説明

発電システム

【課題】燃料電池装置への入水温度が所定温度以上となり発電運転が維持できないこと。
【解決手段】貯湯タンク104から燃料電池装置100へ熱媒体を供給する経路上に配置され、第1熱利用経路内の熱媒体と外気との顕熱交換を行う熱交換器106をさらに有する構成としたものである。これによって、発電量に応じて熱交換器106の冷却ファン108の送風能力を制御できることから、燃料電池装置への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気と燃料ガスの供給を受けて発電する発電システムの貯湯タンクからの入水温度を十分に低下させる発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の発電システムは、運転制御手段が、過去の熱負荷データ又は過去の電力負荷データに基づいて、単位時間毎のエネルギー消費に規則性があるか否かを判別し、規則性がある場合は負荷賄い条件運転処理を実行し、規則性がない場合は別の予備運転処理を実行するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された従来の発電システムの構成図を示すものである。図5に示すように、運転制御手段が計画した負荷賄い条件運転処理で起動した燃料電池301が発電を開始すると、第1の循環ポンプ315を作動させ熱回収配管313内の熱媒体を循環させ燃料電池301で回収した排熱を熱交換器324へ導入する。同時に第2の循環ポンプ317を循環させ、貯湯タンク302から導いた水をラジエター319を作動させながら冷却し、タンク配管316で通じている熱交換器324において熱回収配管313内の熱媒体から熱を回収し、貯湯タンク302へ蓄積している。一方、熱回収配管313内の熱媒体は熱交換器324で冷却され、燃料電池301の冷却を行い発電運転を維持させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−27408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、運転制御手段の負荷賄い運転処理または予備運転処理で予測した熱余りの想定がはずれた場合、ラジエターに貯湯タンク302からの貯水を通水し冷却するわけであるが、その冷却方法は通水による放熱といった成り行きまかせの冷却方式であり、熱交換器324で熱回収配管313内の熱冷媒を確実に冷却できずに燃料電池装置の発電運転を維持できない課題があった。
【0006】
また、貯湯タンクに燃焼装置、例えばボイラーを加えた構成とした場合に、燃焼装置が燃料電池装置と自立した運転を行うことで貯湯タンクの貯水を加熱し、タンク温度が高温となる時があり、単なるラジエター319の作動では貯湯タンク302から導く水を確実に冷却できず、燃料電池301の冷却ができずに燃料電池装置の運転を継続することが困難になるという課題があった。
【0007】
また燃料電池装置は原料ガスに水蒸気を添加して改質し、水素を生成する構成であるが、この水蒸気になる水を燃料電池発電部から排出される排ガス、原料を改質する改質器から排出される燃焼排ガス中の水分を凝縮して回収する方式であるが、貯湯タンク302の水が冷却できなければ、前記した凝縮が行えず発電運転を継続することが困難になるという課題があった。このように排ガス中の水分を凝縮して水素生成時に再利用する形態を水自立という。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の発電システムは、原料ガス及び凝縮水の改
質反応から生成される燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う燃料電池を有し、電力と熱を供給する燃料電池装置と、前記燃料電池装置から排出される水蒸気含有ガスを冷却して凝縮水を発生させる凝縮器と、前記凝縮器及び前記燃料電池装置から熱を回収する熱媒体が循環している第1熱利用経路と、前記第1熱利用経路が接続される貯湯タンクと、原料ガスを燃焼して熱を供給する燃焼装置と、前記燃焼装置と前記貯湯タンクとを接続する第2熱利用経路と、前記燃料電池装置及び前記燃焼装置に原料ガスを供給するための原料ガス供給部と、前記第1熱利用経路のうちの前記貯湯タンクから前記燃料電池装置へ熱媒体を供給する経路上に配置され、前記第1熱利用経路内の熱媒体と外気との顕熱交換を行う熱交換器と、前記熱交換器を冷却するファンと、少なくとも前記ファンの送風能力を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記燃料電池の出力が所定の出力以上である場合は、前記ファンの送風能力を高くし、前記燃料電池の出力が所定の出力より低い場合は、前記ファンの送風能力を低くする又は停止するよう制御するように構成されたものである。
