説明

発光パネル

本発明は、エッジ面(13)、二つの主面(11,12)及び与えられた厚さを有する透明でフラットな基板(1)、主面のひとつ(12)と関連した光源(2)による少なくともひとつの直接光領域(31,32)、放射線が全反射によって基板の厚さ内にガイドされる、可視光線及び/又は紫外線源(2)、及び該ガイドされる放射を引き出す少なくともひとつの引き出しゾーン(41)を含む発光パネル(100)であって、前記引き出しゾーンは、主面のひとつと関連して該直接光領域と別のもう1つの発光領域(33)を形成し、かつ該引き出しゾーン(41)と関連する該主面(11)と同一の側で、該直接光領域(31)は該別の発光領域(33)の輝度よりも低い輝度を有することを特徴とする発光パネル(100)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明の分野に関し、さらに詳しくは発光パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られている発光パネルは、ガラス又はプラスチックで作られるフラットな透明な基板を備え、その主面の一方にOLED(有機発光ダイオード)型のエレクトロルミネッセントデバイスが設けられている。このパネルは、OLEDデバイスを担持する面と反対側の面を通して均一な光を放射する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、光学的性能を改善すること及び/又は新規な光学的機能を一体化することによって、発光パネルの利用できる範囲を拡げようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的のため、本発明の主題は、
エッジ面、二つの主面、及び与えられた厚さを有する透明でフラットな基板、
主面の一方に関連する光源による少なくともひとつの直接光領域、
放射線が全反射によって基板の厚さ内にガイドされる、可視光及び/又は紫外線源、及び
ガイドされた放射線を引き出すための少なくともひとつの引き出しゾーンであって、該引き出しゾーンが、主面の一方に関連した直接光領域と別のもう1つの発光領域を形成し、引き出しゾーンと結びついた主面の側で、直接光領域は前記別の発光領域の輝度よりも低い輝度を有する引き出しゾーン
を含む発光パネルにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明による発光パネルは、したがって、本質的に場所的(ジオグラフィ的)に分れており(しかし、限られた重複領域は可能である)、かつ別の起源又は本質的に別の起源に由来した発光領域を提供する。光源は、可視の放射線を発生する。
【0006】
本質的に直接の光領域では、光は、本質的にこの光源から発生し、それに関連する面から屈折によって直接に導かれ、及び/又は基板を通過し、そして他方の面を通って再び屈折によって出射する。
【0007】
他の別な発光領域では、光は、引き出されガイドされた可視光及び/又は紫外(UV)線に本質的に由来する。もちろん、基板は、特に光及び/又はUVをガイドするように働く。
【0008】
他の発光領域を形成するために、引き出しゾーンの全体、又は少なくとも引き出しゾーンの主たる部分は、もちろん光源に対向していない。引き出しゾーンは、基板の光源と同じ側に実質的に、例えば、光源と同じ平面に、特に光源と隣接して連続していてもよい。引き出しゾーンは、基板の他の側にあってもよい。
【0009】
パネルは、いくつかの引き出しゾーンを含んでいくつかの発光領域を形成してもよい。引き出しゾーンは、連続的であっても、不連続的であってもよい。
【0010】
本質的に別の起源に由来する本質的に場所的に別の発光領域は、発光パネルの光学的特性を必要に応じて調整することを可能にする。これはまた、異なる色及び/又は異なる幾何形状及び/又は異なる光学的機能を有する発光領域を得ることを可能にする。これら二つのタイプの領域は、同時に発光してもしなくてもよく、また、独立に制御されてもされなくてもよい。
【0011】
引き出しゾーンは、例えば、直接光領域によって提供される照明を、特に建築用照明において増強する働き、又は発光パネルに信号を送る働きを有してもよい。
【0012】
本発明による発光パネルは、屋外及び屋内の両方で用いることができ、透明な基板は、どんなサイズでもよく、例えば、1 m2のオーダーであってもよい。
【0013】
直接光は、一様であってもよい。例えば、一つ以上の面光源を選ぶこともできる。また、実質的に点状の光源のアレイを選ぶこともでき、これらの光源は、例えば、特に装飾用途のために断続的に発光することもできる。
【0014】
さらに、基板で大量の光が失われる従来の発光パネルと異なり、本発明による発光パネルは、ガイドされた放射線を用いても光を発生する。
【0015】
本発明による発光パネルは、例えば、すでに知られている発光パネルの輝度に等しい全体的な平均輝度を有することができ、しかも直接光領域では、すでに知られているパネルよりも輝度が小さい。このようにして、消費電力は、引き出しによる光の供給で減少し、したがって発光効率が増加する。
【0016】
本発明による発光パネルは、電力消費を増加させることなく、すでに知られている発光パネルの輝度よりも大きい全体的な輝度を有してもよい。
【0017】
本発明による発光パネルは、一様でない照明を提供する、すなわち、主面のひとつ又は両方の主面で一様に分布していない照明を提供する。本発明による発光パネルは、特に発光領域の種類によって差別化された照明を提供し、これは、例えば、建築用と装飾用の照明、又は建築用の照明とディスプレイ、例えば、デザイン、ロゴ、英数字信号のタイプの照明のディスプレイ、特に教示目的のディスプレイ、及び非常出口の両方を行うことによって提供する。
【0018】
主面の一方又は両方を全体的に、しかしながら一様ではないように照明することができる。例えば、光源と結びついた面で、直接光領域は引き出しゾーンと連続していてもよい。直接光領域と引き出し光領域の境界では、光は、光源から直接出ること、引き出されガイドされた放射線から、例えば、基板で後方散乱された放射線として出ることのどちらであってもよい。
【0019】
主面の一方又は両方はさらに、一つ以上の連続又は不連続な、発光しない(暗)領域を含むことができる。
【0020】
二つの主面がそれぞれ直接光領域を有することができ、それらの輝度L1とL2は実質的に同じにすることも、意図的に異ならせることもでき、例えば、その差が10%を超え、まさに30%であってもよい。特に、基板に向けられる光の量を増やし、そのガイドを促進し、したがって引き出しゾーンの輝度を増大させることが好ましい。
【0021】
例えば、L1(光源の反対側)がL2(光源と同じ側)の少なくとも2倍、さらには3倍になるように選ばれる。
【0022】
典型的には、視覚的に快適なものとしては、L1が1200 cd/m2以下、例えば、1000 cd/m2であり、L2は500 cd/m2以下、例えば、300 cd/m2である。
【0023】
ある好ましい実施形態では、直接光領域は、基板の面積の少なくとも50%に等しい面積を占有し、さらに好ましくは80%に等しい面積を、特に基板の中央で占有する。
【0024】
