説明

皮膚外用剤

【課題】本発明の解決しようとする問題点は、高い美白作用を有する安全性の高い皮膚外用剤を供給することである。
【解決手段】本発明は、メシマコブの子実体及び/又は菌床抽出物の1種又は2種以上とビタミンE及び/又はその誘導体、又はビタミンB2等の美白剤を併せて含有させることにより美白作用が相乗的に向上することを見出し、極めて高い美白効果を有する皮膚外用剤を提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美白皮膚外用剤に関し、詳しくは、メシマコブの子実体及び/又は菌床抽出物の1種又は2種以上と美白剤とを含有してなる美白皮膚外用剤に関する。
【技術背景】
【0002】
メシマコブは桑に特異的に寄生して、子実体の裏側が鮮黄色または黄褐色を呈する半円形をしたサルノコシカケのような木質のキノコである。メシマコブは漢方では桑黄と呼ばれ、日本では長崎県の男女群島や、韓国、北米、オーストラリア、フィリピンなど東南アジアの温帯地域に広く分布して自生している。また、抗腫瘍作用を有することが知られ、従来から健康食品又は漢方薬として利用されている。
【0003】
近年、メシマコブより得られる抽出物及びメシマコブを培養して得られる抽出物を配合する化粧料に、美肌効果や美白効果等を有することが報告されている。(特許第3619185号公報や特開2002−241300号公報)
【0004】
一方、従来より美白効果を有した素材を配合した化粧料の検討が種々なされている。例えば、アスコルビン酸誘導体や種々の植物抽出物、又はそれらを組合わせて配合した化粧料(特許第3531734号公報,特開2003−360424号公報)などがある。
【0005】
しかしながら、上記の化粧料では、美白効果を十分に満足するものではなく、高い美白効果を有する皮膚外用剤が望まれていた。
【特許文献1】特許第3619185号公報
【特許文献2】特開2002−241300号公報
【特許文献3】特許第3531734号公報
【特許文献4】特開2003−360424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、高い美白作用を有する安全性の高い皮膚外用剤を供給することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、メシマコブの子実体及び/又は菌床抽出物の1種又は2種以上と美白剤を含有することにより、飛躍的に美白作用が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、メシマコブの子実体及び/又は菌床抽出物の1種又は2種以上とビタミンE及び/又はその誘導体、又はビタミンB2等の美白剤を併せて含有させることにより美白作用が相乗的に向上することを見出し、極めて高い美白効果を有する皮膚外用剤を提供するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明による皮膚外用剤は、極めて高い美白効果を有することに加え、高い安全性を有することから、美白効果の高い皮膚外用剤や化粧料の提供を可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の化粧料に用いるメシマコブ(P.yucatensis(Murr.)Imaz.)の子実体は、天然物或いは栽培物でも良い。天然の子実体は、桑の木に発生したメシマコブを用いるのが特に望ましい。栽培のメシマコブ子実体は、上記天然の子実体から公知の方法により分離した菌糸体を、桑の原木及び菌床培地に接種し、20〜30℃で培養後、発生した子実体を用いる。
【0010】
メシマコブの培養菌糸は、上記天然の子実体から公知の方法により分離した菌糸体を、ポテト・デキストロース培地、チャペック培地等の各種液体培地で、2〜4週間、20〜30℃で培養後、ろ過して得られる
【0011】
メシマコブの菌糸培養液は、上記培地で培養した培養菌糸を、ろ過によって除去して得られるろ液を用いる。
【0012】
メシマコブの菌床は、米ぬか、ふすま、コーンブラン等の一般にキノコ栽培に使用されている栄養添加物と水を添加した桑のオガクズ培地より調製する。このオガクズ培地を栽培容器へ詰め込み、殺菌・冷却後、上記天然の子実体から公知の方法により分離した菌糸体を接種し、20〜30℃で
3〜6ヶ月間培養後、オガクズ培地に菌糸が蔓延したものを用いる。
【0013】
メシマコブの天然の子実体、栽培された子実体、菌床の抽出物の調製法は特に限定されないが、例えば種々の適当な有機溶媒を用いて低温下から加温下で抽出される。抽出溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチルなどのアルキルエステル;ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素;ジエチルエーテル等のエーテル類;ジクロルメタン、クロロホルム等のハロゲン化アルカン等の1種または2種以上を用いることが出来る。そのうち、水、エチルアルコール、1,3−ブチレングリコールの1種または2種以上の混合溶媒が特に好適である。
【0014】
メシマコブの天然の子実体、栽培された子実体、菌床の各種抽出物は、生のままあるいは乾燥したものを一種又は二種以上を重量比で1〜1000倍量、特に10〜100倍量の溶媒を用い、常温抽出の場合には、0℃以上、特に20℃〜40℃で1時間以上、特に3〜7日間行うのが好ましい。また、60〜100℃で0.5〜24時間、加熱抽出しても良い。
【0015】
以上のような条件で得られるメシマコブの天然の子実体、栽培された子実体、菌床の各種抽出物は、溶液のまま用いても良いが、更に必要により、ろ過等の処理をして、濃縮、粉末化したものを適宜使い分けて用いることが出来る。
【0016】
本発明の化粧料におけるメシマコブの天然の子実体、栽培された子実体、菌床抽出物の配合量は、蒸発乾燥分に換算して0.00001〜99重量%が利用でき、好ましくは0.0001〜20.0重量%、特に0.01〜5.0重量%の範囲が最適である。
【0017】
本発明に用いることができる美白剤は、アスコルビン酸又はその誘導体、及び美白効果を有する植物抽出物であれば特に限定はされない。アスコルビン酸又はその誘導体の配合量は、相乗効果を有する有効量であれば、特に制限はないが、0.001〜5重量%が好ましく、更に、0.01〜1重量%が好ましい。
【0018】
本発明に用いることができる美白剤としての植物抽出物は、ユリ科アマドコロ属植物としてはアマドコロ(Polygonatum odoratum(Mill.)Druce var.
pluriflorum(Miq.)Ohwi)、ヒメイズイ(P. humile Fisch.)、ナルコユリ(P.
falcatum A. Gray)が、ネギ属植物としてはニラ(Allium
tuberosum ROTLER)が、マメ科クララ属植物としてはクララ(Sophora flavescens Aiton)、エンジュ(S. japonica L.)イソフジ(S. tomentosa
L.が)、クズ属植物としてはクズ(Pueraria
lobata (Willd.)ohwi)が、ダイズ属植物としてはダイズ(Glycine max Merr.)、ツルマメ(G.soja Siebold et Zucc.)が、フジ属植物としてはノダフジ(Wistaria Floribunda(Willd.)DC.)、ヤマフジ(W.brachybotrys Siebold et Zucc.)が、フォエヌム・グラエクム属としてはコロハ(Trigonella foenum−graecum L.)が、ウリ科カボチャ属植物としてはカボチャ(Cucurbita moschata(Duchesne)Poir. var. meloniformis(Carriere)Makino)、セイヨウカボチャ(C. pepo L.)が、ニガウリ属植物としてはツルレイシ(Momordica charantia L.)(別名ニガウリ)が、ヘチマ属植物としてはヘチマ(Luffa aegyptiaca Mill.)が、タデ科ソバ属植物としてはソバ(Fagopyrum esculentum Moench)、(F.dibotrys(D.Don)H.Hara)が、セリ科ウイキョウ属植物としてはウイキョウ(Foeniculum vulgare Mill.)、アブラナ科アルバ属植物としてはシロガラシ(Sinapis alba L.)が利用できる。
【0019】
また、イレイセン抽出物、ひまわり種子抽出物、イブキトラノオ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、オノニス抽出物、ゴカヒ抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、ソウハクヒ抽出物、茶抽出物、トウキ抽出物、ビャクレン抽出物、ブナノキ抽出物、ブドウ種子抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ヨクイニン抽出物を用いることもできる。
【0020】
上記植物抽出物に調製は特に限定されないが、例えば種々の適当な有機溶媒を用いて低温下から加温下で抽出される。抽出溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチルなどのアルキルエステル;ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素;ジエチルエーテル等のエーテル類;ジクロルメタン、クロロホルム等のハロゲン化アルカン等の1種または2種以上を用いることが出来る。とりわけ、水、エチルアルコール、1,3−ブチレングリコールの1種または2種以上の混合溶媒が特に好適である
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、上記必須成分のほか、化粧品、医薬部外品、医薬品に用いられる水性成分、油性成分、植物抽出物、動物抽出物、粉末、界面活性剤、油剤、アルコール、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、色素、香料等を必要に応じて混合して適宜配合することにより調製される。本発明の化粧料の剤型は特に限定されず、化粧水、乳液、クリーム、パック、パウダー、スプレー、軟膏、分散液、洗浄料等種々の剤型とすることができる。
【実施例】
【0022】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
まず、評価項目および方法に関して詳述する。各実施例及び比較例共に女性及び男性パネラー合計20名に、実施例試料と比較例試料とを配布した後それぞれが3ヶ月間毎日1回適量を塗布してもらい、3ヵ月後に使用前の状態と比較し、シミの状態の変化を判定し、実施例試料と比較例試料との優劣判定した、表1及び表2に示した。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】

