説明

発光表示板及び加熱調理器

【課題】複雑な文字や絵柄を簡単に形成できると共に、使用者が発光を容易に識別することができる発光表示板及び加熱調理器を提供すること。
【解決手段】加熱調理器の加熱状態を表すために用いられる発光表示板1である。発光表示板1は、結晶化ガラスよりなるガラス基板10と、その少なくとも一部に形成された発光部4とを有する。発光部4は、紫外線によって発光する蛍光顔料を含有している。また、加熱手段と、紫外線発光手段と、発光表示板1とを有する加熱調理器である。発光表示板1は、発光部4が形成された発光面12側を紫外線発生手段側に向けて配置されている。紫外線発生手段は、加熱手段の加熱動作に関連して発光表示板1の発光部4に紫外線を照射するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁調理器等の調理器に用いられる発光表示板及び該発光表示板を用いた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、IH電磁調理器、ガス調理器、ハロゲン調理器、ラジェントヒーター調理器、電子レンジ等の加熱調理器が広く用いられている。これらの加熱調理器においては、加熱手段を内蔵すると共に、その外部における例えば使用者と対向する位置等にガラス板が配置されている。
【0003】
具体的には、IH電磁調理器、ガス調理器、ハロゲン調理器、ラジェントヒーター調理器等の加熱調理器においては、その上部にガラス板が所謂トッププレートとして配置されている。使用者は、被加熱物をトッププレートに載置し、加熱調理器に内蔵された加熱手段によって被加熱物を加熱調理することができる。
また、電子レンジ等の加熱調理器においては、被加熱物を出し入れするための取り出し口に設けられた開閉扉にガラス板が用いられている。使用者は、ガラス板部分から加熱中の被加熱物の状態を確認することができる。
【0004】
このような加熱調理器においては、内蔵する加熱手段の作動中に上記ガラス板が高温になり、使用者が過って触れると火傷を負うおそれがある。そのため、加熱調理器に、上記加熱手段の作動を視覚的に表現する手段を設けることが行われていた。
具体的には、LED等の発光手段を内蔵する加熱調理器が開発されている(特許文献1〜4参照)。このような加熱調理器においては、LED等による赤や青色等の発光によって、加熱手段の作動を視覚的に識別することができる。
【0005】
しかしながら、LED等の発光手段によって発光させる場合には、発光の有無や発光の色だけで加熱手段の作動及び非作動を識別しなければならず、慣れるまで使用者にとってわかりにくい場合があった。また、使用者にとって識別し易くするために、文字や絵柄を発光によって表現することもできるが、この場合には予めLEDを所望の形状に加工したり、大面積のLEDにスリットを付したりして発光させる必要がある。そのため、この場合には、発光手段の作製が複雑になり、コストが増大するおそれがあった。また、LED等の発光手段を用いた場合には、2色以上の複雑な文字や絵柄を表現することが困難であり、発光手段によって表現できる文字や絵柄のバリエーションが狭くなってしまうという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−171855号公報
【特許文献2】特開2003−257600号公報
【特許文献3】特開2004−47283号公報
【特許文献4】特開2004−95260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、複雑な文字や絵柄を簡単に形成できると共に、使用者が発光を容易に識別することができる発光表示板及び加熱調理器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、加熱調理器の加熱状態を表すために用いられる発光表示板であって、
該発光表示板は、結晶化ガラスよりなるガラス基板と、該ガラス基板の少なくとも一部に形成された発光部とを有し、
上記発光部は、紫外線によって発光する蛍光顔料を含有していることを特徴とする発光表示板にある(請求項1)。
【0009】
上記発光表示板は、上記ガラス基板と、上記蛍光顔料を含有する上記発光部とを有する。そのため、上記発光表示板においては、上記発光部に紫外線を照射すると、上記発光部を発光させることができる。したがって、例えば上記加熱調理器の加熱動作に合わせて上記発光部に紫外線を照射させることにより、上記加熱調理器の加熱動作を上記発光部の発光によって使用者等に視覚的に表示することができる。
【0010】
また、上記蛍光顔料としては、単色だけでなく複数の色の蛍光顔料を用いることができる。そしてこの場合には、一つの光源(紫外線)で、複数の色を発光させることができる。そのため、上記発光表示板においては、2色以上の発色を簡単に表示させることができる。
上記発光部は、例えば上記蛍光顔料を含む材料を所望の形状で上記ガラス基板に塗布し焼き付けることにより形成することができる。そのため、複雑な文字や模様からなる上記発光部を簡単に形成することができる。
【0011】
このように、上記第1の発明によれば、複雑な文字や絵柄を簡単に形成できると共に、使用者が発光を容易に識別することができる発光表示板を提供することができる。
【0012】
第2の発明は、加熱手段と、紫外線発光手段と、発光表示板とを有する加熱調理器であって、
上記発光表示板としては、上記第1の発明の発光表示板が採用されており、
上記発光表示板は、上記発光部が形成された発光面側を上記紫外線発生手段側に向けて配置されており、
上記紫外線発生手段は、上記加熱手段の加熱動作に関連して上記発光表示板の上記発光部に紫外線を照射するように構成されていることを特徴とする加熱調理器にある(請求項9)。
【0013】
