説明

発光装置の製造方法

【課題】色の有機EL素子と共振構造を組み合わせたトップエミッション方式の発光装置において、製造工程の簡易化を図りつつ、光取り出し効率を高める。
【解決手段】青色発光素子U3のコンタクトホールの段差部分に対応する透明電極層15を補強するために、当該段差部分に補強用導電膜500を形成する。また、この補強用導電膜500の形成工程と同一工程において赤色発光素子U1および緑色発光素子U2の反射膜兼画素電極12を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の発光素子を利用した発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板上に有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を発光素子として形成し、発光素子の発光光を基板と反対側に取り出すトップエミッション方式の発光装置が電子機器の表示装置などとして多用されている。トップエミッション方式は、発光素子を挟み、基板側に形成された一方の第1電極(例えば陽極)と基板との間に反射層を形成し、発光素子を挟む他方の第2電極(例えば陰極)側から光を取り出す方式であって、光の利用効率が高い方式である。
【0003】
トップエミッション方式の発光装置は、白色の有機EL素子を用い、前記第2電極と反射層との間で所定の波長の光を共振させる構造を有しているが、赤色、緑色、および青色の各色の共振長を調整する方法としては、基板側の透明膜の膜厚または第一電極としての透明導電膜の膜厚で調整する方法が開示されている(特許文献1)。この方法によれば、光取出し効率が向上するのみならず、色純度を改善でき、高い画像品質のディスプレイを実現することができる。
また、有機EL素子の膜厚を約100nm程度にすることで、赤色、緑色、および青色の各色の波長を取り出し、カラーフィルターで色純度を高くする構造が間提案されている(例えば非特許文献1)。この技術では、画素毎に共振長を調整する必要がないため、構造が簡単になり、さらには、透明導電膜が必要ないために製造工程上のメリットが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2797883号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】SID2010 P-146/S.Lee, Samsung Mobile Display Co.,Ltd
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、透明導電膜の膜厚を、赤色、緑色、および青色の各色毎で変更する必要があるために、製造工程が増えてしまうという問題がある。
また、非特許文献1の方法では、赤色領域、緑色領域、および、青色領域の全ての領域の光を取り出すため、赤色画素、緑色画素、および、青色画素の色分離はカラーフィルターなどで行う必要がある。したがって、観測側での発光スペクトルの帯域幅が広くなり、色純度が悪いという問題があった。また、赤色、緑色、および、青色の各波長領域で比較した場合、光取り出し効率が低いという問題があった。その結果、発光装置の消費電力が高くなり、パネル特性として不利になるという問題があった。
【0007】
このような事情を背景として、本発明は、白色の有機EL素子と共振構造を組み合わせたトップエミッション方式の発光装置において、製造工程の簡易化を図りつつ、光取り出し効率を高めるという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、本発明に係る発光装置の製造方法は、いずれか二つの画素について基板上に光反射膜を形成する工程と、光反射膜上に透明膜を形成する工程と、 前記透明膜上に透明電極層または半透過電極を形成する工程と、前記透明電極層または半透過電極上に補強用導電膜を形成する工程と、残りの一つの画素について基板上に基板側電極として機能する光反射膜を形成する工程と、前記光反射膜および前記透明電極層または半透過電極上に発光層を形成する工程と、前記発光層上に光取り出し側電極を形成する工程とを備え、前記光反射層と光取り出し側電極の間の光路長を調整した共振構造を有するように、前記発光層の膜厚、または、透明膜、透明電極層、もしくは透明電極層または半透過電極の膜厚を調整する発光装置の製造方法であって、前記半透過電極上に補強用導電膜を形成する工程と、残りの一つの画素について基板上に基板側電極として機能する光反射膜を形成する工程とは、同一の工程で行われることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、いずれか二つの画素について、透明電極層または半透過電極上に補強用導電膜を形成するので、透明電極層または半透過電極の膜厚を薄くした場合でも、導通不良を防止して良好な発光機能を発揮させることができる。しかも、透明電極層または半透過電極上に補強用導電膜を形成する工程と、残りの一つの画素について基板上に基板側電極として機能する光反射膜を形成する工程とは、同一の工程で行われるので、前記基板側電極として機能する光反射膜がプロセスダメージによって反射率が低下するリスクを軽減できる。その結果、少なくとも一つの色の画素は、前記光反射層が基板側電極として良好に機能し、前記光反射層と光取り出し側電極の間の光路長を調整した共振構造を有しているので、製造工程の簡易化を図りつつ、光取り出し効率を高め、消費電力を低減させることができる。
【0010】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記発光層を形成する工程を、前記基板側電極として機能する前記光反射膜と、前記光取り出し側電極との間で、共振構造をとるように所定の膜厚で前記発光層を形成する工程とすることもできる。
【0011】
本発明に係る発光装置の製造方法においては、前記発光層の膜厚で共振構造の光路長が調整されるので、製造工程を簡易化することができ、かつ、光取り出し効率を高め、消費電力を低減させることができる。
【0012】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記透明膜を形成する工程を、前記透明膜を形成する画素において共振構造をとるように所定の膜厚で前記透明膜を形成する工程とすることもできる。
【0013】
本発明に係る発光装置の製造方法においては、前記透明導電膜もしくは透明膜の膜厚で共振構造の光路長が調整されるので、光取り出し効率を高めつつ、色純度が高く広色域な発光装置を提供できる。
【0014】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記発光層を形成する工程を、各色の画素ごとに同一の膜厚で前記発光層を形成する工程とすることもできる。
【0015】
本発明に係る発光装置の製造方法においては、前記発光層の構成を各色の画素ごとに同一なので、製造工程の簡易化が図れ、かつ、前記発光層の膜厚で光路長の調整が可能なので、光取り出し効率を高めることができる。
【0016】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記半透過電極を形成する工程を、400nm〜600nmの波長に対して3.0以下の消衰係数の材料で前記半透過電極を形成する工程とすることもできる。
【0017】
本発明に係る発光装置の製造方法においては、前記半透過電極の消衰係数が400nm〜600nmの波長に対して3.0以下なので、正孔注入層との界面における反射率が低く、消衰係数の低い金属材料を用いることができ、半導体製造ライン、例えばSiを用いた製造ラインにおいて発光装置を製造することができる。
【0018】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記半透過電極を形成する工程を、TiNで前記半透過電極を形成する工程とすることもできる。本発明に係る発光装置の製造方法においては、前記半透過電極がTiNなので、正孔注入層との界面における反射率が低く、消衰係数の低い金属材料を用いることができ、半導体製造ライン、例えばSiを用いた製造ラインにおいて発光装置を製造することができる。
