腎線維症はみな、組織機能の連続的な喪失を引き起こす進行性の線維症を誘発する慢性疾患である。
【0164】
急性線維症(通常、突発的かつ重度の発症を伴い、短期間である)は、偶発的な損傷(特に、脊椎および中枢神経系に対する損傷)を含む種々の形態の外傷、感染、手術(心臓発作後の心臓の瘢痕化)、火傷、環境汚染、アルコールおよび他の種類の毒素、急性呼吸促迫症候群、放射線、ならびに化学療法治療に対する共通の応答として起こる。外傷によって損傷を受けた全ての組織は、特に、損傷が繰り返されると、瘢痕化して線維性になる傾向がある。器官機能の進行性の喪失が病的状態、入院、透析、障害、時には死亡さえもたらすため、重度の器官の線維症は非常に深刻であることが多い。線維性疾患、または線維症が明らかである障害は、肺線維症、間質性肺疾患、ヒト線維性肺疾患、肝臓線維症、心臓線維症、黄斑性変性症、網膜および硝子体の網膜症、心筋線維症、グレーヴス眼症、薬剤性麦角中毒、心血管性疾患、アテローム性動脈硬化症/再狭窄、ケロイドおよび肥厚性瘢痕、ハンセン病、ならびにコラーゲン性大腸炎を含む炎症性腸疾患を含む。
【0165】
異なる種類の線維症についてのさらなる情報は、例えば、Yu et al(2002),"Therapeutic strategies to halt renal fibrosis",Curr Opin Pharmacol.2(2):177−81、Keane and Lyle(2003),"Recent advances in management of type 2 diabetes and nephropathy:lessons from the RENAAL study",Am J Kidney Dis.41(3 Suppl 2):S22−5、Bohle et al(1989),"The pathogenesis of chronic renal failure",Pathol Res Pract.185(4):421−40、Kikkawa et al(1997),"Mechanism of the progression of diabetic nephropathy to renal failure",Kidney Int Suppl.62:S39−40、Bataller and Brenner(2001),"Hepatic stellate cells as a target for the treatment of liver fibrosis",Semin Liver Dis.21(3):437−51、Gross and Hunninghake(2001)"Idiopathic pulmonary fibrosis",N Engl J Med.345(7):517−25、Frohlich(2001)"Fibrosis and ischemia:the real risks in hypertensive heart disease",Am J Hypertens;14(6 Pt 2):194S−199Sに見出すことができる。
【0166】
糖尿病性腎症
糸球体硬化症および腎線維症を特徴とする糖尿病性腎症は、現代社会における末期腎疾患の唯一最大の流行原因であり、糖尿病患者は、最大の透析人口を構成する。そのような治療はコストが高く、最適には程遠い。移植は良好な予後を提供するが、ドナー不足が深刻である。これらの病態の根底にある分子機構の大部分が未知であるため、糖尿病性腎症(および他の種類の腎臓の病態)により特化した治療法は開発されていない。疾患において調節され、糖尿病性腎症の予後の重症度に影響を及ぼす、必要不可欠な機能的標的遺伝子の同定は、高い診断価値および治療価値を有する。
【0167】
腎臓における多くの病理プロセスは、最終的には、同様のまたは同一の形態学的変化、すなわち糸球体硬化症および線維症に至ることは、当該技術分野において既知である。ヒト腎疾患は、糸球体腎炎、全身性狼瘡と関連する腎炎、癌、物理的閉塞、毒素、代謝性疾患、および免疫学的疾患を含む種々の起源に端を発する可能性があり、これらは全て結果的に腎線維症に至る。この現象の意味は、異なる種類の傷害が、線維症の2つの特徴である線維芽細胞の増殖と、線維芽細胞による結合性組織の種々のタンパク質成分の過剰産生とをもたらす、同じ単一の遺伝的プログラムに集約されるということである。また、糸球体中の基底膜の肥厚化は間質性線維症を併発し、糸球体硬化症に至る。腎線維症および糸球体硬化症に関与するタンパク質をコードする遺伝子は、大まかに2つのグループに分けることができる。
1.その発現が線維芽細胞の増殖の引き金となり、その発現によって、結合性組織の種々のタンパク質成分の過剰産生をもたらす遺伝子。これらは、異なる病態に特異的であり得る。
2.その発現が「線維性または硬化性プログラム」の実行をもたらす遺伝子。これらは、線維症および糸球体硬化症ををもたらす全ての腎臓病理と共通し得る。
【0168】
第2のグループに属する遺伝子の同定は、線維芽細胞およびメサンギウム細胞の増殖ならびに過剰分泌を伴う分子機構の理解に貢献するはずであり、腎不全を予防することを目的とした創薬のための標的遺伝子を構成し得る。そのような薬剤の適用は、線維症および糸球体硬化症の進行を抑制、遅延、予防、阻害、または軽減することが予想される。
【0169】
併用療法
本発明は、本発明に記載される増殖性疾患、特に癌のための、併用療法を提供する。上記併用療法において、治療される疾患の症状を寛解させるために、1つ以上の遺伝子が標的とされる。これらの遺伝子は、本発明の抗体−ヌクレオチド複合体によって阻害される。
【0170】
キット
少なくとも1つの本発明の抗ENDO180モノクローナル抗体を含むキットが、さらに提供される。「キット」は、ENDO180に対する特異的結合のための少なくとも1つの試薬、すなわち抗体を含む、任意の製品(例えば、パッケージまたは容器)を指す。キットは、治療的処置および診断を含む本発明の方法を行うために使用することができる。さらに、キットは、キット、その内容、および使用法を記載する添付文書を含んでもよい。
【0171】
一実施形態において、本発明のキットは、
a)ハイブリドーマ細胞株E3−8D8(BCCM受託番号LMBP 7203CB)によって産生されるモノクローナル抗体
b)(a)の抗体と同じエピトープに結合する抗体またはその断片
c)配列番号6と実質的に同様であるポリペプチドを含む抗体の断片
d)配列番号7および8に記載されるアミノ酸配列と実質的に同様であるアミノ酸配列を有するCDRを含む組換えポリペプチド、
から選択される、抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片を含む組成物を少なくとも含む。
【0172】
本発明は、例示的な様式で説明してきており、使用してきた専門用語は、限定ではなく、説明の語句の性質を持つことが意図されることを理解されたい。
【0173】
本明細書におけるいかなる文献の引用も、そのような文献が、適切な先行技術であること、または本発明のいずれかの特許請求の範囲の特許性に対して考慮される文献であるということの承認を意図するものではない。いずれの文献の内容または日付に関するいかなる記述も、出願の時点で出願人に入手可能な情報に基づくものであって、そのような記述の正当性に関する承認を構成するものではない。

【実施例】
【0174】
分子生物学における一般的方法
