説明

皮膚用乳化組成物

【課題】肌荒れ・シワ・キメ・くすみ形成の改善や保湿効果などの抗老化防止効果に優れ、更に、使用感や温度変化による乳化安定性にも優れた皮膚用乳化組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】(A)コラーゲン、コラーゲン誘導体および加水分解コラーゲンからなる群から選ばれる1種以上、好ましくは、アテロコラーゲンおよび/又は加水分解コラーゲン、(B)ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、(C)N−アシルグルタミン酸塩、(D)脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤を含有してなる皮膚用乳化組成物とする。所望により、(E)高級アルコール、(F)水素添加植物油を含有させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚用乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コラーゲンは、肌荒れ・シワ・キメ・くすみ形成の予防・改善や保湿効果などの抗老化防止効果を奏するものとして、外用組成物に配合されている。
【0003】
これまで、コラーゲンとの併用による抗老化防止効果を付与する手段としては、例えば、不飽和脂肪酸と併用した化粧料(特許文献1を参照)、海藻抽出物と併用した皮膚外用剤(特許文献2を参照)、植物抽出物と併用した皮膚外用剤(特許文献3を参照)、ヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸と併用した保湿用組成物(特許文献4を参照)、糖類と併用した皮膚外用剤(特許文献5を参照)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、これら試みに拠って抗老化防止効果を一時的に付与することはできるものの、その効果の持続性や使用感に関しては未だ満足しうるものではない。更には、製剤の温度安定性においても十分な検討が成されておらず、未だ満足しうるものではない。
【0005】
【特許文献1】特開平5−279240号公報
【特許文献2】特開2000−229832号公報
【特許文献3】特開2001−39852号公報
【特許文献4】特開2002−145753号公報
【特許文献5】特開2002−348248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、肌荒れ・シワ・キメ・くすみ形成の予防・改善や保湿効果などの抗老化防止効果に優れ、更には、使用感や温度変化による乳化安定性にも優れた皮膚用乳化組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)コラーゲン、コラーゲン誘導体および加水分解コラーゲンからなる群から選ばれる1種以上、(B)ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、(C)N−アシルグルタミン酸塩、(D)脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤を含有してなる皮膚用乳化組成物、
〔2〕前記(A)成分が、アテロコラーゲンおよび/又は加水分解コラーゲンである前記〔1〕記載の皮膚用乳化組成物、
〔3〕(E)高級アルコールを含有してなる前記〔1〕又は〔2〕に記載の皮膚用乳化組成物、並びに
〔4〕(F)水素添加植物油を含有してなる前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の皮膚用乳化組成物
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚用乳化組成物は、塗布後のべたつき感がなく、膜厚感のない均一な皮膜を形成し肌への密着性を高めることで、みずみずしく潤った弾力のある肌状態を付与するとともに、持続性に優れた保湿効果を奏する。また、連続使用により、肌荒れ・シワ・キメ・くすみ形成を改善し、抗老化防止に優れた効果を奏する。更には、低温域および高温域での幅広い温度範囲での優れた乳化安定性を有するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の皮膚用乳化組成物は、(A)コラーゲン、コラーゲン誘導体および加水分解コラーゲンからなる群から選ばれる1種以上、(B)ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、(C)N−アシルグルタミン酸塩、(D)脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤を含有する。
【0010】
(A)成分としては、コラーゲン、コラーゲン誘導体および加水分解コラーゲンからなる群から選ばれる1種以上が含有される。コラーゲンの起源としては、牛、豚、鳥などの獣の他、魚類、貝類、クラゲ類、海綿類などが挙げられ、安全性・安定性の問題、匂いの問題、生産性・経済性の観点から、海洋性の生物を起源とするコラーゲンが好ましい。中でも、エタノール、水、塩化ナトリウム溶液などにより抽出して得られる水溶性コラーゲンを用いるのが好ましい。
【0011】
コラーゲン誘導体としては、上記したコラーゲンのアテロ化物、アシル化物、サクシニル化物などが挙げられ、具体的には、アテロコラーゲン、アシル化コラーゲン、サクシニル化アテロコラーゲンなどを例示することができる。また、加水分解コラーゲンとしては、上記したコラーゲンをアルカリ又は酸、或いは酵素の存在下で常法に従って加水分解して得られる加水分解物などを例示することができる。
【0012】
これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(A)成分としては、コラーゲン誘導体、加水分解コラーゲンを用いるのが好ましく、コラーゲン誘導体の中でもアテロコラーゲンを用いることが好ましい。尚、アテロコラーゲンとは、コラーゲン分子の末端に存在するテロペプタイドを酵素処理して除去したコラーゲンを言う。
【0013】
