説明

発券装置

【課題】ホッパの収納部に収納された券の残量を検知するニアエンド検知機構を簡素化するとともにニアエンドおよびステージのロック状態を検知する制御を簡素化する。
【解決手段】 収納部10に収納された航空券6の残量を検知するニアエンドセンサ14、ホッパステージ11がキャッチ(12、13)にロックされていることを検知するステージセットセンサ15、および収納部10のホッパステージ11に当接する当接部(18a、18b)ならびにニアエンドセンサ14またはステージセットセンサ15を作動させるための遮光部19を有する検出板17を収納部10の中央部の近傍に配置し、収納部10のホッパステージ11で摺動させた検出板17の遮光部19がニアエンドセンサ14またはステージセットセンサ15を作動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の駅、空港、旅行代理店等に設置され、鉄道の乗車券、予約券、座席指定券、定期乗車券、飛行機に搭乗するための航空券等を発行する発券装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発券装置を、図9の従来の発券装置の説明図、図10の従来のホッパの側面図、図11の従来のニアエンド状態のホッパの側面図、図12の従来のホッパステージをロックした状態のホッパの側面図に基づいて説明する。
図9において、101は飛行機に搭乗するための航空券等を発行する発券装置である。
この発券装置101は、新規に航空券を発行するために使用される新しい媒体を収納するホッパ102を有し、このホッパ102は内部に収納されている媒体を1枚ずつ分離して搬送路103へ搬出するための分離機構を備えている。
【0003】
搬送路103は、ホッパ102から分離された媒体を排出集積する排出スタッカ105へ搬送するように発券装置101の内部に配設され、その途中には航空券としての媒体の表面に飛行機の便名等を印字する印字部104が配設されている。
このように構成された発券装置101は、図示しない上位装置からの指令を受けて分離機構により、ホッパ102から航空券を1枚ずつ分離して搬出する。搬出された航空券は搬送路103で搬送されて印字部104で所定の情報が印字され、搬出スタッカ105へ排出されて発券される。
【0004】
図10において、110はホッパ102に収納された航空券、111は航空券110を図示しない分離部に押し付けるホッパステージ、112はホッパステージ111をロックするために設けられたキャッチA、113はホッパステージ111のキャッチA112を係止するためのキャッチBである。
114はホッパ102に収納された航空券の残量を検知する光学式のニアエンドセンサ、115はホッパステージ111が当接すると回動するニアエンドレバー、116は二アンドレバー115を一定の方向に付勢するニアエンドスプリングである。
【0005】
117はホッパステージ111がロックされたことを検知する光学式のステージセットセンサ、118はホッパステージ111が当接すると回動するステージセットレバー、119はステージセットレバー118を一定の方向に付勢するステージセットスプリングである。
このホッパ102に航空券110が十分に収納されている場合、図10に示すようにニアエンドセンサ114およびステージセットセンサ117は、ニアエンドレバー115およびステージセットレバー118により光軸が遮られないため、航空券110のニアエンドおよびホッパステージ111のロックを検知しない。
【0006】
ホッパ102に収納されている航空券110の残量が少なくなると、図11に示すようにホッパステージ111が二アンドレバー115に当接し、その二アンドレバー115が回動してニアエンドセンサ114の光軸を遮り、ニアエンドセンサ114は航空券110のニアエンドを検知する。
航空券110のニアエンドを検知すると発券装置101はその旨を上位装置へ通知し、係員はホッパ102に航空券110を補充する。
【0007】
係員は航空券110を補充する際、ホッパステージ111のキャッチA112をキャッチB113にロックさせることにより、片手で補充することができるようになる。
ホッパステージ111のキャッチA112をキャッチB113にロックさせると、図12に示すようにホッパステージ111がステージセットレバー118に当接し、そのステージセットレバー118が回動してステージセットセンサ117の光軸を遮り、ステージセットセンサ117はホッパステージ111がロックされていることを検知する。
【0008】
ホッパステージ111がロックされている状態では補充された航空券110を分離機構で分離することができないため、発券装置101はホッパステージ111のロックが解除されていない旨を上位装置へ通知し、係員にホッパステージ111のロックを解除させるようにしている。
