説明

白線認識装置

【課題】白線を正しく認識できる白線認識装置1を提供すること。
【解決手段】自車両の前方の道路を含む領域の画像を撮影する撮影手段3と、前記画像における道路の領域の輝度を検出する輝度検出手段7と、前記輝度検出手段7で検出した輝度と閾値との対比結果に基づき、前記画像における道路の白線を認識する白線認識手段7と、前記白線認識手段7により認識された白線内における輝度に基づき、前記閾値を再設定する閾値再設定手段7と、を備えることを特徴とする白線認識装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は白線認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の前方の道路を含む領域の画像を撮影し、その画像において道路の白線を認識する白線認識装置が知られている(特許文献1参照)。この白線認識装置では、撮影した画像のうち、道路の領域における輝度を検出し、その輝度と所定の閾値とを対比して、白線を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−157670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
白線を正しく認識するためには、閾値が、道路の輝度及び白線の輝度に応じて適切に設定されていなければならない。しかしながら、道路の輝度、白線の輝度は、道路の状態、光(太陽光、照明)の向きや角度、天候等により様々であるから、場合によっては、閾値が適切なものでなくなってしまうことがある。その場合は、白線を正しく認識できなくなってしまう。
【0005】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、白線を正しく認識できる白線認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1.第1の発明
第1の発明に係る白線認識装置は、自車両の前方の道路を含む領域の画像を撮影し、その画像における道路の領域の輝度を検出し、その道路の領域の輝度と閾値との対比結果に基づき、画像における道路の白線を認識する。
【0007】
さらに第1の発明に係る白線認識装置は、認識された白線内における輝度に基づき、閾値を再設定する。そのことにより、道路の状態、光(太陽光、照明)の向きや角度、天候等によらず、白線を正確に認識することができる。
【0008】
第1の発明に係る白線認識装置は、画像における道路の輝度に対する空の輝度の輝度比(以下では、空/道路の輝度比とする)に基づき、閾値を修正できるものであることが好ましい。例えば、道路及び空を含む画像を撮影し、その画像における空/道路の輝度比を算出し、その空/道路の輝度比が所定の値A以上の場合は、空/道路の輝度比が値A未満の場合よりも、閾値が小さくなるようにすることができる。
【0009】
前記値Aは、例えば、空/道路の輝度比が値A以上であれば、その画像データが逆光において撮影されたと判断できる値とすることができる。この場合、逆光において画像を撮影したとき、それ以外のときより、閾値が小さくなる。逆光のときは、路面反射により白線のコントラストが下がるため、そのままでは白線を認識し難くなってしまうが、閾値が小さくなることにより、白線の認識が容易になる。
【0010】
また、第1の発明に係る白線認識装置は、例えば、空/道路の輝度比が、値B(<A)以下の場合は、空/道路の輝度比が値Bを超える場合よりも、閾値が大きくなるようにすることができる。
【0011】
前記値Bは、例えば、空/道路の輝度比が値B以下であれば、その画像データが雪道において撮影されたと判断できる値とすることができる。この場合、雪道において画像を撮影したとき、それ以外のときより、閾値が大きくなる。雪道で撮影した画像では、雪で白線が隠れて轍等を誤認識しやすくなるが、閾値が大きくなることにより、そのような誤認識を防止することができる。
【0012】
また、第1の発明に係る白線認識装置は、画像における道路(特に白線を除く部分)の輝度分布の大きさに基づき、閾値を修正できるものであることが好ましい。例えば、画像における道路の輝度分布の大きさを算出し、その輝度分布が所定の値X以上の場合は、輝度分布が値X未満の場合よりも、閾値が大きくなるようにすることができる。こうすることにより、道路の輝度分布が大きくても、白線でないものを白線と誤認識してしまうことが生じにくい。
【0013】
