説明

発光装置

【課題】装置の使用時に発光効率が低下することがなく、LED素子へ大きな電流を流して光量を増大させることができ、かつ、良好な演色性の白色光を得ることのできる発光装置を提供する。
【解決手段】紫外、青色、緑色及び赤色の各LED素子が搭載され無機材料からなる搭載基板10と、この搭載基板10を収容し無機材料からなる筐体2と、紫外LED素子から発せられる光により励起されるSiC蛍光板3と、を備え、発光装置1の各部材を無機材料とすることにより耐熱性を向上させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED素子を備え、白色光を発する発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED素子と蛍光体との組合せにより、白色光を発する発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の発光装置は、300〜470nmの光を発するLED素子を備え、この光により励起される蛍光体によって部分的に又は完全により長波長の光に変換されることにより、白色光を生成している。尚、蛍光体は、LED素子を封止する封止樹脂に分散されている。
また、赤色LED素子、緑色LED素子及び青色LED素子の組合せにより、白色光を生成可能な発光装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特表2003−535478号公報
【特許文献2】特開2008−085324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の発光装置では、封止樹脂中の蛍光体の耐熱性が低く、装置の使用時に発光装置の温度が上昇すると発光効率が低下する。また、LED素子の発熱量が制限されるので、LED素子へ大きな電流を流して光量を増大させることは困難である。
ここで、特許文献2に記載の発光装置のように、蛍光体を用いずに赤色、緑色及び青色の各LED素子により白色光を得ることが考えられる。しかしながら、各LED素子の半値幅は蛍光体と比べて極めて小さく、得られる白色光の演色性が低くなってしまう。
【0004】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置の使用時に発光効率が低下することがなく、LED素子へ大きな電流を流して光量を増大させることができ、かつ、良好な演色性の白色光を得ることのできる発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明では、
紫外光を発する第1LED素子と、
可視光を発する第2LED素子と、
前記第1LED素子及び前記第2LED素子が搭載され、無機材料からなる基板と、
前記第1LED素子、前記第2LED素子及び前記基板を収容し、無機材料からなる筐体と、
B及びAlの少なくとも一方と、Nと、がドープされ、前記第1LED素子から発せられる光により励起されると可視光を発するSiC蛍光板と、を備えた発光装置が提供される。
【0006】
上記発光装置において、
前記第1LED素子は、ピーク波長が408nm以下の光を発し、
前記第2LED素子は、ピーク波長が408nmを超える光を発することが好ましい。
【0007】
また、上記発光装置において、
前記筐体は、開口を有し、
前記SiC蛍光板は、前記開口に設けられてもよい。
【0008】
また、上記発光装置において、
前記SiC蛍光板は、前記第1LED素子から発せられた光が入射する面に、前記第1LED素子の発光波長より小さな周期で形成された周期構造を有してもよい。
【0009】
また、上記発光装置において、
前記開口の前記SiC蛍光体の外側に設けられ、無機材料からなるレンズを備えてもよい。
【0010】
また、前記目的を達成するため、本発明では、
紫外光を発する紫外LED素子と、
青色光を発する青色LED素子と、
緑色光を発する緑色LED素子と、
赤色光を発する赤色LED素子と、
前記紫外LED素子、前記青色LED素子、前記緑色LED素子及び前記赤色LED素子が搭載され、無機材料からなる基板と、
前記紫外LED素子、前記青色LED素子、前記緑色LED素子、前記赤色LED素子及び前記基板を収容し、無機材料からなる筐体と、
