説明

癌の治療のための4−アニリノ−3−キノリンカルボニトリル

【課題】 ゲムシタビンに対する膵臓腺癌の化学感受性について、c-Srcの発現抑制の効果を決定しようとした。
【解決手段】 本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を使用して、癌を予防、治療および/または阻害する方法に関する。本発明はまた、式(I)の化合物を含む薬学組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌を治療するために式(I)の化合物である4-(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニルアミノ)-6-メトキシ-7-[3-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-プロポキシ]-キノリン-3-カルボニトリル(SKI-606)を使用する方法、およびそれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の4−アミノ−3−キノリンカルボニトリル誘導体が抗腫瘍活性を有することが示されており、この抗腫瘍活性は、種々の癌(膵臓癌、リンパ性の癌、および前立腺癌が挙げられる)を治療する際にこれら誘導体を化学剤(chemoagent)として有用にする。米国特許第6,002,008号(特許文献1)、同第6,384,051号(特許文献2)、同第6,432,979号(特許文献3)および同第6,617,333号(特許文献4)は、特定の4−アニリノ−3−キノリンカルボニトリル誘導体を開示し、これは抗腫瘍活性を有することが示されている。
【0003】
タンパク質チロシンキナーゼは機能的に関係するレセプターと非レセプターシグナル伝達酵素からなり、細胞増殖、活性化、分化、発達および形質転換を特定のチロシン残基のリン酸化を介して調節する。レセプターチロシンキナーゼ(例えば、上皮細胞増殖因子レセプター(EGFR))は、細胞外のリガンド結合ドメイン、1つの膜貫通ドメインおよび細胞内チロシンキナーゼドメインからなる。非レセプターチロシンキナーゼ(例えば、SrcおよびAbl)は、複数の調節ドメインおよびタンパク質結合ドメインを有する可溶性細胞質酵素である。
【0004】
Srcチロシンキナーゼファミリーは、機能類似性および配列類似性の両方により定義される9つの非レセプターチロシンキナーゼの群である。このファミリーのうちの3つのメンバー:Src、YesおよびFynBは、広範に発現される。他の6つのメンバー:Lck、Lyn、FynT、Fgr、HckおよびBlkは、血球系細胞に優先的に発現される。非レセプタータンパク質チロシンキナーゼの構造および機能ならびにヒトの癌におけるそれらの関連についての広範な総説が開示されている。
【0005】
Src非レセプタータンパク質チロシンキナーゼは、Srcファミリーの原型である。Srcは増殖因子レセプターおよびGタンパク質結合型レセプターにより媒介される経路の重要な下流成分であり、これらの種々の経路からのシグナルを調和させると考えられる。Srcファミリーのキナーゼによってリン酸化されることが公知の細胞内標的タンパク質の一覧は大規模であり増え続けており、インテグリン、接着キナーゼ、カドヘリン、stat3、コルタクチン(cortactin)、エズリン(ezrin)、焦点接着タンパク質(FAK)などが挙げられる。
【0006】
Srcは、膵臓癌、黒色腫、頭部および頸部の癌、および卵巣癌のうちの大部分が挙げられる多くの癌において上方制御(upregulate)される。Srcはまた、前立腺腫瘍株において活性化される。SrcのmRNAレベルは、正常な組織サンプルと比較して、ヒト耳下腺腫瘍においてより高かった。バレット食道癌および食道癌もまたSrcを過剰発現する。
【特許文献1】米国特許第6,002,008号明細書
【特許文献2】米国特許第6,384,051号明細書
【特許文献3】米国特許第6,432,979号明細書
【特許文献4】米国特許第6,617,333号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
c-Srcチロシンキナーゼは種々のヒトの癌において悪性の細胞挙動の決定要素であるので、本発明者らはゲムシタビンに対する膵臓腺癌の化学感受性について、c-Srcの発現抑制の効果を決定しようとした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の観察に基づき、Srcを阻害する化合物は、これらの癌および他の癌を患う患者を治療するのに有用であり得る。4-(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニルアミノ)-6-メトキシ-7-[3-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-プロポキシ]-キノリン-3-カルボニトリルは、これらの判断基準によって癌を予防、治療または阻害するために有用であると確認された。
【0009】
本発明は癌を予防、治療または阻害する方法に関し、治療上有効量の下記式(I)の化合物である4-(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニルアミノ)-6-メトキシ-7-[3-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-プロポキシ]-キノリン-3-カルボニトリル、またはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を包含する。
