説明

発酵工程で改良された生産レベルを有するアルファ・アミラーゼ変異体

より効率的で、従ってより経済的に生産されるバチルス・エスピー#707菌アルファ・アミラーゼの変異体が提供される。発酵ブロス中の変異体の溶解度を促進するアミノ酸変異を導入することで、より高い発酵収率が達成される。溶解度が増加することにより、宿主細胞中での発現後、より多くの酵素が、溶液に残ることが出来る。これにより、順次発現された変異酵素が発酵ブロスから回収される効率を増加させることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アミラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸が開示され、ここで前記ポリペプチドは、バチルスα―アミラーゼ、特にバチルス・エスピー#707菌(Bacillus sp.no.707)α―アミラーゼから修飾される。
【0002】
配列表
配列番号1−26を含む配列表も添付される。これらは、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
でんぷんは、アミロース(15−30%w/w)及びアミロペクチン(70−85%w/w)の混合物から成る。アミロースは、約60,000から約800,000の分子量(MW)を有するα−1,4−連結グルコース単位の直鎖から成る。アミロペクチンは、同様のα−1,4−連結グルコースを含み、α−1,6分枝点を24から30グルコース単位毎に有する分枝ポリマーであり、そのMWは、1億程度の大きさとすることが出来る。
【0004】
濃縮デキストロースシロップ状のでんぷんに由来する砂糖は現在、以下を伴う酵素触媒された工程で生産される。すなわち、(1)約7−10の平均重合度を有するデキストリンへのα―アミラーゼを有する固体でんぷんの液化(又は、菲薄化)、及び(2)アミログルコシダーゼ(グルコアミラーゼとも呼ばれる)を用いた、得られた液化でんぷんの糖化、すなわち、でんぷん加水分解を、伴う。得られたシロップは、高グルコース含有量を有する。商業的に生産されるグルコース・シロップの多くは次に、酵素を用いて、アイソシロップ(isosyrup)として知られるデキストロース/フルクトース混合物に異性化される。
【0005】
α−アミラーゼ(EC3.2.1.1)は、内部α―1,4−グルコシド結合を無作為に切断することにより、でんぷん、グリコーゲン、及び関連する多糖類を加水分解する。これらの酵素には、でんぷん液化、繊維製品の糊抜き、紙パルプ工業におけるでんぷん修飾、穀物処理、ベーキング及び醸造を含む、多くの重要な商業的用途がある。また、α−アミラーゼは、洗浄中にでんぷん質の染みを除去するため、漂白剤を含有するものを含む自動食器洗浄用洗剤及び洗濯用洗剤の配合剤に使用されることが出来る。バチルス・エスピー#707菌に由来するα−アミラーゼは、前記の用途に用いた際に、特に有利な性能を示す。残念ながら、当該α−アミラーゼは、高レベルで発現されず、その経済的生産及び商業的使用を困難にしている。
【0006】
α−アミラーゼは多様な細菌性、菌性、植物性及び動物性起源から単離される。多くの工業的に重要なα―アミラーゼがバチルス種から単離される理由の一つは、バチルス菌は一般に、培養地中にアミラーゼを分泌する高い能力を有するためである。例えば、バチルス・エスピーA7−7菌(Bacillus sp.A7−7)(DSM12368)は、有利に高いレベルでα―アミラーゼを分泌する。バチルス・エスピーA7−7菌α―アミラーゼは経済的に生産されることが出来るが、当該酵素は、バチルス・エスピー#707菌由来のα―アミラーゼ程度には機能しない。従って、例えばバチルス・エスピーA7−7菌α―アミラーゼに匹敵する生産レベルにおいて、バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼのより良く機能する変異体を発現させるという、当該分野における必要性がある。当該変異体は、より効率的で経済的な洗剤配合剤又はその他の配合剤で有用となる。
【発明の概要】
【0007】
より効率的で、従ってより経済的に生産されるα―アミラーゼの変異体が提供される。発酵ブロス中の変異体の溶解度を促進するアミノ酸変異を導入することで、より高い発酵収率が達成される。すなわち、溶解度が増加することにより、宿主細胞中での発現後、より多くの酵素が溶液に残ることが出来る。これにより、順次発現された変異酵素が発酵ブロスから回収される効率を増加させる。
【0008】
一の実施態様において、変異体の一次構造は、発酵ブロスにおいて高濃度で可溶性なα―アミラーゼに類似するよう修飾される。当該変異体は、洗浄配合剤等の使用においてより経済的で有利に発現されることができる高性能バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼとすることが出来る。適した変異体は、水溶液中の酵素の凝集及び沈殿を促進する疎水性アミノ酸残基を酵素表面により少なく有するものを含む。
【0009】
従って、一の目的は、野生型の第一のαアミラーゼの単離変異体及びコーディング核酸を提供することであって、
(a)前記α−アミラーゼ変異体が野生型の第一のαアミラーゼと比べ、少なくとも一の修飾されたアミノ酸を含み、
(b)前記α−アミラーゼ変異体がα−アミラーゼ活性を示し、さらに
(c)前記少なくとも一の修飾されたアミノ酸が、第二のα−アミラーゼのアミノ酸配列に対応する位置で見られるアミノ酸と同様であって、
前記第二のα−アミラーゼが、野生型の第一のαアミラーゼより高い溶解度を有し、そして
変異体α−アミラーゼのアミノ酸配列が、少なくとも一のアミノ酸で前記第二のα−アミラーゼと異なる。一の実施態様において、前記α−アミラーゼ変異体が、野生型第一のα−アミラーゼと比べ、宿主細胞においてより高いレベルで発現されることが可能である。
【0010】
α−アミラーゼ変異体は、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のアミノ酸等の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、又は40のアミノ酸の修飾を含む。野生型の第一のα−アミラーゼ及び第二のα−アミラーゼは、少なくとも60%、80%、又は90%の配列同一性を共有することが出来る。一の実施態様において、野生型の第一のαアミラーゼ及び第二のα−アミラーゼは、例えばバチルスα−アミラーゼ等の細菌性α−アミラーゼである。非限定的な例として、野生型の第一のαアミラーゼは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むバチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼ(ツカモト,A.、キムラ,K.、イシイ,Y、タカノ,T及びヤマネ,K.(1988年)好アルカリ性バチルス・エスピー#707菌に由来するマルトール生産アミラーゼ遺伝子のヌクレオチド配列及び液化型α−アミラーゼとの構造類似性(Nucleotide sequence of the maltohexaose−producing amylase gene from an alkalophilic Bacillus sp.#707 and structural similarity to liquefying type alpha−amylases)Biochem.Biophys.Res.Commun.151(1)、25から31ページ)とすることが出来る。さらに/又は、第二のα−アミラーゼは、配列番号2、配列番号3、配列番号7又は配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むバチルス・エスピーA7−7菌(DSM12368)α―アミラーゼ(Bessler,C.、Wieland,S.、及びMaurer,K.H.上昇した溶媒安定性を含むアルファ・アミラーゼ変異体、それらの生産方法、及び、これらのアルファーアミラーゼ変異体を含む洗剤及びクリーナー(Alpha amylase variants having an elevated solvent stability,method for the production thereof and detergents and cleaners containing these alpha amylase variants)国際特許公開WO2006037484−A13−APR−2006、HENKEL KOMMANDITGESELLSCHAFT AUF AKTIEN(DE))とすることが出来る。α―アミラーゼ変異体の修飾されたアミノ酸は、例えばN28R、S36D、S83N、M116W、R142K、R172Q、H183D、A186G、N251T、S255N、A256T、F441Y、S452R、及びK485Nから成る群から選択されることができ、例えばN28R、S36D、M116W、R172Q、H183D、S255N、及びA256Tである。
【0011】
一の目的では、上述のコーディング核酸を含む単離宿主細胞、上述の単離核酸と操作可能に連結されたベクター、及び同様のベクターを含む単離宿主細胞も提供する。単離宿主細胞は、例えば細菌又は菌類等の微生物とすることが出来る。適した宿主細胞は、Bacillus subtilis、B.licheniformis、B.lentus、B.brevis、B.stearothermophilus、B.alkalophilus、B.amyloliquefaciens、B.coagulans、B.circulans、B.lautus、B.thuringiensis、Streptomyces lividans、又はS.murinus、又は、グラム陰性細菌から成る群から選択されることができ、ここで、前記グラム陰性細菌は、エシュリキア種大腸菌かシュードモナス菌種である。
【0012】
別の目的では、上述のα―アミラーゼ変異体を含む洗剤添加物を提供する。前記洗剤添加物は、無塵埃顆粒、微粒、安定化された液体、又は保護された酵素の形態をとることが出来る。前記洗剤添加物はさらに、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ(haloperoxidase)、インヴェルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグクタミナーゼ(peptidoglutaminase)、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ(polyphenoloxidase)、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、カラギーナーゼ(carrageenase)、又は、それらの任意の組み合わせから成る群から選ばれる酵素を含むことが出来る。特に、アミラーゼは、別のα―アミラーゼ、β―アミラーゼ、イソアミラーゼ、又はグルコアミラーゼとすることが出来る。
【0013】
上述の洗剤添加物を含む洗剤組成物が提供される。前記洗剤組成物にはさらに、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インヴェルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグクタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、カラギーナーゼの群から選ばれる酵素又はそれらの任意の組み合わせを含むことが出来る。
【0014】
別の目的は、上記のα−アミラーゼ変異体を含む、手洗い、もしくは自動食器洗浄組成物を提供することである。この組成物はさらに界面活性剤、洗剤充填剤(detergent builder)、錯化剤、ポリマー、漂白剤システム、安定化剤、起泡力増進剤、石鹸泡抑制剤(suds suppressor)、防腐食剤、土壌懸濁化剤、再汚染防止剤、染料、殺菌剤、向水性物質、曇り防止剤、及び香料の1以上を含むことが出来る。上記組成物はさらに、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インヴェルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグクタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、カラギーナーゼの群から選ばれる酵素又はそれらの任意の組み合わせを含むことが出来る。食器の洗浄方法は、上述の手洗い、もしくは自動食器洗浄組成物を投与することを含む。
【0015】
さらに別の目的は、上記のα−アミラーゼ変異体を含む、洗濯洗剤添加物を提供することである。洗濯洗剤組成物は、洗濯添加物と、さらに1以上の界面活性剤、洗剤充填剤、錯化剤、ポリマー、漂白剤システム、安定化剤、起泡力増進剤、石鹸泡抑制剤、防腐食剤、土壌懸濁化剤、再汚染防止剤、染料、殺菌剤、向水性物質、蛍光増白剤、柔軟剤、及び香料とを含むことが出来る。洗濯方法は、上述の洗濯洗剤添加物を投与することを含む。
【0016】
別の目的は、上記のα−アミラーゼ変異体を含む、生物膜加水分解組成物を提供することである。この生物膜加水分解組成物は、溶液、粉、ペースト、ゲル、液体、軟膏、タブレット又はゲルの形をとることが出来る。前記組成物はさらに、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、抗菌剤、又はそれらの任意の組み合わせも含むことが出来る。生物膜を加水分解する方法は、上記の組成物を、生物膜を加水分解するのに十分な時間投与することを含む。
【0017】
別の目的は、水溶液中において上記のα−アミラーゼ変異体を含む、でんぷん処理を行う組成物を提供することである。前記でんぷん処理組成物はさらに、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、フィターゼ又はそれらの組み合わせを含むことが出来る。でんぷんを処理する方法は、前記組成物を、でんぷんを処理するのに十分な時間投与することを含む。
【0018】
別の目的は、溶液中において上記のα−アミラーゼ変異体を含む、でんぷんを糖化する組成物を提供することである。でんぷんを糖化する方法は、前記組成物を、でんぷんを糖化するのに十分な時間投与することを含む。更なる目的は、上記のα−アミラーゼ変異体を含む、溶液中においてでんぷんを液化する組成物を提供することである。でんぷんを液化する方法は、前記組成物を、でんぷんを液化するのに十分な時間投与することを含む。
【0019】
さらに別の目的は、溶液中において上記のα−アミラーゼ変異体を含む、繊維製品を糊抜きする組成物を提供することである。前記繊維製品を糊抜きする組成物はさらに、別の酵素を含むことが出来る。繊維製品を糊抜きする方法は、前記繊維製品を糊抜きする組成物を、繊維製品を糊抜きするのに十分な時間投与することを含む。
【0020】
別の目的は、溶液中又はゲル中において上記のα−アミラーゼ変異体を含む、ベーキング組成物を提供することである。ベーキングの方法は、前記ベーキング組成物を投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、様々な実施態様を図解する。
【図1】図1は、Bacillus subtilisエスピー#707菌α−アミラーゼの成熟型(配列番号1)(スイスプロット登録番号(Swissprot Accession No.)P19571)とバチルス・エスピーA7−7菌α−アミラーゼ(配列番号2)との間のアミノ酸配列アラインメントを示している。強調された残基は2つのアミノ酸配列において異なることを示す。
【図2】図2は、Bacillus subtilisエスピー#707菌α−アミラーゼの成熟型(配列番号1)(スイスプロット登録番号P19571)とバチルス・エスピーA7−7菌(DSM12368)α−アミラーゼ(配列番号7)(ジェンバンク登録番号(GenBank Accession No.)CAL48155)との間のSIMアミノ酸配列アラインメント(Xiaoquin Huang及びWebb Miller.(1991年)時間効率の良い、線形空間局所類似アルゴリズム(A Time−Efficient,Linear−Space Local Similarlity Algorithm.)Advances in Applied Mathematics.vol.12、337−357ページ)を示す。同一アミノ酸位置は配列アラインメントの下のアスターリスクによって示される。
【図3】図3は、バチルス・エスピー#707菌α−アミラーゼ変異体の発現に使用したプラスミドpICatH−Amy707の略図である。pICatHは以下の特徴を含む。すなわち、温度感受性複製開始点(ori pE194、バチルス菌内における複製に用いる)、pBR322由来の複製開始点(大腸菌内での増幅のための)、選択のためのネオマイシン耐性遺伝子、及びクロラムフェニコール抗生物質選択、染色体組み込み、及びカセット増幅のための野生型B.licheniformisクロラムフェニコール耐性遺伝子(CAT)を含む。
【図4】図4は、親酵素に対する一連のアミラーゼ707変異体(R172Q、H183D、及びS255N)のアミラーゼ活性の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な記載
酵素の溶解度に重要なアミノ酸残基を修飾することにより、より効率的、つまりはより経済的に生産されたα−アミラーゼの変異体が提供される。例えば、バチルス・エスピー#707菌α−アミラーゼの変異体は、変異体を発現している宿主細胞の発酵ブロス中において、野生型バチルス・エスピー#707菌α−アミラーゼよりも溶解性が高い。前記変異体はさらに、発現宿主細胞、例えば、宿主細胞の細胞質においてより高い溶解性を有することが出来る。バチルス・エスピー#707菌α−アミラーゼ変異体はより高い溶解性を持つため、例えば、前記変異体は発酵ブロスから、より効率的に単離、精製が可能である。従って、前記変異体を含む配合剤は、より経済的に生産されることが可能である。
【0023】
本発明に係るバチルス・エスピー#707菌α−アミラーゼの変異体を含む配合剤は、洗浄配合剤(例えば、自動食器洗浄洗剤と洗濯洗剤配合物)、生物膜処理配合物、でんぷん処理配合物、繊維製品の糊抜き配合物、ベーキング配合物等を含む。以下は、どのようにしてこれらができるのかを詳述し、それにより生産されるα−アミラーゼの変異体のための組成及びその使用法を提供する。
【0024】
1.定義及び略語
当該詳細な記載に従い、以下の略語と定義が適用される。本明細書で用いられる単数形(英文で「a」、「an」及び「the」)は、文脈で明確に指示されない限り、複数の対象を含む。従って、例えば、「一酵素(an enzyme)」の言及は、複数のこれらの酵素を含み、「配合物(the formulation)」の言及は、1以上の配合物及び当業者に知られるそれらの同等物等の言及を含む。
【0025】
他で定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、当業者から共通に理解されるものと同等の意味を有する。以下の用語が下記に示される。
【0026】
1.1定義
「アミラーゼ」は特に、でんぷんの分解を触媒する能力を有する酵素を意味する。「アミラーゼ」は、B.licheniformis、B.subtilisのようなバチルス種のグルコアミラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、及び野生型α−アミラーゼ等のアミラーゼも含む。アミラーゼは、でんぷんのα−D−(1→4)O−グリコシド結合を切断する加水分解酵素である。一般に、α−アミラーゼ(EC3.2.1.1、α−D(1→4)−グルカン・グルカノハイドロラーゼ)はでんぷん分子の中のα−D−(1→4)O−グリコシド結合を無作為に切断するエンド作用型(endo−acting)酵素と定義される。対照的に、例えば、β−アミラーゼ(EC3.2.1.2、α−D−(1→4)−グルカン・マルトハイドロラーゼ)及びマルトジェニックα−アミラーゼ(EC3.2.1.133)のようないくつかの製品固有のアミラーゼ等のエキソ作用型(exo−acting)でんぷん分解酵素は、でんぷん分子を基質の非還元末端から切断する。
【0027】
β−アミラーゼ、α−グルコシダーゼ(EC3.2.1.20、α−D−グルコシド・グルコハイドロラーゼ)、グルコアミラーゼ(EC3.2.1.3、α−D−(1→4)−グルカン・グルカノハイドロラーゼ)、及び製品固有のアミラーゼは、でんぷんから特定の長さのマルト−オリゴ糖を生成することが可能である。
【0028】
「α−アミラーゼ変異体」、「α−アミラーゼ変異体ポリペプチド」及び「変異体酵素」とは、野生型α−アミラーゼのアミノ酸配列から修飾されたアミノ酸配列を有するα−アミラーゼタンパク質を意味する。本明細書で用いられる「親酵素」、「親配列」、「親ポリペプチド(parent polypeptide)」、「野生型α−アミラーゼタンパク質」、「親ポリペプチド(parent polypeptides)」とは、例えば、バチルス・エスピー#707菌α−アミラーゼ等のα−アミラーゼ変異体ポリペプチドの基となった酵素及びポリペプチドを意味する。野生型α―アミラーゼは、自然で起こる。「α―アミラーゼ変異体」は、成熟タンパク質のアミノ酸残基、すなわち、シグナル配列のないタンパク質配列で、野生型α―アミラーゼと異なる。アミラーゼ変異体は、アミラーゼがシグナル・ペプチドに連結した、例えば、別のα―アミラーゼ由来の、成熟又は変異体バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼを含む、融合タンパク質とすることが出来る。「変異体(variant)」の語は、「突然変異体(mutant)」という語と相互置換可能に使用されることが出来る。
【0029】
「変異体」は、ポリペプチド及び核酸を示す。変異体は、アミノ酸又はヌクレオチド配列の1以上の位置にそれぞれ、挿入、置換、トランスバージョン、トランケーション、及び/又は、逆位を含む。変異体核酸は、本明細書に提示されたヌクレオチド配列にハイブリダイズ可能な配列と相補的な配列を含むことが出来る。例えば、変異体配列は、本明細書に提示されたヌクレオチド配列に、厳密な条件下、例えば、50℃及び0.2×SSC(1×SSC=0.15M NaCl、0.015M Naクエン酸塩、pH7.0)でハイブリダイズ可能な配列と相補的である。特に、変異体の語は、本明細書に提示されたヌクレオチド配列に、厳密な条件下、例えば、65℃及び0.1×SSCでハイブリダイズ可能な配列と相補的な配列を含む。
【0030】
「単離された」は、当該配列を自然に関連させ、自然に見られる少なくとも1の他の成分から、その配列が少なくとも実質的に遊離していることを意味する。
【0031】
「精製された」は、例えば、少なくとも約90%の純度であるか、少なくとも約95%の純度であるか、又は少なくとも約98%の純度である等、物質が比較的純粋な状態にあることを意味する。
【0032】
「熱安定の」は、酵素が対照酵素より熱安定であることを意味する。本願において、変異体が、例えば、同じ温度、基質濃度等の同じ実験条件下で、特定の時間間隔の後に比較的高い酵素活性を有している場合、α―アミラーゼ変異体は、野生型バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼより熱安定である。あるいは、より熱安定の酵素は、対照酵素と比べて、示差走査熱量測定により決定される、より高い熱容量を有する。
【0033】
「pH領域」は、酵素が活動を示すpH値を意味する。
【0034】
本明細書で用いられる「pH安定の」は、酵素が特定のpHで対照酵素より安定であることを意味する。本願において、変異体が、例えば、同じpH等の同じ実験条件下で、特定の時間間隔の後に比較的高い活性を有している場合、α―アミラーゼ変異体は、野生型バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼよりpH安定である。
【0035】
本明細書で用いられる「食物」は、小麦粉等の食物のための成分と同様に加工調理済み食品の両方を含む。
【0036】
本明細書で用いられる「食物成分」は、機能性食品か食料であるか、又はそれらに加えられる配合剤を含み、また、例えば、酸性化又は乳化に必要な、多様な製品中に低レベルで用いられる配合剤も含む。食物成分は、使用及び/又は用法及び/又は投与方法により、溶液又は固体の形態とすることが出来る。
【0037】
本明細書で用いられる「機能性食品」は、栄養学的効果、そして/又は、味の満足だけではなく、更なるどのような有益な効果も消費者に供給することが可能な食物を意味する。
【0038】
本明細書で用いられる「アミノ酸配列」は、「ポリペプチド」という語、及び/又は、「タンパク質」の語と同義である。いくつかの場合に、「アミノ酸配列」の語は、「ペプチド」の語と同義である。いくつかの場合に、「アミノ酸配列」の語は、「酵素」の語と同義である。
【0039】
本明細書で用いられる「ヌクレオチド配列」又は「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド配列又はポリヌクレオチド配列及び変異体、相同物、断片及びそれらの派生物を示す。ヌクレオチド配列は、ゲノム、合成、又は、組換え型の起源のものであることができ、センス鎖又はアンチセンス鎖を表すかに関わらず、二本鎖又は一本鎖とすることが出来る。本明細書で用いられる「ヌクレオチド配列」の語は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、及びRNAを含む。ヌクレオチド配列の合成は、自動合成器の使用を含め(例えば、Needham−VanDevanter他、Nucl.Acids Res.、12、6159−6168ページ、1984年参照)、当該技術分野でよく知られている(例えば、Beaucage及びCaruthers、Tetrahedron Lett.、22、1859−1862ページ、1981年参照)。DNA配列は、カスタムメードとし、様々な商業的供給源から注文することが出来る。
【0040】
「相同物」は、対象のアミノ酸配列と対象のヌクレオチド配列とで、所定の程度の同一性又は「相応性」を有する実体を意味する。「相同配列」は、対象の配列と少なくとも75%、80%、85%又は90%同一、特に少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含む。通常、相同物は、対象のアミノ酸配列と同様の活性部位残基を含む。
【0041】
本明細書で用いられる「ハイブリダイゼーション」は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術で行われる増幅の過程と同様に、核酸の鎖が塩基対を通して、相補鎖と結合する過程を含む。α―アミラーゼ変異体核酸は、単鎖、又は、二本鎖のDNA又はRNA、RNA/DNAヘテロ二本鎖又はRNA/DNA共重合体として存在することが出来る。本明細書で用いられる「共重合体」は、リボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドの両方を含む単一の核酸鎖を示す。α―アミラーゼ変異体核酸は、さらに発現を増加させるため、コドン最適化されることが出来る。
【0042】
本明細書で用いられる「合成」化合物は、in vitro化学的又は酵素的合成で作り出される。前記「合成」化合物は、メチロトローフ・イースト・ピチア種、ハンゼヌラ、ストレプトミセス、及び例えば、T.reesei等のトリコデルマ種、又は他の最適な発現宿主のような宿主有機体で用いられる最適コドン使用頻度で作成されたアミラーゼ変異体核酸を含むが、それに限られない。
【0043】
本明細書で用いられる「形質転換細胞」は、組み換えDNA技術の使用で形質転換された細胞を含む。形質転換は、細胞中に1以上のヌクレオチド配列の挿入で通常起こる。挿入されたヌクレオチド配列は、異種ヌクレオチド配列となり得、すなわち、融合タンパク質のように、挿入されたヌクレオチド配列は、形質転換される細胞には自然でない配列である。
【0044】
本明細書で用いられる「操作可能に連結された」は、記載の要素が意図された方法で機能するような関係にあることを意味する。例えば、コーディング配列に操作可能に連結された調節配列は、コーディング配列の発現がコントロール配列に適合する条件下で達成される方法でライゲートされる。
【0045】
本明細書で用いられる「生物学的に活性な」は、必ずしも同じ度合いを示すわけではないが、自然に起こる配列と、同様の構造、制御、又は、生化学的機能を有する配列を示す。
【0046】
「溶解度」は、特定の溶剤に溶けることができる特定の物質の量に関する。別のものより可溶性であるタンパク質は、溶液から沈殿することなく、溶剤でより高い濃度に達することが出来る。当該目的における溶剤は、例えば、水性緩衝液又は食塩水、発酵ブロス、又は発現宿主の細胞質等のタンパク質が生じる任意の環境(millieu)を含む。
【0047】
1.2略語
他で示されない限り、以下の略語が適用される。
【0048】
3D 三次元
AE アルコールエトキシレート
AEO アルコールエトキシレート
AEOS アルコールエトキシサルフェート
AES アルコールエトキシサルフェート
AFAU 酸菌性α―アミラーゼ単位
AGU グルコアミラーゼ活性単位
AOS α−オレフィンサルフォネート(olefinsulfonate)
AS アルコール硫酸塩
BAA 細菌性α―アミラーゼ
cDNA 相補的DNA
CMC カルボキシメチルセルロース
DE デキストロース当量
DNA デオキシリボ核酸
DP3 3個のサブユニットを有する重合度(degree of polymerization with three subunits)
DPn n個のサブユニットを有する重合度(degree of polymerization with n subunits)
DS 乾いた固体(dry solid)
DTMPA ジエチルトリアミノペンタ酢(diethyltriaminopentaacetic)酸
EC 酵素分類のための酵素コミッション(enzyme commission for enzyme classification)
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EDTMPAエチレンジアミンテトラメチレン(ethylenediaminetetramethylene)ホスホン酸
EO 酸化エチレン
EP 発現されたタンパク質
F&HC 織物及び家庭用ケア
HFCS 高フルクトースコーンシロップ
HFSS 高フルクトースでんぷんベースのシロップ
IPTG イソプロピルβ−D−チオガラクトシド
LAS 直鎖アルキルベンゼン・スルホン酸(alkylbenezenesulfonate)
LAT B.licheniformisα―アミラーゼ
LU リパーゼ単位
MW 分子量
nm ナノメートル
NOBS ノンアノイルオキシベンゼンスルホン酸(nonanoyloxybenzenesulfonate)
NTA ニトリロ三酢酸
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
PEG ポリエチレングリコール
pI 等電点
ppm 100万分の一
PVA ポリ(ビニール・アルコール)
PVP ポリ(ビニルピロリドン)
RAU 対照アミラーゼ単位
RMS 二乗平均平方根
RNA リボ核酸
SAS 二次アルカンスルホン酸塩
1XSSC 0.15M NaCl、0.015M Naクエン酸塩、pH7.0
SSF 同時糖化発酵
TAED テトラアセチルエチレンジアミン(tetraacetylethylenediamine)
TNBS トリニトロベンゼンスルホン酸
w/v 重量/体積
w/w 重量/重量
wt 野生型
μL マイクロリットル
2.α―アミラーゼ変異体
本明細書に係るα―アミラーゼ変異体は、例えば、バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼ等の野生型α―アミラーゼから作成される。本発明に係る変異体は、野生型α―アミラーゼに対して、例えば、変異体を発現する宿主細胞の発酵ブロスで変異体の溶解度を増加させる等により、生産レベルに影響する1以上のアミノ酸配列の修飾を有する。このように変異体は、例えば、他の種や系統のα―アミラーゼの高い生産レベル等と、バチルス・エスピー#707菌由来のα―アミラーゼの高性能特性とを組み合わせることが出来る。一の実施態様において、α―アミラーゼ変異体の水性溶解度を改良するアミノ酸変異は、高い生産量レベルを与える。
【0049】
本開示の目的において、アミノ酸置換は、例えば、位置172におけるアルギニン(R)残基がグルタミン(Q)残基に置き換わることを意味する、R172Qで指定されることが出来る。ここで、アミノ酸は、当該技術分野で一般的に知られている一文字の略称により指定される。残基位置番号は、図1(配列番号1)の冒頭配列として示される、バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼで用いられるものと同じである。
【0050】
理論により制限されることを除けば、α―アミラーゼ発現のレベルは、α―アミラーゼの一次配列に影響されると信じられている。例えば、特異アミノ酸残基は、発現された酵素の凝集及び沈殿、発酵ブロスから回収可能な酵素量の低下を促進することが出来る。遺伝子工学による酵素の一次配列の体系的変異により、α―アミラーゼの発現レベルに寄付する特異アミノ酸残基を特定することが出来る。高レベルで発現されるα―アミラーゼの一次配列により、適切なアミノ酸配列の修飾の選択が誘導されることが出来る。例えば、バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼの一次配列は、バチルス・エスピーA7−7菌(DSM12368)由来の高発現されたα―アミラーゼの一次配列と33のアミノ酸で異なる。本開示の目的において、「バチルス・エスピーA7−7菌(DSM12368)」は、「バチルス・エスピーA7−7菌」と同義である。これら33のアミノ酸の1以上は、発現されたα―アミラーゼの凝集及び沈殿へ影響することで発現レベルに影響すると信じられている。従って、バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼ配列中のこれら33のアミノ酸の1以上は、置換され、それにより、変異体は高発現されたバチルス・エスピーA7−7菌α―アミラーゼの配列に対応する1以上のアミノ酸を含む。このような変異体は、より高いレベルで発現されることが予想される。
【0051】
あるいは、発現レベルに寄与するアミノ酸は、より少なく発現されたバチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼの配列に対応するように、バチルス・エスピーA7−7菌α―アミラーゼ配列の1以上のアミノ酸を置換することにより特定されることが出来る。この場合、当該置換が発現に影響するなら、変異体はより低いレベルで発現されると予想される。
【0052】
再び、理論により制限されることを除けば、酵素の凝集及び沈殿に寄与するアミノ酸残基は、酵素の表面に露出されると一般的に予想される。特に、タンパク質表面の疎水性領域が凝集過程を引き起こすと予想される。3D(三次元)構造のモデリングは、それらの置換、例えば、タンパク質表面上のアミノ酸で、発現に最も影響する可能性のあるもの等への置換を特定することが出来る。アミノ酸置換は、個々に又は2以上の群で評価されることが出来る。当該技術分野で知られる方法により作成されたコンビナトリアルライブラリーが、複数のアミノ酸置換を有する変異体を構築するのに使用されることが出来る。
【0053】
本発明に係る変異体は、1以上のアミノ酸の置換、付加、又は欠失により野生型α―アミラーゼ配列と異なる。例えば、変異体α―アミラーゼは、α―アミラーゼ活性を保有する上に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、又は40のアミノ酸の修飾を含む。例えば、バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼの変異体は、上述の33のアミノ酸位置のいずれかに、1以上のアミノ酸置換を保有することができ、それにより、当該配列は、バチルス・エスピーA7−7菌α―アミラーゼ配列にさらに類似するようになる。一の実施態様において、「変異体」は特に、成熟タンパク質の最初のアミノ酸残基だけが野生型配列と異なる配列を除く。
【0054】