【0019】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記半透過電極を形成する工程を、半導体材料で前記半透過電極を形成する工程とすることもできる。本発明に係る発光装置の製造方法においては、前記半透過電極が半導体材料なので、正孔注入層との界面における反射率が低く、消衰係数の低い金属材料を用いることができ、半導体製造ライン、例えばSiを用いた製造ラインにおいて発光装置を製造することができる。
【0020】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記半透過電極を形成する工程を、不純物ドープされた多結晶SiもしくはアモルファスSiで前記半透過電極を形成する工程とすることもできる。本発明に係る発光装置の製造方法においては、前記半透過電極が不純物ドープされた多結晶SiもしくはアモルファスSiなので、正孔注入層との界面における反射率が低く、消衰係数の低い金属材料を用いることができ、半導体製造ライン、例えばSiを用いた製造ラインにおいて発光装置を製造することができる。
【0021】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記半透過電極と発光層との間に、正孔注入膜を形成する工程をさらに備えることもできる。本発明に係る発光装置の製造方法においては、発光層へ適切に正孔注入を行うことができ、高い光取り出し効率と広色域における発光を実現できる。
【0022】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記正孔注入膜を形成する工程を、酸化物、特に、MoOで前記正孔注入膜を形成する工程とすることもできる。本発明に係る発光装置の製造方法においては、前記正孔注入層を酸化物、特に、MoOなので、発光層へ適切に正孔注入を行うことができ、高い光取り出し効率と広色域における発光を実現できる。
【0023】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記補強用導電膜を形成する工程と、前記基板側電極として機能する光反射膜を形成する工程とを、Al、Ag、もしくはこれらの合金材料で前記補強用導電膜および光反射膜を形成する工程とすることもできる。本発明に係る発光装置の製造方法においては、基板側電極は、Al、Ag、もしくはこれらの合金材料なので、基板側電極に反射層として機能を持たせることができ、光取り出し効率を高めることができる。
【0024】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記光取り出し側電極を形成する工程を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含んだ合金材料で前記光取り出し側電極を形成する工程とすることもできる。本発明に係る発光装置の製造方法においては、前記光取り出し側電極がアルカリ金属、またはアルカリ土類金属を含んだ合金材料なので、発光層を挟んで基板側電極との間で適切に共振構造を実現することができる。
【0025】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記光取り出し側電極を形成する工程を、MgAgで前記光取り出し側電極を形成する工程とすることもできる。本発明に係る発光装置の製造方法においては、前記光取り出し側電極がMgAgなので、発光層を挟んで基板側電極との間で適切に共振構造を実現することができる。
【0026】
本発明に係る発光装置の製造方法として、前記光取り出し側電極の上層に、カラーフィルターを形成する工程をさらに備えることもできる。本発明に係る発光装置の製造方法においては、白色の有機EL層を用いた発光層から適切に各色の発光色を効率良く取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る発光装置の概要を示す模式的な断面図である。
【図2】図1におけるOLED層の正孔輸送層、発光層、および、電子輸送層に用いられた材料を示す図である。
【図3】反射層兼画素電極または透明電極層から対向電極までの光学的距離をD、反射層兼画素電極12または透明電極層での反射における位相シフトをφ、対向電極22での反射における位相シフトをφ、定在波のピーク波長をλ、整数をmとした場合の式、 D={(2πm+φ+φ)/4π}λにおいて、ピーク波長λを490nm、整数mを0〜3とした時の、波長に対する光取り出し効率の関係を示す図である。
【図4】各ピーク波長を得る場合の整数mの値と光路長との関係を示す図である。
【図5】Al、Cu、TiN、Mo、および、Wの各波長に対する屈折率の変化を示す図である。
【図6】Al、Cu、TiN、Mo、および、Wの各波長に対する消衰係数の変化を示す図である。
【図7】OLED層の有機EL物質と金属材料感の反射率の計算結果と、半導体製造ライン、例えばSiを用いた製造ラインで使用されている代表的な金属材料の400〜600nmの波長に対する反射率を示す図である。
【図8】実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例1および比較例2に使用したカラーフィルターの特性を示す図である。
【図9】実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例1および比較例2の消費電力を示す図である。
【図10】実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例1および比較例2のsRGBカバー率を示す図である。
【図11】本実施形態の発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図12】本実施形態の発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図13】本実施形態の発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図14】本実施形態の発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図15】本実施形態の発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図16】本実施形態の発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図17】本実施形態の発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
<A:発光装置の構造>
<A−1:赤色発光素子および緑色発光素子>
図1は、本発明の一実施形態に係る発光装置D1の概要を示す模式的な断面図である。発光装置D1は、複数の発光素子U1、U2、U3(画素に対応)が図示しない下辺の第1基板の面上に配列された構成であるが、図1においては、説明の便宜上、一つの赤色発光素子U1、一つの緑色発光素子U2、および、一つの青色発光素子U3のみが例示されている。本実施形態の発光装置D1は、トップエミッション型であり、各発光素子U1、U2、U3にて発生した光は図1の上方に向かって進行する。従って、ガラスなどの光透過性を有する板材のほか、セラミックスや金属のシートなど不透明な板材を図示しない下辺の第1基板として採用することができる。また、第1基板には、各発光素子U1、U2、U3に給電して発光させるための配線が配置されているが、配線の図示についても省略する。
【0029】
赤色発光素子U1および緑色発光素子U2は、第1基板の上に形成された反射層兼画素電極12(第1電極:陽極)と、画素電極12の上に配置された光取り出し側半透過反射層兼対向電極22(第2電極:陰極)と、反射層兼画素電極12と対向電極22との間に配置されたOLED層16とを備える。以下、詳細に説明する。図1に示す反射層兼画素電極12は、光反射性を有する材料によって形成される。この種の材料としては、例えばAl(アルミニウム)、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)などの単体金属、またはAu、CuまたはAgを主成分とする合金などが好適に採用される。本実施形態では、反射層兼画素電極12をAl(アルミニウム)で形成し、膜厚を100nmとした。
