発光装置および照明器具
【課題】被照射面の長手方向に沿った配光特性を得ることが可能な発光装置および照明器具を提供する。
【解決手段】発光装置10は、発光部11、レンズ体12、反射体13を具備し、発光部11は、固体発光素子11aを有する。レンズ体12は、固体発光素子が収容される光入射部12aを有し、固体発光素子から光入射部に入射した光aを、主として固体発光素子の光軸x−xと鉛直線y−yとの間にわたる広角方向に出射する光出射部12bを有する。反射体13は、レンズ体から広角方向に出射されない漏れ光cを主として光軸方向に反射させる。
【解決手段】発光装置10は、発光部11、レンズ体12、反射体13を具備し、発光部11は、固体発光素子11aを有する。レンズ体12は、固体発光素子が収容される光入射部12aを有し、固体発光素子から光入射部に入射した光aを、主として固体発光素子の光軸x−xと鉛直線y−yとの間にわたる広角方向に出射する光出射部12bを有する。反射体13は、レンズ体から広角方向に出射されない漏れ光cを主として光軸方向に反射させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光ダイオード等の固体発光素子を用いた発光装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固体発光素子、例えば発光ダイオード(以下「LED」と称する)は、その発光効率の向上により、一般照明用の光源として採用され各種の照明器具が開発されている。特に近年では、防犯灯や道路灯等、屋外で使用される照明器具が商品化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−152169号公報
【特許文献2】特開2011−023204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の防犯灯などの照明器具は、長い路面に沿った長手方向に照明を行う必要があり、LED等の固体発光素子から放射される直進性の強い光によって、長い路面に沿う広角の配光特性を如何に効率的に得るかが重要な課題になっている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、被照射面の長手方向に沿った配光特性を得ることが可能な発光装置および照明器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の発光装置は、発光部、レンズ体、反射体を具備し、発光部は、固体発光素子を有する。レンズ体は、固体発光素子が収容される光入射部を有し、固体発光素子から光入射部に入射した光を、主として固体発光素子の光軸と鉛直線との間にわたる広角方向に出射する光出射部を有する。反射体は、レンズ体から広角方向に出射されない漏れ光を主として光軸方向に反射させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被照射面の長手方向に沿った配光特性を得ることが可能な発光装置および照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る発光装置を示し、(a)は発光部とレンズ体を分離して示す斜視図、(b)は図2(c)のc−c線に沿う断面を一部拡大して示す断面図、(c)は図2(c)のb−b線に沿う断面を一部拡大して示す断面図。
【図2】同じく発光装置を示し、(a)は上面図、(b)は本(c)図のb−b線に沿う断面図、(c)は正面図、(d)は本(c)図のd−d線に沿う断面図。
【図3】同じく発光装置を示し、(a)は側面図、(b)は図2(c)のc−c線に沿う断面図。
【図4】同じく発光装置の変形例を示し、(a)は第1の変形例を示す図1(c)に相当する断面図、(b)は第2の変形例を示す図1(c)に相当する断面図。
【図5】同じく発光装置の変形例を示し、(a)は第3の変形例を示す正面図、(b)は第4の変形例を示す正面図。
【図6】同じく発光装置の変形例を示し、(a)は第5の変形例を示す正面図、(b)は第6の変形例を示す正面図。
【図7】実施形態に係る照明器具を示す斜視図。
【図8】同じく照明器具を示し、(a)は一部を切り欠いて示す底面図、(b)は一部を切り欠いて示す側面図。
【図9】同じく照明器具の作用を示す図8(b)のa−a線に沿う断面図。
【図10】同じく照明器具を道路に設置した状態を示し、(a)は道路の長手方向から見た図、(b)は点灯時の配光状態を概略的に示す図。
【図11】同じく照明器具の変形例を示し、(a)は第1の変形例を示す図9に相当する断面図、(b)は第1の変形例における光の入射角の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発光装置および照明器具の実施形態につき、図に従い説明する。先ず、発光装置の構成につき説明する。本実施形態の発光装置は、防犯灯に用いられる発光装置であり、発光装置10は、図1〜図3に示すように、固体発光素子11aを有する発光部11、固体発光素子11aが収容される光入射部12aと、固体発光素子11aから光入射部12aに入射した光を出射する光出射部12bを有するレンズ体12、固体発光素子11aからの漏れ光を反射させる反射体13で構成する。
【0010】
発光部11は、固体発光素子11aを有し、この固体発光素子を実装した発光モジュール11bで構成される。固体発光素子は、複数個、本実施形態では7個のLEDチップ11aからなり、各LEDチップは、同一性能を有するLEDチップ、本実施形態では防犯灯として必要な高輝度、高出力の7個の青色LEDチップで構成する。そしてLEDチップ11aが配線基板11cに対して実装され、さらに黄色蛍光体が設けられることにより白色の光を放射するSMD形の発光モジュールが構成される。
【0011】
なお、発光モジュール11bは、COB技術によって構成されたものであってもよい。また、配線基板11cは、平面が長方形で薄形形状をなし、熱伝導性が良好な金属やセラミックス等からなる部材、本実施形態では、アルミニウムからなる基板上にエポキシ材等からなる電気絶縁層を形成した薄い平板で構成した。なお、配線基板11cは、ガラスエポキシ材などの非金属性の部材で構成したものであってもよい。
【0012】
上記に構成された発光モジュール11bは、3個のLEDチップ11aが長方形をなす配線基板11cの上辺側の長手方向に沿って横方向に略等間隔に配設され、さらに上辺側の3個のLEDチップ11aの間に、各LEDチップ11aが位置するようにして4個のLEDチップ11aが下辺側の長手方向に沿って横方向に配設されている。
【0013】
すなわち、3個のLEDチップ11aと4個のLEDチップ11aが、略等間隔に千鳥状をなすように配設されている。この配置は後述するレンズ体12に対応した位置になるように配設されて発光部11が構成される。図中11dは、長方形をなす配線基板11cの各コーナー部に貫通して形成された取付孔で、発光部11を照明器具の器具本体等へネジ等の固定手段を用いて取り付けるための取付孔である。
【0014】
レンズ体12は、発光部11のLEDチップ11aから放射される光の放射方向を制御するもので、透光性を有する部材、例えば、ガラス、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂、本実施形態では、透明なポリカーボネートによって構成した。レンズ体12は、樹脂による一体成形によって光入射部12aと光出射部12bが一体に形成される。光入射部12aは、LEDチップ11aの光軸x−xを通る略半円筒形の凹部によって構成する(図3(b))。この凹部の中心(光軸x−x)に、LEDチップ11aの発光中心が位置して収容される。
【0015】
光出射部12bは、図1(b)に示すように、光入射部12aに対向して、光軸x−xを中心とした回転対称の略半球状をなす部分と、鉛直線y−y方向の両端に、略半球状に連続して一体に膨出して形成された一対2個の対称形状をなす部分からなる。換言すれば、鉛直線y−y方向に長くなった正面視で小判形の形状をなすように構成されている。
【0016】
そして、上記に構成された光出射部12bは、図1(b)に実線矢印で示すように、LEDチップ11aから光入射部12aに入射した光aを屈折させて、主としてLEDチップ11aの光軸x−xと鉛直線y−yとの間にわたる広角方向、すなわち、鉛直線y−yの上下方向にわたる広角方向に出射する。同時に、LEDチップ11aの光軸x−xに沿った光bを出射する。
【0017】
反射体13は、図1(c)に示すように、LEDチップ11aから光入射部12aに入射した光がレンズ体12内で乱反射し、レンズ体12から上述した広角方向に出射されない漏れ光cを、主として光軸x−x方向に反射させるように制御するもので、レンズ体12における鉛直線y−yと略直交する方向z−zに一体に突出させて形成した連結部12cに位置して、鉛直線y−yを中心線とした左右に、対称に一対2個が形成される。
