皮膚に装着可能な医療装置
経皮的装置ユニット及びリザーバユニットを備えた医療装置を提供する。経皮的装置ユニットは、患者の皮膚部分を通して薬剤を輸送するための経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える。リザーバユニットは、液体薬剤を含有し、リザーバ内部から経皮的装置に流体が流れ込むように構成された流出口手段を備えるリザーバ、及びリザーバから経皮的装置を介して患者の皮膚中に液体薬剤を放出するための放出アセンブリを備える。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは更に、使用の際にリザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定する事を可能にする連結手段を備える。このような構成により、便利で費用効率の高い方法で使用できる2ユニット式システムが提供される。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は一般に、患者の皮膚表面に適用するのに適し、患者の皮膚を通して液体を導入するための経皮的装置を備える装置に関する。特定の態様において、このような装置は流体薬剤を含有するリザーバ、及びリザーバから経皮的装置を介して患者の皮膚中に流体薬剤を放出する放出手段を備える。
【0002】
発明の背景
本発明の開示では、概ねインシュリンの注射又は注入による糖尿病の治療について言及しているが、これは本発明の例示的な一使用法に過ぎない。
患者に薬剤を送達するための携帯用の薬剤送達装置はよく知られており、一般に、液体薬剤を含有し、中空注入針へ液体を流し込む流出口を有するリザーバ、並びにリザーバから中空針を介して患者の皮膚中に薬剤を放出する放出手段を備える。そのような装置はしばしば注入ポンプと称される。
【0003】
基本的に、注入ポンプは2種類に分ける事ができる。第1の種類は、3〜4年の使用を意図した比較的高価なポンプである注入ポンプを含み、そのようなポンプに対する初期コストがこの種の治療法に対する障壁となる場合が多い。従来の注射器やペンに比べて複雑であるが、ポンプは、インシュリンの連続的注入、投与量の正確さ、及び場合によってはプログラム可能な送達プラン並びに食事と結びついたユーザ作動による大量瞬時注入が可能であるという利点を有する。
上記問題への対処として、低コストで使用に便利な第2の種類の薬剤注入装置を提供しようとする試みが行われてきた。これらの装置の一部は、その一部又は全部が使い捨てであり、付随コストや不便性のない注入ポンプに伴う多くの利点を提供し、例えば薬剤リザーバを事前に充填できるので、充填又は再充填の必要がない。この種の注入装置は、米国特許第4340048号及び第4552561号(浸透圧ポンプに基づくもの)、米国特許第5858001号(ピストンポンプに基づくもの)、米国特許第6280148号(膜ポンプに基づくもの)、米国特許第5957895号(流量制限ポンプ(ブリーディングホールポンプとしても知られる)に基づくもの)、米国特許第5527288号(ガス生成ポンプに基づくもの)又は米国特許第5814020号(膨潤性ゲルに基づくもの)に公知であり、これらは全て最近10年間に安価で基本的に使い捨ての薬剤注入装置用に提案されたものであり、本明細書に参照文献として包含する。米国特許第6364865号には、2つの小びん型容器を連結し、その内の一方の内部を加圧することによりその容器中の薬剤を放出する手持ち式注入装置が開示されている。
【0004】
使い捨てポンプは一般に、接着手段により患者の皮膚に適用するのに適した皮膚に接触する装着表面を備え、使用の際に装着表面から突出して患者の皮膚に侵入する注入針を有し、器具使用中は針が皮膚に侵入する部分は被覆される。米国特許第2605765号及び第4340048号、及び欧州特許第1177802号に開示されているように、注入針は注入ポンプの適用と同時に挿入されるように装着表面から恒久的に突出しているように構成することができ、或いは、米国特許第5858001号及び第5814020号に開示されているように、引っ込んだ状態、即ち針の尖った遠位端がポンプ装置内部に「隠れた」状態で装置に針を供給し、これにより患者が針を見る事なく装置を皮膚上に配置できるようにすることができる。ポンプに加えて流体薬剤を輸送するための代替手段、例えば以下に述べるイオン泳動を用いてもよい。
上記第2の種類の全部又は一部が使い捨ての注入装置は、従来の耐久性の注入ポンプに比べてかなり安価に製造可能であることが期待されるが、従来の注入ポンプの実際の代替装置として日常ベースで使用するには依然として高価であると思われる。
【0005】
本発明を開示する前に、針又は針様構造の挿入に基づく異なる種類の装置を説明する。
使い捨て又は耐久性の薬剤注入ポンプにより、使用の利便性が向上し、取り扱いの制御が改善されるが、閉ループ制御に依存する糖尿病の治療用薬剤注入システム、即ち糖尿病のインシュリン治療の場合の血糖値レベル等、治療対象となる状態の指標となる数値の測定に基づくシステムのように、多かれ少なかれ全自動のシステムを提供する事が長年の目的であった。
【0006】
特定の物質の濃度を測定するための特定のモニタシステムは、観血的又は非観血的測定原理に基づいている。後者の例としては、患者の皮膚表面に配置され、近赤外分光分析を用いる非観血的ブドウ糖モニタが挙げられるが、本発明は主に、例えば針形状のセンサ素子のような経皮的装置を備える装置に関する。
センサは配線により外部装置に接続されて皮下に配置されるか、又は分析される物質(例えば液体)が外部センサ素子へ輸送される。それらの構成は共に、皮下構成要素(例えば、小型のカテーテル又は配管)の配置を必要とし、本発明はその両方の配置に対処する。しかしながら説明を簡単にするため、用語「センサ」は以降、患者の体内に導入される両方の型の素子に対して用いる。
【0007】
発明の開示
上記の問題に関連し、本発明の目的は、皮膚に装着可能な薬剤送達装置又はシステム及びその構成要素を提供することにより、そのような装置又はシステムを便利で費用効率の高い方法で用いる事を可能にする事である。従って、本システム及び構成要素の構成は、容易で迅速であり、且つ使用に際して信頼性のある操作を可能にする医療用送達手段を提供する。
本発明の開示において、上記目的の1つ以上に対処するか、又は後述及び例示的実施例の説明から明らかとなる目的に対処する実施形態及び態様について説明する。
【0008】
よって、第1の態様では、経皮的ユニット及びリザーバユニットを備える医療装置が提供され、この装置では経皮的ユニットは患者の皮膚部分を通して液体を輸送する経皮的手段、及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える。リザーバユニットは、流体薬剤を含有し、リザーバ内部から経皮的手段に流体を流入させる流出口を備えたリザーバ、及び使用に際して流体薬剤をリザーバから経皮的手段を介して患者の皮膚中に放出する放出手段を備える。経皮的ユニット及びリザーバユニットは更に、使用の際にリザーバユニットを経皮的ユニットに固定する事を可能にする連結手段を備える。
用語「経皮的」は、皮内投与又は皮下投与等、液体を皮膚部分を通して輸送する投与の全形態を包含する。経皮的手段は経皮的装置、ジェット注射手段、又はイオン性薬剤がイオン泳動の原理を用いて皮膚表面の所定の部位から患者の皮下組織中に浸透する事を可能にする電極の形状である。イオン泳動の更に詳細な説明については、本明細書に参考文献として包含する米国特許第6622037号を参照されたい。経皮的手段の性質に応じて、放出手段は種々の構成や性質を有する。例えば、1つ以上の中空注入針又はカニューレを使用する場合、放出手段はリザーバから流体薬剤を押し出す又は吸引するように構成することができ、一方、イオン泳動の場合、放出手段は電極セットに電流を印加する手段、即ち「駆動」手段とすることができる。
【0009】
更なる態様では、経皮的装置ユニット及びリザーバユニットを備える医療装置が提供され、この装置の経皮的装置ユニットは、経皮的装置及び患者の皮膚に適用するための装着表面を備える。リザーバユニットは、流体薬剤を含有するリザーバ、及びリザーバと協働して流体薬剤をリザーバから経皮的装置を介して患者の皮膚中に放出するための放出アセンブリを備える。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは更に、使用の際互いに固定されることにより、リザーバと経皮的装置との間に流体を流通させる事ができる。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは、使用の際にリザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定する事を可能にする解除可能な連結手段を備える。2つのユニットを備えるこのような医療用装置はまた、医療用システムと考えられる。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは各々、その中にそれぞれ経皮的装置と、リザーバ及び放出アセンブリが配置されるハウジングとを備える。
用語「放出アセンブリ」は、共同でリザーバから液体を放出可能にする構成要素又は構造の集合を含む。放出アセンブリは、例えば電子制御の作動手段と組み合わせた機械的ポンプ(例えば、膜ポンプ、ピストンポンプ又はローラポンプ)、機械的駆動ポンプ(例えばバネ駆動)、ガス駆動ポンプ、又は浸透圧エンジン駆動のポンプである。放出アセンブリはまた、アセンブリ外部の制御器により制御又は作動した場合に、共同でリザーバから流体を放出する構成要素又は構造の集合の形態とすることができる。
【0010】
経皮的装置(この用語には、この技術分野で従来用いられている類似の用語である経皮的接続装置及び経皮的接続器具も包まれる)は、尖った中空注入針、マイクロ針アレイ、或いは、尖った経皮的装置となるような、比較的柔軟性のそれ自体が太針であるカニューレと尖った挿入針との組み合わせであって、経皮的装置の太針部を挿入した後に挿入針を格納できる組み合わせの形態にすることができる。後者の場合、実際に患者の体内に挿入されてその後本明細書に述べる格納手段によって格納される経皮的装置の部分は、必ずしも組み合わせた経皮的装置の部分の皮膚への挿入を可能にし、経皮的装置の挿入の間に後退される尖った末端を備えなくともよい。有利には、カニューレは、一般に硬いスチール針である挿入針に比べて柔らかく柔軟性がある。本発明の開示内容及び例示的実施形態の説明では、概ね注入針の形状の経皮的装置について言及する。経皮的装置の長さは実際の使用に応じて選択され、例えば、皮膚表面に対しほぼ直角に挿入する中空スチール針は2〜8mm、好ましくは3〜5mmの挿入長を有し、皮膚表面に対し斜めの角度で挿入するカニューレはそれよりも長い、例えば4〜20mmの挿入長を有する。
装着表面は被験者(例えばユーザ又は患者)の皮膚に適用するのに適しており、装着表面外部の取り付け手段(例えば、医療装置と、皮膚に装着可能な装置とを連結する連結装置、接着性包帯又は包帯)又は装着表面上に提供される接着手段によって、皮膚との接触が保たれる。装着表面はまた、皮膚に装着可能な装置の中間構成要素を介して皮膚に装着するのに適しており、例えば皮膚に装着可能な装置は医療装置が取り付けられる受容部位を備え、受容部位中の開口を通して経皮的装置を皮膚に挿入することができる。
【0011】
上記の構成により、種々の構想が実現可能である。例えば、一方のユニットを少なくとも2つの異なるユニットとする事により、経皮的装置ユニットとリザーバユニットの各組み合わせからなる各アセンブリが、以下に更に詳細に説明するような異なる機能を有する、2種類以上の組み合わせを提供する事が可能となる。解除可能な連結手段を有するユニットが提供される場合、ユニットの一方を新規ユニット又は別のユニットと交換することができ、しかもその際他方のユニットを再使用することで、再使用ユニットの作動寿命を延ばすことができる。従って、本発明の例示的一実施形態では、ユーザとの接点を提供する構成要素が第1ユニットに組み込まれており、薬剤送達を行う構成要素が第2ユニットに組み込まれる装置を提供し、それにより、組み合わされる構成要素を単純で、確実に、及び操作が容易な方法で組み合わせ又は交換する事ができる。
例えば、リザーバユニットは一定量の薬剤、及び例えば10日間に亘って薬剤を供給する事が可能なエネルギ源を備える供給ポンプを備え、一方経皮的装置ユニットは、経皮的装置、及び予想される(又は推奨される)動作寿命が2日である装着表面上の接着表面を備え、よってリザーバユニットは5つの経皮的装置ユニットを用いて10日間使用可能となり、これにより組み合わされた装置の総使用コストが著しく低下する。リザーバは予め充填されるか、又は1回以上充填される。
【0012】
一方、経皮的装置ユニットは、例えば針又は軟質のカニューレと、針ユニットを取り付け、そのユニットを長時間使用可能にする接着手段(例えば、人工肛門袋の取り付けに用いられる型のもの)とを備え、例えば比較的大量の薬剤を注入しなければならないとき、リザーバユニットの予想作動寿命は短くなる。これに対して、異なる種類の薬剤を含む異なるリザーバユニットを上記の「長寿命」装着針ユニットと組み合わせで用いる事ができる。
使用を容易にするため、針ユニットとリザーバユニットを互いに固定したとき、針とリザーバとの間に流体が流通し、同様に、針ユニットとリザーバユニットを互いに固定すると放出手段が起動され、これらユニットを互いに切り離すと放出手段は起動停止する。実際は、これら操作の一方又は両方をユーザが手動で行うことができる。
【0013】
例示的一実施形態において、放出アセンブリは、リザーバの流出口から流体が流れ込むように構成された流入口と、経皮的装置へ流体が流れるように構成された流出口とを有するポンプを備え、それによって経皮的装置とリザーバ内部との間に液体が流通可能となっている。このような構成により、ポンプはリザーバから薬剤を引き込む吸引ポンプとして機能し、従ってリザーバは折り畳み可能でなければならないか、折り畳み可能でない場合はベントを設ける必要がある。放出アセンブリはまた、リザーバを加圧するの構成の形態、例えば取り換え可能なピストンを備えるリザーバ中のピストンを駆動する構成とすることができる。リザーバユニットは2以上のリザーバ及び2以上の放出アセンブリを備えてもよい。例えば、単独の放出アセンブリを使用して、2以上のリザーバから同時に複数の薬剤を混合しながら放出するか、又は交替に薬剤を放出することができ、或いは、各リザーバが、共通の経皮的装置又は個々の経皮的装置に連結している1の放出アセンブリを備えることができ、例えば経皮的装置ユニットが、放出アセンブリと連結する2以上の経皮的装置を備えてもよい。
ポンプの流路を初期的に無菌にするために、流入口と流出口がポンプ内部及び流路を初期無菌状態にシールするように、流路を流入口と流出口との間に配置することができる。このような構成により、リザーバユニット全体を無菌ユニットとして提供する必要がなくなり、使用の際には薬剤は無菌状態で提供される。
【0014】
例示的一実施形態において、リザーバユニットは、ポンプとリザーバとの間に流体が流れない初期状態から、ポンプユニットが初めて針ユニットに固定されて、ポンプの流入口手段とリザーバの流出口手段との間に流体が流れる非可逆作動状態へ変形可能である。このような構成により、ポンプとリザーバとの再連結時に望ましくない物質がリザーバ内に導入されるのを回避することができる。
ポンプとリザーバとの清浄な接続を確保するため、別個の流体コネクタを初期状態のポンプ内部に配置する。そのような流体コネタクタは、尖った流入口端及び流出口を備え、一方ポンプの流入口及びリザーバの流出口は2つの針が侵入可能な隔膜の形態である。このような構成により、流体コネタクタ(例えば接続針)の尖った末端は、2つの隔膜を通して移動可能で、これにより初期状態と、リザーバ内部とポンプ内部との間に流体コネタクタを介して流体が流れ、流体コネタクタの流出口が流路中に配置される作動状態との間で移動可能である。有利には、流体コネタクタは、リザーバユニットが経皮的装置ユニットに初めて連結されるとき、その2つの位置の間を移動する。それに対応して、最初の連結時に、2つの流体流通が確立され(経皮的装置ユニットの経皮的装置とポンプとの間、及びポンプとリザーバとの間)、一方、次の連結の間に、単一の新しい流体流通だけが確立される(経皮的装置ユニットの経皮的装置とポンプとの間)。
【0015】
例示的一実施形態において、経皮的装置は尖った遠位末端を有する第1部、及び第1部との間に流体が流通し、第2末端を有する第2部を備える。有利には、経皮的装置の第2末端は尖っており、ポンプの流出口手段は、好ましくは2つのユニットが互いに連結されるとき、経皮的装置の第2末端とポンプの内部との間に流体を流通させることができる、針が侵入可能な隔膜を備える。
これに対応して、本発明の別の態様では、流体供給源から流体が流れ込むように配置される流入口手段、及び流出口手段を有するポンプが提供され、本ポンプは、流入口手段と流出口手段との間に配置される内部流路を備え、流入口手段及び流出口手段がポンプ内部をシールすることにより、流路が初期無菌状態にシールされる。流体連絡手段は、初期状態でポンプ内部に位置するように配置され、流入口末端及び流出口を備え、初期状態と、流入口の末端がポンプの流入口手段から突出する作動状態との間を移動するように構成されている。それによって流体供給源源とポンプ内部との間に、流体連絡手段を介して、且つ流路中に配置される流体連絡手段の流出口により、流体が流れる。
【0016】
経皮的装置ユニットは例えば装着表面から突出する針を備えるが、針が偶発的に損傷する危険を制限するため、有利には、経皮的装置の尖った末端は、装着表面から尖った末端が後退している初期位置と、装着表面から尖った末端が突出する伸張位置との間を移動可能である。装置をユーザに装着する方法に応じて、2つのユニットが互いに連結されるときに経皮的装置が2つの位置の間を移動するようにすることができ、これはリザーバユニットを連結する前に経皮的装置ユニットをユーザの皮膚に装着する場合に適切である。しかしながら、2つのユニットを互いに連結した後で組み立てられたユニットをユーザの皮膚に装着する場合、有利には、経皮的装置ユニットは、経皮的装置の尖った末端を初期位置と伸張位置との間で移動させるための、ユーザによる作動が可能な作動手段を備える。
2つのユニットを組み合わせる前の、経皮的装置の不慮の作動を防止するため、経皮的装置ユニットは作動手段を阻止する手段を備え、この阻止手段は経皮的装置ユニットとリザーバユニットとを互いに固定すると解除され、それによって作動手段が作動可能となる。
【0017】
経皮的装置の損傷の可能性を更に低減するため、経皮的装置の尖った末端は、装着表面から突出する伸張位置と、装着表面から後退している格納位置との間を移動可能である。これに対応して、組み合わされた装置は、作動させると伸張位置と格納位置との間で経皮的装置の尖った末端を移動させることができる、ユーザによる作動が可能な格納手段を備える。経皮的装置の再使用を防止するため、経皮的装置は格納位置に恒久的にロックすることができる。
ユーザエラーを防止するために、経皮的装置を導入するための作動手段は、初期状態で格納手段を覆い、作動手段の作動によって格納手段が開放される。例えば、作動手段は装置から取り外される把持手段(例えば小片)の形状であってもよく、それが除去される事により経皮的装置の挿入が起動され、それと同時に格納手段が開放されて経皮的装置が引き込まれる。
【0018】
上記のように、放出アセンブリは、2つのユニットを組み立てると起動され、分解すると起動停止するが、作動手段及び格納手段を使用して、放出アセンブリをそれぞれ起動及び起動停止することもできる。ポンプとリザーバとの初期連結に関しては、放出アセンブリの初期起動の結果、電子制御手段が起動し、それによってポンピング動作をスタートさせることができる。一方、その後の起動停止は実際のポンプ動作だけを起動停止し、制御手段はなお作動中である(例えば、制御手段を初期起動してからの時間の計測など)。
本発明の上記開示内容において、2つのユニットは主として「単一の」ユニットとして記述したが、これは単に例示的構成であって、これら2つの「主要な」ユニットは、必要に応じて更に細かいユニットに細分されてもよい。例えば、リザーバユニットが交換可能な制御ユニットを備え、それによって種々の制御ユニットをリザーバユニットに連結する事ができる。例えば、第1の種類の制御ユニットは単一の送達特性を提供し、第2の制御ユニットはプログラムにより送達パターンを変更することができ、又は第3の制御ユニットは外部手段と連絡する手段を備える。第3制御ユニットの場合、制御ユニットは無線遠隔制御を用いて制御することができる。これに対応してリザーバは交換可能であり、よって異なる大きさのリザーバ又は異なる種類の薬剤の使用が可能である。
