説明

発電システム、および発電方法

【課題】白煙防止空気からの熱回収を行わなくても、排煙処理塔からの洗浄液を発電の低温熱源として用いて十分に発電し得る発電システムを提供すること。
【解決手段】焼却炉2からの排ガスを気液向流接触により洗浄処理する排煙処理塔6から取り出した洗浄液が有する熱、および焼却炉2からの排ガスを熱源として蒸気を発生させる排熱ボイラ33から供給される蒸気の有するエネルギーで発電する蒸気発電機34からの排蒸気が有する熱、を利用して排熱発電装置10にて発電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水汚泥焼却施設、ごみ焼却施設、火力発電所、炭化処理施設などの熱発生施設における発電システム、および発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低沸点の媒体を利用して低温熱源からエネルギーを取り出し、そのエネルギーでタービン発電機を稼動させることで電力を生み出す発電方法が注目されている。従来は廃棄されていた排熱を発電に有効利用しようとする技術である。
【0003】
ここで、上記した発電方法を廃棄物処理施設に適用した例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の排熱発電方法は、白煙防止空気の保有熱により排煙洗浄塔から排出される洗煙排水を昇温させたうえで、当該洗煙排水を排熱発電システムに供給して排熱発電を行う、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−174845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の排熱発電方法には以下のような問題点がある。特許文献1によると、排煙洗浄塔において洗浄液と冷却水とが分離されていないため、冷却水により洗浄液が冷やされ洗煙排水の温度が低くなってしまう。そのため、特許文献1では、白煙防止空気の保有熱により洗煙排水を昇温させたうえで発電を行い、発電量を向上させようとしている。しかしながら、白煙防止空気から熱回収を行うと、冬季には、特に寒冷地において、白煙の発生を防止することができない。なお、特許文献1の段落0018には、排煙洗浄塔から排出される洗煙排水は60〜70℃の温水となる、と記載されている。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、白煙防止空気からの熱回収を行わなくても、排煙処理塔からの洗浄液を発電の低温熱源として用いて十分に発電し得る発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、排煙処理塔の洗浄液が有する熱に加えて、廃棄物処理施設などの排熱ボイラから供給される蒸気の有するエネルギーで発電する蒸気発電機からの排蒸気が有する熱を発電に利用することで、前記した目的を達成できることを見出した。この知見に基づき本発明が完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、排ガスを気液向流接触により洗浄処理する排煙処理塔から取り出した洗浄液が有する熱、および排ガスを熱源として蒸気を発生させる排熱ボイラから供給される蒸気の有するエネルギーで発電する蒸気発電機からの排蒸気が有する熱、を利用して発電する排熱発電装置を備える、発電システムを提供する。
【0009】
この構成によると、排煙処理塔の洗浄液が有する熱に加えて前記蒸気発電機からの排蒸気が有する熱を利用することで、発電に用いる熱量を安定的に増大させることができる。その結果、白煙防止空気からの熱回収を行わなくても、排煙処理塔からの洗浄液を発電の低温熱源として用いて十分に発電することができる。
【0010】
また本発明において、前記排熱発電装置は、発電機と、前記発電機に接続された媒体循環配管と、前記排煙処理塔から取り出した洗浄液が有する熱で前記媒体循環配管を流れる冷媒を予熱する熱交換器と、前記蒸気発電機からの排蒸気が有する熱で前記熱交換器により予熱された前記冷媒を蒸発させて蒸気にする加熱器と、を備えることが好ましい。
【0011】
この構成によると、仮に、排煙処理塔から取り出した洗浄液の温度にばらつきが生じたとしても、熱交換器の後段に配置された加熱器により蒸気発電機からの排蒸気が有する熱で冷媒を安定して蒸気にすることができ発電が安定する。
