説明

皮膚化粧料及び飲食品

【課題】天然抽出物を含有した抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤、美白剤、皮膚化粧料又は飲食品を提供する。
【解決手段】抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤、美白剤、皮膚化粧料又は飲食品に、金不換(Polygala chinensis L.)、ヒメハギ(Polygala japonica Houtt.)及び小花遠志(Polygala avensis)からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗酸化剤、抗炎症剤、免疫賦活剤、抗老化剤、抗肥満剤、美白剤、皮膚化粧料及び飲食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、特に生体成分を酸化させる要因として、活性酸素が注目されており、その生体への悪影響が問題となっている。活性酸素は、生体細胞内のエネルギー代謝過程で生じるものであり、活性酸素としては、スーパーオキサイド(すなわち酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン:・O)、過酸化水素(H)、ヒドロキシラジカル(・OH)及び一重項酸素()等が挙げられる。これらの活性酸素は、食細胞の殺菌機構にとって必須であり、ウィルスや癌細胞の除去に重要な働きを果たしている。
【0003】
しかしながら、活性酸素の過剰な生成は、生体内の膜や組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種疾患を誘発する。通常、生体内で生産され、他の活性酸素の出発物質ともなっているスーパーオキサイドは、細胞内に含まれているスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)の触媒作用により逐次消去されているが、スーパーオキサイドの産生が過剰である場合、又はSODの作用が低下している場合には、スーパーオキサイドの消去が不十分となり、スーパーオキサイド濃度が高くなり、これが関節リウマチやベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、しわ、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性等を引き起こす。
【0004】
特に、皮膚は、紫外線等の環境因子の刺激を直接受けることから、スーパーオキサイドが生成しやすい器官であるため、スーパーオキサイド濃度の上昇により、例えば、コラーゲン等の生体組織を分解し、変性し又は架橋したり、油脂類を酸化して細胞に障害を与える過酸化脂質を生成したりすると考えられており、活性酸素によって引き起こされる障害が、皮膚のシワ形成や皮膚の弾力低下等の老化の原因になるものと考えられている(非特許文献1参照)。したがって、活性酸素や生体内ラジカルの生成を阻害・抑制することにより、シワ形成や弾力低下等の皮膚の老化や、関節リウマチやベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性等の活性酸素が関与する各種障害を予防、治療又は改善できるものと考えられる。
【0005】
そこで、活性酸素消去物質、ラジカル消去物質、過酸化水素消去物質を安全性の点で有利な天然物から得る試みがなされており、このような作用を有するものとして、アブラナ科ブラシカ属植物からの抽出物(特許文献1参照)、ベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属植物からの抽出物(特許文献2参照)、タマコチョウからの抽出物(特許文献3参照)、スイオウからの抽出物(特許文献4参照)等が知られている。
【0006】
グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドであり、細胞内の主要なシステイン残基を有する化合物である。細胞内におけるグルタチオンは、ラジカルの捕捉、酸化還元による細胞機能の調節、各種酵素のSH供与体としての機能を果たすものであり、抗酸化成分としても知られている。その作用発現は、システイン残基に由来すると考えられている。しかしながら、皮膚中のグルタチオン量は、加齢により低下することが報告されており、このことが皮膚における酸化防御能を低下させ、細胞のDNA及びタンパク質等の構成成分にダメージを与える一因であると考えられている。
【0007】
すなわち、皮膚においてグルタチオンの産生を促進することは、加齢により衰える酸化ストレスの防御を高め、かつ紫外線による酸化ストレスに対する障害を抑制することにつながり、皮膚の老化の予防、治療、又はシミ等の色素沈着に対する改善が期待できると考えられる。このような考えに基づき、グルタチオン産生促進作用を有するものとして、ビルベリー抽出物及びウォルナット抽出物(特許文献5参照)、クチナシ属植物の抽出物(特許文献6参照)等が知られている。
【0008】
炎症性疾患の原因の一つとして、血小板凝集によるものが知られている。血小板が凝集して活性化することにより、生理的には止血、病理的には血栓形成を生じる他、血小板の凝集は、動脈硬化の進展、癌転移、炎症等に関与していると考えられている。このため、血小板の凝集を阻害・抑制することにより炎症性疾患を予防・改善することができると考えられている。血小板凝集抑制作用を有するものとしては、例えば、コウサンフウ抽出物(特許文献7参照)、フロリジン及びフロレチン(特許文献8参照)等が知られている。
【0009】
近年、消費者の健康に対する意識はますます高まりを見せている。一方で、現代社会には、不規則な生活習慣、食事の偏り、精神的ストレス等、免疫機構にダメージを与える要因が氾濫している。このように、免疫力が低下することにより、癌、感染症、アレルギー症状等の各種疾患が誘発されることが知られており、逆に免疫力が賦活されることで、発癌抑制作用、制癌作用、抗感染症作用、抗アレルギー作用、さらには体調リズムの回復・恒常性維持等の様々な効果を期待することができる。
【0010】
免疫機構には、多くの種類の細胞が関与しているが、特に白血球の役割は大きく、なかでもマクロファージは全動物に普遍的に存在しており、免疫応答の特に初期段階での働きを含め、あらゆる段階に関与している重要な白血球の一種である。近年、白血球の働きが物質レベルで解明されてきており、白血球の機能や細胞間相互作用は、白血球が分泌する微量タンパク質(サイトカイン)によって担われていることが分かってきている。
【0011】
サイトカインには多くの種類が含まれ、なかでも腫瘍壊死因子(TNF)やインターロイキン類が注目されている。それらのなかで、TNF−αに代表される炎症性サイトカインは、主にマクロファージから放出され、最終的には抗腫瘍作用等を示すことが報告されている。したがって、TNF−αの産生機能を亢進させることにより、免疫機能を賦活させ、悪性腫瘍の増殖を抑制できるものと考えられる。このような考えに基づき、TNF−α産生促進剤として、ユキノシタ科スグリ属に属する植物からの抽出物(特許文献9参照)、土貝母からの抽出物(特許文献10参照)等が知られている。
【0012】
加齢に伴う皮膚老化の一因は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が減退することにある。すなわち、エストロゲンは成人女性の健康維持に深く関わっており、その分泌不足は種々の内科的疾患を招くほか、肌の過敏症、弾力性の低下、潤いの減少等、好ましくない肌の変化の原因となったり、閉経後の女性等におけるエストロゲンの欠乏は、冠動脈性心臓疾患や骨粗鬆症の原因となったりすることが知られている。
【0013】
そこで、エストロゲンの分泌が衰える更年期以降の女性に対して、エストロゲンと同様の作用を有する物質を配合した薬剤を、経皮的又は経口的に投与することが行われている。このようなエストロゲン様作用を有するものとしては、例えば、五斂子の葉部からの抽出物(特許文献11参照)、フロリジン及びフロレチン(特許文献8参照)等が知られている。
【0014】
皮膚は、表皮、基底膜、真皮、皮下組織から構成されている。基底膜は、表皮と真皮との境界部に存在し、その機能は多岐にわたり、表皮の真皮への接着、表皮の極性の決定、表皮の分化・増殖の制御、さらには真皮細胞が産生する因子や血成分由来の栄養供給の制御に関与している。そのため、基底膜は、皮膚の構造、恒常性の維持にとってきわめて重要な役割を果たしている。したがって、基底膜の構造が変化すると、しわ、たるみ等の皮膚の老化症状を呈するようになる。特に、基底膜の主要成分であるIV型コラーゲンの産生量が減少すると、基底膜の構造が変化し、しわ、たるみ等の皮膚の老化症状を呈するようになるため、IV型コラーゲンの産生を促進することで、これらの皮膚の老化症状等を予防・改善することができると考えられる。このようなIV型コラーゲン産生促進作用を有するものとしては、例えば、加水分解カゼイン、ブナの芽、エリスリナ、可溶性卵殻膜、カッコン、西洋キヅタ等の抽出物(特許文献12参照)、フロリジン及びフロレチン(特許文献8参照)等が知られている。
【0015】
皮膚の真皮は、線維芽細胞及びこの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲン等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては線維芽細胞の増殖が活発に行われており、線維芽細胞、コラーゲン等の皮膚組織の相互作用により皮膚に水分が保持されるとともに、皮膚の柔軟性、弾力性等が確保され、皮膚は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。ところが、紫外線、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、線維芽細胞の増殖が遅れ、皮膚の保湿機能や弾力性が低下する。そして、皮膚は張りや艶を失い、肌荒れ、シワ形成等の老化症状を呈するようになる。そのため、線維芽細胞の増殖を促進することにより皮膚の老化症状を予防・改善することができると考えられる。このような線維芽細胞増殖促進作用を有するものとしては、例えば、コロソリン酸(特許文献13参照)等が知られている。
【0016】
表皮は、最下層である基底層から始まって、有棘層、顆粒層、角質層へと連なる4層構造からなるが、各層に存在する大部分の細胞は、基底層から分化した角化細胞である。通常、角化細胞は基底層で産生され、徐々に上層に分化しながら移動して角質細胞となって角質層を構成し、最終的に垢として角質層から脱落していく。
【0017】
角質層は皮膚の最外殻に存在しており、外界からの刺激に対する物理的なバリアとしての役割を果たしている。皮膚ではこのバリア機能を持たせるため、角化細胞が基底層で産生されてから垢となって剥がれ落ちるまでのサイクル(角化)を通常4週間の周期で繰り返し、表皮の新陳代謝を行っている。しかしながら、この角質層も加齢によって新陳代謝機能が衰え、こじわ、くすみ、色素沈着、肌荒れ等の皮膚トラブルを発生することになる。そのため、角化細胞の増殖を促進し、肌の新陳代謝機能を回復させることにより、こじわ、くすみ、色素沈着等の皮膚の老化を改善できるものと考えられる。このような考えに基づき、表皮角化細胞増殖促進作用を有するものとして、ハス胚芽抽出物(特許文献14参照)、タイソウ抽出物(特許文献15参照)等が知られている。
【0018】
ヒアルロン酸は、皮膚の水分保持や粘弾性に深く関与する主要な細胞外マトリックスの一つであり、真皮線維芽細胞に加え表皮角化細胞からも合成されることが知られている。また、表皮のヒアルロン酸の機能として、免疫系や分化調節等、皮膚の恒常性維持にも関与していることも知られている。しかし、生理的老化に伴い皮膚内のヒアルロン酸含量は減少することが知られており、皮膚内のヒアルロン酸含量の減少が、皮膚の乾燥・萎縮、弾力性の低下、小じわの形成等の老化に関与している可能性が推察されている(非特許文献2参照)。したがって、表皮ヒアルロン酸の合成促進に関与するヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)の発現を促進することで、皮膚の老化を予防・改善することができるものと考えられる。このような考えに基づき、ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)発現促進作用を有するものとして、例えば、トコフェリルレチノエート(特許文献16参照)等が知られている。
【0019】
また、皮膚細胞では、水チャンネルとして知られるアクアポリンが、細胞膜上に発現して、細胞間隙の水をはじめとする低分子物質を細胞内へ取り込む役割を担っていることが知られている。ヒトでは、13種類のアクアポリン(AQP0〜AQP12)の存在が知られている。表皮細胞においては、主としてAQP3が存在しており、水に加えて、水分保持作用に関与するグリセロールや尿素等の低分子化合物をも取り込む役割を担っていると考えられている。しかしながら、AQP3は加齢とともに減少し、このことが水分保持機能の低下の一因であることが示唆されていることから、AQP3の発現を促進することにより、加齢による水分保持能やバリア機能等を制御することが可能であると考えられる(非特許文献3参照)。このような考えに基づき、AQP3発現促進作用を有するものとして、例えば、ノウゼンハレン科植物より得られる抽出物(特許文献17参照)、トコフェリルレチノエート(特許文献16参照)等が知られている。
【0020】
皮膚に紫外線が照射されると、皮膚の細胞は障害を受けたり、細胞死が引き起こされたりし、肌は張りや弾力を失い、肌荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。したがって、紫外線の照射によるダメージ(例えば、細胞障害、細胞死等)を抑制・回復することによって、皮膚の老化の予防・改善が期待できる。紫外線照射によるダメージ回復作用を有するものとして、例えば、油溶性甘草抽出物(特許文献18参照)、フロリジン及びフロレチン(特許文献8参照)等が知られている。
【0021】
体内の脂肪は、消費エネルギーに対し摂取エネルギーが過剰である場合に、その過剰分が白色脂肪細胞の中性脂肪として蓄積するものである。体脂肪の蓄積によって生じる肥満は、美容上好ましくないばかりでなく、動脈硬化、糖尿病、メタボリック症候群等の様々な疾病を引き起こす。昨今は飽食の時代であり、過食、運動不足、ストレス等による肥満が増加し、美容の観点からも男女を問わず大きな問題となっている。したがって、皮下脂肪等の蓄積は、健康上も好ましくなく、皮下脂肪等の減少・分解、又は蓄積の防止が重要な問題となっている。生体内の脂肪を分解するためには、サイクリックAMPの役割が重要となる。サイクリックAMPは、生体内に存在するトリグリセリドリパーゼを活性化し、活性化されたリパーゼによって脂肪が脂肪酸とグリセロールとに分解される。しかし、サイクリックAMPホスホジエステラーゼが活性化されると、サイクリックAMPの分解が誘発され、リパーゼの活性化が阻害される。そのため、サイクリックAMPホスホジエステラーゼの活性を阻害することにより細胞内におけるサイクリックAMPが増量し、脂肪の分解を促進することができるものと考えられる。このような考えに基づき、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を有するものとして、例えば、独脚金、小良姜及びサイコの抽出物(特許文献19参照)、ピーナッツ渋皮抽出物(特許文献20参照)、ショウガ科マンゴージンジャーの抽出物(特許文献21参照)等が知られている。また、脂肪分解促進作用を有するものとして、例えば、カバノキ科シラカバの抽出物及びイネ科クマザサの抽出物(特許文献22参照)等が知られている。
【0022】
従来、美白剤開発においては、メラニン生成の律速酵素であるチロシナーゼに注力し進められてきたが、最近、紫外線UV−B照射後に表皮ケラチノサイトから産生上昇され、色素細胞(メラノサイト)を活性化するサイトカインとして、α−メラノサイト刺激ホルモン(α−MSH)、エンドセリン−1(ET−1)、幹細胞増殖因子(SCF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、顆粒球・マクロファージ・コロニー刺激因子(GM−CSF)等が知られており、これらが関与する情報伝達系を遮断することによりメラニン産生を抑制して美白作用を発揮する美白剤の開発が盛んに行われるようになってきている。このような考えに基づき、幹細胞増殖因子(SCF)発現抑制作用を有するものとしては、例えば、五斂子、甘草葉部、オニイチゴ、ビワ、マチルス、メリッサ、月桃、ハトムギ、センキュウ、トウニン及びゲンチアナ抽出物(特許文献23参照)等が知られている。
【特許文献1】特開2003−81848号公報
【特許文献2】特開2005−29483号公報
【特許文献3】特開2006−321730号公報
【特許文献4】特開2007−8902号公報
【特許文献5】特開2006−241062号公報
【特許文献6】特開2006−347934号公報
【特許文献7】特開2002−53477号公報
【特許文献8】特開2007−106712号公報
【特許文献9】特開2004−107660号公報
【特許文献10】特開2006−56854号公報
【特許文献11】特開2002−302452号公報
【特許文献12】特開2004−107660号公報
【特許文献13】特開2006−265232号公報
【特許文献14】特開2002−68993号公報
【特許文献15】特開2006−316028号公報
【特許文献16】特開2006−290873号公報
【特許文献17】特開2004−168732号公報
【特許文献18】特開2004−250368号公報
【特許文献19】特開2003−261457号公報
【特許文献20】特開2004−26719号公報
【特許文献21】特開2005−104886号公報
【特許文献22】特開2006−45120号公報
【特許文献23】特願2007−119579号公報
【非特許文献1】「フレグランスジャーナル臨時増刊」,1995年,No.14,p.156
【非特許文献2】「コスメティックステージ」,2007年,Vol.1,No.3,p.45-46
【非特許文献3】「フレグランスジャーナル」,2006年,Vol.34,No.10,p.19-23
