説明

発光装置

【課題】LEDチップから放射される光を検出する光検出素子を実装基板に設けた構成を採用しながらも、構造の簡略化を図れ、且つ、光検出素子の検出精度の向上を図れる発光装置を提供する。
【解決手段】LEDチップ1が一表面側に実装されるベース基板(ベース基板部)20の一表面側に配置される配光用基板30の開口窓31の内側面に沿って光検出素子4のp形領域からなる受光部4cが形成されている。光検出素子4は、受光部4cに電気的に接続される第1の電極47cの少なくとも一部が、開口窓31の内側面に沿って形成されて、LEDチップ1から放射され入射した光の一部を透過させ残りの光を反射する反射膜147cを構成し、受光部4cに接するn形領域4dに電気的に接続される第2の電極47dが、受光部4cを透過した光を受光部4c側へ反射する反射機能部147dを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップ(発光ダイオードチップ)を用いた発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、LEDチップと、LEDチップを駆動する駆動回路部と、LEDチップから放射される光を検出する光検出素子と、光検出素子の出力が予め設定された目標値に保たれるように駆動回路部からLEDチップへ流れる電流をフィードバック制御する制御回路部とを備えた照明装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここにおいて、上記特許文献1には、図7に示すように、発光色の異なる複数種のLEDチップ101a,101b,101cを実装基板102の一表面に形成した収納凹所102aの内底面に実装するとともに、実装基板102の上記一表面側に各LEDチップ101a,101b,101cを覆う形で各LEDチップ101a,101b,101cを封止する透明樹脂層103を設け、透明樹脂層103の側方に各LEDチップ101a,101b,101cから放射された光を検出するフォトダイオードからなる光検出素子104a,104b,104cが形成された光検出素子形成基板106を配置した発光装置が開示されている。
【0004】
図7に示した構成の発光装置では、透明樹脂層103が、各LEDチップ101a,101b,101cから放射された光の一部を光検出素子104a,104b,104c側へ導光する機能を有するように透明樹脂層103の厚さ寸法を設定してある。また、図7に示した構成の発光装置では、各LEDチップ101a,101b,101cそれぞれの発光色の波長域の光を選択的に透過させる3つの分光フィルタ105a,105b,105cを各光検出素子104a,104b,104cの受光面側に択一的に設けてあり、各LEDチップ101a,101b,101cそれぞれの発光色の波長域の光を3つの光検出素子104a,104b,104cで同時かつ各別に検出することができるようになっている。したがって、図7に示した構成の発光装置を備えた照明装置では、制御回路部によって駆動回路部から各LEDチップ101a,101b,101cへ流れる電流それぞれをフィードバック制御することにより、各発光色ごとのLEDチップ101a,101b,101cの光出力の経時変化の違いなどによらず所望の光色や色温度の混色光(例えば、LEDチップ101aの発光色が赤色、LEDチップ101bの発光色が緑色、LEDチップ101cの発光色が青色であれば、白色光)を得ることができる。
【0005】
また、上記特許文献1には、LEDチップ101aが発光する期間とLEDチップ101bが発光する期間とLEDチップ101cが発光する期間とが時系列的に現れるように、制御回路部によって駆動回路部を制御することにより、発光色の異なる複数種のLEDチップ101a,101b,101cの光出力を1つの光検出素子により各別に検出する技術も開示されている。
【0006】
また、上記特許文献1には、図8に示すように、実装基板102の一表面に形成された各収納凹所102aの内底面に発光色が同じLEDチップ101を実装するとともに、実装基板102の上記一表面に光検出素子104を実装し、透明樹脂層103によって各LEDチップ101および光検出素子104を覆った構成の発光装置も提案されている。
【0007】
しかしながら、図8のように、一表面にLEDチップ101を収納する収納凹所102aが形成された実装基板102の上記一表面上に光検出素子104を実装し、透明樹脂層103によってLEDチップ101および光検出素子104を覆うようにした構成の発光装置では、実装基板102の上記一表面に光検出素子104を配置するためのスペースを別途に確保する必要があり、実装基板102の平面サイズが大きくなってしまい、プリント基板などの回路基板への実装面積が大きくなってしまう。
【0008】
また、図7や図8に示した構成の発光装置では、透明樹脂層103を伝搬してきた光を光検出素子104a,104b,104c,104により検出する構成なので、LEDチップ101a,101b,101c,101から放射される光の強度を高精度に検出するのが難しく、しかも、光検出素子104a,104b,104c,104の検出精度が外乱光の影響を受けやすい。
【0009】
これら図7や図8に示した構成の発光装置に対して、LEDチップから放射される光を精度良く検出することが可能で且つ回路基板への実装面積の縮小化を図れる発光装置として、図9に示すように、LEDチップ1と、LEDチップ1を収納する収納凹所2a’が一表面に形成され当該収納凹所2a’の内底面にLEDチップ1が実装される実装基板2’と、実装基板2’の上記一表面側で収納凹所2a’を閉塞する形で配設された透光性部材8と、LEDチップ1を封止した透光性封止材(例えば、シリコーン樹脂など)からなる封止部9とを備え、LEDチップ1から放射される光を検出する光検出素子4’が、実装基板2’における収納凹所2a’の周部から内方へ突出する突出部2c’に形成されてなる発光装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
ここにおいて、実装基板2’は、シリコン基板20aを用いて形成されLEDチップ1が実装されるベース基板20と、シリコン基板40aを用いて形成され光取出窓41が形成されるとともに光検出素子4’が形成された光検出素子形成基板40と、シリコン基板30aを用いて形成されてなり光取出窓41に連通する開口窓31が形成されベース基板20と光検出素子形成基板40との間に介在する配光用基板30とで構成されており、光検出素子4’の一対の電極47c’,47d’は、配光用基板30に形成された貫通孔配線34c,34dおよびベース基板20に形成された貫通孔配線24c,24dを介して外部接続用電極27c,27dと電気的に接続されている。なお、LEDチップ1は、ベース基板20に形成された図示しない貫通孔配線を介して図示しない外部接続用電極と電気的に接続されている。
