説明

発進支援装置

【課題】 その時の状況に即したより適切な発進支援をおこなう発進支援装置を提供する。
【解決手段】
本発明に係る発進支援装置1は、交差点における停止指示で停止した自車10に対し、所定のタイミングで発進を促す発進支援装置1であって、ECU2が、交差点における自車10の進行方向を予測する進行方向予測手段、および、進行方向予測手段によって予測された進行方向に基づいて、自車10の発進を促すタイミングを決定するタイミング決定手段として機能し、報知部9が、タイミング決定手段で決定されたタイミングで、自車10のドライバに対して発進促進の報知をおこなう報知手段として機能するため、適切なタイミングで自車の発進支援をおこなうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの運転を支援する発進支援装置に関し、特に信号機手前における運転を支援する発進支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、信号が青に変化したり、先行車両がアクセルを踏んだりしたときに、それを検知し、車両の発進を促すメッセージを流すという技術が知られている。たとえば、下記特許文献1には、赤信号で停車中の車両に対し、発進遅れを防止するために、発進を促す通知をおこなう技術が開示されている。より具体的には、交差点の信号機が赤信号から青信号に変わった後、前車の発進を確認してから、発進を促す通知を自車のドライバに対しておこなう技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−310280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実際の交差点における発進タイミングは、車両の進行方向によって大きく異なる。たとえば、車両が右折する際には、ドライバは対向車両の確認動作、横断歩行者の確認動作、右折後の交差道路の確認動作等が適宜必要であり、それらの確認のための時間が、直進するときよりも余分に必要となる。しかしながら、上述した従来技術においては車両の進行方向について全く考慮されていないため、場合によっては適切なタイミングでの発進支援ができない事態が生じうる。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、その時の状況に即したより適切な発進支援をおこなう発進支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発進支援装置は、交差点における停止指示で停止した自車に対し、所定のタイミングで発進を促す発進支援装置であって、交差点における自車または先行車両の進行方向を予測する進行方向予測手段と、進行方向予測手段によって予測された進行方向に基づいて、自車の発進を促すタイミングを決定するタイミング決定手段と、タイミング決定手段で決定されたタイミングで、自車のドライバに対して発進促進の報知をおこなう報知手段とを備える。
【0007】
この発進支援装置においては、報知手段は、タイミング決定手段で決定されたタイミングで自車のドライバに対して発進促進の報知をおこなう。このタイミングは、進行方向予測手段によって予測された自車または先行車両の進行方向に基づいて決定されたものであるため、進行方向を考慮した適切なタイミングで自車の発進支援がおこなわれる。
【0008】
なお、進行方向予測手段により自車の進行方向が右左折であると予測されたときには、タイミング決定手段が、進行方向が直進であると予測されたときのタイミングよりも所定時間だけ早いタイミングに決定する態様が好ましい。つまり、自車の右左折時には、自車のドライバによる確認作業が必要となるため、そのための時間分だけ、自車の発進支援のタイミングを早めることが好ましい。
【0009】
また、進行方向予測手段により先行車両の進行方向が右左折であると予測されたときには、タイミング決定手段が、進行方向が直進であると予測されたときのタイミングよりも所定時間だけ遅いタイミングに決定する態様が好ましい。つまり、先行車両の右左折時には、先行車両のドライバによる確認作業が必要となるため、そのための時間分だけ、自車の発進支援のタイミングを遅らせることが好ましい。
【0010】
さらに、報知手段が、所定の発進促進メッセージにより発進促進の報知をおこなう態様であってもよい。たとえば、車載モニタに発進促進メッセージを表示したり、スピーカから発進促進メッセージを流したりすることで、ドライバに対して発進を促すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、その時の状況に即したより適切な発進支援をおこなう発進支援装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る発進支援装置の概略構成図を示した図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態における交通状況を示した図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態に係る発進支援の手順を示したフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態における交通状況を示した図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係る発進支援の手順を示したフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態における交通状況を示した図である。