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は第一に、安全性の高い天然物の中からSOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗酸化剤を提供することを目的とする。
【0024】
本発明は第二に、安全性の高い天然物の中から血小板凝集抑制作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗炎症剤又は血小板凝集抑制剤を提供することを目的とする。
【0025】
本発明は第三に、安全性の高い天然物の中からTNF−α産生促進作用を有するものを見出し、それを有効成分とする免疫賦活剤又はTNF−α産生促進剤を提供することを目的とする。
【0026】
本発明は第四に、安全性の高い天然物の中からIV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、グルタチオン産生促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用及び紫外線ダメージ回復作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗老化剤を提供することを目的とする。
【0027】
本発明は第五に、安全性の高い天然物の中からサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用及び/又は脂肪分解促進作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗肥満剤を提供することを目的とする。
【0028】
本発明は第六に、安全性の高い天然物の中からSCFmRNA発現抑制作用及び/又はbFGFmRNA発現抑制作用を有するものを見出し、それを有効成分とする美白剤を提供することを目的とする。
【0029】
本発明は第七に、安全性の高い天然物の中からSOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、血小板凝集抑制作用、TNF−α産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用、紫外線ダメージ回復作用、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用、脂肪分解促進作用、SCFmRNA発現抑制作用及びbFGFmRNA発現抑制作用のうちの少なくともいずれか1つの作用を有するものを見出し、それを配合した皮膚化粧料又は飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記課題を解決するため、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、美白剤及び抗肥満剤は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とし、本発明の皮膚化粧料及び美容用飲食品は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を配合したことを特徴とする。
【0031】
本発明の抗酸化剤においては、上記抽出物が、SOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することが好ましく、本発明の抗老化剤においては、上記抽出物が、IV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、グルタチオン産生促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用及び紫外線ダメージ回復作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することが好ましく、本発明の抗肥満剤においては、上記抽出物が、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用及び/又は脂肪分解促進作用を有することが好ましく、本発明の美白剤においては、上記抽出物が、SCFmRNA発現抑制作用及び/又はbFGFmRNA発現抑制作用を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、天然物である金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有し、安全性に優れた抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤、美白剤、皮膚化粧料又は飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明について説明する。
〔抗酸化剤,抗炎症剤,血小板凝集抑制剤,免疫賦活剤,TNF−α産生促進剤,抗老化剤,抗肥満剤,美白剤〕
本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤又は美白剤は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有する。
【0034】
ここで本発明において「金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物」には、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
【0035】
本発明において使用する抽出原料は、金不換(キンフカン,学名:Polygala chinensis L.)、ヒメハギ(学名:Polygala japonica Houtt.)及び小花遠志(ショウカオンジ,学名:Polygala avensis)である。
【0036】
金不換(Polygala chinensis L.)は、ヒメハギ科ヒメハギ属に属する草丈10〜40cmの1年生草木であり、別名、大金牛草とも呼ばれ、湖北、湖南、広東、広西等の中国各省に野生しており、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る金不換の構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、花部、地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは地上部である。
【0037】
ヒメハギ(Polygala japonica Houtt.)は、ヒメハギ科ヒメハギ属に属する草丈15センチメートルの多年生草木であって、別名、爪子金とも呼ばれ、東北、華北、西南等の中国各地方に分布しており、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るヒメハギの構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、花部、地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは地上部である。
【0038】
小花遠志(Polygala avensis)は、ヒメハギ科ヒメハギ属に属する草丈5〜15cmの1年生草木であり、別名、細金牛草とも呼ばれ、江西、湖南、広東、広西等に分布しており、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る小花遠志の構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、花部、地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは地上部である。
【0039】
金不換、ヒメハギ又は小花遠志からの抽出物に含有されるSOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、血小板凝集抑制作用、TNF−α産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用、紫外線ダメージ回復作用、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用、脂肪分解促進作用、SCFmRNA発現抑制作用又はbFGFmRNA発現抑制作用を有する物質の詳細は不明であるが、植物の抽出に一般に用いられている抽出方法によって、金不換、ヒメハギ又は小花遠志からこれらの作用を有する抽出物を得ることができる。
【0040】
例えば、上記植物を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより、SOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、血小板凝集抑制作用、TNF−α産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用、紫外線ダメージ回復作用、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用、脂肪分解促進作用、SCFmRNA発現抑制作用又はbFGFmRNA発現抑制作用を有する抽出物を得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、金不換、ヒメハギ又は小花遠志の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0041】
抽出溶媒としては、極性溶媒を用いるのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
【0042】
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0043】
抽出溶媒として使用することのできる親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
【0044】
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90質量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40質量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して多価アルコール10〜90質量部を混合することが好ましい。
【0045】
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
【0046】
精製は、例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等により行うことができる。得られた抽出液はそのままでも抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤又は美白剤の有効成分として使用することができるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
【0047】
金不換、ヒメハギ又は小花遠志からの抽出物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、皮膚化粧料又は飲食品に配合する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。
【0048】
以上のようにして得られる金不換、ヒメハギ又は小花遠志からの抽出物は、抗酸化作用、抗炎症作用、血小板凝集抑制作用、免疫賦活作用、TNF−α産生促進作用、抗老化作用、抗肥満作用又は美白作用を有しているため、それぞれの作用を利用して抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤又は美白剤の有効成分として用いることができる。なお、本発明においては、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれるいずれか1種の植物からの抽出物を上記有効成分として用いてもよいし、それらのうちの2種以上の植物からの抽出物を混合して上記有効成分として用いてもよい。金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる2種以上の植物からの抽出物を混合して上記有効成分として用いる場合、その配合比は、それらの作用の程度に応じて適宜決定すればよい。
【0049】
ここで、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物が有する抗酸化作用は、例えば、SOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用に基づいて発揮される。ただし、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物が有する抗酸化作用は、上記作用に基づいて発揮される抗酸化作用に限定されるものではない。なお、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物は、SOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用を有するため、それらの作用を利用して、SOD様作用剤(スーパーオキサイド消去剤)、ラジカル消去剤、過酸化水素消去剤及びグルタチオン産生促進剤の有効成分として利用することができる。
【0050】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物が有する抗炎症作用は、例えば、血小板凝集抑制作用に基づいて発揮される。ただし、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物が有する抗炎症作用は、上記作用に基づいて発揮される抗炎症作用に限定されるものではない。なお、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物は、それらが有する血小板凝集抑制作用に基づいて、血小板凝集に起因する疾患(例えば、血栓症、虚血性心疾患等)の予防・治療剤の有効成分として利用することができる。
【0051】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物が有する免疫賦活作用は、例えば、TNF−α産生促進作用に基づいて発揮される。ただし、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物が有する免疫賦活作用は、上記作用に基づいて発揮される免疫賦活作用に限定されるものではない。なお、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物は、それらが有するTNF−α産生促進作用に基づいて、TNF−αの欠乏に起因する疾患(例えば、癌、感染症、アレルギー症状等)の予防・治療剤の有効成分として利用することができる。
【0052】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物が有する抗老化作用は、例えば、IV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、グルタチオン産生促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用及び紫外線ダメージ回復作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用に基づいて発揮される。ただし、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物が有する抗老化作用は、上記作用に基づいて発揮される抗老化作用に限定されるものではない。なお、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物は、IV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用及び紫外線ダメージ回復作用を有するため、それらの作用を利用して、IV型コラーゲン産生促進剤、エストロゲン様作用剤、表皮角化細胞増殖促進剤、線維芽細胞増殖促進剤、HAS3mRNA発現促進剤、アクアポリン3mRNA発現促進剤及び紫外線ダメージ回復作用剤の有効成分として利用することができる。
【0053】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物が有する抗肥満作用は、例えば、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用及び/又は脂肪分解促進作用に基づいて発揮される。ただし、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物が有する抗肥満作用は、上記作用に基づいて発揮される抗肥満作用に限定されるものではない。なお、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物は、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用及び脂肪分解促進作用を有するため、それらの作用を利用して、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤及び脂肪分解促進剤の有効成分として利用することができる。
【0054】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物が有する美白作用は、例えば、SCFmRNA発現抑制作用及び/又はbFGFmRNA発現抑制作用に基づいて発揮される。ただし、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からの抽出物が有する美白作用は、上記作用に基づいて発揮される美白作用に限定されるものではない。なお、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物は、SCFmRNA発現抑制作用及びbFGF発現抑制作用を有するため、それらの作用を利用して、SCFmRNA発現抑制剤及びbFGF発現抑制剤の有効成分として利用することができる。また、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物は、SCFmRNA発現抑制作用を通じて、骨髄芽球の異常増殖を抑制し、SCFmRNAの発現上昇に起因する疾患(例えば、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病等の疾患等)の予防・治療剤の有効成分として利用することもできる。さらに、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物は、bFGFmRNA発現抑制作用を通じて、腫瘍細胞における異常な血管新生を抑制し、bFGFmRNAの発現上昇に起因する疾患(例えば、癌等)の予防・治療剤の有効成分として利用することもできる。