【0009】
この構成によって、発電量に応じて熱交換器の冷却ファンの送風能力を制御できることから、燃料電池装置への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置の運転計画機能が考える計画時間分の発電運転をより容易に継続することができ、燃料電池装置の起動回数を無駄にせず機器の利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の発電システムは、発電量に応じて熱交換器の冷却ファンの送風能力を制御できることから、燃料電池装置への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置の運転計画機能が考える計画時間分の発電運転をより容易に継続ことができ、燃料電池装置の起動回数を無駄にせず機器の利便性を向上させることができる。
【0011】
貯湯タンクにボイラーを加えた構成とした場合も燃焼装置へ供給される原料ガスの流量が検知でき、燃焼装置の出力の大きさによって熱交換器の冷却ファンの送風能力を制御できることから、燃料電池装置への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置の運転計画機能が考える計画時間分の発電運転をより容易に継続ことができ、燃料電池装置の起動回数を無駄にせず機器の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における発電システムの構成図
【図2】本発明の実施の形態1における発電システムの動作を説明するためのフローチャート
【図3】本発明の変形例における発電システムの動作を説明するためのフローチャート
【図4】本発明の他の変形例における発電システムの動作を説明するためのフローチャート
【図5】従来の発電システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、原料ガス及び凝縮水の改質反応から生成される燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う燃料電池を有し、電力と熱を供給する燃料電池装置と、前記燃料電池装置から排出される水蒸気含有ガスを冷却して凝縮水を発生させる凝縮器と、前記凝縮器及び前記燃料電池装置から熱を回収する熱媒体が循環している第1熱利用経路と、前記第1熱利用経路が接続される貯湯タンクと、原料ガスを燃焼して熱を供給する燃焼装置と、
前記燃焼装置と前記貯湯タンクとを接続する第2熱利用経路と、前記燃料電池装置及び前記燃焼装置に原料ガスを供給するための原料ガス供給部と、前記第1熱利用経路のうちの前記貯湯タンクから前記燃料電池装置へ熱媒体を供給する経路上に配置され、前記第1熱利用経路内の熱媒体と外気との顕熱交換を行う熱交換器と、前記熱交換器を冷却するファンと、少なくとも前記ファンの送風能力を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記燃料電池の出力が所定の出力以上である場合は、前記ファンの送風能力を高くし、前記燃料電池の出力が所定の出力より低い場合は、前記ファンの送風能力を低くする又は停止するよう制御する、発電システムとする。この構成により、発電量に応じて熱交換器の冷却ファンの送風能力を制御できることから、燃料電池装置への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置の運転計画機能が考える計画時間分の発電運転をより容易に継続ことができ、燃料電池装置の起動回数を無駄にせず機器の利便性を向上させることができる。
【0014】
なお、所定の出力とは、熱交換器の冷却を調整するための出力閾値である。この所定の出力は、燃料電池装置の定格出力や熱交換器及びファンの能力などによって変わるため、実験などにより予め求めた値を基に任意に設定することができる。
【0015】