【0018】
反射体13は、レンズ体12の底面に対して、直角三角形における直角の底辺が位置するようにして、連結部12cを底面から窪ませて一体に形成した凹部13aからなる。凹部13aは、断面形状が直角三角形をなし、その斜辺部が反射面(反射鏡)13bとなり、頂点が連結部12cの表面に突出するように形成されることから、表面にスリット状の孔が形成される。
【0019】
そして、図2(b)に示すように、反射面13bの角度α1は、光線cが全反射する角度、本実施形態では45〜55°の範囲で、約50°の角度に形成した。そして、図1(c)に実線矢印で示すように、レンズ体12から上述した広角方向に出射されない漏れ光cを反射面13bによって、主として光軸x−x方向に向かって全反射させる。
【0020】
上述したレンズ体12と反射体13は、透光性を有する部材、本実施形態においては、平面が長方形で薄形をなす透明なポリカーボネートからなる基板14の樹脂成形時に、鉛直線y−yと略直交する方向z−zに連続して複数個が一体的に形成され、各レンズ体12の光入射部12aに発光部11の各LEDチップ11aが収容されて長方形の発光装置10が構成される。先ず、レンズ体12と反射体13は、反射体13を有する連結部12cによって、略等間隔に連結された3個組みのレンズ体12と、反射体13を有する連結部12cによって、略等間隔に連結された4個組みのレンズ体12が、基板14の樹脂成形時に一体に形成される。
【0021】
そして、3個組みのレンズ体12が、長方形をなす基板14の上辺側の長手方向に沿って一体に形成され、上辺側の3個組みのレンズ体12の間に、各レンズ体12が位置するようにして、4個組みのレンズ体12が下辺側の長手方向に沿って一体に形成される。すなわち、3個組みのレンズ体12と4個組みのレンズ体12が、略等間隔に千鳥状をなすように一体に形成されて配設されている。この配置における位置関係は、前述の発光部11における千鳥状に配設されたLEDチップ11aに対応した位置になるように配設されている。
【0022】
さらに、長方形をなす基板14の縦横寸法は、発光モジュール11bを構成する長方形の配線基板11cにおける縦横寸法と略同様に形成され、それぞれを重ねることによって、レンズ体12とLEDチップ11aの位置合わせが自動的になされる。図1(a)中、14aは、長方形をなす基板14の各コーナー部に貫通して形成された取付孔で、配線基板11cの取付孔11dと合致するように形成され、基板14を発光部11とともに、照明器具の器具本体等へネジ等の固定手段を用いて取り付けるための取付孔である。
そして、上記のレンズ体12および反射体13を構成する基板14と、発光部11を構成する配線基板11cを重ね合わせると、発光部11の各LEDチップ11aとレンズ体12の光入射部12aの位置が合致し、LEDチップ11aがレンズ体12の光入射部12a内に自動的に収容される。
【0023】
なお、基板14と配線基板11cは、耐熱性を有し、かつ電気絶縁性の良好なシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等からなる接着剤によって固着してもよい。または、取付孔14a、11dを用いて、ネジにより固定してもよい。これにより、レンズ体12と反射体13は、透光性を有する基板14によって、鉛直線y−y方向と略直交する方向z−zに連続した3個組みと4個組みの2列に分離して配設され、各レンズ体12の光入射部12aに対し、発光部11のLEDチップ11aがそれぞれ収容された長方形の薄形形状をなす発光装置10が構成される。本実施形態において、発光装置10の外形寸法は、次のように構成した(図2)。長さ寸法L1は約140mm、レンズ体12の頂点を含めた高さ寸法H1は約8.5mm、幅寸法W1は約50mmである。
【0024】
上記に構成された発光装置10を点灯すると、図1(b)に示すように、レンズ体12の光出射部12b1によって、実線矢印で示すように、LEDチップ11aから光入射部12aに入射した光aを屈折させて、主としてLEDチップ11aの光軸x−xと鉛直線y−yとの間にわたる広角方向出射され、同時に、LEDチップ11aの光軸x−xに沿った光bも出射される。これら作用により、光源として必要な、鉛直線y−yの上下方向にわたる広角方向に向かう配光特性、すなわち、道路等の被照射面の長手方向に沿った配光特性を確実に得ることが可能になる。
【0025】
同時に、図1(c)に実線矢印で示すように、レンズ体12から上述した広角方向に出射されない漏れ光cを反射面13bによって、主として光軸x−x方向に向かって全反射させることから、漏れ光cを有効的に活用して漏れ光の改善を行うことができ、発光部11から放射される光を、可能な限りロスを少なくして効率的に、光源として必要な鉛直線y−yの上下方向にわたる広角方向に向かって放射させることが可能になる。上述したレンズ体12および反射体13のこれら作用が相まって、道路等の被照射面の長手方向に沿った照明率を向上させることが可能になる。
【0026】
また、合計7個のLEDチップ11aおよびレンズ体12は、3個組みと4個組みの2列に分離され、かつ千鳥状に配設したので、長方形をなす限られた面積に効率的に配置することができ、発光装置全体の小型化を図ることが可能になる。同時に、千鳥状に配設されることから、図2(c)中、上下方向(鉛直線y−y方向)に隣接するレンズ体12は、互いに左右にずれた位置に配設されることから、各レンズ体12から上下方向に向かって放射される光の干渉を抑制することができ、光ロスを一層少なくすることが可能になる。
【0027】
さらに、千鳥状に配設されることから、基板14の上辺側に配設された3個組みのレンズ体においては、その両端部に位置するレンズ体12と基板14の取付孔14aとの間隔寸法l1を離間させることができる(l1>l2)。これにより、屋外照明器具として必要な雷サージに対して必要な約15mm以上の間隔を、LEDチップ11aと取付ネジsとの間に十分形成することができ、雷サージによるLEDチップの破損を防止することが一層可能になる。
【0028】
また、レンズ体12と反射体13は、基板14に複数個が一体に形成され、レンズ体および反射体を、1個のLEDチップに対して個別に支持することなく、複数個のLEDチップに対して一挙に同時に支持することができ、組み立て性を向上させることができ、量産化に適した発光装置を提供することが可能になる。また、照明器具への組み込みに対しても、取付孔14a、11dを用いて複数個のLEDチップ11aと、複数のレンズ体12および反射体13を一挙に同時に組み込むことができ、照明器具の量産化にも適した発光装置を提供することが可能になる。
【0029】
以上、本実施形態において、発光装置10は、図4(a)に示すように、レンズ体12と別体に構成した短冊状の反射体13を、基板14の樹脂成形時に一体に埋め込んで形成してもよい。さらには、図4(b)に示すように、基板14の表面にレンズ体12に隣接して短冊状の反射体13を接着等の手段によって固着して設けるようにしてもよく、要は、レンズ体12から上述した広角方向に出射されない漏れ光cを反射面13bによって、主として光軸x−x方向に向かって全反射させることが可能な反射体であればよい。これら別体に構成された短冊状の反射体13は、鏡面加工を施した金属、例えば、アルミニウム板で構成してもよく、さらには、ガラスや合成樹脂で構成したものであってもよい。
【0030】
また、レンズ体12および反射体13は、図5(a)に示すように、略正方形をなす基板14に、1個の発光部11、1個のレンズ体12、1個のレンズ体12に対応して設けられた一対2個の反射体13で構成されたものであってもよい。さらに、図5(b)に示すように、長尺状の基板14に対して略直線状をなすように横方向に1列に配設し、長尺状の発光装置10を構成してもよい。また。図6(a)に示すように、長方形の基板14に対して、略平行に2列をなすように配設してもよい。さらに、図6(b)に示すように、千鳥状に配設したレンズ体および反射体において、基板14の両端部に位置するレンズ体12および反射体13を、基板14の長手方向の中心線c−c上に位置させて配設してもよい。この構成によれば、基板14の各コーナー部に設けた取付孔14aと、基板両端部に位置する各LEDチップ11aとの間に、所定の間隔寸法l1を十分にとることができ、雷サージによるLEDチップの破損を一層確実に防止することが可能になる。
【0031】
また、本実施形態において、発光装置10は、平面が長方形等の矩形状の薄形形状をなすことが、防犯灯や道路灯などの比較的大型の照明器具の光源として用いるためには好ましいが、平面形状としては、三角形、四角形、六角形、八角形などの多角形状、さらには円形や楕円形状等をなすものであってもよく、目的とする配光特性を得るための全ての形状が許容される。
