説明

皮膚バリア機能を増大及び修復するスキンケア組成物

7%を超えるグリセリン、ビタミンB3化合物及び天然保湿因子を含むスキンケア組成物が提供される。本発明のスキンケア組成物は、改善された即時的な皮膚の水和を、長期的な皮膚の水和の改善をもたらす増大された皮膚バリア機能修復と組み合わせて提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア組成物に関する。より具体的には、グリセリン、ビタミンB3化合物及び天然保湿因子を含むスキンケア組成物が提供される。本明細書のスキンケア組成物は、改善された急速な皮膚の水和を、長期的な皮膚の水和の改善をもたらす増大された皮膚バリア機能修復と組み合わせて提供する。
【背景技術】
【0002】
乾燥肌を治療するため、種々の化粧品組成物が使用されてきた。これらの組成物は一般に、閉塞によって水分損失を抑制する親油性保湿剤を含有する。該組成物は、ビタミン及び湿潤剤のような他の皮膚処理剤を追加的に含むことができる。これらの成分の追加は、皮膚の保湿を増大し、又は落屑のような皮膚への他の影響を生じることができる。
【0003】
しかし、水分損失の閉塞的抑制による保湿は、乾燥肌の一時的な緩和にしかつながらない場合がある。皮膚バリア機能の修復及び増大は、より長い間潤った肌触りを生じ、及び乾燥肌に苦しむ人の過度の水分損失を防止する場合がある。皮膚バリア機能の修復及び増大は、皮膚がそれ自体を修復する結果にもなり、皮膚の健康の増大につながる。当該技術分野で既知の組成物は、米国第5,254,331号のように、湿潤剤及び種々の皮膚活性物質を用いてこれを行おうと試みた。しかし、これらの組成物は、超乾燥肌に苦しむ消費者の要求に適合するほど十分に保湿又は皮膚バリア機能の修復及び増大をしない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、皮膚に高水準の保湿を送達し、皮膚バリア機能修復特性が改善されたスキンケア組成物を提供することが望ましい。保湿及び皮膚バリア機能修復を、卓越した適用特性と共に提供するスキンケア組成物を提供することがさらに望ましい。さらに、湿潤剤のような高水準の保湿剤の送達によって、皮膚バリア機能を有効に修復するスキンケア組成物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本発明によると、スキンケア組成物であって:
a)該組成物の7重量%を越えるグリセリン;
b)ビタミンB3化合物;
c)アスパラギン酸、トレオニン、セリン、グルタミン酸、シトルリン、プロリン、グリシン、アラニン、システイン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、アルギニン、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、又はこれらの混合物を含む天然保湿因子;を含むスキンケア組成物が提供される。本発明のスキンケア組成物は、卓越した保湿硬化を改善された皮膚バリア機能修復と共に提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書のすべての重量、測定値及び濃度は、特に指定のない限り、組成物全体に関して25℃で測定される。
【0007】
指示がない限り、本明細書で言及される組成物のすべてのパーセンテージは重量%であり、すべての比率は重量比である。
【0008】
指示がない限り、分子量は全て、重量平均分子量である。
【0009】
指示がない限り、本文内で参照されるすべての文献の内容は、そのすべてを本明細書に参考として組み込む。
【0010】
実際に測定した値の特定の例を提示する場合を除いて、本明細書で言及する数値は、「約」という言葉が付与されていると考えるべきである。
【0011】
本明細書で使用するとき、「安全かつ効果的な量」という用語は、活性成分が、処置される(肌の)状態を整え又は望ましいスキンケア効果をもたらすために十分に高い量であるが、安全な医薬的判断の範囲内の危険率に対しては適切な効果で、重大な副作用を回避するのに十分に少ない量であることを意味する。活性成分の安全かつ効果的な量は、活性成分の種類、活性成分の皮膚又は毛髪に対する浸透力、使用者の年齢、健康状態、皮膚又は毛髪の状態、及びその他のこれに類する要因によって変化する。
【0012】
本明細書において使用するとき、「化粧品として許容できる」という用語は、過度の毒性、不適応性、不安定性、刺激性、アレルギー反応などがなく、人間及び下等動物の皮膚又は毛髪に接触させて使用するのに好適である、成分を意味する。
【0013】
本発明のスキンケア組成物は、7%を超えるグリセリン、ビタミンB3化合物、及び天然保湿因子(NMF)を含む。驚くべきことに、これらの成分の組み合わせは、皮膚に適用された時、卓越した保湿を大幅に改善された皮膚バリア機能修復と共に提供することが見出された。本明細書の組成物は、長期間にわたり乾燥肌のより大きな緩和を提供することができる。これは、慢性的な乾燥肌に苦しむ消費者にとって、利用可能な保湿組成物が一時的にしか保湿せず、皮膚バリア機能の修復及びその後の水分損失の防止をほとんど行わない場合に特に有益である。理論に束縛されるものではないが、皮膚の保湿を増大する高濃度のグリセリンは、ビタミンB3化合物及びNMFの組み合わせが相乗的に作用して皮膚バリア機能を修復し、その後の皮膚からの水分損失を防止することを可能にすると考えられる。
【0014】
本発明の組成物は7%を越えるグリセリンを含む。好ましくは、本発明の組成物は、10重量%〜40重量%、より好ましくは12重量%〜30重量%、更により好ましくは15重量%〜27重量%のグリセリンを含む。
【0015】
理論に束縛されるものではないが、本明細書で高濃度のグリセリンは、ビタミンB3化合物及びNMFとの組み合わせで有用である。この組み合わせの主要な効力は、7%を超える、グリセリンの濃度であると考えられる。7%を超えるグリセリンの濃度によって提供される角質層の即時的な水和は、落屑過程に関与するプロテアーゼの特異的活性を大幅に増大し、角質層の代謝率の増大を促進する。これは、鱗状の薄片(squame sheets)の緩みの大幅な減少及びそれに対応した皮膚バリア機能効率の増大を生じると考えられている。これの驚くべき結果は、ビタミンB3化合物及びNMFの経皮浸透の増大である。これらの化合物が作用して、皮膚バリア機能修復をさらに増大し、皮膚の水分保持能力を長期的に改善する。その後の高濃度のグリセリンの適用は、皮膚の水和をさらに増大し、皮膚バリア機能の修復を強化する。2つの機能の協同の正味の結果は、皮膚水和、及びこの水分を保持する能力の劇的な増大、並びにその結果、超乾燥肌の緩和である。7%を超えるグリセリンは、角質層脂質内の結晶脂質構造の液晶状態への転移も可能にすることが見出された。この種の構造は、可動性がより大きく、ビタミンB3化合物及びNMFのような活性物質の浸透を増強すると考えられる。これは、これらの活性物質の浸透の増大、及びその結果、皮膚バリア機能の修復の改善を生じる。さらに、グリセリンは他のいかなるものよりも単位重量当たりで強力な湿潤剤であり、他の湿潤剤を使用して本発明の組成物で類似の湿潤性を生じるには、重量ベースで少なくとも2倍の重量の湿潤剤が必要である。これは、組成物が適用時にべたつく結果となり、これは消費者に受け入れられない。