直接光領域は、連続的であってもよい。また、直接光領域は、不連続的であってもよい。例えば、与えられた幾何形状(長方形及び/又は正方形及び/又は円形等)の表面発光領域が多数存在する形のとき、それらの領域は、一様に間隔をおいている形で、そして全面積が基板面積の少なくとも50%、又はまさに80%を占有することも可能である。
【0025】
さらに、別法によれば、又はそれに加えて、引き出しゾーンは、占める全面積が基板面積の30%を超えず、さらに好ましくは10%を超えなくてもよい。
【0026】
引き出しゾーンは、好ましくは一つ以上の光の帯(バンド)、特に一様な帯の形をして、好ましくは複数の面のうちのひとつの面の周縁に配置される。これらの帯は、例えば非常に明るいフレーム(枠)を形成する。
【0027】
引き出しゾーンの面積が小さくなればなるほど輝度L3は高くなる。輝度L3は、容易に1500 cd/m2以上になり、例えば、約3000 cd/m2になる。
【0028】
本発明のある実施形態では、少なくとも光源が点灯していないとき、直接光領域で、パネルは半反射性又は反射性である。好ましくは、パネルは直接光領域でミラーを形成してもよい。例えば、基板のひとつの面に取り付けられたミラー(例えば、金属箔、ステンレス鋼プレート)によって又は基板の面のひとつの面上の金属層、特に銀の層によってミラーを形成する。
【0029】
好ましくは、ミラーは光源に関連する面に配置されてもよい。特にミラーは、光源の背後に、すなわち、光源よりも基板から遠い位置に配置されてもよい。この配置形態では、ガイドされた光は、ミラーによる吸収で失われることなく、また、引き出しゾーンで特に高い輝度を得ることを可能とする。エレクトロルミネッセント層を有するデバイスでは、基板から最も遠い電極がミラーを形成してもよい。
【0030】
直接光領域で片側だけの照明を優先することが望ましい場合、光源と反対側の面にミラーを配置できる。もちろん、この配置形態では、光源によって基板の方向に発生される直接光は、ミラーによって反射され、次いでこの領域で出射する。
【0031】
直接光はひとつの面を介して出射するので、例えば、室内で直接光を増加させることが可能である。例えば、パネルは、タイル、又は天井、又は発光ミラーである。
【0032】
また、光源を点灯したときにパネルがミラーを形成することができ、これは、少なくともこのミラーを有する面の側で可能である。
【0033】
本発明の別の実施形態では、直接光領域で、光源が消されたときにパネルが透明又は一般的に透明になり、特に全体的な光透過率TLが20%を超え、好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上であり、光反射率RLが50%以下、好ましくは30%以下であることが可能である。
【0034】
パネルは、実質的な割合の可視光(例えば、光源の部分を構成することによって)を吸収又は反射できる物質を含み、しかしこの物質が可視光が十分に透過されるようにこの領域に分布している場合は、直接光領域で全体として透明であると言われる。例えば、この物質はメッシュを形成する。
【0035】
光源が点灯していないときの全体的な光透過率TLを高く設定することによって、例えば、照明ウインドを作り出すことが可能である。したがって、室内の照明は改善されるが、光透過率を低下させることにならない。さらに、光反射率を、特に照明ウインドの外側で制限することによって、反射のレベルを制御して、例えば、建物の前面における防眩基準を満たすようにすることができる。
【0036】
さらに、この別の実施形態では特に、光源は好ましくは面光源であってもよく、特に有機又は無機エレクトロルミネッセント層から成るデバイスであってもよい。さらに、この面光源は、点灯したときにくつろぎ(インティマシィ)を、少なくとも夜間又は比較的暗い環境で、保ってもよい。
【0037】
光源は、単色光源、特に青及び/又は緑及び/又は赤の単色光源であってもよく、さもなければ、白色光を生ずるようになっていてもよい。
【0038】
光源は、以下の光源の少なくともひとつから選んでもよい:
複数の発光ダイオード(LEDs)、
UV、特に近UV(約360〜400 nm)、又は可視領域において励起されるフォトルミネッセント層、好ましくは、励起性の(一次)放射線を生ずるエレクトロルミネッセントデバイス(LED、エレクトロルミネッセント層など)と組み合わせられたもの、フォトルミネッセント層は好ましくは実質的に透明である、及び
有機又は無機エレクトロルミネッセント層、特にOLED、PLEDタイプのものを有するデバイス、TFELデバイス、又はTDELデバイス。
【0039】
これらの光源のそれぞれについては、以下でさらに詳しく説明する。
【0040】
ダイオードタイプの光源は、カプセル封入されていてもよい。すなわち、半導体チップとパッケージで構成され、例えば、チップがエポキシ樹脂中又はPMMA中に封入される。このパッケージの機能は、酸化と水分からの保護、拡散又は集光要素、波長変換などのいくつかであってもよい。
【0041】
ダイオードは、例えば、集光レンズなしの半導体チップで、例えば、サイズが100μm又は1 mmのオーダーであり、カプセル封入は最小限で、例えば、保護のためだけである。
【0042】
すなわち、ダイオードは、以下の発光ダイオードの少なくともひとつから特に選ぶことができる:
主放射方向が、ガイドするために関連した主面に直角方向、又は好ましくは斜め方向であるダイオード、
二つの主放射方向を有し、それらがダイオードの放射面に対して及び関連した主面に対して斜め方向であり、コウモリ翼の形であって、二つの方向が、例えば、20〜40°の間及び-20〜-40°の間の角度に中心があり、半頂角が約10〜20°であるダイオード、及び
ひとつ又は二つの主放射方向を有し、それらがダイオードの放射面に対して斜め方向であり、二つの方向が、例えば、60〜85°の間及び-60〜-85°の間の角度に中心があり、半頂角が約10〜30°であるダイオード。
【0043】
典型的に、集光型ダイオードは、2又は3°という小さな半頂角を有することができる。
【0044】
ダイオードは、“高パワー”ダイオードであってもよい。すなわち、パワーが0.2Wより大きいダイオード、又は光度が5ルーメンより大きなダイオードである。
【0045】
しかし、光スポットの強度が大きくなりすぎるのを避けて、例えば、コウモリ翼型ダイオードを選ぶことが好ましい。
【0046】
フォトルミネッセント層である光源は、普通、マトリクス中の蛍光体粒子に基づく層である。マトリクスは、例えば、無機物であることができ、例えば、シリコン・アルコキシド重合/縮合産物、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、メチルトリエトキシシラン(MTEOS)などであることができる。これらのマトリクス前駆物質は、多くの蛍光体粒子と優れた適合性を有する。
【0047】
蛍光体粒子は、広範な色のパレットから好適に選んで、直接光領域の色を決定することができる。
【0048】
したがって、異なる波長で発光する蛍光体粒子から選んで、それらを組み合わせ、個別化し、均一にして黄色又は白色の光を生ずるようにすることが可能である。
【0049】