【0030】
図1に示すように、反射層兼画素電極12上には、正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)20が形成されている。本実施形態では、正孔注入層20は酸化物が好ましく、本実施形態では、MoO(三酸化モリブデン)で形成し、膜厚を2nmとした。
【0031】
発光機能層としてのOLED層16は、本実施形態では、図2に示すように、正孔注入層20上に形成される正孔輸送層(HTL:Hole transport layer)24と、正孔輸送層24上に形成される発光層26(EML:Emitting Layer)と、発光層26上に形成された電子輸送層28(ETL:Electron Transport Layer)とからなる。
【0032】
正孔輸送層24は、図2に示すようにα−NPDで形成し、膜厚は25nmとした。発光層26は正孔と電子が結合して発光する有機EL物質から形成されている。有機EL物質は低分子材料であって、白色光を発する。図2に示すように、赤色のホスト材料、赤色のドーパント材料、ならびに、緑色および青色のホスト材料としては図2に示されるものが使用され、青色のドーパント材料としてはDPAVBiが使用される。緑色のドーパント材料としてはキナクリドンが使用される。本実施形態では、発光機能層26の膜厚を50nmとした。
電子輸送層28は図2に示すように、Alq3(トリス8−キノリノラトアルミニウム錯体)で形成し、膜厚を25nmとした。以上のように、正孔輸送層24、発光層26および電子輸送層28で形成されるOLED層16の膜厚は100nmとした。
【0033】
対向電極22は陰極であり、OLED層16を覆うように形成される。対向電極22は複数の発光素子U1、U2、U3に渡って連続している。対向電極22は、その表面に到達した光の一部を透過するとともに他の一部を反射する性質(すなわち半透過反射性)を持った半透過反射層として機能し、例えばマグネシウムや銀などの単体金属、またはマグネシウムや銀を主成分とする合金、もしくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属を含んだ合金材料から形成される。本実施形態では、対向電極22は、MgAg(マグネシウム銀合金)で形成し、膜厚は、10nmとした。
【0034】
対向電極22上には、発光素子U1、U2、U3に対する水や外気の浸入を防ぐための保護層であって、無機材料からなる封止膜30が形成される。封止膜30は、SiN(窒化珪素)やSiON(酸窒化珪素)などのガス透過率が低い無機材料から形成される。本実施形態では、封止膜30をSiNで形成し、膜厚は400nmとした。
【0035】
本実施形態では、下辺基板上に形成された複数の発光素子U1、U2、U3と対向するように、上辺基板31が配置される。上辺基板31はガラスなどの光透過性を有する材料で形成される。上辺基板31の厚さは0.5mmとした。上辺基板31のうち下辺基板との対向面には、カラーフィルターおよび遮光膜が形成される。遮光膜は、各発光素子U1、U2、U3に対向して開口が形成された遮光体の膜体である。開口内にはカラーフィルターが形成される。
【0036】
本実施形態では、赤色の発光素子U1に対応する開口内には赤色光を選択的に透過させる赤色用カラーフィルター40が形成される。また、緑色発光素子U2に対応する開口内には緑色光を選択的に透過させる緑色用カラーフィルター41が形成される。
本実施形態の赤色発光素子U1と緑色発光素子U2においては、反射層兼画素電極12と光取り出し側半透明反射層としての対向電極22との間でOLED層16が発する光を共振させる共振器構造が形成される。これにより、赤色および緑色の波長の光を効率良く取り出すことができる。
カラーフィルターおよび遮光膜が形成された上辺基板31は、封止膜30を介して下辺基板と貼り合わされる。
【0037】
<A−2:青色発光素子>
青色発光素子U3は、下辺基板の上に形成された反射層13と、反射層13の上に配置された透明層14と、透明層14上に配置された透明電極層(第1電極:陽極)15と、光取り出し側半透過反射層としての対向電極22(第2電極)と、透明電極層15と対向電極22との間に配置されたOLED層16とを備える。以下、詳細に説明する。
【0038】
図1に示す反射層13は、光反射性を有する材料によって形成される。この種の材料としては、例えばAl(アルミニウム)、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)などの単体金属、またはAu、CuまたはAgを主成分とする合金などが好適に採用される。本実施形態では、反射層13を赤色発光素子U1および緑色発光素子U2と同様にAl(アルミニウム)で形成し、膜厚を100nmとした。
【0039】
透明層14はSiOで形成され、光路調整層として機能する。本実施例では、透明層14の膜厚は70nmとした。透明電極層15はITO(indium tin oxide)で形成され、膜厚は50nmとした。
【0040】
青色発光素子U3における、OLED層16、対向電極22、封止膜30および上辺基板31は、赤色発光素子U1および緑色発光素子U2のものと同様の構成であり、膜厚も同一である。つまり、OLED層16が100nm、対向電極22が10nm、封止膜30が400nmの膜厚に設定されている。また、上辺基板31の厚さは0.5mmとなっている。
【0041】
青色発光素子U3に対応する上述した遮光膜の開口内には青色光を選択的に透過させる青色用カラーフィルター42が形成される。青色発光素子U3においては、透明電極層15と光取り出し側半透過反射層としての対向電極22との間でOLED層16が発する光を共振させる共振器構造が形成される。これにより、青色の波長の光を効率良く取り出すことができる。
カラーフィルタおよび遮光膜が形成された上辺基板は、封止膜30を介して下辺基板と貼り合わされる。以上が本実施形態の発光装置の構造である。
【0042】
<B:発光装置の共振構造>
次に、本実施形態の発光装置D1の特性について説明する。上述したように、赤色発光素子U1および緑色発光素子U2においては、反射層兼画素電極12と光取り出し側半透明反射層としての対向電極22との間でOLED層16が発する光を共振させる共振器構造が形成される。また、青色発光素子U3においては、透明電極層15と光取り出し側半透過反射層としての対向電極22との間でOLED層16が発する光を共振させる共振器構造が形成される。
【0043】
具体的には、反射層兼画素電極12または透明電極層15から対向電極22までの光学的距離をD、下辺電極である反射層兼画素電極12または透明電極層15での反射における位相シフトをφ、上辺電極である対向電極22での反射における位相シフトをφ、定在波のピーク波長をλ、整数をmとすると、下記の式を満たす構造となっている。
D={(2πm+φ+φ)/4π}λ・・・(1)
【0044】
赤色発光素子U1および緑色発光素子U2においては、前記(1)式においてm=0を満たした光学構造となっている。また、青色発光素子U3においては、前記(1)式においてm=1を満たした光学構造となっている。
【0045】
図3に、m=0、1、2、3とした場合の各光学構造において、ピーク波長を490nmとした時の光取り出し効率を計算した結果を示す。なお、この計算前提条件は、反射層兼画素電極12をAlとして膜厚100nm、発光層26を膜厚20nm、電子輸送層28を膜厚40nm、対向電極22をMgAgとして膜厚10nm、および、封止膜30をSiNとして膜厚を400nmにそれぞれ設定し、正孔注入層20と正孔輸送層24を合わせた膜厚を、ピーク波長が490nmになるように調整したものである。また、反射層兼画素電極12と対向電極22の間の各層の屈折率は1.8としている。図3に示すように、m=1、2、3とした場合の光学構造よりも、m=0とした場合の光学構造の方が、高い光取り出し効率を得られる波長の範囲が広くなることがわかる。
【0046】
また、図4に、有機ELからなるOLED層16の屈折率nを1.8とした場合の、赤色、緑色、青色の各ピーク波長における、上記(1)式のmの値と、反射層兼画素電極12または透明電極層15から対向電極22までの膜厚Dとの関係を示す。
