説明

発光装置、照明装置、およびプロジェクター

【課題】被照明領域における光強度の均一化を図ることができる発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置1000では、発光素子100は、第1ロッドインテグレーター20に入射する第1光および第2光と、第2ロッドインテグレーター30に入射する第3光および第4光と、を出射し、第1ロッドインテグレーター20は、第1光および第2光が入射する第1入射面22と、第1光および第2光の伝播方向を変える第1屈曲部23と、第1光と第2光とが混合された光を所定の領域に向けて射出する第1射出面24と、を有し、第2ロッドインテグレーターは、第3光および第4光が入射する第2入射面32と、第3光および第4光の伝播方向を変える第2屈曲部33と、第3光と第4光とが混合された光を所定の領域に向けて射出する第2射出面34と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、照明装置、およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
チップの両端面から光を出射する発光素子を有する発光装置の場合、例えば、両端面からの光を同じ方向に向けるためにミラーを用いる場合がある。このような光の進行方向を変えるミラーを用いた発光装置の例として、例えば特許文献1には、両端面から水平方向に光を出射する発光素子の支持部材に、水平方向に対して45度傾斜した2つの反射面を設けて、両端面からの光を同じ方向に向ける構成が開示されている。すなわち、特許文献1の例では、支持部材に設けられた2つの反射面が光の進行方向を変えるミラーとして機能している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−246407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような発光素子では、高出力化を図るために、チップの両端面の各々に複数の出射面を設けることがある。このように複数の出射面を有する発光素子では、各出射面から出射される光の強度が異なる場合がある。したがって、両端面に複数の出射面を有する発光素子について、各出射面から出射された光を同じ方向に向けるために、特許文献1に記載の45度傾斜した反射面を用いても、各出射面から出射される光の強度が異なるため、被照明領域における光強度が不均一になってしまうという問題があった。
【0005】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、被照明領域における光強度の均一化を図ることができる発光装置を提供することにある。
【0006】
また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記発光装置を有する照明装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記照明装置を有するプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発光装置は、
支持基板と、
前記支持基板に支持された第1ロッドインテグレーターおよび第2ロッドインテグレーターと、
前記支持基板に支持され、前記第1ロッドインテグレーターと前記第2ロッドインテグレーターとの間に配置された発光素子と、
を含み、
前記発光素子は、
前記第1ロッドインテグレーターに入射する第1光および第2光と、
前記第2ロッドインテグレーターに入射する第3光および第4光と、
を出射し、
前記第1ロッドインテグレーターは、
前記第1光および前記第2光が入射する第1入射面と、
前記第1光および前記第2光の伝播方向を変える第1屈曲部と、
前記第1光と前記第2光とが混合された光を所定の領域に向けて射出する第1射出面と、
を有し、
前記第2ロッドインテグレーターは、
前記第3光および前記第4光が入射する第2入射面と、
前記第3光および前記第4光の伝播方向を変える第2屈曲部と、
前記第3光と前記第4光とが混合された光を前記所定の領域に向けて射出する第2射出面と、
を有する。
【0009】
このような発光装置によれば、第1ロッドインテグレーターは、発光素子から出射された第1光と第2光を混合して所定の領域に向けて射出し、第2ロッドインテグレーターは、発光素子から出射された第3光と第4光を混合して所定の領域に向けて射出することができる。したがって、このような発光装置によれば、被照明領域における光強度の均一化を図ることができる。
【0010】
さらに、ロッドインテグレーターを用いているため、被照明領域における光強度を均一化するための他の光学系を用いた場合と比べて、高精度な調芯が不要となる。
【0011】
本発明に係る発光装置において、
前記第1光の光路上および前記第2光の光路上に配置された第1シリンドリカルレンズと、
前記第3光の光路上および前記第4光の光路上に配置された第2シリンドリカルレンズと、
をさらに含むことができる。
【0012】
このような発光装置によれば、第1ロッドインテグレーターに入射する光の放射角を狭めることができるため、第1ロッドインテグレーターから射出される光の放射角を狭めることができる。同様に、第2ロッドインテグレーターに入射する光の放射角を狭めることができるため、第2ロッドインテグレーターから射出される光の放射角を狭めることができる。
【0013】
本発明に係る発光装置において、
前記第1射出面から射出された光の光路上に配置された第1シリンドリカルレンズと、
前記第2射出面から射出された光の光路上に配置された第2シリンドリカルレンズと、
をさらに含むことができる。
【0014】
このような発光装置によれば、第1ロッドインテグレーターから射出される光の放射角および第2ロッドインテグレーターから射出される光の放射角を狭めることができる。
【0015】
本発明に係る発光装置において、
前記第1射出面から射出された光を第1偏光光に変換する第1偏光変換素子と、
前記第2射出面から射出された光を第2偏光光に変換する第2偏光変換素子と、
をさらに含み、
前記第1偏光光の偏光方向と前記第2偏光光の偏光方向とは、同じ方向であることができる。
【0016】
このような発光装置によれば、被照明領域に偏光光を照射することができる。
【0017】
本発明に係る発光装置において、
前記発光素子は、スーパールミネッセントダイオードであることができる。
【0018】
