説明

皮膚外用剤

【課題】安定で、使用後の肌のハリ感効果に優れる皮膚外用剤を提供する。また、安定性、使用後の肌のハリ感効果に加え、さらに肌への密着感に優れるとともに、べたつき感のない皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】ワックスが固体〜半固体状で水系分散媒中に微細分散してなるワックス微細分散組成物を含む皮膚外用剤であって、前記ワックス微細分散組成物が、常温で固体〜半固体のワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒と、イオン性水溶性増粘剤と、所望によりさらに常温で液状のシリコーン油および/またはフッ素系油を含有し、非イオン界面活性剤/ワックスの質量比が1.0以上であり、微細分散されたワックスの粒径が500nm以下であり、イオン性界面活性剤を実質的に含有しないことを特徴とする皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワックスが固体〜半固体状で水系分散媒中に微細分散してなるワックス微細分散組成物を含む皮膚外用剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、安定で、使用後の肌のハリ感効果に優れる皮膚外用剤に関する。また本発明は、安定性、使用後の肌のハリ感効果に加え、肌への密着感に優れるとともに、べたつき感のない皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
抗老化化粧料等において、使用後のハリ感は化粧料の効果を迅速に実感できる感触として重要である。従来はポリビニルアルコール等の水溶性高分子によりハリ感を演出する手法を用いることが多かったが、必ずしも満足な効果が得られず、ハリ感のより一層の向上が求められていた。また化粧料として、ハリ感に加え、肌への密着感に優れ、べたつき感がないものがより望ましい。
【0003】
本発明に関連する技術を開示した先行技術文献は以下のとおりである。
【0004】
すなわち、特許文献1〜3に示すように、化粧品において、ワックス配合によるべたつき、ぎらつき等の欠点を解消するために、ワックスを溶媒中に微細分散させてワックスエマルジョンとして用いることで、上記欠点の解消に加え、安定性、安全性にも優れるワックス微細分散組成物を得るという技術が本出願人により提案されている。しかし、特許文献1〜3に記載のワックス微細分散組成物は、いずれもワックス自体が持つつや出し、保形性等の効能を利用して、セットローション、ヘアムース等の毛髪化粧料や、つや出し剤に適用することを目的とするもので、これら特許文献には本発明のような使用後の肌のハリ感向上を図るということについての記載・示唆はない。またべたつき感のない使用性、肌への密着感を得るというようなことについての記載・示唆もない。
【0005】
特許文献4〜5にもワックスのマイクロデスパージョンを含む毛髪化粧組成物が記載されているが、これら特許文献4〜5に開示の技術も、ワックス自体が持つつや出し、保形性等の効能を利用して、セットローション、ヘアムース等の毛髪化粧料や、つや出し剤に適用することを目的とし、本発明のような使用後に肌のハリ感を感じられるようにするというようなことについての記載・示唆はない。またべたつき感のない使用性、肌への密着感を得るというようなことについての記載・示唆もない。
【0006】
特許文献6には、特定の油成分またはワックス成分を含むワックス相と、水相を含む、0.5〜100μmの平均粒子径を有するワックス分散液に関する発明が記載されている。しかしこのよう粒径が大きいと長期間保存での安定性が懸念される。また該ワックス分散液は湿潤ワイプおよび乾燥ワイプの製造用のティッシュペーパー等の基材上にコーティングするために用いられるもので、皮膚外用剤に配合して使用後の肌のハリ感向上を図るというようなことや、さらには、べたつき感がない使用性、肌への密着感というようなことの記載・示唆はない。特許文献6には非イオン界面活性剤/ワックスの質量比について記載はなく、実施例(表1。[0081])に示すワックス分散液はいずれもが非イオン界面活性剤/ワックスの比が1.0未満の組成のもののみである。
【0007】
特許文献7には、非晶質と結晶質成分からなるワックス30〜60質量%と、非イオン界面活性剤および/または両性界面活性剤5〜20質量%と、所望により水を含有する真珠箔ワックスに関する発明が記載されている。すなわち特許文献7の発明における非イオン界面活性剤/ワックスの質量比は1.0未満である。また特許文献7には、真珠箔ワックスの製造において、ワックスの融点以上、可溶化温度範囲に加温して可溶化状態を得るという工程についての記載・示唆はなく、粒径500nm以下という極微細なワックス粒子分散についての記載・示唆もない。特許文献7の実施例で得られた分散物中の微細結晶化ワックス粒子は12μm、13μmという大粒径であり([0077]の表1)、背景技術の欄にも、真珠箔ワックスは一般に5〜60μmの粒度を有する必要があると記載されている([0002])。
【0008】
特許文献8には、無水ワックス混合物と、HLB10以上のアニオン性または非イオン性乳化剤を含む自己乳化型基剤(請求項8)、並びに、エマルション、特に水中油型エマルションにおいて粘度を増強するための上記無水ワックス混合物や自己乳化型基剤の使用(請求項13、14)に関する発明が記載されている。しかし特許文献8には、上記基剤の製造において、ワックスの融点以上、可溶化温度範囲に加温して可溶化状態を得るという工程についての記載・示唆はなく、粒径500nm以下という極微細なワックス粒子分散についての記載・示唆もない。特許文献8の実施例中、乳化剤として非イオン界面活性剤を用いた試験例は表5〜7に示す試験例のみであるが、いずれの試験例においても「非イオン界面活性剤/ワックス」の質量比は1.0未満である([0057]〜[0059])。
【0009】
なおO/W乳化組成物(クリーム、乳液等)等においては、油分として流動油分や固体〜半固体ワックスを配合することが知られているが、この場合、固体〜半固体ワックスの比率が多いと乳化物の安定性が悪く、流動油分の比率が多いと固体〜半固体ワックスによるハリ感を感じにくくなり、安定性と使用性(ハリ感、べたつき感のなさ等)の両立を得ることが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−324617号公報
【特許文献2】特開平11−286418号公報
【特許文献3】特開平11−263915号公報
【特許文献4】特開平4−230616号公報
【特許文献5】特開平3−2112号公報
【特許文献6】特表2006−516029号公報
【特許文献7】特表2004−523519号公報
【特許文献8】特表2007−531777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、安定で、使用後の肌のハリ感効果に優れる皮膚外用剤を提供することにある。また本発明は、安定性、使用後の肌のハリ感効果に加え、肌への密着感に優れるとともに、べたつき感のない皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、常温で固体〜半固体のワックス(特に、カルナバロウ、キャンデリラロウ等の天然ワックス)を水系分散媒中に微細分散させた組成物を製造するにあたり、特定の増粘剤等を含み、ワックスと非イオン性界面活性剤の配合比を特定範囲のものとし、さらに好ましくは特定の加温条件下で製造する等の方法を採ることにより、得られたワックス微細分散組成物が安定で、使用感に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、ワックスが固体〜半固体状で水系分散媒中に微細分散してなるワックス微細分散組成物を含む皮膚外用剤であって、前記ワックス微細分散組成物が、常温で固体〜半固体のワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒と、イオン性水溶性増粘剤を含有し、非イオン界面活性剤/ワックスの質量比が1.0以上であり、微細分散されたワックスの粒径が500nm以下であり、イオン性界面活性剤を実質的に含有しないことを特徴とする、皮膚外用剤を提供する。
【0014】
また本発明は、ワックス微細分散組成物中にさらに、常温で液状のシリコーン油および/またはフッ素系油を含有する、上記皮膚外用剤を提供する。
【0015】
また本発明は、ワックス微細分散組成物中における全非イオン界面活性剤の加重平均したHLBが10〜15である、上記皮膚外用剤を提供する。
【0016】
また本発明は、非イオン界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル類、並びにポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびその誘導体の中から選ばれる1種または2種以上を含む、上記皮膚外用剤物を提供する。
【0017】
また本発明は、非イオン界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類および/またはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類と、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル類とを含む、上記皮膚外用剤に関する。
【0018】
また本発明は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類が下記式(I)および/または下記式(II)で表される化合物の中から選ばれる1種または2種以上である、上記皮膚外用剤を提供する。
【0019】