【化4】

【0010】
本発明はまた、膵臓癌を治療する方法に関し、式(I)の治療上有効量の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、ゲムシタビンまたはその薬学的に許容可能な塩と合わせて投与する工程を包含する。
【0011】
本発明の別の局面は、有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能なキャリアを含む薬学組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
用語「癌」は、異常かつ制御されない細胞分裂により引き起こされる任意の悪性の増殖または腫瘍をいう。この癌は、リンパ系または血流を介して生体の他の部分まで広がり得る。本出願に記載される癌を治療する方法のため、癌としては、膵臓癌、リンパ系癌および前立腺癌が挙げられる。
【0013】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、以下の有機酸および無機酸から誘導されるものである:酢酸、乳酸、カルボン酸、クエン酸、ケイ皮酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、シュウ酸、プロピオン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、グリコール酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、サリチル酸、安息香酸、および同様の公知の許容可能な酸。
【0014】
式(I)の化合物は、経口、病変内注射、腹腔内注射、筋肉内注射もしくは静脈内注射、導入、リポソーム媒介性送達、局所的送達、鼻腔内送達、結腸送達、膣内送達、舌下送達、尿道送達、経皮送達、鞘内送達、眼内送達または耳送達により提供され得る。式(I)の化合物を提供する一貫性を得るため、この化合物は単位用量形態であることが好ましい。適切な単位用量形態としては、錠剤、カプセルおよびサシェ(sachet)またはバイアル中の粉末が挙げられる。このような単位用量形態は、0.1mg〜300mgの式(I)の化合物を含むことができ、好ましくは2mg〜100mgを含むことができる。なおさらに好ましくは、単位用量形態は、50mg〜150mgの式(I)の化合物を含む。式(I)の化合物は、経口投与され得る。1日あたり1〜6回、より一般的には1日あたり1〜4回投与される。有効量は当業者に公知であり、またその化合物の形態に依存する。当業者は、経験的な活性試験を慣用的に実施してバイオアッセイにおけるその化合物の生物活性を決定でき、これによってどの投薬量を投与するべきかを決定しできる。
【0015】
本発明はまた、治療有効量の式(I)の化合物である4-(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニルアミノ)-6-メトキシ-7-[3-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-プロポキシ]-キノリン-3-カルボニトリル、またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能なキャリアを含む薬学組成物に影響する。このキャリアは、例えば、希釈剤、エアロゾル、局所的キャリア、水系溶液、非水系溶液または固体キャリアであってよい。キャリアは、ポリマーまたは練り歯磨き様(toothpaste)であってよい。本発明のキャリアは、標準的な薬学的に許容可能なキャリア(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水溶液、酢酸緩衝化生理食塩水溶液、水、エマルジョン(例えば、油/水エマルジョンまたはトリグリセリドエマルジョン)、種々の型の湿潤剤、錠剤、コーティング錠、およびカプセル)をいずれも含む。式(I)の化合物を含む組成物は、従来の賦形剤(例えば、増量剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、または着色添加物)を用いて処方してよい。
【0016】
経口によるかまたは局所に提供される場合、このような化合物は、異なるキャリア中での送達により被験体に提供される。代表的に、このようなキャリアは賦形剤(例えば、デンプン、ミルク、糖、特定の型のクレー、ゼラチン、ステアリン酸、タルク、植物脂肪または油、ガムまたはグリコール)を含む。特定のキャリアは所望の送達方法に基づき選択される必要がある。例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)は、静脈内送達または全身送達に使用でき、植物脂肪、クリーム、軟膏(salve)、軟膏(ointment)またはゲルは、局所送達に利用してよい。
【0017】