このような発光装置によれば、例えば、プロジェクターなどの画像投射装置や、画像表示装置の光源として用いた場合に、スペックルノイズを低減することができる。
【0019】
本発明に係る発光装置において、
前記第1射出面と前記第2射出面とは、同じ方向を向くことができる。
【0020】
このような発光装置によれば、第1ロッドインテグレーターから射出される光と第2ロッドインテグレーターから射出される光を、同じ方向に進行させることができる。
【0021】
本発明に係る照明装置は、
本発明に係る発光装置と、
前記発光装置の前記第1ロッドインテグレーターの前記第1射出面から射出された光を発散させる第1レンズと、
前記発光装置の前記第2ロッドインテグレーターの前記第2射出面から射出された光を発散させる第2レンズと、
前記第1レンズから射出された光と前記第2レンズから射出された光を重畳させる第3レンズと、
前記第3レンズによって重畳された光を集光する第4レンズと、
を含む。
【0022】
このような照明装置によれば、本発明に係る発光装置を有しているため、被照明領域における光強度の均一化を図ることができる。さらに、第3レンズによって、2つの射出面から射出された光を重畳させることができるため、より被照明領域における光強度の均一化を図ることができる。
【0023】
本発明に係るプロジェクターは、
本発明に係る照明装置と、
前記照明装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む。
【0024】
このようなプロジェクターによれば、本発明に係る照明装置を有しているため、照度むらの少ない画像を投射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図。
【図2】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図3】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態の第1変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図9】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図10】本実施形態の第3変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図11】本実施形態の第4変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図12】本実施形態に係る照明装置を模式的に示す図。
【図13】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
1. 発光装置
まず、本実施形態に係る発光装置1000について、図面を参照しながら説明する。図1は、発光装置1000を模式的に示す斜視図である。図2は、発光装置1000を模式的に示す平面図である。図3および図4は、発光装置1000を模式的に示す断面図である。なお、図3は、図2のIII−III線断面図であり、図4は、図2のIV−IV線断面図である。また、図1および図3では、便宜上、発光素子100を簡略化して示している。
【0028】
発光装置1000は、図1〜図4に示すように、支持基板10と、第1ロッドインテグレーター20と、第2ロッドインテグレーター30と、発光素子100と、を含む。発光装置1000は、さらに、サブマウント150を含むことができる。なお、ここでは、発光素子100がInGaAlP系(赤色)のスーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode、以下「SLD」ともいう)である場合について説明する。SLDは、半導体レーザーと異なり、端面反射による共振器の形成を抑えることにより、レーザー発振を防止することができる。そのため、プロジェクターなどの画像投射装置や、画像表示装置の光源として用いた場合に、スペックルノイズを低減することができる。
【0029】
支持基板10は、サブマウント150を介して、間接的に発光素子100を支持することができる。支持基板10は、サブマウント150を介さずに、直接的に発光素子100を支持してもよい。支持基板10は、さらに、第1ロッドインテグレーター20および第2ロッドインテグレーター30を支持することができる。支持基板10としては、例えば、板状の部材(直方体形状の部材)を用いることができる。
【0030】
サブマウント150は、支持基板10に支持されている。サブマウント150としては、例えば、板状の部材を用いることができる。サブマウント150は、直接的に発光素子100を支持することができる。
【0031】
支持基板10の熱伝導率は、サブマウント150の熱伝導率よりも高く、サブマウント150の熱伝導率は、発光素子100の熱伝導率よりも高い。支持基板10およびサブマウント150の各々の熱伝導率は、例えば、140W/mK以上である。サブマウント150の熱膨張率は、発光素子100の熱膨張率に近いことが望ましい。サブマウント150を用いることにより、支持基板10と発光素子100との熱膨張率の差によって生じる応力を緩和し、信頼性を向上させることができる。支持基板10は、例えば、Cu、Al、Mo、W、Si、C、Be、Auや、これらの化合物(例えば、AlN、BeOなど)や合金(例えばCuMoなど)などからなる。また、これらの例示を組み合わせたもの、例えば銅(Cu)層とモリブデン(Mo)層の多層構造などから、支持基板10を構成することもできる。サブマウント150は、例えば、AlN、CuW、SiC、BeO、CuMo、銅(Cu)層とモリブデン(Mo)層の多層構造(CMC)などからなる。
【0032】
支持基板10には、図2および図4に示すように、円柱状の貫通孔137が形成されている。この貫通孔137内には、絶縁部材136に側面を覆われた円柱状の端子134が設けられている。絶縁部材136は、例えば、樹脂、セラミックス(例えばAlN等)などからなる。端子134は、例えば銅(Cu)などからなる。
【0033】
端子134は、例えば、ワイヤーボンディング等の接続部材132により、発光素子100の第2電極112と接続されている。接続部材132は、出射光L(L1−1〜L1−4),L(L2−1〜L2−4)の光路を遮らないように設けられている。また、発光素子100の第1電極114は、例えば、めっきバンプ等(図示せず)により、サブマウント150と接続されている。サブマウント150は、支持基板10と接続されている。端子134と支持基板10とに異なる電位を与えることにより、第1電極114と第2電極112との間に電圧を印加することができる。