表1は、乳液に製剤化した実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例3をそれぞれパネラーテストを実施し、その結果を示した。また、パネラーテストの実施に際し、テスト期間中に実施例を使用したパネラー全員に皮膚への違和感や肌トラブル等の異常は見られなかった。

【0027】

表2は、クリームに製剤化した実施例4〜実施例6及び比較例4〜比較例6をそれぞれパネラーテストを実施し、その結果を示した。また、パネラーテストの実施に際し、テスト期間中に実施例を使用したパネラー全員に皮膚への違和感や肌トラブル等の異常は見られなかった。

【0028】

表1及び表2より、本発明のメシマコブの子実体及び/又は菌床抽出物の1種又は2種以上と美白剤であるアスコルビン酸誘導体を併せて含有させた実施例は、メシマコブの子実体及び/又は菌床抽出物を単独で含有させた比較例に比べシミを改善する効果に優れていること、及び、イレイセン抽出物、ソウハクヒ抽出物、シラユリ抽出物を単独又は組合わせて含有させた比較例に比べ極めて高いシミを改善する効果に優れていることがわかる。

【産業上の利用可能性】
【0029】

本発明の化粧料は、シミ改善効果に優れ、高い安全性を有することから、広く美白皮膚外用剤や美白化粧料に応用が期待できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メシマコブの子実体及び/又は菌床抽出物の1種又は2種以上と美白剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
前記美白剤がアスコルビン酸又はその誘導体、又は植物抽出物の1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2006−282594(P2006−282594A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105410(P2005−105410)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】