図4に示すように、m=0の場合の光学構造では、赤色のピーク波長が得られる膜厚の範囲と、緑色のピーク波長が得られる膜厚の範囲が、一部重なっていることがわかる。また、緑色のピーク波長が得られる膜厚の範囲と、青色のピーク波長が得られる膜厚の範囲についても、一部重なっていることがわかる。つまり、上記膜厚Dを所定値に設定することにより、広い帯域幅の光を取り出し可能であることがわかる。
一方、m=1の場合の光学構造では、各色のピーク波長が得られる膜厚の範囲に重なる部分は無く、各色ごとに上記膜厚Dを設定する必要があることがわかる。
【0047】
しかしながら、赤色、緑色、青色の全ての発光素子をm=0の光学構造を有するように形成した場合には、各色の波長の光取り出し効率が低く、発光装置の消費電力が高くなり、xy色度図におけるsRGBカバー率が低下してしまう。
また、赤色、緑色、青色の全ての発光素子をm=1の光学構造を有するように形成した場合には、各色の発光素子ごとに透明電極の膜厚を調節する必要があり、製造工程が増えてしまう。
【0048】
そこで、本実施例では、赤色と緑色の発光素子をm=0の光学構造を有するように形成し、青色の発光素子についてはm=1の光学構造を有するように形成した。
【0049】
<C:パネルシミュレーション>
以下、このような本実施形態の発光装置D1の消費電力およびsRGBカバー率を確認するために行ったパネルシミュレーションについて説明する。
このシミュレーションにおいては、図1に示した発光装置D1と同じ構成の実施例1と、発光装置D1とは異なる実施例2、実施例3および実施例4と、比較のために比較例1および比較例2の発光装置を用意した。
【0050】
<C−1:実施例1の構造>
実施例1は、図1に示した発光装置D1と同じ構造であり、赤色発光素子U1および緑色発光素子U2の各膜の材料および膜厚は上述した通り、MgAgの光取り出し側電極22が10nm、OLED層16が100nm、MoOの正孔注入膜20が2nm、Alの反射層兼画素電極12が100nmである。
また、青色発光素子U3の各膜の材料および膜厚についても、上述した通り、MgAgの光取り出し側電極22が10nm、OLED層16が100nm、Alの反射膜13が100nmである。実施例1は、透明電極層15をITOで形成し、膜厚を50nmとした。また、透明膜14にはSiOを用いて青色のピーク波長が得られるように膜厚を70nmに設定した。
【0051】
<C−2:実施例2の構造>
実施例2の発光装置は、赤色発光素子U1が上記(1)においてm=0の場合の光学構造を有している点は実施例1と同様であるが、緑色発光素子U2がm=0の場合の光学構造ではなく、m=1の場合の光学構造を有している点が実施例1と異なっている。つまり、実施例2においては、赤色発光素子U1がm=0の場合の光学構造、緑色発光素子U2と青色発光素子U3がm=1の場合の光学構造を有している。
【0052】
赤色発光素子U1の層の構成および各層の材質は、実施例1の赤色発光素子U1のものと同じである。ただし、正孔輸送層24と電子輸送層28の膜厚は、実施例1ではそれぞれ25nmであったのに対し、実施例2ではそれぞれ40nmに設定されている。
【0053】
緑色発光素子U2および青色発光素子U3の層の構成および各層の材質は、実施例1の青色発光素子U3のものと同じである。ただし、正孔輸送層24と電子輸送層28の膜厚は、実施例1ではそれぞれ25nmであったのに対し、実施例2ではそれぞれ40nmに設定されている。
また、実施例2においては、透明電極層15の膜厚が、緑色発光素子U2では50nmに設定され、青色発光素子U2では20nmに設定されている。このように、実施例2は、透明電極層15の膜厚を変えることによって、緑色と青色の共振長を調節しているところが実施例1と異なる。
【0054】
<C−3:実施例3の構造>
実施例3の発光装置は、赤色発光素子U1の層の構成および各層の材質は、実施例1および実施例2の赤色発光素子U1のものと同じである。正孔輸送層24と電子輸送層28の膜厚は、実施例2と同様にそれぞれ40nmに設定されている。
【0055】
実施例3の緑色発光素子U2および青色発光素子U3においては、第1電極(陽極)として透明電極層の代わりにTiN(窒化チタン)からなる半透過電極層を用い、この半透過電極層とOLED層16との間にMoOからなる正孔注入層20を設けたところが実施例2と異なっている。
また、実施例2では、透明層14の厚さは緑色発光素子U2および青色発光素子U3において同じであったが、実施例3においては、緑色発光素子U2の透明層14の厚さと、青色発光素子U3の透明層14の厚さとは異なっており、光路調整層として機能している。実施例3では、緑色発光素子U2の透明層14の厚さが150nm、青色発光素子U3の透明層14の厚さが110nmに設定されている。
緑色発光素子U2および青色発光素子U3のその他の各層の構成および各層の材質は、実施例1の青色発光素子U3のものと同じである。ただし、正孔輸送層24と電子輸送層28の膜厚は、実施例2と同様にそれぞれ40nmに設定されている。
【0056】
半透過電極層はTiN(窒化チタン)で形成され、膜厚は10nmとした。半透過電極層に適した材料としては、正孔注入層(HIL)20との界面での反射率が低いこと、および、消衰係数の低いことが好ましい。図5に半導体製造ライン、例えばSiを用いた製造ラインで使用されている代表的な金属材料の屈折率と波長との関係を示し、図6に半導体製造ライン、例えばSiを用いた製造ラインで使用されている代表的な金属材料の消衰係数と波長との関係を示す。Siを用いた製造ラインで使用されている代表的な金属材料を用いるのは、発光装置の各層を同一の製造ラインで製造することができるためである。
【0057】
図7には、OLED層16の有機EL物質と金属材料感の反射率の計算結果を示す。反射率の計算は、有機EL物質の屈折率Nを1.8、消衰係数kを0とし、屈折率nと消衰係数kを変数として、下記(2)式
反射率R={(N−n)+k}/{(N+n)+k}・・・(2)
により計算した。
また、図7には、半導体製造ライン、例えばSiを用いた製造ラインで使用されている代表的な金属材料の400〜600nmの波長に対する反射率を示す。
光吸収を小さくするには、消衰係数kが小さく、かつ、反射率が低い領域の材料が好ましい。消衰係数kは、400nm〜600nmの波長の範囲で、3.0以下であることが好ましい。したがって、図7から、Siを用いた製造ラインで使用されている代表的な金属材料の中では、TiNが好ましいことがわかる。本実施例では、半透過電極層をTiNで形成し、膜厚を10nmとした。TiN以外にも、半導体材料を用いることができ、不純物ドープされた多結晶Si、もしくはアモルファスSiを用いることができる。
【0058】
実施例3における発光装置は、赤色発光素子U1が上記(1)においてm=0の場合の光学構造を有し、緑色発光素子U2と青色発光素子U3がm=1の場合の光学構造を有している点では上述した実施例2の発光装置と同様であるが、第1電極(陽極)としてTiNからなる半透過電極層を用い、この半透過電極層とOLED層16との間にMoOからなる正孔注入層20を設けたところが実施例2と異なっている。
また、実施例2では、透明層14の厚さは緑色発光素子U2および青色発光素子U3において同じであったが、実施例3においては、緑色発光素子U2の透明層14の厚さと、青色発光素子U3の透明層14の厚さとは異なっており、光路調整層として機能している。
【0059】
<C−4:実施例4の構造>
実施例4における発光装置においては、赤色発光素子U1の層の構成および各層の材質は、実施例1〜実施例3の赤色発光素子U1のものと同じである。正孔輸送層24と電子輸送層28の膜厚は、実施例2および実施例3と同様にそれぞれ40nmに設定されている。
実施例4の緑色発光素子U2および青色発光素子U3は、第1電極(陽極)としてAl(アルミニウム)からなる半透過電極層を用いたところが実施例3と異なっている。Al(アルミニウム)からなる半透過電極層の膜厚は10nmとした。
【0060】
実施例4における発光装置は、赤色発光素子U1が上記(1)においてm=0の場合の光学構造を有し、緑色発光素子U2と青色発光素子U3がm=1の場合の光学構造を有している点では上述した実施例3の発光装置と同様である。