【0034】
発光素子100は、サブマウント150を介して、支持基板10に支持されている。発光素子100は、第1ロッドインテグレーター20と第2ロッドインテグレーター30との間に配置されている。
【0035】
発光素子100は、図4に示すように、クラッド層(以下「第1クラッド層」という)108と、その上に形成された活性層106と、その上に形成されたクラッド層(以下「第2クラッド層」という)104と、を有する。発光素子100は、さらに、基板102と、コンタクト層110と、電極(以下「第1電極」という)114と、電極(以下「第2電極」という)112と、絶縁部116と、を有することができる。
【0036】
基板102としては、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaAs基板などを用いることができる。
【0037】
第2クラッド層104は、基板102下に形成されている。第2クラッド層104としては、例えば、n型のAlGaInP層などを用いることができる。なお、図示はしないが、基板102と第2クラッド層104との間に、バッファー層が形成されていてもよい。バッファー層としては、例えば、n型のGaAs層、InGaP層などを用いることができる。
【0038】
活性層106は、第2クラッド層104下に形成されている。活性層106は、例えば、発光素子100において支持基板10側に設けられている。活性層106は、第2クラッド層104と第1クラッド層108とに挟まれている。活性層106は、例えば、InGaPウェル層とInGaAlPバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸(MQW)構造を有する。
【0039】
活性層106の形状は、例えば直方体(立方体である場合を含む)などである。活性層106は、図2に示すように、第1ロッドインテグレーター20側の第1面105および第2ロッドインテグレーター30側の第2面107を有する。第1面105と第2面107とは、互いに対向しており、図示の例では平行である。第1面105および第2面107は、活性層106の面のうち第2クラッド層104または第1クラッド層108に接していない面である。第1面105および第2面107は、活性層106の側面ともいえる。
【0040】
活性層106の一部の領域は、活性層106の電流経路となる利得領域160を構成している。利得領域160には、光を生じさせることができ、この光は、利得領域160内で利得を受けることができる。利得領域160の平面形状は、例えば、平行四辺形である。利得領域160は、図2に示すように、複数設けられている。これにより、発光素子100の高出力化を図ることができる。利得領域160は、第1面105から第2面107まで、直線状に、第1面105の垂線Pに対して傾いた方向に向かって設けられている。これにより、利得領域160に生じる光のレーザー発振を抑制または防止することができる。
【0041】
なお、図示はしないが、利得領域160は、第1面105から第2面107まで、直線状に、第1面105の垂線Pと平行となる方向に向かって設けられていてもよい。この場合には、共振器が構成され、レーザー光を発することができる。すなわち、発光素子100は、例えば、半導体レーザーであってもよい。
【0042】
利得領域160は、第1面105に設けられた出射面162と、第2面107に設けられた出射面164と、を有する。第1面105には、少なくとも2つの出射面(第1出射面162a、第2出射面162b)が設けられ、第2面107には、少なくとも2つの出射面(第3出射面164a、第4出射面164b)が設けられる。図示の例では、4つの利得領域160が設けられているため、第1面105および第2面107には、それぞれ4つの出射面162,164が設けられている。
【0043】
第1クラッド層108は、図4に示すように、活性層106下に形成されている。第1クラッド層108としては、例えば、第2導電型(例えばp型)のAlGaInP層などを用いることができる。
【0044】
例えば、p型の第1クラッド層108、不純物がドーピングされていない活性層106、およびn型の第2クラッド層104により、pinダイオードが構成される。第1クラッド層108および第2クラッド層104の各々は、活性層106よりも禁制帯幅が大きく、屈折率が小さい層である。活性層106は、光を増幅する機能を有する。第1クラッド層108および第2クラッド層104は、活性層106を挟んで、注入キャリア(電子および正孔)並びに光を閉じ込める機能を有する。
【0045】
コンタクト層110は、第1クラッド層108下に形成されている。コンタクト層110としては、第1電極114とオーミックコンタクトする層を用いることができる。コンタクト層110は、例えば第2導電型の半導体からなる。コンタクト層110としては、例えばp型GaAs層などを用いることができる。
【0046】
絶縁部116は、利得領域160の下方以外のコンタクト層110下に形成されている。すなわち、絶縁部116は利得領域160の下方に開口を有し、該開口ではコンタクト層110の表面が露出している。絶縁部116としては、例えば、SiN層、SiO層、ポリイミド層などを用いることができる。
【0047】
第1電極114は、露出しているコンタクト層110下および絶縁部116下に形成されている。第1電極114は、コンタクト層110を介して、第1クラッド層108と電気的に接続されている。第1電極114は、発光素子100を駆動するための一方の電極である。第1電極114としては、例えば、コンタクト層110側からCr層、AuZn層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。第1電極114とコンタクト層110との接触面は、例えば、利得領域160と同じ平面形状を有している。図示の例では、第1電極114とコンタクト層110との接触面の平面形状によって、電極112,114間の電流経路が決定され、その結果、利得領域160の平面形状が決定される。
【0048】