高発現されたα―アミラーゼの一次配列により、高発現変異体をもたらすアミノ酸配列修飾の選択が誘導されることが出来る。この目的において、バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼと高い配列同一性を有するα―アミラーゼが特に適する。なぜなら、発現に影響するのがどの残基かを決定するための試験に、最少限の残基が用いられることが出来るためである。バチルス・エスピーA7−7菌α―アミラーゼは例えば、バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼと約93%の配列同一性を共有する。適したバチルス・エスピーA7−7菌α―アミラーゼが図1(配列番号2、ジェンバンク登録番号CAL48155)に開示される。別の適したバチルス・エスピーA7−7菌α―アミラーゼ(配列番号3、ジェンバンク登録番号CAD26710)は、配列番号2で示されるバチルス・エスピーA7−7菌α―アミラーゼ配列と2残基、D236G、及びY353Cで異なる。別の適したα―アミラーゼは、バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼより高いレベルで発現する任意のα―アミラーゼ、特に、バチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼと比較的高い配列同一性を共有するα―アミラーゼを含む。変異体は、高発現のα―アミラーゼとアミノ酸配列で同一ではなく、少なくとも1のアミノ酸で当該配列と異なる。アミノ酸置換は、N28R、S36D、S83N、S91A、N94S、M116W、N125S、T132S、E134D、R142K、S154N、R172Q、N174Q、H183D、A186G、I250L、N251T、S255N、A256T、L272I、Q280S、K302R、N311Q、S323T、E360D、R383K、I410M、A434P、S437N、F441Y、S452R、T459S、及びK485Nを含むが、これらに限られない。これらの置換の全てが、等しく有用な特性を与えるというわけではない。例えば、置換A186G及びA434Pは、疎水性を有利に減少させるが、変異体を不安定化させると予想される。同様に、I250L置換は、溶剤に露出されないアミノ酸に対して行われる。従って、当該置換が溶解度にほとんどもしくは全く効果なく安定性に影響すると予想される。追加の置換が、同じ残基に対して行われることが出来る。例えば、S452K、S452N、又はS452Dが、S452Rより良い結果を生じることがある。様々なアミノ酸置換が、下記の表1に詳しく説明される。
【0055】
2.1α―アミラーゼ変異体特性解析
酵素変異体は、3D構造モデリング、及び/又はそれらの比活性により、それらの核酸及び一次ポリペプチド配列で特性解析されることが出来る。α―アミラーゼ変異体の追加特性は、安定性、カルシウムイオン(Ca2+)依存性、pH領域、酸化安定性、及び耐熱性を含む。一の側面において、α―アミラーゼ変異体は、野生型αアミラーゼの性能特性を保有しながら、野生型αアミラーゼより高いレベルで発現される。当業者に知られる標準的分析評価を使用することで発現及び酵素活性のレベルを評価することが出来る。別の側面において、変異体は、野生型酵素と比べ、改良された性能特性、例えば、高温(すなわち、70−120℃)、及び/又は、極度のpH(すなわち、pH4.0から6.0又はpH8.0から11.0)、及び/又は、60ppm未満のカルシウム濃度での、改良された安定性等を示す。
【0056】
発現特性は、変異体が特定の宿主細胞中で生産される場合の、変異体の改変した発現レベルを意味する。発現は一般に、当該技術分野で知られる標準的技術を使用して、特定の時間、発酵ブロスから回収可能な活性変異体の量に関連する。発現は、宿主細胞中で生産されるか、又は宿主細胞により分泌された、変異体の量又は速度にも関連する場合がある。また、発現は、変異体酵素をコードするmRNAの翻訳速度にも関連する場合がある。
【0057】
改変されたCa2+の安定性は、Ca2+の枯渇下での酵素の安定性が改変された、すなわち、安定性が増加したか、又は減少したことを意味する。重要な突然変異は、改変されたCa2+の安定性、特に高いpHで、すなわち、pH8.0から10.5で改良されたCa2+の安定性のものを含む。
【0058】
別の側面において、重要な突然変異は、洗浄組成物の使用において、改変された比活性、特に10−60℃、特に20−50℃、及びさらに特異的に30−40℃での温度で、改変された比活性を示す。焼き製品において、重要な突然変異は、より高温の範囲で改変された比活性を示すことが出来る。
【0059】
α―アミラーゼ変異体はまた、親α―アミラーゼと比べて、改変された酸化安定性、特により高い酸化安定性を有することが出来る。例えば、増加した酸化安定性は、洗剤組成物に有利であり、さらに、減少した酸化安定性は、でんぷん液化に用いられる組成物に有利となることが出来る。
【0060】
変異体α―アミラーゼは、野生型α―アミラーゼより熱安定となることが出来る。このようなα―アミラーゼ変異体は、焼き工程又は他の温度の上昇を要する工程での使用に有利となり得る。例えば、熱安定α―アミラーゼ変異体は、約55℃から約80℃以上の温度ででんぷんを分解することが出来る。熱安定α―アミラーゼ変異体は、約95℃以下の温度に露出された後にもその活性を維持することが出来る。
【0061】
本明細書で記載されるα―アミラーゼ変異体ポリペプチドはまた、特に約55℃から約95℃以上、特に約80℃の上昇した温度において、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%以上で、親酵素と比べ半減期が延長された突然変異を有することが出来る。一の実施態様において、α―アミラーゼ変異体は、80℃以上で約1−10分間、加熱されることが出来る。
【0062】
α―アミラーゼ変異体は、例えば、本明細書で記載される外部特異性指数(exo−specificity indices)で測定される、外部特異性(exo−specificity)を有することが出来る。α―アミラーゼ変異体は、任意に同等の条件下で測定された場合に、それらが由来する親酵素又は親ポリペプチドと比べ、より高い又は増加した外部特異性を有するものを含む。従って、例えば、α―アミラーゼ変異体ポリペプチドは、それらの親ポリペプチドと比べ、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、500%、1000%、5000%、10,000%又はそれ以上の外部特異性指数を有することが出来る。
【0063】
一の側面において、核酸でコードされるα―アミラーゼ変異体ポリペプチドは、親配列と同等のpH安定性を有する。別の側面において、変異体は、より高いpH安定性の領域を与えるか、又は、酵素の最終商業目的に用いられる所望の範囲へpH領域を変える突然変異を含む。例えば、一の実施態様において、変異体は約pH5.0から約10.5で、でんぷんを分解できる。α―アミラーゼ変異体ポリペプチドは、同等の条件下で親ポリペプチドと比べ、より長期の半減期又は(分析評価による)より高い活性を有するか、又は、α―アミラーゼ変異体は、親ポリペプチドと同等の活性を有することが出来る。α―アミラーゼ変異体ポリペプチドはまた、同等のpH条件下で親ポリペプチドと比べ、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、又はより長期の半減期を有することが出来る。あるいは(又は、加えて)、酵素変異体は、同等のpH条件下で親ポリペプチドと比べ、より高い比活性を有することが出来る。
【0064】
他の側面において、本明細書で詳説されるいずれかのα―アミラーゼ変異体をコードする核酸と相補的な核酸が提供される。加えて、相補体とハイブリダイズ可能な核酸が提供される。別の実施態様において、本明細書で記載される方法及び組成物の使用に用いられる配列は、合成の配列である。当該合成の配列は、例えば、メチロトローフ酵母のPichia及びHansenulaのような宿主有機体での発現に用いられる最適コドン使用頻度で作られた配列を含むが、それらに限られない。
【0065】
3.α―アミラーゼ変異体の生産
本明細書で記載される方法、又は、当該技術分野で知られる任意の代替方法により生産される酵素変異体をコードするDNA配列は、適したプロモーター、オペレーター、リボソーム結合部位、転写開始シグナル、及び任意に、リプレッサー遺伝子又は様々な活性遺伝子をコードする制御配列を典型的に含む発現ベクターを用いて、酵素形態で、発現されることが出来る。
【0066】
3.1ベクター
α―アミラーゼ変異体をコードするDNA配列を運ぶ組み換え発現ベクターは、好都合に組み換えDNA操作の対象となることが出来る、任意のベクターとすることができ、ベクターの選択は、導入される宿主細胞にしばしば依存する。従って、ベクターは、自主的に複製するベクター、すなわち、染色体外の実体、例えば、プラスミド、バクテリオファージ又は染色体外要素、ミニクロモソーム又は人工染色体等の染色体の複製から独立している複製物として存在するベクターとすることが出来る。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入されると、宿主細胞ゲノムと統合し、統合された染色体と共に複製されるものとすることが出来る。また、統合された遺伝子は、抗生物質選択か、例えば、不可欠な制御遺伝子等の他の選択圧、又は、不可欠な代謝経路の遺伝子の相補性により引き起こされる、増幅可能な構築物の使用により染色体上の遺伝子の複数のコピーを作成するために増幅されることが出来る。
【0067】
発現ベクターは通常、例えば、選択された宿主有機体中でベクターの自己複製を可能にする要素等のクローニングベクターの要素及び選択目的のための1以上の表現型的に検出可能なマーカーを含む。発現ベクターは通常、プロモーター、オペレーター、リボソーム結合部位、転写開始シグナル、及び任意に、リプレッサー遺伝子又は1以上の活性遺伝子をコードする制御ヌクレオチド配列を含む。一の側面において、使用される全てのシグナル配列は、物質から、より容易な酵素収集及び任意で精製に用いられる細胞培養地を標的とする。α―アミラーゼ変異体をコードするDNA構築物、プロモーター、ターミネータ及び他の要素をそれぞれライゲートし、複製に必要な情報を含む、適したベクターにそれらを挿入するために用いられる過程は、当業者に周知である(Sambrook他、分子クローニング・研究室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、第2版、コールドスプリングハーバー研究所出版、1989年及び第3版、2001年)。
【0068】
ベクターにおいて、DNA配列は、適したプロモーター配列に操作可能に連結されるべきである。プロモーターは、選択の宿主細胞で転写活性を示す任意のDNA配列とすることが出来るか、又は宿主細胞と同種又は異種のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子に由来することが出来る。特に細胞性宿主で、α―アミラーゼ変異体をコードするDNA配列の転写を導くのに用いられる、適したプロモーターの例は、大腸菌のlacオペロンのプロモーター、Streptomyces coelicolorのアガラーゼ遺伝子dagA又はcelAプロモーター、例えば、Bacillus licheniformis、バチルス・エスピー#707菌又はバチルス・エスピーA7−7菌α―アミラーゼ遺伝子(amyLのプロモーター)等の様々なバチルス由来のプロモーター、Bacillus stearothermophilusマルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)のプロモーター、Bacillus amyloliquefaciensα―アミラーゼ(amyQ)のプロモーター、及びBacillus subtilis xylA及びxylB遺伝子のプロモーター等である。菌性宿主での転写において、有益なプロモーターの例は、Aspergillus oryzae TAKA アミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン・プロテアーゼ、Aspergillus niger中性α―アミラーゼ、A.niger酸安定α―アミラーゼ、A.nigerグルコアミラーゼ、Rhizomucor mieheiリパーゼ、A.oryzaeアルカリ性プロテアーゼ、A.oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼ、又はA.nidulansアセトアミダーゼをコードする遺伝子由来のものである。α―アミラーゼ変異体ポリペプチドをコードする遺伝子を例えば、大腸菌等の細菌種で発現させる場合、適したプロモーターは、例えば、T7プロモーターとファージ・ラムダプロモーターを含むバクテリオファージプロモーターから選ぶことが出来る。酵母種での発現に用いられる、適したプロモーターの例は、Saccharomyces cerevisiaeのGal1及びGal10プロモーター及びPichia pastoris AOX1又はAOX2プロモーターを含むが、それらに限られない。Trichoderma reeseiでの発現において、CBHIIプロモーターも使用されることが出来る。
【0069】
発現ベクターはまた、適した転写ターミネータ、及び、真核生物では、α―アミラーゼ変異体をコードするDNA配列に操作可能に連結されたポリアデニル化配列を含むことが出来る。ターミネーション及びポリアデニル化配列は、プロモーターと同じ供給源由来に適することが出来る。ベクターはさらに、目的の宿主細胞中でベクターが複製されるのを可能にするDNA配列を含むことが出来る。このような配列の例は、プラスミドのpUC19、pACYC177、pUB110、pE194、pAMB1、pICatH、及びpIJ702の複製物の由来である。
【0070】
ベクターはまた、生産物が宿主細胞中の欠損を補完する遺伝子、例えば、B.subtilis又はB.licheniformis由来のdal遺伝子、又は、抗生物質耐性、例えば、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン耐性を与える遺伝子等のような、選択可能なマーカーを含むことが出来る。さらに、ベクターは、amdS、argB、niaD、及びxxsC等のAspergillus選択マーカー、ハイグロマイシン耐性の上昇をもたらすマーカーを含むか、又は、当該技術分野で知られる同時形質転換により選択されることが出来る。例えば、国際公開番号WO91/17243を参照にされたい。
【0071】
3.2変異体発現及び宿主有機体
例えば、宿主細胞として所定の細菌又は菌類を使用する場合、細胞内発現又は固形発酵(solid state fermentation)がいくつかの側面で有利となり得ると同時に、変異体の発現が細胞外及び培地内である場合には一般に有利である。一般に、本明細書で言及されるバチルスα―アミラーゼは、発現されたプロテアーゼの分泌を培地内に可能にするシグナル配列を含む。望まれる場合、当該シグナル配列を異なるシグナル配列に置き換えることが出来る。これは、各シグナル配列をコードするDNA配列の置換により好都合に達成される。シグナル配列は通常、3つのドメイン、N−末端ドメイン、H−ドメイン、及びC―末端ドメイン及び18から35残基の長さの範囲を有することで特徴付けられる。
【0072】
成熟タンパク質は、初期の融合タンパク質から別のバチルス種由来、又は親配列と同種由来のプレタンパク質の形態をとることが出来る。B.licheniformis宿主細胞でタンパク質を分泌するため、例えば、B.licheniformisα―アミラーゼのシグナル・ペプチドが頻繁に使用される。しかしながら、他のバチルスα―アミラーゼ由来のシグナル・ペプチドもまた、置換されることが出来る。有益なシグナル・ペプチドは、例えば、バチルス・エスピー#707菌又はバチルス・エスピーA7−7菌由来のものを含む。
【0073】
DNA構築物又は発現ベクターのいずれかを含む単離細胞は、α―アミラーゼ変異体の組み換え生産における宿主細胞として有利に使用される。当該細胞は、宿主染色体中の(1以上のコピーの)DNA構築物を好都合な統合により、変異体をコードするDNA構築物と形質転換されることが出来る。当該統合は通常、DNA配列がより安定して細胞中に維持されることから、有利であると考えられる。宿主染色体へのDNA構築物の統合は、例えば、同種又は異種組み換え等の従来の方法に従い、実行されることが出来る。あるいは、前記細胞は、異なるタイプの宿主細胞に関して上述のように、発現ベクターを用いて形質転換されることが出来る。
【0074】
適した細菌型宿主有機体の例は、Bacillus subtilis、B.licheniformis、B.lentus、B.brevis、B.stearothermophilus、B.alkalophilus、B.amyloliquefaciens、B.coagulans、B.lautus、B.megaterium、及びB.thuringiensisを含むバチルス科、S.murinus等のストレプトミセス種、L.lactis等のラクトコッカス種、L.reuteriを含むラクトバチルス種を含む、乳酸菌種、リューコノストク(Leuconostoc)種、ペジオコックス種、連鎖球菌種等のグラム陽性細菌種である。さらに、他の有益な宿主は、例えば、バチルス・エスピーA7−7菌を含む。あるいは、大腸菌を含む腸内細菌科、又はシュードモナス科に属するグラム陰性細菌種の株が宿主有機体として選ばれることが出来る。
【0075】
適した酵母宿主有機体は、例えば、ピチア種、ハンゼヌラ種、クルイベロミセス種、ヤッロウィニア(Yarrowinia)種、S.cerevisiaeを含むサッカロミセス種、又は、S.pombe等のシゾサッカロミセスに属する種等であるが、それらに限られない、生物工学的に関連する酵母種から選ばれることが出来る。メチロトローフ酵母種のPichia pastorisの株は、宿主有機体として使用されることが出来る。あるいは、宿主有機体は、ハンゼヌラ種とすることが出来る。糸状菌類中の適した宿主有機体は、例えば、A.niger、A.oryzae、A.tubigensis、A.awamori、又はA.nidulans等のアスペルギルス属の種を含む。あるいは、例えば、Fusarium oxysporum等のフザリウム種、又はR.miehei等のリゾムコール(Rhizomucor)種の株が宿主有機体として使用されることが出来る。他の適した酵母は、サーモミセス(Thermomyces)種及びケカビ種を含む。真菌細胞は、当該技術分野で知られている方法で、細胞壁の再生が後に続くプロトプラスト形成及びプロトプラストの形質転換を伴う工程により形質転換されることが出来る。アスペルギルス種宿主細胞の形質転換に用いられる、適した操作は、例えば、欧州特許EP238023で説明される。
【0076】
さらに別の側面において、α―アミラーゼ変異体の生産方法が提供される。当該方法は、変異体の生産が実施可能な条件下で、上述のように宿主細胞を培養する工程、前記細胞及び/又は培養地から変異体を回収する工程を含む。前記細胞を培養するのに使用される培養地は、目的の宿主細胞を育成及びα―アミラーゼ変異体の発現を得られるのに適した任意の従来培養地とすることが出来る。適した培地及び培地成分は、商業的供給者から入手可能であり、例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection、ATCC)のカタログに記載されるような公開の作成方法に従って、調製されることが出来る。模範的培地は、3,000リットル(3,000L)攪拌槽発酵器で実施される流加発酵(fed−batch−fermentations)に用いられるものを含むが、それらに限られない。使用される培地は、使用される宿主細胞に最も適した、例えばバチルス・エスピー#707菌の培養に用いられる後述の培地とすることが出来る。その場合の育成培地は、微量元素と同様に、ナトリウム、カリウム、リン酸塩、マグネシウム、及び硫酸塩源としての無機塩類と共に、有機化合物源としての固形コーンスチープ(corn steep solids)及び大豆粉から成ることが出来る。また、グルコース等の炭水化物源も通常、初期培地の一部である。培養がいったん定着し、育成し始めると、炭水化物は、当該技術分野で知られている培養を維持するためにタンク内へ計量される。飼料は、一定の間隔で発酵槽から回収され、例えば比色試験方法等を使用して酵素力価が測定される。測定値から酵素生成率の増加が止まれば、発酵工程は停止される。
【0077】
宿主細胞から分泌したα―アミラーゼ変異体は、遠心又は濾過により培地から細胞を分離する工程、硫酸アンモニウム等の塩の方法により培地のタンパク質性の成分を沈殿する工程、後に続く、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー等のクロマトグラフ法の使用を含む、好都合に周知の操作で培養地から回収されることが出来る。
【0078】
宿主細胞は、α―アミラーゼ変異体タンパク質の発現を可能にする、適した条件下で培養されることが出来る。タンパク質の発現は、連続して生産されるような構成的か、又は、発現の開始に刺激を要する誘導的になることが出来る。誘導発現の場合、タンパク質生産は、例えばデキサメサゾン、IPTG、又はセファロース等の誘導基質を培養地に加え、開始が必要とされた場合に開始されることが出来る。また、TnT(商標)(プロメガ)ウサギの網赤血球システム等のin vitro無細胞システムの組み換えにより、ポリペプチドを生産することが出来る。
【0079】
宿主で発現するα―アミラーゼ変異体はまた、宿主に適切な培地の有酸素条件でも培養されることが出来る。例えば、約30℃から約75℃等の宿主の要求及び所望のα―アミラーゼ変異体の生産に依存した、宿主に適切な温度で行われる生産を伴う、振盪又は攪拌及び通気の組み合わせが提供されることが出来る。培養は、約12から約100時間以上(及びその間の任意の時間値)又はより具体的に24から72時間で行われることが出来る。また、培養ブロスは通常、α―アミラーゼ変異体の生産に関連した宿主に要求される培養条件に依存した、約5.5から約8.0のpHである。
【0080】
4.α―アミラーゼ変異体の精製
当該技術分野で発酵、分離、及び濃縮技術は知られ、濃縮α―アミラーゼ変異体含有溶液の調製に従来の方法が使用されることが出来る。発酵後、発酵ブロスが得られ、α―アミラーゼ溶液を得るため、従来の分離技術で、残渣未精製発酵物質を含む微生物細胞及び様々な浮遊固形物が除去される。一般に、濾過、遠心、精密濾過、回転式真空ドラム濾過、その後の限外濾過、抽出又はクロマトグラフィー等が使用される。
【0081】
精製されたα―アミラーゼ変異体を含む沈殿物を収集する際に、未濃縮溶液の使用は、より長いインキュベーションの時間を要するため、α―アミラーゼ変異体含有溶液は濃縮されていることが、回収の最適化のために望まれる。所望の酵素レベルが得られるまで、溶液は従来技術を用いて濃縮される。酵素変異体含有溶液の濃縮は、上述のいずれかの技術により達成されることが出来る。一の実施態様において、回転式真空蒸発及び/又は回転式真空限外濾過が使用される。あるいは、限外濾過が使用されることが出来る。
【0082】
濃縮酵素変異体溶液の性質が、すなわち、結晶、非晶質、又は両方の混合物であることに関わらず、精製の目的における「沈殿剤」は、濃縮酵素変異体溶液からα―アミラーゼ変異体を固体状に沈殿するのに効果的な化合物を意味する。沈殿は、例えば金属ハロゲン化物沈殿剤を用いて実施される。金属ハロゲン化物沈殿剤は、アルカリ金属塩化物、アルカリ金属臭化物、及びそれらの2以上の金属ハロゲン化物の混合物を含む。金属ハロゲン化物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、及びそれらの2以上の金属ハロゲン化物の混合物から成る群から選択されることが出来る。適した金属ハロゲン化物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、特に塩化ナトリウムを含み、それらはさらに、保存料として使用されることが出来る。
【0083】
金属ハロゲン化物沈殿剤は、α―アミラーゼ変異体の沈殿に効果的な量で使用される。インキュベーションの時間、pH、温度、及びα―アミラーゼ変異体の濃度を含めた、最大回収のための沈殿の条件と同様に、酵素変異体の沈殿を生じるのに効果的な金属ハロゲン化物の最小有効量及び最適量の選択は、通常の試験により当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0084】
一般に、少なくとも約5%w/v(重量/体積)から約25%w/v、通常は少なくとも8%w/vの金属ハロゲン化物が、濃縮された酵素変異体溶液に加えられる。一般に、約25%w/v以下、通常は約20%w/v以下の金属ハロゲン化物が、濃縮された酵素変異体溶液に加えられる。金属ハロゲン化物沈殿剤の最適濃度は特に、特定のα―アミラーゼ変異体の性質及び濃縮されたα―アミラーゼ変異体溶液中の特定のアミラーゼ変異体の濃度に依存する。
【0085】
酵素の沈殿に効果のあるほかの代替法は、濃縮された酵素変異体溶液に添加されることが出来る有機化合物の使用である。有機化合物の沈殿剤は、4−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩、4−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、及びそれらの2以上の有機化合物の混合物を含むことが出来る。前記有機化合物の沈殿剤の添加は、金属ハロゲン化物沈殿剤の添加の前、同時、又は後に行われることができ、有機化合物及び金属ハロゲン化物の両方の沈殿剤の添加が、連続して又は同時に行われることが出来る。より詳細には、例えば、ジェネンコー・インターナショナル・インクの米国特許第5,281,526号を参照されたい。
【0086】
一般に、有機化合物の沈殿剤は、ナトリウム又はカリウム塩等の4−ヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩、及びアルキル基が1から12の炭素原子を含む、4−ヒドロキシ安息香酸の直鎖又は分枝のアルキルエステル、及びそれらの2以上の有機化合物の混合物から成る群から選ばれる。有機化合物の沈殿剤は、例えば、アルキル基が1から10の炭素原子を含む、4−ヒドロキシ安息香酸の直鎖又は分枝のアルキルエステル、及びそれらの2以上の有機化合物の混合物とすることが出来る。適した有機化合物は、アルキル基が1から6の炭素原子を含む、4−ヒドロキシ安息香酸の直鎖アルキルエステル、及びそれらの2以上の有機化合物の混合物を含む。また、4−ヒドロキシ安息香酸のメチル・エステル、4−ヒドロキシ安息香酸のプロピルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸のブチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸のエチルエステル、及びそれらの2以上の有機化合物の混合物も使用されることが出来る。追加の有機化合物は、アミラーゼ保存料でもある、4−ヒドロキシ安息香酸のメチル・エステル(メチルPARABEN)及び4−ヒドロキシ安息香酸のプロピルエステル(プロピルPARABEN)も含むが、それらに限られない。
【0087】
前記有機化合物の沈殿剤の添加は、pH、温度、α―アミラーゼ変異体の濃度、沈殿剤の濃度、及びインキュベーションの時間に関する沈殿条件について、高い柔軟性を示す利点を提供する。
【0088】
有機化合物の沈殿剤は、金属ハロゲン化物沈殿剤による酵素変異体の沈殿を改良するのに効果的な量で使用される。インキュベーションの時間、pH、温度、及び酵素変異体の濃度を含めた、最大回収のための沈殿の条件と同様に、酵素変異体の沈殿を生じるのに効果的な有機化合物の沈殿剤の最小有効量及び最適量の選択は、通常の試験により、本開示を踏まえて当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0089】
一般に、少なくとも0.01%w/v、通常は少なくとも0.02%w/vの有機化合物の沈殿剤が、濃縮された酵素変異体溶液に加えられる。一般に、多くとも0.3%w/v、通常は0.2%w/v以下の有機化合物の沈殿剤が、濃縮された酵素変異体溶液に加えられる。
【0090】
金属ハロゲン化物沈殿剤及び、一の側面において、有機化合物の沈殿剤を含む、濃縮された酵素変異体溶液は、精製される酵素変異体に必然的に依存したpHに調整される。一般に、pHは、アミラーゼの等電点(pI)に近いレベルに調整される。例えば、pHは、pIより約2.5pH単位低い値から、pIより約2.5pH単位高い値の範囲内で調整されることが出来る。変異体のpIが野生型のpIと異なる場合に応じて、pHは、調整されることが出来る。
【0091】
精製された酵素変異体の沈殿を得るのに必要なインキュベーションの時間は、特定の酵素変異体の性質、酵素の濃度、及び特定の沈殿剤及びその濃度に依存する。一般に、酵素変異体の沈殿に効果的な時間は、約1から約30時間の間であり、通常約25時間を越えない。有機化合物の沈殿剤の存在下で、インキュベーションの時間はまた、約10時間未満、多くの場合で約6時間にまで減少することが出来る。
【0092】
一般に、インキュベーション中の温度は、約4℃から約50℃の間である。通常、前記方法は、約10℃から約45℃の間の温度、特に約20℃から約40℃の間で行われる。沈殿の誘導に用いられる最適温度は、溶液条件及び酵素変異体又は使用される沈殿剤に従って変化する。
【0093】
精製された酵素変異体の沈殿物の全体的な回収、及び実施される過程の効率は、酵素変異体、添加された金属ハロゲン化物、及び添加された有機化合物を含む溶液を攪拌することで改良される。攪拌工程は、金属ハロゲン化物及び有機化合物の添加の際、及び後に続くインキュベーションの間の両方において行われる。適した攪拌方法は、機械的混合又は振盪、活発な通気、又は任意の同様の技術を含む。
【0094】
インキュベーションの後に、精製された酵素変異体は、次に、解離色素及び他の不純物から分離され、濾過、遠心、精密濾過法、回転式真空濾過、限外濾過、加圧濾過、膜交差精密濾過法(cross menbrane microfiltration)、クロスフロー膜精密濾過法等の従来の分離技術により収集される。膜交差精密濾過法は、使用される一の方法とすることが出来る。精製された酵素変異体の沈殿物の更なる精製は、水で沈殿物を洗浄することで行われることが出来る。例えば、精製された酵素変異体の沈殿物は、例えば、金属ハロゲン化物及び有機化合物の沈殿剤を含む水等の金属ハロゲン化物の沈殿剤を含む水で洗浄される。
【0095】
培養の間、熱安定のアミラーゼは、細胞外の培養ブロスに蓄積する。所望のα―アミラーゼ変異体の単離及び精製において、培養ブロスは、細胞の除去のため、遠心又は濾過され、得られた無細胞の液体が、酵素の精製のために使用される。一の実施態様において、無細胞のブロスは、約70%飽和の硫酸アンモニウムを用いた塩析にかけられ、前記70%飽和−沈殿分画は、次に、緩衝液中に溶解され、Sephadex G−100カラム等のカラムに適用され、酵素変異体の活性分画を回収するために溶出される。イオン交換クロマトグラフィー等の従来方法が、更なる精製に用いられることが出来る。
【0096】
精製された酵素変異体は、酵素変異体が一般的に利用される全ての用途において有益である。当該変異体は、例えば、洗濯用洗剤及びスポット除去剤、食品産業、でんぷん処理及びベーキング、及び消化剤としての医薬品化合物において、使用されることが出来る。それらは、液体であるか(溶液、スラリー)、又は固体(顆粒、粉)である完成品に作られることが出来る。
【0097】
あるいは、酵素生産物は回収されることができ、酵素をさらに精製することなく濾過又は遠心で細胞及び細胞残骸を取り除くために、凝集剤(floccing agent)が培地に添加される。
【0098】
上述の方法で生産及び精製されたα―アミラーゼ変異体は、多様な産業の有益な用途で使用されることが出来る。変異体は、繊維及び家庭用ケア(F&HC)に関連する用途を促進する重要な特性を保有する。例えば、変異体は、成分として洗濯、食器洗浄、及び硬質表面洗浄の洗剤組成物に使用されることが出来る。変異体はまた、でんぷん由来の甘味料及びエタノールの生産、及び/又は繊維製品の糊抜きにも有益である。変異体α―アミラーゼは特に、例えば、国際特許公開WO2005/111203及び米国公開出願第2006/0014265号(ジェネンコー・インターナショナル・インク)で説明されるような、でんぷん液化、及び/又は、糖化処理を含む、でんぷん転換処理に有益である。α―アミラーゼ変異体のこれらの様々な使用法は、以下で詳細に記述される。
【0099】
5.洗浄及び食器洗浄組成物、及びその使用法
本明細書で記載されるα―アミラーゼ変異体は、例えば、食器の洗浄又は他の洗浄組成物等に使用される洗剤組成物に配合されることが出来る。これらは、ゲル、粉又は液体とすることが出来る。前記組成物は、α―アミラーゼ変異体単独で、又は、他のでんぷん分解酵素、他の洗浄酵素、及び洗浄組成物に共通する他の成分をも含むことが出来る。
【0100】
従って、食器用洗剤組成物は、界面活性剤を含むことが出来る。界面活性剤は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、両性又はそれらのタイプの混合物とすることが出来る。洗剤は、重量で0%から約90%の、例えば、低発泡から非発泡のエトキシ化プロポキシル化直鎖アルコール等の非イオン性界面活性剤を含むことが出来る。
【0101】
洗剤用途において、α―アミラーゼ変異体は通常、プロピレン・グリコールを含む液体組成物で使用される。α―アミラーゼ変異体は、例えば、10%の塩化カルシウムを含む25%体積/体積のプロピレン・グリコール溶液で循環等することにより、プロピレン・グリコール中に溶解されることが出来る。
【0102】
食器用洗剤組成物は、無機及び/又は有機タイプの洗剤充填剤塩(detergent builder salts)を含むことが出来る。洗剤充填剤は、リン含有タイプか、リン非含有タイプに細分されることが出来る。洗剤組成物は通常、約1%から約90%の洗剤充填剤を含む。リン含有無機アルカリ洗剤充填剤の例は、存在する場合、水溶性塩、特にアルカリ金属ピロリン酸塩、オルトリン酸塩、及びポリリン酸塩を含む。リンを含む有機アルカリ洗剤充填剤の例は、存在する場合、ホスホン酸塩の水溶性塩を含む。リン非含有無機材料の例は、存在する場合、各種タイプの不水溶性結晶、又はゼオライトが最も知られる代表である、無定形のアルミノケイ酸塩と同様に、水溶性アルカリ金属炭酸塩、ホウ酸塩、及びケイ酸塩を含む。
【0103】
適した有機材料の例は、アルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム、クエン酸塩、コハク酸塩、マロネート、脂肪酸スルホン酸塩、カルボキシメチル・コハク酸塩、アンモニウム・ポリアセテート、カルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、アミノポリカルボン酸塩、ポリアセチルカルボン酸塩、及び、ポリハイドロキシスルホン酸塩を含む。
【0104】
他の適した有機材料は、材料の特性を有することが知られる高分子量ポリマー及びコポリマー、例えば、適切なポリアクリル酸、ポリマレイン及びポリアクリル酸/ポリマレイン酸共重合体、及びそれらの塩等を含む。
【0105】
洗浄組成物は、塩素/臭素タイプ又は酸素タイプの漂白剤を含むことが出来る。無機の塩素/臭素タイプ漂白剤の例は、塩素化リン酸3ナトリウムと同様に、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、又は次亜塩素酸カルシウム及び次亜臭素酸塩である。無機の塩素/臭素タイプ漂白剤の例は、トリクロロイソシアヌル酸、トリブロモイソシアヌル酸、ジブロモイソシアヌル酸、及びジクロロイソシアヌル酸等の複素環式N−ブロモ及びN−クロロイミド、及びカリウムやナトリウム等の水溶性陽イオンを有するそれらの塩である。また、ヒダントイン化合物も適当である。
【0106】
洗浄組成物は、例えば、無機過酸基塩の形で、任意で、漂白剤前駆体を有するか、又はペルオキシ酸化合物として、酸素漂白剤を含むことが出来る。適したペルオキソ基を含む漂白剤化合物の典型的な例は、アルカリ金属過ホウ酸塩、四水和物及び一水和物の両方、アルカリ金属過炭酸塩、過ケイ酸塩、及び過リン酸塩である。適した活性剤の材料は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)及びグリセロール三酢酸塩を含む。例えば、国際特許公開WO2005/056783で開示される、過ホウ酸塩又は過炭酸塩、グリセロール三酢酸塩及びペルヒドロラーゼ等のような酵素の漂白剤活性化系もまた、存在することが出来る。
【0107】
洗剤組成物は、例えば、プロピレン・グリコール等のポリオール、砂糖又は糖アルコール、乳酸、ホウ酸、又はホウ酸誘導体(例えば、芳香族ホウ酸エステル)のような、酵素のための従来の安定化剤を用いて、安定化されることが出来る。洗剤組成物はまた、例えば、解膠剤、充填剤、泡抑制剤、防食剤、土懸濁化剤、金属イオン封鎖剤、再汚染防止剤、脱水剤、染料、殺菌剤、蛍光剤、増粘剤、及び香水等の他の従来の洗剤成分も含むことが出来る。
【0108】