【0019】
本発明の更なる態様において、経皮的装置ユニットは上記のように提供され、上記のようにリザーバユニットと組み合わせて用いられる。これに対応して、本発明はまた、上記のようなリザーバユニットも提供し、このリザーバユニットは上記のように経皮的装置ユニットと組み合わせて用いられる。例示的一実施形態において、このような経皮的装置ユニットは中空針を備え、中空針は、出口となる開口を有し、患者の皮膚に侵入するのに適した尖った遠位末端と、流体供給源から流体が流れ込むように構成されて流体流入手段を形成する入口となる開口を有する尖った近位末端を有する。このような構成によって、針には、針の入口となる開口と出口となる開口(例えば金属製)との間で安定した流体圧で流体が流れ、それによって、針の上流の圧力蓄積を監視する事で閉塞の早期検出が可能となる。
また別の態様では、本システムは、上記のような第1針ユニット及び第1リザーバユニットを、上記のような少なくとも1つの更なる針ユニット又はリザーバユニットと組み合わせて備え、更なるユニット(単数又は複数)は第1ユニットとは異なる機能を有する。異なる機能とは、針の種類、ユーザによる作動が可能な手段の種類、送達/ポンプ手段の種類、又はリザーバ/薬剤の種類等、ユニットのあらゆる構造的特性に関するものである。
【0020】
具体的には、例示的一実施形態において、本システムは、上記のような経皮的装置ユニット、及び各々が流体薬剤を含有するリザーバとリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリとを備える複数のリザーバユニットを備える。経皮的装置ユニット及び複数のリザーバユニットは、リザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定する事によりリザーバと経皮的装置との間に流体を流通させることが可能な互いに一致する連結手段を備え、経皮的装置ユニットとリザーバユニットとの各組み合わせが形成するアセンブリは異なる機能を有する。異なる機能は、同じ種類の薬剤の異なる量を有するリザーバユニット、異なる薬剤又は特定の薬剤の複数の変種を有するリザーバユニット、薬剤を異なる所定流量で放出するリザーバユニット、又は薬剤を選択可能なそれぞれの固定流量で放出するリザーバユニット等を使用する事により実現可能である。リザーバユニットの内の1つは、放出アセンブリを制御する処理装置、及び別の制御装置から流量指示を受信して処理装置に流量指示を供給するために制御器に操作可能に連結された受信機を備える。受信機は無線の受信機でもよい。リザーバユニットは更に種々の入力手段(例えば、無線又は有線接続用、或いは手動入力用)又は異なる出力手段(例えば、無線又は有線接続用、種々の表示手段、又は種々の警報手段)を備えることができる。
更なる例示的実施形態において、本システムは、上記のような複数の経皮的装置ユニット、及び流体薬剤を含有するリザーバとリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリとを備えるリザーバユニットを備える。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは、経皮的装置ユニットをリザーバユニットに固定する事によりリザーバと経皮的装置との間に流体を流通させるための、互いに一致する連結手段を備え、経皮的装置ユニットとリザーバユニットとの各組み合わせが形成するアセンブリは異なる機能を有する。異なる機能は、中空皮下針、カニューレと挿入針とのアセンブリ、及びマイクロ針アレイなどの種々の経皮的装置を有する経皮的装置ユニットを備える事、種々の接着剤を備える事、種々の挿入手段又は格納手段を備える事、又は種々の連結手段を備える事により実現される。
【0021】
更なる例示的実施形態において、本システムは、経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える経皮的装置ユニット、流体薬剤を含有するリザーバ及びリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリの少なくとも一部分を備えるリザーバユニット、並びに、各々が放出アセンブリを制御するための制御器を備え、種々の機能を有する複数の制御ユニットを備える。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは、リザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定することにより、リザーバと経皮的装置との間に流体を流通させるための、互いに一致する連結手段を備え、制御ユニット及びリザーバユニットは、制御ユニットをリザーバユニットに固定する事により放出アセンブリを制御するための、互いに一致する連結手段を備え、経皮的装置ユニット、リザーバユニット、及び制御ユニットの各組み合わせによって形成されるアセンブリは異なる機能を有する。制御ユニットは、複数のリザーバユニットを備えるシステムに関して上記のような種々の制御機能を有する。別の構成において、リザーバユニット及び経皮的装置ユニットは、制御ユニットと協働するのに適した単一の構造として提供される。
本発明はまた、経皮的装置及び装着表面を備える経皮的装置ユニットを提供するステップ、流体薬剤を含有するリザーバ及びリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリを備えるリザーバユニットを提供するステップ、及び経皮的装置ユニットとリザーバユニットとを組み立てることによりリザーバと経皮的装置との間に流体を流通させるステップを含む方法を提供する。経皮的装置とリザーバの間における流体の流通は、2つのユニットが組み立てられるか、又は組み立てたうえで作動されると確立され、上記定義はこれら両方の選択肢を包含する。本方法は、更に、装着表面を患者の皮膚表面に装着するステップ、及び装着表面を患者の皮膚表面へ装着した後、経皮的装置を作動させてリザーバと患者との間に流体を流通させるステップを含むことができる。
【0022】
更なる方法は、薬剤を所定流量で分配する薬剤送達装置を提供し、本方法は、経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える経皮的装置ユニットを備え、更に各々が流体薬剤を含有するリザーバと流体薬剤を所定流量でリザーバから放出するための放出アセンブリとを備える複数のリザーバユニットを備えるシステムを提供するステップ、望ましい所定流量を有するリザーバユニットを選択するステップ、及び経皮的装置ユニットと選択されたリザーバユニットとを組み立てることによりリザーバと経皮的装置との間に流体を流通させるステップを含む。
上記開示において、薬剤送達装置に関して本発明について説明したが、本発明の構想は多数の利点を提供するモジュラーシステムとみなす事ができる。従って、経皮的装置ユニットは針センサの形態であってもよく、これに対応して「リザーバユニット」はセンサを介して得られるデータを伝達及び/又は処理する装置の形態であってもよい。
【0023】
本明細書中で用いる用語「薬剤」には、液体、溶液、ゲル又は微細懸濁液のように、制御された方法で中空針などの送達手段を通過可能で、薬剤を含有し、流動可能な全ての医薬品が含まれる。代表的な薬剤の例としては、ペプチド、タンパク質及びホルモンなどの医薬品、生物学的に誘導されたか又は活性な薬剤、ホルモン剤及び遺伝子に基づく薬剤、栄養剤、及び固形(調剤された)及び液体形状のその他の物質などが挙げられる。例示的実施形態の説明では、インシュリンの使用について言及する。これに対応して、用語「皮下」注入には、患者への経皮的送達のための全ての方法が含まれる。更に、用語「針」は、(特にことわりのない限り)患者の皮膚に侵入するのに適した穿孔部材として定義される。
以降、添付図面を参照して本発明を更に詳細に説明する。
図面において、同じ構造は主として同じ参照番号により識別される。
【実施例】
【0024】
以降、例えば「上側」及び「下側」、「右側」及び「左側」、「水平」及び「垂直」又はこれらと同様の相対的表現が用いられる場合、これらは単に添付図面に言及するものであって、実際の使用状況に言及するものではない。示した図面は模式的な表現であり、そのため種々の構造の構成、並びに相対的な寸法は、説明のみを目的としている。
まず、図1〜12に関し、薬剤送達装置の実施形態を、主として直接的にユーザに関わる特性に焦点を合わせて記述する。経皮的装置ユニット2は中空注入針の形状の経皮的装置を備え、よって以降針ユニットと呼ぶが、針は流体薬剤の送達に適するあらゆる経皮的装置に置き換えることができる。
【0025】
具体的には、図1は、パッチ様の針ユニット2及びリザーバユニット5を備えるモジュラー式皮膚装着可能薬剤送達装置1の形態の医療装置の斜視図を示す。ユーザに提供されるとき、各ユニットは専用のシールされたパッケージ(図示しない)に包装されるのが好ましい。
針ユニットはユーザの皮膚に適用するのに適した下部装着表面を有するベース部10、及びその中に中空注入針(図示しない)が配置されたハウジング部20を備える。針は、ユーザの皮膚に侵入するのに適した尖った遠位末端を有する第1針部、及びリザーバから流体が流れ込むように配置される尖った第2末端を備える。図示される実施形態において、針の尖った末端は、装着表面から後退している初期位置と、装着表面から突出している伸張位置との間を移動可能である。更に、針は、尖った末端が装着表面から突出している伸張位置と、尖った末端が装着表面から後退している格納位置との間を移動可能である。針ユニットは更に、作動手段を作動させたとき、針の尖った末端を初期位置と第2位置との間で移動させるための第1小片部材21の形態の把持可能な作動手段、及び格納手段を作動させたとき、針の尖った末端を伸張位置と格納位置との間で移動させるための第2小片部材22の形態の把持可能な格納手段を備える。図示するように、第2小片は初め第1小片に覆われている。ハウジングは更に、リザーバユニット上の対応するメスの連結手段と協働する一対の弾力的に配置されるフック部材の形態の、ユーザによる作動が可能なオスの連結手段40を備え、これにより、使用の際に、リザーバユニットを針ユニットに解除可能に固定する事ができる。図示の実施形態では、ベース部はそれ自体が装着表面となる下部接着表面を有する比較的軟質の接着シート部材12に取り付けられた剛性の上部部分11を備え、接着表面には剥離可能な保護シートが付いている。ベース部はまた、リザーバユニット上の対応する溝と係合する突起部材13を備える。
【0026】
リザーバユニット5は、液体薬剤組成(例えば、インシュリン)を含有する充填済みリザーバ、及び使用の際にリザーバから針を通して薬剤を放出するための電子制御ポンプの形態の放出手段を備える。リザーバユニットは、ベース部の上部表面上に装着される全般的に平坦な下部表面を有し、ハウジング部20の対応する空洞内に受容される突出部50、並びに針ユニット上の対応するフック部材31と係合するメスの連結手段51を備える。突出部は2つのユニット間の接続手段となり、ポンプ流出口、及び2つのユニットを組み立てたときポンプを始動させる接触手段(図示しない)を備える。下部表面は、ユーザがリザーバの内容物を視覚的に制御する事を可能にするウィンドゥ(図示しない)も備える。
装着手順の第1ステップでは、リザーバユニットを単純にスライドさせて針ユニットと係合する事により2つのユニットを組み立てる(図2)。フック部材が適切にリザーバユニットと係合すると「カチッ」という音がする(図3)ので、ユーザは2つのユニットが適切に組み立てられた事が判る。必要に応じて可視又は可聴の信号を発生させる事も可能である。その後、ユーザが剥離可能なシート14を除去して接着表面の覆いを外す(図4)と、ユーザの皮膚表面、一般的には腹部(図5)に装置を取り付ける事が可能となる。薬剤の注入は、作動小片21をつかみ矢印の方向へ引き剥がす事により開始され、その際、針が挿入され注入が自動的に開始される(図6)。針挿入機構は、予め加圧した状態で提供され、その後作動手段により解放されるか、又はユーザが針挿入を行ってもよい。警告音信号により装置が作動して薬剤が注入されている事が確認される。好適には、リザーバユニットは、閉塞、ポンプの故障又は内容物の終了等の場合をユーザに知らせるための警報音信号を提供する信号手段及び検出手段を備える。
【0027】
針ユニットの使用に推奨される時間(例えば48時間)に亘り装置が所定の位置に配置された後、又はリザーバが空になった場合、或いはその他の理由で、格納用小片22を掴み(図7)、矢印方向に引っ張る(図8)事により装置を皮膚から除去する。その際、針が格納され、薬剤注入が自動的に停止し、その後、接着パッチに付着した小片を使用して装置を皮膚表面から除去する(図9)。
装置が除去されると、2つのフック部材31を矢印の方向へ同時に押す事により2つのユニットが分離され(図10)、それによってリザーバユニット5を針ユニット2との係合から矢印の方向へ引き離す事が可能となり(図11)、針ユニット2は廃棄可能となる。その後、新しい針ユニットを取り付けて、リザーバユニットをその中身が空になるまで再び使用することができる。
【0028】
リザーバユニットは固定の基本注入速度で提供されるか、又は医師及び/又はユーザ/患者による注入速度設定を可能にする調節手段55付きの調節可能ユニット(図12)として提供される。リザーバユニットは、制御手段を電子的にプログラム又は設定する事を可能にする手段(図示しない)を備えることもできる。
図1ないし図11を参照して説明した装置を、別の方法で用いる事もできる。例えば、針ユニットを皮膚に装着し、その後リザーバを取り付ける事もできる。針ユニットの構成に応じて、リザーバユニットを取り付ける前に針を導入する事ができる、又はそれを防止できる。
【0029】
図13は、実質的に図1の実施形態に対応する医療装置500の更なる実施形態を表し、装置はパッチ様針ユニット502及びそれに取り付け可能なリザーバユニット505を備える。
図14は、上部ハウジング部510、持針器520及びそれに取り付けられる注入針530、作動部材540、解除部材550、下部ハウジング部560、並びにシート部材570を備える針ユニットの分解斜視図を表す。作動部材はユーザ把持部541及び針作動部542を備え、解除部材はユーザ把持部551及び針格納部552を備える。図15に示す組み立てられた状態では、上下のハウジング部は、針及び持針器を搭載したハウジング503を形成し、作動部材及び解除部材は、ハウジングの外部に配置されるユーザ把持部により持針器に操作可能に連結されている。図1の実施形態と対照的に、針ユニットはベース板部を備えず、代わりにハウジングから伸張する2つの突起部材561を備え、突起部材及びハウジングの下部表面は、下部表面に下部接着層571を備える柔軟なシート部材に取り付けられ、その下部接着層によって針ユニットを患者の皮膚部位に取り付けることができる。シート部材は更に、経皮的装置の出口となる開口の周りに設けられた下部突起565に対応する位置に開口572を備え、同様にシートはシートの通気性を改善するために多数の小さい穿孔を備える。ハウジング503は、リザーバユニットを針ユニット502に着脱可能にするユーザによる作動が可能な連結手段511を備え、リザーバユニットは互いに一致する連結手段506と表示画面587を備える。表示画面は、例えばユニットの適切な機能、リザーバ内の薬剤の量、又は種々のエラー状況を表示する。
図示するように、解除部材のユーザ把持部551は初期状態では作動部材の一部で覆われており、これにより、ユーザが誤って作動部材の代わりに解除部材を操作してしまう確率が低減する。更に、作動部材及び解除部材(又はそれらの一部分)を色分けし、ユーザが装置を正しく用いるための更なる手助けとすることができる。例えば、作動部材は「開始」を示す緑色である一方、解除部材は「停止」を示す赤色である。
【0030】
図16は、針530付きの持針器520及び作動部材540の針作動部542の斜視図である。針作動部はハウジングに対してスライド可能な2本の脚543を備え、脚はハウジングの各開口563を通して配置される。持針器は下部ハウジング部のヒンジ部材562に接続され、それによって持針器及び針は、ヒンジが規定する旋回軸の周りを旋回することができる。図に示される実施形態において、持針器は曲げられたシート状の金属部材であり、担体は、ヒンジ部523によって互いに連結された上腕部521及び下腕部522を備え、ヒンジ部が旋回軸となることにより、下腕部は旋回軸を中心に上腕部に対して旋回できる。下腕部は、中に中空注入針530が取り付けられる(例えば、溶接又は接着剤によって)トレイを形成し、針は針ユニットの装着表面に対し通常垂直な、患者の皮膚に侵入する尖った遠位部531、及び実質的に旋回軸と重なるように配置されて流体供給源と係合する近位部532を有する。従って、上腕部の一部をハウジングに取り付けると、下腕部は、針の遠位部がハウジング内部に後退している第1格納位置と、遠位部が装着表面から突出する第2伸張位置との間で旋回可能である。図に示される実施形態において、持針器は2つの位置の間で下腕部を移動させるための駆動手段を提供する。この機能は、本実施形態のようにヒンジ部に対応するシート部材自体の弾性により提供されるか、或いは2つの腕の間に追加のバネを設けることにより、2つの腕を引き離す。作動され、且つ解除可能な状態で下腕部を第1位置に固定するため、上腕部に柔軟な解除腕526を設け、この解除腕が下腕部を下方に付勢された初期位置に支持及び拘束する捕持部527、並びに針作動部542の傾斜表面544と係合する解除部528を備え、捕持部は更に、下腕部が伸張位置から格納位置へ移動するとき、下腕部と係合する傾斜端部529を備える。これについては後述する。
針を作動するため、ユーザ把持部541(好ましくは図示するような折りたたまれた初期位置に保持するための接着部を備える)を形成する柔軟な小片を握り、針作動部542をハウジングの外へ引き出すと、作動部材540がハウジングから完全に外れる。具体的には、傾斜表面544が移動すると、強制的に捕持部527が下腕部から離れて解除され、その後解除部528が傾斜表面を解放し、2つの脚がハウジングから引き出される。図17に示すように、作動部材が除去されると解除部材のユーザ把持部551が露出する。作動部材に関しては、解除部材のユーザ把持部は、図示の折りたたまれた初期位置にこれを保持する接着部を備えるのが好ましい。
【0031】
図示される実施形態において、解除部材は、内部末端と外部末端を有し、可撓性材料からなる小片の形態であり、小片はハウジングの開口512を通り、よってユーザ把持部551及び針格納部552を形成する。小片の内部末端はハウジングに取り付けられ、小片の外部末端はシート部材570の周辺部、或いはハウジングの周辺部に取り付けられる。図18に示す投影図では、解除部材は初期位置にあって、格納部が持針器の下腕部の下方に配置されるループ555を形成しており、この位置で下腕部は作動位置へ移動する事が可能であり、よって針は伸張位置へ移動する事ができる。
ユーザが針ユニットを皮膚から取り外す場合、ユーザ把持部551を握り、それをハウジングから離れるように持ち上げて上方に引くと、ループが縮んで下腕部が強制的に上に持ち上がる。この位置は解除の中間状態に対応する。このような動作により、下腕部が捕持部527の傾斜末端部529と噛み合うことによって、傾斜末端部は強制的に外側に向けられ、捕持部が下腕部の下の位置まで戻る(図16に示す位置に対応)。作動部材540が針ユニットから除去されると、持針器は格納位置に不可逆的に固定される。ユーザが解除部材を更に引くと、解除部材が取り付けられているシート部材の周辺部が皮膚から持ち上がり、針ユニットと、それに取り付けられているリザーバユニットを皮膚から除去することができる。この過程は図7ないし図9を参照して上述した通りである。
有利には、作動部材及び解除部材はリザーバユニットと連絡するように形成及び配置される(図示しない)。例えば、作動部材の脚の一方は初期位置においてハウジングを貫通して突出し、リザーバユニット上の対応する接点と係合することができる。これにより、針ユニットがリザーバユニットに取り付けられた事が示され、一方、作動部材が除去された事により、針が挿入されて薬剤注入が開始可能である事が示される。同様に、解除部材の作動によりポンプを停止することができる。
【0032】