上記加熱調理器においては、上記第1の発明の発光表示板が採用されている。そのため、上記加熱手段の加熱動作に関連して上記発光表示板の上記発光部に紫外線が照射されると、上記発光部が発光する。それ故、上記加熱調理器の使用者は、上記発光表示板を見ることにより、簡単に上記加熱手段の加熱動作を識別することができる。
【0014】
また、上記加熱調理器において、上記発光表示板は、該発光表示板における上記発光部が形成された上記発光面側を上記紫外線発光手段側に向けて配置されている。そのため、上記加熱調理器の使用者は、上記発光面と反対側の面(使用面)から上記発光表示板をみることにより、上記ガラス基板を透過する上記発光部の発光を視認することができる。
その他の作用効果は上記第1の発明と同様である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
上記発光表示板は、加熱調理器の加熱状態を表すために用いられる。
上記加熱調理器としては、例えばIH電磁調理器、ガス調理器、ハロゲン調理器、ラジェントヒーター調理器、電子レンジ等がある。上記発光表示板は、例えばIH電磁調理器、ガス調理器、ハロゲン調理器、ラジェントヒーター調理器等のトッププレートや、電子レンジの開閉扉のガラス板等に用いることができる。
【0016】
上記発光表示板は、結晶化ガラスよりなるガラス基板と、該ガラス基板の少なくとも一部に形成された発光部とを有する。
上記発光部は上記ガラス基板に、これと直接接触するように形成することもできるが、後述のごとく遮光層や装飾層を間に介して形成することもできる。
【0017】
上記発光部は、紫外線によって発光する蛍光顔料を含有する。
該蛍光顔料としては、発光する色の種類によって例えば下記のような無機顔料を用いることができる。
具体的には、青色系としては、例えばY2SiO5にTbとCeとをドーピングした顔料、ZnSにAgをドーピングした顔料、BaMg2Al1627にEuをドーピングした顔料、Sr5(PO4)3ClにEuをドーピングした顔料、(BaMg)Al810にEuドーピングした顔料、ZnSにAgとAlとをドーピングした顔料、BaMgAl1017にEuをドーピングした顔料、CaWO4を含有する顔料、(SrCaBaMg)5(PO4)3ClにEuをドーピングした顔料等がある。
【0018】
また、紫系としては、例えばSrP27にEuをドーピングした顔料等がある。緑系としては、例えばZnSにCuをドーピングした顔料、Zn2SiO4にMnをドーピングした顔料、BaMg2Al1627にEuとMnとをドーピングした顔料、(BaMg)Al1118.5にEuをドーピングした顔料、ZnSにMnをドーピングした顔料等がある。赤系としては、CaSiO3にMnとPbとをドーピングした顔料、La22SにEuをドーピングした顔料、Y22SにEuをドーピングした、Y23にEuをドーピングした顔料、Y(PV)O4にEuをドーピングした顔料等がある。これらの顔料は、所望の色となるように、任意の割合で混合して用いることができる。
【0019】
上記蛍光顔料として、上記のような無機顔料を用いることにより、例えば温度400℃以上という高温環境下においても、上記発光部が剥がれたり、該発光部にクラックが生じたりすることを防止することができ、上記発光表示板は、上記加熱調理器に適した熱耐久性に優れたものとなる。
【0020】
上記発光部は、蓄光顔料を含有することが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記発光部は、紫外線によって発光した後、紫外線の照射を停止させても上記発光部の発光をしばらく維持させることができる。
上記蓄光顔料としては、発光する色の種類によって例えば下記のような顔料を用いることができる。
具体的には、青色系としては、CaAl23にEuとNdとをドーピングした顔料や、Sr4Al1425にEuとDyとをドーピングした顔料等がある。また、緑系としては、SrAl24にEuとDyとをドーピングした顔料等があり、赤系としては、Y22SにEuとMgとTiとをドーピングした顔料等がある。
【0021】
上記発光部は、上記蛍光顔料及び上記蓄光顔料の合計量20〜100重量部と、ガラスフラックス0〜80重量部との合計量100重量部に対して、有機バインダー50〜300重量部を混合してなる発光用ペースト材料を上記ガラス基板に塗布し焼成してなることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記発光部を上記ガラス基板に簡単に形成することができると共に、上記発光部を上記ガラス基板に優れた密着力で密着させることができる。
【0022】
上記発光用ペースト材料において、上記蛍光顔料と上記蓄光顔料との合計量が20重量部未満の場合又はガラスフラックスが80重量部を越える場合には、上記発光部の紫外線による発光が弱くなるおそれがある。また、上記有機バインダーが50重量部未満の場合には、例えばスクリーン印刷等により上記ガラス基板に上記ペースト材料を塗布するときに、所望の形状及び均一な厚みで形成することが困難になるおそれがある。一方、上記有機バインダーが300重量部を越える場合には、焼成後に有機バインダーが残存し易くなり、その結果、焼成後に上記発光部が黒色化してしまうおそれがある。
また、上記発光用ペースト材料においては、ガラスフラックスの含有量を0重量部とすることができる。上記ガラス基板に直接接触するように上記発光部を形成する場合には、上記発光用ペースト材料は、ガラスフラックスを含有することが好ましい。この場合には、上記発光部と上記ガラス基板との密着性を向上させることができる。
【0023】
上記ガラスフラックスとしては、例えばSiO2を56〜69重量%、Al23を0〜4重量%、B23を23〜30重量%、Li2Oを0.1〜3重量%、Na2Oを1〜5重量%、K2Oを0〜4重量%、TiO2を0〜5重量%、及びZrO2を1〜5重量%含有するものを用いることができる。