【0016】
しかし、本発明の組成物は、他の湿潤剤をさらに含んでもよい。本明細書で有用な好適な湿潤剤には、グリセリン以外の多価アルコール類、グアニジン;グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);その他のαヒドロキシ酸、例えばリンゴ酸、種々の形態のいずれかのアロエベラ(例えばアロエベラゲル;ヒアルロン酸、その前駆体及び誘導体(例えば、グルコサミン及びヒアルロン酸ナトリウムのような塩誘導体);ラクタミドモノエタノールアミン;アセトアミドモノエタノールアミン;尿素:及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、本発明の組成物はこれらの他の湿潤剤を10%未満、より好ましくは7%未満含む。驚くべきことに、本発明の組成物に1,3−ブチレングリコールを使用することは特に不利であることが見出された。
【0017】
本発明のスキンケア組成物は、ビタミンB3化合物を含む。好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも2重量%〜5重量%、より好ましくは2.5重量%〜4.5重量%、更により好ましくは3重量%〜4重量%のビタミンB3化合物を含む。これらの濃度のビタミンB3化合物は、皮膚バリア機能の修復に関して皮膚に卓越した効果を付与するのに好ましい。ビタミンB3化合物は、NAD(H)、NADP(H)のようなニコチンアミド因子の前駆体として既知の状態により、幅広い皮膚効果を有することが証明された。ナイアシンアミドの既知の効果には、脂質二分子層の形成及び角質層バリアの一体性にきわめて重要なセラミドを包含する、スフィンゴ脂質合成の上方調節が挙げられる。本明細書で本発明の組成物は、ビタミンB3化合物とNMF及び高濃度のグリセリンとの組み合わせの相乗作用の結果として、優れた皮膚保湿及び皮膚バリア修復を送達する。
【0018】
本明細書で使用する時、「ビタミンB3化合物」は、次の式を有する化合物を包含する。
【0019】
【化2】

式中、Rは、−CONH2(即ち、ナイアシンアミド)、−COOH(即ち、ニコチン酸)、又は−CH2OH(即ち、ニコチニルアルコール);これらの誘導体;及び前記のいずれかの塩である。前出のビタミンB3化合物の代表的な誘導体としては、ニコチン酸の「非血管拡張性」エステル、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N−オキシド、及びナイアシンアミドN−オキシドが挙げられる。好ましくは、本明細書の組成物はナイアシンアミドを含む。本明細書で使用する時、「非血管拡張性」は、該エステルが、対象組成物内で皮膚に適用された後、目に見える紅潮反応を一般に生じないことを意味する。
【0020】
本発明のスキンケア組成物は、アスパラギン酸、トレオニン、セリン、グルタミン酸、シトルリン、プロリン、グリシン、アラニン、システイン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、オルチニン、ヒスチジン、アルギニン、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、又はこれらの混合物を含む天然保湿因子(NMF)を含む。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の少なくとも0.1重量%、より好ましくは0.1重量%〜5重量%、更により好ましくは0.2重量%〜4重量%のNMFを含む。好ましくは、本明細書のスキンケア組成物は、グリシン、アラニン、プロリン、セリン、トレオニン、アルギニン、リシン、グルタミン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、又はこれらの混合物を含む。より好ましくは、本発明のスキンケア組成物は、グリシン、アラニン、プロリン、セリン、トレオニン、アルギニン、リシン、グルタミン酸、及び2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウムの混合物を含む。理論に束縛されるものではないが、この天然保湿因子の混合物は、健康な皮膚中に見出されるNMFの組成物を模倣すると考えられる。高濃度のグリセリンとビタミンB3化合物との組み合わせは、本明細書でNMFがより有効に浸透し、皮膚バリア機能を修復することを可能にする。本発明で使用するための市販のNMF組成物の好適な、非限定例には、グリシン、アラニン、プロリン、セリン、トレオニン、アルギニン、リシン、グルタミン酸、及び2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウムの混合物を含む味の素(Ajinomoto)より入手可能なプロデュー(Prodew)400(商標)が挙げられる。
【0021】
理論に束縛されるものではないが、NMFは表皮バリアの一部であり、角質層の二分子層及び角質細胞構造内に存在するため、本発明の組成物に不可欠であると考えられる。NMFは、バリアの効用において重要な役割を果たし、角質層内のケラチン性構造への水の移動を促進すると考えられる(デンダ(Denda,M.)ら、実験的に誘発した落屑性皮膚における角質層スフィンゴ脂質及び遊離アミノ酸(Stratum corneum sphingolipids and free
amino acids in experimentally-induced scaly skin)、Arch.Dermatol.Res.、284(6)、363〜367、1992;ホリイ(Horii,I.)ら、乾燥肌における角質層の水和及びアミノ酸含有量(Stratum corneum hydration and amino acid content in xerotic skin)、Brit.J.Dermatol、121、587〜592、1989)。本明細書でのその使用は、ビタミンB3化合物及び高濃度のグリセリンとの組み合わせで、皮膚に相乗的作用を生じ、その結果皮膚バリア機能修復が改善されると考えられる。
