説明

発光装置

【課題】発光装置外部へ発光を取り出す課程で生じる発光の反射を低減すると共に、基板からトランジスタへの不純物拡散も十分に阻止できるようなアクティブマトリクス型の発光装置を提供すること。
【解決手段】本発明の発光装置は、基板と、前記基板上に設けられた第1の絶縁層と、第1の絶縁層上に設けられたトランジスタと、前記トランジスタを覆うと共に前記基板が露出するように設けられた第1の開口部を有する第2の絶縁層とを有し、前記第1の開口部の内側に発光素子が設けられていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス型の発光装置に関し、特に発光を取り出す部分の構造
に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネッセンス素子(発光素子)からの発光を利用した発光装置は、高視野
角、低消費電力の表示用装置として注目されている装置である。
【0003】
主に表示用として利用されている発光装置の駆動方法には、アクティブマトリクス型と
、パッシブマトリクス型とがある。アクティブマトリクス型の駆動方式の発光装置は、発
光素子ごとに発光・非発光等を制御できる。そのため、パッシブマトリクス型の発光装置
よりも低消費電力で駆動でき、携帯電話等の小型電化製品の表示部としてのみならず、大
型のテレビ受像機等の表示部として実装するのにも適している。
【0004】
アクティブマトリクス型の発光装置においては、発光素子ごとに、それぞれの発光素子
の駆動を制御するためのトランジスタが設けられている。トランジスタと発光素子とは、
発光の外部への取り出しが当該トランジスタによって妨げられないように、それぞれ基板
上に配置されている(例えば、特許文献1,2参照。)。また、発光素子は、一対の電極
間に発光層が挟まれた構成となっており、当該発光層において発光する。ここで、発光・
非発光は、トランジスタからの信号によって制御される。
【0005】
発光は、特許文献1、2の発光装置のように、インジウム錫酸化物(ITO:Indi
um Tin Oxide)から成る透明電極や石英から成る基板とを介して外部に取り
出される。この時、発光層を構成している物質やITO、石英の屈折率がそれぞれ異なる
ため、発光層と透明電極との界面、及び透明電極と基板との界面において一部の発光が反
射する。このような発光の反射は、発光装置外部への発光の取り出し効率を下げる要因と
なる。
【0006】
さらに、近年、発光装置の軽量化等を目指して、石英ではなくガラスやプラスチックか
ら成る基板を用いたアクティブマトリクス型の発光装置が開発されている。しかし、ガラ
スから成る基板にはアルカリ金属等の不純物が含まれている。またプラスチックから成る
基板においては、当該プラスチックから成る基板にアルカリ金属等から成る不純物が付着
したとき、当該不純物を容易に拡散してしまう。この不純物がトランジスタに混入すると
、トランジスタが正常に動作しなくなることが懸念されている。その為、基板とトランジ
スタとの間に、不純物の拡散を阻止するための絶縁層が設けられている。ところが、この
ように不純物の拡散を防止するための絶縁層を設けた場合、当該絶縁層と透明電極、或い
は当該絶縁層と基板との界面において発光が反射し、前述のような発光取り出し効率の低
下が生じることが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願平8−330600号公報
【特許文献2】特願平10−254383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、アクティブマトリクス型の発光装置において、発光装置外部へ発光を取り出
す過程で生じる発光の反射を低減すると共に、基板からトランジスタへの不純物拡散も十
分に阻止できるような発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発光装置は、基板と、基板上に設けられた第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層
上に設けられたトランジスタと、前記トランジスタを覆う第2の絶縁層の開口部において
、前記第1の絶縁層上に設けられた発光素子とを有し、前記第1の絶縁層は、不純物拡散
を阻止でき、前記第1の電極よりも屈折率が小さく前記基板よりも屈折率が高い層である
ことを特徴としている。
【0010】
本発明の発光装置は、基板と、前記基板上に設けられた第1の絶縁層と、前記第1の絶
縁層上に設けられたトランジスタと、前記トランジスタを覆と共に、前記第1の絶縁層が
露出するように設けられた第1の開口部を有する第2の絶縁層と、前記第1の開口部にお
いて、前記第1の絶縁層と重畳するように設けられた第1の電極と、前記第2の絶縁層を
覆うと共に、前記第1の電極が露出するように設けられた第2の開口部を有する隔壁層と
、前記第2の開口部において、前記第1の電極と重畳するように設けられた発光層と、前
記第2の開口部において、前記発光層と重畳するように設けられた第2の電極とを有し、
前記第1の絶縁層は、不純物拡散を阻止でき、前記第1の電極よりも屈折率が小さく前記
基板よりも屈折率が高い層であることを特徴としている。
【0011】
ここで、前記第1の絶縁層は、酸素を含む窒化珪素から成ることが好ましく、特に、ラ
ザフォード後方散乱法/水素前方散乱法(RBS/HFS)分析したときに5〜6%の酸
素元素を含む窒化珪素から成ることが好ましい。
【0012】
前記第1の電極と前記第2の電極と、これらの電極に挟まれた発光層とは、発光素子を
構成する。また、トランジスタは、発光素子を駆動するために設けられているものであり
、前記第1の電極と接続部を介して電気的に接続している。
【0013】
なお、前記第1の絶縁層と前記トランジスタとの間には、前記トランジスタの構成要素
である半導体層と応力差の少ない絶縁層が設けられていても良い。このような絶縁層とし
ては、例えば酸化珪素から成るものが好ましい。
【0014】
また、本発明の発光装置において、前記第1の絶縁層と前記第1の電極との間に、前記
第1の電極よりも屈折率が低く、前記第1の絶縁層と同一若しくは前記第1の絶縁層より
も屈折率の小さい絶縁層が設けられていてもよい。当該絶縁層としては、酸素を含む窒化
珪素から成るものが好ましい。さらに、前記第2の絶縁層が、透湿性の高い物質で形成さ
れている場合には、前記第2の開口部において、前記第2の絶縁層の側壁が、酸素を含む
窒化珪素から成る絶縁層で覆われていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって、発光装置外部へ発光を取り出す過程で生じる発光の反射を低減すると
共に、基板からトランジスタへの不純物拡散も十分に阻止できる発光装置が得られる。
【0016】
また、本発明によって、発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が
低減され、視認性が良好な画像を得られる発光装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の発光装置の構成について説明する断面図。
【図2】本発明の発光装置の構成について説明するための上面図。
【図3】本発明の発光装置の作製方法について説明する図。
【図4】本発明の発光装置の作製方法について説明する図。
【図5】本発明の発光装置の作製方法について説明する図。
【図6】本発明の発光装置の作製方法について説明する図。
【図7】本発明の発光装置の構成について説明する断面図。
【図8】本発明の発光装置の構成について説明する断面図。
【図9】本発明の発光装置の構成について説明する断面図。
【図10】本発明の発光装置の構成について説明するための上面図。
【図11】本発明の発光装置の作製方法について説明する図。
【図12】本発明の発光装置の作製方法について説明する図。
【図13】本発明の発光装置を動作するための回路について説明する図。
【図14】本発明の発光装置を動作するための回路について説明する図。
【図15】封止後の本発明の発光装置について説明する図。
【図16】封止後の本発明の発光装置について説明する図。
【図17】本発明を適用した電子機器について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一態様について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異
なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から 逸脱することな
くその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って