【0032】
発光部11の固体発光素子は、例えば、青色を発光する窒化ガリウム(GaN)系半導体からなるLEDチップ11aで構成されることが好適であるが、半導体レーザ、有機ELなどを発光源とした固体発光素子が許容される。また、白色で発光するようにしたが、照明器具の用途に応じ、赤色、青色、緑色等でも、さらには各種の色を組み合わせて構成してもよい。さらに、調光や調色機能をもたせてもよい。なお、本実施形態の変形例を示す図4〜図6において、図1〜図3と同一部分に同一の符号を付し、詳細な説明は省略した。
【0033】
次に、上記に構成された発光装置10を用いた照明器具の構成につき説明する。本実施形態の照明器具は、上述した図1〜図3に示すレンズ体12および反射体13を千鳥状に配設した発光装置10を光源とした防犯灯であり、防犯灯20は、図7〜図9に示すように、器具本体21、器具本体21の長手方向に沿ってレンズ体12と反射体13が位置するように配設された上述の発光装置10、発光装置10を覆うように設けられる透光性のカバー部材22で構成する。
【0034】
器具本体21は、熱伝導性の良好なアルミダイカスト製で、一面に開口部21aを形成した略船底形状をなす箱体に構成され、この器具本体21内に、開口部21aに面し突出して上述した発光装置10が収納され支持される。すなわち、器具本体21の一方の空間部、図8において左方の広い船底形の空間部に、器具本体21の長手方向の中心線d−d上に位置して、断面が略V字状をなす取付部21bが支持される。
【0035】
取付部21bは、熱伝導性を有するステンレス若しくはアルミニウム等の金属板、本実施形態ではアルミニウム板からなり、一対2枚の発光装置10を、それぞれ配設するための一対2枚の取付板21b1を有し、V字の先端が器具本体21の開口部21aに面し突出するように、これら取付板同士が所定の角度α2をもって交差するように一体的に形成される(図9)。換言すれば、一対の取付板21b1の互いの背部が所定の角度α2をもって対向し、V字の一対の取付板21b1の板面が、図9において左右対称に、器具本体21の底部に向かって徐々に開きながら傾斜するように位置させて船底形状の底部に固定される。そして、V字の一対の取付板21b1の角度α2は、本実施形態では80〜100°の範囲で、約90°の角度に形成した。
【0036】
そして、器具本体21を、その長手方向の中心線d−dを、道路の幅方向(道路の長手方向に直交する方向)に向けて電柱等に設置した場合(図10(a))、V字の一対の取付板21b1が左右対称に、上方に向かって徐々に開きながら傾斜し、V字の一対の取付板21b1における板面が左右対称に斜め下方に向かって位置する状態となる。本実施形態において、一対の取付板21b1における板面と鉛直線y−yとのなす角度α3が、約45°の角度となるように、左右対称に傾斜して設けられる。各取付板21b1の表面は、鏡面加工等を施して反射体の機能を持たせるように構成するとよい。
【0037】
上記のように、器具本体21に固定されたV字の一対の取付板21b1のそれぞれの板面に対して、上述した発光装置10が1枚ずつ配置されて支持される。すなわち、V字の一対の取付板21b1の板面に対して、各発光装置10のレンズ体12と反射体13が、取付板21b1の長手方向、換言すれば、器具本体21の長手方向の中心線d−d方向に沿って位置するようにして配設される。
【0038】
これにより、3個組みと4個組み2列の合計7個のLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13が、V字の一対の取付板21b1の板面に対してそれぞれが配設される。さらに、4個組みのLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13が、取付板21b1の上辺部に位置し、3個組みのLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13が取付板21b1の下辺部に位置するように配設する。
【0039】
これにより、V字の一対の取付板21b1における板面は、板面と鉛直線y−yとのなす角度α3が、約45°の角度となるように、左右対称に斜め下方に向かって位置していることから、LEDチップ11aの光軸x−x、換言すれば、器具の光軸x´−x´、と鉛直線y−yとのなす角度α3が、約45°の角度となるように、左右対称に斜め下方に向くように配設され、発光装置10から放射される光a、b、cが、被照射面、すなわち、道路の長手方向の両側に沿って放射されるように構成される。
【0040】
なお、発光装置10は、次のようにして取付板21b1に固定される。先ず、発光モジュール11bの配線基板11cを、取付板21b1の所定の位置に合わせて載置する。この際、熱伝導性および電気絶縁性を有するシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等からなる絶縁シート若しくは接着剤等を介在させて、発光部11と取付板21b1、すなわち、器具本体21a側との電気絶縁を図る。
【0041】
次に、レンズ体12および反射体13の基板14を、配線基板11cの上に重ねて載置する。基板14と配線基板11cが重ねられることにより、各レンズ体12の光入射部12aに各LEDチップ11aが自動的に収容され、同時に基板14の取付孔14aと配線基板の取付孔11dの位置が合わされ、取付孔14a、11dを介し取付板21b1に対してタッピンネジsをねじ込むことによって配線基板11cの裏面側が取付板21b1の板面に対し密着して固定される。これにより、複数個のLEDチップ11aと、複数のレンズ体12および反射体13が、一挙に同時に器具本体21に組み込まれる。
【0042】
カバー部材22は、防犯灯20のグローブを構成するもので、透明または乳白色等の半透明の透光性を有する部材、例えば、ガラス、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂、本実施形態では、透明なアクリル樹脂によって構成した。カバー部材22は、器具本体21内に支持された発光装置10を覆うように、一面に開口部22aを形成した断面が略V字状の箱体をなすように構成する。
【0043】
上記に構成されたカバー部材22は、開口部22aを器具本体21の開口部21aに合致させ、器具本体21内に支持された2枚の発光装置10を共に覆うようにしてネジ等で着脱ができるように取り付けられる。これにより、カバー部材22は、断面が略V字状をなす両側面が、V字状に支持された各発光装置10に対し、略平行に沿った状態で覆われるように位置して被せられ、防犯灯20が構成される。
【0044】
なお、器具本体21の開口部21aとカバー部材22の開口部22aは、シリコーン樹脂等からなるパッキングを介して嵌合させ防水性・防塵性を保持するように構成する。また、カバー部材22は、ネジを取り外して発光装置10や点灯装置30等の点検、修理等ができるように構成する。図中23は、器具本体21の一方、すなわち、点灯装置30側に取り付けられた取付金具からなる支持部材であり、この支持部材23により、上記に構成された防犯灯20を電柱P等に支持固定する。本実施形態において、防犯灯20の外形寸法は、次のように構成した(図8)。器具本体21の長さ寸法L2は約356mm、カバー部材22を含めた高さ寸法H2は約98mm、幅寸法W2は約190mmである。
【0045】
次に、上記のように構成した防犯灯20を、図10に示すように道路Rの片側に設置された電柱Pに取付けて使用した場合の作用につき説明する。先ず、図10(a)に示すように、支持部材23により器具本体21を電柱Pの約4.5mの高さに取付ける。この際、器具本体21の長手方向の中心線d−dが略水平になるように設置し、さらに中心線d−dが道路Rの幅方向(道路Rの長手方向に直交する方向)に略沿って位置するように支持する。これにより、各発光装置10は、LEDチップ11aの光軸x−x、すなわち、器具の光軸x´−x´と、鉛直線y−yとのなす角度α3が、約45°の角度となるように、電柱Pを境にした左右対称に、斜め下方に向くように配設される(図9の状態)。
【0046】
上記に設置された状態で防犯灯20を点灯すると、各発光装置10のレンズ体12から放射される光a、b、cは、透明なカバー部材22の上下方向にわたって透過するとともに、全体としては器具の左右の光軸x´−x´方向に沿って、すなわち、被照射面である道路Rの長手方向に沿い、かつ、電柱Pの左右両側に沿って放射され、長い道路Rを明るく照らすように照明することができる。
【0047】
