説明

発光装置の製造方法

【課題】
従来のLED発光装置の製造方法においては、発光特性(色度)の揃ったLED発光装置を簡単に量産することが困難だった。
【解決手段】
特性の揃ったLED1を選別する工程Bと、前記特性の揃ったLED1を所定の間隔で粘着シ−ト40上に整列させる工程Cと、整列されたLED1に蛍光体が分散されたセラミックインク30を塗布し仮硬化させる工程Dと、LED1上のセラミックインク30を研削してLED発光装置10の発光条件を調整する工程Eと、LED1の上面及び側面にセラミックインク30が存在する状態でLED1間を切断分離する工程Fと、分離された各発光素子を加熱してセラミックインク30を本硬化させる工程Gとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED素子等の発光素子を備えた発光装置の製造方法に関するものであり、詳しくは発光素子周辺だけに蛍光体を局在化させ、蛍光体の無駄を省いた発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED素子(以下LEDと略記する)は半導体素子であるため、長寿命で優れた駆動特性を有し、さらに小型で発光効率が良く、鮮やかな発光色を有することから、カラー表示装置のバックライトや照明等に広く利用されるようになってきた。本発明においてもLED発光装置を実施形態として説明する。
【0003】
特に近年、LED周辺だけに蛍光体を局在させ、蛍光体を節約するとともに視野角に依存する色ムラを解消したLED装置が提案されている。このLED装置において蛍光体をLED周辺に局在させる手法としては電気泳動法や噴霧法、印刷法がよく知られているが、ウェハー状態で蛍光体層を形成し、そのウェハーからLEDを個片化する製造方法もある。(例えば引用文献1)
【0004】
以下従来の封止部材付のLED発光装置に付いて説明する。図4は特許文献1における図1及び段落0090〜0098に開示されている従来のLEDウェハーの平面図、図5は断面図である。LEDウェハー120は、大判のサフイアヤ基板110の上に複数の半導体層100が形成されており、それぞれP電極102とN電極103が設けられている。半導体層100の主な発光面はサファイヤ基板110側であり、図面では3個のLED100のみ示した。しかし実際の大判サファイヤ基板110上にはもっと多数の半導体層100が形成されてLEDウェハー120を構成している。
【0005】
図6は特許文献1における従来のLED発光装置を製造する工程図であり、趣旨を逸脱しない範囲で簡素化している。図6において工程AはLEDウェハーを準備する工程である。-図5に対しLEDウェハー120を反転させているので大判のサフイアヤ基板110の下側に半導体層100が形成配置されている。工程Bはサフイアヤ基板110の上面において半導体層100間に切削工具を使用し溝111を形成する溝加工工程である。この溝111は半導体層100が含まれるLED200の発光面積を大きくしているもので、LED200の発光面積が溝111によって形成される側面の分だけ大きくなっている。
【0006】
工程C及び工程Dは溝111を含むサファイヤ基板110の上面に蛍光体ペースト(固化前の蛍光体層130)を流し込み、その蛍光体ペーストをスキージー140により平坦にならした後、加熱固化させて蛍光体層130を形成する蛍光体層形成工程である。なお、この蛍光体ペーストとしては青色LEDの場合にはエポキシ樹脂やシリコン樹脂に蛍光体を含有させたものを使用することが出来る。
【0007】
工程Eはサファイヤ基板110の上面に形成された蛍光体層130の上面を目的の厚みになるように、研削具を用いて均一に研削する研削工程である。この研削工程の後に色度測定を行い目的の色度に正確に調整する。なお、この状態で目的の色度が得られていない場合は、前記工程C及び工程Dの蛍光体層形成工程及び、工程Eの研削工程をやり直すことによって、最終的に最適色度への調整を行う。
【0008】
次に工程Fでは、LEDウェハー120を蛍光体層130が上になる向きで加工テーブルにセットし、半導体層100の境界(溝111の中央)を切断治具(ブレード)150を用いて切断分離し、工程Gに示す個片化したLED200を量産する。
【0009】
また引用文献1の図4及び段落0112〜0120には、他の実施形態として、前記図6と同様のLED発光装置の製造方法が開示されている。図6と異なる部分は大判サファイヤ基板に含まれるLEDが紫外線LEDであることと、LED上に形成される蛍光体層が紫外線LEDの発光によって劣化しないガラス系バインダーを用いて形成されていることである。そして前記図6の工程C,Dと同様に蛍光体層(ペースト状)を形成し加熱硬化させてから、同じく工程Eの研削及び工程Fの切断分離を行っている。
【0010】