、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
本発明の発光装置について、図1を用いて説明する。
【0020】
基板11上には、絶縁層12aおよび絶縁層12bの二層から成る絶縁層12が設けら
れている。絶縁層12b上には、半導体層14とゲート絶縁層15とゲート電極16とを
含んで成るスタガ型のトランジスタ17が設けられている。
【0021】
トランジスタ17は、第1の開口部を有する絶縁層18に覆われている。また、当該第
1の開口部は、ゲート絶縁層15及び絶縁層12bも貫通して、絶縁層12aに至る。従
って、第1の開口部からは、絶縁層12aの一部が露出している。
【0022】
絶縁層18および第1の開口部は絶縁層19に覆われており、当該第1の開口部の内側
において、絶縁層19と絶縁層12aとは重畳している。
【0023】
発光素子25は、第1の電極21と第2の電極24との間に発光層23を挟んで成り、
絶縁層19上に設けられている。第1の電極21と、絶縁層19とは重畳している。
【0024】
トランジスタ17と発光素子25とは、導電体から成る接続部20aを介して電気的に
接続している。なお、接続部20aは、絶縁層19上に設けられ、絶縁層18,19を貫
通するコンタクトホールを通って半導体層14に至る。また、接続部20aの一部が第1
の電極21と接することによって、接続部20aと第1の電極21とは電気的に接続して
いる。
【0025】
接続部20aや、配線20b、絶縁層19等は、第1の電極21の一部が露出するよう
に設けられた第2の開口部を有する隔壁層22によって覆われている。第2の開口部にお
いて、第1の電極21上には、発光層23が設けられており、さらに発光層23上には第
2の電極24が設けられている。このように第1の電極21と発光層23と第2の電極2
4とが積層した部分は発光素子25として機能する。なお、発光層23は発光物質を含み
、単層または多層で構成される層である。
【0026】
本形態において、基板11はガラス等の可視光を透過できるものから成る。また、プラ
スチック等の可撓性を有する樹脂を基板11として用いてもよい。この他、透光性を有し
、トランジスタ17や発光素子25を支えるための支持体として機能するものであれば基
板11として用いることができる。
【0027】
絶縁層12a、絶縁層12bは、基板11からの不純物の拡散を阻止できるような物質
から成る層である。特に絶縁層12aは、不純物の拡散を阻止する機能を有すると共に、
基板11よりも屈折率が高く第1の電極21よりも屈折率が小さい物質で形成されている
ことが好ましい。このような物質として、酸素を含有する窒化珪素が挙げられる。また、
絶縁層12bは、不純物の拡散を阻止する機能を有すると共に、半導体層14との応力差
が少ない層であることが好ましい。このような層としては、例えば酸化珪素から成る層が
挙げられる。なお、当該酸化珪素から成る層には、数%またはそれ以下の窒素が含まれて
いてもよい。なお、絶縁層12aのみでも基板11からの不純物拡散を阻止できる場合は
、半導体層14と絶縁層12aとの間に絶縁層12bを必ずしも設けなくてもよい。
【0028】
さらに、絶縁層19は、透湿性が低く、基板11よりも屈折率が高く第1の電極21よ
りも屈折率が小さい物質で形成されていることが好ましい。また、絶縁層12aは絶縁層
19よりも屈折率が小さいか、若しくは屈折率が同じであることが好ましい。なお、絶縁
層12aと絶縁層19とは、同じ物質で形成されていてもよい。
【0029】
また、第1の電極21は、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Ox
ide)や、酸化珪素を含有するITO、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(Zn
O)を混合したIZO(Indium Zinc Oxide)等の可視光を透過できる
導電物を用いて形成すればよい。
【0030】
なお、第1の電極21が上記導電物によって形成されているとき、絶縁層12aは、ラ
ザフォード後方散乱法/水素前方散乱法(RBS/HFS)分析したときに5〜6%の酸
素元素を含む窒化珪素を用いて形成されることが好ましい。また、絶縁層19についても
絶縁層12aと同様に、ラザフォード後方散乱法/水素前方散乱法(RBS/HFS)分
析したときに5〜6%の酸素元素を含む窒化珪素を用いて形成されることが好ましい。
【0031】
絶縁層18は、多層でもよいし単層でもよい。また、絶縁層18は、酸化珪素やシロキ
サン若しくは窒化珪素等の無機物、又はアクリルやポリイミド等の有機物のいずれから成
るものであってもよいし、または無機物および有機物の両方を含むものであってもよい。
いずれにしても絶縁体であればよい。なお、絶縁層18の表面が平坦となるように、絶縁
層18にはシロキサンやアクリル等の自己平坦性を有する物質から成る層が含まれている
ことが好ましい。また、絶縁層18にシロキサンやアクリル等の透湿性の高い物質を含む
場合、本形態の発光装置のように絶縁層18を絶縁層19で被覆することによって、絶縁
層18を介した発光素子25への水分拡散を阻止することができる。但し、絶縁層18の
表面の平坦化は、自己平坦性を有する物質を利用したものに限らず、研磨法によって行っ
ても構わない。
【0032】
また、発光層23は、有機物若しくは無機物のいずれから成るものであってもよいし、
又は無機物と有機物の両方を含むものであってもよい。
【0033】
なお、本発明の発光装置において、トランジスタ17の構造については、特に限定され
ない。シングルゲート型でもよいし、マルチゲート型でもよい。また、シングルドレイン
構造でもよいし、LDD(Lightly Doped Drain)構造、若しくはL
DD領域とゲート電極とがオーバーラップしたような構造でもよい。
【0034】
また、図2は、本発明の発光装置の上面図である。なお、図2において、破線A−A’
で表される部分の一部の断面が図1の断面図で表されている。従って、図1で表したもの
に対応するものについては、図1と同様の符号を付している。つまり、14は半導体層で
あり、16はゲート電極であり、20bは配線であり、20aは接続部である。また、2
1は第1の電極であり、22は隔壁層である。さらに、図1には示されていないが、20
c、29a、29bは配線であり、27,28はトランジスタである。
【0035】
上記の発光装置において、発光素子25からの発光は、第1の電極21、絶縁層19、
絶縁層12aおよび基板11を順に通って外部に射出する。
【0036】
以上に示した本発明の発光装置では、発光装置外部へ発光を取り出す過程で生じる発光
の反射を低減すると共に、基板からトランジスタへの不純物拡散も十分に阻止できる。さ
らに、本発明の発光装置では、発光装置外部へ発光を取り出す課程で生じる発光の反射が
軽減されることによって、反射光に起因した多重干渉が抑制される。そして、多重干渉が
抑制された結果、発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が低減され
、発光装置に映し出される画像の視認性が良好なものとなる。
【0037】
(実施の形態2)
本実施の形態では、図1、2に示す本発明の発光装置の作製方法について図3、4を用
いて説明する。
【0038】
基板11上に絶縁層12a、12bを順に積層した後、さらに半導体層14を絶縁層1
2b上に積層する。なお、絶縁層12aは、酸素を含む窒化珪素を用いて形成することが
好ましい。また、絶縁層12aは、ラザフォード後方散乱法/水素前方散乱法(RBS/
HFS)分析したときに5〜6%の酸素元素を含む窒化珪素から成る層であることが、よ
り好ましい。5〜6%の酸素元素を含む窒化珪素から成る層は、例えば、モノシラン(S
iH4)、アンモニア(NH3)、亜酸化窒素(N2O)と水素(H2)とをそれぞれ1:1
0:2:40の流量比となるように混合した気体を原料とし、プラズマCVD法用いて形
成することができる。また、絶縁層12bは酸化珪素を用いて形成することが好ましい。
【0039】
次に、半導体層14を所望の形状に加工する。なお、加工は、レジストマスクを用いて
半導体層14をエッチングして行えばよい。半導体層14は、珪素またはシリコンゲルマ
ニウム等を用いて形成すればよい。但し、その他のものを用いて形成しても構わない。
【0040】
次に、半導体層14および絶縁層12b等を覆うゲート絶縁層15を形成し、さらにゲ
ート絶縁層15上に導電層を積層する。ゲート絶縁層15は、酸化珪素等を用いて形成す
ればよい。但し、その他のものを用いて形成しても構わない。また、ゲート絶縁層15は
、単層でもよいし、異なる絶縁物を複数積層した多層のものであっても構わない。