当該技術分野において既知であり、本明細書に明記されていない標準的な分子生物学の技術に関しては、概ね、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1989)、およびAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989)、およびPerbal,A Practical Guide to Molecular Cloning,John Wiley&Sons,New York(1988)、およびin Watson et al.,Recombinant DNA,Scientific American Books,New York、およびin Birren et al(eds)Genome Analysis:A Laboratory Manual Series,Vols.1−4 Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998)、ならびに米国特許第4,666,828号、第4,683,202号、第4,801,531号、第5,192,659号、および第5,272,057号に記載される方法論に従い、それらは参照により本明細書に組み込まれる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、概ね、PCRプロトコルA Guide To Methods And Applications, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されるように行った。フローサイトメトリーと組み合わせたインサイツ(細胞内)PCRは、特定のDNAおよびmRNA配列を含有する細胞の検出に使用することができる(Testoni et al,1996,Blood 87:3822.)。
【0175】
免疫学における一般的方法:当該技術分野において既知であり、本明細書に明記されていない免疫学における標準的方法は、概ね、Stites et al(eds),Basic and Clinical Immunology(8th Edition),Appleton&Lange,Norwalk,CT(1994)およびMishell and Shiigi(eds),Selected Methods in Cellular Immunology,W.H.Freeman and Co.,New York(1980)に従った。
【0176】
イムノアッセイ:ELISAイムノアッセイは、当業者に周知である。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方をこのアッセイに使用することができる。必要に応じて、ラジオイムノアッセイ(RIA)等の他のイムノアッセイが、当業者に既知であるように使用されてもよい。利用可能なイムノアッセイは、特許文献および科学文献に広範に記載されている。例えば、米国特許第3,791,932号、第3,839,153号、第3,850,752号、第3,850,578号、第3,853,987号、第3,867,517号、第3,879,262号、第3,901,654号、第3,935,074号、第3,984,533号、第3,996,345号、第4,034,074号、第4,098,876号、第4,879,219号、第5,011,771号、および第5,281,521号、ならびにSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor,New York,1989を参照のこと。
【0177】
抗体の産生
本発明において使用される用語「抗体」とは、エピトープ決定基に結合することが可能な、ポリクローナルおよびモノクローナルの両方の全抗体、ならびにその断片(Fab、F(ab’)2、scFv、およびFv等)を意味する。これらの抗体断片は、その抗原または受容体と選択的に結合する能力を保持し、とりわけ以下のように例示される。
(1)Fab:抗体分子の一価の抗原結合断片を含有する断片であり、全抗体を酵素パパインで消化し、軽鎖および重鎖の一部を生じさせることによって産生することができる。
(2)(Fab’)2:全抗体を酵素ペプシンで処理し、その後に還元を行わないで得ることができる抗体の断片である。F(ab’2)は、2つのジスルフィド結合によってともに維持された2つのFab断片の二量体である。
(3)Fv:2本の鎖として発現される軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含有する遺伝子操作された断片として定義される。
(4)scFv(単鎖抗体(SCA)):遺伝子的に融合させた単鎖分子として、好適なポリペプチドリンカーによって連結された軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含有する、遺伝子操作した分子として定義される。
【0178】
抗体の機能活性を有するそのような断片は、当業者に既知の方法によって調製することができる(Bird et al.(1988)Science 242:423−426)。
【0179】
好都合なことに、抗体は、免疫原またはその一部に対して調製することができ、例えば、配列に基づくかもしくはクローン技術による組換えによって調製される合成ペプチド、または天然の遺伝子産物および/またはその一部が、単離されて免疫原として使用されてもよい。Harlow and Lane(1988),Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY、およびBorrebaeck(1992),Antibody Engineering−A Practical Guide,W.H.Freeman and Co.,NYに一般的に記載されるように、免疫原は、当業者に周知の標準的な抗体産生技術によって抗体を産生するために使用することができる。
【0180】
ポリクローナル抗体を生産するために、ウサギまたはヤギ等の宿主を、通常はアジュバントとともに、また必要に応じて担体に結合させて、免疫原または免疫原断片で免疫し、免疫原に対する抗体を血清から回収する。さらに、ポリクローナル抗体は、単一特異性になるように吸収させることができる、つまり、交差反応する抗体が血清中に残らないように、関連する免疫原に対して血清を吸収させて、該抗体を単一特異性にする。
【0181】
モノクローナル抗体を生成するために、上記技術は、免疫原を用いた適切なドナー(一般的にはマウス)の過剰免疫と、脾臓の抗体産生細胞の単離とを伴う。これらの細胞を、ミエローマ細胞等の不死細胞と融合させて、不死の、必要な抗体を分泌する融合細胞ハイブリッドを提供する。次いで、細胞を大量に培養し、モノクローナル抗体を培養培地から採取して使用する。
【0182】