【0020】

【0021】
〔式(I)、(II)中、Rは炭素原子数12〜24のアルキル基またはアルケニル基を表し、mは5〜30の数を表し、nは0〜5の数を表す。〕
また本発明は、イオン性水溶性増粘剤が、アルギン酸系高分子、ビニル系高分子、アクリル系高分子、ポリエチレンイミド、およびカチオン化ポリマーの中から選ばれる1種または2種以上である、上記皮膚外用剤を提供する。
【0022】
また本発明は、ワックス微細分散組成物が、常温で固体〜半固体のワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒を含有し、非イオン界面活性剤/ワックスの質量比が1.0以上である系を、ワックスの融点以上、可溶化温度範囲に加温して可溶化状態を経た後、常温に冷却し、次いでイオン性の水溶性増粘剤を添加して得られたものである、上記皮膚外用剤を提供する。
【0023】
また本発明は、ワックス微細分散組成物が、常温で固体〜半固体のワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒を含有し、非イオン界面活性剤/ワックスの質量比が1.0以上である系を、ワックスの融点以上、可溶化温度範囲に加温して可溶化状態を経た後、常温に冷却し、次いでイオン性水溶性増粘剤と、常温で液状のシリコーン油および/またはフッ素系油分を添加して得られたものである、上記記載の皮膚外用剤を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、安定で、使用後の肌のハリ感効果に優れる皮膚外用剤が提供される。また本発明により、安定性、使用後の肌のハリ感効果に加え、肌への密着感に優れるとともに、べたつき感のない皮膚外用剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明について詳述する。
【0026】
なお以下の記載において、POEはポリオキシエチレンを、POPはポリオキシプロピレンを、それぞれ意味する。
【0027】
[ワックス微細分散組成物]
本発明の皮膚外用剤に用いられるワックス微細分散組成物の一態様は、常温で固体〜半固体のワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒と、水溶性増粘剤を含有し、ワックスが固体〜半固体状で水系分散媒中に微細分散してなるものである。
【0028】
また本発明の皮膚外用剤に用いられるワックス微細分散組成物の他の態様は、常温で固体〜半固体のワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒と、水溶性増粘剤と、さらに常温で液状のシリコーン油および/またはフッ素系油分を含有し、ワックスが個体〜半固体状で水系分散媒中に微細分散してなるものである。
【0029】
〈ワックス〉
本発明で用いられるワックスは、常温で固体〜半固体の性状をなし、具体例として、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ(=ライスロウ)、カポックロウ、モウロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョショバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、ビーズワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸グリセリド、硬化ヒマシ油、ワセリン、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。中でもカルナバロウ、キャンデリラロウ等の天然ワックスや、比較的高融点(80℃程度以上)のワックス等が、長期間の保存安定性の点から好ましく用いられる。
【0030】
なお、これらのワックスは混合して用いることが可能であり、他の固形状あるいは液状油分などを混合しても、常温において固体〜半固体状である範囲で使用可能である。
【0031】
このような他の油分としては、次のようなものが挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。液体油脂としては、アボガド油、椿油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、テトラオクタン酸ペンタエリスリット、トリイソパルミチン酸グリセリン等がある。固体油脂としては、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油等がある。炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、スクワラン等がある。
【0032】
本発明におけるワックスの配合量は、ワックス微細分散組成物全量中に0.01〜25質量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜15質量%である。0.01質量%未満では、使用後の皮膚のハリ感を得ることが難しく、一方、25質量%を超えて配合した場合、製剤の調製が困難となる。
【0033】
〈非イオン界面活性剤〉
非イオン界面活性剤としては、一般に化粧料に用いられ得るものであれば特に限定されるものでないが、本発明ではワックス微細分散組成物中における全非イオン界面活性剤の加重平均したHLBが10〜15であることが好ましく、より好ましくはHLBが11〜14、特に好ましくはHLBが12〜13である。HLBが上記範囲の非イオン界面活性剤を用いることで、高温状態(例えば、ワックスの融点以上の可溶化温度範囲)で可溶化された透明な組成物が得られる。HLBは下記数1
【0034】
【数1】

【0035】
(ただし、MWは親水基部の分子量を表し、MOは親油基部の分子量を表す)
で表される川上式により算出される。
【0036】
本発明では非イオン界面活性剤として特に、POEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEグリセリルエーテル脂肪酸エステル類、並びにPOEヒマシ油またはPOE硬化ヒマシ油およびその誘導体の中から選ばれる1種または2種以上が好ましく用いられる。中でもPOEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類を用いると、調製されたワックス微細分散物の経時安定性がよく、経時で微細粒子の凝集などによる外観の変化(透明性の低下)や分散粒子のクリーミングが改善されるのでより好適である。
【0037】
また、後述するように、本発明に用いるワックス微細分散組成物は、加温してワックスを可溶化させた後、常温に冷却してワックス微細分散物を得る製造方法が好適であるが、非イオン界面活性剤として、POEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類の中から選ばれる1種または2種以上と、POEグリセリルエーテル脂肪酸エステル類とを併用することで、ワックスの可溶化の速度を格段に高めることができ、製造効率の向上を図ることができる。
【0038】
上記POEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類として、下記式(I)および/または下記式(II)で表される化合物の中から選ばれる1種または2種以上が好ましく用いられる。
【0039】