第2電極112は、基板102の上の全面に形成されている。第2電極112は、該第2電極112とオーミックコンタクトする層(図示の例では基板102)と接していることができる。第2電極112は、基板102を介して、第2クラッド層104と電気的に接続されている。第2電極112は、発光素子100を駆動するための他方の電極である。第2電極112としては、例えば、基板102側からCr層、AuGe層、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。なお、第2クラッド層104と基板102との間に、第2コンタクト層(図示せず)を設け、ドライエッチングなどにより該第2コンタクト層の第2クラッド層104側を露出させ、第2電極112を第2コンタクト層下に設けることもできる。これにより、片面電極構造を得ることができる。第2コンタクト層としては、例えばn型GaAs層などを用いることができる。
【0049】
発光素子100では、第1電極114と第2電極112との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、活性層106の利得領域160において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。この生じた光を起点として、連鎖的に誘導放出が起こり、利得領域160内を光が進行し、その間に光強度が増幅され、出射面162から出射光L(L1−1〜L1−4)が出射され、出射面164から出射光L(L2−1〜L2−4)が出射される。出射光L,Lは、例えば、光の屈折により、第1面105の垂線Pに対する利得領域160の傾きよりも、さらに傾いた方向に出射される。出射光L,Lは、例えば、支持基板10の上面12と平行な方向(水平方向)に進行する。出射光Lの進行方向と出射光Lの進行方向とは、互いに反対方向である。
【0050】
第1ロッドインテグレーター20は、支持基板10に支持されている。第1ロッドインテグレーター20は、図1および図3に示すように、第1入射面22と、第1屈曲部23と、第1射出面24と、を有している。第1ロッドインテグレーター20は、例えば、断面が矩形をした、ガラス製の角柱状のプリズムである。また、第1ロッドインテグレーター20は、反射コーティングが施されたガラス板を、その反射面が内側となるように矩形状に組み合わせた中空ロッドであってもよい。
【0051】
第1ロッドインテグレーター20の第1入射面22には、少なくとも第1出射面162aから出射された出射光(第1光)L1−1、および第2出射面162bから出射された出射光(第2光)L1−2が入射する。第1入射面22に入射した出射光L1−1および出射光L1−2は、第1ロッドインテグレーター20の内面で全反射を繰り返すことによって混合されて光強度が均一化され、第1射出面24から射出される。図示の例では、第1入射面22には、出射光L1−1〜L1−4が入射する。第1入射面22に入射した出射光L1−1〜L1−4は、第1ロッドインテグレーター20の内面で全反射を繰り返すことによって混合されて光強度が均一化され、第1射出面24から射出される。
【0052】
第1ロッドインテグレーター20は、図1および図3に示すように、第1屈曲部23を有している。これにより、第1ロッドインテグレーター20内を伝播する光の伝播方向を変えることができる。図示の例では、第1屈曲部23は、90度屈曲している。そのため、第1入射面22の向く方向(第1入射面22の垂線方向)と、第1射出面24の向く方向(第1射出面24の垂線方向)とがなす角度は、90度である。したがって、発光素子100の出射面162から出射されて水平方向に進行する出射光Lは、第1ロッドインテグレーター20によって進行方向が変えられて、鉛直方向(支持基板10の上面12の垂線方向)に進行する混合光Mとして射出される。
【0053】
第2ロッドインテグレーター30は、支持基板10に支持されている。第2ロッドインテグレーター30は、図3に示すように、第2入射面32と、第2屈曲部33と、第2射出面34と、を有している。第2ロッドインテグレーター30は、例えば、断面が矩形をした、ガラス製の角柱状のプリズムである。また、第2ロッドインテグレーター30は、反射コーティングが施されたガラス板を、その反射面が内側となるように矩形状に組み合わせた中空ロッドであってもよい。
【0054】
第2ロッドインテグレーター30の第2入射面32には、少なくとも第3出射面164aから出射された出射光(第3光)L2−1、および第4出射面164bから出射された出射光(第4光)L2−2が入射する。第2入射面32に入射した出射光L2−1および出射光L2−2は、第2ロッドインテグレーター30の内面で全反射を繰り返すことによって混合されて光強度が均一化され、第2射出面34から射出される。図示の例では、第2入射面32には、出射光L2−1〜L2−4が入射する。第2入射面32に入射した出射光L2−1〜L2−4は、第2ロッドインテグレーター30の内面で全反射を繰り返すことによって混合されて光強度が均一化され、第2射出面34から射出される。
【0055】
第2ロッドインテグレーター30は、図1および図3に示すように、第2屈曲部33を有している。これにより、第2ロッドインテグレーター30内を伝播する光の伝播方向を変えることができる。図示の例では、第2屈曲部33は、90度屈曲している。そのため、第2入射面32の向く方向(第2入射面32の垂線方向)と、第2射出面34の向く方向(第2射出面34の垂線方向)とがなす角度は、90度である。したがって、発光素子100の出射面164から出射されて水平方向に進行する出射光Lは、第2ロッドインテグレーター30によって進行方向が変えられて、鉛直方向に進行する混合光Mとして射出される。
【0056】
第1ロッドインテグレーター20の第1射出面24および第2ロッドインテグレーター30の第2射出面34は、所定の領域(被照明領域)に向けて混合光M,Mを射出する。ここで、射出面が光を所定の領域に向けて射出する場合とは、射出面が光を直接所定の領域に向けて進行させる場合と、射出面が光を光学系(図示しない)を介して、所定の領域に向けて進行させる場合と、を含むものとする。また、被照明領域は、発光装置1000をプロジェクターの光源として用いた場合、例えば、ライトバルブの入射面であることができる。第1ロッドインテグレーター20の第1射出面24と第2ロッドインテグレーター30の第2射出面34とは、図示の例では、同じ方向(上面12の垂直上向き)を向いている。すなわち、第1射出面24から射出される混合光Mと、第2射出面34から射出される混合光Mとは、同じ方向に向かって進行する。なお、射出面24,34の向く方向は、被照明領域に向けて射出できれば、特に限定されない。例えば、第1射出面24と第2射出面34とは、異なる方向を向いていてもよい。