【0041】
次に、当該導電層を所望の形状に加工し、ゲート電極16を形成する。ここで、ゲート
電極16と共に配線29a、29b(図2)も形成する。なお、加工は、レジストマスク
を用いて当該導電層をエッチングして行えばよい。なお、ゲート電極は、タングステン(
W)、アルミニウム等を用いて形成すればよい。また、ゲート電極16は、単層でもよい
し、異なる導電物から成る層を複数積層した多層のものであっても構わない。例えば、窒
化チタンとタングステンとが積層したような層であってもよい。
【0042】
次に、ゲート電極16をマスクとして、半導体層14に高濃度の不純物を添加する。こ
れによって、半導体層14、ゲート絶縁層15およびゲート電極16を含むトランジスタ
17が作製される。
【0043】
なお、トランジスタ17の作製工程については、特に限定されず、所望の構造のトラン
ジスタを作製できるように適宜変更すればよい。
【0044】
次に、ゲート電極16、配線29a、29b、ゲート絶縁層15等を覆う絶縁層18を
形成する。本形態では、絶縁層18は、シロキサン等の自己平坦性を有する無機物を用い
て形成する。但し、これに限らず、自己平坦性を有する有機物を用いて形成してもよい。
また、絶縁層18は、必ずしも自己平坦性を有する物質で形成しなくてもよく、自己平坦
性を有しない物質のみから成るものであってもよい。さらに、絶縁層18は、自己平坦性
を有する物質から成る層と自己平坦性を有しない物質から成る層とを組み合わせて形成し
た多層構造の層であってもよい。
【0045】
次に、絶縁層18の一部を開口し、第1の開口部を有する絶縁層18とする。なお、第
1の開口部は、ゲート絶縁層15、絶縁層12bも貫通し、絶縁層12aに至るように形
成されている。従って、第1の開口部からは、絶縁層12aが露出する。また、絶縁層1
8の側壁が30°乃至60°の傾斜角をもつように第1の開口部を形成することが好まし
い。絶縁層18の側壁に傾斜を持たせることによって、絶縁層18の側壁上に導電物また
は絶縁物から成る層を形成したときに、当該層が絶縁層18の側壁を被覆し易くなる。
【0046】
次に、絶縁層18及び第1の開口部を覆うように、絶縁層19を形成する。これによっ
て、絶縁層18の側壁および第1の開口部にて露出した絶縁層12aは、絶縁層19によ
って覆われた状態となる。なお、絶縁層19は、酸素を含む窒化珪素を用いて形成するこ
とが好ましい。
【0047】
次に、絶縁層18、19を貫通し、半導体層14に至るコンタクトホールを形成する。
なお当該コンタクトホールはゲート絶縁層15も貫通している。
【0048】
次に、絶縁層19等を覆う導電層20を形成した後、当該導電層20を所望の形状に加
工し、接続部20a、配線20b、20c等を形成する。この時、第1の開口部において
は、絶縁層19が露出されるようにする。導電層20は、アルミニウム等の抵抗の低い導
電物を用いて形成すればよい。なお、導電層20は、単層でもよいし、異なる導電物から
成る層を複数積層した多層のものであっても構わない。例えば、窒化チタン、アルミニウ
ム、窒化チタンが順に積層したものでもよい。
【0049】
次に、接続部20a等を覆い、実施の形態1においても述べたようにITO等から成る
導電層を形成した後、当該導電層を加工して第1の電極21を形成する。ここで、第1の
電極21は、第1の開口部の内側において絶縁層12aと重畳した絶縁層19の上に形成
する。また、第1の電極21の一部は、接続部20aと接するように設けられる。本形態
では、第1の電極21は、絶縁層19上において接続部20aと接している。これによっ
て、トランジスタ17と第1の電極21とは接続部20aを介して電気的に接続する。
【0050】
なお、トランジスタ17を作製後、上記工程迄の間に、必要に応じて、水素化工程や熱
を利用した不純物の活性化工程等の工程を設ければよい。
【0051】
次に、第1の電極21の一部が露出されるように第2の開口部を有し、接続部20aや
絶縁層19等を覆う隔壁層22を形成する。ここで、隔壁層22は、感光性の樹脂材料を
露光・現像によって所望の形状に加工して形成してもよいし、または、感光性を有しない
無機物または有機物からなる層を形成した後これをエッチングして所望の形状に加工して
形成してもよい。なお、隔壁層22は、エッジ部が曲率を有するような形状となるように
形成することが好ましい。
【0052】
次に、隔壁層22から露出した第1の電極21を覆う発光層23を形成する。発光層2
3は、蒸着法やインクジェット法、スピンコート法等、いずれの方法を用いて形成しても
構わない。なお、絶縁層12a上に凹凸が形成されている場合は、ポリスチレンスルフォ
ン酸(PSS)とポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とを混合した高分子材
料から成る層を発光層23の一部に設けることによって、当該凹凸を緩和することができ
る。
【0053】
次に、発光層23を覆う第2の電極24を形成する。これによって、第1の電極21と
発光層23と第2の電極24とから成る発光素子25を作製できる。なお、第2の電極2
4は、第1の電極21のように可視光を透過するものであってもよいし、又はアルミニウ
ム等を用いて形成された可視光を透過しない電極であってもよい。
【0054】
以上のようにして、図1に示すような本発明の発光装置を作製することができる。
【0055】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1、2の発光装置と構造及び作製方法が異なる本発明の
発光装置について図5、6を用いて説明する。
【0056】
基板51上に絶縁層52a、52bを順に積層した後、さらに半導体層53を絶縁層5
2b上に積層する。なお、絶縁層52aは、酸素を含む窒化珪素によって形成することが
好ましい。また、絶縁層52aは、ラザフォード後方散乱法/水素前方散乱法(RBS/
HFS)分析したときに5〜6%の酸素元素を含む窒化珪素から成る層であることが、よ
り好ましい。5〜6%の酸素元素を含む窒化珪素から成る層は、例えば、モノシラン(S
iH4)、アンモニア(NH3)、亜酸化窒素(N2O)と水素(H2)とをそれぞれ1:1
0:2:40の流量比となるように混合した気体を原料とし、プラズマCVD法用いて形
成することができる。また、絶縁層52bは酸化珪素を用いて形成することが好ましい。
【0057】
次に、半導体層53を所望の形状に加工する。なお、加工は、レジストマスクを用いて
半導体層53をエッチングして行えばよい。半導体層53は、珪素またはシリコンゲルマ
ニウム等を用いて形成すればよい。但し、その他のものを用いて形成しても構わない。
【0058】
半導体層53の加工に続いて絶縁層52bもエッチングし加工する。このとき、レジス
トマスクは、半導体層53の加工に用いたものをそのまま用いればよい。
【0059】
次に、半導体層53および絶縁層52a等を覆うゲート絶縁層54を形成し、さらにゲ
ート絶縁層54上に導電層を積層する。ゲート絶縁層54は、酸化珪素等を用いて形成す
ればよい。但し、その他のものを用いて形成しても構わない。また、ゲート絶縁層54は
、単層でもよいし、異なる絶縁物を複数積層した多層のものであっても構わない。
【0060】
次に、当該導電層を所望の形状に加工し、ゲート電極55を形成する。ここで、ゲート
電極55と共に配線等も形成する。なお、加工は、レジストマスクを用いて当該導電層を
エッチングして行えばよい。なお、ゲート電極は、タングステン(W)、アルミニウム等
を用いて形成すればよい。また、ゲート電極55は、単層でもよいし、異なる導電物から
成る層を複数積層した多層のものであっても構わない。例えば、窒化チタンとタングステ
ンとが積層したような層であってもよい。
【0061】
次に、ゲート電極55をマスクとして、半導体層53に高濃度の不純物を添加する。こ
れによって、半導体層53、ゲート絶縁層54およびゲート電極55を含むトランジスタ
56が作製される。
【0062】
なお、トランジスタ56の作製工程については、特に限定されず、所望の構造のトラン
ジスタを作製できるように適宜変更すればよい。
【0063】
次に、ゲート電極55、配線、ゲート絶縁層54等を覆う絶縁層57を形成する。本形
態では、絶縁層57は、シロキサン等の自己平坦性を有する無機物を用いて形成する。但
し、これに限らず、自己平坦性を有する有機物を用いて形成してもよい。また、絶縁層5
7は、必ずしも自己平坦性を有する物質で形成しなくてもよく、自己平坦性を有しない物
質のみから成るものであってもよい。さらに、絶縁層57は、自己平坦性を有する物質か
ら成る層と自己平坦性を有しない物質から成る層とを組み合わせて形成した多層構造の層
であってもよい。
【0064】