式(I)の化合物は、新生物の治療または予防に有用な適切な希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバントおよび/またはキャリアと一緒に送達され得る。このような組成物は液体であるか、または凍結乾燥もしくはそれ以外で乾燥された処方物であり、種々の緩衝成分(例えば、Tris-HCl、酢酸、リン酸)、pHおよびイオン強度の希釈剤、添加物(例えば、表面に対する吸収を防ぐためのアルブミンまたはゼラチン)、界面活性剤(例えば、TWEEN 20、TWEEN 80、PLURONIC F68、胆汁酸塩)、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、重炭酸ナトリウム)、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、嵩を増やす物質もしくは張力改変剤(例えば、ラクトース、マンニトール)、共有結合ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、金属イオンとの錯体、またはヒドロゲルもしくはリポソームの粒子調製物中もしくは粒子調製物外側への化合物の組込み、ミクロエマルジョン、ミセル、単ラメラもしくは多重ラメラの小胞、赤血球ゴースト、またはスフェロブラストが挙げられる。このような組成は、その化合物または組成物の物理的状態、可溶性、安定性、インビボの放出速度、およびインビボの排出速度に影響する。組成の選択は、新生物を治療または予防可能な化合物の物理的特性および化学的特性に依存する。
【0018】
式(I)の化合物は、ある時間期間にわたる化合物の徐方性放出を可能にするカプセルを介して局所送達してもよい。制御放出または徐方性放出の組成物としては、脂質デポー(例えば、脂肪酸、ワックス、油脂)中の処方物が挙げられる。
【0019】
本発明は、癌を予防、治療および/または阻害するための活性治療物質として式(I)の化合物を使用する方法をさらに提供する。本明細書中で取得され提示される結果に基づき、SKI-606は、悪性細胞の増殖を抑制することによって、癌を予防、治療または阻害するのに有用である。SKI-606は細胞増殖と関連する細胞内タンパク質のSrc触媒性リン酸化を阻害する。従って、治療有効量のSKI-606をヒトに投薬することは、癌の形成を増殖抑制により予防または阻害できるか、あるいは腫瘍のさらなる増殖を妨げるかもしくは阻害することにより、そして/または腫瘍のサイズを低減するか根絶を引き起こすことによって、癌に既に苦しんでいるヒトを治療し得る。本発明の目的に関して、用語「阻害」とは、おそらくはSrcにより触媒されるリン酸化をブロックまたは抑制することによる、悪性細胞の増殖の遅延、抑制または停止をいう。本発明の目的に関して、用語「予防すること(妨げること)」とは、予防的治療により悪性増殖または腫瘍性増殖の進行を防ぐかもしくは妨げることをいうか、またはその疾患のさらなる進行を妨げるか阻害するかもしくは停止させることをいう。本発明の目的に関して、用語「治療すること」とは、治療有効量のSKI-606を必要とする患者に投与して、癌の発達を予防的に妨げること、癌もしくは悪性増殖もしくは腫瘍性増殖の進行を阻害もしくは停止させること、癌もしくは悪性増殖または腫瘍性増殖の進行を反転させること、または癌もしくは悪性増殖もしくは腫瘍性増殖を根絶することをいう。
【0020】
本発明は、ヒトにおいて癌を治療する方法をさらに提供し、この方法は、有効量の4-(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニルアミノ)-6-メトキシ-7-[3-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-プロポキシ]-キノリン-3-カルボニトリル、その薬学的に許容可能な塩、またはこれを含む薬学組成物を罹患した(infected)個体に投与する工程を包含する。患者に提供される用量は、投与されている物、投与の目的、投与様式などに依存して変動する。「治療有効量」は、癌の症状を治癒または緩和するのに十分な量である。
【0021】
式(I)の化合物は、単独で、または癌を治療するための他の組成物と組合わせて送達され得る。このような化合物としては、メシル酸イマチニブ(imatinib mesylate)(GLEEVEC)、ヒドロシキウレア、IFN−α、細胞傷害性因子、化学療法剤、NSAIDS、ゲムシタビン(gemcitabine)、EGFRインヒビター、MEKインヒビター、ファルネシルトランスフェラーゼ、ゲムシタビン、アバスチン(avastin)もしくはワートマニン(wortmannin)、またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明の方法の好ましい実施形態は、治療有効量の式(I)の化合物を、治療有効量のゲムシタビンまたはアバスチンと組合わせて投与する工程を包含する。より好ましくは、式(I)の化合物は、ゲムシタビンと組合わせて投与される。
【0023】
本発明の方法の別の好ましい実施形態は、治療有効量の式(I)の化合物を、治療有効量のゲムシタビンおよびアバスチンと組合わせて投与する工程を包含する。
【0024】
本発明の方法の別の好ましい実施形態は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、ゲムシタビンおよびアバスチンまたはそれらの薬学的に許容可能な塩と組合わせて投与して、膵臓癌を治療する工程を包含する。
【0025】
本発明の方法を実施するため、そして/または本発明の組成物における使用のための好ましい化合物は、4-(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニルアミノ)-6-メトキシ-7-[3-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-プロポキシ]-キノリン-3-カルボニトリル、およびその薬学的に許容可能な塩である。
【0026】