最終的に、α―アミラーゼ変異体は、例えば、以下の公開特許出願に記述される任意の洗剤等の従来の食器洗浄洗剤で使用されることが出来る。その際に、本明細書で開示されるα―アミラーゼ変異体が列挙される特許及び公開出願で開示される任意のα―アミラーゼに代わって、又は追加で使用され得ることが考慮される。公開特許出願は、すなわち、CA2006687、GB2200132、GB2234980、GB2228945、DE3741617、DE3727911、DE4212166、DE4137470、DE3833047、DE4205071、WO93/25651、WO93/18129、WO93/04153、WO92/06157、WO92/08777、WO93/21299、WO93/17089、WO93/03129、EP481547、EP530870、EP533239、EP554943、EP429124、EP346137、EP561452、EP318204、EP318279、EP271155、EP271156、EP346136、EP518719、EP518720、EP518721、EP516553、EP561446、EP516554、EP516555、EP530635、EP414197、及び米国特許第5,112,518号、第5,141,664号、及び第5,240,632号である。
【0109】
6.洗濯洗剤組成物及びその使用法
実施態様において、1つ以上のα―アミラーゼ変異体は通常、洗剤組成物の成分となることが出来る。当該成分自体は、無塵埃顆粒、安定化された液体、又は保護された酵素の形態で洗剤組成物に含まれることが出来る。無塵埃顆粒は、例えば、米国特許第4,106,991号、及び第4,661,452号で開示されるように生産されることができ、任意に当該技術分野で知られる方法でコートされることが出来る。ワックス・コーティング材の例は、ポリ(酸化エチレン)生産物、1,000から20,000の平均モル量を有する(ポリエチレングリコール、PEG)、16から50の酸化エチレン単位を有するエトキシ化ノニルフェノール、15から80の酸化エチレン単位を有し、12から20の炭素原子を含む、エトキシ化脂肪性アルコール、脂肪性アルコール、脂肪酸、脂肪酸のモノ、ジ及びトリグリセリドである。流動床技術による用途に適した皮膜形成コーティング材の例は、例えば、GB特許第1483591号で見られる。液状酵素調製品は、例えば、確立された方法で、プロピレン・グリコール、砂糖又は糖アルコール、乳酸又はホウ酸等のポリオールを加えることにより、安定化されることが出来る。他の酵素安定化剤は、当該技術分野でよく知られる。保護された酵素は、例えば、US5,879,920(ジェネンコー・インターナショナル・インク)又はEP238216で開示される方法により、調製されることが出来る。ポリオールは長い間、タンパク質の溶解度を改良することと同様に、タンパク質の安定化剤として認識されてきた。例えば、Kaushik他、「トレハロースはなぜ例外的なタンパク質安定化剤であるか、相溶性オスモレート・トレハロース存在下でのタンパク質の耐熱性の分析(Why is trehalose an exceptional protein stabilizer? An analysis of the thermal stability of proteins in the presence of the compatible osmolyte trehalose)」J.Biol.Chem.278、26458−65ページ(2003年)及びそこで引用された文献、及び、M.Conti他、「毛細管等電点電気泳動法、タンパク質溶解性の問題(Capillary isoelectric focusing: the problem of protein solubility)」、J.Chromatography757、237−245ページ(1997年)を参照にされたい。
【0110】
洗剤組成物は、例えば、ゲル、粉、顆粒、ペースト、又は液体等の任意の従来の形態とすることが出来る。液体洗剤は、水性、典型的には、約70%以下の水分、及び0%から約30%の有機溶媒を含む水性とすることができ、また、その液体洗剤は、約30%のみの水分を含むコンパクトなゲルタイプの形態にもすることが出来る。
【0111】
洗剤組成物は、1以上の界面活性剤を含み、それぞれは陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、又は両性イオン性とすることが出来る。洗剤は通常、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)、α−オレフィンサルフォネート(AOS)、アルキル硫酸塩(高級アルコール硫酸塩)(AS)、アルコールエトキシサルフェート(AEOS又はAES)、二次アルカンスルホン酸塩(SAS)、α―スルホ脂肪酸メチル・エステル、アルキル又はアルケニル琥珀酸、又は、石鹸等の0%から約50%の陰イオンの界面活性剤を含む。組成物はまた、例えば、国際特許公開WO92/06154で説明されるような、アルコールエトキシレート(AEOかAE)、カルボキシル化アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、酸化アルキルジメチルアミン、エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、又はポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド等の0%から約40%の非イオン性界面活性剤を含むことが出来る。洗剤組成物はさらに、任意の組み合わせのリパーゼ、クチナーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、及び/又は、ラッカーゼ等の他の1以上の酵素を含むことが出来る。
【0112】
洗剤は、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTMPA)、アルキル、又はアルケニル琥珀酸、可溶性ケイ酸塩、又は層状ケイ酸塩(例えば、ヘキスト(Hoechst)のSKS−6)等の約1%から約65%の洗剤充填剤又は錯化剤を含むことが出来る。洗剤はまた、未充填(unbuilt)、すなわち、洗剤充填剤が本質的に含まれないことが出来る。酵素は、酵素の安定性に適合する任意の組成物で使用されることが出来る。酵素は、例えば、ハイドロジェル(hydro gels)への造粒又は分画等を用いるとして既知のカプセル化の形態により、一般に有害な成分から保護されることが出来る。でんぷん結合ドメインを有するか、又は有しないいずれかの酵素及び特にα―アミラーゼは、洗濯及び食器洗浄の用途に制限されないが、表面洗浄及びでんぷん又はバイオマスからのエタノール生産での使用に組み合わされることが出来る。
【0113】
洗剤は、1以上の重合体を含むことが出来る。例は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニル・アルコール)(PVA)、ポリアクリレート、マレイン/アクリル酸コポリマーやメタクリル酸ラウリル/アクリル酸コポリマー(lauryl methacrylate/acrylic acid copolymer)等のポリカルボン酸塩を含む。
【0114】
洗剤は、漂白剤システムを含むことが出来る。当該システムは、TAED又はノンアノイルオキシベンゼンスルホン酸(nonanoyloxybenzenesulfonate、NOBS)のような過酸素酸を形成する漂白活性剤(peracid−forming bleach activator)と任意に組み合わされる過ホウ酸塩又は過炭酸塩等のH源を含むことが出来る。あるいは、漂白剤システムは、例えば、アミド、イミド、又はスルホン型のペルオキシ酸を含むことが出来る。漂白剤システムはまた、国際特許公開WO2005/056783で記述されるような、ペルハイドロラーゼ(perhydrolase)が過酸化物を活性化する酵素漂白剤システムとすることが出来る。
【0115】
洗剤組成物の酵素は、例えば、プロピレン・グリコール又はグリセロール等のポリオール、砂糖又は糖アルコール、乳酸、ホウ酸又は芳香族ホウ酸エステル等のホウ酸誘導体等の従来の安定化剤を用いて安定化されることができ、さらに組成物は、例えば、国際特許公開WO92/19709及びWO92/19708等で記載されるように配合されることが出来る。
【0116】
洗剤はまた、例えば、粘土、起泡力増進剤、泡抑制剤、防食剤、土懸濁化剤、再汚染防止剤、染料、殺菌剤、蛍光増白剤、又は香水を含む織物調整剤等の他の従来の洗剤成分を含むことが出来る。(水溶液中の使用時の濃度で測定される)pHは通常、例えば、pH約7.0から約11.0の中性又はアルカリ性である。
【0117】
α−アミラーゼ変異体は、通常使用される濃度で洗剤に組み込まれることが出来る。洗剤組成物において、α−アミラーゼ変異体は、洗液(wash liquor)のリットル当り、(純粋な酵素蛋白質として計算される)0.00001−1.0mgのα−アミラーゼ変異体に対応する量で添加されることが現在意図される。α−アミラーゼ変異体を含む洗剤組成物の特定の形態は、以下を含むように配合される。すなわち、
(1)少なくとも600g/Lのかさ密度(bulk density)を有する顆粒として配合される洗剤組成物であって、(酸として計算される)約7%から約12%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、約1%から約4%のアルコールエトキシサルフェート(例えば、C12−18アルコール、1−2酸化エチレン(EO)等)又はアルキル硫酸塩(例えば、C16−18等)、約5%から約9%のアルコールエトキシレート(例えば、C14−15アルコール、7EO等)、約14%から約20%の炭酸ソーダ(例えば、NaCO等)、約2%から約6%の可溶性ケイ酸塩、約15%から約22%のゼオライト(例えば、NaAlSiO等)、0%から約6%の硫酸ソーダ(例えば、NaSO等)、0%から約15%のクエン酸/クエン酸ナトリウム(sodium citrate/citric acid)(例えば、CNa/C等)、約11%から約18%の過ホウ酸ナトリウム(例えば、NaBO・HO等)、約2%から約6%のTAED、0%から約2%のカルボキシメチルセルロース(CMC)、0−3%の重合体(例えば、マレイン/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG等)、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−5%の軽微な成分(例えば、泡抑制剤、香水、蛍光増白剤、光退色等)を含む、前記洗剤組成物。
【0118】
(2)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として配合される洗剤組成物であって、(酸として計算される)約6%から約11%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、約1%から約3%のアルコールエトキシサルフェート(例えば、C12−18のアルコール、1−2EO等)又はアルキル硫酸塩(例えば、C16−18等)、約5%から約9%のアルコールエトキシレート(例えば、C14−15のアルコール、7EO等)、約15%から約21%の炭酸ソーダ(例えば、NaCO等)、約1%から約4%の可溶性ケイ酸塩、約24%から約34%のゼオライト(例えば、NaAlSiO等)、約4%から約10%の硫酸ソーダ(例えば、NaSO等)、0%から約15%のクエン酸/クエン酸ナトリウム(例えば、CNa/C等)、0%から約2%のカルボキシメチルセルロース(CMC)、1−6%の重合体(例えば、マレイン/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG等)、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−5%の軽微な成分(例えば、泡抑制剤、香水等)を含む、前記洗剤組成物。
【0119】
(3)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として配合される洗剤組成物であって、(酸として計算される)約5%から約9%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、約7%から約14%のアルコールエトキシレート(例えば、C12−15アルコール、7EO等)、約1から約3%の脂肪酸としての石鹸(例えば、C16−22脂肪酸等)、約10%から約17%の炭酸ソーダ(例えば、NaCO等)、約3%から約9%の可溶性ケイ酸塩、約23%から約33%のゼオライト(例えば、NaAlSiO等)、0%から約4%の硫酸ソーダ(例えば、NaSO等)、約8%から約16%の過ホウ酸ナトリウム(例えば、NaBO・HO等)、約2%から約8%のTAED、0%から約1%のホスホン酸塩(例えば、EDTMPA等)、0%から約2%のカルボキシメチルセルロース(CMC)、0−3%の重合体(例えば、マレイン/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG等)、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−5%の軽微な成分(例えば、泡抑制剤、香水、蛍光増白剤等)を含む、前記洗剤組成物。
【0120】
(4)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として配合される洗剤組成物であって、(酸として計算される)約8%から約12%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、約10%から約25%のアルコールエトキシレート(例えば、C12−15アルコール、7EO等)、約14%から約22%の炭酸ソーダ(例えば、NaCO等)、約1%から約5%の可溶性ケイ酸塩、約25%から約35%のゼオライト(例えば、NaAlSiO等)、0%から約10%の硫酸ソーダ(例えば、NaSO等)、0%から約2%のカルボキシメチルセルロース(CMC)、1−3%の重合体(例えば、マレイン/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG等)、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−5%の軽微な成分(例えば、泡抑制剤、香水等)を含む、前記洗剤組成物。
【0121】
(5)水性液体の洗剤組成物であって、(酸として計算される)約15%から約21%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、約12%から約18%のアルコールエトキシレート(例えば、C12−15アルコール、7EO又はC12−15アルコール、5EO等)、約3%から約13%の脂肪酸としての石鹸(例えば、オレイン酸等)、0%から約13%のアルケニル琥珀酸(C12−14)、約8%から約18%のアミノエタノール、約2%から約8%のクエン酸、0%から約3%のホスホン酸塩、0%から約3%の重合体(例えば、PVP、PEG等)、0%から約2%のホウ酸塩(例えば、B等)、0%から約3%のエタノール、約8%から約14%のプロピレン・グリコール、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−5%の軽微な成分(例えば、分散剤、泡抑制剤、香水、蛍光増白剤等)を含む、前記洗剤組成物。
【0122】
(6)水性構造の液体洗剤組成物であって、(酸として計算される)約15%から約21%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、3−9%のアルコールエトキシレート(例えば、C12−15アルコール、7EO又はC12−15アルコール、5EO等)、約3%から約10%の脂肪酸としての石鹸(例えば、オレイン酸等)、約14%から約22%のゼオライト(例えば、NaAlSiO等)、約9%から約18%のクエン酸カリウム、0%から約2%のホウ酸塩(例えば、B等)、0%から約2%のカルボキシメチルセルロース(CMC)、0から約3%の重合体(例えば、PEG、PVP等)、0%から約3%のアンカリング重合体(例えば、メタクリル酸ラウリル/アクリル酸・コポリマー、モル率25:1、MW3800)、0%から約5%のグリセロール、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−5%の軽微な成分(例えば、分散剤、泡抑制剤、香水、蛍光増白剤等)を含む、前記洗剤組成物。
【0123】
(7)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として配合される洗剤組成物であって、約5%から約10%の高級アルコール硫酸塩、約3%から約9%のエトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、0−3%の脂肪酸としての石鹸、約5%から約10%の炭酸ソーダ(例えば、NaCO等)、約1%から約4%の可溶性ケイ酸塩、約20%から約40%のゼオライト(例えば、NaAlSiO等)、約2%から約8%の硫酸ソーダ(例えば、NaSO等)、約12%から約18%の過ホウ酸ナトリウム(例えば、NaBO・HO等)、約2%から約7%のTAED、約1%から約5%の重合体(例えば、マレイン/アクリル酸コポリマー、PEG等)、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−5%の軽微な成分(例えば、蛍光増白剤、泡抑制剤、香水等)を含む、前記洗剤組成物。
【0124】
(8)顆粒として配合される洗剤組成物であって、(酸として計算される)約8%から約14%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、約5%から約11%のエトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、0%から約3%の脂肪酸としての石鹸、約4%から約10%の炭酸ソーダ(例えば、NaCO等)、約1%から約4%の可溶性ケイ酸塩、約30%から約50%のゼオライト(例えば、NaAlSiO等)、約3%から約11%の硫酸ソーダ(例えば、NaSO等)、約5%から約12%のクエン酸ナトリウム(例えば、CNa等)、約1%から約5%の重合体(例えば、PVP、マレイン/アクリル酸コポリマー、PEG等)、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−5%の軽微な成分(例えば、泡抑制剤、香水等)を含む、前記洗剤組成物。
【0125】
(9)顆粒として配合される洗剤組成物であって、(酸として計算される)約6%から約12%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、約1%から約4%の非イオン性界面活性剤、約2%から約6%の脂肪酸としての石鹸、約14%から約22%の炭酸ソーダ(例えば、NaCO等)、約18%から約32%のゼオライト(例えば、NaAlSiO等)、約5%から約20%の硫酸ソーダ(例えば、NaSO等)、約3%から約8%のクエン酸ナトリウム(例えば、CNa等)、約4%から約9%の過ホウ酸ナトリウム(例えば、NaBO・HO等)、約1%から約5%の漂白活性剤(例えば、NOBS又はTAED等)、0%から約2%のカルボキシメチルセルロース(CMC)、約1%から約5%の重合体(例えば、ポリカルボキシレート又はPEG等)、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−5%の軽微な成分(例えば、蛍光増白剤、香水等)を含む、前記洗剤組成物。
【0126】
(10)水性液体の洗剤組成物であって、(酸として計算される)約15%から約23%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、約8%から約15%のアルコールエトキシサルフェート(例えば、C12−15のアルコール、2−3EO等)、約3%から約9%のアルコールエトキシレート(例えば、C12−15アルコール、7EO又はC12−15アルコール、5EO等)、0%から約3%の脂肪酸としての石鹸(例えば、ラウリン酸等)、約1%から約5%のアミノエタノール、約5%から約10%のクエン酸ナトリウム、約2%から約6%のヒドロトロープ(例えば、トルエンスルホン酸ナトリウム)、0%から約2%のホウ酸塩(例えば、B等)、0%から約1%のカルボキシメチルセルロース、約1%から約3%のエタノール、約2%から約5%のプロピレン・グリコール、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−5%の軽微な成分(例えば、重合体、分散剤、香水、蛍光増白剤等)を含む、前記洗剤組成物。
【0127】
(11)水性液体の洗剤組成物であって、(酸として計算される)約20%から約32%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、6−12%のアルコールエトキシレート(例えば、C12−15アルコール、7EO又はC12−15アルコール、5EO等)、約2%から約6%のアミノエタノール、約8%から約14%のクエン酸、約1%から約3%のホウ酸塩(例えば、B等)、0%から約3%の重合体(例えば、マレイン/アクリル酸コポリマー、メタクリル酸ラウリル/アクリル酸・コポリマーのようなアンカリング重合体等)、約3%から約8%のグリセロール、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−5%の軽微な成分(例えば、ヒドロトロープ、分散剤、香水、蛍光増白剤等)を含む、前記洗剤組成物。
【0128】
(12)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として配合される洗剤組成物であって、約25%から約40%の陰イオン界面活性剤(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸塩、α―オレフィンスルホン酸塩、α―スルホ脂肪酸メチルエステル、アルカンスルホン酸塩、石鹸)、約1%から約10%の非イオン性界面活性剤(例えば、アルコールエトキシレート)、約8%から約25%の炭酸ソーダ(例えば、NaCO等)、約5%から約15%の可溶性ケイ酸塩、0%から約5%の硫酸ソーダ(例えば、NaSO等)、約15%から約28%のゼオライト(NaAlSiO)、0%から約20%の過ホウ酸ナトリウム(例えば、NaBO・HO等)、約0%から約5%の漂白活性剤(TAED又はNOBS)、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−3%の軽微な成分(例えば、香水、蛍光増白剤等)を含む、前記洗剤組成物。
【0129】
(13)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の全て又は一部が、(C12−18)のアルキル硫酸塩に取り換えられる、上記組成物(1)―(12)に記載される洗剤組成物。
【0130】
(14)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として配合される洗剤組成物であって、約9%から約15%の(C12−18)のアルキル硫酸塩、約3%から約6%のアルコールエトキシレート、約1%から約5%のポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、約10%から約20%のゼオライト(例えば、NaAlSiO等)、約10%から約20%の層状二珪素塩(例えば、ヘキスト(Hoechst)のSK56)、約3%から約12%の炭酸ソーダ(例えば、NaCO等)、0%から約6%の可溶性ケイ酸塩、約4%から約8%のクエン酸ナトリウム、約13%から約22%の過炭酸塩ナトリウム、約3%から約8%のTAED、0%から約5%の重合体(例えば、ポリカルボキシレート及びPVP等)、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−5%の軽微な成分(例えば、蛍光増白剤、光退色、香水、泡抑制剤等)を含む、前記洗剤組成物。
【0131】
(15)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として配合される洗剤組成物であって、約4%から約8%の(C12−18)のアルキル硫酸塩、約11%から約15%のアルコールエトキシレート、約1%から約4%の石鹸、約35%から約45%のゼオライトMAP又はゼオライトA、約2%から約8%の炭酸ソーダ(NaCOとして)、0%から約4%の可溶性ケイ酸塩、約13%から約22%の過炭酸塩ナトリウム、1−8%のTAED、0%から約3%のカルボキシメチルセルロース(CMC)、0%から約3%の重合体(例えば、ポリカルボキシレート及びPVP等)、(純粋な酵素タンパク質として計算される)0.0001−0.1%の酵素、及び、0−3%の軽微な成分(例えば、蛍光増白剤、光退色、香水等)を含む、前記洗剤組成物。
【0132】
(16)追加の成分又は既定の漂白剤システムの置換のいずれかとして、安定化された又はカプセル化された過酸素酸を含む、上記(1)―(15)に記載される洗剤配合物。
【0133】
(17)過ホウ酸塩が過炭酸塩に取り換えられる、上記(1)、(3)、(7)、(9)、及び(12)に記載される洗剤組成物。
【0134】
(18)マンガン触媒をさらに含む、上記(1)、(3)、(7)、(9)、(12)、(14)、及び(15)に記載される洗剤組成物。
【0135】
(19)例えば、直鎖アルコキシル化第一級アルコール、充填剤システム(例えば、リン酸塩)、酵素、及びアルカリ等の液体非イオン性界面活性剤を含む非水性の洗剤液体として配合剤される洗剤組成物。前記洗剤はまた、陰イオン性界面活性剤、及び/又は、漂白剤システムを含むことが出来る。
【0136】
別の実施態様において、2,6−β―D−フルクタン加水分解酵素が洗剤組成物に組み込まれることができ、家庭用及び/又は産業繊維製品/洗濯に存在する生物膜の除去/洗浄に使用されることが出来る。
【0137】
洗剤組成物は、例えば、染みが付いた繊維の前処理に適した洗濯添加組成物及びリンスの加えられた繊維柔軟組成物を含む、手洗い又は機械による洗濯洗剤組成物として配合されるか、又は、一般家庭用硬質表面洗浄作業での使用に用いられる洗剤組成物として配合されるか、又は、手洗いや機械による食器洗浄作業のために配合されることが出来る。
【0138】
特定の側面において、洗剤組成物は、2,6−β−D−フルクタン加水分解酵素、1以上のα−アミラーゼ変異体、及び例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼ、ラッカーゼ、及び/又は、ペルオキシダーゼ、及び/又は、それらの組み合わせ等の他の1以上の洗浄酵素を含むことが出来る。一般に、選ばれた酵素の特性は、選ばれた洗剤との相溶性(例えば、pH最適条件、他の酵素及び非酵素成分との相溶性等)があるべきであり、前記酵素は有効な量で存在するべきである。
【0139】
プロテアーゼ:適したプロテアーゼは、動物、野菜又は微生物起源のものを含む。また、化学的に修飾された又はタンパク質改変された突然変異体も適当である。プロテアーゼは、例えば、アルカリ性の微生物プロテアーゼ又はトリプシン様プロテアーゼ等のセリン・プロテアーゼ又は金属プロテアーゼとすることが出来る。アルカリ・プロテアーゼの例は、ズブチリシン、特に、ズブチリシン・ノボ、ズブチリシン・カールスバーグ、ズブチリシン309(例えば、米国特許第6,287,841号等参照)、ズブチリシン147、及びズブチリシン168(例えば、WO89/06279等参照)等のバチルス種由来のものである。トリプシン様プロテアーゼの例は、(例えば、ブタ又はウシ科起源等の)トリプシン及びフザリウム種プロテアーゼ(例えば、WO89/06270及びWO94/25583等参照)である。有用なプロテアーゼの例はまた、WO92/19729及びWO98/20115で記述される変異体を含むが、それらに限られない。適した商業的に入手可能なプロテアーゼ酵素は、Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Esperase(登録商標)、及びKannase(商標)(ノボザイム(Novozymes)、旧ノボ・ノルディスクA/S)、Maxatase(登録商標)、Maxacal(商標)、Maxapem(商標)、Properase(商標)、Purafect(登録商標)、Purafect OxP(商標)、FN2(商標)、及びFN3(商標)(ジェネンコー・インターナショナル・インク)を含む。
【0140】
リパーゼ:適したリパーゼは、細菌性又は菌性の起源のものを含む。化学的に修飾された又はタンパク質改変された突然変異体が含まれる。有用なリパーゼの例は、例えば、H.lanuginosa(T.lanuginosus)(例えば、EP258068及びEP305216等参照)及びH.insolens(例えば、WO96/13580等参照)等のフミコラ種(Humicola)(サーモミセスの同義語)由来のリパーゼ、シュードモナス菌リパーゼ(例えば、P.alcaligenes又はP.pseudoalcaligenes等由来の、例えば、EP218272等参照)、P.cepacia(例えば、EP331376等参照)、P.stutzeri(例えば、GB1,372,034等参照)、P.fluorescens、シュードモナス種株SD705(例えば、WO95/06720及びWO96/27002等参照)、P.wisconsinensis(例えば、WO96/12012等参照)、バチルスリパーゼ(例えば、B.subtilis等由来の、例えば、Dartois他、Biochemica Biophysica Acta、1131、253−360ページ(1993年)等参照)、B.stearothermophilus(例えば、JP64/744992等参照)、又はB.pumilus(例えば、WO91/16422等参照)を含むが、それらに限られない。配合剤での使用を意図する追加のリパーゼ変異体は、例えば、WO92/05249、WO94/01541、WO95/35381、WO96/00292、WO95/30744、WO94/25578、WO95/14783、WO95/22615、WO97/04079、WO97/07202、EP407225、及びEP260105等に記述されるものを含む。いくつかの商業的に入手可能なリパーゼ酵素は、Lipolase(登録商標)及びLipolase(登録商標)Ultra(ノボザイム、旧ノボ・ノルディスクA/S)を含む。
【0141】
ポリエステラーゼ(Polyesterases):適したポリエステラーゼは、WO01/34899(ジェネンコー・インターナショナル・インク)及びWO01/14629(ジェネンコー・インターナショナル・インク)で記述されるものを含むが、それらに限られず、本明細書で記載される他の酵素との任意の組み合わせで含まれることが出来る。
【0142】
アミラーゼ:前記組成物は、非変異体α−アミラーゼ等の他のα−アミラーゼと組み合わされることが出来る。前記α−アミラーゼは、Duramyl(登録商標)、Termamyl(商標)、Fungamyl(登録商標)及びBAN(商標)(ノボザイム、旧ノボ・ノルディスクA/S)、Rapidase(登録商標)及びPurastar(登録商標)(ジェネンコー・インターナショナル・インク)等の商業的に入手可能なアミラーゼを含むことが出来るが、それらに限られない。
【0143】
セルラーゼ:セルラーゼが前記組成物に加えられることが出来る。適したセルラーゼは、細菌性又は菌性の起源のものを含む。化学的に修飾された又はタンパク質改変された突然変異体が含まれる。適したセルラーゼは、例えば、米国特許第4,435,307号、第5,648,263号、第5,691,178号、第5,776,757号及びWO89/09259等で開示される、Humicola insolens、Myceliophthora thermophila及びFusarium oxysporumから生産された菌性セルラーゼ等のバチルス属、シュードモナス属、フミコラ属、フザリウム属、チエラビア(Thielavia)属、アクレモニウム属由来のセルラーゼを含む。使用を意図する模範的なセルラーゼは、繊維製品に用いられるカラー・ケア(color care)の利益を有するものである。前記セルラーゼの例は、例えば、EP0495257、EP531372、WO99/25846(ジェネンコー・インターナショナル・インク)、WO96/34108(ジェネンコー・インターナショナル・インク)、WO96/11262、WO96/29397、及びWO98/08940で記述されるセルラーゼである。他の例は、例えば、WO94/07998、WO98/12307、WO95/24471、PCT/DK98/00299、EP531315、米国特許第5,457,046号、第5,686,593号、及び第5,763,254号で記述されたもの等のセルラーゼ変異体である。商業的に入手可能なセルラーゼは、Celluzyme(登録商標)及びCarezyme(登録商標)(ノボザイム、旧ノボ・ノルディスクA/S)、Clazinase(商標)及びPuradax(登録商標)HA(ジェネンコー・インターナショナル・インク)及びKAC−500(B)(商標)(花王社)を含む。
【0144】
ペルオキシダーゼ/酸化酵素:前記組成物での使用が意図される適したペルオキシダーゼ/酸化酵素は、植物、細菌性又は菌性の起源のものを含む。化学的に修飾された又はタンパク質改変された突然変異体が含まれる。有用なペルオキシダーゼの例は、WO93/24618、WO95/10602、及びWO98/15257で記述されたもののような、例えば、C.cinereus由来等のCoprinus種由来のペルオキシダーゼ及びそれらの変異体を含む。
【0145】
洗剤酵素は、1以上の酵素を含む別々の添加物を加えるか、又はこれら全ての酵素を含む組み合わされた添加物を加えることにより、洗剤組成物に含まれることが出来る。洗剤添加物、すなわち、別々の添加物又は組み合わされた添加物は、顆粒、液体、スラリー等として配合されることが出来る。適した顆粒の洗剤添加物の配合剤は、無塵埃顆粒を含む。
【0146】
無塵埃顆粒は、例えば、米国特許第4,106,991号及び第4,661,452号で記載されるように生産されることができ、当該技術分野で知られる方法で任意にコーティングされることが出来る。ワックス・コーティングの材料の例は、1,000から20,000の平均モル量を有するポリ(酸化エチレン)生産物(例えば、ポリエチレングリコール、PEG)、16から50の酸化エチレン単位を有するエトキシ化ノニルフェノール、アルコールが12から20の炭素原子を含み、15から80の酸化エチレン単位があるエトキシ化脂肪性アルコール、脂肪性アルコール、脂肪酸、脂肪酸のモノ−、ジー、及びトリグリセリドである。流動床技術による用途に適した皮膜形成コーティング材の例は、例えば、GB1483591で見られる。液体酵素の調製は例えば、プロピレン・グリコール等のポリオール、砂糖又は糖アルコール、乳酸又はホウ酸を確立された方法により、加えることで安定化されることが出来る。保護された酵素は、EP238216で記述される方法で調製されることが出来る。
【0147】
洗剤組成物は、例えば、棒状、錠剤、ゲル、粉、顆粒、ペースト、又は液体等の有益な形態とすることが出来る。液体洗剤は、約70%以下の水分、及び0%から約30%の有機溶媒を通常含む、水性となることが出来る。30%以下の水分を含むコンパクトな洗剤ゲルも意図される。洗剤組成物は、半極性、陰イオン性、陽イオン性又は両イオン性、又はそれらの組み合わせを含むか、又は、非イオン性とすることが出来る、1以上の界面活性剤を含む。前記界面活性剤は、重量で0.1%から60%のレベルで通常存在する。
【0148】
前記組成物に含まれる場合、洗剤は通常、約1%から約40%の、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、α−オレフィンサルフォネート、アルキル硫酸塩(高級アルコール硫酸塩)、アルコールエトキシサルフェート、第二級アルカンスルホン酸塩、α―スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル又はアルケニル琥珀酸、又は石鹸等の陰イオン性界面活性剤を含む。
【0149】
前記組成物に含まれる場合、洗剤は通常、約0.2%から約40%の、例えば、アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、酸化アルキルジメチルアミン、エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコサミン(「グルカミド」)のN―アシルーN―アルキル誘導体等の非イオン性界面活性剤を含む。
【0150】
洗剤は、0%から約65%の、例えば、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、アルキル、又はアルケニル琥珀酸、可溶性ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩(例えば、ヘキストのSKS−6)等の洗剤充填剤又は錯化剤を含むことが出来る。
【0151】