同一の蛍光体粒子、又は異なる波長で発光する蛍光体粒子を、変化する組成及び/又は濃度で、文字の標識などのサインを形成するか、又はその他の目的で、特に装飾の目的で、組み合わせることもできる。
【0050】
好ましくは、満足できる光透過率を維持するために、フォトルミネッセント層が比較的不透明である場合、その拡がり(幅)を制限する。例えば、フォトルミネッセント層を数十mmの幅の領域の形で不連続にする。それでも発光効率は維持される。
【0051】
励起される蛍光体粒子として、特に近UVで見られるものとして、赤色で発光するCaS:(Eu, Tm)2+、 緑色で発光するSrAl2O3; Eu2+、黄色で発光するY3Al5O12:Ceがあげられる。
【0052】
好適には、蛍光体粒子は、寸法が高々100 nm、好ましくは30 nm、さらに好ましくは10 nmであってもよく、それらがマトリクスと共に形成する集合体は透明である。これらの蛍光体粒子は、有機の、特に水性、アルコール性の懸濁物であってもよい。
【0053】
例えば、いわゆる“コア−シェル”粒子と呼ばれるもの、例えば、シェルとしてZnS、コアとしてCdSeをベースとするものがあげられる。
【0054】
もちろん、パネルはまた、直接光源の波長を変換するフォトルミネッセント層を含むこともできる。例えば、黄緑色で発光するZnS:Cu又は青から黄色で発光するY3Al5O12:Ceがあげられる。
【0055】
光源は、二つの電極を有するエレクトロルミネッセントデバイス、好ましくは電子伝導層の形であってもよい。
【0056】
しかし、基板から遠い方の電極は、金属の箔又はプレートであってもよく、またミラー(特に銅、ステンレス鋼、又はアルミニウムで作られたもの)を構成するものであってよい。
【0057】
光源がガイドされた光を生成する形態では、基板に近い電子伝導層、一般に底面電極は、透明であるように、特に光透過率TLが50%以上、特に70%以上、さらには80%以上であるように選ばれる。
【0058】
電子伝導層は、金属酸化物から、特に以下の物質から選ぶことができる:錫−ドープされた酸化物、特にフッ素−ドープされた酸化錫SnO2:F又はアンチモン−ドープされた酸化錫SnO2:Sb(CVDによる蒸着の場合に用いることができる前駆物質はハロゲン化錫又はフッ化水素酸又は三フッ化酢酸タイプのフッ素前駆物質と結びついた有機金属である)、ドープされた酸化亜鉛、特にアルミニウム−ドープされた酸化亜鉛ZnO:Al(CVDによる蒸着の場合に用いることができる前駆物質はハロゲン化亜鉛及びアルミニウム、又は有機金属である)、又はガリウム−ドープされた酸化亜鉛ZnO:Ga、又はドープされたインジウム酸化物、特に錫−ドープされた酸化インジウムITO(CVDによる蒸着の場合に用いることができる前駆物質はハロゲンか錫及びインジウム、又は有機金属である)、又は亜鉛−ドープされた酸化インジウム(IZO)。
【0059】
もっと一般に、どんなタイプの透明な電子伝導層も、例えば、TCO(透明導電酸化物)層で、厚さが例えば2〜100 nmのものを用いることが可能である。また、薄い金属コーティング、すなわちTCC(透明導電コーティング)、例えばAg, Al, Pd, Cu又はAuから作られる厚さが2〜50 nmのコーティングを用いることも可能である。
【0060】
もちろん、直接光領域で透明性が必要とされる応用では、両方の電極が透明である。
【0061】
基板から遠い方の電子伝導層は、不透明な、反射性の金属層、特にAl, Ag, Cu, Pt, 又はCrの、スパッタリング又は蒸着によって得られる層であってよい。
【0062】
さらに、デバイスには少なくともひとつのバリア層が、特にアルカリ金属に対するバリアとして働くバリア層が、前記選ばれたガラス基板と基板に近い方の電極の間に挿入されて設けられることが好ましい。
【0063】
このアルカリ金属に対するバリア性質を有する層は、以下の化合物:窒化シリコン又は酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム又は酸化窒化アルミニウム、酸化シリコン又は酸化炭化シリコン、から選択される誘電体をベースとし、厚さが20〜150 nmである。
【0064】
バリア層は、1.9〜2.3の高い屈折率を有する層と、1.4〜1.7の低い屈折率を有する層を特にSi3N4/SiO2又はSi3N4/SiO2/Si3N4のシーケンスで交互に含んでもよい。
【0065】
光源は、無機又は有機のエレクトロルミネッセント層を含むエレクトロルミネッセントデバイスであってよい。
【0066】
無機エレクトロルミネッセント層は、TFEL(薄膜エレクトロルミネッセント)層と呼ばれる。このシステムは一般に蛍光体の層と少なくともひとつの誘電体層とを含む。
【0067】
例えば、誘電体層は、次のような物質:Si3N4、SiO2、Al2O3、AIN、BaTiO3、SrTiO3、HfO、TiO2をベースとすることができる。
【0068】
蛍光体層は、例えば、次のような物質:ZnS:Mn、ZnS:TbOF、ZnS:Tb、SrS:Cu、Ag、SrS:Ce、又はZn2SiO4:Mnなどの酸化物から構成できる。
【0069】
無機エレクトロルミネッセント多重層の例は、例えば、米国特許第6 358 632号に記載されている。
【0070】
誘電体層は、厚くてもよい(数ミクロン)。その場合、それはTDEL(厚膜誘電体エレクトロルミネッセント)層と呼ばれる。TDEL製品の例は、欧州特許第1 182 909号に記載されている。
【0071】
有機エレクトロルミネッセント層を有するダイオードは、OLEDsと呼ばれる。一般に、OLEDsは、用いる有機物質によって二つの系列に大別される。有機エレクトロルミネッセント層がポリマーである場合、このダイオードはPLEDs(ポリマー発光ダイオード)と呼ばれる。エレクトロルミネッセント層が小さな分子である場合、このダイオードはSM-OLED(低分子有機発光ダイオード)と呼ばれる。
【0072】
PLEDの一例は、次のような多重層である:ポリ(スチレンスルフォネート)ドープされたポリ(2,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT:PSS)の50 nm層とフェニルポリ(p-フェニレンビニレン)(Ph-PPV)の50 nm層。トップ電極は、Caの層であってよい。
【0073】
一般に、SM-OLEDの構造は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を含む多重層である。
【0074】
正孔注入層の一例は、銅フタロシアニン(CuPC)であり、正孔輸送層は、例えば、N,N’-bis(ナフタレン-1-yl)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン(α-NPB)である。発光層は、例えば、fac-トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム[Ir(ppy)3]ドープされた4,4’,4”-トリ(N-カルバゾイル)トリフェニル−アミン(TCTA)の層である。電子輸送層は、アルミニウムトリ(8-ヒドロキシキノリン)(Alq3)又はバソフェナントロリン(BPen)で構成できる。トップ電極は、Mg/Al又はLiF/Alの層であってよい。