【0011】
上述の図9に示した構成の発光装置では、実装基板2’においてLEDチップ1を収納する収納凹所2a’の周部から内方へ突出する突出部2c’に、LEDチップ1から放射される光を検出する光検出素子4’が形成されているので、実装基板2’の上記一表面側において収納凹所2b’の周囲に光検出素子4’を配置するためのスペースを別途に確保する必要がなく、光検出素子4’を実装基板2’に設けながらも平面サイズの小型化が可能になるという利点がある。なお、図9に示した構成の発光装置では、光検出素子形成基板40の基礎となるシリコン基板40aの導電形がn形であり、光検出素子4’においてLEDチップ1からの光を受光する受光部4c’がp形領域により構成されている。言い換えれば、光検出素子4’は、受光部4c’がp形領域により構成され、光検出素子形成基板40において受光部4c’に接する領域がn形領域となっている。
【0012】
しかして、図9に示した構成の発光装置の使用例として、例えば、LEDチップ1として赤色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として緑色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として青色LEDチップを採用した発光装置とを同一の回路基板上に近接して配置して、当該回路基板に各発光装置のLEDチップ1を駆動する駆動回路部と、各光検出素子4の出力がそれぞれの目標値に保たれるように駆動回路部から各発光色のLEDチップ1に流れる電流をフィードバック制御する制御回路部などを設けておくことにより、各光検出素子4それぞれの出力に基づいて各発光色のLEDチップ1の光出力を各別に制御することができ、各発光色ごとのLEDチップ1の光出力の経時変化の違いなどによらず混色光(ここでは、白色光)の光色や色温度の精度を向上することができる。要するに、所望の混色光を安定して得ることができる。
【0013】
なお、上記特許文献2には、図9に示した構成の発光装置において、透光性部材8に、LEDチップ1から放射される光(例えば、青色光)によって励起されてLEDチップ1よりも長波長の光(例えば、黄色光)を放射する蛍光体を含有させておくことにより、LEDチップ1からの光と蛍光体からの光との混色光(例えば、白色光)を得ることができることも記載されている。
【0014】
また、従来から、図10に示すように、半導体レーザチップからなる発光素子101と、当該発光素子101を収納する収納凹所2b”が一表面に形成され発光素子101が実装されるとともに発光素子101から放射された光を検出するフォトダイオードからなる光検出素子4”が形成された実装基板2”とを備えた発光装置が提案されている(特許文献3参照)。ここにおいて、図10に示した構成の発光装置では、実装基板2”が1枚のn形シリコン基板200を用いて形成され、収納凹所2b”が異方性エッチングにより形成されており、当該収納凹所2b”は、内底面から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなっている。
【0015】
また、図10に示した構成の発光装置は、光検出素子4”におけるp形領域からなる受光部4c”がn形シリコン基板200の一表面と収納凹所2b”の内側面とに沿って形成されている。また、図10に示した構成の発光装置は、n形シリコン基板200の上記一表面と収納凹所2b”の内底面および内側面とに跨って絶縁膜223が形成されており、光検出素子4”の一方の電極47c”が絶縁膜223に形成されたコンタクトホールを通して受光部4c”に電気的に接続され、他方の電極47d”が絶縁膜223に形成されたコンタクトホールを通してn形シリコン基板200と電気的に接続されている。ここにおいて、図10に示した構成の発光装置は、上記他方の電極47d”が絶縁膜223において受光部4c”に対応する部位上に延長されている。ここで、上記他方の電極47d”は、発光素子101からの光の一部を反射し残りの光を透過させる所定膜厚(例えば、100nm〜400nm)のAu膜からなる金属膜により構成されている。なお、図10中の一点鎖線は発光素子101から放射された光の光路を示しており、破線は上記他方の電極47d”を透過して光検出素子4”の受光部4c”に吸収される光の光路を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−344031号公報
【特許文献2】特開2007−294834号公報
【特許文献3】特開平7−297480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、図9に示した構成の発光装置では、実装基板2’を3枚のシリコン基板20a,30a,40aを用いて形成する必要があり、構造が複雑になってしまうとともにコストが高くなってしまう。
【0018】
また、図10に示した構成の発光装置は、発光素子101から放射される光の一部を第2の電極47d”を通して光検出素子4”の受光部4c”に入射させているにもかかわらず第2の電極47d”を透過した光の一部が受光部4c”も透過してn形シリコン基板200で吸収されてしまうので、受光部4c”の受光量が低下し、光検出素子4”の検出精度が低くなってしまう。なお、図9に示した構成の発光装置においても、受光部4c’に入射した光の一部が受光部4c’を透過してシリコン基板40aに吸収されてしまうので、受光部4c’の受光量が低下し、光検出素子4’の検出精度が低くなってしまう。
【0019】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、LEDチップから放射される光を検出する光検出素子を実装基板に設けた構成を採用しながらも、構造の簡略化を図れ、且つ、光検出素子の検出精度の向上を図れる発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1の発明は、LEDチップと、半導体基板を用いて形成されLEDチップが実装されるとともにLEDチップから放射される光を検出する光検出素子が設けられた実装基板とを備え、実装基板は、LEDチップが一表面側に実装されるベース基板部と、ベース基板部の前記一表面から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなる開口窓が形成され当該開口窓の内側に配置されるLEDチップの光の配光を制御する配光用基板部とで構成され、光検出素子の第1導電形の受光部が配光用基板部の開口窓の内側面に沿って形成され、光検出素子の一対の電極のうち、受光部に電気的に接続される第1の電極の少なくとも一部が、開口窓の内側面に沿って形成されて、LEDチップから放射され入射した光の一部を透過させ残りの光を反射する反射膜を構成し、配光用基板部において受光部に接