この際、発光装置10は、4個組みのLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13が、取付板21b1の上辺部に位置し、3個組みのLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13が取付板21b1の下辺部に位置するように配設したので、電柱Pに設置した状態で上下において、LEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13の配置個数が非対称となるように配設されている。
【0048】
このため、上部に位置するLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13の個数が4個で多くなり、ビーム強度を高めることができ、道路Rの長手方向に向かってより遠方にビームを飛ばすことが可能になる。また、同時に、電柱Pの直下付近は、均等に照射させる必要があるが、下部に位置するLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13の個数が3個と少なくなっているが、電柱直下付近の明るさの均斉度に十分に寄与することができ、照射したい直下エリアを均一に照射することが可能になる。
【0049】
さらに、本実施形態における発光装置10は、上述したように、レンズ体12から広角方向に出射されない漏れ光cを反射面13bによって、主として光軸x−x方向に向かって全反射されることから、漏れ光を有効的に活用し、光源として必要な鉛直線y−yの上下方向にわたる広角方向に向かって放射させることができるので、道路Rの長手方向に沿った照明率を向上させることが可能になる。これら作用が相まって、図10(b)に概略的に示す配光状態のように、電柱Pの下方領域から道路Rの両側の長手方向にわたって、広範囲に明るく照らすことができ、防犯灯として必要な照明を確実に行うことが可能になる。
【0050】
また、複数個のLEDチップ11aと、複数のレンズ体12および反射体13は、一挙に同時に器具本体21に組み込むことができ、組み立て作業も簡素化され量産に適した防犯灯を提供することが可能になる。また、一対の発光装置10は、略V字状をなす取付部15bに支持されて一括して器具本体内の一方の広い空間部に収納され、また他方の狭い空間部には点灯装置30が収納され部品配置も簡素化され、一層組み立て易い防犯灯を提供することが可能になる。
【0051】
また、発光装置10を取り付けた取付部15bは、器具本体21の内面に支持されているので、発光部11のLEDチップ11aで発生した熱が、熱伝導性の良好なアルミニウムからなる配線基板11cから、アルミニウム製の取付部15b、さらに器具本体21に伝達され、器具本体の外面から外部に効果的に放熱され、LED点灯時における温度上昇を抑制し、発光効率の低下を抑制することができるとともに、LEDの長寿命化をはかることが可能となる。さらに、発光装置10は、基板14および配線基板11cが、ネジsによって器具本体21の取付部15bに確実に密着されて固定されており、LEDから発生する熱を効果的に器具本体側に伝達して放熱させることができる。
【0052】
さらに、発光装置10は、発光部11が発光モジュール11bとして構成されているので、必要な個数の発光モジュールを適宜選択して、防犯灯を設置する場所に合わせた配光特性を有する照明を行うことも可能となる。例えば、片側の照明が不要な行き止まりの道路の場合には、左右対称に設置された発光装置の内、片側の発光装置を省略、若しくは不点灯状態となし、不要な方向に向かう光を阻止して近隣住宅や畑の農産物に悪影響を与える恐れをなくすこともでき、各種の設置場所に適応可能な汎用性に優れた防犯灯を提供することもできる。また、個数だけでなく、上述した図5〜図6に例示した、各種構成の発光装置を組み合わせて各種機能に合わせた照明器具を構成するようにしてもよい。また、左右で異なる構成の発光装置を設け、左右が非対称となるように組み合わせてもよい。さらに、点灯装置30内に調光制御装置を設け、複数の発光装置を適宜選択して点灯若しくは消灯させ、道路周辺の建物や環境等、設置場所の状況に合わせた防犯照明を行うことも可能となる。また、調色制御装置を設け、設置場所の状況に合わせた照明色の照明を行うことも可能となる。
【0053】
また、光源として固体発光素子であるLEDを用いているため器具の寿命が長くなり、ランプ交換などの維持費をかけることなく長期にわたり使用することができる。同時に広範囲の配光をもった照明を行うことができ、防犯灯の設置間隔を広くすることも可能となり、経済的かつ広範囲の照明を行うことができる。また、光源としてLEDを使用したので、従来の蛍光ランプやHIDランプにおける点灯装置の重い安定器等が不要で、器具全体の小形化、軽量化を図ることができ、防犯灯を電柱等の高所に設置する際の施工性が容易となり、確実に設置することが可能となる。
【0054】
以上、本実施形態の照明器具において、カバー部材22は、図11(a)に示すように、両側面を器具本体21の内面側、すなわち、V字状に配設された発光装置10に対して内面側に向けて、湾曲させるように形成してもよい。
【0055】
この構成によれば、図11(b)に示すように、V字状に傾斜されて配設された発光装置10から出射された光aに対して、カバー部材22への入射角度θ1を相対的に大きくすることでカバー部材22への入射効率を高めるとともに、内面側に湾曲させることで無制御に上方に出射される光を防止しながら無制御の光dも下方に出射することができるため、器具効率向上に貢献することが可能になる。
【0056】
因みに、V字状に配設された発光装置10に対して、外面側に湾曲したカバー部材22´を設けると、配光のピーク角が大きくなって(光a´)、カバー部材22´への入射角θ2が浅く(小さく)なるとカバー部材22´の境界面で反射が大きくなり、内部に反射されて制御できない光eが多くなり、器具効率が低下する要因となってしまう。
【0057】
これに対し、本構成によれば、V字状に配設された発光装置10に対して、カバー部材22を逆のV字状となし、クロス配光を有した光学系となすことができ、入射角θ1を深く(大きく)することで出射効率を高めることが可能になる。また、器具光束が同一であれば、光源の光束を低下させることができ、より一層の省エネ化を図ることも可能になる。
【0058】
したがって、光学ユニットである発光装置10を、器具の側面近くに略V字状に配設し、配光のピーク角を60〜80°程度とし(電柱に設置された器具の直下を角度0°とした場合)、透光性のカバー部材22を内面側に湾曲させることで、器具効率に優れた防犯灯等の照明器具を提供することが可能になる。
【0059】
また、本実施形態において、器具本体21内に収納した点灯装置30は、器具本体とは別置きに構成してもよい。また、器具本体21とカバー部材22をネジで固定したが、器具本体21とカバー部材22の一端縁部を回動自在に軸支し、この軸を支点とし開閉ができるように構成してもよい。
【0060】
上記実施形態において照明器具は、屋外用の防犯灯として構成したが、工場、研究施設、図書館や美術館等の長い廊下に用い、廊下の長手方向に沿って照明を行う室内用の照明器具を構成してもよい。室内用の照明器具として構成する場合には、防水のためのパッキングは省略してもよい。さらに、照明器具としては、住宅や店舗等における天井埋込形、直付形、吊下形、さらには壁面取付形等が許容され、さらには、オフィス等、施設・業務用の大型の照明器具などを構成してもよい。
【0061】
なお、本実施形態の変形例を示す図11において、図7〜図10と同一部分に同一の符号を付し、詳細な説明は省略した。以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
10 発光装置
11 発光部
11a 固体発光素子
12 レンズ体
12a 光入射部
12b 光出射部
x−x 光軸
y−y 鉛直線
13 反射体
20 照明器具
21 器具本体
22 カバー部材
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光ダイオード等の固体発光素子を用いた発光装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固体発光素子、例えば発光ダイオード(以下「LED」と称する)は、その発光効率の向上により、一般照明用の光源として採用され各種の照明器具が開発されている。特に近年では、防犯灯や道路灯等、屋外で使用される照明器具が商品化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−152169号公報