(A)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、肌荒れ・シワ・キメ・くすみ形成の予防・改善や保湿効果などの抗老化防止効果を付与する観点から、組成物中、0.01重量%以上が好ましく、より好ましくは0.05重量%以上である。また、着色や臭いの抑制および使用感の悪化を抑制する観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、組成物中、0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜3重量%である。
【0014】
尚、(A)成分は、市販品を用いることもできる。具体的には、例えば、プロモイスW−32、W−32LS、W−32NO、W−32R、W−52、W−52P、W−52Q(商品名,いずれも成和化成社製)、マリンコラーゲンペプチド、アテロ化マリンコラーゲン溶液(商品名,いずれも井原水産社製)などを例示することができる。
【0015】
(B)成分のポリオキシエチレンソルビットミツロウは、ソルビトールに酸化エチレンを付加重合して得られるポリオキシエチレンソルビトールとミツロウを反応して得られる成分である。これにより、膜厚感のない均一な皮膜を形成し肌への密着性を付与するとともに、優れた乳化安定性を付与することができる。尚、重合される酸化エチレンの付加モル数は特に限定されない。
【0016】
(B)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、皮膜を形成し肌への密着性を付与する観点および乳化系の安定性を付与する観点から、組成物中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上である。また、べたつき感および温度変化による乳化系が崩れることを抑制する観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは4重量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、組成物中、0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜4重量%である。
【0017】
尚、(B)成分は、市販品を用いることもできる。具体的には、例えば、NIKKOL GBW−25、125(商品名,いずれも日光ケミカルズ社製)などを例示することができる。
【0018】
(C)成分のN−アシルグルタミン酸塩の具体例としては、例えば、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ニナトリウム、硬化牛脂脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸・硬化牛脂脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウムなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(C)成分としては、高温保存時の乳化安定性を飛躍的に向上させる観点から、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウムが好ましく、ステアロイルグルタミン酸ナトリウムを用いるのがより好ましい。
【0019】
(C)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、高温保存時の乳化系の安定性を向上させる観点から、組成物中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.3重量%以上である。また、べたつき感および温度変化による乳化系が崩れることを抑制する観点から、3重量%以下が好ましく、より好ましくは2重量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、組成物中、0.1〜3重量%が好ましく、より好ましくは0.3〜2重量%である。
【0020】
(D)成分の脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンが付加されていてもよいグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加されていてもよいソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。ポリオキシエチレンが付加されていてもよいグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリルなどのグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどを例示することができる。ポリオキシエチレンが付加されていてもよいソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを例示することができる。ポリエチレングリコール脂肪酸エステルの具体例としては、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコールなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよいが、2種以上を適宜組合せて含有させることが乳化安定性を更に向上させる観点から好ましい。好適な(D)成分としては、低温および高温保存時の乳化安定性を向上させる観点から、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ジステアリン酸ポリエチレングリコールを用いることが好ましい。
【0021】
(D)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、低温および高温保存時の乳化安定性を向上させる観点から、組成物中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、べたつき感、洗い落ちの悪化および温度変化による乳化系が崩れることを抑制する観点から、8重量%以下が好ましく、より好ましくは6重量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、組成物中、0.1〜8重量%が好ましく、より好ましくは1〜6重量%である。
