説明

発泡型洗浄具及び発泡型洗浄方法

【課題】 液体洗浄液を含浸させたクロスなどの基布を用いて洗浄作業を行う場合に、洗浄作業中の洗浄液の泡立ち性を改善し、併せて、洗浄後に水はじき性の被膜が形成されるようにする。
【解決手段】 洗浄用基布に洗浄液を含浸させる。洗浄液の含浸量は、基布重量の2.5倍以上とする。洗浄液の主成分を、アルキルグルコシド系ノニオン性界面活性剤と、第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤と、トリメチルシロキシケイ酸を含有するシリコーンエマルジョンと、でする。洗浄液が泡立ちにくくなったときには、水を補給して泡立ちを回復させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車やバイク、自転車、家屋、建築物などの塗装面を含む表面、ガラスや金属、化粧ボード、石、陶磁器、ゴム製品やプラスチック製品などで、水を吸収しないかもしくは吸収しても悪い影響が見られない硬質の対象物の表面など、の洗浄に用いる発泡型洗浄具及び発泡型洗浄方法に関し、詳しくは、これらの対象物の表面を洗浄する際、洗浄液を含浸した基布としてのクロスを用いて泡を立てながら洗浄することのできる上記洗浄具及び洗浄方法に関する。また、本発明は、洗浄後に水ですすいだ対象物の表面に水はじき性の被膜が自然に形成される上記洗浄具及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の外装部の洗浄には、界面活性剤を水に溶解した液体洗浄剤を用いることが提案されていた(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの特許文献1又は同2に記載されている液体洗浄剤を用いる洗車作業では、バケツ内で液体洗浄剤を薄め、その洗浄剤でスポンジやタオル、ブラシなどを濡らして自動車の外装部を洗った後、水ですすぎ、仕上げ拭きをしていた。また、液体洗浄剤の入ったスプレー容器を片手に持ってその洗浄剤を自動車の外装部にスプレーしながら、他の片手でその場所をスポンジやタオルで洗浄するということも行われていた。このような洗浄方法は、家庭のガラスや壁紙、網戸、化粧ボード、タイル、塗装表面などの汚れ取りにも通常利用されている。
【0003】
他方、洗車後にはつ撥水性や艶出し性を発揮するワックス被膜を残すことのできる洗浄液を含浸させたクロスを用いて洗車作業を簡単にすることも提案されていた(たとえば、特許文献3、特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−147794号
【特許文献2】特開平11−116988号
【特許文献3】特開2000−256969号
【特許文献4】特開2000−351961号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2によって提案されている液体洗浄剤を用いる洗浄方法では、液体洗浄剤を薄めて溜めておくバケツを用意したり、液体洗浄剤の入った重たいスプレー容器を手に持ったり、高価なスポンジなどを用意したりする必要があるために、十分な洗浄効果を期待することができる反面で、作業手間で面倒であるという問題があった。
【0006】
これに対し、特許文献3や特許文献4によって提案されている洗浄作業によると、作業手間の面倒さをそれほど感じなくなるけれども、洗浄作業中に洗浄液が満足できるほど泡立たないために、ユーザにとっては、有効な洗浄が行われているか否かを感覚的につかみにくくなって洗浄後の満足感を得にくいという問題があった。
【0007】
本発明は以上の状況や問題に鑑みてなされたものであり、液体洗浄液を含浸させたクロスなどの基布を用いて洗浄作業を行うことを基本とし、洗浄作業中の洗浄液の泡立ち性を改善することによって、ユーザが楽な作業で泡を立てながら満足のいく洗浄を行うことのできる発泡型洗浄具及び発泡型洗浄方法を提供することを目的とする。
【0008】