【図7】図7は、本発明の第3実施形態における交通状況を示した図である。
【図8】図7は、本発明の第3実施形態における交通状況を示した図である。
【図9】図9は、本発明の第3実施形態における交通状況を示した図である。
【図10】図10は、本発明の第3実施形態における交通状況を示した図である。
【図11】図11は、本発明の第3実施形態に係る発進支援の手順を示したフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の第4実施形態における交通状況を示した図である。
【図13】図13は、本発明の第4実施形態における交通状況を示した図である。
【図14】図14は、本発明の第4実施形態における交通状況を示した図である。
【図15】図15は、本発明の第4実施形態における交通状況を示した図である。
【図16】図16は、本発明の第4実施形態に係る発進支援の手順を示したフローチャートである。
【図17】図17は、異なる態様の発進支援が適用される交通状況を示した図である。
【図18】図18は、異なる態様の発進支援が適用される交通状況を示した図である。
【図19】図19は、図17および図18で示した態様の発進支援の手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一または同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
【0014】
図1に本発明の実施形態に係る発進支援装置1の概略構成図を示す。車両に搭載された発進支援装置1は、車両の運転を支援する制御をおこなうものであり、ECU(電子制御ユニット)2と、ECU2との間でデータや信号の授受をおこなうナビゲーション部3、通信部4、センサ部5、走行駆動部6、制動部7、操舵部8、報知部9とを備えている。
【0015】
ECU2は、装置全体の制御をおこなうものであり、たとえば、CPU、ROM、RAM等を含むコンピュータで構成されている。ECU2は、後述する各種情報に基づき、交差点における自車や先行車両の進行方向を予測する進行方向予測手段として機能し、また、その予測された進行方向に基づいて自車の発進支援をおこなうタイミングを決定するタイミング決定手段として機能する。
【0016】
ナビゲーション部3は、走行経路案内を提供したり、自車両の位置や対象交差点の位置の位置情報を検出したりする部分であり、地図データベースやGPS機能を備えている。このナビゲーション部3では、自車と対象交差点(停止位置)との間の距離を算出することができ、また、地図データベースに含まれる情報から対象交差点の道路線形情報や道路標識情報を取得することもできる。
【0017】
通信部4は、自車の周囲を走行している周辺車両や走行する道路の路側に設けられたインフラ(ビーコン、交通監視システム等)との間で各種情報を送受信したり、交通情報センター(VICSセンター)から渋滞情報等を受信したりする部分である。この通信部4は、車車間通信により周辺車両からその位置や速度、走行予定経路に関する情報を受信するとともに、路車間通信により対象交差点の手前に設置されたビーコンからその交差点の信号機の信号情報を受信する。なお、信号情報は、対象となる信号機の点灯状態に関する情報であり、たとえば、現在の点灯色や点灯サイクル、残り点灯時間、停止目安時間といった情報を含んでいる。
【0018】
センサ部5は、車両に搭載された複数のセンサによって構成されており、たとえば車輪速センサやレーダー測距センサ、車載カメラ、ウインカーセンサ等が含まれる。このセンサ部5は、少なくとも、車輪速センサにより車速を検知することができる。また、車両前端部に設けられたレーダー測距センサにより、前方車両の車速や発進タイミング、前方車両との車間距離等を検知することができる。さらに、車載カメラによって、前方車両のウインカーを画像解析して、その進行方向を検出することもできる。また、ウインカーセンサに基づいて、自車のウインカー操作の有無を検知することができる。
【0019】
走行駆動部6は、車両の走行駆動をおこなう部分であり、たとえばエンジンECU、スロットルモータ、インジェクタなどにより構成される。この走行駆動部6は、ECU2からの走行駆動信号を受けて作動し、その走行駆動信号に応じた車両走行駆動を実行する。
【0020】
制動部7は、車両の制動をおこなう部分であり、たとえばブレーキECU、ブレーキ油圧を調整する電磁弁、ブレーキ油圧を生成するポンプモータにより構成される。この制動部7は、ECU2の制動指令信号を受けて作動し、その制動指令信号に応じた車両制動を実行する。
【0021】
操舵部8は、車両の操舵をおこなう部分であり、たとえばステアリングECU、電動パワーステアリングシステムの電動モータにより構成される。この操舵部8は、操舵角に関する情報をECU2へ送り、ECU2はこの情報に基づいて自車の進行方向を予測することができる。
【0022】
報知部9は、ドライバに対して各種メッセージを伝えるモニタ等の表示デバイスやスピーカ等の音声デバイスで構成され、報知手段として機能する部分である。この報知部9は、ECU2からの制御信号に応じて作動し、後述する条件が満たされたときに、たとえば「そろそろ信号が変わります。安全をお確かめの上、発進してください。」といった発進促進メッセージの通知をおこなう。
【0023】
発進支援装置1は、以上で説明したとおりの構成であるため、ECU2は、インフラ情報として、(i)対象交差点までの距離、道路形状(交差点形状/曲率/勾配/車線数)、車線(通行区分)、および、(ii)信号サイクル等を取得することができ、また、自車の車両情報として、(iii)車速/加減速度/操舵角/ヨーレート/ウインカー/走行経路案内等を取得することができ、さらに前方車両の車両情報として、(iv)車速/加減速度/操舵角/ヨーレート/ウインカー/走行経路案内/相対位置/車両長等を取得することができる。