また、実施例4においては、緑色発光素子U2の透明層14の厚さと、青色発光素子U3の透明層14の厚さとは異なっており、光路調整層として機能している。具体的には、緑色発光素子U2の透明層14が160nm、青色発光素子U3の透明層14が130nmに設定されている。
【0061】
<C−5:比較例1の構造>
比較例1は、赤色、緑色および青色の全ての発光素子を、実施例1の発光装置D1における青色発送素子U3と同様の構成にしたものである。つまり、赤色、緑色および青色の全ての発光素子において、m=1の光学構造を有するように構成し、各色ごとにITOの透明電極層15の層厚を調節した。
具体的には、赤色発光素子の透明電極層15の層厚が100nm、緑色発光素子の透明電極層15の層厚が50nm、青色発光素子の透明電極層15の層厚が20nmにそれぞれ設定されている。
また、実施例1の青色発送素子U3では、正孔輸送層24と電子輸送層28の層厚はそれぞれ25nmに設定されているが、比較例1においては、各色の発光素子の正孔輸送層と電子輸送層の層厚は、それぞれ40nmに設定されている。
【0062】
<C−6:比較例2の構造>
比較例2は、赤色、緑色および青色の全ての発光素子を、図1の実施例1の発光装置D1における赤色発光素子U1と同じ構成とし、カラーフィルターの選択によって各色の発光色を得るようにしたものである。つまり、赤色、緑色および青色の全ての発光素子において、m=0の光学構造を有するように構成したものである。
【0063】
<C−7:カラーフィルター>
このシミュレーションにおいては、図8に示すように、赤色のカラーフィルターとして、600nm以上の光に対する透過率が80〜90%のカラーフィルターを用いた。図8に示すCF1−Rは高透過率用で、CF2−Rは広色域用のカラーフィルターである。
また、緑色のカラーフィルターとしては、520〜560nmの光に対する透過率が65〜70%のカラーフィルターを用いた。図8に示すCF1−Gは高透過率用で、CF2−Gは広色域用のカラーフィルターである。
青色のカラーフィルターとしては、430〜470nmの光に対する透過率が60〜65%のカラーフィルターを用いた。図8に示すCF1−Bは高透過率用で、CF2−Bは広色域用のカラーフィルターである。
【0064】
<C−8:パネルシミュレーションの結果>
図9および図10は、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例1および比較例2の消費電力を示す図である。消費電力は、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用い、全白(0.310、0.310)、200cd/mで表示させた時の値を100%として規格化したものである。また、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合には、表色範囲が狭く、(0.310、0.310)の白表示が不可能なため、図9への記載を割愛した。
【0065】
図9に示すように、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力を100%とすると、実施例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力は122%であり、比較例1の1.22倍であった。
また、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力を100%とすると、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は163%であり、実施例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は187%であった。つまり、実施例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力の1.15倍であった。
【0066】
さらに、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力を100%とすると、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は267%であり、実施例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は187%であった。つまり、実施例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力の0.7倍であった。
【0067】
以上のように、実施例1の発光装置は、消費電力については、比較例1の発光装置とほぼ同程度の性能が得られ、また、比較例2の発光装置よりも優れた性能が得られた。なお、後述するように、実施例1の発光装置は、比較例1の発光装置よりも製造工程を著しく減らすことができ、この点では比較例1の発光装置よりも優れている。
【0068】
次に、sRGBカバー率については、図10に示すように、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合のsRGBカバー率が94.4%であり、実施例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合のsRGBカバー率は55.9%であった。このように、実施例1の発光装置にCF1のカラーフィルターを用いた場合のsRGBカバー率は、比較例1の発光装置にCF1のカラーフィルターを用いた場合よりも劣るものの、デジタルカメラ等に用いるには十分なsRGBカバー率が得られた。
また、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合のsRGBカバー率は34.9%であり、実施例1の発光装置にCF1のカラーフィルターを用いた場合の方が高いsRGBカバー率が得られた。
【0069】
また、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合のsRGBカバー率は99.1%であり、実施例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合のsRGBカバー率は94.9%であった。このように、実施例1の発光装置にCF2のカラーフィルターを用いた場合のsRGBカバー率は、比較例1の発光装置にCF2のカラーフィルターを用いた場合とほぼ同程度であった。
【0070】
また、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合のsRGBカバー率は74.5%であり、実施例1の発光装置にCF2のカラーフィルターを用いた場合の方が極めて高いsRGBカバー率が得られた。
【0071】
以上のように、実施例1の発光装置は、sRGBカバー率については、CF1のカラーフィルターを用いた場合には比較例1の発光装置には劣るものの、十分なsRGBカバー率が得られ、また、CF2のカラーフィルターを用いた場合には比較例1の発光装置とほぼ同程度のsRGBカバー率が得られた。なお、後述するように、実施例1の発光装置は、比較例1の発光装置よりも製造工程を著しく減らすことができ、この点では比較例1の発光装置よりも優れている。
さらに、比較例2の発光装置との比較においては、sRGBカバー率についても、比較例2の発光装置よりも優れた性能が得られた。
【0072】
図9に示すように、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力を100%とすると、実施例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力は97%であり、比較例1の0.97倍であった。
また、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力を100%とすると、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は163%であり、実施例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は158%であった。つまり、実施例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力の0.97倍であった。
