説明

発光媒体

【課題】供給される電力により発光する発光媒体において、誤動作を生じさせることなく点滅発光を行うことができながらも、そのために生じる電流を無駄にすることなく利用する。
【解決手段】電磁波によって起電力を発生させるアンテナ21と、アンテナ21にて発生した起電力によって電流を出力する定電流回路43と、有機EL発光層を発光させる表示電極31a〜31cと、表示電極31a〜31cに並列に接続され、供給された電流によって電力を蓄える二次電池46と、定電流回路43から出力された電流を表示電極31a〜31cと二次電池46とに交互に供給する切り替え制御部44及びスイッチ回路45と、二次電池46に蓄えられた電力を昇圧定電圧回路42に供給するフィードバック配線48とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触通信によって供給される電力によって発光するカード等の発光媒体に関し、特に、点滅発光によって生じる電圧変動による誤動作防止技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、該カードを用いた情報管理や決済等が行われている。このような情報管理や決済等に用いられるカードは、ICチップが内蔵されたICカードや、磁気により情報が書き込まれた磁気カード等があり、専用の装置を用いて情報の書き込み及び読み出しが行われる。
【0003】
さらに、ICカードにおいては、情報の書き込み及び読み出しを専用の装置に接触させることにより行う接触型ICカードと、専用の装置に近接させるだけで情報の書き込み及び読み出しを行うことができる非接触型ICカードとがある。これらのICカードは、磁気カードと比較してセキュリティ性が高いとともに書き込み可能な情報量が多く、また、1枚のカードを多目的に使用できるため、市場における普及度は増加の一途を辿っている。また、その中でも、非接触型ICカードにおいては、情報の書き込みあるいは読み出しを行う際、カードを取り出して専用の装置に挿入する必要がなく取り扱いに便利なため、そのカード及び該カードに書き込まれた情報を読み取るための装置の急速な普及が進みつつある。
【0004】
近年、このような非接触型ICカードに発光機能を付加したものが考えられており、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された非接触型ICカードは、リーダライタに近接することによって起電力が生じた場合に、有機EL素子を発光させ、メモリに書き込まれた情報を表示することができるように構成されている。また、このような非接触型ICカードにおいては、リーダライタに近接させた場合に有機EL素子をON/OFF制御することにより点滅発光する構成とすれば、発光状態を認識しやすくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−217215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように有機EL素子を点滅発光させる場合、リーダライタに近接することによって生じた起電力による電流を有機EL素子に断続的に供給することによって行うことになるが、このように有機EL素子への電流の供給を断続的に行った場合、有機EL素子に電流が供給されている場合と有機EL素子に電流が供給されていない場合とで負荷の大きさが変化することにより、そのために入力電圧が変化してしまい、その結果、有機EL素子の点滅周期が不安定になる等、有機EL素子の発光動作が誤動作してしまう。
【0007】
そこで、有機EL素子に電流が供給されていない状態において、他の負荷に電流を供給するような構成とすることにより、上述したような有機EL素子の発光動作の誤動作を回避することが考えられる。ここで、有機EL素子の発光動作の誤動作を回避するために他の負荷に供給された電流をカードの動作に利用することができれば、他の負荷に供給された電流が無駄になることがなくなり好ましい。
【0008】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、非接触通信によって供給される電力により発光する発光媒体において、誤動作を生じさせることなく点滅発光を行うことができながらも、そのために生じる電流を無駄にすることなく利用することができる発光媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
電力供給源から照射される電磁波を受信し、該電磁波によって起電力を発生させるアンテナと、前記アンテナにて発生した起電力によって電流を出力する電流供給手段と、供給された電流によって発光する発光手段とを有し、前記電流供給手段から出力された電流を前記発光手段に断続的に供給することにより前記発光手段を点滅発光させる発光媒体であって、
前記発光手段に並列に接続され、供給された電流によって電力を蓄える蓄電手段と、
前記電流供給手段から出力された電流を前記発光手段と前記蓄電手段とに交互に供給する電流切り替え手段と、
前記蓄電手段に蓄えられた電力を前記電流供給手段に供給する二次電力供給手段とを有し、
前記電流供給手段は、前記アンテナにて発生した起電力と前記二次電力供給手段から供給された電力とによって電流を出力する。