【0040】

【0041】
〔式(I)、(II)中、Rは炭素原子数12〜24のアルキル基またはアルケニル基を表し、mは5〜30の数を表し、nは0〜5の数を表す。〕
このようなPOEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類としては、例えばPOEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEデシルテトラデシルエーテル、POEモノブチルエーテル、POE2−デシルテトラデシルエーテル、POE水添ラノリン、POEグリセリンエーテル、POE・POPラウリルエーテル、POE・POPセチルエーテル、POE・POPステアリルエーテル、POE・POPオレイルエーテル、POE・POPベヘニルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等が挙げられる。
【0042】
上記POEグリセリルエーテル脂肪酸エステル類としては、例えばPOEグリセリルエーテルモノステアリン酸エステル、POEグリセリルエーテルモノイソステアリン酸エステル、POEグリセリルエーテルトリイソステリン酸エステル等が挙げられる。
【0043】
上記POEヒマシ油またはPOE硬化ヒマシ油およびその誘導体としては、例えばPOEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等が挙げられる。
【0044】
本発明では上記以外の非イオン界面活性剤も任意に用いることができ、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POEソルビットPOEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類;POEモノオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類;POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;プルロニック等のプルロニック類;テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類;POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド;POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸などが挙げられる。
【0045】
本発明における非イオン界面活性剤/ワックスの配合比率は、ワックス微細分散組成物全量中に1.0以上(質量比)であり、より好ましくは1.1以上である。この質量比が1.0未満では安定性のよい組成物を得ることが難しい。なお、上記質量比の上限は特に限定されるものでないが、5.0程度以下とするのが好ましく、より好ましくは3.0程度以下である。この質量比の値が大き過ぎると使用感触が悪くなりがちである。
【0046】
〈水系分散媒〉
水系分散媒としては、水を単独で用いてもよく、あるいは、水とエタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出液、セイヨウノコギリソウ抽出液、メリロート抽出液等の水性成分との混合液として用いてもよい。
【0047】
本発明では、上記ワックスが固体〜半固体状で粒径500nm以下の微粒子(=微細ワックス)として水系溶媒中に分散される。粒径500nm以下という極微細な粒径を含む系(マイクロエマルション系)では、粒径が大きい通常のエマルション系とは異なり、安定で、時間の経過によっても二相分離し難く安定である。このような安定なマイクロエマルション系は、ワックスに対する非イオン界面活性剤の配合量を多めにする(本発明では上述したように、非イオン界面活性剤/ワックス(質量比)を1.0以上とした)ことや、さらに好ましくは、後述の〈製造方法〉の項で詳述するように、系をワックスの融点以上、可溶化温度範囲に加温して可溶化状態を経た後、常温に冷却する等の方法を採ること等により得られる。
【0048】
なお「可溶化」とは一般に、乳化剤が形成するミセル溶液中に水不溶物や水難溶物を透明に安定に溶かし込むこと等と定義されており、この可溶化温度範囲に加温してワックスをいったん系中に可溶化状態にさせた後に冷却することで、本発明のような粒径500nm以下の安定な極微細微粒子ワックス分散物をより効率的に得ることができる。なお「可溶化」現象は非イオン界面活性剤をワックスに対して多量の配合することによっても達成し得る。
【0049】
〈イオン性水溶性増粘剤〉
本発明で用いられるイオン性水溶性増粘剤としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン;カチオン化セルロース、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、ジアリルジメチルアンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物等のカチオン化ポリマー等が挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。中でもカルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子などが好ましく用いられる。イオン性水溶性増粘剤は1種または2種以上を用いることができる。
【0050】
本発明におけるイオン性水溶性増粘剤の配合量は、ワックス微細分散組成物全量中に0.01〜5質量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜2質量%である。0.01質量%未満では、組成物の粘度を調整することが難しく、一方、5質量%を超えて配合した場合、使用感触が悪くなる傾向がみられる。
【0051】
なお本発明ではイオン性界面活性剤、すなわちアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を実質的に含まない。ここで「実質的に含まない」とは、これらイオン性界面活性剤が、その活性剤としての効力を発揮し得る程度の配合量で含まれることを排除することを意味する。これらイオン性界面活性剤を配合しないことにより、イオン性水溶性増粘剤による効果(ハリ感付与効果、目じり・口元などの局所への指先での塗りやすさ向上効果、等)を十分に発揮することができる。
【0052】
〈シリコーン油および/またはフッ素系油分〉
本発明では上記成分に加え、さらに、常温で液状のシリコーン油および/またはフッ素系油分を配合してもよい。
【0053】
本発明で用いられる常温で液状のシリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン、アミノ変性シリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン油、カルボキシ変性シリコーン油、アルキル変性シリコーン油、アンモニウム塩変性シリコーン油、フッ素変性シリコーン油、トリメチルシロキシケイ酸等の3次元網目構造形成し得るシリコーン樹脂、高重合ジメチルポリシロキサン、高重合メチルフェニルシロキサン、高重合メチルビニルポリシロキサン等の高重合メチルポリシロキサン、高重合アミノ変性メチルポリシロキサン等を挙げることができる。
【0054】
本発明で用いられる常温で液状のフッ素系油分としては、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。市販品として例えばモンテフロス社製の「FOMBLIN HC−04」や「FOMBLIN HC−25」、「FOMBLINHC−R」等が挙げられる。
【0055】
本発明では上記シリコーン油、フッ素系油分の中から1種または2種以上を用いることができる。
【0056】
本発明におけるシリコーン油、フッ素系油分の配合量は、ワックス微細分散組成物全量中に0.1〜10質量%が好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。0.1質量%未満では、べたつき感のなさを十分満足し得る程度まで得ることができず、一方、10質量%を超えて配合した場合、使用感触が悪くなる傾向がみられる。
【0057】
〈製造方法〉
本発明に用いられるワックス微細分散組成物では、粒径500nm以下の微細ワックスが固体〜半固体状で水系分散媒中に微細分散している。このようなワックス微細分散組成物の製造方法は、特に限定されるものでないが、以下に示す製造方法が好適例として挙げられる。
【0058】
1.ワックス微細分散組成物中にシリコーン油および/またはフッ素系油分を含まない態様:
ワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒を含有する系を、ワックスの融点以上、可溶化温度範囲に加温して可溶化状態を経た後、常温に冷却し、次いでイオン性水溶性増粘剤を添加する製造方法である。より具体的な好適態様として、例えば、イオン交換水に非イオン界面活性剤、所望によりさらに多価アルコールを溶解し、85〜95℃に加熱してワックス(例えば、カルナバワックス等)を添加し、30分間〜2時間程度プロペラ攪拌し、可溶化状態を確認した後、氷冷し、次いでイオン性水溶性増粘剤を添加・撹拌して、ワックス微細分散組成物を得る。このとき、上述したように、非イオン界面活性剤として、POEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類の中から選ばれる1種または2種以上と、POEグリセリルエーテル脂肪酸エステル類とを併用することで、ワックスの可溶化速度を格段に高めることができ、製造効率の向上を図ることができる。これにより、水系分散媒中に微細ワックスが効率よく分散する。なおこの具体例に示す条件に製造方法が限定されるものでないことはもちろんである。
【0059】
上記製造方法以外にも、ワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒を含有する系を、ワックスの融点以上で高剪断力乳化機を用いて乳化した後、イオン性水溶性増粘剤を添加してさらに乳化する等の方法で調製してもよい。強力な剪断力を与え得る乳化機、例えば高圧ホモジナイザーを用いる場合には、400気圧以上の圧力下で乳化するのが好ましいが、さらに好ましくは、ワックスの融点以上の温度で600気圧以上の圧力下で乳化することが好ましい。
【0060】
2.ワックス微細分散組成物中にシリコーン油および/またはフッ素系油分を含む態様:
ワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒を含有する系を、ワックスの融点以上、可溶化温度範囲に加温して可溶化状態を経た後、常温に冷却し、次いでイオン性水溶性増粘剤、シリコーン油および/またはフッ素系油分を添加する製造方法である。より具体的な好適態様として、例えば、イオン交換水に非イオン界面活性剤、所望によりさらに多価アルコールを溶解し、85〜95℃に加熱してワックス(例えば、カルナバワックス等)を添加し、30分間〜2時間程度プロペラ攪拌し、可溶化状態を確認した後、氷冷し、次いでイオン性水溶性増粘剤、シリコーン油および/またはフッ素系油分を添加・撹拌して、ワックス微細分散組成物を得る。このとき、上述したように、非イオン界面活性剤として、POEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類の中から選ばれる1種または2種以上と、POEグリセリルエーテル脂肪酸エステル類とを併用することで、ワックスの可溶化速度を格段に高めることができ、製造効率の向上を図ることができる。これにより、水分散媒中に微細ワックスが効率よく分散する。なおこの具体例に示す条件に製造方法が限定されるものでないことはもちろんである。
【0061】
上記製造方法以外にも、ワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒を含有する系を、ワックスの融点以上で高剪断力乳化機を用いて乳化した後、イオン性水溶性増粘剤と、シリコーン油および/またはフッ素系油分を添加してさらに乳化する等の方法で調製してもよい。強力な剪断力を与え得る乳化機、例えば高圧ホモジナイザーを用いる場合には、400気圧以上の圧力下で乳化するのが好ましいが、さらに好ましくは、ワックスの融点以上の温度で600気圧以上の圧力下で乳化することが好ましい。
【0062】
[皮膚外用剤]
本発明の皮膚外用剤は、上記ワックス微細分散組成物を含有する。
【0063】
通常、皮膚外用剤では水溶性高分子を配合するだけではハリ感の高い化粧料が得られ難いが、本発明では粒径500nm以下の固体〜半固体ワックスを用いたワックス微細分散組成物を配合することで、ハリ感の高い皮膚外用剤を得ることができた。粒径が大きな通常のエマルジョン系を用いた化粧料を塗布した場合、経時でワックスが肌上に析出することが起こり得るが、本発明では上記ワックス微細分散組成物を用いることで、皮膚外用剤を肌上に塗布した後、経時でワックスが肌上に析出するというようなことを防止することができる。
【0064】
また一般に、固体〜半固体ワックスを水中に安定に分散することが難しいが、本発明では、特定の界面活性剤や、さらには好ましくは特定の製造工程を用いることで、ハリ感が高く、安定性に優れるワックス微細分散組成物を得ることができた。
【0065】
さらにイオン性界面活性剤は安全性が懸念されるが、本発明の皮膚外用剤はイオン性界面活性剤を含まなくともワックスを可溶化することができた。またイオン性界面活性剤を配合しないことにより、イオン性ポリマーによる増粘が可能となり、皮膚への塗布後のハリ感を優れて向上させることができた。また目じり、口元などの局所への塗布しやすさを向上させることができた。さらにシリコーン油および/またはフッ素系油分を配合することにより、上記効果に加え、べたつき感のない優れた使用性、肌への密着感を得ることができた。
【0066】
本発明の皮膚外用剤には、ワックス微細分散組成物のほかに、本発明効果を損なわない範囲において、通常皮膚外用剤等の化粧料に添加し得る成分を必要に応じて適宜配合することができる。このような任意添加成分としては、例えば、多価アルコール(グリセリンなど)等の保湿剤、香料、pH調整剤、防腐剤、各種粉末、油溶性薬剤(ビタミンAなど)、イオン性水溶性増粘剤以外の水溶性増粘剤等が挙げられるが、ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0067】
本発明皮膚外用剤は具体的には、化粧水、ローション状美容液、ジェル状美容液、スキンケアクリームや、不織布含浸マスク等として好適に用いられる。剤型は透明〜半透明の微分散化粧水や増粘したジェル等が好適例として挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【実施例】
【0068】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
【0069】
1.ワックス微細分散組成物中にシリコーン油および/またはフッ素系油分を含まない態様:
[実施例1: 非イオン界面活性剤の至適HLB]
下記基本処方1において、非イオン界面活性剤のHLBを下記表1に示すように変化させてその分散状態(外観)を調べ、非イオン界面活性剤の至適HLBについて検討した。
【0070】
<基本処方1>
カルナバワックス 10質量%
カルボキシビニルポリマー 0.3質量%
水酸化カリウム 0.1質量%
非イオン界面活性剤(表1に示す各非イオン界面活性剤) 13.5質量%
イオン交換水 残部
合計 100質量%
(試験方法)
上記基本処方1に示す組成のワックス微細分散組成物を調製した。すなわち、イオン交換水に非イオン界面活性剤(表1)を溶解し、85〜95℃に加熱してカルナバワックスを添加し、約2時間プロペラ撹拌した。その後、氷冷し、中間組成物を得た。これら中間組成物を室温にて1時間静置した後に、目視で外観(分散状態)を観察した。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1の結果から明らかなように、非イオン界面活性剤のHLBが10以上、15まで均一な分散系の形成が可能であることがわかる。また非イオン界面活性剤のHLBが11〜14で透明〜半透明な一液相の系が得られ、特に透明系を得るためにはHLB12〜13であることが確認された。
【0073】
次いで、これら中間組成物にカルボキシビニルポリマーを添加し、約1時間プロペラ攪拌して該ポリマーを溶解した後、水酸化カリウムを添加し、目的の最終組成物を得た。最終組成物のHLBは中間組成物におけるHLBと同じで、外観もほとんど変化がなかった。この最終組成物中のワックス微粒子の平均粒径を測定した。結果を表1に併せて記す。なお粒径測定方法は以下のとおりである。
【0074】
すなわち、各最終生成物をイオン交換水にて1/10希釈したものを試料とした。これら試料を「ゼータサイザーナノシリーズ NANO−ZS」(シスメックス(株)製)を用いて観察し、ワックス粒子径を測定した。
【0075】
[実施例2: 非イオン界面活性剤の種類と系の分散状態]
上記基本処方1において、非イオン界面活性剤として、下記表2に示すように、POE直鎖アルキルエーテル、POE分岐鎖アルキルエーテルを用い、そのPOE付加モル数(n)を変化させることでHLBを9〜15の間で変化させて、系の分散状態を下記評価基準により評価した。結果を表2に示す。
(試験方法)
イオン交換水に非イオン界面活性剤(表2)を溶解し、85〜95℃に加熱してカルナバワックスを添加し約2時間プロペラ撹拌した。その後、氷冷し、中間組成物を得た。これら中間組成物を室温にて1時間静置した後に、目視で外観を観察し、下記評価基準により評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:透明な一液相を形成した
△:半透明ないし均一なクリーム状を示した
×:分離した。
【0076】
【表2】

