説明

発光装置および画像形成装置

【課題】定電流源に印加される基準電位の変動を抑制する。
【解決手段】発光装置10は、複数の発光素子Eが配列された画素領域50と、各発光素子Eに駆動電流を供給するアナログ回路30と、アナログ回路30にデータ信号dを供給するロジック回路40とを有する。アナログ回路30は、定電流源である駆動トランジスタTdrとスイッチング素子としての選択トランジスタTsrとを有し、駆動トランジスタTdrには基準電位VREFが供給され、選択トランジスタTsrにはデータ信号が供給されることにより、発光素子Eの発光が制御される。基準電位VREFは電位線100を介して駆動トランジスタTdrに供給される。電位線100は、配線領域400aを迂回してロジック回路40およびアナログ回路30の外周を通り、各駆動トランジスタTdrに接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electroluminescence)材料などの発光素子を用いた発光装置、およびこの発光装置を利用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置などに用いられる発光装置では、発光素子を駆動する回路(以下、「アナログ回路」という)として、駆動電流を生成する電流源に基準電位に応じた電流を生成させるとともに、電流源と発光素子との間にスイッチング素子を設けることにより発光輝度を制御するものがある。(例えば、特許文献1「図2」)。
【0003】
図9は、従来型のアナログ回路の一例を示す回路図である。図9に示されるように、各画素回路Aは、Pチャネルの駆動トランジスタTdr(電流源)と、駆動トランジスタTdrと発光素子Eとの間に位置するPチャンネルの選択トランジスタ(スイッチング素子)Tsrとを有する。駆動トランジスタTdrのソースには電源線2を介して電源電位VELが供給され、ゲートには電位線1を介して基準電位VREFが供給される。駆動トランジスタTdrのドレインには選択トランジスタTsrのソースが接続され、選択トランジスタTsrのドレインは発光素子Eの陽極に接続される。選択トランジスタTsrのゲートには、信号線3を介してロジック回路(図示略)からデータ信号D(HまたはL)が供給される。発光素子Eの陰極には接地電位GNDが印加される。この構成において、選択トランジスタTsrがオンとなっている期間、基準電位VREFに応じた電流が発光素子Eを流れ、発光素子Eが発光する。発光輝度は光量×発光時間で定まるから、選択トランジスタTsrのオン・オフを制御することで輝度が制御される。
【特許文献1】特開2006−208752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図9に示されるように、電位線1と信号線3とは破線で囲まれた領域Iにおいて交差している。この領域Iには電位線1と信号線3との間に結合容量が形成される。信号線3を流れるデータ信号DはHレベルまたはLレベルの信号であるから、データ信号DがH→L、L→Hと切り替わる度に結合容量の影響で電位線1の電位が変動してしまう。このため、安定したレベルの基準電位VREFを駆動トランジスタTdrのゲートに供給することができない。その結果、駆動トランジスタTdrの出力が安定せず、所期の発光輝度が得られないという問題があった。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、駆動電流を形成する電流源に安定した電位を供給するという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る発光装置(10,10A,10B,10B’,10C)は、画素領域(50)に配列され、駆動電流(Iel)に応じた光量で発光する複数の発光素子(E)と、前記各発光素子(E)に基準電位(VREF)に応じた駆動電流(Iel)を出力する複数の電流源(Tdr)と、前記発光素子(E)と前記各電流源(Tdr)とを結ぶ経路上に設けられ、データ信号(d)に応じてオン・オフされる複数のスイッチング素子(Tsr)と、を有するアナログ回路(30)と、前記基準電位(VREF)が入力される入力端子(101,102)と、前記入力端子(101,102)から前記複数の電流源(Tdr)に前記基準電位(VREF)を供給する電位線(100,100A,100B,100C)と、前記データ信号(d)を生成するロジック回路(40)と、前記ロジック回路(40)と前記各スイッチング素子(Tsr)との間の配線領域(400a)に設けられデータ信号(d)を供給する複数の信号線(400)とを具備し、前記電位線(100,100A,100B,100B’,100C)は、前記入力端子(101,102)から前記配線領域(400a)を迂回して各電流源(Tdr)に接続される。
【0007】
本発明においては、基準電位を電流源(定電流源)に供給する電位線は、入力端子からロジック回路と各スイッチング素子との間の配線領域を迂回して各電流線に接続される。よって、電位線は、配線領域に設けられデータ信号を供給する信号線(データ線)と交差しない。これに対し、電位線と信号線が交差する構成においては、信号線を流れる信号はHレベルまたはLレベルの信号なので、電位線内で急激な電位の変動が発生する。本発明によれば、電位線と信号線を交差しない構成とすることにより、信号線と電位線との交差部分に形成される容量の影響を受けることがない。結果として、電位線を介して電流源に供給される電位の変動を抑制することができ、電流源の出力が安定する。
【0008】