【特許文献2】特開2011−023204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の防犯灯などの照明器具は、長い路面に沿った長手方向に照明を行う必要があり、LED等の固体発光素子から放射される直進性の強い光によって、長い路面に沿う広角の配光特性を如何に効率的に得るかが重要な課題になっている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、被照射面の長手方向に沿った配光特性を得ることが可能な発光装置および照明器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の発光装置は、発光部、レンズ体、反射体を具備し、発光部は、固体発光素子を有する。レンズ体は、固体発光素子が収容される光入射部を有し、固体発光素子から光入射部に入射した光を、主として固体発光素子の光軸と鉛直線との間にわたる広角方向に出射する光出射部を有する。反射体は、レンズ体から広角方向に出射されない漏れ光を主として光軸方向に反射させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被照射面の長手方向に沿った配光特性を得ることが可能な発光装置および照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る発光装置を示し、(a)は発光部とレンズ体を分離して示す斜視図、(b)は図2(c)のc−c線に沿う断面を一部拡大して示す断面図、(c)は図2(c)のb−b線に沿う断面を一部拡大して示す断面図。
【図2】同じく発光装置を示し、(a)は上面図、(b)は本(c)図のb−b線に沿う断面図、(c)は正面図、(d)は本(c)図のd−d線に沿う断面図。
【図3】同じく発光装置を示し、(a)は側面図、(b)は図2(c)のc−c線に沿う断面図。
【図4】同じく発光装置の変形例を示し、(a)は第1の変形例を示す図1(c)に相当する断面図、(b)は第2の変形例を示す図1(c)に相当する断面図。
【図5】同じく発光装置の変形例を示し、(a)は第3の変形例を示す正面図、(b)は第4の変形例を示す正面図。
【図6】同じく発光装置の変形例を示し、(a)は第5の変形例を示す正面図、(b)は第6の変形例を示す正面図。
【図7】実施形態に係る照明器具を示す斜視図。
【図8】同じく照明器具を示し、(a)は一部を切り欠いて示す底面図、(b)は一部を切り欠いて示す側面図。
【図9】同じく照明器具の作用を示す図8(b)のa−a線に沿う断面図。
【図10】同じく照明器具を道路に設置した状態を示し、(a)は道路の長手方向から見た図、(b)は点灯時の配光状態を概略的に示す図。
【図11】同じく照明器具の変形例を示し、(a)は第1の変形例を示す図9に相当する断面図、(b)は第1の変形例における光の入射角の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発光装置および照明器具の実施形態につき、図に従い説明する。先ず、発光装置の構成につき説明する。本実施形態の発光装置は、防犯灯に用いられる発光装置であり、発光装置10は、図1〜図3に示すように、固体発光素子11aを有する発光部11、固体発光素子11aが収容される光入射部12aと、固体発光素子11aから光入射部12aに入射した光を出射する光出射部12bを有するレンズ体12、固体発光素子11aからの漏れ光を反射させる反射体13で構成する。
【0010】
発光部11は、固体発光素子11aを有し、この固体発光素子を実装した発光モジュール11bで構成される。固体発光素子は、複数個、本実施形態では7個のLEDチップ11aからなり、各LEDチップは、同一性能を有するLEDチップ、本実施形態では防犯灯として必要な高輝度、高出力の7個の青色LEDチップで構成する。そしてLEDチップ11aが配線基板11cに対して実装され、さらに黄色蛍光体が設けられることにより白色の光を放射するSMD形の発光モジュールが構成される。
【0011】
なお、発光モジュール11bは、COB技術によって構成されたものであってもよい。また、配線基板11cは、平面が長方形で薄形形状をなし、熱伝導性が良好な金属やセラミックス等からなる部材、本実施形態では、アルミニウムからなる基板上にエポキシ材等からなる電気絶縁層を形成した薄い平板で構成した。なお、配線基板11cは、ガラスエポキシ材などの非金属性の部材で構成したものであってもよい。
【0012】
上記に構成された発光モジュール11bは、3個のLEDチップ11aが長方形をなす配線基板11cの上辺側の長手方向に沿って横方向に略等間隔に配設され、さらに上辺側の3個のLEDチップ11aの間に、各LEDチップ11aが位置するようにして4個のLEDチップ11aが下辺側の長手方向に沿って横方向に配設されている。
【0013】
すなわち、3個のLEDチップ11aと4個のLEDチップ11aが、略等間隔に千鳥状をなすように配設されている。この配置は後述するレンズ体12に対応した位置になるように配設されて発光部11が構成される。図中11dは、長方形をなす配線基板11cの各コーナー部に貫通して形成された取付孔で、発光部11を照明器具の器具本体等へネジ等の固定手段を用いて取り付けるための取付孔である。
【0014】
レンズ体12は、発光部11のLEDチップ11aから放射される光の放射方向を制御するもので、透光性を有する部材、例えば、ガラス、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂、本実施形態では、透明なポリカーボネートによって構成した。レンズ体12は、樹脂による一体成形によって光入射部12aと光出射部12bが一体に形成される。光入射部12aは、LEDチップ11aの光軸x−xを通る略半円筒形の凹部によって構成する(図3(b))。この凹部の中心(光軸x−x)に、LEDチップ11aの発光中心が位置して収容される。
【0015】
光出射部12bは、図1(b)に示すように、光入射部12aに対向して、光軸x−xを中心とした回転対称の略半球状をなす部分と、鉛直線y−y方向の両端に、略半球状に連続して一体に膨出して形成された一対2個の対称形状をなす部分からなる。換言すれば、鉛直線y−y方向に長くなった正面視で小判形の形状をなすように構成されている。
【0016】
そして、上記に構成された光出射部12bは、図1(b)に実線矢印で示すように、LEDチップ11aから光入射部12aに入射した光aを屈折させて、主としてLEDチップ11aの光軸x−xと鉛直線y−yとの間にわたる広角方向、すなわち、鉛直線y−yの上下方向にわたる広角方向に出射する。同時に、LEDチップ11aの光軸x−xに沿った光bを出射する。
【0017】
反射体13は、図1(c)に示すように、LEDチップ11aから光入射部12aに入射した光がレンズ体12内で乱反射し、レンズ体12から上述した広角方向に出射されない漏れ光cを、主として光軸x−x方向に反射させるように制御するもので、レンズ体12における鉛直線y−yと略直交する方向z−zに一体に突出させて形成した連結部12cに位置して、鉛直線y−yを中心線とした左右に、対称に一対2個が形成される。
【0018】
反射体13は、レンズ体12の底面に対して、直角三角形における直角の底辺が位置するようにして、連結部12cを底面から窪ませて一体に形成した凹部13aからなる。凹部13aは、断面形状が直角三角形をなし、その斜辺部が反射面(反射鏡)13bとなり、頂点が連結部12cの表面に突出するように形成されることから、表面にスリット状の孔が形成される。
【0019】
そして、図2(b)に示すように、反射面13bの角度α1は、光線cが全反射する角度、本実施形態では45〜55°の範囲で、約50°の角度に形成した。そして、図1(c)に実線矢印で示すように、レンズ体12から上述した広角方向に出射されない漏れ光cを反射面13bによって、主として光軸x−x方向に向かって全反射させる。
【0020】
上述したレンズ体12と反射体13は、透光性を有する部材、本実施形態においては、平面が長方形で薄形をなす透明なポリカーボネートからなる基板14の樹脂成形時に、鉛直線y−yと略直交する方向z−zに連続して複数個が一体的に形成され、各レンズ体12の光入射部12aに発光部11の各LEDチップ11aが収容されて長方形の発光装置10が構成される。先ず、レンズ体12と反射体13は、反射体13を有する連結部12cによって、略等間隔に連結された3個組みのレンズ体12と、反射体13を有する連結部12cによって、略等間隔に連結された4個組みのレンズ体12が、基板14の樹脂成形時に一体に形成される。
【0021】
そして、3個組みのレンズ体12が、長方形をなす基板14の上辺側の長手方向に沿って一体に形成され、上辺側の3個組みのレンズ体12の間に、各レンズ体12が位置するようにして、4個組みのレンズ体12が下辺側の長手方向に沿って一体に形成される。すなわち、3個組みのレンズ体12と4個組みのレンズ体12が、略等間隔に千鳥状をなすように一体に形成されて配設されている。この配置における位置関係は、前述の発光部11における千鳥状に配設されたLEDチップ11aに対応した位置になるように配設されている。