加えて、本発明は、洗浄中の洗浄液の泡立ち性を犠牲にすることなく、洗浄後の対象物の表面に水はじき性の被膜を形成することのできる発泡型洗浄具及び発泡型洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る発泡型洗浄具は、洗浄用基布に洗浄液を含浸させてなり、上記基布がその重量の2.5倍以上の重量の洗浄液の含浸能力を有していて、その基布にその重量の2.5倍以上の重量の洗浄液を含浸させてなる、というものである。この発明によれば、基布にあらかじめ十分に多くの洗浄液が含浸されているために、洗浄作業中にその基布をバケツに溜めた希薄洗浄液で濡らすという作業を行う必要がなく、しかも、洗浄作業中には、基布に含浸されている十分な量の洗浄液が基布中で泡立ったり、基布から絞り出されて泡立ったりするので、ユーザが楽な作業で泡を立てながら満足のいく洗浄を行うことができるようになる。
【0010】
本発明に係る発泡型洗浄具において、上記洗浄液の主成分が、アルキルグルコシド系ノニオン性界面活性剤と、第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤と、トリメチルシロキシケイ酸を含有するシリコーンエマルジョンと、でなるものであることが望ましい。これによれば、洗浄作業中に洗浄液を十分に泡立たせながら一気に洗浄することが可能になることは勿論、洗浄後に水ですすぐことによって水はじき性の被膜が対象物の表面に形成されるために、洗浄後の対象物の表面がきれいな状態に仕上がるという作用が発揮される。
【0011】
本発明に係る発泡型洗浄方法は、上記の発泡型洗浄具の基布に含浸されている洗浄液又はその基布から流出した洗浄液を泡立たせながらその基布で対象物の表面を拭くというものであるので、上記したところと同様に、ユーザが楽な作業で泡を立てながら満足のいく洗浄を行うことができるようになる。
【0012】
また、この発泡型洗浄方法では、上記洗浄液が泡立ちにくくなったときに水を基布又は対象物の表面に補給して泡立ちを回復させるという手段を採用することが可能である。このため、小さなサイズから大きなサイズに至ってどの型のサイズの対象物の表面の洗浄を行う際にも、洗浄液を泡立たせながらユーザが最後まで楽な作業で満足のいく洗浄を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の発泡型洗浄具及び発泡型洗浄方法によれば、ユーザにとっては、スポンジ、ブラシ、バケツなどの洗浄用具を余分に必要とすることなく、また、液体洗浄剤を入れたスプレー容器を片手で持って作業をするといった面倒さがなくなるだけでなく、洗浄液を泡立てながら一気に満足のいく洗浄作業を行うことができるようになる。しかも、洗浄後に水ですすぐことによって水はじき性の被膜を形成させることもできるので、洗浄後の対象物の表面をきれいな状態に仕上げることができるという効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る発泡型洗浄具及び発泡型洗浄方法に用い得る基布は、洗浄作業に一般的に汎用されている親水性繊維、親油性繊維のいずれかの繊維を用いた織布又は不織布であっても、それらの混合繊維を用いた織布又は不織布であってもよい。繊維は特に加工する必要はないが、分割やスパイラル構造にしておくことは、洗浄液の含浸保持能力(含浸性能)を高める上で有益である。
【0015】
繊維の大きさには特に限定がなく、天然のパルプや綿などと同様の扱いをする慣用サイズであってもかまわないけれども、好ましくは洗浄液の含浸保持能力の高い方がよい。たとえば、基布の重量の2.5倍以上の重量の洗浄液が垂れずに保持される程度の含浸保持能力を有しているものが特に適している。基布についての洗浄液含浸保持能力が上記の2.5倍より小さいと、洗浄液を泡立てながら洗浄作業をするときに早期に洗浄液が消化されてしまって十分に満足のいく洗浄作業を行えなくなるおそれがある。この点を改善するための対策として、洗浄液の有効成分濃度を高くする手段が考えられるけれども、そのようにすると、洗浄作業の初期に濃厚液が消化され、終期には淡白液で洗浄作業が行われるようになる傾向が生じやすいために、初期から終期まで一定に泡を立てながら安定した洗浄作業を行うことが難しくなる。基布についての洗浄液含浸保持能力が上記の2.5倍より大きいと、洗浄液を飽和状態に含浸させなくても、飽和含浸量以下の量の洗浄液を含浸させた状態で満足のいく洗浄作業を行うことができるようになる。すなわち、飽和含浸量以下の量の洗浄液を含浸させた基布、たとえば不織布では、空気の出入りがスムーズに起こり易い空間が保持されるために洗浄液の泡立ち性が改善され、しかも、洗浄液を保持能力も高く保たれるために、洗浄作業の初期から終期にかけて一定の有効濃度で広い面積を泡立たせながら満足のいく洗浄作業を行うことが可能になる。
