説明

発光装置および電子機器

【課題】製造工程を複雑化することなく、各画素において目的とする色の輝度を高い色純度で上げる。
【解決手段】カラー画素1は、赤色光(R)を出射するサブ画素2rと、緑色光(G)を出射するサブ画素2gと、青色光(B)を出射するサブ画素2bと、白色光(W)を出射するサブ画素2wを備える。白色用のサブ画素2wは、赤色光(R)を出射する第1領域3rと、緑色光(G)を出射する第2領域3gと、青色光(B)を出射する第3領域3bに区分される。サブ画素2r,2g,2bの各々と、サブ画素2wの第1〜第3領域3r,3g,3bの各々には、発光層からの出射光を光反射層と半透過反射層との間で共振させる共振器構造が形成される。サブ画素2wの第1領域3rはサブ画素2rと共振器構造が同じであり、サブ画素2wの第2領域3gはサブ画素2gと共振器構造が同じであり、サブ画素2wの第3領域3bはサブ画素2bと共振器構造が同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、反射層を兼ねた第1電極と半透明反射層との間に有機発光層を配置し、有機発光層で発生した光を第1電極(反射層)と半透明反射層との間で共振させる共振器構造が開示されている。この共振器構造を用いれば、第1電極(反射層)と半透明反射層との間の光学的距離を調整することで、スペクトルのピーク幅が狭く強度も高いR光,G光,B光を表示に利用することができる。
【特許文献1】国際公開第01/039554号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、白色輝度を向上させるためRGBの各サブ画素に加え、W(白色)のサブ画素を設ける場合がある。しかしながら、白色光はスペクトルのピークが複数存在するため、共振器構造によって特定の波長を強めてしまうと、例えば赤みを帯びた白色光や青みを帯びた白色光になってしまう。なお、共振波長を紫外や赤外に設定すれば白色光が赤みを帯びたり青みを帯びたりすることは避けられるが、この場合は白色光の取り出し効率が低下してしまう。また、共振波長を紫外や赤外に設定しなければならないので成膜工程やフォトリソ工程も増える。
一方、Wのサブ画素だけ共振器構造を採用しない構成とすることも考えられるが、このためにはWのサブ画素の部分だけ半透明反射膜をなくす必要がある。この場合、半透明反射膜のパターニングが必要になる。また、半透明反射膜が電極を兼ねている場合には、代わりの透明電極を作成しなければならない。
【0004】
さらにWのサブ画素以外であっても、例えば、黄色の輝度の向上を狙ってRGBの各サブ画素に加え、Y(黄色)のサブ画素を設ける場合がある。このような場合に共振器構造を用いてYのサブ画素からもスペクトルのピーク幅が狭く強度も高いY光を取り出そうとすると、Y光のピーク波長が共振波長となるように光学的距離を定める必要がある。つまりRやGやBの場合とは異なるY用の共振器構造を新たに形成しなければならない。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、製造工程を複雑化することなく、各画素において目的とする色の輝度を高い色純度で上げることが可能な発光装置、およびこれを用いた電子機器を提供することを課題とする。
また、本発明は、製造工程を複雑化することなく、白色用のサブ画素から出射される白色光の色純度と取り出し効率を高めることが可能な発光装置、およびこれを用いた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明に係る発光装置は、異なる色の第1出射光を各々出射する複数の第1サブ画素と、いずれの前記第1サブ画素とも異なる色の第1出射光を出射する第2サブ画素とを有する画素を備え、前記第2サブ画素は、異なる色の第2出射光を各々出射する2以上の個別領域を有し、前記個別領域の各々からの前記第2出射光は、いずれかの前記第1サブ画素からの前記第1出射光と同じ色であり、前記個別領域の各々からの前記第2出射光が合成されて前記第2サブ画素からの前記第1出射光になると共に、前記第1サブ画素の各々からの前記第1出射光と、前記第2サブ画素からの前記第1出射光とが合成されて前記画素からの出射光になり、前記第1サブ画素の各々と前記個別領域の各々には、光反射層と、半透過反射層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に介在する発光層とが形成されると共に、前記発光層から発せられた光を前記光反射層と前記半透過反射層との間で共振させる共振器構造が形成されており、前記個別領域の各々は、当該個別領域からの前記第2出射光と同じ色の前記第1出射光を出射する前記第1サブ画素と前記共振器構造が同じであることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、第2サブ画素に備わる個別領域の各々は、当該個別領域からの第2出射光と同じ色の第1出射光を出射する第1サブ画素と共振器構造が同じである。なお、共振器構造が同じであるとは、具体的には、光反射層から半透過反射層までの間の複数の層の各々の厚さと、これらの複数の層の各々を形成する材料が同じであることを意味する。したがって、第2サブ画素の各個別領域は、いずれかの第1サブ画素と同じ製造プロセスで製造することができる。また、第2サブ画素の各個別領域からは、共振器構造によってスペクトルのピーク幅が狭く強度も高められた出射光(第2出射光)が得られる。したがって、これらの光が合わさって最終的に第2サブ画素から出射される光(第1出射光)についても、色純度が高く取り出し効率も高いものとなる。また、第2サブ画素における各個別領域の面積比率を調整したり、どの色の出射光が得られる個別領域を第2サブ画素に設けるかによって、最終的に第2サブ画素から出射される光の色を変えることができる。
よって、製造工程を複雑化することなく、各画素において目的とする色の輝度を高い色純度で上げることができる。
【0008】
なお、上述した発光装置において、光反射層は画素電極や共通電極といった電極を兼ねるものであってもよい。これは半透過反射層についても同様である。また、発光層は、正孔輸送・注入層、発光層、電子輸送・注入層などの複数の層から構成されてもよいし、発光色の異なる複数の層で構成されてもよい。また、光反射層と半透過反射層との間には、透明材料などの光透過性を有する材料で形成された、画素電極、共通電極、絶縁層などが含まれてもよい。また、1つの画素は、出射光の色が異なる第1サブ画素を少なくとも2つ有していればよい。第2サブ画素についても少なくとも2つの個別領域を有していればよい。また、発光装置は、複数の第1サブ画素と第2サブ画素を有する画素を複数備えていてもよい。
【0009】