一方、道路の輝度分布が値X未満の場合は、相対的に閾値が小さくなるようにすることができる。そのことにより、白線の認識漏れが少なくなる。また、道路の輝度分布が小さければ、閾値が小さくても、白線でないものを白線であると誤認識してしまうことは生じにくい。
2.第2の発明
第2の発明に係る白線認識装置は、自車両の前方の道路を含む領域の画像を撮影し、その画像における道路の領域の輝度を検出し、その道路の領域の輝度と閾値との対比結果に基づき、画像における道路の白線を認識する。
【0014】
さらに、第2の発明に係る白線認識装置は、道路及び空を含む画像を撮影し、その画像における空/道路の輝度比を算出し、その空/道路の輝度比が所定の値A以上の場合は、空/道路の輝度比が値A未満の場合よりも、閾値を小さくする。
【0015】
前記値Aは、例えば、空/道路の輝度比が値A以上であれば、その画像データが逆光において撮影されたと判断できる値とすることができる。この場合、逆光において画像を撮影したとき、それ以外のときより、閾値が小さくなる。逆光のときは、路面反射により白線のコントラストが下がるため、そのままでは白線を認識し難くなってしまうが、閾値を小さくすることにより、白線の認識が容易になる。
【0016】
また、第2の発明に係る白線認識装置は、空/道路の輝度比が、値B(<A)以下の場合は、空/道路の輝度比が値Bを超える場合よりも、閾値を大きくする。
前記値Bは、例えば、空/道路の輝度比が値B以下であれば、その画像データが雪道において撮影されたと判断できる値とすることができる。この場合、雪道において画像を撮影したとき、それ以外のときより、閾値が大きくなる。雪道で撮影した画像では、雪で白線が隠れて轍等を誤認識しやすくなるが、閾値を大きくすることにより、そのような誤認識を防止することができる。
3.第3の発明
第3の発明に係る白線認識装置は、自車両の前方の道路を含む領域の画像を撮影し、その画像における道路の領域の輝度を検出し、その道路の領域の輝度と閾値との対比結果に基づき、画像における道路の白線を認識する。
【0017】
さらに、第3の発明に係る白線認識装置は、画像における道路(特に白線を除く部分)の輝度分布の大きさを算出し、その輝度分布が所定の値X以上の場合は、輝度分布が値X未満の場合よりも、閾値を大きくする。こうすることにより、白線でないものを白線と誤認識してしまうことが生じにくい。
【0018】
一方、道路の輝度分布が値X未満の場合は、相対的に閾値が小さくなる。そのことにより、白線の認識漏れが少なくなる。また、道路の輝度分布が小さければ、閾値が小さくても、白線でないものを白線と誤認識してしまうことは生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】白線認識装置1の構成を表すブロック図である。
【図2】白線認識装置1が実行する白線認識処理を表すフローチャートである。
【図3】白線認識装置1が撮影する画像データの例を表す写真である。
【図4】(a)は道路の輝度分布が小さい画像データを表す写真であり、(b)は(a)の画像データにおける輝度分布を表すグラフであり、(c)は道路の輝度分布が大きい画像データを表す写真であり、(d)は(c)の画像データにおける輝度分布を表すグラフである。
【図5】エッジ抽出の方法を表す説明図である。
【図6】雪道において撮影された画像データの例を表す写真である。
【図7】逆光において撮影された画像データの例を表す写真である。
【図8】空/道路の輝度比に基づきエッジ閾値を修正する方法を表す説明図である。
【図9】道路の輝度分布に基づきエッジ閾値を修正する方法を表す説明図である。
【図10】白線認識装置1が実行する白線認識処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
1.第1の実施形態
(1)白線認識装置1の構成
白線認識装置1の構成を図1のブロック図に基づき説明する。白線認識装置1は、車両に搭載される。なお、以下では、白線認識装置1が搭載される車両を自車両とする。白線認識装置1は、カメラ(撮影手段)3、電源装置5、画像ECU7及び警報装置9を備える。
【0021】
上記カメラ3はCCDカメラであり、自車両の前方の画像を撮影できる位置に設けられる。カメラ3で撮影する画像の範囲は、自車両の前方の道路及びその上方の空を含めることができる範囲である。カメラ3は、画像ECU7からの指示に応じて、シャッタースピード、フレームレート、画像ECU7へ出力するデジタル信号のゲイン等を調整することができる。また、カメラ3は、撮影した画像の画像データを画像ECU7へ出力する。