【0075】
有機エレクトロルミネッセント多重層の例は、例えば、米国特許第6 645 645号に記載されている。
【0076】
本発明の第一の好適なデザインでは、光源は、可視となるように選ばれる上記ガイドされる放射線の光源を形成してもよく、さらに好ましくは構成する。
【0077】
この場合、したがって別の光領域を形成するために全反射の角度以上の角度で基板に注入された光の大きな部分が回収される。
【0078】
光源は、例えば、ランバート発光パタンを有していてもよい。
【0079】
本発明による発光パネルは、単一の電気的UV及び/又は可視光源を有し、さらに詳しくは、その光源は、主面のひとつと関連してよく、また、単一の光源であり、好ましくは電気的な光源であってもよい。
【0080】
さらに好ましくは、可視光源は、エレクトロルミネッセントデバイスであり、例えば、既に上述したようなデバイス(LEDシリーズ、OLEDタイプのものなど)である。
【0081】
このように、発光パネルは、単純なデザインで高性能であり、しかも安価である。
【0082】
本発明の第二のデザインでは、ガイドされる放射線の線源が、UV、好ましくは近UV放射線となるように選ばれ、さらにこの線源はエッジ面に配置される。
【0083】
UV源は、単純な半導体チップであってよい。この線源は、さらにエッジ面の凹みに配置されるか、面取りされた又は凸であるエッジ面に接合されてもよい。特に、反射を制限するために、ガイドの屈折率と外部媒体の屈折率、場合によってはレンズの屈折率の中間の屈折率の接着剤が選ばれる。凹んだ領域は、ガイドに沿った溝を形成して複数の線源を収容することもでき、また、溝は少なくともひとつの側で非突発的(non-emergent)又は突発的(emergent)であり、特に側方装着を促進する。孔の底面はフラット、凹面、凸面、球面、双曲面又は非球面であってよい。線源は、線源を保護及び/又は保持する手段の中にあり、これは凹んだ、特にU-型の領域内にある及び/又は凹んだ領域の大部分を占有する。この手段は、接着剤によって、スナップ固定によって、ボルトによって等で結合エッジ面に固定されていてもよい。
【0084】
本発明のこの第二のデザインでは、光源は、フォトルミネッセント層を含み、この層は、上述のUV、好ましくは近UVの放射線によって励起することができ、好ましくは実質的に透明である。
【0085】
光源は、特にこの目的で設けられた凹所で又は取り付けられた部材上で、主面のひとつに向けられてもよい。同様に、引き出しゾーンは、直接主面のひとつにあってもよく、さもなければ、適当な取り付けられた部材上にあってもよい。
【0086】
ある有利な実施の形態では、光源は、基板への光の注入を最適化するために主面のひとつ上に直接的に与えられる。
【0087】
例えば、エレクトロルミネッセントデバイスを光源として、電子伝導層のひとつが基板(又は、バリア層)に直接堆積される。LEDダイオードを面上に、例えば、孔に配置することができる。フォトルミネッセント層は、主面に直接堆積することができる。
【0088】
好ましくは、パネルの製造を促進するために、引き出しゾーンは、光源がある面と反対の主面と関連させることができる。
【0089】
光源は、別のフラットな、好ましくは透明な、ガラスなどの基板に、積層中間層、特に超透明なものを用いて、接合してもよく、又は好ましくはラミネートしてもよい。
【0090】
ラミネートされたガラスを形成することを選ぶことができる。積層中間層は、ポリビニルブチラール(PVB)又はエチレン/酢酸ビニル(EVA)のフィルムなどの透明なプラスチックフィルムであってよい。また、透明な接着剤樹脂を用いることもできる。
【0091】
別法によれば、基板は、多重グレージングユニット、(複合材料又はガラス製)、特に二重グレージングユニットのガラス窓を形成することができる。好ましくは、光源は、特に不活性気体(例えば、アルゴン)の気体層を有する、を含む二重グレージングユニットの内側に配置されてもよい。
【0092】
光は、上述の引き出しゾーンに配置される以下の手段の少なくともひとつによって引き出される:
好ましくはミネラル粒子をベースとし、好ましくはミネラル結合剤を含む拡散層、
拡散的にされた基板、特にテキスチャーを有するか又は粗面の基板、及び
拡散要素、特にテキスチャーを有するか又は粗面の、基板に取り付けられ、好ましくは実質的に同じ屈折率を有する拡散要素。
【0093】
ガイドされる放射線が可視放射線である場合、拡散層は、可視光を散乱する粒子及び可視領域で励起され色を変化させる蛍光体粒子をベースとしてもよい。
【0094】
可視領域で散乱する粒子は、特に100 nm〜1μm、特に300 nm〜700 nmの寸法を有し、例えば、アルミナ粒子、又は蛍光体粒子などである。可視光を散乱するこれらの粒子は、誘電体、半導体、又は導体である。
【0095】
寸法が30〜500 nm、特に寸法が少なくとも400 nmの蛍光体粒子も、可視光を散乱することができる。このため他の散乱粒子を加える必要がなくなる。
【0096】
ガイドされる放射がUV放射線である場合、拡散層は、散乱粒子及びUV励起され可視光で発光する蛍光体粒子をベースとしてもよい。引き出しゾーンも、UV拡散第一層と可視で発光する蛍光体をベースとする外側層を含んでもよい。
【0097】
テキスチャーを設けて光を拡散するようにされた基板は、普通、寸法が数μmから数mmの間の規則的な幾何的パタン、例えば、プリズム、又は寸法が5から10μmの間のミクロレンズから形成される。
【0098】
粗面化することで光を拡散するようにされた基板は、普通、粗さが数μmから数mmの間にある。
【0099】
透明な基板は、平行六面体で、主面が長方形又は正方形であるか、又は任意の他の形(円形、卵形、多角形など)の主面を有している。この基板は、大きくてもよく、例えば、面積が0.5又は1 m2を超えてもよい。
【0100】
透明な基板は、任意の透明なプラスチック、例えば、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリオレフィン、特にポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、アクリルポリマー、例えば、ポリメチルメタクリレート、及びアイオノマー樹脂、及びいろいろなコポリマーから形成されていてもよい。
【0101】
ある好適な実施形態では、透明基板は、ガラスであり、好ましくは拡散引き出しゾーンを形成するために、微細テキスチャー加工、サンドブラスト処理、又は酸エッチング処理の少なくともひとつで処理されている。
【0102】
さらに、エッジ面のエッジの少なくともひとつのエッジ(好ましくは両方のエッジ)は、放射線をより広い引き出しゾーンに向け直すために、光源と関連した主面と共に、45°以上、好ましくは80°以上、しかし90°よりも小さい外角を形成する。エッジ面は、したがって、面取りされていてもよい。
【0103】
エッジ面のエッジの少なくともひとつのエッジ(好ましくは両方のエッジ)は、反射性であってもよく、好ましくはミラーを備えて、ガイドされる放射線が最適に再循環されるようになっていてもよい。
【0104】
