説明

発光装置及びプロジェクター

【課題】効率良く射出し、複数の射出面の間隔が大きい発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置100の第1利得領域160は第1面130の垂線Pに対して一方側に傾いて第1面130と接続し、第2利得領域170は垂線Pに対して他方側に傾いて第1面130と接続し、第1利得領域160の第1面130側の第1端面180と、第2利得領域170の第1面130側の第3端面184とは、第1面130において重なり、第1利得領域160及び第2利得領域170は、同じ傾きで第2面132と接続する。曲線形状の第1利得部分162及び第2利得部分172と、直線形状の第3利得部分164及び第4利得部分174とは、第5利得部分166及び第6利得部分176を介して接続され、第5利得部分166及び第6利得部分176と接する場所の絶縁層116の屈折率がスロープ形状もしくは階段形状である第1接続部分140及び第2接続部分150を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode、以下「SLD」ともいう)は、通常の発光ダイオード同様にインコヒーレント性を示し、かつ広帯域なスペクトル形状を示しながら、光出力特性では半導体レーザー同様に単一の素子で数百mW程度までの出力を得ることが可能な半導体発光素子である。
【0003】
SLDは、例えばプロジェクターの光源として用いられるが、小型かつ高輝度なプロジェクターを実現するためには、光出力が大きくかつエテンデュの小さな光源を用いる必要がある。それには、複数の利得領域から射出される光が、同一の方向に進むことが望ましい。特許文献1では、直線状の形状を有する利得領域と、円弧の形状を有する利得領域と、を組合せることによって、2つの利得領域の射出面から射出される光を、同一の方向に進行させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−192603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光学系の損失低減と部品点数の削減とのため、SLDをライトバルブの直下に配置し、レンズアレイを用いて集光と均一照明とを同時に行う方式のプロジェクターが提案されている。このような方式のプロジェクターでは、レンズアレイの間隔に合わせて、射出面を配置する必要がある。
【0006】
特許文献1に記載された技術において、レンズアレイに合わせて、2つの射出面の間隔を大きく形成する方法としては、例えば、直線状の利得領域を射出面の垂線に対して大きく傾けることが考えられる。しかしながら、このような方法では、直線状の利得領域に発生する光の射出面に対する入射角が大きくなり、放射パターンが悪化することがある。その結果、ライトバルブを均一に照明することが困難となることがある。
【0007】
また、2つの射出面の間隔を大きく形成する別の方法として、利得領域の全長を大きくすることが考えられる。しかしながら、利得領域の全長が長くなると、一般的に、高出力化を図ることはできるが、反転分布を得るために多大な電流を流さなくてはならず、その結果、所定の光出力以上で用いなければ、高効率化を図ることができない。すなわち、所定の光出力未満では発光効率が低下する。発光効率が悪化すると、発光装置から排熱することが難しくなるため、例えば小型のプロジェクターの実現が困難となる。さらに、利得領域の全長が長くなると、素子全体の面積が大きくなり、資源の無駄や製造コストの増大等の問題が生じる。
【0008】
本発明のいくつかの態様にかかる目的の1つは、放射パターンが良好で、小型かつ高出力化を図りつつ、複数の射出面の間隔を大きく形成することができる発光装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様にかかる目的の1つは、上記発光装置を有するプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]本適用例にかかる発光装置は、第1層、第2層、前記第1層と前記第2層とに挟まれた第3層、及び前記第2層の前記第3層側とは反対側に形成された第4層を有する積層体と、前記第1層に電気的に接続された第1電極と、前記第2層に電気的に接続され、前記第4層と接する第2電極と、を含み、前記第3層は、光を発生させ、かつ光が導波する、第1利得領域及び第2利得領域を有し、前記積層体の積層方向から見て、前記第1利得領域及び前記第2利得領域の形状は、前記第4層と前記第2電極との接触面と同じ形状であり、前記第1層及び前記第2層は、前記第1利得領域及び前記第2利得領域に発生する光の漏れを抑制する層であり、前記第4層は、前記第2電極とオーミックコンタクトする層であり、前記第3層は、互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記第1利得領域及び前記第2利得領域に発生する光の波長帯において、前記第1面の反射率は、前記第2面の反射率よりも高く、前記第1利得領域及び前記第2利得領域は、前記第1面から前記第2面まで設けられ、前記第1利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、前記第1面の垂線に対して一方側に傾いて前記第1面と接続し、前記第2利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、前記垂線に対して他方側に傾いて前記第1面と接続し、前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記積層体の積層方向から見て、同じ傾きに傾いて前記第2面と接続し、前記第1利得領域の前記第1面側の端面と、前記第2利得領域の前記第1面側の端面とは、前記第1面において重なっており、前記第1利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、第1の曲率を備えた第1利得部分と、直線状の第3利得部分と、前記第1利得部分と前記第3利得部分とに接続する第5利得部分と、を有し、前記第2利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、第2の曲率を備えた第2利得部分と、直線状の第4利得部分と、前記第2利得部分と前記第4利得部分とに接続する第6利得部分と、を有し、前記第1利得領域及び前記第2利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、絶縁層に挟まれており、前記第1利得部分及び前記第2利得部分と接する前記絶縁層の有効屈折率を第1屈折率とし、前記第3利得部分及び前記第4利得部分と接する有効屈折率を第2屈折率とするとき、前記第5利得部分及び前記第6利得部分と接する屈折率は、前記第1利得部分及び前記第3利得部分から前記第2利得部分及び前記第4利得部分に接近するに従って、前記第1屈折率から前記第2屈折率に階段状に切り替わることを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、第1電極と第2電極とが積層体に電圧を印加する。そして、第4層は第2電極とオーミックコンタクトし、第3層は、光を発生させかつ光が導波する。第1層及び第2層は光の漏れを抑制する。第1層〜第4層の積層体により光を発生し伝送する。第1利得領域における第1利得部分と、第2利得領域における第2利得部分とが、それぞれ第1の曲率及び第2の曲率を持って第1面で重なっている。このため、第1利得領域及び第2利得領域に発生する光の第1面に対する入射角を大きくすることなく、第1利得領域の第2面側の端面と、第2利得領域の第2面側の端面と、の間隔(射出面の間隔)を大きくすることができる。これにより、射出光の放射パターンが歪むことを抑制することができる。
【0012】
さらに、本適用例によれば、第1利得領域における第1利得部分と、第2利得領域における第2利得部分とが、それぞれ第1の曲率及び第2の曲率を持って第1面で重なるため、射出面の間隔を大きくする場合、第1面から第2面まで直線状である利得領域を用いた例に比べて、利得領域の全長を短くすることができる。そのため、多大な電流を流す必要はなく、消費電力を抑えることができる。さらに、利得領域の全長を大きくしなくてよいので、装置全体の小型化を図ることができる。そのため、資源が無駄となることもなく、製造コストを抑えることができる。
【0013】
また、本適用例によれば、第5利得部分及び第6利得部分と接する場所の絶縁層の屈折率が、第1利得部分及び第3利得部分から第2利得部分及び第4利得部分に接近するに従って、第1屈折率から第2屈折率に階段状に切り替わっている。これにより、第1利得領域における第1利得部分と第3利得部分との接続部で生じる反射率、及び第2利得領域における第2利得部分と第4利得部分との接続部で生じる反射率を抑制することができる。これにより、第1利得領域及び第2利得領域で発生した光が、第1利得領域における第1利得部分と第3利得部分との接続部と、第2利得領域における第2利得部分と第4利得部分との接続部とでの多重反射を抑制することができる。従って、第1利得領域及び第2利得領域で発生した光を、効率よく外部に取り出すことができる。
【0014】
その結果、発光装置は、高効率かつ放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、射出面の間隔を大きくすることができる。
【0015】