【0024】
それにより、発進支援装置1のECU2は、各交差点における自車の進行方向を予測することができ、さらに、前方車両が存在する場合には前方車両の進行方向も予測することができる。そして、ECU2は、予測した進行方向に応じて、報知部9を介しておこなう自車ドライバへの発進促進の報知のタイミングを決定する。
(第1実施形態)
【0025】
以下、上述した発進支援装置1を用いた発進支援の第1実施形態について、図2および図3を参照しつつ説明する。本実施形態は、図2に示すように、自車両が対象交差点の先頭車位置に停止している場合の発進支援に関し、自車10の進行方向に基づいて通知タイミングを変更する。より具体的には、自車10の右左折時は、対向車両や横断歩行者の確認動作が増え、右折時にはさらに右折先の交通道路等の確認動作が増えるため、その分を予め考慮した確認時間を設定する。
【0026】
その際、ECU2は、上述したインフラ情報および自車の車両情報を利用して、対象交差点での自車10の進行方向を予測し、予測した自車10の進行方向に応じて、自車10の発進促進の報知のタイミングを以下のように決定する。
【0027】
図2(a)には、対象交差点での自車10の進行方向が直進または不明の場合の発進支援の通知タイミングおよび発進タイミングが示されている。この場合には、目標とする発進タイミングS1で発進できるように、「確認動作時間(T1chk)」「操作時間(T1ope)」を考慮した通知タイミングS1で通知をおこなう。
【0028】
図2(b)、(c)には、対象交差点での自車10の進行方向が右折の場合の発進支援の通知タイミングおよび発進タイミングが示されている。この場合には、目標とする発進タイミングS1で発進できるように、「確認動作時間(T1chk)」「操作時間(T1ope)」「右折時に発生する追加確認時間(T1r1)」を考慮したタイミングR1で通知をおこなう。
【0029】
図2(d)、(e)には、対象交差点での自車10の進行方向が左折の場合の発進支援の通知タイミングおよび発進タイミングが示されている。この場合には、目標とする発進タイミングS1で発進できるように、「確認動作時間(T1chk)」「操作時間(T1ope)」「左折時に発生する追加確認時間(T1l1)」を考慮したタイミングL1で通知をおこなう。
【0030】
ここで、「確認動作時間(T1chk)」は通知開始〜ドライバの信号機/周囲状況確認〜発進判断に要する時間である。「操作時間(T1ope)」はドライバが発進判断〜発進操作〜車両発進に要する時間である。「右折時に発生する追加確認時間(T1r1)」は右折時に増える確認動作時間である。「左折時に発生する追加確認時間(T1l1)」は左折時に増える確認動作時間である。いずれの時間も、標準的なドライバに対する値だけでなく、日々の運転行動を学習することによって、ドライバ毎に最適な値を設定することで、より適切な支援が可能となる。
【0031】
続いて、図3のフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る発進支援を発進支援装置1のECU2が実行する手順について説明する。
【0032】
まず最初に、対象交差点の手前において、路側に設けられたビーコン20等から上述したインフラ情報を取得する(ステップS10)。
【0033】
次に、赤信号で自車10が停止したか否かを判定する(ステップS11)。そして、停止しなかった場合には、対象交差点を通過したかを判定し(ステップS12)、通過していない場合にはステップS11に戻り、通過している場合には処理を終了する。
【0034】
一方、ステップS11において、赤信号で自車10が停止したと判定された場合には、順次、先頭車位置で停止したか否かの判定(ステップS13)、対象交差点を右左折するか否かの判定(ステップS15)、対象交差点を左折するか否かの判定(ステップS17)をおこなう。
【0035】
ステップS13で、先頭車位置で停止したと判定された場合には、停止位置に応じた後述するタイミングで発進支援の通知(ステップS14)をおこなった後に処理を終了し、先頭車位置で停止したと判定されなかった場合にはステップS15に進む。
【0036】
ステップS15で、対象交差点を右左折すると判定された場合には、上述した通知タイミングS1で報知部9による通知をおこなった後に処理を終了し、対象交差点を右左折すると判定されなかった場合にはステップS17に進む。
【0037】
ステップS17で、対象交差点を左折すると判定された場合には、上述した通知タイミングR1で報知部9による通知をおこなった後に処理(ステップS18)を終了し、対象交差点を左折すると判定されなかった場合には上述した通知タイミングL1で報知部9による通知(ステップS19)をおこなった後に処理を終了する。
【0038】
以上で説明したとおり、第1実施形態に係る発進支援装置1は、交差点における停止指示で停止した自車10に対し、所定のタイミングで発進を促す発進支援装置1であって、ECU2が、交差点における自車10の進行方向を予測する進行方向予測手段、および、進行方向予測手段によって予測された進行方向に基づいて、自車10の発進を促すタイミングを決定するタイミング決定手段として機能し、報知部9が、タイミング決定手段で決定されたタイミングで、自車10のドライバに対して発進促進の報知をおこなう報知手段として機能するため、適切なタイミングで自車10の発進支援をおこなうことができる。
【0039】