【0073】
さらに、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力を100%とすると、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は267%であり、実施例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は158%であった。つまり、実施例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力の0.59倍であった。
以上のように、実施例2の発光装置は、消費電力については、実施例1、比較例1、および比較例2の発光装置よりも優れた性能が得られた。
【0074】
次に、sRGBカバー率については、図9に示すように、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合のsRGBカバー率が94.4%であり、実施例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合のsRGBカバー率は88.0%であった。このように、実施例2の発光装置にCF1のカラーフィルターを用いた場合のsRGBカバー率は、比較例1の発光装置にCF1のカラーフィルターを用いた場合よりも劣るものの、十分なsRGBカバー率が得られた。
また、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合のsRGBカバー率は34.9%であり、実施例2の発光装置にCF1のカラーフィルターを用いた場合の方が高いsRGBカバー率が得られた。
【0075】
また、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合のsRGBカバー率は99.1%であり、実施例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合のsRGBカバー率は94.3%であった。このように、実施例2の発光装置にCF2のカラーフィルターを用いた場合のsRGBカバー率は、比較例1の発光装置にCF2のカラーフィルターを用いた場合とほぼ同程度であった。
また、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合のsRGBカバー率は74.5%であり、実施例2の発光装置にCF2のカラーフィルターを用いた場合の方が極めて高いsRGBカバー率が得られた。
【0076】
以上のように、実施例2の発光装置は、sRGBカバー率については、CF1のカラーフィルターを用いた場合には比較例1の発光装置には劣るものの、十分なsRGBカバー率が得られ、また、CF2のカラーフィルターを用いた場合には比較例1の発光装置とほぼ同程度のsRGBカバー率が得られた。
さらに、比較例2の発光装置との比較においては、sRGBカバー率についても、比較例2の発光装置よりも優れた性能が得られた。
【0077】
図9に示すように、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力を100%とすると、実施例3の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力は149%であり、比較例1の1.49倍であった。
このように、カラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力は、比較例1、実施例1、実施例2および実施例3の間で比較すると、実施例3の消費電力が最も高くなっていることがわかる。
【0078】
また、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力を100%とすると、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は163%であり、実施例3の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は247%であった。つまり、実施例3の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力の2.47倍であった。
このように、カラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は、比較例1、実施例1、実施例2および実施例3の間で比較すると、実施例3の消費電力が最も高くなっていることがわかる。
【0079】
さらに、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力を100%とすると、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は267%であり、実施例3の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は247%であった。つまり、実施例3の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力の0.93倍であった。
このように、カラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は、比較例2と実施例3の間で比較すると、実施例3の方が優れていることがわかる。
【0080】
次に、sRGBカバー率については、図10に示すように、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合のsRGBカバー率が94.4%であり、実施例3の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合のsRGBカバー率は92.5%であった。このように、実施例3の発光装置にCF1のカラーフィルターを用いた場合のsRGBカバー率は、比較例1の発光装置にCF1のカラーフィルターを用いた場合よりも劣るものの、ほぼ同程度のsRGBカバー率が得られた。
【0081】
また、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合のsRGBカバー率は34.9%であり、実施例3の発光装置にCF1のカラーフィルターを用いた場合のsRGBカバー率は92.5%であるから、実施例3の方が高いsRGBカバー率が得られることがわかる。
【0082】
また、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合のsRGBカバー率は99.1%であり、実施例3の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合のsRGBカバー率は96.8%であった。このように、実施例3の発光装置にCF2のカラーフィルターを用いた場合のsRGBカバー率は、比較例1の発光装置にCF2のカラーフィルターを用いた場合とほぼ同程度であった。
【0083】
また、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合のsRGBカバー率は74.5%であり、実施例3の発光装置にCF2のカラーフィルターを用いた場合のsRGBカバー率は96.8%であるので、実施例3の方が極めて高いsRGBカバー率が得られることがわかる。
【0084】
以上のように、実施例3の発光装置は、sRGBカバー率については、CF1のカラーフィルターを用いた場合、CF2のカラーフィルターを用いた場合の双方において、比較例1の発光装置とほぼ同程度のsRGBカバー率が得られた。
さらに、比較例2の発光装置との比較においては、sRGBカバー率は、比較例2の発光装置よりも実施例3の方が優れた性能が得られた。
図6に示すように、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力を100%とすると、実施例4の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力は257%であり、比較例1の2.57倍であった。