[適用例2]本適用例にかかる発光装置は、第1層、第2層、前記第1層と前記第2層とに挟まれた第3層、及び前記第2層の前記第3層側とは反対側に形成された第4層を有する積層体と、前記第1層に電気的に接続された第1電極と、前記第2層に電気的に接続され、前記第4層と接する第2電極と、を含み、前記第3層は、光を発生させ、かつ光が導波する、第1利得領域及び第2利得領域を有し、前記積層体の積層方向から見て、前記第1利得領域及び前記第2利得領域の形状は、前記第4層と前記第2電極との接触面と同じ形状であり、前記第1層及び前記第2層は、前記第1利得領域及び前記第2利得領域に発生する光の漏れを抑制する層であり、前記第4層は、前記第2電極とオーミックコンタクトする層であり、前記第3層は、互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記第1利得領域及び前記第2利得領域に発生する光の波長帯において、前記第1面の反射率は、前記第2面の反射率よりも高く、前記第1利得領域及び前記第2利得領域は、前記第1面から前記第2面まで設けられ、前記第1利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、前記第1面の垂線に対して一方側に傾いて前記第1面と接続し、前記第2利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、前記垂線に対して他方側に傾いて前記第1面と接続し、前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記積層体の積層方向から見て、同じ傾きに傾いて前記第2面と接続し、前記第1利得領域の前記第1面側の端面と、前記第2利得領域の前記第1面側の端面とは、前記第1面において重なっており、前記第1利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、第1の曲率を備えた第1利得部分と、直線状の第3利得部分と、前記第1利得部分と前記第3利得部分とに接続する第5利得部分と、を有し、前記第2利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、第2の曲率を備えた第2利得部分と、直線状の第4利得部分と、前記第2利得部分と前記第4利得部分とに接続する第6利得部分と、を有し、前記第1利得領域及び前記第2利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、絶縁層に挟まれており、前記第1利得部分及び前記第2利得部分と接する前記絶縁層の有効屈折率を第1屈折率とし、前記第3利得部分及び前記第4利得部分と接する有効屈折率を第2屈折率とするとき、前記第5利得部分及び前記第6利得部分と接する屈折率は、前記第1利得部分及び前記第3利得部分から前記第2利得部分及び前記第4利得部分に接近するに従って、前記第1屈折率から前記第2屈折率に連続して切り替わることを特徴とする。
【0016】
本適用例によれば、第1利得領域における第1利得部分と、第2利得領域における第2利得部分とが、それぞれ第1の曲率及び第2の曲率を持って第1面で重なるため、第1利得領域及び第2利得領域に発生する光の第1面に対する入射角を大きくすることなく、第2面に設けられた第1利得領域の端面と、第2面に設けられた第2利得領域の端面と、の間隔(射出面の間隔)を大きくすることができる。これにより、射出光の放射パターンが歪むことを抑制することができる。
【0017】
さらに、本適用例によれば、第1利得領域における第1利得部分と、第2利得領域における第2利得部分とが、それぞれ第1の曲率及び第2の曲率を持って第1面で重なるため、射出面の間隔を大きくする場合、第1面から第2面まで直線状である利得領域を用いた例に比べて、利得領域の全長を短くすることができる。そのため、多大な電流を流す必要はなく、消費電力を抑えることができる。さらに、利得領域の全長を大きくしなくてよいので、装置全体の小型化を図ることができる。そのため、資源が無駄となることもなく、製造コストを抑えることができる。
【0018】
また、本適用例によれば、第5利得部分及び第6利得部分と接する場所の屈折率が、第1利得部分及び第3利得部分から第2利得部分及び第4利得部分に接近するに従って、第1屈折率から第2屈折率に連続して切り替わる。これにより、第1利得領域における第1利得部分と第3利得部分との接続部で生じる反射率、及び第2利得領域における第2利得部分と第4利得部分との接続部で生じる反射率を抑制することができる。これにより、第1利得領域及び第2利得領域で発生した光が、第1利得領域における第1利得部分と第3利得部分との接続部と、第2利得領域における第2利得部分と第4利得部分との接続部とでの多重反射を抑制することができる。従って、第1利得領域及び第2利得領域で発生した光を、効率よく外部に取り出すことができる。
【0019】
その結果、発光装置は、高効率かつ放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、射出面の間隔を大きくすることができる。
【0020】
[適用例3]上記適用例に記載の発光装置において、前記第1利得領域は、前記垂線に対して第1角度で傾いて前記第1面と接続し、前記第2利得領域は、前記垂線に対して第2角度で傾いて前記第1面と接続し、前記第1角度と前記第2角度とは、臨界角以上であって、同じ大きさであることが好ましい。
【0021】
本適用例によれば、第1面は、第1利得領域及び第2利得領域に発生する光を、全反射させることができる。従って、第1面における光損失を抑制することができ、効率よく光を反射させることができる。
【0022】
[適用例4]上記適用例に記載の発光装置において、前記第1利得領域は、前記第1面から前記第1利得部分まで、直線状に設けられた第7利得部分を有し、前記第2利得領域は、前記第1面から前記第2利得部分まで、直線状に設けられた第8利得部分を有することが好ましい。
【0023】
本適用例によれば、第1利得領域において発生し第1面において反射する光を、より確実に第2利得領域に入射させ、第2利得領域において発生し第1面において反射する光を、より確実に第1利得領域に入射させることができる。
【0024】
[適用例5]上記適用例に記載の発光装置において、前記第1利得部分及び前記第2利得部分は、前記積層体の積層方向から見て、円弧の形状を有することが好ましい。
【0025】
本適用例によれば、第1利得部分及び第2利得部分が円弧の形状であることから、光の内部反射を少なくして伝送することができる。その結果、放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、射出面の間隔を大きくすることができる。
【0026】
尚、本発明にかかる記載では、「電気的に接続」という文言を、例えば、「特定の部材(以下「A部材」という)に「電気的に接続」された他の特定の部材(以下「B部材」という)」等と用いている。本発明にかかる記載では、この例のような場合に、A部材とB部材とが、直接接して電気的に接続されているような場合と、A部材とB部材とが、他の部材を介して電気的に接続されているような場合とが含まれるものとして、「電気的に接続」という文言を用いている。
【0027】
[適用例6]上記適用例に記載の発光装置において、前記第1面は、劈開面であることが好ましい。
【0028】
本適用例によれば、例えば劈開面でない面をフォトリソグラフィー技術及びエッチング技術によって形成する場合に比べて、精度よく第1面を形成することができる。従って、端面における光散乱を小さくすることができる。その結果、第1面における光損失を抑制することができ、効率よく光を反射させることができる。
【0029】
[適用例7]本適用例にかかるプロジェクターは、上記に記載の発光装置と、前記発光装置から射出された光を集光するマイクロレンズと、前記マイクロレンズによって集光された光を、画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、を含むことを特徴とする。
【0030】
本適用例によれば、発光装置が射出した光をマイクロレンズが集光する。集光された光を光変調装置が変調する。そして、変調した光を投射装置が投射している。発光装置は、高効率かつ放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、射出面の間隔を大きくすることができる。従って、マイクロレンズを用いて光軸のアライメントを容易行うことができる。その結果、本適用例のプロジェクターは効率良く均一な光を射出する発光装置を備えたプロジェクターとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1にかかる発光装置を示す模式平面図。
【図2】実施形態1にかかる発光装置を示す要部模式断面図。
【図3】実施形態1にかかる発光装置を示す要部模式断面図。
【図4】実施形態1にかかる発光装置を示す要部模式断面図。
【図5】実施形態1にかかる利得領域の有効屈折率プロファイル。
【図6】実施形態1にかかる発光装置の製造方法を説明するための模式図。
【図7】実施形態1にかかる発光装置の製造方法を説明するための模式図。
【図8】実施形態1にかかる発光装置の製造方法を説明するための模式図。
【図9】実施形態2にかかる発光装置の構造を示す模式平面図。
【図10】実施形態2にかかる発光装置における要部断面図。
【図11】実施形態2にかかる発光装置における有効屈折率プロファイル。
【図12】実施形態2にかかる発光装置の形成方法を説明するための模式図。
【図13】実施形態2にかかる発光装置の形成方法を説明するための模式図。
【図14】実施形態2にかかる発光装置の形成方法を説明するための模式図。
【図15】実施形態3かかる発光装置の構造を示す模式平面図。
【図16】実施形態4にかかる発光装置の構造を示す模式平面図。
【図17】実施形態5にかかるプロジェクターの構造を示す模式図。
【図18】実施形態5にかかるプロジェクターの構成を示す要部模式図。
【図19】実施形態5にかかるプロジェクターの光源を示す模式図。
【図20】実施形態5かかるプロジェクターの光源を示す模式側断面図。
【図21】実施形態5かかるプロジェクターの光源の変形例を示す模式側断面図。
【図22】実施形態5かかるプロジェクターの光源の変形例を示す模式側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0033】