B及びAlの少なくとも一方と、Nと、がドープされ、前記紫外LED素子から発せられる光により励起されると可視光を発するSiC蛍光板と、を備えた発光装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、SiC蛍光板は高い耐熱性を有するので、装置の使用時に従来のように発光効率が低下することはないし、装置自体の耐熱性が向上するので、LED素子へ大きな電流を流して光量を増大させることが可能となる。さらにまた、SiC蛍光板は、第1LED素子から発せられた光により励起されると、LED素子等と比べて半値幅の大きな光を発するので、良好な演色性の白色光を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態を示す発光装置の外観斜視図である。
図1に示すように、発光装置1は、一端に開口2aが形成された円筒状の筐体2と、この開口2aを閉塞するSiC蛍光板3と、筐体2の他端に形成される端子部4と、を有している。本実施形態においては、筐体2の一端側を上方向、他端側を下方向として説明する。筐体2には、端子部4から電力が供給される複数種類のLED素子が収容されており、LED素子から発せられる紫外光によりSiC蛍光板3が励起されて発光するようになっている。尚、LED素子から発せられた青色光、緑色光及び赤色光は、波長変換されることなくSiC蛍光体3を透過する。
【0013】
図2は、発光装置の概略縦断面図である。
図2に示すように、筐体2は、無機材料からなり、下端が閉塞され、この閉塞部分が底部2bをなしている。筐体2は、セラミックからなり、本実施形態においてAlNである。底部2bには、紫外LED素子11、青色LED素子12、緑色LED素子13及び赤色LED素子14を搭載する搭載基板10が固定される。搭載基板10の固定方法は任意であるが、本実施形態においては、搭載基板10は底部2bと螺合するねじ5により固定されている。筐体2の開口2aの部分は、段状に形成されており、SiC蛍光板3が段状部に固定されている。また、筐体2は、底部2bから下方へ突出するフランジ2cを有している。本実施形態においては、フランジ2cは、周方向に亘って形成されている。
【0014】
端子部4は、無機材料からなり、電力を供給する所定のソケットに対して螺合可能に構成される。端子部4は、筐体2のフランジ2cの内周面に固定される円筒部4aと、円筒部4aの下端と連続的に形成され下方へ向かって窄む傾斜部4bと、傾斜部4bの下端に設けられ外面に雄ねじが形成される第1電極部4cと、第1電極部4cの下端と連続的に形成され径方向内側へ延びる絶縁部4dと、絶縁部4dの径方向内側を閉塞する第2電極4eと、を有している。円筒部4a、傾斜部4b及び絶縁部4dは絶縁性を有するセラミックからなり、第1電極4c及び第2電極4eは導電性を有する金属からなる。円筒部4a、傾斜部4b及び絶縁部4dは、筐体2と同じ材料とすることが好ましい。第1電極4c及び第2電極4eは、内部導線6によりねじ5と電気的に接続されている。本実施形態においては、ねじ5は、導電性の金属からなり、搭載基板10と螺合すると、搭載基板10の配線パターンと電気的に接続されるようになっている。
【0015】
SiC蛍光板3は、6層ごとに周期的な構造をとる6H型のSiC結晶からなり、板状に形成されている。SiC蛍光板3は、ドナー不純物としてNを含むとともに、アクセプタ不純物としてAl及びBを含んでいる。SiC蛍光板3には、Alが例えば2×1018cm−3、Bが例えば1×1019cm−3、Nが例えば1.5×1019cm−3の濃度でドープされている。尚、Al、B及びNの濃度は任意であるが、SiC蛍光体3を励起させて発光させるには、AlとBの濃度の和が、Nの濃度よりも小さくなければならない。SiC蛍光板3は、紫外光により励起されると、ドナーとアクセプタの再結合により蛍光を生じる。SiC蛍光板3の製造方法は任意であるが、例えば昇華法、化学気相成長法によってSiC結晶を成長させて製造することができる。このとき、結晶成長中の雰囲気における窒素ガス(N)の分圧を適度に調整することにより、SiC蛍光板3における窒素濃度を任意に設定することができる。一方、Al及びBを単体で、または、Al化合物及びB化合物を原料に対して適量混合させることにより、SiC蛍光板3におけるAl濃度及びB濃度を任意に設定することができる。
【0016】
図3はSiC蛍光板の拡大図であり、(a)は一部縦断面図、(b)は一部平面図である。
図3(a)に示すように、SiC蛍光板3は、表面及び裏面に所定の周期構造が形成されている。周期構造は多数の略円錐状の凸部3aによって構成されており、各凸部3aがSiC蛍光板3の表面及び裏面に沿った方向に周期的に配列されている。尚、各凸部3aを、三角錐、四角錐のような多角錘形状としてもよい。