洗剤は、1以上の重合体を含むことが出来る。例は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレン・グリコール)(PEG)、ポリ(ビニル・アルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピリジン−N−酸化物)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリカルボン酸塩(例えば、ポリアクリレート、マレイン/アクリル酸コポリマー)及びメタクリル酸ラウリル/アクリル酸コポリマーである。
【0152】
洗剤は、過酸素酸を形成する漂白剤活性剤(例えば、テトラアセチルエチレンジアミン又はノンアノイルオキシベンゼンスルホン酸)と組み合わされることが出来る、過ホウ酸塩又は過炭酸塩等のH源を含むことが出来る、漂白剤システムを包含することが出来る。あるいは、漂白剤システムは、ペルオキシ酸(例えば、アミド、イミド、又はスルホン型ペルオキシ酸)を含むことが出来る。漂白剤システムはまた、酵素漂白剤システムとすることが出来る。
【0153】
洗剤組成物の酵素は、ポリオール(例えば、プロピレン・グリコール又はグリセロール)、砂糖又は糖アルコール、乳酸、ホウ酸、ホウ酸誘導体(例えば、芳香族ホウ酸エステル)、又はボロン酸フェニル誘導体(例えば、4−ホルミルフェニルボロン酸塩(4−formylphenyl boronic acid))等の従来の安定化剤を用いて安定化されることが出来る。組成物は、WO92/19709及びWO92/19708で記述されるように、配合されることが出来る。
【0154】
洗剤はまた、例えば、粘土、起泡力増進剤、泡抑制剤、防食剤、土懸濁化剤、再汚染防止剤、染料、殺菌剤、蛍光増白剤、屈水性誘発物質、曇り防止剤、又は香水を含む織物調整剤等の他の従来の洗剤成分を含むことが出来る。
【0155】
洗剤組成物において、酵素変異体は、洗液のリットル当り、約0.01から約100mgの酵素タンパク質、特に洗液のリットル当り、約0.05から約5.0mgの酵素タンパク質、又はより具体的に、洗液のリットル当り、約0.1から約1.0mgの酵素タンパク質に対応する量で加えられ得ることが意図される。
【0156】
6.1洗剤組成物の評価方法
α−アミラーゼ洗浄分析評価は、多数存在する。洗浄試験の模範的な記述は、以下を含む。「材料見本(swatch)」は、そこに当てた染みがある繊維等の材料の一片である。前記材料は、綿、ポリエステル又は天然及び合成繊維の混合物から作られた繊維等とすることが出来る。あるいは、材料は、濾紙又はニトロセルロース等の紙、又はセラミック、金属、又はガラス等の硬質材料の一断片とすることが出来る。α−アミラーゼにおいて染みはでんぷんベースであるが、血液、ミルク、インク、草、紅茶、ワイン、ホウレンソウ、肉汁、チョコレート、卵、チーズ、粘土、顔料、油、又はこれら化合物の混合物を含むことが出来る。一の実施態様において、α−アミラーゼ変異体は、BMI(血液/ミルク/インク)アッセイで試験される。
【0157】
「小さい材料見本(smaller swatch)」は、単一の穴あけ装置又は、カスタム製造された96穴あけ装置を用いて切られたか、又は別の方法で材料見本から移された、材料見本の一片である。ここで、複数穴あけ機の型は、標準96穴マイクロタイタープレートに合わせられる。材料見本は、繊維製品、紙、金属、又は他の適した材料で作ることが出来る。小さい材料見本は、24、48又は96穴マイクロタイタープレートの穴に置かれる前又は後のいずれかで、染みを付けられることが出来る。小さい材料見本はまた、材料の小片に染みを付けることで作られることが出来る。例えば、小さい材料見本は、直径5/8インチ又は0.25インチの染みがある繊維の一片とすることが出来る。カスタム製造の穴あけ機は、96穴プレートの全ての穴に、同時に96個の材料見本を送るような方法で設計されている。前記装置は、複数回、同じ96穴プレートに装填されるだけで、穴当たり2以上の材料見本の配送を可能にする。複数穴あけ装置は、材料見本を24、48又は96穴プレートを含むが、それらに限られない、任意形体のプレートに同時に送るよう考案されることが出来る。別の考えられる方法において、汚染された試験基盤は、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、又は土壌基質でコーティングされる他の適した材料のいずれかで作られたビーズとすることが出来る。次に、1個以上のコーティングされたビーズは、適したバッファと酵素を含んだ、96、48、又は24穴プレート又は、より大きい形体の穴に置かれる。この場合、浮遊物は、直接吸光度測定により又は二次着色反応後のいずれかに、放出された土の試験を行うことが出来る。放出された土の解析はまた、質量スペクトル解析でも行うことが出来る。
【0158】
一の実施態様において、処理プロトコールは、染みの固定度のコントロールを提供する。その結果、検査される酵素がないときに洗われる場合、例えば、各種量の染みを放出する材料見本を生産することが可能である。固定された材料見本の使用は、洗濯分析評価における、SN比(signal−to−noise ratio)の劇的な改良につながる。さらに、固定度を変化させることで、多様な洗浄条件下で最適な結果を与える染みを発生させることが出来る。
【0159】
各種タイプの材料の上に既知の「強度(strength)」の染みがある材料見本が、商業的に入手可能(EMPA、セントガレン、スイス、wfk−Testgewebe GmbH、クレーフェルト、ドイツ、又は、試験材料センター(Center for Test Materials)、フラールディンゲン、オランダ)であり、そして/又は、実施者は自身で作成することも出来る(Morris及びPrato、Textile Research Journal52(4)、280−286ページ(1982年))。材料見本は、例えば、血液/ミルク/インク(BMI)、ホウレンソウ、草、又はチョコレート/ミルク/すすにより作られた染みを含む、綿含有繊維を含むことが出来る。例えば、0.0003%から0.3%の過酸化水素でBMI染みを綿に固定することが出来る。他の組み合わせは、0.001%から1%のグルタルアルデヒドで固定された草又はホウレンソウ、0.001%から1%のグルタルアルデヒドで固定されたゼラチン及びクマシーステイン、又は0.001%から1%のグルタルアルデヒドで固定されたチョコレート、ミルク、及びすすを含む。
【0160】
また、インキュベーションの間、材料見本を酵素及び/又は洗剤配合剤と共に攪拌することが出来る。洗浄性能データは、穴での材料見本の配向性、特に96穴プレートでの材料見本の配向性(垂直対水平)に依存する。これは、混合がインキュベーション中に不十分であったことを示す。インキュベーション中の十分な攪拌を確実にする方法は多くあるが、マイクロタイタープレートがアルミニウムの2枚のプレートの間に挟まれるプレートホルダーを組み立てることが出来る。これは、例えば、粘着性のプレートシーラーを穴上に置き、次にアルミニウムの2枚のプレートを、商業的に入手可能な適当な任意のタイプの留め具で、96穴プレートへ固定する程度に容易である。さらに、それを市販のインキュベーション振盪器に取り付け、振盪器を約400rpmに設定することで、非常に効率的に混合される他、ホルダーにより漏出又は交差汚染が効率的に防げる。
【0161】
洗液中のアミノ基濃度の定量化に、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を使用することが出来る。これは、材料見本から除去されたタンパク質量の基準として機能することが出来る(例えば、Cayot及びTainturier、Anal.Biochem.249、184−200ページ(1997年)等参照)。しかしながら、洗剤又は酵素サンプルにより異常に小さいペプチド断片の構成(例えば、サンプル中のペプチダーゼの存在から)が生じる場合、より大きいTNBS信号、すなわち、より多くの「雑音(noise)」を得る。
【0162】
インクの放出に基づく、血液/ミルク/インクの洗浄性能を測定する別の方法は、洗液の吸光度を測定することで定量化することが出来る。350及び800nmの間の任意の波長で吸光度は測定されることが出来る。一の実施態様において、波長は410nm又は620nmで測定される。また、洗液を調べ、草、ホウレンソウ、ゼラチン又はクマシーステインを含む染みについての洗浄性能を決定することが出来る。これらの染みに適した波長は、ホウレンソウか草の670nm及びゼラチンかクマシーの620nmを含む。例えば、洗液のアリコート(例えば、96穴マイクロプレートから通常100−150μL)は、回収され、キュベット又はマルチウェルマイクロプレートに移される。その後、分光光度計に置かれ、吸収が適切な波長で読み込まれる。システムはまた、例えば、布、プラスチック又はセラミック等の適した基質上の血液/ミルク/インクの染みを使用し、食器洗浄に適した酵素及び/又は洗剤組成物を決定するのに使用されることが出来る。
【0163】
一の側面において、BMI染みは、30分間25℃でBMI/綿の材料見本に0.3%の過酸化水素を適用するか、又は30分間60℃でBMI/綿の材料見本に0.03%の過酸化水素を適用することで、綿に固定される。およそ0.25インチの小さい材料見本は、BMI/綿の材料見本から切られ、96穴マイクロタイタープレートの穴に移される。各穴に既知の洗剤組成物の混合物及び変異タンパク質等の酵素が入れられる。粘着性のプレートシーラーをマイクロタイタープレートの上部に接着した後、マイクロタイタープレートは、アルミニウムプレートに固定され、約10から60分間、およそ250rpmの環状振盪器で攪拌される。最後に、新しいマイクロタイタープレートの穴に浮遊物が移され、620nmのインクの吸光度を測定する。同様に、ホウレンソウ/綿の材料見本か草/綿の材料見本に、30分間25℃で0.01%のグルタルアルデヒドを適用して綿に固定されたホウレンソウ染み又は草の染みによる試験が行われることが出来る。チョコレート、ミルク、そして/又は、すすの染みで同様に試験することが出来る。
【0164】
7.生物膜除去組成物及びその使用法
前記組成物は、生物膜の除去において使用される、1の変異体α―アミラーゼを、例えば、モノタイプ成分組成物等の主要な酵素成分として含むことが出来る。あるいは、前記組成物は、例えば、複数のアミラーゼ、又はアミノペプチダーゼ、アミラーゼ(β―又はα−又はグルコ−アミラーゼ)、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、サイクロデキストリン・グルカノトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β―ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インヴェルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、酸化酵素、ペクチン分解酵素、ペプチドグクタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、及び/又は、キシラナーゼ、又はそれらの任意の組み合わせを含む、酵素のカクテル等の生物膜の除去に用いられる、複数の酵素活性を含むことが出来る。追加酵素は、例えば、A.aculeatus、A.awamori、A.niger、又はAoryzae等のアスペルギルス属、トリコデルマ属、例えば、H.insolens等のフミコラ属、例えば、F.bactridioides、F.cerealis、F.crookwellense、F.culmorum、F.graminearum、F.graminum、F.heterosporum、F.negundi、F.oxysporum、F.reticulatum、F.roseum、F.sambucinum、F.sarcochroum、F.sulphureum、F.toruloseum、F.trichothecioides、又はF.venenatum等のフサリウム属に属す微生物の方法により生産されることが出来る。
【0165】
組成物を含むα―アミラーゼ変異体は、従来技術分野で知られる方法に従って調製されることができ、液体又は乾燥組成物の形態とすることが出来る。例えば、組成物を含むα―アミラーゼ変異体は顆粒又は微粒の形態をとることが出来る。組成物に含まれるポリペプチドは、当該技術分野で知られる方法に従って安定化されることが出来る。
【0166】
ポリペプチド組成物の使用法として以下に例を示す。組成物を含むα―アミラーゼ変異体の投与量及び組成物が使用される他の条件は、当該技術分野で知られる方法に基づいて決定されることが出来る。α―アミラーゼ変異体はさらに、2,6−β−D−フルタンヒドロラーゼ又はそれらの変異体と共に組成物中で使用されることが意図される。
【0167】
一の側面は、生物膜の分解及び/又は除去である。本明細書で用いられる「分解(disintegration)」の語は、微生物細胞が生物膜から放出及び除去されることができ、生物膜中の個々の微生物細胞と共に連結及び結合する生態膜基質中の多糖類の加水分解として理解される。生物膜は、表面に存在することができ、例えば、浸す、覆う、又は撒く等により表面を水性培地に接触させることで、生物膜の分解を達成することが出来る。ここで、水性培地は、α―アミラーゼ変異体及び任意で1以上の他の、生物膜の破壊に関与する酵素、例えば、2,6−β−D−フルタンヒドロラーゼ等であるがそれらに限られない、酵素を含む。前記組成物は、例えば、パルプ及び製紙産業の白水等の加水分解スライム(hydrolyse slime)へも使用されることが出来る。
【0168】
α―アミラーゼ変異体は、0.0001から10,000mg/L、0.001−1000mg/L、0.01−100mg/L、それとも0.1−10mg/Lの量で存在することが出来る。追加酵素及び酵素変異体は、同様の量以下で存在することが出来る。前記過程は、およそ室温から約70℃の温度で実行されることが出来る。適温範囲は、約30℃から約60℃、例えば、約40℃から約50℃までである。
【0169】
生物膜の加水分解に適したpHは、約3.5から約8.5に属する。特に適したpH領域は、約5.5から約8、例えば、約6.5から約7.5までである。効率的に生物膜を除去するための酵素変異体の接触時間又は反応時間は、生物膜の特性、及び、表面が酵素変異体単独又は2,6−β−D−フルタンヒドロラーゼ等の他の酵素と組み合わされて処理される頻度に依存して、大幅に変化することが出来るが、適した反応時間は、約0.25から約25時間に属する。特に適した反応時間は、約1から約10時間、例えば、約2時間である。
【0170】
追加酵素は、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、他のα―アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、及び/又は、ペクチナーゼを含む、他のアミラーゼを含むが、それらに限られないα―アミラーゼ変異体及び2,6−β−D−フルタンヒドロラーゼ加水分解酵素と組み合わされること出来る。酵素はさらに、酵素又は非酵素の殺生物剤等の抗生剤と組み合わされることが出来る。酵素の殺生物剤は、例えば、WO97/42825やDK97/1273で記述されるような、例えば、ラッカーゼ又はペルオキシダーゼ、特にハロペルオキシダーゼ等のオキシドレダクターゼ及び任意に、例えば、アルキルシリンゲイト(alkyl syringate)等の促進剤を含む、組成物とすることが出来る。
【0171】
生物膜が除去及び/又は洗い落とされる表面は、定義上本質的に微生物が非透過性である、任意の表面に関連する硬質表面であることが出来る。例は、塗料、エナメル、重合体等で任意にコーティングされることが出来る、ステンレス合金等の金属、プラスチック/合成高分子、ゴム、板、ガラス、木、紙、繊維製品、コンクリート、岩石、大理石、石こう、及び窯業製品でできた表面である。従って、表面は、例えば、給水設備、食品加工システム、冷却システム、化学処理システム、製剤加工システム、又はパルプ及び/又は製紙業等で見られる樹木処理システム等のような、支持、輸送、処理、又は水性溶液に接触するシステムの一部とすることが出来る。従って、酵素変異体及び酵素変異体を含む組成物は、従来の配置済みの洗浄(cleaning−in−place、C−I−P)システムで有用である。表面は、パイプ、タンク、ポンプ、膜、フィルタ、熱交換器、遠心分離機、蒸発乾燥器、混合器、噴霧塔、バルブ及び反応器等のシステムユニットの一部とすることも出来る。表面はまた、例えば、汚染された内視鏡、人工器官又は医療移植片等の医学及び医療産業で使用される器具であるか、その一部とすることが出来る。
【0172】
生物膜除去に用いられる組成物はまた、金属面、例えば、パイプライン等が微生物の生物膜に攻撃される場合のいわゆるバイオ腐食が起こるのを防ぐことが意図される。組成物は生物膜を分解し、その結果、生物膜の微生物細胞を、攻撃を受けた金属表面を侵食する生物膜環境の形成から防ぐ。
【0173】
7.1オーラルケア組成物
抗生物膜組成物の追加用途は、オーラルケアを含む。よって、表面は歯垢がある歯を含む。従って、変異体酵素は、例えば、歯磨き粉等の組成物及び人間又は動物の歯にある歯垢の分解に用いられる酵素変異体を含む薬剤の作成過程に使用されることが出来る。別の用途は、嚢胞性繊維症に悩む入院患者の肺にある生物膜等のような、粘膜からの生物膜の分解である。表面はまた、例えば、皮膚、歯、髪、爪等の生体起源の他の表面、又は、汚染されたコンタクトレンズとすることが出来る。
【0174】
オーラルケア組成物で有用な他の酵素は、2,6−β−D−フルタン加水分解酵素、デキストラナーゼ、ミュータン分解酵素、グルコース酸化酵素等の酸化酵素、L−アミノ酸酸化酵素、コプリヌス(Coprinus)種等のペルオキシダーゼ、WO95/10602で記述されるペルオキシダーゼ又はラクトペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、特にカーブラリア(Curvularia)種、具体的には、C.verruculosa及びC.inaequalis由来のハロペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、パパイン等のプロテアーゼ、酸性プロテアーゼ(例えば、WO95/02044で記述される酸性プロテアーゼ等)、エンドグルコシダーゼ、リパーゼ、AMG(商標)等のアミログルコシダーゼ(ノボザイム、旧ノボ・ノルディスクA/S)を含むアミラーゼ、抗微生物酵素、及びそれらの混合物を含むが、それらに限られない。
【0175】
オーラルケア組成物は、任意の適した物理形態、すなわち、粉、ペースト、ゲル、液体、軟膏、タブレット等の形態をとることが出来る。「オーラルケア組成物(oral care composition)」は、虫歯及び歯垢や酒石の形成を予防し、歯垢や酒石を除去、歯の疾病等の予防及び/又は処理することで、人間及び動物の口腔衛生を維持又は改良するのに使用されることが出来る組成物を含む。オーラルケア組成物はまた、義歯、入れ歯等の洗浄に用いられる製品も含む。オーラルケア組成物の例は、歯磨き、練り歯磨き、ゲル又は歯磨き粉、口内洗浄剤(odontic mouthwashers)、ブラシ前又は後のすすぎ配合剤、チューインガム、薬用トローチ剤及びキャンデーを含む。歯磨き及び歯磨きゲルは通常、研磨光沢材、起泡剤、香味剤、湿潤剤、結合剤、増粘剤、甘味剤、ホワイトニング/漂白/染み除去剤、水分、及び任意で酵素を含む。歯垢除去液を含む口内洗浄剤は通常、水/アルコール溶液、香味料、湿潤剤、甘味料、起泡剤、着色剤、及び任意で酵素を含む。
【0176】
研磨光沢材もまた、オーラルケア組成物に組み込まれることが出来る。従って、研磨光沢材は、例えば、アルミナ三水和物等のアルミナ及びそれらの水和物、三ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、陶土、焼成ケイ酸アルミニウム及びケイ酸アルミニウム等のアルミナケイ酸、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウムを含むことができ、また、ポリ塩化ビニール等の粉末プラスチック、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、粉末ポリエチレン、シリカキセロゲル、ヒドロゲル及びエーロゲル等も含むことが出来る。また、研磨材として適したものは、ピロリン酸カルシウム、不水溶性アルカリメタリン酸塩、第二リン酸カルシウム及び/又は二水和物、オルトリン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、微粒子の水酸化リン灰石等である。これらの物質の混合物を使うこともまた、可能である。オーラルケア組成物に依存して、研磨生産物は、重量の約0%から約70%、例えば、約1%から約70%で存在することが出来る。歯磨きおいて、研磨物質成分は通常、最終歯磨き重量の10%から70%の範囲にある。
【0177】
湿潤剤は、例えば、歯磨きから水分の損失を防ぐために使用される。オーラルケア組成物での使用に適した湿潤剤は、グリセロール、ポリオール、ソルビトール、ポリエチレン・グリコール(PEG)、プロピレン・グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、水素化され部分的に加水分解された多糖類等及びそれらの混合物を含む。湿潤剤は一般に、歯磨きの重量で、0%から約80%又は約5%から約70%で存在する。
【0178】
珪石、でんぷん、トラガカント・ゴム、キサンタン・ガム、アイリッシュ・モス抽出物、アルギン酸塩、ペクチン、ヒドロキシエチル・セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸及びその塩、ポリビニールピロリドンは、歯磨き粉製品の安定化を促進させる、適した増粘剤及び結合剤の例である。増粘剤は、練り歯磨き及びゲル中に重量で約0.1%から約20%、結合剤で、最終製品の重量で約0.01から約10%で存在することが出来る。
【0179】
石鹸、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、両性(amphoteric)、及び/又は、両性イオン性(zwitterionic)界面活性剤を含めた、起泡剤を使用することが出来る。これらは、最終製品の重量で、0%から約15%、約0.1から約13%、それとも約0.25%から約10%のレベルで存在することが出来る。界面活性剤は、存在する酵素を不活性にしない程度である場合にのみ適する。界面活性剤は、高級アルコール硫酸塩、10から20の炭素原子を有するスルホン酸化モノグリセライド又は脂肪酸の塩、脂肪酸アルブミン縮合生成物、脂肪酸アミド及びタウリンの塩、及び/又はイセチオン酸の脂肪酸エステルの塩を含む。
【0180】
適した甘味料は、配合剤での使用に用いられるサッカリンを含む。通常、スペアミント等の香味料もまた、例えば、重量で約0.01%から約5%、特に約0.1%から約5%等のように少量で存在する。ホワイトニング/漂白剤は、Hを含み、最終製品の重量で計算し、約5%未満、又は約0.25%から約4%の量で加えられることが出来る。ホワイトニング/漂白剤は、オキシドレダクターゼ等の酵素とすることが出来る。歯の漂白に適した酵素の例は、WO97/06775で記述される。水分は通常、歯磨き等の組成物を、流動性を有する形態にする量で加えられる。
【0181】
クロルヘキシ・ジンジグルコネート、ヘキセチジン、アレキシジン、Triclosan(登録商標)、四級アンモニウムの抗生化合物及び亜鉛、銅、銀及びスズ(例えば、亜鉛、銅及び塩化第一スズ、及び硝酸銀等)のような特定の金属イオンの水溶性源等の水溶性抗生剤もまた、含まれることが出来る。使用できる追加化合物は、フッ化物源、染料/着色剤、保存料、ビタミン、pH調整剤、抗虫歯剤、減感剤等を含む。
【0182】
酵素はまた、上述のオーラルケア組成物に有用である。口腔の洗浄に使用される場合、酵素はいくつかの利益をもたらす。プロテアーゼは、歯の表面に吸着され、歯垢の基となる第一層の周皮を形成する、唾液タンパク質を破壊する。リパーゼと共にプロテアーゼは、細菌細胞壁及び膜の構造要素を形成するタンパク質及び脂質を溶解させることで、細菌を破壊する。デキストラナーゼ及び2,6−β−D−フルタン加水分解酵素等の他のカルボヒドラーゼは、細菌付着に用いられる基質を形成する細菌により産生された有機骨格構造を破壊する。プロテアーゼ及びアミラーゼは、プラーク形成を防ぐのみではなく、カルシウムを結合する炭水化物−タンパク質複合体を分解させることで、石化の発生も防ぐ。
【0183】
歯磨きは通常、(最終的な歯磨き組成物の重量%で)以下の成分を含むことが出来る。すなわち、約70%以下の研磨材、0%から約80%の湿潤剤、約0.1%から約20%の増粘剤、約0.01%から約10%の結合剤、約0.1%から約5%の甘味料、0%から約15%の起泡剤、0%から約5%の増白剤、及び約0.0001%から約20%の酵素を含むことが出来る。一の実施態様において、歯磨きは、約6.0から約8.0の範囲でpHを有し、以下を含む。すなわち、約10%から約70%の研磨材、0%から約80%の湿潤剤、0.1%から約20%の増粘剤、0.01%から約10%の結合剤、約0.1%から約5%の甘味料、0%から約15%の起泡剤、0%から約5%の増白剤、及び約0.0001%から約20%の酵素を含む。前記酵素は、α―アミラーゼ変異体単独で、又は2,6−β−D−フルタンヒドロラーゼ等の他の酵素との組み合わせで、及び任意で上述の他のタイプの酵素を含む。
【0184】
口内洗浄剤は通常、(最終的な歯磨き組成物の重量%で)以下の成分を含むことが出来る。すなわち、0%から約20%の湿潤剤、0%から約2%の界面活性剤、0%から約5%の酵素、0%から約20%のエタノール、0%から約2%の他の成分(例えば、香味料、フッ化物等の甘味料有効成分等)を含むことが出来る。組成物はまた、約0%から約70%の水分を含むことが出来る。口内洗浄剤組成物は、例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸塩等の適切なバッファで、約6.0から約7.5のpH領域に緩衝されることが出来る。口内洗浄剤は、非希釈の形態、すなわち、使用前に希釈される形態をとることが出来る。オーラルケア組成物は、オーラルケアの当該技術分野で知られる任意の従来方法を用いて生産されることが出来る。
【0185】
8.でんぷん処理組成物及びその使用法
別の側面において、開示されるα―アミラーゼ変異体を有した組成物は、でんぷんの液化及び/又は糖化に利用されることが出来る。でんぷん処理は、甘味料の生産、燃料又は飲料(すなわち、飲用アルコール)のためのアルコールの生産、飲料の生産、甘蔗糖の生産、又は、例えば、クエン酸、イタコン酸、乳酸、グルコン酸、ケトン、アミノ酸、抗生物質、酵素、ビタミン、及びホルモン等の所望の有機化合物の生産に有用である。フルクトースシロップへのでんぷんの転換は通常、3つの連続した酵素工程から成る。すなわち、液化工程、糖化工程、及び異性化工程である。液化工程の間、変異体α―アミラーゼは、約5.5と約6.2の間のpHにおいて、約2時間、約95℃から約160℃の温度で、でんぷんからデキストリンに分解する。約1mMのカルシウム(40ppmの遊離カルシウムイオン)が通常、これらの条件下での酵素の安定性を最適化するために加えられる。他のα―アミラーゼ変異体では、異なる条件が必要となり得る。
【0186】
液化工程の後、グルコアミラーゼ(例えば、AMG(商標)等)及び任意にイソアミラーゼ又はプルラナーゼ(例えば、Promozyme(登録商標)等)のような脱分岐酵素の添加により、デキストリンはデキストロースに転換されることが出来る。当該工程の前において、前記pHは、約4.5より低い値に低下され、かつ高温(95℃より高く)で維持することで、α―アミラーゼ変異体の液化活性を奪う。60℃に温度を下げ、グルコアミラーゼ及び脱分岐酵素を加えることが出来る。糖化工程は通常、約24から約72時間続く。
【0187】
糖化工程の後、pHは約6.0から約8.0、例えば、pH7.5の範囲の値に上昇され、カルシウムはイオン交換で除去される。次に、デキストロースシロップは、固定化グルコースイソメラーゼ(例えば、Sweetzyme(登録商標))等を用いて高フルクトースシロップに転換される。
【0188】
α―アミラーゼ変異体は、液化工程の実施に少なくとも1の改良した酵素特性を提供することが出来る。例えば、変異体α―アミラーゼは、より高い活性を有することが出来るか、カルシウムの必要条件を軽減することが出来る。遊離型カルシウムの添加は、α―アミラーゼの十分に高い安定性を確実にするために必要である。しかしながら、遊離型カルシウムは、グルコース・イソメラーゼの活性を強く抑制する。従って、異性化工程の前に、遊離型カルシウムのレベルが3−5ppm未満にまで減少する程度に、高価な装置の操作手段により、カルシウムを取り除くべきである。そのような操作を避けることができ、遊離カルシウムイオンの添加なしで液化工程を実行することが出来る場合、費用は節約され得る。従って、カルシウムイオンを必要としないか、又はカルシウムの必要条件が軽減されたα―アミラーゼは、特に有利である。例えば、低濃度の遊離型カルシウム(<40ppm)で、安定かつ高活性なカルシウム低依存性α―アミラーゼ変異体が、前記組成物及び工程で利用されることが出来る。このようなα―アミラーゼ変異体は、約4.5から約6.5、例えば、約pH4.5から約pH5.5の範囲で最適pHを有するはずである。前記α―アミラーゼ変異体は、特定の加水分解を提供するために単独で使用されるか、又は、広い活性スペクトルを有する「カクテル」を提供するために他の酵素と組み合わされることが出来る。
【0189】
処理されるでんぷんは、例えば、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%又は少なくとも99.5%の純度等の精製された高品質でんぷんとすることが出来る。あるいは、でんぷんは、細菌の残渣及び繊維等の非でんぷん画分を含む、粉砕された全粒粉を含有する材料を含む、より粗いでんぷんとすることが出来る。全粒粉等のような原料は、構造を開き、更なる工程を可能にするため、粉砕される。2式の粉砕工程が適当である。すなわち、湿式及び乾式粉砕である。また、ひき割りトウモロコシ、及び粉砕されたひき割りトウモロコシが適用されることが出来る。乾式粉砕された粒粉は、でんぷんに加え、有意量の非でんぷん炭水化物化合物を含む。そのような不均一物質が蒸気噴流加熱調理(jet cooking)で処理される場合、しばしば、でんぷんの部分的なゲル化のみが達成される。従って、未ゼラチン化のでんぷんに対し高活性を有するα―アミラーゼ変異体は、蒸気噴流加熱調理された乾式粉砕でんぷんの液化及び/又は糖化を含む工程に有利に適用される。
【0190】
液化工程中に優れた加水分解活性を有する変異体α―アミラーゼは、糖化工程(WO98/22613参照)の効率、及び、糖化工程中のグルコアミラーゼの必要性を、有利に増加させる。グルコアミラーゼは、0.5グルコアミラーゼ活性単位(AGU)/gDS(すなわち、乾燥固体のグラム当たりのグルコアミラーゼ活性単位)以下、それともそれ未満の量で有利に存在する。グルコアミラーゼは、模倣的な例がAspergillus niger、Talaromyces emersonii、Trametes cingulata、又はPachykytospora papyraceaである、アスペルギルス種、タラロミセス(Talaromyces)種、パチカイトスポラ(Pachykytospora)種、又はホウロクタケ種の株に由来することが出来る。一の実施態様において、前記工程はまた、WO98/22613で開示されるタイプの炭水化物結合ドメインの使用も含む。
【0191】
さらに別の側面において、前記工程は、ゲル化された又は顆粒でんぷんのスラリーの加水分解、特に初期の顆粒でんぷんのゲル化温度より低い温度で、顆粒でんぷんから可溶性でんぷん加水分解産物への加水分解を含むことが出来る。α―アミラーゼ変異体と接触されることに加え、でんぷんは、菌性α―アミラーゼ(EC3.2.1.1)、β―アミラーゼ(EC3.2.1.2)、及びグルコアミラーゼ(EC3.2.1.3)から成る群から選ばれる1以上の酵素と接触させられることが出来る。一の実施態様において、さらに別のでんぷん分解酵素又はイソアミラーゼ(EC3.2.1.68)やプルラナーゼ(EC3.2.1.41)等の脱分枝酵素が、α―アミラーゼ変異体に加えられることが出来る。
【0192】
一の実施態様において、前記工程は、初期のゲル化温度より低い温度で行われる。このような工程は、少なくとも30℃、少なくとも31℃、少なくとも32℃、少なくとも33℃、少なくとも34℃、少なくとも35℃、少なくとも36℃、少なくとも37℃、少なくとも38℃、少なくとも39℃、少なくとも40℃、少なくとも41℃、少なくとも42℃、少なくとも43℃、少なくとも44℃、少なくとも45℃、少なくとも46℃、少なくとも47℃、少なくとも48℃、少なくとも49℃、少なくとも50℃、少なくとも51℃、少なくとも52℃、少なくとも53℃、少なくとも54℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも57℃、少なくとも58℃、少なくとも59℃、又は少なくとも60℃でしばしば行われる。処理が行われるpHは、約3.0から約7.0、約3.5から約6.0、約4.0から約5.0の範囲とすることが出来る。一の側面において、工程は、30℃から35℃の温度等の、例えば、32℃付近の温度で、エタノールを生産する酵母による、発酵を含むことが意図される。別の側面において、前記工程は、例えば、32℃付近の温度等の30℃から35℃の温度で、エタノールを生産する酵母又は所望の有機化合物を生産する別の適した発酵有機体を用いた同時糖化発酵を含む。上述の発酵工程において、エタノール含有量は、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、又は少なくとも約16%のエタノールに達する。
【0193】
上述の側面のいずれかで使用されるでんぷんスラリーは、約20%から約55%の乾燥固体顆粒でんぷん、約25%から約40%の乾燥固体顆粒でんぷん、又は約30%から約35%の乾燥固体顆粒でんぷんを有することが出来る。酵素変異体は、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の量で、可溶性のでんぷんを顆粒でんぷんの可溶性でんぷん加水分解産物に転換する。
【0194】
別の実施態様において、α―アミラーゼ変異体は、蒸気噴流加熱調理によるゲル化を含むが、それらに限られない、ゲル化されたでんぷんの液化又は糖化に用いられる工程で使用される。前記工程は、例えば、エタノール等の発酵生産物を生産する発酵を含むことが出来る。このような発酵によるでんぷん含有材料からのエタノールの生産方法は、(i)α―アミラーゼ変異体を用いたでんぷん含有材料の液化工程、(ii)得られた液化されたもろみ(mash)の糖化工程、及び(iii)発酵有機体の存在下で、工程(ii)で得られた材料の発酵工程、を含む。任意に、前記方法はさらに、エタノールの回収を含む。糖化及び発酵工程は、同時糖化発酵(SSF)工程として行われることが出来る。発酵中、エタノール含有量は、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、例えば少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも15%、又は少なくとも16%のエタノールに達する。
【0195】
上述の側面で処理されるでんぷんは、塊茎、根、幹、マメ科植物、穀類又は全粒粉から入手されることが出来る。より具体的に、顆粒でんぷんは、トウモロコシ、トウモロコシの穂軸、小麦、大麦、ライ麦、ミロ、サゴ、キャッサバ、タピオカ、モロコシ、米、えんどう、豆、バナナ、又はじゃがいもから入手されることが出来る。特に、トウモロコシや大麦のワックス・タイプ及び非ワックス・タイプの両方が意図される。
【0196】
本明細書で用いられる「液状化」又は「液化」の語は、でんぷんがより低粘着性及びより短鎖のデキストリンに転換される工程を意味する。この工程は一般に、α―アミラーゼの添加と同時又はその前にでんぷんのゲル化を含む。追加の液化誘導酵素は、任意に加えられることが出来る。本明細書で用いられる「一次液化」の語は、スラリーの温度が、前記ゲル化温度か又はほぼそのゲル化温度にまで上昇させられる場合の液化工程を示す。温度の上昇に続き、スラリーは、熱交換を経て送られるか、約90−150℃、例えば100−110℃の温度に蒸気噴流される。熱交換又は蒸気噴流温度への適用に続き、スラリーは3−10分間、その温度で維持される。90−150℃にスラリーを維持する当該工程は、一次液化と称される。
【0197】
本明細書で用いられる「二次液化」の語は、スラリーが室温に冷やされる、(90−150℃にまで加熱する)一次液化に続く液化工程を示す。当該冷却工程は、30分から180分間、例えば、90分から120分間等とすることが出来る。本明細書で用いられる「二次液化の時間」の語は、二次液化の開始からデキストロース当量(DE)が測定されるまで経過した時間を示す。