また、上述した発光装置において、前記個別領域の各々は、当該個別領域からの前記第2出射光と同じ色の前記第1出射光を出射する前記第1サブ画素と、前記光反射層から前記半透過反射層までの間の複数の層の各々の厚さ、および前記複数の層の各々を形成する材料が同じである構成であってもよい。
なお、光反射層から半透過反射層までの間の複数の層には、光反射層と発光層と半透過反射層に加え、透明材料などの光透過性を有する材料で形成された、画素電極、共通電極、絶縁層などが含まれてもよい。
【0010】
また、上述した発光装置において、前記第2サブ画素は、当該第2サブ画素が有する全ての前記個別領域にわたって連続して形成された第1電極と、前記発光層を挟んで前記第1電極とは反対側に配置された第2電極とを備える構成であってもよい。この場合、第1電極と第2電極との間に電気エネルギーを加えることによって、第2サブ画素に備わる全ての個別領域を同時に制御できる。
また、前記第1電極は、光透過性を有する導電材料で形成され、前記光反射層と前記半透過反射層との間に配置され、前記第2出射光の色が異なる前記個別領域間で厚さが異なる構成であってもよい。
【0011】
また、上述した発光装置において、前記半透過反射層を挟んで前記発光層とは反対側に配置され、前記個別領域同士の境界部分を遮光する遮光層をさらに備える構成であってもよい。共振器構造が異なると個別領域同士の境界部分では、光反射層と半透過反射層との間に介在する1以上の層で段差が生じる。この段差の部分を遮光することにより、第2サブ画素からの出射光について輝度や色純度のバラツキを抑えることができる。
【0012】
また、本発明に係る発光装置は、赤色の出射光を出射する第1サブ画素と、緑色の出射光を出射する第2サブ画素と、青色の出射光を出射する第3サブ画素と、白色の出射光を出射する第4サブ画素とを有する画素を備え、前記第4サブ画素は、赤色の出射光が出射される第1領域と、緑色の出射光が出射される第2領域と、青色の出射光が出射される第3領域とを有し、前記第1乃至第3領域の各々からの出射光が合成されて前記第4サブ画素からの白色の出射光になると共に、前記第1乃至第3サブ画素の各々からの出射光と、前記第4サブ画素からの白色の出射光とが合成されて前記画素からの出射光になり、前記第1乃至第3サブ画素の各々と、前記第4サブ画素における前記第1乃至第3領域の各々には、光反射層と、半透過反射層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に介在する発光層とが形成されると共に、前記発光層から発せられた光を前記光反射層と前記半透過反射層との間で共振させる共振器構造が形成されており、前記第1領域の前記共振器構造は前記第1サブ画素の前記共振器構造と同じであり、前記第2領域の前記共振器構造は前記第2サブ画素の前記共振器構造と同じであり、前記第3領域の前記共振器構造は前記第3サブ画素の前記共振器構造と同じであることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、第4サブ画素の第1領域は第1サブ画素と共振器構造が同じであり、第4サブ画素の第2領域は第2サブ画素と共振器構造が同じであり、第4サブ画素の第3領域は第3サブ画素と共振器構造が同じである。なお、共振器構造が同じであるとは、具体的には、光反射層から半透過反射層までの間の複数の層の各々の厚さと、これらの複数の層の各々を形成する材料が同じであることを意味する。
したがって、第4サブ画素の第1領域は第1サブ画素と同じ製造プロセスで製造することができ、第4サブ画素の第2領域は第2サブ画素と同じ製造プロセスで製造することができ、第4サブ画素の第3領域は第3サブ画素と同じ製造プロセスで製造することができる。また、第4サブ画素の第1乃至第3領域からは、共振器構造によってスペクトルのピーク幅が狭く強度も高められた赤色光と緑色光と青色光が出射される。したがって、これらの光が合わさって最終的に第4サブ画素から出射される白色光についても、色純度が高く取り出し効率も高いものとなる。
よって、製造工程を複雑化することなく、白色用のサブ画素から出射される白色光の色純度と取り出し効率を高めることができる。
【0014】
なお、この発光装置においても、光反射層は画素電極や共通電極といった電極を兼ねるものであってよい。これは半透過反射層についても同様である。また、発光層は、正孔輸送・注入層、発光層、電子輸送・注入層などの複数の層から構成されてもよいし、発光色の異なる複数の層で構成されてもよい。また、光反射層と半透過反射層との間には、透明材料などの光透過性を有する材料で形成された、画素電極、共通電極、絶縁層などが含まれてもよい。また、1つの画素は、少なくとも第1乃至第4サブ画素を有していればよく、例えば出射光の色が黄色や紫色である第5サブ画素をさらに備えてもよい。また、第4サブ画素は、第1乃至第3領域を有していればよく、例えば、第1領域を2つ、第2領域を2つ、第3領域を1つ有する構成であってもよい。また、発光装置は、第1乃至第4サブ画素を有する画素を複数備えていてもよい。
【0015】
また、上述した発光装置において、前記第1領域と前記第1サブ画素とで、前記光反射層から前記半透過反射層までの間の複数の層の各々の厚さ、および前記複数の層の各々を形成する材料が同じであり、前記第2領域と前記第2サブ画素とで、前記光反射層から前記半透過反射層までの間の複数の層の各々の厚さ、および前記複数の層の各々を形成する材料が同じであり、前記第3領域と前記第3サブ画素とで、前記光反射層から前記半透過反射層までの間の複数の層の各々の厚さ、および前記複数の層の各々を形成する材料が同じである構成であってもよい。
なお、光反射層から半透過反射層までの間の複数の層には、光反射層と発光層と半透過反射層に加え、透明材料などの光透過性を有する材料で形成された、画素電極、共通電極、絶縁層などが含まれてもよい。
【0016】
また、上述した発光装置において、前記第4サブ画素は、前記第1乃至第3領域にわたって連続して形成された第1電極と、前記発光層を挟んで前記第1電極とは反対側に配置された第2電極とを備える構成であってもよい。この場合、第1電極と第2電極との間に電気エネルギーを加えることによって、第4サブ画素に備わる第1乃至第3領域を同時に制御できる。
また、前記第1電極は、光透過性を有する導電材料で形成され、前記光反射層と前記半透過反射層との間に配置され、前記第1領域と前記第2領域と前記第3領域とで厚さが異なる構成であってもよい。
【0017】
また、上述した発光装置において、前記第4サブ画素からの出射光の色が白色となるように前記第1領域と前記第2領域と前記第3領域の面積比率が設定されている構成であってもよい。特に、上述したように第4サブ画素の第1電極が第1乃至第3領域にわたって連続して形成されたものである場合、第1乃至第3領域からの出射光(赤色光,緑色光,青色光)の輝度を個別に調整することができないので、第4サブ画素から白色光が出射されるように第1乃至第3領域の面積比率を定めることが重要である。
【0018】