【0057】
発光装置1000の一例として、発光素子100がInGaAlP系の場合について説明したが、発光素子100は、発光利得領域が形成可能なあらゆる材料系を用いることができる。半導体材料であれば、例えば、AlGaN系、InGaN系、GaAs系、InGaAs系、GaInNAs系、ZnCdSe系などの半導体材料を用いることができる。
【0058】
また、発光装置1000の一例として、発光素子100が利得導波型である場合について説明したが、発光素子100は、屈折率導波型であってもよい。
【0059】
以上のような発光装置1000は、例えば、プロジェクター、ディスプレイ、照明装置、計測装置などの光源に適用されることができる。
【0060】
発光装置1000は、例えば、以下の特徴を有する。
【0061】
発光装置1000によれば、第1ロッドインテグレーター20は、発光素子100から出射された出射光L1−1と出射光L1−2を混合して射出し、第2ロッドインテグレーター30は、発光素子100から出射された光L2−1と光L2−2を混合して射出することができる。したがって、発光装置1000によれば、被照明領域における光強度の均一化を図ることができる。
【0062】
さらに、ロッドインテグレーター20,30を用いているため、被照明領域における光強度を均一化するための他の光学系を用いた場合と比べて、高精度な調芯が不要となり、発光装置の製造工程を容易化できる。
【0063】
発光装置1000では、第1ロッドインテグレーター20の第1射出面24と第2ロッドインテグレーター30の第2射出面34とは、同じ方向を向いている。したがって、混合光Mの進行方向と混合光Mの進行方向を同じ方向にすることができる。これにより、例えば、プロジェクターなどの画像投射装置や、画像表示装置の光源として用いた場合に、混合光M,Mを同じ方向に進行させるための光学系が不要となり、画像投射装置や、画像表示装置の光学系の構成を簡素化することができる。
【0064】
発光装置1000では、発光素子100は、SLDであることができる。そのため、例えば、プロジェクターなどの画像投射装置や、画像表示装置の光源として用いた場合に、スペックルノイズを低減することができる。
【0065】
2. 発光装置の製造方法
次に、本実施形態に係る発光装置1000の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図5〜図7は、発光装置1000の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0066】
図5に示すように、基板102上に、第2クラッド層104、活性層106、第1クラッド層108、およびコンタクト層110を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることができる。
【0067】
図6に示すように、コンタクト層110上に、開口部を有する絶縁部116を形成する。絶縁部116は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより形成される。開口部は、例えば、絶縁部をフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によりパターニングし、コンタクト層110が露出するように形成される。
【0068】
次に、露出したコンタクト層110および絶縁部116上に第1電極114を形成する。次に、基板102の下面下に第2電極112を形成する。第1電極114および第2電極112は、例えば、真空蒸着法により形成される。なお、第1電極114および第2電極112の形成順序は、特に限定されない。以上の工程により、発光素子100を得ることができる。
【0069】
図7に示すように、公知の方法により支持基板10に貫通孔137を設ける。次に、貫通孔137の内側の側面を覆うように絶縁部材136を形成する。絶縁部材136は、貫通孔137を塞がないように形成される。絶縁部材136は、例えばCVD法などにより成膜される。次に、絶縁部材136の内側に棒状の端子134を挿入する。なお、棒状の端子134の周囲に絶縁部材136を形成したものを、貫通孔137に挿入する方法を用いることもできる。
【0070】
図4に示すように、まず、発光素子100をサブマウント150に実装し、次に、発光素子100が実装されたサブマウント150を支持基板10に実装する。発光素子100は、活性層106側を支持基板10側に向けて(ジャンクションダウン)、実装されている。すなわち、発光素子100をフリップチップ実装することができる。
【0071】
次に、端子134と、発光素子100の第2電極112とを、接続部材132により接続する。本工程は、例えばワイヤーボンディングなどにより行われる。
【0072】
図1〜図3に示すように、ロッドインテグレーター20,30を支持基板10に配置する。ロッドインテグレーター20,30は、ロッドインテグレーター20,30の間に発光素子100が位置するように配置される。ロッドインテグレーター20,30は、出射光L,Lに対する光軸調整を行いながら配置される。ロッドインテグレーターは、被照明領域における光強度を均一化するための他の光学系と比べて、高精度な調芯が不要である。したがって、ロッドインテグレーターを用いることで、製造工程を容易化できる。ロッドインテグレーター20,30は、例えば、接着剤により支持基板10に固定される。
【0073】
以上の工程により、発光装置1000を製造することができる。
【0074】
3. 発光装置の変形例
次に、本実施形態の変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。以下、本実施形態の変形例に係る発光装置において、本実施形態に係る発光装置1000の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0075】
(1)まず、本実施形態の第1変形例に係る発光装置2000について、説明する。図8は、発光装置2000を模式的に示す断面図である。なお、図8では、便宜上、発光素子100を簡略化して示している。
【0076】
発光装置2000は、図8に示すように、第1シリンドリカルレンズ210と、第2シリンドリカルレンズ220と、を含む。第1シリンドリカルレンズ210は、出射光Lの光路上であって、発光素子100と第1ロッドインテグレーター20との間に配置されている。第2シリンドリカルレンズ220は、出射光Lの光路上であって、発光素子100と第2ロッドインテグレーター30との間に配置されている。図示の例では、シリンドリカルレンズ210,220は、ロッドインテグレーター20,30の入射面22,32に接するように配置されている。
