説明

発光装置および画像形成装置

【課題】発光装置において、発光素子からの光量を高いSN比で検出するとともに、発光素子毎の光量検出において光センサに入射する光量を等しくする。
【解決手段】発光装置10は、2n個の発光素子Eと、入射する光を電気エネルギーに変換するn個のフォトダイオードPDと、n個のフォトダイオードPDから出力される電気信号に基づいて、2n個の発光素子Eの光量を調整するコントローラ40とを備える。フォトダイオードPDは、2個の発光素子Eに対して1個の割合で設けられ、2個の発光素子Eと1個のフォトダイオードPDとの位置関係は等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード(以下「OLED(Organic Light Emitting Diode)」という)素子などの発光素子の光量を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発光素子が配列された発光装置は、感光体を露光して潜像を形成する光ヘッドや各種の画像を表示する表示デバイスとして利用される。この種の発光素子の特性は、個々の素子によってばらついており、しかも温度や時間の経過とともに変化する。そのため、規定の光量となるように条件に応じて光量を調整する必要がある。
【0003】
特許文献1には、発光素子の直下に光センサを設けて発光素子からの光量を検出し、検出した光量に応じて発光素子の光量を調整する技術が開示されている。この場合、垂直方向に設けた光センサだけでは、十分な大きさの検出電流を得られない可能性がある。これに対して、特許文献2には、複数のフォトトランジスタ(光センサ)を並列に接続することで検出電流を大きくする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−290329号公報
【特許文献2】特開2007−173832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載された技術では、複数のフォトダイオードからの出力をまとめて検出しているが、発光素子に対する光センサの位置は考慮されておらず、光らせる発光素子の位置によっては光センサに入射する光量がばらつく問題が生じる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、発光素子からの光量を高いSN比で検出することができ、且つ、発光素子毎の光量検出において光センサに入射する光量が等しい発光装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、複数の発光素子と、入射する光を電気エネルギーに変換する複数の光電変換素子と、前記複数の光電変換素子から出力される電気信号に基づいて、前記複数の発光素子の光量を調整する調整手段とを備え、前記複数の光電変換素子の各々は、2個以上の前記発光素子に対して1個の割合で設けられ、前記2個以上の前記発光素子と当該光電変換素子との立体的な位置関係は等しい、ことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、1つの光電変換素子が複数の発光素子からの光を受光するから、光電変換素子(光センサ)の受光面積が広くなり、発光素子からの光量の検出感度(SN比)を上げることができる。また、この発明では、発光素子に対する光電変換素子の立体的な位置関係が等しいから、検出する光量の位置依存性が無くなり、発光素子毎の光量検出において光電変換素子に入射する光量を等しくすることができる。発光素子毎の光量検出において光電変換素子に入射する光量を等しくするためには、複数の光電変換素子の各々の受光面積を等しくしたり、前記複数の光電変換素子の配列ピッチを、前記複数の発光素子の配列ピッチの自然数倍としたりすることが好ましい。
【0008】
個々の発光素子からの光が光電変換素子に至るまでの減衰の程度が等しくなるように2個以上の発光素子と光電変換素子とを配置すれば、2個以上の発光素子と光電変換素子との立体的な位置関係が等しくなる。もっとも、2個以上の発光素子と光電変換素子とが同一基板上の同一層に形成される場合には、2個以上の発光素子と光電変換素子との平面的な位置関係が等しければ足りる。
【0009】
また、前記複数の発光素子を、所定の方向に1列に配置し、前記複数の光電変換素子を、前記1列に並ぶ前記複数の発光素子の一方の側と他方の側に配列し、前記調整手段が、ある発光素子の光量を、当該発光素子に隣接する一方の側の光電変換素子と、他方の側の光電変換素子とを用いて検出するようにしてもよい。こうすることにより、発光素子の両側に光電変換素子が配置され、ある発光素子の光量が、この発光素子に隣接する両側の光電変換素子を用いて検出されるから、検出感度をさらに向上させることができる。
【0010】
前記光電変換素子として、P型半導体領域とN型半導体領域とを有する半導体素子を用いる場合には、前記一方の側の半導体素子と前記他方の側の半導体素子とにおいて、前記発光素子に近い領域を第1領域、前記発光素子から遠い領域を第2領域としたとき、前記一方の側の半導体素子及び前記他方の側の半導体素子の前記第1領域には、共に前記P型半導体領域と前記N型半導体領域の一方を配置し、前記一方の側の半導体素子及び前記他方の側の半導体素子の前記第2領域には、共に前記P型半導体領域と前記N型半導体領域の他方を配置するのが好ましい。こうすることにより、一方の側の半導体素子の感度と他方の側の半導体素子の感度とを揃えることができる。