【0022】
上記電源装置5は、カメラ3、画像ECU7、及び警報装置9へ電源を供給する。
上記画像ECU7は、マイクロコンピュータ等によって構成されるものであり、例えば、CPU、ROM、RAM、I/O、及びこれらを接続するバス(いずれも図示略)等を備えている。画像ECU7は、カメラ3から入力する画像データに基づき、画像の明るさが所定範囲に収まるように、カメラ3のシャッタースピード、フレームレート、デジタル信号のゲイン等を制御する。また、画像ECU7は、カメラ3から入力する画像データを用いて、後述する白線認識処理を実行する。
【0023】
さらに、画像ECU7は、白線認識処理により認識した白線の位置から、道路における自車両の位置(白線に対し、どれだけ左右方向に変位しているか)を算出し、自車両が車線を逸脱するか否かを判定する。逸脱すると判定した場合は、警報装置9に警報信号を出力する。画像ECU7は、輝度検出手段、白線認識手段、閾値再設定手段、輝度比算出手段、閾値修正手段、輝度分布算出手段として機能する。
【0024】
上記警報装置9は、画像ECU7から警報信号を受信した場合、音声、又は図示しない表示装置における警報画像により警報を行う。
(2)白線認識装置1が実行する白線認識処理
図2のフローチャート及び図3〜図9の説明図に基づき、白線認識装置1(特に画像ECU7)が実行する白線認識処理を説明する。図2に示す白線認識処理は、自車両のイグニッションスイッチがONにされると開始される。
【0025】
図2のステップ10では、カメラ3により、自車両の前方の画像を撮影し、その画像データを画像ECU7に取り込む。撮影する画像の範囲は、自車両の前方の道路及びその上方の空を含めることができる範囲である。撮影する画像は、例えば、図3に示すようなものである。
【0026】
ステップ20では、前記ステップ10で取り込んだ画像データにおける道路の輝度に対する空の輝度の輝度比(以下では、空/道路の輝度比とする)を算出する。具体的には、以下のように行う。
(i)空の輝度の算出
画像データにおいて、空に対応する領域(画像データのうち、上方の領域)の輝度を画素ごとに取得する。そして、空に対応する領域の中で、最も輝度が高い画素の輝度を、空の輝度とする。
(ii)道路の輝度の算出
画像データにおいて、自車両の前方の道路に対応する領域(以下、道路対応領域とする)の輝度を画素ごとに取得する。道路対応領域は、例えば、図3に示す画像データにおいて、長方形の枠で囲まれた領域である。そして、その道路対応領域の全画素を、輝度が高い順に並べる。そして、輝度の順位が、最高から所定の順位までの画素を除外する。これらの画素は、白線、ノイズ等により、道路(白線を除く部分)の実際の輝度より高い輝度となっている可能性があるためである。よって、除外されずに残った画素は、道路のうち、白線やノイズを除く部分の画素である。道路対応領域の画素のうち、除外されずに残った画素の輝度についての平均値を算出し、これを道路(白線を除く部分)の輝度とする。
(iii) 空/道路の輝度比の算出
前記(ii)で算出した道路の輝度に対する、前記(i)で算出した空の輝度の比率を、空/道路の輝度比とする。
【0027】
ステップ30では、前記ステップ10で取り込んだ画像データにおける道路の輝度分布の大きさを算出する。具体的には、以下のように行う。
図4(a)、(c)に示すように、画像データの道路対応領域において、水平方向の走査線を設定する。そして、その走査線上に位置する各画素の輝度を取得する。図4(b)に、図4(a)の画像データにおける、走査線上に位置する画素の輝度を示す。また、図4(d)に、図4(c)の画像データにおける、走査線上に位置する画素の輝度を示す。なお、図4(b)、(d)の横軸は水平方向の位置であり、縦軸は輝度である。
【0028】
走査線上の各画素について、一方の側において隣接する画素に対する輝度変化量の絶対値を算出し、その輝度変化量の絶対値を走査線上の全画素について合計する。この値を、輝度分布の大きさとする。なお、図4(a)、(b)は、輝度分布が小さい画像データの例であり、図4(c)、(d)は、輝度分布が大きい画像データの例である。
【0029】
ステップ40では、エッジ閾値が既に設定されているか否かを判断する。エッジ閾値とは、後述するステップ80、90、100又はステップ105で設定するパラメータである。エッジ閾値が既に設定されている場合はステップ50に進み、未だ設定されていない場合はステップ105に進む。
【0030】