本発明の好適な態様において、前記電位線(100,100A,100B,100B’,100C)は前記入力端子(101,102)から前記ロジック回路(40)および前記アナログ回路(30)の少なくともいずれかの外周部分を通る。本態様においては、電位線はロジック回路およびアナログ回路の一方あるいは両方の外周部分を通るので、基板上の各種配線と交差する部分の数が減少し、全体として電位線にかかる容量が抑制される。また、ロジック回路内において電位線が各信号線と交差しないことによりロジック回路内での容量成分も減少し、これらの信号線における信号遅延を抑えることができる。
【0009】
本発明の好適な態様において、前記電位線(100A)は、主電位線(100Aa)と前記主電位線(100Aa)から分岐した複数の副電位線(100Ab)とを含み、前記主電位線(100Aa)は、前記画素領域(50)の外側に回り込むように配設され、前記複数の副電位線(100Ab)の各々は、前記画素領域(50)に配置された前記複数の発光素子(E)の間を通って、前記各電流源(Tdr)に接続される。本態様によれば、電位線の主電位線は画素領域の外側を回り込むように配設され、副電位線は発光素子の間を通って各電流源に接続されるので、電位線は、発光素子と電流源の出力端子とを接続する駆動電流線(300)とも交差しない。よって、駆動電流配線と電位線との交差部分に形成される容量の影響を受けることなく、基準電位がさらに安定し、電流源の出力の安定度が向上する。
【0010】
好ましくは、前記複数の発光素子(E)(画素領域50)は前記アナログ回路(30)と前記ロジック回路(40)との間隙に配置され、前記電位線(100B,100B’)と前記各電流源(Tdr)との距離は、前記電位線(100B,100B’)と前記各スイッチング素子(Tsr)との距離よりも短くなるように構成してもよい。この態様においては、発光素子はアナログ回路とロジック回路との間隙に配置される。すなわち、発光素子は基板の端部から離れた位置に配置されるので、発光素子をアナログ回路よりも外側に配置する構成と比較して、封止スペースを有効に活用できる。また、発光素子をアナログ回路の内側に配置することでスイッチング素子よりも電流源の方が電位線に対してより近い距離に配置されるので、電位線をアナログ回路の外側に配置せずとも、ロジック回路とスイッチング素子とを接続する信号線が電位線と交差することがない。よって、配線スペースを抑制しつつ、電流源に対して安定した電位を供給することが可能となる。
【0011】
本発明の好適な態様において、前記複数の発光素子(E)は複数の発光素子群(G1,G2)に分割され、前記アナログ回路(30)は前記複数の発光素子群(G1,G2)の各々に対応する複数の個別アナログ回路(301,302)に分割され、前記ロジック回路(40)は前記複数の個別アナログ回路(301,302)の各々に対応する複数の個別ロジック回路(401,402)に分割され、前記入力端子(101,102)は複数の個別入力端子(101C,102C,103C,104C)から構成され、前記電位線(100C,100Cc)は、少なくとも前記個別アナログ回路(301,302)の間および前記個別ロジック回路(401,402)の間を通って、前記複数の個別アナログ回路(301,302)の各々に属する電流源(Tdr)と前記個別入力端子(101C,102C,103C,104C)とを接続する。本態様によれば、複数の発光素子群の各々に対してアナログ回路とロジック回路とを個別に設けることにより、電位線が個別アナログ回路と個別ロジック回路の間を通る。発光素子を複数の素子群に分割することなく基準電位を供給する態様と比較して、複数の個別入力端子から基準電位が供給されるので、電位線内における電位の降下を抑制することが可能となる。よって、電流源に印加される基準電位のバラツキが抑制され、結果として、輝度ムラが抑制される。
【0012】
さらに、本発明は、像担持体(110)と、前記像担持体(110)を帯電する帯電器と、複数の前記発光素子(E)が配列され、前記像担持体(110)の帯電された面に複数の前記発光素子(E)により光を照射して潜像を形成する上記何れかに記載の発光装置(10,10A,10B,10B’,10C)と、前記潜像にトナーを付着させることにより前記像担持体に顕像を形成する現像器と、前記像担持体から前記顕像を他の物体に転写する転写器とを具備する画像形成装置としても把握される。本発明によれば、上述した効果の少なくともいずれかが達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図面を参照しながら本発明の様々な実施の形態を説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付す。
<A.第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る発光装置10を利用した画像印刷装置の一部の構成を示す斜視図である。同図に示されるように、この画像印刷装置(画像形成装置)は、発光装置10と集光性レンズアレイ15と感光体ドラム(像担持体)110とを有する。発光装置10は、アレイ状に配列された多数の発光素子Eを有する。これらの発光素子Eは、用紙などの記録材に印刷されるべき画像に応じて選択的に発光する。集光性レンズアレイ15は、発光装置10と感光体ドラム110との間に配置される。この集光性レンズアレイ15は、各々の光軸を発光装置10に向けた姿勢でアレイ状に配列された多数の屈折率分布型レンズを含む。このような集光性レンズアレイ15としては、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある(セルフォック/SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標)。発光装置10の各発光素子Eから発せられた光は集光性レンズアレイ15の各屈折率分布型レンズを透過して感光体ドラム110の表面において結像し、感光体ドラム110の表面の所定の露光位置に所望の画像に応じた潜像が形成される。