【0011】
また、前記複数の発光素子を、所定の方向に平行な第1列及び第2列に交互に配置し、前記光電変換素子を、前記第1列に並ぶ第1の発光素子と次の発光素子との間、及び、前記第1の発光素子と前記次の発光素子との間に位置し、前記第2列に並ぶ発光素子を第2の発光素子としたとき、前記第2列に並ぶ前記第2の発光素子と次の発光素子との間を通るように配置してもよい。こうすることにより、発光素子が2列千鳥状に配列される場合にも、発光素子毎の光量検出において光電変換素子に入射する光量を等しくすることができる。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の各発光装置と、前記発光装置からの光で潜像を形成する感光体とを備える。この発明によっても本発明の発光装置と同様の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】発光装置10の単位回路Uの構成を示す回路図である。
【図3】発光装置10の光センサSの構成を示す回路図である。
【図4】発光装置10における発光素子EとフォトダイオードPDとの関係を示す図である。
【図5】発光装置10における2個の発光素子Eと1個のフォトダイオードPDとの配置を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る発光装置における発光素子EとフォトダイオードPDとの関係を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る発光装置における発光素子EとフォトダイオードPDとの関係を示す図である。
【図8】同発光装置におけるフォトダイオードPDの半導体領域の配置を示す図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置の一つの形態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の他の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<1.第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る発光装置10の構成を説明する。この発光装置10は、感光体ドラムなどの感光体を露光してその表面に潜像(静電潜像)を形成する露光ヘッドである。本実施形態においては、2n個の画素が配列された潜像が形成される場合を想定する(nは自然数)。
【0015】
図1は、発光装置10の構成を示すブロック図である。同図に示されるように、発光装置10は、所望の画像に応じた光線を感光体(図示略)に放射するヘッドモジュール20(光ヘッド)と、このヘッドモジュール20の動作を制御するコントローラ40とを含む。ヘッドモジュール20は、発光部22と駆動回路30とを含む。発光部22は、2n個の発光素子Eが主走査方向に沿って線状に配列された部分である。本実施形態の発光素子Eは、陽極と陰極との間隙に有機EL(Electro Luminescent)材料からなる発光層が介在するOLED素子である。
【0016】
駆動回路30は、駆動信号X1ないしX2nの供給によって2n個の発光素子Eの各々を発光させる手段である。第j列目(jは1≦j≦2nを満たす整数)の発光素子Eに供給される駆動信号Xjは、所定の期間(以下「単位期間」という)のうちこの発光素子Eに指定された階調値に応じた時間長にわたって当該発光素子Eを発光させる電流値(以下「オン電流値Ion」という)を維持し、この単位期間の残余の期間において電流値がゼロとなる信号である。なお、駆動回路30は、各々が所定数の発光素子Eを駆動する複数のICチップによって構成されてもよいし、総ての発光素子Eを駆動するひとつのICチップによって構成されてもよい。また、駆動回路30は薄膜トランジスタによって構成されてもよい。この構成においては、ガラスなどの絶縁材料からなる基板の面上に発光素子Eと駆動回路30とが一体的に作り込まれる。
【0017】
コントローラ40は、露光に先立って補正データDhを出力し、露光時に画像データDvを出力する。補正データDhは発光素子Eの輝度が均一になるように発光素子Eに流れる電流の大きさを指定するものであって、後述する駆動トランジスタ53のゲート電位を指定する。画像データDvは点灯・消灯を指定する2値のデータである。
ここでヘッドモジュール20は、2n個の発光素子Eに対応して設けられたn個の光センサSによって発光素子Eの輝度を検出し、これをスイッチ回路25を介して変換回路35に供給する。この例の光センサSは、光量に応じた大きさの電流信号を出力する。スイッチ回路25は、図示せぬシフトレジスタの出力によって制御され、n個の光センサSから出力される電流信号を排他的に変換回路35に出力する。変換回路35は、電流信号を電圧信号に変換し、さらに電圧信号をAD変換して得た出力データをコントローラ40に出力し、コントローラ40において、輝度が均一になるように発光素子Eに流れる電流の大きさを指定すべく補正データDhが生成される。生成された補正データDhはコントローラ40の内部に設けられた不揮発性のメモリに記憶されており、そこから読み出された補正データDhが転送される。
【0018】