図3(b)に示すように、各凸部3aは、平面視にて、所定の周期で三角格子状に整列して形成される。各凸部3aの平均周期は、任意であるが、本実施形態では200nmとされている。なお、平均周期は、互いに隣接する凸部3aの平均ピーク間距離で定義される。各凸部3aは、略円錐状に形成され、平均的なボトム直径が150nmであり、平均高さが400nmとなっている。このように、透過する光の光学波長に対して十分に小さな周期構造を形成することにより、SiC蛍光板3と空気との界面にて反射することが防止できる。従って、各LED素子11,12,13,14から発せられる近紫外光および可視光をSiC蛍光板3へ効率よく入射させるとともに、SiC蛍光板3から可視光を効率よく出射させることができる。
【0017】
図4は、搭載基板の模式平面図である。
図4に示すように、搭載基板10は、平面視にて正方形状に形成され、各LED素子11,12,13,14が前後方向及び左右方向に所定の間隔をおいて搭載されている。本実施形態においては、各LED素子11,12,13,14は、平面視にて約350μm角に形成され、各LED素子11,12,13,14同士の間隔は約20μmとなっている。本実施形態においては、各LED素子11,12,13,14は、封止されていない。また、本実施形態においては、搭載基板10には、7列及び7行で計49個の各LED素子11,12,13,14が搭載される。詳しくは、紫外LED素子11が41個、青色LED素子12が2個、緑色LED素子13が4個、赤色LED素子14が2個となっている。
【0018】
第1LED素子としての紫外LED素子11は例えばピーク波長が380nmの光を発し、第2LED素子としての青色LED素子12は例えばピーク波長が450nmの光を発し、第2LED素子としての緑色LED素子13は例えばピーク波長が550nmの光を発し、第2LED素子としての赤色LED素子14は例えばピーク波長が650nmの光を発する。尚、各LED素子11,12,13,14は、材質が特に限定されることはなく、例えば、AlINGaN、AlGaN、InGaN、GaN、ZnSe、GaP、GaAsP、AlGaInP、AlGaAs等の材料を用いることができる。
【0019】
搭載基板10は、絶縁性の無機材料からなり、表面に配線パターン10aが形成されている。搭載基板10は、セラミックが好ましく、本実施形態においてはAlNから形成される。尚、搭載基板10は、例えばSi、SiC等により形成してもよいし、不純物アクセプタ及び不純物ドナーがドープされた波長変換SiCとしてもよい。また、搭載基板10は、4つの角部にてねじ5により筐体2に締結されている。4つのねじ5のうち、対角に位置する2つのねじ5に配線パターン10aが電気的に接続されている。
【0020】
図5は、LED素子を搭載基板へ搭載する説明図であり、(a)はLED素子を搭載する前の搭載基板の平面図、(b)はLED素子を搭載する際の搭載基板の側面図、(c)はLED素子を搭載した後の搭載基板の側面図である。
図5(a)に示すように、搭載基板10には、例えばSnからなる配線パターン10aが形成され、各LED素子11との電気接続位置にはSn膜10bが形成されている。尚、図5(a)においては、フリップチップ型の各LED素子11を図示している。
一方、図5(b)に示すように、各LED素子11の一対の電極には、Au膜11aが形成されている。そして、図5(b)中の矢印に示すように、搭載基板10のSn膜10b上に、Au膜11aを下方として各LED素子11を載置する。
この状態で、搭載基板10を、水素ガスと窒素ガスの混合ガスよりなるフォーミングガスが流動する雰囲気において加熱して、各LEDチップ11を搭載基板10に接合する。これにより、図5(c)に示すように、各LEDチップ11は、AuSn合金10cにより搭載基板10の配線パターン10aに接続される。
【0021】
このように各LED素子11,12,13,14を搭載基板10に接合する場合、搭載基板10及び各LEDチップ11,12,13,14にAuSn合金による合金膜を予め形成する必要はない。また、各LED素子11,12,13,14が自重により搭載基板10に接合されることになるので、各LED素子11,12,13,14を必ずしも加圧する必要はないし、加圧の不均一性に起因する弊害を抑制することができる。さらには、AuSn合金10cには柱状結晶が形成されるようになるので、各LED素子11,12,13,14は電流に対する高い発光効率を得ることができ、AuSn合金10cによる接合部に優れた耐熱性及び熱伝導性が付与される。