【0010】
上記のように構成された本発明においては、電力供給源から照射される電磁波がアンテナにて受信され、アンテナにて受信された電磁波によって起電力が発生すると、電流供給手段においてアンテナにて発生した起電力によって電流が出力される。電流供給手段から出力された電流が発光手段に供給されると、発光手段が、供給された電流によって発光するが、発光手段には蓄電手段が並列に接続されており、電流供給手段から出力された電流は、電流切り替え手段によって発光手段と蓄電手段とに交互に供給される。このため、発光手段には、電流供給手段から出力された電流が断続的に供給されることになり、電流供給手段から出力された電流が発光手段に供給されている状態においては発光手段が発光し、電流供給手段から出力された電流が蓄電手段に供給されている状態においては発光手段が発光せずに、発光手段の点滅発光が行われることになる。ここで、発光手段が発光していない状態においては、電流供給手段から出力された電流が蓄電手段に供給されているので、発光手段が発光している状態に対して負荷が変動することがなく、それにより、発光手段の点滅周期が不安定になる等、発光手段の発光動作が誤動作してしまうことがなくなる。そして、蓄電手段に電流が供給されると、供給された電流によって蓄電手段に電力が蓄えられ、この電力が二次電力供給手段によって電流供給手段に供給される。電流供給手段においては、蓄電手段に蓄えられた電力が二次電力供給手段によって供給されると、アンテナにて発生した起電力以外に、二次電力供給手段から供給された電力によっても電流が出力されることになる。そのため、アンテナにて受信された電磁波が弱まる等により、アンテナにて発生した起電力が不安定になった場合であっても、電流供給手段に供給される電力によってそれが補われ、発光手段の点滅発光がその影響を受けにくくなる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明においては、電力供給源から照射される電磁波を受信し、該電磁波によって起電力を発生させるアンテナと、アンテナにて発生した起電力によって電流を出力する電流供給手段と、供給された電流によって発光する発光手段とを有し、電流供給手段から出力された電流を発光手段に断続的に供給することにより発光手段を点滅発光させる発光媒体であって、発光手段に並列に接続され、供給された電流によって電力を蓄える蓄電手段と、電流供給手段から出力された電流を発光手段と蓄電手段とに交互に供給する電流切り替え手段とを有する構成としたため、発光手段が発光していない状態においては、電流供給手段から出力された電流が蓄電手段に供給されていることになり、それにより、発光手段が発光している状態に対して負荷が変動することがなく、発光手段の発光動作が誤動作してしまうことがなくなる。さらに、蓄電手段に蓄えられた電力を電流供給手段に供給する二次電力供給手段を有し、電流供給手段が、アンテナにて発生した起電力と二次電力供給手段から供給された電力とによって電流を出力する構成としたため、発光手段の誤動作を回避するために負荷に供給した電流を無駄にすることなく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の発光媒体の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は内部構造を示す図である。
【図2】図1に示した制御回路の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図1及び図2に示したカードの動作を説明するための図である。
【図4】図1及び図2に示したカードにおいて、切り替え制御部の制御によってスイッチ回路が切り換えられた状態における動作を説明するための図であり、(a)はスイッチ回路が図中a側に接続された状態を示す図、(b)はスイッチ回路が図中b側に接続された状態を示す図である。
【図5】図1及び図2に示したカードにおける点滅発光による制御回路からの出力電流の変化を示す図である。
【図6】図1及び図2に示したカードにおいて二次電池に蓄えられた電力の利用方法を説明するための図である。
【図7】図1に示した制御回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図8】図7に示した制御回路を有するカードを用いて決済を行う場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の発光媒体の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は内部構造を示す図である。
【0015】
本形態は図1に示すように、絶縁材料からなる基板20と、透明な材料からなる保護フィルム34と、表面シート10とが積層され、透明な粘着剤15によってこれらが互いに接着されて構成されたカード1である。
【0016】