そして、ECU2がタイミングを決定する際、自車10の進行方向が右左折であると予測された場合に、進行方向が直進であると予測された場合のタイミングS1に比べて、確認時間T1r1、T1l1だけ早いタイミングR1、L1に決定するため、自車10のドライバは、右左折時に必要な確認動作を、十分に余裕をもっておこなうことができる。
【0040】
なお、発進を促す通知については、さらにドライバ状態(前方を見ているか否かなど)や停止状態(シフトポジション/PKB状態/対象交差点からの停止位置)や交差点状態(形状/見通し/道幅)によって、通知自体の実施要否や通知内容の変更を判断することで、より適切な支援が可能となる。
(第2実施形態)
【0041】
以下、図4および図5を参照しつつ、第2実施形態に係る発進支援について説明する。本実施形態は、図4に示すように、自車10が対象交差点の先頭車位置に停止している場合の発進支援に関し、常日頃から見切り発進傾向にあるドライバに対して通知タイミングを変更する。より具体的には、見切り発進傾向にあるドライバは、第1実施形態のように発進支援の通知タイミングを早めた場合には、事故を誘発する可能性があるため、それを考慮した調整時間を設定する。特に、自車10の右折時は、対向直進車両との右直事故の発生率が高いため、見切り発進を高い確度で防止することが好ましい。
【0042】
その際、ECU2は、上述したインフラ情報および自車の車両情報を利用して、対象交差点での自車10の進行方向を予測し、予測した自車10の進行方向に応じて、自車10の発進促進の報知のタイミングを以下のように決定する。
【0043】
図4(a)、(b)、(c)には、対象交差点での自車10の進行方向が右折、かつ、見切り発進傾向が高いドライバである場合の発進支援の通知タイミングおよび発進タイミングが示されている。この場合には、発進遅れとなる限界のタイミングS1’で発進できるように、「確認動作時間(T1chk)」「操作時間(T1ope)」「右折時に発生する追加確認時間(T1r1)」「右折時の見切り発進を防止する調整時間(T1r2)」を考慮したタイミングR1’で通知をおこなう。
【0044】
ここで、「確認動作時間(T1chk)」は通知開始〜ドライバの信号機/周囲状況確認〜発進判断に要する時間である。「操作時間(T1ope)」はドライバが発進判断〜発進操作〜車両発進に要する時間である。「右折時に発生する追加確認時間(T1r1)」は右折時に増える確認動作時間である。「右折時の見切り発進を防止する調整時間(T1r2)」は発進タイミングS1と発進タイミングS1’[遅れ限界]の時間差分である。いずれの時間も、標準的なドライバに対する値だけでなく、日々の運転行動を学習することによって、ドライバ毎に最適な値を設定することで、より適切な支援が可能となる。
【0045】
以上では、交差点事故の中で発生率の高い右直事故を防止する観点から、自車10の進行方向が右折の場合のみを取り上げたが、直進や左折の場合においても見切り発進傾向が高いドライバに対しては、同様の処理(所定の調整時間だけ発進支援の通知タイミングを遅延させる処理)をおこなうことで、より適切な発進支援が可能となる。
【0046】
続いて、図5のフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る発進支援を発進支援装置1のECU2が実行する手順について説明する。
【0047】
まず最初に、対象交差点の手前において、路側に設けられたビーコン20等から上述したインフラ情報を取得する(ステップS20)。
【0048】
次に、赤信号で自車10が停止したか否かを判定する(ステップS21)。そして、停止しなかった場合には、対象交差点を通過したかを判定し(ステップS22)、通過していない場合にはステップS21に戻り、通過している場合には処理を終了する。
【0049】
一方、ステップS21において、赤信号で自車10が停止したと判定された場合には、順次、先頭車位置で停止したか否かの判定(ステップS23)、対象交差点を右折するか否かの判定(ステップS25)、ドライバが見切り発進傾向にあるか否かの判定(ステップS27)をおこなう。
【0050】
ステップS23で、先頭車位置で停止したと判定された場合には、停止位置に応じた後述するタイミングで報知部9による発進支援の通知(ステップS24)をおこなった後に処理を終了し、先頭車位置で停止したと判定されなかった場合にはステップS25に進む。
【0051】
ステップS25で、対象交差点を右折すると判定されなかった場合には、上述した通知タイミングS1(直進時)または通知タイミングL1(左折時)で報知部9による通知をおこなった後に処理を終了し、対象交差点を右折すると判定された場合にはステップS27に進む。
【0052】
ステップS27で、見切り発進傾向にあると判定されなかった場合には、上述した通知タイミングR1で報知部9による通知(ステップS28)をおこなった後に処理を終了し、見切り発進傾向にあると判定された場合には上述した通知タイミングR1’で報知部9による通知(ステップS29)をおこなった後に処理を終了する。
【0053】
以上で説明したとおり、第2実施形態に係る発進支援装置1は、交差点における停止指示で停止した自車10に対し、所定のタイミングで発進を促す発進支援装置1であって、ECU2が、交差点における自車10の進行方向を予測する進行方向予測手段、および、進行方向予測手段によって予測された進行方向に基づいて、自車10の発進を促すタイミングを決定するタイミング決定手段として機能し、報知部9が、タイミング決定手段で決定されたタイミングで、自車10のドライバに対して発進促進の報知をおこなう報知手段として機能するため、適切なタイミングで自車10の発進支援をおこなうことができる。