【0022】
さらに、長方形をなす基板14の縦横寸法は、発光モジュール11bを構成する長方形の配線基板11cにおける縦横寸法と略同様に形成され、それぞれを重ねることによって、レンズ体12とLEDチップ11aの位置合わせが自動的になされる。図1(a)中、14aは、長方形をなす基板14の各コーナー部に貫通して形成された取付孔で、配線基板11cの取付孔11dと合致するように形成され、基板14を発光部11とともに、照明器具の器具本体等へネジ等の固定手段を用いて取り付けるための取付孔である。
そして、上記のレンズ体12および反射体13を構成する基板14と、発光部11を構成する配線基板11cを重ね合わせると、発光部11の各LEDチップ11aとレンズ体12の光入射部12aの位置が合致し、LEDチップ11aがレンズ体12の光入射部12a内に自動的に収容される。
【0023】
なお、基板14と配線基板11cは、耐熱性を有し、かつ電気絶縁性の良好なシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等からなる接着剤によって固着してもよい。または、取付孔14a、11dを用いて、ネジにより固定してもよい。これにより、レンズ体12と反射体13は、透光性を有する基板14によって、鉛直線y−y方向と略直交する方向z−zに連続した3個組みと4個組みの2列に分離して配設され、各レンズ体12の光入射部12aに対し、発光部11のLEDチップ11aがそれぞれ収容された長方形の薄形形状をなす発光装置10が構成される。本実施形態において、発光装置10の外形寸法は、次のように構成した(図2)。長さ寸法L1は約140mm、レンズ体12の頂点を含めた高さ寸法H1は約8.5mm、幅寸法W1は約50mmである。
【0024】
上記に構成された発光装置10を点灯すると、図1(b)に示すように、レンズ体12の光出射部12b1によって、実線矢印で示すように、LEDチップ11aから光入射部12aに入射した光aを屈折させて、主としてLEDチップ11aの光軸x−xと鉛直線y−yとの間にわたる広角方向出射され、同時に、LEDチップ11aの光軸x−xに沿った光bも出射される。これら作用により、光源として必要な、鉛直線y−yの上下方向にわたる広角方向に向かう配光特性、すなわち、道路等の被照射面の長手方向に沿った配光特性を確実に得ることが可能になる。
【0025】
同時に、図1(c)に実線矢印で示すように、レンズ体12から上述した広角方向に出射されない漏れ光cを反射面13bによって、主として光軸x−x方向に向かって全反射させることから、漏れ光cを有効的に活用して漏れ光の改善を行うことができ、発光部11から放射される光を、可能な限りロスを少なくして効率的に、光源として必要な鉛直線y−yの上下方向にわたる広角方向に向かって放射させることが可能になる。上述したレンズ体12および反射体13のこれら作用が相まって、道路等の被照射面の長手方向に沿った照明率を向上させることが可能になる。
【0026】
また、合計7個のLEDチップ11aおよびレンズ体12は、3個組みと4個組みの2列に分離され、かつ千鳥状に配設したので、長方形をなす限られた面積に効率的に配置することができ、発光装置全体の小型化を図ることが可能になる。同時に、千鳥状に配設されることから、図2(c)中、上下方向(鉛直線y−y方向)に隣接するレンズ体12は、互いに左右にずれた位置に配設されることから、各レンズ体12から上下方向に向かって放射される光の干渉を抑制することができ、光ロスを一層少なくすることが可能になる。
【0027】
さらに、千鳥状に配設されることから、基板14の上辺側に配設された3個組みのレンズ体においては、その両端部に位置するレンズ体12と基板14の取付孔14aとの間隔寸法l1を離間させることができる(l1>l2)。これにより、屋外照明器具として必要な雷サージに対して必要な約15mm以上の間隔を、LEDチップ11aと取付ネジsとの間に十分形成することができ、雷サージによるLEDチップの破損を防止することが一層可能になる。
【0028】
また、レンズ体12と反射体13は、基板14に複数個が一体に形成され、レンズ体および反射体を、1個のLEDチップに対して個別に支持することなく、複数個のLEDチップに対して一挙に同時に支持することができ、組み立て性を向上させることができ、量産化に適した発光装置を提供することが可能になる。また、照明器具への組み込みに対しても、取付孔14a、11dを用いて複数個のLEDチップ11aと、複数のレンズ体12および反射体13を一挙に同時に組み込むことができ、照明器具の量産化にも適した発光装置を提供することが可能になる。
【0029】
以上、本実施形態において、発光装置10は、図4(a)に示すように、レンズ体12と別体に構成した短冊状の反射体13を、基板14の樹脂成形時に一体に埋め込んで形成してもよい。さらには、図4(b)に示すように、基板14の表面にレンズ体12に隣接して短冊状の反射体13を接着等の手段によって固着して設けるようにしてもよく、要は、レンズ体12から上述した広角方向に出射されない漏れ光cを反射面13bによって、主として光軸x−x方向に向かって全反射させることが可能な反射体であればよい。これら別体に構成された短冊状の反射体13は、鏡面加工を施した金属、例えば、アルミニウム板で構成してもよく、さらには、ガラスや合成樹脂で構成したものであってもよい。
【0030】
また、レンズ体12および反射体13は、図5(a)に示すように、略正方形をなす基板14に、1個の発光部11、1個のレンズ体12、1個のレンズ体12に対応して設けられた一対2個の反射体13で構成されたものであってもよい。さらに、図5(b)に示すように、長尺状の基板14に対して略直線状をなすように横方向に1列に配設し、長尺状の発光装置10を構成してもよい。また。図6(a)に示すように、長方形の基板14に対して、略平行に2列をなすように配設してもよい。さらに、図6(b)に示すように、千鳥状に配設したレンズ体および反射体において、基板14の両端部に位置するレンズ体12および反射体13を、基板14の長手方向の中心線c−c上に位置させて配設してもよい。この構成によれば、基板14の各コーナー部に設けた取付孔14aと、基板両端部に位置する各LEDチップ11aとの間に、所定の間隔寸法l1を十分にとることができ、雷サージによるLEDチップの破損を一層確実に防止することが可能になる。
【0031】
また、本実施形態において、発光装置10は、平面が長方形等の矩形状の薄形形状をなすことが、防犯灯や道路灯などの比較的大型の照明器具の光源として用いるためには好ましいが、平面形状としては、三角形、四角形、六角形、八角形などの多角形状、さらには円形や楕円形状等をなすものであってもよく、目的とする配光特性を得るための全ての形状が許容される。
【0032】
発光部11の固体発光素子は、例えば、青色を発光する窒化ガリウム(GaN)系半導体からなるLEDチップ11aで構成されることが好適であるが、半導体レーザ、有機ELなどを発光源とした固体発光素子が許容される。また、白色で発光するようにしたが、照明器具の用途に応じ、赤色、青色、緑色等でも、さらには各種の色を組み合わせて構成してもよい。さらに、調光や調色機能をもたせてもよい。なお、本実施形態の変形例を示す図4〜図6において、図1〜図3と同一部分に同一の符号を付し、詳細な説明は省略した。
【0033】
次に、上記に構成された発光装置10を用いた照明器具の構成につき説明する。本実施形態の照明器具は、上述した図1〜図3に示すレンズ体12および反射体13を千鳥状に配設した発光装置10を光源とした防犯灯であり、防犯灯20は、図7〜図9に示すように、器具本体21、器具本体21の長手方向に沿ってレンズ体12と反射体13が位置するように配設された上述の発光装置10、発光装置10を覆うように設けられる透光性のカバー部材22で構成する。
【0034】
器具本体21は、熱伝導性の良好なアルミダイカスト製で、一面に開口部21aを形成した略船底形状をなす箱体に構成され、この器具本体21内に、開口部21aに面し突出して上述した発光装置10が収納され支持される。すなわち、器具本体21の一方の空間部、図8において左方の広い船底形の空間部に、器具本体21の長手方向の中心線d−d上に位置して、断面が略V字状をなす取付部21bが支持される。
【0035】