次に、絶縁層57の一部を開口し、第1の開口部を有する絶縁層57を形成する。なお
、第1の開口部は、ゲート絶縁層54も貫通し、絶縁層52aに至るように形成されてい
る。従って、第1の開口部からは、絶縁層52aが露出する。また、絶縁層57の側壁が
30°乃至60°の傾斜角をもつように第1の開口部を形成することが好ましい。絶縁層
57の側壁に傾斜を持たせることによって、絶縁層57の側壁上に導電物または絶縁物か
ら成る層を形成したときに、当該層が絶縁層57の側壁を被覆し易くなる。
【0065】
また、第1の開口部を形成すると共に、絶縁層57、ゲート絶縁層54を貫通し、半導
体層53に至るコンタクトホールを形成する。
【0066】
次に、絶縁層57等を覆う導電層58を形成した後、当該導電層58を所望の形状に加
工し、接続部58a、配線58b等を形成する。この時、第1の開口部においては、絶縁
層52aが露出されるようにする。導電層58は、アルミニウム等の抵抗の低い導電物を
用いてすればよい。なお、導電層58は、単層でもよいし、異なる導電物から成る層を複
数積層した多層のものであっても構わない。例えば、窒化チタン、アルミニウム、窒化チ
タンが順に積層したものでもよい。
【0067】
次に、接続部58a等を覆い、可視光を透過する導電物から成る導電層を形成した後、
当該導電層を加工して第1の電極59を形成する。ここで、第1の電極59は、第1の開
口部の内側において絶縁層52aと積層するように形成される。また、第1の電極59の
一部は、接続部58aと接するように設けられる。本形態では、第1の電極59は、絶縁
層57上において接続部58aと接している。これによって、トランジスタ56と第1の
電極59とは接続部58aを介して電気的に接続する。可視光を透過する導電物としては
、実施の形態1においても述べたようにITO等を用いればよい。
【0068】
なお、トランジスタ56を作製後、上記工程迄の間に、必要に応じて、水素化工程や熱
を利用した不純物の活性化工程等の工程を設ければよい。
【0069】
次に、第1の電極59の一部が露出されるように開口部を有し、接続部58aや絶縁層
57等を覆う隔壁層60を形成する。ここで、隔壁層60は、感光性の樹脂材料を露光・
現像によって所望の形状に加工して形成してもよいし、または、感光性を有しない無機物
または有機物からなる層を形成した後これらをエッチングして所望の形状に加工して形成
してもよい。
【0070】
次に、隔壁層60から露出した第1の電極59を覆う発光層61を形成する。発光層6
1は、蒸着法やインクジェット法、スピンコート法等、いずれの方法を用いて形成しても
構わない。なお、絶縁層52a上に凹凸が形成されている場合は、PEDOT等の高分子
材料から成る層を発光層61の一部に設けることによって、当該凹凸を緩和することがで
きる。
【0071】
次に、発光層61を覆う第2の電極62を形成する。これによって、第1の電極59と
発光層61と第2の電極62とから成る発光素子63を作製できる。
【0072】
以上のように、半導体層53の加工と連続して絶縁層52aを加工する作製方法によっ
ても本発明の発光装置を作製することができる。
【0073】
なお、図6(B)の発光装置では、図1の発光装置と異なり、第1の開口部を有する絶
縁層の側壁を覆う絶縁層(図1において絶縁層19に該当する)が、形成されていない。
トランジスタを覆う絶縁層を介した発光素子への水分混入が十分に抑制されている場合は
、図6(B)の発光装置のように、第1の開口部を有する絶縁層の側壁を覆う絶縁層を設
けなくてもよい。
【0074】
また、第1の電極は、第1の開口部内全体を覆う必要はなく、例えば図6(B)の発光
装置のように第1の開口部内の一部のみを覆った構造であっても構わない。
【0075】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態3に示したものと異なる構造を有する
本発明の発光装置について図7を用いて説明する。
【0076】
図7に示す発光装置において、トランジスタ17と第1の電極21とを接続するための
接続部20aは、絶縁層18の側壁の一部を覆い、当該部において第1の電極21と重畳
している。また、その他の構成については、図1に示したものと同様である。
【0077】
このように、トランジスタ17と第1の電極21との接続手段は、図1に示されたもの
に限定されるものでなく、図7に示したようなものでもよい。
【0078】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態4に示したものと異なる構造を有する
本発明の発光装置について図8を用いて説明する。
【0079】
図8に示す発光装置において、トランジスタ56と第1の電極59とを接続するための
接続部58aは、第1の電極59が接続部58aよりも下層になるように重畳している。
また、その他の構成については、図6(B)に示したものと同様である。
【0080】
なお、図8に示すような発光装置は、実施の形態3において説明した発光装置の作製方
法において、第1の電極59と接続部58a、配線58b等との工程順を逆にすることに
よって作製することができる。
【0081】
このように、トランジスタ56と第1の電極59との接続手段は、図6(B)に示され
たものに限定されるものでなく、図8に示したようなものでもよい。また、図8に示した
ような接続手段を図8等に適用しても構わない。
【0082】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態5に示したものと異なる本発明の発光
装置について図9を用いて説明する。
【0083】
図9に示す発光装置において、トランジスタ56と、発光素子63の構成要素である第
1の電極59とを接続するための接続部58aは、絶縁層57の側壁全体を覆い、一部に
おいて第1の電極59と重畳している。また、その他の構成については、図6(B)に示
したものと同様である。
【0084】
また、本形態の発光装置において、第1の電極59および第2の電極62は、いずれも
可視光を透過する。
【0085】
さらに、図10は、図9に示す本発明の発光装置の上面図である。なお、図10におい
て、破線A−A’で表される部分の一部の断面が図9の断面図で表されている。従って、
図9で表したものに対応するものについては、図9と同様の符号を付している。つまり、
53は半導体層であり、55はゲート電極であり、58bは配線であり、58aは接続部
である。また、59は第1の電極であり、60は隔壁層である。さらに、図9には示され
ていないが、58c、65a、65bは配線であり、66,67はトランジスタである。
【0086】
図9および図10からも分かるように、接続部58aは絶縁層57の側壁全体を覆うよ
うに設けられている。このように、絶縁層57の側壁全体は、接続部58aによって覆わ
れていても構わないし、又は接続部58aと同層で設けられた導電層等によって覆われて
いても構わない。
【0087】
発光素子を構成する両電極が可視光を透過できる発光装置では、一方の電極から射出し
た発光の一部は、発光装置外部に取り出す過程で反射して、他方の電極側に戻る場合があ
る。そして、この戻った発光は、発光層からの発光等と干渉し、当該他方の電極側から取
り出される発光のスペクトル変化等を引き起こす場合がある。しかし、本発明の発光装置
は当該反射を抑制できるものであるため、第1の電極59及び第2の電極62の両電極が
可視光を透過できるものである場合にも有効である。
【0088】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態1、2および3の発光装置と構造及び作製方法が異なる
本発明の発光装置について図11、12を用いて説明する。
【0089】
基板101上に絶縁層102a、102bを順に積層した後、さらに半導体層103を
絶縁層102b上に積層する。なお、絶縁層102aは、酸素を含む窒化珪素によって形
成することが好ましい。また、絶縁層102aは、ラザフォード後方散乱法/水素前方散
乱法(RBS/HFS)分析したときに5〜6%の酸素元素を含む窒化珪素から成る層で
あることがより好ましい。5〜6%の酸素元素を含む窒化珪素から成る層は、例えば、モ
ノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)、亜酸化窒素(N2O)と水素(H2)とをそ
れぞれ1:10:2:40の流量比となるように混合した気体を原料とし、プラズマCV
D法用いて形成することができる。また、絶縁層102bは酸化珪素を用いて形成するこ
とが好ましい。
【0090】
次に、半導体層103を所望の形状に加工する。なお、加工は、レジストマスクを用い