【0022】
本発明の皮膚用乳化組成物には、低温および高温保存時の乳化安定性を更に向上させる観点から、(E)成分の高級アルコールを含有させることができる。その具体例としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、べへニルアルコールなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な高級アルコールとしては、上記観点から、セチルアルコール、ステアリルアルコール、べへニルアルコールを用いることが好ましい。
【0023】
(E)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、低温および高温保存時の乳化安定性を更に向上させる観点から、組成物中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、べたつき感を抑制する観点から、6重量%以下が好ましく、より好ましくは4重量%以下である。これらの観点から、(E)成分の含有量は、組成物中、0.1〜6重量%が好ましく、より好ましくは1〜4重量%である。
【0024】
更に、本発明の皮膚用乳化組成物には、肌への密着性を更に向上させる観点から、(F)成分の水素添加植物油を含有させることができる。その具体例としては、水素添加ホホバ油、水素添加ヤシ油、水素添加シソ油などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0025】
(F)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、肌への密着性を更に向上させる観点から、組成物中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、べたつき感を抑制する観点から、4重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。これらの観点から、(F)成分の含有量は、組成物中、0.1〜4重量%が好ましく、より好ましくは1〜3重量%である。
【0026】
また、本発明の皮膚用乳化組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、油性成分、低級アルコール、糖アルコール、紫外線吸収剤、増粘剤、アミノ酸、香料、色素、キレート剤、酸化防止剤、防腐剤、ビタミン類、pH調整剤などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0027】
本発明の皮膚用乳化組成物を製造する場合、前記各構成成分を混合し、公知の方法、例えばホモミキサーを用いた転相乳化法により乳化することにより製造することができる。
【0028】
尚、本発明の皮膚用乳化組成物は、膜厚感のない均一な皮膜を形成し、保湿力の持続性に優れた効果を奏するとともに、肌荒れ・シワ・キメ・くすみ形成改善などの抗老化防止効果を奏することから、例えば、顔用、身体用の乳液、クリームなどの剤型に好ましく適用することができる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、含有量は、特記しない限り「重量%」を表す。
【0030】
(試料の調製)
表1および2に記した組成に従い、実施例1〜5、および比較例1〜4の各試料を常法に準じてそれぞれ調製し、下記評価に供した。結果をそれぞれ表1および2に併記する。
【0031】
(試験例1:低温安定性の評価)
各実施例および各比較例で得られた皮膚用乳化組成物を、50mL容のジャー容器に封入し、−20℃から室温を24時間で凍結融解し、この操作を10回繰り返したときの乳化系の状態を目視観察して以下の評価基準に従って評価した。
【0032】
<低温安定性の評価基準>
◎:製造直後と全く変化が認められない
○:製造直後とほとんど変化が認められない
△:僅かな凝集・分離が認められる
×:明らかな凝集・分離が認められる
【0033】
(試験例2:高温安定性の評価)
各実施例および各比較例で得られた皮膚用乳化組成物を、50mL容のジャー容器に封入し、50℃の恒温槽に120時間保管後、乳化系の状態を目視観察して以下の評価基準に従って評価した。
【0034】
<高温安定性の評価基準>
◎:製造直後と全く変化が認められない
○:製造直後とほとんど変化が認められない
△:僅かな凝集・分離が認められる
×:明らかな凝集・分離が認められる
【0035】
(試験例3:べたつき感のなさの評価)
女性専門パネル20名により、各実施例および各比較例で得られた皮膚用乳化組成物を顔面へ塗布して使用試験を行い、塗布直後のべたつき感のなさに関し、以下の5段階の評価基準に従って官能評価した。尚、評価は、下記評価基準により算出された平均点から下記判定基準にしたがって判定を行った。
【0036】
<べたつき感のなさの評価基準>
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:不良
1点:非常に不良
【0037】
<べたつき感のなさの判定基準>
◎:平均4.0点以上
○:平均3.0点以上4.0点未満
△:平均2.0点以上3.0点未満
×:平均2.0点未満
【0038】
(試験例4:ハリの実感の評価)
上記同専門パネルにて、各実施例および各比較例で得られた皮膚用乳化組成物を顔面へ塗布して使用試験を行い、塗布30後の肌のハリに関し、以下の5段階の評価基準に従って官能評価した。尚、評価は、下記評価基準により算出された平均点から下記判定基準にしたがって判定を行った。尚、ハリのある肌とは、みずみずしく潤った弾力のある肌状態のことを言う。
【0039】
<ハリの実感の評価基準>
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:不良
1点:非常に不良
【0040】
<ハリの実感の判定基準>
◎:平均4.0点以上
○:平均3.0点以上4.0点未満
△:平均2.0点以上3.0点未満
×:平均2.0点未満
【0041】
(試験例5:保湿効果の持続性の評価)
上記同専門パネルにて、試験例3の実施12時間後の保湿効果を以下の5段階の評価基準に従って官能評価した。尚、評価は、下記評価基準により算出された平均点から下記判定基準にしたがって判定を行った。