【0014】
図2は、本実施形態に係る発光装置10の構成を示すブロック図である。図2に示されるように、発光装置10は、基板20の表面にX方向に配列された複数の発光素子Eと、各発光素子Eを駆動する駆動電流Ielを生成・出力するアナログ回路30と、アナログ回路30にデータ信号dを供給するロジック回路40を有する。各発光素子Eは、電気的な作用に応じて階調が変化する要素である。本実施形態の発光素子Eは、有機EL(Electroluminescence)材料から形成された発光機能層とこの発光機能層を挟む陽極および陰極とを有する有機発光ダイオード素子であり、発光機能層に供給される電流に応じた輝度で発光する。以下、これらの発光素子Eが形成される領域を画素領域50という。
【0015】
図2に示されるように、アナログ回路30は発光素子Eの個数に相当する数(n個)の単位回路U(U1,U2,U3,…Un)を有する。各単位回路Uは、Pチャネルの駆動トランジスタTdrと、当該駆動トランジスタTdrと発光素子Eとの間に設けられたPチャネルの選択トランジスタTsrとを備える。駆動トランジスタTdrはゲートに印加される基準電位VREFに応じた駆動電流Ielを生成して一定の電流を出力する定電流源である。一方、選択トランジスタTsrはゲートに印加される電圧に従ってオン・オフが制御されるスイッチング素子である。駆動トランジスタTdrのソースには、電源線200を介して電源電位VELが供給され、ゲートには電位線100を介して基準電位VREFが供給される。駆動トランジスタTdrのドレインには選択トランジスタTsrのソースが接続され、選択トランジスタTsrのドレインは発光素子Eの陽極に接続される。選択トランジスタTsrのゲートには、ロジック回路40からデータ線400を介してデータ信号dが供給される。発光素子Eの陰極には接地電位GNDが印加される。
【0016】
本実施形態においては、PWM(Pulse Width Modulation)方式を用いて各発光素子Eの階調が制御される。PWM方式では、選択トランジスタTsrのゲートに印加する電圧を、発光素子Eに指定された階調値に応じた期間にてHレベル(オン状態;発光素子Eを発光させる電圧)とし、その残余の期間にてLレベル(オフ状態;発光素子Eを消灯させる電圧)とすることにより階調が制御される。データ信号dは選択トランジスタTsrがオンである期間を指定する信号である。すなわち、データ信号dは、指定された階調に応じた期間においてHレベルとなる電圧である。
【0017】
以上の回路構成において、選択トランジスタTsrのゲートがデータ信号dに応じてオン状態に変化すると、発光素子Eに対して指定された期間の間、駆動トランジスタTdrのゲートに供給された基準電位VREFに応じた駆動電流Ie1が発光素子Eに流れ、発光素子Eが発光する。
【0018】
ロジック回路40は、外部から供給される画像データDin、転送開始パルスSPおよびクロック信号CKに基づいてデータ信号dを生成する。詳細には、ロジック回路40は、シフトレジスタとアナログ信号生成部とラッチ回路とを有する(いずれも図示略)。シフトレジスタは、クロック信号CKに基づいて転送開始パルスSPを順次シフトして排他的に有効となる複数のシフトパルスを出力する。ロジック回路40は、シフトレジスタから出力されたシフトパルスを用いて画像データDinに含まれる階調信号を順次取り込む。信号生成部は、階調信号によって指定された階調に応じたデータ信号dを生成しラッチ回路に出力する。ラッチ回路はデータ信号dを所定期間保持した後に各データ線400に出力する。
【0019】
電位線100は、その両端に入力端子101および102が各々形成された配線であり、ロジック回路40およびアナログ回路30の外周を通り各駆動トランジスタTdrに接続する。詳細には、電位線100の入力端子101および102は基板20の下端部に沿って形成され、画像データDin、転送開始パルスSPおよびクロック信号CK用の各入力端子の両側に配置される。電位線100は主電位線100aと当該主電位線100aから分岐した複数の副電位線100bとを有する。主電位線100aは、一方の入力端子101からロジック回路40およびアナログ回路30の左側を通り、画素領域50とアナログ回路30との間隙を通り、アナログ回路30およびロジック回路40の右側を通って他方の入力端子102と接続する。すなわち、ロジック回路40およびアナログ回路30の外周を囲むように形成される。副電位線100bは、主電位線100aから分岐して各単位回路Uに向けて延びる配線であり、その端部は、駆動トランジスタTdrのゲートに接続される。
【0020】