反対側の面にある引き出しゾーンに面する領域も、引き出しゾーンをマスクするため及び/又は後方散乱した光を再循環させるため、反射性であってもよい。
【0105】
ガイドされる放射線の損失を制限するために、透明な基板は、ガイドされる放射線の波長で、吸収係数が2.5 m-1未満、好ましくは0.7 m-1未満のガラスであってもよい。
【0106】
例えば、0.05%未満のFeIII又はFe2O3を含むソーダライムシリカガラス、特にSaint-Gobain Glass社からの“Diamant”ガラス、Pilkington社からの“Optiwhite”ガラス、又はSchott社からの“B270”ガラスが選ばれる。国際公開WO 04/025334に記載されている任意の超透明ガラス組成物を選んでもよい。
【0107】
本発明のある有利なデザインでは、内部反射の回数を減らしてより多くのガイドされる放射線を引き出すために、上記の透明な基板の厚さは少なくとも1 mm、好ましくは少なくとも5 mmであり、それにより別々に分れた輝度領域が有利になる。
【0108】
さらに、与えられた機能をもったコーティングを本発明による発光パネルに組み込むことが有利になるであろう。これは、赤外波長の放射線をブロックする機能を有するコーティング(例えば、誘電体層又はTiN又はZrNのような窒化物の層で囲まれた一つ以上の銀層、又は金属酸化物又は鋼又はNi-Cr合金を用いる)、低放射率の機能を有するコーティング(例えば、SnO2:Fのようなドープされた金属酸化物、又は錫ドープされたインジウム酸化物(ITO)、又は一つ以上の銀の層から作られる)、曇り防止機能(親水性の層を用いる)、汚れ防止機能(アナターゼ型で少なくとも部分的に結晶化したTiO2を含む光触媒コーティング)、又は、例えば、Si3N4/SiO2/ Si3N4/SiO2タイプの反射防止多重層であってよい。
【0109】
電子伝導層が設けられた面光源で、電子伝導層のひとつは、低放射率機能及び/又は太陽光コントロール機能を有することができる。
【0110】
本発明による発光パネルは、選択によって(代替として又は組み合わせで)、装飾的又は建築用の発光システム、ディスプレイパネル、例えば、図、ロゴ、又は標識タイプ、特に英数字タイプのもの、及び表示部材、例えば、非常出口の表示を形成することができる。
【0111】
一般に、本発明に係わる発光パネルは、建物又は移動手段の任意の窓(列車の窓、船舶又は飛行機のキャビンの窓、サンルーフ、産業車両のサイドウインド、リアーウインド又はフロントグラスの一部)に装備できる。
【0112】
また、本発明による発光パネルを、グレージング、ガラスのドア、特にスライディングドア、建物の二つの部屋の間の仕切、特にオフィスにおける間仕切り、又は陸上、航空、又は海上移動手段の二つの領域/コンパートメントの間の仕切、又は店のウインド、又は何らかのタイプのコンテナに装備することも考察される。
【0113】
本発明による発光パネルは、また、都市型家具及び/又はインテリア家具に向けて使用することができる。
【0114】
本発光パネルは、特に、照明性のタイル、天井、バスシェルターパネル、ディスプレイキャビネットの壁、宝石店のディスプレイケース、又はショップウインド、棚又は家具の部材、家具調度品の前面、冷蔵庫の棚照明、アクアリウムの壁、又は温室に使用できる。また、照明ミラーにも使用できる。この発光パネルは、浴室の壁又はキッチンの仕事台を照らすのにも使用できる。
【0115】
本発明は、非限定的な例示実施形態についての以下の詳細な説明を読んで、以下の図面を検討することによってもっと良く理解されるであろう。
【0116】
分かりやすくするために、図示される対象のいろいろな要素(角度を含む)は必ずしも正しい縮尺で描かれていないということを指摘しておきたい。
【0117】
図1a及び図1bは、本発明の第一の実施形態に係わる発光パネルの概略正面図及び側方断面図をそれぞれ示す。
【0118】
発光パネル100は、第一に、フラットで透明な基板、好ましくは厚く、例えば、厚さが4又は6 mmであり、かつ可視領域における吸収係数が2.5 m-1以下であるガラスのシート1を含む。超透明で可視又は近UVにおける吸収係数が0.7 m-1未満であるソーダライムシリカガラスを選ぶことが好ましい。このガラスシート1は、第一及び第二の平行な主面11,12とエッジ面13を有する。
【0119】
エレクトロルミネッセント層が二つの電極の間に挟まれたOLED、PLED及びTFELエレクトロルミネッセントデバイスは、第二の主面12に配置されている。
【0120】
一例として、OLEDタイプの有機エレクトロルミネッセントデバイスは、主面12上に以下のものを下記の順序で含む:
オプションとして、アルカリバリア層、例えば、窒化又は酸化窒化シリコン、窒化又は酸化窒化アルミニウム、酸化又は酸化炭化シリコンの層、又はその他に、1.9〜2.3の高屈折率の層と1.4〜1.7の低屈折率の層の交番層、特にシーケンス: Si3N4/SiO2又はSi3N4/SiO2/Si3N4によって交番する層、
第一の電極(単一層又は多重層)、これは背面電極又はボトム電極と呼ばれる、
有機エレクトロルミネッセント(OLED)システム、普通、以下のものから構成される:
α-NPDの層、
TCTA + Ir(ppy)3の層、
Bphenの層、及び
LiFの層、
第二の電極(単一層又は多重層)、これは前面電極又はトップ電極と呼ばれる。
【0121】
別法によれば、TFELタイプの有機エレクトロルミネッセントデバイスは、主面12上に以下のものを下記の順序で含む:
オプションとして、アルカリバリア層、例えば、窒化又は酸化窒化シリコン、窒化又は酸化窒化アルミニウム、酸化又は酸化炭化シリコンの層、又はその他に、1.9〜2.3の高屈折率の層と1.4〜1.7の低屈折率の層の交番層、特にシーケンス: Si3N4/SiO2又はSi3N4/SiO2/Si3N4によって交番する層、
第一の電極(単一層又は多重層)、これは背面電極又はボトム電極と呼ばれる、
無機エレクトロルミネッセント(TFEL)システム、普通、以下のものから構成される:
Si3N4の層、
ZnS:Mnの層、及び
Si3N4の層、
第二の電極(単一層又は多重層)、これは前面電極又はトップ電極と呼ばれる。
【0122】
デバイス2は、直接面光源、好ましくは白色光源であり、ガラスシート1のどちらかの側にある。ガラス1のどちらかの側にある第一の直接光領域31,32は、このように規定される。
【0123】
デバイス2の反対側にある第一の直接光領域31は、第一の主面11の中心部分を、ガラス面積の80%の面積にわたって、言い換えると面11の面積の80%の面積にわたって覆っている。
【0124】
デバイス2と同じ側にある第二の直接光領域32は、主面12の全体にわたって拡がっている。
【0125】
デバイス2の特性を採用するに当っては、第一の直接光領域31の輝度L1が好ましくは第二の直接光領域の輝度L2よりも(太い矢印F1と細い矢印F2で示されるように)大きくなるような形で行う。
【0126】
したがって、L1がL2よりも大きくなるようにするため、デバイスは主に背面電極を通して光を放射する。例えば、視覚的に好適であるため、L1が約1000 cd/m2となり、L2が約500 cd/m2となるように選ばれる。