【0016】
なお、飽和含浸量以上の量の洗浄液を含浸させた基布を用いることを必ずしも否定するものではなく、そのような基布では洗浄作業前に少し絞り込んで余分な洗浄液を取り除くことによって空気が入りやすさを改善することが望まれる。しかしながら、そのようにすると、洗浄液が無駄に捨てられるということが起こり得るので、目的作業面積に相応する量の洗浄液を含浸させておくということを前提として、たとえば飽和含浸量の70重量%以下程度の量の洗浄液を含浸させておくことが好ましい。
【0017】
本発明に係る発泡型洗浄具及び発泡型洗浄方法に用い得る洗浄液は、発泡性に優れた洗浄液として慣用されているアルキルグルコシド系ノニオン性界面活性剤と、第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤と、トリメチルシロキシケイ酸を含有するシリコーンエマルジョンと、を主成分として含んでいて、その主成分を水に溶解又は分散させることによって得られる。
【0018】
アルキルグルコシド系ノニオン性界面活性剤の含有量は有効成分濃度で1〜3重量%が適切であって、一般に発泡洗浄用として用いられるものであれば、そのメーカーやグレードについては特に限定されない。また、この成分の一部を、発泡洗浄用として慣用されるその他のノニオン性界面活性剤に置き換えて代用しても構わない。ただし、この場合、塗装やプラスチックなどを害する性質を有するノニオン性界面活性剤で一部代用することは避けるべきである。言い換えると、ノニオン性界面活性剤としてアルキルグルコシド系ノニオン性界面活性剤だけを用いると、塗装やプラスチックなどを害するおそれがないという点で優れている。アルキルグルコシド系ノニオン性界面活性剤の含有量が1重量%より少ないと、洗浄液が泡立ちにくくなって大きなサイズの対象物を洗浄するときの初期から終期にかけての泡立ち性が不足しがちになり、3重量%より多いと、泡立ち性はよいが、洗浄後の水はじき性の被膜を形成することが阻害されることがあるために好ましくない。
【0019】
第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤は、洗浄後の被膜形成用として含有されている成分であり、その好ましい有効成分濃度は0.5〜2.5重量%である。この第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤は、洗浄後の被膜形成用として用い得るのであれば、メーカーやグレードの違いについては特に限定されないけれども、好ましくは、溶解性のよいモノアルキルタイプのもの、特にアルキルがラウリルのように短い鎖長になっているものが適している。第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤の含有量が0.5重量%より少ないと、水はじき性を発揮する被膜を満足のいく程度に十分に形成させることができなくなるおそれがあり。2.5重量%より多い場合は、水はじき性の被膜が十分に形成されて性能上の不都合は生じないけれども、当該成分を無駄に含有させることにつながる。すなわち、第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤はその含有量が2.5重量%より少なくても水はじき性の被膜が十分に形成されるために無駄な消費を防ぐ上で2.5重量%より少なく抑えることが好ましい。
【0020】
トリメチルシロキシケイ酸を含有するシリコーンエマルジョンは、水はじき被膜用として慣用されるものであれば、メーカーやグレードの違いについては特に限定されない。このシリコーンエマルジョンの好ましい有効成分濃度は0.2〜2重量%であり、0.2重量%より少ないと、洗浄後に形成される被膜の水はじき性が弱くなりやすく、また、2重量%より多いと、上記被膜の水はじき性がよくなる反面で、付着ムラが生じやすくなる。
【0021】
洗浄液には、通常に慣用されるpH調整剤、凍結防止剤、防腐剤、洗浄用溶剤などを必要に応じて添加してもかまわない。
【0022】
本発明に係る発泡型洗浄具は、上記したクロスなどの基布に上記した洗浄液の飽和含浸量以下の量を含浸させたものである。
【0023】