する第2導電形の領域に電気的に接続される第2の電極が、LEDチップから放射され受光部を透過した光を受光部側へ反射する反射機能部を有することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、半導体基板を用いて形成される実装基板が、LEDチップが一表面側に実装されるベース基板部と、ベース基板部の前記一表面から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなる開口窓が形成され当該開口窓の内側に配置されるLEDチップの光の配光を制御する配光用基板部とで構成され、光検出素子の第1導電形の受光部が配光用基板部の開口窓の内側面に沿って形成されているので、LEDチップから放射される光を検出する光検出素子を実装基板に設けた構成を採用しながらも、従来のように3枚のシリコン基板を用いて実装基板を形成する場合に比べて構造の簡略化を図れ、しかも、光検出素子の一対の電極のうち受光部に電気的に接続される第1の電極の少なくとも一部が、開口窓の内側面に沿って形成されて、LEDチップから放射され入射した光の一部を透過させ残りの光を反射する反射膜を構成していることにより、第1の電極と反射膜とを別々に設けるよりも構造を簡略化でき、さらに、配光用基板部において受光部に接する第2導電形の領域に電気的に接続される第2の電極が、LEDチップから放射され受光部を透過した光を受光部側へ反射する反射機能部を有するので、実装基板での吸収損失を低減できるとともに、光検出素子の検出精度の向上を図れる。
【0022】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第2の電極は、前記配光用基板部における前記ベース基板部側とは反対側の表面において前記開口窓の周部に形成された縦穴に当該縦穴を充実する形で埋め込まれた部位を有し、当該部位が、前記反射機能部を構成していることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、前記第2の電極の前記反射機能部が、前記配光用基板部における前記ベース基板部側とは反対側の表面において前記開口窓の周部に形成された縦穴に当該縦穴を充実する形で埋め込まれているので、前記反射機能部が前記配光用基板部における前記ベース基板部側とは反対側の表面に対して傾斜する形で形成されている場合に比べて、外乱光が前記反射機能部で反射されて前記受光部の受光面側とは反対側から前記受光部へ入射するのを抑制することができる。
【0024】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記第2の電極は、前記配光用基板部における前記ベース基板部側とは反対側の表面において前記開口窓の周部に形成された縦穴の内面に沿って延長され、当該延長された部位が、前記反射機能部を構成していることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、外乱光が前記反射機能部で反射されて前記受光部の受光面側とは反対側から前記受光部へ入射するのを抑制することができる。また、この発明によれば、前記反射機能部を請求項2の発明に比べて容易に形成することが可能となる。
【0026】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記受光部が、前記ベース基板部の厚み方向において前記LEDチップよりも前記ベース基板部から離れた位置にあり、前記第2の電極の前記反射機能部における前記ベース基板部側の先端が、前記受光部よりも前記ベース基板部に近い位置にあることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、前記第2の電極の前記反射機能部における前記ベース基板部側の先端が、前記受光部よりも前記ベース基板部に近い位置にあるので、前記受光部を透過した光を前記反射機能部において前記受光部側へ効率良く反射することができる。
【0028】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記LEDチップ側から前記開口窓の内側面を正面視したときに前記第2の電極の前記反射機能部の外周線が前記受光部の外周線よりも外側にあることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、前記LEDチップ側から前記開口窓の内側面を正面視したときに前記第2の電極の前記反射機能部の外周線が前記受光部の外周線よりも外側にあるので、前記受光部を透過した光を前記反射機能部において前記受光部側へ効率良く反射することができる。
【0030】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記実装基板は、前記ベース基板部に、前記光検出素子の各電極それぞれに電気的に接続される貫通孔配線が形成されてなることを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、前記光検出素子の出力を前記実装基板の他表面側から取り出すことができるので、実装面積の縮小化を図れる。
【0032】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記実装基板は、前記配光用基板部に、前記光検出素子の各電極それぞれに電気的に接続される貫通孔配線が形成されてなり、前記配光用基板部に形成された貫通孔配線が、前記LEDチップから放射され前記受光部を透過した光を前記受光部側へ反射する機能を有することを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、前記配光用基板部に形成された貫通孔配線が、前記LEDチップから放射され前記受光部を透過した光を前記受光部側へ反射することができるので、前記受光部の受光量を増加でき、前記光検出素子の検出精度の向上を図れる。
【0034】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記実装基板は、1枚の半導体基板を用いて形成されてなることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、前記実装基板の前記ベース基板部と前記配光用基板部とを別々の半導体基板を用いて形成してから接合する場合に比べて、低コスト化および製造プロセスの簡略化を図れる。
【発明の効果】
【0036】
請求項1の発明では、LEDチップから放射される光を検出する光検出素子を実装基板に設けた構成を採用しながらも、構造の簡略化を図れ、且つ、光検出素子の検出精度の向上を図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態1の発光装置を示す概略断面図である。
