説明

白色発光ダイオード

【課題】色表現が良好であり、色相角(Hue Angle)値を満足させることができる高効率の白色発光ダイオードを提供すること。
【解決手段】白色発光ダイオードは、青色発光LEDチップ130と、前記青色発光LEDチップ130の上に所定の配合比で塗布されて、前記青色発光LEDチップ130から放出される光を白色光に変換するための黄色発光蛍光体160a、緑色発光蛍光体160b及び赤色発光蛍光体160cと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色発光ダイオードに関し、さらに詳細には、発光LEDチップと蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)は、GaAs、AlGaAs、GaN、InGaInPなどの化合物半導体(compound semiconductor)材料を変えて発光源を構成することで、多様な色の光を生成できる半導体素子である。
【0003】
最近、LEDは、飛躍的な半導体技術の発展に伴い、低輝度の汎用製品から脱皮して、高輝度及び高品質の製品生産が可能になった。また、高特性の青色(blue)と白色(white)LEDの作製が現実化されるにしたがって、ディスプレイ及び次世代照明源等でその応用価値が拡大しつつある。
【0004】
このような高効率のLEDに対する多様な用途のために、青色発光LEDチップの上に黄色発光蛍光体を塗布して白色発光を效率的に誘導する技術が多く利用されている。
【0005】
現在、白色光を生成するための方法として、青色発光LEDチップの上にガーネット系黄色発光蛍光体を塗布する技術が多く適用されている。青色発光LEDチップと黄色発光蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオードに対する研究は、近来急速な発展を遂げており、21世紀を迎えてより高い効率の白色LEDを実現するために、LEDチップ、パッケージ及び蛍光体などそれぞれの部分で効率の向上を目標に多様な研究が進められている。この中で、蛍光体分野においては、既存のガーネット系黄色発光蛍光体の他に白色発光の効率向上のために、珪酸塩系黄色発光蛍光体が適用されている。
【0006】
ここで、図1は、青色発光LEDチップと珪酸塩系黄色発光蛍光体を適用した従来の白色発光ダイオードの発光スペクトルを示すグラフである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の珪酸塩系黄色発光蛍光体は、活性剤でドーピングされたユウロピウム2価の特性上、発光波長の半値幅が狭いことから、図1のように緑色発光領域(G)及び赤色発光領域(R)の光が相対的に不足し、これによって色表現が低下し、色相角(Hue Angle)値も満足させることができないという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、色表現が良好であり、色相角(Hue Angle)値を満足させることができる高効率の白色発光ダイオードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成すべく、本発明に係る白色発光ダイオードは、青色発光LEDチップと、前記青色発光LEDチップの上に所定の配合比で塗布されて、前記青色発光LEDチップから放出される光を白色光に変換するための黄色、緑色及び赤色発光蛍光体と、を含む。
【0010】
ここで、前記黄色発光蛍光体は、珪酸塩系蛍光体であることが好ましい。
【0011】
また、前記緑色発光蛍光体は、珪酸塩系又は硫化物系蛍光体であることが好ましく、このとき、前記珪酸塩系蛍光体として、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu,Reを利用し、前記硫化物系蛍光体として、(Sr,Ca)Ga:Eu,Reを利用することが好ましい。
【0012】
また、前記赤色発光蛍光体は、窒化物系又は硫化物系蛍光体であることが好ましく、このとき、前記窒化物系蛍光体として、(Sr,Ca,Ba)AlSiN:Eu,Reを利用し、前記硫化物系蛍光体として、(Sr,Ca)S:Eu,Reを利用することが好ましい。
【0013】
また、前記黄色、緑色及び赤色発光蛍光体の配合比は、0.5≦黄色発光蛍光体<1、0.01<緑色発光蛍光体≦0.4、0.01<赤色発光蛍光体≦0.1(ここで、黄色発光蛍光体+緑色発光蛍光体+赤色発光蛍光体=1)であることが好ましい。
【0014】
また、前記黄色、緑色及び赤色発光蛍光体は、互いに混合されて散在していることが好ましい。
【0015】
あるいは、前記黄色、緑色及び赤色発光蛍光体は、レイヤー形態で順次積層されていることが好ましい。
【0016】
また、前記黄色、緑色及び赤色発光蛍光体は、モールディング材と共に混合されて塗布されていることが好ましい。
【0017】
また、前記モールディング材は、シリコーン(silicone)、ハイブリッド(hybrid)、エポキシ(epoxy)及びポリビニール(polyvinyl)系レジンで構成された群から選択された何れか一つからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、青色発光LEDチップと黄色発光蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオードに緑色及び赤色発光蛍光体をさらに適用することによって、相対的に不足していた緑色及び赤色発光領域の光を補完して、色表現が良好であり、色相角(Hue Angle)値を満足させることができる高効率の白色発光ダイオードを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る白色発光ダイオードの上記の目的に対する技術的構成をはじめとする作用効果に関する事項は、本発明の好ましい実施の形態が示された図面を参照した下記の詳細な説明によって明確に理解できるはずである。