【0012】
また本発明は、その第2の態様によれば、排ガスを気液向流接触により洗浄処理する排煙処理塔から取り出した洗浄液が有する熱で発電機に接続された媒体循環配管を流れる冷媒を予熱する冷媒予熱工程と、排ガスを熱源として蒸気を発生させる排熱ボイラから供給される蒸気の有するエネルギーで発電する蒸気発電機からの排蒸気が有する熱で、前記冷媒予熱工程で予熱された前記冷媒を蒸発させて蒸気にする冷媒蒸発工程と、前記冷媒蒸発工程で得られた蒸気の有するエネルギーで発電する発電工程と、を備える発電方法を提供する。
【0013】
この構成によると、排煙処理塔の洗浄液が有する熱に加えて前記蒸気発電機からの排蒸気が有する熱を利用することで、発電に用いる熱量を安定的に増大させることができる。その結果、白煙防止空気からの熱回収を行わなくても、排煙処理塔からの洗浄液を発電の低温熱源として用いて十分に発電することができる。さらには、排煙処理塔から取り出した洗浄液が有する熱を冷媒予熱工程で用い、その後の冷媒蒸発工程で蒸気発電機からの排蒸気が有する熱を用いることで、仮に、排煙処理塔から取り出した洗浄液の温度にばらつきが生じたとしても、蒸気発電機からの排蒸気が有する熱で冷媒を安定して蒸気にすることができ発電が安定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、白煙防止空気からの熱回収を行わなくても、排煙処理塔からの洗浄液を発電の低温熱源として用いて十分に発電し得る発電システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る発電システムを備える下水汚泥焼却設備を示すブロック図である。
【図2】図1に示した下水汚泥焼却設備のうち発電システムに関連する部分の詳細ブロック図である。
【図3】図2に示した排煙処理塔まわり配管の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る発電システムを下水汚泥焼却設備に適用した例について説明するが、本発明に係る発電システムは、下水汚泥焼却設備以外の廃棄物処理設備にも適用することができる。例えば、ごみ焼却設備にも適用することができる。さらには、火力発電所、炭化処理施設などの熱発生施設にも適用することができる。
【0017】
(第1実施形態)
(下水汚泥焼却設備の構成)
まず、図1を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る発電システムを備える下水汚泥焼却設備100の構成について説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の下水汚泥焼却設備100は、投入機1、焼却炉2、排熱ボイラ33、空気予熱器3、集塵機5(例えば、バグフィルタ)、排煙処理塔6、白煙防止空気予熱器4、煙突7、蒸気発電機34、および排熱発電装置10を具備してなる設備である。なお、脱水ケーキとは、下水汚泥を濃縮・脱水処理したあとに残る固形物である。脱水ケーキを焼却処理することにより焼却炉2で発生する約850℃の排ガスは、排熱ボイラ33、空気予熱器3、集塵機5、および排煙処理塔6を順に通過した後、煙突7から大気中へ排出される。
【0019】
白煙防止空気予熱器4は、本実施形態では、排熱ボイラ33から供給される蒸気の有する熱で空気を予熱し、予熱した空気を煙突7に入る前の排ガスに供給して、白煙の発生を防止している。
【0020】
次に、下水汚泥焼却設備100のうち発電システムに関連する部分について説明する。
【0021】
(排熱ボイラ)
排熱ボイラ33は、焼却炉2からの排ガスを熱源として例えば0.9MPaの蒸気を発生させるボイラであり、本実施形態では、焼却炉2と空気予熱器3との間に配置されている。なお、本実施形態では、焼却炉2、排熱ボイラ33、空気予熱器3の順に並んでいるが、焼却炉2、空気予熱器3、排熱ボイラ33の順であってもよい。
【0022】
(蒸気発電機)
蒸気発電機34は、排熱ボイラ33から供給される蒸気(例えば0.9MPa)の有するエネルギーで発電する発電機であり、例えば、容積型タービン(容積型膨張タービン)と容積型タービンに接続された発電機とからなる。容積型タービンは、例えばスクリュ式タービンである。容積型タービンに供給された蒸気がタービン内で膨張し圧力差によりタービンが回転する。タービンの回転が発電機に伝達され発電される。
【0023】