このようにして従来の発券装置は、ホッパに収納されている媒体のニアエンドおよびホッパステージのロック状態を検知するようにしている。
【0009】
また、特別なニアエンド検知機構を設けることなく、媒体が載置されたステージを移動させるステッピングモータの駆動回転量から媒体のニアエンドを検知するようにしているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−92510号公報(段落「0006」〜段落「0008」、図1、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の技術においては、ニアエンドセンサおよびステージセットセンサが離れた位置に存在するため、それぞれ多数の部品が必要になるとともにコードの処理も複雑になってしまうという問題がある。
また、ニアエンドセンサは媒体を分離するための部品が多く配置されているホッパの分離機構周辺に設けられているため、ニアエンドセンサや分離機構を構成する部品が複雑になってしまうという問題がある。
【0011】
さらに、ニアエンドセンサや分離機構を構成する部品が複雑になってしまうという問題に鑑み、特別なニアエンド検知機構を設けることなく媒体のニアエンドを検知するようにしてもニアエンドおよびステージのロック状態を検知する制御が別個のものとなり、その制御が複雑になってしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのため、本発明は、ホッパの収納部に収納された券を分離して搬出する発券装置において、収納部に収納された券を分離機構に押圧する摺動自在な押圧板と、前記分離機構との間に券を補充するための空間を形成した前記押圧板を保持する係止部と、収納部に収納された券の残量を検知するニアエンド検知手段と、前記押圧板が前記係止部に保持されていることを検知する押圧板保持検知手段と、前記押圧板に当接する当接部と、前記ニアエンド検知手段または前記押圧板保持検知手段を作動させるための検知手段作動部とを有し、該当接部に前記押圧板が当接すると摺動して該検知手段作動部が前記ニアエンド検知手段または前記押圧板保持検知手段を作動させるように形成された検出板とを設け、前記ニアエンド検知手段、前記押圧板保持検知手段および前記検出板を収納部の中央部の近傍に配置し、収納されている券の残量および前記押圧板が前記係止部に保持されていることを検知できるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このようにした本発明は、ホッパの収納部に収納された券の残量を検知するニアエンド検知機構や券を1枚ずつ分離して搬出する分離機構を簡素化することができるようになるという効果が得られる。
また、ひとつの検出板でホッパの収納部に収納された券の残量およびホッパステージがロックされていることを検知することができるようになり、部品点数を削減するとともに制御を簡素化することができるようになるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明による発券装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
図2は第1の実施例における発券装置の説明図である。
図2において、1は発券装置であり、鉄道の駅、空港、旅行代理店等に配設され、鉄道の乗車券、予約券、座席指定券、定期乗車券、飛行機に搭乗するための航空券等の券を発行する装置であるが、いかなる種類の券を発行する装置であってもよいし、いかなる場所に配設された装置であってもよい。
【0016】
本実施例では、発券装置1が航空券を発券するものである場合について説明する。なお、航空券の表面には予約内容等の情報が印字される。
この発券装置1は、新規に航空券を発行するために使用される新しい媒体を収納するホッパ2を有し、このホッパ2は内部に収納されている媒体を1枚ずつ分離して搬送路3へ搬出するための分離機構を備えている。
【0017】
搬送路3は、ホッパ2から分離された媒体を排出集積する排出スタッカ5へ搬送するように発券装置1の内部に配設され、その途中には航空券としての媒体の表面に飛行機の便情報である出発日、便名、出発時刻、出発地、到着地等の予約内容等の情報を印字する印字部4が配設されている。
また、搬送路3は、その搬送路3に沿って配設された複数の搬送ローラや搬送ベルトから成る図示されない搬送装置を有する。この搬送装置は、電動モータから成る搬送モータを備え、その搬送モータの駆動力をベルト、プーリ、ギヤ等から成る動力伝達機構を介して、搬送ローラや搬送ベルトに伝達して回転させる。これにより、航空券は、対向する搬送ローラや搬送ベルトによって挟み込まれた状態で搬送路3に沿って搬送される。
【0018】
このように構成された発券装置1は、図示しない上位装置からの指令を受けて分離機構により、ホッパ2から航空券を1枚ずつ分離して搬出する。搬出された航空券は搬送路3で搬送されて印字部4で所定の情報が印字され、搬出スタッカ5へ排出されて発券される。