ステップ50では、道路上の白線のエッジを抽出する。具体的には、以下のように行う。画像データの道路対応領域において、水平方向の走査線を設定する。その走査線上に位置する画素の輝度の微分曲線を算出する。例えば、走査線上に位置する画素の輝度が図5(a)に示すものであった場合、図5(b)に示す輝度の微分曲線が得られる。そしてさらに、図5(c)に示すように、微分値の絶対値をとる。なお、図5(a)において輝度が高くなっている部分は白線であり、それ以外の部分は、道路(白線の部分を除く)である。図5(c)に示すように、微分値の絶対値を表す曲線にエッジ閾値をあてはめ、それらの交点を定める。走査線上におけるこの交点の位置を白線のエッジとして抽出する。
【0031】
ここで用いるエッジ閾値は、後述するステップ80でエッジ閾値を再設定した場合は、その再設定した値である。また、後述するステップ90、100でさらにエッジ閾値を修正した場合は、その修正後の値である。また、未だステップ80でエッジ閾値を設定していない場合は、後述するステップ105で設定した値である。
【0032】
上記の処理を、画像データの道路対応領域において複数設定する走査線のそれぞれについて行う。その結果、自車両の進行方向に沿って、複数のエッジが抽出される。図1に、抽出された複数のエッジの例を示す。
【0033】
ステップ60では、前記ステップ50で抽出した複数のエッジを通る直線をフィッティングにより算出する。この直線は、白線の両側の境界線に該当する。そして、この直線の一対で挟まれた領域を、白線として認識する。
【0034】
ステップ70では、画像データのうち、前記ステップ60において白線として認識された領域の平均輝度(以下、白線輝度情報とする)を抽出する。
ステップ80では、前記ステップ70で抽出した白線輝度情報に基づき、エッジ閾値を再設定する。エッジ閾値は、例えば、以下のように再設定することができる。
(i) 画像ECU7が、白線輝度情報とエッジ閾値との対応マップを予め記憶している。前記ステップ70で抽出した白線輝度情報をその対応マップにあてはめると、エッジ閾値が定まる。対応マップでは、白線輝度情報の輝度が高いほど、対応するエッジ閾値が高くなる。また、対応マップでは、白線のエッジを漏れなく抽出でき、且つノイズを拾い難くなるように、白線輝度情報に応じて、エッジ閾値を設定している。
【0035】
なお、エッジ閾値には予め下限値が設定されており、白線輝度情報によらず、エッジ閾値は、その下限値以下にはならない。このことは後述する(ii)でも同様である。
(ii) 画像ECU7が、白線輝度情報とエッジ閾値の目標値との対応マップを予め記憶している。前記ステップ70で抽出した白線輝度情報をその対応マップにあてはめると、エッジ閾値の目標値が算出される。算出されたエッジ閾値の目標値と、その時点でのエッジ閾値とを比較し、エッジ閾値の目標値の方が大きい場合は、その時点でのエッジ閾値に所定の値Δ(>0)を加え、これを新たなエッジ閾値として再設定する。一方、エッジ閾値の目標値の方が小さい場合は、その時点でのエッジ閾値から所定の値Δを差引き、これを新たなエッジ閾値として再設定する。
【0036】
この設定方法によれば、エッジ閾値は一度にΔしか変化せず、急激に変動しないので、仮に、あるフレームで不適切な白線輝度情報が抽出された場合でも、エッジ閾値が適切な値から大きく外れてしまうことがない。
【0037】
ステップ90では、前記ステップ20で算出した空/道路の輝度比に基づき、前記ステップ80で設定したエッジ閾値を修正する。具体的には、以下のように行う。
前記ステップ20で算出した空/道路の輝度比と、値A、値B(<A)とを対比する。ここで、空/道路の輝度比が値B以下の範囲は、雪道において画像データを取得した場合(例えば図6に示すような画像データを取得した場合)に対応する。また、空/道路の輝度比が値A以上の範囲は、逆光において画像データを取得した場合(例えば図7に示すような画像データを取得した場合)に対応する。
【0038】
前記ステップ20で算出した空/道路の輝度比が値B以下の場合は、図8に示すように、前記ステップ80で設定したエッジ閾値にα(α>0)を加える修正を行う。また、前記ステップ20で算出した空/道路の輝度比が値Bを越え、値A未満の場合は、前記ステップ80で設定したエッジ閾値を修正しない。また、前記ステップ20で算出した空/道路の輝度比が値A以上の場合は、前記ステップ80で設定したエッジ閾値からβ(β>0)を差し引く修正を行う。
【0039】