また、上述した発光装置において、前記第1乃至第3サブ画素の各々と、前記第4サブ画素における前記第1乃至第3領域の各々には、前記光反射層と前記半透過反射層との間に介在する光透過性の電極がさらに形成されており、前記第3領域内の前記電極と前記第3サブ画素の前記電極は同一材料の単層で形成されており、前記第2領域内の前記電極と前記第2サブ画素の前記電極は前記同一材料を二層積層して形成されており、前記第1領域内の前記電極と前記第1サブ画素の前記電極は前記同一材料を三層積層して形成されている構成であってもよい。
この場合、第1乃至第4サブ画素に備わる全ての電極を同じ製造プロセスで製造することができる。また、電極の厚さを変えることで、光反射層と半透過反射層との間の光学的距離を変更できる。
【0019】
また、上述した発光装置において、前記半透過反射層を挟んで前記発光層とは反対側に配置され、前記第1領域と前記第2領域と前記第3領域との境界部分を遮光する遮光層をさらに備える構成であってもよい。領域同士の境界部分では、共振器構造が異なるため、光反射層と半透過反射層との間に介在する1以上の層で段差が生じる。この段差の部分を遮光することにより、第4サブ画素から出射される白色光について輝度や色純度のバラツキを抑えることができる。
【0020】
また、本発明に係る発光装置は各種の電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、発光装置を表示装置として利用した機器であり、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、デジタルサイネージ(電子看板/電子ポスター)である。もっとも、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、カメラ機能付きの携帯電話機やデジタルスチルカメラで撮像された画像データなど、外部から供給される画像データをインスタント写真に準ずる方式で印刷するプリンタにも、記録材(例えば感光性のフイルムシート)を露光するための露光装置として本発明に係る発光装置を利用することができる。また、液晶パネルの背面に設置される照明装置(バックライト)としても本発明に係る発光装置を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。なお、図面において各部の寸法の比率は実際のものと異なる。
<A.実施形態>
図1は、カラー画素1の構成を示す平面図である。
本実施形態における発光装置は、フルカラー型の有機EL(Electro Luminescent)ディスプレイであって、表示領域には複数のカラー画素1がマトリクス状に配列される。図1に示すように1つのカラー画素1は、出射光の色が異なる4つのサブ画素2(2r,2g,2b,2w)を備える。サブ画素2rは赤色光(R)を出射し、サブ画素2gは緑色光(G)を出射し、サブ画素2bは青色光(B)を出射し、サブ画素2wは白色光(W)を出射する。
【0022】
また、白色用のサブ画素2wは3つの領域3(3r,3g,3b)を有する。第1領域3rからは赤色光(R)が出射され、第2領域3gからは緑色光(G)が出射され、第3領域3bからは青色光(B)が出射される。このようにサブ画素2wからは赤色光と緑色光と青色光が出射され、これらの光が合わさって観察者には白色光として視認される。なお、図1においては第1領域3rと第2領域3gと第3領域3bの面積比率を1:1:1としているが、実際には、サブ画素2wからの出射光の色が白色となるように3つの領域3の面積比率が定められる。
【0023】
図2は、カラーフィルタ30の構成を示す平面図である。
なお、同図にはカラーフィルタ30の一部分(1つのカラー画素1に対応する部分)のみを示している。カラーフィルタ30は、赤色透過領域31rと緑色透過領域31gと青色透過領域31bと無着色領域31wと、これらの各領域を囲む遮光部32を備える。赤色透過領域31rは、サブ画素2rに対応する位置に配置され、赤色光(R)を多く透過させる。緑色透過領域31gは、サブ画素2gに対応する位置に配置され、緑色光(G)を多く透過させる。青色透過領域31bは、サブ画素2bに対応する位置に配置され、青色光(B)を多く透過させる。無着色領域31wは、無色透明な光透過層であり、サブ画素2wに対応する位置に配置される。遮光部32はブラックマトリクスである。
【0024】
図3は、図1に示すA−A’線から見た断面図である。また、図4は、図1に示すB−B’線から見た断面図である。
図3および図4に示すように、本実施形態における発光装置はトップエミッション型である。したがって、基板10としては、ガラスなどの光透過性を有する板材のほか、セラミックスや金属のシートなどの不透明な板材を採用することができる。また、図示を省略しているが、基板10上には複数の薄膜トランジスタや各種の配線(例えばデータ線や走査線)が形成されている。これらの薄膜トランジスタや配線が形成された基板10の表面は下地層12によって覆われている。下地層12は、例えばアクリル系やエポキシ系といった樹脂材料、または酸化珪素(SiOx)や窒化珪素(SiNx)といった無機材料など、各種の絶縁材料によって形成された膜体である。
【0025】
また、下地層12の表面には複数の光反射層14が形成される。これらの光反射層14は、例えば各サブ画素2の配列に沿うようにストライプ状に形成される。各光反射層14は光反射性を有する材料によって形成される。この種の材料としては、アルミニウムや銀などの単体金属、またはこれらの金属を主成分とする合金などがある。各光反射層14は、発光体20側から到達した光を図の上方に向けて反射する。また、各光反射層14の表面および側端面(エッジ部分)は絶縁層16によって被覆される。各絶縁層16は光透過性を有する絶縁性の材料によって形成された膜体である。このような材料としては、アクリル系やエポキシ系といった樹脂材料、または酸化珪素や窒化珪素といった無機材料などがある。
【0026】
絶縁層16の表面には透明電極18(18r,18g,18b,18w)がサブ画素2ごとに相互に離間して形成される。これらの各透明電極18は、例えばITO(indium tin oxide)、ZnO(酸化亜鉛)、IZO(indium zinc oxide)といった透明の導電材料によって形成される。各透明電極18は、サブ画素2ごとに設けられた画素電極であって、発光体20の陽極として機能する。図3に示すように、透明電極18rは均一な膜厚drを有し、透明電極18gは均一な膜厚dgを有し、透明電極18bは均一な膜厚dbを有する。このように透明電極18rと透明電極18gと透明電極18bは各々膜厚が異なる。また、図4に示すように透明電極18wは、第1領域3rと第2領域3gと第3領域3bにわたって連続して形成された1つの電極であるが、第1領域3rの部分と第2領域3gの部分と第3領域3bの部分とで膜厚が異なる。
【0027】
