説明

皮膚の活性化及び潰瘍の治癒を促進する新規の軟膏

【解決手段】 本発明は、ビタミンE特にアルファ−トコフェロールと、化学的及び生物学的に標準化された健康的な若いウシのタンパク質を含まない血液透析物を含む軟膏に係るものである。これは、細胞の酸素消費を刺激し、ATP合成を刺激し、虚血組織を血行再建することはもちろんのこと、可逆細胞及び保護組織の損傷からの回復を加速させ、コラーゲン合成及び新しい肉芽組織の成長を促進し、再生を加速させる。担体として、軟膏は油性溶液中のワセリン(70%)を含む。低濃度の軟膏は、皮膚を再生し、しわを減らす能力を有する。高濃度の軟膏は、髪の成長を刺激し、持続性潰瘍の治療を促進する能力を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特に顔と首の皮膚おけるしわは、頭髪の脱毛とともに、年を重ねたヒトの問題となっている。医学的なものであれ、外科的なものであれ、多くの処置が上記の症例を治療するものとして様々な成功率とともに説明されているが、未だこの分野には新しい薬や処置のための余地が含まれている。
【0002】
また、持続性潰瘍は、適切な治療を見つけることが問題となることもある。治療に有効な方法は、このような症例に優位性をもつ。
【背景技術】
【0003】
皮膚の高齢化による影響(しわ、乾燥)を妨げるために、多くの外科的手順及び種々の局所用の薬剤が使用されてきた。
【0004】
薬剤
局所用レチノイド。ビタミンA誘導体であり、レチノイドは、皮膚に使用すると、皮膚の細かいしわ、しみ及び肌荒れを元の状態に回復させることができる場合がある。レチノイドは、より簡単に皮膚隆起を起こしやすくなるので、日焼け止め及び防護服を含むスキンケアプログラムと共に使用される必要がある。レチノイドは、赤み、乾燥、かゆみ、及び火傷又はちりちりした感じを引き起こす可能性がある。
【0005】
処方箋の必要のないしわクリーム。しわ取りクリームの効果は、一部の活性成分又は成分に依存する。レチノール、アルファヒドロキシ酸、カイネチン、コエンザイムQ10、銅ペプチド、及び抗酸化物質は、しわをわずかに改善することがある。
【0006】
外科的処置及び他の技術
様々な皮膚のリサーファシング技術(resurfacing techniques)、注射、注入用製剤及び外科的処置は、しわを伸ばすことができる。それぞれの働きはわずかに異なり、それぞれに独自の潜在的な結果及び副作用がある。
【0007】
皮膚切除。この処置は、高速回転ブラシで皮膚の表面層を削ること(プレーニング)から成る。このプレーニングは、皮膚の表面及びその場所で増大した皮膚の新しい層を除去する。発赤、痂皮形成及び腫れは、一般的に二週間続く。赤みがひき、望んでいた結果の肌を見るのに数カ月かかることもある。
【0008】
マイクロダーマブレーション(Microdermabrasion)。この技術は皮膚切除と似ているが、表皮の切除がわずかですむ。これは、酸化アルミニウムの結晶を、基本的には肌にサンドブラスト(sandblast)しながら、顔の上に真空吸引を使用して行われている。マイクロダーマブレーションは、通常、わずかで一時的な結果を維持するために、繰り返し治療を要する。
【0009】
レーザー、光源及びラジオ周波数治療。レーザーリサーファシングにおいて、レーザービームは、皮膚の外層(表皮)を破壊し、及び、皮膚の下層(真皮)に熱を加え、これは新しいコラーゲン線維の成長を刺激する。傷が治癒すると、滑らかで引き締まった新しい皮膚が形成する。完全に治癒するのに、レーザーリサーファシングから最大数カ月かかることもある。強さを抑えたレーザー(ノンアブレーティブ レーザー(nonablative lasers))、パルス光源及びラジオ周波数装置は、表皮を傷つけない。これらの治療は、真皮に熱を加え、新しいコラーゲン及びエラスチンを形成させる。数回の治療後、皮膚はしっかりとした感じになり、リフレッシュされる。これは短い回復時間を意味するが、通常、治療はより頻繁に繰り返す必要があり、結果はわずかなものである。
【0010】
ケミカルピーリング(Chemical peel)。患部に酸を塗布し、皮膚の外層を火傷させる。中深皮では、表皮全体と真皮の一部が除去される。その場所に新しい皮膚が形成する。通常、新しい皮膚は、古い皮膚に比べて滑らかでしわが少ない。発赤は数カ月続く。表面剥離では、表皮の一部のみが除去される。一連のピーリング後、肌の細かいしわが少なくなることがあり、茶色いしみが薄くなることがある。
【0011】
ボツリヌス毒素タイプA(ボトックス)。特定の筋肉に少量を注射すると、ボトックスは筋収縮を引き起こす化学信号を阻害する。筋肉が収縮しないと、皮膚は平らになり、滑らかに見え、しわは少なくなる。ボトックスは、眉と額全体の間のしわ及び目尻のしわによく効く。通常、結果は約3〜4ヶ月続く。結果を維持するには注射を繰り返す必要がある。