以上のように特許文献1の提案では、1枚の大判サファイヤ基板に複数のLEDを形成し、この複数のLED上にまとめて蛍光体層を設け、この蛍光体層を研削しながら色度調整をおこなっている。また所望の色度が得られない場合、特性測定後に形成した蛍光体層を剥がして再形成を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−221536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
最近ではLED発光素子の薄型化にともない、サファイヤ基板110の厚さも100μm前後になっている。しかしながら依然としてサファイヤ基板110内における上面及び下面での全反射成分は減らないためサファイヤ基板110の側面から出射する光量が多い。ところがLED200にはサファイヤ基板110の側面に蛍光体層130のない部分があるため発光効率を落としている。とくにサファイヤ基板110の薄型化が進むにつれこの損失の影響が大きくなってくる。この対策としてサイファイヤ基板110の露出部を薄くしようとすると製造工程中でサファイヤ基板110が割れやすくなる。
【0013】
そこで本発明の目的は、上記問題点を解決しようとするものであり、蛍光体層として高信頼性のセラミックインクを使用して一括生産を行うLED発光装置の製造方法において、高価な蛍光体材料の使用量を節約し、発光効率の良いLED発光素子を簡便に製造できる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため本発明における製造方法は、
回路基板上に半導体発光素子をフリップチップ実装し、該半導体発光素子の周辺に蛍光体を備える半導体発光素子の製造方法において、
前記発光素子を所定の間隔で粘着シート上に整列させる工程と、
前記発光素子に前記蛍光体が分散されたセラミックインクを塗布し硬化させる工程と、
前記発光素子の上面に塗布されたセラミックインクの厚さと側面に残すセラミックインクの厚さとが略等しくなるように前記発光素子間の前記セラミックインクを切断分離する工程と、
該発光素子を回路基板にフリップチップ実装する工程と
を有することを特徴とする。
【0015】
前記発光素子を所定の間隔で粘着シート上に整列させる工程において、予め特性の揃った発光素子を選別しておき、該発光素子を前記所定の間隔で前記粘着シート上に整列させることが好ましい。
【0016】
前記セラミックインクを塗布し硬化させる工程において該セラミックインクを仮硬化させ、前記発光素子間のセラミックインクを切断分離する工程の後に、前記セラミックインクを本硬化させる工程を備えることが好ましい。
【0017】
前記セラミックインクを塗布し硬化させる工程の後に、前記発光素子上のセラミックインクを研削して発光素子の発光条件を調整する工程を備えることが好ましい。
【0018】
前記発光素子を所定の間隔で粘着シート上に整列させる工程の前に、ウェハー状態の発光素子にバンプ電極を形成する工程と、個別の発光素子に切断分離する工程と、該発光素子の特性を測定する工程とを有すると良い。
【0019】
前記セラミックインクを塗布し硬化させる工程と、前記発光素子間のセラミックインクを切断分離する工程との間に、前記発光素子にバンプ電極を形成する工程を有すると良い。
【発明の効果】
【0020】
上記の如く本発明の製造方法によれば、粘着シート上に整列された発光素子に対し一括して蛍光体を含有したセラミックインクの塗布を行い、セラミックインクを硬化後、LED発光素子の上面及び側面のセラミックインク層を略同じ厚みとなるようにセラミックインクを切断している。この結果、高価な蛍光体材料をLED発光素子周辺に局在化させ使用量を節約しながら、蛍光体を含有したセラミックインクで発光素子側面を覆い発光効率の低下を抑えたLED発光装置を、塗布と切断をベースとした簡便な方法により製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態におけるLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
【図2】本発明の第2実施形態におけるLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
【図3】図1に示すLED発光装置にレンズを構成した状態を示す断面図である。
【図4】従来のLEDウェハーの平面図である。
【図5】図4に示すLEDウェハーのA−A断面図である。