【0055】
本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤又は美白剤は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物のみからなるものであってもよいし、上記抽出物を製剤化したものであってもよい。
【0056】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物は、他の組成物(例えば、後述する皮膚化粧料、飲食品等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
【0057】
なお、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤又は美白剤は、必要に応じて、抗酸化作用、SOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、抗炎症作用、血小板凝集抑制作用、免疫賦活作用、TNF−α産生促進作用、抗老化作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用、紫外線ダメージ回復作用、抗肥満作用、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用、脂肪分解作用、美白作用、SCFmRNA発現抑制作用又はbFGFmRNA発現抑制作用を有する他の天然抽出物を配合して有効成分として用いることができる。
【0058】
本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤又は美白剤の投与方法としては、一般に経皮投与、経口投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。また、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤又は美白剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
【0059】
本発明の抗酸化剤は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物が有するSOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を通じて、シワ形成や弾力低下等の皮膚の老化や、関節リウマチやベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性等の活性酸素が関与する各種障害を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の抗酸化剤は、これらの用途以外にもSOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0060】
本発明の抗炎症剤は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物が有する血小板凝集抑制作用を通じて、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡等の各種炎症性疾患を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の抗炎症剤は、これらの用途以外にも血小板凝集抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0061】
本発明の血小板凝集抑制剤は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物が有する血小板凝集抑制作用を通じて、血小板の凝集を抑制し、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡等の各種炎症性疾患を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の血小板凝集抑制剤は、これらの用途以外にも血小板凝集抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0062】
本発明の免疫賦活剤は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物が有するTNF−α産生促進作用を通じて、癌、感染症、アレルギー症状等の各種疾患を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の免疫賦活剤は、これらの用途以外にもTNF−α産生促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0063】
本発明のTNF−α産生促進剤は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物が有するTNF−α産生促進作用を通じて、癌、感染症、アレルギー症状等の各種疾患を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明のTNF−α産生促進剤は、これらの用途以外にもTNF−α産生促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0064】
本発明の抗老化剤は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物が有するIV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、グルタチオン産生促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用、及び紫外線ダメージ回復作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を通じて、皮膚の老化を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の抗老化剤は、これらの用途以外にもIV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、グルタチオン産生促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用、及び紫外線ダメージ回復作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0065】
本発明の抗肥満剤は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物が有するサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用及び/又は脂肪分解促進作用を通じて、肥満症、それに伴う動脈硬化、糖尿病、メタボリック症候群等の様々な疾病を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の抗肥満剤は、こられの用途以外にもサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用及び/又は脂肪分解促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0066】
本発明の美白剤は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物が有するSCFmRNA発現抑制作用及び/又はbFGF発現抑制作用を通じて、皮膚色素沈着症、シミ、ソバカス等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の美白剤は、これらの用途以外にもSCFmRNA発現抑制作用及び/又はbFGF発現抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0067】
〔皮膚化粧料〕
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物は、SOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、血小板凝集抑制作用、TNF−α産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用、紫外線ダメージ回復作用、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用、脂肪分解作用、SCFmRNA発現抑制作用又はbFGFmRNA発現抑制作用を有しており、皮膚に適用した場合の使用感と安全性とに優れているため、皮膚化粧料に配合するのに好適である。
【0068】
この場合、皮膚化粧料には、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を配合してもよいし、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物から製剤化した抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤又は美白剤を配合してもよい。
【0069】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物、又はそれらから製剤化された抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤もしくは美白剤を皮膚化粧料に配合することによって、皮膚化粧料にSOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、血小板凝集抑制作用、TNF−α産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用、紫外線ダメージ回復作用、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用、脂肪分解作用、SCFmRNA発現抑制作用又はbFGFmRNA発現抑制作用を付与することができる。
【0070】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を配合し得る皮膚化粧料の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ゼリー、ファンデーション、リップクリーム、口紅、入浴剤等が挙げられる。
【0071】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を皮膚化粧料に配合する場合、その配合量は、皮膚化粧料の種類に応じて適宜調整することができるが、好適な配合率は、標準的な抽出物に換算して約0.0001〜10質量%であり、特に好適な配合率は、標準的な抽出物に換算して約0.001〜1質量%である。
【0072】
本発明の皮膚化粧料は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物が有するSOD様作用(スーパーオキサイド消去作用)、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、血小板凝集抑制作用、TNF−α産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用、紫外線ダメージ回復作用、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用、脂肪分解作用、SCFmRNA発現抑制作用又はbFGFmRNA発現抑制作用を妨げない限り、通常の皮膚化粧料の製造に用いられる主剤、助剤又はその他の成分、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等を併用することができる。このように併用することで、より一般性のある製品となり、また、併用された上記成分との間の相乗作用が通常期待される以上の優れた効果をもたらすことがある。
【0073】
〔飲食品〕
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物は、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、血小板凝集抑制作用、TNF−α産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用、紫外線ダメージ回復作用、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用、脂肪分解作用、SCFmRNA発現抑制作用又はbFGFmRNA発現抑制作用を有しており、消化管で消化されるようなものではないことが確認されており、安全性にも優れているため、飲食品に配合するのに好適である。
【0074】
この場合に、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物をそのまま配合してもよいし、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物から製剤化した抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤又は美白剤を配合してもよい。
【0075】
上記金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物、又はそれから製剤化した抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤もしくは美白剤を飲食品に配合する場合、それらにおける有効成分の配合量は、使用目的、症状、性別等を考慮して適宜変更することができるが、添加対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して、成人1日あたりの抽出物摂取量が約1〜1000mgになるようにするのが好ましい。
【0076】
本発明の飲食品は、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物をその活性を妨げないような任意の飲食品に配合したものであってもよいし、金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を主成分とする栄養補助食品であってもよい。
【0077】
本発明の飲食品を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類などの任意の助剤を添加して任意の形状の飲食品にすることができる。
【0078】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を配合し得る飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤などが挙げられ、これらの飲食品に上記金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を配合するときに、通常用いられる補助的な原料や添加物を併用することができる。
【0079】
なお、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、血小板凝集抑制剤、免疫賦活剤、TNF−α産生促進剤、抗老化剤、抗肥満剤、美白剤、皮膚化粧料又は飲食品は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【実施例】
【0080】
以下、製造例、試験例及び配合例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
【0081】
〔製造例1〕金不換地上部抽出物の製造
金不換の地上部の粗粉砕物100gに抽出溶媒1000mLを加え、穏やかに攪拌しながら80℃にて2時間保ち、熱時濾過した。得られた抽出液を40℃で減圧下にて濃縮し、減圧乾燥機で乾燥して金不換地上部抽出物を得た(試料1〜3)。抽出溶媒として、水、50質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)、80質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:4)を用いたときの各抽出物の収率を表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
〔製造例2〕ヒメハギ地上部抽出物の製造
ヒメハギの地上部の粗粉砕物100gに抽出溶媒1000mLを加え、穏やかに攪拌しながら80℃にて2時間保ち、熱時濾過した。得られた抽出液を40℃で減圧下にて濃縮し、減圧乾燥機で乾燥して金不換地上部抽出物を得た(試料4〜6)。抽出溶媒として、水、50質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)、80質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:4)を用いたときの各抽出物の収率を表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
〔製造例3〕小花遠志地上部抽出物の製造
小花遠志の地上部の粗粉砕物100gに抽出溶媒1000mLを加え、穏やかに攪拌しながら80℃にて2時間保ち、熱時濾過した。得られた抽出液を40℃で減圧下にて濃縮し、減圧乾燥機で乾燥して小花遠志地上部抽出物を得た(試料7〜9)。抽出溶媒として、水、50質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)、80質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:4)を用いたときの各抽出物の収率を表3に示す。
【0086】
【表3】