ここで、上述したように、駆動トランジスタTdrはゲートに印加される基準電位VREFに応じた一定の駆動電流Ielを生成する定電流源である。このため、基準電位VREFは変動することなく常に一定レベルであることが望ましい。ところが、電位線100の配線経路において他の信号線や電源線と交差する箇所には結合容量(以下、単に「容量」という)が発生するため、電位線100における電位がこの容量の影響を受けてしまう。特に、電位線100と交差する配線がデータ線400のようにHレベルとLレベルとの間で切り替わる信号を伝送する配線である場合には、データ線400における信号の変化に応じて電位線100内で急激な電位の変動が発生する。基準電位VREFの電位が変動すると、駆動トランジスタTdrの出力が不安定となり、発光素子Eが所期の輝度で発光しない場合がある。そこで、本実施形態では、電位線100が選択トランジスタTsrのゲートとロジック回路40との間の配線領域400aを迂回して配設される。これにより、電位線100とデータ線400が交差することがないので、駆動トランジスタTdrのゲートに安定した電位を供給することが可能となる。
【0021】
また、電位線100はロジック回路40とアナログ回路30の外周部分を通るので、基板20上の各種配線と交差する面積が減少し、交差部分において配線間に発生する容量が電位線100全体として抑制される。また、ロジック回路40の外周部分を通るので、ロジック回路40内における各信号線(例えば、画像データDin、スタートパルスSP、クロック信号CKを伝送する信号線)と交差しない。よって、ロジック回路40内での容量成分も減少し、これらの信号線における信号遅延を抑えることができる。なお、電位線100がロジック回路40とアナログ回路30の外周部分を通ることによりその配線距離は長くなるが、電位線100は電位が常に一定なので信号遅延などの問題を引き起こすことがない。
また、換言すれば、本実施形態においては、少なくとも、データ線400、ロジック回路40、及びロジック回路40に信号(例えば、画像データDin、スタートパルスSP、クロック信号CK)を供給する配線を交差しないように、データ線400及びロジック回路40を挟んで、ロジック回路40に信号を供給する端子とは反対側より電位線100は配設されている。
【0022】
以上説明したように、本実施形態の発光装置10によれば、基準電位VREFに応じた駆動電流Ielを生成する駆動トランジスタTdr(電流源)と発光素子Eとの間に介挿された選択トランジスタTsr(スイッチング素子)をオン・オフすることにより発光素子Eの光量を制御する構成において、基準電位VREFを供給する電位線100がデータ線400と交差しないように配設されるので、基準電位VREFが安定し、駆動トランジスタTdrが出力する駆動電流Ielの値も安定する。よって、発光素子Eを一定の光量で発光させることが可能となる。
【0023】
また、電位線100はロジック回路40とアナログ回路30の外周部分を通るので、外周部分を通ることなくロジック回路40とアナログ回路30を横断または縦断する場合と比較して、電位線100と各配線と交差する面積が減少する。よって、交差部分における配線間の容量が電位線100全体として減少し、基準電位VREFの電位をさらに安定化することが可能となる。また、ロジック回路40内における容量成分が減少すると、回路内の信号線における信号遅延も抑制される。
【0024】
<B.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、電位線100の主電位線100aが画素領域50とアナログ回路30との間を通る構成としていたが、本実施形態では、主電位線が画素領域の外側を通る態様について説明する。なお、本実施形態の発光装置10Aは、この点を除いて上記第1実施形態と同様であるので、その説明を適宜省略する。
【0025】
図3は、本実施形態における発光装置10Aの構成を示すブロック図である。図3において、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を用い、その説明を省略する。
図3に示されるように、本実施形態の発光装置10Aにおいては、主電位線100Aaは画素領域50の外側(基板20の上端部側)に回り込むように配設される。また、副電位線100Abは、主電位線100Aaから分岐して、複数の発光素子Eの間を通って、駆動トランジスタTdrのゲートに接続される。
【0026】
ここで、上記第1実施形態に係る発光装置10の構成を示す図2を再び参照する。図2に示されるように、電位線100の主電位線100aは、破線で囲む領域Cにおいて駆動電流線300と交差している。駆動電流線300では流れる電流量が数十μA程度であるため、急激に電位が変動するデータ線400と比較して電位の変動は微量である。とはいえ、電位線100と駆動電流線300との交差領域に容量は存在するので、駆動電流線300の電位の変動に応じて基準電位VREFも若干ではあるが変動してしまう。そこで、本実施形態では、電位線100が画素領域50の外側を回り込むようにして複数の発光素子Eの間を通り駆動トランジスタTdrのゲートに接続することで、電位線100が駆動電流線300と交差しない構成としている。したがって、電位線100が駆動電流線300と交差することにより発生し得る基準電位VREFの変動が抑制され、上記第1実施形態における発光装置10の構成と比較して、基準電位VREFの電位レベルはさらに安定する。
【0027】
以上説明したように、本実施形態の発光装置10Aによれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、電位線100が駆動電流線300と交差しないので、逆に交差することにより発生し得る基準電位VREFの変動を抑制することが可能となり、駆動トランジスタTdrの出力電流の安定度が増す。
【0028】
<C.第3実施形態>
図4は、本実施形態に係る発光装置10Bの構成を示すブロック図である。