【0054】
そして、タイミングを決定する際、自車10の進行方向が右左折であると予測された場合に、進行方向が直進であると予測された場合のタイミングS1に比べて、確認時間T1r1、T1l1だけ早いタイミングR1、L1に決定するため、自車10のドライバは、右左折時に必要な確認動作を、十分に余裕をもっておこなうことができる。
【0055】
さらに、ドライバが見切り発進傾向にある場合には、発進の遅れ限界に基づいて調整時間(T1r2)だけ遅らせた通知タイミングR1’に決定するため、見切り発進が高い確度で防止され、特に、自車10の右折時は、対向直進車両との右直事故の発生率を効果的に抑えることができる。
【0056】
なお、発進を促す通知については、さらにドライバ状態(前方を見ているか否かなど)や停止状態(シフトポジション/PKB状態/対象交差点からの停止位置)や交差点状態(形状/見通し/道幅)によって、通知自体の実施要否や通知内容の変更を判断することで、より適切な支援が可能となる。
(第3実施形態)
【0057】
以下、図6〜11を参照しつつ、第3実施形態に係る発進支援について説明する。本実施形態は、図6に示すように、対象交差点で停止した自車10の前に前車11がいる場合の発進支援に関し、前車11の進行方向に基づいて通知タイミングを変更する。より具体的には、前車11の右左折時は、前車のドライバの確認動作時間の増加や、対向車両/横断歩行者/交差道路側の車両の影響などによって、自車10の発進自体が待たされるため、その分を予め考慮した確認時間を設定する。
【0058】
その際、ECU2は、上述したインフラ情報、自車の車両情報および他車の車両情報を利用して、対象交差点での前車11の進行方向を予測し、予測した前車11の進行方向に応じて、自車10の発進促進の報知のタイミングを以下のように決定する。
【0059】
図6(a)には、対象交差点で前車11が右折する場合の発進支援の通知タイミングおよび発進タイミングが示されている。この場合には、前車11は、直進時の「確認動作時間(T1chk)」「操作時間(T1ope)」に加えて、「右折時に発生する追加確認時間(T1r1)」が必要となり、その確認時間T1r1の分だけ発進タイミングが遅れる。
【0060】
図6(b)、(c)には、対象交差点で前車11が右折する場合における、前車11の後ろに続く自車10の発進支援の通知タイミングおよび発進タイミングが示されている。自車10は、前車11の遅れを考慮した発進タイミングR2で発進できるように、「確認動作時間(T2chk)」「操作時間(T2ope)」、前車11の「右折時に発生する追加確認時間(T1r1)」を考慮したタイミングR2で通知をおこなう。
【0061】
図7(a)には、対象交差点で前車11が左折する場合の発進支援の通知タイミングおよび発進タイミングが示されている。この場合には、前車11は、直進時の「確認動作時間(T1chk)」「操作時間(T1ope)」に加えて、「左折時に発生する追加確認時間(T1l1)」が必要となり、その確認時間T1r1の分だけ発進タイミングが遅れる。
【0062】
図7(b)、(c)には、対象交差点で前車11が左折する場合における、前車11の後ろに続く自車10の発進支援の通知タイミングおよび発進タイミングが示されている。自車10は、前車11の遅れを考慮した発進タイミングL2で発進できるように、「確認動作時間(T2chk)」「操作時間(T2ope)」、前車11の「左折時に発生する追加確認時間(T1l1)」を考慮したタイミングL2で通知をおこなう。
【0063】
ここで、「確認動作時間(T2chk)」は通知開始〜ドライバの信号機/周囲状況確認〜発進判断に要する時間である。「操作時間(T2ope)」はドライバが発進判断〜発進操作〜車両発進に要する時間である。「右折時に発生する追加確認時間(T1r1)」は先頭車両の右折時に増える確認動作時間である。「左折時に発生する追加確認時間(T1l1)」は先頭車両の左折時に増える確認動作時間である。いずれの時間も、標準的なドライバに対する値だけでなく、日々の運転行動を学習することによって、ドライバ毎に最適な値を設定することで、より適切な支援が可能となる。
【0064】
ただし、図8(a)に示すように、上述した第1実施形態の発進支援が前車11に適用されて、対象交差点での前車11の右折の際に遅延が生じない場合には、図8(b)、(c)に示すように、自車10の通知タイミングR2の遅延時間T1rlが必要なくなるため、もとの通知タイミングS2での通知をおこなう。
【0065】
また、図9(a)に示すように、上述した第1実施形態の発進支援が前車11に適用されて、対象交差点での前車11の左折の際に遅延が生じない場合には、図9(b)、(c)に示すように、自車10の通知タイミングL2の遅延時間T1llが必要なくなるため、もとの通知タイミングS2での通知をおこなう。
【0066】
さらに、図10(a)に示すように、前車11が第2実施形態の処理を実施していることが車車間通信等で予めわかり、対象交差点での前車11の右折時の見切り発進を防止する場合には、通知タイミングR1’を考慮して安易に自車10の発進を遅らせると逆に発進遅れを招く虞があるため、図10(b)、(c)に示すように、前車11の遅れを考慮した発進タイミングR2で発進できるように、「確認動作時間(T2chk)」「操作時間(T2ope)」に前車11の「右折時に発生する追加確認時間(T1r1)」を考慮した通知タイミングR2で通知をおこなう。なお、通知タイミングR1’が通知タイミングS1より早くなることはないため、発進遅れ防止の目的から第3実施形態がない状態よりも通知を遅くすることはおこなわない。