【図2】同上の発光装置の他の構成例の要部正面図である。
【図3】同上の発光装置の別の構成例に関し、(a)は概略断面図、(b)は製造方法の説明図である。
【図4】実施形態2の発光装置を示す概略断面図である。
【図5】実施形態3の発光装置を示す概略断面図である。
【図6】実施形態4の発光装置を示す概略断面図である。
【図7】従来例を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のA−A’概略断面図である。
【図8】他の従来例を示す概略断面図である。
【図9】別の従来例を示す概略断面図である。
【図10】さらに別の従来例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(実施形態1)
本実施形態の発光装置は、図1に示すように、LEDチップ1と、LEDチップ1が実装されるとともにLEDチップ1から放射される光を検出する光検出素子4が設けられた実装基板2とを備えている。
【0039】
ここにおいて、実装基板2は、第1のシリコン基板(半導体基板)20aを用いて形成されLEDチップ1が一表面側に実装されるベース基板20と、第2のシリコン基板30aを用いて形成されベース基板20の上記一表面から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなる開口窓31を有し当該開口窓31の内側に配置されるLEDチップ1の光の配光を制御する配光用基板部30とで構成され、光検出素子4の受光部4cが配光用基板30の開口窓31の内側面に沿って形成されている。また、ベース基板20と配光用基板30とで囲まれた空間には、透光性材料(例えば、シリコーン樹脂など)からなりLEDチップ1および当該LEDチップ1に接続されたボンディングワイヤ(図示せず)を封止した封止部(図示せず)が形成されている。
【0040】
なお、本実施形態では、ベース基板20と配光用基板30とを接合することで実装基板2が形成されており、ベース基板20がベース基板部を構成し、配光用基板30が配光用基板部を構成しているが、ベース基板部と配光用基板部とを1枚のシリコン基板からなる半導体基板を用いて形成してもよい。
【0041】
ベース基板20および配光用基板30の外周形状は矩形状であり、配光用基板30はベース基板20と同じ外形寸法に形成されている。
【0042】
上述の第1のシリコン基板20aおよび第2のシリコン基板30aとしては、それぞれ、導電形がn形で一表面が(100)面の単結晶シリコン基板を用いており、配光用基板30の開口窓31の内側面が、アルカリ系溶液(例えば、TMAH溶液、KOH溶液など)を用いた異方性エッチングにより形成された(111)面により構成されている。
【0043】
また、本実施形態の発光装置では、LEDチップ1として、結晶成長用基板として導電性基板を用い厚み方向の両面に電極(図示せず)が形成された可視光LEDチップを用いており、光検出素子4をフォトダイオードにより構成している。なお、LEDチップ1の構造や発光色などは特に限定するものではなく、厚み方向の一面側に両電極が形成されたものでもよいし、紫外線LEDチップでもよい。
【0044】
ベース基板20は、第1のシリコン基板20aの上記一表面側に、LEDチップ1の厚み方向の一面側(図1における上面側)の電極が電気的に接続される第1の導体パターン(図示せず)と前記厚み方向の他面側(図1における下面側)の電極が電気的に接続される第2の導体パターン25aが形成されている。ここにおいて、ベース基板20は、LEDチップ1に電気的に接続された上記第1の導体パターンおよび第2の導体パターン25aとシリコン基板20aの他表面側に形成された2つの第1の外部接続用電極(図示せず)とがそれぞれ第1の貫通孔配線(図示せず)を介して電気的に接続されている。また、ベース基板20は、シリコン基板20aの上記一表面側に、配光用基板30と接合するための接合用金属層29も形成されている。
【0045】
また、ベース基板20は、LEDチップ1が電気的に接続される第2の導体パターン25aを、LEDチップ1がダイボンディングされる矩形状のダイパッド部25aaと、ダイパッド部25aaに連続一体に形成され上記第1の貫通孔配線との接続部位となる引き出し配線部(図示せず)とで構成してある。要するに、LEDチップ1は、第2の導体パターン25aのダイパッド部25aaにダイボンディングされており、ダイパッド部25aa側の電極がダイパッド部25aaに接合されて電気的に接続され、光取り出し面側の電極が上記ボンディングワイヤを介して上記第1の導体パターンと電気的に接続されている。なお、LEDチップ1は、ダイパッド部25aaにAuSnの共晶接合により接合されているが、LEDチップ1とダイパッド部25aaとの接合方法は共晶接合に限らず、例えばAgペーストでもよい。また、LEDチップ1として厚み方向の上記一面側に両電極が形成されたものを用いる場合には、LEDチップ1とダイパッド部25aaとを樹脂により接着してLEDチップ1の両電極と上記第1の導体パターンおよび第2の導体パターン25の上記引き出し配線部とをそれぞれボンディングワイヤで電気的に接続するようにしてもよいが、放熱性の観点から、LEDチップ1とダイパッド部25aaとは熱伝導率の高い材料により接合することが好ましい。また、LEDチップ1への電気的な入力を考慮すれば、導電性を有し、且つ、マイグレーションが発生する可能性の小さな材料を用いるのが好ましい。
【0046】
また、ベース基板20は、第1のシリコン基板20aの上記他表面側に、第1のシリコン基板20aよりも熱伝導率の高い金属材料からなる矩形状の放熱用パッド部28が形成されており、ダイパッド部25aaと放熱用パッド部28とが第1のシリコン基板20aよりも熱伝導率の高い金属材料(例えば、Cuなど)からなる複数(本実施形態では、9つ)の円柱状のサーマルビア26を介して熱的に結合されており、LEDチップ1で発生した熱が各サーマルビア26および放熱用パッド部28を介して放熱されるようになっている。
【0047】
ところで、ベース基板20は、第1のシリコン基板20aに、上記第1の導体パターンおよび第2の導体パターン25aそれぞれに電気的に接続される2つ上記第1の貫通孔配線それぞれが内側に形成される2つの第1の貫通孔(図示せず)と、上述の9つのサーマルビア26それぞれが内側に形成される9つ第2の貫通孔22bとが厚み方向に貫設され、第1のシリコン基板20aの上記一表面および上記他表面と各第1の貫通孔、各第2の貫通孔22bの内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる第1の絶縁膜23が形成されており、上記第1の導体パターン、第2の導体パターン25a、接合用金属層29、上記各第1の外部接続用電極、放熱用パッド部28、上記各第1の貫通孔の内側に形成された上記各貫通孔配線、および各第2の貫通孔22bの内側に形成された各サーマルビア26が、第1のシリコン基板20aと電気的に絶縁されている。