上述した第2実施形態においては、画素領域50をアナログ回路30の外側に配置する構成としていた。これに対し、図4に示されるように、本実施形態では、画素領域50をアナログ回路30Bとロジック回路40との間に介在させる構成を採用する。なお、図4において、上述した実施形態と同様の部分については同一の符号を用い、その説明を省略する。
【0029】
図4に示されるように、電位線100Bは、その両端に入力端子101および102が各々形成され、ロジック回路40、画素領域50、およびアナログ回路30B全体を囲むように配設されて、各駆動トランジスタTdrに接続する。詳細には、電位線100の主電位線100Baは、入力端子101および102を両端とし、ロジック回路40、画素領域50およびアナログ回路30Bの左右両側と、アナログ回路30の上側(基板20の上端部側)とを通る。副電位線100Bbは、主電位線100Baから分岐して各単位回路UB(UB1,UB2,…UBn)に向けて延びる配線であり、その端部は、駆動トランジスタTdrのゲートに接続される。この構成において、電位線100Bは配線領域400aを迂回してロジック回路40、画素領域50、およびアナログ回路30Bの外周を通るので、データ線400と交差しない。また、電位線100Bは発光素子Eが配置される側とアナログ回路30Bを挟んで反対側となるので、選択トランジスタTsrと発光素子Eとを結ぶ駆動電流線300とも交差しない。
【0030】
ここで、一般的に有機ELなどの発光素子Eは水分と酸素に弱い。このため、発光装置10には、発光素子Eの劣化を防ぐための封止体が用いられる。しかしながら、発光装置10全体を覆うサイズの封止体を用いたとしても封止体の端から空気や水分が浸入する可能性があるため、基板20の端部からある程度奥まった位置に発光素子Eを配置することが望ましい。本実施形態では、画素領域50はアナログ回路30Bとロジック回路40との間隙に配置されるので、基板20の端部から発光素子Eまでの距離が十分確保される。そして、発光素子Eと基板20の端部との間の領域には、アナログ回路30Bや電位線100B等が配置されるので、封止に必要なスペースを無駄なく利用することが可能となる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、上記第2実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。また、発光素子Eが基板20の奥まった位置に配置されるので、発光素子Eが基板20の端部に近い位置に配置される場合と比較して、封止スペースをより有効に活用できる。
【0032】
ところで、図2〜図4から理解されるように、本実施形態では発光素子Eがロジック回路40とアナログ回路30Bとの間に配置されることにより、各単位回路UBにおける選択トランジスタTsrと駆動トランジスタTdrの位置が第1および第2実施形態の場合と逆となる。すなわち、単位回路UBの駆動トランジスタTdrは選択トランジスタTsrよりも電位線100Bに対して近い位置に配置されている。さらに言えば、選択トランジスタTsrとロジック回路40との間の配線領域400aは、X方向において駆動トランジスタTdrと並んでいない。一方、上述したように、安定した基準電位VREFを駆動トランジスタTdrに供給するためには、電位線100Bは配線領域400aを迂回するように(つまり、データ線400と交差しないように)配設するのが望ましい。したがって、本実施形態の変形として、電位線100Bをアナログ回路30Bの内側(内部)に配置し、且つ、データ線400と交差しない構成も採用可能である。
【0033】
図5に、本実施形態の変形例に係る発光装置10B’の構成を示す。図5に示されるように、発光装置10B’には、アナログ回路30Bを縦断するように形成された主電位線100Ba’と、主電位線100Ba’から分岐して駆動トランジスタTdrのゲートに接続される副電位線100Bb’と、を有する電位線100B’が配設されている。詳細には、主電位線100Ba’はロジック回路40と画素領域50の左右両側を通る部分と、アナログ回路30Bにおける駆動トランジスタTdrと選択トランジスタTsrとの間隙を横切りX方向に延在する部分とを有する。同図から理解されるように、アナログ回路30Bの上側ではなく内側を通っているが、選択トランジスタTsrとロジック回路40とを結ぶデータ線400とは交差していない。このように、発光素子Eをアナログ回路30Bとロジック回路40との間隙の領域に配置することにより、選択トランジスタTsrよりも駆動トランジスタTdrの方が電位線100Bに対して近い位置となるので、電位線100B’をアナログ回路30Bの外側に配置せずともデータ線400と交差しない。したがって、本変形例に示す構成によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。また、電位線100B’がアナログ回路30Bの内側に配置されるので、配線に必要な面積を縮小することが可能となる。
【0034】
<D.第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図6に、本実施形態に係る発光装置10Cの構成を示す。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