次に、ホッパ2の構成を図1の第1の実施例におけるホッパの側面図に基づいて説明する。
【0019】
図1において、10は収納部であり、航空券6を収納するための部位である。この収納部10は複数の航空券6を収納することができるようになっており、その一端部に収納された航空券6を1枚ずつ分離して搬出するための分離ローラ等で構成された図示しない分離機構が設けられている。
11はホッパステージであり、その一面で収納部10に収納された航空券6を図示しない付勢手段により分離機構に押圧させるための摺動自在な押圧板である。またホッパステージ11は、その端部に後述する検出板に当接するための突出部を有している。
【0020】
12はキャッチCであり、ホッパステージ11の航空券6を押圧する面とは反対側の面に設けられた係止部材である。
13はキャッチDであり、収納部10の内側の一端部に設けられた係止部材である。この係止部としてのキャッチC12とキャッチD13を嵌合等させてホッパステージ11を収納部10の一端部に固定(ロック)することができ、収納部10の分離機構とホッパステージ11の間に形成した航空券6を補充する空間を保持することができるようになっている。
【0021】
したがって、収納部10に航空券6を補充するとき、キャッチC12およびキャッチD13によりホッパステージ11を収納部10の一端部に固定することで係員は片手で航空券6を補充することができるようになる。
なお、収納部10に航空券6を補充した後、係員はキャッチC12とキャッチD13の係止を解除してホッパステージ11を補充した航空券6に当接させ、分離機構が1枚ずつ分離して搬出できるようにするものとする。
【0022】
14は二アエンド検知手段としての二アエンドセンサであり、収納部10に収納された航空券6の残量を検知するために収納部10の中央部の近傍に設けられた光学式のセンサである。
15は押圧板保持検知手段としてのステージセットセンサであり、キャッチC12およびキャッチD13によりホッパステージ11が収納部10の一端部に固定されたことを検知するために収納部10の中央部の近傍に設けられた光学式のセンサである。
【0023】
本実施例では、二アエンドセンサ14およびステージセットセンサ15を発光素子や受光素子を備えた光学式のセンサとして説明するが、収納部10に収納された航空券6の残量およびホッパステージ11が収納部10の一端部に固定されたことを検知することができるものであればこれに限られるものでなく、スイッチ等を備えたセンサであってもよい。
【0024】
16は基板であり、ニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の受光素子で検知した光信号等を電気信号に変換するとともにニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15を固定するためのものである。基板16で変換された電気信号は発券装置1全体を制御する図示しない制御部に通知されるようになっている。
17は検出板であり、ホッパステージ11の位置を検知するために収納部10の近傍に設けられた板状のものである。この検出板17の収納部10側の両端部には、ホッパステージ11の突出部と当接する部位である当接部18aおよび当接部18bが設けられ、その反対側の中央部にはニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の光軸等を遮り、ニアエンド検知手段および押圧保持検知手段を作動させるための検知手段作動部としての遮光部19が設けられている。
【0025】
この遮光部19の幅は、ニアエンドセンサ14とステージセットセンサ15との間隔より短くなるように形成され、検出板17が移動することにより、遮光部19がニアエンドセンサ14またはステージセットセンサ15のどちらか一方の光軸を遮ることができるようになっている。
当接部18aは収納部10に収納された航空券6の残量が少なくなった場合、図中矢印Aが示す方向に移動するホッパステージ11の突出部に当接するように形成され、当接部18bはキャッチC12およびキャッチD13により収納部10の一端部に固定するために図中矢印Bが示す方向へ移動したホッパステージ11の突出部に当接するように形成されている。
【0026】
また、検出板17にはふたつの案内孔20が設けられ、それぞれの案内孔20を貫通するように図示しないフレーム等に固着されたふたつのピン21が設けられている。検出板17はそれぞれの案内孔20およびピン21により支持されながら案内されて図中矢印Aまたは矢印Bが示す方向に摺動するように構成されている。
したがって、検出板17の遮光部19は、ニアエンドセンサ14とステージセットセンサ15との間を摺動することができるようになっており、ニアエンドセンサ14またはステージセットセンサ15の光軸を遮ることができるようになっている。