駆動回路30は、補正データDhを順次転送すると共に画像データDvを順次転送して選択信号SELとして出力する転送回路31と、2n個の単位回路Uとを備える。図2に単位回路Uの回路図を示す。この図に示すように単位回路Uは、メモリ50、D/A変換回路51、選択トランジスタ52、及び駆動トランジスタ53を備える。補正データDhはメモリ50に記憶され、D/A変換回路51によってアナログ信号に変換され、選択トランジスタ52を介して駆動トランジスタ53のゲートに供給される。ここで、選択トランジスタ52は選択信号SELがアクティブの期間、オン状態となり、非アクティブの期間、オフ状態となる。選択トランジスタ52がオン状態になると、発光素子Eの輝度が同一になるように補正された駆動電流が発光素子Eを流れる。
【0019】
図3に光センサSの回路図を示す。光センサSは、フォトダイオードPD、リセットトランジスタ61、保持容量62、増幅トランジスタ63、及び制御トランジスタ64を備える。フォトダイオードPDは逆バイアスされている。フォトダイオードPDに光が入射すると光量に応じた大きさの電流が流れる。すなわち、フォトダイオードPDは光を電気エネルギーに変換する光電変換素子として機能し、光量に応じた大きさの電流信号を出力する。リセットトランジスタ61は、光量の検出に先立って、オン状態となって増幅トランジスタのゲート電位をリセットする。リセットトランジスタ61がオンからオフに切り替わり、フォトダイオードPDに電流が流れると、増幅トランジスタ63のゲート電位が下降する。発光素子Eの発光が終了しても、増幅トランジスタ63のゲート電位は保持容量によって保持される。そして、所定のタイミングで制御トランジスタ64をオン状態にすると、増幅トランジスタ63のゲート電位に応じた電流信号Idetを取り出すことができる。
【0020】
以上の説明から明らかなように、コントローラ40は、n個のフォトダイオードPDから出力される電気信号に基づいて、2n個の発光素子Eの光量を調整する調整手段として機能する。次に、2n個の発光素子Eとn個のフォトダイオードPDの配置関係について説明する。図4に示すように本実施形態では、2n個の発光素子Eは、一列に配列されており、2個の発光素子Eに1個のフォトダイオードPDの割合で、n個のフォトダイオードPDが配置されている。なお、2n個の発光素子Eとn個のフォトダイオードPDは、同一基板上の同一層に形成されている。
【0021】
1個のフォトダイオードPDを複数の発光素子Eに沿って配置したのは、発光素子Eから照射される光をより多くフォトダイオードPDで受光し、電流信号IdetのSN比を向上させるためである。さらに、この例では、フォトダイオードPD[j]に対する発光素子E[2j-1]は左よりにあり、フォトダイオードPD[j]に対する発光素子E[2j]は右よりにある、但し、図5に示すように、発光素子E[2j-1]と発光素子E[2j]とはフォトダイオードPD[j]の中心線Cに対して線対象に配置してある。つまり、発光素子E[2j-1]とフォトダイオードPD[j]の位置関係と、発光素子E[2j]とフォトダイオードPD[j]の位置関係とは等しい。換言すれば、発光素子E[2j-1]及び発光素子E[2j]が各々同じ光量で発光した場合にフォトダイオードPD[j]で検出される受光量が等しくなるように、発光素子E[2j-1]及び発光素子E[2j]が配置されている。
【0022】
このように、2n個の発光素子Eとn個のフォトダイオードPDとを配置することによって、1つのフォトダイオードPDで複数の発光素子Eからの光を受光することで、フォトダイオードPDの受光面積が広くなり検出感度を上げることが可能となる。また、発光素子Eに対するフォトダイオードPDの位置関係を同じにすることで、検出する光量の位置依存性を無くすことができる。なお、各フォトダイオードPDの受光面積は同じにすることが望ましい。
【0023】
次に、発光素子Eの光量の検出動作について説明する。予め定められた大きさの初期規定電流を発光素子Eに流し、発光させる。例えば、図4(A)に示すように、発光素子E[2j-1]を発光させ、フォトダイオードPD[j]を用いて光量に応じた大きさの電流信号Idetを検出する。次に、図4(B)に示すように、発光素子E[2j]を発光させ、フォトダイオードPD[j]を用いて光量に応じた大きさの電流信号Idetを検出する。この場合は、同じフォトダイオードPD[j]を用いて電流信号Idetを検出する。次に、図4(C)に示すように、発光素子E[2j+1]を発光させ、フォトダイオードPD[j+1]を用いて光量に応じた大きさの電流信号Idetを検出する。このように発光させる発光素子Eは1ずつ順次シフトさせる。そして、電流信号Idetは、スイッチ回路25を介して変換回路35に供給される。この例では、n個のスイッチ回路25によって電流信号Idetが多重され、変換回路35の内部でAD変換される。
【0024】
以上説明したように本実施形態によれば、発光素子Eからの光量を高いSN比で検出することができ、且つ、発光素子E毎の光量検出において、フォトダイオードPDに入射する光量を等しくすることができる。これにより、発光ばらつきを低減することが可能となる。
【0025】
<2.第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る発光装置は、2n個の発光素子Eが2列千鳥状に配置される点、及びフォトダイオードPDと発光素子Eとの位置関係を除いて、第1実施形態の発光装置と同様に構成されている。