【0022】
以上のように構成された発光装置1では、端子部4を外部のソケットへ螺合することにより、各LED素子11,12,13,14へ電力を供給可能な状態となる。そして、各LED素子11,12,13,14に電流を印加すると、各LED素子11,12,13,14から所定波長の光が発せられる。
【0023】
紫外LED素子11から発せられた紫外光は、裏面からSiC蛍光板3へ入射し、SiC蛍光板3に吸収されて白色に変換された後、SiC蛍光板3の表面から出射する。このとき、SiC蛍光板3内においては、紫外光を励起光としてドナー・アクセプタ・ペアによって発光している。本実施形態においては、アクセプタとしてAlとBがドープされており、緑色領域にピーク波長を有する青色領域から赤色領域にかけてのブロードな波長の発光により純白色の発光が得られることになる。この純白色の発光のみであっても、青色LED素子と黄色蛍光体を組み合わせた従来の発光装置よりも高い演色性の白色光を得ることができる。
【0024】
また、紫外LED素子11を除く各LED素子12,13,14から発せられた可視光(本実施形態においては、青色光、緑色光及び赤色光)は、裏面からSiC蛍光板3へ入射した後、波長変換されることなくSiC蛍光板3の表面から出射する。これは、SiC蛍光板3は、408nm以下の波長の光で励起され、408nmを超える波長の光に対しては透明であることによる。
【0025】
ここで、SiC蛍光板3には、表面及び裏面に周期構造が形成されていることから、搭載基板10側から入射する光と外部へ出射する光が、SiC蛍光体3と空気との界面で反射することが抑制される。これにより、筐体2の内部が、SiCよりも屈折率の低い空気で満たされていても、的確に外部へ光を放出することができる。
【0026】
このように、各LED素子11,12,13,14へ通電すると、SiC蛍光板3の蛍光による白色光と、SiC蛍光板3を透過した青色光、緑色光及び赤色光と、の混合光が外部へ放出される。従って、SiC蛍光板3の純白色の蛍光に加えて、青色成分、緑色成分及び赤色成分を青色LED素子12、緑色LED素子13及び赤色LED素子14で補うことができ、極めて高い演色性を有する白色光を得ることができる。本実施形態の発光装置1は、LED素子を用いて、従来のハロゲンランプの代替品の照明装置として利用することができる。
【0027】
尚、実験によれば、41個の紫外LED11から約280lmの光量が得られ、2個の青色LED素子12、4個の緑色LED素子13及び2個の赤色LED素子14から約20lmの光量が得られ、全体で約300lmの光量が得られている。このとき、各LED素子11,12,13,14の通電条件は、電圧3V、電流20mAであり、搭載基板10の温度は約70度であった。
【0028】
また、本実施形態においては、可視光を発する各LED素子12,13,14のうち、緑色LED素子13の数を、青色LED素子12及び赤色LED素子14の数よりも多くしたので、出射する白色光を看者に対してより明るく感じさせることができる。これは、人間の視感度は、緑色領域で最も高いからである。
【0029】
また、各LED素子11,12,13,14が発光した際には、各LED素子11,12,13,14が発熱する。本実施形態の発光装置1では、筐体2、SiC蛍光板3、端子部4、搭載基板10等が無機材料により構成されているので、LED素子の封止樹脂に蛍光体を含有させたり、樹脂製のレンズを有する従来の発光装置と比べ、耐熱性を飛躍的に向上することができる。従って、従来必要とされていた放熱機構を省略したり、各LED素子11,12,13,14へ流す電流を増大させて発光量を増大させたりすることができ、実用に際して極めて有利である。尚、耐熱性の観点からは、発光装置1に樹脂を一切使わない構成とすることが好ましい。
【0030】
また、端子部4の絶縁部分、筐体2及び搭載基板10を同じ材料により構成したので、発熱時における各部材の熱膨張率差に起因する内部応力等を小さくすることができる。ここで、筐体2の底部2bと搭載基板10との連結には金属製のねじ5を用いているが、底部2b及び搭載基板10の延在方向(水平方向)と、ねじ5の延在方向(上下方向)とが垂直であることから、これらに関して熱膨張率差によって生じる応力等は比較的小さく、ねじ5が破損するようなことはない。
【0031】