【0027】
22aおよび22bは付勢手段としてのスプリングであり、一端が図示しないフレーム等に、他端が検出板17の突出部23に固定され、検出板17の遮光部19がニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の光軸を遮らないようにニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の間に位置するように所定の方向に付勢するための弾性部材等である。
【0028】
なお、本実施例では、検出板17に二つの案内孔20を形成するものとして説明するが、ひとつの案内孔20を形成するようにしてもよい。
上述した構成の作用について説明する。
まず、発券装置1は、図示しない上位装置からの指令を受けて分離機構により、ホッパ2から航空券を1枚ずつ分離して搬出する。搬出された航空券は搬送路3で搬送されて印字部4で所定の情報が印字され、搬出スタッカ5へ排出されて発券されるのは従来と同様である。
【0029】
次に、図1の第1の実施例におけるホッパの側面図、図3の第1の実施例におけるニアエンド状態のホッパの側面図、および図4の第1の実施例におけるホッパステージをロックした状態のホッパの側面図に基づいてホッパ2の作用を説明する。
図1はホッパ2の収納部10に適量の航空券6を収納している状態を示している。この場合、ホッパステージ11の突出部は検出板17の当接部18a、18bに当接することなく、検出板17はスプリング(22a、22b)により付勢されて遮光部19がニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の間に配置される。
【0030】
したがって、この状態では、検出板17の遮光部19はニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の光軸を遮ることがないのでニアエンドセンサ14は航空券6の残量が少なくなったこと、およびステージセットセンサ15はホッパステージ11が収納部10の一端部に固定されていることを検知することはない。
図3はホッパ2の収納部10に収納された航空券6の残量が少なくなったニアエンドの状態を示している。この場合、ホッパステージ11の突出部は検出板17の当接部18aに当接し、検出板17を図中矢印Aが示す方向へ摺動させ、遮光部19はニアエンドセンサ14の光軸を遮る。
【0031】
したがって、ニアエンドセンサ14は収納部10に収納された航空券6の残量が少なくなったことを検知する。
航空券6のニアエンドを検知すると発券装置1はその旨を上位装置へ通知し、係員はホッパステージ11のキャッチC12をキャッチD13にロックさせてホッパ2の収納部10に航空券6を補充するものとする。
【0032】
図4はホッパステージ11のキャッチC12をキャッチD13にロックさせた状態を示している。この場合、ホッパステージ11の突出部は検出板17の当接部18bに当接し、検出板17を図中矢印Bが示す方向へ摺動させ、遮光部19はステージセットセンサ15の光軸を遮る。
したがって、ステージセットセンサ15はホッパステージ11が収納部10の一端部に固定されてロックされていることを検知する。
【0033】
このようにホッパステージ11がロックされている状態では補充された航空券6を分離機構で分離することができないため、発券装置1はホッパステージ11のロックが解除されていない旨を上位装置へ通知し、係員にホッパステージ11のロックを解除させるようにする。
以上説明したように、第1の実施例では、ニアエンドセンサ、検出板等の収納部に収納された券の残量を検知するためのニアエンド検知機構を収納部の中央部の近傍に配置するようにしたことにより、ニアエンド検知機構や分離機構を簡素化することができるようになるという効果が得られる。
【0034】
また、ひとつの検出板で収納部に収納された券の残量およびホッパステージがロックされていることを検知することができるようになり、部品点数を削減することができるようになるという効果が得られる。
【実施例2】
【0035】
図5は第2の実施例におけるホッパの側面図である。
第2の実施例の構成は、検出板の構成が第1の実施例の構成と異なるのでその検出板の構成について説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5において、217は検出板であり、ホッパステージ11の位置を検知するために収納部10の近傍に設けられた板状のものである。第1の実施例と同様に、この検出板217の収納部10側の両端部には、ホッパステージ11の突出部と当接する部位である当接部18aおよび当接部18bが設けられ、その反対側の中央部にはニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の光軸等を遮り、ニアエンド検知手段および押圧保持検知手段を作動させるための検知手段作動部としての遮光部19が設けられている。