組換え抗体を生成するためには、Huston et al.(1991)"Protein engineering of single−chain Fv analogs and fusion proteins"in Methods in Enzymology(JJ Langone,ed.,Academic Press,New York,NY)203:46−88、Johnson and Bird(1991)"Construction of single−chain Fvb derivatives of monoclonal antibodies and their production in Escherichia coli in Methods in Enzymology(JJ Langone,ed.;Academic Press,New York,NY)203:88−99、Mernaugh and Mernaugh(1995)"An overview of phage−displayed recombinant antibodies"in Molecular Methods In Plant Pathology(RP Singh and US Singh,eds.;CRC Press Inc.,Boca Raton,FL:359−365)を一般的に参照されたい。また、動物の抗体産生Bリンパ球またはハイブリドーマ由来のメッセンジャーRNAは、相補的DNA(cDNA)を得るように逆転写することができる。抗体cDNAは、完全長または部分長であり得、ファージまたはプラスミド内で増幅およびクローン化される。cDNAは、リンカーによって分離または接続された重鎖および軽鎖cDNAの部分長であり得る。抗体または抗体断片は、組換え抗体を得るための好適な発現系を使用して発現される。抗体cDNAはまた、適切な発現ライブラリーをスクリーニングすることによっても得ることができる。
【0183】
当該技術分野で周知のように、抗体は、固体支持基板に結合され得るか、または検出可能な部分とコンジュゲートされ得るか、または結合およびコンジュゲートの両方が可能である(蛍光部分または酵素部分のコンジュゲーションに関する一般的な考察については、Johnstone&Thorpe(1982.),Immunochemistry in Practice,Blackwell Scientific Publications,Oxfordを参照のこと)。固体支持基板に対する抗体の結合もまた、当該技術分野において周知である(一般的な考察については、Harlow&Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Publications,New York、およびBorrebaeck(1992),Antibody Engineering−A Practical Guide,W.H.Freeman and Co.を参照のこと)。本発明とともに企図される検出可能な部分または標識は、ビオチン、金、フェリチン、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ウレアーゼ、フルオレセイン、ローダミン、トリチウム、14C、およびヨウ素化等の、蛍光性、金属性、酵素性および放射性標識を含むが、これらに限定されない。
【0184】
組換えタンパク質の精製
標準的な精製については、Marshak et al.(1996),"Strategies for Protein Purification and Characterization.A laboratory course manual."CSHL Pressを参照されたい。
【0185】
ヒトENDO180 mRNAのポリヌクレオチド配列は、オープンリーディングフレーム(ORF)が4439塩基(117〜4441)である5641塩基、受託番号NM_006039に記載され、1479アミノ酸(aa)のポリペプチド配列は、遺伝子識別番号GI:110624774の受託番号NP_006030に記載される。マウスmRNA配列は、5818塩基であり、1479aaのORFで受託番号MMU56734である。
【0186】
ENDO180は、以下のようないくつかのタンパク質ドメインを含む:1−31aa SP(シグナルペプチド);41−161aaシステイン富化N末端ドメイン;180−228aa FNII(フィブロネクチンII型)ドメイン;8CDR(糖認識ドメイン)ドメイン1CRD−8CRD(235−360aa 1CRD、382−505aa 2CRD、521−645aa 3CRD、669−809aa 4CRD、825−951aa 5CRD、972−1108aa 6CRD、1161−1244aa 7CRD、1261−1394aa 8CRD);1413−1435aa 1TM(膜貫通ドメイン)、1437−1479aa細胞質ドメイン。
【0187】
配列リストの参照
本明細書に記載される配列(配列番号1〜9)は、2010年3月23日に作成されたテキストファイル、標題「202−PCT1.ST25.txt」(ファイルサイズ36KB)において、USPTOの電子出願システム(EFS)を介して本出願とともに提出されており、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
実施例1:マイクロアレイハイブリダイゼーション試験によるENDO180過剰発現の同定
【0188】
本発明に従って、糖尿病性腎症および腎線維症において差異的に制御される遺伝子を発見するために、マイクロアレイハイブリダイゼーション手法を用いた。
【0189】
マイクロアレイベースの遺伝子発現の分析は、線維症の特徴である細胞外コラーゲンの蓄積および増殖に変化をもたらす選択された刺激に供したヒト線維芽細胞の分析に基づくものであった。本発明に従い、特異的な「線維症」DNAチップを最初に調製し、その後、19の異なる種類のプローブでマイクロアレイハイブリダイゼーション実験を行った。専用アルゴリズムによって結果の分析を行い、物情報学および科学文献を使用して、選択された遺伝子セットの分析が発明者により行われた。
【0190】
実施例2:ヒト抗ENDO180抗体の産生
目的は、ENDO180の細胞外部分に結合し、抗ENDO180抗体−カーゴ複合体/コンジュゲートを内部移行させる抗ENDO180抗体を作成することであった。
【0191】
抗原の産生:抗体産生のための抗原を選択する上での構造的な考慮事項は、アミノ酸1〜522(配列番号9)が空間的に形成するリガンド結合構造を含んでいた。
【0192】
ヒトENDO180ポリヌクレオチドのヌクレオチド1〜1566を、FLAGエピトープを含む発現ベクターにクローン化することによって、組換えENDO180抗原を産生した。組換えクローンのポリヌクレオチド配列は配列番号3に記載され、アミノ酸配列は配列番号4に記載される。ベクターを293T細胞にトランスフェクトし、ヒトENDO180の部分的な細胞外ドメイン(59KD)を発現しているクローンを同定した。ECDhENDO180−FLAGタンパク質を次のように単離した:0.22umフィルタを通して約2.2リットルの条件培地を濾過した。事前に(TBSで)平衡化したM2アガロース(5ml、Sigma)上に、1ml/分の流速で培地を負荷した。TBSを使用して10カラム体積で樹脂を洗浄し、次いで、50mM Tris(pH7.5)、1M NaClを用いて10体積で洗浄し、最後に10体積のTBSで洗浄した。TBS中の0.5mg/mlのFLAGペプチド10ml、pH7.5(最終pH)で溶出を行った。カラムの流出を開始する前に、溶出バッファーで樹脂を20分間インキュベートした。試料を濃縮し、VivaSpin(商標)を使用してFLAGペプチドを除去した(カットオフ10Kd)。最終的に10%になるようにグリセロールを加え、タンパク質を液体窒素中で急速冷凍した。
【0193】