洗浄作業は、上記発泡型洗浄具の基布で汚れた対象物の表面を直接に軽くこすって拭くことによって行われる。そして、そのような洗浄作業は、基布に含浸されている洗浄液又はその基布から流出した洗浄液を泡立たせながら行う。すなわち、基布で対象物の表面を直接に軽くこすって拭くことによって洗浄液が発泡して泡立ち、高い洗浄効果を発揮する。また、洗浄作業中に水分が消化されて洗浄液が泡立ちにくくなったときには、水を基布又は対象物の表面に補給して泡立ちを回復させるようにすればよく、そのようにすると、再び泡が立つようになる。さらに、網戸などのように泡が立ちにくい対象物や、汚れが極めて多大な対象物の表面等を洗浄する場合、予め、対象物に水をかけて濡らしておくと効果的に発泡して洗浄しやすくなる。
このように作業して泡が立たなくなった時点を効果の終点として作業を終了することができる。そして、この作業の終了後に、対象物の表面に付着している汚れや洗浄液を水ですすぎ、次に水を拭き取って仕上げる。又は、対象物の表面に付着している汚れや洗浄液を湿らせたタオルや布で取って仕上げることもできる。このようにすると、対象物の表面に水はじき性の被膜が形成されて、その表面が洗浄する前よりも水をよくはじくようになる。
【0024】
以上の説明では、本発明に係る発泡型洗浄具や発泡型洗浄方法は、汚れた自動車の塗装やガラス、プラスチック、金属メッキ、タイヤなどの外装部の洗車作業に極めて効果を発揮し、その他のバイクや自転車、家屋、建築物などの家庭用又は産業用などの塗装、ガラス、金属、化粧ボード、石、陶磁器、ゴム製品、プラスチック製品などで、水を吸収しない、もしくは、吸収しても悪い影響が見られない硬質の対象物の表面の洗浄に用いることができる。
【実施例】
【0025】
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
含浸用洗浄液1
成分名 配合割合 重量%
水 88.0
カチオーゲンL 7.0
R2701 1.5
マイドール12 3.0
ノイゲンET−143L 0.5
─────────
100.0

上記成分および配合割合において、水にカチオーゲンL、R2701,マイドール12、ノイゲンET−143Lの順に混合して淡乳白色液体を得た。
含浸用洗浄液2
成分名 配合割合 重量%
水 85.99
カチオーゲンL 4.0
乳酸 0.01
R2701 1.0
マイドール10 5.0
サニゾールB−50 0.5
プロピレングリコール 3.5
─────────
100.0

上記成分および配合割合において、水にカチオーゲンL、乳酸、R2701,マイドール10、サニゾールB−50、プロピレングリコールの順に混合して淡乳白色液体を得た。
含浸用洗浄液3
成分名 配合割合 重量%
水 84.0
カチオーゲンL 1.0
カチオーゲンTMP 2.0
R2701 3.0
プランタケア2000up 5.0
ソルフィット 5.0
─────────
100.0

上記成分および配合割合において、水にカチオーゲンL、カチオーゲンTMP、R2701,プランタケア2000up、ソルフィットの順に混合して淡乳白色液体を得た。
【0026】
上記の含浸用洗浄液に用いた原料成分の内容は以下の通りである。
・カチオーゲンL(第4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤)
塩化ラウリルトリメチルアンモニウム 有効成分29%
第一工業製薬(株)製
・カチオーゲンTMP(第4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤)
塩化セチルトリメチルアンモニウム 有効成分29%
第一工業製薬(株)製
・R2701(シリコーンエマルジョン)
トリメチルシロキシケイ酸を含有するシリコーンエマルジョン 有効成分40%
旭化成ワッカーシリコーン(株)製
・マイドール12(アルキルグルコシド系ノニオン性界面活性剤)
ラウリルグルコシド 有効成分40%
花王(株)製
・マイドール10(アルキルグルコシド系ノニオン性界面活性剤)
デシルグルコシド 有効成分40%
花王(株)製
・ノイゲンET−143L(ノニオン性界面活性剤)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 有効成分100%
HLB12.1 第一工業製薬(株)製
・プランタケア2000up(アルキルグルコシド系ノニオン性界面活性剤)
アルキルグルコシド 有効成分50%
コグニスジャパン(株)製
・サニゾールB−50(第4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤)
アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド 有効成分50%
花王(株)製
・ソルフィット(水溶性洗浄用溶剤)
3−メチル−3−メトキシブタノール 有効成分100%
(株)クラレ製
【0027】
上記の各含浸用洗浄液を下記の通り、各不織布に含浸させた。
洗浄液含浸クロス1
含浸用洗浄液1を:ポリエステルの分割繊維単層の目付70g/m2 、サイズ230mm×600mm、飽和含浸量が基布の6倍重量の不織布(ダイワボウポリテック株式会社製)に基布重量の4倍重量を含浸させ、ラミネートフィルムで包装した。
洗浄液含浸クロス2
含浸用洗浄液2を中層がレーヨン繊維で、外層がスパイラル構造のポリエステル繊維で包んだ構造の目付70g/m2 、サイズ350mm×500mm、飽和含浸量が基布の9倍重量の不織布(ダイワボウポリテック株式会社製)に基布重量の5倍重量を含浸させ、ラミネートフィルムで包装した。
洗浄液含浸クロス3
含浸用洗浄液3を中層がパルプ繊維で、外層がポリエステルの分割繊維で包んだ構造の、目付70g/m2 、サイズ300mm×560mm、飽和含浸量が基布の10倍重量の不織布(ダイワボウポリテック株式会社製)に基布重量の6倍重量を含浸させ、ラミネートフィルムで包装した。
【0028】
上記の各洗浄液含浸クロスを用いて、屋外駐車で汚れた自動車(メーカ/車種:トヨタ/アリオン)に用いて洗浄した。
【0029】
比較例として、特許文献2(特開平11−116988号)に記載されている「洗浄剤」に該当する「ソフト99洗うだけ超撥水シャンプー(750mlポリ容器入り液体シャンプー、ウレタンスポンジ付)」と、特許文献3(特開2000−256969号)に記載されている「塗膜の洗浄、撥水、艶出しウエットクロス」に該当する「ソフト99フクピカ(フィルム包装、液含浸不織布タイプウェットクロス)」を取り上げ、本発明の発泡型洗浄具及び発泡型洗浄方法と比較して本発明の効果を実証した。
実施例1〜3(洗浄液含浸クロス1,2,3を用いた洗浄方法)
【0030】
本発明に用いる各洗浄液含浸クロスについては、汚れた自動車のボディに直接用いて泡を立てながら洗浄した。途中泡が立ちにくくなったときに、クロスに少し水を補給して泡を立てながら洗浄した。この洗浄作業に於いて、洗浄作業を行えば自ずから泡が立ち、連続で作業を続けることができ、その後、水ですすぎ、仕上げ拭きを行うことによって自動車一台をきれいに洗うことができた。そして、汚れが落ちてきれいになっただけでなく、水はじき性の被膜が形成された。洗浄後は、使用後のクロスと包装袋をゴミとしてすてるだけで、面倒な洗浄道具や後かたづけが不要になり、楽でスピーディに作業できた。洗浄液含浸クロス1、同2、同3の相互の種類の違いにおいて、泡立ち洗浄作業については差は見られず、R2701の配合割合の違いにより水はじき性に差が見られ、その含有量の多い洗浄液を含浸した含浸クロス3がよく水をはじいた。
【0031】
比較例1
750mlポリ容器入り液体シャンプーの上記「ソフト99洗うだけ超撥水シャンプー」については、付属のウレタンスポンジを予め水で濡らし、これにシャンプー液を容器から少し移し採り、汚れた自動車のボディに予め水をかけてからボディを洗浄した。作業途中、何回もウレタンスポンジにシャンプー液を容器から移し採り作業を続けた。作業中は、泡立ちが悪いため、すぐシャンプー液を補充するようになり、洗浄作業が手間であった。洗浄後、水ですすぎ、仕上げ拭きをすることによってきれいに洗うことができた。その後には水はじきのよい被膜が形成された。洗浄後、残ったシャンプー液の入った容器のキャップをしっかりしめて保管し、作業に用いて汚れたウレタンスポンジをよく洗って水を切り保管した。作業中のシャンプー液のウレタンスポンジへの補充作業や洗浄用品の取扱いや保管作業など面倒な作業が多かった。
比較例2
ラミネートフィルム包装の不織布含浸タイプの「ソフト99フクピカ」については、包装よりクロスを取り出して汚れた自動車のボディに直接用いて洗浄作業をした。汚れが多いと汚れ落としを満足に行うには難しく、自動車一台につきクロス2枚以上が必要であった。作業中、泡が立つことはなく、洗浄をするというよりか、ワックスを掛ける方の性質が強く、作業中に、汚れとワックスが一体となって手に付着するため、作業後の手洗いがたいへんであった。作業後に、固形ワックスを掛けたような水はじき性のよい持続性のある被膜が形成された。