【0198】
別の側面において、α―アミラーゼ変異体を含む組成物中のβ−アミラーゼの付加的使用が意図される。β―アミラーゼ(EC3.2.1.2)は、アミロース、アミロペクチン、及び関連したグルコースポリマーの1,4−α―グルコシド結合の加水分解を触媒し、それによりマルトースを放出する外部作用マルトジェニックアミラーゼ(exo−acting maltogenic amylases)である。β−アミラーゼは、多様な植物及び微生物から単離されることが出来る(Fogarty他、PROGRESS IN INDUSTRIAL MICROBIOLOGY、Vol.15、112−115ページ、1979年)。これらのβ−アミラーゼは、40℃から65℃の範囲の最適温度及び約4.5から約7.0の範囲の最適pHを有することで特徴付けられる。意図されるβ−アミラーゼは、大麦Spezyme(登録商標)BBA1500、Spezyme(登録商標)DBA、Optimalt(商標)ME、Optimalt(商標)BBA(ジェネンコー・インターナショナル・インク)、及びNovozym(商標)WBA(ノボザイムズA/S)に由来するβ−アミラーゼを含むが、それらに限られない。
【0199】
前記組成物での使用が意図される別の酵素は、グルコアミラーゼ(EC3.2.1.3)である。グルコアミラーゼは、微生物又は植物に由来する。例えば、グルコアミラーゼは、菌性、又は、細菌性起源のものとすることが出来る。模範的細菌性グルコアミラーゼは、アスペルギルス種グルコアミラーゼであり、例えば、WO92/00381及びWO00/04136で開示されるような、A.nigerG1又はG2グルコアミラーゼ(Boel他(1984年)、EMBO J.3(5)、1097−1102ページ)、又はそれらの変異体、A.awamoriグルコアミラーゼ(WO84/02921)、A.oryzaeグルコアミラーゼ(Agric.Biol.Chem.(1991年)、55(4)、941−949ページ)、又は変異体かそれらの断片である。
【0200】
他の意図されるアスペルギルス種グルコアミラーゼ変異体は、耐熱性を高める変異体、G137A及びG139A(Chen他(1996年)、Prot.Eng.9、499−505ページ)、D257E及びD293E/Q(Chen他(1995年)、Prot.Eng.8、575−582ページ)、N182(Chen他(1994年)、Biochem.J.301、275−281ページ)、ジスルフィド結合,A246C(Fierobe他(1996年)、Biochemistry、35、8698−8704ページ)、及び位置A435及びS436へのPro残基の導入(Li他(1997年)Protain Eng.10、1199−1204ページ)を含む。他の意図されるグルコアミラーゼは、タラロミセス・グルコアミラーゼ、特にT.emersonii(WO99/28448)、T.leycettanus(米国特許第RE32,153号)、T.duponti、又はT.thermophilus(米国特許第4,587,215号)由来のグルコアミラーゼを含む。意図された細菌性グルコアミラーゼは、クロストリジウム(Clostridium)属、特に、C.thermoamylolyticum(EP135138)及びC.thermohydrosulfuricum(WO86/01831)由来のグルコアミラーゼを含む。適したグルコアミラーゼは、Aspergillus oryzae由来のグルコアミラーゼ、例えば、WO00/04136の配列番号2に示されるアミノ酸配列と50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、又は90%の相同性を有するグルコアミラーゼを含む。また、適したものは、例えば、AMG200L、AMG300L、SAN(商標)SUPER及びAMG(商標)E(ノボザイムズ)、OPTIDEX(登録商標)300(ジェネンコー・インターナショナル・インク)、AMIGASE(商標)及びAMIGASE(商標)PLUS(DSMから)、G−ZYME(登録商標)G900(エンザイム・バイオシステムズ(Enzyme Bio−Systems))、及びG−ZYME(登録商標)G990ZR(A.nigerグルコアミラーゼ及び低プロテアーゼ含有量)等の商業グルコアミラーゼである。グルコアミラーゼは、0.02−2.0AGU/gDS又は0.1−1.0AGU/gDS、例えば、0.2AGU/gDSの量で加えられることが出来る。
【0201】
追加の酵素変異体が前記組成物に含まれることが出来る。2以上のα−アミラーゼ変異体が単独又は本明細書で記述される他の酵素と組み合わせて使用されることが出来る。例えば、第三の酵素が、他のα−アミラーゼ、例えば、酵母α−アミラーゼ、又は別のα−アミラーゼ変異体とすることが出来る。これらは、バチルスα−アミラーゼ又は非バチルスα−アミラーゼとすることが出来る。
【0202】
任意に加えられることが出来る別の酵素は、イソアミラーゼ(EC3.2.1.68)又はプルラナーゼ(EC3.2.1.41)等の脱分枝酵素である。イソアミラーゼは、アミロペクチン中のα−1,6−D−グルコシド鎖連結及びβ−限界デキストリンを加水分解する。また、イソアミラーゼは、プルランを攻撃することが不可能なこと、及び、イソアミラーゼのα−限界デキストリンに対する作用が限られていることから、イソアミラーゼはプルラナーゼと区別されることが出来る。脱分枝酵素は、当業者に周知の有効な量で加えられることが出来る。
【0203】
前記工程の生産物の正確な組成物は、処理される顆粒でんぷんのタイプと同様に適用される酵素の組み合わせに依存する。可溶性の加水分解産物は、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95.0%、少なくとも約95.5%、少なくとも約96.0%、少なくとも約96.5%、少なくとも約97.0%、少なくとも約97.5%、少なくとも約98.0%、少なくとも約98.5%、少なくとも約99.0%又は少なくとも約99.5%の精製度を有するマルトースであることが出来る。あるいは、可溶性のでんぷん加水分解産物はグルコースであるか、又は、でんぷん加水分解産物は、少なくとも94.5%、少なくとも95.0%、少なくとも95.5%、少なくとも96.0%、少なくとも96.5%、少なくとも97.0%、少なくとも97.5%、少なくとも98.0%、少なくとも98.5%、少なくとも99.0%、又は少なくとも99.5%のDE(可溶化された全乾燥固体中のグルコースのパーセント)を有する。一の実施態様において、アイスクリーム、ケーキ、キャンディー、缶詰の果物の製造方法は、グルコース、マルトース、DP3、及びDPnの混合物を含む特殊シロップを使用する。
【0204】
2式の粉砕工程が適当である。すなわち、湿式及び乾式粉砕である。乾式粉砕において、全穀粒が粉砕及び使用される。湿式粉砕は、細菌と穀粉(でんぷん粒とタンパク質)の優れた分離を行い、でんぷん加水分解産物がシロップの生産に使用される場合に、通常使用される。乾式粉砕及び湿式粉砕の両方は、でんぷん処理の当該技術分野で周知であり、開示される前記組成物及び方法での使用も意図される。前記工程は、酵素、未加工のでんぷん及び水が存在する再循環の下で保持液が保たれる、限外濾過装置で行われることができ、当該透過液は、可溶性のでんぷん加水分解産物である。別の方法では、前記工程は、酵素、未加工のでんぷん及び水が存在する再循環の下で保持液が保たれる、限外濾過膜を有する連続膜反応器で行われ、当該透過液は、可溶性のでんぷん加水分解産物である。また、前記工程は、酵素、未加工のでんぷん及び水が存在する再循環の下で保持液が保たれる、精密ろ過膜を有する連続膜反応器で行われ、当該透過液は、可溶性のでんぷん加水分解産物であることも意図される。
【0205】
一の事項において、前記工程の可溶性のでんぷん加水分解産物は、高フルクトースコーンシロップ(HFCS)等のような高フルクトースでんぷんベースのシロップ(HFSS)への転換にかけられる。当該転換は、グルコース・イソメラーゼ、特に固体担体に固定されたグルコース・イソメラーゼを使用することで達成されることが出来る。イソメラーゼは、商業製品Sweetzyme(登録商標)、IT(ノボザイムズA/S)、G−zyme(登録商標)IMGI、及びG−zyme(登録商標)G993、Ketomax(登録商標)、G−zyme(登録商標)G993、、G−zyme(登録商標)G993液体、及びGenSweet(登録商標)IGIが含まれることが意図される。
【0206】
別の側面において、生産される可溶性のでんぷん加水分解産物は、燃料又は飲料に適したエタノールの生産をもたらす。第三の側面の工程において、前記発酵は、顆粒でんぷんスラリーの加水分解と同時又は別々/続けて行われることが出来る。前記発酵が、加水分解と同時に行われる場合、温度は、30℃から35℃の間、特に、31℃から34℃の間とすることが出来る。前記工程は、酵素、未加工のでんぷん、酵母、酵母栄養素及び水が存在する再循環の下で保持液が保たれる、限外濾過システムで行われることができ、当該透過液は、エタノール含有液体である。また、前記工程は、酵素、未加工のでんぷん、酵母、酵母栄養素及び水が存在する再循環の下で保持液が保たれる、限外濾過膜を有する連続膜反応器で行われることができ、当該透過液は、エタノール含有液体であることが意図される。
【0207】
前記工程の可溶性のでんぷん加水分解産物はまた、例えば、クエン酸、グルタミン酸モノナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、グルコノデルタ−ラクトン、又はエリソルビン酸ナトリウム等の発酵生産物へ、処理されたでんぷんを発酵する工程を含む発酵生産物の生産にも使用されることが出来る。
【0208】
α−アミラーゼ変異体のでんぷん分解活性は、基質としてジャガイモでんぷんを用いて決定されることが出来る。当該方法は、酵素による修飾されたジャガイモでんぷんの分解に基づき、反応の後に、でんぷん/酵素溶液のサンプルとヨウ素溶液とを混合する工程が続く。初めは、黒に近い青色が形成されるが、でんぷんの分解中は、青色が薄くなり、徐々に、色ガラスの基準と比べ、赤に近い茶色へと変化していく。
【0209】
9.繊維製品の糊抜き組成物及びその使用法
1以上のα―アミラーゼを用いた繊維処理(例えば、繊維製品の糊抜き)の組成物及び方法も意図される。α―アミラーゼ変異体は、当該技術分野でよく知られる、任意の繊維処理方法で使用されることが出来る(例えば、米国特許第6,077,316号等参照)。例えば、一の側面において、繊維の感触と外観は、繊維と溶液中の酵素変異体とを接触させる工程を含む方法により改良される。一の側面において、繊維は圧力下おいて溶液で処理される。
【0210】
一の側面において、酵素は、繊維製品を織る工程の間又は後に、又は糊抜き工程、又は1以上の追加的な繊維処理工程の間で適用される。繊維製品を織る間、糸は相当な機械的負担にさらされる。機械的な織機で織る前に、引張り強度を増加し、破壊を避けるために、縦糸はしばしば、糊付けでんぷん又はでんぷん誘導体でコーティングされる。α―アミラーゼ変異体は、これらの糊付けでんぷん又はでんぷん誘導体を除去するのに適用されることが出来る。繊維製品が織られた後、繊維は糊抜き工程に進むことが出来る。当該工程は、1以上の追加の繊維処理工程が後に続くことが出来る。糊抜きは、繊維製品から糊を除去する行為である。均質かつ洗濯試験結果を確実にするため、織る工程の後、糊のコーティングは、繊維を処理する後の工程の前に、除去されるべきである。また、酵素変異体の活動による糊の酵素学的加水分解を含む、糊抜きの方法も提供される。α―アミラーゼ変異体は、単独又は他の糊抜き化学試薬及び/又は例えば、水性組成物中等で、綿含有繊維を含み、繊維の糊抜きをする、洗剤添加物としての糊抜き酵素と共に使用されることが出来る。前記α―アミラーゼ変異体はまた、藍染めのデニム繊維及び衣服上にストーンウォッシュの外観を作り出すのに用いられる組成物及び方法でも使用されることが出来る。衣類の製造において、繊維は切断かつ縫われ、その後に完成される衣類又は衣服になることが出来る。特に、デニムジーンズの製造において、異なる酵素の仕上げ方法が開発されてきた。デニム衣服の仕上げは通常、酵素の糊抜き工程で開始され、その間衣服は、繊維に柔軟性を与え、その後の酵素の仕上げ工程へ綿をより利用しやすくする、でんぷん分解酵素の活動対象になる。α―アミラーゼ変異体は、デニム衣服の仕上げ方法(例えば、「バイオストーニング処理(bio−stoning process)」等)、酵素の糊抜き及び繊維に柔軟性を与える方法、及び/又は、仕上げ処理として使用されることが出来る。
【0211】
10.ベーキング及び食品調製に用いられる組成物及びその方法
ベーキング及び食品生産に用いられる小麦粉の商業及び家庭での使用において、小麦粉中のα―アミラーゼ活性を適正レベルに維持することは重要である。高すぎる活性レベルは、粘つく及び/又は締まりのない、商品として売れない製品をもたらすことになり得る。しかしながら、α―アミラーゼ活性が不十分な小麦粉は、適切なイースト機能のための十分な砂糖を含まず、乾燥して、もろいパンをもたらし得る。従って、α―アミラーゼ変異体ポリペプチド単独又は別のα―アミラーゼとの組み合わせが加えられ、小麦粉内の内因性α―アミラーゼ活性のレベルを増加することが出来る。α−アミラーゼは通常、でんぷんの存在下で、例えば、30−90℃、50−80℃、55−75℃、又は60−70℃の範囲で温度最適条件を有する。温度最適条件は、pH5.5における可溶性でんぷんの1%溶液で測定されることが出来る。
【0212】
ベーキングでの穀物及び他の植物生産物の使用に加え、トウモロコシ、ホップ、米等の植物成分と同様に大麦、燕麦、小麦等の穀物が、商業及び家庭での醸造に使用される。醸造に使用される成分は、麦芽にされていないか、又は、麦芽にされている、すなわち、部分的に発芽されていて、α−アミラーゼを含む、酵素レベルの増加をもたらすことが出来る。醸造の成功において、α−アミラーゼ酵素活性の十分なレベルが、発酵における砂糖の適切なレベルを確実にするために必要とされる。従って、α−アミラーゼ変異体ポリペプチド単独又は他のα−アミラーゼとの組み合わせが、醸造に用いられる成分に加えられることが出来る。
【0213】
本明細書で用いられる「小麦粉」の語は、製粉されたか又は挽かれた穀物を意味する。「小麦粉」の語はまた、サゴ又は挽かれたか又はすり潰された塊茎生産物をも意味することが出来る。いくつかの実施態様において、製粉されたか又はすり潰された穀物又は植物に加えて、小麦粉はまた成分を含むことが出来る。限定することを意図しないが、追加的成分の例は、膨脹剤である。穀物は、小麦、オート麦、ライ麦、及び大麦を含む。塊茎生産物は、タピオカ粉、カッサバ粉、及びカスタードパウダーを含む。「小麦粉」の語はまた、挽かれたトウモロコシの粉、コーンミール、米粉、全粒小麦、セルフライジング・フラワー、タピオカ粉、カッサバ粉、挽かれた米、栄養強化小麦粉、及びカスタードパウダーを含む。
【0214】
本明細書で用いられる「ストック」の語は、圧搾されたか又は破損された穀物及び植物の成分を意味する。例えば、ビール生産に使用される大麦は、発酵のためのどろどろの状態を作り出すのに適切な稠度を得るために、粗く挽かれた又は圧搾された穀物である。本明細書で用いられる「ストック」の語は、圧搾されたか又は粗く挽かれた状態の、前述のタイプの任意の植物及び穀物を含む。本明細書で記述される方法は、小麦粉及びストックの両方でのα−アミラーゼ活性レベルを決定するのに使用されることが出来る。
【0215】
α−アミラーゼ変異体ポリペプチドはさらに、老化、すなわち、焼き製品の柔らかい部分の固化を予防又は抑制するために、単独で又は他のアミラーゼと組み合わせて加えられることができる。抗老化アミラーゼの量は通常、小麦粉のkg当たり、酵素タンパク質で0.01−10mg、例えば、1−10mg/kgの範囲となる。α−アミラーゼ変異体ポリペプチドと組み合わせて使用され得る追加的抗老化アミラーゼは、例えば、バチルス由来の細菌性エンドアミラーゼ(bacterial endo−amylase)等のエンドアミラーゼを含む。追加的アミラーゼは、マルトジェニックα−アミラーゼ(EC3.2.1.133)、例えば、バチルス由来とすることが出来る。Novamyl(登録商標)は、B.stearothermophilus株NCIB11837由来の適したマルトジェニックα−アミラーゼであり、Christophersen他、Starch、50(1)、39−45ページ(1997年)で記述される。抗老化エンドアミラーゼの他の例は、B.licheniformis又はB.amyloliquefaciens等のバチルス由来の細菌性α−アミラーゼを含む。抗老化アミラーゼは、大豆等の植物起源又はバチルス等の微生物起源の、例えば、β―アミラーゼ等のエクソアミラーゼ(exo−amylase)とすることが出来る。
【0216】
α−アミラーゼ変異体ポリペプチドを含むベーキング組成物はさらに、ホスホリパーゼを含むことが出来る。ホスホリパーゼには、リン脂質から脂肪酸を除去し、リゾリン脂質を形成する、A又はA活性を有することが出来る。それは、リパーゼ活性、すなわち、トリグリセリド上の活性を有する又は有しないことが出来る。ホスホリパーゼは通常、30−90℃、例えば、30−70℃の範囲で温度最適条件を有する。加えられたホスホリパーゼは、例えば、ウシのすい臓又はブタのすい臓等のすい臓、ヘビ毒液又はハチ毒液等の動物起源のものとすることが出来る。あるいは、ホスホリパーゼは、例えば、糸状菌類、酵母又は、例えば、アスペルギルス属又は種、A.niger、ジクチオステリウム(Dictyostelium)属又は種、D.discoideum、ムコール属又は種、M.javanicus、M.mucedo、M.subtilissimus、アカパンカビ属又は種、N.crassa、リゾムコール(Rhizomucor)属又は種、R.pusillus、クモノスカビ(Rhizopus)属又は種、R.arrhizus、R.japonicus、R.stolonifer、スクレロチニア(Sclerotinia)属又は種、S.libertiana、白癬菌属又は種、T.rubrum、ウェツェリニア(Whetzelinia)属又は種、W.sclerotiorum、バチルス属又は種、B.megaterium、B.subtilis、シトロバクター属又は種、C.freundii、エンテロバクター属又は種、E.aerogenes、E.cloacae、エドワードシエラ属又は種、E.tarda、Etwinia、E.herbicola、エシェリキア属又は種、E.coli、クレブシエラ属又は種、K.pneumoniae、プロテウス属又は種、P.vulgaris、プロビデンシア属又は種、P.stuartii、サルモネラ属又は種、S.typhimurium、セラチア属又は種、S.liquefasciens、S.marcescens、シゲラ属又は種、S.flexneri、ストレプトミセス属又は種、S.violeceoruber、エルシニア属又は種、Y.enterocolitica、赤カビ属又は種、F.oxysporum、DSM2672株)等の細菌のような微生物起源の物とすることが出来る。
【0217】
ホスホリパーゼは、ベーキング後、特に最初の24時間後の初期のパンの柔軟性を改良する量で加えられる。ホスホリパーゼの量は通常、小麦粉のkg当たり、酵素タンパク質で0.01−10mg、例えば、0.1−5mg/kgの範囲となる。すなわち、ホスホリパーゼ活性は一般に、20−1000リパーゼ単位(LU)/kgの小麦粉の範囲にあり、ここでリパーゼ単位は、乳化剤としてのアラビアゴム及び基質としてのトリブチリンと共に、pH7.0、30℃で、分当たり1μmolの酪酸を放出するのに要する酵素量として定義される。
【0218】
パン生地の組成物は一般に、小麦全粒粉又は小麦粉、及び/又は、例えば、コーンフラワー、コーンスターチ、ライ麦穀粉、ライ麦粉、エンバク粉、オートミール、大豆粉、モロコシ穀粉、モロコシ粉、ジャガイモ穀粉、ジャガイモ粉又はジャガイモでんぷん等の他のタイプの穀粉、小麦粉又はでんぷんを含む。パン生地は、生であるか、冷凍又はパーベーク(par−baked)されることが出来る。パン生地は、発酵生地又は発酵の対象となるパン生地とすることが出来る。パン生地は、化学膨張剤、例えば、重炭酸ナトリウム等を加えるか、又は、パン種、すなわち、発酵剤、を加えることによる等の多様な方法で発酵されることが出来る。パン生地はまた、例えば、商業的に入手可能なS.cerevisiae株等のSaccharomyces cerevisiae(パン酵母)の培地のような適した酵母培地を加えることにより発酵されることが出来る。
【0219】
パン生地はまた、他の従来のパン生地成分、例えば、粉ミルク、グルテン、醤油等のタンパク質、卵(全卵、卵黄又は卵白のいずれか)、アスコルビン酸、臭素酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、アゾジカーボンアミド(ADA)又は過硫酸アンモニウム等の酸化剤、L−システイン等のアミノ酸、砂糖、又は、塩化ナトリウム、カルシウム酢酸塩、硫酸ソーダ又は硫酸カルシウム等の塩を含むことが出来る。パン生地はさらに、脂肪、例えば、粒状にされた脂肪又はショートニングのようなトリグリセリド等を含むことが出来る。パン生地はさらに、モノ−又はジグリセリド、モノ−又はジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、脂肪酸の糖エステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、モノグリセリドの乳酸エステル、モノグリセリドの酢酸エステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、又はリゾレシチン等の乳化剤を含むことが出来る。特に、乳化剤の添加なしでパン生地を作ることが出来る。
【0220】
任意に、追加の酵素が、抗老化アミラーゼ及びホスホリパーゼと共に使用されることが出来る。追加の酵素は、アミログルコシダーゼ、β−アミラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ等の第二のアミラーゼとするか、又は、追加の酵素は、ペプチダーゼ、特にエクソペプチダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、特に、例えば、キシラナーゼ、プロテアーゼ、WO95/00636等で開示されるタンパク質ジスルフィドイソメラーゼのようなタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ等のペントサナーゼ(pentosanase)、グルカノトランスフェラーゼ、分枝化酵素(1,4−α−グルカン分枝化酵素)、4−α−グルカノトランスフェラーゼ(デキストリン糖転移酵素)又はペルオキシダーゼ等のオキシドレダクターゼ、ラッカーゼ、グルコース酸化酵素、ピラノース酸化酵素、リポキシゲナーゼ、L−アミノ酸酸化酵素又は炭水化物酸化酵素とすることが出来る。追加の酵素は、哺乳類及び植物、及び特に微生物(細菌、酵母又は真菌)起源のものを含む、任意の起源のものとすることができ、当該技術分野で慣習上使用される技術で得られることが出来る。
【0221】
キシラナーゼは通常、微生物起源があって、例えば、アスペルギルス属の株、特に、A.aculeatus、A.niger(例えば、WO91/19782等)、A.awamori(例えば、WO91/18977等)、又はA.tubigensis(例えば、WO92/01793等)、例えば、T.reesei等のトリコデルマ属、例えば、H.insolens等(例えば、WO92/17573等)のフミコラ属の株に由来する等の細菌又は菌類に由来する。Pentopan(登録商標)及びNovozym384(登録商標)は、Trichoderma reeseiから生産された商業的に入手可能なキシラナーゼ調製品である。アミログルコシダーゼは、A.nigerアミログルコシダーゼ(例えば、AMG(登録商標)等)とすることが出来る。他の有用なアミラーゼ製品は、Grindamyl(登録商標)A1000又はA5000(グリンドステッド・プロダクツ(Grindsted Products)、デンマークから入手可能)を含む。グルコース酸化酵素は、菌性グルコース酸化酵素、特に、Aspergillus nigerグルコース酸化酵素(例えば、Gluzyme(登録商標)等)とすることが出来る。模範的なプロテアーゼは、Neutrase(登録商標)である。模範的なリパーゼは、サーモミセス(フミコラ)属、リゾムコール属、カンジダ属、アスペルギルス属、クモノスカビ属、又はシュードモナス属の株、特に、Thermomyces lanuginosus(Humicola lanuginosa)、Rhizomucor miehei、Candida antarctica、Aspergillus niger、Rhizopus delemar又はRhizopus arrhizus又はPseudomonas cepaciaに由来することが出来る。特定の実施態様において、リパーゼは、例えば、WO88/02775等で記述されるような、Candida antarcticaに由来するリパーゼA又はリパーゼBとするか、又は、リパーゼは、例えば、EP238,023等で記述されるようなRhizomucor miehei、例えば、EP305,216等で記述されるHumicola lanuginosa、又は、例えば、EP214,761及びWO89/01032等で記述されるPseudomonas cepaciaに由来することが出来る。
【0222】
前記工程は、柔らかいかパリッとした性質のいずれか、白色タイプ、色の薄いタイプ、又は濃いタイプのいずれかの、任意の種類の生地から調製される焼き製品に使用されることが出来る。例は、パン、特に、通常、ローフ又はロールの形状の白、全粒小麦又はライ麦パン、フレンチバゲットタイプパン、ピタパン、トルティーヤ、ケーキ、パンケーキ、ビスケット、クッキー、パイクラスト、クリスプパン、蒸しパン、ピザ等である。
【0223】
別の実施態様において、α−アミラーゼ変異体ポリペプチドは、抗老化アミラーゼ、ホスホリパーゼ、及びリン脂質と共に小麦粉を含む、プレミックスの状態で使用されることが出来る。前記プレミックスは、他のパン生地及び/又はパンを改良する添加物、例えば、上述の酵素を含む、任意の添加物等を含むことが出来る。一の側面において、α−アミラーゼ変異体ポリペプチドは、ベーキング添加物として用いられる抗老化アミラーゼ及びホスホリパーゼを含む、酵素調製品の成分である。
【0224】
酵素調製品は、任意に顆粒又は凝集粉の形態をとる。前記調製品は、25から500μmの範囲にある粒子の(重量で)95%を超える狭い粒子径分布を有することが出来る。顆粒及び凝集粉は、例えば、流動造粒機の担体にα−アミラーゼ変異体ポリペプチドをスプレーする工程による等の従来方法で調製されることが出来る。前記担体は、適した粒径を有する微粒子の核から成り得る。前記担体は、可溶性であるか、又は、不溶性であり、例えば、塩(NaCl又は硫酸ソーダ等)、砂糖(ショ糖又は乳糖等)、糖アルコール(ソルビット等)、でんぷん、米、挽き割りトウモロコシ、又は大豆等である。
【0225】
別の側面において、α―アミラーゼ変異体ポリペプチドを含む粒子、すなわち、α―アミラーゼ粒子を覆うことが意図される。覆われたα―アミラーゼ粒子を調製するため、前記酵素と、α―アミラーゼ粒子の全体を懸濁するのに十分な量の食品用脂質とを接触させる。本明細書で用いられる食品用脂質は、水に不溶であるが、炭化水素又はジエチル・エーテル等の無極性有機溶媒で可溶である、任意の天然に有機的な化合物とすることが出来る。適した食品用脂質は、飽和又は不飽和のいずれかの状態の、脂肪又は油のいずれかの形態のトリグリセリドを含むが、それらに限られない。飽和トリグリセリドを構成する脂肪酸及びそれらの組み合わせの例は、酪酸(乳脂肪由来)、パルミチン酸(動物及び植物の脂肪由来)、及び/又はステアリン酸(動物及び植物の脂肪由来)を含むが、それらに限られない。不飽和トリグリセリドを構成する脂肪酸及びそれらの組み合わせの例は、パルミトレイン酸(動物及び植物の脂肪由来)、オレイン酸(動物及び植物の脂肪由来)、リノール酸(植物油由来)、及び/又はリノレン酸(リンシード・オイル由来)を含むが、それらに限られない。他の適した食品用脂質は、上述のトリグリセリドに由来するモノグリセリド及びジグリセリド、リン脂質及び糖脂質を含むが、それらに含まれない。
【0226】
脂質材料がα−アミラーゼ粒子の少なくとも大部分、例えば、100%のα−アミラーゼ粒子等の、表面の少なくとも一部を覆う方法で、食品用脂質、特に、液体状のものと、粉末状のα−アミラーゼ粒子とを接触させる。α−アミラーゼ粒子はその結果、個別に脂質で覆われる。例えば、全て又は実質的に全てのα−アミラーゼ粒子が、脂質の薄く、絶え間のない、外包フィルムと共に提供される。これは、大量の脂質を容器に注ぎ入れる最初の工程、次にα−アミラーゼ粒子を懸濁化し、前記脂質が各α−アミラーゼ粒子の表面を完全に湿らす工程により達成されることが出来る。短時間の攪拌の後、表面に十分な量の脂質を運ぶ、被覆されたα−アミラーゼ粒子が回収される。α−アミラーゼの粒子に適用されるコーティングの厚さは、使用される脂質タイプの選択により、及び、より厚いフィルムを構成するように、所望の厚さまで同じ操作を繰り返すことにより、コントロールされることが出来る。
【0227】
前記充填された送達ベヒクル(loaded delivery vehicle)の保存、処理及び取り込みは、パッケージ・ミックスを用いて達成されることが出来る。パッケージ・ミックスは、被覆されたα−アミラーゼを含むことが出来る。しかしながら、パッケージ・ミックスはさらに、製造者又はベーカーの必要に応じて追加成分を含むことが出来る。被覆されたα―アミラーゼがパン生地に組み込まれた後、ベーカーはその製品における通常の製造工程を続ける。
【0228】
α―アミラーゼ粒子を被覆する利点は、二重ということである。第一に、食品用脂質は、熱変化しやすい当該酵素において、焼き工程での熱変性から酵素を保護する。その結果、α―アミラーゼが発酵工程及び焼き工程で安定化及び保護される一方、α―アミラーゼは、最終的な焼き製品中で保護コーティングから放出され、ポリグルカンのグルコシド結合を加水分解する。充填された送達ベヒクルはまた、焼き製品内の活性酵素の持続放出を提供する。これは、焼き工程に続いて、活性α―アミラーゼが、老化メカニズムに対抗し、老化の速度を減少させる速度で、保護コーティングから継続的に放出される。
【0229】
一般的に、α―アミラーゼ粒子に適用される脂質の量は、脂質の性質、α―アミラーゼ粒子へ適用される方法、処理される生地混合物の組成物、及び含まれる生地混合操作の程度に依存して、α―アミラーゼの総重量の数パーセントからその重量の数倍にまで変化することが出来る。
【0230】
充填された送達ベヒクル、すなわち、脂質で覆われた酵素は、焼き製品を調製するために、前記焼き製品の寿命を延ばすのに有効な量で、使用される成分に加えられる。ベーカーは、所望の抗老化効果が達成されるのに要する、上述のように調製された被覆α―アミラーゼの量を計算する。必要とされる被覆α―アミラーゼの量は、被覆される酵素の濃度及び指定される小麦粉のα―アミラーゼの割合に基づいて計算される。広範囲の濃度が効果的であることが知られているが、議論されてきたように、抗老化における観察可能な改良は、α―アミラーゼ濃度と直線的には対応せず、上述の所定の最小量レベルにおいて、α―アミラーゼ濃度の大幅な増加は、微小な更なる改良を引き起こすのみである。ベーカーの不注意による計量ミスに対していくらかの保険をベーカーに提供するために、実際に特定のパン製造で使用されるα―アミラーゼ濃度は、必要最低量よりはるかに多くすることが可能である。酵素濃度の最低限度は、ベーカーが達成を望む、最低の抗老化効果により決定される。
【0231】
焼き製品の調製方法は、以下を含む。すなわち、前記調製方法は、(a)実質的に100パーセントのα―アミラーゼ粒子がコーティングされる、脂質でコーティングされたα―アミラーゼ粒子の調製工程、(b)小麦粉を含むパン生地の混合工程、(c)混合が完了する前に、脂質でコーティングされたα―アミラーゼを前記生地に加え、α―アミラーゼから脂質のコーティングが剥がれる前に混合を終了させる工程、(d)前記生地を発酵させる工程、及び(e)前記生地を焼き、焼き製品を提供する工程を含み、ここで、前記α―アミラーゼが混合、発酵及び焼き工程で不活性であり、焼き製品で活性である。
【0232】
被覆されるα―アミラーゼは、混合サイクル中、例えば、混合サイクルの終盤辺りで生地に加えられる。被覆されたα―アミラーゼは、混合工程の時点で加えられ、生地全体を通して十分に分散されるが、α―アミラーゼ粒子から保護コーティングが剥がれる前に混合工程は終了される。被覆されたα−アミラーゼを生地に混合するのに必要な時間は、生地のタイプや体積、及び混合動作や速さに依存して、1から6分又はそれ以上であるが、2から4分が平均である。従って、いくつかの変数が正確な進行を決定することが出来る。第一に、被覆されたα−アミラーゼの量は、生地ミックスの全体を通して被覆されたα−アミラーゼが分散するのに十分な全容積とするべきである。被覆されたα−アミラーゼの調製品が、高濃縮されている場合、被覆されたα−アミラーゼが生地に加えられる前に、追加の油をプレミックスに加えることが必要とされ得る。レシピ及び製造工程で、特定の修飾が必要とされ得る。しかしながら、パン生地配合物中で特定の油の25%が前記生地に提供され、α−アミラーゼが混合サイクルの終盤で加えられた時に、濃縮された被覆α−アミラーゼの担体として使用される場合、一般的に良い結果を得ることが出来る。パン又は他の焼き製品、極端に低い脂肪を成分として含むレシピ(例えば、フランス式パン等)において、乾燥小麦粉の重量のおよそ1%の被覆されたα−アミラーゼ混合物が、被覆されたα−アミラーゼと生地とを適切に混ぜるのに十分とされることが知られてきた。しかしながら、有効なパーセンテージの範囲は、極端に広く、配合、最終製品、及び個々のベーカーの製法条件に依存する。次に、被覆されたα−アミラーゼの懸濁液は、生地との完全な混合のために、混合サイクル中で十分な時間とを残してミックスに加えられるべきである。しかしながら、それは、過度の機械的な動作により、保護脂質コーティングが被覆されたα−アミラーゼ粒子の大部分から剥がれる程、早期であるべきでない。
【0233】
別の実施態様において、細菌性α―アミラーゼ(BAA)は、α−アミラーゼ変異体ポリペプチドを含む、脂質でコーティングされた粒子に加えられる。BAAは、その過度の耐熱性のため、パンをガム状の固まりに低下させ、また、完全に焼かれたパンのローフ中で活性を保つ。しかしながら、BAAが脂質でコーティングされた粒子に組み込まれる場合、たとえ非常に低いBAA投与レベルであっても、実質的な更なる抗老化保護が得られる。例えば、100ポンドの小麦粉当たり、150RAU(基準アミラーゼ単位(Reference Amylase Units))のBAA投与量が、有効であることがわかっている。一の実施態様において、BAAの約50から2000RAUが、脂質でコーティングされた酵素製品に加えられる。当該低BAA投与量レベルは、(水蒸気により無作為に酵素がそのコーティングから放出される場合を除き)でんぷんとの自由な接触から、完全に焼かれたローフ中の酵素を保つ保護コーティングの機能と組み合わされて、BAAの負の副作用が生じることなく、非常に高いレベルの抗老化活性の達成に役立つ。
【0234】
意図される使用法の目的及び範囲から離れることなく、同様に使用する組成物及び方法において、多様な修飾及び変更が行われることは、当業者に明らかである。従って、これらの提供される修飾及び変更は、添付される特許請求の範囲及びそれらに相当するものの範囲内である。
【0235】
上述で引用される全ての参考文献は、全ての目的において、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0236】
実施例1
α−アミラーゼの開発における初期段階として、上述の多様な配合において、有利な性能特性を示すα−アミラーゼ変異体を選んだ。代表なα−アミラーゼは、バチルス・エスピー#707菌(配列番号1、スイスプロット登録番号P19571の残基34−518)由来である。
【0237】
次に、宿主細胞中で優れた発現を示し、バチルス・エスピー#707菌と比較的近い配列同一性を有するα−アミラーゼを特定した。当該α−アミラーゼは、バチルス・エスピーA7−7菌(DSM12368)α−アミラーゼ(配列番号2、ジェンバンク登録番号CAL48155、配列番号7も参照)である。
【0238】
当該α−アミラーゼの成熟アミノ酸配列の比較は、図1及び以下に示され、上部の配列は、バチルス・エスピー#707菌α−アミラーゼ(配列番号1)に、また、下部の配列は、バチルス・エスピーA7−7菌(DSM12368)α−アミラーゼ(配列番号2)に、由来する。485のアミノ酸配列において、33のアミノ酸の位置のみが異なり、成熟タンパク質において約93%の配列同一性を与える。2つの配列において異なるアミノ酸の位置は、以下で強調される。
【式1】
【0239】