ミニ抗体の同定:Di Niro et al,2007.Construction of miniantibodies for the in vivo study of human autoimmune diseases in animal models.BMC Biotechnology 7:46に開示される方法に従ってミニ抗体を同定した。
【0194】
本発明による特定の好ましい抗体は、配列番号7および配列番号8に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖および軽鎖CDR3ドメインを含む組換えポリペプチドである。
【0195】
実施例3:抗ENDO180モノクローナル抗体
方法および概要
1.製造者(GE Healthcare)の指示に従って、CypHer5eを用いたmAbおよびMBの標識を行った。
2.標準的なELISAにより、精製したENDO180細胞外ドメインへの結合について、標識/未標識のmAbおよびMBをテストした。
クローン6D6、8D8、8E7、および9G10は、CypHer5Eで標識した後もなお、ENDO180DCTLD3−8−FLAGに対する飽和結合を示した。対照的に、クローン8D2およびMB(ミニ抗体)の結合は、標識することにより有意に損なわれた。
3.当業者向けの方法に従って内部移行アッセイを行った。
標識したmAb 6D6、8D8、8E7、およびG10でインキュベートしたENDO180を発現する細胞は、1時間後37℃で、いくらかの蛍光増加を示した。最も留意すべきは、標識したMBでインキュベートした同じ細胞が強い蛍光を示したことである。この蛍光の増加は、対照細胞またはENDO180細胞において40Cで見られなかった。また、対照mAb(10F12)は効果を示さなかった。
4.動態実験
前回の実験の結果に基づいて、mAb 6D6、8D8、およびMBをテストした。10分〜1時間の動態実験において、mAb 8D8およびMBが最良の内部移行を示した。全ての陰性対照、対照細胞(4℃、いくつかの図において40Cと示される)、および対照mAbは陰性であった。
【0196】
実験の詳細および結果
ヒトENDO180(配列番号9)のほとんどのN末端ドメイン(1−522aa)に対する抗ENDO180モノクローナル抗体(mAb)を作製し、本質的にENDO180特異的な様式において内部移行についてスクリーニングし、フルオロフォアCypHer5Eにコンジュゲートした。
【0197】
mAbの産生:約8リットルの各ハイブリドーマを、5%FBS IgG FREE、1%Penstrep、1%L−グルタミン、50μg/mlゲンタマイシン、2.5μg/mlアムホテリシンB(ファンギゾン)を補充したDMEM培地で成長させた。約200μg/mlの抗体濃度で、約60mlを細胞株のフラスコから得た。成長期間は1ヶ月であった。プロテインAセファロースカラム、続いて2サイクルのサイズ分離カラムを使用して、精製を行った。
【0198】
mAb 8D8(E3−8D8)、6D6、8E7、9G10、8D2を、標的部分に対するコンジュゲーションのために選択した。
【0199】
製造者の指示に従って、mAbを、CypHer5E:抗体のモル比20:1で、赤色励起性でpH感受性の蛍光シアニン色素CypHer5E(カタログ番号pA15405、Amersham)に共有結合させた。フルオロフォアを、エンドソーム内に見られるように酸性pHにおいて励起した。したがって、内部移行されるこれらの抗体は、細胞内小胞において蛍光シグナルとして見える。EZ−Sulfo−NHS−ビオチン(Pierce、カタログ番号21217、ロット番号CE49927)を使用して、mAbをビオチンに共有結合させた。製造者の指示に従って、モル比20:1でビオチン:抗体を使用して室温で30分間ビオチン化を行った。新しいPBS溶液に対して室温でさらに2時間おいてから、mAbをCypHer5Eまたはビオチンに共有結合させた後で、抗体溶液をPBSの溶液に対して4℃で一晩透析した。製造者(GE Healthcare)の指示に従い、CypHer5Eを用いてmAbおよびscFv(配列番号6、「ミニ抗体」とも称される)の標識を行った。
【0200】
コラーゲンの非存在下で、コンジュゲートされた受容体の内部移行を行った(リガンド非依存性の内部移行)。以下のクローンが、ENDO180に特異的に結合する抗体を分泌することが分かった:クローン6D6、8D8、8E7、および9G10は、ENDOl80DCTLD3−8−FLAG自体に対して、およびCypHer5Eで標識したときに、飽和結合を示した。クローン8D2は、標識後、細胞内への限定的な取り込みを示し、一方、クローン10F12は、ENDO180DCTLD3−8−FLAGに対して有意な飽和結合を示したが、それは標識後に減少した。
【0201】
ENDO180を発現する細胞(NRK52E−ENDO180)および対照細胞(NRK52E)を、CypHer5Eに共有結合した、指示された抗ENDO180mAbまたは対照mAbとともに37℃でインキュベートした。またmAbを、4℃でENDO180細胞とともにインキュベートした。96ウェルプレートに細胞を播種し、BiosystemsのAnalyst ADおよびHT(励起530nm、放出590nm、二色性560nm)により蛍光を測定した。37℃で、1つのmAb(E3−8D8)を有するENDO180細胞の蛍光に安定した増加が見られた。対照的に、4℃では、対照細胞または対照mAbには蛍光は見られなかった。ENDO180を発現するNRK52細胞において、許容温度(37℃)および非許容温度(4℃)で抗体の結合および内部移行をテストし、1時間後にテストした。図2Aは、許容温度(37℃)および非許容温度(4℃)での、ENDO180を発現する細胞の蛍光レベルを示す。クローン6D6および8D8ならびにscFv(配列番号6)は、最高レベルの内部移行を示している。図2Bは、8D8が非特異的な結合を示したことを示す。
【0202】
ENDO180受容体は、内部移行およびリサイクル受容体であることが示された(Howard and Isacke,2002,JBC 277,35:32320−31)、産生された全ての抗体が同じ速度または同じ量で内部移行されるわけではない。mAb 8D8およびG7V scFvは、予測しなかった内部移行を示した。mAb 10F2は、8時間後もなお内部移行されなかった。
【0203】
内部移行の動態について調べた。ヒトENDO180−FLAGを安定して発現するNRK52細胞または空のベクターを、6000細胞/ウェルの密度でTCグレードの黒い96ウェルプレートに播種した。24または48時間後、mAb(成長倍地中に5ug/ml)を、室温または氷上(対照プレート用)のいずれかで、100ul/ウェルでウェルに加えた。プレートを37℃で数回速やかにインキュベートした。対照プレートは、必要とされる時間氷上で維持した。各時点で、200ulの冷却PBS中で3回プレートを洗浄した。最終洗浄後、100ulの冷却PBSを加え、Ex 610nm/Em 670nmでAnalystを使用してプレートを読み取った。
【0204】
図2C〜2Eは、ENDO180を発現する細胞による抗ENDO180−CypHer5Eコンジュゲートの内部移行の10分〜1時間の時間的経過を示す。図2Cは、CypHer5Eで標識した8D8の内部移行を示す。図2Dは、CypHer5Eで標識したscFv G7V(配列番号6)の内部移行を示す。図2Eは、CypHer5Eで標識した10F2の内部移行を示す。