第2の発明は、原料ガス及び凝縮水の改質反応から生成される燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う燃料電池を有し、電力と熱を供給する燃料電池装置と、前記燃料電池装置から排出される水蒸気含有ガスを冷却して凝縮水を発生させる凝縮器と、前記凝縮器及び前記燃料電池装置から熱を回収する熱媒体が循環している第1熱利用経路と、前記第1熱利用経路が接続される貯湯タンクと、原料ガスを燃焼して熱を供給する燃焼装置と、前記燃焼装置と前記貯湯タンクとを接続する第2熱利用経路と、前記燃料電池装置及び前記燃焼装置に原料ガスを供給するための原料ガス供給部と、前記第1熱利用経路のうちの前記貯湯タンクから前記燃料電池装置へ熱媒体を供給する経路上に配置され、前記第1熱利用経路内の熱媒体と外気との顕熱交換を行う熱交換器と、前記熱交換器を冷却するファンと、少なくとも前記ファンの送風能力を制御する制御部と、前記原料ガス供給部から前記燃焼装置へ供給される原料ガスの流量を検知する流量計とを備え、前記制御部は、前記流量計で検出される原料ガスの流量が所定の流量以上である場合は、前記ファンの送風能力を高くし、前記流量計で検出される原料ガスの流量が所定の流量より少ない場合は、前記ファンの送風能力を低く又は停止するよう制御する、発電システムとする。この構成により、貯湯タンクにボイラーを加えた構成とした場合も燃焼装置へ供給される原料ガスの流量が検知でき、燃焼装置の出力の大きさによって熱交換器の冷却ファンの送風能力を制御できることから、燃料電池装置への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置の運転計画機能が考える計画時間分の発電運転をより容易に継続ことができ、燃料電池装置の起動回数を無駄にせず機器の利便性を向上させることができる。
【0016】
なお、所定の流量とは、熱交換器の冷却を調整するための流量閾値である。この所定の流量は、燃焼装置の能力、燃料電池装置の定格出力や熱交換器及びファンの能力などによって変わるため、実験などにより予め求めた値を基に任意に設定することができる。
【0017】
第3の発明は、原料ガス及び凝縮水の改質反応から生成される燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う燃料電池を有し、電力と熱を供給する燃料電池装置と、前記燃料電池装置から排出される水蒸気含有ガスを冷却して凝縮水を発生させる凝縮器と、前記凝縮器及び前記燃料電池装置から熱を回収する熱媒体が循環している第1熱利用経路と、前記第1熱利用経路が接続される貯湯タンクと、原料ガスを燃焼して熱を供給する燃焼装置と、前記燃焼装置と前記貯湯タンクとを接続する第2熱利用経路と、前記燃料電池装置及び前記燃焼装置に原料ガスを供給するための原料ガス供給部と、前記第1熱利用経路のうちの前記貯湯タンクから前記燃料電池装置へ熱媒体を供給する経路上に配置され、前記第1熱
利用経路内の熱媒体と外気との顕熱交換を行う熱交換器と、前記熱交換器を冷却するファンと、少なくとも前記ファンの送風能力を制御する制御部と、前記第2熱利用経路の温度を検出する温度検知器とを備え、前記制御部は、前記温度検知器で検出される温度が所定の温度以上である場合は、前記ファンの送風能力を高くし、前記温度検知器で検出される温度が所定の温度より低い場合は、前記ファンの送風能力を低くする又は停止するよう制御する、発電システムとする。この構成により、貯湯タンクにボイラーを加えた構成とした場合も燃焼装置が貯湯タンクへ供給する温度が検知でき、燃焼装置から貯湯タンクへ供給する熱の温度によって熱交換器の冷却ファンの送風能力を制御できることから、燃料電池装置への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置の運転計画機能が考える計画時間分の発電運転をより容易に継続ことができ、燃料電池装置の起動回数を無駄にせず機器の利便性を向上させることができる。
【0018】
なお、所定の温度とは、熱交換器の冷却を調整するための温度閾値である。この所定の温度は、熱交換器及びファンの能力などによって変わるため、実験などにより予め求めた値を基に任意に設定することができる。
【0019】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の発電システムにおいて、前記熱交換器は、前記第1熱利用経路上に設けられた放熱フィンである。この構成により、燃料電池装置への入水温度を低下することができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置の運転継続をより容易にすることができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における発電システムの構成図を示すものである。
【0022】