【0024】
上記ガラスフラックス中のSiO2の含有量が56重量%未満の場合には、上記発光部の熱膨張係数が高くなって上記ガラス基板との熱膨張差が大きくなるおそれがある。そのため、クラックが発生したり、上記発光部が剥離したりするおそれがある。一方、69重量%を越える場合には、上記ガラスフラックスの粘性流動が高くなり、上記発光部の表面が粗くなるおそれがある。そのため、上記発光部に汚れが付着しやすくなるおそれがある。
【0025】
また、Al23の含有量が0.1重量%未満の場合には、熱膨張係数が高くなり、上記発光部にクラックが発生し易くなるおそれがある。一方、7重量%を越える場合には、上記発光部の表面が粗くなり、上記発光部に汚れが付着しやすくなるおそれがある。
また、B23の含有量が23重量%未満の場合には、耐酸性が劣化するおそれがある。一方30重量%を越える場合には、耐アルカリ性が劣化するおそれがある。
【0026】
また、Li2Oの含有量が0.1重量%未満の場合には、上記ガラスフラックスの熱膨張係数が高くなり、上記発光部にクラックが発生したり、上記発光部が剥離したりするおそれがある。一方、3重量%を越える場合には、耐アルカリ性が劣化するおそれがある。
また、Na2Oの含有量が1重量%未満の場合には、ガラスフラックスの粘性流動が高くなるため、上記発光部の表面が粗くなり、汚れが付着し易くなるおそれがある。一方、5重量%を越える場合には、ガラスフラックスの熱膨張係数が著しく増加するおそれがあるとともに、耐アルカリ性が劣化するおそれがある。
【0027】
また、上記ガラスフラックスは、さらに任意成分として、K2Oを4重量%以下、TiO2を5重量%以下、ZrO2を5重量%以下含有していてもよい。これらの任意成分は、1種又は2種以上組み合わせて含有させることができる。
この場合には、耐アルカリ性を向上させることができる。
上記ガラスフラックス中のK2Oの含有量が4重量%を越える場合、又はTiO2の含有量が5重量%を越える場合、又はZrO2の含有量が5重量%を越える場合には、ガラスフラックスの粘性流動が高くなるため、上記発光部の表面が粗くなり、汚れが付着し易くなるおそれがある。
【0028】
上記有機バインダーとしては、例えばシリコン系樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド系樹脂、ブチル系樹脂、エチルセルロース系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、メチルセルロース系樹脂等がある。これらは単独で用いることができるが、複数を混合して用いることもできる。
【0029】
上記発光部は、上記のごとく上記発光用ペースト材料を例えばスクリーン印刷法、ロールコート印刷法、スプレー法等により上記ガラス基板に塗布し、乾燥し、その後焼成することにより形成することができる。このときの焼成温度は、温度250℃〜900℃であることが好ましい。
【0030】
また、上記ガラス基板は、無鉛の結晶化ガラスよりなることが好ましい。この場合には、有害な鉛を含まなくなるため、人体及び環境に対する安全性を向上させることができる。
さらに、上記ガラス基板としては、熱膨張係数が−5×10-7/K〜60×10-7/Kのものが好ましい。このようなガラス基板としては、例えば低膨張結晶化ガラス及び石英ガラス等よりなるものを用いることができる。この場合には、上記発光表示板は、耐熱性及び耐熱衝撃性に優れるものとなる。
【0031】
上記ガラス基板の平均線熱膨張係数が−5×10-7/K未満の場合には、上記発光部の熱膨張係数と合わずに、加熱時に上記ガラス基板から上記発光部が剥離するおそれがある。一方、60×10-7/Kを越える場合には、熱衝撃により破壊するおそれがある。
また、上記ガラス基板には、着色が施されていてもよい。このようなガラス基板としては、ガラス基板における例えば上記発光部が形成されてある発光面に着色が施されているものや、また、ガラス基板自体が着色されているもの等がある。
【0032】
また、上記ガラス基板は、日射透過率が0.5%以上であることが好ましい(請求項4)。
上記ガラス基板の日射透過率が0.5%未満の場合には、上記発光部の発光を上記発光面と対向する面である使用面側から視認することが困難になるおそれがある。
日射透過率は、JISR3106に規定の方法により測定することができる。
【0033】
上記結晶化ガラスは、Li2O−Al23−SiO2系ガラスからなることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記ガラス基板は、高温にしても膨張し難い低膨張なものとなるなため、上記発光表示板の耐熱性を向上させることができる。また、この場合には、上記ガラス基板の日射透過率を0.5%以上にすることができると共に、上記ガラス基板は340nm以上の波長の光を透過して340nm未満の波長の光を遮断するという透過特性を示すことができる。そのためこの場合には、上記ガラス基板自体が人体に有害であるといわれる300nm以下の波長の光を遮断することができ、特に別途紫外線カット用の被膜等を形成する必要がなくなる。
特にこの場合には、上記発光表示板を、加熱手段と紫外線発生手段を内蔵する加熱調理器の上部に配置するための調理器用トッププレートとして用いることにより、上述の特定波長の光を遮断できるという作用効果を顕著に発揮することができる。
【0034】
次に、上記ガラス基板と上記発光部との間には、隠蔽剤を含有する遮光層が形成されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記発光表示板は隠蔽性を発揮することができる。そのため、上記発光表示板を用いて加熱調理器の加熱装置等の内部構造を隠蔽することができる。