図19には、針ユニット502のリザーバユニットと連結する側面を示す。2つの突起部材561及びユーザによる作動が可能な連結手段511に加えて、針ユニットは、リザーバユニットとの機能的インターフェースを提供するためにリザーバユニットと連結及び/又は係合する更なる構造を備える。具体的には、針ユニットは、針ユニットから突出する針の尖った近位部532により提供され、リザーバユニットの流体流出口と係合する流体流入口、針ユニットから突出してリザーバユニットの流体コネタクタと係合し、それを作動させるアクチュエータ515(下記参照)、並びにリザーバユニット上の対応する接点と係合する第1及び第2接触アクチュエータ548及び558を備える。第1接触アクチュエータはハウジングの開口を通して突出する針作動部の一方の脚543の遠位末端からなり、第2接触アクチュエータは解除部材550の針格納部552に接続されるハウジングのヒンジ部からなる。針ユニットが最初にリザーバユニットに連結されると、両方の接触アクチュエータがハウジングから突出してリザーバユニット上の対応する接点と係合し、それによって針ユニットが接続された事が示される。針を作動すると、第1接触アクチュエータが後退することにより、リザーバユニット上の対応する接点が外れ、ポンプが作動開始する。針を格納すると、第2接触アクチュエータが旋回し、リザーバユニット上の対応する接点が外れてポンプが作動停止する。
【0033】
図20は、ハウジングの上部が除去されたリザーバユニットを表す。リザーバユニットは、リザーバ760、及びポンプアセンブリ300とポンプ用の制御手段及び作動手段580及び581とを備える放出アセンブリを備える。ポンプアセンブリは、経皮的接続装置(例えば、針530)に接続する流出口322及び内部流体コネタクタを作動可能にする開口323を備える(下記参照)。リザーバ760は、ポンプアセンブリとの間に液体を流通させる、針の侵入が可能な隔膜を備えた柔軟で折りたたみ可能な充填済みポーチの形態である(下記参照)。図示されるポンプアセンブリは機械的に作動される膜ポンプであるが、リザーバ及び放出手段は、図25A〜25Dに開示されるもの等、あらゆる適切な構成を持つことができる。
制御手段及び作動手段は、膜ポンプのピストンを作動するコイルアクチュエータ581の形態のポンプ作動部材、特にポンプの作動を制御するマイクロプロセッサ583が接続されたPCB又はフレックス-プリント、針ユニットの接触アクチュエータと協働する接点588及び589、可聴及び/又は可触知信号を生成するための信号生成手段585、表示画面(図示しない)及びエネルギ源586を備える。接点はハウジングの柔軟な部分で形成される膜により保護されるのが好ましい。
【0034】
図21は、図13のリザーバユニット505の分解図であり、このユニットは、上部ハウジング部材507、透明領域509と、針ユニットから伸びる突起部材561を受ける溝504とを有する下部ハウジング部材508、上に隔膜部材761が取り付けられる円形末端部762を有する可撓性リザーバ760、アクチュエータを有するポンプアセンブリ300、及びリザーバの上方に配置され、ポンプ作動を制御するための電子部品を備える回路基板(図示しない)を備える。上下のハウジング部材は、リザーバと係合してリザーバをハウジング中に装着するための対向する上下の隆起部780(下方の隆起部は図示しない)の形態のリザーバ装着手段を備える。各隆起部は、ハウジング部材を組み立てることによりハウジング内の所定の位置にリザーバを固定するとき、対向する表面上の隔膜部材と係合する中央切り欠き部781を備える。固定の強さは、隔膜部材にかかる圧力、隔膜部材の弾性特性、及び隆起部と隔膜部材との間の摩擦により決定される。隆起部は、切り欠き部の両側に、リザーバをハウジング内に装着する助けとなる直線部782を有する。直線部は予め充填されたリザーバと係合し、リザーバを所定の位置に固定する助けとなることができるが、リザーバが空になって平らに萎んだときこの把持力は小さくなる。これに対し、隔膜との係合は、リザーバが空になったとき、リザーバを所定の位置に適切に保持する。直線部はまた、リザーバを締め付けて完全に萎ませることにより、追加的装着手段として機能する。追加の装着手段(図示しない)により、溶接端765に沿った部分等、他の位置でリザーバを係合及び把持してもよい。
【0035】
図22Aに、リザーバに接続されるポンプの模式的概観図を示す。このポンプが備える一般的構成要素は、リザーバへの流体接続391、リザーバ390、安全弁392、流入口バルブ393及び流出口バルブ394、付属のピストン396付きのポンプ室395、及び流出口397である。矢印は個々の構成要素間の流れの方向を示す。ピストンが下方(図中)に移動すると、それに比例してポンプ室内部に負圧が発生し、流入口バルブが開き、続いてリザーバから安全弁の開いた一次側を介して流体が流れ込む。ピストンが上方(図中)に移動すると、それに比例してポンプ室内部に過圧が発生し、流入口バルブが閉じ、流出口バルブ及び安全弁が開くことにより、ポンプ室から流出口バルブ及び安全弁の二次側を通って流体が流出口へ流れる。図に示すように、通常の操作では、流体の吸引及び放出の両方の間、安全弁によって液体の流動が可能となり、従って安全弁は通常操作では「受動的」である。しかしながら、リザーバが加圧される(可撓性リザーバの場合に起こるように)場合、リザーバ内の上昇した圧力は、安全弁の一次側と、ポンプ室を通して安全弁の二次側との両方に伝達され、この場合安全弁の一次側の圧力によって二次側が開く事が防止される。
図22Bは、図22Aに示すポンプの原理を利用したポンプアセンブリ300の分解図である。このポンプアセンブリ(以降、「ポンプ」とも称する)は、図1ないし図13のリザーバユニットと共に用いるのに適している。ポンプは、流量制御された流入口バルブ及び流出口バルブを有するピストン作動式ポンプ膜を備える膜ポンプである。ポンプは、第1部材301、第2部材302、及び第3部材303を備える一般的な層構造を有し、部材間に第1膜層311及び第2膜層312が挿入されていることによって、第1部材及び第2部材が第1膜層と組み合わさることによりポンプ室341が形成され、第1部材及び第3部材が第1膜層と組み合わさることにより安全弁345が形成され、第2部材及び第3部材が第2膜層と組み合わさることにより流入口バルブ342及び流出口バルブ343が形成される(図22C参照)。これらの層は、外側クランプ310により、積み重なった構造に保持される。ポンプは更に、流入口321、流出口322、並びに接続開口323を備え、これら3つは全てポンプ内部を初期無菌状態にシールする膜331、332及び333によりそれぞれ被覆される。膜は針又は所定のシールを通して導入されるその他の部材によって侵入可能又は破壊可能(例えば紙製)である。流出口は更に、ポンプを流出口針に接続する針侵入可能な自己シール隔膜334(例えばゴム様材料)を備える。図22Cに示されるように、流入口321(下記参照)から安全弁345の一次側を経由して流入口バルブ342に至るまでの間、流入口バルブ、ポンプ室341及び流出口バルブ343の間、並びに流出口バルブから安全弁の二次側を経由して流出口322に至るまでの間に流路(太線で示す)が形成されており、この流路は異なる層内又は層間に形成される。ポンプはまた、ポンプ膜を作動するためのピストン340を備え、ピストンは外部駆動手段(図示しない)によって駆動される。
【0036】
ポンプは更に、接続開口の後方に配置される針室360中にスライド可能に配置される中空接続針350の形態の流体コネタクタを備える(図22D参照)。針室はポンプの複数の層に亘って形成され、内部シール隔膜315を備え、それを通して針がスライド可能に配置され、隔膜は第1膜層により形成されている。針は尖った遠位末端351、上に針ピストン352が配置される近位末端、及び遠位末端との間で液体が流通する近位側部開口353を備え、針とピストンは内部隔膜及び室に対してスライド可能に配置される。図22Dに示すように、初期位置にある針ピストンには1以上の放射状に配置されたキー溝359が通っている。これらのキー溝は蒸気消毒を可能にするため、及び流体コネタクタが針室内を前進する際、空気を放出するため又は取り込むために設けられる。
上述のポンプアセンブリは、図1ないし図20に示される種類の薬剤送達装置に取り付けることができる。リザーバユニットを針ユニットに取り付けて使用する場合、注入針の近位末端532をポンプの流出口シール及び隔膜334を通して導入し、接続膜333を通してアクチュエータ515(図19参照)を導入する。このような操作により、接続針は図22Dに示す初期位置から図22Eに示す作動位置へ押し出され、遠位末端が、流入口膜331及び更には近くに位置するリザーバの針侵入可能な隔膜を通して移動する。それにより、リザーバから針の近位開口353を介して流入口バルブまでの液体流路が確立する。この位置において、針ピストンと針室との間にシールが形成されている。
【0037】
図示のように、2つのユニットを分離すると、注入針の近位末端532がポンプ流出口から後退し、一方接続針はポンプとリザーバとの間に恒久的に液体を流通させる。
上記実施形態において、単一の針装置(例えば図示の注入針又は針センサ(図示しない))の形態の経皮的装置を説明したが、経皮的装置は、挿入針と組み合わされて、針の挿入後に退けられるカニューレ又はセンサの形態でもよい。例えば、第1針部は(比較的軟質の)注入カニューレ(例えば、テフロン(登録商標)のカニューレ)及びそれを通して配置される除去可能な挿入針の形態であってもよい。この種類のカニューレと針の構成は、いわゆる注入セットとして周知であり、このような注入セットは一般的に(耐久性の)注入ポンプと組み合わせた注入セットを提供するために用いられる。
【0038】
従って、図23A及び図23Bは、カニューレと挿入針との組み合わせを、所定の医療装置600(部分的に図示)、例えば注入装置又は注入セットのハウジング601内に配置する方法を模式的に示す。具体的には、医療装置は、下部部材653に担持される比較的軟質のカニューレ651(例えば、軟質型のテフロン(登録商標)製)及びカニューレ内にスライド可能に配置され、上部部材663に担持される尖った挿入針661(例えば、医療用グレードのステンレス鋼製)を備え、両部材が搭載されることにより、カニューレと挿入針の各々が軸方向に移動可能である。カニューレは、流体源から流体が流れ込むように配置される近位流入口(図示しない)を備える。医療装置は更に、カニューレ用の開口621、並びに解除部材622を有する基板620を備える。下部部材はエラストマーシール652を備え、それを通して挿入針が配置される。カニューレ及び挿入針は、両部材の装置への取り付け方法に応じて直線的であっても湾曲していてもよく、例えば旋回軸に対応して弓形であるか、又は図示されるように直線的な動きに対応して直線的である。上部部材は、図23Aに示すように、カニューレの遠位開口から挿入針の遠位末端が伸びている初期位置に2つの部材を固定するための連結部材667を備え、基板は、基板の開口を通してカニューレの遠位末端が伸びる伸張位置に固定するための連結部材657を備える(図23B参照)。装置のハウジングと上部部材との間に、第1バネ668が配置され、上部部材を上方に付勢する。それに対応して、装置はまた、下部部材を上方に付勢する第2バネ658を備える。医療装置は更に、図1に示される実施形態に対応して、把持用タブ676及び引っ張り部材677を備える。
使用の際、手動で、又はハウジングの開口を通して作動するバネ付き部材(図示しない)のような解除可能な挿入補助器具によって部品を下方に移動させると、突出する挿入針付きのカニューレが患者の皮膚中に挿入される。この位置で下部部材が連結部材657と係合することにより、カニューレが伸張位置に固定され、同時に解除部材622により連結部材667が解放され、それによって第1バネにより上部部材が初期位置に戻る事ができる。
【0039】
送達装置を皮膚表面から取り外すときは、タブの把持部分を掴み、皮膚表面にほぼ平行な第1の方向へ引くと、可撓性小片677により下部部材から連結部材657が解放され、それによって下部部材及びカニューレが第2バネにより後退する。カニューレが皮膚から後退したら、今度は折りたたまれていないタブを用いて、例えばタブを皮膚表面から遠ざかる方向に引っ張る事により装置全体を皮膚表面からはがす。
図24には、図1ないし図12を参照して記載した後者の装着過程(即ち最初に針ユニットを装着する過程)を有する装置の実施形態を示す。
【0040】
具体的には、図24は薬剤送達装置100の形態の医療装置の斜視図であり、この薬剤送達装置は、針ハウジング110、患者の皮膚に適用される下部装着表面133を有するベース部材130、及び分離型ポンプユニット150を備える。図示される実施形態において、ベース部材は比較的剛性の上部部分131を備え、この上部部分はそれ自体が装着表面となる下部接着面を有する柔軟性の接着パッチ部材132に取り付けられる。針ハウジングはベース部材と一体的に形成されるか又は別のユニットとしてベース部材に取り付けられ、これら2つの構成要素は組み合わされてプラットフォームユニットを形成する。図示される実施形態において、針ユニットはハウジング111を備え、ハウジング内には中空針112が旋回可能に配置される。
ハウジングは、第1及び第2被覆手段で被覆された第1及び第2開口(又は窓)を備える。図示される実施形態において、第1被覆手段は針の侵入が可能なゴム膜121の形態であり、第2被覆手段は構成要素をハウジングの内部に導入する事を可能にする破壊可能な紙シートの形態である。紙シートは殺菌用ガスを透過可能であり、紙シート、ゴム膜及びハウジングが組み合わされて封入された針部の無菌バリアとなる。
【0041】
針は、患者の皮膚に侵入する第1の尖った末端を有し、通常は装着表面に垂直な第1針部113、及び中間針部115を介して第1針部との間に液体が流通し、第2の尖った末端を有し、装着表面にほぼ平行な第2針部114を備える。針は装着部材117によりハウジングに連結され、それにより針は第2針部が規定する軸を中心に旋回することができ、これによって第1針部が装着表面に対して後退している初期無菌位置と、第1針部の尖った末端がゴム隔膜を通して装着表面から突出する第2位置との間を移動することができる。ハウジングはまた、針を初期位置の方へ付勢する付勢部材118を備える。多くの場合、針の「下流」部(ここでは第1部)を遠位部と呼び、針の「上流」部(ここでは第2部)を近位部と呼ぶ。
リザーバ(又はポンプ)ユニット150は、中にリザーバ及び放出手段が配置されるハウジングを備える。リザーバは、液体薬剤を含有し(例えば、予め充填されるか又はユーザが充填する)、突出した針が侵入可能な隔膜155の形態の流出口手段を備え、この流出口手段は第2針部と流体が流通するように配置される。放出手段(図示しない)は、使用の際にリザーバから中空針を介して薬剤を患者の皮膚中へ放出する。ポンプユニットは更に、リザーバ流出口に隣接して配置される傾斜部材156を備える。リザーバ及び放出手段は、例えば図25A〜25Dを参照して開示するように、あらゆる適切な構成とすることができる。
【0042】
装着プラットフォームは受容部を備え、受容部及びポンプユニットが互いに一致する連結手段160を備えることにより、ポンプユニットをプラットフォームユニットに固定する事ができる。互いに一致する連結手段は解放可能なので、耐久性ポンプユニット又は多数回使用ポンプユニットを使い捨てプラットフォームユニットに複数回に亘り取り付ける事ができる。
使用の際、プラットフォームユニットをユーザの皮膚に装着し(例えば、装着表面上に配置される接着手段により)、プラットフォームにほぼ平行にポンプユニットをスライドさせてプラットフォームユニットに係合する事により、プラットフォームユニットに取り付け、固定する。後者の操作の間、突出する隔膜及び傾斜部材が移動して針と係合し、それにより紙製バリア被覆122が破られ、その間に第2針部とリザーバとの間に液体が流通する。同時に、針が初期位置から第2位置へ旋回し、それによって尖った第1針末端がゴム膜及びユーザの皮膚に侵入する。
【0043】
ポンプユニットが接続され、針が皮下に導入された後、ポンプを始動する事ができる。これは2つのユニットが連結されたとき自動的に、或いは始動ボタン(図示しない)等の別のユーザ作動可能な始動手段により行うことができる。
別の実施形態(図示しない)において、第2針部は固定的に(即ち回転不可能に)装着部材117に取り付けられ、中間針部115が傾斜部材156によって下方に押し下げられて弾性的に曲がる。このような構成では、付勢部材118は不要である。
【0044】
上述の実施形態では、放出手段の一実施例と組み合わせた可撓性リザーバを備える装置として送達装置を説明した。しかしながら、リザーバ及び放出手段は、皮膚に装着可能な薬剤送達装置内の構成に適切ないかなる種類のものであってもよい。更に、本発明の針は針センサの形態であってもよいので、医療装置は内部に針センサと協働するセンサ手段を備える事もできる。
図25A〜25Eには、本発明と共に用いるのに適した放出手段の実施例を模式的に示すが、これらは単に実施例であって、図示される個々の構成要素の構成は、上記に示される送達装置への直接の応用には必ずしも適切ではない。具体的には、図25Aはポンプの一構成例を表し、この装置は、針を接続できる遠位閉鎖部材1011と、中にスライド可能に配置されるピストン1015とを有し、リザーバを形成する薬剤含有カートリッジ1010、可撓性歯状ピストンロッド1020(例えば、米国特許第6302869号に開示されているようなもの)、ウォームギア構成1031を介してピストンロッドを駆動することにより薬剤をカートリッジから放出する電動モータ1030、モータを制御するための制御手段1040、及び制御手段とモータとにエネルギを供給するためのバッテリ1050を備える。針を挿入した(方法は図示しない)とき、又は挿入器を送達装置から取り外した後、別のユーザ作動手段(図示しない)により、ポンプを起動する。
【0045】
図25Bはポンプの一構成例を表し、この装置は、遠位閉鎖部材1111、近位閉鎖部材1112、及びその中にスライド可能に配置されるピストン1115を有する薬剤含有カートリッジ1110、導管1121を介してカートリッジ内部から流体が流れ込むガス発生手段1120であって、ピストンを駆動してカートリッジから薬剤を放出するガス発生手段、ガス発生手段を制御するための制御手段1140、及びガス発生手段と制御手段とにエネルギを供給するためのバッテリ1150を備える。ポンプは上記と同様に起動される。薬剤送達装置用のこのようなガス発生手段の詳細な開示は、例えば米国特許第5858001号を参照されたい。
図25Cはポンプの一構成例を表し、この装置は、遠位閉鎖部材1211、近位閉鎖部材1212、及びその中にスライド可能に配置されるピストン1215を有する薬剤含有カートリッジ1210、導管1221を介してカートリッジ内部から流体が流れ込む浸透圧エンジン1220であって、ピストンを駆動してカートリッジから薬剤を放出する浸透圧エンジンを備える。浸透圧エンジンは、食塩水を含有する第1剛性リザーバ1225及び水を含有する折り畳み可能な第2のリザーバ1226を備え、2つのリザーバは半透明な膜1227により分離される。装置がユーザに提供されるとき、第2リザーバと隔膜との間の流体コネタクタ1228は、ユーザにより分離可能な膜(例えば、軽く溶接されたもの)によって閉じられており、これを分離すると浸透圧プロセスが始まり、膜を通して第2リザーバから第1リザーバに水を流通させることができる。ポンプは上述のようにして起動することができる。浸透圧駆動原理の詳細な開示は、例えば米国特許第5169390号を参照されたい。
図25Dはポンプの一構成例を表し、この装置は、一次リザーバ1320、制流子1331を備える導管1330を介して一次リザーバと流体が流通する流体充填済みの剛性二次リザーバ1311、二次リザーバ内に配置され、薬剤を含有する可撓性リザーバ1310を備える。一次リザーバは可動ピストン1321を有するカートリッジの形態であり、粘性の駆動流体を含有する。ピストンに作用して一次リザーバから二次リザーバへ液体を駆動するバネ1340が配置され、それによって、二次リザーバが注入針(図示しない)に接続されるとき、可撓性リザーバから薬剤が放出される。流量は、駆動流体中のバネにより発生する圧力、駆動流体の粘度、及び制流子中の流体抵抗(即ち、ブリーディングホールの原理)により決定される。ポンプは、バネを引っ張るか、又は予め圧縮されたバネを解放する事により、針を挿入した(方法は図示しない)時、或いは挿入器を送達装置から取り外した後、別のユーザ作動手段(図示しない)により、起動される。薬剤注入に利用されるこの原理の一例はドイツ国特許第2552446号に公知である。別の構成においては、例えば米国特許第6074369号に開示されているように、薬剤リザーバを直接加圧することにより、制流子を介して薬剤を放出することができる。
【0046】