【0205】
図2F〜2Hは、ENDO180を発現する細胞による抗ENDO180−CypHer5Eコンジュゲートの内部移行の1時間〜8時間の時間的経過を示す。図2Fは、CypHer5Eで標識した8D8の内部移行を示す。図2Gは、CypHer5Eで標識したscFv G7V(配列番号6)の内部移行を示す。図2Eは、CypHer5Eで標識した10F2の内部移行を示す。
【0206】
モノクローナル抗体E3−8D8を分泌するハイブリドーマ細胞株E3−8D8(8D8とも称される)を、ブダペスト条約に基づいて、Ghent University、Department of Biomedical MolecularのBiology Belgian Co−ordinated Collections of Micro−organisms(BCCM)に受託番号LMBP 7203 CBで寄託した。寄託は2010年3月9日に行われ、2010年3月18日にテストし、生存していることが示された。
【0207】
ポリエチレングリコール−キトサンコンジュゲートを含む、粘膜を横切る薬剤の全身性の取り込みのための組成物であって、ポリエチレングリコール−キトサンコンジュゲートは、キトサンまたはキトサン誘導体部分と、ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール誘導体部分と、を含み、組成物は、粘膜への送達のために処方される。
【0208】
本発明による基質−薬剤コンジュゲートを調製する一般的な方法は、少なくとも1つの治療薬または診断薬を基質に共有結合させることを含む。抗癌療法に有用な特定の細胞傷害性剤は、血清中で比較的不溶性である。またいくつかは、コンジュゲートされていない形態において非常に毒性が高く、それらの毒性は、コンジュゲートに変換することによって大幅に減少される。比較的溶解性の低い薬剤を、溶解性のより高いコンジュゲート、例えば、グルクロニドに変換することにより、血清の水相における溶解性、および静脈、動脈、または毛細血管の細胞壁を通過して、腫瘍を浸している間質液に到達する能力が向上される。実際、芳香族アルコールまたは脂環式アルコール、チオール、フェノール、およびアミン等の特定の毒性物質を肝臓のグルクロニドに変換することは、それらを解毒して、より容易に尿中に排泄するという身体の方法である。
実施例4:インビトロおよびインビボでの抗体コンジュゲートの内部移行
【0209】
図3は、抗ENDO180 mAbによるビオチンのマウス片側尿管閉塞腎臓への内部移行を示す。
【0210】
以下の実験は、ENDO180を発現する組織におけるENDO180抗体の蓄積をアッセイするために設計された。マウスにおいて片側尿管閉塞(UUO)を行った。UUO手術の7日目の腎臓のENDO180レベルは、対側腎臓よりも高かった(データは表示せず)。
【0211】
UUO手術後7日目に、3mg/kgのE3−8D8−ビオチンコンジュゲートまたはNMIgG−ビオチンコンジュゲートをマウスに注射し、24時間後、腎臓。片側尿管閉塞(UUO)腎臓および対側腎臓におけるE3−8D8−ビオチンコンジュゲートおよびNMIgG−ビオチン(正常マウスのIgG対照)コンジュゲートの取り込みレベルを、ウエスタンブロット(WB)によって調べた。同量の腎臓総タンパク質抽出物を、ヤギ抗ビオチンHRP(Cell signaling社製、7075番)を使用して、WBによって調べた。
【0212】
図4は、抗ENDO180−CypHer5Eコンジュゲートの、ENDO180を発現する骨髄単球性ヒト白血病MonoMac細胞株への内部移行を示す。MonoMac細胞をE3 8D8−CypHer5EまたはE3 8D2−CypHer5Eでインキュベートした。冷却PBSで細胞を2回洗浄し、FL−1またはFL−4フィルタを使用してFACSにより内部移行を測定した。E3 8D8は、E3−8D2よりも高い親和性でENDO 180に結合した(データは表示せず)。8D2は、8D8よりも低い親和性でENDO180に結合するmAbである。
【0213】
実施例5:治療薬への抗体の連結
a.MB:完全なヒトプロタミン(およそ50a.a)を、重鎖の定常領域の下流に直接クローン化する。1つのプロモーターからVH−CH1−プロタミン、別のプロモーターからVKCK軽鎖を発現するバイシストロニックベクターとともに、抗HIV−1gp120組換えFab断片を使用して、同様のストラテジーを用いた(Chen et al.、Gene Therapy (1995)2,116−123)。このコンストラクトは、インビボ抗腫瘍活性を有することが分かった(Song et al.、Nature Biotech.2005.23(6),pg.709−717,)。別の試験では、ErbBに対する単鎖抗体の下流にプロタミンを融合させた(Li et al.、Cancer Gene Therapy 8(8),2001,pg.555−565)。
b.mAb:モノクローナル抗体8D8のCDRドメインを配列決定し、MBと同様に、それと融合してプロタミンを遺伝子操作できるようにクローン化した。
c.ペプチド、核酸、化学的リンカーまたは脂質リンカーのうちの1つ以上を使用して、抗体またはその抗原結合断片(MB、単離したmAb、scFv、F’ab等)を治療薬に連結させるために。標準的な方法を使用する。
【0214】
実施例6:癌組織試料におけるインサイツハイブリダイゼーション
インサイツハイブリダイゼーション技術を使用して、癌患者由来のヒト組織の試料をENDO180の発現についてテストした。組織試料は、熟練病理学者が分析した。結果は、以下の発現パターンを示した。
1.腎細胞癌(RCC)
明細胞癌(4症例)および乳頭癌(1症例)の2つの異なる腎細胞癌の種類において、試験を行った5つ全ての肉腫様領域に高レベルのENDO180 mRNAの発現が見られた。肉腫様癌は、全ての主な種類の腎細胞癌(明細胞癌、乳頭癌、嫌色素細胞癌、および集合管癌)において発症する。それらは全ての成人腎腫瘍の約1〜1.5%に見られ、侵攻性の臨床経過および予後不良を伴う。
ENDO180 mRNAの発現はまた、細胞量およびシグナル強度にある程度の試料間変動を伴って、腫瘍組織内の間質細胞、非腫瘍性間質細胞、および糸球体細胞にも見られる。
2.卵巣癌:
本試験で提示されたほとんどのボーダーライン漿液性乳頭癌(7/8個)において、ENDO180の発現が種々の強度で腫瘍細胞のサブセットに見られた。
卵巣癌細胞におけるENDO180 mRNAの発現は、発現する細胞の量およびシグナル強度の両方にある程度の試料間変動を伴って、21症例のうち8症例に見られる。
ENDO180 mRNA発現の高強度シグナルが、腫瘍周囲の間質細胞のサブセットおよび卵巣間質細胞のサブセット(94%および100%)に見られた。ENDO180m RNAの発現はまた、正常な上皮の単一細胞にも検出された。
3.移行上皮癌(TCC):
本試験において提示されたほとんどの膀胱の原発性移行上皮(尿路上皮)癌(18/27症例)、および(リンパ節の)転移性腫瘍の4症例において、ENDO180の発現は弱いものであった。ENDO180 mRNA発現の高強度シグナルが、腫瘍周囲の間質細胞のサブセットに見られた。
4.乳癌:
侵襲性癌の症例のほとんどの腫瘍周囲にENDO180 mRNAの発現が見られた(84%)。上皮細胞において一定の発現パターンは見られなかった。
【0215】
実施例7:線維症の治療において化合物をテストするための動物モデル
本発明の例示的分子およびコンジュゲートを、線維症および線維性疾患に罹患する対象の治療における有効性についてテストする際に使用するための非限定例として、以下の動物モデルを提示する。他の動物モデルもまた考慮される。
【0216】
線維症および糸球体硬化症を伴う腎疾患の発生を評価する有用な方法は、確立した腎疾患の動物モデルにおいて遺伝子発現を特徴付けることである。そのようなモデルの例は、(i)fa/faラット:進行性の糖尿病性腎症を伴うインスリン抵抗性糖尿病(2型糖尿病)を発症する、レプチン受容体に遺伝的な欠陥がある動物、および(ii)GKラット:遺伝子操作したNIDDM表現型ラットを含むが、これらに限定されない。主として腎線維症が明らかであるが、糖尿病のバックグランドは存在しない別の動物モデルは、間質性線維症が閉塞後数日以内に急速に起こる片側尿管閉塞(UUO)である。5/6腎臓摘出は、線維症が明らかである慢性腎不全(CRI)のための別の有用な動物モデルである。
【0217】
研究のさらなる態様は、CRIおよび線維症に存在する細胞微小環境の種々のパラメータを模倣する条件下において、インビトロでヒト線維芽細胞を培養することを伴う、インビトロモデル系に基づいてもよい。これらは、高濃度のグルコース(高血糖症のモデル化)、低濃度のグルコース、低酸素症(どちらも線維症および糸球体硬化症の後に腎臓において発生する虚血状態のモデル化)、および線維症において認識されている病原因子の1つであるTGF−bを用いた治療を含む。そのようなインビトロモデル系は、いくつかの重要な態様において動物モデルを補完することができる。第1に、該系は、線維芽細胞に特異的であり、したがって、多くの細胞型を含有する複合組織に多く見られる干渉が全く存在しない。第2に、動物モデルとは異なり、細胞はヒト起源である。さらには、障害が特異的であり、種々の濃度および期間であるため、急性および慢性の両方の応答の調査が可能となる。
【0218】
実施例8:癌治療において化合物をテストするための動物モデル
本発明の例示的な分子およびコンジュゲートを、癌ならびに他の増殖性および転移性疾患に罹患する対象の治療における有効性についてテストする際に使用するための非限定例として、以下の動物モデルを提示する。他の動物モデルもまた考慮される。
免疫不全マウスにおける移植
【0219】
NOD/SCIDマウスは、リンパ系および骨髄機能の両方に欠陥があり、ヒト造血細胞の長期生存を容易に認容する。NOD/SCIDマウスからヒト/マウスのキメラへのヒト骨髄の移植は、十分に立証されている。
【0220】
Bertolini et al(2000.Blood 96−282)によって、高度非ホジキンリンパ腫モデルとしてNOD/SCIDマウスが使用された。エプスタイン−バーウイルス陽性のバーキット非ホジキンリンパ腫由来のナマルバ細胞株が使用された。6〜8週齢マウスの腹腔内に細胞(10×10)を注射した。注射部位に、ノギスで測定することができる腹腔内腫瘍が形成された。式「幅2×長さ×0.52」を適用して球状体の体積を概算した(さらなる参考のためにBohem et al(1997)を参照のこと)。
【0221】
以下の試験で使用したモデルは、ヒトGM−CSFを発現するトランスジェニックSCIDマウスに基づいている。このサイトカインの発現は、関連する細胞株のSCIDマウスにおける良好な移植を可能にした。Miyakawa et al(1996)が、hGM−CSF SCIDトランスジェニックマウスの産生について詳述している。Fukuchi et al(1998)は、これらのトランスジェニックマウスにおいて、レチノイン酸耐性白血病が確立され得ることを示している。モデルは、その実験室で確立されたRA耐性APL細胞株であるUF−1細胞から構成され、これらのトランスジェニックSCIDマウスに移植され、皮下腫瘍の出現を引き起こす。Kinjo et al(2000)は、このモデルを使用して、RA耐性急性前骨髄球性白血病(APL)の症例において使用される特定の治療薬である亜ヒ酸をテストする。
【0222】
Lewis et al (1998)は、T細胞およびB細胞の両方に機能的欠陥があり、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、および溶血性補体活性に著しい障害がある、より顕著に免疫不全であるマウス株NOD/SCIDを使用した。これらのマウスは、癌患者由来の細胞とともに移植することができ、比較的高い成功率をもたらすため、この疾患の良好なモデルを形成する。
【図1A−1】

【図1A−2】

【図1A−3】

【図1B−1】

【図1B−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.ハイブリドーマ細胞株E3−8D8(BCCM受託番号LMBP 7203CB)によって産生されるモノクローナル抗体、
b.(a)の前記抗体と同じエピトープに結合する抗体またはその断片、
c.(a)または(b)のヒト化抗体、
d.配列番号6に記載されるアミノ酸配列またはその変異体を含む組換えポリペプチド、ならびに、
e.配列番号7および8に記載されるアミノ酸配列またはその変異体を有するCDR3を含む組換えポリペプチド、から選択される、抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片であって、
ENDO180を発現する細胞と接触すると、前記抗体またはその抗原結合断片が前記細胞に内部移行される、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
請求項に記載の抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項3】
検出可能な標識、細胞傷害性剤、および治療薬から選択される部分をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記担体は、脂質粒子、多糖粒子、またはそれらの組み合わせを含む、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
前記粒子は、脂質付加された多糖粒子を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記担体は、脂質付加されたグリコサミノグリカンを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片は、前記粒子上に固定化される、請求項2〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記部分は、治療薬である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