基板20には、保護フィルム34との積層面に、コイル状のアンテナ21が基板20の外周に沿って形成されているとともに、アンテナ21の内側の領域に表示電極31a〜31cが形成されている。この表示電極31a〜31cはそれぞれ、カード1にて表示すべき情報を示す形状を有し、表示電極31aは“A”、表示電極31bは“B”、表示電極31cは“C”の形状を有している。表示電極31a〜31c上には、有機EL素子からなる有機EL発光層33がそれぞれ積層されており、この有機EL発光層33を覆うようにITO32が積層されている。これら表示電極31a〜31c、有機EL発光層33及びITO32から発光手段となる発光部30が構成されている。また、基板20の保護フィルム34との積層面には、アンテナ21にて生じた起電力に基づいて表示電極31a〜31c及びITO32を介して有機EL発光層33に電流を供給する制御回路35が設けられており、アンテナ21は制御回路35と接続され、表示電極31a〜31c及びITO32は、基板20上に形成された配線パターン36a,37bを介して制御回路35にそれぞれ接続されている。
【0017】
有機EL発光層33は、例えばポリシラン誘導体を含む有機EL素子からなり、表示電極31a〜31cを介して電流が供給されると、ポリシラン誘導体が発光し、その発光状態がITO32、保護フィルム34及び表面シート10を介して視認されることになる。この有機EL発光層33は、表示電極31a〜31cと同一の形状を有するものであれば、表示電極31a〜31cを介して電流が供給された場合に、表示電極31a〜31cの形状に発光することができるが、表示電極31a〜31cをそれぞれ覆うように表示電極31a〜31cよりも大きな形状を有するものとすることにより、表示電極31a〜31c間、または、表示電極31a〜31cとITO32との間における電気的短絡を防止することができるようになる。
【0018】
表面シート10は、表示電極31a〜31c及び有機EL発光層33に対向する領域に、表示電極31a〜31c及び有機EL発光層33と同一形状を有する窓部11a〜11cが形成されている。この窓部11a〜11cは、表面シート10が透明な材料から構成され、窓部11a〜11c以外の領域が着色されることにより形成される。
【0019】
図2は、図1に示した制御回路35の一構成例を示すブロック図である。
【0020】
本例における制御回路35は図2に示すように、アンテナ21にて発生した起電力による電圧を整流する整流回路41と、整流回路41にて整流された電圧を、有機EL発光層33が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な電圧まで昇圧するとともに、その上限電圧を制限して出力する昇圧定電圧回路42と、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が所定値以上となった場合に、その電圧に応じた電流を出力する定電流回路43と、供給された電流によって電力を蓄える蓄電手段であるペーパー電池等からなる二次電池46と、定電流回路43から出力された電流を表示電極31a〜31cと二次電池46に交互に供給する電流切り替え手段を構成する切り替え制御部44及びスイッチ回路45と、二次電池46に蓄えられた電力を昇圧定電圧回路42に供給する二次電力供給手段であるフィードバック配線48及びダイオード47とから構成されており、整流回路41、昇圧定電圧回路42及び定電流回路43から電流供給手段が構成されている。また、二次電池46は、定電流回路43の出力と接地間において、発光部30を構成する表示電極31a〜31cと並列に接続されており、それにより、定電流回路43から出力された電流は、表示電極31a〜31cと二次電池46とに供給可能となっている。また、二次電池46はフィードバック配線48によって整流回路41と昇圧定電圧回路42つの接続点に接続されているが、フィードバック配線48上に設けられたダイオード47が、二次電池46側をアノード端子として接続されているため、整流回路41から出力された電圧が二次電池46に供給されることはなく、二次電池46に蓄えられた電力が昇圧定電圧回路42に供給されることになる。また、スイッチ回路45においては、一端が定電流回路43の出力側に接続されており、他端は、図中a側に接続された場合に表示電極31a〜31cに接続され、図中b側に接続された場合に二次電池46に接続される。この他端の接続先の切り替えは、切り替え制御部44の制御によって行われる。なお、図1に示したITO32については、図示していないが、表示電極31a〜31cと直列に接続されることにより、定電流回路43から出力された電流が供給されることになる。
【0021】
以下に、上記のように構成されたカード1の動作について説明する。
【0022】
まず、図1及び図2に示したカード1の基本動作について説明する。
【0023】
図3は、図1及び図2に示したカード1の動作を説明するための図である。
【0024】
図1に示したカード1を動作させる場合は、図3(a)に示すように、コイル状のアンテナ2aが内蔵されたリーダライタ2にカード1を近接させる。リーダライタ2は、アンテナ2aに流れる電流によって、アンテナ2aのコア部分から放出される方向に磁界が発生している。この状態で、カード1をリーダライタ2に近接させると、アンテナ2aを流れる電流によって発生した磁界が、カード1のアンテナ21に照射されてアンテナ21のコイル状のコア部分を貫通し、電磁誘導により、カード1のアンテナ21にて起電力が生じる。
【0025】