【0087】
〔試験例1〕スーパーオキサイド消去作用試験(NBT法)
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにしてスーパーオキサイド消去作用を試験した。
【0088】
試験管に3mMのキサンチン、0.05MのNaCO緩衝液(pH10.2)、3mMのEDTA、ウシ血清アルブミン溶液、及び0.75mMのNBT(nitroblue tetrazolium)を0.1mLずつ加え、これに各試料溶液(試料1〜9)0.1mLを添加し、25℃で10分間放置した。放置後、酵素溶液としてのキサンチンオキシダーゼ溶液を加えて素早く攪拌し、25℃で20分間静置した。その後、6mMの塩化銅0.1mLを加えて反応を停止させて、波長560nmにおける吸光度を測定した。
【0089】
酵素溶液を添加しない場合についても、同様の操作と吸光度の測定を行い、さらに、試料溶液を添加せずに蒸留水を添加した場合についても同様の測定を行った。得られた結果から、下記式によりスーパーオキサイド消去率(%)を算出した。
【0090】
スーパーオキサイド消去率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
上記式において、Aは「酵素溶液添加・試料溶液添加時の吸光度」を、Bは「酵素溶液無添加・試料溶液添加時の吸光度」を、Cは「酵素溶液添加・試料溶液無添加時の吸光度」を、Dは「酵素溶液無添加・試料溶液無添加時の吸光度」を示す。
【0091】
試料溶液の濃度を段階的に減少させて上記スーパーオキサイド消去率の測定を行い、スーパーオキサイド消去率が50%になる試料濃度IC50(μg/mL)を内挿法により求めた。
上記試験の結果を表4に示す。
【0092】
【表4】