【0048】
ここにおいて、上記第1の導体パターン、第2の導体パターン25a、接合用金属層29、上記各第1の外部接続用電極、放熱用パッド部28は、第1の絶縁膜23上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されている。ここで、ベース基板20は、第1のシリコン基板20aの上記一表面側の上記第1の導体パターン、第2の導体パターン25a、接合用金属層29が同時に形成され、第1のシリコン基板20aの上記他表面側の上記各第1の外部接続用電極、放熱用パッド部28が同時に形成されている。なお、本実施形態では、第1の絶縁膜23上のTi膜の膜厚を15〜50nm、Ti膜上のAu膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。また、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、各Au膜と第1の絶縁膜23との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。また、上記第1の貫通孔配線およびサーマルビア26の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
【0049】
配光用基板30は、第2のシリコン基板30aの一表面側に、ベース基板20の接合用金属層29と接合される接合用金属層36が形成されている。また、配光用基板30は、第2のシリコン基板30aの他表面側に、光検出素子4の各電極47c,47dが形成されている。
【0050】
また、配光用基板30は、第2のシリコン基板30aの上記一表面および上記他表面と開口窓31の内側面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる第2の絶縁膜33が形成されており、接合用金属層36が、第2のシリコン基板30aと電気的に絶縁されている。ここにおいて、接合用金属層36は、第2の絶縁膜33上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されている。なお、本実施形態では、第2の絶縁膜33上のTi膜の膜厚を15〜50nm、Ti膜上のAu膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。ここにおいて、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、各Au膜と第2の絶縁膜33との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。
【0051】
ところで、配光用基板30は、上述のように、開口窓31が、ベース基板10から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなるテーパ状に形成され、LEDチップ1から放射される光の一部を検出するフォトダイオードからなる光検出素子4の受光部4cが、第2のシリコン基板30aの上記他表面側で開口窓31の内側面に沿って形成されている。ここで、配光用基板30の開口窓31は、第2のシリコン基板30aを上記他表面側から、アルカリ系溶液(例えば、TMAH溶液、KOH溶液など)を用いて異方性エッチングすることにより形成されている。なお、配光用基板30の開口窓31は、アルカリ系溶液を用いた異方性エッチングに限らず、例えば、SFガスとCガスとの混合ガスを用いたドライエッチングなどによっても形成することができる。
【0052】
また、配光用基板30の基礎となる第2のシリコン基板30aとしては、導電形がn形で抵抗率が10Ωcm程度の単結晶シリコン基板を用いており、第2のシリコン基板30aの厚さ寸法は、LEDセンサ1の厚さ寸法よりも大きく設定してある。
【0053】
また、光検出素子4は、フォトダイオードの高濃度のp形領域を構成する受光部4cが、一対の電極47c,47dのうちの一方の電極47cと電気的に接続され、フォトダイオードのn形領域4dを構成する第2のシリコン基板30aが、他方の電極47dと電気的に接続されている。ここにおいて、受光部4cを構成するp形領域は、第2のシリコン基板30aにおける当該p形領域の形成予定領域に第2のシリコン基板30aの上記他表面側からp形不純物(例えば、ボロンなど)のイオン注入を行った後に、酸化炉内でドライブを行うことにより形成することができる。なお、第2のシリコン基板30aの抵抗率の値は一例であって特に限定するものではない。また、本実施形態では、p形を第1導電形とし、n形を第2導電形としているが、これらは逆でもよく、第2のシリコン基板30aの導電形をp形として受光部4cの導電形をn形としてもよい。
【0054】
また、ベース基板20と配光用基板30とで囲まれた空間に形成する上記封止部の透光性材料は、シリコーン樹脂に限らず、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラスなどを採用してもよい。
【0055】
本実施形態の発光装置の製造にあたっては、LEDチップ1を実装したベース基板20と光検出素子4が形成された配光用基板30とを低温での直接接合が可能な常温接合法などにより接合する接合工程を行った後、上記封止部を形成する封止部形成工程を行うようにすればよい。常温接合法では、接合前に互いの接合表面へアルゴンのプラズマ若しくはイオンビーム若しくは原子ビームを真空中で照射して各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、接合表面同士を接触させ、常温下で直接接合する。ここで、上述の接合工程では、ベース基板20の接合用金属層29と配光用基板30の接合用金属層36とが接合される。
【0056】
また、本実施形態の発光装置の製造にあたっては、上述の接合工程において、低温での直接接合が可能な常温接合法を採用しているので、接合工程でLEDチップ1のジャンクション温度が最大ジャンクション温度を超えるのを防止することができ、LEDチップに熱ダメージが生じるのを防止することができる。また、接合後にベース基板20および配光用基板30にひずみが発生することを防止することができるので、ベース基板20のひずみに起因した応力がLEDチップ1に発生するのを防止することができる。なお、上述の接合工程で採用している常温接合法では、各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、常温下で適宜の荷重を印加しいているが、常温下に限らず、例えば、光検出素子4およびLEDチップ1へ熱ダメージが生じない温度(光検出素子4およびLEDチップ1それぞれのジャンクション温度が最大ジャンクション温度を超えない温度)であれば、加熱条件下(例えば、80℃〜100℃程度に加熱した条件下)において適宜の荷重を印加するようにしてもよく、加熱条件下において適宜の荷重を印加して接合することで、接合信頼性をより一層高めることが可能となる。