図26には、図1〜11の実施形態に対応する医療装置900を示すが、リザーバユニットは、リザーバ及び制御ユニットにより接点921を通して制御可能な放出アセンブリを備えるリザーバユニット920に装着される「耐久性」制御ユニット910を備えるモジュラー式設計を有する。経皮的装置ユニット930は、図1〜11に示すものと同じとすることができる。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは、リザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定してリザーバと経皮的装置との間に液体を流通させることができる互いに一致する連結手段(931)を備え、制御ユニット及びリザーバユニットは、制御ユニットをリザーバユニットに固定して放出アセンブリを制御する事を可能にする互いに一致する連結手段(917、921)を備える。制御ユニットは、バイブレータ、無線周波発信機、無線周波受信機、表示画面、大量瞬時注入ボタン918(図示)又はその他のユーザ入力手段、バックアップバッテリ及びメモリのうち1以上の機能を備える。更に、制御ユニットは固定流量を提供するものでもよく、又は特定の流量又は流量分布を提供するようにプログラム可能(例えば遠隔制御を介して)である。異なる制御ユニットも、異なるリザーバユニット(例えば、異なる種類の薬剤又は異なる量の薬剤を備える)と共に、又は異なる針ユニット(例えば、針又は軟質カニューレ)と共に用いる事が可能である。上述のように、制御器を耐久性の装置として用いることができるが、制御器の(より単純な)複数のバージョンをリザーバユニットに前もって装備し、種々の使い捨て装置を提供する手段として用いることができる。
図27は、基本針パッチユニット930及び基本リザーバユニット920に加えて多数の異なる種類の制御ユニットを備えるモジュラーシステムを表す。遠隔制御器940を一部の制御ユニットと組み合わせて用いる事ができる。制御ユニットは、遠隔制御器によってのみ制御可能な遠隔制御可能なユニット911の形態とすることができる。それらの1つの変形例912にはユーザが遠隔制御器を用いることなしに大量瞬時注入剤を摂取できる大量瞬時注入剤ボタン918を追加する事ができる。制御ユニットは、各々がユニット上に示された固定の流量を提供する、予めプログラムされた様々な制御ユニット913として提供することができる。そのようなユニットは、遠隔制御器無しで用いるように作製されており、図示されるように表示画面919を備える事ができる。プログラム可能な制御ユニット914も提供する事ができ、これにより、例えば開業医が個々の患者のために制御ユニットをプログラムする事ができる。ダミー915は、リザーバユニットと針ユニットとを組み合わせた形態の、ここに開示するあらゆる制御ユニットを表す。
【0047】
好ましい実施形態の上記説明では、異なる構成要素について説明した機能を提供する様々な構造及び手段を、本発明の構想が当業者に明らかとなる程度に記載した。種々の構成要素の詳細な構造及び仕様は、本明細書に従って当業者が行う通常の設計過程の目的と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の一段階を示す斜視図である。
【図2】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図3】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図4】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図5】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図6】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図7】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図8】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図9】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図10】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図11】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図12】リザーバユニットの別の実施形態を示す。
【図13】薬剤送達装置の更に別の実施形態による針ユニット及びリザーバユニットの組み立て前の状態を示す。
【図14】図13の針ユニットの分解図である。
【図15】図13の針ユニットの第1の状態を示す斜視図である。
【図16】図14の持針器の斜視図である。
【図17】図13の針ユニットの第2の状態を示す斜視図である。
【図18】図13の針ユニットの側面図である。
【図19】図13の針ユニットの更なる斜視図である。
【図20】図13のリザーバユニットの内部を示す斜視図である。
【図21】更なるリザーバユニットの分解図である。
【図22】Aはリザーバに接続されたポンプの模式的概略図であり、Bはポンプアセンブリの分解図であり、CはBのポンプアセンブリの断面図であり、D及びEは、Bのポンプアセンブリの部分的断面図である。
【図23】A及びBは、カニューレと挿入針との組み合わせの形態の経皮的装置を模式的に示す。
【図24】更に別の薬剤送達装置の斜視図である。
【図25】A〜Dは、本発明の装置に用いるのに適した種々の放出手段を示す。
【図26】モジュラー式リザーバユニットを有する医療装置を示す。
【図27】医療装置のモジュラー式システムを示す。
【発明の開示】
【0001】
本発明は一般に、患者の皮膚表面に適用するのに適し、患者の皮膚を通して液体を導入するための経皮的装置を備える装置に関する。特定の態様において、このような装置は流体薬剤を含有するリザーバ、及びリザーバから経皮的装置を介して患者の皮膚中に流体薬剤を放出する放出手段を備える。
【0002】
発明の背景
本発明の開示では、概ねインシュリンの注射又は注入による糖尿病の治療について言及しているが、これは本発明の例示的な一使用法に過ぎない。
患者に薬剤を送達するための携帯用の薬剤送達装置はよく知られており、一般に、液体薬剤を含有し、中空注入針へ液体を流し込む流出口を有するリザーバ、並びにリザーバから中空針を介して患者の皮膚中に薬剤を放出する放出手段を備える。そのような装置はしばしば注入ポンプと称される。
【0003】
基本的に、注入ポンプは2種類に分ける事ができる。第1の種類は、3〜4年の使用を意図した比較的高価なポンプである注入ポンプを含み、そのようなポンプに対する初期コストがこの種の治療法に対する障壁となる場合が多い。従来の注射器やペンに比べて複雑であるが、ポンプは、インシュリンの連続的注入、投与量の正確さ、及び場合によってはプログラム可能な送達プラン並びに食事と結びついたユーザ作動による大量瞬時注入が可能であるという利点を有する。
上記問題への対処として、低コストで使用に便利な第2の種類の薬剤注入装置を提供しようとする試みが行われてきた。これらの装置の一部は、その一部又は全部が使い捨てであり、付随コストや不便性のない注入ポンプに伴う多くの利点を提供し、例えば薬剤リザーバを事前に充填できるので、充填又は再充填の必要がない。この種の注入装置は、米国特許第4340048号及び第4552561号(浸透圧ポンプに基づくもの)、米国特許第5858001号(ピストンポンプに基づくもの)、米国特許第6280148号(膜ポンプに基づくもの)、米国特許第5957895号(流量制限ポンプ(ブリーディングホールポンプとしても知られる)に基づくもの)、米国特許第5527288号(ガス生成ポンプに基づくもの)又は米国特許第5814020号(膨潤性ゲルに基づくもの)に公知であり、これらは全て最近10年間に安価で基本的に使い捨ての薬剤注入装置用に提案されたものであり、本明細書に参照文献として包含する。米国特許第6364865号には、2つの小びん型容器を連結し、その内の一方の内部を加圧することによりその容器中の薬剤を放出する手持ち式注入装置が開示されている。
【0004】
使い捨てポンプは一般に、接着手段により患者の皮膚に適用するのに適した皮膚に接触する装着表面を備え、使用の際に装着表面から突出して患者の皮膚に侵入する注入針を有し、器具使用中は針が皮膚に侵入する部分は被覆される。米国特許第2605765号及び第4340048号、及び欧州特許第1177802号に開示されているように、注入針は注入ポンプの適用と同時に挿入されるように装着表面から恒久的に突出しているように構成することができ、或いは、米国特許第5858001号及び第5814020号に開示されているように、引っ込んだ状態、即ち針の尖った遠位端がポンプ装置内部に「隠れた」状態で装置に針を供給し、これにより患者が針を見る事なく装置を皮膚上に配置できるようにすることができる。ポンプに加えて流体薬剤を輸送するための代替手段、例えば以下に述べるイオン泳動を用いてもよい。
上記第2の種類の全部又は一部が使い捨ての注入装置は、従来の耐久性の注入ポンプに比べてかなり安価に製造可能であることが期待されるが、従来の注入ポンプの実際の代替装置として日常ベースで使用するには依然として高価であると思われる。
【0005】
本発明を開示する前に、針又は針様構造の挿入に基づく異なる種類の装置を説明する。
使い捨て又は耐久性の薬剤注入ポンプにより、使用の利便性が向上し、取り扱いの制御が改善されるが、閉ループ制御に依存する糖尿病の治療用薬剤注入システム、即ち糖尿病のインシュリン治療の場合の血糖値レベル等、治療対象となる状態の指標となる数値の測定に基づくシステムのように、多かれ少なかれ全自動のシステムを提供する事が長年の目的であった。
【0006】
特定の物質の濃度を測定するための特定のモニタシステムは、観血的又は非観血的測定原理に基づいている。後者の例としては、患者の皮膚表面に配置され、近赤外分光分析を用いる非観血的ブドウ糖モニタが挙げられるが、本発明は主に、例えば針形状のセンサ素子のような経皮的装置を備える装置に関する。
センサは配線により外部装置に接続されて皮下に配置されるか、又は分析される物質(例えば液体)が外部センサ素子へ輸送される。それらの構成は共に、皮下構成要素(例えば、小型のカテーテル又は配管)の配置を必要とし、本発明はその両方の配置に対処する。しかしながら説明を簡単にするため、用語「センサ」は以降、患者の体内に導入される両方の型の素子に対して用いる。
【0007】
発明の開示
上記の問題に関連し、本発明の目的は、皮膚に装着可能な薬剤送達装置又はシステム及びその構成要素を提供することにより、そのような装置又はシステムを便利で費用効率の高い方法で用いる事を可能にする事である。従って、本システム及び構成要素の構成は、容易で迅速であり、且つ使用に際して信頼性のある操作を可能にする医療用送達手段を提供する。
本発明の開示において、上記目的の1つ以上に対処するか、又は後述及び例示的実施例の説明から明らかとなる目的に対処する実施形態及び態様について説明する。
【0008】
よって、第1の態様では、経皮的ユニット及びリザーバユニットを備える医療装置が提供され、この装置では経皮的ユニットは患者の皮膚部分を通して液体を輸送する経皮的手段、及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える。リザーバユニットは、流体薬剤を含有し、リザーバ内部から経皮的手段に流体を流入させる流出口を備えたリザーバ、及び使用に際して流体薬剤をリザーバから経皮的手段を介して患者の皮膚中に放出する放出手段を備える。経皮的ユニット及びリザーバユニットは更に、使用の際にリザーバユニットを経皮的ユニットに固定する事を可能にする連結手段を備える。
用語「経皮的」は、皮内投与又は皮下投与等、液体を皮膚部分を通して輸送する投与の全形態を包含する。経皮的手段は経皮的装置、ジェット注射手段、又はイオン性薬剤がイオン泳動の原理を用いて皮膚表面の所定の部位から患者の皮下組織中に浸透する事を可能にする電極の形状である。イオン泳動の更に詳細な説明については、本明細書に参考文献として包含する米国特許第6622037号を参照されたい。経皮的手段の性質に応じて、放出手段は種々の構成や性質を有する。例えば、1つ以上の中空注入針又はカニューレを使用する場合、放出手段はリザーバから流体薬剤を押し出す又は吸引するように構成することができ、一方、イオン泳動の場合、放出手段は電極セットに電流を印加する手段、即ち「駆動」手段とすることができる。
【0009】
更なる態様では、経皮的装置ユニット及びリザーバユニットを備える医療装置が提供され、この装置の経皮的装置ユニットは、経皮的装置及び患者の皮膚に適用するための装着表面を備える。リザーバユニットは、流体薬剤を含有するリザーバ、及びリザーバと協働して流体薬剤をリザーバから経皮的装置を介して患者の皮膚中に放出するための放出アセンブリを備える。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは更に、使用の際互いに固定されることにより、リザーバと経皮的装置との間に流体を流通させる事ができる。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは、使用の際にリザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定する事を可能にする解除可能な連結手段を備える。2つのユニットを備えるこのような医療用装置はまた、医療用システムと考えられる。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは各々、その中にそれぞれ経皮的装置と、リザーバ及び放出アセンブリが配置されるハウジングとを備える。
用語「放出アセンブリ」は、共同でリザーバから液体を放出可能にする構成要素又は構造の集合を含む。放出アセンブリは、例えば電子制御の作動手段と組み合わせた機械的ポンプ(例えば、膜ポンプ、ピストンポンプ又はローラポンプ)、機械的駆動ポンプ(例えばバネ駆動)、ガス駆動ポンプ、又は浸透圧エンジン駆動のポンプである。放出アセンブリはまた、アセンブリ外部の制御器により制御又は作動した場合に、共同でリザーバから流体を放出する構成要素又は構造の集合の形態とすることができる。
【0010】
経皮的装置(この用語には、この技術分野で従来用いられている類似の用語である経皮的接続装置及び経皮的接続器具も包まれる)は、尖った中空注入針、マイクロ針アレイ、或いは、尖った経皮的装置となるような、比較的柔軟性のそれ自体が太針であるカニューレと尖った挿入針との組み合わせであって、経皮的装置の太針部を挿入した後に挿入針を格納できる組み合わせの形態にすることができる。後者の場合、実際に患者の体内に挿入されてその後本明細書に述べる格納手段によって格納される経皮的装置の部分は、必ずしも組み合わせた経皮的装置の部分の皮膚への挿入を可能にし、経皮的装置の挿入の間に後退される尖った末端を備えなくともよい。有利には、カニューレは、一般に硬いスチール針である挿入針に比べて柔らかく柔軟性がある。本発明の開示内容及び例示的実施形態の説明では、概ね注入針の形状の経皮的装置について言及する。経皮的装置の長さは実際の使用に応じて選択され、例えば、皮膚表面に対しほぼ直角に挿入する中空スチール針は2〜8mm、好ましくは3〜5mmの挿入長を有し、皮膚表面に対し斜めの角度で挿入するカニューレはそれよりも長い、例えば4〜20mmの挿入長を有する。
装着表面は被験者(例えばユーザ又は患者)の皮膚に適用するのに適しており、装着表面外部の取り付け手段(例えば、医療装置と、皮膚に装着可能な装置とを連結する連結装置、接着性包帯又は包帯)又は装着表面上に提供される接着手段によって、皮膚との接触が保たれる。装着表面はまた、皮膚に装着可能な装置の中間構成要素を介して皮膚に装着するのに適しており、例えば皮膚に装着可能な装置は医療装置が取り付けられる受容部位を備え、受容部位中の開口を通して経皮的装置を皮膚に挿入することができる。
【0011】
上記の構成により、種々の構想が実現可能である。例えば、一方のユニットを少なくとも2つの異なるユニットとする事により、経皮的装置ユニットとリザーバユニットの各組み合わせからなる各アセンブリが、以下に更に詳細に説明するような異なる機能を有する、2種類以上の組み合わせを提供する事が可能となる。解除可能な連結手段を有するユニットが提供される場合、ユニットの一方を新規ユニット又は別のユニットと交換することができ、しかもその際他方のユニットを再使用することで、再使用ユニットの作動寿命を延ばすことができる。従って、本発明の例示的一実施形態では、ユーザとの接点を提供する構成要素が第1ユニットに組み込まれており、薬剤送達を行う構成要素が第2ユニットに組み込まれる装置を提供し、それにより、組み合わされる構成要素を単純で、確実に、及び操作が容易な方法で組み合わせ又は交換する事ができる。
例えば、リザーバユニットは一定量の薬剤、及び例えば10日間に亘って薬剤を供給する事が可能なエネルギ源を備える供給ポンプを備え、一方経皮的装置ユニットは、経皮的装置、及び予想される(又は推奨される)動作寿命が2日である装着表面上の接着表面を備え、よってリザーバユニットは5つの経皮的装置ユニットを用いて10日間使用可能となり、これにより組み合わされた装置の総使用コストが著しく低下する。リザーバは予め充填されるか、又は1回以上充填される。
【0012】
一方、経皮的装置ユニットは、例えば針又は軟質のカニューレと、針ユニットを取り付け、そのユニットを長時間使用可能にする接着手段(例えば、人工肛門袋の取り付けに用いられる型のもの)とを備え、例えば比較的大量の薬剤を注入しなければならないとき、リザーバユニットの予想作動寿命は短くなる。これに対して、異なる種類の薬剤を含む異なるリザーバユニットを上記の「長寿命」装着針ユニットと組み合わせで用いる事ができる。
使用を容易にするため、針ユニットとリザーバユニットを互いに固定したとき、針とリザーバとの間に流体が流通し、同様に、針ユニットとリザーバユニットを互いに固定すると放出手段が起動され、これらユニットを互いに切り離すと放出手段は起動停止する。実際は、これら操作の一方又は両方をユーザが手動で行うことができる。
【0013】
例示的一実施形態において、放出アセンブリは、リザーバの流出口から流体が流れ込むように構成された流入口と、経皮的装置へ流体が流れるように構成された流出口とを有するポンプを備え、それによって経皮的装置とリザーバ内部との間に液体が流通可能となっている。このような構成により、ポンプはリザーバから薬剤を引き込む吸引ポンプとして機能し、従ってリザーバは折り畳み可能でなければならないか、折り畳み可能でない場合はベントを設ける必要がある。放出アセンブリはまた、リザーバを加圧するの構成の形態、例えば取り換え可能なピストンを備えるリザーバ中のピストンを駆動する構成とすることができる。リザーバユニットは2以上のリザーバ及び2以上の放出アセンブリを備えてもよい。例えば、単独の放出アセンブリを使用して、2以上のリザーバから同時に複数の薬剤を混合しながら放出するか、又は交替に薬剤を放出することができ、或いは、各リザーバが、共通の経皮的装置又は個々の経皮的装置に連結している1の放出アセンブリを備えることができ、例えば経皮的装置ユニットが、放出アセンブリと連結する2以上の経皮的装置を備えてもよい。
ポンプの流路を初期的に無菌にするために、流入口と流出口がポンプ内部及び流路を初期無菌状態にシールするように、流路を流入口と流出口との間に配置することができる。このような構成により、リザーバユニット全体を無菌ユニットとして提供する必要がなくなり、使用の際には薬剤は無菌状態で提供される。
【0014】
例示的一実施形態において、リザーバユニットは、ポンプとリザーバとの間に流体が流れない初期状態から、ポンプユニットが初めて針ユニットに固定されて、ポンプの流入口手段とリザーバの流出口手段との間に流体が流れる非可逆作動状態へ変形可能である。このような構成により、ポンプとリザーバとの再連結時に望ましくない物質がリザーバ内に導入されるのを回避することができる。
ポンプとリザーバとの清浄な接続を確保するため、別個の流体コネクタを初期状態のポンプ内部に配置する。そのような流体コネタクタは、尖った流入口端及び流出口を備え、一方ポンプの流入口及びリザーバの流出口は2つの針が侵入可能な隔膜の形態である。このような構成により、流体コネタクタ(例えば接続針)の尖った末端は、2つの隔膜を通して移動可能で、これにより初期状態と、リザーバ内部とポンプ内部との間に流体コネタクタを介して流体が流れ、流体コネタクタの流出口が流路中に配置される作動状態との間で移動可能である。有利には、流体コネタクタは、リザーバユニットが経皮的装置ユニットに初めて連結されるとき、その2つの位置の間を移動する。それに対応して、最初の連結時に、2つの流体流通が確立され(経皮的装置ユニットの経皮的装置とポンプとの間、及びポンプとリザーバとの間)、一方、次の連結の間に、単一の新しい流体流通だけが確立される(経皮的装置ユニットの経皮的装置とポンプとの間)。