【0036】
この遮光部19の幅は、ニアエンドセンサ14とステージセットセンサ15との間隔より短くなるように形成され、検出板217が移動することにより、遮光部19がニアエンドセンサ14またはステージセットセンサ15のどちらか一方の光軸を遮ることができるようになっている。
当接部18aは収納部10に収納された航空券6の残量が少なくなった場合、図中矢印Aが示す方向に移動するホッパステージ11の突出部に当接するように形成され、当接部18bはキャッチC12およびキャッチD13により収納部10の一端部に固定するために図中矢印Bが示す方向へ移動したホッパステージ11の突出部に当接するように形成されている。
【0037】
また、検出板217にはふたつの案内孔220が設けられ、それぞれの案内孔220を貫通するように図示しないフレーム等に固着されたふたつのピン21が設けられている。検出板217はそれぞれの案内孔220およびピン221により案内されて図中矢印Aまたは矢印Bが示す方向に摺動するように構成されている。
したがって、検出板217の遮光部19は、ニアエンドセンサ14とステージセットセンサ15との間を摺動することができるようになっており、ニアエンドセンサ14またはステージセットセンサ15の光軸を遮ることができるようになっている。
【0038】
さらに、それぞれの案内孔220の中央部近傍の収納部10側に浅く形成された凹部224が設けられており、それぞれのピン221が凹部224に嵌ることで分離機構や搬送路3のモータ等の振動により検出板217が摺動することを防止することができるようになっている。
本実施例では、凹部224をそれぞれの案内孔220の中央部近傍の収納部10側に形成されたものとして説明するが、それぞれの案内孔220の中央部近傍の基板16側に形成するようにしてもよい。なお、凹部224を案内孔220の中央部近傍の収納部10側に形成した場合、検出板217は図示しない付勢手段により収納部10から基板16に向かう方向に付勢されているものとし、また凹部224を案内孔220の中央部近傍の基板16側に形成した場合、検出板217は重力または図示しない付勢手段により基板16から収納部10に向かう方向に付勢されているものとする。
【0039】
また、本実施例では、検出板217にふたつの案内孔220を形成するものとして説明するが、ひとつの案内孔220を形成するようにしてもよい。
上述した構成の作用について説明する。
図5はホッパ2の収納部10に適量の航空券6を収納している状態を示している。この場合、ホッパステージ11の突出部は検出板17の当接部18a、18bに当接することなく、検出板17はスプリング22により付勢されて遮光部19がニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の間に配置される。
【0040】
したがって、この状態では、検出板17の遮光部19はニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の光軸を遮ることがないのでニアエンドセンサ14は航空券6の残量が少なくなったこと、およびステージセットセンサ15はホッパステージ11が収納部10の一端部に固定されていることを検知することはない。
また、案内孔220に形成された凹部224にピン221が嵌ることで分離機構や搬送路3のモータ等の振動により検出板217が摺動することを防止する。
【0041】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、分離機構や搬送路3のモータ等の振動によるニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の誤検知を防止することができ、発券装置1の信頼性を向上させることができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0042】
図6は第3の実施例におけるホッパの側面図である。
第3の実施例の構成は、検出板およびスプリングの構成が第1の実施例の構成と異なるのでその検出板およびスプリングの構成について説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6において、317は検出板であり、ホッパステージ11の位置を検知するために収納部10の近傍に設けられた板状のものである。この検出板317の収納部10側の両端部には、ホッパステージ11の突出部と当接する部位である当接部18aおよび当接部18bが設けられ、その反対側の中央部にはニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の光軸等を遮り、ニアエンド検知手段および押圧保持検知手段を作動させるための検知手段作動部としての遮光部19が設けられている。