【0067】
続いて、図11のフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る発進支援を発進支援装置1のECU2が実行する手順について説明する。
【0068】
まず最初に、対象交差点の手前において、路側に設けられたビーコン20等から上述したインフラ情報を取得する(ステップS30)。
【0069】
次に、赤信号で自車10が停止したか否かを判定する(ステップS31)。そして、停止しなかった場合には、対象交差点を通過したかを判定し(ステップS32)、通過していない場合にはステップS31に戻り、通過している場合には処理を終了する。
【0070】
一方、ステップS31において、赤信号で自車10が停止したと判定された場合には、順次、前車11がいるか否かの判定(ステップS33a)、前車11が対象交差点を右左折するか否かの判定(ステップS33b)、前車11が第1実施形態の通知タイミングで通知をおこなうか否かの判定(ステップS35)、前車11が対象交差点を左折するか否かの判定(ステップS36)をおこなう。
【0071】
ステップS33aで、前車11がいると判定されなかった場合には、上述した第1実施形態もしくは第2実施形態のタイミングで発進支援の通知(ステップS34a)をおこなった後に処理を終了し、前車11がいると判定された場合にはステップS33bに進む。
【0072】
ステップS33bで、前車11が対象交差点を右左折すると判定されなかった場合には、停止位置に応じた後述するタイミングで発進支援の通知(ステップS34b)をおこなった後に処理を終了し、前車11が対象交差点を右左折すると判定された場合にはステップS35に進む。
【0073】
ステップS35で、前車11が第1実施形態の通知タイミングで通知をおこなうと判定された場合には、上述した通知タイミングS2で報知部9による通知(ステップS38)をおこなった後に処理を終了し、前車11が第1実施形態の通知タイミングで通知をおこなうと判定されなかった場合にはステップS36に進む。
【0074】
ステップS36で、前車11が対象交差点を左折すると判定されなかった場合には、上述した通知タイミングR2で報知部9による通知(ステップS37)をおこなった後に処理を終了し、前車11が対象交差点を左折すると判定された場合には上述した通知タイミングL2で報知部9による通知(ステップS39)をおこなった後に処理を終了する。
【0075】
以上で説明したとおり、第3実施形態に係る発進支援装置1は、交差点における停止指示で停止した自車10に対し、所定のタイミングで発進を促す発進支援装置1であって、ECU2が、交差点における前車11の進行方向を予測する進行方向予測手段、および、進行方向予測手段によって予測された進行方向に基づいて、自車10の発進を促すタイミングを決定するタイミング決定手段として機能し、報知部9が、タイミング決定手段で決定されたタイミングで、自車10のドライバに対して発進促進の報知をおこなう報知手段として機能するため、適切なタイミングで自車10の発進支援をおこなうことができる。
【0076】
そして、タイミングを決定する際、前車11の進行方向が右左折であると予測された場合に、進行方向が直進であると予測された場合のタイミングS1に比べて、確認時間T1r1、T1l1だけ遅いタイミングR2、L2に決定するため、自車10のドライバは、前車11のドライバの確認動作時間の増加や、対向車両/横断歩行者/交差道路側の車両の影響などによって、自車10の発進自体が待たされることへの対処が図られている。
【0077】
さらに、前車11に対して、上述した第1実施形態の発進支援が適用されて、対象交差点での前車11の遅延が生じない場合には、もとの通知タイミングS2での通知がおこなわれるため、その際の通知タイミングの不具合も解消されている。
【0078】
なお、発進を促す通知については、さらにドライバ状態(前方を見ているか否かなど)や停止状態(シフトポジション/PKB状態/対象交差点からの停止位置)や交差点状態(形状/見通し/道幅)によって、通知自体の実施要否や通知内容の変更を判断することで、より適切な支援が可能となる。
(第4実施形態)
【0079】
以下、図12〜19を参照しつつ、第4実施形態に係る発進支援について説明する。本実施形態は、図12(a)に示すように、対象交差点で停止した自車10の前に複数の前車11〜15がいる場合の発進支援に関し、前車11〜15の進行方向に基づいて通知タイミングを変更する。より具体的には、前車11〜15の右左折時は、前車のドライバの確認動作時間の増加や、対向車両/横断歩行者/交差道路側の車両の影響などによって、自車10の発進自体が待たされるため、その分を予め考慮した確認時間を設定する。
【0080】
その際、ECU2は、上述したインフラ情報、自車の車両情報および他車の車両情報を利用して、対象交差点での前車11〜15の進行方向を予測し、予測した前車11〜15の進行方向に応じて、自車10の発進促進の報知のタイミングを以下のように決定する。
【0081】
図12および図13には、前車11〜15が対象交差点で直進または不明だけの場合の通知タイミングおよび発進タイミングが示されている。この場合には、自車10の前方に停止している車両台数を予測し、停止位置による発進タイミング遅れを補正する。ここで、後続車両は、その直前の前車が車両発進認識距離LSを進んだ後に発進するものとする。そして、その間に経過する時間を発進遅延時間TDとし、後続車両の発進タイミングに加算する。
【0082】