治療薬は、阻害性オリゴヌクレオチドである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記阻害性オリゴヌクレオチドは、アンチセンス化合物、化学修飾siRNA化合物、未修飾siRNA化合物、化学修飾shRNA化合物、未修飾shRNA化合物、化学修飾miRNA化合物、および未修飾miRNA化合物から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記阻害性オリゴヌクレオチドは、化学修飾siRNA化合物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記化学修飾siRNA化合物は、癌、線維症、またはマクロファージ関連疾患と関連する標的遺伝子の発現を阻害する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記化学修飾siRNA化合物は、表Aに記載されるヒト標的遺伝子の発現を阻害する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記部分は、前記抗体または抗原結合断片に付着する、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
前記部分は、前記脂質粒子内に被包される、請求項4に記載の組成物。
【請求項16】
対象においてENDO180を発現する細胞に部分を送達する方法であって、請求項2〜15のいずれか1項に記載の組成物を、前記治療薬が前記細胞に送達されるように、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項17】
癌、線維症、またはマクロファージ関連疾患に罹患する対象を治療するための、請求項8〜15に記載の方法のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項18】
ENDO180を発現する癌細胞の成長を阻害する方法であって、前記細胞を請求項2〜15のいずれか1項に記載の組成物と接触させ、それによって、前記癌細胞の成長を阻害することを含む、方法。
【請求項19】
前記組成物は、全身的または局所的に投与される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物は、静脈内に投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
受託番号LMBP 7203CBでBCCMに寄託された、ハイブリドーマ細胞株E3−8D8。
【請求項22】
請求項21に記載のハイブリドーマ細胞株によって分泌される、単離された抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片。
【請求項23】
請求項22に記載の抗体と同じエピトープに結合する、抗体またはその抗体もしくは抗原結合断片。
【請求項24】
ヒト化された、請求項22または23に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項25】
キメラである、請求項22または23に記載の抗体またはその抗体もしくは抗原結合断片。
【請求項26】
a)請求項22〜25のいずれか1項に記載の抗体またはその抗体もしくは抗原結合断片と、
b)検出可能な標識、細胞傷害性剤、および治療薬から選択される部分と、
c)任意選択で、a)をb)に連結させるリンカーと、を含む、コンジュゲート。
【請求項27】
リンカーを含む、請求項26に記載のコンジュゲート。
【請求項28】
前記リンカーは、前記抗体または抗原結合断片の3’末端を前記部分に付着させる、請求項27に記載のコンジュゲート。
【請求項29】
前記リンカーは、ポリペプチドリンカー、ペプチドリンカー、脂質リンカー、または核酸リンカーから選択される、請求項27に記載のコンジュゲート。
【請求項30】
前記リンカーは、プロタミン、プロタミンの断片、(Arg)9、ビオチン−アビジン、およびアンテナペディアペプチドから選択される、請求項29に記載のコンジュゲート。
【請求項31】
前記リンカーは、核酸リンカーである、請求項29に記載のコンジュゲート。
【請求項32】
前記部分は、治療薬である、請求項26に記載のコンジュゲート。
【請求項33】
治療薬は、阻害性オリゴヌクレオチドである、請求項27に記載のコンジュゲート。
【請求項34】
前記阻害性オリゴヌクレオチドは、アンチセンス化合物、化学修飾siRNA化合物、未修飾siRNA化合物、化学修飾shRNA化合物、未修飾shRNA化合物、化学修飾miRNA化合物、および未修飾miRNA化合物から選択される、請求項33に記載のコンジュゲート。
【請求項35】
前記阻害性オリゴヌクレオチドは、化学修飾siRNA化合物である、請求項34に記載のコンジュゲート。
【請求項36】
前記化学修飾siRNA化合物は、癌、線維症、またはマクロファージ関連疾患と関連する標的遺伝子の発現を阻害する、請求項35に記載のコンジュゲート。
【請求項37】
前記化学修飾siRNA化合物は、表Aに記載されるヒト標的遺伝子の発現を阻害する、請求項36に記載のコンジュゲート。
【請求項38】
請求項26から37のいずれか1項に記載のコンジュゲートと、担体とを含む、組成物。
【請求項39】
前記担体は、脂質粒子、多糖粒子、またはそれらの組み合わせを含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記脂質粒子は、脂質付加された多糖粒子である、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記担体は、脂質付加されたグリコサミノグリカンを含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
対象においてENDO180を発現する細胞に部分を送達する方法であって、前記部分が前記細胞に送達されるように、請求項26に記載のコンジュゲートまたは請求項38〜41のいずれか1項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項43】
癌、線維症、またはマクロファージ関連疾患に罹患する対象を治療する方法であって、請求項38〜41のいずれか1項に記載の組成物を、前記対象を治療するための有効量で前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項44】
配列番号7に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3断片を含む、抗ENDO180抗体または抗原結合断片。
【請求項45】
配列番号8に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3断片をさらに含む、請求項44に記載の抗ENDO180抗体または抗原結合断片。
【請求項46】
前記抗体または抗原結合断片は、完全長IgG、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、それらの重鎖および/または軽鎖の可変部分、Fabミニ抗体、ならびにscFvからなる群から選択される、請求項44または45に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項47】
前記抗体は、配列番号5に記載されるポリペプチド配列を含む、請求項46に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項48】