(排煙処理塔)
脱水ケーキは硫黄分を含むため、脱水ケーキを焼却処理することで発生する排ガスには硫黄酸化物(SOx)が含まれている。排煙処理塔6は、気液向流接触により排ガス中のSOxなどを除去するためのものである。本実施形態では、集塵機5にて集塵処理された排ガスが排煙処理塔6に入れられている。
【0024】
図2に示すように、筒状の排煙処理塔6は、洗浄室部11と、洗浄室部11の上に設けられた冷却室部12とを有する。洗浄室部11と冷却室部12との間には仕切部13が設けられている。
【0025】
[洗浄室部]
洗浄室部11は、排ガスを洗浄処理するための洗浄液を循環可能に収容する。洗浄液は、アルカリ(例えば、NaOH)含有の水溶液である。洗浄室部11の下部側面には、排ガスを引き込むためのガス供給口11aが設けられ、洗浄室部11の底部側面には、洗浄液を取り出すための洗浄液取出口11bが設けられている。洗浄室部11の底部から引き抜いた洗浄液を洗浄室部11内の上方などから散水することで、排ガスと洗浄液とを向流接触させて排ガス中のSOxなどを除去している。
【0026】
[冷却室部]
冷却室部12は、洗浄室部11で洗浄処理された排ガスを冷却処理するための部分である。冷却室部12の底部側面には、冷却水を排出するための冷却水排出口12bが設けられ、冷却室部12の上部側面には、洗浄・冷却処理された排ガスを排出させるためのガス排出口12aが設けられている。冷却室部12内の上方から冷却水を散水することで、排ガスと冷却水とを向流接触させて排ガスを冷却している。なお、冷却水は、冷却水排出口12bに接続されたドレン管28を介してドレンピット17などに排出される。
【0027】
[仕切部]
仕切部13は、洗浄室部11から冷却室部12へは排ガスを通過させ、冷却室部12から洗浄室部11へは冷却室部12に供給された冷却水を通過させないようにするための部分である。仕切部13は、環状の円板13bと、円板13bの上に立設配置された筒13aと、筒13aの上に被せるようにして取り付けられた円錐状の傘板13cとを備えている。筒13aと傘板13cとの間には隙間がある。
【0028】
洗浄室部11からの排ガスは、筒13a内を上昇し、傘板13cと筒13aとの間の隙間から冷却室部12に入る。一方、冷却室部12内の上方から散水された冷却水は、傘板13cにより洗浄室部11内へ落下せず、冷却水排出口12bから排出される。このように、仕切部13により、冷却室部12内の冷却水は、洗浄室部11内の洗浄液とは接触することなく塔外へ排出される。
【0029】
(排熱発電装置)
排熱発電装置10は、発電機9、熱交換器8、加熱器35、凝縮器15、および冷媒ポンプ20を具備してなる発電装置である。これらの各機器間は、媒体循環配管26で相互に接続されている。媒体循環配管26を流れる冷媒は、沸点の低い媒体であって、フロン、ペンタン、アンモニアなどである。なお、本実施形態では、冷媒としてフロンを想定している。
【0030】
[発電機]
発電機9は、例えば、容積型タービン22(容積型膨張タービン)と容積型タービン22に接続された発電機23とからなる。容積型タービン22は、例えばスクリュ式タービンである。容積型タービン22に供給された蒸気がタービン内で膨張し圧力差によりタービンが回転する。タービンの回転が発電機23に伝達され発電される。
【0031】
[熱交換器]
熱交換器8は、排煙処理塔6から取り出した洗浄液が有する熱で媒体循環配管26を流れる液体の冷媒を予熱するための加温器である。排煙処理塔6と熱交換器8との間は、洗浄液循環配管24、中継熱交換器14、および上水循環配管25で接続されている。中継熱交換器14は、排煙処理塔6から取り出した洗浄液の有する熱を上水循環配管25を流れる上水に伝達するための熱交換器である。循環ポンプ18により洗浄液循環配管24中を洗浄液が循環し、循環ポンプ19により上水循環配管25中を上水が循環する。
【0032】
[加熱器]
加熱器35は、蒸気発電機34からの排蒸気(例えば、0.2MPa、130℃)が有する熱で、熱交換器8で昇温された媒体循環配管26を流れる冷媒を蒸発させて蒸気にするための熱交換器である。加熱器35には、蒸気発電機34からの排蒸気が供給され、凝縮した温水は排熱ボイラ33に戻されている。
【0033】
なお、蒸気発電機34を介さずに、排熱ボイラ33から加熱器35へ蒸気(例えば0.9MPa)を供給して、この蒸気の有する熱で媒体循環配管26を流れる冷媒を蒸気にしてもよい。