燃料電池装置100はその発電部の本体として、燃料電池102を備えている。その燃料電池102では、発電のための燃料として、通常、水素(水素ガス)が用いられる。しかしながらこの燃料電池での発電に必要となる水素の供給手段は、現在、インフラストラクチャーとして整備されていない。そのため、従来の燃料電池装置100には、発電に必要となる水素を生成するための水素生成装置が設けられている。この水素生成装置では、所定の改質反応によって天然ガス等の化石燃料が改質され、これにより、化石燃料から水素が生成される。本装置には原料ガスを改質し、発電の燃料となる水素を生成する燃料ガス供給部101を有し、発電部である燃料電池102に水素を供給する。そして、燃料電池102では燃料ガス供給部101から供給される水素が用いられて、所定の電力を出力すべく発電が行われる。
【0023】
燃料ガス供給部101で水素を生成するために用いられる改質反応としては、一般的に、水蒸気改質反応が用いられている。この水蒸気改質反応では、水蒸気を用いて化石燃料を改質することにより、その化石燃料から水素が生成される。そのため、燃料電池装置100の発電運転の際、燃料ガス供給部101には、水蒸気を発生させるための水が供給される。つまり、燃料電池装置100を用いて所定の電力を得るためには、その燃料電池装置100の設置場所において水の供給源を確保することが必要不可欠となる。
【0024】
通常、燃料電池装置100に水を供給するための水の供給手段としては、水道が好適に用いられる。ここで、水の供給手段として水道が用いられる場合には、その水道により供給される水からカルシウムや塩素等の成分を十分に除去する必要がある。その理由は、カルシウムや塩素等の成分を含む水を供給すると、カルシウムの堆積や塩素による配管の腐
食等により、燃料電池装置100の性能が経時的に劣化するからである。そのため、従来の燃料電池装置には水道により供給される水からカルシウムや塩素等の成分を十分に除去するために、イオン交換樹脂等を備える浄水器が設けられている。本実施の形態では前記イオン交換樹脂の構成、作用の説明は割愛する。
【0025】
ところでイオン交換樹脂等を備える浄水器によれば、水に含まれるカルシウムや塩素等の成分を十分に除去することが可能であるが、使用時間に応じてイオン交換樹脂等の浄水性能が劣化する。つまり、このイオン交換樹脂等を用いる構成では、浄水器を頻繁にメンテナンスする必要がある。これは、燃料電池装置100のランニングコスト悪化させる要因となる。そのため、従来の燃料電池装置100では、燃料電池102で発電に伴って生成する水等を回収して利用する、水の自立供給形態が採られることが多い。この水の自立供給形態によれば、浄水器が不要、若しくは、浄水器への負荷が低下してそのメンテナンスの頻度を低減することができるので、燃料電池装置100のランニングコストを改善することが可能になる。
【0026】
図1において、燃料電池装置100を構成する各構成要素の間の実線は配管を示しており、これらの実線上に記される矢印は、配管内に流れる水や改質ガス、燃焼排気ガス、発電に伴い排出される排気ガス等の通常時の置ける流動方向を示している。
【0027】
本実施の形態に係る燃料電池装置100は、燃料ガス供給部101を備えている。この燃料ガス供給部101は天然ガス、LPGなど炭化水素系成分、メタノール等の有機化合物を含む原料と水蒸気とが用いられる改質反応を主に進行させ、この改質反応により水素を豊富に含む改質ガスを生成する。図1には特に図示しないが、燃料ガス供給部101は改質反応を進行させるための改質触媒と、改質反応を進行させるために必要な熱を供給するための、原料の一部を燃焼させる火炎バーナーと、燃焼空気供給用のファンとを備えている。
【0028】
また、本実施の形態の燃料電池装置100は、その発電部の本体として燃料電池102を備えている。燃料電池102は燃料ガス供給部101から排出されて燃料電池102のアノード側(燃料極側)に供給される水素を豊富に含む改質ガスと、カソード側(空気極側)に供給される空気とを用いて所定の電力を出力するべく発電を行う。
【0029】
本実施の形態では燃料ガス供給部101と燃料電池102とがそれぞれ独立した構成として説明をするが、燃料ガス供給部101と燃料電池102とをひとつの燃料電池ユニットとした構成、または燃料電池102のみを備えた構成の燃料電池ユニットであっても良い。
【0030】