て半導体層103をエッチングして行えばよい。半導体層103は、珪素またはシリコン
ゲルマニウム等を用いて形成すればよい。但し、その他のものを用いて形成しても構わな
い。
【0091】
次に、半導体層103および絶縁層102b等を覆うゲート絶縁層104を形成し、さ
らにゲート絶縁層104上に導電層を積層する。ゲート絶縁層104は、酸化珪素等を用
いて形成すればよい。但し、その他のものを用いて形成しても構わない。また、ゲート絶
縁層104は、単層でもよいし、異なる絶縁物を複数積層した多層のものであっても構わ
ない。
【0092】
次に、当該導電層を所望の形状に加工し、ゲート電極105を形成する。ここで、ゲー
ト電極105と共に配線等も形成する。なお、加工は、レジストマスクを用いて当該導電
層をエッチングして行えばよい。なお、ゲート電極105は、タングステン(W)、アル
ミニウム等を用いて形成すればよい。また、ゲート電極105は、単層でもよいし、異な
る導電物から成る層を複数積層した多層のものであっても構わない。例えば、窒化チタン
とタングステンとが積層したような層であってもよい。
【0093】
次に、ゲート電極105をマスクとして、半導体層103に高濃度の不純物を添加する
。これによって、半導体層103、ゲート絶縁層104およびゲート電極105を含むト
ランジスタ106が作製される。
【0094】
なお、トランジスタ106の作製工程については、特に限定されず、所望の構造のトラ
ンジスタを作製できるように適宜変更すればよい。
【0095】
次に、ゲート絶縁層104及び絶縁層102bの一部をエッチングして、絶縁層102
aの一部が露出する開口部を形成する。なお、当該開口部は、後の工程によって、発光素
子が形成される部分に設けられる。
【0096】
次に、前記開口部、ゲート電極105、配線及びゲート絶縁層104等を覆う絶縁層1
07を形成する。本形態では、絶縁層107は、下層に絶縁層107aを有し、上層に絶
縁層107bを有し、二層から成るものとした。また、本形態では、なお、絶縁層102
aは、酸素を含む窒化珪素によって形成することが好ましい。また、絶縁層102aは、
ラザフォード後方散乱法/水素前方散乱法(RBS/HFS)分析したときに5〜6%の
酸素元素を含む窒化珪素から成る層であることがより好ましい。5〜6%の酸素元素を含
む窒化珪素から成る層は、例えば、モノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)、亜酸
化窒素(N2O)と水素(H2)とをそれぞれ1:10:2:40の流量比となるように混
合した気体を原料とし、プラズマCVD法用いて形成することができる。このようにして
形成された層には、水素が含有されている。そして、当該水素は半導体層103とゲート
絶縁層104との界面状態を良くするための水素化に利用することができる。また、本形
態では、絶縁層107bは、シロキサン等の自己平坦性を有する無機物を用いて形成する
。但し、これに限らず、自己平坦性を有する有機物を用いて形成してもよい。また、絶縁
層107bは、必ずしも自己平坦性を有する物質で形成しなくてもよく、自己平坦性を有
しない物質のみから成るものであってもよい。さらに、絶縁層107bは、自己平坦性を
有する物質から成る層と自己平坦性を有しない物質から成る層とを組み合わせて形成した
多層構造の層であってもよい。
【0097】
次に、絶縁層107bの一部を開口し、第1の開口部を有する絶縁層107bを形成す
る。なお、第1の開口部は、ゲート絶縁層104及び絶縁層102bを貫通する開口部の
内側に設けられる。従って、第1の開口部からは、絶縁層107aが露出する。また、絶
縁層107bの側壁が30°乃至60°の傾斜角をもつように第1の開口部を形成するこ
とが好ましい。絶縁層107bの側壁に傾斜を持たせることによって、絶縁層107bの
側壁上に導電物または絶縁物から成る層を形成したときに、当該層が絶縁層107bの側
壁を被覆し易くなる。
【0098】
また、第1の開口部を形成した後、絶縁層107、ゲート絶縁層104を貫通し、半導
体層103に至るコンタクトホールを形成する。
【0099】
次に、絶縁層107等を覆う導電層108を形成した後、当該導電層108を所望の形
状に加工し、接続部108a、配線108b等を形成する。この時、第1の開口部におい
ては、絶縁層107bが露出されるようにする。導電層108は、アルミニウム等の抵抗
の低い導電物を用いてすればよい。なお、導電層108は、単層でもよいし、異なる導電
物から成る層を複数積層した多層のものであっても構わない。例えば、窒化チタン、アル
ミニウム、窒化チタンが順に積層したものでもよい。
【0100】
次に、接続部108a等を覆い、可視光を透過する導電物から成る導電層を形成した後
、当該導電層を加工して第1の電極109を形成する。ここで、第1の電極109は、第
1の開口部の内側において絶縁層107bと積層するように形成される。また、第1の電
極109の一部は、接続部108aと接するように設けられる。本形態では、第1の電極
109は、絶縁層107b上において接続部108aと接している。これによって、トラ
ンジスタ106と第1の電極109とは接続部108aを介して電気的に接続する。可視
光を透過する導電物としては、実施の形態1においても述べたようにITO等を用いれば
よい。
【0101】
なお、トランジスタ106を作製後、上記工程迄の間に、必要に応じて、水素化工程や
熱を利用した不純物の活性化工程等の工程を設ければよい。
【0102】
次に、第1の電極109の一部が露出されるように開口部を有し、接続部108aや絶
縁層107等を覆う隔壁層110を形成する。ここで、隔壁層110は、感光性の樹脂材
料を露光・現像によって所望の形状に加工して形成してもよいし、または、感光性を有し
ない無機物または有機物からなる層を形成した後これらをエッチングして所望の形状に加
工して形成してもよい。
【0103】
次に、隔壁層110から露出した第1の電極109を覆う発光層111を形成する。発
光層111は、蒸着法やインクジェット法、スピンコート法等、いずれの方法を用いて形
成しても構わない。なお、絶縁層107a上に凹凸が形成されている場合は、PEDOT
等の高分子材料から成る層を発光層111の一部に設けることによって、当該凹凸を緩和
することができる。
【0104】
次に、発光層111を覆う第2の電極112を形成する。これによって、第1の電極1
09と発光層111と第2の電極112とから成る発光素子113を作製できる。
【0105】
以上のような作製方法によっても本発明の発光装置を作製することができる。また、第
1の電極とトランジスタとの接続に実施の形態4や実施の形態5で示したような手段を適
用しても構わない。
【0106】
(実施の形態8)
実施の形態1乃至実施の形態7では、トランジスタと、発光素子の第1の電極とは接続
部を介して電気的に接続している構成の発光装置について説明している。しかし、このよ
うな構成の発光装置に限らず、発光素子の第1の電極と接続部とが絶縁層を介して異なる
層に設けられ、当該絶縁層を貫通するコンタクトホールを介して発光素子の第1の電極と
接続部とが接続したような構成を有する発光装置としても構わない。
【実施例1】
【0107】
本実施例では、本発明を適用した発光装置について説明する。但し、本発明の発光装置
の構造および発光装置を構成する物質等は、本実施例に示すものに限定されない。
【0108】
図1で表される本発明の一実施例について説明する。
【0109】
本実施例において、発光素子25の構成要素である発光層23は、複数の層から成る。
複数の層は、キャリア輸送性の高い物質とキャリア注入性の高い物質とから選ばれた物質
から成る層を組み合わせて構成されたものであり、一部に発光性の高い物質を含むもので
ある。発光層23を構成する物質は無機物でも有機物でも構わない。有機物の場合、低分
子でも高分子でも構わない。
【0110】
ここで発光物質としては、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(1,
1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:
DCJT)、4−(ジシアノメチレン)−2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,
7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DC
JTB)、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−
1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]ベンゼン、N,N’