【0032】
なお、官能による評価は下記の基準による。
A.洗浄性
◎日常被っているホコリ、雨跡、泥ハネなどの汚れがよく落ちる。
○日常の汚れは落ちるが作業が面倒である。
△日常の汚れもやや落ちにくいことがたまにある。
×日常の汚れが落ちにくい。
B.泡立ち性
◎作業中よく泡が立つ。
○少し泡立ちが見られる。
△少し泡は見られるが消えやすい。
×全く泡は立たない。
C.作業性
◎スムーズに一気に短時間でできる。
○作業中手間になることがあるが、作業自体スムーズである。
△作業自体が重いが、仕上がりは満足できる。
×作業が重く、仕上がりも悪い。
D.洗浄用具や付属品の取扱いの面倒さ
◎用具や付属品がなく、取扱や作業、管理が楽である。
○用具や付属品はないが、取扱や作業、管理が面倒である。
△用具や付属品があり、面倒であるが、仕上がりよくがまんできる。
×用具や付属品が多く、取扱や作業、管理がたいへん面倒である。
E.洗浄作業によって汚れた手の洗浄性
◎手が汚れにくく、水で簡単に洗うだけでよい。
○手は少し汚れるが、水で洗える。
△汚れ易く、水では落ちにくく、せっけん洗いが必要である。
×汚れが酷く、せっけん洗いを十分にする必要がある。
【0033】
評価 洗浄用具や付属品の 洗浄作業によって
洗浄性 泡立ち性 作業性 取扱いの面倒さ 汚れた手の洗浄性
実施例1 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
実施例2 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
実施例3 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
比較例1 ○ △ ○ × △
比較例2 △ × △ ○ ×

実施例1・・・洗浄液含浸クロス1を用いた。
実施例2・・・洗浄液含浸クロス2を用いた。
実施例3・・・洗浄液含浸クロス3を用いた。
【0034】
上記の自動車以外に日常の生活の中で汚れたアルミサッシ、網戸、塗装外壁、石外壁、タイル壁、ビニール製壁紙などを上記実施例3による洗浄液含浸クロス3を用いて洗浄した。いずれにおいても洗浄作業中によく泡が立ち、日常の生活の中で被っている埃や汚れをよく落し、その後、水ですすいでも湿らせたタオルで拭き上げても、きれいな状態に仕上げることができて一気に作業することができた。また、作業後、洗浄作業によっで汚れた手も水洗いで簡単に落ち、使用した含浸クロスをゴミとして捨てるだけで後の洗浄用具や付属品の取扱いの面倒がなく、たいへん楽な作業であった。この後、水をかけて観察すると軽い水はじき性が得られていることが判った。以上のように、自動車以外の水を吸収しない、もしくは、吸収しても悪い影響のない家庭用、産業用の硬質の製品にも自動車の場合同様に用いることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄用基布に洗浄液を含浸させてなり、上記基布がその重量の2.5倍以上の重量の洗浄液の含浸能力を有していて、その基布にその重量の2.5倍以上の重量の洗浄液を含浸させてなる発泡型洗浄具。
【請求項2】
上記洗浄液の主成分が、アルキルグルコシド系ノニオン性界面活性剤と、第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤と、トリメチルシロキシケイ酸を含有するシリコーンエマルジョンと、でなる請求項1に記載した発泡型洗浄具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した発泡型洗浄具の基布に含浸されている洗浄液又はその基布から流出した洗浄液を泡立たせながらその基布で対象物の表面を拭くことを特徴とする発泡型洗浄方法。
【請求項4】
上記洗浄液が泡立ちにくくなったときに水を基布又は対象物の表面に補給して泡立ちを回復させる請求項3に記載した発泡型洗浄方法。

【公開番号】特開2008−44970(P2008−44970A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218647(P2006−218647)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000227331)株式会社ソフト99コーポレーション (84)
【Fターム(参考)】