尚、前記実施形態においては、例えば図6に示すように、筐体2の開口2aに無機材料からなるレンズ7が設けられていてもよい。図6の発光装置101では、レンズ7は、ガラスからなり、SiC蛍光板3の外側に配置される。レンズ7の出射面は、上方へ凸の形状を呈し、筐体2から出射される光を集光する。この発光装置101においても、レンズ7が無機材料であるから、耐熱性が高いものとなっている。
【0032】
また、前記実施形態においては、ソケットに端子部4を螺合させる発光装置1を示したが、例えば図7から図9に示すように、車両200用のヘッドライト200aの発光装置201とすることもできる。図7の車両200は、自動車車両であり、前部にヘッドライト200aを備えている。図8に示すヘッドライト200a用の発光装置201は、筐体2の下部に端子部が設けられておらず、筐体2の底部2bにヒートシンク8が接続されている。また、筐体2の上部には、開口2aから出射した光を反射させる反射鏡9が設けられている。図9に示すように、反射鏡9にて反射された白色光は、レンズ220によって所定方向へ集光されるようになっている。この発光装置201では、耐熱温度が高いことから、従来の樹脂封止タイプのLEDヘッドライトと比較して、ヒートシンク8を小型とすることができる。また、ヒートシンク8を設けない構成としても支障はないし、自動車車体の所定箇所に発光装置201を接続して車体自体を放熱部材として利用することも可能である。
【0033】
また、前記実施形態においては、各LED素子11にAu膜11aを形成し、搭載基板10にSn膜10bと接合されるものを示したが、例えば図10に示すように、搭載基板10にAuSnはんだ10dを形成しておいて各LED素子11を搭載基板10にはんだ接合するようにしてもよい。また、前記実施形態のおいては、各LED素子11がフリップチップ接合されるものを示したが、例えば図10に示すようにワイヤ11bを用いたフェイスアップ接合であってもよく、各LED素子11,12,13,14の実装形態は任意である。
【0034】
また、前記実施形態においては、紫外LED素子11が41個、青色LED素子12が2個、緑色LED素子13が4個、赤色LED素子14が2個の例を示したが、各LED素子11,12,13,14の数は任意に設定できる。また、青色LED素子12、緑色LED素子13及び赤色LED素子14を全て備える必要はなく、例えば、暖色系の白色を得るのであれば青色LED素子12を設けずに赤色LED14の割合を多くし、寒色系の白色を得るのであれば赤色LED素子14を設けずに青色LED14の割合を多くすればよい。すなわち、第1LED素子として紫外光を発するLED素子を用い、第2LED素子として可視光を発するLED素子を用いれば、各LED素子の発光波長は任意である。ただし、SiC蛍光板3が408nm以下の光により励起されるので、第1LED素子のピーク波長は408nm以下で、第2LED素子のピーク波長が408nmを超えるようにすることが望ましい。
【0035】
また、前記実施形態においては、各LED素子11,12,13,14が封止されていないものを示したが、透明ガラス等の無機材料で封止されるようにしてもよい。この場合も、封止材の無機材料であるので、発光装置1の耐熱性が損なわれることはない。
【0036】
また、前記実施形態においては、SiC蛍光板3にアクセプタとしてAl及びBをドープしたものを示したが、アクセプタとしてAlとBの一方をドープしたものであってもよい。アクセプタがAlのみでドナーがNの場合は、青色領域にピーク波長を有する蛍光を発し、アクセプタがBのみでドナーがNの場合は、黄色領域にピーク波長を有する蛍光を発することになる。すなわち、暖色系の白色を得るのであれば、アクセプタをBのみとすると好適であり、寒色系の白色を得るのであれば、アクセプタをAlのみとすると好適である。
また、SiC蛍光板3の出射側の面に紫外光を反射する反射膜を形成してもよい。この反射膜は、例えば、無機材料からなる多層反射膜(DBR膜)であってもよいし、ガラスよりも反射率の高い無機材料からなる膜であってもよい。これにより、外部への紫外光の出射が阻止されるとともに、紫外光をSiC蛍光板3側へ反射させて効率良く波長変換を行うことができる。
【0037】
また、前記実施形態においては、筐体2、端子部4、搭載基板10をAlNから形成したものを示したが、無機材料であれば材質は任意であり、例えば、Si、SiC等を用いてもよいし、アクセプタ不純物及びドナー不純物がドープされた波長変換SiCを用いることも可能である。ただし、熱膨張率を同様にするためには、これらを同じ材料で形成することが好ましい。その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明の一実施形態を示す発光装置の外観斜視図である。