また、本実施の形態の燃料電池装置100は凝縮器103を備えている。この凝縮器103は燃料電池102のカソード側から排出される排空気、及び燃料ガス供給部101から排出される燃焼排ガスの各々から凝縮によって水分を回収する。この凝縮器103の構成は、燃料電池システムで一般的に用いられる凝縮器の構成と同様であるため、ここではその内部構成に関する更なる詳細な説明は省略する。
【0031】
また、第1熱利用経路105は燃料電池102の冷却、及び凝縮器103の冷却を可能とする経路を構成し、その経路上に燃料電池装置100への入水温度を検出するよう温度センサ114と、入水温度の低下を目的とした放熱フィン107を有した構造を持つ熱交換器106とを備える。また、第1熱利用経路105は、なるべく温度の低い冷却水を燃料電池装置100へ供給したいため、貯湯タンク104の市水の導入口の近傍に配する構成とすることが望ましく、本実施の形態では貯湯タンク104の下方に市水の導入口があるため、第1熱利用経路105を貯湯タンク104の下方に配する構成としている。
【0032】
また、本実施の形態の燃料電池装置100は貯水部109を備え、凝縮器103で回収された水が供給され、その水を貯える。そのため、この貯水部109は貯水タンクを備えている。ここでは、貯水部109に図示は省略しているが、貯水タンクの上部には貯水量を検出するための例えばフロート式の水位センサが設けられており、この水位センサの出力信号に基づいて、貯水部109における貯水量が制御される。また、図1に示す様に、この貯水部109と凝縮器103とが所定の配管により各々接続されている。これにより、燃料電池装置100において、水の自立供給形態が構築されている。この水の自立供給形態により、燃料電池装置100では貯水部109に貯えられた水が取り出され、その取り出された水が燃料ガス供給部101に供給され、原料ガスの水蒸気改質反応に添加される。なお、図1では加湿手段については省略している。
【0033】
また、本燃料電池システムには燃焼装置111を有し、貯湯タンク104の湯切れ対策として配され、燃料電池装置100の運転とは自立して貯湯タンク104の貯水を加熱する動作を行う。
【0034】
また、本実施の形態の燃料電池装置100は、原料ガス供給部110を有し、燃料ガス供給部101と燃焼装置111に原料ガスを供給する。また、前記原料ガス供給部110が燃料ガス供給部101と燃焼装置111に原料を供給する経路上に、原料ガスの流量計116を配し、制御部113は原料の流量を検出することができる。その配する位置については燃焼装置111への流量が検出できればどの位置に配しても良いが、本実施の形態では燃焼装置111へ入る経路上に配して説明をする。
【0035】
また、本発電システムでは燃焼装置111が有する第2熱利用経路112内の熱媒体の温度を検出する温度検知器117を配し、制御部113は前記温度検知器117からの温度情報から燃焼装置111が出す熱量を検出することができる。温度検知器117は第2熱利用経路112内の熱媒体の温度が検出できれば場所は特定しないが、本実施の形態では第2熱利用経路112上に配して説明をする。
【0036】
以上のように構成された発電システムについて、以下その動作、作用を説明する。
【0037】
制御部113は、発電運転を開始する際には、燃料電池102の発電運転に必要となる水素を豊富に含む燃料ガスを生成するために、燃料ガス供給部101を作動させる。具体的には水素を生成するための原料となる天然ガスを燃料ガス供給部101に供給する。また改質反応を進行させるための水蒸気を生成するために、貯水部109から汲み上げた水を燃料ガス供給部101に供給する。この時、改質反応を進行させるために、燃料ガス供給部101の改質部に設けられている改質触媒を火炎バーナーにおいて加熱し、同時に前記した水を水蒸気化して改質触媒に添加する。こうして水素を豊富に含む燃料ガスを燃料電池102に供給する。燃料ガス供給部101から燃料電池102のアノード側に水素を豊富に含む改質ガスが供給されると共に、カソード側に空気が供給されると、燃料電池102ではそのアノード側及びカソード側に供給される、改質ガス及び空気が用いられて、所定の電力を供給するべく発電が行われる。また、後述するが燃料電池102のカソード側から排出さる排空気は、その気体中に含まれる水分を回収するために凝縮器103に供給される。
【0038】
この発電の際、燃料電池102は電のための電気化学反応によって発熱するため、発電に伴い発熱をする。制御部113は循環ポンプ115を作動し、第1熱利用経路105内の冷却水を循環させ、燃料電池102を冷却する。尚、この循環ポンプ115により回収された熱は、貯湯タンク104へと導かれ、貯湯タンク104内の貯水を加熱し、給湯等の目的のために利用される。