図6に示されるように、発光装置10Cにおける複数の発光素子Eは各々がk個の発光素子Eから成る第1の発光素子群G1と第2の発光素子群G2とに分割される(kは自然数;2k=n)。また、発光装置10Cには、第1の発光素子群G1と第2の発光素子群G2の各々に対応する2つの個別アナログ回路301と302が設けられ、個別アナログ回路301と302の各々に対応する2つの個別ロジック回路401と402が設けられる。個別アナログ回路301は、各々が駆動トランジスタTdrと選択トランジスタTsrとから成る複数の単位回路UC1(UC11,UC12,…UC1k)とを有し、個別アナログ回路302は、各々が駆動トランジスタTdrと選択トランジスタTsrとから成る複数の単位回路UC2(UC21,UC22,…UC2k)とを有する。
【0035】
基板20の下端部には、個別ロジック回路401に供給される画像データDin、スタートパルスSP、クロック信号CKが入力される端子を挟むように、基準電位VREFが入力される個別入力端子101Cと102Cが形成され、個別ロジック回路402に供給される画像データDin、スタートパルスSP、クロック信号CKが入力される端子を挟むように、基準電位VREFが入力される個別入力端子103Cと104Cが形成される。
【0036】
電位線100Cの主電位線100Caは、左端の個別入力端子101Cから、個別ロジック回路401,402、個別アナログ回路301,302、第1の発光素子群G1と第2の発光素子群G2すべての外周を囲むように配設されて、右端の個別入力端子104Cに至る。また、主電位線100CaはノードT1において中央電位線100Ccに分岐する。中央電位線100Ccは、第1の発光素子群G1と第2の発光素子群G2の間、個別アナログ回路301と302の間および個別ロジック回路401と402の間を通る配線である。中央電位線100CcはさらにノードT2において2つの配線100Cc1と100Cc2とに分岐し、一方の配線100Cc1は個別入力端子102Cに至り、他方の配線100Cc2は個別入力端子103Cに至る。一方、主電位線100Caから分岐した各副電位線100Cbは、複数の発光素子Eの間を通って各単位回路UC1,UC2の駆動トランジスタTdrのゲートに接続する。
【0037】
この場合、主電位線100Caは発光素子Eの上側から回り込むように配設されるので、主電位線100Caと駆動電流線300とは交差しない。また、電位線100Cは、選択トランジスタTsrとロジック回路401,402との間の配線領域400aを迂回するので、データ線400と交差しない。
【0038】
ところで、主電位線100Caは、基板20の外縁部に沿って長い距離に亙って配設される。配線は配線抵抗および浮遊容量を有するため、その距離が長いほど電圧が降下してしまう。そこで、本実施形態では、複数の発光素子Eを2つの素子群に分割するとともに、アナログ回路とロジック回路を各素子群に対して個別に設ける構成とすることにより、個別アナログ回路の間および個別ロジック回路の間に配線スペースを形成する。この配線スペースには中央電位線100Ccが配設される。中央電位線100Ccには個別入力端子102Cと103Cから入力された基準電位VREFが供給される。そして、基準電位VREFはノードT1を介して主電位線100Caに入力される。よって、本実施形態によれば、電圧降下による基準電位VREFのバラツキが抑制されるので、駆動トランジスタTdrに対して与えられる電位の安定度が向上する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、上記第2実施形態と同様の効果が得られる。また、主電位線100Caの中途部分において基準電位VREFが入力されるので電圧降下を抑制することが可能となり、駆動トランジスタTdrに対して供給される基準電位VREFが安定する。
【0040】
なお、本実施形態では、発光素子Eを2つの素子群G1とG2とに分割する態様について説明したが、これに限られず、任意の数(例えば、i個)の素子群に分割する態様としてもよい(iは自然数;2≦i≦n)。その場合、素子群と同数の個別ロジック回路と個別アナログ回路を設けて、隣り合う個別ロジック回路の間および隣り合う個別アナログ回路の間を中央電位線100Ccが通るようにすればよい。この態様においても、上述した効果と同様の効果が得られる。
【0041】
また、本実施形態では、電位線100が画素領域50の外側を経由する態様(第2実施形態)を変形した例について説明したが、これに限られず、第1実施形態(電位線100が画素領域50とアナログ回路30との間を通る態様)および第3実施形態(画素領域50がアナログ回路30とロジック回路との間に設けられる態様)において、発光素子Eを複数の素子群Gに分割する構成を採用してもよい。上記実施形態のいずれかに本実施形態の構成を採用した場合においても、実施形態のいずれかと同様の効果が得られる上、電圧降下による基準電位のバラツキを抑制することが可能となる。
【0042】
<E.画像印刷装置>
図1に示したように、以上の各態様に係る発光装置10は、電子写真方式を利用した画像印刷装置における像担持体に潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして利用され得る。画像印刷装置の例としては、プリンタ、複写機の印刷部分およびファクシミリの印刷部分がある。図7は、発光装置10,10A,10B,10B’,10Cをライン型の光ヘッドとして用いた画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像印刷装置である。
【0043】
この画像印刷装置では、同様な構成の4個の有機ELアレイ10K,10C,10M,10Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。有機ELアレイ10K,10C,10M,10Yは、以上に例示した何れかの態様に係る発光装置10,10A,10B,10B’,10Cである。