【0015】
例示的一実施形態において、経皮的装置は尖った遠位末端を有する第1部、及び第1部との間に流体が流通し、第2末端を有する第2部を備える。有利には、経皮的装置の第2末端は尖っており、ポンプの流出口手段は、好ましくは2つのユニットが互いに連結されるとき、経皮的装置の第2末端とポンプの内部との間に流体を流通させることができる、針が侵入可能な隔膜を備える。
これに対応して、本発明の別の態様では、流体供給源から流体が流れ込むように配置される流入口手段、及び流出口手段を有するポンプが提供され、本ポンプは、流入口手段と流出口手段との間に配置される内部流路を備え、流入口手段及び流出口手段がポンプ内部をシールすることにより、流路が初期無菌状態にシールされる。流体連絡手段は、初期状態でポンプ内部に位置するように配置され、流入口末端及び流出口を備え、初期状態と、流入口の末端がポンプの流入口手段から突出する作動状態との間を移動するように構成されている。それによって流体供給源源とポンプ内部との間に、流体連絡手段を介して、且つ流路中に配置される流体連絡手段の流出口により、流体が流れる。
【0016】
経皮的装置ユニットは例えば装着表面から突出する針を備えるが、針が偶発的に損傷する危険を制限するため、有利には、経皮的装置の尖った末端は、装着表面から尖った末端が後退している初期位置と、装着表面から尖った末端が突出する伸張位置との間を移動可能である。装置をユーザに装着する方法に応じて、2つのユニットが互いに連結されるときに経皮的装置が2つの位置の間を移動するようにすることができ、これはリザーバユニットを連結する前に経皮的装置ユニットをユーザの皮膚に装着する場合に適切である。しかしながら、2つのユニットを互いに連結した後で組み立てられたユニットをユーザの皮膚に装着する場合、有利には、経皮的装置ユニットは、経皮的装置の尖った末端を初期位置と伸張位置との間で移動させるための、ユーザによる作動が可能な作動手段を備える。
2つのユニットを組み合わせる前の、経皮的装置の不慮の作動を防止するため、経皮的装置ユニットは作動手段を阻止する手段を備え、この阻止手段は経皮的装置ユニットとリザーバユニットとを互いに固定すると解除され、それによって作動手段が作動可能となる。
【0017】
経皮的装置の損傷の可能性を更に低減するため、経皮的装置の尖った末端は、装着表面から突出する伸張位置と、装着表面から後退している格納位置との間を移動可能である。これに対応して、組み合わされた装置は、作動させると伸張位置と格納位置との間で経皮的装置の尖った末端を移動させることができる、ユーザによる作動が可能な格納手段を備える。経皮的装置の再使用を防止するため、経皮的装置は格納位置に恒久的にロックすることができる。
ユーザエラーを防止するために、経皮的装置を導入するための作動手段は、初期状態で格納手段を覆い、作動手段の作動によって格納手段が開放される。例えば、作動手段は装置から取り外される把持手段(例えば小片)の形状であってもよく、それが除去される事により経皮的装置の挿入が起動され、それと同時に格納手段が開放されて経皮的装置が引き込まれる。
【0018】
上記のように、放出アセンブリは、2つのユニットを組み立てると起動され、分解すると起動停止するが、作動手段及び格納手段を使用して、放出アセンブリをそれぞれ起動及び起動停止することもできる。ポンプとリザーバとの初期連結に関しては、放出アセンブリの初期起動の結果、電子制御手段が起動し、それによってポンピング動作をスタートさせることができる。一方、その後の起動停止は実際のポンプ動作だけを起動停止し、制御手段はなお作動中である(例えば、制御手段を初期起動してからの時間の計測など)。
本発明の上記開示内容において、2つのユニットは主として「単一の」ユニットとして記述したが、これは単に例示的構成であって、これら2つの「主要な」ユニットは、必要に応じて更に細かいユニットに細分されてもよい。例えば、リザーバユニットが交換可能な制御ユニットを備え、それによって種々の制御ユニットをリザーバユニットに連結する事ができる。例えば、第1の種類の制御ユニットは単一の送達特性を提供し、第2の制御ユニットはプログラムにより送達パターンを変更することができ、又は第3の制御ユニットは外部手段と連絡する手段を備える。第3制御ユニットの場合、制御ユニットは無線遠隔制御を用いて制御することができる。これに対応してリザーバは交換可能であり、よって異なる大きさのリザーバ又は異なる種類の薬剤の使用が可能である。
【0019】
本発明の更なる態様において、経皮的装置ユニットは上記のように提供され、上記のようにリザーバユニットと組み合わせて用いられる。これに対応して、本発明はまた、上記のようなリザーバユニットも提供し、このリザーバユニットは上記のように経皮的装置ユニットと組み合わせて用いられる。例示的一実施形態において、このような経皮的装置ユニットは中空針を備え、中空針は、出口となる開口を有し、患者の皮膚に侵入するのに適した尖った遠位末端と、流体供給源から流体が流れ込むように構成されて流体流入手段を形成する入口となる開口を有する尖った近位末端を有する。このような構成によって、針には、針の入口となる開口と出口となる開口(例えば金属製)との間で安定した流体圧で流体が流れ、それによって、針の上流の圧力蓄積を監視する事で閉塞の早期検出が可能となる。
また別の態様では、本システムは、上記のような第1針ユニット及び第1リザーバユニットを、上記のような少なくとも1つの更なる針ユニット又はリザーバユニットと組み合わせて備え、更なるユニット(単数又は複数)は第1ユニットとは異なる機能を有する。異なる機能とは、針の種類、ユーザによる作動が可能な手段の種類、送達/ポンプ手段の種類、又はリザーバ/薬剤の種類等、ユニットのあらゆる構造的特性に関するものである。
【0020】
具体的には、例示的一実施形態において、本システムは、上記のような経皮的装置ユニット、及び各々が流体薬剤を含有するリザーバとリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリとを備える複数のリザーバユニットを備える。経皮的装置ユニット及び複数のリザーバユニットは、リザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定する事によりリザーバと経皮的装置との間に流体を流通させることが可能な互いに一致する連結手段を備え、経皮的装置ユニットとリザーバユニットとの各組み合わせが形成するアセンブリは異なる機能を有する。異なる機能は、同じ種類の薬剤の異なる量を有するリザーバユニット、異なる薬剤又は特定の薬剤の複数の変種を有するリザーバユニット、薬剤を異なる所定流量で放出するリザーバユニット、又は薬剤を選択可能なそれぞれの固定流量で放出するリザーバユニット等を使用する事により実現可能である。リザーバユニットの内の1つは、放出アセンブリを制御する処理装置、及び別の制御装置から流量指示を受信して処理装置に流量指示を供給するために制御器に操作可能に連結された受信機を備える。受信機は無線の受信機でもよい。リザーバユニットは更に種々の入力手段(例えば、無線又は有線接続用、或いは手動入力用)又は異なる出力手段(例えば、無線又は有線接続用、種々の表示手段、又は種々の警報手段)を備えることができる。
更なる例示的実施形態において、本システムは、上記のような複数の経皮的装置ユニット、及び流体薬剤を含有するリザーバとリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリとを備えるリザーバユニットを備える。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは、経皮的装置ユニットをリザーバユニットに固定する事によりリザーバと経皮的装置との間に流体を流通させるための、互いに一致する連結手段を備え、経皮的装置ユニットとリザーバユニットとの各組み合わせが形成するアセンブリは異なる機能を有する。異なる機能は、中空皮下針、カニューレと挿入針とのアセンブリ、及びマイクロ針アレイなどの種々の経皮的装置を有する経皮的装置ユニットを備える事、種々の接着剤を備える事、種々の挿入手段又は格納手段を備える事、又は種々の連結手段を備える事により実現される。
【0021】
更なる例示的実施形態において、本システムは、経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える経皮的装置ユニット、流体薬剤を含有するリザーバ及びリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリの少なくとも一部分を備えるリザーバユニット、並びに、各々が放出アセンブリを制御するための制御器を備え、種々の機能を有する複数の制御ユニットを備える。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは、リザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定することにより、リザーバと経皮的装置との間に流体を流通させるための、互いに一致する連結手段を備え、制御ユニット及びリザーバユニットは、制御ユニットをリザーバユニットに固定する事により放出アセンブリを制御するための、互いに一致する連結手段を備え、経皮的装置ユニット、リザーバユニット、及び制御ユニットの各組み合わせによって形成されるアセンブリは異なる機能を有する。制御ユニットは、複数のリザーバユニットを備えるシステムに関して上記のような種々の制御機能を有する。別の構成において、リザーバユニット及び経皮的装置ユニットは、制御ユニットと協働するのに適した単一の構造として提供される。
本発明はまた、経皮的装置及び装着表面を備える経皮的装置ユニットを提供するステップ、流体薬剤を含有するリザーバ及びリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリを備えるリザーバユニットを提供するステップ、及び経皮的装置ユニットとリザーバユニットとを組み立てることによりリザーバと経皮的装置との間に流体を流通させるステップを含む方法を提供する。経皮的装置とリザーバの間における流体の流通は、2つのユニットが組み立てられるか、又は組み立てたうえで作動されると確立され、上記定義はこれら両方の選択肢を包含する。本方法は、更に、装着表面を患者の皮膚表面に装着するステップ、及び装着表面を患者の皮膚表面へ装着した後、経皮的装置を作動させてリザーバと患者との間に流体を流通させるステップを含むことができる。
【0022】
更なる方法は、薬剤を所定流量で分配する薬剤送達装置を提供し、本方法は、経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える経皮的装置ユニットを備え、更に各々が流体薬剤を含有するリザーバと流体薬剤を所定流量でリザーバから放出するための放出アセンブリとを備える複数のリザーバユニットを備えるシステムを提供するステップ、望ましい所定流量を有するリザーバユニットを選択するステップ、及び経皮的装置ユニットと選択されたリザーバユニットとを組み立てることによりリザーバと経皮的装置との間に流体を流通させるステップを含む。
上記開示において、薬剤送達装置に関して本発明について説明したが、本発明の構想は多数の利点を提供するモジュラーシステムとみなす事ができる。従って、経皮的装置ユニットは針センサの形態であってもよく、これに対応して「リザーバユニット」はセンサを介して得られるデータを伝達及び/又は処理する装置の形態であってもよい。
【0023】
本明細書中で用いる用語「薬剤」には、液体、溶液、ゲル又は微細懸濁液のように、制御された方法で中空針などの送達手段を通過可能で、薬剤を含有し、流動可能な全ての医薬品が含まれる。代表的な薬剤の例としては、ペプチド、タンパク質及びホルモンなどの医薬品、生物学的に誘導されたか又は活性な薬剤、ホルモン剤及び遺伝子に基づく薬剤、栄養剤、及び固形(調剤された)及び液体形状のその他の物質などが挙げられる。例示的実施形態の説明では、インシュリンの使用について言及する。これに対応して、用語「皮下」注入には、患者への経皮的送達のための全ての方法が含まれる。更に、用語「針」は、(特にことわりのない限り)患者の皮膚に侵入するのに適した穿孔部材として定義される。
以降、添付図面を参照して本発明を更に詳細に説明する。
図面において、同じ構造は主として同じ参照番号により識別される。
【実施例】
【0024】
以降、例えば「上側」及び「下側」、「右側」及び「左側」、「水平」及び「垂直」又はこれらと同様の相対的表現が用いられる場合、これらは単に添付図面に言及するものであって、実際の使用状況に言及するものではない。示した図面は模式的な表現であり、そのため種々の構造の構成、並びに相対的な寸法は、説明のみを目的としている。
まず、図1〜12に関し、薬剤送達装置の実施形態を、主として直接的にユーザに関わる特性に焦点を合わせて記述する。経皮的装置ユニット2は中空注入針の形状の経皮的装置を備え、よって以降針ユニットと呼ぶが、針は流体薬剤の送達に適するあらゆる経皮的装置に置き換えることができる。
【0025】
具体的には、図1は、パッチ様の針ユニット2及びリザーバユニット5を備えるモジュラー式皮膚装着可能薬剤送達装置1の形態の医療装置の斜視図を示す。ユーザに提供されるとき、各ユニットは専用のシールされたパッケージ(図示しない)に包装されるのが好ましい。
針ユニットはユーザの皮膚に適用するのに適した下部装着表面を有するベース部10、及びその中に中空注入針(図示しない)が配置されたハウジング部20を備える。針は、ユーザの皮膚に侵入するのに適した尖った遠位末端を有する第1針部、及びリザーバから流体が流れ込むように配置される尖った第2末端を備える。図示される実施形態において、針の尖った末端は、装着表面から後退している初期位置と、装着表面から突出している伸張位置との間を移動可能である。更に、針は、尖った末端が装着表面から突出している伸張位置と、尖った末端が装着表面から後退している格納位置との間を移動可能である。針ユニットは更に、作動手段を作動させたとき、針の尖った末端を初期位置と第2位置との間で移動させるための第1小片部材21の形態の把持可能な作動手段、及び格納手段を作動させたとき、針の尖った末端を伸張位置と格納位置との間で移動させるための第2小片部材22の形態の把持可能な格納手段を備える。図示するように、第2小片は初め第1小片に覆われている。ハウジングは更に、リザーバユニット上の対応するメスの連結手段と協働する一対の弾力的に配置されるフック部材の形態の、ユーザによる作動が可能なオスの連結手段40を備え、これにより、使用の際に、リザーバユニットを針ユニットに解除可能に固定する事ができる。図示の実施形態では、ベース部はそれ自体が装着表面となる下部接着表面を有する比較的軟質の接着シート部材12に取り付けられた剛性の上部部分11を備え、接着表面には剥離可能な保護シートが付いている。ベース部はまた、リザーバユニット上の対応する溝と係合する突起部材13を備える。
【0026】
リザーバユニット5は、液体薬剤組成(例えば、インシュリン)を含有する充填済みリザーバ、及び使用の際にリザーバから針を通して薬剤を放出するための電子制御ポンプの形態の放出手段を備える。リザーバユニットは、ベース部の上部表面上に装着される全般的に平坦な下部表面を有し、ハウジング部20の対応する空洞内に受容される突出部50、並びに針ユニット上の対応するフック部材31と係合するメスの連結手段51を備える。突出部は2つのユニット間の接続手段となり、ポンプ流出口、及び2つのユニットを組み立てたときポンプを始動させる接触手段(図示しない)を備える。下部表面は、ユーザがリザーバの内容物を視覚的に制御する事を可能にするウィンドゥ(図示しない)も備える。
装着手順の第1ステップでは、リザーバユニットを単純にスライドさせて針ユニットと係合する事により2つのユニットを組み立てる(図2)。フック部材が適切にリザーバユニットと係合すると「カチッ」という音がする(図3)ので、ユーザは2つのユニットが適切に組み立てられた事が判る。必要に応じて可視又は可聴の信号を発生させる事も可能である。その後、ユーザが剥離可能なシート14を除去して接着表面の覆いを外す(図4)と、ユーザの皮膚表面、一般的には腹部(図5)に装置を取り付ける事が可能となる。薬剤の注入は、作動小片21をつかみ矢印の方向へ引き剥がす事により開始され、その際、針が挿入され注入が自動的に開始される(図6)。針挿入機構は、予め加圧した状態で提供され、その後作動手段により解放されるか、又はユーザが針挿入を行ってもよい。警告音信号により装置が作動して薬剤が注入されている事が確認される。好適には、リザーバユニットは、閉塞、ポンプの故障又は内容物の終了等の場合をユーザに知らせるための警報音信号を提供する信号手段及び検出手段を備える。
【0027】
針ユニットの使用に推奨される時間(例えば48時間)に亘り装置が所定の位置に配置された後、又はリザーバが空になった場合、或いはその他の理由で、格納用小片22を掴み(図7)、矢印方向に引っ張る(図8)事により装置を皮膚から除去する。その際、針が格納され、薬剤注入が自動的に停止し、その後、接着パッチに付着した小片を使用して装置を皮膚表面から除去する(図9)。
装置が除去されると、2つのフック部材31を矢印の方向へ同時に押す事により2つのユニットが分離され(図10)、それによってリザーバユニット5を針ユニット2との係合から矢印の方向へ引き離す事が可能となり(図11)、針ユニット2は廃棄可能となる。その後、新しい針ユニットを取り付けて、リザーバユニットをその中身が空になるまで再び使用することができる。
【0028】
リザーバユニットは固定の基本注入速度で提供されるか、又は医師及び/又はユーザ/患者による注入速度設定を可能にする調節手段55付きの調節可能ユニット(図12)として提供される。リザーバユニットは、制御手段を電子的にプログラム又は設定する事を可能にする手段(図示しない)を備えることもできる。
図1ないし図11を参照して説明した装置を、別の方法で用いる事もできる。例えば、針ユニットを皮膚に装着し、その後リザーバを取り付ける事もできる。針ユニットの構成に応じて、リザーバユニットを取り付ける前に針を導入する事ができる、又はそれを防止できる。
【0029】
図13は、実質的に図1の実施形態に対応する医療装置500の更なる実施形態を表し、装置はパッチ様針ユニット502及びそれに取り付け可能なリザーバユニット505を備える。
図14は、上部ハウジング部510、持針器520及びそれに取り付けられる注入針530、作動部材540、解除部材550、下部ハウジング部560、並びにシート部材570を備える針ユニットの分解斜視図を表す。作動部材はユーザ把持部541及び針作動部542を備え、解除部材はユーザ把持部551及び針格納部552を備える。図15に示す組み立てられた状態では、上下のハウジング部は、針及び持針器を搭載したハウジング503を形成し、作動部材及び解除部材は、ハウジングの外部に配置されるユーザ把持部により持針器に操作可能に連結されている。図1の実施形態と対照的に、針ユニットはベース板部を備えず、代わりにハウジングから伸張する2つの突起部材561を備え、突起部材及びハウジングの下部表面は、下部表面に下部接着層571を備える柔軟なシート部材に取り付けられ、その下部接着層によって針ユニットを患者の皮膚部位に取り付けることができる。シート部材は更に、経皮的装置の出口となる開口の周りに設けられた下部突起565に対応する位置に開口572を備え、同様にシートはシートの通気性を改善するために多数の小さい穿孔を備える。ハウジング503は、リザーバユニットを針ユニット502に着脱可能にするユーザによる作動が可能な連結手段511を備え、リザーバユニットは互いに一致する連結手段506と表示画面587を備える。表示画面は、例えばユニットの適切な機能、リザーバ内の薬剤の量、又は種々のエラー状況を表示する。
図示するように、解除部材のユーザ把持部551は初期状態では作動部材の一部で覆われており、これにより、ユーザが誤って作動部材の代わりに解除部材を操作してしまう確率が低減する。更に、作動部材及び解除部材(又はそれらの一部分)を色分けし、ユーザが装置を正しく用いるための更なる手助けとすることができる。例えば、作動部材は「開始」を示す緑色である一方、解除部材は「停止」を示す赤色である。
【0030】