【0093】
表4に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上物抽出物は、優れたスーパーオキサイド消去作用を有することが確認された。また、スーパーオキサイド消去作用の程度は、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物又は小花遠志地上部抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
【0094】
〔試験例2〕ラジカル消去作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにしてラジカル消去作用を試験した。
【0095】
1.5×10−4MのDPPH(diphenyl-p-picrylhydrazyl)エタノール溶液3mLに試料溶液(試料1〜9)3mLを加え密栓した後、振り混ぜて30分間放置した。放置後、波長520nmにおける吸光度を測定した。コントロールとして、試料溶液の代わりに試料を溶解した溶媒のみを用いて同様の操作をして、波長520nmの吸光度を測定した。また、ブランクとして、エタノールに試料溶液3mLを加えた後、直ちに波長520nmの吸光度を測定した。得られた結果から、下記式によりラジカル消去率(%)を算出した。
【0096】
ラジカル消去率(%)={1−(B−C)/A}×100
上記式において、Aは「コントロールの吸光度」を、Bは「試料溶液添加時の吸光度」を、Cは「ブランクの吸光度」を表す。
【0097】
試料溶液の濃度を段階的に減少させて上記ラジカル消去率の測定を行い、ラジカル消去率が50%になる試料濃度IC50(μg/mL)を内挿法により求めた。
上記試験の結果を表5に示す。
【0098】
【表5】

【0099】
表5に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れたラジカル消去作用を有することが確認された。また、ラジカル消去作用の程度は、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物又は小花遠志地上部抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
【0100】
〔試験例3〕過酸化水素消去作用
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにして過酸化水素消去作用を試験した。
【0101】
1.5mMの過酸化水素溶液10μLに試料溶液(試料1〜9)10μLを加え、37℃で20分間反応させた後、発色溶液(100mMのDA−64(和光純薬社製)、0.5質量%トライトンX−100を含有する0.1MのPIPES緩衝液(pH7.0)100mLに100units/mLのペルオキシダーゼ1mLを添加し、全量を100mLに調整したもの)2.98mLを添加し、37℃で5分間インキュベートした。その後、波長727nmにおける吸光度を測定した。
【0102】
過酸化水素の標準溶液を添加していない場合についても、同様の操作と吸光度測定を行い、さらに、試料溶液を添加せずに蒸留水を添加した場合についても同様の測定を行った。得られた結果から、下記式により過酸化水素消去率(%)を算出した。
【0103】
過酸化水素消去率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
上記式において、Aは「過酸化水素標準溶液添加・試料溶液添加時の吸光度」を、Bは「過酸化水素標準溶液無添加・試料溶液添加時の吸光度」を、Cは「過酸化水素標準溶液添加・試料溶液無添加時の吸光度」を表し、Dは「過酸化水素標準溶液無添加・試料溶液無添加時の吸光度」を表す。
【0104】
試料濃度を段階的に減少させて上記過酸化水素消去率の測定を行い、過酸化水素の消去率が50%になる試料濃度IC50(μg/mL)を内挿法により求めた。
上記試験の結果を表6に示す。
【0105】
【表6】

【0106】
表6に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れた過酸化水素消去作用を有することが確認された。また、過酸化水素消去作用の程度は、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物又は小花遠志地上部抽出物の濃度により調節できることが確認された。
【0107】
〔試験例4〕グルタチオン産生促進作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにしてグルタチオン産生促進作用を試験した。
【0108】
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を10%FBS含有α−MEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10cells/mLの細胞密度に10%FBS含有α−MEMで希釈した後、48ウェルプレートに1ウェルあたり200μLずつ播種し、一晩培養した。培養後、1%FBS含有D−MEMで溶解した試料溶液(試料1〜9,試料濃度:200μg/mL)を各ウェルに200μL添加し、24時間培養した。培養終了後、各ウェルから培地を抜き、400μLのPBS(−)にて洗浄後、150μLのM−PER(PIERCE社製)を用いて細胞を溶解した。このようにして得られた細胞溶解液100μLを用いて、総グルタチオンの定量を下記のようにして行った。
【0109】
細胞溶解液100μL、0.1Mのリン酸緩衝液(50μL)、2mMのNADPH25μL及びグルタチオンレダクターゼ25μL(終濃度17.5unit/mL)を加え、37℃で10分間加温した後、10mMの5,5'-dithiobis(2-nitrobenzoic acid)25μLを加え、5分後までの波長412nmにおける吸光度を測定し、ΔOD/minを求めた。総グルタチオン濃度は、酸化型グルタチオンを用いて作成した検量線をもとに算出した。得られた値を総タンパク量あたりのグルタチオン量に補正した後、下記式によりグルタチオン産生促進率(%)を算出した。
【0110】
グルタチオン産生促進率(%)=B/A×100
上記式において、Aは「試料無添加時の細胞中における総タンパク量あたりのグルタチオン量」を、Bは「試料添加時の細胞中における総タンパク量あたりのグルタチオン量」を表す。
上記試験の結果を表7に示す。
【0111】
【表7】

【0112】
表7に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れたグルタチオン産生促進作用を有することが確認された。
【0113】
〔試験例5〕血小板凝集抑制作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにして血小板凝集抑制作用を試験した。
【0114】
(1)血小板浮遊液の調製
採血したウサギの血液にヘパリンナトリウム注射液(日本薬局方)を1/10量加えて遠心分離(180×g、10分、室温)して、血小板浮遊液(Platelet Rich Plasma;P.R.P.)を得た。
【0115】
(2)血小板凝集抑制作用試験
次に、血小板浮遊液(P.R.P.)223μLに200mmo1/Lの塩化カルシウム溶液1μLを加え、37℃で1分間反応した。これに試料溶液(試料1〜9)1μLを加え、さらに2分間反応し、撹拌子を入れて1分間撹絆した後、コラーゲン溶液25μLを添加して、37℃で10分間反応した後の血小板凝集率を測定した。別に、コントロールとして試料溶液の代わりに試料溶液の溶媒を添加した以外は、上記と同様に操作して血小板凝集率を測定した。得られた結果から、下記式により血小板凝集抑制率(%)を算出した。
【0116】
血小板凝集抑制率(%)=(A−B)/A×100
上記式において、Aは「コントロールの血小板凝集率」を表し、Bは「試料添加時の血小板凝集率」を表す。
【0117】
試料濃度を段階的に減少させて上記血小板凝集抑制率の測定を行い、血小板凝集抑制率が50%になる試料濃度IC50(μg/mL)を内挿法により求めた。
上記試験の結果を表8に示す。
【0118】
【表8】