より具体的には、上記発光表示板を調理器用トッププレート等として用いると、加熱調理器に内蔵された加熱手段や紫外線発生手段等の内部構造を上記発光表示板によって隠蔽することができる。
【0035】
また、上記のごとく、上記遮光層が上記ガラス基板と上記発光部との間に形成されている場合には、上記遮光層の日射透過率(JISR3106)は、0.5%〜5%であることが好ましい。
上記遮光層の日射透過率が0.5%未満の場合には、上記発光部の発光を、上記発光表示板における上記発光面と対向する面である使用面側から視認することが困難になるおそれがある。一方、5%を越える場合には、遮光層による隠蔽効果が充分に発揮できなくなるおそれがある。
【0036】
また、上記遮光層は、隠蔽剤及び有機バインダー等を含有する遮光用ペースト材料を上記ガラス基板に塗布して焼成することにより形成することができる。上記隠蔽剤の量や上記遮光層の厚み等を調整することにより、上記遮光層の隠蔽性を適宜調整することができる。
上記隠蔽剤としては、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム等がある。また、上記遮光用ペースト材料に用いる有機バインダーとしては、上記発光部を形成するための上記発光用ペースト材料と同様の有機バインダーを用いることができる。また、上記遮光用ペースト材料としては、上記遮光剤及び上記有機バインダーの他にガラスフラックスを含有するものを用いることができる。この場合には、上記遮光層と上記ガラス基板や上記発光部との密着性を向上させることができる。上記遮光用ペースト材料に用いるガラスフラックスとしては、上記発光用ペースト材料に用いるガラスフラックスと同様のものを用いることができる。
また、上記遮光用ペースト材料として例えば特開平3−65532号公報に記載のラスターを用いて上記遮光層を形成することもできる。
上記ラスターは、有機金属化合物の希釈溶液であり、金、銀、白金、パラジウム等の貴金属元素と、ビスマス、鉄、コバルト、チタン、錫、クロム、ニッケル、シリカ、マグネシウム、カルシウム、鉛等の卑金属元素とを組み合わせたもので、ガラス基板に焼き付けることにより無機質被膜の遮光層を形成することができる。
【0037】
また、上記ガラス基板には、隠蔽剤を含有する遮光層が形成されており、上記発光表示板は、部分的に上記遮光層が形成されていないスリット部を有し、上記発光部は上記スリット部に形成されていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記発光部を紫外線によって発光させ、その発光を上記発光部が形成された発光面とは反対側の面(使用面)から観察する場合において、上記発光部の発光が上記遮光層によって妨げられることがない。そのため、上記発光部を鮮明に発光させることができる。
【0038】
また、上記発光表示板の上記発光面とは反対側の使用面には、着色顔料を含有する装飾層を形成することができる。この場合には、上記発光表示板の意匠性を向上させることができる。また、上記装飾層によって、上記発光表示板の表面に、上記加熱調理器の使用者に対する注意事項等の文字情報を表示することもできる。
【0039】
上記装飾層は、ガラスフラックス、着色顔料、及び有機バインダー等を含有する装飾用ペースト材料を上記ガラス基板に所望の形状で塗布することにより形成することができる。
上記ガラスフラックス及び上記有機バインダーとしては、上記発光部を形成するための上記発光用ペースト材料と同様のものを用いることができる。
また、上記着色顔料としては、色の種類によって例えば下記のような材料を用いることができる。
【0040】
即ち、黒色用としてはCr−Fe、Co−Mn−Cr−Fe、Co−Ni−Cr−Fe、及びCo−Ni−Cr−Fe−Mn等、グレー用としてはSn−Sb、Sn−Sb−V等、黄色用としてはSn−V、Zr−V、Zr−Si−Pr、Ti−Cr−Sb、Zr−Si−Cd−S、CdS等、茶色用としてはZn−Al−Cr−Fe、Zn−Mn−Al−Cr−Fe等、緑色用としてはCa−Cr−Si、Cr−Al、Co−Zn−Al−Cr、Zr−Si−Pr−V等、青色用としてはCo−Al−Zn、Co−Al、Co−Si、Zr−Si−V等、ピンク色用としてはMn−Al、Ca−Sn−Si−Cr、Sn−Cr、Zr−Si−Fe等、赤色用としてはZr−Si−Cd−Se−S、Cd−Se−S等を用いることができる。これらは所望の色を得るように任意の割合で混合して用いることもできる。
【0041】
また、上記発光表示板の上記発光面側においては、上記発光部と上記ガラス基板との間や、上記遮光層が形成されている場合には上記遮光層と上記ガラス基板との間等に、着色顔料を含有するベース装飾層を形成することができる。
この場合には、上記発光表示板に所望の色や模様を形成することができ、上記発光表示板の意匠性を向上させることができる。
【0042】
上記ベース装飾層の日射透過率(JISR3106)は、0.5%以上であることが好ましい。
上記ベース装飾層の日射透過率が0.5%未満の場合には、上記発光部の発光を、上記発光表示板における上記発光面と対向する面である使用面側から視認することが困難になるおそれがある。
【0043】
上記ベース装飾層は、上記ガラス基板の上記発光面側に、着色顔料としてのパール調材料と、有機バインダーとを含有するベース装飾用ペースト材料を塗布し、焼成することにより形成することができる。
パール調材料としては、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム、又は酸化鉄により、カオリン、タルク、セリサイト、ピロフェライト、天然雲母、合成雲母、酸化アルミニウム等の無機顔料を被覆してなる材料等を用いることができる。また、上記ベース装飾用ペースト材料の有機バインダーとしては、上記発光用ペースト材料と同様のものを用いることができる。