取付部21bは、熱伝導性を有するステンレス若しくはアルミニウム等の金属板、本実施形態ではアルミニウム板からなり、一対2枚の発光装置10を、それぞれ配設するための一対2枚の取付板21b1を有し、V字の先端が器具本体21の開口部21aに面し突出するように、これら取付板同士が所定の角度α2をもって交差するように一体的に形成される(図9)。換言すれば、一対の取付板21b1の互いの背部が所定の角度α2をもって対向し、V字の一対の取付板21b1の板面が、図9において左右対称に、器具本体21の底部に向かって徐々に開きながら傾斜するように位置させて船底形状の底部に固定される。そして、V字の一対の取付板21b1の角度α2は、本実施形態では80〜100°の範囲で、約90°の角度に形成した。
【0036】
そして、器具本体21を、その長手方向の中心線d−dを、道路の幅方向(道路の長手方向に直交する方向)に向けて電柱等に設置した場合(図10(a))、V字の一対の取付板21b1が左右対称に、上方に向かって徐々に開きながら傾斜し、V字の一対の取付板21b1における板面が左右対称に斜め下方に向かって位置する状態となる。本実施形態において、一対の取付板21b1における板面と鉛直線y−yとのなす角度α3が、約45°の角度となるように、左右対称に傾斜して設けられる。各取付板21b1の表面は、鏡面加工等を施して反射体の機能を持たせるように構成するとよい。
【0037】
上記のように、器具本体21に固定されたV字の一対の取付板21b1のそれぞれの板面に対して、上述した発光装置10が1枚ずつ配置されて支持される。すなわち、V字の一対の取付板21b1の板面に対して、各発光装置10のレンズ体12と反射体13が、取付板21b1の長手方向、換言すれば、器具本体21の長手方向の中心線d−d方向に沿って位置するようにして配設される。
【0038】
これにより、3個組みと4個組み2列の合計7個のLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13が、V字の一対の取付板21b1の板面に対してそれぞれが配設される。さらに、4個組みのLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13が、取付板21b1の上辺部に位置し、3個組みのLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13が取付板21b1の下辺部に位置するように配設する。
【0039】
これにより、V字の一対の取付板21b1における板面は、板面と鉛直線y−yとのなす角度α3が、約45°の角度となるように、左右対称に斜め下方に向かって位置していることから、LEDチップ11aの光軸x−x、換言すれば、器具の光軸x´−x´、と鉛直線y−yとのなす角度α3が、約45°の角度となるように、左右対称に斜め下方に向くように配設され、発光装置10から放射される光a、b、cが、被照射面、すなわち、道路の長手方向の両側に沿って放射されるように構成される。
【0040】
なお、発光装置10は、次のようにして取付板21b1に固定される。先ず、発光モジュール11bの配線基板11cを、取付板21b1の所定の位置に合わせて載置する。この際、熱伝導性および電気絶縁性を有するシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等からなる絶縁シート若しくは接着剤等を介在させて、発光部11と取付板21b1、すなわち、器具本体21a側との電気絶縁を図る。
【0041】
次に、レンズ体12および反射体13の基板14を、配線基板11cの上に重ねて載置する。基板14と配線基板11cが重ねられることにより、各レンズ体12の光入射部12aに各LEDチップ11aが自動的に収容され、同時に基板14の取付孔14aと配線基板の取付孔11dの位置が合わされ、取付孔14a、11dを介し取付板21b1に対してタッピンネジsをねじ込むことによって配線基板11cの裏面側が取付板21b1の板面に対し密着して固定される。これにより、複数個のLEDチップ11aと、複数のレンズ体12および反射体13が、一挙に同時に器具本体21に組み込まれる。
【0042】
カバー部材22は、防犯灯20のグローブを構成するもので、透明または乳白色等の半透明の透光性を有する部材、例えば、ガラス、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂、本実施形態では、透明なアクリル樹脂によって構成した。カバー部材22は、器具本体21内に支持された発光装置10を覆うように、一面に開口部22aを形成した断面が略V字状の箱体をなすように構成する。
【0043】
上記に構成されたカバー部材22は、開口部22aを器具本体21の開口部21aに合致させ、器具本体21内に支持された2枚の発光装置10を共に覆うようにしてネジ等で着脱ができるように取り付けられる。これにより、カバー部材22は、断面が略V字状をなす両側面が、V字状に支持された各発光装置10に対し、略平行に沿った状態で覆われるように位置して被せられ、防犯灯20が構成される。
【0044】
なお、器具本体21の開口部21aとカバー部材22の開口部22aは、シリコーン樹脂等からなるパッキングを介して嵌合させ防水性・防塵性を保持するように構成する。また、カバー部材22は、ネジを取り外して発光装置10や点灯装置30等の点検、修理等ができるように構成する。図中23は、器具本体21の一方、すなわち、点灯装置30側に取り付けられた取付金具からなる支持部材であり、この支持部材23により、上記に構成された防犯灯20を電柱P等に支持固定する。本実施形態において、防犯灯20の外形寸法は、次のように構成した(図8)。器具本体21の長さ寸法L2は約356mm、カバー部材22を含めた高さ寸法H2は約98mm、幅寸法W2は約190mmである。
【0045】
次に、上記のように構成した防犯灯20を、図10に示すように道路Rの片側に設置された電柱Pに取付けて使用した場合の作用につき説明する。先ず、図10(a)に示すように、支持部材23により器具本体21を電柱Pの約4.5mの高さに取付ける。この際、器具本体21の長手方向の中心線d−dが略水平になるように設置し、さらに中心線d−dが道路Rの幅方向(道路Rの長手方向に直交する方向)に略沿って位置するように支持する。これにより、各発光装置10は、LEDチップ11aの光軸x−x、すなわち、器具の光軸x´−x´と、鉛直線y−yとのなす角度α3が、約45°の角度となるように、電柱Pを境にした左右対称に、斜め下方に向くように配設される(図9の状態)。
【0046】
上記に設置された状態で防犯灯20を点灯すると、各発光装置10のレンズ体12から放射される光a、b、cは、透明なカバー部材22の上下方向にわたって透過するとともに、全体としては器具の左右の光軸x´−x´方向に沿って、すなわち、被照射面である道路Rの長手方向に沿い、かつ、電柱Pの左右両側に沿って放射され、長い道路Rを明るく照らすように照明することができる。
【0047】
この際、発光装置10は、4個組みのLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13が、取付板21b1の上辺部に位置し、3個組みのLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13が取付板21b1の下辺部に位置するように配設したので、電柱Pに設置した状態で上下において、LEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13の配置個数が非対称となるように配設されている。
【0048】
このため、上部に位置するLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13の個数が4個で多くなり、ビーム強度を高めることができ、道路Rの長手方向に向かってより遠方にビームを飛ばすことが可能になる。また、同時に、電柱Pの直下付近は、均等に照射させる必要があるが、下部に位置するLEDチップ11aと、レンズ体12および反射体13の個数が3個と少なくなっているが、電柱直下付近の明るさの均斉度に十分に寄与することができ、照射したい直下エリアを均一に照射することが可能になる。
【0049】
さらに、本実施形態における発光装置10は、上述したように、レンズ体12から広角方向に出射されない漏れ光cを反射面13bによって、主として光軸x−x方向に向かって全反射されることから、漏れ光を有効的に活用し、光源として必要な鉛直線y−yの上下方向にわたる広角方向に向かって放射させることができるので、道路Rの長手方向に沿った照明率を向上させることが可能になる。これら作用が相まって、図10(b)に概略的に示す配光状態のように、電柱Pの下方領域から道路Rの両側の長手方向にわたって、広範囲に明るく照らすことができ、防犯灯として必要な照明を確実に行うことが可能になる。
【0050】