【0119】
表8に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れた血小板凝集抑制作用を有することが確認された。また、血小板凝集抑制作用の程度は、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物又は小花遠志地上部抽出物の濃度により調節できることが確認された。
【0120】
〔試験例6〕TNF−α産生促進作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにしてTNF−α産生促進作用を試験した。
【0121】
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7細胞,大日本製薬社製)を、10%FBS含有DMEM培地を用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10cells/mLの細胞密度になるように10%FBS含有DMEMで希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、4時間培養した。
【0122】
培養終了後に培地を抜き、終濃度1.0%のDMSOを含む10%FBS含有DMEMで試料を溶解した試料溶液(試料1〜9,試料濃度:100μg/mL)を各ウェルに200μL添加し、24時間培養した。培養終了後、各ウェルの培養上清中のTNF−α量を、サンドイッチELISA法を用いて測定した。同様の方法により、試料を添加しない場合についても測定した。得られた結果から、下記式によりTNF−α産生促進率(%)を算出した。
【0123】
TNF−α産生促進率(%)=A/B×100
上記式において、Aは「試料添加時のTNF−α量」を、Bは「試料無添加時のTNF−α量」を表す。
上記試験の結果を表9に示す。
【0124】
【表9】

【0125】
表9に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れたTNF−α産生促進作用を有することが確認された。
【0126】
〔試験例7〕IV型コラーゲン産生促進作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにしてIV型コラーゲン産生促進作用を試験した。
【0127】
ヒト正常線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.6×10cells/mLの細胞密度になるようにダルベッコMEM培地を用いて希釈した後、96ウェルマイクロプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。
【0128】
培養終了後、培地を抜き、0.25%FBS含有ダルベッコMEM培地に溶解した試料溶液(試料1〜9,試料濃度:100μg/mL)を各ウェルに150μLずつ添加し、3日間培養した。培養後、各ウェルの培地中のIV型コラーゲン量をELISA法により測定した。得られた結果から、下記式によりIV型コラーゲン産生促進率(%)を算出した。
【0129】
IV型コラーゲン産生促進率(%)=A/B×100
上記式において、Aは「試料添加時のIV型コラーゲン量」を、Bは「試料無添加時のIV型コラーゲン量」を表す。
上記試験の結果を表10に示す。
【0130】
【表10】

【0131】
表10に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れたIV型コラーゲン産生促進作用を有することが確認された。
【0132】
〔試験例8〕エストロゲン様作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにしてエストロゲン様作用を試験した。
【0133】
ヒト乳癌由来細胞(MCF−7)を10%FBS、1%NEAA及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を、活性炭処理した10%FBS、1%NEAA及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有しフェノールレッドを含有しないMEM培地(T−MEM培地)を用いて、3.0×10cells/mLの細胞密度に調整した後、48ウェルプレートに1ウェルあたり450μLずつ播種し、細胞を定着させるため培養した。6時間後(0日目)にT−MEM培地で終濃度の10倍に調整した試料溶液(試料1〜9,試料濃度:50μg/mL)を各ウェルに50μLずつ添加し培養を続けた。3日目に培地を抜き、T−MEM培地で終濃度に調整した試料溶液(試料1〜9)を各ウェルに0.5mLずつ添加し、さらに培養を続けた。
【0134】
エストロゲン様作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、1%NEAA及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するMEM培地に終濃度0.4mg/mLで溶解したMTTを各ウェルに200μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。ポジティブコントロールとして、1×10−9Mのエストラジオールを使用した。得られた結果から、下記式によりエストロゲン様作用率(%)を算出した。
【0135】
エストロゲン様作用率(%)=A/B×100
上記式において、Aは「試料溶液添加時の吸光度」を表し、Bは「試料溶液無添加時の吸光度」を表す。
上記試験の結果を表11に示す。
【0136】
【表11】

【0137】
表11に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れたエストロゲン様作用を有することが確認された。
【0138】
〔試験例9〕線維芽細胞増殖促進作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにして線維芽細胞増殖促進作用を試験した。
【0139】
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を10%FBS含有α−MEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を7.0×10cells/mLの濃度に5%FBS含有α−MEMで希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、5%FBS含有α−MEMで溶解した試料溶液(試料1〜9,試料濃度:200μg/mL)を各ウェルに100μLずつ添加し、3日間培養した。
【0140】
線維芽細胞増殖作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。培養終了後、各ウェルから100μLずつ培地を抜き、終濃度5mg/mLでPBS(−)に溶解したMTTを各ウェルに20μLずつ添加した。4.5時間培養した後に、10%SDSを溶解した0.01mol/Lの塩酸溶液を各ウェルに100μLずつ添加し、一晩培養した後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。また、同様の方法で空試験を行い補正した。得られた結果から、下記式により線維芽細胞増殖促進率(%)を算出した。
【0141】
線維芽細胞増殖促進率(%)=(St−Sb)/(Ct−Cb)×100
上記式において、Stは「試料を添加した細胞での吸光度」を表し、Sbは「試料を添加した空試験の吸光度」を表し、Ctは「試料を添加しない細胞での吸光度」を表し、Cbは「試料を添加しない空試験の吸光度」を表す。
上記試験の結果を表12に示す。
【0142】
【表12】

【0143】
表12に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れた線維芽細胞増殖促進作用を有することが確認された。
【0144】
〔試験例10〕表皮角化細胞増殖促進作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにして表皮角化細胞増殖作用を試験した。
【0145】
正常ヒト新生児包表皮角化細胞(NHEK)を、80cmのフラスコで正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(Epilife-KG2)を用いて37℃、5%CO−95%airの条件下で培養した後、トリプシン処理にて細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10cells/mLの細胞密度になるようにEpilife-KG2にて希釈した後、コラーゲンコートした96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。その後、試料をEpiLife-KG2に溶解した試料溶液(試料1〜9,試料濃度:12.5μg/mL)を各ウェルに100μL添加し、3日間培養した。
【0146】
表皮角化細胞増殖作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、終濃度0.4mg/mLでPBS(−)に溶解したMTTを各ウェル100μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。得られた結果から、下記式により表皮角化細胞増殖促進率(%)を算出した。
【0147】
表皮角化細胞増殖促進率(%)=St/Ct×100
上記式において、Stは「試料を添加した細胞での吸光度」を表し、Ctは「試料を添加しない細胞での吸光度」を表す。
上記試験の結果を表13に示す。
【0148】
【表13】

【0149】
表13に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れた表皮角化細胞増殖促進作用を有することが確認された。
【0150】
〔試験例11〕HAS3mRNA発現促進作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにしてHAS3mRNA発現促進作用を試験した。
【0151】
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(normal human epidermal keratinocyte;NHEK)を80cmフラスコで正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(Epilife-KG2)において、37℃、5%CO−95%airの条件下にて前培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。
【0152】
回収した細胞を35mmシャーレ(FALCON社製)に40×10cells/2mLずつ播種し、37℃、5%CO2−95%airの条件下で、Epilife-KG2を用いて一晩培養した。24時間後に培養液を捨て、Epilife-KG2で溶解した試料溶液(試料1〜9,試料濃度:1μg/mL)を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃、5%CO−95%airの条件下にて24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN(ニッポンジーン社製,Cat. No. 311-02501)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200μg/mLになるように総RNAを調製した。
【0153】
この総RNAを鋳型とし、HAS3(Hyaluronan Synthase3)及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置Smart cycler(Cepheid社製)を用いて、TaKaRa SYBER Prime Script RT-PCR kit(Perfect Real Time,code No. RR063A)によるリアルタイム2Step RT-PCR反応により行った。HAS3の発現量は、「試料無添加」で及び「試料添加」でそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求め、さらに「試料無添加」の補正値を100としたときの「試料添加」の補正値を算出した。得られた結果から、下記式によりHAS3mRNA発現促進率(%)を算出した。
【0154】
HAS3mRNA発現促進率(%)=A/B×100
上記式において、Aは「試料添加時の補正値」を表し、Bは「試料無添加時の補正値」を表す。
上記試験の結果を表14に示す。
【0155】
【表14】