【0034】
[凝縮器]
凝縮器15は、容積型タービン22から排出された蒸気を液体に戻すための熱交換器(冷却器)である。凝縮器15の後段には中継熱交換器16が配置されている。凝縮器15と中継熱交換器16との間は、上水循環配管27で接続され、上水循環配管27中には循環ポンプ21が取り付けられている。中継熱交換器16は、凝縮器15で回収された熱を下水処理水に伝達するための熱交換器である。加温された下水処理水は、冷却水供給管29を介して排煙処理塔6の冷却室部12に冷却水として供給されている。
【0035】
ここで、排煙処理塔6の洗浄液として下水処理水が用いられることが多い。排熱発電装置10を構成する凝縮器15に下水処理水を流すと、下水処理水に含まれるSS(浮遊物質)分、無機物、塩素分などで凝縮器15にスケーリングや腐食を起こすおそれがある。また、排煙処理塔6から取り出した洗浄液はアルカリ性で且つ硫黄酸化物を含んでいる。排熱発電装置10を構成する熱交換器8にこの洗浄液を流すと、アルカリ、硫黄酸化物などで熱交換器8が腐食するおそれがある。本実施形態のように、中継熱交換器14および中継熱交換器16を設けて、熱交換器8や凝縮器15には上水を流すようにすることで、熱交換器8、凝縮器15の故障を防止することができる。なお、中継熱交換器14および中継熱交換器16は必須の機器ではない。すなわち、中継熱交換器14および中継熱交換器16を省略して、排煙処理塔6の洗浄液を熱交換器8に直接流すこともできるし、下水処理水を凝縮器15に直接流すこともできる。
【0036】
(発電について)
排煙処理塔6のガス供給口11aから洗浄室部11内に導入された排ガスにより、洗浄室部11と中継熱交換器14との間を循環する洗浄液は加温される。ここで、排煙処理塔6を構成する仕切部13により、冷却室部12の冷却水と洗浄室部11の洗浄液とは接触しないので、洗浄液の温度は例えば75〜85℃となる。
【0037】
この洗浄液の有する熱で、冷媒ポンプ20から送られてきた冷媒は熱交換器8にて加温される(冷媒予熱工程)。熱交換器8にて加温された冷媒は、その後、加熱器35にて蒸発させられ蒸気になる(冷媒蒸発工程)。発生した蒸気により発電機9にて発電される(発電工程)。
【0038】
(効果)
本実施形態によると、排煙処理塔6の洗浄液が有する熱に加えて蒸気発電機34からの排蒸気が有する熱を利用することで、発電に用いる熱量を安定的に増大させることができる。その結果、白煙防止空気からの熱回収を行わなくても、排煙処理塔6からの洗浄液を発電の低温熱源として用いて十分に発電することができる。
【0039】
また、排煙処理塔6から取り出した洗浄液が有する熱を用いて熱交換器8で冷媒を加温し、その後、蒸気発電機34からの排蒸気が有する熱を用いて加熱器35で冷媒をさらに加温することで、仮に、排煙処理塔6から取り出した洗浄液の温度にばらつきが生じたとしても、蒸気発電機34からの排蒸気が有する熱で冷媒を安定して蒸気にすることができ発電が安定する。
【0040】
さらには、本実施形態では、洗浄室部11から冷却室部12へは排ガスを通過させ、冷却室部12から洗浄室部11へは冷却室部12に供給された冷却水を通過させない仕切部13を排煙処理塔6に設けている。この仕切部13により、発電の低温熱源として用いる洗浄液の温度低下を抑制でき、発電量を向上させることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、洗浄室部11内の洗浄液を中継熱交換器14に供給する(循環させる)役割と、洗浄室部11内へ洗浄液を散水する役割とを、いずれも循環ポンプ18に担わせているが、洗浄室部11内の洗浄液を中継熱交換器14に供給する(循環させる)ためのポンプと、洗浄室部11内へ洗浄液を散水するためのポンプとを、それぞれ、別に設けてもよい(図3に示した形態においても同様)。
【0042】
(変形例)
図3に示したように、排煙処理塔6の冷却室部12の外へ排出した冷却水の一部を洗浄液の補給水として洗浄室部11の中に供給してもよい。冷却水排出口12bに接続するドレン管28から補給水供給管30が分岐され、補給水供給管30の先端30aは洗浄室部11の中で開放されている。補給水供給管30およびドレン管28には、それぞれ、流量調整用のバルブ31・32が取り付けられている。
【0043】