なお、各透明電極18には薄膜トランジスタを介してデータ線が接続されている。図示を省略したデータ線駆動回路ではサブ画素2ごとにデータ信号を生成する。データ線駆動回路が生成したデータ信号は、データ線を介して対応する透明電極18に供給される。したがって、白色用のサブ画素2wでは、第1領域3rから出射する赤色光の強度と、第2領域3gから出射する緑色光の強度と、第3領域3bから出射する青色光の強度を、個別に制御するのではなく同一のデータ信号に基づいて共通に制御する。このため、サブ画素2wからの出射光の色が白色となるように第1領域3rと第2領域3gと第3領域3bの面積比率を定める必要がある。
【0028】
また、図3および図4に示すように、発光体20を構成する各層(正孔輸送・注入層20a、発光層20bおよび電子輸送・注入層20c)は、表示領域の全面にわたって連続して分布する構成となっている。正孔輸送・注入層20aは、例えば二層構造であって正孔注入層と正孔輸送層を有する。正孔注入層は、例えばCuPc(銅フタロシアニン)などの正孔注入材料により形成することができる。正孔輸送層は、例えばNPD(N,N’-Bis(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-4,4-biphenyl)などの正孔輸送材料により形成することができる。なお、正孔輸送・注入層20aは、正孔輸送層と正孔注入層の機能を兼ねる単一の層であってもよい。
【0029】
電子輸送・注入層20cは、例えば二層構造であって電子輸送層と電子注入層を有する。電子輸送層は、例えばAlq3(トリス8-キノリノラトアルミニウム錯体)などの電子輸送材料により形成することができる。電子注入層は、例えばLiF(フッ化リチウム)などの電子注入材料により形成することができる。なお、電子輸送・注入層20cは、電子輸送層と電子注入層の機能を兼ねる単一の層であってもよい。
【0030】
発光層20bは、有機EL材料によって形成され、正孔と電子の結合により白色の光を発する。発光層20bは単層であってもよいが、広い波長帯域にわたってエネルギーが強い光を発する発光層を製造するのは困難なことが多いので、例えば青色の光を発する発光材料とオレンジ色の光を発する発光材料の組み合わせのように、複数の発光層を組み合わせて形成してもよい。
【0031】
なお、発光体20の構造は以上説明した例示に限定されない。例えば、正孔輸送・注入層20aから正孔注入層を省略すると共に、電子輸送・注入層20cから電子注入層を省略した構成としてもよい。また、正孔輸送・注入層20aや電子輸送・注入層20cを省略した構成としてもよい。このように発光体20は、少なくとも発光層20bを含んでいればよい。
【0032】
電子輸送・注入層20cの表面には、表示領域の全面にわたって半透明半反射電極22が形成される。半透明半反射電極22は、発光体20を挟んで各透明電極18と対向する導電性の膜体である。半透明半反射電極32は、全てのサブ画素2に対して共通に設けられた共通電極であって、発光体20の陰極として機能する。
さらに半透明半反射電極22は、基板10側から到達した光の一部を図の上方に向けて透過させると共に、その残りを図の下方に向けて反射させる半透過反射層として機能する。このような半透明半反射電極22は、例えば光反射性を有する導電材料を充分に薄く形成することによって作成される。この種の材料としては、アルミニウムや銀などの単体金属や、これらの材料を主成分とする合金などがある。例えば半透明半反射電極22は、各々が充分に薄く形成されたマグネシウムおよび銀の膜体を相互に積層した構造となっている。もっとも、半透明半反射電極22はITOやIZOなどの光透過性を有する導電材料によって形成されてもよい。このように半透明半反射電極22が光透過性の材料からなる場合であっても、半透明半反射電極22よりも屈折率が低い材料によって半透明半反射電極22の表面を覆う封止材(図示省略)を形成すれば、半透明半反射電極22と封止材との界面において光の一部が透過すると共に残りが反射するから、半透過反射層として機能させることができる。
【0033】
前述したように発光層20bは白色の光を発するが、後述する共振器構造によって、サブ画素2rは赤色光(R’)を出射し、サブ画素2gは緑色光(G’)を出射し、サブ画素2bは青色光(B’)を出射する(図3)。同様に、サブ画素2wのうち、第1領域3rの部分は赤色光(R’)を出射し、第2領域3gの部分は緑色光(G’)を出射し、第3領域3bの部分は青色光(B’)を出射する(図4)。
【0034】
サブ画素2rから出射された赤色光(R’)は、カラーフィルタ30の赤色透過領域31rを透過して色純度が高められ、サブ画素2gから出射された緑色光(G’)は、カラーフィルタ30の緑色透過領域31gを透過して色純度が高められ、サブ画素2bから出射された青色光(B’)は、カラーフィルタ30の青色透過領域31bを透過して色純度が高められる。一方、白色用のサブ画素2wから出射された赤色光(R’)と緑色光(G’)と青色光(B’)は、カラーフィルタ30の無着色領域31wを通過するので取り出し効率がほとんど低下しない。また、これらの光(R’,G’,B’)が合わさって白色光(W)となる。
その結果、最終的にカラー画素1から出射される光の色は、サブ画素2rからの赤色光(R)と、サブ画素2gからの緑色光(G)と、サブ画素2bからの青色光(B)と、サブ画素2wからの白色光(W)とが合わさった色となる。
【0035】
次に共振器構造(マイクロキャビティ)について説明する。
サブ画素2r,2g,2bの各々と、サブ画素2wにおける第1〜第3領域3r,3g,3bの各々には、発光層20bからの出射光を光反射層14と半透明半反射電極22との間で共振させる共振器構造が形成される。共振器構造は、光反射層14と絶縁層16と透明電極18と発光体20と半透明半反射電極22とで構成される。発光層20bからの出射光は光反射層14と半透明半反射電極22との間で往復し、共振器構造における共振波長の成分のみが多重干渉によって選択的に増幅された上で、半透明半反射電極22を透過して観察側に出射する。
【0036】
共振器構造における共振波長λは、例えば以下の式(1)に示すように、光反射層14と半透明半反射電極22との間の光学的距離Lに応じて決定される。但し、式(1)における「Φ(rad)」は共振器構造の両端部にて発生する位相シフトであり、より具体的には、光反射層14の表面で反射するときの位相シフト「Φ1(rad)」と、半透明半反射電極22の表面で反射するときの位相シフト「Φ2(rad)」との和(=Φ1+Φ2)である。また、「m」は光学的距離Lが正となる整数である。
(2L)/λ+Φ/(2π)= m ……(1)
【0037】
例えば、赤色光のピーク波長を共振波長λとして式(1)に代入すれば、赤色光を共振させるための光学的距離Lrが決定される。同様に、緑色光のピーク波長を共振波長λとして式(1)に代入すれば、緑色光を共振させるための光学的距離Lgが決定される。また、青色光のピーク波長を共振波長λとして式(1)に代入すれば、青色光を共振させるための光学的距離Lbが決定される。