【0044】
また、上記ベース装飾用ペースト材料としては、上記パール調材料、及び上記有機バインダーの他に、ガラスフラックスを含有するものを用いることができる。この場合には、上記ガラス基板、上記発光部、及び上記遮光層等と上記ベース装飾層との密着性を向上させることができる。上記ベース装飾用ペースト材料に用いるガラスフラックスとしては、上記発光用ペースト材料に用いるガラスフラックスと同様のものを用いることができる。
【0045】
上記発光表示板は、上記加熱調理器の上部に配置する調理器用トッププレートであることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記加熱調理器において、上記発光表示板(トッププレート)は、上記加熱調理器の加熱状態等を上記発光部の発光により、使用者に表示することができる。そして、使用者は、加熱調理器の使用面であるトッププレートの表面を見ることにより、加熱調理器の加熱状態等を容易に認識することができる。
【0046】
また、この場合には、上記発光表示板において上記発光部を形成した上記発光面を上記加熱調理器側に向け、発光面とは反対側の使用面側を加熱調理器の使用者側に向けて、上記発光表示板を上記加熱調理器の上部に配置することが好ましい。
この場合には、例えば紫外線発生手段等を上記加熱調理器に内蔵させて、上記発光面側から上記発光部を発光させることができると共に、上記加熱調理器の使用者は、上記使用面側から発光部の発光を容易に視認することができる。また、この場合には、上記のごとく、ガラス基板の材質として、Li2O−Al23−SiO2系ガラス等を用いることより、上記加熱調理器に内蔵された紫外線発生装置からの紫外線のうち、人体に有害な波長を遮断することができる。
【0047】
次に、上記第2の発明において、上記加熱調理器は、加熱手段を有する。
このような加熱調理器としては、加熱手段として電磁気を利用したIH電磁調理器、火炎バーナを利用したガス調理器、ハロゲンヒーターを利用したハロゲン調理器、ラジェントヒーターを利用したラジェントヒーター調理器、マイクロ波発生装置を利用した電子レンジ等がある。
【0048】
また、上記加熱調理器は、紫外線発生手段を有する。
上記紫外線発生手段は、スペクトル分布のうち紫外線領域(波長100〜400nm)の波長の光を発生する装置である。
【0049】
上記紫外線発生手段としては、ブラックライト、ケミカルランプ、紫外線発光ダイオード(LED)、水銀蛍光ランプ、キセノン蛍光ランプ等がある。これらの紫外線発生手段の具体的な発光波長は、ブラックライトが300〜400nm(ピーク波長350nm付近)、ケミカルランプが300〜450nm(ピーク波長350nm付近)、紫外線発光ダイオードが350〜400nm(ピーク波長370nm付近)、キセノンフラッシュランプが200〜2000nm(ピーク波長450nm付近)である。
また、例えばピーク波長185.254nm用の低圧水銀ランプ等のように、紫外線発生手段として、特定のピーク波長の光を発生する低圧水銀ランプ等を用いることもできる。
【0050】
好ましくは、上記紫外線発生手段は、紫外線発光ダイオードがよい(請求項10)。
この場合には、消費電力を小さくすることができと共に、環境負荷を低減することができる。
【実施例】
【0051】
(実施例1)
次に、本発明の発光表示板及び加熱調理器の実施例について、図1〜図4を用いて説明する。
図1〜図3に示すごとく、本例の発光表示板1は、加熱調理器の加熱状態を表すために用いられるものである。発光表示板1は、結晶化ガラスよりなるガラス基板10と、その少なくとも一部に形成された発光部4とを有する。発光部4は、紫外線によって発光する蛍光顔料を含有している。本例の発光表示板1は、電磁調理器の上部に配置するための調理器用トッププレートである。
【0052】
また、本例の発光表示板1においては、図3に示すごとく、ガラス基板10における発光部4を形成する発光面12とは反対側の使用面11に、着色顔料を含有する装飾層5が形成されている。図1〜図3に示すごとく、装飾層5は、鍋等の調理器具を載置する位置を示すための円形形状の位置決めマークを形成している。
【0053】
また、図3に示すごとく、ガラス基板10の発光面12側には、メタリック調材料を含有するベース装飾層2が形成されている。また、ベース装飾層2には、遮光層3が積層形成されている。
また、同図に示すごとく、発光表示板1においては、部分的に遮光層3が形成されていないスリット部35が設けられている。スリット部35は、上記使用面11側に形成された装飾層5が形成する円形状の位置決めマークよりも若干大きな直径の円形状で形成されている。また、発光表示板1においては、円形状のスリット35部以外にも、「注意」という文字を形成するスリット部35が形成されている。
そして、発光部4はこのスリット部35に形成されており、発光部4は円形状及び「注意」という文字で形成されている(図1及び図2参照)。
【0054】
また、図4に示すごとく、本例の加熱調理器6は、加熱手段62、63と、紫外線発光手段64と、上記発光表示板1とを有する。加熱調理器6において、発光表示板1は、発光部4が形成された発光面12側を紫外線発生手段64側に向けて配置されている。紫外線発生手段64は、加熱手段62、63の加熱動作に関連して発光表示板1の発光面12側の発光部に紫外線を照射するように構成されている。
本例において、加熱調理器6は、加熱手段62、63として、誘導電流を利用した加熱装置62とラジェントヒータ63とを備える。
【0055】
次に、本例の発光表示板1の製造方法につき、説明する。
まず、Li2O−Al23−SiO2系ガラスからなるガラス基板10を準備した。このガラス基板10は、熱膨張係数が−0.2×10-7/Kで、日射透過率が94%の低膨張結晶化ガラス基板である。