【0022】
本発明のスキンケア組成物は、双性イオン性保湿因子をさらに含んでもよい。好ましくは、本発明の組成物は、0.1重量%〜5重量%、より好ましくは0.2重量%〜4重量%、更により好ましくは0.3重量%〜2重量%の双性イオン性保湿因子を含む。本明細書で用いるのに好適な双性イオン性保湿因子は、分子量が75を超え260未満、好ましくは75を超え200未満、より好ましくは75を超え180未満のものを包含する。双性イオン性保湿因子は、皮膚に即時の保湿を提供し、同時に皮膚バリア機能及び皮膚の浸透力の増進も行うことから、本明細書で有用である。
【0023】
本発明で有用な双性イオン性保湿因子は次の一般式(I)で表される第四級アンモニウム塩を含む。
【0024】
【化3】

式中、R1、R2、及びR3は、−H、−CH3、−CH2CH3、及び[−CH2CH(OH)R4、式中R4は−H、及びCH3から選択される]から独立して選択され;nは1〜3の整数、好ましくは1である。好ましくは、R1、R2、及びR3は全て−CH3、及びnは1であり;又はR1、R2、及びR3は全て−CH3、及びnは2であり;又はR1及びR2は−CH3、R3は−H、及びnは1であり;又はR1は−CH3、R2及びR3は−H、及びnは1であり;又はR1及びR2は[−CH2CH(OH)R4、R4は−H又は−CH3]、R3は−H、及びnは1である。
【0025】
本発明に用いるのに好適なさらなる双性イオン性保湿因子誘導体は、カルニチン、トリメチルアミンオキシド、トリシン、及びこれらの混合物を含むものである。本明細書に用いるのに好ましいのは、トリメチルグリシン、ジメチルグリシン、サルコシン、トリメチルアラニン、トリシン、ビシン、γ−ブチロベタイン、トリメチルアミンオキシド、カルニチン、及びこれらの混合物を含む双性イオン性保湿因子又はその誘導体、並びにこれらの混合物であり、より好ましくはトリメチルグリシン、トリシン、及びジメチルグリシン、更により好ましくはトリメチルグリシンを含む。
【0026】
本発明の組成物は、その中に必須物質及び任意の他の物質を組み込んで、該必須物質及び任意構成成分が皮膚に適切な濃度で送給されることを可能にする皮膚科学的に許容可能なキャリアを安全且つ有効な量で含む。キャリアは、固体、半固体、又は液体であってもよい。好ましいキャリアは実質的に液体である。本発明に使用されるキャリアの種類は、組成物に所望される製品形態の種類によって決まる。主題発明に有用な局所用組成物は、当該分野で既知のものなど、多種多様な製品形態に製造されてもよい。これらには、ローション、クリーム、ジェル、スティック、スプレー、軟膏、ペースト、ムース、エアゾール及び化粧品(例えば、ファンデーション、目元用メークアップ、有色又は無色リップトリートメント、例えばリップスティックなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
好ましいキャリアは、親水性相及び疎水性相を含むエマルションを含む。当業者に周知のように、親水性相が疎水性相に分散して、又はその逆で、組成物成分に応じて、それぞれ親水性又は疎水性の分散連続相を形成する。エマルションは、(例えば、3相又は他の多相エマルションにおいて)水中油型エマルション、又はシリコーン中水型エマルションのような油中水型エマルションであってもよく、又はこれらを含んでもよい。本発明のエマルションは、次のものを1又はそれ以上含んでもよい。
【0028】
a)疎水性構成成分
本発明のエマルションは、脂質、油、油性又はその他の疎水性構成成分を含んでもよい。本発明の組成物は、組成物の約1重量%〜約50重量%、好ましくは約1重量%〜約30重量%、より好ましくは約1重量%〜約15重量%の疎水性構成成分を含むのが好ましい。好適な疎水性構成成分の非限定例には、以下からなる群より選択されるものが挙げられる。
【0029】
(1)鉱油は、ワセリン液としても既知であり、石油から得られる液体炭化水素の混合物である。
【0030】
(2)ワセリンは、石油ゼリーとしても既知であり、非直鎖の固体炭化水素及び高沸点液体炭化水素のコロイド系である。
【0031】
(3)炭素数約7〜約40の直鎖及び分枝鎖炭化水素。これらの炭化水素物質の非限定的な例としては、ドデカン、イソドデカン、スクアラン、コレステロール、水素添加ポリイソブチレン、ドコサン(即ち、C22炭化水素)、ヘキサデカン、イソヘキサデカン(パーメチル(Permethy)(商標)101Aとして、米国ニュージャージー州サウス・プレインフィールドのプレスパース(Presperse)から市販されている炭化水素)が挙げられる。
【0032】
(4)直鎖及び分枝鎖物質並びに芳香族誘導体を包含する、C1〜C30カルボン酸及びC2〜C30ジカルボン酸のC1〜C30アルコールエステル類(疎水性構成成分に関して本明細書で使用する時、モノ−及びポリ−カルボン酸は、直鎖、分枝鎖及びアリールカルボン酸を含む)。非限定例としては、イソノニルイソノノエート(isononylisononoate)、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸メチル、プロピオン酸ミリスチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソデシルネオペンタノエート、マレイン酸ジー2−エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸セチル、アジピン酸ジイソプロピル、オクタン酸セチルが挙げられる。
【0033】
(5)C1〜C30カルボン酸のモノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド類、例えば、カプリル酸(caprilic)/カプリン酸トリグリセリド、PEG−6カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、PEG−8カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド。
【0034】
(6)C1〜C30カルボン酸のアルキレングリコールエステル類、例えば、C1〜C30カルボン酸のエチレングリコールモノ−及びジ−エステル、並びにプロピレングリコールモノ−及びジ−エステル、例えば、エチレングリコールジステアレート。
【0035】
(7)前述の物質のプロポキシル化及びエトキシル化誘導体。