アンテナ21にて起電力が生じると、まず、制御回路35の整流回路41において、アンテナ21にて生じた起電力による電圧が整流され、次に、制御回路35の昇圧定電圧回路42において、整流回路41にて整流された電圧が、有機EL発光層33が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な電圧まで昇圧されるとともに、その上限電圧が制限して出力される。なお、アンテナ21にて生じる起電力は、アンテナ2aを流れる電流によって発生した磁界がアンテナ21のコイル状のコア部分を貫通する磁束密度の大きさに応じたものとなっており、カード1がリーダライタ2に近いほどアンテナ21にて生じる起電力は大きなものとなる。また、昇圧定電圧回路42においては、例えば、入力される電圧に対して3倍の昇圧度を有しており、また、出力電圧の上限として15Vが設定されている。そのため、整流回路41から出力された電圧が5Vとなるまで、入力された電圧に対して3倍の電圧が出力され、整流回路41から出力された電圧が5Vとなった場合に15Vの電圧が出力され、その後は、整流回路41から出力された電圧が5V以上となっても15Vの電圧が出力される。なお、出力電圧の上限値は、有機EL発光層33が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な値として設定されており、有機EL発光層33の発光によって得たい明るさに応じて適宜設定することができる。
【0026】
その後、制御回路35の定電流回路43において、昇圧定電圧回路42から出力された電圧に応じた電流が出力される。そして、定電流回路43から出力された電流が、表示電極31a〜31c及びITO32に供給されると、表示電極31a〜31cとITO32とに挟み込まれた有機EL発光層33が、表示電極31a〜31cの形状に発光し、その発光状態が、図3(b)に示すように、ITO32、保護フィルム34及び表面シート10の窓部11a〜11cを介して視認されることになる。
【0027】
次に、本形態の特徴について説明する。
【0028】
図4は、図1及び図2に示したカード1において、切り替え制御部44の制御によってスイッチ回路45が切り換えられた状態における動作を説明するための図であり、(a)はスイッチ回路45が図中a側に接続された状態を示す図、(b)はスイッチ回路45が図中b側に接続された状態を示す図である。
【0029】
図1及び図2に示したカード1においては、整流回路41にて整流された電圧が、昇圧定電圧回路42に供給されるとともに切り替え制御部44にも供給される。切り替え制御部44においては、タイマ回路(不図示)が内蔵されており、このタイマ回路を用いてスイッチ回路45の接続状態が所定時間毎に切り換えられる。具体的には、スイッチ回路45の入力側が定電流回路43の出力側に接続された状態で、スイッチ回路45の出力側が、図中a側とb側とに所定時間毎に交互に接続されるように制御される。それにより、スイッチ回路45は、その出力側の接続先が、所定時間毎に図中a側とb側とに切り替わることになる。またこの際、整流回路41と昇圧定電圧回路42つの接続点には、フィードバック配線48を介して二次電池46が接続されているが、フィードバック配線48上に設けられたダイオード47が、二次電池46側をアノード端子として接続されているため、整流回路41から出力された電圧がフィードバック配線48を介して二次電池46に供給されることはない。
【0030】
スイッチ回路45の出力側が図中a側に接続された状態においては、図4(a)に示すように、定電流回路43の出力側がスイッチ回路45を介して表示電極31a〜31cに接続された状態となっている。そして、定電流回路43の出力側と二次電池46とは接続されていない状態となっている。そのため、定電流回路43から出力された電流Ioutは、二次電池46には供給されずに、表示電極31a〜31cに供給されることになる。これにより、有機EL発光層33が表示電極31a〜31cの形状に発光し、その発光状態が、図3(b)に示したように、ITO32、保護フィルム34及び表面シート10の窓部11a〜11cを介して視認されることになる。この際、表示電極31a〜31cに供給される電流ILは、定電流回路43から出力された電流Ioutとほぼ等しいものとなる。
【0031】
また、スイッチ回路45の出力側が図中b側に接続された状態においては、図4(b)に示すように、定電流回路43の出力側がスイッチ回路45を介して二次電池46に接続された状態となっている。そして、定電流回路43の出力側と表示電極31a〜31cとは接続されていない状態となっている。そのため、そのため、定電流回路43から出力された電流Ioutは、表示電極31a〜31cには供給されずに、二次電池46に供給されることになる。これにより、有機EL発光層33は発光しない。この際、二次電池46に供給される電流ICは、定電流回路43から出力された電流Ioutとほぼ等しいものとなる。そして、二次電池46においては、供給される電流ICによって充電されて電力が蓄えられることになる。
【0032】
このように、定電流回路43から出力された電流が表示電極31a〜31cと二次電池46とに交互に供給されることにより、定電流回路43から出力された電流が表示電極31a〜31cに断続的に供給されて有機EL発光層33の点滅発光が行われることになる。