図6に第2実施形態に係る発光装置における発光素子EとフォトダイオードPDの関係を示す。この図に示すように2n個の発光素子Eは、X方向に平行な第1列及び第2列に交互に配置される。具体的には、奇数番目の発光素子E[1]、E[3]、…E[2j-1]、E[2j+1]、…E[2n-1]は第1列に配置され、偶数番目の発光素子E[2]、E[4]、…E[2j]、E[2j+2]、…E[2n]は第2列に配置される。
そして、第1列に並ぶ発光素子E[2j-1]と次の発光素子E[2j+1]との間、及び、第2列に並ぶ発光素子である発光素子E[2j]と次の発光素子E[2j+2]との間を通るように、フォトダイオードPD[j]が配置される。なお、発光素子E[2j]は、X方向において発光素子E[2j-1]と次の発光素子E[2j+1]との間に位置する。
【0026】
次に、発光素子Eの光量の検出動作について説明する。予め定められた大きさの初期規定電流を発光素子Eに流し、発光させる。例えば、図6(A)に示すように、発光素子E[2j-1]を発光させ、フォトダイオードPD[j]を用いて光量に応じた大きさの電流信号Idetを検出する。次に、図6(B)に示すように、発光素子E[2j]を発光させ、フォトダイオードPD[j-1]を用いて光量に応じた大きさの電流信号Idetを検出する。次に、図6(C)に示すように、発光素子E[2j+1]を発光させ、フォトダイオードPD[j+1]を用いて光量に応じた大きさの電流信号Idetを検出する。さらに、図6(D)に示すように、発光素子E[2j+2]を発光させ、フォトダイオードPD[j]を用いて光量に応じた大きさの電流信号Idetを検出する。このように発光させる発光素子Eは1ずつ順次シフトさせる。そして、電流信号Idetは、スイッチ回路25を介して変換回路35に供給される。この例では、n個のスイッチ回路25によって電流信号Idetが多重され、変換回路35の内部でAD変換される。
【0027】
第2実施形態も第1実施形態と同様に、1つのフォトダイオードPDで複数の発光素子Eからの光を受光することで、フォトダイオードPDの受光面積が広くなり検出感度を上げることが可能となる。また、発光素子Eに対するフォトダイオードPDの位置関係を同じにすることで、検出する光量の位置依存性を無くすことができる。
【0028】
<3.第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る発光装置は、2n個の発光素子Eの一方の側と他方の側にフォトダイオードPDが並ぶ点を除いて、第1実施形態の発光装置と同様に構成されている。
図7に第3実施形態に係る発光装置における発光素子EとフォトダイオードPDの関係を示す。この図に示すように2n個の発光素子EはX方向に並んでいる。そして、n個のフォトダイオードPDaが一方の側に配置され、n個のフォトダイオードPDbが他方の側に配置される。これにより、各発光素子Eは、2個のフォトダイオードPDa及びPDbに挟まれるように配置される。
【0029】
次に、発光素子Eの光量の検出動作について説明する。予め定められた大きさの初期規定電流を発光素子Eに流し、発光させる。例えば、図7(A)に示すように、発光素子E[2j]を発光させ、フォトダイオードPDa[j]及びPDb[j]を用いて光量に応じた大きさの電流信号Idetを検出する。次に、図7(B)に示すように、発光素子E[2j+1]を発光させ、フォトダイオードPDa[j+1]及びPDb[j+1]を用いて光量に応じた大きさの電流信号Idetを検出する。このように発光させる発光素子Eは1ずつ順次シフトさせる。そして、電流信号Idetは、スイッチ回路25を介して変換回路35に供給される。
【0030】
本実施形態では、発光素子Eの両側にフォトダイオードPDが配置されており、ある発光素子Eの光量が、この発光素子Eに隣接するフォトダイオードPDa及びPDbを用いて検出されるから、検出感度をさらに向上させることができる。
【0031】
ところで、フォトダイオードPDとしては、P型半導体領域とN型半導体領域とを有する半導体素子を用いることが可能であり、本実施形態では、図8に示すようにPINダイオードを用いている。各フォトダイオードPDでは、発光素子EとN型半導体領域との間にP型半導体領域が介在するように両方の領域が配置されている。換言すれば、一方の側のフォトダイオードPDaと他方の側のフォトダイオードPDbとにおいて、発光素子Eに近い領域を第1領域、発光素子Eから遠い領域を第2領域としたとき、フォトダイオードPDa及びフォトダイオードPDbの第1領域には、共にP型半導体領域が配置され、フォトダイオードPD及びフォトダイオードPDbの第2領域には、共にN型半導体領域が配置されている。
【0032】
よって、P型半導体領域とN型半導体領域との配置は、一方の側のn個のフォトダイオードPDaにおいて揃い、他方の側のn個のフォトダイオードPDbにおいても揃い、発光素子Eに対しても揃う。したがって、本実施形態では、一方の側に配置されるフォトダイオードPDaの感度と他方の側に配置されるフォトダイオードPDbの感度とが揃う。なお、各フォトダイオードPDにおいて、P型半導体領域とN型半導体領域との配置を逆にしてもよいし、フォトダイオードPDとしてPNダイオードを用いてもよい。
【0033】
<4.変形例>
本発明は、上述した各実施形態のみならず、以下に列記する変形例も技術的範囲に含みうる。