【0038】
したがって、出射光の色が赤色となるサブ画素2rおよびサブ画素2wの第1領域3rの部分では、光学的距離Lrが得られるように光反射層14と半透明半反射電極22との間に介在する各層の膜厚や材料が決定される。同様に、出射光の色が緑色となるサブ画素2gおよびサブ画素2wの第2領域3gの部分では、光学的距離Lgが得られるように光反射層14と半透明半反射電極22との間に介在する各層の膜厚や材料が決定される。また、出射光の色が青色となるサブ画素2bおよびサブ画素2wの第3領域3bの部分では、光学的距離Lbが得られるように光反射層14と半透明半反射電極22との間に介在する各層の膜厚や材料が決定される。
【0039】
また、図3および図4に示すように、光反射層14と半透明半反射電極22との間には、図の下方から順に、絶縁層16、透明電極18(18r,18g,18b,18w)、正孔輸送・注入層20a、発光層20bおよび電子輸送・注入層20cの計5層が介在するが、本実施形態では、透明電極18の膜厚を調整することで光学的距離Lを出射光の色(R,G,B)ごとに相違させている。したがって、透明電極18wにおいて、第1領域3rの部分の膜厚は透明電極18rの膜厚と同じになり(dr)、第2領域3gの部分の膜厚は透明電極18gの膜厚と同じになり(dg)、第3領域3bの部分の膜厚は透明電極18bの膜厚と同じになる(db)。
【0040】
なお、透明電極18を除く残りの4層については、全てのサブ画素2で膜厚が同じである。つまり、絶縁層16の膜厚は全てのサブ画素2においてd1であり、正孔輸送・注入層20aの膜厚は全てのサブ画素2においてd2であり、発光層20bの膜厚は全てのサブ画素2においてd3であり、電子輸送・注入層20cの膜厚は全てのサブ画素2においてd4である。
【0041】
また、光反射層14と半透明半反射電極22との間に介在する各層を形成する材料は、全てのサブ画素2において同じである。すなわち、絶縁層16を形成する材料と、透明電極18を形成する材料と、正孔輸送・注入層20aを形成する材料と、発光層20bを形成する材料と、電子輸送・注入層20cを形成する材料は、全てのサブ画素2において共通である。これに加え、光反射層14と半透明半反射電極22と下地層12についても、その膜厚や材料は全てのサブ画素2で共通である。
【0042】
また、式(1)からも明らかとなるように、光学的距離Lは共振波長λに比例する。ピーク波長(共振波長λ)が最も長いのは赤色光であり、次に長いのは緑色光であり、最も短いのは青色光である。したがって、図3および図4に示すように光学的距離Lは、Lr>Lg>Lbとなる。また、各透明電極18の膜厚は、dr>dg>dbとなる。つまり、最も膜厚が厚いのは透明電極18rおよび透明電極18wの第1領域3rの部分となり、次に膜厚が厚いのは透明電極18gおよび透明電極18wの第2領域3gの部分となり、最も膜厚が薄いのは透明電極18bおよび透明電極18wの第3領域3bの部分となる。
【0043】
また、各透明電極18は以下のようにして形成される。
まず、図3を参照して透明電極18rと透明電極18gと透明電極18bについて説明すると、最初に厚さdbの第1導電膜が各々形成され、次に透明電極18rと透明電極18gの部分にだけ厚さdg−dbの第2導電膜が積層され、最後に透明電極18rの部分にだけ厚さdr−dgの第3導電膜が積層される。これは図4に示す透明電極18wについても同様であり、最初に厚さdbの第1導電膜が第1領域3r〜第3領域3bにわたって形成され、次に第1領域3rと第2領域3gの部分にだけ厚さdg−dbの第2導電膜が積層され、最後に第1領域3rの部分にだけ厚さdr−dgの第3導電膜が積層される。したがって、透明電極18rおよび透明電極18wの第1領域3rの部分は、第1〜第3導電膜を積層した三層構造となる。また、透明電極18gおよび透明電極18wの第2領域3gの部分は、第1,第2導電膜を積層した二層構造となる。また、透明電極18bおよび透明電極18wの第3領域3bの部分は、第1導電膜のみの単層構造となる。
このようにして各透明電極18を形成する場合、全ての透明電極18を同じ成膜プロセスで同時に形成していくことができる。したがって、透明電極18の成膜プロセスを簡素化できる。
【0044】
以上説明したように本実施形態によれば、白色用のサブ画素2wのうち第1領域3r(赤色)の部分は、サブ画素2r(赤色)と共振器構造が同じであり、各層の膜厚や材料が全て同じになる。したがって、サブ画素2wの第1領域3rは、サブ画素2rと同じ製造プロセスでサブ画素2rと同時に製造することができる。同様に、白色用のサブ画素2wのうち第2領域3g(緑色)の部分は、サブ画素2g(緑色)と共振器構造が同じであり、各層の膜厚や材料が全て同じになる。したがって、サブ画素2wの第2領域3gは、サブ画素2gと同じ製造プロセスでサブ画素2gと同時に製造することができる。また、白色用のサブ画素2wのうち第3領域3b(青色)の部分は、サブ画素2b(青色)と共振器構造が同じであり、各層の膜厚や材料が全て同じになる。したがって、サブ画素2wの第3領域3bは、サブ画素2bと同じ製造プロセスでサブ画素2bと同時に製造することができる。つまり、白色用のサブ画素2wに備わる第1〜第3領域3r,3g,3bは、サブ画素2r,2g,2bのいずれかと同じ製造プロセスで製造することができる。
また、白色用のサブ画素2wに備わる第1〜第3領域3r,3g,3bからは、共振器構造によってスペクトルのピーク幅が狭く強度も高められた赤色光と緑色光と青色光が出射される。したがって、これらの光が合わさって最終的にサブ画素2wから出射される白色光についても、色純度や取り出し効率が高い。
よって、製造プロセスを複雑化することなく、白色用のサブ画素2wをより白くより明るく発光させることができる。なお、RGBの3色サブピクセル構成の場合に比べ、RGBWの4色サブピクセル構成の場合の方が、同じ白色表示輝度なら低消費電力であり、同じ消費電力ならより明るい白色表示輝度が得られる。
【0045】
<B.変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下に示す変形が可能である。また、以下に示す2以上の変形を適宜組み合わせることもできる。
[1]上述した実施形態では透明電極18(18r,18g,18b,18w)の膜厚を調整することで光学的距離Lを相違させたが、光学的距離Lを制御するための方法はこれに限定されない。例えば図5および図6に示すように、透明電極18r’,18g’,18b’,18w’を全て同じ膜厚d5にし、正孔輸送・注入層20a’の膜厚を調整することで光学的距離L’を相違させてもよい。また、発光層20bや電子輸送・注入層20c、あるいは絶縁層16の膜厚を調整することで光学的距離Lを相違させてもよい。さらに、光反射層14と半透明半反射電極22との間に介在する2以上の層の膜厚を調整することで光学的距離Lを相違させてもよい。