【0036】
(8)オルガノポリシロキサン油。オルガノポリシロキサン油は揮発性シリコーン、非揮発性シリコーン、又は揮発性シリコーン及び非揮発性シリコーンの混合物であってもよい。この文脈で用いられる「非揮発性」という用語は、周囲条件で液状であり、引火点が約100℃以上(1気圧下で)であるシリコーンのことをいう。この文脈中で使用されている「揮発性」という用語は、他の全てのシリコーンオイルのことをいう。好適なオルガノポリシロキサン油の例には、ポリアルキルシロキサン、環式ポリアルキルシロキサン、及びポリアルキルアリールシロキサンが挙げられる。
【0037】
本明細書の組成物に有用なポリアルキルシロキサンは、一般化学式、R3SiO[R2SiO]xSiR3で表すことができ、式中、Rは1〜約30個の炭素原子を有するアルキル基であり(好ましくは、Rがメチル又はエチル、より好ましくはメチルであり、混合アルキル基も同じ分子中で使用することができる)、xは0〜約10,000の整数であり、約10,000,000を越える範囲を取ることができる所望の分子量を達成するために選択される。市販のポリアルキルシロキサンは、ジメチコンとしても知られるポリジメチルシロキサンを包含し、その例として、ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow
Corning Corporation)が販売するダウ・コーニング(Dow Corning)200シリーズが挙げられる。
【0038】
組成物中での使用に適切な環状ポリアルキルシロキサンには、化学式、[SiR2−O]nで表されるものが挙げられ、式中、Rはアルキル基(好ましくはRがメチル又はエチル、より好ましくはメチル)であり、nは約3〜約8の整数であり、より好ましくはnは約3〜約7の整数であり、最も好ましくはnは約5〜約6の整数である。Rがメチルの時、これらの物質は、典型的にはシクロメチコンと呼ばれる。市販のシクロメチコンには、ダウ・コーニング(Dow
Corning)(商標)245及び246流体が挙げられる。
【0039】
ジメチコノール類も組成物への使用に適している。これらの化合物は、化学式、R3SiO[R2SiO]xSiR2OH及びHOR2SiO[R2SiO]xSiR2OHで表すことができ、式中、Rはアルキル基(好ましくはRがメチル又はエチル、より好ましくはメチルである)であり、xは望ましい分子量を達成するように選択される0〜約500の整数である。市販のジメチコノール類は、典型的には、ジメチコン又はシクロメチコンとの混合物(例えば、ダウ・コーニング(Dow
Corning)(商標)1503流体)として販売されている。本明細書で用いるのに好ましいのは、ジメチコン類、ジメチコノール類、及びシクロメチコン類である。
【0040】
(9)架橋シロキサンエラストマー:好適なオルガノポリシロキサンジェル組成物は、適切な溶媒中で膨潤したジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーである。そのようなジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーは、ダウ・コーニング(Dow
Corning)(DC9040(商標)及びDC9041(商標))、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)(SFE839(商標))、シンエツ(Shin
Etsu)(KSG−15(商標)、KSG−16(商標)、KSG−18(商標)[ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマー])を包含する種々の供給元によって供給され、及びシンエツ(Shin
Etsu)から供給されているラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(例えば、KSG−31(商標)、KSG−32(商標)、KSG−41(商標)、KSG−42(商標)、KSG−43(商標)、及びKSG−44(商標))である。あるいは、オルガノポリシロキサンエラストマー粉末が使用でき、好適な例としては、シンエツ(Shin-Etsu)のKSP−100(商標)、KSP−101(商標)、KSP−102(商標)、KSP−103(商標)、KSP−104(商標)、KSP−105(商標)のようなビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン(silesquioxane)クロスポリマー、シンエツ(Shin-Etsu)のKSP−200(商標)のようなフルオロアルキル基を含有するハイブリッドシリコーン粉末、及びシンエツ(Shin-Etsu)のKSP−300(商標)のようなフェニル基を含有するハイブリッドシリコーン粉末;並びにダウ・コーニング(Dow
Corning)のDC9506(商標)が挙げられる。
【0041】
(10)植物油及び硬化植物油。植物油及び硬化植物油の例としては、ベニバナ油、ヒマシ油、ココヤシ油、綿実油、パーム核油、ピーナッツオイル、大豆油、菜種油、亜麻仁油、米糠油、松根油、ゴマ油、ヒマワリ種子油、及びこれらの混合物から誘導されるものが挙げられる。
【0042】
b)親水性構成成分
本発明のエマルションは、親水性構成成分、例えば、水又はその他の親水性希釈剤も含んでもよい。親水性性相は、したがって、水、又は水と1つ以上の水溶性若しくは水に分散性の成分との組み合わせを含むことができる。充分な量の水を含む親水性構成成分が好ましい。組成物は、好ましくは約10%〜約92.99%の親水性希釈剤を含む。
【0043】
(c)その他の構成成分
本発明のエマルション及びその他の局所適用組成物は、本明細書に開示されるような種々のその他の成分を含んでもよい。当業者には理解されるように、所与の構成成分は、組成物の構成成分の親水性に応じて、主として親水性相又は疎水性相のいずれかに分配される。
【0044】
本発明のエマルションは、好ましくは、乳化剤、界面活性剤、構造剤、及び増粘剤から選択される1又はそれ以上の化合物を包含する。
【0045】
(1)乳化剤/界面活性剤
本発明の組成物は、好ましくは、約0.05%〜約15%の界面活性剤又は界面活性剤混合物を含む。選ばれる正確な界面活性剤又は界面活性剤混合物は、組成物のpH及び存在するその他の構成成分に依存する。
【0046】