例えば、上述した各実施形態では、フォトダイオードPDのX方向の配列ピッチは、発光素子EのX方向の配列ピッチの2倍となっているが、これに限らず、フォトダイオードPDを、2個以上の発光素子Eに対して1個の割合で、各発光素子Eとの位置関係がこれら2個以上の発光素子Eの間で等しくなるように設けることが可能であれば、自然数倍としてもよいし、他の倍率としてもよい。
また例えば、上述した第3実施形態を変形し、P型半導体領域とN型半導体領域との配置を発光素子Eに対して揃わないようにしてもよいし、フォトダイオードPDとして、P型半導体領域とN型半導体領域とを有する半導体素子以外の素子を用いてもよい。
また、本発明は、上述した各実施形態または各変形例に係る発光装置を備える画像形成装置をも技術的範囲に含みうる。
【0034】
<5.画像形成装置>
次に、図9を参照して、本発明に係る画像形成装置の一つの形態について説明する。この形態の画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像形成装置である。
【0035】
この画像形成装置では、各々が同様の構成である4個の発光装置10K,10C,10M,10Yが、各々の構成が同様である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの像形成面110Aに対向する位置にそれぞれ配置されている。発光装置10K,10C,10M,10Yは、上述した第1実施形態に係る発光装置10である。
【0036】
図9に示すように、この画像形成装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122とが設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0037】
この中間転写ベルト120の周囲には、外周面に感光層を有する4個の感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが互いに所定の間隔をおいて配置される。添字「K」,「C」,「M」,「Y」はそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0038】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、発光装置10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)とが配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、これに対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の像形成面110A(外周面)を一様に帯電させる。発光装置10(K,C,M,Y)は、各感光体ドラムの帯電した像形成面110Aに静電潜像を書き込む。各発光装置10(K,C,M,Y)においては、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿って複数の発光素子Eが配列する。静電潜像の書き込みは、複数の発光素子Eによって感光体ドラム110(K,C,M,Y)に光を照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム110(K,C,M,Y)に顕像(すなわち可視像)を形成する。
【0039】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次に一次転写されることによって中間転写ベルト120上で重ね合わされ、この結果としてフルカラーの顕像が形成される。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0040】
最終的に画像を形成する対象(記録材)としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0041】
次に、図10を参照して、本発明に係る画像形成装置の他の形態について説明する。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像形成装置である。図10に示すように、感光体ドラム110の周囲には、コロナ帯電器168と、ロータリ式の現像ユニット161と、上述した第1実施形態に係る発光装置10と、中間転写ベルト169とが設けられている。
【0042】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム110の外周面を一様に帯電させる。発光装置10は、感光体ドラム110の帯電させられた像形成面110A(外周面)に静電潜像を書き込む。この発光装置10においては、感光体ドラム110の母線(主走査方向)に沿って複数の発光素子Eが配列する。静電潜像の書き込みは、これらの発光素子Eから感光体ドラム110に光を照射することにより行う。
【0043】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム110に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム110に顕像(すなわち可視像)を形成する。
【0044】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム110から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラム110と一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0045】