式(I)の化合物は、米国特許第6,002,008号の方法に従って調製され、そしてそのような方法は本明細書中に参考として援用される。
【0027】
反応は、使用される試薬および材料に対して適切であり、かつ誘導されている形質転換にふさわしい溶媒中で実施される。分子上に存在する種々の機能性が提案される化学的形質転換と合致していなければならないことが、有機合成の当業者に理解される。特定されない場合、合成段階の順序、保護基の選択および脱保護条件は、当業者に容易に明らかである。さらにいくつかの例において、出発材料上の置換基は、特定の反応条件とは適合性でなくてもよい。所定の置換基に適切な限定は、当業者に容易に明らかである。反応は、適切な場合、不活性雰囲気下で行われる。
【0028】
式(I)の化合物は、無水(neat)またはエチレングリコールジメチルエーテルなどの溶媒中のいずれかでのヨウ化ナトリウム存在下での7-(3-クロロプロポキシ)-4-[(2,4-ジクロロ-5-メトキシフェニル)アミノ]-6-メトキシ-3-キノリンカルボニトリルとN-メチルピペラジンとの処理により、容易に取得される。これらの化合物の調製は、文献「Boschelli, D. H.ら, J. Med. Chem., 44, 3965 (2001)」に報告されており、本明細書により参考として援用される。
【0029】
(図面の詳細な説明)
図1.4-[(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニル)アミノ]-5-メトキシ-7-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロポキシ]-3-キノリンカルボニトリルに対する、頭部および頸部腫瘍細胞株HN5の応答。血清飢餓させたHN5細胞を、この化合物で4時間処理し、その後EGFを50ng/mlまで10分間添加した。溶解物をStat3のY705のリン酸化、c-CblのY731およびY774のリン酸化、ならびにカベオリン(caveolin)のY14のリン酸化について分析した。これらの結果は、カベオリンのY14、c-CblのY731およびStat3のY705のリン酸化が、4-[(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニル)アミノ]-5-メトキシ-7-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロポキシ]-3-キノリンカルボニトリルにより低減されることを実証する。
【0030】
(酵素アッセイ)
式(I)の化合物は、標的ペプチドのSrc触媒性リン酸化を阻害する。4-[(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニル)アミノ]-5-メトキシ-7-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロポキシ]-3-キノリンカルボニトリルは、均一系酵素アッセイ(FRET/Lance形式)におけるSrc触媒性リン酸化を、IC50 3.5nMにて阻害した。種々の酵素に対する4-[(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニル)アミノ]-5-メトキシ-7-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロポキシ]-3-キノリンカルボニトリル活性の比較は、表1に示される。
【0031】
SrcおよびAblキナーゼLanceアッセイ:組換えヒトSrc酵素を、Pan Vera(P3044)より取得した。Cdk-1の6〜20残基に対応するビオチン化ペプチドを、src酵素アッセイにおいて基質として使用した(ビオチン−KVEKIGEGTYGVVYK−COOH)。野生型c-Ablおよびv-AblをそれぞれPanvera(P3049)およびCalbiochem(#102555)より購入した。Ablキナーゼアッセイのためのビオチン化ペプチドをSynpepより取得した(ビオチン−NH−KEEEAIYAAPFAKKK−COOH)。SrcキナーゼアッセイおよびAblキナーゼアッセイの両方のため、均一系蛍光共鳴エネルギー移動キナーゼアッセイを、ユーロピウム/APC検出形式(LANCE、Perkin Elmer)を使用して実施した。Src酵素(10 ng)またはAbl酵素(2.5 ngのc-Abl、2.5 ngのv-Abl)をビオチン化ペプチド(両方の基質ペプチドに対して終濃度2μM)、50 mM Hepes(pH 7.5)、10 mM MgCl2、20μg/ml BSAおよび0.001% Brij-35 (Sigma)と混合した。化合物をDMSO最終濃度1%にて加え、そしてSrcアッセイについては37℃で10分間、Ablアッセイについては27℃で10分間インキュベートした。キナーゼ反応を、ATPを終濃度100μMまで添加することにより開始し、Srcについては37℃で70分間、Ablについては27℃で30分間インキュベートした。3OmM EDTA/25mM Hepes(pH 7.5)/10μg/ml BSAの終濃度でのEDTAにて反応を停止させた。この混合物を、製造業者の仕様書に従って、50 mM Hepes(pH 7.5)/20μg/ml BSA中のEu標識化ホスホチロシン抗体PT66(Perkin Elmer、AD0068)およびストレプトアビジンSurelight-APC(Perkin Elmer、CR130-100)と混合し、30分間インキュベートした。この反応をWallac Victorにおいて、励起340nmおよび放射665nmにてモニタリングした。データをExcel(Microsoft)についてのLSWデータ分析プラグインにより分析した。