【0033】
図5は、図1及び図2に示したカード1における点滅発光による制御回路35からの出力電流の変化を示す図である。
【0034】
上述したように、切り換え制御部44の制御によって、スイッチ回路45の接続状態が所定時間毎に切り替わる。そして、図5に示すように、スイッチ回路45の出力側が図中a側に接続されている状態においては、定電流回路43から出力された電流Ioutは、二次電池46には供給されずに、電流ILとして表示電極31a〜31cに供給され、また、スイッチ回路45が出力側が図中b側に接続されている状態においては、定電流回路43から出力された電流Ioutは、表示電極31a〜31cには供給されずに、電流ICとして二次電池46のみに供給されることになる。
【0035】
このように、定電流回路43から出力された電流Ioutが、有機EL発光層33を点滅発光させるために表示電極31a〜31cに供給されない状態においても、二次電池43に供給されて電流ICとして流れるため、有機EL発光層33が発光している状態に対して負荷が変動することがなく、それにより、図5に示すように、入力電圧Vinが変動せず、有機EL発光層33の点滅周期が不安定になる等、有機EL発光層33の発光動作が誤動作してしまうことがなくなる。またこの際、定電流回路43から出力された電流によって二次電池46が充電されるので、有機EL発光層33の誤動作を回避するために供給した電流を無駄にすることなく利用することができる。
【0036】
ここで、二次電池46に蓄えられた電力の利用方法について説明する。
【0037】
図6は、図1及び図2に示したカードにおいて二次電池46に蓄えられた電力の利用方法を説明するための図である。
【0038】
二次電池46に蓄えられた電力は、図6中矢印Aにて示すように、フィードバック配線48を介して昇圧定電圧回路42に供給される。昇圧定電圧回路42においては、整流回路41にて整流された電圧が供給され、この電圧が、有機EL発光層33が所定の明るさを具備する発光状態となるために十分な電圧まで昇圧されることになるが、二次電池46に蓄えられた電力がフィードバック配線48を介して供給されると、アンテナ21にて発生して整流回路41にて整流された電圧以外にも、二次電池46から供給された電力による電圧が与えられ、その電圧が昇圧されて定電流回路43に供給されることになる。ここで、定電流回路43においては、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が所定値以上となった場合に、その電圧に応じた電流が出力されることになるため、アンテナ21にて受信された電磁波が弱まる等により、アンテナ21にて発生した起電力が不安定なった場合、昇圧定電圧回路42から出力された電圧が不安定となり、それにより、表示電極31a〜31cに供給される電流が変動し、有機EL発光層33の点滅動作が安定して行われなくなってしまう。ところが、上述したように、昇圧定電圧回路42においは、アンテナ21にて発生して整流回路41にて整流された電圧以外にも、二次電池46から供給された電力による電圧が与えられ、その電圧が昇圧されて定電流回路43に供給されることになるので、アンテナ21にて受信された電磁波が弱まる等により、アンテナ21にて発生した起電力が不安定なった場合であっても、有機EL発光層33の点滅動作がその影響を受けにくくなる。
【0039】
上述した本形態においては、非接触状態にて外部から供給される電力によって情報を表示する機能のみを有するカード1を例に挙げて説明したが、一般的な非接触型ICカードのように、情報の書き込みや読み出しが可能なICチップを搭載し、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを可能とする機能を付加することもできる。
【0040】
図7は、図1に示した制御回路35の他の構成例を示すブロック図である。
【0041】
本例における制御回路35は図7に示すように、図2に示したものに対して、整流機能や変復調機能を具備し、アンテナ21を介してリーダライタ2(図3参照)との間にて情報の送受信を行う無線部51と、情報が記憶されたメモリ53と、無線部51における情報の送受信動作を制御する通信制御部52と、整流回路41と昇圧定電圧回路42及び切り替え制御部44との接続を切り離すためのスイッチ回路55と、通信制御部52の制御によって整流回路41と昇圧定電圧回路42及び切り替え制御部44との接続を切り離すための信号をスイッチ回路55に対して出力するI/F部54とが新たに設けられている点が異なるものである。
【0042】
以下に、上記のように構成された制御回路35を有するカード1の動作について、カード1を用いて決済を行う場合を例に挙げて説明する。
【0043】
図8は、図7に示した制御回路35を有するカード1を用いて決済を行う場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【0044】
図7に示した制御回路35を有するカード1を用いて決済を行うために、図3に示したものと同様にカード1をリーダライタ2に近接させると、上述したようにアンテナ21に起電力が生じ、リーダライタ2とカード1との間にて非接触通信が開始されるとともに(ステップS1)、上述した有機EL発光層33の点滅発光動作が開始する。