【0043】
この遮光部19の幅は、ニアエンドセンサ14とステージセットセンサ15との間隔より短くなるように形成され、検出板317が移動することにより、遮光部19がニアエンドセンサ14またはステージセットセンサ15のどちらか一方の光軸を遮ることができるようになっている。
当接部18aは収納部10に収納された航空券6の残量が少なくなった場合、図中矢印Cが示す方向に移動するホッパステージ11の突出部に当接するように形成され、当接部18bはキャッチC12およびキャッチD13により収納部10の一端部に固定するために図中矢印Dが示す方向へ移動したホッパステージ11の突出部に当接するように形成されている。
【0044】
また、検出板317にはV字状に形成された案内孔320が設けられ、その案内孔320を貫通するようにピン321が設けられ、そのピン321は図示しないフレーム等に形成された規制孔324により規制されて収納部10と基板16を結ぶ方向に移動できるようになっている。
また、検出板317は案内孔320およびピン321により案内されて図中矢印Cまたは矢印Dが示す方向に摺動するように構成されている。
【0045】
したがって、検出板317の遮光部19は、ニアエンドセンサ14とステージセットセンサ15との間を摺動することができるようになっており、ニアエンドセンサ14またはステージセットセンサ15の光軸を遮ることができるようになっている。
322はスプリングであり、一端が図示しないフレーム等に、他端がピン321に固着され、ピン321を介して検出板317を基板16から収納部10へ向かう方向に付勢するための弾性部材等である。
【0046】
したがって、検出板317はV字状に形成された案内孔320の中央部をピン321により収納部10へ向かう方向に付勢されることにより、遮光部19がニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の光軸を遮らないようにニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の間に位置するようになっている。
なお、検出板317は図示しない案内溝およびそれに係合する案内突起等の摺動手段により図中矢印Cおよび矢印Dが示す方向に摺動可能に構成されている。
【0047】
上述した構成の作用について説明する。
まず、発券装置1は、図示しない上位装置からの指令を受けて分離機構により、ホッパ2から航空券を1枚ずつ分離して搬出する。搬出された航空券は搬送路3で搬送されて印字部4で所定の情報が印字され、搬出スタッカ5へ排出されて発券されるのは従来と同様である。
【0048】
次に、図6の第3の実施例におけるホッパの側面図、図7の第3の実施例におけるニアエンド状態のホッパの側面図、および図8の第3の実施例におけるホッパステージをロックした状態のホッパの側面図に基づいてホッパ2の作用を説明する。
図6はホッパ2の収納部10に適量の航空券6を収納している状態を示している。この場合、ホッパステージ11の突出部は検出板317の当接部18a、18bに当接することなく、検出板317はスプリング322により付勢されて遮光部19がニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の間に配置される。
【0049】
したがって、この状態では、検出板317の遮光部19はニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の光軸を遮ることがないのでニアエンドセンサ14は航空券6の残量が少なくなったこと、およびステージセットセンサ15はホッパステージ11が収納部10の一端部に固定されていることを検知することはない。
また、V字状に形成された案内孔320の中央部にピン321が嵌ることで分離機構や搬送路3のモータ等の振動により検出板317が摺動することを防止する。
【0050】
図7はホッパ2の収納部10に収納された航空券6の残量が少なくなったニアエンドの状態を示している。この場合、ホッパステージ11の突出部は検出板317の当接部18aに当接し、検出板317を図中矢印Cが示す方向へ摺動させ、遮光部19はニアエンドセンサ14の光軸を遮る。
したがって、ニアエンドセンサ14は収納部10に収納された航空券6の残量が少なくなったことを検知する。
【0051】
航空券6のニアエンドを検知すると発券装置1はその旨を上位装置へ通知し、係員はホッパステージ11のキャッチC12をキャッチD13にロックさせてホッパ2の収納部10に航空券6を補充するものとする。
図8はホッパステージ11のキャッチC12をキャッチD13にロックさせた状態を示している。この場合、ホッパステージ11の突出部は検出板317の当接部18bに当接し、検出板317を図中矢印Dが示す方向へ摺動させ、遮光部19はステージセットセンサ15の光軸を遮る。