実施例2
次に2つの配列において異なるアミノ酸を、バチルス・エスピー#707菌α−アミラーゼで見られるアミノ酸をバチルス・エスピーA7−7菌(DSM12368)α−アミラーゼで見られるアミノ酸へ置換した発現における潜在的効果について評価した。この場合、3D構造モデルを各々提案された変異体について創造した。ここで、3D構造モデルは、既知のα−アミラーゼ結晶構造に基づく。バチルス・エスピー#707菌α−アミラーゼに用いられる3D構造モデルは、タンパク質データベース・ブルックヘブンPDB/RSCB(Protein Database Brookhaven PDB/RSCB)における1WPCのタンパク質データバンク登録番号(Protein Data Bank Accession Number)を有する。前記構造モデルを、特定アミノ酸の溶剤への露出、及び、どの程度、特定の置換がタンパク質構造を脱安定化させるかについての評価に用いた。最終的に、前記構造モデルを、変異体について疎水性の酵素表面での特定の置換における効果の予測に用いた。溶媒に露出され、タンパク質の疎水性を減少させるアミノ酸の置換が、変異体の発現を改良すると予想される。以下の表1で、様々な可能性のあるアミノ酸の変化を列挙し、これらの評価基準の観点から各々を評価している。
【表1】




【0240】
実施例3
上述の構造モデルに基づいて、以下の置換が特に有利であると予想される。すなわち、N28R、S36D、M116W、R172Q、H183D、S255N、及びA256Tである。また、有利であると予想されるものは、S83N、R142K、A186G、N251T、F441Y、S452R及びK485Nの置換である。例えば、Sambrook他、分子クローニング・研究室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、第2版、コールドスプリングハーバー研究所出版、1989年及び第3版、2001年等で記述されるような、当該技術分野で周知のタンパク質工学的技術で置換することが出来る。例えば上述の技術で、変異体を発現及び精製する。変異体をさらに、野生型タンパク質と比較した、特定の活性及び発酵ブロスから回収された変異タンパク質のレベルで評価する。
【0241】
変異体は、単一のアミノ酸置換、又は、上述の14残基の全て又はそれらのサブセットの置換を含有する、置換の組み合わせを含むことが出来る。変異体のサブセットを、変異体のコンビナトリアルライブラリを用いて作成し、さらに試験することが出来る。例えば、全ての14変異体を有するタンパク質をコードするヌクレオチドを、制限エンドヌクレアーゼを用いて断片へと分解することが出来る。ここで、各制限断片は1以上の変異をコードする。様々な変異された遺伝子断片と野生型の遺伝子断片とを無作為に混合し、当該技術分野で周知のライゲーション工程を用いて、それらを共にライゲートすることで、ライブラリを構築することが出来る。結果として得られた核酸のうち、多様な変異体のサブセットを有する全長タンパク質をコードするものを選択する。
【0242】
実施例4
改良された発現のための707アミラーゼ変異体の構築
6のAmy707アミラーゼ変異体(N28R、S36D、R172Q、H183D、S255N、及びA256T)及び1の二重変異体(S36D/S255N)を、それらの発現を改良するために構築した。
【0243】
コード最適化された、合成バチルス・エスピー#707菌アミラーゼ遺伝子をジーンアート・インク(GeneArt Inc.、トロント、カナダ)から注文し、XhoI断片(プライマーEBS2XhoI RV及びPlatXho5 FWを用いたPCR)としてベクターpICatH(特許WO/2005/052146の図20)にクローニングした。CAT遺伝子に関するAmy707遺伝子のオリエンテーションを、PCRで決定し、両方の遺伝子が同じオリエンテーション(ori1)を有する1のクローンを選択し、pICatH−Amy707(ori1)(図3)と指定した。
【式2】
【0244】