好ましい界面活性剤は非イオン性である。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤には、長鎖アルコール類、例えば、C830のアルコールと糖又はデンプンポリマー類との縮合生成物、即ち、グルコシドとして広く定義されるものがある。これらの化合物は式、(S)n−O−Rで表すことができ、式中、Sはグルコース、フルクトース、マンノース、及びガラクトース等の糖部分であり、nは約1〜約1000の整数であり、RはC830アルキル基である。アルキル基が誘導され得る長鎖アルコールの例としては、デシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、及びオレイルアルコール等が挙げられる。好適な例としては、セピック(Seppic)からモンタノブ(Montanov)68(商標)として、ヘンケル(Henkel)からエマルゲード(Emulgade)PL68/50(商標)として市販されているもののような、セテアリルグルコシドとセテアリルアルコールとの混合物が挙げられる。
【0047】
他の有用な非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド類と脂肪酸の縮合生成物(即ち、脂肪酸のアルキレンオキシドエステル類)が挙げられる。これらの物質は一般式RCO(X)nOHを有し、式中、RはC1030のアルキル基、Xは−OCH2CH2−(即ちエチレングリコール又はオキシドから誘導される)又は−OCH2CHCH3−(即ちプロピレングリコール又はオキシドから誘導される)であり、nは約6〜約200の整数である。他の非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド類と2モルの脂肪酸類との縮合生成物(即ち、脂肪酸類のアルキレンオキシドジエステル類)である。これらの物質は一般式RCO(X)nCOORを有し、式中、RはC1030のアルキル基、Xは−OCH2CH2−(即ち、エチレングリコール又はエチレンオキシドから誘導される)又は−OCH2CHCH3−(即ち、プロピレングリコール又はプロピレンオキシドから誘導される)であり、nは約6〜約100の整数である。他の非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド類と脂肪族アルコール類との縮合生成物(即ち、脂肪族アルコール類のアルキレンオキシドエーテル類)である。これらの物質は、一般式、R(X)nOR’を有し、式中、RはC1030のアルキル基、Xは−OCH2CH2(即ち、エチレングリコール又はエチレンオキシドから誘導される)又は−OCH2CHCH3−(即ち、プロピレングリコール又はプロピレンオキシドから誘導される)であり、nは約6〜約100の整数であり、R’はH又はC10−30のアルキル基である。更に他の非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド類と、脂肪酸類及び脂肪族アルコール類の両方との縮合生成物[即ち、ポリアルキレンオキシド部分は一方の末端が脂肪酸でエステル化され、もう一方の末端が脂肪族アルコールでエーテル化される(即ち、エーテル結合を介して結合される)]である。これらの物質は、一般式RCO(X)nOR’を有し、式中、R及びR’はC10-30アルキル基、Xは−OCH2CH2−(即ち、エチレングリコール又はエチレンオキシドから誘導される)又は−OCH2CHCH3−(プロピレングリコール又はプロピレンオキシドから誘導される)であり、nは約6〜約100の整数であり、その例としては、セテス−6、セテス−10、セテス−12、セテアレス−6、セテアレス−10、セテアレス−12、ステアレス−6、ステアレス−10、ステアレス−12、PEG−6ステアレート、PEG−10ステアレート、PEG−100ステアレート、PEG−12ステアレート、PEG−20グリセリルステアレート、PEG−80グリセリルタローエート、PEG−10グリセリルステアレート、PEG−30グリセリルココエート、PEG−80グリセリルココエート、PEG−200グリセリルタローエート、PEG−8ジラウレート、PEG−10ジステアレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
非イオン性界面活性剤の中でも好ましいのは、ステアレス−2、ステアレス−21、セテアレス−20、セテアレス−12、スクロースココエート、ステアレス−100、PEG−100ステアレート、及びこれらの混合物からなる群より選択されるものである。
【0049】
本明細書で有用な別の乳化剤は、ソルビタン又はソルビトール脂肪酸エステルとスクロース脂肪酸エステルとの混合物をベースにする脂肪酸エステルブレンドであり、脂肪酸はそれぞれ、好ましくはC8〜C24、更に好ましくはC10〜C20である。好ましい脂肪酸エステル乳化剤は、ソルビタン又はソルビトールC16〜C20の脂肪酸エステルとスクロースC10〜C16の脂肪酸エステルとの混合物、特にソルビタンステアレートとスクロースココエートとの混合物である。これは、ICIから商品名アーラトン(Arlatone)2121として市販されている。
【0050】
本発明のエマルションは、乳化剤又は界面活性剤を含有するシリコーンを含んでもよい。多種多様なシリコーン乳化剤が、本明細書で有用である。これらのシリコーン乳化剤は、典型的には、有機的に修飾されたオルガノポリシロキサンであり、当業者にはシリコーン界面活性剤としても既知である。有用なシリコーン乳化剤には、ジメチコンコポリオール類が挙げられる。これらの物質は、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖、これらの鎖の混合物などのポリエーテル側鎖、並びにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの両方に由来する部分を含有するポリエーテル鎖を含むように修飾されたポリジメチルシロキサン類である。市販の例は、ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow
Corning Corporation)からのDC5225C(商標)である。他の例には、アルキル変性ジメチコンコポリオール類、即ち、C2〜C30のペンダント側鎖を含有する化合物が挙げられる。更に他の有用なジメチコンコポリオール類としては、様々な陽イオン性、陰イオン性、両性、及び双性イオン性のペンダント部分を有する物質が挙げられる。さらに、シンエツ(Shin-Etsu)からのKSG21(商標)のような乳化シリコーンエラストマー界面活性剤が使用できる。
【0051】
(2)構造剤