【0127】
例えば、背面電極としては透明電極が、例えば、光透過率が約85%のITOで作られた透明電極が選ばれ、前面電極としては半反射性の金属層、例えば、厚さが10〜20 nmの銀層が選ばれる。
【0128】
直接光領域31,32では、デバイス2のスイッチがオンになると、発光パネル100は透明であって、光透過率TLが約65%、光反射率RLが約15%である。
【0129】
背面電極として薄い金属層、例えば厚さが10 nm未満の銀層を選ぶことによって、同様の性能レベルを得ることができる。
【0130】
例えば、前面電極に誘電体(単一層又は多重層)コーティングを、例えばZnO又はSi3N4のコーティングを、例えば全体の厚さが20〜40 nmになるように加えることによって、L1及びL2をあまり変化させることなく、パネルの光透過率TLを増大させ、光反射率RLを減少させることができる。逆に、誘電体コーティングの厚さ及び/又は屈折率を変えることによってL2を増大させL1を減少させることができる。
【0131】
デバイス2はまた、全反射によってガラス1の厚さにガイドされる放射線の線源である。
【0132】
ガイドされる放射線は、第一の面11のエッジから、拡散層41、例えば無機結合剤に分散した無機散乱粒子による拡散層によって引き出される。このように、周縁の発光フレームを形成する光領域33が、例えばガラス1の幅の5%に等しい幅で図1aに示されるように画定される。ある変形例では、拡散層41は、側帯又は長手方向周縁帯だけを形成する。
【0133】
ガイドされる放射線の引き出しを助けるために、エッジ面13の各エッジは、光源2と関連する第二の主面12と共に80°より大きな外角αを形成し、また、ミラー14、例えば銀又は銅の層を含む。
【0134】
第一の主面11側でデバイス2が放射する光の約15〜30%は第一の面11を直接出てゆき(直接光)、第一の主面11側でデバイス2が放射する光の約70〜85%はガイドされる。
【0135】
輝度L3は、例えば約3000 cd/m2である。フレーム33は、中央領域31よりも明るい(太い矢印F3によって図示されている)。
【0136】
パネル100は、建築用に、照明ウインド、照明ドア、温室の壁又はガラスルーフにする、又は車両のサイドウインド又は照明ルーフにするように意図されていてもよい。第一の面11は、内側の面(最も明るい面)である。
【0137】
デバイス2のスイッチをオンにすると、中央領域31は、室内、夜間の又は暗い環境における乗客コンパートメントにおける人のくつろぎ性を保つことができる。このために必要なことは、グレージングが送り出す光束が少なくとも反射されて部屋から戻ってくる光束と等しいということだけである。
【0138】
パネル100は、二重グレージングユニットを構成することができ、また、デバイス2は、好ましくは、ガラス1と多分もっと薄い別のガラスとの間の気体が充填された内側スペースに配置される。
【0139】
前面及び/又は背面電極は、低放射率又は太陽光コントロール機能を有することができる。
【0140】
このように設計されたパネル100は、また、透明な照明ディスプレイシェルフ、冷蔵庫の照明棚、二つの部屋の間の照明された透明仕切、又はアクアリウムの天井としても役立つ。その場合、デバイス2の特性を、第一の直接光領域31の輝度L1が第二の直接光領域32の輝度L2と実質的に等しくなるように適合させてもよい。
【0141】
上記のようにするためには、前面及び背面電極が同様の又は同一の光学的特性を有するように、例えばITO層が選ばれる。
【0142】
これによって、直接光領域31,32では、デバイス2のスイッチが切られてオフになったとき、発光パネルは透明で、光透過率TLが約80%、光反射率RLが約15%になる。
【0143】
前面及び背面電極は、また、厚さが10〜20 nmの銀の薄膜で作られるように選ぶこともできる。
【0144】
これによって、直接光領域31,32では、デバイス2のスイッチが切られてオフになったとき、発光パネルは光透過率TLが約50%、光反射率RLが約50%になる。
【0145】
光領域31,32は一様である。ある変形例では、パネル100は、少なくともひとつの、不連続である及び/又はデザイン、ロゴ、又は表示を形成する直接光領域を有していてもよい。
【0146】
ある変形例では、発光パネル100はまた、各面11,12上に、可能なら与えられた幾何形状(長方形、正方形、円形など)の及び/又は一様に分布して装飾的な照明となる複数の直接光領域を有し、また、好ましくは、それがガラスの面積の少なくとも50%、さらには80%を占有する。
【0147】
ある変形例では、発光パネル100はまた、ひとつの照明面11を有していてもよく、それが例えば、発光体(luminar)、特に無視できるほどの輝度L2の照明タイル又は天井になる。発光パネル100は、バスルームの壁やキッチンの仕事台を照明するために用いることもできる。例えばミラー層、例えば約100 nmの厚さのアルミニウム又は銀で作られたミラー層をトップ電極として選ぶことができる。また、第二の面12に向いているミラーを設けることもできる。これにより、発光パネル100は、日中はミラーとして、夜間は照明源として機能することができる。
【0148】
図2は、本発明の第二の実施形態における発光パネル200の概略縦断面図を示す。
【0149】
パネル200は、パネル100とは次のような技術的特性によって異なる:
拡散層は、ガラス42の規則的な幾何的パタンのテキスチャー加工によって、例えばミクロン・サイズの溝によって置き換えられるか、又は変形例として拡散プラスチックフレームを追加することによって置き換えられる、
板ガラス1は、多分薄い及び/又は面取りされている後方板ガラス1’に、満足な透明性を維持するために好ましくは超透明な、PVB中間層などの積層中間層5を介して、及び照明性の第二の面12に積層される、
デバイス2は、例えば板ガラス1の面積の60〜70%を占める限られた中央領域に拡がっている、
直接光領域31と光引き出しゾーン33の間に、非発光透明領域(暗領域)がある、
後方板ガラス1’の外側の面は、引き出しゾーン42に向いてこの領域をマスクすると共に屈折することができる後方散乱された光を回収するようになっている金属ミラー11’を含む、及び
好ましくは、パネルのエッジ面全体(すなわち、板ガラス1のエッジ面、シートのエッジ面及び後方板ガラス1’のエッジ面)がミラー14を含む。
【0150】
デバイス2は、積層によって保護される。変形例として、PVBを特に空気層で、又は好ましくは不活性気体の層で置き換えることによって二重グレージングユニットを形成することも可能であろう。
【0151】
パネル200は、上述した発光パネル100又はその変形例と同じ機能を有することができ、特に以下のような機能を有することができる:
建築用に、照明ウインド、照明ドア、ガラス開口、ガラスルーフ、温室の壁、又は車両のサイドウインド又は照明ルーフにすることが意図され、特にL2より大きいがL3よりも小さな輝度L1を有する、
二つの部屋の間の照明する透明な仕切、照明シェルフ、冷蔵庫の照明棚、アクアリウムの壁であり、特に実質的にL2と等しいがL3より小さな輝度L1を有する、
デザイン、ロゴ、又は表示を形成する少なくともひとつの直接光領域を有し、特にL3より小さな輝度L1を有する、