【0045】
そして、通信制御部52の制御によって、メモリ53に記憶された情報が読み出され、その情報が無線部51及びアンテナ21を介してリーダライタ2に送信されたり、リーダライタ2から送信された情報がアンテナ21及び無線部51を介して通信制御部52に受信されたりすることにより、所定の決済処理が行われる(ステップS2)。
【0046】
決済が完了していない状態においては、通信制御部52を構成するICチップのうち、整流回路41と昇圧定電圧回路42及び切り替え制御部44との接続を切り離すための信号を出力するポート端子がHIGHレベルとなっており(ステップS3)、このHIGHレベルによる信号がI/F部54を介してスイッチ回路55に供給されている。スイッチ回路55を構成するスイッチング素子は、HIGHレベルによる信号が供給されている場合は導通状態となっており(ステップS4)、それにより、整流回路41と昇圧定電圧回路42及び切り替え制御部44とが接続された状態となり、上述したような有機EL発光層33の点滅発光動作が行われている。
【0047】
その後、決済が完了すると、通信制御部52を構成するICチップの上記ポート端子がLOWレベルとなり(ステップS5)、このLOWレベルによる信号がI/F部54を介してスイッチ回路55に供給される。スイッチ回路55を構成するスイッチング素子は、LOWレベルによる信号が供給されている場合は非導通状態となり(ステップS6)、それにより、整流回路41と昇圧定電圧回路42及び切り替え制御部44との接続が遮断された状態となり、有機EL発光層33の点滅発光動作が停止する。
【0048】
これにより、カード1を用いた決済において、その決済が完了したかどうかを視覚的に認識することができるようになる。なお、スイッチ回路55は、整流回路41と昇圧定電圧回路42及び切り替え制御部44との間に設けることに限らず、昇圧定電圧回路42と定電流回路43との間に設けてもよい。
【0049】
なお、上述した実施の形態においては、蓄電手段として二次電池46を用いたものを例に挙げて説明したが、蓄電手段としては、その他に、コンデンサ等、供給された電流によって電力を蓄えられるものであれば適用することができるが、二次電池46においては、蓄えられる電力がクランプされて一定以上上昇しないため、好ましい。
【0050】
また、上述した実施の形態においては、電磁誘導によって電流が流れるアンテナ21を用いたものを例に挙げて説明したが、照射される電波に共振して電流が流れるアンテナを用いたものであってもよい。
【0051】
また、図1に示したカード1においては、有機EL発光層33を覆うようにITO32が積層されているが、本発明のカードにおいては、レアメタルを使用しない透明電極や透明導電膜等をITO32の代わりに用いてもよい。
【0052】
また、上述した実施の形態においては、発光媒体としてカード1を例に挙げて説明したが、本発明の発光媒体はカード1に限らず、上述したような発光部30やアンテナ21、制御回路35が内包されたタグや、その一方の面に粘着剤が塗布されてなるラベル等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 カード
2 リーダライタ
2a,21 アンテナ
10 表面シート
11a〜11c 窓部
15 粘着剤
20 基板
30 発光部
31a〜31c 表示電極
32 ITO
33 有機EL発光層
34 保護フィルム
35 制御回路
36a,36b 配線パターン
41 整流回路
42 昇圧定電圧回路
43 定電流回路
44 切り替え制御部
45,55 スイッチ回路
46 二次電池
47 ダイオード
48 フィードバック配線
51 無線部
52 通信制御部
53 メモリ
54 I/F部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給源から照射される電磁波を受信し、該電磁波によって起電力を発生させるアンテナと、前記アンテナにて発生した起電力によって電流を出力する電流供給手段と、供給された電流によって発光する発光手段とを有し、前記電流供給手段から出力された電流を前記発光手段に断続的に供給することにより前記発光手段を点滅発光させる発光媒体であって、
前記発光手段に並列に接続され、供給された電流によって電力を蓄える蓄電手段と、
前記電流供給手段から出力された電流を前記発光手段と前記蓄電手段とに交互に供給する電流切り替え手段と、
前記蓄電手段に蓄えられた電力を前記電流供給手段に供給する二次電力供給手段とを有し、
前記電流供給手段は、前記アンテナにて発生した起電力と前記二次電力供給手段から供給された電力とによって電流を出力する発光媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−282490(P2010−282490A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136314(P2009−136314)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】