次いで、ガラスフラックス85重量部と、着色顔料15重量部と、有機バインダー100重量部とを混合して、装飾層5を形成するための装飾用ペースト材料を作製した。ガラスフラックスとしては、SiO2を65重量部、Al23を4重量部、B23を24重量部、Li2Oを1重量部、及びNa2Oを2重量部、K2Oを2重量部、TiO2を1重量部、ZrO2を1重量部含有するものを用いた。また、有機バインダーとしてはアクリル樹脂を用い、着色顔料としては黒顔料を用いた。
この装飾用ペースト材料をスクリーン印刷によってガラス基板10に円形状に塗布し、乾燥させた後、温度800℃で10分間焼成した。これにより装飾用ペースト材料がガラス基板10の使用面11に焼き付けられて、装飾層5を形成した。スクリーン印刷は、350メッシュのスクリーンを用いて行った。
【0056】
次に、パール調材料100重量部と有機バインダー900重量部とを混合し、ベース装飾用ペースト材料を作製した。パール調材料としては、酸化鉄でマイカを被覆してなる酸化鉄被覆マイカ顔料を用い、有機バインダーとしてはアクリル樹脂とシリコーン樹脂を用いた。
このベース装飾用ペースト材料を、ガラス基板10の発光面12のほぼ全面に250メッシュのスクリーンを用いたスクリーン印刷によって塗布し、乾燥させた後、温度800℃で10分間焼成した。これによりベース装飾用ペースト材料がガラス基板10の発光面12に焼き付けられて、ベース装飾層2を形成した。発光面12は、ガラス基板における上記装飾用ペースト材料を塗布した面(使用面11)とは反対側の面である。
【0057】
次に、遮光用ペースト材料としてラスターを準備し、このラスターをガラス基板10の発光面12側に焼き付けたベース装飾層2の上から重ねるように、400メッシュのスクリーンを用いたスクリーン印刷によって塗布した。また、スクリーン印刷の際には、遮光用ペースト材料(ラスター)が印刷されないスリット部35を形成した。
スリット部35は、円形状であり、上記装飾層5(円形状)と略同位置に円の中心を有する。そして、スリット部35は、装飾層5よりも大きな直径で形成されている。また、スクリーン印刷の際には、円形状のスリット部35とは別に、「注意」という文字を示すスリット部35を形成した(図1及び図2参照)。
上記スクリーン印刷後、印刷された遮光用ペースト材料を乾燥させ、その後温度800℃で5分間焼成した。これにより、遮光用ペースト材料が焼き付けられて遮光層3を形成した。
【0058】
次に、蛍光顔料95重量部と、蓄光顔料5重量部と、有機バインダー300重量部とを混合して発光部4を形成するための発光用ペースト材料を作製した。蛍光顔料及び蓄光顔料としては、赤系の顔料を用い、有機バインダーとしてはシリコン系樹脂を用いた。
この発光用ペースト材料を、上記スリット部35に塗布し、乾燥させた。発光用ペースト材料の塗布は、250メッシュのスクリーンを用いたスクリーン印刷によって行った。
【0059】
次に、発光用ペースト材料を塗布したガラス基板10を温度400℃で10分間焼成した。これにより、発光用ペースト材料が焼き付けられて発光部4を形成した(図1〜図3参照)。このようにして、図1〜図3に示すごとく、ガラス基板10に、ベース装飾層2、遮光層3、発光部4、装飾層5が形成された発光表示板1を得た。
本例の発光表示板1において、遮光層3及びベース装飾層2の日射透過率をJISR3106に規定の方法にしたがって測定したところ、遮光層3とベース装飾層2とを合わせた透過率(遮光層とベース装飾層の積層体の透過率)は0.4%であり、ベース装飾層2の透過率は3%であった。
【0060】
次に、上記発光表示板1を用いて加熱調理器6を作製する(図4参照)。
具体的には、まず、調理器ケース61内に、加熱手段として、IH加熱装置62と、ラジエントヒータ63とを配置した。本例においては、2つのIH加熱装置62と、1つのラジエントヒータ63とを配置した。
次いで、加熱手段62、63の周囲に、紫外線発生手段64としての紫外線発光ダイオードを配置した。この紫外線発生手段64は、加熱手段62、63の通電に連動して作動し、紫外線を発生する。
【0061】
この調理器ケース61の上部の開口部に、上記のようにして作製した発光表示板1を配置した。このとき発光表示板1の発光面12が加熱調理器側(下側)となり、使用面11が上側となるように発光表示板1を配置した。このようにして加熱調理器6を作製した。
【0062】
次に、本例の発光表示板及び加熱調理器の作用効果について説明する。
図1〜図4に示すごとく、本例の発光表示板1においては、ガラス基板10の使用面11とは反対側の発光面12側に、蛍光顔料を含有する発光部4が形成されている。そのため、加熱調理器6において、発光表示板1の発光部4に、紫外線発生手段64から紫外線が照射されると、発光部4が発光する。
また、本例の加熱調理器6において、紫外線発生手段64は、加熱手段62、63の加熱動作に合わせて紫外線を照射するように構成されている。そのため、加熱調理器6の使用者は、発光表示板1の発光部の発光により、加熱手段の加熱動作を容易に認識することができる。
【0063】
また、本例において、発光部4は、紫外線照射前においては白色を呈しており、使用面11側からは視認し難い(図1参照)。この発光部4に紫外線発生装置64から紫外線が照射されると、発光部4が赤色に発光した(図2参照)。特に、本例の発光表示板1においては、装飾層5の周囲に円形状で形成された発光部4だけでなく、「注意」という文字形状に形成した発光部4が赤色に発光した。そのため、加熱調理器6の使用者は、加熱調理器の加熱動作を容易に視認することができる。
【0064】
また、本例の加熱調理器6において、発光表示板1のガラス基板10は、Li2O−Al23−SiO2系ガラスからなる。そのため、ガラス基板10は、紫外線発生手段64からの紫外線のうち人体に有害な300nm以下の波長の光を遮断することができる。それ故、加熱調理器6の使用者が使用面11側から発光表示板を見ても、内部から発生する紫外線によって悪影響を受けることはほとんどない。