pICatH−Amy707(ori1)をコンピテントB.subtilis株(BG3594comK)に形質転換した。B.subtilis株を、キシロース誘導プロモーター(ハーン他、Mol.Microbiol.、21、763−775ページ、1996年)の制御下で、comK遺伝子の誘導によりコンピテントとして作成した。
【0245】
pICatH−Amy707(ori)プラスミドDNAを、キアゲン・ミニプレップキット(Qiagen miniprep kit)を用いてB.subtilis細胞から単離した。プラスミドpICatH−Amy707アミラーゼのダムメチル化を、50μlのミニプレップDNA(〜10−20ng/μL)、10μLのダムメチラーゼ10xバッファ(NEB)、0.2μLのS−アデノシルメチオニン、4μLのダムメチラーゼ、36μLの滅菌水を用いて、37℃で4時間、行った。反応生成物を、キアクイック(QiaQuik)(キアゲンカラム(Qiagen columns))及び30μLバッファEB(キアゲン)に溶出されたプラスミドDNAを用いて単離した。
【0246】
メチル化されたpICatH−707アミラーゼプラスミドを、ストラタジェン(Stratagene)、ラ・ホーヤ、カリフォルニア州のクイックチェンジXL・マルチサイトディレクティド・ミュータジェネシスキット(QuikChange(登録商標)XL Multi Site−Directed Mutageneses kit)を用いてクイックチェンジ・マルチサイト突然変異生成(Quick−Change Multi−Site mutagenesis、QCMS)の対象とした。反応混合物をメーカーの推奨方法に従い調製し、15μLの無菌水、2.5μLの反応バッファ、lμLdNTPミックス、0.5μLのクイックソリューション(Quik solution)、0.5μLのフォワードプライマー(25μM)、0.5μLのリバースプライマー(25μM)、4μLのpICatH−707アミラーゼメチル化及び精製されたプラスミド(合計〜20−30ng)、1μLのPfuTurbo(登録商標)DNAポリメラーゼから成る、全体として25μLとした。サイクリング条件を、95℃1分1X、95℃1分1X、55℃1分1X、65℃18分30X(Xは繰返しの回数を表した)とした。
【式3】
【0247】