【0039】
また、この発電運転の際、燃料電池102からは、発電に伴って生成した水を含む排空気が排出される。また、燃料ガス供給部101からは、水分を含む燃焼排ガスが排出される。これらの排空気及び燃焼排ガスは凝縮器103に供給され、循環ポンプ115が循環する冷却水により水分が回収される。つまり、凝縮器103は、排空気及び燃焼排ガスに含まれる水を凝縮することにより回収する。そして、凝縮器103は、排空気及び燃焼排ガスから回収した水を、貯水部109に送出する。貯水部109に貯えられた水は再び燃料ガス生成時の水蒸気として再利用される。この様にして、燃料電池装置100では水の自立供給形態が構築されている。燃料電池102が発電運転を継続するためには燃料電池102を冷却する必要があり、また、凝縮水を回収するためにも、循環ポンプ115が循環する冷却水は、つまり燃料電池102が発電運転を可能となる温度まで冷却できる水温でなければならないし、排ガス中の水分を凝縮できる温度でなければならない。したがって、制御部113は燃料電池装置100への入水温度を温度センサ114で検出し、これら発電運転と凝縮動作が不可能となる様な所定温度以上を検出すれば、発電運転を停止させなければならない。
【0040】
一方で、燃焼装置111は貯湯タンク104の湯切れ対策として配されており、また燃料電池装置100の発電運転とは自立して第2熱利経路を介して貯湯タンク104内の貯水を加熱している。従って、燃焼装置111の独自運転により貯湯タンク104内の貯水を加熱し、燃料電池装置100への入水温度が所定温度以上であれば、発電運転を継続させることができない。
【0041】
これを解消するために、第1熱利用経路105上には第1熱利用経路105内の熱媒体と外気との顕熱交換を行う熱交換器106を有し、また熱交換器106は、前記第1熱利用経路105上に設けられた放熱フィン107を備え、燃料電池装置100への入水温度を冷却させている。図1では説明していないが、第1熱利用経路105には前記した熱交換器106への通水を回避することを目的としたバイパス配管と三方弁が配され、制御部113は燃料電池装置100への入水温度が放熱を必要としない温度であれば、前記熱交換器106の経路を回避することができる。
【0042】
制御部113は、燃料電池装置100への入水温度が発電運転を不可能とする所定温度以上を検出、または入水温度の上昇が前記所定温度に到達するよりも所定値だけ低い温度を検出した場合、熱交換器106に配された冷却ファンを回転させる。制御部113は、燃料電池102の発電量を検出し、第1の出力以上である場合は第1の回転数で、第2の出力以上である場合は、第2の回転数でファンを制御する。これによって、発電量に応じて熱交換器106の冷却ファン108の送風能力を制御できることから、燃料電池装置100への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置の運転計画機能が考える計画時間分の発電運転をより容易に継続ことができ、燃料電池装置の起動回数を無駄にせず機器の利便性を向上させることができる。
【0043】
図2〜4は、本実施の形態の発電システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【0044】
図2〜4のフローチャートにおいて、制御部113は現在、発電を開始したか否かを判定する(STEP1)。発電を開始していなければ(STEP1、No)制御部113は次回の発電運転の開始を待つ。発電運転を開始していれば(STEP1、Yes)、制御部113は燃料電池102の発電量が第1の発電量以上であるか、または流量計116からの入力を検出し、燃焼装置111が使用する原料ガス流量が第1のガス流量以上であるか、または温度検知器117からの入力を検出し、燃焼装置111が作動していてかつ第
2の熱利用経路の温度が第1の値以上であるか否かを判定する(STEP2)。それぞれの要素が第1の値以上を検出、または前記第1の値に到達するよりも所定値だけ低い値を検出した場合(STEP2、Yes)、熱交換器106に配された冷却ファン108の送風量を高く制御し、燃料電池装置100への入水温度を積極的に冷却する(STEP3)。第1の値以上でない、または第1の値よりよりも所定値だけ低い値を検出しなかった場合(STEP2、No)、前記冷却ファン108の送風量を低く制御する(STEP6)。さらに送風量を低く制御している場合に、発電量が第2の発電量以下であるか、または燃焼装置111が使用する原料ガス流量が第2のガス流量以下であるか、または燃焼装置111が作動していてかつ第2の熱利用経路の温度が第2の値以下であるか否かを判定する(STEP7)。それぞれの要素が第2の値以下であった場合(STEP7、Yes)、冷却ファン108の送風を停止する。第2の値以下でない場合(STEP7、No)、制御部113は冷却ファン108の送風量を低く制御した状態で維持する。