本明細書の組成物、及び特に本明細書のエマルションは、構造剤を含有してもよい。構造剤は、本発明の水中油型エマルションに特に好ましい。理論に束縛されるものではないが、構造剤は、組成物の安定性に寄与するレオロジー特性を組成物に提供する助けをすると考えられている。本明細書で使用するのに好ましいのは、例えば、ベヘニルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコールのような、飽和及び不飽和脂肪族アルコール類である。
【0052】
(3)濃厚化剤(増粘剤及びゲル化剤を含む)
本発明の組成物は、濃厚化剤、好ましくは約0.1%〜約5%、より好ましくは約0.1%〜約3%、最も好ましくは約0.25%〜約2%の濃厚化剤も含むことができる。非限定的な濃厚化剤の種類は以下からなる群から選択されるものが挙げられる:
(i)カルボン酸ポリマーこのポリマーは、アクリル酸、置換アクリル酸、及びこれらのアクリル酸や置換アクリル酸の塩及びエステルに由来する1つ以上のモノマーを含有する架橋した化合物であるが、ここで架橋剤は2つ以上の炭素間二重結合を含有し、また多価アルコールに由来する。本明細書で有用なカルボン酸ポリマー濃厚化剤の例は、カルボマー(carbomer)類(B.F.グッドリッチ(Goodrich)よりカーボポール(Carbopol)900(商標)として入手可能なもの、例えばカーボポール(Carbopol)954(商標))、アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマー類(B.F.グッドリッチ(Goodrich)よりカーボポール(Carbopol)1342(商標)、カーボポール(Carbopol)1382(商標)、ペムレン(Pemulen)TR−1(商標)、及びペムレン(Pemulen)TR−2(商標)として市販されている)及びこれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【0053】
(ii)架橋アクリレートコポリマーこれらのポリマーは、水溶性陰イオン性アクリルモノマー、水溶性非イオン性アクリレートモノマー及び二官能単量体架橋剤のブレンドを含む。好適な水溶性陰イオン性アクリル系モノマーには、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの混合物が挙げられる。好適な水溶性非イオン性アクリレート系モノマーには、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、水溶性ヒドロキシ置換アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル又はこれらの混合物が挙げられる。好適な二官能単量体架橋剤としては、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルピロリン及びアリル(メタ)アクリレート又はこれらの混合物のようなジ、トリ及びテトラエチレン系不飽和物質が挙げられる。本明細書に用いるのに好適なコポリマー組成物の市販の例は、BASF社よりルビゲル(Luvigel)(商標)EMの商品名で市販されているコポリマー組成物及びチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(CIBA Speciality Chemicals)(英国マックルズフィールド)よりサルケア(Salcare)SC91(商標)の商品名で入手可能なコポリマー組成物が挙げられる。
【0054】
(iii)ポリアクリルアミドポリマーポリアクリルアミドポリマー、特に置換分枝又は非分枝ポリマーを含む陰イオン性ポリアクリルアミドポリマーも本明細書で有用である。これらのポリマーは、1又は2個のアルキル基(好ましくはC1〜C5)で置換された又は非置換のアクリルアミド及びメタクリルアミドを包含する種々のモノマーから形成できる。好ましいのは、アミド窒素が非置換であるか、又は1若しくは2個のC1〜C5アルキル基(好ましくはメチル、エチル、又はプロピル)で置換されたアクリル酸アミド及びメタクリル酸アミドモノマー、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、及びN,N−ジメチルアクリルアミドである。これらのポリマーは、分子量が約1,000,000より大きく、好ましくは約15,000,000より大きく、約30,000,000までの範囲をとる。これらのポリアクリルアミドポリマーのうち最も好ましいのは、陰イオン性ポリマーであるCTFA指定ポリアクリルアミド及びイソパラフィン及びラウレス−7(laureth−7)であり、商品名セピゲル(Sepigel)305としてセピック社(Seppic
Corporation)(ニュージャージー州フェアフィールド(Fairfield))より市販されている。
【0055】
(任意成分)
任意構成成分が、物理的及び化学的に本明細書に記載された必須成分と適合し、及び製品の安定性、効力又は本発明の組成物に付随するその他の使用効果を過度に損なわなければ、本発明の局所適用組成物は、種々の任意構成成分を含んでもよい。任意成分は、本組成物のキャリアに分散、溶解等されてもよい。
【0056】
本発明による好ましい皮膚活性物質は、パンテノール又はその誘導体を含む。パンテノール及びその誘導体には、D−パンテノール([R]−2,4−ジヒドロキシ−N−[3−ヒドロキシプロピル)]−3,3−ジメチルブタンアミド(dimethylbutamide)、DL−パンテノール、パントテン酸カルシウム、ローヤルゼリー、パンテチン(panthetine)、パントテイン、パンテニルエチルエーテル、パンガミン酸、ピリドキシン、パントイルラクトース及びビタミンB複合体が挙げられる。存在する場合、本発明の組成物は少なくとも0.25%のパンテノール又はその誘導体、好ましくは少なくとも0.4%を含む。
【0057】
本発明の組成物は、任意に粒子状物質を包含してもよい。本明細書で好適な粒子状物質としては、水及び油のいずれにも不溶性であり、平均粒径が1μm〜50μmのものである。好ましくは、本発明の組成物は、約1.3〜約1.7の屈折率を有する粒子状物質を含み、該粒子状物質は組成物に分散されており、約2〜30μmの平均粒径を有する。好適な微粒子物質は、有機又はオルガノシリコーン又は無機性である。好ましい粒子は、自由流動性の中実体である。「中実」とは、粒子が中空ではないことを意味する。中空粒子の中央の空隙は、屈折率に有害反応を引き起こす可能性があり、その結果、皮膚又は組成物に粒子の視覚的効果にも有害反応を引き起こす可能性がある。好適な有機粒子状物質には、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリアミド、ポリテン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリ(塩化ビニリデン)で出来たものが挙げられる。前述の物質のモノマー由来のコポリマーも、用いることができる。無機物質としては、シリカ及び窒化ホウ素が挙げられる。本明細書で有用な粒子状物質の代表的な市販の例は、マイクロセン(Microthene)FN510(商標)、トスパール(Tospearl)145(商標)、オルガソル(Orgasol)2002(商標)、ナイロンポリ(Nylonpoly)WL10(商標)、ドライフロ(Dry