このように、カラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力は、比較例1、実施例1、実施例2、実施例3および実施例4の間で比較すると、実施例4の消費電力が最も高くなっていることがわかる。
【0085】
また、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力を100%とすると、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は163%であり、実施例4の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は439%であった。つまり、実施例4の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力の2.69倍であった。
このように、カラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は、比較例1、実施例1、実施例2、実施例3および実施例4の間で比較すると、実施例4の消費電力が最も高くなっていることがわかる。
【0086】
さらに、比較例1の発光装置にカラーフィルターとしてCF1を用いた場合の消費電力を100%とすると、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は267%であり、実施例4の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は439%であった。つまり、実施例4の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は、比較例2の発光装置にカラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力の1.64倍であった。
このように、カラーフィルターとしてCF2を用いた場合の消費電力は、比較例2と比較した場合でも、実施例4の値が高くなっていることがわかる。
【0087】
以上のように、赤色発光素子U1は0次共振構造とし、緑色発光素子U2および青色発光素子U3を1次共振構造として、緑色発光素子U2および青色発光素子U3の半透過電極に、消衰係数が低い導電性材料であるTiNを用いると、若干消費電力は増加するものの、広色なディスプレイを実現することができる。また、ITO等の透明導電を必要としないので、半導体製造ライン、例えばSiを用いる製造ラインにおいて製造することができる。
【0088】
<D:発光装置の製造方法>
次に、本実施形態の発光装置の製造方法を図11〜図17に基づいて説明する。まず、図11(A)に示すように第1基板10の上に、回路素子薄膜11および層間絶縁膜301が形成される。これらのいずれの成膜においても、既知であるところの、例えばPVD法、CVD法やスパッタ法等の成膜方法や、あるいはフォトリソグラフィー法等が適宜利用される。その際、回路素子薄膜11の成膜では、TFT(Thin Film Transistor)の製造が含まれるから、その半導体層へのドーピング工程等も行われ、絶縁膜301の成膜では、そこにコンタクトホール360を形成するために、適当なエッチング工程等も行われる。
【0089】
次に、11(B)に示すように、各色の発光素子の回路素子薄膜11と接触するように、Alをスパッタ法で成膜し、フォトリソグラフィーとウェットエッチングまたはドライエッチングでパターニングし、レジスト剥離を行ってコンタクトホール360を形成する。また、青色発光素子U3においては、Alの膜を発光領域まで延長し、反射膜13を形成する。
【0090】
続いて、図12(A)に示すように、コンタクトホール360の凹部をSiOの絶縁膜302で埋める。図12(B)に示すように、青色発光素子U3の反射膜13上に透明膜14を形成するため、レジスト剥離を行い、CVD法によりSiOを成膜する。成膜したSiOを、フォトリソグラフィーとウェットエッチングまたはドライエッチングでパターニングし、レジスト剥離を行う。このようにして、青色発光素子U3の反射膜13上に透明膜14が形成される。透明膜14の成膜では、そこにコンタクトホールを形成するために、適当なエッチング工程等も行われる。
【0091】
次に、図13(A)に示すように、青色発光素子U3において、コンタクトホール360と透明電極層15との導通を良好にするために、TiNの導通層490を成膜する。
青色発光素子U3の透明膜14上および前記導通層490上に透明電極層15を形成するため、レジスト剥離を行い、蒸着法等によりITOを成膜する。成膜したITOを、フォトリソグラフィーとウェットエッチングまたはドライエッチングでパターニングし、レジスト剥離を行う。このようにして、図13(B)に示すように、青色発光素子U3の透明膜14上および前記導通層490上に透明電極層15が形成される。透明電極層15の膜厚は、導電性を確保できる範囲で薄い方が好ましい。
【0092】
続いて、図14(A)に示すように、赤色発光素子U1および緑色発光素子U2の層間絶縁膜301上に反射膜兼画素電極12を形成するとともに、青色発光素子U3の透明膜14のコンタクトホールの部分に形成された透明電極層15を補強するために、補強用導電膜500を形成する。反射膜兼画素電極12と補強用導電膜500は、Alをスパッタ法で成膜し、フォトリソグラフィーとウェットエッチングまたはドライエッチングでパターニングし、レジスト剥離を行うことにより形成する。
【0093】
透明電極層15の膜厚は、導電性を確保できる範囲で薄い方が好ましいが、薄い導電膜だけでは前記コンタクトホールの段差部分において膜厚が薄くなってしまう。しかしながら、本実施形態のように当該箇所に補強用導電膜500を形成することにより、導通不良を確実に防止することができる。
しかも、本実施形態においては、補強用導電膜500の形成工程と同一工程において赤色発光素子U1および緑色発光素子U2の反射膜兼画素電極12を形成するので、青色発光素子U3の反射膜13の形成工程と同一工程において反射膜兼画素電極12を形成する場合に比べて、反射率が低下するリスクを軽減することができる。
つまり、青色発光素子U3の反射膜13の形成工程と同一工程において反射膜兼画素電極12を形成する場合には、青色発光素子U3の透明膜14および透明電極層15を形成する間は反射膜兼画素電極12の表面がさらされた状態になってしまう。その結果、透明膜14および透明電極層15の形成工程におけるエッチクング時のプラズマ等によるプロセスダメージによって、反射膜兼画素電極12の反射率が低下する場合がある。
しかしながら、本実施形態では、補強用導電膜500の形成工程と同一工程において赤色発光素子U1および緑色発光素子U2の反射膜兼画素電極12を形成するので、青色発光素子U3の透明膜14および透明電極層15の形成工程中においても、反射膜兼画素電極12の表面がさらされることはないので、プロセスダメージによる反射膜兼画素電極12の反射率の低下リスクを軽減することができる。
【0094】
次に、反射膜兼画素電極12を覆うように、蒸着法によりMoOを成膜して図14(B)に示すように正孔注入膜20を形成する。また、図15(A)に示すように、各色の発光素子のコンタクトホール上にSiOからなる隔離膜303を形成し、図15(B)に示すように、正孔注入膜20および透明電極層15を覆うように蒸着法によりOLED層16を形成する。さらに、図16に示すように、蒸着法によりMgAgを成膜し、光取り出し側電極22を形成する。
【0095】
続いて、図17に示すように、SiNをCVD法により成膜して封止膜30を形成する。さらにその上へフォトリソグラフィーで赤色、緑色、青色のカラーフィルター40、41、42および遮光膜32を形成する。そして、第2基板31を貼りあわせる。以上が本実施形態の発光装置D1の製造方法である。
【0096】
以上のように、本実施形態の発光装置D1は、赤色発光素子U1および緑色発光素子U2を上記(1)式においてm=0の場合の光学構造を有するように形成し、青色発光素子U3を上記(1)式においてm=1の場合の光学構造を有するように形成して、青色発光素子U3の透明電極層15に、ITOを用いる。したがって、消費電力を抑えつつ、sRGBカバー率の高いディスプレイを実現することができる。