【0156】
表14に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れたHAS3mRNA発現促進作用を有することが確認された。
【0157】
〔試験例12〕AQP3mRNA発現促進作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにしてAQP3mRNA発現促進作用を試験した。
【0158】
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(normal human epidermal keratinocyte;NHEK)を80cmフラスコで正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(Epilife-KG2)において、37℃、5%CO−95%airの条件下にて前培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。
【0159】
回収した細胞を35mmシャーレ(FALCON社製)に40×10cells/2mLずつ播種し、37℃、5%CO−95%airの条件下で、Epilife-KG2を用いて一晩培養した。24時間後に培養液を捨て、Epilife-KG2で溶解した試料溶液(試料1〜9,試料濃度:1μg/mL)を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃、5%CO−95%airの条件下にて24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN(ニッポンジーン社製,Cat. No. 311-02501)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200μg/mLになるように総RNAを調製した。
【0160】
この総RNAを鋳型とし、AQP3(aquaporin3)及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置Smart Cycler(Cepheid社製)を用いて、TaKaRa SYBER Prime Script RT-PCR kit(Perfect Real Time,code No. RR063A)によるリアルタイム2Step RT-PCR反応により行った。AQP3の発現量は、「試料無添加」で及び「試料添加」でそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求め、さらに「試料無添加」の補正値を100としたときの「試料添加」の補正値を算出した。得られた結果から、下記式によりAQP3mRNA発現促進率(%)を算出した。
【0161】
AQP3mRNA発現促進率(%)=A/B×100
上記式において、Aは「試料添加時の補正値」を表し、Bは「試料無添加時の補正値」を表す。
上記試験の結果を表15に示す。
【0162】
【表15】

【0163】
表15に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れたAQP3mRNA発現促進作用を有することが確認された。
【0164】
〔試験例13〕紫外線照射によるダメージ回復作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにして紫外線照射によるダメージ回復作用を試験した。
【0165】
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有α−MEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10cells/mLの細胞密度になるようにα−MEM培地を用いて希釈した後、48ウェルプレートに1ウェルあたり200μLずつ播種した。24時間培養後、培地を100μLのPBS(−)へ交換し、1.0J/cmのUV−Bを照射した。照射後、直ちに、PBS(−)を抜き、10%FBS含有D−MEMに溶解した試料溶液(試料1〜9,試料濃度;25μg/mL)を各ウェルに400μLずつ添加し、24時間培養した。
【0166】
紫外線(UV−B)照射によるダメージ回復作用は、MTTアッセイを用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、終濃度0.4mg/mLで溶解したMTTを各ウェルに200μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出し、抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。また、同様に細胞を播種した後、UV−Bを照射しない細胞及びUV−Bを照射し試料溶液を添加しない細胞についても同様に測定し、それぞれ非照射群及び照射群とした。得られた結果から、下記式により紫外線(UV−B)照射によるダメージ回復率(%)を算出した。
【0167】
ダメージ回復率(%)={(Nt−C)−(Nt−Sa)}/(Nt−C)×100
上記式において、Ntは「UV−Bを照射していない細胞での吸光度」を表し、Cは「UV−Bを照射し試料溶液を添加していない細胞での吸光度」を表し、Saは「UV−Bを照射し試料溶液を添加した細胞」での吸光度を表す。
上記試験の結果を表16に示す。
【0168】
【表16】

【0169】
表16に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れた紫外線照射によるダメージ回復作用を有することが確認された。
【0170】
〔試験例14〕サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにしてサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を試験した。
【0171】
5mMの塩化マグネシウムを含有する50mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.5)0.2mLに、2.5mg/mLのウシ血清アルブミン溶液0.1mL、0.1mg/mLのサイクリックAMPホスホジエステラーゼ溶液0.1mL及び50%DMSOに溶解した試料溶液(試料1〜9)0.05mLを加え、37℃の温度条件下で5分間インキュベーションした。この反応溶液に、0.5mg/mLのサイクリックAMP溶液0.05mLを加え、37℃の温度条件下で60分間インキュベーションした。3分間沸騰水浴上で煮沸することにより反応を停止させ、これを遠心(2260×g,10分間,4℃)し、上清中の反応基質であるサイクリックAMPを、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーを用いて分析した。また、試料溶液を添加せずに同様の方法で空試験を行った。
【0172】
<高速液体クロマトグラフィー条件>
製品名:Chromatocorder 12(SYSTEM INSTRUMENTS社製)
固定相:Wakosil 5C18(和光純薬工業社製)
カラム径:4.6mm
カラム長:250mm
移動相:1mM TBAP in 25mM KH2PO4:CH3CN=90:10
移動相流速:1.0mL/min
検出:UV,260nm
【0173】
次に、サイクリックAMP標準品のピーク面積(A)、試料無添加時におけるサイクリックAMP標準品とサイクリックAMPホスホジエステラーゼとの反応溶液の上清のピーク面積(B1)及び試料添加時におけるサイクリックAMP標準品とサイクリックAMPホスホジエステラーゼとの反応溶液の上清のピーク面積(B2)を求めた。得られた結果から、下記式により試料無添加時のサイクリックAMP標準品の分解率(C)及び試料添加時のサイクリックAMP標準品の分解率(D)を算出した。
【0174】
試料無添加時の標準品分解率(C,%)=(1−B1/A)×100
試料添加時の標準品の分解率(D,%)=(1−B2/A)×100
【0175】
その後、上記式により算出した各分解率(C,D)に基づいて、下記式によりサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害率(%)を算出した。
サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害率(%)=(1−D/C)×100
【0176】
試料溶液の濃度を段階的に減少させて、上記サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害率を算出し、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害率が50%になる試料濃度IC50(μg/mL;ppm)を内挿法により求めた。
上記試験の結果を表17に示す。
【0177】
【表17】

【0178】
表17に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れたサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を有することが確認された。また、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用の程度は、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物又は小花遠志地上部抽出物の濃度により調節できることが確認された。
【0179】
〔試験例15〕脂肪分解促進作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにして脂肪分解促進作用を試験した。
【0180】
ロッドベルの方法(Rodbell M., J. Biol. Chem., 239, 375(1964))により、ウィスター系雄性ラット(体重150〜200g)の副睾丸脂肪組織からコラゲナーゼ溶液を用いて遊離脂肪細胞を調製した。得られた遊離脂肪細胞の懸濁液90μLに、最終試料濃度が400μg/mLとなるように50%DMSOで調製した試料溶液(試料1〜9)10μLを加え、37℃にて90分間反応した。反応後、反応液中に遊離した脂肪酸量をNEFA−C−テストワコー(和光純薬工業社製)を用いて測定した。同様にして、試料を添加しない場合についても測定した。得られた結果から、下記式により脂肪分解促進率(%)を算出した。
【0181】
脂肪分解促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時の遊離脂肪酸量」を表し、Bは「試料無添加時の遊離脂肪酸量」を表す。
上記試験の結果を表18に示す。
【0182】
【表18】