Flo)(商標)又はこれらの混合物である。本発明の組成物は、約0.1重量%〜約5重量%の粒子状物質を含むことができる。
【0058】
さらなる任意成分は、日焼け止め剤を含んでもよい。本発明の組成物において有用なこれらの日焼け止め剤の中で好ましいのは、オクチルメトキシシンナメート、p−アミノ安息香酸、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、オクトクリレン、オキシベンゾン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、4,4’−メトキシ−t−ブチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、3−ベンジリデンカンファー、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、二酸化チタン、酸化亜鉛及びこれらの混合物から選択されるものである。
【0059】
一般に、日焼け止め剤は、本明細書で有用な組成物に約0.5%〜約20%含まれることができる。正確な量は、選択した日焼け止め剤及び所望の日焼け防止指数(SPF)により変化する。SPFとは、一般に使用される、紅斑に対する日焼け止め剤の光防護指標である。米国官報(Federal
Register)第43巻、166号、38206〜38269頁(1978年8月25日)を参照されたい。
【0060】
本明細書のその他の任意物質には顔料が挙げられ、非水溶性の場合、該顔料は油相成分の総濃度に寄与し及び包含される。本発明の組成物に使用するのに好適な顔料は、有機及び/又は無機性であることができる。顔料という用語には、艶消し仕上げ剤などの色や光沢を低く抑える物質、及び光散乱剤も含まれる。好ましい例は、酸化チタン、酸化鉄及び干渉パール、例えば、酸化チタン及び/又は酸化鉄でコーティングされた雲母小板である。
【実施例】
【0061】
油中水型保湿エマルション:実施例I〜V
【0062】
【表1】

1.プロデュー(Prodew)400:ドイツ、ハンブルグ(Stubbenhuk
3,D-20459,Hamburg,Germany)の味の素(Ajinomoto)より供給
2.SKインフラックス(Influx):ドイツ、エッセン(Goldschmidtstrasse
100,D-45127 Essen,Germany)のゴールドシュミット(Goldschmidt AG)より供給
3.エマルゲード(Emulgade):ドイツ、デュッセルドルフ(Paul-Thomas Strasse 56,D-40551 Dusseldorf,Germany)のコグニス・ドイツランド(Cognis Deutchland GmbH)より供給
4.ルビゲル(Luvigel)EM:英国チェシャー(PO Box 4-Earl Road,Cheadle Hulme,Cheshire SK8
6QG)のBASF Plcより供給
5.セピゲル(Sepigel)305:フランス、パリ(75 Quai
D'Orsay,Paris)のセピック(Seppic)より供給
6.ローダサーフ(Rhodasurf):英国ダービーシャー(Staisty
Close,Homewood Trading Estate,Chesterfield,Derbyshire
S42 5UG)のコルディック(Coldic)より供給
7.ボルポ(Volpo)3:英国イーストヨークシャー(Cowick
hall,Snaith Goole,East
Yorkshire,Dn14 9AA)のクローダ・オレオケミカルズ(Croda Oleochemicals)より供給
8.マイクロセン(Microthene):米国テキサス州(1221 McKinney Street,Suite 700,Houston,TX 77252-2583)のエクイスター・ケミカルズ(Equistar Chemicals)より供給
9.ドライフロ(Dry Flo):米国ニュージャージー州(10,Finderne Avenue,Bridgewater,NJ 08807,USA)のナショナルスターチケミカル社(National
Starch Chemical Company)より供給
10.DC1503:英国バークシャー(Kings Court,185 Kinds Rd,Reading,Berks,RGI
4EX)のダウ・コーニング(Dow Coming)より供給
11.シルバー及びゴールド「プレスティージ(Prestige)」パール:ドイツ、フュルト(Kaiserstrasse
30,90763 Fuerth,Germany)のエカート社(Eckart
Gmbh and Co.)より供給
12.レッド「フラメンコサミット(Flamenco Summit)」パール:オランダ、ハールレム(NL-203 BT Haarlem,The
Netherlands)のエムリクエグ(Emrikweg)より供給
13.GLW75CAP-MP TiO2:米国ニュージャージー州(Montrose Avenue,South
Plainfield,N.J.07080,USA)のコボプロダクツ(Kobo Products Inc.)より供給
【0063】
組成物は次のように製造される:
水相は、水酸化ナトリウム及びプロデュー(Prodew)400を除くすべての水溶性成分を水中で混和し、約80℃に加熱することによって調製される。第二のプレミックスは、シリコーンオイル(DC1503)を除く油溶性成分を混和し、同じく約80℃に加熱することによって調製される。前記油相を前記水相に添加し、剪断してエマルションを形成する。
【0064】