ステップ100では、前記ステップ30で算出した道路の輝度分布に基づき、前記ステップ80で設定したエッジ閾値(前記ステップ90で修正している場合はその修正後のエッジ閾値)を修正する。具体的には、以下のように行う。
【0040】
前記ステップ30で算出した道路の輝度分布の大きさと、値X、値Y(>X)とを対比する。
前記ステップ30で算出した道路の輝度分布が値X以下の場合は、図9に示すように、前記ステップ80で設定したエッジ閾値からδ(δ>0)を差し引く修正を行う。また、前記ステップ30で算出した道路の輝度分布が値Xを越え、値Y未満の場合は、前記ステップ80で設定したエッジ閾値を修正しない。また、前記ステップ30で算出した道路の輝度分布が値Y以上の場合は、前記ステップ80で設定したエッジ閾値にγ(γ>0)を加える修正を行う。
【0041】
前記ステップ40でNOと判断した場合(未だエッジ閾値が設定されていない場合)はステップ105に進み、道路の輝度に基づきエッジ閾値を設定する。具体的には、以下のように行う。画像ECU7は、予め、道路の輝度と、エッジ閾値との対応マップを備えている。この対応マップに、前記ステップ20で算出した道路の輝度をあてはめて算出されたエッジ閾値を設定する。
(3)白線認識装置1が奏する効果
(効果1)白線認識装置1は、白線における輝度(白線輝度情報)に基づき、エッジ閾値を再設定する。そのため、道路の状態、光(太陽光、照明)の向きや角度、天候等によらず、白線を正確に認識することができる。
(効果2) 白線認識装置1は、空/道路の輝度比が大きいとき(逆光において画像データを取得したとき)は、エッジ閾値が小さくなるように修正する。逆光のときは、路面反射により白線のコントラストが下がるため、そのままでは白線を認識し難くなってしまうが、エッジ閾値を小さくすることにより、白線の認識が容易になる。
【0042】
一方、白線認識装置1は、空/道路の輝度比が小さいとき(雪道において画像データを取得したとき)は、エッジ閾値が大きくなるように修正する。雪道では、雪で白線が隠れて轍等を誤認識しやすくなるが、エッジ閾値を大きくすることにより、そのような誤認識を防止することができる。
(効果3) 白線認識装置1は、道路の輝度分布が小さいときは、エッジ閾値が小さくなるように修正する。そのことにより、白線のエッジの抽出漏れが少なくなる。また、道路の輝度分布が小さいので、エッジ閾値が小さくても、白線でないものを白線と誤認識してしまうことは生じにくい。
【0043】
一方、白線認識装置1は、道路の輝度分布が大きいときは、エッジ閾値が大きくなるように修正する。そのことにより、白線でないものを白線と誤認識してしまうことが生じにくい。
2.第2の実施形態
本実施形態の白線認識装置1における構成は前記第1の実施形態と同じである。本実施形態の白線認識装置1が実行する白線認識処理は、前記第1の実施形態と一部相違する。以下では、その相違点を中心に説明し、同様の部分の説明は省略乃至簡略化する。
【0044】
白線認識装置1が実行する白線認識処理を図10のフローチャートに基づいて説明する。
図10のステップ110〜130は前記第1の実施形態におけるステップ10〜30と同じである。
【0045】
ステップ140では、道路の輝度に基づきエッジ閾値を設定する。具体的には、以下のように行う。画像ECU7は、予め、道路の輝度と、エッジ閾値との対応マップを備えている。この対応マップに、前記ステップ120で算出した道路の輝度をあてはめて算出されたエッジ閾値を設定する。
【0046】
ステップ150では、前記ステップ120で算出した空/道路の輝度比に基づき、前記ステップ140で設定したエッジ閾値を修正する。その修正方法は前記第1の実施形態におけるステップ90と同じである。
【0047】
ステップ160では、前記ステップ130で算出した道路の輝度分布に基づき、前記ステップ140で設定したエッジ閾値(前記ステップ150で修正している場合はその修正後のエッジ閾値)を修正する。その修正方法は前記第1の実施形態におけるステップ100と同じである。
【0048】
ステップ170、180は、前記第1の実施形態におけるステップ50、60と同じである。なお、ステップ170で用いるエッジ閾値は、ステップ150、160でエッジ閾値を修正した場合は、その修正後の値である。また、ステップ150、160でエッジ閾値を修正していない場合は、ステップ140で設定した値である。
【0049】
本実施形態の白線認識装置1は、前記第1の実施形態の白線認識装置1と同様に、前記効果2、及び前記効果3を奏することができる。