【図6】従来のLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下図面により、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の第1実施形態におけるLED発光装置の製造方法を示す工程図である。図1において工程Aはウェハー状態のLED(発光素子)にバンプを形成する工程である。粘着シート40に接着されたLEDウェハー20に含まれる各LED領域のP電極2及びN電極3にメッキ法によりP電極バンプ2a及びN電極バンプ3aを形成する。工程Bは個別のLEDに切断分離する工程と各LEDの特性を測定する工程を示している。先ずLEDウェハー20の各LED領域をスクライブによって切断分離して複数のLED1を形成する。次に粘着シート40を引き伸ばして、操作性を良くした状態で、各LED1のP電極バンプ2a及びN電極バンプ3aに検査用のプローブを当接して各LED1の発光特性を測定し、ランク毎に分別する。なお、必要に応じてスクライブの前にLEDウェハー20の裏面(サファイヤ基板)側を研削しても良い。
【0023】
工程CはLEDを所定の間隔で粘着シート上に整列させる工程である。工程Bでランク分けられたLED1の同一ランクのものを支持板50(粘着シート)上に所定の間隔で整列配置する。工程Dはセラミックインクを塗布し硬化させる工程である。工程Cで支持板50上に所定の間隔で整列配置された複数のLED1の上面及び素子(LED1)の間に蛍光体が分散混入されたセラミックインク30を塗布する。さらにこの塗布されたセラミックインクを約90℃で加熱することによりセラミックインクの仮硬化を行う。セラミックインクとは架橋するとガラス状になるバインダ中に蛍光体等の粒子を触媒や溶媒とともに混練したものである。本実施形態ではバインダとしてオルガノポリシロキサンを使った。このセラミックインクは約90℃(30分)で仮硬化させ、約160℃(2時間30分)で本硬化させる。
【0024】
工程Eは発光素子上のセラミックインクを研削し発光素子の発光条件を調整する工程である。工程Dで仮硬化されたセラミックインク30の一部30aを研削して、支持板50上に所定の間隔で整列配置された複数のLED1の特性(ピーク波長など)に合わせてセラミックインク30の厚さを調整し、セラミックインク層30を備えたLED1の発光特性(色度)を希望の値に合わせ込む。この場合予め支持板50上に整列配置された複数のLED1の特性は一定のランク(ピーク波長など)内に収まっているので、所定の間隔で整列配置された複数のLED1を覆うセラミックインク層30の厚さを一定の厚さに揃えることによって、セラミックインク層30を備えた全てのLED1の発光特性(色度)は一定のランク(色度)内に収まった合格品とすることが可能となる。この場合、整列配置された複数のLED1の発光特性(ピーク波長など)に合わせて予め計算(例えばピーク波長に対し目標とする色度とセラミックインク厚の関係を実験で確認しておく)された厚さにセラミックインク30の研削をおこなっても良いし、また研削を行いながらLED1の発光特性を測定し規格内に追い込んでいくことも可能である。
【0025】
工程FはLED間のセラミックインクを切断分離する工程である。所定の間隔で整列配置された複数のLED1間を、LED1の上面を覆うセラミックインク30の厚さと側面のセラミックインク30の厚さが略同じ厚さで残るように、切断治具(ブレード)150を用いてセラミックインク30を切断しLED1を分離する。このとき支持板50は切断しないようにする。工程Gはセラミックインクを本硬化させる工程である。高温(約160℃)で加熱処理を行うことによりセラミックインク30をガラス化させる。これでLED10が完成する。
【0026】
工程Hは発光素子を回路基板にフリップチップ実装する工程である。完成したLED1をサブ基板60(回路基板)にフリップチップ実装を行ってLED発光装置10を完成させる。実際には個別のサブ基板60上にLED1を実装するのではなく、切断分離すると複数のサブ基板60が得られる集合基板(図示せず)に、複数のLED1をフリップチップ実装してから集合基板を切断分離し個別のLED発光装置10を得ることが多い。蛍光体の加水分解や電極の腐食などを防止するためにも、集合基板状態でLED1を透明樹脂(図示せず)で封止することが好ましい。
【0027】
上記の如く本実施形態によれば、予め発光特性(ピーク波長等)の揃ったLED1を支持板50上に整列させていた。工程Eの研削を行なわなくてもLED1上のセラミックインク層30の厚さは、各LED装置10で等しくなるから、各LED装置10の発光特性(色度)も等しくなる。色度管理が厳しくない場合は、予め特性の揃った発光素子を選別しその発光素子を所定の間隔で前記粘着シート上に整列させる必要はない。
【0028】
また本実施形態では、工程Eにおいて蛍光体混入セラミックインク30を研削する厚さをロット(支持板50)毎に決めることが出来る。このため、支持板が異なっても所望の発光特性(色度)のLED発光装置10が得られるため量産に適している。なおこの工程も色度管理が厳しくない場合は省くことができる。
【0029】