図16は、針530付きの持針器520及び作動部材540の針作動部542の斜視図である。針作動部はハウジングに対してスライド可能な2本の脚543を備え、脚はハウジングの各開口563を通して配置される。持針器は下部ハウジング部のヒンジ部材562に接続され、それによって持針器及び針は、ヒンジが規定する旋回軸の周りを旋回することができる。図に示される実施形態において、持針器は曲げられたシート状の金属部材であり、担体は、ヒンジ部523によって互いに連結された上腕部521及び下腕部522を備え、ヒンジ部が旋回軸となることにより、下腕部は旋回軸を中心に上腕部に対して旋回できる。下腕部は、中に中空注入針530が取り付けられる(例えば、溶接又は接着剤によって)トレイを形成し、針は針ユニットの装着表面に対し通常垂直な、患者の皮膚に侵入する尖った遠位部531、及び実質的に旋回軸と重なるように配置されて流体供給源と係合する近位部532を有する。従って、上腕部の一部をハウジングに取り付けると、下腕部は、針の遠位部がハウジング内部に後退している第1格納位置と、遠位部が装着表面から突出する第2伸張位置との間で旋回可能である。図に示される実施形態において、持針器は2つの位置の間で下腕部を移動させるための駆動手段を提供する。この機能は、本実施形態のようにヒンジ部に対応するシート部材自体の弾性により提供されるか、或いは2つの腕の間に追加のバネを設けることにより、2つの腕を引き離す。作動され、且つ解除可能な状態で下腕部を第1位置に固定するため、上腕部に柔軟な解除腕526を設け、この解除腕が下腕部を下方に付勢された初期位置に支持及び拘束する捕持部527、並びに針作動部542の傾斜表面544と係合する解除部528を備え、捕持部は更に、下腕部が伸張位置から格納位置へ移動するとき、下腕部と係合する傾斜端部529を備える。これについては後述する。
針を作動するため、ユーザ把持部541(好ましくは図示するような折りたたまれた初期位置に保持するための接着部を備える)を形成する柔軟な小片を握り、針作動部542をハウジングの外へ引き出すと、作動部材540がハウジングから完全に外れる。具体的には、傾斜表面544が移動すると、強制的に捕持部527が下腕部から離れて解除され、その後解除部528が傾斜表面を解放し、2つの脚がハウジングから引き出される。図17に示すように、作動部材が除去されると解除部材のユーザ把持部551が露出する。作動部材に関しては、解除部材のユーザ把持部は、図示の折りたたまれた初期位置にこれを保持する接着部を備えるのが好ましい。
【0031】
図示される実施形態において、解除部材は、内部末端と外部末端を有し、可撓性材料からなる小片の形態であり、小片はハウジングの開口512を通り、よってユーザ把持部551及び針格納部552を形成する。小片の内部末端はハウジングに取り付けられ、小片の外部末端はシート部材570の周辺部、或いはハウジングの周辺部に取り付けられる。図18に示す投影図では、解除部材は初期位置にあって、格納部が持針器の下腕部の下方に配置されるループ555を形成しており、この位置で下腕部は作動位置へ移動する事が可能であり、よって針は伸張位置へ移動する事ができる。
ユーザが針ユニットを皮膚から取り外す場合、ユーザ把持部551を握り、それをハウジングから離れるように持ち上げて上方に引くと、ループが縮んで下腕部が強制的に上に持ち上がる。この位置は解除の中間状態に対応する。このような動作により、下腕部が捕持部527の傾斜末端部529と噛み合うことによって、傾斜末端部は強制的に外側に向けられ、捕持部が下腕部の下の位置まで戻る(図16に示す位置に対応)。作動部材540が針ユニットから除去されると、持針器は格納位置に不可逆的に固定される。ユーザが解除部材を更に引くと、解除部材が取り付けられているシート部材の周辺部が皮膚から持ち上がり、針ユニットと、それに取り付けられているリザーバユニットを皮膚から除去することができる。この過程は図7ないし図9を参照して上述した通りである。
有利には、作動部材及び解除部材はリザーバユニットと連絡するように形成及び配置される(図示しない)。例えば、作動部材の脚の一方は初期位置においてハウジングを貫通して突出し、リザーバユニット上の対応する接点と係合することができる。これにより、針ユニットがリザーバユニットに取り付けられた事が示され、一方、作動部材が除去された事により、針が挿入されて薬剤注入が開始可能である事が示される。同様に、解除部材の作動によりポンプを停止することができる。
【0032】
図19には、針ユニット502のリザーバユニットと連結する側面を示す。2つの突起部材561及びユーザによる作動が可能な連結手段511に加えて、針ユニットは、リザーバユニットとの機能的インターフェースを提供するためにリザーバユニットと連結及び/又は係合する更なる構造を備える。具体的には、針ユニットは、針ユニットから突出する針の尖った近位部532により提供され、リザーバユニットの流体流出口と係合する流体流入口、針ユニットから突出してリザーバユニットの流体コネタクタと係合し、それを作動させるアクチュエータ515(下記参照)、並びにリザーバユニット上の対応する接点と係合する第1及び第2接触アクチュエータ548及び558を備える。第1接触アクチュエータはハウジングの開口を通して突出する針作動部の一方の脚543の遠位末端からなり、第2接触アクチュエータは解除部材550の針格納部552に接続されるハウジングのヒンジ部からなる。針ユニットが最初にリザーバユニットに連結されると、両方の接触アクチュエータがハウジングから突出してリザーバユニット上の対応する接点と係合し、それによって針ユニットが接続された事が示される。針を作動すると、第1接触アクチュエータが後退することにより、リザーバユニット上の対応する接点が外れ、ポンプが作動開始する。針を格納すると、第2接触アクチュエータが旋回し、リザーバユニット上の対応する接点が外れてポンプが作動停止する。
【0033】
図20は、ハウジングの上部が除去されたリザーバユニットを表す。リザーバユニットは、リザーバ760、及びポンプアセンブリ300とポンプ用の制御手段及び作動手段580及び581とを備える放出アセンブリを備える。ポンプアセンブリは、経皮的接続装置(例えば、針530)に接続する流出口322及び内部流体コネタクタを作動可能にする開口323を備える(下記参照)。リザーバ760は、ポンプアセンブリとの間に液体を流通させる、針の侵入が可能な隔膜を備えた柔軟で折りたたみ可能な充填済みポーチの形態である(下記参照)。図示されるポンプアセンブリは機械的に作動される膜ポンプであるが、リザーバ及び放出手段は、図25A〜25Dに開示されるもの等、あらゆる適切な構成を持つことができる。
制御手段及び作動手段は、膜ポンプのピストンを作動するコイルアクチュエータ581の形態のポンプ作動部材、特にポンプの作動を制御するマイクロプロセッサ583が接続されたPCB又はフレックス-プリント、針ユニットの接触アクチュエータと協働する接点588及び589、可聴及び/又は可触知信号を生成するための信号生成手段585、表示画面(図示しない)及びエネルギ源586を備える。接点はハウジングの柔軟な部分で形成される膜により保護されるのが好ましい。
【0034】
図21は、図13のリザーバユニット505の分解図であり、このユニットは、上部ハウジング部材507、透明領域509と、針ユニットから伸びる突起部材561を受ける溝504とを有する下部ハウジング部材508、上に隔膜部材761が取り付けられる円形末端部762を有する可撓性リザーバ760、アクチュエータを有するポンプアセンブリ300、及びリザーバの上方に配置され、ポンプ作動を制御するための電子部品を備える回路基板(図示しない)を備える。上下のハウジング部材は、リザーバと係合してリザーバをハウジング中に装着するための対向する上下の隆起部780(下方の隆起部は図示しない)の形態のリザーバ装着手段を備える。各隆起部は、ハウジング部材を組み立てることによりハウジング内の所定の位置にリザーバを固定するとき、対向する表面上の隔膜部材と係合する中央切り欠き部781を備える。固定の強さは、隔膜部材にかかる圧力、隔膜部材の弾性特性、及び隆起部と隔膜部材との間の摩擦により決定される。隆起部は、切り欠き部の両側に、リザーバをハウジング内に装着する助けとなる直線部782を有する。直線部は予め充填されたリザーバと係合し、リザーバを所定の位置に固定する助けとなることができるが、リザーバが空になって平らに萎んだときこの把持力は小さくなる。これに対し、隔膜との係合は、リザーバが空になったとき、リザーバを所定の位置に適切に保持する。直線部はまた、リザーバを締め付けて完全に萎ませることにより、追加的装着手段として機能する。追加の装着手段(図示しない)により、溶接端765に沿った部分等、他の位置でリザーバを係合及び把持してもよい。
【0035】
図22Aに、リザーバに接続されるポンプの模式的概観図を示す。このポンプが備える一般的構成要素は、リザーバへの流体接続391、リザーバ390、安全弁392、流入口バルブ393及び流出口バルブ394、付属のピストン396付きのポンプ室395、及び流出口397である。矢印は個々の構成要素間の流れの方向を示す。ピストンが下方(図中)に移動すると、それに比例してポンプ室内部に負圧が発生し、流入口バルブが開き、続いてリザーバから安全弁の開いた一次側を介して流体が流れ込む。ピストンが上方(図中)に移動すると、それに比例してポンプ室内部に過圧が発生し、流入口バルブが閉じ、流出口バルブ及び安全弁が開くことにより、ポンプ室から流出口バルブ及び安全弁の二次側を通って流体が流出口へ流れる。図に示すように、通常の操作では、流体の吸引及び放出の両方の間、安全弁によって液体の流動が可能となり、従って安全弁は通常操作では「受動的」である。しかしながら、リザーバが加圧される(可撓性リザーバの場合に起こるように)場合、リザーバ内の上昇した圧力は、安全弁の一次側と、ポンプ室を通して安全弁の二次側との両方に伝達され、この場合安全弁の一次側の圧力によって二次側が開く事が防止される。
図22Bは、図22Aに示すポンプの原理を利用したポンプアセンブリ300の分解図である。このポンプアセンブリ(以降、「ポンプ」とも称する)は、図1ないし図13のリザーバユニットと共に用いるのに適している。ポンプは、流量制御された流入口バルブ及び流出口バルブを有するピストン作動式ポンプ膜を備える膜ポンプである。ポンプは、第1部材301、第2部材302、及び第3部材303を備える一般的な層構造を有し、部材間に第1膜層311及び第2膜層312が挿入されていることによって、第1部材及び第2部材が第1膜層と組み合わさることによりポンプ室341が形成され、第1部材及び第3部材が第1膜層と組み合わさることにより安全弁345が形成され、第2部材及び第3部材が第2膜層と組み合わさることにより流入口バルブ342及び流出口バルブ343が形成される(図22C参照)。これらの層は、外側クランプ310により、積み重なった構造に保持される。ポンプは更に、流入口321、流出口322、並びに接続開口323を備え、これら3つは全てポンプ内部を初期無菌状態にシールする膜331、332及び333によりそれぞれ被覆される。膜は針又は所定のシールを通して導入されるその他の部材によって侵入可能又は破壊可能(例えば紙製)である。流出口は更に、ポンプを流出口針に接続する針侵入可能な自己シール隔膜334(例えばゴム様材料)を備える。図22Cに示されるように、流入口321(下記参照)から安全弁345の一次側を経由して流入口バルブ342に至るまでの間、流入口バルブ、ポンプ室341及び流出口バルブ343の間、並びに流出口バルブから安全弁の二次側を経由して流出口322に至るまでの間に流路(太線で示す)が形成されており、この流路は異なる層内又は層間に形成される。ポンプはまた、ポンプ膜を作動するためのピストン340を備え、ピストンは外部駆動手段(図示しない)によって駆動される。
【0036】
ポンプは更に、接続開口の後方に配置される針室360中にスライド可能に配置される中空接続針350の形態の流体コネタクタを備える(図22D参照)。針室はポンプの複数の層に亘って形成され、内部シール隔膜315を備え、それを通して針がスライド可能に配置され、隔膜は第1膜層により形成されている。針は尖った遠位末端351、上に針ピストン352が配置される近位末端、及び遠位末端との間で液体が流通する近位側部開口353を備え、針とピストンは内部隔膜及び室に対してスライド可能に配置される。図22Dに示すように、初期位置にある針ピストンには1以上の放射状に配置されたキー溝359が通っている。これらのキー溝は蒸気消毒を可能にするため、及び流体コネタクタが針室内を前進する際、空気を放出するため又は取り込むために設けられる。
上述のポンプアセンブリは、図1ないし図20に示される種類の薬剤送達装置に取り付けることができる。リザーバユニットを針ユニットに取り付けて使用する場合、注入針の近位末端532をポンプの流出口シール及び隔膜334を通して導入し、接続膜333を通してアクチュエータ515(図19参照)を導入する。このような操作により、接続針は図22Dに示す初期位置から図22Eに示す作動位置へ押し出され、遠位末端が、流入口膜331及び更には近くに位置するリザーバの針侵入可能な隔膜を通して移動する。それにより、リザーバから針の近位開口353を介して流入口バルブまでの液体流路が確立する。この位置において、針ピストンと針室との間にシールが形成されている。
【0037】
図示のように、2つのユニットを分離すると、注入針の近位末端532がポンプ流出口から後退し、一方接続針はポンプとリザーバとの間に恒久的に液体を流通させる。
上記実施形態において、単一の針装置(例えば図示の注入針又は針センサ(図示しない))の形態の経皮的装置を説明したが、経皮的装置は、挿入針と組み合わされて、針の挿入後に退けられるカニューレ又はセンサの形態でもよい。例えば、第1針部は(比較的軟質の)注入カニューレ(例えば、テフロン(登録商標)のカニューレ)及びそれを通して配置される除去可能な挿入針の形態であってもよい。この種類のカニューレと針の構成は、いわゆる注入セットとして周知であり、このような注入セットは一般的に(耐久性の)注入ポンプと組み合わせた注入セットを提供するために用いられる。
【0038】
従って、図23A及び図23Bは、カニューレと挿入針との組み合わせを、所定の医療装置600(部分的に図示)、例えば注入装置又は注入セットのハウジング601内に配置する方法を模式的に示す。具体的には、医療装置は、下部部材653に担持される比較的軟質のカニューレ651(例えば、軟質型のテフロン(登録商標)製)及びカニューレ内にスライド可能に配置され、上部部材663に担持される尖った挿入針661(例えば、医療用グレードのステンレス鋼製)を備え、両部材が搭載されることにより、カニューレと挿入針の各々が軸方向に移動可能である。カニューレは、流体源から流体が流れ込むように配置される近位流入口(図示しない)を備える。医療装置は更に、カニューレ用の開口621、並びに解除部材622を有する基板620を備える。下部部材はエラストマーシール652を備え、それを通して挿入針が配置される。カニューレ及び挿入針は、両部材の装置への取り付け方法に応じて直線的であっても湾曲していてもよく、例えば旋回軸に対応して弓形であるか、又は図示されるように直線的な動きに対応して直線的である。上部部材は、図23Aに示すように、カニューレの遠位開口から挿入針の遠位末端が伸びている初期位置に2つの部材を固定するための連結部材667を備え、基板は、基板の開口を通してカニューレの遠位末端が伸びる伸張位置に固定するための連結部材657を備える(図23B参照)。装置のハウジングと上部部材との間に、第1バネ668が配置され、上部部材を上方に付勢する。それに対応して、装置はまた、下部部材を上方に付勢する第2バネ658を備える。医療装置は更に、図1に示される実施形態に対応して、把持用タブ676及び引っ張り部材677を備える。
使用の際、手動で、又はハウジングの開口を通して作動するバネ付き部材(図示しない)のような解除可能な挿入補助器具によって部品を下方に移動させると、突出する挿入針付きのカニューレが患者の皮膚中に挿入される。この位置で下部部材が連結部材657と係合することにより、カニューレが伸張位置に固定され、同時に解除部材622により連結部材667が解放され、それによって第1バネにより上部部材が初期位置に戻る事ができる。
【0039】
送達装置を皮膚表面から取り外すときは、タブの把持部分を掴み、皮膚表面にほぼ平行な第1の方向へ引くと、可撓性小片677により下部部材から連結部材657が解放され、それによって下部部材及びカニューレが第2バネにより後退する。カニューレが皮膚から後退したら、今度は折りたたまれていないタブを用いて、例えばタブを皮膚表面から遠ざかる方向に引っ張る事により装置全体を皮膚表面からはがす。
図24には、図1ないし図12を参照して記載した後者の装着過程(即ち最初に針ユニットを装着する過程)を有する装置の実施形態を示す。
【0040】
具体的には、図24は薬剤送達装置100の形態の医療装置の斜視図であり、この薬剤送達装置は、針ハウジング110、患者の皮膚に適用される下部装着表面133を有するベース部材130、及び分離型ポンプユニット150を備える。図示される実施形態において、ベース部材は比較的剛性の上部部分131を備え、この上部部分はそれ自体が装着表面となる下部接着面を有する柔軟性の接着パッチ部材132に取り付けられる。針ハウジングはベース部材と一体的に形成されるか又は別のユニットとしてベース部材に取り付けられ、これら2つの構成要素は組み合わされてプラットフォームユニットを形成する。図示される実施形態において、針ユニットはハウジング111を備え、ハウジング内には中空針112が旋回可能に配置される。
ハウジングは、第1及び第2被覆手段で被覆された第1及び第2開口(又は窓)を備える。図示される実施形態において、第1被覆手段は針の侵入が可能なゴム膜121の形態であり、第2被覆手段は構成要素をハウジングの内部に導入する事を可能にする破壊可能な紙シートの形態である。紙シートは殺菌用ガスを透過可能であり、紙シート、ゴム膜及びハウジングが組み合わされて封入された針部の無菌バリアとなる。
【0041】
針は、患者の皮膚に侵入する第1の尖った末端を有し、通常は装着表面に垂直な第1針部113、及び中間針部115を介して第1針部との間に液体が流通し、第2の尖った末端を有し、装着表面にほぼ平行な第2針部114を備える。針は装着部材117によりハウジングに連結され、それにより針は第2針部が規定する軸を中心に旋回することができ、これによって第1針部が装着表面に対して後退している初期無菌位置と、第1針部の尖った末端がゴム隔膜を通して装着表面から突出する第2位置との間を移動することができる。ハウジングはまた、針を初期位置の方へ付勢する付勢部材118を備える。多くの場合、針の「下流」部(ここでは第1部)を遠位部と呼び、針の「上流」部(ここでは第2部)を近位部と呼ぶ。
リザーバ(又はポンプ)ユニット150は、中にリザーバ及び放出手段が配置されるハウジングを備える。リザーバは、液体薬剤を含有し(例えば、予め充填されるか又はユーザが充填する)、突出した針が侵入可能な隔膜155の形態の流出口手段を備え、この流出口手段は第2針部と流体が流通するように配置される。放出手段(図示しない)は、使用の際にリザーバから中空針を介して薬剤を患者の皮膚中へ放出する。ポンプユニットは更に、リザーバ流出口に隣接して配置される傾斜部材156を備える。リザーバ及び放出手段は、例えば図25A〜25Dを参照して開示するように、あらゆる適切な構成とすることができる。
【0042】
装着プラットフォームは受容部を備え、受容部及びポンプユニットが互いに一致する連結手段160を備えることにより、ポンプユニットをプラットフォームユニットに固定する事ができる。互いに一致する連結手段は解放可能なので、耐久性ポンプユニット又は多数回使用ポンプユニットを使い捨てプラットフォームユニットに複数回に亘り取り付ける事ができる。
使用の際、プラットフォームユニットをユーザの皮膚に装着し(例えば、装着表面上に配置される接着手段により)、プラットフォームにほぼ平行にポンプユニットをスライドさせてプラットフォームユニットに係合する事により、プラットフォームユニットに取り付け、固定する。後者の操作の間、突出する隔膜及び傾斜部材が移動して針と係合し、それにより紙製バリア被覆122が破られ、その間に第2針部とリザーバとの間に液体が流通する。同時に、針が初期位置から第2位置へ旋回し、それによって尖った第1針末端がゴム膜及びユーザの皮膚に侵入する。
【0043】
ポンプユニットが接続され、針が皮下に導入された後、ポンプを始動する事ができる。これは2つのユニットが連結されたとき自動的に、或いは始動ボタン(図示しない)等の別のユーザ作動可能な始動手段により行うことができる。