【0032】
(PKA、PKC、S6キナーゼ、CAMKIIおよびp38キナーゼアッセイ)
PKA(Upstate #14-114)、PKC(Upstate #14-232)およびS6K(Upstate #14-333)を用いるキナーゼアッセイに関して、シンチプレート(Scintiplate)アッセイを使用した。CAMK-II(Upstate #14-217)およびp38(当社で生成および精製した組換えタンパク質)に関して、ELISA形式を使用した。
【0033】
(シンチプレートアッセイ)
96ウェルのSA Cov Scintiplate(#1450-551)プレートを、キナーゼアッセイの前にPBS(0.1% Triton XlOO)にて4回(250λ)洗浄した。
・60μl ミックス*(以下の表を参照のこと)
・20μl 化合物(DMSO中10%)、20分のプレインキュベーション
・20μl 基質1μM (以下の表を参照のこと)
以下の表に示される容量は、96ウェルプレートの1つに対してである。
【数1】

ペプチド1323(LSP16Bio:Bio−RTPKLARQASIELPSM:LSP-1の243〜258アミノ酸。Ser 252はリン酸化部位である。)
ペプチド1463(PKA基質:Bio−GRTGRRNSI)
ペプチド1464(S6K基質:Bio−RRRLSSLRA)。
【0034】
基質を添加したときに反応が開始する。
1−表中に示される時間に従って20μlの0.5M EDTAにより反応を停止させる。反応開始後1時間まで、またはS6Kの場合は80分まで、プレートをインキュベートし続ける。
2−洗浄(PBS+0.1% Triton XlOO)にて6回(250λ/ウェル)洗浄する。
3−カウント測定(Wallac Trilux カウンター)。
【0035】
(II ELISA)
以下は、ELISAにおいて使用されるキナーゼのアッセイ条件である。p38はMKK6の優勢活性型変異体により活性化される。
【数2】

ペプチド1738(MK2 T334:Bio−QSTKVPQTPLHTSRVL)
ペプチド1895(ガストリン(Gastrin)1−17:Bio−KKEGPWLEEEEEAYGWMD)。
【0036】
キナーゼアッセイをシンチプレートアッセイと同様に実施する:上記工程1〜3を参照のこと。検出プレートは、100μl/ウェルにて2時間Amershamのヤギ抗GST抗体(PBS中1:400)により予備コーティングしたMunc MaxiSorbである。反応プレートは、200μl/ウェルにて2時間、0.1%ゼラチンのブロッキング緩衝液により予備ブロッキングしたCostarポリスチレンプレートである。
【0037】
以下のようにERK/ADBミックスを調製する:
ADB1mlあたり10μlのGST-ERK2
60μlのERK/ADBミックスをネガティブコントロールウェルに入れる(列12)
活性MEK1を添加することによりMEK/ERK/ADBミックス(MEA)を調製する。
60μl/ウェルのMEAをアッセイプレートに入れる。
20μlのcmpd 10% DMSOを添加する。
500μMのATPをADBに添加することにより5×ATP/ADBを調製する。
各ウェルに20μlのATP/ADBを加えて反応を開始させる。30℃で1時間インキュベートする。
20μlの0.5M EDTAを各ウェルに添加することにより反応を停止させる。
【0038】
(4−ホスホペプチドの検出:)
抗体:リン酸化ペプチドの検出のため、アフィニティー精製したポリクローナルのリン酸特異的抗体60521および64273を、それぞれ1323および1738に対して使用する。
−リン酸化1323およびリン酸化1738の検出のため、それぞれ、精製60521(0.46 mg/ml)を1:20000にて、抗ウサギ−Eu(PE #AD0105)を1:4000にて1% BSAと一緒に補充した100μlのブロッキング緩衝液を加えるか、または精製64273を1:4000にて、抗ウサギ−Euを1:2000にて1% BSAと一緒に補充した100μlのブロッキング緩衝液を加える。
−リン酸化1895の検出のため、抗リン酸化チロシンPTlOO(Cell Signaling #9411)を1:1000にて、抗マウス−Eu抗体(PE # AD0124)と1% BSAとを一緒に補充した100 μlのブロッキング緩衝液を加える。
室温にて1時間インキュベートする(シェーカー)。
250μl PBS、0.1% Tween 20にて6回洗浄する。
100μlの増感溶液(Enhancement Solution)(Wallac Cat# 1244-105)を加える。
室温にて10分間インキュベートする(シェーカー)
Victor II(発明者らの読取り機ではHTSユーロピウムプロトコル)にて読み取る。
【0039】
(緩衝液)
キナーゼ緩衝液10×:
200mM Hepes(pH 7.5)、100mM MgCl2
ADB 1×:
20mM MOPS(7.2)、25mM β−グリセロリン酸、5mM EGTA、1mM オルトバナジン酸ナトリウム、20mM MgCl2、1mM DTT
ブロッキング緩衝液:
10mM MOPS(7.5)、150mM NaCl、0.05% Tween 20、0.1% ゼラチン、0.02% NaN3
(Raf/MEK キナーゼELISA)