本実施形態ではセラミックインク30の研削及び切断を半硬化の柔らかい状態で行い、LED1間のセラミックインクを切断分離する工程の後に、セラミックインクを本硬化させる工程(工程F)を備えていた。このため、加工が容易で生産コストの低減及び歩留りの向上が可能となる。なお、セラミックインク30を工程Dにおいて本硬化させても、セラミックインク30の研削や切断が可能な製造装置を準備できれば工程Fを省略できる。
【0030】
本実施形態では、発光素子を所定の間隔で粘着シート上に整列させる工程(工程C)の前に、ウェハー状態の発光素子にバンプ電極を形成する工程(工程A)と、個別の発光素子に切断分離する工程(工程B)と、発光素子の特性を測定する工程(工程B)を備えていた。この工程A,BはパッケージメーカーがLEDの素子メーカーよりLEDウェハーでの供給を受ける場合に適している。特性(ピーク波長等)が判明し、P及びN電極バンプ2a,3aの付いた個別のLED1を入手できる場合は、工程A,Bを省略できる。
【0031】
ふつうフリップチップ実装用のLED1はP及びN電極バンプ2a,3a側に反射層を備えているので、LED1からサブ基板60側に出射する光は少ない。このため、ここに蛍光体層がなくでも発光損失は大きくならない。
(第2実施形態)
【0032】
次に図2により本発明の第2実施形態におけるLED発光装置の製造方法を説明する。図2は本発明の第2実施形態におけるLED発光装置の製造方法を示す工程図であり、第1実施形態におけるLED発光装置の製造方法を示す工程図である図1と同一部材及び工程には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0033】
工程AはLED素子を所定の間隔で粘着シート上に整列させる工程である。予めランク分けされたLED1の同一ランクのものを粘着シート40上に所定の間隔で整列配置する。この時LED1の電極形成面、すなわちP電極及びN電極(図示せず)面側を下向きにして粘着シート40に貼り付ける。工程Bはセラミックインクを塗布し硬化させる工程である。工程Aで粘着シート40上に所定の間隔で整列配置された複数のLED1の上面と、素子間に蛍光体が分散混入されたセラミックインク30を塗布する。さらにこの塗布されたセラミックインク30を約90℃で加熱することによりセラミックインク30の仮硬化を行う。
【0034】
工程CはLED1上のセラミックインクを研削してLED1の発光条件を調整する工程である。工程Bで仮硬化されたセラミックインク30の一部30aを研削して、粘着シート40上に所定の間隔で整列配置された複数のLED1の特性(ピーク波長等)に合わせてセラミックインク30の厚さを調整し、LED1の発光特性(色度)を希望の値に合わせ込む。この場合予め支持板50上に整列配置された複数のLED1の特性は一定のランク内に収まっているので、所定の間隔で整列配置された複数のLED1を覆うセラミックインク30の厚さを一定の厚さに揃えることによって、全てのLED1の発光特性(色度)は一定のランク内に収まった合格品とすることが可能となる。
【0035】
工程Dは新たな支持板(粘着シート)に取り付ける工程である。工程Cで研削されたセラミックインク30の上面に支持板50(粘着シート)を貼り付け、この状態から反転させて上面の粘着シート40を剥離する。工程Eはメッキ電極を形成する工程である。粘着シート40の剥離によって露出したLED1の電極面に、全面を覆うメッキ電極膜5を形成する。工程Fはレジスト膜を形成する工程である。バンプ形成領域、すなわち各LED1のP電極及びN電極部分に開口を有するレジスト膜6を形成する。このレジスト膜6は、全面に塗布したレジスト膜6をフォトリソグラフィ法によりP電極2に対応して開口6P及びN電極3に対応した開口6Nを形成する
【0036】
工程Gはバンプ電極を形成する工程である。工程Eで形成したメッキ電極膜5を共通電極としてレジスト膜6の開口6P及び6Nの部分に電解メッキ法によりバンプ電極を成長させることによって、それぞれ開口6P及び6Nの部分にP電極バンプ2a及びN電極バンプ3aを形成する。工程Hはレジスト膜6を除去する工程である。処理液を用いてレジスト膜6を除去する。さらにP及びN電極バンプ2a,3aをマスクとして露出しているメッキ電極5も除去する。
【0037】
工程Iは支持板50(新たに貼りなおした粘着シート)を切断しないように、且つLED1の上面に塗布されたセラミックインクの厚さと側面に残すセラミックインクの厚さとが略等しくなるようにLED1間のセラミックインクを切断分離する工程である。図1に示す工程Fのセラミックインクを切断分離する工程と同様、所定の間隔で整列配置された複数のLED1間を、LED1の側面に残る蛍光体が混入されたセラミックインク30が所定の厚さで残るように、切断治具(ブレード)150を用いてセラミックインク30を切断分離し、LED1を量産する。工程Iは切断後セラミックインクを本硬化させる工程を含む。ここでは高温(約160℃)で加熱処理を行うことによりセラミックインク30をガラス化させる。これでLED1が完成する。工程JはLED1をサブ基板10(回路基板)にフリップチップ実装する工程である。完成したLED1をサブ基板60にフリップチップ実装してLED発光装置10を完成させる。