したがって、図12(b)のグラフおよび図13(a)〜(f)に示すように、対象交差点の先頭車両15から自車10までのそれぞれの通知タイミングT1−T6はTDずつ遅延していき、自車10は先頭車両15に対してTD×5だけ遅延して通知タイミングが通知される。図12(b)のグラフにおける座標(Ln、Tn)は車両の(停止位置、発進タイミング)を示している。そして、たとえば車両13は、車両14がT2で発進し、位置(L2−LS)に到達した時点(T2+TD)で発進できるように、通知タイミングが決定される。
【0083】
図14および図15には、前車11〜15が対象交差点で右折または左折する場合の通知タイミングおよび発進タイミングが示されている。この場合には、右左折する車両の後方に位置する車両に対して、右左折する車両の影響による発進タイミング遅れを補正する。ここで、後続車両は、その直前の前車が車両発進認識距離LSを進んだ後に発進するものとする。そして、その間に経過する時間を発進遅延時間TDとし、後続車両の発進タイミングに加算する。さらに、右左折する車両の影響による遅れを発進遅延時間TSとし、後続車両の発進タイミングに加算する。なお、右左折する車両が交差点を通過した後は、後続車両の速度も回復するため、右左折する車両が交差点を通過する時刻TP以降に発進する車両に対しては、発進遅延時間TSを新たに加算しない。
【0084】
したがって、図14(b)のグラフおよび図15(a)〜(f)に示すように、対象交差点の先頭車両15から自車10までのそれぞれの通知タイミングT1、T2、T3’、T4’、S5、S6’はTDずつ遅延していくとともに、右折する前車14の後続車両13から自車10までのそれぞれの通知タイミングからはさらにTSだけ遅延していき、自車10は先頭車両15に対してTD×5+TS×4だけ遅延して通知タイミングが通知される。図14(b)のグラフでも、図12(b)のグラフ同様、その座標(Ln、Tn)は車両の(停止位置、発進タイミング)を示している。そして、たとえば車両13は、車両14がT2で発進し、位置(L2−LS)に到達した時点(T2+TD+TS)で発進できるように、通知タイミングが決定される。
【0085】
続いて、図16のフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る発進支援を実行する手順について説明する。
【0086】
まず最初に、対象交差点の手前において、路側に設けられたビーコン20等から上述したインフラ情報を取得する(ステップS40)。
【0087】
次に、赤信号で自車10が停止したか否かを判定する(ステップS41)。そして、停止しなかった場合には、対象交差点を通過したかを判定し(ステップS42)、通過していない場合にはステップS41に戻り、通過している場合には処理を終了する。
【0088】
一方、ステップS41において、赤信号で自車10が停止したと判定された場合には、順次、前車11〜15がいるか否かの判定(ステップS43)、前車11〜15が対象交差点を右左折するか否かの判定(ステップS45)をおこなう。
【0089】
ステップS43で、前車11〜15がいると判定されなかった場合には、上述した第1実施形態もしくは第2実施形態のタイミングで発進支援の通知(ステップS44)をおこなった後に処理を終了し、前車11〜15がいると判定された場合にはステップS45に進む。
【0090】
ステップS45で、前車11〜15が対象交差点を右左折すると判定されなかった場合には、停止位置に応じたタイミングT6で報知部9による発進支援の通知(ステップS46)をおこなった後に処理を終了し、上述した通知タイミングT6’で報知部9による通知(ステップS47)をおこなった後に処理を終了する。
【0091】
いずれの時間も、標準的なドライバに対する値だけでなく、日々の運転行動を学習することによって、ドライバ毎に最適な値を設定することで、より適切な支援が可能となる。右左折する車両の影響による発進遅れ時間TSは、右折または左折、交差点形状を加味して最適な値を設定することで、より適切な支援が可能となる。
【0092】
以上で説明したとおり、第4実施形態に係る発進支援装置1は、交差点における停止指示で停止した自車10に対し、所定のタイミングで発進を促す発進支援装置1であって、ECU2が、交差点における前車11〜15の進行方向を予測する進行方向予測手段、および、進行方向予測手段によって予測された進行方向に基づいて、自車10の発進を促すタイミングを決定するタイミング決定手段として機能し、報知部9が、タイミング決定手段で決定されたタイミングで、自車10のドライバに対して発進促進の報知をおこなう報知手段として機能するため、適切なタイミングで自車10の発進支援をおこなうことができる。
【0093】
そして、タイミングを決定する際、前車11〜15の進行方向が右左折であると予測された場合に、進行方向が直進であると予測された場合のタイミングS1に比べて、確認時間T1r1、T1l1だけ遅いタイミングR2、L2に決定するため、自車10のドライバは、前車11〜15のドライバの確認動作時間の増加や、対向車両/横断歩行者/交差道路側の車両の影響などによって、自車10の発進自体が待たされることへの対処が図られている。
【0094】
なお、発進を促す通知については、さらにドライバ状態(前方を見ているか否かなど)や停止状態(シフトポジション/PKB状態/対象交差点からの停止位置)や交差点状態(形状/見通し/道幅)によって、通知自体の実施要否や通知内容の変更を判断することで、より適切な支援が可能となる。
【0095】