【0046】
[2]図7(A)に示すように表示領域には複数のカラー画素1がマトリクス状に配列されるが、図7(B)に示すようにカラー画素1とカラー画素40とを交互に配列させる構成としてもよい。ここで、カラー画素40は、白色のサブ画素2wにおける第1領域3r(R)と第2領域3g(G)と第3領域3b(B)の並びが、カラー画素1のサブ画素2wとは上下で逆になっている。また、カラー画素の配列パターンはマトリクス状に限定されない。例えば、市松模様(チェス柄)における黒(または白)の配列パターンとなるようにカラー画素を配列してもよい。
【0047】
[3]図8に示すカラーフィルタ30’のように、白色用のサブ画素2wについて、第1領域3rと第2領域3gの境界部分や、第2領域3gと第3領域3bの境界部分を遮光部32’で覆う構成としてもよい。これらの境界部分は、図4からも明らかとなるように、各層(透明電極18w、正孔輸送・注入層20a、発光層20b、電子輸送・注入層20c)について段差が生じている部分である。この部分を遮光部32’で覆うことにより、段差の部分で反射されたり段差の部分を通過した光が、無着色領域31w’を介して外部に出射されることを抑制できる。つまり、サブ画素2wから出射される白色光について輝度や色純度のバラツキを抑えることができる。
なお、カラーフィルタ30,30’は必ずしも必須の構成ではないが、カラーフィルタ30,30’を設置した方が色再現性を向上することができる。また、カラーフィルタ30,30’によって外光が吸収されるから、外光の反射が低減されるという利点もある。
【0048】
[4]上述した実施形態では、共通電極と半透過反射層を兼ねた半透明半反射電極22を例示した。しかしながら、共通電極と半透過反射層を個別に形成してもよい。この場合、共通電極は透明の導電材料によって形成され、例えば半透過反射層と電子輸送・注入層20cとの間、あるいは半透過反射層の上方(観察側)に配置される。
また、上述した実施形態において、各透明電極18の代わりに、光反射性を有する導電材料で形成された画素電極を用いてもよい。この場合、各画素電極の上面が光反射面となる。つまり、各画素電極が光反射層を兼ねることになるので光反射層14は不要である。また、この場合、共振器構造は、各画素電極と発光体20と半透明半反射電極22とで構成されることになる。したがって、絶縁層16は共振器構造に含まれない。
また、上述した実施形態において、透明電極18wは、第1領域3rと第2領域3gと第3領域3bの各領域ごとに個別に形成された3つの透明電極で構成されてもよい。この場合、透明電極18wを構成する3つの透明電極は同一の薄膜トランジスタに接続され、共通のデータ信号が供給される。
【0049】
[5]上述した実施形態において、サブ画素2(2r,2g,2b,2w)を構成する要素が表示領域の全面にわたって連続に形成されるか、サブ画素2ごとに相互に離間して形成されるかは適宜変更できる。例えば、光反射層14や絶縁層16は、表示領域の全面にわたって連続して形成されてもよい。また、半透明半反射電極22はサブ画素2ごとに相互に離間して形成されてもよい。
また、上述した実施形態ではトップエミッション型の発光装置について説明したが、本発明はボトムエミッション型の発光装置にも適用可能である。ボトムエミッション型の場合には、光反射層を半透過反射層よりも基板から遠い位置に配置し、光反射層と半透過反射層との間に発光層を配置すればよい。また、基板や下地層を透明材料で形成すると共に、半透過反射層を挟んで発光層とは反対側にカラーフィルタ30,30’を配置すればよい。
【0050】
[6]上述した実施形態では、有機EL材料からなる発光層20bを例示したが、例えば、無機EL材料からなる発光層を用いてもよい。また、発光体として発光ダイオードを利用してもよい。また、上述した実施形態では、発光層から発せられた白色光から目的の波長の光を共振器構造によって取り出す場合を例示したが、赤色光を発する発光層をサブ画素2rおよびサブ画素2wの第1領域3rに設け、緑色光を発する発光層をサブ画素2gおよびサブ画素2wの第2領域3gに設け、青色光を発する発光層をサブ画素2bおよびサブ画素2wの第3領域3bに設ける構成としてもよい。この場合であっても共振器構造を利用することで、スペクトルのピーク幅が狭く強度も高められた光を発光層から取り出すことができる。
【0051】
[7]例えば図9(A)および図9(B)に示すように、1つのカラー画素におけるサブ画素2r,2g,2b,2wの並びや形状は適宜変更できる。また、図9(C)に示すように、1つのカラー画素は、RGBWの各サブ画素2r,2g,2b,2wに加え、M(紫色)のサブ画素2mを有する構成であってもよい。このように本発明はRGBWの4色サブピクセル構成に限定されない。
また、図10(A)および図10(B)に示すように、白色用のサブ画素2wは、RGBのいずれかを出射光の色とする6個または5個の個別領域に区分されていてもよい。勿論、これらの各個別領域ごとに共振器構造が形成される。また、各々の個別領域の面積比率は、サブ画素2wからの出射光の色が白色となるように定められる。
【0052】
[8]例えば図11に示すように、カラー画素50は、Rのサブ画素2rとGのサブ画素2gとBのサブ画素2bに加え、Y(黄色)のサブ画素2yを備える構成であってもよい。この場合は黄色の輝度を向上させることができる。なお、同図に示すサブ画素2r,2g,2bは、上述した実施形態で説明したサブ画素2r,2g,2bと同様の構成を有する。
また、黄色光(Y)を出射するサブ画素2yは、第1領域4rと第2領域4gに区分される。第1領域4rからは赤色光(R)が出射され、第2領域4gからは緑色光(G)が出射される。つまり、サブ画素2yからは赤色光と緑色光が出射され、これらの光が合わさって観察者には黄色光として視認される。なお、サブ画素2yの第1領域4rは、上述した実施形態で説明したサブ画素2wの第1領域3rと同様の構成を有する。また、サブ画素2yの第2領域4gは、上述した実施形態で説明したサブ画素2wの第2領域3gと同様の構成を有する。また、図11においては第1領域4rと第2領域4gの面積比率を1:1としているが、実際には、サブ画素2yからの出射光の色が黄色となるように第1領域4rと第2領域4gの面積比率が定められる。
【0053】