軟部組織注入用製剤(Soft tissue fillers)。脂肪、コラーゲン及びヒアルロン酸を含む、軟部組織注入用製剤(Soft tissue fillers)は、顔のしわ深くに注入することができる。それらは肌をふっくらとさせ、しわ及び深いしわを伸ばし、皮膚にボリュームを与える。この手順は数カ月ごとに繰り返すことが必要な場合もある。
【0012】
フェイスリフト。フェイスリフトの手順は、顔の下及び首及び下層にある筋肉及び結合組織の余分な皮膚及び脂肪の切除を含む。通常、結果は5〜10年続く。フェイスリフト後の治療時間は長くかかることがある。通常、あざや腫れは術後2〜3週間ははっきりとしている。
【0013】
外科的処置は数多く存在し、且つ成功を収めているが、未だ欠点や手術の合併症を引き起こすことがあり、手術を繰り返さなければならないことがある。
【0014】
軟膏、クリーム、ローションなどの局所塗布は、作用に様々な状態がある。それでもこの分野は新しいアイディアに対して開かれている。
【0015】
新しい物質が創られ、有効性と、いかなる有害な合併症がないことが証明される度に、この分野の再建に良い科学的付加がされたとみなされる。
【0016】
傷及び皮膚の潰瘍は、治癒を促進する新物質を必要とする別の分野である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
A−しわは高齢化による自然なものであり、皮膚は薄くなり、乾燥し、弾力を失う。そして、皮膚はダメージから身を守ることができなくなる。結果として、肌にしわ、線及び溝ができる。遺伝的特徴は、肌の質感を決定する最も重要なものではあるが、しわの大きな引き金となるのは、太陽の下であまりに多くの時間を過ごすことにある。喫煙もまた肌の外観に悪影響を与えることがある。
【0018】
しわは複数の要因の組み合わせにより引き起こされる。
年齢。年をとると、皮膚は自然と薄くなり、弾力を失い、より脆くなる。皮脂の減少は皮膚を乾燥させ、しわを増やす。皮膚にふっくらとした外観を与える皮膚の深い層の脂肪は減り始める。これが皮膚のゆるみや下垂及びはっきりしたしわ及び溝を引き起こす。
【0019】
紫外(UV)線照射。紫外線は自然な老化プロセスを早め、早期のしわの主な原因となる。紫外線は結合組織―皮膚の深い層(真皮)にあるコラーゲン及びエラスチン線維を破壊する。結合組織の支えがないと、皮膚はその強さと柔軟性を失う。その結果、皮膚は下垂し始め、しわができやすくなる。
【0020】
喫煙。喫煙は、皮膚の通常の老化プロセスを加速させ、しわの原因となることがある。これはおそらく唇周辺の皮膚の血液供給量の変化が起因している。
【0021】
B−以下の2つの物質が添加された基剤としての油性溶液(パラフィン、アーモンドオイル、蜜蝋、香料)中の70%ワセリンからなる、2つの濃度の新しい軟膏(SE CARE)。
【0022】
物質1:ビタミンEは、8つの抗酸化物質群、4つのトコフェロール、アルファ−、ベータ−、ガンマ−及びデルタ−、及び4つのトコトリエノール(これも同様にアルファ−、ベータ−、ガンマ−、及びデルタ−)を表す。アルファ‐トコフェロールは人間の体内で活性を維持するビタミンEの唯一の形であり、したがって、ビタミンEのこの形は、血中及び組織中に最も数多く見つかる。人体におけるアルファ−トコフェロールの主な機能は、その抗酸化物質の機能であると思われる。フリーラジカルは正常な代謝中及び喫煙もしくは汚染物質のような環境要因に曝すと体内で主に形成される。脂肪は、全ての細胞膜に不可欠な部分であり、フリーラジカルによる酸化を介した破壊に弱い。脂溶性ビタミン、アルファ−トコフェロールは、フリーラジカルを阻害し、脂質破壊の連鎖反応を防ぐのに適している。全身の細胞膜の完全性を維持することを別としても、アルファ−トコフェロールは、低密度リポタンパク質(low density lipoproteins:LDLs)における脂肪も酸化から保護する。
【0023】
物質2:化学的及び生物学的に42.5mg/mlに標準化された仔牛(Bos taurus:家畜種のウシ)血液のタンパク質を含まない血液透析物。これは、代謝活性化組織であり、化学的及び生物学的に脱タンパクに標準化され、健康な若いウシの血液から非抗原性および非発熱性に血液透析された抽出物である。これは、天然の低分子量物質−糖脂質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、アミノ酸、オリゴペプチド、必須微量元素、電解質、炭水化物及び脂肪代謝の介在物質を多量に含む。これは、低酸素症の場合特に、ミトコンドリアの酸素吸収を増やすことで細胞の酸素消費を刺激し、代謝、グルコース輸送を正常化し、ATP合成を刺激し、及び、可逆細胞及び組織の損傷の回復を加速させる。血管生成を刺激し、虚血組織の血行再建、コラーゲン合成のための条件をつくること、及び新しい肉芽組織の成長を促進し、及び、再生及び創傷の被覆を加速させる。膜安定化と細胞保護性を保持する。
【0024】