【0038】
この第2実施形態における製造方法は、セラミックインクを塗布し硬化させる工程Bと、LED間のセラミックインクを切断分離する工程Iとの間に、LEDにバンプ電極を形成する工程(工程D〜H)を備えている。これはパッケージメーカーがLEDの素子メーカーよりバンプを備えていないLEDでの供給を受ける場合に適した製造方法である。
【0039】
本発明における製造方法は蛍光体のバインダとして高熱に耐えるセラミックインクを用いることにより、フリップチップ実装時にLEDや回路基板にかかる高温に対し耐熱性を保証している。またLEDに反射層が備えられていない場合はメッキ電極5に高反射アルミ層を使うと、P及びN電極バンプ部の反射効率が上がりLED装置10の発光効率が改善する。
(第3実施形態)
【0040】
次に図3により、本発明の第3実施形態のLED発光装置について説明する。
図3は図1に示す製造方法により作成されたLED発光装置10にレンズ80を設けたLED発光装置の断面図である。すなわち図1の工程Hで作成されたLED発光装置10に透明樹脂の型成形により半球状のレンズ80を形成したもので、LED発光装置10の発光形状(光束分布)を改善している。第1実施形態で説明したように集合基板でLED1を封止しながらレンズ80を同時に形成すると製造効率がよくなる。
【符号の説明】
【0041】
1、200 LED
2、102 P電極
2a P電極バンプ
3、103 N電極
3a N電極バンプ
5 メッキ電極膜
6 レジスト膜
6P、6N 開口
10、200 LED発光装置
20、120 LEDウェハー
30、30a セラミックインク
40 粘着シ−ト
50 支持板
60 サブ基板
80 レンズ
100 半導体層
110 サファイヤ基板
111 溝
130 蛍光体ペ−スト
140 スキ−ジ−
150 切断治具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に半導体発光素子をフリップチップ実装し、該半導体発光素子の周辺に蛍光体を備える半導体発光素子の製造方法において、
前記発光素子を所定の間隔で粘着シート上に整列させる工程と、
前記発光素子に前記蛍光体が分散されたセラミックインクを塗布し硬化させる工程と、
前記発光素子の上面に塗布されたセラミックインクの厚さと側面に残すセラミックインクの厚さとが略等しくなるように前記発光素子間の前記セラミックインクを切断分離する工程と、
該発光素子を回路基板にフリップチップ実装する工程と
を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記発光素子を所定の間隔で粘着シート上に整列させる工程において、予め特性の揃った発光素子を選別しておき、該発光素子を前記所定の間隔で前記粘着シート上に整列させることを特徴とする請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記セラミックインクを塗布し硬化させる工程において該セラミックインクを仮硬化させ、前記発光素子間のセラミックインクを切断分離する工程の後に、前記セラミックインクを本硬化させる工程を備えることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記セラミックインクを塗布し硬化させる工程の後に、前記発光素子上のセラミックインクを研削して発光素子の発光条件を調整する工程を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記発光素子を所定の間隔で粘着シート上に整列させる工程の前に、ウェハー状態の発光素子にバンプ電極を形成する工程と、個別の発光素子に切断分離する工程と、該発光素子の特性を測定する工程とを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記セラミックインクを塗布し硬化させる工程と、前記発光素子間のセラミックインクを切断分離する工程との間に、前記発光素子にバンプ電極を形成する工程を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−39013(P2012−39013A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179759(P2010−179759)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】