この構成によれば、黄色用のサブ画素2yのうち第1領域4r(赤色)の部分は、サブ画素2r(赤色)と共振器構造が同じであり、各層の膜厚や材料が全て同じになる。また、黄色用のサブ画素2yのうち第2領域4g(緑色)の部分は、サブ画素2g(緑色)と共振器構造が同じであり、各層の膜厚や材料が全て同じになる。したがって、サブ画素2yの第1領域4rはサブ画素2rと同じ製造プロセスで製造することができ、サブ画素2yの第2領域4gはサブ画素2gと同じ製造プロセスで製造することができる。また、黄色用のサブ画素2yに備わる第1領域4rと第2領域4gからは、共振器構造によってスペクトルのピーク幅が狭く強度も高められた赤色光と緑色光が出射される。したがって、これらの光が合わさって最終的にサブ画素2yから出射される黄色光についても、色純度や取り出し効率が高い。よって、製造プロセスを複雑化することなく、サブ画素2yから出射される黄色光の色純度や取り出し効率を高められる。
【0054】
なお、これと同様に例えばマゼンタの輝度を向上させる場合には、RGBの各サブ画素2r,2g,2bに加え、赤色光(R)を出射する第1領域と青色光(B)を出射する第2領域に区分されたM(マゼンタ)のサブ画素を備える構成とすればよい。また、シアンの輝度を向上させる場合には、RGBの各サブ画素2r,2g,2bに加え、緑色光(G)を出射する第1領域と青色光(B)を出射する第2領域に区分されたC(シアン)のサブ画素を備える構成とすればよい。
このように本発明はW(白色)のサブピクセルを有する構成に限定されない。
【0055】
また、例えば図12に示すように、カラー画素60は、Rのサブ画素2rとGのサブ画素2rに加え、Y(黄色)のサブ画素2yを備える構成であってもよい。つまり、上述した図11に示すカラー画素50からBのサブ画素2bを除いた構成である。図12に示すサブ画素2r,2gは、上述した実施形態で説明したサブ画素2r,2gと同様の構成を有する。また、黄色光(Y)を出射するサブ画素2yの構成は、図11に示したものと同じである。したがって、サブ画素2yの第1領域4rはサブ画素2rと同じ製造プロセスで製造することができ、サブ画素2yの第2領域4gはサブ画素2gと同じ製造プロセスで製造することができる。この構成の場合、Bのサブ画素2bがないためフルカラー表示はできないが、製造プロセスを複雑化することなく黄色の輝度を高い色純度で高めることができる。
このように本発明はフルカラー型に限定されない。
【0056】
また、上述した実施形態では白色輝度を向上させる場合について説明したが、サブ画素2wにおける第1領域3rと第2領域3gと第3領域3bの面積比率を調整すれば、輝度を向上させたい色を白色以外に設定することが可能である。
以上の説明から明らかとなるように、複数の個別領域を有するサブ画素を設け、このサブ画素における各個別領域の面積比率を調整したり、どの色の出射光が得られる個別領域をサブ画素に設けるかによって、最終的にこのサブ画素から出射される光の色(すなわち輝度を向上させたい色)を任意の色に設定することができる。
【0057】
<C.電子機器>
次に、上述した実施形態および変形例に係る発光装置を適用した電子機器について説明する。
図13に、発光装置を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての発光装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001とキーボード2002が設けられている。
図14に、発光装置を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、表示ユニットとしての発光装置100と、複数の操作ボタン3001と、スクロールボタン3002を備える。スクロールボタン3002を操作することで、発光装置100に表示される画面がスクロールされる。
図15に、発光装置を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、表示ユニットとしての発光装置100と、複数の操作ボタン4001と、電源スイッチ4002を備える。操作ボタン4001を操作することで、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が発光装置100に表示される。
【0058】
なお、発光装置100が適用される電子機器としては、図13〜図15に示したもののほか、テレビ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、電子ペーパー、電子手帳、電卓、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、デジタルサイネージ(電子看板/電子ポスター)などが挙げられる。また、本発明に係る発光装置は、セグメント型のディスプレイにも適用することができる。また、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、カメラ機能付きの携帯電話機やデジタルスチルカメラで撮像された画像データなど、外部から供給される画像データをインスタント写真に準ずる方式で印刷するプリンタにも、記録材(例えば感光性のフイルムシート)を露光するための露光装置として本発明の発光装置を利用することができる。また、液晶パネルのバックライトとしても本発明の発光装置を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】カラー画素の構成を示す平面図である。
【図2】カラーフィルタの構成を示す平面図である。
【図3】図1に示すA−A’線から見た断面図である。
【図4】図1に示すB−B’線から見た断面図である。
【図5】共振器構造の変形例を示す断面図である。
【図6】共振器構造の変形例を示す断面図である。
【図7】カラー画素の配列を示す平面図である。
【図8】カラーフィルタの構成(変形例)を示す平面図である。
【図9】サブ画素の配列を示す平面図である。
【図10】白色用のサブ画素の変形例を示す平面図である。
【図11】カラー画素の構成(変形例)を示す平面図である。
【図12】カラー画素の構成(変形例)を示す平面図である。
【図13】電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図14】電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図15】電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1…カラー画素、2r…サブ画素(赤)、2g…サブ画素(緑)、2b…サブ画素(青)、2w…サブ画素(白)、3r…第1領域(赤)、3g…第2領域(緑)、3b…第3領域(青)、10…基板、12…下地層、14…光反射層、16…絶縁層、18r,18g,18b,18w…透明電極、20…発光体、20a…正孔輸送・注入層、20b…発光層、20c…電子輸送・注入層、22…半透明半反射電極(半透過反射層)、30…カラーフィルタ(遮光層)、31r…赤色透過領域、31g…緑色透過領域、31b…青色透過領域、31w…無着色領域、32…遮光部、Lr,Lg,Lb…光学的距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色の第1出射光を各々出射する複数の第1サブ画素と、