【0077】
表2に示す結果から明らかなように、各非イオン界面活性剤を単独で用いた場合には、概ねHLBが12〜13で透明な一液相を形成し得ることがわかった。また、複数の非イオン界面活性剤を組合せて用いることも可能であることも確認された。
【0078】
これら中間組成物にカルボキシビニルポリマーを添加し、約1時間プロペラ攪拌して該ポリマーを溶解した後、水酸化カリウムを添加し、目的の最終組成物(ワックス微細分散組成物)を得た。この最終組成物のHLBは中間組成物におけるHLBと同じで、外観もほとんど変化がなかった。
【0079】
この最終生成物中のワックス微粒子の平均粒径を、実施例1での測定方法と同様にして測定した。その結果、分散状態評価「○:透明な一液相を形成した」ものでは平均粒径20〜49nm、「△:半透明ないし均一なクリーム状を示した」ものでは平均粒径50〜400nm、「×:分離した」ものでは平均粒径は測定不能であった。
【0080】
[実施例3: 経時安定性]
下記基本処方2において、非イオン界面活性剤を下記表3に示すように変化させて、系の安定性について下記評価基準により評価した。
【0081】
<基本処方2>
カルナバワックス 10質量%
非イオン界面活性剤(表3に示す各非イオン界面活性剤) 15質量%
アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.05質量%
イオン交換水 残部
合計 100質量%
(試験方法)
イオン交換水に界面活性剤を溶解し、85〜95℃に過熱してカルナバワックスを添加し、約2時間プロペラ撹拌した。その後、氷冷した後、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを添加し、最終組成物である透明一液相のワックス微細分散組成物を得た。
【0082】
この組成物(試料1〜6)を50℃で1週間放置した後の状態を目視により観察し、下記評価基準により経時安定性を評価した。結果を表3に示す。
(評価基準)
○:調製直後と変わらず、状態の変化なし
×:分離した。
【0083】
【表3】