【0020】
図2及び図3は、本発明による白色発光ダイオードの構造を示した断面図である。
【0021】
まず、図2に示すように、本発明の白色発光ダイオードは、第1リードフレーム110a及び第2リードフレーム110bからなる1対のリードフレーム110と、前記リードフレーム110の一部を内部に収容し、かつモールディング材の充填空間を画定するように形成されたパッケージモールド120、前記パッケージモールド120の内部のリードフレーム110のうちの一つのリードフレーム110a上に実装された青色発光LEDチップ130、及び前記リードフレーム110と前記青色発光LEDチップ130との電気的接続のためのボンディングワイヤー140を含む。
【0022】
前記パッケージモールド120は、プラスチック合成樹脂材などを利用したプレモールディング(pre−molding)方式などにより形成することができ、前記ボンディングワイヤー140は、金(Au)からなることが一般的である。
【0023】
特に、本発明による白色発光ダイオードにおいて、前記パッケージモールド120の内部の前記青色発光LEDチップ130の上には、前記青色発光LEDチップ130から放出される光を白色に変換するための黄色発光蛍光体160a、緑色発光蛍光体160b及び赤色発光蛍光体160cが所定の配合比で配置されている。
【0024】
すなわち、従来の白色発光ダイオードでは、青色発光LEDチップ130に黄色発光蛍光体160aのみを適用していたが、本発明では、上記の黄色発光蛍光体160aの他に、緑色発光蛍光体160b及び赤色発光蛍光体160cをさらに配合して配置しているものである。
【0025】
前記青色発光LEDチップ130上に配置される蛍光体160a、160b、160cの中で、前記黄色発光蛍光体160aは、従来の白色発光ダイオードと同様に珪酸塩系蛍光体からなることができる。
【0026】
そして、本発明の白色発光ダイオードに用いられる前記緑色発光蛍光体160bは、珪酸塩系又は硫化物系蛍光体であることが好ましい。このとき、前記緑色発光のための珪酸塩系蛍光体としては、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu,Reを利用することが好ましく、硫化物系蛍光体としては、(Sr,Ca)Ga:Eu,Reを利用することが好ましい。このような蛍光体において、上記のEuは、基本ドーピングであり、Re(Rare earth elements)は、希土類コドーピングである。
【0027】
また、前記赤色発光蛍光体160cは、窒化物系又は硫化物系蛍光体であることが好ましく、このとき、前記赤色発光のための窒化物系蛍光体としては、(Sr,Ca,Ba)AlSiN:Eu,Reを利用することが好ましく、硫化物系蛍光体としては、(Sr,Ca)S:Eu,Reを利用することが好ましい。ここで、Euは、上記のとおりに基本ドーピングであり、Reは、希土類コドーピングである。
【0028】
上記の緑色及び赤色発光蛍光体160b、160cは、珪酸塩系の黄色発光蛍光体160aと共に2種以上用いることができる。
【0029】
このような本発明の白色発光ダイオードにおいて、前記黄色、緑色及び赤色発光蛍光体160a、160b、160cの配合比は、0.5≦黄色発光蛍光体160a<1、0.01<緑色発光蛍光体160b≦0.4、0.01<赤色発光蛍光体160c≦0.1(ここで、黄色発光蛍光体160a+緑色発光蛍光体160b+赤色発光蛍光体160c=1)であることが好ましい。
【0030】
ここで、前記緑色発光蛍光体160bが0.4以上であるか、赤色発光蛍光体160cが0.1以上である場合、蛍光体の青色発光LEDチップ130に対した励起光の変換効率の低下によって、白色発光効率が低下し得るので、上記の範囲で蛍光体を配合することが好ましい。
【0031】
一方、前記黄色、緑色及び赤色発光蛍光体160a、160b、160cは、図2に示すように、互いに混合されて散在させることもでき、又は図3に示すように、レイヤー(layer)形態で順次積層することもできる。
【0032】
また、前記黄色、緑色及び赤色発光蛍光体160a、160b、160cは、図2及び図3に示すように、モールディング材150に混合して塗布することができるが、このようなモールディング材150なしに蛍光体のみで用いることもできる。このとき、前記蛍光体160a、160b、160cがモールディング材150に混合されて塗布される場合、前記モールディング材150は、シリコーン(silicone)、ハイブリッド(hybrid)、エポキシ(epoxy)及びポリビニール(polyvinyl)系レジンで構成された群から選択される何れか一つからなることが好ましい。
【0033】
このように本発明では、青色発光LEDチップ130の上に既存の高効率の珪酸塩系黄色発光蛍光体160aの他に、緑色及び赤色光の補完のために緑色及び赤色発光蛍光体160b、160cをさらに塗布することによって、不足した緑色及び赤色領域の光を確保し、かつ、LCDバックライトユニットに適した色相角値を満足させることができる。
【0034】