【0065】
また、本例の発光表示板1においては、発光面12側にベース装飾層2が形成されている(図3参照)。そのため、使用面11側から観察すると、金色のベース装飾層2が透けて見える。そのため、本例の発光表示板1は、高級感があり、意匠性に優れていた。
なお、本例においては、赤系の蛍光顔料及び蓄光顔料を用いて上記発光部を形成したが、青系やその他の色を用いても同様の結果が得られることを確認している。
【0066】
以上のように本例によれば、複雑な文字や絵柄を簡単に形成できると共に、使用者が発光を容易に識別することができる発光表示板及び加熱調理器を提供することができる。
【0067】
(実施例2)
本例は、実施例1とは異なる構造の発光表示板を作製する例である。
図5及び図6に示すごとく、本例の発光表示板7は、結晶化ガラスよりなるガラス基板70と、その少なくとも一部に形成された発光部73とを有する。発光部73は、紫外線によって発光する蛍光顔料を含有する。本例の発光表示板7は、実施例1と同様に、電磁調理器の上部に配置するための調理器用トッププレートである。
【0068】
図6に示すごとく、ガラス基板70における発光部73を形成する発光面702とは反対側の使用面701には、実施例1と同様に着色顔料を含有する装飾層71が形成されている。図5及び図6に示すごとく、装飾層71は、実施例1と同様に鍋等の調理器具の載置位置を示すための円形形状の位置決めマークを形成している。
【0069】
また、ガラス基板70と発光部73との間には、遮光層72が形成されている。即ち、発光部73は、ガラス基板70の発光面702側において、遮光層72の上に積層形成されている。
発光部73は、実施例1と同様に、上記使用面701側に形成された装飾層71が形成する円形状の位置決めマークよりも若干大きな直径の円形状を形成している。また、発光表示板7においては、円形状の発光部73以外にも、実施例1と同様に「注意」という文字を形成する発光部73が形成されている(図5参照)。
【0070】
本例の発光表示板7の製造にあたっては、まず、実施例1と同様のガラス基板70と装飾用ペースト材料を準備した。この装飾用ペースト材料を、実施例1と同様に、350メッシュのスクリーン印刷によってガラス基板70に円形状に塗布し、乾燥させた後温度800℃で10分間焼成し、装飾層71を形成した。
次に、遮光用ペースト材料としてラスターを準備し、このラスターをガラス基板70の発光面702側のほぼ全面に、350メッシュのスクリーンを用いたスクリーン印刷によって塗布し、乾燥させ、その後温度800℃で5分間焼成した。これにより遮光用ペースト材料(ラスター)が焼き付けられて遮光層72を形成した。
【0071】
次いで、実施例1と同様の発光用ペースト材料を準備した。この発光用ペースト材料をガラス基板70の発光面702側に焼き付けた遮光層72の上に、実施例1と同形状で塗布し、乾燥した。発光用ペースト材料の塗布は、250メッシュのスクリーンを用いたスクリーン印刷により行った。
【0072】
次に、発光用ペースト材料を塗布したガラス基板70を温度300℃で10分間焼成した。これにより、発光用ペースト材料が焼き付けられて発光部73を形成した。このようにして、図5及び図6に示すごとく、ガラス基板70に装飾層71、遮光層72、及び発光部73が形成された発光表示板7を得た。
本例の発光表示板7において、遮光層の日射透過率をJISR3106に規定の方法にしたがって測定したところ、遮光層の透過率は5%であった。
【0073】
本例の発光表示板7においては、実施例1とは異なり、発光部73は、遮光層72の表面に積層形成されている。この場合においても、実施例1と同様に、発光部73に紫外線を照射して発光部73発光させると、使用面701側から発光部73の発光を容易に視認することができた。
また、本例の発光表示板7は、実施例1とは異なり、ベース装飾層を有していない。そのため、使用面701側から見ると遮光層(黒色)72が透けて見える。また、この発光表示板7を電磁調理器等の上に配置してトッププレートとして用いると、遮光層72が電磁調理器の内部装置を隠蔽することができる。
【0074】
(実施例3)
本例は、ガラス基板に直接接触するように発光部を形成した発光表示板の例である。
図7及び図8に示すごとく、本例の発光表示板8は、結晶化ガラスよりなるガラス基板80と、紫外線によって発光する蛍光顔料を含有する発光部83とを有する。発光部83は、ガラス基板80の一方の面(発光面)802を覆うように形成されている。また、発光面802とは反対側の使用面801には、装飾層81が形成されている。本例において、装飾層81は、白色の「注意」という文字を形成している。
【0075】
本例の発光表示板8の製造にあたっては、まず、実施例1と同様のガラス基板80を準備した。次いで、ガラスフラックス80重量部と、着色顔料20重量部と、有機バインダー150重量部とを混合して、装飾層81を形成するための装飾用ペースト材料を作製した。着色顔料としては、グレー顔料を用い、ガラスフラックス及び有機バインダーとしては、実施例1と同様のものを用いた。
この装飾用ペースト材料を、300メッシュのスクリーンを用いたスクリーン印刷によってガラス基板80に塗布して「注意」という文字を形成し、乾燥させた。
【0076】
次に、蛍光顔料40重量部と、蓄光顔料10重量部と、ガラスフラックス50重量部と、有機バインダー80重量部とを混合して発光部83を形成するための発光用ペースト材料を作製した。蛍光顔料及び蓄光顔料としては、赤系の顔料を用い、有機バインダーとしてはアクリル系樹脂を用いた。また、ガラスフラックスとしては、実施例1の装飾用ペースト材料と同様のものを用いた。