−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(
8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,1
0−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アント
ラセン(略称:DNA)等を用いることができる。また、この他の物質でもよい。
【0111】
なお、以上のような一重項励起発光物質の他、金属錯体などを含む三重項励起発光物質
を用いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の
画素のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光物質で形成
し、他を一重項励起発光物質で形成する。三重項励起発光物質は発光効率が良いので、同
じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用
した場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる
。低消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光物
質で形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光物質で形成しても良い。人間の視感度
が高い緑色の発光素子も三重項励起発光物質で形成することで、より低消費電力化を図る
ことができる。
【0112】
三重項励起発光物質の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、
第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金
属錯体などが知られている。三重項励起発光物質としては、これらの化合物に限られるこ
とはなく、上記構造を有し、且つ中心金属に周期表の8〜10属に属する元素を有する化
合物を用いることも可能である。
【0113】
キャリア輸送性の高い物質のうち、特に電子輸送性の高い物質としては、例えばトリス
(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(5−メチル−8−キノ
リノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−
キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)
−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格または
ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また正孔輸送性の高い物質として
は、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニ
ル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル
−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェ
ニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス
[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:
MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合
物が挙げられる。また、キャリア注入性の高い物質のうち、特に電子注入性の高い物質と
しては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(C
aF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物が挙げられる。また、こ
の他、Alq3のような電子輸送性の高い物質とマグネシウム(Mg)のようなアルカリ
土類金属との混合物であってもよい。また、正孔注入性の高い物質としては、例えば、モ
リブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuO
x)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属酸化物が挙
げられる。また、この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(Cu
PC)等のフタロシアニン系の化合物が挙げられる。
【0114】
また、トランジスタ17は、スタガ型のものであるが、この他、逆スタガ型のものでも
よい。さらに、逆スタガ型の場合、半導体層の上に保護層を有する所謂チャネル保護型の
ものでもよいし、または半導体層の一部がエッチングされている所謂チャネルエッチ型の
ものでもよい。
【0115】
また、半導体層14は、結晶性、非結晶性のいずれのものでもよい。また、セミアモル
ファス等でもよい。
【0116】
なお、セミアモルファスな半導体とは、次のようなものである。非晶質と結晶構造(単
結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有
する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいるもの
である。また少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでいる
。ラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしている。X線回折ではSi
結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合
手(ダングリングボンド)を終端させるために水素またはハロゲンを少なくとも1原子%
またはそれ以上含ませている。所謂微結晶半導体(マイクロクリスタル半導体)とも言わ
れている。珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪化物気体と
しては、SiH4、その他にもSi26、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、Si
4などを用いることができる。この珪化物気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、
Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜100
0倍の範囲。圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120
MHz、好ましくは13MHz〜60MHz。基板加熱温度は300℃以下でよく、好ま
しくは100〜250℃。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の
不純物は1×1020/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019
cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とする。なお、セミアモルファス半導体を
用いたTFT(薄膜トランジスタ)の移動度はおよそ1〜10m2/Vsecとなる。
【0117】
また、半導体層が結晶性のものの具体例としては、単結晶または多結晶性の珪素、或い
はシリコンゲルマニウム等から成るものが挙げられる。これらはレーザー結晶化によって
形成されたものでもよいし、例えばニッケル等を用いた固相成長法による結晶化によって
形成されたものでもよい。
【0118】
なお、半導体層が非晶質の物質、例えばアモルファスシリコンで形成される場合には、
トランジスタ17およびその他のトランジスタ(発光素子を駆動するための回路を構成す
るトランジスタ)は全てNチャネル型トランジスタで構成された回路を有する発光装置で
あることが好ましい。それ以外については、Nチャネル型またはPチャネル型のいずれか
一のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよいし、両方のトランジスタで
構成された回路を有する発光装置でもよい。
【0119】
隔壁層22は、図1のようにエッジ部において、曲率半径が連続的に変化する形状であ
ることが好ましい。また隔壁層22は、アクリルやシロキサン(シリコン(Si)と酸素
(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む物質)、レジスト