いずれの前記第1サブ画素とも異なる色の第1出射光を出射する第2サブ画素と
を有する画素を備え、
前記第2サブ画素は、異なる色の第2出射光を各々出射する2以上の個別領域を有し、
前記個別領域の各々からの前記第2出射光は、いずれかの前記第1サブ画素からの前記第1出射光と同じ色であり、
前記個別領域の各々からの前記第2出射光が合成されて前記第2サブ画素からの前記第1出射光になると共に、前記第1サブ画素の各々からの前記第1出射光と、前記第2サブ画素からの前記第1出射光とが合成されて前記画素からの出射光になり、
前記第1サブ画素の各々と前記個別領域の各々には、
光反射層と、半透過反射層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に介在する発光層とが形成されると共に、前記発光層から発せられた光を前記光反射層と前記半透過反射層との間で共振させる共振器構造が形成されており、
前記個別領域の各々は、当該個別領域からの前記第2出射光と同じ色の前記第1出射光を出射する前記第1サブ画素と前記共振器構造が同じである
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記個別領域の各々は、当該個別領域からの前記第2出射光と同じ色の前記第1出射光を出射する前記第1サブ画素と、前記光反射層から前記半透過反射層までの間の複数の層の各々の厚さ、および前記複数の層の各々を形成する材料が同じである
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2サブ画素は、
当該第2サブ画素が有する全ての前記個別領域にわたって連続して形成された第1電極と、
前記発光層を挟んで前記第1電極とは反対側に配置された第2電極とを備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1電極は、
光透過性を有する導電材料で形成され、
前記光反射層と前記半透過反射層との間に配置され、
前記第2出射光の色が異なる前記個別領域間で厚さが異なる
ことを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記半透過反射層を挟んで前記発光層とは反対側に配置され、前記個別領域同士の境界部分を遮光する遮光層をさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
赤色の出射光を出射する第1サブ画素と、
緑色の出射光を出射する第2サブ画素と、
青色の出射光を出射する第3サブ画素と、
白色の出射光を出射する第4サブ画素と
を有する画素を備え、
前記第4サブ画素は、赤色の出射光が出射される第1領域と、緑色の出射光が出射される第2領域と、青色の出射光が出射される第3領域とを有し、
前記第1乃至第3領域の各々からの出射光が合成されて前記第4サブ画素からの白色の出射光になると共に、前記第1乃至第3サブ画素の各々からの出射光と、前記第4サブ画素からの白色の出射光とが合成されて前記画素からの出射光になり、
前記第1乃至第3サブ画素の各々と、前記第4サブ画素における前記第1乃至第3領域の各々には、
光反射層と、半透過反射層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に介在する発光層とが形成されると共に、前記発光層から発せられた光を前記光反射層と前記半透過反射層との間で共振させる共振器構造が形成されており、
前記第1領域の前記共振器構造は前記第1サブ画素の前記共振器構造と同じであり、
前記第2領域の前記共振器構造は前記第2サブ画素の前記共振器構造と同じであり、
前記第3領域の前記共振器構造は前記第3サブ画素の前記共振器構造と同じである
ことを特徴とする発光装置。
【請求項7】
前記第1領域と前記第1サブ画素とで、前記光反射層から前記半透過反射層までの間の複数の層の各々の厚さ、および前記複数の層の各々を形成する材料が同じであり、
前記第2領域と前記第2サブ画素とで、前記光反射層から前記半透過反射層までの間の複数の層の各々の厚さ、および前記複数の層の各々を形成する材料が同じであり、
前記第3領域と前記第3サブ画素とで、前記光反射層から前記半透過反射層までの間の複数の層の各々の厚さ、および前記複数の層の各々を形成する材料が同じである
ことを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第4サブ画素は、
前記第1乃至第3領域にわたって連続して形成された第1電極と、
前記発光層を挟んで前記第1電極とは反対側に配置された第2電極とを備える
ことを特徴とする請求項6または7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1電極は、
光透過性を有する導電材料で形成され、
前記光反射層と前記半透過反射層との間に配置され、
前記第1領域と前記第2領域と前記第3領域とで厚さが異なる
ことを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第4サブ画素からの出射光の色が白色となるように前記第1領域と前記第2領域と前記第3領域の面積比率が設定されている
ことを特徴とする請求項6乃至9のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第1乃至第3サブ画素の各々と、前記第4サブ画素における前記第1乃至第3領域の各々には、
前記光反射層と前記半透過反射層との間に介在する光透過性の電極がさらに形成されており、
前記第3領域内の前記電極と前記第3サブ画素の前記電極は同一材料の単層で形成されており、
前記第2領域内の前記電極と前記第2サブ画素の前記電極は前記同一材料を二層積層して形成されており、
前記第1領域内の前記電極と前記第1サブ画素の前記電極は前記同一材料を三層積層して形成されている
ことを特徴とする請求項6または7に記載の発光装置。
【請求項12】
前記半透過反射層を挟んで前記発光層とは反対側に配置され、前記第1領域と前記第2領域と前記第3領域との境界部分を遮光する遮光層をさらに備える
ことを特徴とする請求項6乃至11のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちいずれか1項に記載の発光装置を備えた電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−50014(P2010−50014A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214925(P2008−214925)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】