別の実施形態(図示しない)において、第2針部は固定的に(即ち回転不可能に)装着部材117に取り付けられ、中間針部115が傾斜部材156によって下方に押し下げられて弾性的に曲がる。このような構成では、付勢部材118は不要である。
【0044】
上述の実施形態では、放出手段の一実施例と組み合わせた可撓性リザーバを備える装置として送達装置を説明した。しかしながら、リザーバ及び放出手段は、皮膚に装着可能な薬剤送達装置内の構成に適切ないかなる種類のものであってもよい。更に、本発明の針は針センサの形態であってもよいので、医療装置は内部に針センサと協働するセンサ手段を備える事もできる。
図25A〜25Eには、本発明と共に用いるのに適した放出手段の実施例を模式的に示すが、これらは単に実施例であって、図示される個々の構成要素の構成は、上記に示される送達装置への直接の応用には必ずしも適切ではない。具体的には、図25Aはポンプの一構成例を表し、この装置は、針を接続できる遠位閉鎖部材1011と、中にスライド可能に配置されるピストン1015とを有し、リザーバを形成する薬剤含有カートリッジ1010、可撓性歯状ピストンロッド1020(例えば、米国特許第6302869号に開示されているようなもの)、ウォームギア構成1031を介してピストンロッドを駆動することにより薬剤をカートリッジから放出する電動モータ1030、モータを制御するための制御手段1040、及び制御手段とモータとにエネルギを供給するためのバッテリ1050を備える。針を挿入した(方法は図示しない)とき、又は挿入器を送達装置から取り外した後、別のユーザ作動手段(図示しない)により、ポンプを起動する。
【0045】
図25Bはポンプの一構成例を表し、この装置は、遠位閉鎖部材1111、近位閉鎖部材1112、及びその中にスライド可能に配置されるピストン1115を有する薬剤含有カートリッジ1110、導管1121を介してカートリッジ内部から流体が流れ込むガス発生手段1120であって、ピストンを駆動してカートリッジから薬剤を放出するガス発生手段、ガス発生手段を制御するための制御手段1140、及びガス発生手段と制御手段とにエネルギを供給するためのバッテリ1150を備える。ポンプは上記と同様に起動される。薬剤送達装置用のこのようなガス発生手段の詳細な開示は、例えば米国特許第5858001号を参照されたい。
図25Cはポンプの一構成例を表し、この装置は、遠位閉鎖部材1211、近位閉鎖部材1212、及びその中にスライド可能に配置されるピストン1215を有する薬剤含有カートリッジ1210、導管1221を介してカートリッジ内部から流体が流れ込む浸透圧エンジン1220であって、ピストンを駆動してカートリッジから薬剤を放出する浸透圧エンジンを備える。浸透圧エンジンは、食塩水を含有する第1剛性リザーバ1225及び水を含有する折り畳み可能な第2のリザーバ1226を備え、2つのリザーバは半透明な膜1227により分離される。装置がユーザに提供されるとき、第2リザーバと隔膜との間の流体コネタクタ1228は、ユーザにより分離可能な膜(例えば、軽く溶接されたもの)によって閉じられており、これを分離すると浸透圧プロセスが始まり、膜を通して第2リザーバから第1リザーバに水を流通させることができる。ポンプは上述のようにして起動することができる。浸透圧駆動原理の詳細な開示は、例えば米国特許第5169390号を参照されたい。
図25Dはポンプの一構成例を表し、この装置は、一次リザーバ1320、制流子1331を備える導管1330を介して一次リザーバと流体が流通する流体充填済みの剛性二次リザーバ1311、二次リザーバ内に配置され、薬剤を含有する可撓性リザーバ1310を備える。一次リザーバは可動ピストン1321を有するカートリッジの形態であり、粘性の駆動流体を含有する。ピストンに作用して一次リザーバから二次リザーバへ液体を駆動するバネ1340が配置され、それによって、二次リザーバが注入針(図示しない)に接続されるとき、可撓性リザーバから薬剤が放出される。流量は、駆動流体中のバネにより発生する圧力、駆動流体の粘度、及び制流子中の流体抵抗(即ち、ブリーディングホールの原理)により決定される。ポンプは、バネを引っ張るか、又は予め圧縮されたバネを解放する事により、針を挿入した(方法は図示しない)時、或いは挿入器を送達装置から取り外した後、別のユーザ作動手段(図示しない)により、起動される。薬剤注入に利用されるこの原理の一例はドイツ国特許第2552446号に公知である。別の構成においては、例えば米国特許第6074369号に開示されているように、薬剤リザーバを直接加圧することにより、制流子を介して薬剤を放出することができる。
【0046】
図26には、図1〜11の実施形態に対応する医療装置900を示すが、リザーバユニットは、リザーバ及び制御ユニットにより接点921を通して制御可能な放出アセンブリを備えるリザーバユニット920に装着される「耐久性」制御ユニット910を備えるモジュラー式設計を有する。経皮的装置ユニット930は、図1〜11に示すものと同じとすることができる。経皮的装置ユニット及びリザーバユニットは、リザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定してリザーバと経皮的装置との間に液体を流通させることができる互いに一致する連結手段(931)を備え、制御ユニット及びリザーバユニットは、制御ユニットをリザーバユニットに固定して放出アセンブリを制御する事を可能にする互いに一致する連結手段(917、921)を備える。制御ユニットは、バイブレータ、無線周波発信機、無線周波受信機、表示画面、大量瞬時注入ボタン918(図示)又はその他のユーザ入力手段、バックアップバッテリ及びメモリのうち1以上の機能を備える。更に、制御ユニットは固定流量を提供するものでもよく、又は特定の流量又は流量分布を提供するようにプログラム可能(例えば遠隔制御を介して)である。異なる制御ユニットも、異なるリザーバユニット(例えば、異なる種類の薬剤又は異なる量の薬剤を備える)と共に、又は異なる針ユニット(例えば、針又は軟質カニューレ)と共に用いる事が可能である。上述のように、制御器を耐久性の装置として用いることができるが、制御器の(より単純な)複数のバージョンをリザーバユニットに前もって装備し、種々の使い捨て装置を提供する手段として用いることができる。
図27は、基本針パッチユニット930及び基本リザーバユニット920に加えて多数の異なる種類の制御ユニットを備えるモジュラーシステムを表す。遠隔制御器940を一部の制御ユニットと組み合わせて用いる事ができる。制御ユニットは、遠隔制御器によってのみ制御可能な遠隔制御可能なユニット911の形態とすることができる。それらの1つの変形例912にはユーザが遠隔制御器を用いることなしに大量瞬時注入剤を摂取できる大量瞬時注入剤ボタン918を追加する事ができる。制御ユニットは、各々がユニット上に示された固定の流量を提供する、予めプログラムされた様々な制御ユニット913として提供することができる。そのようなユニットは、遠隔制御器無しで用いるように作製されており、図示されるように表示画面919を備える事ができる。プログラム可能な制御ユニット914も提供する事ができ、これにより、例えば開業医が個々の患者のために制御ユニットをプログラムする事ができる。ダミー915は、リザーバユニットと針ユニットとを組み合わせた形態の、ここに開示するあらゆる制御ユニットを表す。
【0047】
好ましい実施形態の上記説明では、異なる構成要素について説明した機能を提供する様々な構造及び手段を、本発明の構想が当業者に明らかとなる程度に記載した。種々の構成要素の詳細な構造及び仕様は、本明細書に従って当業者が行う通常の設計過程の目的と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の一段階を示す斜視図である。
【図2】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図3】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図4】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図5】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図6】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図7】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図8】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図9】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図10】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図11】薬剤送達装置の第1の実施形態の使用手順の別の一段階を示す斜視図である。
【図12】リザーバユニットの別の実施形態を示す。
【図13】薬剤送達装置の更に別の実施形態による針ユニット及びリザーバユニットの組み立て前の状態を示す。
【図14】図13の針ユニットの分解図である。
【図15】図13の針ユニットの第1の状態を示す斜視図である。
【図16】図14の持針器の斜視図である。
【図17】図13の針ユニットの第2の状態を示す斜視図である。
【図18】図13の針ユニットの側面図である。
【図19】図13の針ユニットの更なる斜視図である。
【図20】図13のリザーバユニットの内部を示す斜視図である。
【図21】更なるリザーバユニットの分解図である。
【図22】Aはリザーバに接続されたポンプの模式的概略図であり、Bはポンプアセンブリの分解図であり、CはBのポンプアセンブリの断面図であり、D及びEは、Bのポンプアセンブリの部分的断面図である。
【図23】A及びBは、カニューレと挿入針との組み合わせの形態の経皮的装置を模式的に示す。
【図24】更に別の薬剤送達装置の斜視図である。
【図25】A〜Dは、本発明の装置に用いるのに適した種々の放出手段を示す。
【図26】モジュラー式リザーバユニットを有する医療装置を示す。
【図27】医療装置のモジュラー式システムを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮的装置ユニット(502)及びリザーバユニット(505)を備える医療装置(1、100、500)であって、経皮的装置ユニットが、
− 経皮的装置(530)、及び
− 患者の皮膚に適用するのに適した装着表面
を備え、リザーバユニットが、
− 流体薬剤を含有するリザーバ(760)、及び
− リザーバと協働してリザーバから経皮的装置を介して患者の皮膚中流体薬剤を放出するための放出アセンブリ(300、580)
を備え、
− 使用の際に経皮的装置ユニットとリザーバユニットを互いに固定する
医療装置。
【請求項2】
経皮的装置ユニットとリザーバユニットを互いに固定すると、経皮的装置とリザーバとの間に液体が流通する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
経皮的装置ユニットとリザーバユニットを互いに固定すると、放出手段が起動されるか又は起動可能となり、これらユニットを互いに分離すると放出手段が起動停止される、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項4】
放出アセンブリが、リザーバから流体が流れ込むように構成された流入口(321)と、経皮的装置へ流体を流すように構成された流出口(322)とを有するポンプを備え、それによってリザーバ内部から経皮的装置へ流体を流通させることができる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項5】
ポンプが流入口と流出口との間に配置される内部流路を備え、流入口と流出口がポンプ内部と流路を初期無菌状態にシールする、請求項4に記載の医療装置。
【請求項6】
リザーバユニットが、ポンプとリザーバとの間に流体が流通していない初期状態から、ポンプユニットが初めて針ユニットに固定されて、ポンプの流入口とリザーバとの間に流体が流通する非可逆的作動状態へと転換できる、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
流入口(351)及び流出口(353)を備える流体コネタクタ(350)が初期状態においてポンプ内部に位置しており、流体コネタクタが、初期状態から、リザーバ内部とポンプ内部との間に流体コネタクタを介して流体が流れ、流体コネタクタの流出口がポンプの流路に位置する作動状態まで操作される、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
流体コネタクタが尖った流入口末端を備え、リザーバが、流体コネタクタの尖った流入口末端の挿入を可能にする侵入可能部(761)を備える、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
経皮的装置が患者の皮膚に侵入するのに適した尖った末端を備え、尖った末端が、装着表面から後退している初期位置から、装着表面から突出する伸張位置の間で移動可能である、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項10】
経皮的装置が、作動手段を作動させると経皮的装置の尖った末端を初期位置と伸張位置との間で移動させる作動手段(540)を備える、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
経皮的装置ユニットが作動手段を阻止する手段を備え、阻止手段は、経皮的装置ユニットとリザーバユニットとを互いに固定したとき解除され、それによって作動手段が作動される、請求項10に記載の医療装置。
【請求項12】
作動手段が作動すると、放出アセンブリが起動する、請求項10に記載の医療装置。
【請求項13】
経皮的装置の尖った末端が、装着表面から突出する伸張位置と装着表面から後退している格納位置との間で移動可能である、請求項9ないし12のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項14】
作動すると、経皮的装置の尖った末端を伸張位置と格納位置との間で移動させる格納手段(550)を更に備える、請求項13に記載の医療装置。
【請求項15】
作動手段が初期状態で格納手段を覆っており、作動手段が作動すると格納手段が解放される、請求項14に記載の医療装置。
【請求項16】
格納手段が作動すると放出アセンブリが起動停止する、請求項14に記載の医療装置。
【請求項17】
経皮的装置が、尖った末端を有する第1部分(531)、及び第1部分と流体が流通し、第2末端を有する第2部(532)を備える、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項18】
第2末端が尖った針先を備え、ポンプの流出口が、針の侵入が可能な隔膜(332)を備えることにより、経皮的装置の第2末端とポンプ内部の間で流体が流通可能である、請求項17に記載の医療装置。
【請求項19】
装着表面が接着手段(571)を備えることにより、医療装置を患者の皮膚表面に取り付ける事が可能である、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項20】
格納手段(550)を第1状態から中間状態へ操作する事により経皮的装置が伸張位置から格納位置に移動し、格納手段を中間状態から第2状態へ操作する事により装置が皮膚表面から外れる、請求項14に従属する請求項19に記載の医療装置。
【請求項21】
経皮的装置ユニットとリザーバユニットを互いに固定するための、解除可能な互いに一致する連結手段(506、511)を備える、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項22】
2つのユニットを互いに分離すると、放出アセンブリが起動停止する、請求項21に記載の医療装置。
【請求項23】
リザーバが流体薬剤で予め充填されている、請求項1ないし22のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項24】
リザーバは、使用に際して実質的に遊離ガスを含まない流体薬剤を含有する、請求項1ないし23のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項25】
− 患者の皮膚に侵入するのに適した流出用開口を有する遠位末端、及び流体供給源から流体が流れ込むように構成された流体の流入口を形成する流入用開口を有する近位末端(532)を備える経皮的装置(530、650)であって、流入用開口と流出用開口との間に一定の流体圧で流体を流通させる経皮的装置、
− 外部流体供給源を流体流入口に接続する事を可能にする連結(511)、及び
− 患者の皮膚に適用するのに適した装着表面
を備える、医療装置(502)。
【請求項26】
経皮的装置の遠位末端が、装着表面から後退している初期位置と装着表面から突出する伸張位置との間で移動可能であり、医療装置が、随意で、作動すると経皮的装置の遠位末端を初期位置と伸張位置との間で移動させる作動手段を備える、請求項25に記載の医療装置。
【請求項27】
経皮的装置が中空皮下針の形態である、請求項25又は26に記載の医療装置。
【請求項28】
− 経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える経皮的装置ユ
ニット(502)、及び
− 各々が流体薬剤を含有するリザーバ及びリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリ(300)を備え、異なる機能を有する、複数のリザーバユニット(505)
を備えるシステムであって、
− 経皮的装置ユニット及び複数のリザーバユニットが互いに一致する連結手段(511、506)を備えることにより、リザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定してリザーバと経皮的装置との間に流体を流通させることができ、
− 経皮的装置ユニットとリザーバユニットとの組み合わせの各々が異なる機能を提供するアセンブリとなる
システム。
【請求項29】
第1リザーバユニットが第1の量の薬剤を含有し、第2リザーバユニットが第2の量の薬剤を含有する、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
第1リザーバユニットが第の1種類の薬剤を含有し、第2リザーバユニットが第2の種類の薬剤を含有する、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
第1リザーバユニットが第1の所定流量で薬剤を放出し、第2リザーバユニットが第2の所定流量で薬剤を放出する、請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
第1リザーバユニットが所定の流量で薬剤を放出し、第2リザーバユニットが選択可能な流量で薬剤を放出する、請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
第1リザーバユニットが、流量指示に基づいてリザーバから流体を放出するための、放出アセンブリに操作可能に連結されるプロセッサ、及び制御器に操作可能に連結されて別の制御装置から流量指示を受信し、プロセッサに流量指示を与える受信機を備え、第2リザーバユニットは別の制御装置から流量指示を受信しない、請求項28に記載のシステム。
【請求項34】
受信機が無線受信機である、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
− 各々が経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備え、異なる機能を有する、複数の経皮的装置ユニット(502)、及び
− 流体薬剤を含有するリザーバ及びリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリ(300)を備えるリザーバユニット(505)
を備えるシステムであって、
− 経皮的装置ユニット及びリザーバユニットが互いに一致する連結手段(511、506)を備えることにより、リザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定し、リザーバから経皮的装置へ流体を流通させることができ、
− 経皮的装置ユニットとリザーバユニットとの組み合わせの各々が異なる機能を有するアセンブリとなる