試薬:全長の6his-タグ付けした組換えヒトc-Rafを含むSf9昆虫細胞溶解物(比活性:約200U/ml)。ヒト非活性型Mek-1-GSTおよびヒトGST-MAPキナーゼ(E.coliにて生成した組換えタンパク質)。
【0040】
(Raf1キナーゼカスケードアッセイ手順:)
Raf-1(c-Raf)を使用して、不活性型GST-MEK1をリン酸化して活性化し、これは次いで不活性型p42 GST-MAPKをリン酸化して活性化でき、これは続いてSigma(カタログ番号77439219041)からのリン酸特異的抗体により、TEY配列(202〜204のアミノ酸)のリン酸化について測定する。
【0041】
(キナーゼアッセイプロトコル)
(ストック溶液:)
(Rafアッセイ)
1.アッセイ希釈緩衝液(ADB):2OmM MOPS(pH 7.2)、25mM β−グリセロールリン酸、5mM EGTA、1mM オルトバナジン酸ナトリウム、1mM ジチオトレイトール。
2.マグネシウム/ATP カクテル:ADB中、500μMの非放射性(cold)ATPおよび75 mM 塩化マグネシウム。
3.活性型キナーゼ:ヒト活性型c-Raf:アッセイ点当たり0.4Uにて使用する。
4.非活性型GST-MEK1:アッセイ点当たり0.1μg使用する。
5.非活性型GST-p42 MAP キナーゼ:アッセイ点当たり1.0 μg使用する。
(ELISA)
1.TBST−Tris(50 mM、pH 7.5)、NaCl(150 mM)、Tween-20(0.05 %)
2.Superblock(Pierce)
3.抗GST抗体(Pharmacia)
4.抗リン酸化MAPK(Sigma)
5.抗マウス抗体/ユーロピウム結合体(Wallac)。
【0042】
(アッセイ手順:)
第1段階:GST-MEKおよびGST-MAPKのc-Raf依存性活性化
1.アッセイ当たり20 mlのADBを添加する(すなわち、96ウェルプレートの1ウェル当たり)
2.ADB中0.5 mMの非放射性ATPおよび75 mMの塩化マグネシウムを10 ml添加する。
3.2mlのc-Raf(アッセイ当たり0.4U)を1.6mlの非活性型MEK1(アッセイ当たり0.4 mg)と組合わせて加える。
4.4mlの非活性型GST-p42 MAPキナーゼ(アッセイ当たり1.0 mg)を加える。
5.振盪インキュベーター中で30℃にて60分間インキュベートする。
6.この混合物を、抗GST抗体にてコーティングした96ウェルプレート(抗GSTにて一晩(o/n)コーティングし、次いでPierceのSuperblockによりブロッキングしたNunc Immunosorb プレート)に移す。
7.振盪インキュベーター中で30℃にて60分間インキュベートする。
8.TBSTにより3回洗浄し、抗リン酸化MAPK(Sigma)を加える(1:3000)。
9.振盪インキュベーター中で30℃にて60分間インキュベートする。
10.TBSTにより3回洗浄し、抗マウス抗体/ユーロピウム結合体(Wallac)を加える(1:500)。
11.振盪インキュベーター中で30℃にて60分間インキュベートする。
12.TBSTにより3回洗浄し、Wallac Victor モデルの Plate Readerにてプレートを読み取る。
【0043】
(KDRキナーゼアッセイ)
(材料:)
1)Nunc MaxiSorb 96F ELISA VWR 62409-024
2)ペプチド基質:ポリ(Glu4-Tyr)、Sigma (P-0275):水中に5 mg/mlのストックを調製する。
3)TBS:BupH TBS Pierce(#28376);25 mM Tris(pH 7.2)、150 mM NaCl(終濃度)
4)TBST:洗浄緩衝液=TBS+0.05% Tween-20:500 mlに対して:TBS(上記)+2.5 mlの10% Tween (TBS中で作製)。
5) 化合物:DMSO中に調製する。化合物を−80℃で保存する。
【数3】

10)ATP(FW 551):AmershamPharmacia #27-2056-01(25μmol):100 mMストック
11)250 mM MgC12:Sigma M-8266(無水)、FW 95.21;1.19 g/水50 ml
12)アッセイ緩衝液:PerkinElmer 1244-106
13)Eu-抗-PY(PT66):PerkinElmer AD0040 (50μg、SigmaのクローンPT66、抗リン酸化チロシン抗体)。
14)増感溶液:PerkinElmer 1244-105
【0044】
(方法:)
1.Nunc MaxiSorbプレートにTBS中25μg/mlのポリ(Glu4-Tyr)ペプチド100μlを添加する。室温で1〜4時間インキュベートする。[代替法:ポリ(Glu4-Tyr)ペプチドを濃度約1〜50μg/mlまで変動させる;またはポリ(Glu6-Ala3-Tyr)ペプチドを使用する。]
2.ペプチドを含むウェルを200μlのTBSにより3回洗浄する。
3.各ウェルに:29μlのKDRキナーゼマスターミックス[=KDR-IC+5×KDRキナーゼ緩衝液+水(1:1:0.9にて混合)]を添加する。10μlの精製KDR-IC調製物を混合し、反応ウェル当たり0.1%のBSA/4mMのHEPES+10μlの5×KDRキナーゼ緩衝液+9μlの水に希釈する(すなわち、調製物に依存して1:5〜1:20)。使用する化合物容量がより多い場合またはより少ない場合によって水の容量を調整する。これらの添加はMatrixマルチピペッター(multi-pipettor)を用いて可能である。