各スペース11,12で、複数の直接光領域を有する、及び
単一の照明面11を有し、それが例えば発光体(luminar)、特に照明性のタイル又は天井になり、バック板ガラス1’には例えばミラーを設けるか、又はミラーに置き換えるか、又は前面電極がミラーである。
【0152】
図3は、本発明の第三の実施形態における発光パネル300の概略縦断面図を示す。
【0153】
発光パネル300は、パネル100とは次のような技術的特性によって異なる:
拡散層は、ガラス43の粗面領域で置き換えられ、それによって拡散的になっており、例えば、サンドブラスト加工、化学的エッチングによって粗面化され、又は変形例として拡散プラスチック・フレームを追加することによって置き換えられる、
板ガラス1は、場合により不透明な又は少なくとも表面が反射性の、多分薄く及び/又は面取りされたフラット部材6に、PVBで作られたもののような積層中間層5を介して,好ましくは薄い及び/又は超透明な中間層を介して積層されている、
デバイス2は、板ガラス1の面積の60〜70%を占める限られた中央領域に拡がり、かつフラット部材6に接合され、また、デバイス2は、透明であるように選ばれた、例えばITOで作られた前面電極(板ガラス1に近い方の電極)を通して放射する、
パネル300は、単一の照明面11だけを有する、及び
オプションとして、板ガラス1のエッジ13’は真直なエッジである。
【0154】
部材6は、背面電極として働く銀又はアルミニウムで作られる金属箔であってもよい。
【0155】
発光パネル300は、すでに述べたような機能のいくつかを有し、特に以下のような機能を有することができる:
発光体(luminar)、特に照明性のタイル又は天井であり、輝度L1よりも大きなままの輝度L3を有する、
デザイン、ロゴ、又は表示を形成する少なくともひとつの直接光領域を有する、
面11に、複数の直接光領域を有する。
【0156】
図4a及び図4bは、本発明の第四の実施形態における発光パネル400の概略正面図及び縦断面図をそれぞれ示す。
【0157】
発光パネル400は、パネル100とは次のような技術的特徴によって異なる:
エレクトロルミネッセントデバイス2は、発光ダイオード(LEDs)2’によって置き換えられ、このダイオードは、例えば青色で発光し、例えば“コウモリ翼”放射パタンを有し、標識発光部材31’、例えば矢印、を形成する、
拡散層は、青色の光から白色光を生成するように、散乱もし、黄色で発光もするルミネッセント粒子に基づく層44、例えば、Y3Al5O12:Ce層で置き換えられ、また、層44は二つの側方周縁バンドを形成する、
パネルは、単一の照明面11を有し、また、この面は、青色の光から白色光を生成するために中央領域に黄色で発光する透明蛍光体粒子に基づく層7を有する。かかる粒子は、いわゆる“コア−シェル”粒子であって、例えばシェルとしてZnS、コアとしてCdSeに基づくものである、及び
面12は、拡散バンド44に向いた二つのミラー層12’を含む。
【0158】
ダイオード2’をオフにすると、発光パネルは、直接光領域31で全体的に透明であって、全体としての光透過率TLが約85%、光反射率RLが約15%になる。
【0159】
ダイオード2’はまた、装飾機能を有していてもよく、また、中央領域に一様に分布されていてもよい。
【0160】
ある変形例では、ダイオード2’は白色光を放射するので、層7を省いてもよく、また、層44を単に散乱粒子、例えばアルミナ粒子に基づくものだけとしてもよい。
【0161】
別の変形例では、ダイオード2’は近UVで放射するので、近UVで励起され得る透明蛍光帯の層と近UVで励起され得る蛍光体を含む拡散層とが選ばれる。
【0162】
別の変形例では、層7が省かれ、また、エレクトロルミネッセントデバイス2が残されて発光信号部材31’を形成する。
【0163】
発光ダイオード2’もまた、矢印31’を形成するTDEL又は他の信号発生部材で置き換えられてもよい。したがって、層7は省かれる。
【0164】
図5a及び図5bは、本発明の第五の実施形態における発光パネル500の概略正面図及び縦断面図をそれぞれ示す。
【0165】
発光パネル500は、パネル100とは次のような技術的特徴によって異なる。
【0166】
エレクトロルミネッセントデバイス2は、中心が面11にあってその80%にわたって拡がっている透明なフォトルミネッセント層2”によって置き換えられている。層2”は、一つ以上の可視波長で放射線を発生するUV励起可能な蛍光体ナノ粒子、例えば、シェルとしてZnS、コアとしてCdSeをベースとするコア−シェル粒子に基づいている。
【0167】
L2は、L1と同じである。さらに、層2”が励起されないとき、発光パネルは直接光領域31,32において透明であり、光透過率TLが約85%、光反射率RLが約15%である。
【0168】
パネル500は、UV放射線に、好ましくは近UV放射線になるように選ばれる、ガイドされる放射線の線源を含み、また、真直なエッジ上に配置され、そしてエッジ面13上にミラーを有しない。これらのものは、例えば、エッジ面に接合された半導体チップの形の一連のダイオード20である。ある変形例では、ネオン管が選ばれる。
【0169】
UV放射線は、全反射によって板ガラス1の厚さ内で伝播し、そしてUVを可視光に変換するルミネッセント粒子と散乱粒子をベースとする側方拡散バンド44、例えば、赤色で発光するCaS:(Eu, Tm)2+、 緑色で発光するSrAl2O3; Eu2+、及び青色で発光するコア−シェル粒子の混合物を介して引き出される。この引き出しは、同じ面11で行われる。
【0170】
層2”によって基板の方へ放出された放射線は、部分的にガイドされて領域44’で引き出される。L3は、約1000 cd/m2であってよい。
【0171】
もちろん、各実施形態で、一つ以上の他の実施形態のいくつかの特徴、特に引き出しのタイプ、パネルを一枚物にするか多重的にするか、光源のタイプ、光源の配置と拡がり、及び発光面をひとつにするか2つにするかの選択などの特徴を代用又は追加することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1a】本発明の第一の実施形態に係わる発光パネルの概略正面図である。
【図1b】本発明の第一の実施形態に係わる発光パネルの側方断面図である。
【図2】本発明の第二の実施形態における発光パネルの概略縦断面図である。
【図3】本発明の第三の実施形態に係わる発光パネルの概略縦断面図である。
【図4a】本発明の第四の実施形態における発光パネルの概略正面図である。
【図4b】図4aに示した発光パネルの線分IVb - IVbにそった縦断面図である。
【図5a】本発明の第五の実施形態における発光パネルの概略正面図である。
【図5b】図5aに示した発光パネルの線分Vb - Vbにそった縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジ面(13,13’)、二つの主面(11,12)及び与えられた厚さを有する透明でフラットな基板(1)、
主面(11,12)のひとつと関連した光源(2,2’,2”)による少なくともひとつの直接光領域(31,32,32’)、及び