C−低濃度のSE CARE軟膏は、皮膚を活性化し、及びしわを顕著に減少させる能力を有し、高濃度のSE CARE軟膏は、頭毛を成長させ、及び持続性潰瘍の治癒を促進する能力を有する。
【0025】
発明
軟膏基剤:(SE CARE)以下の二つの物質を添加した基剤としての油性溶液(パラフィン、アーモンドオイル、蜜蝋、香料)中の70%ワセリンからなる軟膏基剤。
a−物質1(ビタミンE)1gmと物質2(化学的及び生物学的に42.5mg/mlに標準化された仔牛(家畜種のウシ)血液のタンパク質を含まない血液透析物)0.1gmとを基剤軟膏100gmごとに添加することで新しい軟膏が作られ(SE CARE1)、この軟膏は一日に一回皮膚に塗布されることで、3ヶ月以内に皮膚を再生し、及びシワを顕著に減らす能力を有するもの。
b−物質1(ビタミンE)1gmと物質2(化学的及び生物学的に42.5mg/mlに標準化された仔牛(家畜種のウシ)血液のタンパク質を含まない血液透析物)0.5gmとを基剤軟膏100gmごとに添加することで新しい軟膏が作られ(SE CARE2)、この軟膏は、一日に一回皮膚に塗布されることで、2週間で持続性潰瘍の治癒を促進し、3ヶ月で頭毛の成長を顕著に刺激する能力を有する。
【0026】
化学式
A−軟膏基剤:(SE CARE)以下の二つの物質を添加した基剤としての油性溶液(パラフィン、アーモンドオイル、蜜蝋、香料)中の70%ワセリンからなる軟膏基剤。
【0027】
B−物質1:ビタミンEは8つの抗酸化物質群、4つのトコフェロール、アルファ−、ベータ−、ガンマ−及びデルタ−、及び4つのトコトリエノール(これも同様にアルファ−、ベータ−、ガンマ−、及びデルタ−)を表す。
【0028】
C−物質2:化学的及び生物学的に42.5mg/mlに標準化された仔牛(家畜種のウシ)血液のタンパク質を含まない血液透析物。
【産業上の利用可能性】
【0029】
新規の軟膏SE CARE1及びSE CARE2は工業化され得る。
【0030】
局所治療として使用される製品は、皮膚を再生し、及びしわを顕著に減少させる能力、持続性潰瘍の治癒を促進し、及び頭毛の成長を刺激する能力を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの異なる物質であって、
A−物質1として記載のビタミンE(8つの抗酸化物質群、4つのトコフェロール、アルファ−、ベータ−、ガンマ−及びデルタ−、及び4つのトコトリエノール(これも同様にアルファ−、ベータ−、ガンマ−、及びデルタ−))
B−物質2として記載の、化学的及び生物学的に42.5mg/mlに標準化された仔牛(Bos taurus:家畜種のウシ)血液のタンパク質を含まない血液透析物
局所用製剤に共に用いられた場合、3ヶ月で皮膚を活性化し、しわを減らし、髪の成長を刺激し、且つ2週間で持続性潰瘍の治癒を促進する能力を有するものである、物質。
【請求項2】
新規の軟膏(SE CARE1)であって、この軟膏は、油性溶液(パラフィン、アーモンドオイル、蜜蝋、香料)中の70%ワセリン100gからなる基剤に、二つの物質、8つの抗酸化物質群、4つのトコフェロール、アルファ−、ベータ−、ガンマ−及びデルタ−、及び4つのトコトリエノール(これも同様にアルファ−、ベータ−、ガンマ−、及びデルタ−)を表す1gmのビタミンEである物質1と、化学的及び生物学的に42.5mg/mlに標準化された仔牛(Bos taurus:家畜種のウシ)血液のタンパク質を含まない0.1gmの血液透析物である物質2とを添加することによって生成される低濃度型のものであり、3ヶ月で皮膚を再生し、しわを減らす能力を有するものである、軟膏。
【請求項3】
新規の軟膏(SE CARE2)であって、この軟膏は、油性溶液(パラフィン、アーモンドオイル、蜜蝋、香料)中の70%ワセリン100gからなる基剤に、二つの物質、8つの抗酸化物質群、4つのトコフェロール、アルファ−、ベータ−、ガンマ−及びデルタ−、及び4つのトコトリエノール(これも同様にアルファ−、ベータ−、ガンマ−、及びデルタ−)を表す1gmのビタミンEである物質1と、化学的及び生物学的に42.5mg/mlに標準化された仔牛(Bos taurus:家畜種のウシ)血液のタンパク質を含まない0.5gmの血液透析物である物質2とを添加することによって生成される高濃度型のものであり、3ヶ月で髪の成長を刺激し、且つ2週間で持続性潰瘍の治癒を促進する能力を有するものである、軟膏。

【公表番号】特表2011−510935(P2011−510935A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544583(P2010−544583)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際出願番号】PCT/EG2008/000010
【国際公開番号】WO2009/095028
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(510208457)
【Fターム(参考)】