【0077】
一般的に、SLDや半導体レーザー等の発光素子から出射される出射光は、放射角が大きい。特に、SLDや半導体レーザー等の発光素子から出射される出射光は、活性層の厚さ方向の放射角が、出射光の活性層の面内方向の放射角と比べて、大きい。図示の例では、活性層106の厚さ方向は、支持基板10の上面12の垂線方向であり、活性層106の面内方向は、支持基板10の上面12の面内方向である(図4参照)。発光装置2000では、出射光Lの光路上に配置された第1シリンドリカルレンズ210と、出射光Lの光路上に配置された第2シリンドリカルレンズ220と、を有する。これにより、出射光L,Lの活性層106の厚さ方向の放射角を狭めることができる。したがって、ロッドインテグレーター20,30から射出される混合光M,Mの放射角を狭めることができる。
【0078】
(2)次に、本実施形態の第2変形例に係る発光装置3000について、説明する。図9は、発光装置3000を模式的に示す断面図である。なお、図9では、便宜上、発光素子100を簡略化して示している。以下、第2変形例に係る発光装置において、発光装置2000の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0079】
発光装置3000は、図9に示すように、第1シリンドリカルレンズ210と、第2シリンドリカルレンズ220と、を含む。第1シリンドリカルレンズ210は、第1ロッドインテグレーター20の第1射出面24から射出された混合光Mの光路上に配置されている。第2シリンドリカルレンズ220は、第2ロッドインテグレーター30の第2射出面34から射出された混合光Mの光路上に配置されている。図示の例では、シリンドリカルレンズ210,220には、ロッドインテグレーター20,30の射出面24,34に接するように配置されている。
【0080】
発光装置3000では、混合光Mの光路上に配置された第1シリンドリカルレンズ210と、混合光Mの光路上に配置された第2シリンドリカルレンズ220を有する。これにより、ロッドインテグレーター20,30から射出される混合光M,Mの放射角を狭めることができる。さらに、発光装置3000では、ロッドインテグレーター20,30を通過した光を、シリンドリカルレンズ210,220に入射させるため、ロッドインテグレーター20,30に入射する光の入射角を狭めることなく、混合光M,Mの放射角を狭めることができる。したがって、発光装置3000では、発光装置2000の例と比べて、ロッドインテグレーター20,30において、より効率よく光強度の均一化を図ることができる。
【0081】
(3)次に、本実施形態の第3変形例に係る発光装置4000について、説明する。図10は、発光装置4000を模式的に示す断面図である。なお、図10では、便宜上、発光素子100を簡略化して示している。
【0082】
発光装置4000は、図10に示すように、第1偏光変換素子410と、第2偏光変換素子420と、を含む。第1偏光変換素子410は、第1ロッドインテグレーター20の第1射出面24から射出された混合光Mの光路上に配置されている。第1偏光変換素子410には、混合光Mが入射する。第2偏光変換素子420は、第2ロッドインテグレーター30の第2射出面34から射出された混合光Mの光路上に配置されている。第2偏光変換素子420には、混合光Mが入射する。図示の例では、偏光変換素子410,420には、ロッドインテグレーター20,30の射出面24,34に接するように配置されている。
【0083】
第1偏光変換素子410は、第1偏光ビームスプリッター412と、第1ミラー414と、第1半波長板416と、を有している。第1偏光ビームスプリッター412は、混合光MのP偏光成分を透過させ、混合光MのS偏光成分を反射させることができる。第1ミラー414は、第1偏光ビームスプリッター412で反射された混合光MのS偏光成分を再度反射させて、第1半波長板416に入射させることができる。第1半波長板416は、混合光MのS偏光成分をP偏光成分に変換することができる。第1偏光変換素子410は、第1偏光ビームスプリッター412、第1ミラー414、および第1半波長板416を有するため、混合光MのS偏光成分をP偏光成分に変換することができ、例えば、混合光MをP偏光成分のみとすることができる。このように、第1偏光変換素子410は、混合光Mを偏光光Pに変換することができる。
【0084】
第2偏光変換素子420は、第2偏光ビームスプリッター422と、第2ミラー424と、第2半波長板426と、を有している。第2偏光ビームスプリッター422は、混合光MのP偏光成分を透過させ、混合光MのS偏光成分を反射させることができる。第2ミラー424は、第2偏光ビームスプリッター422で反射された混合光MのS偏光成分を再度反射させて、第2半波長板426に入射させることができる。第2半波長板426は、混合光MのS偏光成分をP偏光成分に変換することができる。第2偏光変換素子420は、第2偏光ビームスプリッター422、第2ミラー424、および第2半波長板426を有するため、混合光MのS偏光成分をP偏光成分に変換することができ、例えば、混合光MをP偏光成分のみとすることができる。このように、第2偏光変換素子420は、混合光Mを偏光光Pに変換することができる。
【0085】
発光装置4000では、第1偏光変換素子410によって混合光Mを偏光光Pに変換し、第2偏光変換素子420によって混合光Mを偏光光Pに変換することができる。さらに、偏光変換素子410,420によって、偏光光Pの偏光方向と偏光光Pの偏光方向とを、同じ偏光方向とすることができる。したがって、発光装置4000では、被照明領域に偏光光を照射することができる。
【0086】
なお、ここでは、偏光変換素子410,420が混合光M,MのS偏光成分をP偏光成分に変換する場合について説明したが、偏光変換素子410,420は、混合光M,MのP偏光成分をS偏光成分に変換してもよい。
【0087】
(4)次に、本実施形態の第4変形例に係る発光装置5000について、説明する。図11は、発光装置5000を模式的に示す断面図である。
【0088】