また、複数個のLEDチップ11aと、複数のレンズ体12および反射体13は、一挙に同時に器具本体21に組み込むことができ、組み立て作業も簡素化され量産に適した防犯灯を提供することが可能になる。また、一対の発光装置10は、略V字状をなす取付部15bに支持されて一括して器具本体内の一方の広い空間部に収納され、また他方の狭い空間部には点灯装置30が収納され部品配置も簡素化され、一層組み立て易い防犯灯を提供することが可能になる。
【0051】
また、発光装置10を取り付けた取付部15bは、器具本体21の内面に支持されているので、発光部11のLEDチップ11aで発生した熱が、熱伝導性の良好なアルミニウムからなる配線基板11cから、アルミニウム製の取付部15b、さらに器具本体21に伝達され、器具本体の外面から外部に効果的に放熱され、LED点灯時における温度上昇を抑制し、発光効率の低下を抑制することができるとともに、LEDの長寿命化をはかることが可能となる。さらに、発光装置10は、基板14および配線基板11cが、ネジsによって器具本体21の取付部15bに確実に密着されて固定されており、LEDから発生する熱を効果的に器具本体側に伝達して放熱させることができる。
【0052】
さらに、発光装置10は、発光部11が発光モジュール11bとして構成されているので、必要な個数の発光モジュールを適宜選択して、防犯灯を設置する場所に合わせた配光特性を有する照明を行うことも可能となる。例えば、片側の照明が不要な行き止まりの道路の場合には、左右対称に設置された発光装置の内、片側の発光装置を省略、若しくは不点灯状態となし、不要な方向に向かう光を阻止して近隣住宅や畑の農産物に悪影響を与える恐れをなくすこともでき、各種の設置場所に適応可能な汎用性に優れた防犯灯を提供することもできる。また、個数だけでなく、上述した図5〜図6に例示した、各種構成の発光装置を組み合わせて各種機能に合わせた照明器具を構成するようにしてもよい。また、左右で異なる構成の発光装置を設け、左右が非対称となるように組み合わせてもよい。さらに、点灯装置30内に調光制御装置を設け、複数の発光装置を適宜選択して点灯若しくは消灯させ、道路周辺の建物や環境等、設置場所の状況に合わせた防犯照明を行うことも可能となる。また、調色制御装置を設け、設置場所の状況に合わせた照明色の照明を行うことも可能となる。
【0053】
また、光源として固体発光素子であるLEDを用いているため器具の寿命が長くなり、ランプ交換などの維持費をかけることなく長期にわたり使用することができる。同時に広範囲の配光をもった照明を行うことができ、防犯灯の設置間隔を広くすることも可能となり、経済的かつ広範囲の照明を行うことができる。また、光源としてLEDを使用したので、従来の蛍光ランプやHIDランプにおける点灯装置の重い安定器等が不要で、器具全体の小形化、軽量化を図ることができ、防犯灯を電柱等の高所に設置する際の施工性が容易となり、確実に設置することが可能となる。
【0054】
以上、本実施形態の照明器具において、カバー部材22は、図11(a)に示すように、両側面を器具本体21の内面側、すなわち、V字状に配設された発光装置10に対して内面側に向けて、湾曲させるように形成してもよい。
【0055】
この構成によれば、図11(b)に示すように、V字状に傾斜されて配設された発光装置10から出射された光aに対して、カバー部材22への入射角度θ1を相対的に大きくすることでカバー部材22への入射効率を高めるとともに、内面側に湾曲させることで無制御に上方に出射される光を防止しながら無制御の光dも下方に出射することができるため、器具効率向上に貢献することが可能になる。
【0056】
因みに、V字状に配設された発光装置10に対して、外面側に湾曲したカバー部材22´を設けると、配光のピーク角が大きくなって(光a´)、カバー部材22´への入射角θ2が浅く(小さく)なるとカバー部材22´の境界面で反射が大きくなり、内部に反射されて制御できない光eが多くなり、器具効率が低下する要因となってしまう。
【0057】
これに対し、本構成によれば、V字状に配設された発光装置10に対して、カバー部材22を逆のV字状となし、クロス配光を有した光学系となすことができ、入射角θ1を深く(大きく)することで出射効率を高めることが可能になる。また、器具光束が同一であれば、光源の光束を低下させることができ、より一層の省エネ化を図ることも可能になる。
【0058】
したがって、光学ユニットである発光装置10を、器具の側面近くに略V字状に配設し、配光のピーク角を60〜80°程度とし(電柱に設置された器具の直下を角度0°とした場合)、透光性のカバー部材22を内面側に湾曲させることで、器具効率に優れた防犯灯等の照明器具を提供することが可能になる。
【0059】
また、本実施形態において、器具本体21内に収納した点灯装置30は、器具本体とは別置きに構成してもよい。また、器具本体21とカバー部材22をネジで固定したが、器具本体21とカバー部材22の一端縁部を回動自在に軸支し、この軸を支点とし開閉ができるように構成してもよい。
【0060】
上記実施形態において照明器具は、屋外用の防犯灯として構成したが、工場、研究施設、図書館や美術館等の長い廊下に用い、廊下の長手方向に沿って照明を行う室内用の照明器具を構成してもよい。室内用の照明器具として構成する場合には、防水のためのパッキングは省略してもよい。さらに、照明器具としては、住宅や店舗等における天井埋込形、直付形、吊下形、さらには壁面取付形等が許容され、さらには、オフィス等、施設・業務用の大型の照明器具などを構成してもよい。
【0061】
なお、本実施形態の変形例を示す図11において、図7〜図10と同一部分に同一の符号を付し、詳細な説明は省略した。以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
10 発光装置
11 発光部
11a 固体発光素子
12 レンズ体
12a 光入射部
12b 光出射部
x−x 光軸
y−y 鉛直線
13 反射体
20 照明器具
21 器具本体
22 カバー部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体発光素子を有する発光部と;
固体発光素子が収容される光入射部を有し、固体発光素子から光入射部に入射した光を、主として固体発光素子の光軸と鉛直線との間にわたる広角方向に出射する光出射部を有するレンズ体と;
レンズ体から広角方向に出射されない漏れ光を主として光軸方向に反射させる反射体と;
を具備していることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記レンズ体と反射体は、透光性を有する部材によって鉛直線と略直交する方向に連続して複数個が一体的に形成され、各レンズ体の光入射部に固体発光素子が収容されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
器具本体と;
器具本体の長手方向に沿ってレンズ体と反射体が位置し、かつ固体発光素子の光軸が斜め下方に向くように配設された請求項1または2に記載の発光装置と;
発光装置を覆うように設けられる透光性のカバー部材と;
を具備し、発光装置から放射される光が、被照射面の長手方向に沿って放射されるようにしたことを特徴とする照明器具。
【請求項1】
固体発光素子を有する発光部と;
固体発光素子が収容される光入射部を有し、固体発光素子から光入射部に入射した光を、主として固体発光素子の光軸と鉛直線との間にわたる広角方向に出射する光出射部を有するレンズ体と;
レンズ体から広角方向に出射されない漏れ光を主として光軸方向に反射させる反射体と;
を具備していることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記レンズ体と反射体は、透光性を有する部材によって鉛直線と略直交する方向に連続して複数個が一体的に形成され、各レンズ体の光入射部に固体発光素子が収容されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
器具本体と;
器具本体の長手方向に沿ってレンズ体と反射体が位置し、かつ固体発光素子の光軸が斜め下方に向くように配設された請求項1または2に記載の発光装置と;
発光装置を覆うように設けられる透光性のカバー部材と;
を具備し、発光装置から放射される光が、被照射面の長手方向に沿って放射されるようにしたことを特徴とする照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−175013(P2012−175013A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37828(P2011−37828)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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