放射線が全反射によって基板の厚さ内にガイドされる、可視光線及び/又は紫外線源(2,2’,2”)
を含む発光パネル(100〜500)であって、
該ガイドされる放射線を引き出す少なくともひとつの引き出しゾーン(41〜44’)を含み、前記引き出しゾーンは、該主面のひとつ(11)と関連して該直接光領域と別のもう1つの発光領域(33)を形成し、該引き出しゾーン(41〜44’)と関連する該主面(11)の側で、該直接光領域(31)は、該別の発光領域(33)の輝度よりも低い輝度を有することを特徴とする発光パネル(100〜500)。
【請求項2】
該直接光領域(31,32,32’)は、該基板(1)の主面の少なくとも50%に等しい面積、特に中央の面積を占めることを特徴とする請求項1に記載の発光パネル(100〜500)。
【請求項3】
該直接光領域(31,31’)において、該光源(2,2’)のスイッチがオフになったとき、該発光パネルは透明又は一般的に透明であり、特に、全体的な光透過率TLが20%より大きく、かつ光反射率RLが50%未満であることが可能であり、好ましくは、該光源(2)は、面光源、特に有機又は無機エレクトロルミネッセント層から成るデバイスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光パネル(100、200.400,500)。
【請求項4】
該直接光領域(31)において、該光源(2)のスイッチがオフになったとき、該発光パネルがミラーを形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の発光パネル(300)。
【請求項5】
該光源が単一光源であり、好ましくはエレクトロルミネッセントデバイスから成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光パネル(100〜400)。
【請求項6】
該光源(2,2’)が、前記ガイドされる放射線の放射線源を形成し、好ましくはそれから成り、前記ガイドされる放射線は可視光放射線であるように選ばれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光パネル(100〜400)。
【請求項7】
該選ばれた紫外線源(20)がエッジ(13)に配置され、かつ該光源(2”)が、前記UV線によって励起されるフォトルミネッセント層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光パネル(500)。
【請求項8】
該光源(2,2’,2”)が該主面のひとつに直接配置され、好ましくは該引き出しゾーン(41,42,44)が、光源がある主面と反対側の主面と関連していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光パネル(100,200,400,500)。
【請求項9】
該光源(2)が、もうひとつの、特に透明な、フラットな基板(1’,6)に、積層中間層(5)、特に超透明なもの、を用いて接合されるか、又は好ましくは積層されるか、又は該基板が、二重グレージングユニットのガラスシートを形成し、かつ該光源が好ましくは該二重グレージングユニットの内側に配置されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光パネル(200,300)。
【請求項10】
該引き出しは、前記引き出しゾーンに配置された以下の手段の少なくともひとつ:拡散層(41,44,44’)、好ましくはミネラル層、拡散性にされた基板、特にテキスチャー加工された(42)又は粗面化された(43)基板、透明な基板に取り付けられた拡散部材、特にテキスチャー加工された又は粗面化された部材、によって行われることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光パネル(100〜500)。
【請求項11】
該透明な基板(1)がガラスで作られ、好ましくは、該引き出しゾーン(42,43)を形成するように微細テキスチャー加工、サンドブラスト加工、又は酸エッチングされた少なくともひとつのゾーンを含んでいることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光パネル(100〜500)。
【請求項12】
該エッジ面(13)のエッジの少なくともひとつが、該光源と関連した主面と共に、45°以上の、好ましくは80°以上の、しかし90°より小さな外角(α)をなすことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光パネル(100,200,400)。
【請求項13】
該エッジ面(13)のエッジの少なくともひとつが反射性であり、好ましくはミラー(14)を備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光パネル(100〜500)。
【請求項14】
該透明な基板は、該ガイドされる放射線の波長において、2.5 m-1より小さい、好ましくは0.7 m-1より小さい吸収係数を有するガラスであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の発光パネル。
【請求項15】
該透明な基板(1)の厚さが少なくとも1 mm、好ましくは少なくとも5 mmであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の発光パネル(100〜500)。
【請求項16】
該発光パネルが、照明パネル及び/又は装飾パネル及び/又は建築パネル及び/又は標識又は表示パネルを構成することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の発光パネル(100〜500)。
【請求項17】
該発光パネルが、建物のためのフレージング、例えば、カーテンウオール、照明ウインド、輸送車両のためのグレージング、例えば、リアーウインド、サイドウインド、又は自動車のサンルーフ、又は他の陸上、海上、又は航空輸送のためのグレージング、道路又は都市照明のためのパネル、都市的又は家庭的な家具のためのグレージング、照明タイル、天井、バスシェルタパネル、ディスプレイキャビネットの壁、宝石店のディスプレイケース、又はショップウインド、棚又は家具の部材、家具物品の正面、冷蔵庫の照明棚、アクアリウムの壁、温室、照明ミラーを構成することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の発光パネル(100〜500)。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2009−533808(P2009−533808A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504794(P2009−504794)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051087
【国際公開番号】WO2007/119019
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】