発光装置1000の例では、図4に示すように、活性層106は、発光素子100において支持基板10側に設けられていた。これに対し、発光装置5000では、図11に示すように、活性層106は、発光素子100において支持基板10とは反対側に設けられている。発光装置5000では、活性層106と支持基板10との間に基板102が設けられている。第2電極112は、例えば、接続部材(図示せず)により、サブマウント150と接続されている。また、第1電極114は、例えば、接続部材132により、端子134と接続されている。
【0089】
発光装置5000によれば、活性層106と支持基板10との間に基板102が設けられているため、発光装置1000の例に比べて、少なくとも基板102の厚み分、活性層106は支持基板10から離れた位置に設けられている。そのため、利得領域160から出射してロッドインテグレーターに入射する光量の低下を防ぐことができる。例えば、利得領域160からの出射光の放射角が大きいと、出射光が支持基板10によって遮られ、ロッドインテグレーターに入射する光量が減少してしまう場合がある。発光装置5000では、このような問題を回避することができる。
【0090】
本変形例に限らず、本実施形態の発光装置においては、ロッドインテグレーター20,30を発光素子100の出射面162,164に近づけることが望ましく、さらにはロッドインテグレーターと発光素子の出射面とが接触していることが望ましい。これにより、発光素子とロッドインテグレーターとの結合効率を高め、光利用効率の高い発光装置とすることができる。また、発光素子100とロッドインテグレーター20,30との間の支持基板面上に反射膜を形成することにより、基板で遮られる光を反射膜によって反射させ、ロッドインテグレーターに導くような構成としてもよい。
【0091】
4. 照明装置
次に、本実施形態に係る照明装置について、図面を参照しながら説明する。図12は、本実施形態に係る照明装置6000を模式的に示す図である。以下、本実施形態に係る照明装置において、本実施形態に係る発光装置1000の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0092】
照明装置6000は、発光装置1000と、第1ロッドインテグレーター20の第1射出面24から射出された光を発散させるための第1レンズ610と、第2ロッドインテグレーター30の第2射出面34から射出された光を発散させるための第2レンズ612と、第1レンズ610から射出された光と第2集光レンズ612から射出された光を重畳させるための第3レンズ620と、第3レンズ620によって重畳された光を集光するための第4レンズ630と、を含む。
【0093】
照明装置6000は、本発明に係る発光装置を有している。ここでは、本発明に係る発光装置として、発光装置1000を有している場合について説明する。
【0094】
第1レンズ610は、第1ロッドインテグレーター20の第1射出面24から射出された光を発散させるためのレンズである。具体的には、第1レンズ610は、第1射出面24から射出された光を集束させた後、発散させる。第1レンズ610は、第1射出面24から射出された光を発散させて、照明装置6000が照明できる領域を所望の大きさ(例えばライトバルブの入射面の大きさ)まで広げることができる。第1レンズ610は、例えば、コンデンサーレンズである。
【0095】
なお、図示の例では、第1レンズ610は、1枚のレンズであるが、複数のレンズを組み合わせて第1レンズとして用いてもよい。このことは、後述するレンズ612,620,630においても同様である。
【0096】
第2レンズ612は、第2ロッドインテグレーター30の第2射出面34から射出された光を発散させるためのレンズである。具体的には、第2レンズ612は、第2射出面34から射出された光を集束させた後、発散させる。第2レンズ612は、第2射出面34から射出された光を発散させて、照明装置6000が照明できる領域を所望の大きさ(例えばライトバルブの入射面の大きさ)まで広げることができる。第2レンズ612は、例えば、コンデンサーレンズである。
【0097】
第3レンズ620は、第1レンズ610から射出された光と第2集光レンズ612から射出された光を重畳させるためのレンズである。第1レンズ610から射出された光、および第2集光レンズ612から射出された光は、第3レンズ620によって、第4レンズ630上に重畳される。
【0098】
第4レンズ630は、第3レンズ620によって重畳された光を集光するためのレンズである。第4レンズ630は、図示の例では、第3レンズ620によって重畳された光を被照明領域(例えば、ライトバルブの入射面)640に集光する。すなわち、第3レンズ620によって重畳された光は、第4レンズ630によって、被照明領域640に集光される。
【0099】
照明装置6000では、発光装置1000を有しているため、被照明領域640における光強度の均一化を図ることができる。
【0100】
照明装置6000では、第3レンズ620によって、2つの射出面24,34から射出された光を重畳させることができるため、より被照明領域640における光強度の均一化を図ることができる。例えば、第1射出面24から射出された光の強度と、第2射出面34から射出された光の強度とが異なる場合、第1射出面24から射出された光と第2射出面34から射出された光を重畳せずに被照明領域640を照射すると、被照明領域640における光強度にこの強度差に応じた分布が生じてしまう。照明装置6000では、このような問題を回避することができる。
【0101】
5. プロジェクター
次に、本実施形態に係るプロジェクター7000について、図面を参照しながら説明する。図13は、プロジェクター7000を模式的に示す図である。なお、図13では、便宜上、プロジェクター7000を構成する筐体は省略している。
【0102】
プロジェクター7000において、赤色光、緑色光、青色光を出射する赤色光源(照明装置)6000R,緑色光源(照明装置)6000G、青色光源(照明装置)6000Bは、本発明に係る照明装置(例えば照明装置6000)である。
【0103】
プロジェクター7000は、光源6000R,6000G,6000Bから出射された光をそれぞれ画像情報に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)704R,704G,704Bと、液晶ライトバルブ704R,704G,704Bによって形成された像を拡大してスクリーン(表示面)710に投射する投射レンズ(投射装置)708と、を備えている。また、プロジェクター7000は、液晶ライトバルブ704R,704G,704Bから出射された光を合成して投射レンズ708に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)706を備えていることができる。