、酸化珪素等を用いて形成される。なお隔壁層22は、無機膜と有機膜のいずれか一で形
成されたものでもよいし、または両方を用いて形成されたものでもよい。
【0120】
また、発光素子25は、第1の電極21が陽極として機能し、第2の電極24が陰極と
して機能する構成であってもよいし、或いは第1の電極21が陰極として機能し、第2の
電極24が陽極として機能する構成であってもよい。但し、前者の場合、トランジスタ1
7はPチャネル型トランジスタであり、後者の場合、トランジスタ17はNチャネル型ト
ランジスタである。
【0121】
本発明の発光装置は、以上に述べたような発光素子25とトランジスタ17とが含まれ
る画素が複数、マトリクス状に配列して成る。なお、発光層は、発光波長帯の異なる発光
層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G
(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成する。この場合にも、画素の光放射側に
その発光波長帯の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成とすることで、色純度
の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルター(着色層
)を設けることで、従来必要であるとされていた円偏光板などを省略することが可能とな
り、発光層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素部(表
示画面)を見た場合に起こる色調の変化を一層低減することができる。
また、上記のように各色に対応した発光層を設けて、カラー表示を行う以外に、発光層
は単色又は白色の発光を呈する構成とすることもできる。白色発光材料を用いる場合には
、画素の光放射側に特定の波長の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成として
カラー表示を可能にすることができる。
なお、 白色に発光する発光層を形成するには、例えば、Alq3、部分的にナイルレ
ッドをドープしたAlq3、p−EtTAZ、TPD(芳香族ジアミン)を蒸着法により
順次積層することで白色を得ることができる。また、スピンコートを用いた塗布法により
発光層を形成する場合には、塗布した後、真空加熱で焼成することが好ましい。例えば、
ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT
/PSS)を全面に塗布、焼成し、その後、色素(1,1,4,4−テトラフェニル−1
,3−ブタジエン(TPB)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチル
アミノ−スチリル)−4H−ピラン(DCM1)、ナイルレッド、クマリン6など)ドー
プしたポリビニルカルバゾール(PVK)溶液を全面に塗布、焼成すればよい。
【0122】
発光層は上記のように多層から成るもの以外に単層で形成することもできる。この場合
、ポリビニルカルバゾール(PVK)に1,3,4−オキサジアゾール誘導体(PBD)
を分散させてもよい。また、30wt%のPBDを分散し、4種類の色素(TPB、クマ
リン6、DCM1、ナイルレッド)を適当量分散することで白色発光が得られる。
【0123】
本発明の発光装置の構成要素である発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する
。発光素子を用いて形成する表示装置の画素は、アクティブマトリクス方式で駆動するこ
とができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを
印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光
状態である時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させること
ができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画素内で非発光
領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイア
スを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光装置の
信頼性を向上させることができる。
【0124】
なお、以上に述べたような構成は、図1に示したような本発明の発光装置に限らず、図
6(B)、7等その他の本発明の発光装置に適用しても構わない。
【実施例2】
【0125】
本実施例では、本発明の発光装置において発光素子を駆動するために画素部に設けられ
ている回路について説明する。但し、発光素子を駆動するための回路は、本実施例で示す
ものには限定されない。
【0126】
図13に示すように、発光素子301には、各々の発光素子を駆動するための回路が接
続されている。当該回路は、それぞれ、映像信号によって発光素子301の発光・非発光
を決定する駆動用トランジスタ321と、前記映像信号の入力を制御するスイッチング用
トランジスタ322と、前記映像信号に関わらず発光素子301を非発光状態にする消去
用トランジスタ323とを有する。ここで、スイッチング用トランジスタ322のソース
(又はドレイン)はソース信号線331と接続し、駆動用トランジスタ321のソース及
び消去用トランジスタ323のソースはソース信号線331と並列するように延びた電流
供給線332と接続し、スイッチング用トランジスタ322のゲートは第1の走査線33
3と接続し、消去用トランジスタ323のゲートは第1の走査線333と並列に延びた第
2の走査線334と接続している。また、駆動用トランジスタ321と発光素子301と
は直列に接続している。
【0127】
発光素子301が発光するときの駆動方法について説明する。書き込み期間において第
1の走査線333が選択されると、第1の走査線333にゲートが接続されているスイッ
チング用トランジスタ322がオンになる。そして、ソース信号線331に入力された映
像信号が、スイッチング用トランジスタ322を介して駆動用トランジスタ321のゲー
トに入力さることによって電流供給線332から発光素子301へ電流が流れ、例えば緑
の発光をする。この時、発光素子301へ流れる電流の大きさによって発光の輝度が決ま
る。
【0128】
なお、発光素子301は図1における発光素子25に対応し、駆動用トランジスタ32
1は図1におけるトランジスタ17に対応する。また、消去用トランジスタ323は図2
におけるトランジスタ28に対応し、スイッチング用トランジスタ322は図2における
トランジスタ27に対応する。さらに、ソース信号線331は図2における配線20cに
対応し、電流供給線332は図2における配線20bに対応し、第1の走査線333は図
2における配線29aに対応し、第2の走査線334は図2における配線29bに対応す
る。
【0129】
また、各々の発光素子に接続する回路の構成は、ここで述べたものに限定されず、図1
4で表されるような、上記と異なる構成のものであってもよい。
【0130】
次に、図14で表される回路について説明する。
【0131】
図14に示すように、発光素子801には、各々の発光素子を駆動するための回路が接
続されている。当該回路は、映像信号によって発光素子801の発光・非発光を決定する
駆動用トランジスタ821と、前記映像信号の入力を制御するスイッチング用トランジス
タ822と、前記映像信号に関わらず発光素子801を非発光状態にする消去用トランジ
スタ823と、発光素子801に供給される電流の大きさを制御するための電流制御用ト
ランジスタ824とを有する。ここで、スイッチング用トランジスタ822のソース(又
はドレイン)はソース信号線831と接続し、駆動用トランジスタ821のソース及び消
去用トランジスタ823のソースはソース信号線831と並列するように延びた電流供給
線832と接続し、スイッチング用トランジスタ822のゲートは第1の走査線833と
接続し、消去用トランジスタ823のゲートは第1の走査線833と並列に延びた第2の
走査線834と接続している。また、駆動用トランジスタ821と発光素子801とは、
電流制御用トランジスタ824を間に挟み、直列に接続している。電流制御用トランジス
タ824のゲートは、電源線835に接続している。なお、電流制御用トランジスタ82
4は、電圧−電流(Vd−Id)特性における飽和領域において電流が流れるように構成
、制御されたものであり、これによって、電流制御用トランジスタ824に流れる電流値
の大きさを決定することができる。