【0044】
図7に示すように、この画像印刷装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122とが設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0045】
この中間転写ベルト120の周囲には、外周面に感光層を有する4個の感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが互いに所定の間隔をおいて配置される。添え字K,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0046】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、有機ELアレイ10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ10(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。各有機ELアレイ10(K,C,M,Y)は、複数の発光素子Eの配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数の発光素子Eによって感光体ドラムに光を照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する。
【0047】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転写ベルト120上で重ね合わされ、この結果としてフルカラーの顕像が得られる。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0048】
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0049】
次に、本発明に係る画像印刷装置の他の実施の形態について説明する。
図8は、発光装置10,10A,10B,10B’,10Cをライン型の光ヘッドとして用いた他の画像印刷装置の縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像印刷装置である。図8に示す画像印刷装置において、感光体ドラム165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の現像ユニット161、有機アレイ167、中間転写ベルト169が設けられている。
【0050】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。有機ELアレイ167は、以上に例示した各態様の発光装置10,10A,10B,10B’,10Cであり、複数の発光素子Eの配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、これらの発光素子Eから感光体ドラム165に光を照射することにより行う。
【0051】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
【0052】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0053】
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、有機アレイ167によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、有機アレイ167によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム165が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上で得る。
【0054】
画像印刷装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0055】
以上のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再び定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0056】
図7および図8に例示した画像印刷装置は、発光素子Pを露光手段として利用しているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができる。なお、以上に例示した以外の電子写真方式の画像印刷装置にも本発明の発光装置を採用することができる。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写するタイプの画像印刷装置や、モノクロの画像を形成する画像印刷装置にも本発明に係る発光装置を応用することが可能である。
【0057】