【0097】
また、透明電極層15で薄い膜厚で形成した場合でも、コンタクトホールの段差部分に補強用導電膜500を形成するので、導通不良を確実に防止することができる。しかも、補強用導電膜500の形成工程と同一工程において赤色発光素子U1および緑色発光素子U2の反射膜兼画素電極12を形成するので、青色発光素子U3の反射膜13の形成工程と同一工程において反射膜兼画素電極12を形成する場合に比べて、エッチクング時のプラズマ等によるプロセスダメージによって反射率が低下するリスクを軽減することができる。
【0098】
また、上述した実施例1においては、赤色発光素子および緑色発光素子を上記(1)においてm=0の光学構造とし、青色発光素子を上記(1)においてm=1の光学構造とした例について説明した。また、その他の実施例においては、いずれかの色の発光素子を上記(1)においてm=0の光学構造とし、いずれかの色の発光素子を上記(1)においてm=1の光学構造とした例について説明したが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、上記(1)においてmの値をそれ以外の値とする光学構造を採用してもよい。
【0099】
さらに、上述した実施形態においては、青色発光素子の透明電極層を形成した後に、透明電極層の補強用導電膜と赤色発光素子および緑色発光素子の反射膜兼画素電極とを同一工程で形成する例について説明した。しかしながら、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、いずれか2色の発光素子の透明電極層を形成した後に、透明電極層の補強用導電膜と残りの色の発光素子の反射膜兼画素電極とを同一工程で形成するようにしてもよい。
【0100】
また、上述した製造方法の実施形態においては、透明電極層を形成する例について説明したが、本発明のこの場合に限られるものでなく、透明電極層の代わりに、半透過電極層を形成する場合にも適用可能である。この場合には、透明電極層と反射層との導通を図る導通層490は設ける必要がない。
【0101】
また、上述した実施形態において、青色発光素子U3の透明電極層15として、ITOを一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ITOの替わりにTiNを用いて半透過電極層を形成してもよい。ITOは製造工程でパーティクルを発生させ易いが、TiNはそのような問題がない。このため、半導体の製造プロセス、例えば、Siプロセスで発光装置D1を製造することが可能となる。この場合には、透明電極層と反射層との導通を図る導通層490は設ける必要がない。
【符号の説明】
【0102】
10……第1基板、11……回路素子薄膜、12……反射層兼画素電極、13……反射膜、14……透明膜、15……透明電極層、16……OLED層、20……正孔注入膜、22…対向電極、24……正孔輸送膜、26……積層発光層、28……電子輸送膜、30……封止膜、31……第2基板、40……赤色用カラーフィルター、41……緑色用カラーフィルター、42……青色用カラーフィルター、301……層間絶縁膜、360……コンタクトホール、500……補強助用導電膜、D1……発光装置、U1…赤色発光素子、U2…緑色発光素子、U3…青色発光素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれか二つの画素について基板上に光反射膜を形成する工程と、
光反射膜上に透明膜を形成する工程と、
前記透明膜上に透明電極層または半透過電極を形成する工程と、
前記半透過電極上に補強用導電膜を形成する工程と、
残りの一つの画素について基板上に基板側電極として機能する光反射膜を形成する工程と、
前記光反射膜および前記透明電極層または半透過電極上に発光層を形成する工程と、
前記発光層上に光取り出し側電極を形成する工程とを備え、
前記光反射層と光取り出し側電極の間の光路長を調整した共振構造を有するように、前記発光層の膜厚、または、透明膜、透明電極層、もしくは半透過電極の膜厚を調整する発光装置の製造方法であって、
前記透明電極層または半透過電極上に補強用導電膜を形成する工程と、残りの一つの画素について基板上に基板側電極として機能する光反射膜を形成する工程とは、同一の工程で行われる、
ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記発光層を形成する工程は、前記基板側電極として機能する前記光反射膜と、前記光取り出し側電極との間で、共振構造をとるように所定の膜厚で前記発光層を形成する工程であることを特徴とする請求項1記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記透明膜を形成する工程は、前記透明膜を形成する画素において共振構造をとるように所定の膜厚で前記透明膜を形成する工程であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記発光層を形成する工程は、各色の画素ごとに同一の膜厚で前記発光層を形成する工程であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記半透過電極を形成する工程は、400nm〜600nmの波長に対して3.0以下の消衰係数の材料で前記半透過電極を形成する工程であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記半透過電極を形成する工程は、TiNで前記半透過電極を形成する工程であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記半透過電極を形成する工程は、半導体材料で前記半透過電極を形成する工程であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記半透過電極を形成する工程は、不純物ドープされた多結晶SiもしくはアモルファスSiで前記半透過電極を形成する工程であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記半透過電極と発光層との間に、正孔注入膜を形成する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記正孔注入膜を形成する工程は、酸化物、特に、MoOで前記正孔注入膜を形成する工程であることを特徴とする請求項9記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記補強用導電膜を形成する工程と、前記基板側電極として機能する光反射膜を形成する工程は、Al、Ag、もしくはこれらの合金材料で前記補強用導電膜および光反射膜を形成する工程であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記光取り出し側電極を形成する工程は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含んだ合金材料で前記光取り出し側電極を形成する工程であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記光取り出し側電極を形成する工程は、MgAgで前記光取り出し側電極を形成する工程であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一記載の発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記光取り出し側電極の上層に、カラーフィルターを形成する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか一記載の発光装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−252863(P2012−252863A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124160(P2011−124160)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】