【0057】
ところで、本実施形態の発光装置の製造にあたっては、上述の各シリコン基板20a,30aとして、それぞれベース基板20、配光用基板30を多数形成可能なウェハ状のもの(シリコンウェハ)を用い、上述の接合工程、封止部形成工程などの各工程をウェハレベルで行うことでウェハレベルパッケージ構造体を形成してから、ダイシング工程により発光装置のサイズに分割されている。したがって、ベース基板20と配光用基板30とが同じ外形サイズとなり、小型のチップパッケージを実現できるとともに、製造が容易になる。なお、本実施形態の発光装置では、例えば、金属ベースプリント配線板からなる回路基板などに実装して用いる場合、LEDチップ1の両電極に電気的に接続された各第1の外部接続用電極および放熱用パッド28それぞれを、回路基板において対応付けられた導体パターンと半田などからなる接合部を介して接合し、光検出素子4の各電極47c,47dを、回路基板において対応付けられた導体パターンとボンディングワイヤを介して電気的に接続すればよい。また、ベース基板20に上記第1の貫通孔配線を形成せずに、LEDチップ1の両電極それぞれを、回路基板において対応付けられた導体パターンとボンディングワイヤを介して電気的に接続するようにしてもよい。
【0058】
ところで、本実施形態の発光装置では、光検出素子4の一対の電極47c,47dのうち、受光部4cに電気的に接続される第1の電極47cの一部が、開口窓31の内側面に沿って形成されて、LEDチップ1から放射され入射した光の一部を透過させ残りの光を反射する反射膜147cを構成し、配光用基板30において受光部4cに接するn形領域(第2導電形の領域)である第2のシリコン基板30aに電気的に接続される第2の電極47dが、LEDチップ1から放射され受光部4cを透過した光を受光部4c側へ反射する反射機能部147dを有している。ここにおいて、各電極47c,47dの材料としては、例えば、AgやAlなどを採用すればよいが、これに限らず、LEDチップ1の発光波長における反射率などを考慮して適宜採用すればよい。
【0059】
ここで、受光部4cに電気的に接続される第1の電極47cは、LEDチップ1から放射され入射した光の一部を透過させ残りの光を反射する機能を有する必要があるのに対して、第2のシリコン基板30aに電気的に接続される第2の電極47dは、LEDチップ1から放射され透光部4cを透過した光を受光部4c側へ反射する機能を有していればよいから、第1の電極47cと第2の電極47dとは互いに異なる材料により形成してもよい。また、第1の電極47cについても、第2のシリコン基板30aの上記他表面側に形成されてパッドとして機能する部分と、反射膜147cとして機能する部分とを互いに異なる材料により形成してもよい。同様に、第2の電極47dについても、第2のシリコン基板30aの上記他表面側に形成されてパッドとして機能する部分と、反射機能部147dとして機能する部分とを互いに異なる材料により形成してもよい。また、反射膜147cの材料によっては当該反射膜147cの経年劣化を防止するために、反射膜147上にSiO膜からなる保護膜を形成してもよい。
【0060】
以上説明した本実施形態の発光装置では、実装基板2が、LEDチップ1が一表面側に実装されるベース基板部であるベース基板20と、ベース基板20の上記一表面から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなる開口窓31が形成され当該開口窓31の内側に配置されるLEDチップ1の光の配光を制御する配光用基板部である配光用基板30とで構成され、光検出素子4の受光部4cが配光用基板30の開口窓31の内側面に沿って形成されているので、LEDチップ1から放射される光を検出する光検出素子4を実装基板2に設けた構成を採用しながらも、図9に示した従来のように3枚のシリコン基板20a,30a,40aを用いて実装基板を形成する場合に比べて構造の簡略化を図れ、しかも、光検出素子4の一対の電極47c,47dのうち受光部4cに電気的に接続される第1の電極47cの少なくとも一部が、開口窓31の内側面に沿って形成されて、LEDチップ1から放射され入射した光の一部を透過させ残りの光を反射する反射膜147cを構成していることにより、第1の電極47cと反射膜147cとを別々に設けるよりも構造を簡略化でき、さらに、配光用基板30において受光部4cに接するn形領域4dに電気的に接続される第2の電極47dが、LEDチップ1から放射され受光部4cを透過した光を受光部4c側へ反射する反射機能部147dを有するので、実装基板2での吸収損失を低減できるとともに、光検出素子4の受光量の増大による検出精度の向上を図れる。また、本実施形態の発光装置では、LEDチップ1から斜め方向(LEDチップ1の光軸とは交差する方向)へ放射された光の一部を開口窓31の内側面で反射させることなく受光部4cへ直接入射させることができるので、光検出素子4の受光量の増大による検出精度の向上を図れる。
【0061】
また、本実施形態の発光装置では、配光用基板30の基礎となる半導体基板として第2のシリコン基板30aを用いているので、配光用基板30の開口窓31を、アルカリ系溶液を用いた異方性エッチングにより精度良く形成することができる。つまり、配光用基板30の開口窓31を、エッチング速度の結晶面方位依存性を利用した異方性エッチングにより形成することができる。
【0062】
また、本実施形態の発光装置では、光検出素子4の受光部4cが、ベース基板20の厚み方向においてLEDチップ1よりもベース基板20から離れた位置にあり、光検出素子4の第2の電極47dの反射機能部147dにおけるベース基板20側の先端が、受光部4cよりもベース基板20に近い位置にあるので、受光部4cを透過した光を反射機能部147dにおいて受光部4c側へ効率良く反射することができる。
【0063】
とろこで、本実施形態の発光装置は、光検出素子4の受光部4cが配光用基板30の開口窓31の周方向の全周に亘って形成してあるが、必ずしも全周に亘って形成する必要はなく、図2に示すように、LEDチップ1側から開口窓31の内側面を正面視したときに光検出素子4の第2の電極47dの反射機能部147dの外周線が受光部4cの外周線よりも外側にあるようにすれば、受光部4cを透過した光を反射機能部147dにおいて受光部4c側へ効率良く反射することができる。
【0064】