ここで、図4は、本実施形態による白色発光ダイオードと従来の白色発光ダイオードとの発光スペクトルを示すグラフであって、グラフにおいて点線で示したものは、従来の技術によって珪酸塩系黄色発光蛍光体のみを適用したものであり、実線で示したものは、本発明によって珪酸塩系黄色発光蛍光体に緑色及び赤色発光蛍光体を混合して適用したものである。
【0035】
図4から確認できるように、本実施形態によれば、従来の珪酸塩系黄色発光蛍光体のみを単独で使用する場合、相対的に不足していた緑色発光領域G及び赤色発光領域Rの光を補完することができる。したがって、本実施形態によれば、色表現が良好であり、色相角値を満足させることができる高効率の白色発光ダイオードを実現できるという効果がある。
【0036】
上述した本発明の好ましい実施の形態は、例示の目的のために開示されたものであり、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形、及び変更が可能であり、このような置換、変更などは、特許請求の範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】青色発光LEDチップと珪酸塩系黄色発光蛍光体を適用した従来の白色発光ダイオードの発光スペクトルを示すグラフである。
【図2】本発明による白色発光ダイオードの構造を示した断面図である。
【図3】本発明による白色発光ダイオードの構造を示した断面図である。
【図4】本発明による白色発光ダイオードと従来の白色発光ダイオードの発光スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0038】
110a 第1リードフレーム
110b 第2リードフレーム
110 リードフレーム
120 パッケージモールド
130 青色発光LEDチップ
140 ボンディングワイヤー
150 モールディング材
160a 黄色発光蛍光体
160b 緑色発光蛍光体
160c 赤色発光蛍光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色発光LEDチップと、
前記青色発光LEDチップの上に所定の配合比で塗布されて、前記青色発光LEDチップから放出される光を白色光に変換するための黄色、緑色及び赤色発光蛍光体と、を含む白色発光ダイオード。
【請求項2】
前記黄色発光蛍光体は、珪酸塩系蛍光体であることを特徴とする請求項1に記載の白色発光ダイオード。
【請求項3】
前記緑色発光蛍光体は、珪酸塩系又は硫化物系蛍光体であることを特徴とする請求項1または2に記載の白色発光ダイオード。
【請求項4】
前記緑色発光蛍光体を構成する前記珪酸塩系蛍光体として、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu,Reを利用することを特徴とする請求項3に記載の白色発光ダイオード。
【請求項5】
前記緑色発光蛍光体を構成する前記硫化物系蛍光体として、(Sr,Ca)Ga:Eu,Reを利用することを特徴とする請求項3に記載の白色発光ダイオード。
【請求項6】
前記赤色発光蛍光体は、窒化物系又は硫化物系蛍光体であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の白色発光ダイオード。
【請求項7】
前記赤色発光蛍光体を構成する前記窒化物系蛍光体として、(Sr,Ca,Ba)AlSiN:Eu,Reを利用することを特徴とする請求項6に記載の白色発光ダイオード。
【請求項8】
前記赤色発光蛍光体を構成する前記硫化物系蛍光体として、(Sr,Ca)S:Eu,Reを利用することを特徴とする請求項6に記載の白色発光ダイオード。
【請求項9】
前記黄色、緑色及び赤色発光蛍光体の配合比は、0.5≦黄色発光蛍光体<1、0.01<緑色発光蛍光体≦0.4、0.01<赤色発光蛍光体≦0.1であり、ただし、黄色発光蛍光体+緑色発光蛍光体+赤色発光蛍光体=1であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の白色発光ダイオード。
【請求項10】
前記黄色、緑色及び赤色発光蛍光体は、互いに混合されて散在していることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の白色発光ダイオード。
【請求項11】
前記黄色、緑色及び赤色発光蛍光体は、レイヤー形態で順次積層されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の白色発光ダイオード。
【請求項12】
前記黄色、緑色及び赤色発光蛍光体は、モールディング材と共に混合されて塗布されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載の白色発光ダイオード。
【請求項13】
前記モールディング材は、シリコーン(silicone)、ハイブリッド(hybrid)、エポキシ(epoxy)及びポリビニール(polyvinyl)系レジンで構成された群から選択された何れか一つからなることを特徴とする請求項12に記載の白色発光ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−103709(P2008−103709A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255479(P2007−255479)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】