(実施形態1)
1. 発光装置
まず、本実施形態にかかる発光装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態にかかる発光装置を示す模式平面図である。図2は、本実施形態にかかる発光装置を示す要部模式断面図であって、図1のII−II’線に沿う断面図である。図3は、本実施形態にかかる発光装置を示す要部模式断面図であって、図1のIII−III’線に沿う断面図である。図4は、本実施形態にかかる発光装置を示す要部模式断面図であって、図1のIV−IV’線に沿う断面図である。尚、図1では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0034】
以下では、発光装置100がInGaAlP系(赤色)のSLDである場合について説明する。SLDは、半導体レーザーと異なり、端面反射による共振器の形成を抑えることにより、レーザー発振を防止することができる。そのため、スペックルノイズを低減することができる。
【0035】
図1、図2、図3及び図4に示すように、発光装置100は積層体120と第1電極112と第2電極114とを含むことができる。
【0036】
積層体120は、基板102と第1層としての第1クラッド層104と第3層としての活性層106と第2層としての第2クラッド層108と第4層としてのコンタクト層110と絶縁層116とを有することができる。積層体120の形状は、特に限定されないが例えば、直方体や立方体を採用することができる。
【0037】
基板102としては、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaAs基板等を用いることができる。第1クラッド層104は基板102上に形成されている。第1クラッド層104は、例えば、n型のInGaAlP層等を用いることができる。そして、第2クラッド層108は第1クラッド層104と同様な材質にて構成されている。尚、図示はしないが、基板102と第1クラッド層104との間に、バッファー層が形成されていてもよい。バッファー層としては、例えば、n型のGaAs層、AlGaAs層、InGaP層等を用いることができる。バッファー層は、その上方に形成される層の結晶性を向上させることができる。
【0038】
活性層106は第1クラッド層104上に形成されている。活性層106は、第1クラッド層104と第2クラッド層108とに挟まれている。活性層106は、例えば、InGaPウェル層とInGaAlPバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸(MQW)構造を有する。
【0039】
発光装置100の側面である第1面130、第2面132、第3面134、第4面136は平坦な面である。第1面130及び第2面132は互いに対向しており図示の例では平行である。第3面134及び第4面136は第1面130及び第2面132と交差して接続する面であって互いに対向しており図示の例では平行である。
【0040】
第1面130は、劈開によって形成された劈開面である。第2面132は、第1面130に対向していれば、形成方法は特に限定されないが、例えば第2面132も劈開面とすることで、容易に第1面130に対向させることができる。
【0041】
活性層106の一部は、第1利得領域160及び第2利得領域170を構成している。第1利得領域160及び第2利得領域170は、光を発生させることができ、この光は、第1利得領域160及び第2利得領域170内を、利得を受けつつ導波することができる。
【0042】
第1利得領域160及び第2利得領域170は角柱状であり、図1に示すように、第1面130から第2面132まで設けられている。そして、第1利得領域160は第1面130に設けられた第1端面180と第2面132に設けられた第2端面182とを有する。第2利得領域170は第1面130に設けられた第3端面184と第2面132に設けられた第4端面186とを有する。
【0043】
第1利得領域160の第1端面180と第2利得領域170の第3端面184とは第1面130において重なっている。図示の例では、第1端面180と第3端面184とは完全に重なっている。一方、第1利得領域160の第2端面182と、第2利得領域170の第4端面186とは、第2面132において、間隔Dで離間している。
【0044】
第1利得領域160は、図1に示すように積層体120の積層方向から見た平面視において、第1面130の垂線Pに対して一方側(第3面134側)に傾いて第1面130と接続している。より具体的には、第1利得領域160は、垂線Pに対して第1角度α1傾いて第1面130と接続している。第2利得領域170は、平面視において垂線Pに対して他方側(第4面136側)に傾いて第1面130と接続していている。より具体的には、第2利得領域170は、垂線Pに対して第2角度α2傾いて第1面130と接続している。
【0045】
尚、第1角度α1は、第1利得領域160に発生する光の第1面130に対する入射角である。第2角度α2は、第2利得領域170に発生する光の第1面130に対する入射角である。第1角度α1と第2角度α2とは、同じ大きさの鋭角であり、臨界角以上である。これにより、第1面130は、第1利得領域160及び第2利得領域170に発生する光を、全反射させることができる。
【0046】
第1利得領域160及び第2利得領域170は、同じ向きに傾いて第2面132と接続している。より具体的には、第1利得領域160及び第2利得領域170は、垂線Pに対して第3角度βで傾いて第2面132と接続している。第3角度βは、鋭角であって臨界角より小さい角度であれば、0°であってもよい。これにより、第1利得領域160の第2端面182から射出される射出光20と、第2利得領域170の第4端面186から射出される射出光22とは、同一の方向に進むことができる。第2端面182及び第4端面186は射出面である。尚、第3角度βは、第1利得領域160及び第2利得領域170に発生する光の第2面132に対する入射角である。
【0047】
以上のとおり、発光装置100は第1角度α1及び第2角度α2が臨界角以上とし、第3角度βが臨界角より小さくなるように設定されている。これにより、第1利得領域160及び第2利得領域170に発生する光の波長帯において、第1面130の反射率を、第2面132の反射率より高くすることができる。すなわち、第1面130は反射面となることができ、第2面132は射出面とすることができる。
【0048】
尚、図示はしないが、例えば、第1面130を反射膜で覆い、第2面132を反射防止膜で覆ってもよい。これにより、第1利得領域160及び第2利得領域170に発生する光の波長帯において、第1面130の反射率を、第2面132の反射率よりさらに高くすることができる。反射膜及び反射防止膜としては、例えば、SiO2層、Ta25層、Al23層、TiN層、TiO2層、SiON層、SiN層や、これらの多層膜等を用いることができる。
【0049】
さらに、第3角度βが0°より大きく、かつ、臨界角より小さい角度であるか、第2面132が反射防止膜で覆われているか、のうち少なくともいずれかであることができる。これにより、第2端面182と第4端面186との間で、第1利得領域160及び第2利得領域170に発生する光を、多重反射させないようにすることができる。その結果、直接的な共振器を構成させないことができるため、第1利得領域160及び第2利得領域170に発生する光のレーザー発振を抑制または防止することができる。
【0050】
第1利得領域160は第1利得部分162を有する。同様に、第2利得領域170は、第2利得部分172を有する。第1利得部分162及び第2利得部分172は、第1面130と接続している部分である。すなわち、第1利得部分162は、第1利得領域160の第1端面180を構成し、第2利得部分172は、第2利得領域170の第3端面184を構成している。
【0051】
第1利得部分162は、積層体120の積層方向から見た平面視において、第1の曲率を備えた形状である。第2利得部分172は、平面視において、第2の曲率を備えた形状である。第1の曲率と第2の曲率とは、同じ値であってもよし、異なる値であってもよい。図示の例では、第1利得部分162及び第2利得部分172は円弧の形状を有し同じ曲率半径を有している。第2利得部分172の円弧の長さは第1利得部分162の円弧の長さより小さくてもよい。例えば、第1利得部分162は、点O1を中心とする円弧の形状を有し、第2利得部分172は、点O2を中心とする円弧の形状を有する。点O1は、第1端面180及び第3端面184を通る垂線Pに対して、第4面136側に位置し、点O2は、該垂線Pに対して、第3面134側に位置している。
【0052】
第1利得部分162及び第2利得部分172を含む積層体120の垂直断面の有効屈折率を第1利得部分162及び第2利得部分172の有効屈折率と称す。そして、第1利得領域160及び第2利得領域170を避けた積層体120の垂直断面の有効屈折率を第1利得領域160及び第2利得領域170を避けた位置の有効屈折率と称す。このとき、第1利得領域160及び第2利得領域170に発生する光は、第1利得部分162及び第2利得部分172の有効屈折率と、第1利得領域160及び第2利得領域170を避けた位置の有効屈折率と、の差により、円弧状の第1利得部分162及び第2利得部分172内を進行することができる。
【0053】
尚、有効屈折率は第1利得領域160及び第2利得領域170を伝搬する光に対する実効的な屈折率を示す。有効屈折率は実効屈折率とも称す。位相係数をβとし、自由空間波数をk0とするとき、有効屈折率はβ/k0で定義される。
【0054】