また、光検出素子4の第2の電極47dは、配光用基板30におけるベース基板20側とは反対側の表面において開口窓31の周部に形成された縦穴30bに当該縦穴30bを充実する形で埋め込まれた部位を有し、当該部位が、上述の反射機能部147dを構成している。ここにおいて、縦穴30bは、例えば、誘導結合プラズマ型のドライエッチング装置などを利用して第2のシリコン基板30aの厚み方向に沿って形成してあり、開口面積が深さ位置によらず一様となっている。また、反射機能部147dは、CVD法もしくはスパッタ法とめっき法とを組み合わせて形成してある。
【0065】
しかして、本実施形態の発光装置では、光検出素子4の第2の電極47dの反射機能部147dが、配光用基板30におけるベース基板20側とは反対側の表面において開口窓31の周部に形成された縦穴30bに当該縦穴30bを充実する形で埋め込まれているので、図3(a)に示すように反射機能部147dが配光用基板30におけるベース基板20側とは反対側の表面に対して傾斜する形で形成されている場合に比べて、外乱光が反射機能部147dで反射されて受光部4cの受光面側とは反対側から受光部4cへ入射するのを抑制することができる。なお、図3(a)に示す構成の発光装置における反射機能部147dは配光用基板30におけるベース基板20側とは反対側の表面に対して傾斜する傾斜穴30cに当該傾斜穴30cを充実する形で埋め込まれているが、このような傾斜穴30cは、例えば、図3(b)に示すように、第2のシリコン基板30aの上記他表面側に逆テーパ状の開孔部を有するマスク層50を形成し、その後、同図中に矢印で示す方向から異方性の高いドライエッチングを行うようにすればよい。
【0066】
また、本実施形態の発光装置は、実装基板2に光検出素子4が設けられているので、例えば、LEDチップ1として赤色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として緑色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として青色LEDチップを採用した発光装置とを同一の配線基板(回路基板)上に近接して配置して、当該配線基板に各発光装置のLEDチップ1を駆動する駆動回路部と、各光検出素子4の出力がそれぞれの目標値に保たれるように駆動回路部から各発光色のLEDチップ1に流れる電流をフィードバック制御する制御回路部などを設けておくことにより、各光検出素子4それぞれの出力に基づいて各発光色のLEDチップ1の光出力を各別に制御することができ、各発光色ごとのLEDチップ1の光出力の経時変化の違いなどによらず混色光(ここでは、白色光)の光色や色温度の精度を向上することができる。要するに、所望の混色光を安定して得ることができる。
【0067】
(実施形態2)
本実施形態の発光装置の基本構成は実施形態1と略同じであり、図4に示すように、光検出素子4の第2の電極47dが、配光用基板30におけるベース基板20側とは反対側の表面において開口窓31の周部に形成された縦穴30bの内面(内側面および内底面)に沿って延長され、当該延長された部位が、反射機能部147dを構成している点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施形態では、実施形態1に比べて、縦穴30bと受光部4cとの並び方向(図4の左右方向)における縦穴30bの開口幅を広く設定してあり、反射機能部147dをCVD法もしくはスパッタ法により形成してある。
【0069】
しかして、本実施形態の発光装置では、実施形態1と同様、外乱光が反射機能部で反射されて前記受光部の受光面側とは反対側から前記受光部へ入射するのを抑制することができる。また、本実施形態の発光装置では、実施形態1に比べて、反射機能部147dを容易に形成することが可能となる。
【0070】
ところで、実施形態1,2では、実装基板2を2枚の半導体基板(シリコン基板20a,30a)を用いて形成してあるが、1枚の半導体基板を用いて実装基板2を形成するようにしてもよく、この場合には、実装基板2のベース基板部と配光用基板部とを別々の半導体基板を用いて形成してから接合する場合に比べて、低コスト化および製造プロセスの簡略化を図れる。
【0071】
(実施形態3)
本実施形態の発光装置の基本構成は実施形態1と略同じであり、図5に示すように、実装基板2のベース基板20に、光検出素子4の各電極47c,47dそれぞれに電気的に接続される第2の貫通孔配線24c,24dが形成されている点などが相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
配光用基板30は、第2のシリコン基板30aの上記一表面側に、光検出素子4の各電極47c,47dそれぞれと電気的に接続された導体パターン35c,35dが形成されており、ベース基板20は、第1のシリコン基板20aの上記一表面側に第2の貫通孔配線24c,24dそれぞれに電気的に接続された第3の導体パターン25cおよび第4の導体パターン25dが形成され、第1のシリコン基板20aの上記他表面側に第2の貫通孔配線24c,24dそれぞれに電気的に接続された第2の外部接続用電極27c,27dが形成されている。なお、配光用基板30の導体パターン35c,35dは、接合用金属層36と同じ材料で、接合用金属層36と同時に形成されている。また、ベース基板20は、第2の貫通孔配線24c,24dが内側に形成される第3の貫通孔22a,22aが上記第1の貫通孔、第2の貫通孔22bと同時に形成され、第2の貫通孔配線24c,24dが上記第1の貫通孔配線およびサーマルビア26と同じ材料で、これらと同時に形成されている。また、ベース基板20は、第2の外部接続用電極27c,27dが上記第1の外部接続用電極および放熱パッド部28と同じ材料で、これらと同時に形成されている。また、ベース基板20は、第3の導体パターン25cおよび第4の導体パターン25dが接合用金属層29と同じ材料で、接合用金属層29と同時に形成してある。
【0073】
しかして、本実施形態の発光装置では、光検出素子4の出力を実装基板2の他表面側から取り出すことができるので、実装面積の縮小化を図れる。なお、実施形態2において本実施形態と同様の第2の貫通孔配線24c,24dを設けるようにしてもよい。また、ベース基板部たるベース基板20と配光用基板部たる配光用基板30とを1枚のシリコン基板からなる半導体基板を用いて形成してもよく、この場合には、第2の貫通孔配線24c,24dの形成位置をベース基板部において配光用基板部に重ならない領域に配置するようにすればよい。
【0074】
(実施形態4)
本実施形態の発光装置の基本構成は実施形態3と略同じであり、図6に示すように、配光用基板30に、光検出素子4の各電極47c,47dそれぞれに電気的に接続される第3の貫通孔配線34c,34dが形成されてなり、配光用基板30に形成された第3の貫通孔配線34c,34dが、LEDチップ1から放射され受光部4cを透過した光を受光部4c側へ反射する機能を有するように配置されている点などが相違する。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