【0132】
発光素子801が発光するときの駆動方法について説明する。書き込み期間において第
1の走査線833が選択されると、第1の走査線833にゲートが接続されているスイッ
チング用トランジスタ822がオンになる。そして、ソース信号線831に入力された映
像信号が、スイッチング用トランジスタ822を介して駆動用トランジスタ821のゲー
トに入力される。さらに、駆動用トランジスタ821と、電源線835からの信号を受け
てオン状態になった電流制御用トランジスタ824とを介して電流供給線832から発光
素子801へ電流が流れ、発光に至る。このとき、発光素子へ流れる電流の大きさは、電
流制御用トランジスタ824によって決まる。
【実施例3】
【0133】
本発明の発光装置は、発光層から発光外部に効率よく発光を取り出すことができる。こ
のため、本発明の発光装置を実装した電子機器においては、表示機能に係る消費電力が低
くなる。また、発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が少ないため
、本発明の発光装置を実装した電子機器においては、視認性が良好な画像を得ることがで
きる。以下、本発明の発光装置を実装した電子機器等について説明する。
【0134】
本発明の発光装置は、外部入力端子の装着および封止後、各種電子機器に実装される。
【0135】
本実施例では、封止後の本発明の発光装置およびその発光装置を実装した電子機器につ
いて図15、16、17を用いて説明する。但し、図15、16、17に示したものは一
実施例であり、発光装置の構成はこれに限定されるものではない。
【0136】
本実施例では、本発明の発光装置の作製方法について図15、16を用いて説明する。
なお、図16は図15における断面図である。
【0137】
図15において、ガラスから成る第1の基板501上には、画素部502と駆動回路部
503、504と、接続端子部505とが設けられている。駆動回路部503、504は
それぞれ、画素部502の一端に沿うように配置されている。また、接続端子部は、駆動
回路部503と隣接して設けられており、駆動回路部503、504と配線によって接続
している。なお、本実施例では、第1の基板501として、ガラス基板を用いているが、
この他に石英基板や、プラスチックなどの可撓性を有する基板等を用いても構わない。
【0138】
画素部502では、発光素子とそれを駆動するための回路素子(回路を構成する各部分
単位であって、トランジスタ・抵抗等をいう。)とが設けられている。図16は、第1の
基板501の断面構造を模式的に表したものである。画素部502においては、本発明が
適用されている。
【0139】
第1の基板501と対向して設けられている第2の基板511には、吸水性を有する物
質が固定されている。図15に表されるように、吸水性を有する物質が固定された領域5
12は、画素部502の外側に、画素部502の端部に沿うように設けられている。また
、図15では、領域512は、駆動回路部503、504と重畳している。なお、本実施
例では、吸水性を有する物質として粒状の酸化カルシウムが用いられている。また、第2
の基板511の一部に凹部を設け、エステルアクリレートを固定剤として用い、当該凹部
に酸化カルシウムを固定している。
【0140】
なお、本実施例では、第2の基板511として、ガラス基板を用いている。しかし、こ
の他に石英基板や、プラスチックなどの可撓性を有する基板等を用いても構わない。また
、エステルアクリレート以外の透湿性の高い物質を固定剤として用いても構わない。また
、樹脂以外に、シロキサンなどの無機物を固定剤として用いても構わない。また、本実施
例では、加熱によって固定剤を固化させている。しかし、これに限らず、重合開始剤を含
み光硬化性を有する物質であって透湿性の高い物質を固定剤として用いても構わない。ま
た、本実施例では、吸水性を有する物質として、粒状の酸化カルシウムを用いているが、
この他の吸水性を有する物質を用いてもよい。また、化学吸着によって水を吸着すること
のできる分子を有機溶媒中に混合した組成物を凹部に注入した後、これを固化させたもの
を用いてもよい。
【0141】
第1の基板501と第2の基板511とは、発光素子やトランジスタ506等が内部に
封じ込められるように、シール材522によって貼り合わせられている。また、接続端子
部505を介して駆動回路部503等とフレキシブルプリント配線基板(FPC)523
が接続されている。
【0142】
なお、第1の基板501と第2の基板511とシール材522とで囲まれた空間(発光
装置内部)には窒素などの不活性ガスが充填されている。
【0143】
以上に示した本発明の発光装置では、画素部502からの外部への発光の取り出しを妨
げるようなものがないため、発光素子の第2の電極(発光層を中心として基板と反対側に
設けられた電極)から発光を取り出すような場合に有効である。また、領域512内に吸
水性を有する物質が固定されているため、第1の基板501と第2の基板511とを貼り
合わせるためにプレスしても、吸水性を有する物質が駆動回路部503、504と接触す
ることがなく、当該吸水性を有する物質によって駆動回路部503、504が損傷するこ
とを防止できる。
【0144】
図17に、本発明を適用した発光装置を実装した電子機器の一実施例を示す。
【0145】
図17(A)は、本発明を適用して作製したパーソナルコンピュータであり、本体55
21、筐体5522、表示部5523、キーボード5524などによって構成されている
。当該パーソナルコンピューターは本発明の発光装置を表示部として組み込むことで完成
できる。
【0146】
図17(B)は、本発明を適用して作製した携帯電話であり、本体5552には表示部
5551と、音声出力部5554、音声入力部5555、操作スイッチ5556、555
7、アンテナ5553等が設けられている。当該携帯電話は、本発明の発光装置を表示部
として組み込むことで完成できる。
【0147】
図17(C)は、本発明を適用して作製したテレビ受像機であり、表示部5531、筐
体5532、スピーカー5533などによって構成されている。当該テレビ受像機は、本
発明の発光装置を表示部として組み込むことで完成できる。
【0148】
以上のように本発明の発光装置は、各種電子機器の表示部として用いるのに非常に適し
ている。
【0149】
なお、本実施例では、パーソナルコンピュータ等について述べているが、この他にカー
ナビゲイション、或いは照明機器等に本発明の発光素子を有する発光装置を実装しても構
わない。
【符号の説明】
【0150】
11 基板
12 絶縁層
12a 絶縁層
12b 絶縁層
14 半導体層
15 ゲート絶縁層
16 ゲート電極
17 トランジスタ
18 絶縁層
19 絶縁層
19c 配線
19b 配線
20 導電層
20a 接続部
20b 配線
21 第1の電極
22 隔壁層
23 発光層
24 第2の電極
25 発光素子
28 トランジスタ
27 トランジスタ
29a 配線
29b 配線
51 基板
52a 絶縁層
52b 絶縁層
53 半導体層
54 ゲート絶縁層
55 ゲート電極
56 トランジスタ
57 絶縁層
58 導電層
58a 接続部
58b 配線
59 第1の電極
60 隔壁層
61 発光層
62 第2の電極
63 発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に設けられたトランジスタと、
前記トランジスタを覆と共に、前記第1の絶縁層が露出するように設けられた第1の開口部を有する第2の絶縁層と、
前記第1の開口部において、前記第1の絶縁層と重畳するように設けられた第1の電極と、
前記第2の絶縁層を覆うと共に、前記第1の電極が露出するように設けられた第2の開口部を有する隔壁層と、
前記第2の開口部において、前記第1の電極と重畳するように設けられた発光層と、
前記第2の開口部において、前記発光層と重畳するように設けられた第2の電極とを有し、
前記第1の絶縁層は、不純物拡散を阻止でき、前記第1の電極よりも屈折率が小さく前記基板よりも屈折率が高い層であることを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−190042(P2012−190042A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−113139(P2012−113139)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【分割の表示】特願2005−17472(P2005−17472)の分割
【原出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】