第1利得部分162及び第2利得部分172の曲率半径は、第1利得部分162及び第2利得部分172の有効屈折率と、第1利得領域160及び第2利得領域170を避けた位置の有効屈折率と、の差に応じて設定される。第1利得部分162及び第2利得部分172の曲率半径は特に限定されないが、本実施形態では例えば、800μm以上である。第1利得部分162及び第2利得部分172の曲率半径が800μm未満であるとき、効率よく第1利得部分162及び第2利得部分172内の光を導波させることができない場合がある。好ましくは、第1利得部分162及び第2利得部分172の曲率半径は1600μm程度である。これにより、不必要に発光装置100全体を大きくすることなく、効率よく第1利得部分162及び第2利得部分172内の光を導波させることができる。
【0055】
第1利得領域160は、さらに、第3利得部分164を有することができる。同様に、第2利得領域170は、さらに、第4利得部分174を有することができる。第3利得部分164は、第1利得部分162から第2面132まで、直線状に設けられている。すなわち、第3利得部分164は、第1利得領域160の第2端面182を構成している。第3利得部分164は、円弧状の第1利得部分162と滑らかに接続されている。例えば、第3利得部分164は、第1利得部分162と第3利得部分164との境界上の点における接線と平行となるように設けられている。第3利得部分164は、垂線Pに対して、第3角度β(0°を含む)で傾斜している。
【0056】
第4利得部分174は、第2利得部分172から第2面132まで、直線状に設けられている。すなわち、第4利得部分174は、第2利得領域170の第4端面186を構成している。第4利得部分174は、円弧状の第2利得部分172と滑らかに接続されている。第2利得部分172及び第4利得部分174の境界上の点において、第2利得部分172の接線と第4利得部分174の接線とは平行となるように設けられているのが好ましい。第4利得部分174は垂線Pに対して第3角度β(0°を含む)で傾斜している。
【0057】
第3利得部分164と第4利得部分174とは互いに平行である。第4利得部分174の長さは、特に限定されないが、第3利得部分164の長さより大きくてもよい。
【0058】
第1利得領域160は、さらに、第5利得部分166を有することができる。また、第1接続部分140は、第5利得部分166を挟むように形成される。同様に、第2利得領域170は、さらに、第6利得部分176を有することができる。また、第2接続部分150は、第6利得部分176を挟むように形成される。
【0059】
第5利得部分166は、第1利得部分162の一部と、第3利得部分164の一部とで形成することができる。本実施形態では第5利得部分166が第1利得部分162の一部と第3利得部分164の一部との両方で形成される例を示したが、どちらか一方で形成されていてもよい。
【0060】
第6利得部分176は、第2利得部分172の一部と、第4利得部分174の一部とで形成することができる。本実施形態では第6利得部分176が第2利得部分172の一部と第4利得部分174の一部との両方で形成される例を示したが、どちらか一方で形成されていてもよい。
【0061】
図4に示すように、第1利得部分162及び第2利得部分172の両側は絶縁層116に挟まれており、第3利得部分164及び第4利得部分174の両側は積層体120となっている。そして、第1接続部分140及び第2接続部分150の両側は絶縁層116から積層体120に切り替わる部分となっている。
【0062】
第1利得部分162及び第2利得部分172と第1接続部分140及び第2接続部分150との境界位置を位置X1とする。また、第1接続部分140及び第2接続部分150と第3利得部分164及び第4利得部分174との境界位置を位置X3とする。第1接続部分140及び第2接続部分150において絶縁層116と積層体120とは階段状に接合している。そして、位置X1と位置X3との間に形成される段差の開始位置を位置X2とする。つまり、位置X1〜位置X3は第1面130側から第2面132側に向かって並んで配置されている。
【0063】
基板102の厚み方向において階段形状の最下部の位置を位置Y0とする。階段形状の最上部の位置を位置Y3とする。位置Y0と位置Y3との間を3等分した場所を位置Y1、位置Y2とする。従って、位置Y0〜位置Y3は基板102の厚み方向において等間隔になっている。位置X1における段差は位置Y0から位置Y1であり、位置X2における段差は位置Y1から位置Y2である。位置X3における段差は位置Y2から位置Y3となっている。
【0064】
第1接続部分140及び第2接続部分150の断面形状は、上面113を最上部とし柱状部111を形成するために、例えば、エッチング等の手法で露出された層を最下部とした階段形状をなしている。本実施形態では、3段の階段形状を成す例を示したが、段数は2段以上で任意にとることができる。本実施形態では、基板102の途中の面が最下部を成す例を示したが、例えば、第1クラッド層104の途中の面を階段形状の最下部としても良い。他にも、基板102と第1クラッド層104とが接する面を階段形状の最下部としても良い。
【0065】
また、ここでは、位置X1と位置X2の間隔、及び位置X2と位置X3の間隔は等しい間隔でも良く、それぞれ異なる間隔に設定しても良い。
【0066】
上記階段形状の1段あたりの段差は、上面113からなる最上部と、任意の層の途中からなる最下部との間に、任意な段数の段差を設置しても良い。本実施形態では、階段形状の段差、すなわち、位置Y0と位置Y1の間隔、位置Y1と位置Y2の間隔、位置Y2と位置Y3の間隔を総て等しい間隔に設定したが、それぞれ異なる間隔に設定しても良い。射出光20及び射出光22が効率良く射出する条件に設定しても良い。
【0067】
第1接続部分140は、第1利得部分162と第3利得部分164の接続部に隣接した位置に形成されている。第1接続部分140は、第1利得部分162に隣接した位置と、第3利得部分164に隣接した位置と、のいずれかを含んで形成することができる。また、第1接続部分140は、第1利得領域160を挟んで、第3面134側と第4面136側との両方で同じ階段状の断面になるように形成されていることが望ましい。これにより、第1利得部分162と第3利得部分164との結合効率をより高くすることができる。
【0068】
同様に、第2接続部分150は、第2利得部分172と第4利得部分174の接続部に隣接した位置に形成されている。第2接続部分150は、第2利得部分172に隣接した位置と、第4利得部分174に隣接した位置と、のいずれかを含んで形成することができる。また、第2接続部分150は、第2利得領域170を挟んで、第3面134側と第4面136側との両方で同じ階段状の断面になるように形成されていることが望ましい。これにより、第2利得部分172と第4利得部分174との結合効率をより高くすることができる。
【0069】
図5は、図1のV−V’線に沿った利得領域の有効屈折率プロファイルである。また、図5において横軸は位置を示し位置X1,X2,X3は、図4に示す位置X1,X2,X3と同じ位置を示している。縦軸は有効屈折率を示し、図中上側の有効屈折率が高くなっている。屈折率n1は、第1利得部分162及び第2利得部分172の有効屈折率であり、屈折率n3は第3利得部分164及び第4利得部分174の有効屈折率である。屈折率n12は、位置X1と位置X2との間の有効屈折率であり、屈折率n23は、位置X2と位置X3との間の有効屈折率である。
【0070】
図4に示すように、第1接続部分140の断面形状が、前記したように階段形状に形成すると、第5利得部分166の有効屈折率プロファイルは、図5に示すように、位置X1、X2、X3を境におおよそ階段状となる。絶縁層116は第1クラッド層104、活性層106、第2クラッド層108に比べて誘電率が小さくなっている。そして、位置X1、位置X2、位置X3と移行するに従って、第1利得領域160の側面を絶縁層116が占める割合が小さくなっている。そして、第1利得領域160の側面を絶縁層116が占める割合が小さい程、有効屈折率が大きくなる。この内容は第2利得領域170においても同様である。
【0071】
すなわち、有効屈折率n1、n12、n23、n3の大小関係は、n1<n12<n23<n3となる。本実施形態では、屈折率n12と屈折率n1との屈折率差と、屈折率n23と屈折率n12との屈折率差と、屈折率n3と屈折率n23との屈折率差が、互いに等しいように設定した。これに限らず、接続部分の階段構造の取り方や、積層体120の構成材料の選択によって、任意に屈折率差を決定することができる。
【0072】
第1接続部分140では第1利得部分162側から第3利得部分164側に移行するのに従って有効屈折率が高くなっている。そして、第1利得部分162では柱状部111が円弧状であり、第1利得領域160の側面を光が反射して進行している。そして、第1接続部分140において、第1利得領域160は円弧状から直線状に切り替わる。このとき、有効屈折率が急に切り替わると光が第1利得領域160の側面から逸脱する率が高くなる。一方、有効屈折率を階段状に切り替えることにより、光が第1利得領域160の側面から逸脱しないようにすることができる。
【0073】
つまり、第1接続部分140を備える事で、第1利得部分162から第3利得部分164へ光が導波する際に生じる第1利得部分162と第3利得部分164との界面での反射ロスを軽減することができる。同様に、前記の第2接続部分150を備える事で、第2利得部分172から第4利得部分174へ光が導波する際に生じる、第2利得部分172と第4利得部分174との界面での反射ロスを軽減することができる。結果として、第2端面182、第4端面186から、効率よく光を射出させることができる。
【0074】
第2クラッド層108は、図2に示すように、活性層106上に形成されている。第2クラッド層108としては、例えば、第2導電型(例えばp型)のInGaAlP層等を用いることができる。
【0075】