【0045】
冷却ファン108の送風量を高く制御しているとき、燃料電池装置100への入水温度が発電運転を維持できない温度であるか否かを判定し(STEP4)、発電運転を維持できない温度を検出した場合(STEP4、Yes)、制御部113は燃料電池装置100の発電運転を停止させる(STEP5)。発電運転を維持できる温度であれば(STEP4、No)、冷却ファン108の送風量を高く制御した状態で維持する。
【0046】
以上のように、本実施の発電システムは、発電量に応じて熱交換器106の冷却ファン108の送風能力を制御できることから、燃料電池装置100への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置100の運転計画機能が考える計画時間分の発電運転をより容易に継続ことができ、燃料電池装置100の起動回数を無駄にせず機器の利便性を向上させることができる。
【0047】
また、貯湯タンク104にボイラーを加えた構成とした場合も燃焼装置111へ供給される原料ガスの流量が検知でき、燃焼装置111の出力の大きさによって熱交換器106の冷却ファン108の送風能力を制御できることから、燃料電池装置100への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置100の運転計画機能が考える計画時間分の発電運転をより容易に継続ことができ、燃料電池装置100の起動回数を無駄にせず機器の利便性を向上させることができる。
【0048】
また、貯湯タンク104にボイラーを加えた構成とした場合も燃焼装置111が貯湯タンク104へ供給する温度が検知でき、燃焼装置111から貯湯タンク104へ供給する熱の温度によって熱交換器106の冷却ファン108の送風能力を制御できることから、燃料電池装置100への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置100の運転計画機能が考える計画時間分の発電運転をより容易に継続ことができ、燃料電池装置100の起動回数を無駄にせず機器の利便性を向上させることができる。
【0049】
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムであれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することでプログラムの配布・更新やインストール作業が簡単にできる。
【0050】
なお、本発明の燃料電池は家庭用に限らずオフィスや工場などの業務用であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかる発電システムは、発電量に応じて熱交換器の冷却ファンの送風能力を制御できることから、燃料電池装置への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置の運転計画機能が考える計画時間分の発電運転をより容易に継続ことができ、燃料電池装置の起動回数を無駄にせず機器の利便性を向上させることができる。
【0052】
貯湯タンクにボイラーを加えた構成とした場合も燃焼装置へ供給される原料ガスの流量が検知でき、燃焼装置の出力の大きさによって熱交換器の冷却ファンの送風能力を制御できることから、燃料電池装置への入水温度を確実に低下させることができ、燃料電池発電部の冷却と水自立が可能となることから燃料電池装置の運転計画機能が考える計画時間分の発電運転をより容易に継続ことができ、燃料電池装置の起動回数を無駄にせず機器の利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0053】
100 燃料電池装置
101 燃料ガス供給部
102 燃料電池
103 凝縮器
104 貯湯タンク
105 第1熱利用経路
106 熱交換器
107 放熱フィン
108 冷却ファン
110 原料ガス供給部
111 燃焼装置
112 第2熱利用経路
113 制御部
116 流量計