【0084】
表3に示す結果から明らかなように、非イオン界面活性剤/ワックス(質量比)が1未満の試料5では分離してしまい、良好な安定性を得ることができなかった。
【0085】
[実施例4、比較例1: ワックスの可溶化速度]
下記表4において、イオン交換水に界面活性剤、ジプロピレングリコールを溶解し、85〜95℃に加熱してカルナバワックスを添加してプロペラ撹拌し、カルナバワックスが可溶化するまでの時間を測定した。結果を表4に示す。なお、最終組成物(ワックス微細分散組成物)は、可溶化したこれら中間組成物を氷冷した後、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを添加することにより得た。
【0086】
【表4】

【0087】
表4の結果から明らかなように、非イオン性界面活性剤として、POE(20)ベヘニルーテルとPOE(20)グリセリルエーテルイソステアリン酸エステルとを併用した実施例4では、POE(20)ベヘニルエーテル1種のみを用いた比較例1に比べ、ワックスが可溶化する時間を大幅に短縮化することができた。なお実施例4、比較例1の微細ワックス粒径は20〜49nmであった。
【0088】
[実施例5: 使用感]
下記に示す組成の試料を、上記実施例1に記載の製造方法に準じて加温、可溶化後、冷却して含浸マスク用原液(ワックス微細分散液)を調製した。得られた原液中の微細ワックス粒子径は28nmであった。この原液を不織布に含浸させ、不織布含浸マスク(本発明品)を作成した。
(含浸マスク用原液)
(配 合 成 分) (質量%)
カルナバワックス 0.3
POE(20)ベヘニルエーテル 0.3
POE(20)グリセリルエーテルイソスエアリン酸エステル 0.2
POE・POPデシルテトラデシルエーテル 0.2
グリセリン 3
ブチレングリコール 10
ジプロピレングリコール 5
フェノキシエタノール 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.1
エデト酸三ナトリウム 0.02
エタノール 3
水酸化カリウム 適量
香料 適量
イオン交換水 残部
(試験方法)
普段、市販の不織布含浸タイプマスクを使用しているパネル31名により、下記表5に示す使用感について、使用性評価を行った。すなわち上記不織布含浸マスク(本発明品)と、普段品(パネルが普段使用している市販の含浸マスク)との使用実感の対比を、下記評価点により評価してもらった。結果を表5に示す。なお原液は安定性に優れていた。
(評価点)
+2:本発明品のほうが、普段品に比べ優れている
+1:本発明品のほうが、普段品に比べやや優れている
0:本発明品も普段品も同じ
−1:普段品のほうが、本発明品に比べやや優れている
−2:普段品のほうが、本発明品に比べ優れている
【0089】
【表5】