例えば、p型の第2クラッド層108、不純物がドーピングされていない活性層106、及びn型の第1クラッド層104により、pinダイオードが構成される。第1クラッド層104及び第2クラッド層108の各々は、活性層106よりも禁制帯幅が大きく、屈折率が小さい層である。活性層106は、光を発生させ、かつ光を増幅しつつ導波させる機能を有する。第1クラッド層104及び第2クラッド層108は、活性層106を挟んで、注入キャリア(電子及び正孔)並びに光を閉じ込める機能(光の漏れを抑制する機能)を有する。
【0076】
発光装置100は、第1電極112と第2電極114との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、活性層106の第1利得領域160及び第2利得領域170において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。この生じた光を起点として、連鎖的に誘導放出が起こり、第1利得領域160及び第2利得領域170内で光の強度が増幅される。
【0077】
例えば、図1に示すように、第1利得領域160に生じる光10の一部は、第1利得領域160内で増幅された後、第1面130において反射して、第2利得領域170の第4端面186から射出光22として射出されるが、反射後の第2利得領域170内においても光強度が増幅される。同様に、第2利得領域170に生じる光の一部は、第2利得領域170内で増幅された後、第1面130において反射して、第1利得領域160の第2端面182から射出光20として射出されるが、反射後の第1利得領域160内においても光強度が増幅される。
【0078】
尚、第1利得領域160にて発生する光の中には、直接、第2端面182から射出光20として射出されるものもある。同様に、第2利得領域170に発生する光の中には、直接、第4端面186から射出光22として射出されるものもある。これらの光も同様に各第1利得領域160及び第2利得領域170内において増幅される。
【0079】
コンタクト層110は、図2、図3に示すように、第2クラッド層108上に形成されている。すなわち、コンタクト層110は、第2クラッド層108の活性層106側とは反対側に形成されている。コンタクト層110は、第2電極114とオーミックコンタクトすることができる。コンタクト層110の上面113は、コンタクト層110と第2電極114との接触面であるといえる。コンタクト層110としては、例えば、p型のGaAs層等を用いることができる。
【0080】
図2に示すように、第1利得部分162及び第2利得部分172の柱状部111は、コンタクト層110と、第2クラッド層108と、活性層106と、第1クラッド層104と、基板102の一部と、によって構成することができる。すなわち、第1利得部分162及び第2利得部分172において、コンタクト層110の上面113の平面形状は、第1利得部分162及び第2利得部分172の平面形状と同じであるといえる。例えば、柱状部111の平面形状によって、第1電極112及び第2電極114間の電流経路が決定され、その結果、第1利得部分162及び第2利得部分172の平面形状が決定される。尚、図示はしないが、柱状部111の側面を傾斜させることもできる。
【0081】
図3に示すように、第3利得部分164及び第4利得部分174は、いわゆる利得導波型の断面形状を有することができる。すなわち、第3利得部分164及び第4利得部分174の平面形状は、絶縁層116の開口形状(コンタクト層110と第2電極114が接する利得部分の形状)で決定される。
【0082】
また、図示しないが、第3利得部分164及び第4利得部分174が、いわゆる屈折率導波型であってもよい。すなわち、例えば、コンタクト層110と、第2クラッド層108の一部と、によって構成された柱状部を備え、第3利得部分164及び第4利得部分174の平面形状が、該柱状部の平面形状で決定される構造を取ることができる。
【0083】
図2に示すように、絶縁層116は、基板102上であって、柱状部111の側方に形成されている。絶縁層116は、柱状部111の側面に接していることができる。絶縁層116の上面は、例えば、コンタクト層110の上面113と連続している。絶縁層116としては、例えば、SiN層、SiO2層、SiON層、Al23層、ポリイミド層等を用いることができる。図2における絶縁層116と、図3における絶縁層116は、同じ材料で形成してもよいし、別の材料で形成してもよい。また、絶縁層116は、単一の材料で形成されていてもよいし、複数の材料で形成してもよい。
【0084】
絶縁層116として上記の材料を用いた場合、第1電極112及び第2電極114間の電流は絶縁層116を避けて絶縁層116に挟まれた柱状部111を流れることができる。絶縁層116は活性層106の屈折率よりも小さい屈折率を有することができる。この場合、絶縁層116を形成した第1利得部分162及び第2利得部分172の垂直断面の有効屈折率は、絶縁層116を形成しない利得部分、すなわち、柱状部111が形成された第1利得部分162及び第2利得部分172の垂直断面の有効屈折率よりも小さくなる。これにより、平面方向において、第1利得領域160及び第2利得領域170内に効率良く光を閉じ込めることができる。尚、図示はしないが、絶縁層116を設けないこともできる。絶縁層116が空気であると解釈してもよい。
【0085】
第1電極112は、基板102の下の全面に形成されている。第1電極112は、該第1電極112とオーミックコンタクトする層(図示の例では基板102)と接している。第1電極112は基板102を介して第1クラッド層104と電気的に接続されている。第1電極112は発光装置100を駆動するための一方の電極である。第1電極112としては、例えば、基板102側からCr層、AuGe層、Ni層、Au層の順序で積層したもの等を用いることができる。
【0086】
尚、第1クラッド層104と基板102との間に、第2コンタクト層(図示せず)を設け、ドライエッチング等により該第2コンタクト層を露出させ、第1電極112を第2コンタクト層上に設けることもできる。これにより、片面電極構造を得ることができる。この形態は、基板102が絶縁性である場合に特に有効である。
【0087】
第2電極114は、コンタクト層110の上面113に接して形成されている。さらに、第2電極114は、絶縁層116上に形成されていてもよい。第2電極114は、コンタクト層110を介して、第2クラッド層108と電気的に接続されている。第2電極114は、発光装置100を駆動するための他方の電極である。第2電極114としては、例えば、コンタクト層110側からCr層、AuZn層、Au層の順序で積層したもの等を用いることができる。
【0088】
以上、本実施形態にかかる発光装置100の一例として、InGaAlP系の場合について説明したが、発光装置100は、発光利得領域が形成可能なあらゆる材料系を用いることができる。半導体材料であれば、例えば、AlGaN系、GaN系、InGaN系、GaAs系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、ZnCdSe系等の半導体材料を用いることができる。
【0089】
本実施形態にかかる発光装置100は、例えば、プロジェクター、ディスプレイ、照明装置、計測装置等の光源に適用されることができる。
【0090】
本実施形態にかかる発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
発光装置100によれば、第1利得領域160は、第1の曲率を備えた第1利得部分162を有し、第2利得領域170は、第2の曲率を備えた第2利得部分172を有する。そのため、第1利得領域160及び第2利得領域170に発生する光の第2面132に対する入射角βを大きくすることなく、第1利得領域160の第2端面182と、第2利得領域170の第4端面186と、の間隔D(射出面の間隔D)を大きくすることができる。これにより、発光装置100に接続して設置するレンズアレイの間隔が大きいときにも、レンズアレイに合わせて配置し射出光の放射パターンが歪むことを抑制することができる。例えば発光装置をプロジェクターの光源に用いた場合に、ライドバルブを均一に照明することができる。
【0091】
さらに、発光装置100によれば、第1面130から第2面132まで直線状である利得領域を用いた例に比べて、間隔Dを大きくするために、利得領域の全長を大きくしなくてよい。そのため、多大な電流を流す必要はなく、消費電力を抑えることができる。さらに、利得領域の全長を大きくしなくてよいので、装置全体の小型化を図ることができる。そのため、資源が無駄となることもなく、製造コストを抑えることができる。
【0092】
以上のように、発光装置100では、放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、間隔Dを大きくすることができる。より具体的には例えば、発光装置100では、射出面の間隔Dを0.262mm以上1509mm以下とし、角度βを0°以上、かつ5°以下とし、第1利得領域160及び第2利得領域170の全長を1.5mm以上3mm以下とすることができる。
【0093】
発光装置100によれば、第1利得領域160は、垂線Pに対して第1角度α1で傾いて第1面130と接続し、第2利得領域170は、垂線Pに対して第2角度α2で傾いて第1面130と接続することができる。そして、第1角度α1と第2角度α2とは、臨界角以上であって、同じ大きさであることができる。そのため、第1面130は、第1利得領域160及び第2利得領域170に発生する光を、全反射させることができる。したがって、発光装置100では、第1面130における光損失を抑制することができ、効率よく光を反射させることができる。さらに、第1面130に反射膜を形成する工程が不要となるので、製造コスト及び製造に必要な材料・資源を削減することができる。
【0094】