また、自車10の通知タイミングT6の成立前に、車車間通信等で前方車両の発進遅れ(通知遅れ)が認識できた場合には、遅れTTを考慮した通知タイミングT6’’とする。以下、前車14に発進遅れTTが生じた場合を例に、図17および図18を参照しつつ説明する。図18(a)のタイミングT1で先頭車両15が直進する場合、通常であればそれに続く車両14はT1からTDだけ遅れたタイミングT2で直進し(図18(b)参照)、自車10はT1からTD×5だけ遅れたタイミングT6で直進する(図18(c)参照)。ところが、車両14に発進遅れTTが生じた場合には(図18(d)参照)、自車10の通知タイミングをT1からTD×5+TTだけ遅れタイミングT6’’で直進する(図18(e)参照)。
【0096】
なお、図17(b)のグラフでも、図12(b)のグラフ同様、その座標(Ln、Tn)は車両の(停止位置、発進タイミング)を示している。そして、たとえば車両14がT’’(発進遅れTTを含む)で発進し、位置(L2−LS)に到達した時点(T2’’+TD)で発進できるように、通知タイミングが決定される。
【0097】
図19のフローチャートを参照しつつ、前車に発進遅れが生じた際の発進支援について説明する。
【0098】
まず最初に、ECU2は、対象交差点の手前において、路側に設けられたビーコン20等から上述したインフラ情報を取得する(ステップS50)。
【0099】
次に、ECU2は、赤信号で自車10が停止したか否かを判定する(ステップS51)。そして、停止しなかった場合には、対象交差点を通過したかを判定し(ステップS52)、通過していない場合にはステップS51に戻り、通過している場合には処理を終了する。
【0100】
一方、ステップS51において、赤信号で自車10が停止したと判定された場合には、ECU2は、前車11〜15がいるか否かの判定(ステップS53)をおこなう。
【0101】
ステップS53で、前車11〜15がいると判定されなかった場合には、上述した第1実施形態もしくは第2実施形態のタイミングで発進支援の通知(ステップS54)をおこなった後に処理を終了し、前車11〜15がいると判定された場合にはステップS55に進む。
【0102】
ステップS55では、ECU2は、停止位置に応じたタイミング、または、上述した第3実施形態もしくは第4実施形態によるタイミングを設定する。そして、続くステップS56において、自車10の通知タイミングが未成立か否かを判定する。
【0103】
そして、自車10の通知タイミングが成立している場合には、その設定されたタイミングで報知部9による発進支援の通知(ステップS57)をおこなった後に処理を終了し、成立していない場合にはステップS58に進む。
【0104】
ステップS58では、ECU2は、前方車両の通知タイミングや発進タイミングに新たな遅れが発生したか否かを判定し、新たな遅れが発生した場合にはその新たな遅れを考慮したタイミングを再設定した後にステップS56に戻り、新たな遅れが発生していない場合にはそのままステップS56に戻る。
【0105】
このように、自車10の通知タイミングよりも前に発生した要因を考慮することで、より適切な支援が可能となる。また、全ての前方車両の進行方向が精度よく認識できるとは限らないので、前車11〜15の通知(発進)タイミングを知ることで、自車10の通知タイミングの精度向上が図られる。
【0106】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。たとえば、交差点における停止指示は赤信号での停止に限らず、一時停止の指示がある交差点における停止にも適用可能である。つまり、一時停止の指示は、赤信号と同様の停止が必要であるため、本発明を適用することで、一時停止の指示がある交差点においても赤信号交差点と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0107】
1…発進支援装置、2…ECU、3…ナビゲーション部、4…通信部、5…センサ部、6…走行駆動部、7…制動部、8…操舵部、9…報知部、10…自車、11〜15…前車、20…ビーコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点における停止指示で停止した自車に対し、所定のタイミングで発進を促す発進支援装置であって、
交差点における自車または先行車両の進行方向を予測する進行方向予測手段と、
進行方向予測手段によって予測された進行方向に基づいて、自車の発進を促すタイミングを決定するタイミング決定手段と、
前記タイミング決定手段で決定された前記タイミングで、自車のドライバに対して発進促進の報知をおこなう報知手段と
を備える、発進支援装置。
【請求項2】
進行方向予測手段により自車の進行方向が右左折であると予測されたときには、タイミング決定手段が、進行方向が直進であると予測されたときのタイミングよりも所定時間だけ早いタイミングに決定する、請求項1記載の発進支援装置。
【請求項3】
進行方向予測手段により先行車両の進行方向が右左折であると予測されたときには、タイミング決定手段が、進行方向が直進であると予測されたときのタイミングよりも所定時間だけ遅いタイミングに決定する、請求項1記載の発進支援装置。
【請求項4】
前記報知手段が、所定の発進促進メッセージにより発進促進の報知をおこなう、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発進支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−257139(P2010−257139A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105474(P2009−105474)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】