【0090】
表5の結果から明らかなように、実施例5(本発明品)は特に肌のハリ感効果に優れており、手入れ満足度の高い含浸マスクを提供することが可能となった。
【0091】
以下にさらに本発明の処方例を示す。
【0092】
[配合処方例1: 美容液]
(配 合 成 分) (質量%)
(1)カルナバワックス 1.5
(2)POE(20)ベヘニルエーテル 1.8
(3)カルボキシビニルポリマー 0.3
(4)水酸化カリウム 0.1
(5)酢酸トコフェロール 0.05
(6)グリセリン 5
(7)イオン交換水 残部
(8)香料 適量
(9)フェノキシエタノール 0.5
(製法)
(1)、(2)、(5)および(8)と、(6)と(7)の一部を約95℃で攪拌混合し、透明性を帯びた後、氷冷し、ワックスの微細分散物を得た後に、このワックスの微細分散物を、(6)と(7)の残部と(3)と(4)と(9)の混合物に添加して、美容液を得る。
【0093】
[配合処方例2: 美白ジェル]
(配 合 成 分) (質量%)
(1)カルナバワックス 0.5
(2)キャンデリラワックス 0.3
(3)ライスワックス 0.2
(4)ビーズワックス 0.1
(5)マイクロクリスタリンワックス 0.1
(6)パラフィンワックス 0.1
(7)ワセリン 0.1
(8)ベヘニルアルコール 0.1
(9)ステアリルアルコール 0.03
(10)POE(10)ベヘニルエーテル 0.1
(11)POE(20)ベヘニルエーテル 1.5
(12)POE(30)ベヘニルエーテル 0.1
(13)POE(20)グリセリルエーテルイソステアリン酸エステル 0.1
(14)レチノールパルミテート 0.01
(15)α−トコフェロール 0.01
(16)テトライソパルミトイルアスコルビル 0.01
(17)イソブチルレゾルシン 0.01
(18)リノール酸 0.03
(19)リノレイン酸 0.02
(20)アスコルビン酸リン酸ナトリウム 0.01
(21)アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.01
(22)アスコルビン酸2−グルコシド 2
(23)エチルアスコルビン酸 0.01
(24)パントテニルエチルエーテル 0.01
(25)アルブチン 0.01
(26)トラネキサム酸メチルアミド塩 1
(27)グリチルリチン酸ジカリウム 0.01
(28)4−メトキシサリチル酸塩 1
(29)グリセリン 1
(30)ジプロピレングリコール 10
(31)ポリオキシエチレングリコール 1
(32)パラオキシ安息香酸エステル 0.15
(33)フェノキシエタノール 0.3
(34)エデト酸三ナトリウム 0.02
(35)クエン酸 適量
(36)クエン酸ナトリウム 適量
(37)水酸化カリウム 適量
(38)カルボキシビニルポリマー 0.2
(39)アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマー 0.5
(40)ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(41)メチルセルロース 1
(42)2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・
メタクリル酸ブチル共重合体 0.1
(43)エタノール 10
(44)香料 適量
(45)イオン交換水 残部
【0094】
[配合処方例3: モイスチャージェル]
(配 合 成 分) (質量%)
(1)カルナバワックス 0.5
(2)ライスワックス 0.4
(3)パラフィンワックス 0.1
(4)POEコレステロールエーテル 0.1
(5)ステアリン酸グリセリル 0.05
(6)硬化ヒマシ油 0.1
(7)ベヘニルアルコール 0.2
(8)バチルアルコール 0.05
(9)ステアリン酸 0.05
(10)トリグリセリン 0.05
(11)トリオクタン酸グリセリン 0.05
(12)パラフィン 0.1
(13)POE(10)ベヘニルエーテル 0.7
(14)POE(30)ベヘニルエーテル 0.8
(15)POP(1)POE(15)ベヘニルエーエル 0.2
(16)POE(20)グリセリルエーテルイソステアリン酸エステル 0.01
(17)POE(60)硬化ヒマシ油 0.5
(18)酢酸トコフェロール 0.01
(19)グリチルレチン酸ステアリル 0.01
(20)ユビキノン 0.01
(21)β−カロチン 0.01
(22)ビタミンD2(エルゴカルシフェロール) 0.005
(23)γ−オリザノール 0.01
(24)アスコルビン酸リン酸マグネシウム 1
(25)ニコチン酸 0.01
(26)尿素 2
(27)ヒアルロン酸 0.001
(28)アセチル化ヒアルロン酸 0.001
(29)トレハロース 1
(30)エリスリトール 1
(31)キシリトール 1
(32)グリセリン 5
(33)ポリオキシエチレングリコール 5
(34)POE・POPジメチルエーテル 1
(35)フェノキシエタノール 0.5
(36)エデト酸三ナトリウム 0.02
(37)クエン酸 適量
(38)クエン酸ナトリウム 適量
(39)水酸化カリウム 適量
(40)ベヘニルアルコール 0.1
(41)ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン
ナトリウムクロスポリマー 0.1
(42)香料 適量
(43)イオン交換水 残部
【0095】
[配合処方例4: 紫外線防止ジェル]
(配 合 成 分) (質量%)
(1)カルナバワックス 0.4
(2)ビーズワックス 0.5
(3)パラフィンワックス 0.1
(4)POEコレステロールエーテル 0.1
(5)硬化ヒマシ油 0.1
(6)ベヘニルアルコール 0.5
(7)バチルアルコール 0.1
(8)ステアリン酸 0.05
(9)トリグリセリン 0.05
(10)テトラオクタン酸ペンタエリスリット 0.1
(11)POE(20)ベヘニルエーテル 1.8
(12)POE(20)グリセリルエーテルイソステアリン酸エステル 1.5
(13)POE(60)グリセリルエーテルイソステアリン酸エステル 0.03
(14)酢酸トコフェロール 0.01
(15)グリチルレチン酸ステアリル 0.01
(16)イソブチルレゾルシン 0.01
(17)オクトクリレン 0.05
(18)メトキシケイ皮酸オクチル 0.05
(19)トラネキサム酸 1
(20)トラネキサム酸メチルアミド塩 1
(21)ニコチン酸アミド 0.01
(22)ヒドロキシプロリン 0.01
(23)グリセリン 10
(24)ブチレングリコール 5
(25)ポリオキシエチレングリコール 1
(26)POE・POPジメチルエーテル 5
(27)パラオキシ安息香酸エステル 0.1
(28)フェノキシエタノール 0.5
(29)エデト酸三ナトリウム 0.02
(30)クエン酸 適量
(31)クエン酸ナトリウム 適量
(32)水酸化カリウム 適量
(33)カルボキシビニルポリマー 0.5
(34)アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマー 0.5
(35)エタノール 5
(36)香料 適量
(37)イオン交換水 残部
【0096】
2.ワックス微細分散組成物中にシリコーン油および/またはフッ素系油分を含む態様:
[実施例6: 非イオン界面活性剤の至適HLB]
下記基本処方3において、非イオン界面活性剤のHLBを表6に示すように変化させてその分散状態(外観)を調べ、非イオン界面活性剤の至適HLBについて検討した。
【0097】
<基本処方3>
カルナバワックス 10質量%
カルボキシビニルポリマー 0.3質量%
水酸化カリウム 0.1質量%
非イオン界面活性剤(表6に示す各非イオン界面活性剤) 13.5質量%
ジメチルポリシロキサン 5.0質量%
イオン交換水 残部
合計 100質量%
(試験方法)
上記基本処方3に示す組成のワックス微細分散組成物を調製した。すなわち、イオン交換水に非イオン界面活性剤(表6)を溶解し、85〜95℃に加熱してカルナバワックスを添加し、約2時間プロペラ撹拌した。その後、氷冷し、中間組成物を得た。これら中間組成物を室温にて1時間静置した後に、目視で外観(分散状態)を観察した。結果を表6に示す。
【0098】
【表6】

【0099】
表6の結果から明らかなように、非イオン界面活性剤のHLBが10以上、15まで均一な分散系の形成が可能であることがわかる。また非イオン界面活性剤のHLBが11〜14で透明〜半透明な一液相の系が得られ、特に透明系を得るためにはHLB12〜13であることが確認された。
【0100】
次いで、これら中間組成物にカルボキシビニルポリマーを添加し、約1時間プロペラ攪拌してポリマーを溶解した後、水酸化カリウムを添加した後ジメチルポリシロキサンを添加し、ホモジナイズ処理を行うことにより目的の最終組成物を得た。最終組成物のHLBは中間組成物におけるHLBと同じであった。外観は中間組成物よりも透明性はやや低下するが、系が均一であるという点において外観に変わりがなかった。この最終組成物中のワックス微粒子の平均粒径を測定した。結果を表5に併せて記す。なお粒径測定方法は実施例1で記した測定方法と同じである。
【0101】
[実施例7: 非イオン界面活性剤の種類と系の分散状態]
上記基本処方3において、非イオン界面活性剤として、下記表7に示すように、POE直鎖アルキルエーテル、POE分岐鎖アルキルエーテルを用い、そのPOE付加モル数(n)を変化させることでHLBを9〜15の間で変化させて、系の分散状態を下記評価基準により評価した。結果を表7に示す。
(試験方法)
イオン交換水に界面活性剤(表7)を溶解し、85〜95℃に加熱してカルナバワックスを添加し約2時間プロペラ撹拌した。その後、氷冷し、中間組成物を得た。これら中間組成物を室温にて1時間静置した後に、目視で外観を観察した。結果を表7に示す。
(評価基準)
○:透明な一液相を形成した
△:半透明ないし均一なクリーム状を示した
×:分離した。
【0102】
【表7】

【0103】
表7に示す結果から明らかなように、各非イオン界面活性剤を単独で用いた場合には、概ねHLBが12〜13で透明な一液相を形成し得ることがわかった。また、複数の非イオン界面活性剤を組合せて用いることも可能であることも確認された。
【0104】
これら中間組成物にカルボキシビニルポリマーを添加し、約1時間プロペラ攪拌してポリマーを溶解した後、水酸化カリウムを添加した後ジメチルポリシロキサンを添加し、ホモジナイズ処理を行うことにより目的の最終組成物(ワックス微細分散組成物)を得た。この最終組成物のHLBは中間組成物におけるHLBと同じであった。外観は中間組成物よりも透明性はやや低下するが、系が均一であるという点において外観に変わりがなかった。
【0105】
この最終生成物中のワックス微粒子の平均粒径を、実施例1での測定方法と同様にして測定した。その結果、分散状態評価「○:透明な一液相を形成した」ものでは平均粒径20〜49nm、「△:半透明ないし均一なクリーム状を示した」ものでは平均粒径50〜400nm、「×:分離した」ものでは平均粒径は測定不能であった。
【0106】
[実施例8: 経時安定性]
下記基本処方4において、非イオン界面活性剤を下記表8に示すように変化させて、系の安定性について下記評価基準により評価した。
【0107】
<基本処方4>
カルナバワックス 10質量%
非イオン界面活性剤(表8に示す各非イオン界面活性剤) 15質量%
アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.05質量%
ジメチルポリシロキサン 5質量%
イオン交換水 残部
合計 100質量%
(試験方法)
イオン交換水に非イオン界面活性剤を溶解し、85〜95℃に加熱してカルナバワックスを添加し、約2時間プロペラ撹拌した。その後、氷冷した後、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、シリコーン油および/またはフッ素系油分を添加し、約2時間プロペラ撹拌した後ホモジナイズ処理を行い、最終組成物である半透明一液相のワックス微細分散組成物を得た。
【0108】
この組成物(試料7〜12)を50℃で1週間放置した後の状態を目視により観察し、下記評価基準により経時安定性を評価した。結果を表8に示す。
(評価基準)
○:調製直後と変わらず、状態の変化なし
×:分離した。
【0109】
【表8】