本実施形態における配光用基板30では、実施形態3において説明した導体パターン35c,35dが、光検出素子4の各電極47c,47dに対して第3の貫通孔配線34c,34dを介して電気的に接続されている。なお、配光用基板30は、上述の第3の貫通孔配線34c,34dそれぞれが内側に形成される2つの貫通孔32が第2のシリコン基板30aの厚み方向に貫設されており、第2の絶縁膜33が、第2のシリコン基板30aの上記一表面および上記他表面と各貫通孔32の内面とに跨って形成されている。
【0076】
実施形態の発光装置の製造にあたって、ベース基板20と配光用基板30との接合工程では、ベース基板20の接合用金属層29と配光用基板30の接合用金属層36とが接合されるとともに、ベース基板20の第3の導体パターン25cおよび第4の導体パターン25dと配光用基板30の導体パターン35c,35dとが接合され電気的に接続される。ここにおいて、本実施形態では、ベース基板20側の各導体パターン25c,25dと配光用基板30側の各導体パターン35c,35dとの接合部位を、第2の貫通孔配線24c,24dおよび第3の貫通孔配線34c,34dに重なる領域からずらしてあるので、各導体パターン25c,25dと各導体パターン35c,35dとの互いの接合面の平坦度を高めることができ、接合歩留まりを高めることができるとともに接合信頼性を高めることができる。
【0077】
以上説明した本実施形態の発光装置では、反射機能部147dだけでなく、配光用基板30に形成された第3の貫通孔配線34c,34dが、LEDチップ1から放射され受光部4cを透過した光を受光部4c側へ反射することができるので、受光部4cの受光量を増加でき、光検出素子4の検出精度の向上を図れる。また、ベース基板部たるベース基板20と配光用基板部たる配光用基板30とを1枚のシリコン基板からなる半導体基板を用いて形成してもよく、この場合には、当該半導体基板の厚み方向において第2の貫通孔配線24c,24dと第3の貫通孔配線34c,34dとを連続させた形で形成すればよい。
【0078】
なお、上述の各実施形態の発光装置において、LEDチップ1から放射される光によって励起されてLEDチップ1よりも長波長の光を放射する蛍光体(図示せず)を含有した透光性材料(例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラス、有機成分と無機成分とがnmレベルもしくは分子レベルで混合、結合した有機・無機ハイブリッド材料など)により形成された色変換部材を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 LEDチップ
2 実装基板
4 光検出素子
4c 受光部
4d n形領域
20 ベース基板(ベース基板部)
20a 第1のシリコン基板(半導体基板)
24c,24d 第2の貫通孔配線
30 配光用基板(配光用基板部)
30a 第2のシリコン基板(半導体基板)
30b 縦穴
31 開口窓
34c,34d 第3の貫通孔配線
47c 第1の電極
47d 第2の電極
147c 反射膜
147d 反射機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップと、半導体基板を用いて形成されLEDチップが実装されるとともにLEDチップから放射される光を検出する光検出素子が設けられた実装基板とを備え、実装基板は、LEDチップが一表面側に実装されるベース基板部と、ベース基板部の前記一表面から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなる開口窓が形成され当該開口窓の内側に配置されるLEDチップの光の配光を制御する配光用基板部とで構成され、光検出素子の第1導電形の受光部が配光用基板部の開口窓の内側面に沿って形成され、光検出素子の一対の電極のうち、受光部に電気的に接続される第1の電極の少なくとも一部が、開口窓の内側面に沿って形成されて、LEDチップから放射され入射した光の一部を透過させ残りの光を反射する反射膜を構成し、配光用基板部において受光部に接する第2導電形の領域に電気的に接続される第2の電極が、LEDチップから放射され受光部を透過した光を受光部側へ反射する反射機能部を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第2の電極は、前記配光用基板部における前記ベース基板部側とは反対側の表面において前記開口窓の周部に形成された縦穴に当該縦穴を充実する形で埋め込まれた部位を有し、当該部位が、前記反射機能部を構成していることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2の電極は、前記配光用基板部における前記ベース基板部側とは反対側の表面において前記開口窓の周部に形成された縦穴の内面に沿って延長され、当該延長された部位が、前記反射機能部を構成していることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
前記受光部が、前記ベース基板部の厚み方向において前記LEDチップよりも前記ベース基板部から離れた位置にあり、前記第2の電極の前記反射機能部における前記ベース基板部側の先端が、前記受光部よりも前記ベース基板部に近い位置にあることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記LEDチップ側から前記開口窓の内側面を正面視したときに前記第2の電極の前記反射機能部の外周線が前記受光部の外周線よりも外側にあることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記実装基板は、前記ベース基板部に、前記光検出素子の各電極それぞれに電気的に接続される貫通孔配線が形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記実装基板は、前記配光用基板部に、前記光検出素子の各電極それぞれに電気的に接続される貫通孔配線が形成されてなり、前記配光用基板部に形成された貫通孔配線が、前記LEDチップから放射され前記受光部を透過した光を前記受光部側へ反射する機能を有することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記実装基板は、1枚の半導体基板を用いて形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−9559(P2011−9559A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152707(P2009−152707)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】