具体的には、感光体ドラム110の最初の1回転で、発光装置10によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、発光装置10によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム110が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次に重ね合わせられ、この結果としてフルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上に形成する。
【0046】
画像形成装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0047】
以上のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再び定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0048】
図9および図10に例示した画像形成装置は、OLED素子を発光素子Eとして採用した光源(露光手段)を利用しているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも装置が小型化される。なお、以上に例示した以外の電子写真方式の画像形成装置にも本発明の発光装置を採用することができる。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムからシートに対して直接的に顕像を転写するタイプの画像形成装置や、モノクロの画像を形成する画像形成装置にも本発明に係る発光装置を応用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、画像形成装置や画像形成装置の光ヘッドに利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10……発光装置、20……ヘッドモジュール、22……発光部、30……駆動回路、40……コントローラ、E……発光素子、PD……フォトダイオード。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子と、
入射する光を電気エネルギーに変換する複数の光電変換素子と、
前記複数の光電変換素子から出力される電気信号に基づいて、前記複数の発光素子の光量を調整する調整手段とを備え、
前記複数の光電変換素子の各々は、2個以上の前記発光素子に対して1個の割合で設けられ、
前記2個以上の前記発光素子と当該光電変換素子との立体的な位置関係は等しい、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記複数の光電変換素子の各々は受光面積が等しいことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記複数の光電変換素子の配列ピッチは、前記複数の発光素子の配列ピッチの自然数倍であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子は、所定の方向に1列に配置され、
前記複数の光電変換素子は、前記1列に並ぶ前記複数の発光素子の一方の側と他方の側に配列され、
前記調整手段は、ある発光素子の光量を、当該発光素子に隣接する一方の側の光電変換素子と、他方の側の光電変換素子とを用いて検出する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記光電変換素子は、P型半導体領域とN型半導体領域とを有する半導体素子であり、
前記一方の側の半導体素子と前記他方の側の半導体素子とにおいて、前記発光素子に近い領域を第1領域、前記発光素子から遠い領域を第2領域としたとき、
前記一方の側の半導体素子及び前記他方の側の半導体素子の前記第1領域には、共に前記P型半導体領域と前記N型半導体領域の一方を配置し、
前記一方の側の半導体素子及び前記他方の側の半導体素子の前記第2領域には、共に前記P型半導体領域と前記N型半導体領域の他方を配置する、
ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子は、所定の方向に平行な第1列及び第2列に交互に配置され、
前記光電変換素子は、前記第1列に並ぶ第1の発光素子と次の発光素子との間、及び、前記第1の発光素子と前記次の発光素子との間に位置し、前記第2列に並ぶ発光素子を第2の発光素子としたとき、前記第2列に並ぶ前記第2の発光素子と次の発光素子との間を通るように配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の発光装置と、前記発光装置からの光で潜像を形成する感光体とを備えた画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−23388(P2011−23388A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164529(P2009−164529)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】