【0042】
<保湿効果の持続性の評価基準>
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:不良
1点:非常に不良
【0043】
<保湿効果の持続性の判定基準>
◎:平均4.0点以上
○:平均3.0点以上4.0点未満
△:平均2.0点以上3.0点未満
×:平均2.0点未満
【0044】
(試験例6:肌荒れ・シワ・キメ・くすみの改善の評価)
上記同専門パネルに各実施例および各比較例で得られた皮膚用乳化組成物を毎日就寝時に顔面に塗布してもらい、4週間後の肌荒れ・シワ・キメ・くすみの改善効果を以下の5段階の評価基準に従って官能評価した。尚、評価は、下記評価基準により算出された平均点から下記判定基準にしたがって判定を行った。
【0045】
<肌荒れ・シワ・キメ・くすみの改善の評価基準>
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:不良
1点:非常に不良
【0046】
<肌荒れ・シワ・キメ・くすみの改善の判定基準>
◎:平均4.0点以上
○:平均3.0点以上4.0点未満
△:平均2.0点以上3.0点未満
×:平均2.0点未満
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
表1および2に示された結果から、各実施例で得られた皮膚用乳化組成物は、各比較例で得られた皮膚用乳化組成物と対比して、低温域および高温域での幅広い温度範囲での優れた乳化安定性を有していることが分かる。また、塗布後のべたつき感がなく、みずみずしく潤った弾力のある肌状態にするとともに、持続性に優れた保湿効果を有していることが分かる。更には、連続使用により、肌荒れ・シワ・キメ・くすみ形成を改善し、優れた抗老化防止効果を兼ね備えていることが分かる。
【0050】
以下、本発明に係る皮膚用乳化組成物の処方例を示す。尚、含有量は重量%である。
【0051】
(処方例1:トリートメントクリーム)
加水分解コラーゲン 1.0
アテロコラーゲン 0.2
ポリオキシエチレンソルビットミツロウ 1.5
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.5
モノオレイン酸グリセリル 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.0
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 2.0
1,2−オクタンジオール 1.0
キサンタンガム 0.3
ステアリルアルコール 6.0
ステアリン酸 2.0
水素添加ホホバ油 2.0
スクワラン 5.0
オクチルドデカノール 7.0
トレハロース 3.0
グリセリン 10.0
エデト酸塩 0.1
色素 適 量
酸化防止剤 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
【0052】
(処方例2:クリームパック)
加水分解コラーゲン 0.8
アテロコラーゲン 1.0
ポリオキシエチレンソルビットミツロウ 2.0
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 1.0
モノステアリン酸グリセリル 2.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.0
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.0
1,2−オクタンジオール 1.0
ポリエチレングリコール 10.0
ソルビトール 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.5
キサンタンガム 0.3
ベヘニルアルコール 4.0
水酸化カリウム 0.25
フィトステロール 0.4
水素添加ホホバ油 1.0
グリセリン 5.0
エデト酸塩 0.1
色素 適 量
酸化防止剤 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
【0053】
(処方例3:化粧下地)
加水分解コラーゲン 0.5
アテロコラーゲン 0.5
ポリオキシエチレンソルビットミツロウ 1.5
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 1.5
モノステアリン酸グリセリル 1.0
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 3.0
1,2−オクタンジオール 1.0
ポリエチレングリコール 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
キサンタンガム 0.3
ステアリルアルコール 1.0
ステアリン酸 15.0
水素添加ホホバ油 0.5
イソノナン酸イソノニル 5.0
トリエタノールアミン 0.3
グリセリン 5.0
エデト酸塩 0.05
色素 適 量
酸化防止剤 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)コラーゲン、コラーゲン誘導体および加水分解コラーゲンからなる群から選ばれる1種以上、(B)ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、(C)N−アシルグルタミン酸塩、(D)脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤を含有してなる皮膚用乳化組成物。
【請求項2】
前記(A)成分が、アテロコラーゲンおよび/又は加水分解コラーゲンである請求項1記載の皮膚用乳化組成物。
【請求項3】
(E)高級アルコールを含有してなる請求項1又は2に記載の皮膚用乳化組成物。
【請求項4】
(F)水素添加植物油を含有してなる請求項1〜3の何れかに記載の皮膚用乳化組成物。

【公開番号】特開2008−74784(P2008−74784A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257024(P2006−257024)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】