請求項47に記載のポリペプチドをコードする配列番号6を有する、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項49】
ヒト化された、請求項46に記載の抗体またはその抗体もしくは抗原結合断片。
【請求項50】
キメラである、請求項46に記載の抗体またはその抗体もしくは抗原結合断片。
【請求項51】
a)請求項44〜50のいずれか1項に記載の抗体またはその抗体もしくは抗原結合断片と、
b)検出可能な標識、細胞傷害性剤、および治療薬から選択される部分と、
c)任意選択で、a)をb)に連結させるリンカーと、を含む、コンジュゲート。
【請求項52】
リンカーを含む、請求項51に記載のコンジュゲート。
【請求項53】
前記リンカーは、前記抗体または抗原結合断片の3’末端を前記部分に付着させる、請求項52に記載のコンジュゲート。
【請求項54】
前記リンカーは、ポリペプチドリンカー、ペプチドリンカー、脂質リンカー、または核酸リンカーから選択される、請求項53に記載のコンジュゲート。
【請求項55】
前記リンカーは、プロタミン、プロタミンの断片、(Arg)9、ビオチン−アビジン、およびアンテナペディアペプチドから選択される、請求項54に記載のコンジュゲート。
【請求項56】
前記リンカーは、核酸リンカーである、請求項54に記載のコンジュゲート。
【請求項57】
前記部分は、治療薬である、請求項51に記載のコンジュゲート。
【請求項58】
治療薬は、阻害性オリゴヌクレオチドである、請求項57に記載のコンジュゲート。
【請求項59】
前記阻害性オリゴヌクレオチドは、アンチセンス化合物、化学修飾siRNA化合物、未修飾siRNA化合物、化学修飾shRNA化合物、未修飾shRNA化合物、化学修飾miRNA化合物、および未修飾miRNA化合物から選択される、請求項58に記載のコンジュゲート。
【請求項60】
前記阻害性オリゴヌクレオチドは、化学修飾siRNA化合物である、請求項59に記載のコンジュゲート。
【請求項61】
前記化学修飾siRNA化合物は、癌、線維症、またはマクロファージ関連疾患と関連する標的遺伝子の発現を阻害する、請求項60に記載のコンジュゲート。
【請求項62】
前記化学修飾siRNA化合物は、表Aに記載されるヒト標的遺伝子の発現を阻害する、請求項61に記載のコンジュゲート。
【請求項63】
請求項51〜62のいずれか1項に記載のコンジュゲートと、担体とを含む、組成物。
【請求項64】
前記担体は、脂質粒子、多糖粒子、またはそれらの組み合わせを含む、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
前記脂質粒子は、脂質付加された多糖粒子である、請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
前記担体は、脂質付加されたグリコサミノグリカンを含む、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
対象においてENDO180を発現する細胞に部分を送達する方法であって、前記部分が前記細胞に送達されるように、請求項51に記載のコンジュゲートまたは請求項63〜66のいずれか1項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項68】
癌、線維症、またはマクロファージ関連疾患に罹患する対象を治療する方法であって、請求項63〜66のいずれか1項に記載の組成物を、前記対象を治療するための有効量で前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項69】
対象においてENDO180を発現する細胞に治療部分を送達する方法であって、前記部分が前記細胞に送達されるように、
a)抗ENDO180抗体またはその抗原結合断片と、
b)治療部分と、
c)担体と、
d)任意選択で、a)をb)に連結させるリンカーと、を含む組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項70】
前記対象は、癌、線維症、およびマクロファージ関連疾患から選択される増殖性疾患に罹患する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記選択される増殖性疾患は、癌である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記選択される増殖性疾患は、線維症である、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記担体は、脂質粒子、多糖粒子、またはそれらの組み合わせを含む、請求項67〜72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記脂質粒子は、脂質付加された多糖粒子である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記担体は、脂質付加されたグリコサミノグリカンを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
治療薬は、阻害性オリゴヌクレオチドである、請求項69に記載の方法。
【請求項77】
前記阻害性オリゴヌクレオチドは、アンチセンス化合物、化学修飾siRNA化合物、未修飾siRNA化合物、化学修飾shRNA化合物、未修飾shRNA化合物、化学修飾miRNA化合物、および未修飾miRNA化合物から選択される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記阻害性オリゴヌクレオチドは、化学修飾siRNA化合物である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記化学修飾siRNA化合物は、癌、線維症、またはマクロファージ関連疾患と関連する標的遺伝子の発現を阻害する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記化学修飾siRNA化合物は、表Aに記載されるヒト標的遺伝子の発現を阻害する、請求項79に記載の方法。

【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1J】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2012−521217(P2012−521217A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502150(P2012−502150)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/028200
【国際公開番号】WO2010/111198
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(509294070)クォーク ファーマシューティカルズ インコーポレーティッド (8)
【氏名又は名称原語表記】QUARK PHARMACEUTICALS,INC.
【住所又は居所原語表記】6501 Dumbarton Circle,Fremont,California U.S.A.
【Fターム(参考)】