【0110】
表8に示す結果から明らかなように、非イオン界面活性剤/ワックス(質量比)が1未満の試料11では分離してしまい、良好な安定性を得ることができなかった。
【0111】
[実施例9、比較例2: ワックスの可溶化速度]
下記表9において、イオン交換水に界面活性剤、ジプロピレングリコールを溶解し、85〜95℃に加熱してカルナバワックスを添加してプロペラ撹拌し、カルナバワックスが可溶化した中間組成物が得られるまでの時間を測定した。結果を表9に示す。なお最終組成物(ワックス微細分散組成物)は、可溶化したこれら中間組成物を氷冷した後、カルボキシビニルポリマーを溶解し、ジメチルポリシロキサンを添加しホモジナイズ処理を行うことにより得た。
【0112】
【表9】

【0113】
表9の結果から明らかなように、非イオン性界面活性剤として、POE(20)ベヘニルーテルとPOE(20)グリセリルエーテルイソステアリン酸エステルとを併用した実施例9では、POE(20)ベヘニルエーテル1種のみを用いた比較例2に比べ、ワックスが可溶化する時間を大幅に短縮化することができた。なお実施例9、比較例2の微細ワックス粒径は20〜50nmであった。
【0114】
[実施例10〜12、比較例3〜4: 肌のハリ感、密着感、べたつきのなさ]
専門パネル10名により、下記表10に示す組成(実施例10〜12、比較例3〜4)の試料を調製し、これを皮膚に塗布して、肌のハリ感、肌への密着感、べたつきのなさを下記評価基準により評価した。結果を表10に示す。なお、実施例10〜12、比較例3〜4ともに、安定性は良好であった。
【0115】
(肌のハリ感評価)
○:10名中7名以上が、肌のハリ感があると回答
△:10名中4〜6名が、肌のハリ感があると回答
×:10名中3名以下が、肌のハリ感があると回答。
【0116】
(肌への密着感評価)
○:10名中7名以上が、肌への密着感があると回答
△:10名中4〜6名が、肌への密着感があると回答
×:10名中3名以下が、肌への密着感があると回答。
【0117】
(べたつき感のなさ評価)
○:10名中7名以上が、べたつき感がないと回答
△:10名中4〜6名が、べたつき感がないと回答
×:10名中3名以下が、べたつき感がないと回答。
【0118】
【表10】