該エマルションを60℃に冷却し、続いて高分子増粘剤(ルビゲル(Luvigel)EM)及び関連する陰イオン性界面活性剤(オレス3、ラウレス7(laureth−7))を添加する。日焼け止め剤が包含される実施例を除き、続いて、水酸化ナトリウム溶液を添加してpH6〜7.5に中和する。45〜50℃で、ベンジルアルコール、プロデュー(Prodew)、DC1503、染料及び粒子(雲母パール、二酸化チタン、及び酸化鉄を包含する)を添加し、得られた生成物を剪断して粒子分散、脱アグロメレーション及び均質性を確実とする。続いて、該組成物を40℃に冷却し、香料を添加することができる。これで、生成物は包装可能な状態となる。
【0065】
実施例5はプロパン/ブタン/イソブタンで275kPa(40psi)に加圧された好適な缶に包装し、ムースとして小出しすることができる。
【0066】
シリコーン中水型保湿クリーム及びファンデーション:実施例VI〜VII
【0067】
【表2】

1、2及び3:英国バークシャー(Kings Court,185 Kinds Rd,Reading,Berks,RGI
4EX)のダウ・コーニング(Dow Coming)より供給
4及び7:オランダ、アルメレ(Bolderweg 32,1332 AV,Almere,The
Netherlands)のシンエツシリコーンズ(Shin EtsuSilicones)より供給
5及び6:ドイツ、エッセン(Goldschmidtstrasse 00,D-45127 Essen,Germany)のゴールドシュミット(Goldschmidt AG)より供給
8:米国ニュージャージー州(Montrose Avenue,South
Plainfield,N.J.07080,USA)のコボプロダクツ(Kobo Products Inc.)より供給
9:英国マーシーサイド(Bebington,Wirral,Merseyside,CH62 4UF,UK.)のユニケマ(Uniqema)より供給
【0068】
組成物は次のように製造される:
水相は、すべての水溶性成分を水中で混和し、約50℃に加熱して溶解することによって調製される。第二のプレミックスは、粉末をシクロメチコン及びシリコーン界面活性剤中に分散することによって調製される。生成物中に顔料(酸化チタン又は酸化鉄)がある場合に分散させるには高剪断が必要である。実施例VIIIだけは、その後油相を約85℃に加熱し、続いて該プレミックス中にワックスを溶融する。続いて、該プレミックスを室温まで冷却し、結晶化させる。続いて、水プレミックスを油相にゆっくりと添加し、高剪断で混合することによって、シリコーン中水型エマルションが形成される。DC9040及び液体日焼け止め剤が存在する場合、その後に添加し、混合して均質性を確実とする。これで、生成物は包装可能な状態となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキンケア組成物であって:
a)該組成物の7重量%を越えるグリセリン;
b)ビタミンB3化合物;及び
c)アスパラギン酸、トレオニン、セリン、グルタミン酸、シトルリン、プロリン、グリシン、アラニン、システイン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、アルギニン、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、又はこれらの混合物を含む天然保湿因子を含むことを特徴とする、スキンケア組成物。
【請求項2】
前記組成物の2重量%〜5重量%のビタミンB3化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載のスキンケア組成物。
【請求項3】
前記ビタミンB3化合物が、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ニコチン酸トコフェロール及びイノシトールヘキサニコチネート、又はこれらの混合物、好ましくはナイアシンアミドを含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のスキンケア組成物。
【請求項4】
前記組成物の少なくとも0.1重量%の天然保湿因子を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスキンケア組成物。
【請求項5】
次の一般式(I)で表される第四級アンモニウム塩を含む双性イオン性保湿因子をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスキンケア組成物。
【化1】

[式中、R1、R2、及びR3は、−H、−CH3、−CH2CH3、及び−CH2CH(OH)R4(式中R4は−H及びCH3から選択される)から独立して選択され、式中n=1〜3の整数、好ましくは1であり、好ましくはトリメチルグリシンである。]
【請求項6】
シリコーン相を追加的に含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスキンケア組成物。
【請求項7】
0.1%〜5%の濃厚化剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のスキンケア組成物。
【請求項8】
前記濃厚化剤が、カルボマー(carbomer)、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート又はこれらの混合物、好ましくはアクリル酸ナトリウムコポリマー、ポリアクリルアミド、イソパラフィン、ラウレス−7(laureth−7)コポリマー又はこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項7に記載のスキンケア組成物。
【請求項9】
スキンケアケア組成物であって;
a)前記組成物の10重量%〜15重量%のグリセリン;
b)前記組成物の2重量%〜5重量%のナイアシンアミド;
c)前記組成物の0.1重量%〜0.3重量%の、グリセリン、アラニン、プロリン、セリン、トレオニン、アルギニン、リシン、グルタミン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、又はこれらの混合物を含む天然保湿因子を含むことを特徴とする、スキンケア組成物。


【公表番号】特表2006−526570(P2006−526570A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518905(P2005−518905)
【出願日】平成16年3月15日(2004.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/007992
【国際公開番号】WO2004/082654
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】