システム。
【請求項36】
第1経皮的装置ユニットが中空皮下針を備え、第2経皮的装置ユニットが、カニューレと挿入針とのアセンブリ及びマイクロ針アレイからなる群より選択された経皮的装置を備える、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
− 経皮的装置及び装着表面を備える経皮的装置ユニット(502)を提供するステップ、
− 流体薬剤を含有するリザーバ(760)及びリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリ(300)を備えるリザーバユニット(505)を提供するステップ、及
び、
− 経皮的装置ユニットとリザーバユニットとを組み立てることにより、リザーバから経皮的装置へ流体を流通させるステップ
を含む方法。
【請求項38】
− 装着表面を患者の皮膚表面に装着するステップ
を更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
装着表面を患者の皮膚表面に装着した後、経皮的装置を作動させてリザーバから患者へ流体を流通させるステップ
を更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
薬剤を所定の流量で分配する薬剤送達装置を提供する方法であって、
− 経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える経皮的装置ユニット(502)を備え、各々が流体薬剤を含有するリザーバ(760)及び所定の流量でリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリ(300)を備える、複数のリザーバユニット(505)を更に備えるシステムを提供するステップ、
− 所望の所定流量を有するリザーバユニットを選択するステップ、及び
− 経皮的装置ユニットと選択されたリザーバユニットとを組み立てることにより、リザーバから経皮的装置へ流体を流通させるステップ
を含む、方法。
【請求項41】
− 経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える経皮的装置ユ
ニット(930)、
− 流体薬剤を含有するリザーバ及びリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリ(300)の少なくとも一部分を備えるリザーバユニット(920)、及び
− 各々が放出アセンブリを制御するための制御器を備え、異なる機能を有する、複数の制御ユニット(911、912、913、914)
を備えるシステムであって、
− 経皮的装置ユニット及びリザーバユニットが互いに一致する連結手段(931)を備えることにより、リザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定し、リザーバから経皮的装置へ流体を流通させることができ、
− 制御ユニット及びリザーバユニットが互いに一致する連結手段(917、921)を備えることにより、制御ユニットをリザーバユニットに固定し、放出アセンブリを制御することができ、
− 経皮的装置ユニット、リザーバユニット、及び制御ユニットの組み合わせの各々が異なる機能を有するアセンブリとなる
システム。
【請求項42】
第1の量の薬剤を含有する第1リザーバユニット及び第2の量の薬剤を含有する第2リザーバユニットを備える、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
第1の種類の薬剤を含有する第1リザーバユニット及び第2の種類の薬剤を含有する第2リザーバユニットを備える、請求項41に記載のシステム。
【請求項44】
第1制御ユニットが第1の所定流量で薬剤を放出し、第2制御ユニットが第2の所定流量で薬剤を放出する、請求項41に記載のシステム。
【請求項45】
第1制御ユニットが所定の流量で薬剤を放出し、第2制御ユニットが選択可能な流量で薬剤を放出する、請求項41に記載のシステム。
【請求項46】
第1制御ユニットが、流量指示に基づいてリザーバから流体を放出するように操作可能なプロセッサ、及び制御器に操作可能に連結されて、別の制御装置から流量指示を受信し、プロセッサに流量指示を与える受信機を備え、第2制御ユニットは別の制御装置から流量指示を受信しない、請求項41に記載のシステム。
【請求項47】
受信機が無線受信機である、請求項46に記載のシステム。
【請求項1】
経皮的装置ユニット(502)及びリザーバユニット(505)を備える医療装置(1、100、500)であって、経皮的装置ユニットが、
− 経皮的装置(530)、及び
− 患者の皮膚に適用するのに適した装着表面
を備え、リザーバユニットが、
− 流体薬剤を含有するリザーバ(760)、及び
− リザーバと協働してリザーバから経皮的装置を介して患者の皮膚中流体薬剤を放出するための放出アセンブリ(300、580)
を備え、
− 使用の際に経皮的装置ユニットとリザーバユニットを互いに固定する
医療装置。
【請求項2】
経皮的装置ユニットとリザーバユニットを互いに固定すると、経皮的装置とリザーバとの間に液体が流通する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
経皮的装置ユニットとリザーバユニットを互いに固定すると、放出手段が起動されるか又は起動可能となり、これらユニットを互いに分離すると放出手段が起動停止される、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項4】
放出アセンブリが、リザーバから流体が流れ込むように構成された流入口(321)と、経皮的装置へ流体を流すように構成された流出口(322)とを有するポンプを備え、それによってリザーバ内部から経皮的装置へ流体を流通させることができる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項5】
ポンプが流入口と流出口との間に配置される内部流路を備え、流入口と流出口がポンプ内部と流路を初期無菌状態にシールする、請求項4に記載の医療装置。
【請求項6】
リザーバユニットが、ポンプとリザーバとの間に流体が流通していない初期状態から、ポンプユニットが初めて針ユニットに固定されて、ポンプの流入口とリザーバとの間に流体が流通する非可逆的作動状態へと転換できる、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
流入口(351)及び流出口(353)を備える流体コネタクタ(350)が初期状態においてポンプ内部に位置しており、流体コネタクタが、初期状態から、リザーバ内部とポンプ内部との間に流体コネタクタを介して流体が流れ、流体コネタクタの流出口がポンプの流路に位置する作動状態まで操作される、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
流体コネタクタが尖った流入口末端を備え、リザーバが、流体コネタクタの尖った流入口末端の挿入を可能にする侵入可能部(761)を備える、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
経皮的装置が患者の皮膚に侵入するのに適した尖った末端を備え、尖った末端が、装着表面から後退している初期位置から、装着表面から突出する伸張位置の間で移動可能である、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項10】
経皮的装置が、作動手段を作動させると経皮的装置の尖った末端を初期位置と伸張位置との間で移動させる作動手段(540)を備える、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
経皮的装置ユニットが作動手段を阻止する手段を備え、阻止手段は、経皮的装置ユニットとリザーバユニットとを互いに固定したとき解除され、それによって作動手段が作動される、請求項10に記載の医療装置。
【請求項12】
作動手段が作動すると、放出アセンブリが起動する、請求項10に記載の医療装置。
【請求項13】
経皮的装置の尖った末端が、装着表面から突出する伸張位置と装着表面から後退している格納位置との間で移動可能である、請求項9ないし12のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項14】
作動すると、経皮的装置の尖った末端を伸張位置と格納位置との間で移動させる格納手段(550)を更に備える、請求項13に記載の医療装置。
【請求項15】
作動手段が初期状態で格納手段を覆っており、作動手段が作動すると格納手段が解放される、請求項14に記載の医療装置。
【請求項16】
格納手段が作動すると放出アセンブリが起動停止する、請求項14に記載の医療装置。
【請求項17】
経皮的装置が、尖った末端を有する第1部分(531)、及び第1部分と流体が流通し、第2末端を有する第2部(532)を備える、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項18】
第2末端が尖った針先を備え、ポンプの流出口が、針の侵入が可能な隔膜(332)を備えることにより、経皮的装置の第2末端とポンプ内部の間で流体が流通可能である、請求項17に記載の医療装置。
【請求項19】
装着表面が接着手段(571)を備えることにより、医療装置を患者の皮膚表面に取り付ける事が可能である、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項20】
格納手段(550)を第1状態から中間状態へ操作する事により経皮的装置が伸張位置から格納位置に移動し、格納手段を中間状態から第2状態へ操作する事により装置が皮膚表面から外れる、請求項14に従属する請求項19に記載の医療装置。
【請求項21】
経皮的装置ユニットとリザーバユニットを互いに固定するための、解除可能な互いに一致する連結手段(506、511)を備える、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項22】
2つのユニットを互いに分離すると、放出アセンブリが起動停止する、請求項21に記載の医療装置。
【請求項23】
リザーバが流体薬剤で予め充填されている、請求項1ないし22のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項24】
リザーバは、使用に際して実質的に遊離ガスを含まない流体薬剤を含有する、請求項1ないし23のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項25】
− 患者の皮膚に侵入するのに適した流出用開口を有する遠位末端、及び流体供給源から流体が流れ込むように構成された流体の流入口を形成する流入用開口を有する近位末端(532)を備える経皮的装置(530、650)であって、流入用開口と流出用開口との間に一定の流体圧で流体を流通させる経皮的装置、
− 外部流体供給源を流体流入口に接続する事を可能にする連結(511)、及び
− 患者の皮膚に適用するのに適した装着表面
を備える、医療装置(502)。
【請求項26】
経皮的装置の遠位末端が、装着表面から後退している初期位置と装着表面から突出する伸張位置との間で移動可能であり、医療装置が、随意で、作動すると経皮的装置の遠位末端を初期位置と伸張位置との間で移動させる作動手段を備える、請求項25に記載の医療装置。
【請求項27】
経皮的装置が中空皮下針の形態である、請求項25又は26に記載の医療装置。
【請求項28】
− 経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える経皮的装置ユ
ニット(502)、及び
− 各々が流体薬剤を含有するリザーバ及びリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリ(300)を備え、異なる機能を有する、複数のリザーバユニット(505)
を備えるシステムであって、
− 経皮的装置ユニット及び複数のリザーバユニットが互いに一致する連結手段(511、506)を備えることにより、リザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定してリザーバと経皮的装置との間に流体を流通させることができ、
− 経皮的装置ユニットとリザーバユニットとの組み合わせの各々が異なる機能を提供するアセンブリとなる
システム。
【請求項29】
第1リザーバユニットが第1の量の薬剤を含有し、第2リザーバユニットが第2の量の薬剤を含有する、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
第1リザーバユニットが第の1種類の薬剤を含有し、第2リザーバユニットが第2の種類の薬剤を含有する、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
第1リザーバユニットが第1の所定流量で薬剤を放出し、第2リザーバユニットが第2の所定流量で薬剤を放出する、請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
第1リザーバユニットが所定の流量で薬剤を放出し、第2リザーバユニットが選択可能な流量で薬剤を放出する、請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
第1リザーバユニットが、流量指示に基づいてリザーバから流体を放出するための、放出アセンブリに操作可能に連結されるプロセッサ、及び制御器に操作可能に連結されて別の制御装置から流量指示を受信し、プロセッサに流量指示を与える受信機を備え、第2リザーバユニットは別の制御装置から流量指示を受信しない、請求項28に記載のシステム。
【請求項34】
受信機が無線受信機である、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
− 各々が経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備え、異なる機能を有する、複数の経皮的装置ユニット(502)、及び
− 流体薬剤を含有するリザーバ及びリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリ(300)を備えるリザーバユニット(505)
を備えるシステムであって、
− 経皮的装置ユニット及びリザーバユニットが互いに一致する連結手段(511、506)を備えることにより、リザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定し、リザーバから経皮的装置へ流体を流通させることができ、
− 経皮的装置ユニットとリザーバユニットとの組み合わせの各々が異なる機能を有するアセンブリとなる
システム。
【請求項36】
第1経皮的装置ユニットが中空皮下針を備え、第2経皮的装置ユニットが、カニューレと挿入針とのアセンブリ及びマイクロ針アレイからなる群より選択された経皮的装置を備える、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
− 経皮的装置及び装着表面を備える経皮的装置ユニット(502)を提供するステップ、
− 流体薬剤を含有するリザーバ(760)及びリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリ(300)を備えるリザーバユニット(505)を提供するステップ、及
び、
− 経皮的装置ユニットとリザーバユニットとを組み立てることにより、リザーバから経皮的装置へ流体を流通させるステップ
を含む方法。
【請求項38】
− 装着表面を患者の皮膚表面に装着するステップ
を更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
装着表面を患者の皮膚表面に装着した後、経皮的装置を作動させてリザーバから患者へ流体を流通させるステップ
を更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
薬剤を所定の流量で分配する薬剤送達装置を提供する方法であって、
− 経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える経皮的装置ユニット(502)を備え、各々が流体薬剤を含有するリザーバ(760)及び所定の流量でリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリ(300)を備える、複数のリザーバユニット(505)を更に備えるシステムを提供するステップ、
− 所望の所定流量を有するリザーバユニットを選択するステップ、及び
− 経皮的装置ユニットと選択されたリザーバユニットとを組み立てることにより、リザーバから経皮的装置へ流体を流通させるステップ
を含む、方法。
【請求項41】
− 経皮的装置及び患者の皮膚に適用するのに適した装着表面を備える経皮的装置ユ
ニット(930)、
− 流体薬剤を含有するリザーバ及びリザーバから流体薬剤を放出するための放出アセンブリ(300)の少なくとも一部分を備えるリザーバユニット(920)、及び
− 各々が放出アセンブリを制御するための制御器を備え、異なる機能を有する、複数の制御ユニット(911、912、913、914)
を備えるシステムであって、
− 経皮的装置ユニット及びリザーバユニットが互いに一致する連結手段(931)を備えることにより、リザーバユニットを経皮的装置ユニットに固定し、リザーバから経皮的装置へ流体を流通させることができ、
− 制御ユニット及びリザーバユニットが互いに一致する連結手段(917、921)を備えることにより、制御ユニットをリザーバユニットに固定し、放出アセンブリを制御することができ、
− 経皮的装置ユニット、リザーバユニット、及び制御ユニットの組み合わせの各々が異なる機能を有するアセンブリとなる
システム。
【請求項42】
第1の量の薬剤を含有する第1リザーバユニット及び第2の量の薬剤を含有する第2リザーバユニットを備える、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
第1の種類の薬剤を含有する第1リザーバユニット及び第2の種類の薬剤を含有する第2リザーバユニットを備える、請求項41に記載のシステム。
【請求項44】
第1制御ユニットが第1の所定流量で薬剤を放出し、第2制御ユニットが第2の所定流量で薬剤を放出する、請求項41に記載のシステム。
【請求項45】
第1制御ユニットが所定の流量で薬剤を放出し、第2制御ユニットが選択可能な流量で薬剤を放出する、請求項41に記載のシステム。
【請求項46】
第1制御ユニットが、流量指示に基づいてリザーバから流体を放出するように操作可能なプロセッサ、及び制御器に操作可能に連結されて、別の制御装置から流量指示を受信し、プロセッサに流量指示を与える受信機を備え、第2制御ユニットは別の制御装置から流量指示を受信しない、請求項41に記載のシステム。
【請求項47】
受信機が無線受信機である、請求項46に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図22D】
【図22E】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25D】
【図25D】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図22D】
【図22E】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25D】
【図25D】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2007−509661(P2007−509661A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537064(P2006−537064)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000726
【国際公開番号】WO2005/039673
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000726
【国際公開番号】WO2005/039673
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】
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