発光装置100によれば、第1面130は、劈開によって形成された劈開面であることができる。そのため、例えば、フォトリソグラフィー技術及びエッチング技術によって形成する場合に比べて、精度よく第1面130を形成することができ、端面における光散乱を小さくすることができる。したがって、発光装置100では、第1面130における光損失を抑制することができ、効率よく光を反射させることができる。
【0095】
2. 発光装置の製造方法
次に、本実施形態にかかる発光装置の製造方法について、図6〜図8を参照しながら説明する。図6〜図8は、発光装置の製造方法を説明するための模式図である。図7は、本実施形態にかかる発光装置100における、第1接続部分140及び第2接続部分150の形成工程を模式的に示す断面図であって、図4に対応している。図8は、本実施形態にかかる発光装置100における、第1利得部分162、第2利得部分172の形成工程を模式的に示す断面図であって、図2に対応している。
【0096】
図6に示すように、基板102上に、第1クラッド層104、活性層106、第2クラッド層108、及びコンタクト層110を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等を用いることができる。
【0097】
図7(a)、(b)、(c)に示すように、第1接続部分140及び第2接続部分150は接続部分の段数に応じて複数回のパターニングで形成される。ここでは、3段の階段形状を備えた接続部分の例を示している。その場合、例えば、図7(a)に示す位置Y2を露出させる工程、図7(b)に示す位置Y1を露出させる工程、図7(c)に示す位置Y0を露出させる工程、の順に、3回のパターニングで形成する。パターニングは、例えば、公知のフォトリソグラフィー技術及びエッチング技術を用いて行われるので、詳細な説明を省略する。複数回のパターニングの順番は、特に限定されない。最終的に階段形状が形成できる範囲内で任意に選択することができる。すなわち、例えば、図7(c)に示す位置Y0を露出させる工程、図7(b)に示す位置Y1を露出させる工程、図7(a)に示す位置Y2を露出させる工程、の順に行うこともできる。本工程により、第1接続部分140及び第2接続部分150を形成することができる。
【0098】
図8に示すように、続いて、第1利得部分162及び第2利得部分172は、コンタクト層110、第2クラッド層108、活性層106、第1クラッド層104、基板102をパターニングする事で形成される。パターニングは、例えば、公知のフォトリソグラフィー技術及びエッチング技術を用いて行われる。また、詳細は図示しないが、第1利得部分162及び第2利得部分172は、前記の接続部分を形成する過程で同時に形成されてもよいし、接続部分形成とは別工程で形成してもよい。本工程により、柱状部111を形成することができる。
【0099】
図2、図3、図4に示すように、柱状部111の側面を覆うように絶縁層116を形成する。絶縁層116としては、上述のように、SiN層、SiO2層、SiON層、Al23層等の誘電体絶縁層や、ポリイミド層等の紫外線硬化樹脂層または熱硬化樹脂層を用いることができ、これらを積層させて絶縁層116としてもよい。尚、第1利得部分162及び第2利得部分172の有効屈折率と、第1利得領域160及び第2利得領域170を避けた利得部分の有効屈折率と、に所定の差を設けることを考慮する。そして、絶縁層116として、柱状部111との屈折率差の大きい誘電体絶縁層を用いることが望ましい。例えば、まず、誘電体絶縁層をCVD法やスパッタ法で成膜した後、ポリイミド層を塗布法により形成して、絶縁層116としてもよい。これにより、誘電体絶縁層を厚く成膜して絶縁層116とする場合に比べて、容易に(短時間で)絶縁層116を形成することができる。次に、例えば、公知のエッチング技術等を用いて、コンタクト層110の上面113を露出させる。以上の工程により、絶縁層116を形成することができる。
【0100】
次に、コンタクト層110上及び絶縁層116上に第2電極114を形成する。次に、基板102の下面下に第1電極112を形成する。第1電極112及び第2電極114は、例えば、公知の真空蒸着法により形成される。尚、第1電極112及び第2電極114の形成順序は、特に限定されない。
【0101】
以上の工程により、本実施形態にかかる発光装置100を製造することができる。
発光装置100の製造方法によれば、放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、複数の射出面の間隔を大きくすることができる発光装置100を得ることができる。
【0102】
(実施形態2)
3. 発光装置の変形例
次に、実施形態2にかかる発光装置について、図面を参照しながら説明する。以下、本実施形態の変形例にかかる発光装置において、実施形態1にかかる発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0103】
3.1. 発光装置
本実施形態が実施形態1と異なる点は接続部分がスロープ形状を成している点にある。まず、実施形態2にかかる発光装置について、図面を参照しながら説明する。図9は、実施形態2にかかる発光装置の構造を示す模式平面図である。また、図10は、実施形態2にかかる発光装置における要部断面図であり、図9のIV−IV’線に沿った断面、すなわち第1接続部分140及び第2接続部分150の線断面である。図11は、実施形態2にかかる発光装置における有効屈折率プロファイルであり、図9のV−V’線に沿った利得領域の有効屈折率プロファイルである。図12〜図14は、実施形態2にかかる発光装置の形成方法を説明するための模式図である。図14は、図13における、IV−IV’線に沿った利得領域の模式断面図である。尚、図9では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。
【0104】
実施形態1では発光装置100の第1接続部分140及び第2接続部分150の断面形状が階段状であった。これに対し、図9及び図10に示すように、発光装置200では第1接続部分140及び第2接続部分150の断面形状は、位置X1から位置X3に接近するにつれて位置Y0から位置Y3まで連続して柱状部111の高さが変化するようにスロープ形状を成している。かかる構造を成すことで、図11に示すように、第5利得部分166及び第6利得部分176の有効屈折率は、位置X1から位置X3に接近するにつれて、屈折率n1から屈折率n3へ、連続して変化させることができる。
【0105】
図14において、(a)はパターニング処理前、(b)はパターニング処理の途中の状態、(c)はパターニング処理後の断面図を示す。
【0106】
まず、図12に示すように、第1利得部分162及び第2利得部分172と第5利得部分166及び第6利得部分176を形成する位置に、ハードマスク122を形成する。
【0107】
その後、図13及び図14(a)に示すように、第1接続部分140及び第2接続部分150を形成するために、スロープ形状を有するレジスト118を形成する。レジスト118は、例えば、公知のフォトリソグラフィー技術でレジストパターンを形成した後、基板を加熱する等の手段でレジストリフロー処理を行う事で、スロープ状に形成する事ができる。ここでは、第3利得部分164及び第4利得部分174を形成する利得領域にもハードマスク122を形成した例を示したが、当該利得領域のマスクを、ハードマスクではなくレジストで形成してもよい。
【0108】
次に、上記方法で形成したレジスト118をマスクとして、エッチングを行う。レジスト118がスロープ形状を成しているため、エッチング後は、この形状がエピタキシャル結晶基板(ここでは、基板102と、第1クラッド層104と、活性層106と、第2クラッド層108と、コンタクト層110と、からなる多層基板をいう)に転写される。この際、レジスト118のエッチングレートと、エピタキシャル結晶基板とのエッチングレートが、おおよそ等しく、かつ、垂直性の高いエッチング条件を用いるのが望ましい。これにより、図14(b)の状態を経て、図14(c)のように、より正確にレジスト118の形状をエピタキシャル結晶基板に転写することができる。
【0109】
以上の工程により、断面形状がスロープ形状である第1接続部分140、第2接続部分150を形成することができる。
【0110】
発光装置200によれば、発光装置100と同じように、第1利得部分162から第3利得部分164へ光が導波する際に生じる、第1利得部分162と第3利得部分164との界面での反射ロスを軽減することができる。同様に、第2接続部分150を備える事で、第2利得部分172から第4利得部分174へ光が導波する際に生じる、第2利得部分172と第4利得部分174との界面での反射ロスを軽減することができる。結果として、第2端面182及び第4端面186から、効率よく光を射出させることができる。
【0111】
(実施形態3)
3.2. 発光装置の変形例
(直線導波路を介して反射端面に入射)
まず、実施形態3にかかる発光装置について、図面を参照しながら説明する。図15は、実施形態3かかる発光装置の構造を示す模式平面図である。尚、図15では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。以下、本実施形態にかかる発光装置において、実施形態1にかかる発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0112】
発光装置100の例では、曲率を有する第1利得部分162及び第2利得部分172が、第1面130と接続していた。これに対し、発光装置300では、図15に示すように、直線状の第7利得部分168及び第8利得部分178が第1面130と接続している。
【0113】