117 温度検知器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガス及び凝縮水の改質反応から生成される燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う燃料電池を有し、電力と熱を供給する燃料電池装置と、
前記燃料電池装置から排出される水蒸気含有ガスを冷却して凝縮水を発生させる凝縮器と、
前記凝縮器及び前記燃料電池装置から熱を回収する熱媒体が循環している第1熱利用経路と、
前記第1熱利用経路が接続される貯湯タンクと、
原料ガスを燃焼して熱を供給する燃焼装置と、
前記燃焼装置と前記貯湯タンクとを接続する第2熱利用経路と、
前記燃料電池装置及び前記燃焼装置に原料ガスを供給するための原料ガス供給部と、
前記第1熱利用経路のうちの前記貯湯タンクから前記燃料電池装置へ熱媒体を供給する経路上に配置され、前記第1熱利用経路内の熱媒体と外気との顕熱交換を行う熱交換器と、
前記熱交換器を冷却するファンと、
少なくとも前記ファンの送風能力を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記燃料電池の出力が所定の出力以上である場合は、前記ファンの送風能力を高くし、前記燃料電池の出力が前記所定の出力より低い場合は、前記ファンの送風能力を低くする又は停止するよう制御する、発電システム。
【請求項2】
原料ガス及び凝縮水の改質反応から生成される燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う燃料電池を有し、電力と熱を供給する燃料電池装置と、
前記燃料電池装置から排出される水蒸気含有ガスを冷却して凝縮水を発生させる凝縮器と、
前記凝縮器及び前記燃料電池装置から熱を回収する熱媒体が循環している第1熱利用経路と、
前記第1熱利用経路が接続される貯湯タンクと、
原料ガスを燃焼して熱を供給する燃焼装置と、
前記燃焼装置と前記貯湯タンクとを接続する第2熱利用経路と、
前記燃料電池装置及び前記燃焼装置に原料ガスを供給するための原料ガス供給部と、
前記第1熱利用経路のうちの前記貯湯タンクから前記燃料電池装置へ熱媒体を供給する経路上に配置され、前記第1熱利用経路内の熱媒体と外気との顕熱交換を行う熱交換器と、
前記熱交換器を冷却するファンと、
少なくとも前記ファンの送風能力を制御する制御部と、
前記原料ガス供給部から前記燃焼装置へ供給される原料ガスの流量を検知する流量計と、
を備え、
前記制御部は、前記流量計で検出される原料ガスの流量が所定の流量以上である場合は、前記ファンの送風能力を高くし、前記流量計で検出される原料ガスの流量が前記所定の流量より少ない場合は、前記ファンの送風能力を低く又は停止するよう制御する、発電システム。
【請求項3】
原料ガス及び凝縮水の改質反応から生成される燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う燃料電池を有し、電力と熱を供給する燃料電池装置と、
前記燃料電池装置から排出される水蒸気含有ガスを冷却して凝縮水を発生させる凝縮器と、
前記凝縮器及び前記燃料電池装置から熱を回収する熱媒体が循環している第1熱利用経
路と、
前記第1熱利用経路が接続される貯湯タンクと、
原料ガスを燃焼して熱を供給する燃焼装置と、
前記燃焼装置と前記貯湯タンクとを接続する第2熱利用経路と、
前記燃料電池装置及び前記燃焼装置に原料ガスを供給するための原料ガス供給部と、
前記第1熱利用経路のうちの前記貯湯タンクから前記燃料電池装置へ熱媒体を供給する経路上に配置され、前記第1熱利用経路内の熱媒体と外気との顕熱交換を行う熱交換器と、
前記熱交換器を冷却するファンと、
少なくとも前記ファンの送風能力を制御する制御部と、
前記第2熱利用経路の温度を検出する温度検知器と、
を備え、
前記制御部は、前記温度検知器で検出される温度が所定の温度以上である場合は、前記ファンの送風能力を高くし前記温度検知器で検出される温度が前記所定の温度より低い場合は、前記ファンの送風能力を低くする又は停止するよう制御する、発電システム。
【請求項4】
前記熱交換器は、前記第1熱利用経路上に設けられた放熱フィンである、請求項1〜3のいずれかに記載の発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−209173(P2012−209173A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75021(P2011−75021)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】