【0052】
したがって、ステージセットセンサ15はホッパステージ11が収納部10の一端部に固定されてロックされていることを検知する。
このようにホッパステージ11がロックされている状態では補充された航空券6を分離機構で分離することができないため、発券装置1はホッパステージ11のロックが解除されていない旨を上位装置へ通知し、係員にホッパステージ11のロックを解除させるようにする。
【0053】
以上説明したように、第3の実施例では、第1の実施例の効果に加え、分離機構や搬送路3のモータ等の振動によるニアエンドセンサ14およびステージセットセンサ15の誤検知を防止することができ、発券装置1の信頼性を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の実施例におけるホッパの側面図
【図2】第1の実施例における発券装置の説明図
【図3】第1の実施例におけるニアエンド状態のホッパの側面図
【図4】第1の実施例におけるホッパステージをロックした状態のホッパの側面図
【図5】第2の実施例におけるホッパの側面図
【図6】第3の実施例におけるホッパの側面図
【図7】第3の実施例におけるニアエンド状態のホッパの側面図
【図8】第3の実施例におけるホッパステージをロックした状態のホッパの側面図
【図9】従来の発券装置の説明図
【図10】従来のホッパの側面図
【図11】従来のニアエンド状態のホッパの側面図
【図12】従来のホッパステージをロックした状態のホッパの側面図
【符号の説明】
【0055】
1 発券装置
2 ホッパ
3 搬送路
4 印字部
5 排出スタッカ
6 航空券
10 収納部
11 ホッパステージ
12、13 キャッチ
14 ニアエンドセンサ
15 ステージセットセンサ
16 基板
17 検出板
18a、b 当接部
19 遮光部
20 案内孔
21 ピン
22 スプリング
23 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパの収納部に収納された券を分離して搬出する発券装置において、
収納部に収納された券を分離機構に押圧する摺動自在な押圧板と、
前記分離機構との間に券を補充するための空間を形成した前記押圧板を保持する係止部と、
収納部に収納された券の残量を検知するニアエンド検知手段と、
前記押圧板が前記係止部に保持されていることを検知する押圧板保持検知手段と、
前記押圧板に当接する当接部と、前記ニアエンド検知手段または前記押圧板保持検知手段を作動させるための検知手段作動部とを有し、該当接部に前記押圧板が当接すると摺動して該検知手段作動部が前記ニアエンド検知手段または前記押圧板保持検知手段を作動させるように形成された検出板とを設け、
前記ニアエンド検知手段、前記押圧板保持検知手段および前記検出板を収納部の中央部の近傍に配置し、収納されている券の残量および前記押圧板が前記係止部に保持されていることを検知できるようにしたことを特徴とする発券装置。
【請求項2】
請求項1の発券装置において、
フレームに固着されたピンと、
前記検出板に、前記ピンに係合して前記検知手段作動部が前記ニアエンド検知手段および前記押圧板保持検知手段の間を摺動自在に案内する案内孔を設けたことを特徴とする発券装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の発券装置において、
前記検出板の検知手段作動部を前記ニアエンド検知手段および前記押圧板保持検知手段の間に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする発券装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3の発券装置において、
前記検出板の案内孔に、前記ピンが嵌る凹部を形成して前記検出板の検知手段作動部を前記ニアエンド検知手段および前記押圧板保持検知手段の間に保持できるようにしたことを特徴とする発券装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3の発券装置において、
前記検出板の案内孔をV字状に形成して前記検出板の検知手段作動部を前記ニアエンド検知手段および前記押圧板保持検知手段の間に保持できるようにしたことを特徴とする発券装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−215016(P2009−215016A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61876(P2008−61876)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】