【0183】
表18に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れた脂肪分解促進作用を有することが確認された。
【0184】
〔試験例16〕SCFmRNA発現抑制作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにしてSCFmRNA発現抑制作用を試験した。
【0185】
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(normal human epidermal keratinocyte;NHEK)を80cmフラスコで正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(Epilife-KG2)において、37℃、5%CO−95%airの条件下にて前培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。
【0186】
回収した細胞を35mmシャーレ(FALCON社製)に40×10cells/2mLずつ播種し、37℃、5%CO−95%airの条件下で、Epilife-KG2を用いて一晩培養した。24時間後に培養液を捨て、HEPES緩衝液1mLを加え、UV−B照射(50mJ/cm)を行い、その後Epilife-KG2で溶解した試料溶液(試料1〜9,試料濃度:1μg/mL,10μg/mL)を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃、5%CO−95%airの条件下にて24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN(ニッポンジーン社製,Cat. No. 311-02501)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200μg/mLになるように総RNAを調製した。
【0187】
この総RNAを鋳型とし、SCF(Stem Cell Factor)及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置Smart cycler(Cepheid社製)を用いて、TaKaRa SYBER Prime Script RT-PCR kit(Perfect Real Time,code No. RR063A)によるリアルタイム2Step RT-PCR反応により行った。SCFの発現量は、「紫外線未照射・試料無添加」、「紫外線照射・試料無添加」及び「紫外線照射・試料添加」でそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求め、さらに「紫外線未照射・試料無添加」の補正値を100としたときの「紫外線照射・試料無添加」及び「紫外線照射・試料添加」の補正値を算出した。得られた結果から、下記式によりSCFmRNA発現抑制率(%)を算出した。
【0188】
SCFmRNA発現抑制率(%)={(A−B)−(A−C)}/(A−B)×100
式中、Aは「紫外線未照射・試料無添加時の補正値」を表し、Bは「紫外線照射・試料無添加時の補正値」を表し、Cは「紫外線照射・試料添加時の補正値」を表す。
上記試験の結果を表19に示す。
【0189】
【表19】

【0190】
表19に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れたSCFmRNA発現抑制作用を有することが確認された。
【0191】
〔試験例17〕bFGFmRNA発現抑制作用試験
製造例1により得られた金不換地上部抽出物(試料1〜3)、製造例2により得られたヒメハギ地上部抽出物(試料4〜6)及び製造例3により得られた小花遠志地上物抽出物(試料7〜9)について、以下のようにしてbFGFmRNA発現抑制作用を試験した。
【0192】
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(normal human epidermal keratinocyte;NHEK)を80cmフラスコで正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(Epilife-KG2)において、37℃、5%CO−95%airの条件下にて前培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。
【0193】
回収した細胞を35mmシャーレ(FALCON社製)に40×10cells/2mLずつ播種し、37℃、5%CO−95%airの条件下で、Epilife-KG2を用いて一晩培養した。24時間後に培養液を捨て、HEPES緩衝液1mLを加え、UV−B照射(50mJ/cm)を行い、その後Epilife-KG2で溶解した試料溶液(試料1〜9,試料濃度:1μg/mL,10μg/mL)を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃、5%CO−95%airの条件下にて24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN(ニッポンジーン社製,Cat. No. 311-02501)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200μg/mLになるように総RNAを調製した。
【0194】
この総RNAを鋳型とし、bFGF(basic Fibroblast Growth Factor)及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置Smart cycler(Cepheid社製)を用いて、TaKaRa SYBER Prime Script RT-PCR kit(Perfect Real Time,code No. RR063A)によるリアルタイム2Step RT-PCR反応により行った。bFGFの発現量は、「紫外線未照射・試料無添加」、「紫外線照射・試料無添加」及び「紫外線照射・試料添加」でそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求め、さらに「紫外線未照射・試料無添加」の補正値を100としたときの「紫外線照射・試料無添加」及び「紫外線照射・試料添加」の補正値を算出した。得られた結果から、下記式によりbFGFmRNA発現抑制率(%)を算出した。
【0195】
bFGFmRNA発現抑制率(%)={(A−B)−(A−C)}/(A−B)×100
式中、Aは「紫外線未照射・試料無添加時の補正値」を表し、Bは「紫外線照射・試料無添加時の補正値」を表し、Cは「紫外線照射・試料添加時の補正値」を表す。
上記試験の結果を表20に示す。
【0196】
【表20】

【0197】
表20に示すように、金不換地上部抽出物、ヒメハギ地上部抽出物及び小花遠志地上部抽出物は、優れたbFGFmRNA発現抑制作用を有することが確認された。
【0198】
〔配合例1〕
下記組成の乳液を常法により製造した。
金不換地上部抽出物(製造例1) 0.01g
ホホバオイル 4.0g
プラセンタエキス 0.1g
カミツレエキス 0.1g
オリーブオイル 2.0g
スクワラン 2.0g
セタノール 2.0g
モノステアリン酸グリセリル 2.0g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.5g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.0g
1,3−ブチレングリコール 3.0g
ヒノキチオール 0.15g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0199】
〔配合例2〕
下記組成のクリームを常法により製造した。
ヒメハギ地上部80%エタノール抽出物(製造例2) 0.1g
ニンジンエキス 0.1g
ワレモコウエキス 0.1g
流動パラフィン 5.0g
サラシミツロウ 4.0g
セタノール 3.0g
スクワラン 10.0g
ラノリン 2.0g
ステアリン酸 1.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3.0g
1,3−ブチレングリコール 6.0g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
香料 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0200】
〔配合例3〕
下記組成のパックを常法により製造した。
小花遠志地上部水抽出物(製造例3) 0.05g
アロエエキス 0.1g
ポリビニルアルコール 15.0g
ポリエチレングリコール 3.0g
プロピレングリコール 7.0g
エタノール 10.0g
パラオキシ安息香酸メチル 0.05g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0201】
〔配合例4〕
下記組成の化粧水を常法により製造した。
金不換地上部80%エタノール抽出物(製造例1) 0.05g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
油溶性甘草エキス 0.1g
グリセリン 5.0g
プロピレングリコール 5.0g
ポリエチレングリコール 2.0g
ポリオキシエチレングリコール 2.0g
エタノール 7.0g
水酸化カリウム 0.01g
香料 0.01g
パラオキシ安息香酸ブチル 0.05g
水溶性色素 0.2g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0202】
〔配合例5〕
下記組成の錠剤状栄養補助食品を常法により製造した。
ヒメハギ地上部50%エタノール抽出物(製造例2) 30g
粉糖(ショ糖) 178g
ソルビット 10g
グリセリン脂肪酸エステル 12g
【0203】
〔配合例6〕
下記組成の顆粒状栄養補助食品を常法により製造した。
小花遠志地上部水抽出物(製造例3) 20g
ビートオリゴ糖 1000g
ビタミンC 167g
ステビア抽出物 10g
【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明の抗酸化剤は、活性酸素が関与する各種障害の予防、治療又は改善に、本発明の抗炎症剤又は血小板凝集抑制剤は、各種炎症性疾患の予防、治療又は改善に、本発明の免疫賦活剤又はTNF−α産生促進剤は、癌、感染症、アレルギー症状等の各種疾患の予防、治療又は改善に、本発明の抗老化剤は、皮膚の老化の予防、治療又は改善に、本発明の抗肥満剤は、肥満や、それに伴う動脈硬化、糖尿病、メタボリック症候群等の様々な疾病等の予防、治療又は改善に、本発明の美白剤は、皮膚色素沈着症、シミ等の予防、治療又は改善に大きく貢献できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化剤。
【請求項2】
前記抽出物が、SOD様作用、過酸化水素消去作用、ラジカル消去作用及びグルタチオン産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することを特徴とする請求項1に記載の抗酸化剤。
【請求項3】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗炎症剤。
【請求項4】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする血小板凝集抑制剤。
【請求項5】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活剤。
【請求項6】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするTNF−α産生促進剤。
【請求項7】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗老化剤。
【請求項8】
前記抽出物が、IV型コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、表皮角化細胞増殖促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、グルタチオン産生促進作用、HAS3mRNA発現促進作用、アクアポリン3mRNA発現促進作用及び紫外線ダメージ回復作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することを特徴とする請求項7に記載の抗老化剤。
【請求項9】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗肥満剤。
【請求項10】
前記抽出物が、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用及び/又は脂肪分解促進作用を有することを特徴とする請求項9に記載の抗肥満剤。
【請求項11】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする美白剤。
【請求項12】
前記抽出物が、SCFmRNA発現抑制作用及び/又はbFGFmRNA発現抑制作用を有することを特徴とする請求項11に記載の美白剤。
【請求項13】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を配合したことを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項14】
金不換、ヒメハギ及び小花遠志からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を配合したことを特徴とする飲食品。

【公開番号】特開2009−46465(P2009−46465A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261641(P2007−261641)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】