4.各ウェルに1μlの化合物を添加する(所望の化合物終濃度に拠るDMSO中の50×ストック)(この時点でTV=30μl)。
5.室温で約15分インキュベートし、化合物が酵素に結合するのを可能にする。
4.20μlの2.5×ATP/MgC12/HEPES 溶液をサンプルウェルに添加する。KDRに関して、反応の直線範囲は約1〜100 nMであり、従って代表的に10μMが使用される。[代替法:ATP終濃度は変動できる:いくつかの反応についてATPを用いずに2.5×MgC12/HEPESを使用することは、任意の酵素調製物に対する実行可能な下限範囲の決定を可能にする]。
5.室温で40分間インキュベートする。[代替法:30〜60分のアッセイ反応または37℃の反応温度、しかしこれらはKDRの通常のバッチとは最小限の差異をなす]。
6.これらのプレートを200μlのTBSTにて3回洗浄する。
7.アッセイ緩衝液中1:2000のEu-PYを75μl添加する。
8.室温で45〜60分インキュベートする。
9.これらのプレートを200μlのTBSTにて3回洗浄する。
10.100μlの増感溶液を添加する(室温まで平衡化する)。
11.VICTOR TR−蛍光プレートリーダーにおいてプレートを読み取る。
Excelのテンプレートを使用して、ユーロピウム(蛍光)の生データ(raw)カウントを、未処理(化合物なし)のコントロールウェルに基づく阻害率および/またはIC50に変換する。
【表1】

【0045】
(細胞増殖データ)
式(I)の化合物は、SrcキナーゼファミリーキナーゼおよびAblキナーゼの選択的インヒビターである。また細胞ベースのアッセイを使用して、4-[(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニル)アミノ]-5-メトキシ-7-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロポキシ]-3-キノリンカルボニトリルの感度を試験した。ラット線維芽細胞は、腫瘍形成形態のSrcを過剰発現する。ここで、ヒトc-Srcの触媒ドメインがv-Src触媒ドメインの位置に挿入されて、v-Src/ヒトc-Src融合蛋白質を作出した。同様の置換物を、他のSrcファミリーメンバーであるFynB、Lck、LynおよびHckを用いて作製した。さらに、v-Abl、インスリン様増殖因子−Iレセプター、線維芽細胞増殖因子レセプター、血小板増殖因子レセプターおよびHer2の腫瘍形成形態を過剰発現する同じ細胞型もまた構築した。これらの細胞における化合物の活性を、腫瘍形成タンパク質を過剰発現する線維芽細胞による接着(anchorage)非依存性の獲得に基づく、接着非依存性増殖アッセイを使用して決定した。これらの条件下での増殖は、キナーゼ活性に依存性であり、キナーゼ活性の阻害は、細胞の標的タンパク質のリン酸化阻害を反映する様式で細胞増殖をブロックするはずである。表2は、これらの条件下での4-[(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニル)アミノ]-5-メトキシ-7-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロポキシ]-3-キノリンカルボニトリルに対して取得した増殖データを示す。
【表2】

【0046】
(頭部および頸部の腫瘍細胞株)
式(I)の化合物は、Srcを過剰発現する頭部および頸部の腫瘍細胞株における腫瘍細胞増殖の強力なインヒビターである。HN5株に関する4-[(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニル)アミノ]-5-メトキシ-7-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロポキシ]-3-キノリンカルボニトリルの代表的な増殖プロフィールを、下流標的タンパク質のリン酸化阻害についての証拠と合わせて、図1に示す。
【0047】
(生物学的試験手順の説明)
(標準の増殖条件:)
表3に記載される実験について、1000個の細胞を、その特定の細胞株に対する標準的な増殖培地中で、96ウェル細胞培養ディッシュの各ウェルにおいて0日目に播種した。1日目に化合物を添加した。4日目に相対細胞数を測定した。
【0048】
(CellTiter-Glo方法)
CellTiter-Glo 発光細胞生存率アッセイ(Promega #G7573)を使用した。ここでCellTiter Glo試薬により細胞を溶解し、手早く撹拌して室温で30分間静置し、その後、発光読取装置を取付けたWallacプレートリーダーにおいて分析した。
【0049】
(MTSアッセイ)
CellTiter 96アッセイ(Promega # G3580)の補助として、いくつかのアッセイをモニタリングした。このアッセイに関して、4日目に検出試薬を96ウェルプレートに添加し、490 nMにおける吸収を測定した。
【0050】
(SRBアッセイ)
特定の黒色腫細胞株についてスルフォローダミンB(SRB)アッセイを使用した。このアッセイにおいて、増触媒地中の血清濃度は5%であり、そして培地容量は0.2 mlであった。4日目に0.05 mlの50%トリクロロ酢酸をその培地に添加し、プレートを室温で1時間静置した。培地をデカントにより廃棄し、プレートを水で3回洗浄した。洗浄したプレートを乾燥させ、次いで0.08mlのSRB試薬(SigmaよりSRBを入手した;1%酢酸中0.4%のSRB)を加えた。室温で10分後、溶液中に残存する遊離の赤色がなくなるまでプレートを1%酢酸により洗浄した。結合したSRB試薬を0.15mlの10 mM Trisにより可溶化した(酸は加えず)。シェーカーにて5分間撹拌した後、540nMにおける吸収を読み取った。