QCMS PCRに続き、1μLの制限酵素DpnIをQCMS反応液に加え、37℃で4時間、インキュベートした。さらに0.5μLのDpnIを加え、さらに37℃で2時間、反応液をインキュベートした。5μLのサンプルバッファ中のDpnIで消化された1μLのQCMS反応液を、95℃で3分間、インキュベートした後、4℃に冷却し、ローリング・サークル増幅(RCA)テンプリファイキット(TempliPhi kit)(アマシャム(Amersham)Cat#256400)を用いて増幅した。5μLの反応バッファ及び0.2μLのPhi29ポリメラーゼをDpnIで消化されたQCMS反応液に加え、30℃で16時間、インキュベートした。反応の終了後、酵素をアマシャムのプロトコール通りに不活性化させた。
【0248】
ローリングサークル増幅反応液を、脱イオン水で10倍に希釈し、2μLのDNAを、100μLのBacillus subtilis(遺伝子型:ΔaprE、ΔnprE、Δepr、ΔispA、Δbpr、degUHy32、oppA、ΔspoIIE3501、amyE::xylRPxylAcomK−ermC)コンピテント細胞の形質転換に使用し、キシロースを用いて誘導した。形質転換反応液を、LB Agar+10ppmのネオマイシン+1%の不溶性でんぷんプレートにまき、37℃で一晩、育成した。
【0249】
突然変異生成反応液毎当たり4のコロニーを選び、個々にマイクロタイタープレート内の20μLの滅菌水に再懸濁し、プレタック・レディトゥゴー・PCRビーズ(puRe Taq Ready−To−Go PCR Beads)(GEヘルスケア)を用いたコロニーPCRに使用した。反応液は、2μLの細胞懸濁液、22μLの水、及び0.5μLの各707PCR F1&R1プライマー(下記の配列表の各25μMストックとして)及びピュアタックビーズ(PureTaq beads)から成った。
【式4】
【0250】

サイクリング条件を、95℃4分1x、95℃1分、53℃1分、72℃1分、25x、72℃5分1xとした。コロニーPCR反応が成功したかの確認のために、アガロース・ゲルに流した。エクソサップ・アイティー(ExoSAP−IT)(GEヘルスケア)をプライマー及びdNTPsの除去に用いた。5μLのPCR産物を2μLのエクソサップ・アイティー剤に加え、反応液を37℃で15分、次に80℃で15分、インキュベートした。
【0251】
クローンを、以下のプライマーを用いた配列解析の為、シーケテック社(Sequetech Corporation)(マウンテンビュー、カルフォルニア州)に送った。
【式5】
【0252】

クローン(N28R−1、S36D−4、R172Q−4、H183D−1、S255N−7、又はA256T−2)を、5μg/mLのクロラムフェニコールと1%の不溶性でんぷんで補強されたLBプレート上に、縞状に付着させ、37℃で一晩、育成した。プラスミドを、標準的技術を用いて単離した。
【0253】
本来知られるプロトプラスト法を用いて、事前にシークエンスされたクローンの一つからプラスミドベクターを用いて、宿主B.licheniformis(Δmpr、Δapr、Δcat)を形質転換した。Amy707アミラーゼ、N28R、S36D、R172Q、H183D、及びS255Nについて、形質転換体を得た。全ての形質転換体株で、ホストゲノム及び輪状のプラスミドDNAに統合された目的の遺伝子(Amy707又は変異体のいずれか)を有していた。
【0254】
実施例5
振盪フラスコ内でのタンパク質の発現
5μg/mLのクロラムフェニコール(CMP)から75μg/mLのCMPにまでの段階的な方法で、形質転換されたB.licheniformis細胞を、振盪フラスコを用いて75μg/mLのCMPに増幅し、次に、単一の、でんぷんを除去したコロニーが得られるまで、前記形質転換されたB.licheniformis細胞をプレートした。R172Q、H183D、及びS36D/S255NについてB.licheniformis細胞中で得られた形質転換体を統合、輪状にし、50μg/mLのCMPに育成するまで増幅した。B.licheniformis中でN28R、S36D、及びS255Nについて得られた形質転換体を統合、輪状にし、5μg/mLのCMPにまで育成した。
【0255】
振盪フラスコでの成長において、変異体の単一コロニーを選び、適切な濃度の5mLのLB+クロラムフェニコールを含む背の高いグラスチューブ中に植菌し、5−6時間、前培養地を得るために育成させた。250mLのバッフル振盪フラスコを、50mLの振盪フラスコ培地(リン酸カリウムベース、4%乳糖、2%ニュートリソイ(Nutrisoy))で満たし、1mLの前培養地に植菌し、37℃、250rpmで90時間、インキュベートした。アリコートを遠心にかけ、培養上清を回収した。前記培養上清は、アミラーゼ活性の分析に用いるか、次の使用時まで−20℃で凍結させた。
【0256】
実施例6
この実施例において、振盪フラスコで育成され、B.licheniformisで発現された、バチルス・エスピー#707菌アミラーゼ及び707アミラーゼの単一位置の変異体(R172Q、H183D、及びS255N)及び二つの位置での変異体(S36D/S255N)のアミラーゼ活性を以下で記述するように、メガザイム・セラルファ・アッセイ(Megazyme Ceralpha Assay)を用いて試験した。
【0257】
アミラーゼ活性のためのメガザイム・セラルファ・アッセイ
この分析評価は、メガザイム・エンドα−アミラーゼキット(Megazyme endo alpha−amylase Kit)K−CERA08/05(AOAC法2002.01、メガザイム・インターナショナル・アイルランド)のための公表されたプロトコールの修正されたものである。試薬バイアルは、非還元末端ブロックp−ニトロフェニールマルトヘプタオシド(non−reducing end−blocked p−nitrophenyl maltoheptaoside)(BPNPG7、54.5mg)及び熱安定性アルファグルコシダーゼ(pH6.0で125U)である基質を含む。前記分析評価を行うため、一のバイアルの全成分を、10.0mLの蒸留水に溶解した。2mLのアリコートを15mLスクリューキャップチューブ内に凍結して保存した。6mLのアッセイバッファ(50mM Naリンゴ酸、2.6mM CaCl、50mM NaCl、0.002%のトリトンX−100、pH6.7)を使用する前に、各チューブに加えた。バッファ中の0.79mLの基質溶液を、(好ましくはマスクされた)キュベットに加えた。キュベットをホルダーに置き、ブランク値を得た。次に、(アッセイバッファで希釈された)10μLの酵素サンプルをキュベットに加え、分析評価を開始した。分当たりの吸光度を、400nm又は410nmで測定し、値を希釈度及びタンパク質濃度で補正した。各変異体におけるアミラーゼ活性を任意単位で報告し、図4で示した。
【0258】
上記で引用される全ての参照文献は、全ての目的において、全体として参照により本明細書に取り込まれる。
【0259】
配列表
【配列番号1】
【0260】

【配列番号2】
【0261】

【配列番号3】
【0262】

【配列番号4】
【0263】

【配列番号5】
【0264】

【配列番号6】
【0265】

【配列番号7】
【0266】

【配列番号8】
【0267】

【配列番号9】
【0268】

【配列番号10】
【0269】

【配列番号11】
【0270】

【配列番号12】
【0271】

【配列番号13】
【0272】

【配列番号14】
【0273】

【配列番号15】
【0274】

【配列番号16】
【0275】

【配列番号17】
【0276】

【配列番号18】
【0277】

【配列番号19】
【0278】

【配列番号20】
【0279】

【配列番号21】
【0280】

【配列番号22】
【0281】

【配列番号23】
【0282】

【配列番号24】
【0283】

【配列番号25】
【0284】

【配列番号26】
【0285】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型の第一のαアミラーゼ変異体をコードする単離核酸であって、
(a)前記α−アミラーゼ変異体が野生型の第一のαアミラーゼと比べ、少なくとも一の修飾されたアミノ酸を含み、
(b)前記α−アミラーゼ変異体がα−アミラーゼ活性を示し、さらに
(c)前記少なくとも一の修飾されたアミノ酸が、第二のα−アミラーゼのアミノ酸配列に対応する位置で見られるアミノ酸と同様であって、
前記第二のα−アミラーゼが発酵ブロスで野生型の第一のαアミラーゼより高い溶解度を有し、そして
変異体α−アミラーゼのアミノ酸配列が、少なくとも一のアミノ酸で前記第二のα−アミラーゼと異なる、前記単離核酸。
【請求項2】
前記α−アミラーゼ変異体がさらに、宿主細胞で、野生型の第一のαアミラーゼの発現レベルより高いレベルで発現されることが可能である、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項3】
前記α−アミラーゼ変異体が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、又は40のアミノ酸の修飾を含む、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項4】
前記α−アミラーゼ変異体が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のアミノ酸で第二のα−アミラーゼとアミノ酸配列が異なる、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項5】
前記野生型の第一のα−アミラーゼ及び第二のα−アミラーゼのアミノ酸配列が、少なくとも60%の配列同一性を共有する、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項6】
前記野生型の第一のα−アミラーゼ及び第二のα−アミラーゼのアミノ酸配列が、少なくとも80%の配列同一性を共有する、請求項5に記載の単離核酸。
【請求項7】
前記野生型の第一のα−アミラーゼ及び第二のα−アミラーゼのアミノ酸配列が、少なくとも90%の配列同一性を共有する、請求項6に記載の単離核酸。
【請求項8】
前記野生型の第一のαアミラーゼ及び第二のα−アミラーゼが、細菌性α−アミラーゼである、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項9】
前記野生型の第一のαアミラーゼ及び第二のα−アミラーゼが、バチルスα−アミラーゼである、請求項8に記載の単離核酸。
【請求項10】
前記野生型の第一のαアミラーゼが、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むバチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼである、請求項9に記載の単離核酸。
【請求項11】
前記第二のα−アミラーゼが、配列番号2又は配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むバチルス・エスピーA7−7菌(DSM12368)α―アミラーゼである、請求項10に記載の単離核酸。
【請求項12】
前記α―アミラーゼ変異体の修飾されたアミノ酸が、N28R、S36D、S83N、M116W、R142K、R172Q、H183D、A186G、N251T、S255N、A256T、F441Y、S452R、及びK485Nから成る群から選択される、請求項11に記載の単離核酸。
【請求項13】
前記α―アミラーゼ変異体の修飾されたアミノ酸が、N28R、S36D、M116W、R172Q、H183D、S255N、及びA256Tから成る群から選択される、請求項12に記載の単離核酸。
【請求項14】
請求項1に記載の核酸を含む、単離宿主細胞。
【請求項15】
請求項1に記載の単離核酸と操作可能に連結されたベクター。
【請求項16】
請求項15に記載のベクターを含む、単離宿主細胞。
【請求項17】
前記細胞が微生物である、請求項14又は16に記載の単離宿主細胞。
【請求項18】
前記微生物が細菌又は菌類である、請求項17に記載の単離宿主細胞。
【請求項19】
前記細菌が、Bacillus subtilis、B.licheniformis、B.lentus、B.brevis、B.stearothermophilus、B.alkalophilus、B.amyloliquefaciens、B.coagulans、B.circulans、B.lautus、B.thuringiensis、Streptomyces lividans、又はS.murinusから成る群から選択されるグラム陽性細菌、又は、エシュリキア種大腸菌又はシュードモナス種のグラム陰性細菌である、請求項18に記載の単離宿主細胞。
【請求項20】
野生型の第一のαアミラーゼ変異体であって、
(a)前記α−アミラーゼ変異体が野生型の第一のαアミラーゼと比べ、少なくとも一の修飾されたアミノ酸を含み、
(b)前記α−アミラーゼ変異体がα−アミラーゼ活性を示し、さらに
(c)前記少なくとも一の修飾されたアミノ酸が、第二のα−アミラーゼのアミノ酸配列に対応する位置で見られるアミノ酸と同様であって、
前記第二のα−アミラーゼが、発酵ブロスで野生型の第一のαアミラーゼより高い溶解度を有し、そして
変異体α−アミラーゼのアミノ酸配列が、少なくとも一のアミノ酸で前記第二のα−アミラーゼと異なる、前記α―アミラーゼ変異体。
【請求項21】
前記α−アミラーゼ変異体がさらに、宿主細胞で、野生型の第一のαアミラーゼの発現レベルより高いレベルで発現されることが可能である、請求項20に記載のα−アミラーゼ変異体。
【請求項22】
前記α−アミラーゼ変異体が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、又は40のアミノ酸の修飾を含む、請求項20に記載のα−アミラーゼ変異体。
【請求項23】
前記α−アミラーゼ変異体が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のアミノ酸で第二のα−アミラーゼとアミノ酸配列が異なる、請求項20に記載のα−アミラーゼ変異体。
【請求項24】
前記野生型の第一のα−アミラーゼ及び第二のα−アミラーゼのアミノ酸配列が、少なくとも60%の配列同一性を共有する、請求項20に記載のα−アミラーゼ変異体。
【請求項25】
前記野生型の第一のα−アミラーゼ及び第二のα−アミラーゼのアミノ酸配列が、少なくとも80%の配列同一性を共有する、請求項24に記載のα−アミラーゼ変異体。
【請求項26】
前記野生型の第一のα−アミラーゼ及び第二のα−アミラーゼのアミノ酸配列が、少なくとも90%の配列同一性を共有する、請求項25に記載のα−アミラーゼ変異体。
【請求項27】
前記野生型の第一のαアミラーゼ及び第二のα−アミラーゼが、細菌性α−アミラーゼである、請求項20に記載のα−アミラーゼ変異体。
【請求項28】
前記野生型の第一のαアミラーゼ及び第二のα−アミラーゼが、バチルスα−アミラーゼである、請求項27に記載のα−アミラーゼ変異体。
【請求項29】
前記野生型の第一のαアミラーゼが、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むバチルス・エスピー#707菌α―アミラーゼである、請求項28に記載のα−アミラーゼ変異体。
【請求項30】
前記第二のα−アミラーゼが、配列番号2又は配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むバチルス・エスピーA7−7菌(DSM12368)α―アミラーゼである、請求項28に記載のα−アミラーゼ変異体。
【請求項31】
前記修飾されたアミノ酸が、N28R、S36D、S83N、M116W、R142K、R172Q、H183D、A186G、N251T、S255N、A256T、F441Y、S452R、及びK485Nから成る群から選択される、請求項29に記載のα−アミラーゼ変異体。
【請求項32】
前記修飾されたアミノ酸が、N28R、S36D、M116W、R172Q、H183D、S255N、及びA256Tから成る群から選択される、請求項31に記載のα−アミラーゼ変異体。
【請求項33】
請求項20から32のいずれかに記載されるα−アミラーゼ変異体を含む、洗剤添加物。
【請求項34】
無塵埃顆粒、微粒、安定化された液体、又は保護された酵素の形態をとる、請求項33に記載の洗剤添加物。
【請求項35】
前記洗剤添加物がさらに、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インヴェルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグクタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、カラギーナーゼ、又は、それらの任意の組み合わせから成る群から選ばれる酵素を含む、請求項33に記載の洗剤添加物。
【請求項36】
前記アミラーゼが、別のα―アミラーゼ、β―アミラーゼ、イソアミラーゼ、又はグルコアミラーゼである、請求項35に記載の洗剤添加物。
【請求項37】
請求項33に記載される洗剤添加物を含む、洗剤組成物。
【請求項38】
セルラーゼ、プロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インヴェルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグクタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、カラギーナーゼ又は、それらの任意の組み合わせから成る群から選ばれる酵素をさらに含む、請求項37に記載の洗剤組成物。
【請求項39】
請求項20から32のいずれかに記載のα−アミラーゼ変異体を含む、手洗い食器洗浄組成物又は自動食器洗浄組成物。
【請求項40】
1以上の界面活性剤、洗剤充填剤、錯化剤、ポリマー、漂白剤システム、安定化剤、起泡力増進剤、石鹸泡抑制剤、防腐食剤、土壌懸濁化剤、再汚染防止剤、染料、殺菌剤、向水性物質、曇り防止剤、及び香料をさらに含む、請求項39に記載の手洗い食器洗浄組成物又は自動食器洗浄組成物。
【請求項41】
セルラーゼ、プロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インヴェルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグクタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、カラギーナーゼ又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選ばれる酵素をさらに含む、請求項39に記載の手洗い食器洗浄組成物又は自動食器洗浄組成物。
【請求項42】
請求項39に記載の手洗い食器洗浄組成物又は自動食器洗浄組成物を投与することを含む、食器の洗浄方法。
【請求項43】
請求項20から32のいずれかに記載のα−アミラーゼ変異体を含む、洗濯洗剤添加物。
【請求項44】
請求項43に記載の洗濯洗剤添加物と、さらに1以上の界面活性剤、洗剤充填剤、錯化剤、ポリマー、漂白剤システム、安定化剤、起泡力増進剤、石鹸泡抑制剤、防腐食剤、土壌懸濁化剤、再汚染防止剤、染料、殺菌剤、向水性物質、蛍光増白剤、柔軟剤、及び香料とを含む、洗濯洗剤組成物。
【請求項45】
請求項43に記載の洗濯洗剤添加物を投与することを含む、洗濯の方法。
【請求項46】
請求項20から32のいずれかに記載のα−アミラーゼ変異体を含む、生物膜加水分解組成物。
【請求項47】
前記組成物が、溶液、粉、ペースト、ゲル、液体、軟膏、タブレット又はゲルの形態をとる、請求項46に記載の生物膜加水分解組成物。
【請求項48】
セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、抗菌剤、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項46に記載の生物膜加水分解組成物。
【請求項49】
請求項46に記載の組成物を、生物膜を加水分解するのに十分な時間投与することを含む、生物膜を加水分解する方法。
【請求項50】
水溶液中に請求項20から32のいずれかに記載のα−アミラーゼ変異体を含む、でんぷん処理組成物。
【請求項51】
グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、フィターゼ又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項50に記載のでんぷん処理組成物。
【請求項52】
請求項49に記載の組成物を、でんぷんを処理するのに十分な時間投与することを含む、でんぷんを処理する方法。
【請求項53】
溶液中に請求項20から32のいずれかに記載のα−アミラーゼ変異体を含む、でんぷん糖化組成物。
【請求項54】
請求項53に記載の組成物を、でんぷんを糖化するのに十分な時間投与することを含む、でんぷんを糖化する方法。
【請求項55】
溶液中に請求項20から32のいずれかに記載のα−アミラーゼ変異体を含む、でんぷん液化組成物。
【請求項56】
請求項55に記載の組成物を、でんぷんを液化するのに十分な時間投与することを含む、でんぷんを液化する方法。
【請求項57】
溶液中に請求項20から32のいずれかに記載のα−アミラーゼ変異体を含む、繊維製品の糊抜き組成物。
【請求項58】
別の酵素をさらに含む、請求項57に記載の繊維製品の糊抜き組成物。
【請求項59】
請求項57に記載の繊維製品の糊抜き組成物を、繊維製品を糊抜きするのに十分な時間投与することを含む、繊維製品を糊抜きする方法。
【請求項60】
溶液中又はゲル中に請求項20から32のいずれかに記載のα−アミラーゼ変異体を含む、ベーキング組成物。
【請求項61】
請求項60に記載のベーキング組成物を投与することを含む、ベーキングの方法。
【請求項62】
請求項20から32のいずれかに記載のα−アミラーゼ変異体の使用。
【請求項63】
食器の洗浄、洗濯、生物膜の加水分解、でんぷんの処理、でんぷんの糖化、でんぷんの液化、繊維製品の糊抜き、又はベーキングに用いられる、溶液中での請求項20から32のいずれかに記載のα−アミラーゼ変異体の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2010−529837(P2010−529837A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510331(P2010−510331)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/006787
【国際公開番号】WO2008/153815
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(508377015)ダニスコ・ユーエス・インク、ジェネンコー・ディビジョン (31)
【Fターム(参考)】