【0104】
各液晶ライトバルブ704R,704G,704Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム706に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投射光学系である投射レンズ708によりスクリーン710上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0105】
プロジェクター7000によれば、上述のように、被照明領域における光強度の均一化を図ることができる照明装置6000を光源として用いることができる。そのため、プロジェクター7000は、照度むらの少ない画像を投射することができる。
【0106】
なお、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0107】
なお、上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0108】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0109】
10 支持基板、12 上面、20 第1ロッドインテグレーター、22 第1入射面、
23 第1屈曲部、24 第1射出面、30 第2ロッドインテグレーター、
32 第2入射面、33 第2屈曲部、34 第2射出面、100 発光素子、
102 基板、104 第2クラッド層、105 第1面、106 活性層、
107 第2面、108 第1クラッド層、110 コンタクト層、
112 第2電極、114 第1電極、116 絶縁部、132 接続部材、
134 端子、136 絶縁部材、137 貫通孔、150 サブマウント、
160 利得領域、162 出射面、164 出射面、
210 第1シリンドリカルレンズ、220 第2シリンドリカルレンズ、
410 第1偏光変換素子、412 第1偏光ビームスプリッター、
414 第1ミラー、416 第1半波長板、420 第2偏光変換素子、
422 第2偏光ビームスプリッター、424 第2ミラー、426 第2半波長板、
610 第1レンズ、612 第2レンズ、620 第3レンズ、630 第4レンズ、
640 被照明領域、704 液晶ライトバルブ、
706 クロスダイクロイックプリズム、708 投射レンズ、710 スクリーン、
1000,2000,3000,4000,5000 発光装置、6000 照明装置、
7000 プロジェクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
前記支持基板に支持された第1ロッドインテグレーターおよび第2ロッドインテグレーターと、
前記支持基板に支持され、前記第1ロッドインテグレーターと前記第2ロッドインテグレーターとの間に配置された発光素子と、
を含み、
前記発光素子は、
前記第1ロッドインテグレーターに入射する第1光および第2光と、
前記第2ロッドインテグレーターに入射する第3光および第4光と、
を出射し、
前記第1ロッドインテグレーターは、
前記第1光および前記第2光が入射する第1入射面と、
前記第1光および前記第2光の伝播方向を変える第1屈曲部と、
前記第1光と前記第2光とが混合された光を所定の領域に向けて射出する第1射出面と、
を有し、
前記第2ロッドインテグレーターは、
前記第3光および前記第4光が入射する第2入射面と、
前記第3光および前記第4光の伝播方向を変える第2屈曲部と、
前記第3光と前記第4光とが混合された光を前記所定の領域に向けて射出する第2射出面と、
を有する、発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1光の光路上および前記第2光の光路上に配置された第1シリンドリカルレンズと、
前記第3光の光路上および前記第4光の光路上に配置された第2シリンドリカルレンズと、
をさらに含む、発光装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1射出面から射出された光の光路上に配置された第1シリンドリカルレンズと、
前記第2射出面から射出された光の光路上に配置された第2シリンドリカルレンズと、
をさらに含む、発光装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記第1射出面から射出された光を第1偏光光に変換する第1偏光変換素子と、
前記第2射出面から射出された光を第2偏光光に変換する第2偏光変換素子と、
をさらに含み、
前記第1偏光光の偏光方向と前記第2偏光光の偏光方向とは、同じ方向である、発光装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記発光素子は、スーパールミネッセントダイオードである、発光装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記第1射出面と前記第2射出面とは、同じ方向を向く、発光装置。
【請求項7】
請求項1ないしの6いずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置の前記第1ロッドインテグレーターの前記第1射出面から射出された光を発散させる第1レンズと、
前記発光装置の前記第2ロッドインテグレーターの前記第2射出面から射出された光を発散させる第2レンズと、
前記第1レンズから射出された光と前記第2レンズから射出された光を重畳させる第3レンズと、
前記第3レンズによって重畳された光を集光する第4レンズと、
を含む、照明装置。
【請求項8】
請求項7に記載の照明装置と、
前記照明装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む、プロジェクター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−23178(P2012−23178A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159504(P2010−159504)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】