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0050】
例えば、前記第1の実施形態において、前記ステップ90、100の処理のうちの一方、又は両方はなくてもよい。その場合でも、前記効果1を奏することができる。
また、前記第1の実施形態におけるステップ100の処理において、輝度分布の大きさに関する基準を3段階以上設け、輝度を小刻みに修正してもよい。また、輝度分布の大きさが大きくなるほど、エッジ閾値が徐々に大きくなるようにしてもよい。
【0051】
また、前記第2の実施形態において、前記ステップ150、160の処理のうちの一方はなくてもよい。その場合でも、前記効果2、効果3のうちの一方を奏することができる。
【0052】
前記第1の実施形態でのステップ50において、走査線上に位置する画素の輝度自体(図5(a)参照)とエッジ閾値とを対比して、エッジを抽出してもよい。前記第2の実施形態におけるステップ170でも同様である。
【符号の説明】
【0053】
1・・・白線認識装置、3・・・カメラ、5・・・電源装置、7・・・画像ECU、
9・・・警報装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方の道路を含む領域の画像を撮影する撮影手段と、
前記画像における道路の領域の輝度を検出する輝度検出手段と、
前記輝度検出手段で検出した輝度と閾値との対比結果に基づき、前記画像における道路の白線を認識する白線認識手段と、
前記白線認識手段により認識された白線内における輝度に基づき、前記閾値を再設定する閾値再設定手段と、
を備えることを特徴とする白線認識装置。
【請求項2】
前記撮影手段は、前記道路及び空を含む画像を撮影するものであり、
前記画像における道路の輝度に対する空の輝度の輝度比を算出する輝度比算出手段と、
前記輝度比が所定の値A以上の場合は、前記輝度比が前記値A未満の場合よりも、前記閾値を小さくする第1の閾値修正手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の白線認識装置。
【請求項3】
前記第1の閾値修正手段は、前記輝度比が、前記値Aよりも小さい値B以下の場合は、前記輝度比が前記値Bを超える場合よりも、前記閾値を大きくすることを特徴とする請求項2記載の白線認識装置。
【請求項4】
前記画像における道路の輝度分布の大きさを算出する輝度分布算出手段と、
前記輝度分布が所定の値以上の場合は、前記輝度分布が前記所定の値未満の場合よりも、前記閾値を大きくする第2の閾値修正手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の白線認識装置。
【請求項5】
自車両の前方の道路及び空を含む領域の画像を撮影する撮影手段と、
前記画像における道路の領域の輝度を検出する輝度検出手段と、
前記輝度検出手段で検出した輝度と閾値との対比結果に基づき、前記画像における道路の白線を認識する白線認識手段と、
前記画像における道路の輝度に対する空の輝度の輝度比を算出する輝度比算出手段と、
前記輝度比が所定の値A以上の場合は、前記輝度比が前記値A未満の場合よりも、前記閾値を小さくする第1の閾値修正手段と、
を備えることを特徴とする白線認識装置。
【請求項6】
前記第1の閾値修正手段は、前記輝度比が、前記値Aよりも小さい値B以下の場合は、前記輝度比が前記値Bを超える場合よりも、前記閾値を大きくすることを特徴とする請求項5記載の白線認識装置。
【請求項7】
自車両の前方の道路を含む領域の画像を撮影する撮影手段と、
前記画像における道路の領域の輝度を検出する輝度検出手段と、
前記輝度検出手段で検出した輝度と閾値との対比結果に基づき、前記画像における道路の白線を認識する白線認識手段と、
前記画像における道路の輝度分布の大きさを算出する輝度分布算出手段と、
前記輝度分布が所定の値以上の場合は、前記輝度分布が前記所定の値未満の場合よりも、前記閾値を大きくする第2の閾値修正手段と、
を備えることを特徴とする白線認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−165050(P2011−165050A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28913(P2010−28913)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】