冷却水供給管29を介して冷却室部12に供給される冷却水は、中継熱交換器16で加温された下水処理水である。また、この冷却水は、冷却室部12にて洗浄室部11から上昇してきた洗浄排ガス(洗浄処理された排ガス)によっても加温される。したがって、洗浄液の補給水として洗浄室部11に常温の水を直接供給するのに比べて、洗浄液の温度低下を防止できる。なお、中継熱交換器16で加温された下水処理水を冷却水として用いる必要は必ずしもない。すなわち、特に加温していない常温の下水処理水を冷却室部12に供給して冷却水として用いてもよい。前記したように、冷却水は、洗浄室部11から上昇してきた洗浄排ガス(洗浄処理された排ガス)によって加温されるからである。
【0044】
なお、補給水供給管30の先端30aは、水平方向においては、洗浄液取出口11bが設けられている洗浄室部11の壁面とは反対側(平面視において洗浄液取出口11bに対して約180度離れた側)の内壁面の近くに位置させられ、鉛直方向においては、ガス供給口11aのレベル(位置)よりも上方に位置させられていることが好ましい。補給水供給管30の先端30aが、洗浄液取出口11bが設けられている洗浄室部11の壁面とは反対側の内壁面の近くに位置させられていることにより、発電に用いられる洗浄液の温度の低下を抑制できる。
【0045】
(その他の変形例)
図1〜3に示した発電システムは、排煙処理塔6から取り出した洗浄液が有する熱、および蒸気発電機34からの排蒸気が有する熱、をいずれも利用して発電するものであるが、排煙処理塔6から取り出した洗浄液が有する熱は利用せずに、蒸気発電機34からの排蒸気が有する熱のみを利用して排熱発電装置10にて発電する発電システムとしてもよい。なお、この場合、排熱発電装置10において熱交換器8は不要となる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
【0047】
例えば、前記した実施形態では、洗浄室部11から冷却室部12へは排ガスを通過させ、冷却室部12から洗浄室部11へは冷却室部12に供給された冷却水を通過させない仕切部13を設けた排煙処理塔6を例示したが、冷却室部12から洗浄室部11へ冷却水を全量通過(落下)させる構造の排煙処理塔としてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1:投入機
2:焼却炉
3:空気予熱器
4:白煙防止空気予熱器
5:集塵機
6:排煙処理塔
7:煙突
8:熱交換器
9:発電機
10:排熱発電装置
33:排熱ボイラ
34:蒸気発電機
35:加熱器
100:下水汚泥焼却設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを気液向流接触により洗浄処理する排煙処理塔から取り出した洗浄液が有する熱、および排ガスを熱源として蒸気を発生させる排熱ボイラから供給される蒸気の有するエネルギーで発電する蒸気発電機からの排蒸気が有する熱、を利用して発電する排熱発電装置を備える、発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の発電システムにおいて、
前記排熱発電装置は、
発電機と、
前記発電機に接続された媒体循環配管と、
前記排煙処理塔から取り出した洗浄液が有する熱で前記媒体循環配管を流れる冷媒を予熱する熱交換器と、
前記蒸気発電機からの排蒸気が有する熱で前記熱交換器により予熱された前記冷媒を蒸発させて蒸気にする加熱器と、
を備えることを特徴とする、発電システム。
【請求項3】
排ガスを気液向流接触により洗浄処理する排煙処理塔から取り出した洗浄液が有する熱で発電機に接続された媒体循環配管を流れる冷媒を予熱する冷媒予熱工程と、
排ガスを熱源として蒸気を発生させる排熱ボイラから供給される蒸気の有するエネルギーで発電する蒸気発電機からの排蒸気が有する熱で、前記冷媒予熱工程で予熱された前記冷媒を蒸発させて蒸気にする冷媒蒸発工程と、
前記冷媒蒸発工程で得られた蒸気の有するエネルギーで発電する発電工程と、
を備える、発電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−7356(P2013−7356A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141891(P2011−141891)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】