【0051】
(インビボ研究)
全ての動物研究を、認可されたInstitutional Animal Care and Use Committeeのプロトコルの下で実施した。腫瘍細胞を5000万細胞/mlに懸濁し、その細胞懸濁物の0.2mlを6〜7週齢の雌ヌードマウス(Charles River、Wilmington、MA)の腹側部に皮下注射した。1週間後に200 mm3より大きな腫瘍を有するマウスに、0.5% メチルセルロースおよび0.4% ポリソルベート80(Tween 80)を含むビヒクル0.2ml中に指示される用量にて腹腔内注射によりビヒクルまたは化合物を投与した。
【0052】
表3は、T細胞白血病細胞株、前立腺癌細胞株、膵臓癌細胞株、黒色腫細胞株、ならびに頭部および頸部の腫瘍細胞株を、4-[(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニル)アミノ]-5-メトキシ-7-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロポキシ]-3-キノリンカルボニトリルにより処理した際に得られた増殖アッセイの結果を要約する。また、4-(2,4-ジクロロ-5-メトキシ-フェニルアミノ)-6-メトキシ-7-[3-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-プロポキシ]-キノリン-3-カルボニトリルがヌードマウスにおけるA375黒色腫皮下腫瘍の異種移植片の成長を遅延する能力を示す。
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、4-[(2,4-ジクロロ-5-メトキシフェニル)アミノ]-5-メトキシ-7-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロポキシ]-3-キノリンカルボニトリルに対する、頭部および頸部の細胞株HN5の応答を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効量の下記式(I)によって表される治療上有効量の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を包含する、癌を予防、治療または阻害する方法。
【化1】

【請求項2】
前記予防、治療または阻害される癌が膵臓癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予防、治療または阻害される癌がリンパ性の癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記予防、治療または阻害される癌が前立腺癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記予防、治療または阻害される癌が頭部および頸部の癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記予防、治療または阻害される癌が黒色腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
治療上有効量の下記式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能なキャリアとを含む、医薬組成物。
【化2】

【請求項8】
前記化合物が単独で送達されるかまたは癌を治療するために使用される1以上の他の化合物と組合わせて送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記他の化合物が、メシル酸イマチニブ、ヒドロシキウレア、IFN−α、細胞傷害性因子、ゲンフィタニブ、ゲムシタビン、アバスチンおよびワートマニン、またはその薬学的に許容可能な塩から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記他の化合物がゲムシタビンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記他の化合物がゲムシタビンおよびアバスチンである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
治療上有効量の下記式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、ゲムシタビンまたはその薬学的に許容可能な塩と組合わせて投与する工程を包含する、膵臓癌を治療する方法。
【化3】

【請求項13】
アバスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程をさらに包含する、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−546777(P2008−546777A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518219(P2008−518219)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/023063
【国際公開番号】WO2007/001839
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】