この発光用ペースト材料をガラス基板80において装飾用ペースト材料を塗布した使用面801とは反対側の発光面802側に、塗布し乾燥させた。塗布は250メッシュのスクリーンを用いたスクリーン印刷によって行い、ガラス基板80の発光面802側のほぼ全面を覆うように発光用ペースト材料を塗布した。
【0077】
次に、上記のようにして各種ペースト材料を塗布したガラス基板80を温度830℃で10分間焼成した。これにより、装飾用ペースト材料がガラス基板に焼き付けられて装飾層81を形成し、また、発光用ペースト材料が焼き付けられて発光部83を形成した。このようにして、図7及び図8に示すごとく、発光表示板8を得た。
【0078】
本例の発光表示板8において、紫外線照射前において発光部83は、白色を呈している。そのため、紫外線照射前においては、ガラス基板80の使用面801側に形成されたグレー色の「注意」という文字(装飾層81)は、使用面801側から見ると識別しにくい状態となっている。
発光部83に紫外線が照射されると、発光部83は赤色に発光する。その結果、使用面801側に形成されたグレー色の「注意」という文字(装飾層81)が発光部83の赤色を背景にして強調される。
【0079】
したがって、例えば電子レンジ等における開閉扉のガラス板に本例の発光表示板8を用い、電子レンジの作動中に内部の紫外線発生手段によって発光表示板8の発光部83を発光させると、電子レンジの作動中には、装飾層83の「注意」という文字が強調して表示される。その結果、電子レンジの作動中に使用者に対して注意を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施例1にかかる、紫外線照射前の発光表示板の使用面側からの様子を示す上面図。
【図2】実施例1にかかる、紫外線照射中の発光表示板の使用面側からの様子を示す上面図。
【図3】図2のA−A線断面矢視図。
【図4】実施例1にかかる、加熱調理器の構成を示す断面説明図。
【図5】実施例2にかかる、発光表示板の使用面側からの様子を示す上面図。
【図6】図5のB−B線断面矢視図。
【図7】実施例3にかかる、発光表示板の使用面側からの様子を示す上面図。
【図8】図7のC−C線断面矢視図。
【符号の説明】
【0081】
1 発光表示板
10 ガラス基板
2 ベース装飾層
3 遮光層
4 発光部
5 装飾層
6 加熱調理器
62 加熱手段
63 加熱手段
64 紫外線発生手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器の加熱状態を表すために用いられる発光表示板であって、
該発光表示板は、結晶化ガラスよりなるガラス基板と、該ガラス基板の少なくとも一部に形成された発光部とを有し、
上記発光部は、紫外線によって発光する蛍光顔料を含有していることを特徴とする発光表示板。
【請求項2】
請求項1において、上記発光部は、蓄光顔料を含有することを特徴とする発光表示板。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記発光部は、上記蛍光顔料及び上記蓄光顔料の合計量20〜100重量部と、ガラスフラックス0〜80重量部との合計量100重量部に対して、有機バインダー50〜300重量部を混合してなる発光用ペースト材料を上記ガラス基板に塗布し焼成してなることを特徴とする発光表示板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記ガラス基板は、日射透過率が0.5%以上であることを特徴とする発光表示板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記結晶化ガラスは、Li2O−Al23−SiO2系ガラスからなることを特徴とする発光表示板
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記ガラス基板と上記発光部との間には、隠蔽剤を含有する遮光層が形成されていることを特徴とする発光表示板。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記ガラス基板には、隠蔽剤を含有する遮光層が形成されており、上記発光表示板は、部分的に上記遮光層が形成されていないスリット部を有し、上記発光部は上記スリット部に形成されていることを特徴とする発光表示板。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項において、上記発光表示板は、上記加熱調理器の上部に配置する調理器用トッププレートであることを特徴とする発光表示板。
【請求項9】
加熱手段と、紫外線発光手段と、発光表示板とを有する加熱調理器であって、
上記発光表示板としては、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光表示板が採用されており、
上記発光表示板は、上記発光部が形成された発光面側を上記紫外線発生手段側に向けて配置されており、
上記紫外線発生手段は、上記加熱手段の加熱動作に関連して上記発光表示板の上記発光部に紫外線を照射するように構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項10】
請求項9において、上記紫外線発生手段は、紫外線発光ダイオードであることを特徴とする加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−330288(P2006−330288A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152864(P2005−152864)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000244305)鳴海製陶株式会社 (35)
【Fターム(参考)】