また、本発明に係る発光装置が適用される画像形成装置は画像印刷装置に限定されない。例えば、各種の電子機器における照明装置としても本発明の発光装置が採用される。このような電子機器としては、ファクシミリ、複写機、複合機、プリンタなどが挙げられる。これらの電子機器には、複数の発光素子を面状に配列した発光装置が好適に採用される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置を利用した画像印刷装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る発光装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第2実施形態に係る発光装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第3実施形態に係る発光装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第3実施形態の変形例に係る発光装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第4実施形態に係る発光装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る発光装置を利用した画像印刷装置の構成を示す縦断面図である。
【図8】本発明に係る発光装置を利用した他の画像印刷装置の構成を示す縦断面図である。
【図9】従来型のアナログ回路の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0059】
10,10A,10B,10B’,10C……発光装置、15……集光性レンズアレイ、20……基板、30,30B……アナログ回路、301,302……個別アナログ回路、40……ロジック回路、401,402……個別ロジック回路、50……画素領域、100,100A,100B,100B’,100C……電位線、100a,100Aa,100Ba,100Ba’,100Ca……主電位線、100b,100Ab,100Bb,100Bb’,100Cb……副電位線、100Cc,100Cc1,100Cc2……中央電位線、101,102……入力端子、101C,102C,103C,104C……個別入力端子、110……感光体ドラム(像担持体)、200……電源線、300……駆動電流線、400……データ線(信号線)、400a……配線領域、d……データ信号、C……領域、E……発光素子、発光素子群……G1,G2、GND……接地電位、Iel……駆動電流、T1,T2……ノード、Tdr……駆動トランジスタ(電流源)、Tsr……選択トランジスタ(スイッチング素子)、U,UB,UC……単位回路、VEL……電源電圧、VREF……基準電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素領域に配列され、駆動電流に応じた光量で発光する複数の発光素子と、
前記各発光素子に基準電位に応じた駆動電流を出力する複数の電流源と、前記発光素子と前記各電流源とを結ぶ経路上に設けられ、データ信号に応じてオン・オフされる複数のスイッチング素子と、を有するアナログ回路と、
前記基準電位が入力される入力端子と、
前記入力端子から前記複数の電流源に前記基準電位を供給する電位線と、
前記データ信号を生成するロジック回路と、
前記ロジック回路と前記各スイッチング素子との間の配線領域に設けられデータ信号を供給する複数の信号線と、
を具備し、
前記電位線は、前記入力端子から前記配線領域を迂回して各電流源に接続される
発光装置。
【請求項2】
前記電位線は、前記入力端子から前記ロジック回路および前記アナログ回路の少なくともいずれかの外周部分を通る
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記電位線は、主電位線と前記主電位線から分岐した複数の副電位線とを含み、
前記主電位線は、前記画素領域の外側に回り込むように配設され、
前記複数の副電位線の各々は、前記画素領域に配置された前記複数の発光素子の間を通って、前記各電流源に接続される、
請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子は前記アナログ回路と前記ロジック回路との間隙に配置され、前記電位線と前記各電流源との距離は、前記電位線と前記各スイッチング素子との距離よりも短い
請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数の発光素子は複数の発光素子群に分割され、
前記アナログ回路は前記複数の発光素子群の各々に対応する複数の個別アナログ回路に分割され、
前記ロジック回路は前記複数の個別アナログ回路の各々に対応する複数の個別ロジック回路に分割され、
前記入力端子は複数の個別入力端子から構成され、
前記電位線は、少なくとも前記個別アナログ回路の間および前記個別ロジック回路の間を通って、前記複数の個別アナログ回路の各々に属する電流源と前記個別入力端子とを接続する
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
像担持体と、
前記像担持体を帯電する帯電器と、
複数の前記発光素子が配列され、前記像担持体の帯電された面に複数の前記発光素子により光を照射して潜像を形成する請求項1乃至5のいずれかに記載の発光装置と、
前記潜像にトナーを付着させることにより前記像担持体に顕像を形成する現像器と、
前記像担持体から前記顕像を他の物体に転写する転写器と
を具備する画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−91402(P2008−91402A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267588(P2006−267588)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】