すなわち、第1利得領域160は、第1面130から第1利得部分162まで、直線状に設けられた第7利得部分168を有する。つまり、第7利得部分168は、第1利得領域160の第1端面180を構成している。第7利得部分168は、垂線Pに対して一方側(例えば第3面134側)に第1角度α1で傾いている。第7利得部分168は、円弧状の第1利得部分162と滑らかに接続されている。例えば、第7利得部分168は、第1利得部分162と第7利得部分168との境界上の点における接線と平行となるように設けられている。
【0114】
第2利得領域170は、第1面130から第2利得部分172まで、直線状に設けられた第8利得部分178を有する。つまり、第8利得部分178は、第2利得領域170の第3端面184を構成している。第8利得部分178は、垂線Pに対して他方側(例えば第4面136側)に第2角度α2で傾いている。第8利得部分178は、円弧状の第2利得部分172と滑らかに接続されている。例えば、第2利得部分172と第8利得部分178との境界上の点では第2利得部分172の接線と第8利得部分178の接線とが平行となるように設けられている。第7利得部分168及び第8利得部分178は、垂線Pに関して対称に配置されていてもよい。
【0115】
発光装置300によれば、上述のように、直線状の第7利得部分168及び第8利得部分178が、第1面130に設けられた第1端面180及び第3端面184を構成している。そのため、発光装置300では、発光装置100の例に比べて、より確実に、第1利得領域160において発生し第1面130において反射する光を第2利得領域170に入射させ、第2利得領域170において発生し第1面130において反射する光を第1利得領域160に入射させることができる。
【0116】
(実施形態4)
3.3. 発光装置の変形例
次に、実施形態4にかかる発光装置について、図面を参照しながら説明する。図16は、実施形態4にかかる発光装置の構造を示す模式平面図である。尚、図16では、便宜上、第2電極114の図示を省略している。以下、本実施形態にかかる発光装置において、実施形態1にかかる発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0117】
発光装置100の例では、第1利得領域160及び第2利得領域170は、1つずつ設けられていた。これに対し、発光装置400では、図16に示すように、第1利得領域160及び第2利得領域170の各々は、複数設けられている。
【0118】
すなわち、第1利得領域160及び第2利得領域170は、利得領域対450を構成することができ、発光装置400では、複数の利得領域対450が設けられている。図示の例では、3つの利得領域対450が設けられているが、その数は特に限定されない。
【0119】
複数の利得領域対450は、垂線Pの延びる方向と直交する方向に沿って、配列されている。より具体的には、隣り合う利得領域対450において、一方の利得領域対450の第4端面186と、他方の利得領域対450の第2端面182と、の間隔がDとなるように(射出面の間隔となるように)配列されている。これにより、後述するレンズアレイに、簡易に射出光20,22を入射させることができる。
【0120】
発光装置400によれば、発光装置100の例に比べて、高出力化を図ることができる。
【0121】
(実施形態5)
4. プロジェクター
次に、実施形態5にかかるプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。図17は、実施形態5にかかるプロジェクターの構造を示す模式図である。図18は、実施形態5にかかるプロジェクターの構成を示す要部模式図である。尚、図17では、便宜上、プロジェクターを構成する筐体を省略し、さらに光源を簡略化して図示している。また、図18では、便宜上、光源、レンズアレイ、及び液晶ライトバルブについて図示し、さらに光源を簡略化して図示している。
【0122】
図17に示すように、プロジェクター700は、赤色光、緑色光、青色光を射出する赤色光源600R、緑色光源600G、青色光源600Bを含む。光源600R,600G,600Bは、本実施形態にかかる発光装置100、発光装置200、発光装置300、発光装置400のいずれかを備えている。以下の例では、本発明にかかる発光装置として発光装置400を有する光源600R,600G,600Bについて説明する。
【0123】
図19は、実施形態5にかかるプロジェクターの光源を示す模式図である。図20は、実施形態5かかるプロジェクターの光源を示す模式側断面図であり、図19のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【0124】
光源600は、図19及び図20に示すように、発光装置400と、ベース610と、サブマウント620と、を有している。
【0125】
2つの発光装置400とサブマウント620とで構造体630を構成することができる。構造体630はベース610上に複数設けられ、図19に示すように、発光装置400の射出面となる第2端面182、第4端面186の配列方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に配列している。構造体630は、X方向の射出面の間隔とY方向の射出面の間隔とが同じになるように、配列されることができる。これにより、発光装置400から射出される光を、簡易に、レンズアレイ702R、レンズアレイ702G、レンズアレイ702Bのレンズアレイ702に入射させることができる。
【0126】
構造体630を構成する2つの発光装置400は、サブマウント620を挟んで配置されている。2つの発光装置400は、サブマウント620を介して第2電極114同士が対向するように配置されている。サブマウント620の第2電極114と接する面には、例えば、配線が形成されている。これにより、複数の第2電極114の各々に個別に電圧を供給することができる。サブマウント620の材質としては、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムが挙げられる。
【0127】
ベース610は、構造体630を支持している。図20に示す例では、ベース610は、複数の発光装置400の第1電極112と接続されている。これにより、ベース610は、複数の第1電極112の共通電極として機能することができる。ベース610の材質としては、例えば、銅、アルミニウムが挙げられる。図示はしないが、ベース610は、ペルチェ素子を介して、ヒートシンクと接続されていてもよい。
【0128】
尚、構造体630の形態は、図19及び図20に示す例に限定されない。図21及び図22は、実施形態5かかるプロジェクターの光源の変形例を示す模式側断面図である。例えば、図21に示すように、構造体630を構成する2つの発光装置400は、サブマウント620を介して、一方の発光装置400の第1電極112と、他方の発光装置400の第2電極114とが対向するように配置されていてもよい。また、図22に示すように、2つの発光装置400の第1電極112が、共通電極となるように配置されていてもよい。
【0129】
図17に示すように、プロジェクター700は、さらに、レンズアレイ702R,702G,702Bと、光変調装置としての透過型の液晶ライトバルブ704R,704G,704Bと、投射装置としての投射レンズ708と、表示面としてのスクリーン710と、を含む。
【0130】
光源600R,600G,600Bから射出された光は、各レンズアレイ702R,702G,702Bに入射する。図18に示すように、レンズアレイ702は、光源600側に、第2端面182及び第4端面186から射出される射出光20,22が入射する平坦面701を有することができる。平坦面701は、複数の第2端面182及び第4端面186に対応して複数設けられ、等間隔で配置されている。平坦面701によって、射出光20,22の光軸を、液晶ライトバルブ704の照射面705に対して、直交させることができる。
【0131】
レンズアレイ702は、液晶ライトバルブ704側に、凸曲面703を有することができる。凸曲面703は、複数の平坦面701に対応して複数設けられ、等間隔で配置されている。平坦面701において光軸が変換された射出光20,22は、凸曲面703によって、集光される、または拡散角を小さくされることにより、重畳(一部重畳)されることができる。これにより、均一性よく液晶ライトバルブ704を照射することができる。
【0132】
以上のように、レンズアレイ702は、光源600から射出される射出光20,22の光軸を制御して、射出光20,22を集光させることができる。
【0133】
図17に示すように、各レンズアレイ702R,702G,702Bによって集光された光は、各液晶ライトバルブ704R,704G,704Bに入射する。各液晶ライトバルブ704R,704G,704Bは、入射した光をそれぞれ画像情報に応じて変調する。そして、投射レンズ708は、液晶ライトバルブ704R,704G,704Bによって形成された像を拡大してスクリーン(表示面)710に投射する。
【0134】
また、プロジェクター700は、液晶ライトバルブ704R,704G,704Bから射出された光を合成して投射レンズ708に導く色光合成手段としてのクロスダイクロイックプリズム706を、含むことができる。
【0135】
各液晶ライトバルブ704R,704G,704Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム706に入射する。このプリズムは、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射光学系である投射レンズ708によりスクリーン710上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0136】
プロジェクター700によれば、放射パターンが良好で、小型化を図りつつ、複数の射出面の間隔を所望の値に設計することができる発光装置400を有する。そのため、プロジェクター700では、レンズアレイ702のアライメントが容易で、均一性よく液晶ライトバルブ704を照射することができる。