【0119】
以下にさらに本発明の処方例を示す。
【0120】
[配合処方例5: 美容液]
(配 合 成 分) (質量%)
(1)カルナバワックス 1.5
(2)POE(20)ベヘニルエーテル 1.8
(3)カルボキシビニルポリマー 0.3
(4)水酸化カリウム 0.1
(5)酢酸トコフェロール 0.05
(6)グリセリン 5
(7)ジメチルポリシロキサン 2
(8)イオン交換水 残部
(9)香料 適量
(10)フェノキシエタノール 0.5
(製法)
(1)、(2)、(5)および(9)と、(6)と(8)の一部を約95℃で攪拌混合し、透明性を帯びた後、氷冷し、ワックスの微細分散物を得た後に、このワックスの微細分散物を、(6)と(8)の残部と(3)と(4)と(10)の混合物に添加し、(7)を加えた後ホモジナイズ処理を行い美容液を得る。
【0121】
[配合処方例6: 美白ジェル]
(配 合 成 分) (質量%)
(1)カルナバワックス 0.5
(2)キャンデリラワックス 0.3
(3)ライスワックス 0.2
(4)ビーズワックス 0.1
(5)マイクロクリスタリンワックス 0.1
(6)パラフィンワックス 0.1
(7)ワセリン 0.1
(8)ベヘニルアルコール 0.1
(9)ステアリルアルコール 0.03
(10)POE(10)ベヘニルエーテル 0.1
(11)POE(20)ベヘニルエーテル 1.5
(12)POE(30)ベヘニルエーテル 0.1
(13)POE(20)グリセリルエーテルイソステアリン酸エステル 0.1
(14)レチノールパルミテート 0.01
(15)α−トコフェロール 0.01
(16)テトライソパルミトイルアスコルビル 0.01
(17)イソブチルレゾルシン 0.01
(18)リノール酸 0.03
(19)リノレイン酸 0.02
(20)アスコルビン酸リン酸ナトリウム 0.01
(21)アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.01
(22)アスコルビン酸2−グルコシド 2
(23)エチルアスコルビン酸 0.01
(24)パントテニルエチルエーテル 0.01
(25)アルブチン 0.01
(26)トラネキサム酸メチルアミド塩 1
(27)グリチルリチン酸ジカリウム 0.01
(28)4−メトキシサリチル酸塩 1
(29)グリセリン 1
(30)ジプロピレングリコール 10
(31)ポリオキシエチレングリコール 1
(32)パラオキシ安息香酸エステル 0.15
(33)フェノキシエタノール 0.3
(34)エデト酸三ナトリウム 0.02
(35)クエン酸 適量
(36)クエン酸ナトリウム 適量
(37)水酸化カリウム 適量
(38)メチルポリシロキサン 2
(39)フェニルポリシロキサン 1
(40)カルボキシビニルポリマー 0.2
(41)アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマー 0.51
(42)2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・
メタクリル酸ブチル共重合体 0.1
(43)エタノール 10
(44)香料 適量
(45)イオン交換水 残部
【0122】
[配合処方例7: 肌荒れ改善クリーム]
(配 合 成 分) (質量%)
(1)カルナバワックス 0.8
(2)キャンデリラワックス 0.2
(3)ビーズワックス 0.1
(4)マイクロクリスタリンワックス 0.1
(5)ワセリン 0.1
(6)流動パラフィン 0.1
(7)スクワラン 0.1
(8)POE(20)ベヘニルエーテル 2
(9)POP(1)POE(15)ベヘニルエーエル 0.2
(10)POE(20)グリセリルエーテルイソステアリン酸エステル 0.8
(11)α−トコフェロール 0.01
(12)酢酸トコフェロール 0.01
(13)グリチルレチン酸ステアリル 0.01
(14)油溶性ビタミンB 0.01
(15)ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
(16)ニコチン酸ベンジル 0.01
(17)トラネキサム酸 0.5
(18)トラネキサム酸メチルアミド塩 0.1
(19)4−メトキシサリチル酸塩 0.5
(20)ニコチン酸 0.01
(21)ニコチン酸アミド 0.01
(22)ヒドロキシプロリン 0.01
(23)セリン 0.01
(24)チオタウリン 0.01
(25)アルギニン 0.01
(26)トリメチルグリシン 0.01
(27)エリスリトール 5
(28)グリセリン 2
(29)ブチレングリコール 5
(30)ジプロピレングリコール 5
(31)ポリオキシエチレングリコール 2
(32)フェノキシエタノール 0.5
(33)エデト酸三ナトリウム 0.02
(34)クエン酸 適量
(35)クエン酸ナトリウム 適量
(36)水酸化カリウム 適量
(37)メチルポリシロキサン 2
(38)フェニルポリシロキサン 1
(39)デカメチルシクロペンタシロキサン 5
(40)2−エチルヘキサン酸セチル 1
(41)サラシミツロウ 1
(42)バチルアルコール 1.65
(43)ベヘニルアルコール 0.77
(44)アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマー 0.3
(45)エタノール 5
(46)香料 適量
(47)イオン交換水 残部
【0123】
[配合処方例8: モイスチャージェル]
(配 合 成 分) (質量%)
(1)カルナバワックス 0.5
(2)ライスワックス 0.4
(3)パラフィンワックス 0.1
(4)POEコレステロールエーテル 0.1
(5)ステアリン酸グリセリル 0.05
(6)硬化ヒマシ油 0.1
(7)ベヘニルアルコール 0.2
(8)バチルアルコール 0.05
(9)ステアリン酸 0.05
(10)トリグリセリン 0.05
(11)トリオクタン酸グリセリン 0.05
(12)パラフィン 0.1
(13)POE(10)ベヘニルエーテル 0.7
(14)POE(30)ベヘニルエーテル 0.8
(15)POP(1)POE(15)ベヘニルエーエル 0.2
(16)POE(20)グリセリルエーテルイソステアリン酸エステル 0.01
(17)POE(60)硬化ヒマシ油 0.5
(18)酢酸トコフェロール 0.01
(19)グリチルレチン酸ステアリル 0.01
(20)ユビキノン 0.01
(21)β−カロチン 0.01
(22)ビタミンD2(エルゴカルシフェロール) 0.005
(23)γ−オリザノール 0.01
(24)アスコルビン酸リン酸マグネシウム 1
(25)ニコチン酸 0.01
(26)尿素 2
(27)ヒアルロン酸 0.001
(28)アセチル化ヒアルロン酸 0.001
(29)トレハロース 1
(30)エリスリトール 1
(31)キシリトール 1
(32)グリセリン 5
(33)ポリオキシエチレングリコール 5
(34)POE・POPジメチルエーテル 1
(35)フェノキシエタノール 0.5
(36)エデト酸三ナトリウム 0.02
(37)クエン酸 適量
(38)クエン酸ナトリウム 適量
(39)水酸化カリウム 適量
(40)メチルポリシロキサン 1
(41)フェニルポリシロキサン 1
(42)ベヘニルアルコール 0.1
(43)寒天 2.5
(44)ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン
ナトリウムクロスポリマー 0.1
(45)香料 適量
(46)イオン交換水 残部
【0124】
[配合処方例9: 紫外線防止ジェル]
(配 合 成 分) (質量%)
(1)カルナバワックス 0.4
(2)ビーズワックス 0.5
(3)パラフィンワックス 0.1
(4)POEコレステロールエーテル 0.1
(5)硬化ヒマシ油 0.1
(6)ベヘニルアルコール 0.5
(7)バチルアルコール 0.1
(8)ステアリン酸 0.05
(9)トリグリセリン 0.05
(10)テトラオクタン酸ペンタエリスリット 0.1
(11)POE(20)ベヘニルエーテル 1.8
(12)POE(20)グリセリルエーテルイソステアリン酸エステル 1.5
(13)POE(60)グリセリルエーテルイソステアリン酸エステル 0.03
(14)酢酸トコフェロール 0.01
(15)グリチルレチン酸ステアリル 0.01
(16)イソブチルレゾルシン 0.01
(17)オクトクリレン 0.05
(18)メトキシケイ皮酸オクチル 0.05
(19)トラネキサム酸 1
(20)トラネキサム酸メチルアミド塩 1
(21)ニコチン酸アミド 0.01
(22)ヒドロキシプロリン 0.01
(23)グリセリン 10
(24)ブチレングリコール 5
(25)ポリオキシエチレングリコール 1
(26)POE・POPジメチルエーテル 5
(27)パラオキシ安息香酸エステル 0.1
(28)フェノキシエタノール 0.5
(29)エデト酸三ナトリウム 0.02
(30)クエン酸 適量
(31)クエン酸ナトリウム 適量
(32)水酸化カリウム 適量
(33)パーフルオロポリエーテル 3
(34)フェニルポリシロキサン 2
(35)カルボキシビニルポリマー 0.5
(36)アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマー 0.5
(37)エタノール 5
(38)香料 適量
(39)イオン交換水 残部
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明により、安定で、使用後の肌のハリ感効果に優れる皮膚外用剤が提供される。また本発明により、安定性、使用後の肌のハリ感効果に加え、肌への密着感に優れるとともに、べたつき感のない皮膚外用剤が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワックスが固体〜半固体状で水系分散媒中に微細分散してなるワックス微細分散組成物を含む皮膚外用剤であって、前記ワックス微細分散組成物が、常温で固体〜半固体のワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒と、イオン性水溶性増粘剤を含有し、非イオン界面活性剤/ワックスの質量比が1.0以上であり、微細分散されたワックスの粒径が500nm以下であり、イオン性界面活性剤を実質的に含有しないことを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】
ワックス微細分散組成物中にさらに、常温で液状のシリコーン油および/またはフッ素系油を含有する、請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
ワックス微細分散組成物中における全非イオン界面活性剤の加重平均したHLBが10〜15である、請求項1または2記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
非イオン界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル類、並びにポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびその誘導体の中から選ばれる1種または2種以上を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤物。
【請求項5】
非イオン界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類および/またはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類と、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル類とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類が下記式(I)および/または下記式(II)で表される化合物の中から選ばれる1種または2種以上である、請求項5記載の皮膚外用剤。




〔式(I)、(II)中、Rは炭素原子数12〜24のアルキル基またはアルケニル基を表し、mは5〜30の数を表し、nは0〜5の数を表す。〕
【請求項7】
イオン性水溶性増粘剤が、アルギン酸系高分子、ビニル系高分子、アクリル系高分子、ポリエチレンイミド、およびカチオン化ポリマーの中から選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
ワックス微細分散組成物が、常温で固体〜半固体のワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒を含有し、非イオン界面活性剤/ワックスの質量比が1.0以上である系を、ワックスの融点以上、可溶化温度範囲に加温して可溶化状態を経た後、常温に冷却し、次いでイオン性の水溶性増粘剤を添加して得られたものである、請求項1、3〜7のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
ワックス微細分散組成物が、常温で固体〜半固体のワックスと、非イオン界面活性剤と、水系分散媒を含有し、非イオン界面活性剤/ワックスの質量比が1.0以上である系を、ワックスの融点以上、可溶化温度範囲に加温して可溶化状態を経た後、常温に冷却し、次いでイオン性水溶性増粘剤と、常温で液状のシリコーン油および/またはフッ素系油分を添加して得られたものである、請求項2、3〜7のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2010−254677(P2010−254677A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76206(P2010−76206)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】