【図2】図2は、発光装置の概略縦断面図である。
【図3】図3はSiC蛍光板の拡大図であり、(a)は一部縦断面図、(b)は一部平面図である。
【図4】図4は、搭載基板の模式平面図である。
【図5】図5はLED素子を搭載基板へ搭載する説明図であり、(a)はLED素子を搭載する前の搭載基板の平面図、(b)はLED素子を搭載する際の搭載基板の側面図、(c)はLED素子を搭載した後の搭載基板の側面図である。
【図6】図6は、変形例を示す発光装置の概略縦断面図である。
【図7】図7は、自動車車両の前部の外観図である。
【図8】図8は、変形例を示す発光装置の概略縦断面図である。
【図9】図9は、変形例を示すヘッドライトの内部構造を示す説明図である。
【図10】図10はLED素子を搭載基板へ搭載する説明図であり、(a)はLED素子を搭載する前の搭載基板の平面図、(b)はLED素子を搭載する際の搭載基板の側面図、(c)はLED素子を搭載した後の搭載基板の側面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 発光装置
2 筐体
2a 開口
2b 底部
2c フランジ
3 SiC蛍光板
3a 凸部
4 端子部
4a 円筒部
4b 傾斜部
4c 第1電極
4d 絶縁部
4e 第2電極
5 ねじ
6 内部導線
7 レンズ
8 ヒートシンク
9 反射鏡
10 搭載基板
11 紫外LED素子
12 青色LED素子
13 緑色LED素子
14 赤色LED素子
101 発光装置
200 車両
200a ヘッドライト
201 発光装置
220 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光を発する第1LED素子と、
可視光を発する第2LED素子と、
前記第1LED素子及び前記第2LED素子が搭載され、無機材料からなる基板と、
前記第1LED素子、前記第2LED素子及び前記基板を収容し、無機材料からなる筐体と、
B及びAlの少なくとも一方と、Nと、がドープされ、前記第1LED素子から発せられる光により励起されると可視光を発するSiC蛍光板と、を備えた発光装置。
【請求項2】
前記第1LED素子は、ピーク波長が408nm以下の光を発し、
前記第2LED素子は、ピーク波長が408nmを超える光を発する請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記筐体は、開口を有し、
前記SiC蛍光板は、前記開口に設けられる請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記SiC蛍光板は、前記第1LED素子から発せられた光が入射する面に、前記第1LED素子の発光波長より小さな周期で形成された周期構造を有する請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記開口の前記SiC蛍光体の外側に設けられ、無機材料からなるレンズを備えた請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
紫外光を発する紫外LED素子と、
青色光を発する青色LED素子と、
緑色光を発する緑色LED素子と、
赤色光を発する赤色LED素子と、
前記紫外LED素子、前記青色LED素子、前記緑色LED素子及び前記赤色LED素子が搭載され、無機材料からなる基板と、
前記紫外LED素子、前記青色LED素子、前記緑色LED素子、前記赤色LED素子及び前記基板を収容し、無機材料からなる筐体と、
B及びAlの少なくとも一方と、Nと、がドープされ、前記紫外LED素子から発せられる光により励起されると可視光を発するSiC蛍光板と、を備えた発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−21202(P2010−21202A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178140(P2008−178140)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【出願人】(599002043)学校法人 名城大学 (142)
【Fターム(参考)】