【0137】
尚、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0138】
また、光源600を、光源600からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の光源装置にも適用することが可能である。
【0139】
上記のプロジェクター700が備える光源600には発光装置400が搭載されている。発光装置400は効率良く射出光20及び射出光22を射出するので、プロジェクター700は効率よく光を射出することができる。
【0140】
上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0141】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例は総て本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0142】
104…第1層としての第1クラッド層、106…第3層としての活性層、108…第2層としての第2クラッド層、110…第4層としてのコンタクト層、112…第1電極、114…第2電極、116…絶縁層、120…積層体、130…第1面、132…第2面、160…第1利得領域、162…第1利得部分、164…第3利得部分、166…第5利得部分、168…第7利得部分、170…第2利得領域、172…第2利得部分、174…第4利得部分、176…第6利得部分、178…第8利得部分、600…発光装置としての光源、600B…発光装置としての青色光源、600G…発光装置としての緑色光源、600R…発光装置としての赤色光源、700…プロジェクター、702,702B,702G,702R…マイクロレンズとしてのレンズアレイ、704,704B,704G,704R…光変調装置としての液晶ライトバルブ、708…投射装置としての投射レンズ、α1…第1角度、α2…第2角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層、第2層、前記第1層と前記第2層とに挟まれた第3層、及び前記第2層の前記第3層側とは反対側に形成された第4層を有する積層体と、
前記第1層に電気的に接続された第1電極と、
前記第2層に電気的に接続され、前記第4層と接する第2電極と、
を含み、
前記第3層は、光を発生させ、かつ光が導波する、第1利得領域及び第2利得領域を有し、前記積層体の積層方向から見て、前記第1利得領域及び前記第2利得領域の形状は、前記第4層と前記第2電極との接触面と同じ形状であり、
前記第1層及び前記第2層は、前記第1利得領域及び前記第2利得領域に発生する光の漏れを抑制する層であり、
前記第4層は、前記第2電極とオーミックコンタクトする層であり、
前記第3層は、互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記第1利得領域及び前記第2利得領域に発生する光の波長帯において、前記第1面の反射率は、前記第2面の反射率よりも高く、前記第1利得領域及び前記第2利得領域は、前記第1面から前記第2面まで設けられ、
前記第1利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、前記第1面の垂線に対して一方側に傾いて前記第1面と接続し、
前記第2利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、前記垂線に対して他方側に傾いて前記第1面と接続し、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記積層体の積層方向から見て、同じ傾きに傾いて前記第2面と接続し、
前記第1利得領域の前記第1面側の端面と、前記第2利得領域の前記第1面側の端面とは、前記第1面において重なっており、
前記第1利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、第1の曲率を備えた第1利得部分と、直線状の第3利得部分と、前記第1利得部分と前記第3利得部分とに接続する第5利得部分と、を有し、
前記第2利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、第2の曲率を備えた第2利得部分と、直線状の第4利得部分と、前記第2利得部分と前記第4利得部分とに接続する第6利得部分と、を有し、
前記第1利得領域及び前記第2利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、絶縁層に挟まれており、前記第1利得部分及び前記第2利得部分と接する前記絶縁層の有効屈折率を第1屈折率とし、前記第3利得部分及び前記第4利得部分と接する有効屈折率を第2屈折率とするとき、前記第5利得部分及び前記第6利得部分と接する屈折率は、前記第1利得部分及び前記第3利得部分から前記第2利得部分及び前記第4利得部分に接近するに従って、前記第1屈折率から前記第2屈折率に階段状に切り替わることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
第1層、第2層、前記第1層と前記第2層とに挟まれた第3層、及び前記第2層の前記第3層側とは反対側に形成された第4層を有する積層体と、
前記第1層に電気的に接続された第1電極と、
前記第2層に電気的に接続され、前記第4層と接する第2電極と、
を含み、
前記第3層は、光を発生させ、かつ光が導波する、第1利得領域及び第2利得領域を有し、前記積層体の積層方向から見て、前記第1利得領域及び前記第2利得領域の形状は、前記第4層と前記第2電極との接触面と同じ形状であり、
前記第1層及び前記第2層は、前記第1利得領域及び前記第2利得領域に発生する光の漏れを抑制する層であり、
前記第4層は、前記第2電極とオーミックコンタクトする層であり、
前記第3層は、互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記第1利得領域及び前記第2利得領域に発生する光の波長帯において、前記第1面の反射率は、前記第2面の反射率よりも高く、前記第1利得領域及び前記第2利得領域は、前記第1面から前記第2面まで設けられ、
前記第1利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、前記第1面の垂線に対して一方側に傾いて前記第1面と接続し、
前記第2利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、前記垂線に対して他方側に傾いて前記第1面と接続し、
前記第1利得領域と前記第2利得領域とは、前記積層体の積層方向から見て、同じ傾きに傾いて前記第2面と接続し、
前記第1利得領域の前記第1面側の端面と、前記第2利得領域の前記第1面側の端面とは、前記第1面において重なっており、
前記第1利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、第1の曲率を備えた第1利得部分と、直線状の第3利得部分と、前記第1利得部分と前記第3利得部分とに接続する第5利得部分と、を有し、
前記第2利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、第2の曲率を備えた第2利得部分と、直線状の第4利得部分と、前記第2利得部分と前記第4利得部分とに接続する第6利得部分と、
を有し、
前記第1利得領域及び前記第2利得領域は、前記積層体の積層方向から見て、絶縁層に挟まれており、前記第1利得部分及び前記第2利得部分と接する前記絶縁層の有効屈折率を第1屈折率とし、前記第3利得部分及び前記第4利得部分と接する有効屈折率を第2屈折率とするとき、前記第5利得部分及び前記第6利得部分と接する屈折率は、前記第1利得部分及び前記第3利得部分から前記第2利得部分及び前記第4利得部分に接近するに従って、前記第1屈折率から前記第2屈折率に連続して切り替わることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発光装置において、
前記第1利得領域は、前記垂線に対して第1角度で傾いて前記第1面と接続し、
前記第2利得領域は、前記垂線に対して第2角度で傾いて前記第1面と接続し、
前記第1角度と前記第2角度とは、臨界角以上であって、同じ大きさであることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記第1利得領域は、
前記第1面から前記第1利得部分まで、直線状に設けられた第7利得部分を有し、
前記第2利得領域は、
前記第1面から前記第2利得部分まで、直線状に設けられた第8利得部分を有することを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記第1利得部分及び前記第2利得部分は、前記積層体の積層方向から見て、円弧の形状を有することを特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記第1面は、劈開面であることを特徴とする発光装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置から射出された光を集光するマイクロレンズと、
前記マイクロレンズによって集光された光を、画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含むことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−244028(P2012−244028A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114422(P2011−114422)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】